JP2022053003A - 型枠ユニットおよびコンクリート構造物施工方法 - Google Patents

型枠ユニットおよびコンクリート構造物施工方法 Download PDF

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徳昭 佐藤
Noriaki Sato
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Figure 2022053003000001
【課題】コンクリート打設用型枠を形成する、取り外し不要の型枠ユニットを提供する。
【解決手段】本開示のコンクリート打設用型枠ユニットは、埋設パネルと、連結部材と、第1固定具と、第2固定具を備え、
前記連結部材は、セパレータ部と、第1おねじ部と、易切断部と、第2おねじ部がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記第1固定具は、前記埋設パネル当接用端面を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材の第1おねじ部と螺合するめねじ部を備え、
前記第2固定具は、前記連結部材の第2おねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である。
【選択図】図1

Description

本開示は、コンクリート打設用型枠を形成するための、取り外し不要の型枠ユニット、および前記型枠ユニットを使用するコンクリート構造物施工方法に関する。
コンクリート打設によるコンクリート構造物の施工過程では、コンクリート原料の充填範囲を区画するための型枠が、施工後にはコンクリート構造物から取り外されるパネル(以下、「取外しパネル」ということがある)の複数枚を組み付けすることによって形成されることが多い。このようなコンクリート打設用の型枠に関する技術については、例えば下記の特許文献1~3に記載されている。
特開平7-279410号公報 特開2004-183466号公報 特開2012-224990号公報
例えば、形成目的物であるコンクリート構造物が段差構造を伴う場合、当該段差構造の側壁面を規定する取外しパネルは、コンクリート構造物施工後に取外す必要があるため、従来、取外しパネルの下端を床面よりも上位に浮かせた状態で、組み付けが行われている(即ち、取外しパネル下端と床面との間に所定の間隔を伴う態様で、取外しパネルが組み付けられている)。
しかしながら、このように取外しパネルが組み付けられた状態でコンクリート打設が行われると、取外しパネルと床面との隙間からの硬化前コンクリートの部分的漏出、即ち、はみ出しが、生じる。そして、当該はみ出しコンクリートが硬化して、所期の入隅形状と比較して余分な傾斜部が形成されることとなり、適切な入隅形状を形成するために、余剰部分を削り取る作業(はつり作業)を行う必要となる。また、その削り取り箇所の補修作業が必要となる場合もある。更に、硬化前コンクリートのはみ出しを防止するため、取り外しパネルと床面との隙間を狭くして組み付けると、取外しパネルの下端の一部が、床面に埋め込まれた状態でコンクリートが硬化する事態が発生し易い。このような事態が発生した場合には、パネルを取り外しても、床面に埋め込まれたパネル片が、除去できずに、取り残されることとなる。そして、床面に埋め込まれ、取り残されたパネル片は、削り取り、その上で、削り取られた部分を補修することが必要となる。そのような作業が必要であることは、段差部付きコンクリート構造物の施工に要する作業・時間・コストの増大を招いてしまい、好ましくない。
また、コンクリート構造物施工後のパネル取外し作業を効率化する観点から、取外しパネルの組み付けを簡略化する場合がある。その場合、型枠による区画内に充填されて流動するコンクリート原料の自重や荷重(例えば、衝撃荷重など)に起因して、当該取外しパネルに歪みが生じやすい。組み付けられた取外しパネルが歪むと、形成されるコンクリート構造物にも歪みが発生する。このような歪みを伴うコンクリート構造物については補修する必要があり、そのような補修が必要であることは、コンクリート構造物の施工に要する作業・時間・コストの増大を招いてしまい、好ましくない。
また、取外したパネルは、再利用するためには洗浄が必要であるが、洗浄に手間がかかり、洗浄により汚水が多量に発生していた。さらに、洗浄しても再利用可能とならないパネルは廃棄され、コンクリート構造物施工後に産業廃棄物が多量に発生することも問題であった。
一方、上記の取外しパネルを使用せずにコンクリート構造物を形成する場合には、コテ等でコンクリートを塗布するのが一般的である。コテ等によりコンクリートを塗布する場所が上向面以外の面である場合、コンクリートを一度に厚く塗布すると剥がれが生じ易いため、薄く塗布し、コンクリートが硬化してから塗り重ねる方法により所定の厚さまで塗布する方法が採用される。しかし、この方法では、コンクリート構造物の施工に要する作業・時間・コストの増大を招いてしまい、好ましくない。また、コンクリートが硬化した後であっても、特に壁などの側壁面や、天井、梁の底面等の下向面は剥がれやすく、地震などにより崩落する恐れがあることも問題であった。
本開示は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、コンクリート打設用型枠を形成する、取り外し不要の型枠ユニットであって、コンクリート構造物を効率よく形成するのに適した型枠ユニット、および施工方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、コンクリート構造物を効率よく、且つ強固に形成するのに適した型枠ユニットおよび施工方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、効率よくコンクリート構造物を改修する改修方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、コンクリート打設用型枠を形成するための埋設パネルを固定するのに使用される、新規の連結部材を提供することにある。
上記課題を解決するものとして、本開示は、埋設パネルと、連結部材と、第1固定具と、第2固定具を備え、
前記連結部材は、セパレータ部と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記第1固定具は、前記埋設パネル当接用端面を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材の第1おねじ部と螺合するめねじ部を備え、
前記第2固定具は、前記連結部材の第2おねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である、コンクリート打設用型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である、コンクリート打設用型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔固定用切削部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成をを有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である、コンクリート打設用型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、前記埋設パネルの面のうち、コンクリート充填区画の内側に向けて設置される面が接着改良面を含む前記型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、前記埋設パネルの面のうち、コンクリート充填区画の外側に向けて設置される面が接着改良面及び/又は化粧面を含む前記型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、隣接する二枚の前記埋設パネルが面一となる態様で連ねて接続するための接続具を備える前記型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、隣接する二枚の前記埋設パネルが互いに直交する態様で連ねて接続するための接続具を備える前記型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、前記埋設パネルの高さ位置を調整するための高さ調整具を更に備える前記型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、埋設パネルと、連結部材と、第1固定具と、第2固定具を備え、
前記連結部材は、セパレータ部と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記第1固定具は、前記埋設パネル当接用端面を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材の第1おねじ部と螺合するめねじ部を備え、
前記第2固定具は、前記連結部材の第2おねじ部と螺合するめねじ部を備える部材であり、
前記埋設パネルの孔に、前記連結部材が挿入せられ、前記連結部材の易切断部が埋設パネルの表面側開口部に位置する状態にて、埋設パネルの裏面へ突出した第1おねじ部に、前記第1固定具のめねじ部が螺合せられ、埋設パネルの表面へ突出した第2おねじ部に、前記第2固定具のめねじ部が螺合せられてなる組立型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材であり、
前記埋設パネルの孔に、前記鍔付き連結部材が、鍔部が埋設パネルの裏面に当接するよう挿入せられ、埋設パネルの表面へ突出したおねじ部に、前記固定具のめねじ部が螺合せられてなる組立型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔固定用切削部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成をを有し、
前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材であり、
前記埋設パネルの孔に、前記鍔付き連結部材が、鍔部が埋設パネルの裏面に当接するよう挿入せられ、埋設パネルの表面へ突出したおねじ部に、前記固定具のめねじ部が螺合せられてなる組立型枠ユニットを提供する。
本開示は、また、組立型枠ユニットを使用してコンクリートを打設して、コンクリート構造物を施工する方法であって、
前記組立型枠ユニットの埋設パネルの表面がコンクリート構造物の少なくとも一面を形成するように組立型枠ユニットを配置して、コンクリート原料が充填されることとなる区画を規定する工程1と、
配置された組立型枠ユニットのセパレータ部を、コンクリート充填区画の内側に位置する非可動部と連結することにより前記組立型枠ユニットを固定して、型枠を形成する工程2と、
形成された型枠内にコンクリート原料を供給する工程3とを含む、コンクリート構造物施工方法を提供する。
本開示は、また、前記コンクリート構造物は凸条構造部を含む構造物である前記コンクリート構造物施工方法を提供する。
本開示は、また、前記コンクリート構造物が、コンクリート製の、階段、敷居、梁、窓枠、天井、床、柱、壁、擁壁、パラペット、及び架台から選択される少なくとも1種の構造物である前記コンクリート構造物施工方法を提供する。
本開示は、また、組立型枠ユニットを使用してコンクリートを打設して、コンクリート構造物を改修する方法であって、
前記組立型枠ユニットのセパレータ部を、コンクリート構造物の被改修面に固定して、型枠を形成する工程1’と、
形成された型枠内にコンクリート原料を供給する工程2’とを含む、コンクリート構造物改修方法を提供する。
本開示は、また、前記組立型枠ユニットに含まれる埋設パネルが、コンクリート構造物の上面、下面、及び側面から選択される少なくとも一面を形成する、コンクリート構造物を提供する。
本開示は、また、セパレータ部と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部がこの順で連接された構成を有する連結部材を提供する。
本開示は、また、セパレータ部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有する鍔付き連結部材を提供する。
本開示は、また、セパレータ部と、鍔固定用切削部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有する鍔付き連結部材を提供する。
本開示の型枠ユニットによれば、コンクリート構造物の施工に要する作業・時間・コストを削減することができ、簡便な操作により、強固で、且つ美観に優れたコンクリート構造物を形成することができる。
例えば、形成目的物であるコンクリート構造物が天井等である場合、従来の施工方法では、剥離や崩落等の問題があったが、本開示の型枠ユニットを使用すれば、コンクリート構造物が基礎部分や骨組みを形成する鉄骨等に強固に固定されているので、剥離や崩落を抑制することができ、耐震性を飛躍的に高めることができる。
また、型枠に充填されたコンクリートが硬化した後に、コンクリートの表面から突出する連結部材(又は鍔付き連結部材)を易切断部で切断すると、連結部材(又は鍔付き連結部材)が錆びてコンクリート表面に錆汁が滲み出るのを防止することができ、コンクリート構造物の美観を保持することができる。
更に、本開示の型枠ユニットを使用すれば、施工後に取り外されるパネルの使用を廃止或いは使用量を低減することができる。そのため、施工後に廃棄され、産業廃棄物となる取外しパネルの量を著しく低減することができる。そのため、本開示の型枠ユニットを使用すれば、環境負荷を低減することもできる。
本開示のコンクリート構造物施工方法によれば、型枠ユニットを使用することでコンクリート構造物の被改修面を簡便に、スピーディーに、且つ美しく改修することができる。また、改修後のコンクリート構造物に優れた耐震性を付与することができる。
本開示の実施形態に係る型枠ユニットXの斜視図である。 本開示の他の実施形態に係る型枠ユニットX’の斜視図である。 埋設パネルの孔13を設ける位置のバリエーションを示す図である。 本開示の実施形態に係る連結部材20、及び鍔付き連結部材20’、20”の斜視図である。 本開示の第1固定具25の一例を示す斜視図である。 本開示の第1固定具25の他の一例を示す斜視図(a)、及び断面図(b)である。 本開示の第2固定具30の一例を示す斜視図(a)、及び断面図(b)である。 図1に示す型枠ユニットX、X’、又はX”の変形例を表す。 図1に示す型枠ユニットX、X’、又はX”の変形例を表す。 本開示の組立型枠ユニットYの一例を示す断面図である。 本開示の組立型枠ユニットYの他の一例を示す断面図である。 本開示のコンクリート構造物の施工方法において、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の組付け方法の一例を示す模式図である。 本開示のコンクリート構造物の施工方法において、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の組付け方法の他の一例を示す模式図(側面図)である。 図13に示す組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の組み付け例の上面図である。 本開示のコンクリート構造物改修方法において、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の組付け方法の一例を示す模式図である。
[型枠ユニットX、X’、X”]
本開示の型枠ユニットXは、埋設パネル10と、連結部材20と、第1固定具25と、第2固定具30を備え、
前記連結部材20は、セパレータ部21と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部21と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部22と、易切断部23と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部21と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部24がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネル10は、前記セパレータ部21が貫通可能な孔13を有し、
前記第1固定具25は、前記埋設パネル当接用端面26を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材20の第1おねじ部22と螺合するめねじ部27を備え、
前記第2固定具30は、前記連結部材20の第2おねじ部24と螺合するめねじ部31を備える部材である。
図1は、本開示の一の実施形態に係る型枠ユニットXを表す。型枠ユニットXは、少なくとも一枚の埋設パネル10を備え、且つ、埋設パネル10ごとに、1つの連結部材20と1つの第1固定具25と1つの第2固定具30とを含む固定部材を少なくとも1組備える。
本開示の型枠ユニットX’は、埋設パネル10と、鍔付き連結部材20’と、固定具30を備え、
前記鍔付き連結部材20’は、セパレータ部21と、鍔部29と、易切断部23と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部24がこの順で連接された構成を有し、
前記埋設パネル10は、前記セパレータ部21が貫通可能な孔13を有し、
前記固定具は30、前記連結部材20’のおねじ部24と螺合するめねじ部31を備える部材である。
図2は、本開示の他の実施形態に係る型枠ユニットX’を表す。型枠ユニットX’は、少なくとも一枚の埋設パネル10を備え、且つ、埋設パネル10ごとに、1つの鍔付き連結部材20’と1つの固定具30とを含む固定部材を少なくとも1組備える。
本開示の型枠ユニットX”は、埋設パネル10と、鍔付き連結部材20”と、固定具30を備え、
前記鍔付き連結部材20”は、セパレータ部21と、鍔固定用切削部35と、鍔部29と、易切断部23と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部24がこの順で連接された構成をを有し、
前記埋設パネル10は、前記セパレータ部21が貫通可能な孔を有し、
前記固定具30は、前記連結部材20”のおねじ部24と螺合するめねじ部31を備える部材である、
型枠ユニットX、X’、X”は、コンクリート打設用型枠を形成するのに使用される。
(埋設パネル10)
埋設パネル10は、コンクリート構造物の形を作るせき板(=コンクリートに直接接する位置に配置される型枠)であって、コンクリート原料が硬化した後は、取り除かれることなくコンクリート構造物の一部を形成する部材である。従って、埋設パネル10は、打ち込み用せき板である。
型枠ユニットXの場合、埋設パネル10は、その表面に連結部材20(後で詳述する)が取付けられ、取付けられた連結部材20が第1固定具25と第2固定具30によって埋設パネル10の所定位置に緊結される。
型枠ユニットX’の場合、埋設パネル10は、その表面に鍔付き連結部材20’(後で詳述する)が取付けられ、取付けられた鍔付き連結部材20’が固定具30によって埋設パネル10の所定位置に緊結される。
型枠ユニットX”の場合、埋設パネル10は、その表面に鍔付き連結部材20”(後で詳述する)が取付けられ、取付けられた鍔付き連結部材20”が固定具30によって埋設パネル10の所定位置に緊結される。
埋設パネル10は矩形状の板材であって、本実施形態では、平板状の繊維強化セメント板である。埋設パネル10において、その長手方向の寸法は例えば30~242cmであり、短手方向の寸法は例えば2~242cmである。なかでも、埋設パネル10の製造コストおよび運搬コストの抑制、並びに、埋設パネル10の組付け作業のしやすさの観点から、長手方向の寸法は30~200cmが好ましく、短手方向の寸法は2~50cm(特に、2~40cm)が好ましい。
尚、本明細書では、埋設パネル10を組付けてコンクリート打設用型枠を形成する際に、コンクリート充填区画80の内側に向けて設置される面(すなわち、裏面)を面11とし、コンクリート充填区画80の外側に向けて設置される面(すなわち、表面)を面12とする。
前記平板状の繊維強化セメント板としては、例えば、スレートボード、珪酸カルシウム板、およびスラグ石膏板が挙げられる。スレートボードは、主原料として、例えば、セメント、繊維(但し石綿を除く)、および混和材を含む。珪酸カルシウム板は、主原料として、例えば、石灰質原料、珪酸質原料、繊維(但し石綿を除く)、および混和材を含む。スラグ石膏板は、主原料として、例えば、スラグ、石膏、繊維(但し石綿を除く)、および混和材を含む。これら繊維強化セメント板については、JIS A 5430に規格が定められている。耐水性の観点からは、前記繊維強化セメント板としては、スレートボードおよび珪酸カルシウム板が好ましい。また、スレートボードの市販品としては、例えば、株式会社エーアンドエーマテリアル製の「セルフレックス」が挙げられる。珪酸カルシウム板の市販品としては、例えば、株式会社エーアンドエーマテリアル製の「ハイラックM」が挙げられる。スラグ石膏板の市販品としては、例えば、吉野石膏株式会社製の「タイガーボード」が挙げられる。
埋設パネル10の厚さは、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、更に好ましくは5mm以上である。このような構成は、埋設パネル10の強度の確保の観点から好ましく、ひいては、埋設パネル10の運搬時および組付け作業時、並びにコンクリート打設の際の、埋設パネル10の破損や撓みを抑制するうえで好ましい。また、埋設パネル10の厚さは、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下である。このような構成は、埋設パネル10の軽量化の観点から好ましく、ひいては、埋設パネル10の製造コストおよび運搬コストの抑制、並びに、埋設パネル10の組付け作業のしやすさの観点から好ましい。
型枠ユニットXの場合、埋設パネル10は、連結部材20のセパレータ部21が貫通するサイズの孔であって、埋設パネルの面11,12間を貫通する貫通孔13を有する。
型枠ユニットX’の場合、埋設パネル10は、鍔付き連結部材20’の固定具30が貫通するサイズの孔であって、埋設パネルの面11,12間を貫通する貫通孔13を有する。
埋設パネル10が有する貫通孔13の数は、埋設パネル10の大きさや形状や、充填されるコンクリートの自重や荷重により埋設パネル10にかかる応力などに基づいて定められるものであるが、例えば1~20個、好ましくは1~5個の範囲である。また、貫通孔13を設ける部位は、図3に示すように、一列に並ぶように設けてもよいし、四隅に設けてもよいし、四隅と中央に設けてもよいし、ジグザグに設けてもよい。
埋設パネル10の面11には、その一部または全体にわたって接着改良面が設けられていてもよい。前記接着改良面は、例えばコンクリートとの接合に適した面であり、コンクリートとの接着性を向上させるための処理が施された面である。接着改良面を設けることでコンクリートとの接合を強化することができ、埋設パネル10がコンクリートの表面から剥離するのを防止することができる。
前記接着改良面は、例えば、モルタル硬化物層表面、凹凸成形面、機械的粗化面、または、これらの組み合わせである。埋設パネル10の量産化や経済性の観点からは、埋設パネル10の接着改良面としてはモルタル硬化物層表面が好ましい。
前記モルタル硬化物層表面は、上述の繊維強化セメント板における接着改良面形成予定箇所にモルタルを塗布した後に硬化させることによって形成することができる。当該モルタルとしては、例えば、ポリマーセメントモルタル、エポキシ樹脂モルタル、およびカチオン系モルタルが挙げられる。
ポリマーセメントモルタルは、例えば、セメントと、細骨材と、水と、ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂との混合物であるモルタルである。ポリマーディスパージョンとしては、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)およびアクリル樹脂があげられる。ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なエチレン酢酸ビニル樹脂の市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製の「セルマイティ10」および株式会社豊運製「HOUNシーラーN」が挙げられる。ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なアクリル樹脂の市販品としては、例えば、旭化成株式会社製の「スーパーペトロック400」が挙げられる。
カチオン系モルタルは、例えば、セメントと、細骨材と、水と、カチオン系ポリマーディスパージョンまたはカチオン系再乳化形粉末樹脂との混合物であるモルタルである。カチオン系ポリマーディスパージョンとしては、カチオン系スチレンブタジエンゴムおよびカチオン系アクリル樹脂が挙げられる。カチオン系ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なカチオン系スチレンブタジエンゴムの市販品としては、ダイセルミライズ株式会社製の「セルタル」が挙げられる。カチオン系ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なカチオン系アクリル樹脂の市販品としては、ダイセルミライズ株式会社製の「セルカチオン」が挙げられる。
エポキシ樹脂モルタルは、例えば、エポキシ樹脂と細骨材との混合物であるモルタルある。エポキシ樹脂モルタルの市販品としては、例えばコニシ株式会社製の「Kモルタル」が挙げられる。
上述のモルタル中の細骨材としては、例えば、珪砂、川砂、黒曜石パーライト、真珠岩パーライト、炭酸カルシウム粉が挙げられる。モルタル中には、一種類の細骨材が含まれてもよいし、二種類以上の細骨材が含まれてもよい。
埋設パネル10における接着改良面がモルタル硬化物層表面である場合、そのモルタル硬化物層の厚さは、コンクリート原料に対する高い接着強度を確保するという観点からは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上である。また、埋設パネル10に関する軽量化および作業性の改善の観点や、埋設パネル10の製造コストおよび運搬コストの抑制の観点からは、当該モルタル硬化物層の厚さは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下である。
繊維強化セメント板にポリマーセメントモルタルやカチオン系モルタルが塗布されると、塗布されたモルタル中の水分の多くが繊維強化セメント板に吸収され、当該モルタルがいわゆるドライアウトの状態に至りやすい。ドライアウト状態にあるモルタルでは、水和反応が阻害されて硬化不良や接着不良を生じることがある。このようなドライアウトを避けるためには、モルタル塗布前の繊維強化セメント板について、いわゆる吸水調整を行うのが好ましい。吸水調整手段としては、例えば、繊維強化セメント板に対する水の散布、および、繊維強化セメント板に対する吸水調整剤の塗布が挙げられる。その吸水調整剤としては、例えば、合成樹脂のエマルジョンまたはポリマーディスパージョンを主成分とする、いわゆるセメントモルタル塗り用の吸水調整剤が挙げられる。そのような吸水調整剤中の合成樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、および合成ゴムが挙げられる。セメントモルタル塗り用の吸水調整剤の市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製の「セルマイティ10」「セルタイト10」「セルロックJ」「セルプライマーJ」、株式会社豊運製「HOUNシーラーN」(いずれもエチレン酢酸ビニル系樹脂を含有する)、および、昭和電工建材株式会社製の「マルチプライマー」「ペルタスAC-300」(いずれもアクリル系樹脂を含有する)が、挙げられる。
埋設パネル10における接着改良面としての上述の凹凸成形面は、例えば、埋設パネル10をなすための繊維強化セメント板の作製過程で、接着改良面形成予定箇所に接する表面に所定の凹凸形状を有する型板など型部材を使用して繊維強化セメント板をプレス成形または押出成形することにより、形成することができる。
埋設パネル10における接着改良面としての上述の機械的粗化面は、例えば、埋設パネル10をなすための繊維強化セメント板の接着改良面形成予定箇所に対してサンディングまたはチッピングなど機械的な粗面化処理を行って当該箇所を目粗しすることにより、形成することができる。
埋設パネルの面12には、その一部または全体にわたり、化粧面が設けられてもよいし、前記接着改良面が設けられてもよい。
埋設パネルの面12の一部または全体にわたり化粧面が設けられている場合、型枠ユニットXを使用してのコンクリート構造体の施工の後、埋設パネル10の外面に新たにモルタル化粧や塗装を施さなくてもよく、作業効率の観点から好ましい。
埋設パネルの面12が接着改良面を含む場合、当該施工後に埋設パネルの面12の接着改良面に対してタイル貼り作業を実施するのに適する。
前記化粧面は、例えば、平滑面、塗料硬化膜表面、または化粧シート貼付面である。
前記平滑面は、例えば、埋設パネル10をなすための繊維強化セメント板の作製過程で、化粧面形成予定箇所に接する表面が平滑である型板など型部材を使用して繊維強化セメント板をプレス成形または押出成形することにより、形成することができる。このような平滑面を有するパネル(繊維強化セメント板)として、せんい強化セメント板協会のスレートボードの一種である「フレキシブル板(化粧板仕上げタイプ)」が知られている。
前記塗料硬化膜表面は、埋設パネル10をなすための繊維強化セメント板の化粧面形成予定箇所に塗料を塗布した後に硬化させることによって形成することができる。使用可能な塗料としては、例えば、有機系塗料、無機系塗料、および有機・無機複合系塗料が挙げられる。形成される塗料硬化膜表面の耐久性の観点からは、無機系塗料や有機・無機複合形塗料が好ましい。有機系塗料としては、例えば、アクリル樹脂塗料、エポキシ系塗料、ウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、ポリエステル塗料、およびビニルオルガノゾル塗料が挙げられる。無機系塗料としては、例えば、アルキルシリケート系塗料、光触媒酸化チタン含有無機塗料、シリカゾル系塗料、アルカリ金属塩系塗料、金属アルコキシド系塗料、セメントリシン系塗料、およびセメントスタッコ系塗料が挙げられる。有機・無機複合系塗料としては、例えば、シロキサン結合を含有する有機・無機複合系塗料、金属アルコキシド系塗料、セラミックス系塗料、および光触媒酸化チタン含有有機・無機複合系塗料が挙げられる。これら塗料は、充填剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、安定剤などその他の添加剤を顔料に加えて含有していてもよい。
前記化粧シート貼付面を形成するための化粧シートとしては、例えば、塩化ビニル化粧シート、熱可塑性樹脂化粧シート、熱硬化性樹脂化粧シート、葉化粧シート、およびいわゆるPタイルが挙げられる。塩化ビニル化粧シートは、例えば、顔料を混練した不透明の塩化ビニルシートに模様の印刷を施し、その印刷面上に透明な塩化ビニルフィルムを加熱接着し、当該印刷面側を必要に応じてエンボス加工して作製することができる。そのエンボス加工は、例えば、凹凸表面を有するロールでの加圧によって行うことができる。熱可塑性樹脂化粧シートは、例えば、シート構成樹脂として塩化ビニル樹脂の代りに各種可塑性樹脂を用いること以外は塩化ビニル化粧シート作製方法と同様にして、作製することができる。熱硬化性樹脂化粧シートは、坪量55~200g/m2の化粧紙にメラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸したものを、同様の熱硬化性樹脂を含浸したクラフト紙など基材シートに重ね、得られる積層体について多段式ホットプレス機または連続成形プレス機を使用して熱圧プレス成形することによって、作製ことができる。薄葉化粧シートは、例えば、坪量30g/m2程度の薄葉紙に着色ベタ印刷を施し、そのベタ印刷面上に図柄を印刷し、当該印刷面に対してアミノアルキッド樹脂塗料またはポリウレタン樹脂塗料などによる塗装仕上げを施すことによって、作製することができる。前記化粧シート貼付面を形成するための化粧シートは、好ましくは、塩化ビニル化粧シートおよびPタイルである。埋設パネル10をなすための繊維強化セメント板に対する化粧シートの貼付方法としては、ウレタン樹脂や、ビニル樹脂、アクリル樹脂など接着性樹脂を介しての接着があげられる。
以上のような埋設パネル10としては、特開平8-312092号公報に記載のもの(但し、石綿は含有していないもの)、および、ダイセルミライズ株式会社製の「セル・ケコミパネル」「セル・スリムステップボード」が、特に好ましい。
(連結部材20)
連結部材20は、埋設パネル10を所定の位置に固定して、コンクリート充填区画80を規定するための部材であり、図4に示される通り、セパレータ部21と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部22と、易切断部23と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部24がこの順で連接された構成を有する。
セパレータ部21は、直線状であってもよいし、任意の複数個所で屈曲していてもよい。
そして、第1おねじ部22及び第2おねじ部24は、それぞれ、セパレータ部21と軸を同一にして連結され、且つセパレータ部21とほぼ同じ直径を有する。そのため、埋設パネルに設けられた貫通孔13を通過することができる。また、第1おねじ部22のねじ山の数は20個以上であり、例えば20~50個、好ましくは22~30個である。第1おねじ部22が前記個数のねじ山を有するため、埋設パネル10の厚みが変更しても、連接部材の仕様を変更する必要がなく、汎用性に優れる、また、第2おねじ部24のねじ山の数は5個以上、20個未満であり、好ましくは10~18個である。第1おねじ部22及び第2おねじ部24は、例えばセパレータの端部の所定位置に、ねじ山を刻設することにより形成することができる。
また、易切断部23は、セパレータ部と軸を同一にする部分であり、容易に切断(或いは、破断)できる部分である。前記切断方法としては、例えば、外力を付与することにより切断する方法や、熱により切断する方法や、ダイヤモンドカッター等の切断用治具で切断する方法や、特定の周波数の振動を与えることで切断する方法が挙げられる。従って、易切断部23は、例えば、熱により切断し易い部分であり、例えば、ダイヤモンドカッター等の切断用治具で切断し易い部分であり、例えば、特定の周波数の振動を与えることで切断しやすい部分である。易切断部23は、例えば、各種ノッチ構造を付与する等によりセパレータの一部を細化する(例えば、2~8mm程度にまで細化する)方法により形成することができる。従って、各種ノッチ構造を付与する等によりセパレータの一部を細化する(例えば、2~8mm程度にまで細化する)方法の場合には、易切断部23は、セパレータ部21より細径且つ軸を同一にする部材であることが好ましい。
(鍔付き連結部材20’)
鍔付き連結部材20’は、埋設パネル10を所定の位置に固定して、コンクリート充填区画80を規定するための部材であり、図4に示される通り、セパレータ部21と、鍔部29と、易切断部23と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部24がこの順で連接された構成を有する。
鍔付き連結部材20’は、連結部材20と後述の第1固定具25が一体化した部材であり、鍔付き連結部材20’におけるセパレータ部21と、易切断部23と、おねじ部24とは、それぞれ、連結部材20におけるセパレータ部21、易切断部23、及び第2おねじ部24と同じ構成である。
鍔付き連結部材20’における鍔部29の易切断部23が結合する側の端面が、埋設パネル当接用端面26となる。そして、埋設パネル当接用端面26の、埋設パネル10の面11と当接する面積は、例えば1~30cm2程度、好ましくは2~20cm2である。そして、鍔部29の軸方向視形状には特に制限がなく、例えば、円形、四角形、多角形等である。
鍔付き連結部材20’の鍔部29をセパレータ部21と易切断部23の間に固定する方法は特に限定されることがなく、例えば、溶接、はんだ付け、接着、かしめ、異材料の収縮率差の応用、一体成形などによって固定される方法でも良い。鍔部29の埋設パネル当接用端面26から易切削部23までの距離は、使用する埋設パネル10の厚みより小さい距離に設定することが好ましい。
鍔付き連結部材20’としては、例えば、株式会社東和製作所で製造販売される「セルキャッチャー(商品名)」を使用することができる。
例えば、型枠ユニットX、X’、又はX”を組付けてコンクリート打設を行えば、埋設パネル10の表面から第2おねじ部24又はおねじ部24が突出するが、突出する第2おねじ部24又はおねじ部24は風雨に曝されて錆び易くなる。しかし、型枠ユニットX、X’、又はX”を用いて形成された型枠にコンクリートを充填し、充填されたコンクリートが硬化した後に、易切断部23を切断して、第2おねじ部24又はおねじ部24を除去し、切断蹟を接着剤コーティングやセメント補修等により保護すれば、第2おねじ部24又はおねじ部24が錆びるのを防ぐことができ、コンクリート表面に錆汁が滲み出るのを防止することができ、コンクリート構造物の美観を保持することができる。
そして、型枠ユニットX、X’、又はX”を組付けて、コンクリート充填区画80を形成した場合に、連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の他端(例えば、セパレータ部21の、第2おねじ部24又はおねじ部24を備える一端とは反対側の端部)は、コンクリート充填区画80の内側に位置する非可動部に連結される。そのため、連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の他端にはねじ山が刻設されていてもよく、連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の他端にねじ山が刻設されている場合には、非可動部とねじ止めにより連結することが可能となる。
(鍔付き連結部材20”)
鍔付き連結部材20”は埋設パネル10を所定の位置に固定して、コンクリート充填区画80を規定するための部材であり、図4に示される通り、セパレータ部21と、鍔固定用切削部35と、鍔部29と、易切断部23と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部24がこの順で連接された構成を有する。
鍔付き連結部材20”は、セパレータ部21と鍔部29の間に、鍔固定用切削部35を有する以外は、鍔付き連結部材20’と同じ構成である。
鍔固定用切削部35は、鍔部29をセパレータに固定するための構造であり、鍔部29をセパレータに固定することができれば、その構造には特に制限がない。鍔固定用切削部35の構造としては、例えば、易切削部23と同様の構造が挙げられる。鍔固定用切削部35の一例として、厚さ約6mmの埋設パネルに対応する図4の鍔付き連結部材20”(部分詳細図参照)におけるセパレーター部21の外径W1が6.9mmであり、易切削部23と鍔固定切削部35それぞれの最も小さな外径W2が5.5~5.65mmであり、最も大きな外径W3が8.28~8.70mmであり、厚さW4が1.5~3.0mmの鍔部29を挟む両側の最も大きな外径部間の距離W5が4.5mmであり、易切削部23と鍔固定切削部35それぞれの最も大きな外径部間の距離W6が2.5mmであっても良い。
(第1固定具25)
第1固定具25は、連結部材20のセパレータ部21を、埋設パネル10の面11から略垂直方向に起立した状態で固定するための部材である。
第1固定具25は、図5に示される通り、埋設パネル当接用端面26を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材20の第1おねじ部22と螺合するめねじ部27を備える。
第1固定具25は、また、図6に示される通り、鍔部29の一方の面に、凸状部28が連結した部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材20の第1おねじ部22と螺合するめねじ部27を備える形状であってもよい。この場合、鍔部29の凸状部28と結合する面とは反対の面が埋設パネル当接用端面26である。
埋設パネル当接用端面26の、埋設パネル10の面11と当接する面積は、例えば1~30cm2程度、好ましくは2~20cm2である。そして、埋設パネル当接用端面26の軸方向視形状には特に制限がなく、例えば、円形、四角形、多角形等である。
第1固定具25は、図10、図11に示される通り、埋設パネルの孔13に、連結部材20を、第1おねじ部22が埋設パネル10の面11側から突出し、第2おねじ部24が埋設パネル10の面12側に突出するよう挿入した状態にて、面11から突出した第1おねじ部22に第1固定具25を環装し、埋設パネル当接用端面26が埋設パネル10にあてがわれた状態で、前記第1おねじ部22に第1固定具25のめねじ部27を螺合させることによって設置される。
埋設パネル当接用鍔25の形成材料としては、特に限定されないが、各種の金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼、チタン鋼)、高剛性セラミック、熱硬化性プラスチックス、熱可塑性エンジニアリングプラスチックス、各種の耐久性コーティングされた素材などが使用できる。
(第2固定具30,及び固定具30)
第2固定具30は、図1に示される通り、連結部材20の第2おねじ部24と螺合するめねじ部31を備える部材である。
固定具30は、鍔付き連結部材20’のおねじ部24と螺合するめねじ部31を備える部材(図2参照)や、鍔付き連結部材20”のおねじ部24と螺合するめねじ部31を備える部材である。
第2固定具30及び固定具30としては、例えば、各種フォームタイ(登録商標)を使用することができる。
前記フォームタイ(登録商標)としては、例えば、ナット付タイプのフォームタイ(登録商標)(岡部株式会社から販売されている商品名「フォームタイ(登録商標)C型 C8-150」など)、くさびタイプのフォームタイ(登録商標)(コンドーテック株式会社から販売されている商品名「くさび式ホンタイ 2K-60 W5/16・60角パイプ用」など)、および、ねじタイプのフォームタイ(登録商標)(コンドーテック株式会社から販売されている商品名「RBねじホンタイ(3形リブ座ナット・SWセット)8-180」など)が挙げられる。
また、第2固定具30及び固定具30は、めねじ部31と共に埋設パネル当接用端面33を有していてもよく、例えば、図7に示されるように、台座部34の一方の面に、凸状部32が連結した部材であって、前記部材の軸部に、連結部材20の第2おねじ部24や、鍔付き連結部材20’又は鍔付き連結部材20”のおねじ部24と螺合するめねじ部31を備える形状であってもよい。この場合、台座部34の凸状部32と結合する面とは反対の面が埋設パネル当接用端面33である。
埋設パネル当接用端面33の、埋設パネル10の面12と当接する面積は、例えば10~100mm程度、好ましくは20~50mmである。そして、埋設パネル当接用端面33の軸方向視形状には特に制限がなく、例えば、円形、四角形、多角形等である。
型枠ユニットXの場合、第2固定具30は、図10、図11に示される通り、埋設パネルの孔13に、連結部材20を、第1おねじ部22が埋設パネル10の面11側から突出し、第2おねじ部24が埋設パネル10の面12側に突出するよう挿入した状態にて、第2固定具30が埋設パネル当接用端面33を有する場合は埋設パネル10の面12に埋設パネル当接用端面33をあてがった状態(図10参照)で、第2おねじ部24に第2固定具30のめねじ部31を螺合させることによって設置される。
そして、埋設パネル10を挟んで、第1固定具25と第2固定具30の各めねじ部27,31を連結部材20の第1及び第2おねじ部22,24に螺合させることにより、連結部材20を、セパレータ部21が埋設パネル10の面11から略垂直方向に起立した状態で、埋設パネル10に固定することができる。
型枠ユニットX’、X”の場合、固定具30は、埋設パネルの孔13に、鍔付き連結部材20’又は、鍔付き連結部材20”を、おねじ部24が埋設パネル10の面12側に突出するよう挿入した状態にて、固定具30が埋設パネル当接用端面33を有する場合は埋設パネル10の面12に埋設パネル当接用端面33をあてがった状態で、おねじ部24に固定具30のめねじ部31を螺合させることによって設置される。これにより、鍔付き連結部材20’又は、鍔付き連結部材20”を、セパレータ部21が埋設パネル10の面11から略垂直方向に起立した状態で、埋設パネル10に固定することができる。
(接続具)
型枠ユニットX、X’、又はX”は、図8(a)に示すような接続具50Aを更に備えてもよい。接続具50Aは、コンクリート構造物の施工にあたって組み付けられる隣接する二枚の埋設パネル10をそれらの面12が面一となる態様で連ねて接続するためのものであって、本実施形態では少なくとも平プレート51および所定数の締結材52を備える(図8(a)は、四つの締結材52を備える場合の接続具50Aを例示的に表すものである)。隣接する二枚の埋設パネル10が接続具50Aによって接続された状態において、平プレート51は、隣接する二枚の埋設パネル10にわたり、それらの例えば面12(外面)側にあてがわれている。締結材52は例えばドリルネジであり、締結材52がドリルネジである場合には、平プレート51および各埋設パネル10を貫通するように穿設された貫通孔13に対して埋設パネルの面12側から挿入された締結材52により、隣接する二枚の埋設パネル10にわたる平プレート51の固定が実現される。このような接続具50Aにおいて、平プレート51は、隣接する二枚の埋設パネル10にわたってそれらの面11(内面)側にあてがわれてもよいし、締結材52はボルトであってもよい。締結材52がボルトである場合には、平プレート51および各埋設パネル10を貫通するように穿設された貫通孔13に対して埋設パネルの面12側から挿入された当該ボルト(締結材52)と、そのネジ構造部に面11側にて締結されるナットとにより、隣接する二枚の埋設パネル10にわたる平プレート51の固定が実現される。
型枠ユニットX、X’、又はX”がこのような接続具50Aを備えることは、型枠ユニットX、X’、又はX”を使用して形成されるコンクリート構造部に、複数の埋設パネル10にわたる平坦な側壁面を適切に形成するうえで好ましい。また、このような接続具50Aを使用しつつ側壁面を形成した後、締結材52と、面12側に平プレート51があてがわれる場合には当該平プレート51とを、当該側壁面から取外し、締結材52が挿入されていた比較的に小さな埋設パネル貫通孔13の少なくとも外側開口端部にモルタルを充填する補修を行うことにより、当該側壁面において良好な美観を確保することができる。
一組の接続具50Aが備える締結材52の数は、図8(a)では4個であるが、25または5個以上であってもよい。また、一組の隣接する二枚の埋設パネル10を接続するために使用される接続具50Aの数は、図8(a)では1個であるが、2または3個以上であってもよい。
型枠ユニットX、X’、又はX”は、図8(a)に示すような接続具50Aの代わりに、例えば特許第4103729公報の図13(a)に記載された平ジョイナー(またはH型ジョイナー)を備えてもよい。
型枠ユニットX、X’、又はX”は、図8(b)に示すような接続具50Bを更に備えてもよい。接続具50Bは、コンクリート構造物の施工にあたって組み付けられる隣接する二枚の埋設パネル10が互いに直交する態様、若しくは隣接する二枚の埋設パネル10をそれらの面11が交差する態様、で連ねて接続するためのものであって、本実施形態では少なくとも屈曲プレート53および所定数の締結材54を備える(図8(b)は、四つの締結材54を備える場合の接続具50Bを例示的に表すものである)。隣接する二枚の埋設パネル10が接続具50Bによって接続された状態において、屈曲プレート53は、隣接する二枚の埋設パネル10にわたり、それらの例えば面12(外面)側にあてがわれている。締結材54は例えばドリルネジであり、締結材54がドリルネジである場合には、屈曲プレート53および各埋設パネル10を貫通するように穿設された貫通孔13に対して埋設パネルの面12側から挿入された締結材54により、隣接する二枚の埋設パネル10にわたる屈曲プレート53の固定が実現される。このような接続具50Bにおいて、屈曲プレート53は、隣接する二枚の埋設パネル10にわたってそれらの面11(内面)側にあてがわれてもよいし、締結材54はボルトであってもよい。締結材54がボルトである場合には、屈曲プレート53および各埋設パネル10を貫通するように穿設された貫通孔13に対して埋設パネルの面12側から挿入された当該ボルト(締結材54)と、そのネジ構造部に面11側にて締結されるナットとにより、隣接する二枚の埋設パネル10にわたる屈曲プレート53の固定が実現される。
型枠ユニットX、X’、又はX”がこのような接続具50Bを備えることは、型枠ユニットX、X’、又はX”を使用して形成されるコンクリート構造部に、横方向に連なって直角など所定角度をなす隣接平面を含む側壁面を適切に形成するうえで好ましい。また、このような接続具50Bを使用しつつ側壁面を形成した後、締結材54と、面12側に屈曲プレート53があてがわれる場合には当該屈曲プレート53とを、当該側壁面から取外し、締結材54が挿入されていた比較的に小さな埋設パネル貫通孔13の少なくとも外側開口端部にモルタルを充填する補修を行うことにより、当該側壁面において良好な美観を確保することができる。
一組の接続具50Bが備える締結材54の数は、図8(b)では4個であるが、25または5個以上であってもよい。また、一組の隣接する二枚の埋設パネル10を接続するために使用される接続具50Bの数は、図8(b)では1個であるが、2または3個以上であってもよい。
また、図8(b)に示される二枚の埋設パネル10は、出隅部位を含む段差部を有するコンクリート構造物の当該段差部を形成するための配置(接着改良面が設けられている上述の面11の側に、出隅部位を含む段差部が形成される配置)をとる。これに対し、図8(b)に示される各埋設パネル10につきその表裏面(面11,12)を入れ変えた場合に当該二枚の埋設パネル10がとる配置は、入隅部位を含む段差部を有するコンクリート構造物の当該入隅部を形成するための配置(接着改良面が設けられている面11の側に、入隅部位を含む段差部が形成される配置)である。
型枠ユニットX、X’、又はX”は、図8(b)に示すような接続具50Bの代わりに、例えば特許第4103729公報の図13(b)に記載された出隅ジョイナー(または入隅ジョイナー、L型ジョイナー)を備えてもよい。出隅ジョイナーは、例えばアルミニウム製や塩化ビニル樹脂製のものが、株式会社創建、フクビ化学工業株式会社、株式会社シンワ、株式会社サトウ巧材などから市販されており、これらのものを使用できる。
(高さ調整具)
型枠ユニットX、X’、又はX”は、図9(a)および図9(b)に示すような高さ調整具60Aを更に備えてもよい。このような構成は、型枠ユニットX、X’、又はX”を使用して行うコンクリート構造物の施工にあたり、埋設パネル10の組付け高さについて正確に位置決めするうえで好ましい。
高さ調整具60Aは、コンクリート構造物の施工にあたって組み付けられる埋設パネル10の高さ位置を調整するためのものであって、受け部材61と、受け部材61を支持する脚部材62とを備える。
受け部材61は、本実施形態では、埋設パネル10の厚さより幅の広い埋設パネル受容用の溝を有する。そのような構成に代えて、受け部材61は、埋設パネル受容用の溝を有さないものでもよい。例えば、受け部材61は、各種形状の平面プレートを埋設パネル当接部として有するものでもよい。その平面プレートは、埋設パネルの面11または面12に当接して埋設パネル10の位置規定にも役立てられうる上方折り返し構造を有するものであってもよい。或いは、受け部材61は、埋設パネル支持用棒状部材を埋設パネル当接部として有するものでもよい。その棒状部材は、埋設パネルの面11または面12に当接して埋設パネル10の位置規定にも役立てられうる上方折り返し構造を有するものであってもよいし、V字形状やU字形状を有するものであってもよい。受け部材61が上記溝を有さないこれら構成は、埋設パネル10の組付けにあたってその組付け箇所・配向の自由度を確保する観点から好ましい。
受け部材61の裏面(埋設パネル10を受容する面の裏面)には、脚部材62と結合するためのネジ構造部或いはナット部を有するのが好ましい。図9(a)では、受け部材61の裏面から垂直方向に伸びるネジ構造部が設けられている。
脚部材62は受け部材61を支持する部材である。また、脚部材62は、高さ調整具60Aが埋設パネル10の高さ位置を調整する機能を発揮可能であれば、どのような構成のものでもよい。脚部材62は、少なくとも棒状部材を備える。
前記棒状部材としては、上述の連結部材20として使用される、セパレータや、2個以上のセパレータが連結金具63,66(例えば、ターンバックルまたはジョイントナット)を介して連結されたものを使用することができる。
棒状部材の一端には、受け部材61と結合するためのネジ構造部或いはナット部を有するのが好ましい。また、棒状部材の他端には、既存の床面などに当接するのに適した所定の形状や構造を有する土台を備えるのが好ましい。図9(a)では、棒状部材の一端はナット部を有し、前記ナット部に、受け部材61の裏面から垂直方向に伸びるネジ構造部が螺合されており、他端は床面に当接して角錐形状の土台に支持されている。
或いは、脚部材62は、既存の平面状床面に当接するのに好適な支持端面と当該端面とは反対の側にて開口するネジ孔部とを有する土台の、当該ネジ孔部に両切りボルトや棒ネジの一方端部がねじ込まれ且つその他方端部が上記ネジ構造部をなすものでもよい。支持端面とネジ孔部とを有する前記土台としては、例えば、図7を参照して上述した第2固定具30が挙げられる。第2固定具30における台座部34が平面状床面に当接するように設置した状態で、凸状本体32に備わるめねじ部31に両切りボルトや棒ネジをねじ込むことにより、脚部材62が構成される。
或いは、脚部材62は、棒状部材の他端が既存のコンクリートに埋め込まれた構成を有するもの(いわゆる、アンカーボルト)であってもよいし、棒状部材の他端が鉄骨または鉄筋などの鉄部材に溶接固定された構成を有するものであってもよいし、連結金具を介して棒状部材の他端が鉄骨または鉄筋などの鉄部材に連結された構成を有するものであってもよい。前記の連結金具としては、例えば、岡部株式会社から販売されている商品名「セパグリップ」、共栄製作所株式会社から販売されている商品名「エスケーユニバ」および商品名「ドマスター」、日本仮設株式会社から販売されている商品名「テツカブト(ナット付)」、株式会社国元商会から販売されている商品名「KSガッツ」、乾産業株式会社から販売されている商品名「セパジメ」、コンドーテック株式会社から販売されている商品名「ワイヤクリップ KMクリップ」、特開2008-214911号公報に記載されている「セパレータと鉄筋または丸棒とを接続するためのジョイント金具」、並びに、特開2003-013600号公報に記載されている「鉄筋とセパレータとの連結金具」が挙げられる。
図9(a)および図9(b)は、脚部材62を二組備える場合の高さ調整具60Aを例示的に表すものであって、高さ調整具60Aは、一組の脚部材62を備えるものであってもよいし、三組以上の脚部材62を備えるものであってもよい。
図9(b)に示す高さ調整具60Aは、隣接する二枚の埋設パネル10を連ねた状態で受けてこれら埋設パネル10の高さ調整機能を同時に担う。型枠ユニットX、X’、又はX”がこのような高さ調整具60Aを備えることは、型枠ユニットX、X’、又はX”を使用して行うコンクリート構造物の施工にあたり、埋設パネル10の組付け高さについて正確に位置決めするうえで好ましい。
型枠ユニットX、X’、又はX”は、図9(c)に示すような高さ調整具60Bを更に備えてもよい。高さ調整具60Bは、コンクリート構造物の施工にあたって組み付けられる隣接する二枚の埋設パネル10をそれらの面11が直角など所定角度で交差する態様で連ねつつ当該埋設パネル10の高さ位置を調整するためのものであって、受け部材64と、受け部材64を支持する脚部材65を備える。型枠ユニットX、X’、又はX”がこのような高さ調整具60Bを備えることは、型枠ユニットX、X’、又はX”を使用して行うコンクリート構造物の施工にあたり、交差態様で隣接する二枚の埋設パネル10の組付け高さについて正確に位置決めするうえで好ましい。
受け部材64は、本実施形態では、埋設パネル10の厚さより幅の広い埋設パネル受容用の溝を有する。そのような構成に代えて、受け部材64は、埋設パネル受容用の溝を有さないものでもよい。例えば、受け部材64は、各種形状の平面プレートを埋設パネル当接部として有するものでもよい。その平面プレートは、埋設パネルの面11または面12に当接して埋設パネル10の位置規定にも役立てられうる上方折り返し構造を有するものであってもよい。或いは、受け部材64は、埋設パネル支持用棒状部材を埋設パネル当接部として有するものでもよい。受け部材61が上記溝を有さないこれら構成は、埋設パネル10の組付けにあたってその組付け箇所・配向の自由度を確保する観点から好ましい。
図9(c)は、脚部材65を三組備える場合の高さ調整具60Bを例示的に表すものであって、高さ調整具60Bは、一組の脚部材65を備えるものであってもよいし、二組の脚部材65を備えるものであってもよいし、四組以上の脚部材65を備えるものであってもよい。高さ調整具60Bにおける脚部材65の構成は、高さ調整具60Aにおける脚部材65の構成と同様である。
[組立型枠ユニットY、Y’、Y”]
組立型枠ユニットYは、上述の型枠ユニットXが組み立てられたものであり、図10、図11に示すように、埋設パネル10と連結部材20と第1固定具25と第2固定具30とを備え、埋設パネル10の孔13に連結部材20が挿入せられ、前記連結部材20の易切断部23が埋設パネル10の表面12側開口部に位置する状態にて、埋設パネル10の面11へ突出した第1おねじ部22に、前記第1固定具25のめねじ部27が螺合せられ、埋設パネル10の面12へ突出した第2おねじ部24に、第2固定具30(図11では、第2固定具30としてのフォームタイ(登録商標)42)のめねじ部31が螺合せられてなる。
組立型枠ユニットY’は、上述の型枠ユニットX’が組み立てられたものであり、埋設パネル10と、鍔付き連結部材20’と、固定具30を備え、
前記埋設パネル10の孔13に、前記鍔付き連結部材20’が、鍔部29が埋設パネル10の裏面(面11)に当接するよう挿入せられ、埋設パネル10の表面(面12)へ突出したおねじ部24に、前記固定具30のめねじ部31が螺合せられてなる。
組立型枠ユニットY”は、上述の型枠ユニットX”が組み立てられたものであり、埋設パネル10と、鍔付き連結部材20”と、固定具30を備え、
前記埋設パネル10の孔13に、前記鍔付き連結部材20”が、鍔部29が埋設パネル10の裏面(面11)に当接するよう挿入せられ、埋設パネル10の表面(面12)へ突出したおねじ部24に、前記固定具30のめねじ部31が螺合せられてなる。
1枚の埋設パネル10に取り付けられる連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の数は、特に制限がないが、例えば1~5個である。また、連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”は、一列に並ぶように取付けてもよいし、四隅に取付けてもよいし、四隅と中央に取付けてもよいし、ジグザグに取付けてもよい。
そして、組立型枠ユニットY、Y’、Y”は、所定の位置に組み付けた後に、埋設パネル10の面11から略垂直方向に起立した状態で固定された連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の他端を、コンクリート充填区画80の内側に位置する非可動部と連結することにより、容易に固定することができ、コンクリート原料が充填されることとなる区画を規定する型枠を形成することができる。
[コンクリート構造物施工方法]
本開示のコンクリート構造物施工方法は、上記組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を使用してコンクリートを打設して、コンクリート構造物を施工する方法であって、
組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の埋設パネル10の面12がコンクリート構造物の少なくとも一面を形成するように、組立型枠ユニットYを配置して、コンクリート原料が充填されることとなる区画を規定する工程1と、
配置された組立型枠ユニットY、Y’、又はY”のセパレータ部21を、コンクリート充填区画の内側に位置する非可動部と連結することにより組立型枠ユニットYを固定して、型枠を形成する工程2と、
形成された型枠内にコンクリート原料を供給する工程3とを含むことを特徴とする。
前記工程1では、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”は、埋設パネル10の接着改良面を含む面11がコンクリート充填区画80の内側に向くように組み付けられる。
また、前記工程1における組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の配置は、埋設パネル10の面12が、コンクリート原料が充填されることとなる区画の上向面、下向面、及び側壁面から選択される少なくとも一面を形成するよう配置される。
前記工程2では、例えば、配置された組立型枠ユニットY、Y’、又はY”から突出するセパレータ部21の他端と、コンクリート充填区画80の内側に位置する非可動部とを連結することで、前記型枠ユニットXを所定位置に固定することができる。
セパレータ部21の他端と非可動部との連結方法としては、例えば、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を組付けてコンクリート充填区画80を形成した際に、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”と共に充填区画を形成する他のパネル(例えば、向かい側に位置する別の組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の埋設パネル10及び/又は取外しパネル)にセパレータ部21の他端が固定されていてもよい。組立型枠ユニットY、Y’、又はY”と共に充填区画の一角を形成するのが既存のコンクリートである場合は、セパレータ部21の他端が前記コンクリートに埋め込まれて、いわゆるアンカーボルト14を形成してもよい。また、セパレータ部21の他端は、コンクリート充填区画80の内側に存在する鉄骨や鉄筋などの鉄部材に溶接固定されてもよいし、前記鉄部材に連結金具を介して連結されていてもよい。
前記連結金具としては、例えば、岡部株式会社から販売されている商品名「セパグリップ」、共栄製作所株式会社から販売されている商品名「エスケーユニバ」および商品名「ドマスター」、日本仮設株式会社から販売されている商品名「テツカブト(ナット付)」、株式会社国元商会から販売されている商品名「KSガッツ」、乾産業株式会社から販売されている商品名「セパジメ」、コンドーテック株式会社から販売されている商品名「ワイヤクリップ KMクリップ」、特開2008-214911号公報に記載されている「セパレータと鉄筋または丸棒とを接続するためのジョイント金具」、並びに、特開2003-013600号公報に記載されている「鉄筋とセパレータとの連結金具」が挙げられる。
また、前記工程2では、セパレータ部21を、コンクリート充填区画80の内側に位置する非可動部と連結すると共に、埋設パネルの孔13から突出する第2おねじ部24に、例えば各種フォームタイ(登録商標)のめねじ部を螺合させて、型枠支保工41を締め付ける。これにより、埋設パネル10を補強することができ、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を組付けて形成したコンクリート充填区画80内にコンクリート原料を充填する際に、埋設パネル10にコンクリート原料の自重や荷重(例えば、衝撃荷重など)に起因して、歪みが生じるのを防止することができ、設計通りのコンクリート構造物を形成することができる。
前記フォームタイ(登録商標)としては、例えば、ナット付タイプのフォームタイ(登録商標)(岡部株式会社から販売されている商品名「フォームタイ(登録商標)C型 C8-150」など)、くさびタイプのフォームタイ(登録商標)(コンドーテック株式会社から販売されている商品名「くさび式ホンタイ 2K-60 W5/16・60角パイプ用」など)、および、ねじタイプのフォームタイ(登録商標)(コンドーテック株式会社から販売されている商品名「RBねじホンタイ(3形リブ座ナット・SWセット)8-180」など)が挙げられる。
組立型枠ユニットYでは、図11に示す通り、第2固定具30としてフォームタイ(登録商標)を使用する場合には、埋設パネル10の面12側に、前記フォームタイ(登録商標)により桟木40や型枠支保工41等を締め付けて固定してもよい。また、組立型枠ユニットY’では、固定具30としてフォームタイ(登録商標)を使用する場合には、埋設パネル10の面12側に、前記フォームタイ(登録商標)により桟木40や型枠支保工41等を締め付けて固定してもよい。桟木40や型枠支保工41等を固定することで、埋設パネル10を補強することができ、組立型枠ユニットYを組付けて形成したコンクリート充填区画80内にコンクリート原料を充填する際に、埋設パネル10にコンクリート原料の自重や荷重(例えば、衝撃荷重など)に起因して、歪みが生じるのを防止することができる。
桟木40や型枠支保工41は、コンクリート原料が硬化した後に、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”をコンクリート構造物側に残しつつ、取り除けばよい。
さらに、コンクリート原料が硬化した後は、連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”を易切断部23において切断して第2おねじ部24又はおねじ部24を取り除くことが好ましい。また、切断蹟には、接着剤コーティングやセメント補修等により保護することが好ましい。これにより、連結部材が錆びてコンクリート表面に錆汁が滲み出るのを防止することができ、コンクリート構造物の美観を保持することができる。
すなわち、前記コンクリート構造物施工方法は、コンクリート原料が硬化した後に連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”を易切断部23において切断する工程4を備えるのが好ましい。
前記コンクリート構造物には、上向き、下向き、或いは横向きに突き出る凸条構造部を含むコンクリート構造物や、上向き、下向き、或いは横向きに突き出る凸構造部を含むコンクリート構造物が含まれる。前記コンクリート構造物は、例えば、コンクリート製の、階段、敷居、梁、窓枠、天井、床、柱、壁、擁壁、パラペット、及び架台から選択される少なくとも1種の構造物である。
前記コンクリート構造物が梁等の下向きに突き出る凸条構造部を含むコンクリート構造物である場合の型枠の形成方法を、図12を参照しつつ以下に説明する。
組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を、梁70の表面に配置し、配置された組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の他端を梁70に埋め込んで、いわゆる、アンカーボルト14を形成することで、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を固定して型枠を形成することができる。
前記コンクリート構造物が架台等の、上向きに突き出る凸構造部のなかでも特殊な形状(より詳細には、柱状構造部の上面が面取りされた形状、すなわち、柱状構造部の上面に角錐台状構造部が形成された形状)を含むコンクリート構造物である場合の型枠の形成方法を、図13、図14を参照しつつ以下に説明する。
まず、コンクリート充填区画80の内側に、鉄筋(必要に応じて、補助鉄骨も)81を配置する。
次に、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”をコンクリート充填区画80の側面を囲む位置と、コンクリート充填区画80の上面を覆う位置に配置し、配置された組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の他端と、鉄筋若しくは補助鉄骨81とを連結する。これにより、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を固定することができ、型枠を形成することができる。
従来、架台のような柱状構造部の上面に角錐台状構造部が形成された形状のコンクリート構造物を施工するには、まず、取外しパネルで型枠を形成して柱状構造部を形成し、その後、形成された柱状構造部の上面に、型枠を使用せず、コテ等によりコンクリートを塗布して角錐台状構造部を形成していた。しかし、角錐台状構造部を、型枠を使用せずに形成するには、コンクリート原料を層毎に塗布し、塗布されたコンクリート原料の上向面と側壁面とが形成予定の角錐台状構造と一致するよう整える作業を、形成予定の高さまで繰り返す必要がある。そのため、手間がかかり、コストの増大を招いていた。しかし、本開示の組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を使用すれば、柱状構造部と角錐台状構造部を区画するよう組付けた後は、コンクリート原料を充填して、先ず柱状構造部を形成し、その後、更にコンクリート原料を充填して、形成予定の角錐台状構造部の上面として固定されている組立型枠ユニットY、Y’、又はY”における埋設パネル10の外周辺を“当たり”(すなわち、モルタルの仕上げ面の基準)として、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”で覆われていない側面部分(図13、13の点線部分)をコテ等で整えることだけで、容易に角錐台状構造部を形成することができ、手間とコストを削減しつつ、きれいに仕上げることができる。
前記コンクリート構造物施工方法によれば、組み付けが容易であり、且つ施工後も取外しの必要がない組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を使用するため、コンクリート構造物の施工に要する作業・時間・コストを削減することができる。また、コンクリート構造物が、壁や天井、梁等の、上向面以外の面、すなわち下向面や側壁面、を含む場合、従来の施工方法においては、コンクリートを一度に厚く塗布すると剥がれ易いため、薄く塗布し、コンクリートが硬化してから塗り重ねる方法により所定の厚さまで塗布することによりコンクリート構造物を形成する方法が採用されていたが、前記コンクリート構造物施工方法によれば、コンクリート構造物の基礎部分や骨組みを形成する鉄骨等に強固に固定されている型枠ユニット内にコンクリートを一度充填するだけで所定の厚さを有するコンクリート構造物を形成することができる。また、硬化後のコンクリート構造物において、コンクリート構造物が壁などの側壁面や、天井や梁の底面等の下向面を含む場合、従来の施工法によるものは地震などによりコンクリート構造物が崩落することがあったが、前記コンクリート構造物施工方法によるものは、前記の通り、基礎部分や骨組みを形成する鉄骨等に強固に固定されている組立型枠ユニットY、Y’、又はY”がコンクリート構造物の表面を覆うため、地震などによりコンクリート構造物が崩落するのを防止することができる。
また、前記コンクリート構造物施工方法によれば、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”は施工後に取り外す必要がないため、例えば段差部を有するコンクリート構造物(一の上向面(第1上向面)とこれより上位にある別の上向面(第2上向面)と、前記二つの上向面の間の側壁面とからなる段差構造)施工の際には、側壁面を規定する組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を、第1上向面との間に隙間を設けること無く組付けることができる。そのため、隙間からのコンクリート原料の漏出を防止することができ、漏出したコンクリート原料により形成される余剰部分を削り取る作業やその後に必要に応じて行われる削り取り箇所補修作業が不要となり、施工に要する作業・時間・コストを抑制することができる。
更に、前記コンクリート構造物施工方法では、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を使用するため、従来ほど密に鉄筋を設けなくても、コンクリート構造物の強度を保持することができる。そのため、鉄筋の設置密度を下げることで、型枠内へのコンクリート原料の充填をスムーズに行うことができ、突き棒、棒状バイブレータ、または型枠バイブレータを使用して行う締固めも容易となる。これにより、コンクリート構造物に豆板(いわゆる、ジャンカ)が発生するのを抑制でき、強度や美観に優れたコンクリート構造物が形成できる。
組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を使用して行うコンクリート構造物の施工においては、上述のように、その埋設パネル10は施工後の取外し作業を要さず、形成されるコンクリート構造物と一体化して側壁面を形成する。
また、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の埋設パネル10は、上述のように施工後の取外し作業を要しないため、コンクリート原料充填区画80を規定する型枠の形成時に充分強固に組み付けるのに適する。このような埋設パネル10は、コンクリート打設時の歪みの発生を抑制するのに適し、従って、従来の施工方法においてコンクリート打設時に取外しパネルが歪んだ場合に求められる補修作業を回避するのに適する。
以上のように、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”(若しくは、型枠ユニットX、X’、又はX”)は、コンクリート構造物の施工に要する作業・時間・コストを抑制するのに適する。
[コンクリート構造物改修方法]
本開示のコンクリート構造物改修方法は、上記組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を使用してコンクリートを打設して、コンクリート構造物を改修する方法であって、
組立型枠ユニットY、Y’、又はY”のセパレータ部21を、コンクリート構造物の被改修面に固定して、型枠を形成する工程1’と、
形成された型枠内にコンクリート原料を供給する工程2’とを含むことを特徴とする。
工程1’を図15を参照しつつ説明する。前記工程1’は、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”をコンクリート構造物(図15では、窓枠72)の被改修面73に対向するよう配置し、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の、埋設パネル10から起立する連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の先端を、コンクリート構造物の被改修面73に固定することで、コンクリート充填区画80を規定する型枠を形成することができる。
前記埋設パネル10から起立する連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”の先端をコンクリート構造物の被改修面73側に固定する方法としては、例えば、前記連結部材70の先端を前記コンクリート構造物の被改修面73に埋め込んで、いわゆる、アンカーボルト14を形成してもよいし、前記連結部材の先端を鉄骨または鉄筋などの鉄部材に溶接固定してもよいし、連結金具を介して鉄骨または鉄筋などの鉄部材に連結してもよい。
また、前記工程1’では、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”の第2固定具30(又は固定具30)としてフォームタイ(登録商標)を使用する場合には、埋設パネル10の面12側に、前記フォームタイ(登録商標)により桟木40や型枠支保工41等を締め付けて固定してもよい。桟木40や型枠支保工41等を固定することで、埋設パネル10を補強することができ、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”を組付けて形成したコンクリート充填区画80内にコンクリート原料を充填する際に、埋設パネル10にコンクリート原料の自重や荷重(例えば、衝撃荷重など)に起因して、歪みが生じるのを防止することができる。
桟木40や型枠支保工41は、コンクリート原料が硬化した後に、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”をコンクリート構造物側に残しつつ、取り除けばよい。
さらに、コンクリート原料が硬化した後は、連結部材20、鍔付き連結部材20’、又は鍔付き連結部材20”を易切断部23において切断して第2おねじ部24(又はおねじ部24)を取り除くことが好ましい。また、切断蹟には、接着剤コーティングやセメント補修等により保護することが好ましい。これにより、連結部材が錆びてコンクリート表面に錆汁が滲み出るのを防止することができ、コンクリート構造物の美観を保持することができる。
前記コンクリート構造物改修方法によれば、組付けが容易であり、且つ施工後も取り外す必要がない組立型枠ユニットY、Y’、又はY”(若しくは、型枠ユニットX、X’、又はX”)を使用するため、コンクリート構造物の改修に要する作業・時間・コストを削減することができる。また、コンクリート構造物の被改修面が壁や天井等である場合、従来の施工方法においては、コンクリートを一度に厚く塗布すると剥がれが生じる場合があるため、コテ等を用いて薄く塗布し、コンクリートが硬化してから塗り重ねる方法により厚くする方法が採用されていたが、前記コンクリート構造物改修方法によれば、コンクリート構造物の基礎部分や骨組みを形成する鉄骨等に強固に固定された組立型枠ユニットY、Y’、又はY”によって形成されたコンクリート充填区画80内にコンクリートを一度充填するだけで所定の厚さのコンクリート構造物改修部を形成することができる。
また、コンクリート構造物の被改修面が壁などの側壁面や、天井や梁の底面等の下向面である場合、従来の施工法によるものは地震などにより、硬化後のコンクリート構造物改修部が剥離したり崩落したりすることがあったが、前記コンクリート構造物施工方法によるものは、前記の通り、基礎部分や骨組みを形成する鉄骨等に強固に固定されている組立型枠ユニットY、Y’、又はY”がコンクリート構造物の表面を覆うため、地震などにより改修部分が剥離或いは崩落するのを防止することができる。
尚、前記「コンクリート構造物改修部」とはコンクリート構造物の被改修面の上に、改修により形成される部分であり、前記コンクリート構造物改修方法により形成されるコンクリート構造物改修部は、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”とコンクリートとで形成されている。
更に、前記コンクリート構造物改修方法では、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”(若しくは、型枠ユニットX、X’、又はX”)を使用するため、従来ほど密に配筋しなくても、或いは配筋を省いても、改修部分の強度を保持することができる。そのため、配筋密度を下げる、或いは配筋を省くことで、型枠内へのコンクリート原料の充填をスムーズに行うことができ、突き棒、棒状バイブレータ、または型枠バイブレータを使用して行う締固めも容易となる。これにより、改修部分に豆板(いわゆる、ジャンカ)が発生するのを抑制することができ、美しく、且つ強固に仕上げることができる。
[コンクリート構造物]
本開示のコンクリート構造物は、上記組立型枠ユニットY、Y’、又はY”(若しくは、型枠ユニットX、X’、又はX”)に含まれる埋設パネル10が、コンクリート構造物の上面、下面、及び側面から選択される少なくとも一面を形成していることを特徴とする。尚、前記上面には斜め上面を含み、前記下面には斜め下面を含む。
本開示のコンクリート構造物には、上向き、下向き、或いは横向きに突き出る凸条構造部を含むコンクリート構造物や、上向き、下向き、或いは横向きに突き出る凸構造部を含むコンクリート構造物が含まれる。本開示のコンクリート構造物は、例えば、コンクリート製の、階段、敷居、梁、窓枠、天井、床、柱、壁、擁壁、パラペット、及び架台から選択される少なくとも1種の構造物である。
本開示のコンクリート構造物は、コンクリート構造物の基礎部分や骨組みを形成する鉄骨等に強固に固定されている組立型枠ユニットY、Y’、又はY”(若しくは、型枠ユニットX、X’、又はX”)がコンクリート構造物の上面、下面、及び側面から選択される少なくとも一面を覆うため、コンクリートに剥がれが生じる恐れが無く、地震などにより崩落するのを防止することもができる。また、組立型枠ユニットY、Y’、又はY”(若しくは、型枠ユニットX、X’、又はX”)に含まれる埋設パネルの面12がコンクリート構造物の表面に露出するが、前記面12に例えば化粧面等が形成されている場合には、美しい外観を有する。
以上、本開示の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。また、本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
X、X’、X” 型枠ユニット
Y、Y’、Y” 組立型枠ユニット
10 埋設パネル
11 埋設パネル裏面
12 埋設パネル表面
13 埋設パネルの孔(若しくは、貫通孔)
14 アンカーボルト
20 連結部材
20’、20” 鍔付き連結部材
21 セパレータ部
22 第1おねじ部
23 易切断部
24 第2おねじ部
25 第1固定具
26 第1固定具の埋設パネル10に当接する面
27 第1固定具のめねじ部
28 凸状部
29 鍔部
30 第2固定具
31 第2固定具のめねじ部
32 凸状本体
33 埋設パネル当接用端面
34 台座部
35 鍔固定用切削部
40 桟木
41 型枠支保工
42 フォームタイ(登録商標)
50A,50B 接続具
51,53 平プレート
52,54 締結材
60A,60B 高さ調整具
61,64 受け部材
62,65 脚部材
63,66 連結金具
70 梁
71 天井
72 窓枠
73 コンクリート構造物の被改修面
80 コンクリート(原料)充填区画
81 鉄骨或いは鉄筋

Claims (19)

  1. 埋設パネルと、連結部材と、第1固定具と、第2固定具を備え、
    前記連結部材は、セパレータ部と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部がこの順で連接された構成を有し、
    前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
    前記第1固定具は、前記埋設パネル当接用端面を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材の第1おねじ部と螺合するめねじ部を備え、
    前記第2固定具は、前記連結部材の第2おねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である、コンクリート打設用型枠ユニット。
  2. 埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
    前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有し、
    前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
    前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である、コンクリート打設用型枠ユニット。
  3. 埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
    前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔固定用切削部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成をを有し、
    前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
    前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材である、コンクリート打設用型枠ユニット。
  4. 前記埋設パネルの面のうち、コンクリート充填区画の内側に向けて設置される面が接着改良面を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の型枠ユニット。
  5. 前記埋設パネルの面のうち、コンクリート充填区画の外側に向けて設置される面が接着改良面及び/又は化粧面を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の型枠ユニット。
  6. 隣接する二枚の前記埋設パネルが面一となる態様で連ねて接続するための接続具を備える、請求項1~5の何れか1項に記載の型枠ユニット。
  7. 隣接する二枚の前記埋設パネルが互いに直交する態様で連ねて接続するための接続具を備える、請求項1~6の何れか1項に記載の型枠ユニット。
  8. 前記埋設パネルの高さ位置を調整するための高さ調整具を更に備える、請求項1~7の何れか1項に記載の型枠ユニット。
  9. 埋設パネルと、連結部材と、第1固定具と、第2固定具を備え、
    前記連結部材は、セパレータ部と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部がこの順で連接された構成を有し、
    前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
    前記第1固定具は、前記埋設パネル当接用端面を有する鍔状部材であって、前記部材の軸部に、前記連結部材の第1おねじ部と螺合するめねじ部を備え、
    前記第2固定具は、前記連結部材の第2おねじ部と螺合するめねじ部を備える部材であり、
    前記埋設パネルの孔に、前記連結部材が挿入せられ、前記連結部材の易切断部が埋設パネルの表面側開口部に位置する状態にて、埋設パネルの裏面へ突出した第1おねじ部に、前記第1固定具のめねじ部が螺合せられ、埋設パネルの表面へ突出した第2おねじ部に、前記第2固定具のめねじ部が螺合せられてなる組立型枠ユニット。
  10. 埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
    前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有し、
    前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
    前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材であり、
    前記埋設パネルの孔に、前記鍔付き連結部材が、鍔部が埋設パネルの裏面に当接するよう挿入せられ、埋設パネルの表面へ突出したおねじ部に、前記固定具のめねじ部が螺合せられてなる組立型枠ユニット。
  11. 埋設パネルと、鍔付き連結部材と、固定具を備え、
    前記鍔付き連結部材は、セパレータ部と、鍔固定用切削部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成をを有し、
    前記埋設パネルは、前記セパレータ部が貫通可能な孔を有し、
    前記固定具は、前記連結部材のおねじ部と螺合するめねじ部を備える部材であり、
    前記埋設パネルの孔に、前記鍔付き連結部材が、鍔部が埋設パネルの裏面に当接するよう挿入せられ、埋設パネルの表面へ突出したおねじ部に、前記固定具のめねじ部が螺合せられてなる組立型枠ユニット。
  12. 組立型枠ユニットを使用してコンクリートを打設して、コンクリート構造物を施工する方法であって、
    請求項9~11の何れか1項に記載の組立型枠ユニットの埋設パネルの表面がコンクリート構造物の少なくとも一面を形成するように組立型枠ユニットを配置して、コンクリート原料が充填されることとなる区画を規定する工程1と、
    配置された組立型枠ユニットのセパレータ部を、コンクリート充填区画の内側に位置する非可動部と連結することにより前記組立型枠ユニットを固定して、型枠を形成する工程2と、
    形成された型枠内にコンクリート原料を供給する工程3とを含む、コンクリート構造物施工方法。
  13. 前記コンクリート構造物は凸条構造部を含む構造物である、請求項12に記載のコンクリート構造物施工方法。
  14. 前記コンクリート構造物は、コンクリート製の、階段、敷居、梁、窓枠、天井、床、柱、壁、擁壁、パラペット、及び架台から選択される少なくとも1種の構造物である、請求項12に記載のコンクリート構造物施工方法。
  15. 組立型枠ユニットを使用してコンクリートを打設して、コンクリート構造物を改修する方法であって、
    請求項9~11の何れか1項に記載の組立型枠ユニットのセパレータ部を、コンクリート構造物の被改修面に固定して、型枠を形成する工程1’と、
    形成された型枠内にコンクリート原料を供給する工程2’とを含む、コンクリート構造物改修方法。
  16. 請求項9~11の何れか1項に記載の組立型枠ユニットに含まれる埋設パネルが、コンクリート構造物の上面、下面、及び側面から選択される少なくとも一面を形成する、コンクリート構造物。
  17. セパレータ部と、20個以上のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第1おねじ部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にする第2おねじ部がこの順で連接された構成を有する、連結部材。
  18. セパレータ部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有する鍔付き連結部材。
  19. セパレータ部と、鍔固定用切削部と、鍔部と、易切断部と、5個以上、20個未満のねじ山を有し、前記セパレータ部と略同径且つ軸を同一にするおねじ部がこの順で連接された構成を有する鍔付き連結部材。
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