JP2022041240A - 乗降用手すりの除菌装置 - Google Patents

Abstract

【課題】乗降用手すりとしての機能を損なうことなく、その乗降用手すりを除菌できる乗降用手すりの除菌装置を得る。【解決手段】車両１０の乗降口１６を開閉するドア２０に設けられ、ドア２０が乗降口１６を閉鎖したときに、乗降口１６の周辺に設けられている乗降用手すり３０に近接して対向配置され、ドア２０が乗降口１６を開放したときに、乗降用手すり３０から離間されるカバー部材５４と、カバー部材５４の乗降用手すり３０と対向する面側に設けられ、乗降用手すり３０に紫外線を照射する照射装置と、を備えた乗降用手すり３０の除菌装置５０とする。【選択図】図９

Description

本発明は、乗降用手すりの除菌装置に関する。

つり革の持ち手の上部に遮光性のカバーを設けるとともに、そのカバーの内部に紫外線を照射可能な発光素子を設け、カバーで覆われている持ち手の上部に紫外線を照射することで、周方向に回転可能な持ち手を除菌するようにしたつり革の除菌装置は、従来から知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０２０－０６３０５０号公報

つり革の場合、乗客は下から手を伸ばして、そのつり革を把持するので、上記のようなカバーを常時備えた除菌装置でも成立する。しかしながら、バス等の乗降口の周辺に設けられている乗降用手すりの場合、乗降客は色々な方向から、その乗降用手すりを把持するので、上記のようなカバーを常時乗降用手すりに備えた除菌装置であると、乗降用手すりを把持するのが困難になり、乗降用手すりとしての本来の機能が損なわれてしまう。

そこで、本発明は、乗降用手すりとしての機能を損なうことなく、その乗降用手すりを除菌できる乗降用手すりの除菌装置を得ることを目的とする。

上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項１に記載の乗降用手すりの除菌装置は、車両の乗降口を開閉するドアに設けられ、前記ドアが前記乗降口を閉鎖したときに、前記乗降口の周辺に設けられている乗降用手すりに近接して対向配置され、前記ドアが前記乗降口を開放したときに、前記乗降用手すりから離間されるカバー部材と、前記カバー部材の前記乗降用手すりと対向する面側に設けられ、前記乗降用手すりに紫外線を照射する照射装置と、を備えている。

請求項１に記載の発明によれば、カバー部材は、車両の乗降口を開閉するドアが、その乗降口を閉鎖したときには、乗降口の周辺に設けられている乗降用手すりに近接して対向配置され、そのドアが乗降口を開放したときには、乗降用手すりから離間される。したがって、乗降客は乗降用手すりを色々な方向から把持することが可能であり、乗降用手すりとしての機能が損なわれない。また、ドアが乗降口を閉鎖しているときには、カバー部材の乗降用手すりと対向する面側に設けられている照射装置から紫外線が照射される。これにより、その乗降用手すりが殺菌（除菌）される。

また、請求項２に記載の乗降用手すりの除菌装置は、請求項１に記載の乗降用手すりの除菌装置であって、前記カバー部材は、前記ドアの閉鎖後に延び、前記乗降用手すりを覆う延長部を有している。

請求項２に記載の発明によれば、ドアの閉鎖後にカバー部材の延長部が延び、乗降用手すりを覆う。したがって、乗降用手すりを使用しないときにおいて、除菌処理を集中して行うことが可能となる。

また、請求項３に記載の乗降用手すりの除菌装置は、請求項２に記載の乗降用手すりの除菌装置であって、前記延長部の前記乗降用手すりと対向する面側には、紫外線を反射可能な反射部材が設けられている。

請求項３に記載の発明によれば、延長部の乗降用手すりと対向する面側に、紫外線を反射可能な反射部材が設けられている。そのため、乗降用手すりに対して色々な角度から紫外線を照射することが可能となる。

また、請求項４に記載の乗降用手すりの除菌装置は、請求項１～請求項３の何れか１項に記載の乗降用手すりの除菌装置であって、前記ドアが前記乗降口を閉鎖したときに、前記乗降用手すりと近接して対向する前記ドアの一部には、紫外線を反射可能な反射部材が設けられている。

請求項４に記載の発明によれば、ドアが乗降口を閉鎖したときに、乗降用手すりと近接して対向するドアの一部に、紫外線を反射可能な反射部材が設けられている。そのため、乗降用手すりに対して色々な角度から紫外線を照射することが可能となる。

以上のように、本発明によれば、乗降用手すりとしての機能を損なうことなく、その乗降用手すりを除菌することができる。

第１実施形態に係る乗降用手すりの除菌装置を備えたバスを示す斜視図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりを示す斜視図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりのレール部がスライド可能に保持するスライド部材を示す斜視図である。 （Ａ）図２のＡ－Ａ線矢視断面図である。（Ｂ）スライド部材がレール部に保持されたときの状態を示す図２のＢ－Ｂ線矢視断面図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりの格納姿勢を示す背面図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりの格納姿勢を示す平面図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりの展開姿勢を示す背面図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりの展開姿勢を示す平面図である。 第１実施形態に係る乗降用手すりの除菌装置を車室側から見て示す斜視図である。 図９のＣ－Ｃ線矢視断面図である。 第２実施形態に係る乗降用手すりの除菌装置を車室側から見て示す斜視図である。 図１１のＤ－Ｄ線矢視断面図である。 第２実施形態に係る乗降用手すりの除菌装置のカバー部材を一部拡大して示す斜視図である。 図１３のＥ－Ｅ線矢視断面図である。 図１３のＦ－Ｆ線矢視断面図である。 第２実施形態に係る乗降用手すりの除菌装置のカバー部材を一部拡大して示す断面図である。 第２実施形態に係る乗降用手すりの除菌装置のカバー部材に設けられたモーター及び巻取部材を示す斜視図である。

以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、本実施形態に係る乗降用手すり３０及びその除菌装置５０は、車両としての乗合自動車の一例である小型のバス（自動運転バスに代表されるＭａａＳ（Mobility as a Service）車も含む）１０に対して好適に設けられる（図１参照）。

したがって、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印ＵＰをバス１０の車体上方向、矢印ＦＲをバス１０の車体前方向、矢印ＬＨをバス１０の車体左方向、矢印ＲＨをバス１０の車体右方向とする。そして、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車体上下方向の上下、車体前後方向の前後、車体左右方向（車幅方向）の左右を示すものとする。

＜第１実施形態＞
まず、第１実施形態について説明する。図１に示されるように、バス１０における車体１２の左側壁（一方の側壁）で、かつ前後方向略中央部には、側面視で矩形状を成す乗降口１６が形成されている。そして、このバス１０には、その乗降口１６を開閉するドアとしてのスライドドア２０が設けられている。

スライドドア２０は、側面視で上下方向の長さが前後方向の長さよりも長い矩形状の前側の半扉２０Ｆと後側の半扉２０Ｒとで構成されている。そして、前側の半扉２０Ｆと後側の半扉２０Ｒとが互いに離間する方向及び接近する方向へ、バス１０の外壁面１２Ａに沿って同期してスライド（移動）することにより、乗降口１６を開放及び閉鎖可能に構成されている。

なお、乗降口１６の閉鎖時に互いに接触する半扉２０Ｆ、２０Ｒの前後方向内側端面（換言すれば、半扉２０Ｆの後端面と半扉２０Ｒの前端面）には、それぞれ上下方向全体に亘ってゴム等の弾性体２２（図６参照）が取り付けられている。つまり、半扉２０Ｆ、２０Ｒは、互いの弾性体２２を弾性変形させつつ接触させることにより、乗降口１６を閉鎖するようになっている。

また、図１に示されるように、乗降口１６の下方側における車体１２（例えばフロアパネルの下方側）には、車外へ突出可能なスロープ１８が収納されている。スロープ１８は、平板状に形成されており、電動によって引き出され、かつ収納されるように構成されている。そして、図７に示されるように、引き出されたスロープ１８は、その引出方向先端部が路面Ｇに支持されることにより、所定の傾斜角度θ１で配置されるようになっている。

また、図１に示されるように、スライドドア２０（半扉２０Ｆ及び半扉２０Ｒ）がスライド（移動）して乗降口１６が開放されたときには、乗降口１６の上下方向（高さ方向）における所定位置から、金属製（例えばアルミニウム製）の乗降用手すり３０が車幅方向外側へ向けて突出されるようになっている。

具体的に説明すると、図２に示されるように、乗降用手すり３０は、円筒状の基部３２と、基部３２の外周面における上部に一端部が一体に設けられた手すり本体３４と、基部３２の外周面における下部に一端部が一体に設けられたレール部３６と、を備えている。そして、手すり本体３４の他端部（延在方向先端部）とレール部３６の他端部とが一体に結合されている。

基部３２は、バス１０における乗降口１６の周辺（例えばピラー１４の内壁面）に上下方向を軸方向として回転可能に設けられている。例えば、基部３２は、ピラー１４の内壁面に設けられた上下一対のブラケット２４の間に配置され、各ブラケット２４に形成されている貫通孔（図示省略）及び基部３２における貫通孔（図示省略）に上方側からボルト２６の軸部が挿通されてナット２８（図５、図７参照）に螺合されることにより、各ブラケット２４に回転可能に支持されている。

図４（Ａ）に示されるように、手すり本体３４は、円筒状（断面円形状）に形成されている。そして、図２、図７に示されるように、手すり本体３４は、基部３２の上部から斜め下方側へ延在している。つまり、手すり本体３４は、水平方向に対して傾斜して配置されるようになっており、基部３２とレール部３６とで直角三角形状を成すようになっている。なお、水平方向に対する手すり本体３４の傾斜角度θ２は、スロープ１８の傾斜角度θ１とほぼ同じ傾斜角度とされている（図７参照）。

図２、図７に示されるように、レール部３６は、水平方向に延在し、基部３２の下部と手すり本体３４の他端部（延在方向先端部）とを一体に連結している。そして、レール部３６は、スライドドア２０の例えば半扉２０Ｆの前後方向内側端部に取り付けられたスライド部材４０（図３も参照）をスライド可能に保持するようになっている。

図４（Ｂ）に示されるように、レール部３６は、上下方向が長辺となる四角筒状（断面長方形状）に形成されており、図２に示されるように、その一方の側壁（後述する展開姿勢のときに前方側を向き、後述する格納姿勢のときに車幅方向外側を向く側壁）の上下方向略中央部には、その内部と連通するスリット部３８が延在方向（長手方向）に沿って所定の長さで形成されている。なお、レール部３６は、乗降客が把持するものではないので、断面円形状でなくてもよい。

一方、図３に示されるように、スライド部材４０は、側面視で略「Ｔ」字状に形成されている。すなわち、スライド部材４０は、平面視で湾曲板状とされた本体部４２と、本体部４２の先端から上下方向に突出した（上下方向を軸方向とした）略円柱状の嵌入部４４と、本体部４２の嵌入部４４とは反対側の基端に形成された平板状の固定部４６と、を有している。

そして、このスライド部材４０は、固定部４６が半扉２０Ｆに取り付けられる前に、レール部３６に取り付けられるようになっている。具体的には、レール部３６のスリット部３８に、スライド部材４０の嵌入部４４を横にして（軸方向を水平方向にして）通し、９０度回動させる。これにより、図４（Ｂ）に示されるように、スライド部材４０の嵌入部４４が、レール部３６から外れることなく、そのレール部３６の長手方向にスライド可能に嵌められるようになっている。

したがって、スリット部３８の幅（上下方向の間隙）は、嵌入部４４の外径よりも大きくなっており、スライド部材４０の本体部４２の幅（側面視で嵌入部４４の軸方向に沿った方向の長さ）と同じか、それよりも若干大きく形成されている。そして、スライド部材４０は、その嵌入部４４をレール部３６に嵌めた後、その固定部４６が半扉２０Ｆの前後方向内側端部にネジ止め等によって取り付けられるようになっている。これにより、レール部３６がスライド部材４０でも支持される構成になっている。

また、図３、図５～図１０に示されるように、スライドドア２０の所定位置には、スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖したときに、乗降用手すり３０の手すり本体３４に上方から近接して対向配置され、スライドドア２０が乗降口１６を開放したときに、乗降用手すり３０から離間されるカバー部材５４が設けられている。

換言すれば、このカバー部材５４は、スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖したときにのみ、手すり本体３４に上方から近接して対向配置されるようになっている。そして、このカバー部材５４は、手すり本体３４の長手方向全体に亘る長さで、かつ所定の厚さの中空板状に形成されており、格納姿勢を取った手すり本体３４と平行に配置されるように、半扉２０Ｆの車室側を向く内壁面に水平方向に対する傾斜角度θ２で一体的に取り付けられている。

なお、図８に示されるように、カバー部材５４の半扉２０Ｆの内壁面から突出する突出方向の長さ（半扉２０Ｆの厚み方向に沿った突出長さ）Ｌは、半扉２０Ｆが乗降口１６を開放させるためにスライドしたときに、車体１２の外壁面１２Ａに接触しない程度の長さとなっている。そして、図１０に示されるように、このカバー部材５４は、半扉２０Ｆの内壁面から突出する突出方向に行くに従って、その厚みが薄くなるように、その上面５４Ａが断面視略円弧状の湾曲面に形成されている。

また、図６、図１０に示されるように、カバー部材５４の手すり本体３４と上下方向で対向する下面５４Ｂ側における所定位置には、手すり本体３４の外周面に紫外線を照射する照射装置５２が設けられている。照射装置５２は、例えばカバー部材５４の長手方向に沿って配置された複数の紫外線発光素子（以下、単に「発光素子」という）５２Ａで構成されており、手すり本体３４の外周面に対して上方側から軸方向に万遍なく紫外線を照射できるように構成されている。

なお、この照射装置５２とカバー部材５４とで、第１実施形態に係る除菌装置５０が構成されている。また、このカバー部材５４の上面５４Ａ側は、紫外線が上方へ漏れないように、少なくとも紫外線に対する遮光性を有していることが好ましい。また、図６に示されるように、格納姿勢を取った手すり本体３４が、平面視で、半扉２０Ｆの内壁面に対して傾いて配置される場合には、各発光素子５２Ａは、手すり本体３４の直上に位置するように、その傾きに沿って配置されることが好ましい。

また、照射装置５２の各発光素子５２Ａへは、バス１０に搭載されているバッテリ（図示省略）から、半扉２０Ｆの内部及びカバー部材５４の内部を通るようにして配線されたケーブル（図示省略）を介して給電されるようになっている。そして、照射装置５２は、バス１０に設けられた制御装置（図示省略）によって、その点灯及び消灯が制御されるようになっている。

具体的には、乗降口１６がスライドドア２０によって閉鎖されたことを制御装置が認識すると、その制御装置が照射装置５２へ給電する信号を出して各発光素子５２Ａを点灯させるようになっている。そして、次に乗降口１６がスライドドア２０によって開放されることを制御装置が認識すると、その制御装置が照射装置５２への給電を停止する信号を出して各発光素子５２Ａを消灯させるようになっている。

なお、照射装置５２の各発光素子５２Ａの消灯は、次に乗降口１６がスライドドア２０によって開放されるときではなく、乗降口１６がスライドドア２０によって閉鎖された状態で、所定の時間が経過した後であってもよい。

以上のような構成とされた第１実施形態に係る乗降用手すり３０の除菌装置５０において、次にその作用について説明する。まず、乗降用手すり３０の作用について説明し、次に、除菌装置５０の作用について説明する。

図５、図６に示されるように、乗降口１６が、スライドドア２０（半扉２０Ｆ、２０Ｒ）によって閉鎖されているときには、乗降用手すり３０は、平面視で、そのスライドドア２０（図示の場合は半扉２０Ｆ）にほぼ沿って配置される。具体的には、スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖した状態では、スライド部材４０がレール部３６に沿って基部３２側とは反対側（他端部側）へスライドしており、手すり本体３４及びレール部３６をスライドドア２０に沿って配置させる格納姿勢を取る。

つまり、この乗降用手すり３０は、格納姿勢を取ったときには、その手すり本体３４及びレール部３６が車内（車室側）へ向けて突出することがない。したがって、特に小型のバス１０において、乗降用手すり３０が設けられていても、その乗車スペースが制限されるのを抑制することができる（乗車スペースを極力確保することができる）。

一方、図７、図８に示されるように、乗降口１６が、スライドドア２０（半扉２０Ｆ、２０Ｒ）によって開放されているときには、乗降用手すり３０は、平面視で、車外へ向けて突出される。具体的には、スライドドア２０が乗降口１６を開放した状態では、スライド部材４０がレール部３６に沿って基部３２側へスライドしており、手すり本体３４及びレール部３６を車外（車幅方向外側）へ向けて突出させる展開姿勢を取る。

したがって、乗降客は、バス１０に対して乗降する際に、その手すり本体３４を把持することができ、それによって、バス１０に対する乗降がし易くなる（姿勢を安定させて乗降することができる）。特に、降車時は、一方の片足を下ろす瞬間に他方の片足立ちになるため、進行方向前側に手すり本体３４があると、力を入れ易くなって、より姿勢を安定させ易くなる。また、その手すり本体３４は、断面円形状に形成されているため、例えば断面四角形状に形成されている場合に比べて、乗降客が手すり本体３４を把持し易い。

更に、その手すり本体３４は、基部３２の上部から斜め下方側へ延在している。したがって、例えば乗降口１６の下部にスロープ１８が設けられているバス１０の場合、そのスロープ１８の傾斜角度θ１と手すり本体３４の傾斜角度θ２とをほぼ揃えられる（背面視で略平行にすることができる）。よって、乗降客がスロープ１８を利用して乗降する際に、身体の高さの変化に合わせて手指の高さも変化させることができるため、手すり本体３４を把持しつつ乗降し易くなる（姿勢をより一層安定させて乗降することができる）。

なお、乗降用手すり３０が展開姿勢を取ったとき、半扉２０Ｆの前後方向内側端面に取り付けられている弾性体２２と手すり本体３４との間には、手指が挿入可能な隙間が充分に確保されるようになっている。そのため、手すり本体３４を把持しつつ乗降する際に、その弾性体２２との間に手指が挿入されても（手指が弾性体２２に接触したとしても）、その手指が傷付くおそれがない。つまり、乗降客の安全性は確保される。

また、スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖したときには、格納姿勢を取った乗降用手すり３０の手すり本体３４に対して、カバー部材５４が上方側から近接して対向配置される（図１０参照）。そして、乗降口１６がスライドドア２０によって閉鎖されたことが制御装置に認識されると、その制御装置の制御により、カバー部材５４の下面５４Ｂ側に設けられている照射装置５２の各発光素子５２Ａが点灯される。

すなわち、照射装置５２から手すり本体３４の外周面へ紫外線が軸方向に万遍なく照射される。これにより、手すり本体３４の外周面が殺菌（除菌）される。したがって、バス１０に対して次に乗降する乗降客は、殺菌された手すり本体３４を把持することができる。つまり、バス１０に対して次に乗降する乗降客は、安心して手すり本体３４を使用することができる。

特に、カバー部材５４は、車室側に設けられているため、バス１０に乗車している乗客は、手すり本体３４が紫外線によって殺菌されていることを見知することができる。よって、バス１０に乗車している乗客は、手すり本体３４を使用することに対する安心感を得ることができる。これにより、バス１０に乗車している乗客は、気兼ねなく、その手すり本体３４を把持することができ、降車時の安全性をより一層高めることができる。

また、このカバー部材５４は、スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖したときにのみ（乗降用手すり３０が格納姿勢を取ったときにのみ）、乗降用手すり３０の手すり本体３４に近接して対向配置される。換言すれば、スライドドア２０が乗降口１６を開放しているときには（乗降用手すり３０が展開姿勢を取ったときには）、カバー部材５４は、乗降用手すり３０から離間している。

したがって、バス１０に乗降する乗降客は、乗降用手すり３０の手すり本体３４に対する把持動作がカバー部材５４によって阻害されることがなく、その手すり本体３４を色々な方向から把持することができる。つまり、乗降用手すり３０の手すり本体３４に紫外線を照射可能な照射装置５２（除菌装置５０）が設けられる構成であっても、乗降用手すり３０としての機能が損なわれることがない。

照射装置５２の各発光素子５２Ａの点灯後、次に乗降口１６がスライドドア２０によって開放されることが制御装置に認識されると、その制御装置の制御により、照射装置５２の各発光素子５２Ａが消灯される。したがって、乗降口１６がスライドドア２０によって開放されているときにも、照射装置５２の各発光素子５２Ａが点灯した状態を維持する構成に比べて、バッテリの消耗を抑制することができる。

また、乗降用手すり３０及びその除菌装置５０（照射装置５２を有するカバー部材５４）は、スライドドア２０の一方の半扉（例えば半扉２０Ｆ）側のみに設けられる構成に限定されるものではない。乗降用手すり３０及びその除菌装置５０は、スライドドア２０の一方の半扉（例えば半扉２０Ｆ）側と他方の半扉（例えば半扉２０Ｒ）側の両方に設けられる構成とされていてもよい。

但し、この場合には、半扉２０Ｆ側に設けられる乗降用手すり３０に対して、半扉２０Ｒ側に設けられる乗降用手すり３０は、上下方向にずれて配置される。乗降用手すり３０は、その構造上、半扉２０Ｆ側に設けられている手すり本体３４及びレール部３６の他端部が、半扉２０Ｒ側へ突出し、半扉２０Ｒ側に設けられている手すり本体３４及びレール部３６の他端部が、半扉２０Ｆ側へ突出するからである。

このように、半扉２０Ｒ側に設けられる基部３２、手すり本体３４及びレール部３６が、半扉２０Ｆ側に設けられる基部３２、手すり本体３４及びレール部３６に対して上下方向にずれていると、身長の異なる乗降客が、自分の身長に合った手すり本体３４を選択して把持することができるメリットがある。なお、当然ながら、各乗降用手すり３０の位置に合わせて、半扉２０Ｆ、２０Ｒにそれぞれ取り付けられるスライド部材４０の位置も上下方向にずれて配置される。

＜第２実施形態＞
次に第２実施形態について説明する。なお、上記第１実施形態と同等の部位には、同じ符号を付して詳細な説明は適宜省略する。

図１１～図１３に示されるように、第２実施形態に係る乗降用手すり３０の除菌装置５０は、カバー部材５４が、スライドドア２０（半扉２０Ｆ）の閉鎖後に下方側へ延び（スライドし）、乗降用手すり３０の手すり本体３４を車室側から覆う延長部５６を有している点で、第１実施形態と異なっている。

延長部５６は、平面視でカバー部材５４とほぼ同形状の２枚のスライドカバー６２、６４で構成されており、各スライドカバー６２、６４は、上下に重なった状態で、カバー部材５４の上面５４Ａ側に格納可能に構成されている。なお、以下においては、各スライドカバー６２、６４が下方側へスライドする方向と展開方向といい、上方側へスライドする方向を格納方向という。

図１２～図１４に示されるように、カバー部材５４の上面５４Ａに摺動可能に重ねられる下側のスライドカバー６４は、その長手方向から見た断面視で湾曲板状とされた本体部６４Ａと、本体部６４Ａの長手方向両端部から下方側へ一体に垂設された側壁部６４Ｂと、を有しており、展開方向から見た断面視で略逆「Ｕ」字状に形成されている。

また、そのスライドカバー６４の本体部６４Ａにおける長手方向両端部近傍には、上方側へ突出する矩形状の突条部６４Ｃがそれぞれ展開方向（格納方向）に沿って屈曲形成されており、その内部には、後述するワイヤー６６がそれぞれ挿通（収容）可能になっている。

また、図１２、図１５に示されるように、本体部６４Ａの長手方向両端部近傍における格納方向側端部には、下方側へ突出する矩形平板状の凸部６４Ｄがそれぞれ一体に形成されている。そして、カバー部材５４の上面５４Ａの長手方向両端部近傍における展開方向側端部（展開方向から見て凸部６４Ｄと対応する部位）には、上方側へ突出する矩形平板状のストッパー部５４Ｃがそれぞれ一体に形成されている。

したがって、スライドカバー６４が展開方向へスライドしたときには、各凸部６４Ｄが各ストッパー部５４Ｃに格納方向側から当接するようになっている。これにより、スライドカバー６４は、その展開方向へスライドしたときの位置が所定の位置になるように制限される構成になっている。

一方、図１２～図１４に示されるように、スライドカバー６４の上面に摺動可能に重ねられる上側のスライドカバー６２は、その長手方向から見た断面視で湾曲板状とされた本体部６２Ａと、本体部６２Ａの長手方向両端部から下方側へ一体に垂設された側壁部６２Ｂと、を有しており、展開方向から見た断面視で略逆「Ｕ」字状に形成されている。

スライドカバー６２は、スライドカバー６４よりも一回り大きく形成されており、その本体部６２Ａにおける長手方向両端部近傍の内面には、下方側へ突出する平板状の一対のガイド壁６２Ｃがそれぞれ展開方向（格納方向）に沿って一体に形成されている。そして、その一対のガイド壁６２Ｃの間に突条部６４Ｃが挿入されるようになっている。

つまり、一対のガイド壁６２Ｃの間隔は、突条部６４Ｃの幅と同一か、それよりも若干大きく形成されている。このような構成により、スライドカバー６２は、その側壁部６２Ｂ及びガイド壁６２Ｃが、スライドカバー６４の側壁部６４Ｂ及び突条部６４Ｃにそれぞれ案内されて、展開方向及び格納方向へスライドするようになっている。

また、図１６に示されるように、このスライドカバー６２は、本体部６２Ａの展開方向側端部から下方側（格納された状態での下方側）へ一体に垂設された前壁部６２Ｄを有している。そして、その前壁部６２Ｄの長手方向両端部近傍における内面には、各突条部６４Ｃの内部に挿通されている各ワイヤー６６の一端部６６Ａがそれぞれ取り付けられている。

また、図１７に示されるように、カバー部材５４の内部で、かつ長手方向両端部近傍における格納方向側端部には、それぞれモーター５８が設けられており、カバー部材５４の長手方向内側へ突出する各モーター５８の回転軸５８Ａには、それぞれワイヤー６６を巻き取り可能な巻取部材６０が同軸的に取り付けられている。各巻取部材６０の軸方向中央部には凹溝部６０Ａが周方向に連続して形成されており、各凹溝部６０Ａの一部に、各ワイヤー６６の他端部（図示省略）が取り付けられている。

ここで、バス１０に搭載されているバッテリからケーブル（図示省略）を介して各モーター５８へ給電すると、各モーター５８の回転駆動力により、各巻取部材６０は、各ワイヤー６６を巻き取る方向へ同期して回転駆動されるようになっている。そして、各モーター５８への給電を停止すると、各巻取部材６０は、各ワイヤー６６を繰り出す方向へフリー回転可能になっている。

なお、各ワイヤー６６の長さは、スライドカバー６２が展開方向へスライドしたときに、その本体部６２Ａにおける格納方向側端部が、スライドカバー６４の本体部６４Ａにおける展開方向側端部から離れない（上下に重なった状態を維持する）程度の長さとなっている（図１２参照）。

また、図１２に示されるように、スライドカバー６２の本体部６２Ａにおける内面全体（手すり本体３４と対向する面側）には、紫外線を反射可能な反射部材としての反射板６８が一体的に設けられている。そして、乗降用手すり３０の手すり本体３４と近接して対向する半扉２０Ｆの内壁面における所定位置（一部）にも、紫外線を反射可能な反射部材としての反射板４８がカバー部材５４と平行に所定の大きさ（例えばカバー部材５４とほぼ同じ長さで、かつ手すり本体３４の外径とほぼ同じ幅）で取り付けられている。

以上のような構成とされた第２実施形態に係る乗降用手すり３０の除菌装置５０において、次にその作用について説明する。なお、第１実施形態に係る乗降用手すり３０の除菌装置５０と共通する作用については、その説明を適宜省略する。

スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖したときには、格納姿勢を取った乗降用手すり３０の手すり本体３４に対して、カバー部材５４が上方側から近接して対向配置される（図１１、図１２参照）。そして、乗降口１６がスライドドア２０によって閉鎖されたことが制御装置に認識されると、その制御装置の制御により、各モーター５８への給電が停止される。

これにより、各巻取部材６０は、各ワイヤー６６を繰り出す回転方向へフリー回転可能となり、スライドカバー６２、６４が、自重により展開方向へスライドする。なお、このとき、上側のスライドカバー６２は、ワイヤー６６によって、その展開方向の位置が制限される。また、下側のスライドカバー６４は、凸部６４Ｄがストッパー部５４Ｃに格納方向側から当接することにより、その展開方向の位置が制限される。

以上により、手すり本体３４がスライドカバー６２、６４（延長部５６）によって車室側から所定の間隙を有して覆われる。次いで、制御装置の制御により、カバー部材５４の下面５４Ｂ側に設けられている照射装置５２の各発光素子５２Ａが点灯される。すなわち、照射装置５２から手すり本体３４の外周面へ紫外線が軸方向に万遍なく照射される。

ここで、スライドカバー６２の内面全体及び半扉２０Ｆの内壁面の一部には、それぞれ反射板６８、４８が設けられている。したがって、照射装置５２から照射された紫外線は、各反射板６８、４８で反射され、手すり本体３４の外周面の上面側だけではなく、下面側等にも軸方向に万遍なく（色々な角度から）照射される。

このように、乗降用手すり３０（手すり本体３４）を使用しないときには、手すり本体３４に対する除菌処理が集中して行われ、手すり本体３４の外周面が全体的に殺菌（除菌）される。したがって、バス１０に対して次に乗降する乗降客は、殺菌された手すり本体３４を把持することができる。つまり、バス１０に対して次に乗降する乗降客は、安心して手すり本体３４を使用することができる。

また、この延長部５６を有するカバー部材５４も、スライドドア２０が乗降口１６を閉鎖したときにのみ（乗降用手すり３０が格納姿勢を取ったときにのみ）、乗降用手すり３０の手すり本体３４に近接して対向配置される。換言すれば、スライドドア２０が乗降口１６を開放しているときには（乗降用手すり３０が展開姿勢を取ったときには）、延長部５６を有するカバー部材５４は、乗降用手すり３０から離間している。

したがって、バス１０に乗降する乗降客は、乗降用手すり３０の手すり本体３４に対する把持動作が、延長部５６を有するカバー部材５４によって阻害されることがなく、その手すり本体３４を色々な方向から把持することができる。つまり、乗降用手すり３０の手すり本体３４に紫外線を照射可能な照射装置５２（除菌装置５０）が設けられる構成であっても、乗降用手すり３０としての機能が損なわれることがない。

照射装置５２の各発光素子５２Ａの点灯後、次に乗降口１６がスライドドア２０によって開放されることが制御装置に認識されると、その制御装置の制御により、照射装置５２の各発光素子５２Ａが消灯されるとともに、各モーター５８へ給電され、各巻取部材６０が各ワイヤー６６を巻き取る方向に回転駆動される。

すると、スライドカバー６２が、そのワイヤー６６に引っ張られて格納方向へスライドし、その前壁部６２Ｄがスライドカバー６４の前端部に当たる。そして、スライドカバー６４が、スライドカバー６２の前壁部６２Ｄに引っ張られるようにして、そのスライドカバー６２と共に格納方向へスライドする。

これにより、スライドカバー６２及びスライドカバー６４が、カバー部材５４の上面側に格納される。したがって、乗降口１６がスライドドア２０によって開放される際に、カバー部材５４の延長部５６（スライドカバー６２、６４）が、そのスライドドア２０の開放動作を妨げることがない。

以上、本実施形態に係る乗降用手すり３０の除菌装置５０について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る乗降用手すり３０の除菌装置５０は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、第１実施形態において、第２実施形態と同様に、半扉２０Ｆの内壁面における所定位置（一部）に紫外線を反射可能な反射板４８を取り付けるようにしてもよい。

また、第２実施形態において、カバー部材５４の下面５４Ｂにも反射板（図示省略）を設ける構成にしてもよい。更に、下側のスライドカバー６４の内面全体にも反射板（図示省略）を設ける構成にしてもよい。また、照射装置５２は、複数の発光素子５２Ａで構成されるものに限定されるものではなく、紫外線を照射可能に構成されていれば、どのような構成のものでもよい。

また、各発光素子５２Ａの点灯は、制御装置がスライドドア２０の閉鎖を認識したことをトリガーとする構成に限定されるものではなく、例えばバス１０の運転手による、スライドドア２０を閉鎖するスイッチ操作をトリガーとする構成にしてもよい。但し、制御装置がスライドドア２０の閉鎖を認識したことをトリガーとする構成であると、運転手が乗車していない自動運転バスに適用することが可能となる。

また、第２実施形態において、ワイヤー６６毎にモーター５８を設ける構成ではなく、単一のモーター５８の軸方向両側から回転軸５８Ａを突出させ、各回転軸５８Ａにそれぞれ巻取部材６０を取り付けるようにしてもよい。つまり、各ワイヤー６６を巻き取る各巻取部材６０を単一のモーター５８で回転駆動するように構成してもよい。また、例えば車内に固定されている乗降用手すり（図示省略）に対する把持動作を阻害しない構成になっていれば、その乗降用手すりに対して除菌装置５０を設けるようにしてもよい。

また、手すり本体３４には、例えば撥水性及び抗菌性を有する繊維材又はゴム材で成形された保護部材（図示省略）を巻き付けるようにしてもよい。この場合は、その保護部材に対して紫外線を照射すればよい。また、照射装置５２の電源は、バス１０に搭載されたバッテリに限定されるものではなく、例えばカバー部材５４の内部に電池ホルダー（図示省略）を設け、その電池ホルダーに収容された複数の乾電池（図示省略）としてもよい。

１０ バス（車両）
１６ 乗降口
２０ スライドドア（ドア）
３０ 乗降用手すり
４８ 反射板（反射部材）
５０ 除菌装置
５２ 照射装置
５４ カバー部材
５６ 延長部
６８ 反射板（反射部材）

Claims (4)

1. 車両の乗降口を開閉するドアに設けられ、前記ドアが前記乗降口を閉鎖したときに、前記乗降口の周辺に設けられている乗降用手すりに近接して対向配置され、前記ドアが前記乗降口を開放したときに、前記乗降用手すりから離間されるカバー部材と、
   前記カバー部材の前記乗降用手すりと対向する面側に設けられ、前記乗降用手すりに紫外線を照射する照射装置と、
   を備えた乗降用手すりの除菌装置。
2. 前記カバー部材は、前記ドアの閉鎖後に延び、前記乗降用手すりを覆う延長部を有する請求項１に記載の乗降用手すりの除菌装置。
3. 前記延長部の前記乗降用手すりと対向する面側には、紫外線を反射可能な反射部材が設けられている請求項２に記載の乗降用手すりの除菌装置。
4. 前記ドアが前記乗降口を閉鎖したときに、前記乗降用手すりと近接して対向する前記ドアの一部には、紫外線を反射可能な反射部材が設けられている請求項１～請求項３の何れか１項に記載の乗降用手すりの除菌装置。

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