JP2021521791A - 抗hla−g抗体及びその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗HLA−G抗体、及びそれらを使用する方法に関する。
【選択図】図3A

Description

本発明は、抗HLA−G抗体、それらの調製、製剤、及びそれらを使用する方法に関する。
発明の背景
ヒト白血球抗原G(HLA−G)としても知られるヒト主要組織適合複合体、クラスI、6は、ヒトにおいてHLA−G遺伝子によってコードされるタンパク質である。HLA−Gは、HLAの非古典的なクラスI重鎖パラログに属する。このクラスI分子は、重鎖及び軽鎖(ベータ−2ミクログロブリン)からなるヘテロ二量体である。重鎖は、膜内に固定されるが、脱落/分泌されることがある。
・ 重鎖は3つのドメイン、すなわちアルファ1、アルファ2及びアルファ3からなる。アルファ1及びアルファ2ドメインは、2つのアルファヘリックスが隣接するペプチド結合溝を形成する。小さなペプチド(およそ9−mers)は、他のMHC Iタンパク質と同様にこの溝に結合することができる。
・ 第2の鎖は、他のMHC Iタンパク質と同様に重鎖に結合するベータ2ミクログロブリンである。
HLA−Gの場合、7つのアイソフォームが存在し、そのうちの3つは分泌形態であり、4つは膜結合形態である(図1に模式的に示す)。
HLA−Gは、機能的に活性な複合オリゴマー構造を形成することができる(Kuroki, K et al. Eur J Immunol. 37 (2007) 1727-1729)。ジスルフィド結合二量体は、2つのHLA−G分子のCys42間に形成される。(Shiroishi M et al., J Biol Chem 281 (2006) 10439-10447。三量体及び四量体複合体は、例えばKuroki, K et al. Eur J Immunol. 37 (2007) 1727-1729, Allan D.S., et al. J Immunol Methods. 268 (2002) 43-50及びT Gonen-Gross et al., J Immunol 171 (2003)1343-1351にも記載されている。)
HLA−Gは、胎盤の栄養膜細胞層に優勢に発現される。複数の腫瘍(膵臓、***、皮膚、結腸直腸、胃、及び卵巣を含む)は、HLA−Gを発現する(Lin, A. et al., Mol Med. 21 (2015) 782-791; Amiot, L., et al., Cell Mol Life Sci. 68 (2011) 417-431)。この発現はまた、炎症性疾患、GvHD及びがんのような病的状態に関連付けられることが報告されている。HLA−Gの発現は、がんの予後不良と関連していると報告されている。腫瘍細胞は、HLA−G発現を介して免疫寛容/抑制を誘導することにより、宿主の免疫監視から逃れる。
Figure 2021521791
HLA−Gは他のMHC I分子と高い相同性(>98%)を共有しており、したがって、他のMHC I分子との交差反応性を有しない真のHLA−G特異的抗体を生成することは困難である。
HLA−Gと異なる方法で相互作用する特定の抗体は以前に記載されている:Tissue Antigens, 55 (2000) 510-518は、モノクローナル抗体、例えば87G、及びMEM−G/9に関し;Neoplasma 50 (2003) 331-338は、インタクトなHLA−Gオリゴマー複合体(例えば87G及びMEM−G9)、及びHLA−Gを有しない重鎖(例えば4H84、MEM−G/1及びMEM−G/2)の両方を認識する特定のモノクローナル抗体に関し;Hum Immunol. 64 (2003) 315-326は、HLA−G発現JEG3腫瘍細胞上で試験される複数の抗体(例えば天然HLA−G1分子のみと反応するMEM−G/09及び−G/13)に関する。MEM−G/01は(4H84 mAbと同様に)すべてのアイソフォームの変性されたHLA−G重鎖を認識するが、MEM−G/04は選択的に変性されたHLA−G1、−G2、及び−G5アイソフォームを認識する;Wiendl et al Brain 2003 176-85は、異なるモノクローナルHLA−G抗体、例えば87G、4H84、MEM−G/9に関する。
上記の論文は、ヒトHLA−G又はヒトHLA−G/β2M MHC複合体に結合する抗体を報告している。しかしながら、HLAファミリーの高い多型性及び高い相同性に起因して、多くの抗体は、いずれかの真に特異的なHLA−G結合特性を欠き、さらにはしばしば他のHLAファミリーメンバー(β2MとのMHC複合体として、又はそのβ2Mを有しない形態として)と結合又は交差反応するか、又は単純にHLA−G β2M MHC複合体のその受容体ILT2及び/又はILT4への結合を阻害しない(そして非アンタゴニスト抗体とみなされる)。
したがって、受容体阻害特性を備えた、さらに改善された真のHLA−G特異的抗体を生成及び/又は選択する必要がある。
発明の概要
一態様では、本発明は、ヒトHLA−Gに結合する(及びJEG−3細胞(ATCC HTB36)上のHLAGに対するILT2の結合を阻害し)、JEG−3細胞と共培養された単球によるHLA−G特異的に抑制されたTNFアルファ放出を回復する抗体を提供する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する単離された抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
A)(a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
B)(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
C)(a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
D)(a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する単離された抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
A)
i) 配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含むか;あるいは
B)
i) 配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含むか;あるいは
C)
i) 配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含むか;あるいは
D)
i) 配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含む。
一実施態様では、本明細書に記載の抗HLA−G抗体は、
a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
d)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
e)単量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
f)三量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では60%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
g)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
h)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し(実施例5を参照)、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
j)HLAGに対するCD8aの結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)80%を超えて阻害する(例えば実施例4cを参照)。
一実施態様では、抗HLA−G抗体は、IgG1アイソタイプのものである。
一実施態様では、抗HLA−G抗体は、変異L234A、L235A及びP329G(KabatのEUインデックスによる番号付け)を有するIgG1アイソタイプのものである。
1つの好ましい実施態様では、抗HLA−G抗体は、単量体HLA−Gβ2M MHC I複合体に対するILT2の結合を阻害する。
一実施態様では、本発明による抗HLA−G抗体はモノクローナル抗体である。
一実施態様では、本発明による抗HLA−G抗体は、ヒト、ヒト化、又はキメラ抗体である。
一実施態様では、本発明による抗HLA−G抗体は、HLA−Gに結合する抗体断片である。
一実施態様では、本発明による抗HLA−G抗体はFab断片である。
本発明は、前述の請求項(preceding claims)のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸を提供する。
本発明は、そのような核酸を含む宿主細胞を提供する。
本発明は、抗体が産生されるように宿主細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法を提供する。
本発明は、抗体を産生するこのような方法を提供し、宿主細胞から該抗体を回収することをさらに含む。
本発明は、本明細書に記載の抗体と薬学的に許容される担体とを含む薬学的製剤を提供する。
本発明は、医薬としての使用のための、本明細書に記載の抗体を提供する。
本発明は、がんの治療における使用のための、本明細書に記載の抗体を提供する。
本発明は、医薬の製造における、本明細書に記載の抗体の使用を提供する。一実施態様では、医薬はがんの治療を目的とする。
本発明は、がんを有する個体を治療する方法であって、本明細書に記載の抗体の有効量を個体に投与することを含む方法を提供する。
本発明は、テーラーメードのキメラ抗原及び/又はストリンジェントなスクリーニングアッセイを使用して、多数の候補の中からHLA−G特異的抗体を同定し(他のMHCクラスI複合分子との交差反応性を回避し、同時にHLA−G受容体(ILT2など)ブロッキング抗体を選択する)、これらはHLA−G発現JEG−3細胞と単球の共培養においてTNFアルファのHLA−G特異的誘導(回復)を示す。本明細書に記載のこれらのスクリーニング方法により、新規の抗HLA−G抗体を選択することができた。このような抗体は、JEG3細胞上に発現されるHLA−Gに対するILT2の結合の強い阻害、又は単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合の阻害のような、高度に有用な特性を示す。
本発明は、ヒトHLA−Gに特異的に結合し、HLAGに対するILT2の結合を阻害し、HLA−G特異的抑制免疫応答を回復し、HLA−G発現細胞(例えば、JEG−3細胞)との共培養における単球によるリポ多糖(LPS)誘導性TNFアルファ産生/分泌を回復する抗体を提供する。JEG−3細胞のようなHLA−G発現細胞による単球の真のHLA−G特異的免疫抑制の回復は、HLA−Gノックアウトを伴うJEG−3細胞と比較して評価することができる。
したがって、本発明の抗体は、未処理の共培養されたJEG−3細胞と比較して、HLA−G発現JEG−3細胞及び単球のリポ多糖(LPS)刺激共培養物におけるTNFアルファのHLAG特異的放出を回復する(未処理の細胞を0%陰性基準とし、単球のみの培養物を100%陽性基準とし、TNFアルファセクションがいかなるHLA−G/IL−T2特異的効果によっても抑制されていないものとする(実施例7を参照のこと))。
加えて、本抗体は、高度に特異性であり、マウス又はラット起源のHLA−A MHC I複合体又はMHC I複合体との交差反応性を示さない。
HLA−Gの異なるアイソフォーム β2Mと会合した分子を含むHLA−Gの模式図 特定の受容体と会合したHLA−G分子の構造:ILT4及びKIR2DL1といった所与の受容体と複合体を形成しているHLA−G構造。ILT4構造(PDBコード:2DYP)。KIR2DL1構造は、PDBコード1IM9(KIR2DL1:HLA−Cw4複合体構造)から取得され、HLA−Cw4とHLA−G構造とを重ね合わせることによりHLA−Gの上に配置された。受容体は、リボンで表されており、HLA−Gは分子表面で表されている。他のHLAパラログに特有の又はそのようなパラログに保存されているHLA−G残基は、それぞれ白及びグレーで示されている。特有の表面残基が、キメラカウンター抗原中のHLAコンセンサス配列よって置き換えられた。 HLA−GのILT2及びILT4並びにCD8との相互作用/結合を阻害する(又は刺激する)HLA−G抗体:ILT2阻害 HLA−GのILT2及びILT4並びにCD8との相互作用/結合を阻害する(又は刺激する)HLA−G抗体:ILT4阻害 HLA−GのILT2及びILT4並びにCD8との相互作用/結合を阻害する(又は刺激する)HLA−G抗体:CD8阻害 JEG3(HLA−Gを天然に発現する細胞)、SKOV−3細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))、及びPA−TU−8902細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))におけるHLA−G抗体を使用したHLA−Gの細胞表面発現のフローサイトメトリー分析:HLA−G−0031(#0031) JEG3(HLA−Gを天然に発現する細胞)、SKOV−3細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))、及びPA−TU−8902細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))におけるHLA−G抗体を使用したHLA−Gの細胞表面発現のフローサイトメトリー分析:HLA−G−0039(#0039) JEG3(HLA−Gを天然に発現する細胞)、SKOV−3細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))、及びPA−TU−8902細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))におけるHLA−G抗体を使用したHLA−Gの細胞表面発現のフローサイトメトリー分析:HLA−G−0041(#0041) JEG3(HLA−Gを天然に発現する細胞)、SKOV−3細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))、及びPA−TU−8902細胞(野生型(wt)対HLAGをトランスフェクトされた細胞(HLAG+))におけるHLA−G抗体を使用したHLA−Gの細胞表面発現のフローサイトメトリー分析:HLA−G−0090(#0090) 抗HLA−G抗体(0031、0039、0041及び0090)は、JEG3細胞上に発現されるHLA−GとヒトILT2 Fcキメラとの相互作用をブロック/調節する。新規抗HLA−G抗体による細胞表面HLA−Gの染色を、Alexa488にコンジュゲートした抗ラットIgG二次抗体を使用することにより評価した(上段)。FACSヒストグラムに示されているのは、二次抗体のみで染色された細胞(グレーの点線)及び抗HLA−G抗体で染色された細胞(黒の実線)である。下段には、JEG3細胞上のHLA−Gに結合したヒトILT2−Fcが、二次抗体のみで染色された細胞(グレーの点線)と比較して示されている(黒い点線)。JEG3細胞をHLA−G抗体とプレインキュベートした場合のILT2Fcキメラ結合に対する影響を見ることができる(黒の実線):HLA−G−0031及びHLA−G−0090は、ILT2−FcキメラのJEG3細胞への結合のほぼ完全な阻害を示した。興味深いことに、2つの抗体0039及び0041は、細胞へのILT2:fcの結合を増加させることさえある。 JEG3細胞上のHLA−GへのILT2 Fcキメラの結合に対する市販/参照抗HLA−G抗体の影響:市販/参照抗HLA−G抗体による細胞表面HLA−Gの染色を、Alexa488にコンジュゲートした種特異的二次抗体を使用することにより評価した(上段)。FACSヒストグラムに示されているのは、二次抗体のみで染色された細胞(グレーの点線)及び抗HLA−G抗体で染色された細胞(黒の実線)である。下段には、JEG3細胞上のHLA−Gに結合したヒトILT2Fcキメラ(黒の点線)が、二次抗体のみで染色された細胞(グレーの点線)と比較して示されている。JEG3細胞を参照抗体とプレインキュベートすることによるILT2Fcキメラ結合への影響を見ることができる(黒の実線)。試験された参照抗体はいずれも、ILT2FcキメラとJEG3細胞上の細胞表面HLA−Gとの相互作用をブロックできなかった。 異なるドナーで評価されたTNFα産生の回復に対する抑制性抗HLA−G抗体によるHLA−Gの遮断の影響。代表的な単球ドナーで評価された抗HLAG抗体HLA−G−0031(#0031)、HLA−G−0039(#0039)、及びHLA−G−0041(#0041)。 異なるドナーで評価されたTNFα産生の回復に対する抑制性抗HLA−G抗体によるHLA−Gの遮断の影響。別の単球ドナーで評価された抗HLAG抗体HLA−G−0090(#0090)]。 異なるドナーで評価されたTNFα産生の回復に対する抑制性抗HLA−G抗体によるHLA−Gの遮断の影響。野生型JEG−3細胞及びノックダウン変異体におけるHLAG発現のウエスタンブロット分析。
発明の詳細な説明
本明細書で使用される場合、用語「HLA−G」、「ヒトHLA−G」は、ヒト白血球抗原G(HLA−G)としても知られるHLA−Gヒト主要組織適合複合体、クラスI、Gを指す(例示的な配列番号35)。典型的には、HLA−Gは、β2ミクログロブリン(B2M又はβ2m)と共にMHCクラスI複合体を形成する。一実施態様では、HLA−Gは、HLA−Gとβ2ミクログロブリンのMHCクラスI複合体を指す。
本明細書において使用される場合、「ヒトHLA−Gに結合する」、「ヒトHLA−Gに特異的に結合する」、「ヒトHLA−Gに対して結合する」抗体又は「抗HLA−G抗体」は、ヒトHLA−G抗原又はその細胞外ドメイン(ECD)に対し、5.0x10−8mol/l以下のK値、一実施態様では、1.0x10−9mol/l以下のK値、一実施態様では、5.0x10−8mol/lから1.0x10−13mol/lのK値の結合親和性で特異的に結合する抗体を指す。一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する。
結合親和性は、例えばHLA−G細胞外ドメイン(例えばその天然に存在する3次元構造において)を含むコンストラクトを使用する、表面プラズモン共鳴法(BIAcore(登録商標)、GE−Healthcare Uppsala,Sweden)などの標準的な結合アッセイにより決定される。一実施態様では、結合親和性は、配列番号43を含むMHCクラスI複合体を含む例示的な可溶性HLA−Gを使用する標準的な結合アッセイにより決定される。
HLA−Gは通常のMHC Iフォールドを有し、2つの鎖で構成される。鎖1は、3つのドメイン:アルファ1、アルファ2、アルファ3で構成される。アルファ1及びアルファ2ドメインは、2つのアルファヘリックスが隣接するペプチド結合溝を形成する。小さなペプチド(およそ9mers)は、他のMHC Iタンパク質と同様にこの溝に結合することができる。鎖2は、種々の他のMHC Iタンパク質と共有されるベータ2ミクログロブリンである。
HLA−Gは、機能的に活性な複合オリゴマー構造を形成することができる(Kuroki, K et al. Eur J Immunol. 37 (2007) 1727-1729)。ジスルフィド結合二量体は、2つのHLA−G分子のCys42間に形成される。(Shiroishi M et al., J Biol Chem 281 (2006) 10439-10447。三量体及び四量体複合体は、例えばKuroki, K et al. Eur J Immunol. 37 (2007) 1727-1729, Allan D.S., et al. J Immunol Methods. 268 (2002) 43-50及びT Gonen-Gross et al., J Immunol 171 (2003)1343-1351にも記載されている。)HLA−Gは、他のほとんどのMHCクラスI分子とは異なり、いくつかの遊離システイン残基がある。Boyson et al., Proc Nat Acad Sci USA, 99: 16180 (2002) は、HLA−G5の組換え可溶性形態が、分子間Cys42−Cys42ジスルフィド結合を有するジスルフィド結合した二量体を形成することができることを報告した。さらに、HLA−G1の膜結合形態は、HLA−Gを内因的に発現するJeg3細胞株の細胞表面上にジスルフィド結合二量体を形成することもできる。HLA−G1及びHLA−G5のジスルフィド結合二量体形態は、栄養膜細胞の細胞表面にも見出されている(Apps, R., Tissue Antigens, 68:359 (2006))。
HLA−Gは、胎盤の栄養膜細胞層に優勢に発現される。複数の腫瘍(膵臓、***、皮膚、結腸直腸、胃、及び卵巣を含む)は、HLA−Gを発現する(Lin, A. et al., Mol Med. 21 (2015) 782-791; Amiot, L., et al., Cell Mol Life Sci. 68 (2011) 417-431)。この発現はまた、炎症性疾患、GvHD及びがんのような病的状態に関連付けられることが報告されている。HLA−Gの発現は、がんの予後不良と関連していると報告されている。腫瘍細胞は、HLA−G発現を介して免疫寛容/抑制を誘導することにより、宿主の免疫監視から逃れる。
HLA−Gの場合、7つのアイソフォームが存在し、そのうちの3つは分泌形態であり、4つは膜結合形態である(図1に模式的に示す)。HLA−Gの最も重要な機能的アイソフォームには、b2−ミクログロブリン結合HLA−G1及びHLA−G5が含まれる。しかしながら、これらのアイソフォームの免疫寛容原性の免疫学的効果は異なっており、かつリガンドの形態(単量体、二量体)及びリガンド−受容体相互作用の親和性に依存する。
HLA−Gタンパク質は、標準の分子生物学の技術を用いて生成することができる。HLA−Gアイソフォームの核酸配列は当技術分野で知られている。例えばGENBANK受入番号AY359818を参照されたい。
HLA−G異性型は、ILT、特にILT2、ILT4、又はこれらの組み合わせを介したシグナル伝達を促進する。
ILT:ILTは、免疫細胞の活性化の調節に関与し、免疫細胞の機能を制御する活性化及び抑制性受容体のIg型を表す(Borges, L., et al., Curr Top Microbial Immunol, 244:123-136 (1999))。ILTは、以下の3つのグループに分類される:(i)細胞質の免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を含み、抑制性シグナルを伝達する抑制性のもの(ILT2、ILT3、ILT4、ILT5、及びLIR8);(ii)膜貫通ドメインに短い細胞質尾部と荷電アミノ酸残基とを含み(ILT1、ILT7、ILT8、及びLIR6アルファ)、Fc受容体の結合共通ガンマ鎖の細胞質免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を通して活性化シグナルを送達する活性化型のもの;及び(iii)膜貫通ドメインを欠く可溶性分子ILT6。最近の研究の多くは、抗原提示細胞(APC)の表面上のILTの免疫調節性の役割を強調している。ILT2、ILT3、及びILT4受容体といった、最も特徴づけられた免疫抑制性受容体は、骨髄及び形質細胞腫DCに優勢に発現される。ILT3及びILT4は、未成熟DCを、IL−10、ビタミンD3、又はサプレッサーCD8 T細胞を含む既知の免疫抑制因子に曝露することにより上方制御される(Chang, C. C., et al., Nat Immunol, 3:237-243 (2002))。DC上におけるILTの発現は、炎症刺激、サイトカイン、及び増殖因子によって厳密に制御され、DC活性化に続いて下方制御される(Ju, X. S., et al., Gene, 331:159-164 (2004))。ILT2及びILT4受容体の発現は、ヒストンアセチル化によって高度に調節され、このことは、細胞の骨髄細胞系列に限定的な、厳密に制御された遺伝子発現に寄与している(Nakajima, H., J Immunol, 171:6611-6620 (2003))。
抑制性受容体ILT2及びILT4の関与は、単球のサイトカイン及びケモカイン分泌/放出プロファイルを変化させ、Fc受容体シグナル伝達を阻害することができる(Colonna, M., et al. J Leukoc Biol, 66:375-381 (1999))。DC上でのILT3の役割及び機能は、Suciu−Focaのグループにより詳細に記載されている(Suciu-Foca, N., Int Immunopharmacol, 5:7-11 (2005))。ILT3のリガンドは未知であるが、ILT4は、HLAクラスI分子(HLA−A、HLA−B、HLA−C、及びHLA−G)の第3のドメインに結合し、MHCクラスIの結合についてCD8と競合することが知られている(Shiroishi, M., Proc Natl Acad Sci USA, 100:8856-8861 (2003))。複数の阻害性ILT受容体の優先的リガンドは、HLA−Gである。HLA−Gは、母胎胎児間免疫寛容性と、免疫認識及び破壊から腫瘍細胞が逃れる機序とに潜在的な役割を果たしている(Hunt, J. S., et al., Faseb J, 19:681-693 (2005))。HLA−G−ILT相互作用によるDC機能の調節は、DCの生物学における重要な経路である可能性が極めて高い。ILT2及びILT4受容体を高度に発現するヒト単球由来のDCは、HLA−Gで処理し、同種異系のT細胞で刺激したとき、依然として安定な免疫寛容原性様表現型を維持し(CD80low、CD86low、HLA−DRlow)、T細胞アネルギーを誘導する能力を有することが決定された(Ristich, V., et al., Eur J Immunol, 35:1133-1142 (2005))。さらに、ILT2及びILT4受容体を高度に発現するHLA−GとDCとの相互作用は、MHCクラスIIの提示経路に関与する複数の遺伝子の下方制御をもたらした。リソソームのチオール還元酵素である、プロフェッショナルなAPCにより豊富に発現されるIFN−ガンマ誘導型リソソームチオール還元酵素(GILT)は、HLA−G−修飾DCにおいて大幅に減少した。選択抗原に対するin vivoでのT細胞応答が、標的遺伝子破壊後にGILTを欠く動物において減少したため、プライムされたCD4+ T細胞のレパートリーはGILTのDC発現により影響され得る(Marie, M., et al., Science, 294:1361-1365 (2001))。DC上でのHLA−G/ILT相互作用は、細胞表面へのMHCクラスII分子の集合と輸送を妨害し、このことは、構造的に異常なMHCクラスII分子の提示又は発現の効率を低下させ得る。HLA−Gは、ILT阻害性受容体を高度に発現するヒト単球由来のDC上での不変鎖(CD74)、HLA−DMA、及びHLA−DMB遺伝子の転写を著しく減少させることが決定された(Ristich, V., et al; Eur J Immunol 35:1133-1142 (2005))。
KIR2DL4はHLA−Gを発現する細胞に結合するため、HLA−Gの別の受容体はKIR2DL4である(米国特許出願公開第2003232051号;Cantoni, C. et al. Eur J Immunol 28 (1998) 1980; Rajagopalan, S. and E. O. Long. [J Exp Med 191 (2000) 2027に正誤表] J Exp Med 189 (1999) 1093; Ponte, M. et al. PNAS USA 96 (1999) 5674)。KIR2DL4(2DL4とも呼ぶ)は、活性化受容体及び抑制性受容体の両方と構造的特徴を共有するKIRのファミリーメンバー(CD158dとも命名される)である(Selvakumar, A. et al. Tissue Antigens 48 (1996) 285)。2DL4は、抑制機能を示唆する細胞質ITIMと、活性化KIRに典型的な特徴である、膜貫通領域において正に荷電したアミノ酸とを有する。他のクローン的に分布したKIRとは異なり、2DL4はすべてのNK細胞によって転写される(Valiante, N. M. et al. Immunity 7 (1997) 739; Cantoni, C. et al. Eur J Immunol 28 (1998) 1980; Rajagopalan, S. and E. O. Long. [J Exp Med 191 (2000) 2027に正誤表] J Exp Med 189 (1999) 1093)。
HLA−Gは、細胞傷害性T細胞上のCD8(Sanders et al, J. Exp. Med., 1991)と相互作用し、活性化されたCD8陽性細胞傷害性T細胞においてCD95を介したアポトーシスを誘導することも示されている(Fournel et al, J. Immun., 2000)。細胞傷害性T細胞の除去のこのメカニズムは、妊娠、炎症性疾患、及びがんにおける免疫逃避及び寛容の誘導のメカニズムの1つに報告されている(Amodio G. et al, Tissue Antigens, 2014)。
本明細書において使用されるとき、配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体;配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体、配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体、配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体「と交差反応しない」又は「に特異的に結合しない」抗HLA−G抗体は、これらのカウンター抗原のいずれにも実質的に結合しない抗HLA−G抗体を指す。一実施態様では、配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体;配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体、配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体、及び/又は配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体「と交差反応しない」又は「に特異的に結合しない」抗HLA−G抗体は、5.0x10−6mol/l以上(それ以上の結合親和性が検出できなくなるまで)のK値の結合親和性での非特異的結合しか示さない抗HLA−G抗体を指す。結合親和性は、それぞれの抗原、すなわち、配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体;配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体、配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体、及び/又は配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体に対して、表面プラズモン共鳴法(BIAcore(登録商標)、GE−Healthcare Uppsala,Sweden)といった標準の結合アッセイを用いて決定される。アッセイの設定並びに抗原の構築/調製は、実施例に記載する。
用語「JEG−3細胞(ATCC HTB36)上のHLAGに対するILT2の結合を阻害する」とは、例えば実施例6に記載されているようなアッセイにおける組換えILT2の結合相互作用の阻害を指す。
用語「HLA−G特異的抑制免疫応答の回復」又は「HLA−G特異的抑制免疫応答を回復する」とは、HLA−G発現細胞、特にJEG−3細胞との共培養における単球によるリポ多糖(LPS)誘導性TNFアルファ産生の回復を指す。したがって、本発明の抗体は、未処理の共培養されたJEG−3細胞と比較して、HLA−G発現JEG−3細胞(ATCC HTB36)及び単球のリポ多糖(LPS)刺激共培養物におけるTNFアルファのHLAG特異的放出を回復する(未処理の共培養物を0%陰性基準とし、単球のみの培養物を100%陽性基準とし、TNFアルファセクションがいかなるHLA−G/IL−T2特異的効果によっても抑制されていないものとする(実施例7を参照のこと))。この文脈において、「HLA−G特異的抑制免疫応答」は、JEG−3細胞におけるHLA−G発現に起因する単球の免疫抑制を指す。対照的に、本発明の抗HLA−G抗体は、HLA−Gノックアウトを伴うJEG3細胞と共培養された単球による免疫応答を回復することができない。他の市販の抗HLA−Gは、HLA−Gノックアウトを伴うJEG3細胞と共培養された単球によってTNFアルファを誘導できるため、これらの抗体による非HLA−G特異的TNFアルファ放出がある。
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列の変化を含んでもよい。いくつかの実施態様では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。得られた抗体HLAG−0031のヒト化変異体のための好ましいVHアクセプターヒトフレームワークは、HUMAN_IGHV1−3である。得られた抗体HLAG−0031のヒト化変異体に好ましいVLアクセプターヒトフレームワークは、HUMAN_IGKV1−17である(Vドメイン、位置R46Fに1つの追加の逆突然変異、Kabat番号付け)。
本明細書での用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、種々の抗体構造を包含し、限定しないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合し、インタクトな抗体の一部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SHは、F(ab’);ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて50%以上、参照抗体のその抗原への結合をブロックする抗体を指し、逆に参照抗体は、競合アッセイにおいて50%以上、その抗体のその抗原への結合をブロックする。例示的な競合アッセイが、本明細書において提供される。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種に由来する一方、重鎖及び/又は軽鎖の残りは異なる起源又は種に由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IGA、及びIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
本明細書で使用される用語「細胞傷害性剤」は、細胞の機能を阻害若しくは妨害し、かつ/又は細胞死若しくは細胞破壊を引き起こす物質を指す。細胞傷害性剤は、限定されるものではないが、放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体):化学療法剤又は薬物(例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);増殖阻害剤;酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素;抗生物質;小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物若しくは動物由来の酵素活性毒素(それらの断片及び/又は変異体を含む)、及び以下に開示される種々の抗腫瘍剤又は抗癌剤を含む。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、所望の治療的又予防的結果を達成するために必要な用量及び期間での有効な量を指す。
本明細書の用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。一実施態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)とC末端リジン(Lys447)は、存在することもしないこともあり得る。一実施態様では、本明細書に記載の抗HLA−G抗体は、IgG1アイソタイプのものであり、配列番号53又は配列番号54の定常重鎖ドメインを含む。一実施態様では、それはさらにC末端グリシン(Gly446)を含む。一実施態様では、それはさらに、C末端グリシン(Gly446)及びC末端リジン(Lys447)を含む。一実施態様では、本明細書に記載の抗HLA−G抗体は、IgG4アイソタイプのものであり、配列番号55の定常重鎖ドメインを含む。一実施態様では、それはさらにC末端グリシン(Gly446)を含む。一実施態様では、それはさらに、C末端グリシン(Gly446)及びC末端リジン(Lys447)を含む。本明細書に別途指定のない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR配列及びFR配列は一般に、VH(又はVL)の次の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に現れる。
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含量が親細胞と完全に同じでなくてもよく、突然変異を含んでもよい。本明細書には、最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物学的活性を有する突然変異型子孫が含まれる。
「ヒト」抗体は、ヒト若しくはヒト細胞により産生された抗体の、又はヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、或いは他のヒト抗体をコードする配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行われる。一般的に、配列のサブグループは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Bethesda MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3のサブグループである。一実施態様では、VLについて、該サブグループは上掲のKabatらにあるようなサブグループカッパIである。一実施態様では、VHについて、該サブグループは上掲のKabatらにあるようなサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここではHVR(例えば、CDR)のすべて又は実質的にすべてが非ヒト抗体のものに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定数領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変であり(「相補性決定領域」又は「CDR」)、かつ/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/又は抗原に接触する残基(「抗原コンタクト(antigen contact)」を含む抗体可変ドメインの各領域を指す。一般的に、抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1、L2、L3)、計6つのHVRを含む。本明細書において、例示的なHVRは、
(a)アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)に生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol.196:901-917 (1987));
(b)アミノ酸残基24〜34(L1)、50〜56(L2)、89〜97(L3)、31〜35b(H1)、50〜65(H2)、及び95〜102(H3)に生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c)アミノ酸残基27c〜36(L1)、46〜55(L2)、89〜96(L3)、30〜35b(H1)、47〜58(H2)、及び93−101(H3)に生じる抗原コンタクト(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35(H1)、50−63(H2)、及び95−102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組み合わせ
を含む。
特に明記しない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上記のKabatら(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))に従って番号付けされている。
「イムノコンジュゲート」は、細胞傷害性剤を含むがそれに限定されない、1つ又は複数の異種分子にコンジュゲートした抗体である。
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、限定されないが、家畜動物(例えばウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えばヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)が含まれる。特定の実施態様では、個体又は対象はヒトである。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。いくつかの実施態様では、抗体は、例えば電気泳動(例えばSDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えばイオン交換又は逆相HPLC)により決定される場合、95%以上又は99%を超える純度まで精製される。抗体純度の評価法の総説としては、例えばFlatman, S., et al., J. Chromatogr. B 848 (2007) 79-87を参照のこと。
「単離された」核酸とは、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、その核酸分子は、染色体外に、又はその自然の染色体上の位置とは異なる染色***置に存在している。
「抗HLA−G抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ又は複数の核酸分子を指し、これには、単一のベクター又は別々のベクター中のこのような核酸分子、及び宿主細胞の1つ又は複数の位置に存在するこのような核酸分子が含まれる。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、例えば、天然に存在する突然変異を含むか、又はモノクローナル抗体調製物の製造時に発生し、一般に少量で存在する可能性のある変異体抗体を除いて、集団を構成する個々の抗体は同一であり、かつ/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の製造を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのこれらの方法及びその他の例示的な方法は本明細書に記載されている。
「天然抗体」は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端にかけて各重鎖は、可変領域(VH)(可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端にかけて各軽鎖は、可変領域(VL)(可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる)、続いて定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる2つの型のうちのいずれかに割り当てることができる。
「添付文書」という用語は、治療製品の商品包装に通例含まれる説明書を指すのに用いられ、そのような治療製品の適応症、用法、用量、投与、併用療法、使用に関する禁忌及び/又は注意事項についての情報を含む。
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当分野の技術の範囲内にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含めた、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成されたもので、そのソースコードは、ユーザー文書と共に米国著作権庁(ワシントンD.C.,20559)に提出されており、ここで米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN−2プログラムは、ジェネンテック社(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)のV4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされていなければならない。すべての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bとの(又はこれに対する)%アミノ酸配列同一性(或いは、所与のアミノ酸配列Aは、所与のアミノ酸配列Bと(又はこれに対して)特定の%アミノ酸配列同一性を有するか又は含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は次のように計算される:
100×分率X/Y
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一の一致としてスコア化されるアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して、前段落で説明したように得られる。
用語「薬学的製剤」は、その中に含まれる活性成分の生物活性が有効であることを可能にするような形態であって、製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性である付加的成分を含まない調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、薬学的製剤中の活性成分以外の成分であって、対象に対して非毒性である成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されるものではないが、バッファー、添加剤、安定剤又は保存剤を含む。
本明細書で用いられる場合、「治療(treatment)」(及び「治療する(treat)」又は「治療すること(treating)」など、その文法的変形)は、治療されている個体の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために行うことも、臨床病理の過程において行うこともできる。治療の望ましい効果には、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患の状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるか、又は疾患の進行を遅らせるために使用される。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般的に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えばKindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007), page 91を参照)。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、その抗原に結合する抗体に由来するVHドメイン又はVLドメインを用いて単離し、相補的なVLドメイン又はVHドメインそれぞれのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano, S. et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照。
本明細書で使用される用語「ベクター」は、それが連結された別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、それが作動可能に連結されている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターを、本明細書では「発現ベクター」と言う。
I.組成物及び方法
一態様では、本発明は、本発明の選択された抗HLA−G抗体は、HLA−Gの特定のエピトープに高い特異性で結合し(他の種及びヒトHLA−Aコンセンサス配列との交差反応性はない)、かつ、ILT2及び/又はILT4のHLA−Gに対する結合を特異的に阻害する能力を有するという知見に一部基づいている。それらは、例えば、ILT2のHLA−Gへの結合を阻害し、適切な刺激でTNFアルファなどの免疫調節性サイトカインの放出を増加させることにより、HLA−G媒介性の免疫抑制を特異的に元に戻し、HLAGノックアウト細胞に対する影響を示さない。
特定の実施態様では、HLA−Gに結合する抗体が提供される。本発明の抗体は、例えば、がんの診断又は治療のために有用である。
A.例示的な抗HLA−G抗体
一態様では、本発明は、ヒトHLA−Gに結合し(抗HLA−G抗体)、JEG−3細胞(ATCC HTB36)上のHLAGに対するILT2の結合を阻害し、JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する(単離された)抗体を提供する。したがって、本発明の抗体は、未処理の共培養されたJEG−3細胞と比較して、HLA−G発現JEG−3細胞(ATCC HTB36)及び単球のリポ多糖(LPS)刺激共培養物におけるTNFアルファのHLAG特異的放出を回復する(未処理の共培養物を0%陰性基準とし、単球のみの培養物を100%陽性基準とし、TNFアルファセクションがいかなるHLA−G/IL−T2特異的効果によっても抑制されていないものとする(実施例7を参照のこと))。対照的に、本発明の抗体は、HLA−Gノックアウトを伴うJEG3細胞と共培養された単球による免疫応答を回復することができない。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
A)(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
B)(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
C)(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
D)(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
A)(a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
B)(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
C)(a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
D)(a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する単離された抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
A)
i) 配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含むか;あるいは
iii) 配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含むか;あるいは
B)
i) 配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含むか;あるいは
C)
ii) 配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含むか;あるいは
D)
i) 配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
i) 配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
i)配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
A)(a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号34のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン;又は
B)(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン;又は
C)(a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン;又は
D)(a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号32のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン
を含む。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメイン
を含み;かつ
ここで、抗体は、配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された)。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号34のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン
を含み;
ここで、抗体は、配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合し(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された);かつ/又は
該抗体は以下の特性によって独立して特徴づけられる:
抗HLA−G抗体は、
a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
d)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
e)単量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
f)三量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では60%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
g)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
h)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し(実施例5を参照)、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
j)HLAGに対するCD8aの結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)80%を超えて阻害し(例えば実施例4cを参照);かつ/あるいは
k)JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は、配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメイン
を含み;かつ
ここで、抗体は、配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された)。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン
を含み;
ここで、抗体は、配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合し(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された);かつ/又は
該抗体は以下の特性によって独立して特徴づけられる:
抗HLA−G抗体は、
a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
d)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
e)単量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
f)三量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では60%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
g)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
h)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し(実施例5を参照)、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
j)HLAGに対するCD8aの結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)80%を超えて阻害し(例えば実施例4cを参照);かつ/あるいは
k)JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は、配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメイン
を含み;かつ
ここで、抗体は、配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された)。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号24のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン
を含み;
ここで、抗体は、配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合し(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された);かつ/又は
該抗体は以下の特性によって独立して特徴づけられる:
抗HLA−G抗体は、
a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
e)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
f)単量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
g)三量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では60%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
h)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
j)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し(実施例5を参照)、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
k)HLAGに対するCD8aの結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)80%を超えて阻害し(例えば実施例4cを参照);かつ/あるいは
l)JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は、配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメイン
を含み;かつ
ここで、抗体は、配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された)。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は
a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVHドメインであって;ここで、VHドメインは、配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VHドメイン;及び(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインであって;ここで、VLドメインは、配列番号32のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%(1つの好ましい実施態様では、98%又は99%又は100%)の配列同一性のアミノ酸配列を含む、VLドメイン
を含み;
ここで、抗体は、配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む抗体と実質的に同じ結合親和性で(一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で10分の1に減少し、一実施態様では、結合親和性のKD値は、該抗体と比較して最大で5分の1に減少する)、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合し(表面プラズモン共鳴アッセイで決定された);かつ/又は
該抗体は以下の特性によって独立して特徴づけられる:
抗HLA−G抗体は、
a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
d)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
e)単量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
f)三量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では60%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
g)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
h)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し(実施例5を参照)、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
j)HLAGに対するCD8aの結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)80%を超えて阻害し(例えば実施例4cを参照);かつ/あるいは
k)JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する。
本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに結合する(単離された)抗体であり(一実施態様では、抗体は、配列番号43を含むHLA−G β2M MHC I複合体に結合する)、ここで、抗体は、配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する。
本発明の一実施態様では、抗体は、IgG1アイソタイプのものである。本発明の一実施態様では、抗体は、変異L234A、L235A及びP329G(KabatのEUインデックスによる番号付け)を有するIgG1アイソタイプのものである
さらなる態様では、上記の実施態様のいずれかによる抗HLA−G抗体は、以下のセクション1〜7に記載されるように、単独で又は組み合わせて、その特徴のいずれかを組み込むことができる。
1.抗体親和性
特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば10−8M以下、例えば10−8Mから10−13M、例えば10−9Mから10−13M)の解離定数KDを有する。
1つの好ましい実施態様では、KDは、25℃で、約10の反応単位(RU)で固定化された抗原CM5チップを用いて、BIACORE(登録商標)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈した後、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入する。抗原の注入後、未反応基をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入する。動力学的な測定のために、Fabの2倍の段階希釈(0.78nMから500nM)を、25℃、及び約25μl/分の流速で、0.05%のポリソルベート20(TWEEN−20TM)界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入する。会合速度(kon又はka)及び解離速度(koff又はkd)は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIAcore(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時にフィッテイングさせることによって計算される。平衡解離定数(KD)をkd/ka(koff/kon)比として計算する。例えば、Chen, Y. et al., J. Mol. Biol. 293 (1999) 865-881を参照のこと。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる会合速度が10−1−1を上回る場合、会合速度は、分光計、例えば流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズ SLM−AMINCOTM分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される漸増濃度の抗原の存在下において、25℃、及びPBS(pH7.2)中20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて測定することができる。
2.抗体断片
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、Fv、及びscFv断片、並びに以下に記載される他の断片が含まれる。特定の抗体断片の総説については、Hudson et al., Nat Med 9, 1299 (2003)を参照のこと。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照のこと;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期を増加させたFab及びF(ab’)断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP0404097号;国際公開第1993/01161号;Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134; and Holliger, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディもHudson, P.J. et al., Nat. Med.9 (20039 129-134)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。特定の実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6248516(B1)号を参照のこと)。
抗体断片は、様々な技術により作製することができ、限定されないが、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク分解、並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による生産を含む。
3.キメラ及びヒト化抗体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体はキメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号、及びMorrison, S.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855に記載されている。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ又は非ヒト霊長類(サルなど)由来の可変領域)とヒト定常領域とを含む。さらなる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片も含まれる。
特定の実施態様では、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する1つ又は複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択的に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含むであろう。いくつかの実施態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換される。
ヒト化抗体及びそれらの製造方法については、例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633に総説されており、さらに、例えばRiechmann, I. et al., Nature 332 (1988) 323-329; Queen, C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033;米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号、及び同第7087409号;Kashmiri, S.V. et al., Methods 36 (2005) 25-34(SDR(a−CDR)グラフティングを記述);Padlan, E.A., Mol. Immunol. 28 (1991) 489-498(「リサーフェイシング」を記述);Dall’Acqua, W.F. et al., Methods 36 (2005) 43-60(「FRシャッフリング」を記述);並びにOsbourn, J. et al., Methods 36 (2005) 61-68及びKlimka, A. et al., Br. J. Cancer 83 (2000) 252-260(FRシャッフリングへの「誘導選択」アプローチを記述)に記載されている。
ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域は、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims, M.J. et al., J. Immunol. 151 (1993) 2296-2308を参照);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289;及びPresta, L.G. et al., J. Immunol. 151 (1993) 2623-2632を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒトの生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633を参照);及びFRライブラリーのスクリーニングから得られたフレームワーク領域(例えば、Baca, M. et al., J. Biol. Chem. 272 (1997) 10678-10684及びRosok, M.J. et al., J. Biol. Chem. 271 (19969 22611-22618を参照)を含む。
4.ヒト抗体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で知られている様々な技術を用いて生成することができる。ヒト抗体は、van Dijk, M.A. and van de Winkel, J.G., Curr. Opin. Pharmacol. 5 (2001) 368-374及びLonberg, N., Curr. Opin. Immunol. 20 (2008) 450-459に概説がある。
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製することができる。このような動物は、典型的には内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか若しくは動物の染色体にランダムに組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべて又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、通常は不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg, N., Nat. Biotech. 23 (2005) 1117-1125を参照のこと。例えばXENOマウスTM技術を記載している米国特許第6075181号及び同第6150584号、HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号、K−M マウス(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号、及びVelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。このような動物により生成される、インタクトな抗体のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変され得る。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor, D., J. Immunol. 133 (1984) 3001-3005; Brodeur, B.R. et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York (1987), pp. 51-63;及びBoerner, P. et al., J. Immunol. 147 (1991) 86-95を参照のこと)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されたヒト抗体はまた、Li, J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103 (2006) 3557-3562に記載されている。さらなる方法は、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載)及びNi, J., Xiandai Mianyixue 26 (2006) 265-268(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載)に記載されるものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers, H.P. and Brandlein, S., Histology and Histopathology 20 (2005) 927-937及びVollmers, H.P. and Brandlein, S., Methods and Findings in Experimental及びClinical Pharmacology 27 (2005) 185-191に記載されている。
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成され得る。その後、このような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
5.ライブラリー由来の抗体
本発明の抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom, H.R. et al., Methods in Molecular Biology 178 (2001) 1-37に総説され、さらに例えば、McCafferty, J. et al., Nature 348 (1990) 552-554; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628; Marks, J.D. et al., J. Mol. Biol. 222 (1992) 581-597; Marks, J.D. and Bradbury, A., Methods in Molecular Biology 248 (2003) 161-175; Sidhu, S.S. et al., J. Mol. Biol. 338 (2004) 299-310; Lee, C.V. et al., J. Mol. Biol. 340 (2004) 1073-1093; Fellouse, F.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 12467-12472;及びLee, C.V. et al., J. Immunol. Methods 284 (2004) 119-132に記載される。
特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローン化され、ファージライブラリーでランダムに再結合され、次いでWinter, G. et al。 Ann. Rev. Immunol. 12 (1994) 433-455に記載されているように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)断片として、又はFab断片として、抗体断片を提示する。免疫化された供給源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths, A.D. et al., EMBO J. 12 (1993) 725-734により記述されるように、ナイーブレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、免疫化することなく、広範囲の非自己及び自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーは、幹細胞由来の再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して非常に可変性の高いCDR3領域をコード化し、Hoogenboom, H.R. and Winter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381-388に記載されるように、in vitroで再配列を達成することによって合成的に作成することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記述する特許公報は、例えば、米国特許第5750373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号及び同第2009/0002360号を含む。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書においてヒト抗体又はヒト抗体の断片とみなされる。
6.多重特異性抗体
特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施態様では、結合特異性の1つはHLA−Gに対してであり、他方はその他の抗原に対するものである。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製するための技術には、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein, C. and Cuello, A.C., Nature 305 (1983) 537-540,国際公開第93/08829号、及びTraunecker, A. et al., EMBO J. 10 (1991) 3655-3659を参照)、及び「ノブ・イン・ホール」工学(例えば米国特許第5731168号を参照)が含まれる。多重特異抗体はまた、抗体のFc−ヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果を操作すること(例えば、国際公開第2009/089004号参照);2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan, M. et al., Science 229 (1985) 81-83を参照);二重特異性抗体を生成するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny, S.A. et al., J. Immunol. 148 (1992) 1547-1553を参照);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Holliger, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448を参照);単鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber, M et al., J. Immunol. 152 (1994) 5368-5374を参照);及び、例えば、Tutt, A. et al., J. Immunol. 147 (1991) 60-69に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作製することができる。
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作抗体も本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号を参照)。
本明細書の抗体又は断片はまた、HLA−G並びに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用Fab」又は「DAF」を含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号を参照)。
本明細書における抗体又は断片はまた、国際公開第2009/080251号、国際公開第2009/080252号、国際公開第2009/080253号、国際公開第2009/080254号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/115589号、国際公開第2010/136172号、国際公開第2010/145792号、及び国際公開第2010/145793号、国際公開第2011/117330号、国際公開第2012/025525号、国際公開第2012/025530号、国際公開第2013/026835号、国際公開第2013/026831号、国際公開第2013/164325号、又は国際公開第2013/174873号に記載される多重特異性抗体を含む。
7.抗体変異体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は挿入、及び/又は置換が含まれる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを、最終構築物が所望の特性、例えば、抗原結合を有することを条件として、最終構築物に到達させるために行うことができる。
a)置換変異体、挿入変異体、及び欠失変異体
特定の実施態様では、1つ又は複数アミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異誘発の対象となる部位には、HVR及びFRが含まれる。例示的な変更を「例示的置換」と題して表1に示し、アミノ酸側鎖のクラスを参照して下記にさらに説明する。保存的置換は、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示されている。アミノ酸置換を目的の抗体に導入することができ、その生成物を、所望の活性、例えば抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、又はADCC若しくはCDCの改善についてスクリーニングすることができる。
Figure 2021521791
アミノ酸は共通の側鎖特性に従ってグループ分けすることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを必要とするであろう。
1つの種類の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の1つ又は複数の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる研究のために選択された得られた変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の修飾(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)を有し、かつ/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持するであろう。例示的な置換変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載のものなどファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して簡便に生成することができる。簡潔には、1つ又は複数のHVR残基が変異され、変異体抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば、置換)は、例えば、抗体親和性を改善するために、HVRにおいて行うことができる。このような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンによりコードされた残基(例えばChowdhury, P.S., Methods Mol. Biol. 207 (2008) 179-196を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)において行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築し、再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom, H.R. et al. in Methods in Molecular Biology 178 (2002) 1-37に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施態様では、多様性が、様々な方法(例えば、エラーが発生しやすいPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが作製される。次いで、このライブラリーは、所望の親和性を持つ任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6残基)がランダム化されるHVR指向の手法を含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを用いて、特異的に同定することができる。特に、CDR−H3及びCDR−L3が多くの場合標的とされる。
特定の実施態様では、置換、挿入又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ又は複数のHVR内で起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)を、HVRにおいて行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上で提供されている変異体VH及びVL配列の特定の実施態様では、各HVRは変化しないか、又はわずか1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸置換を含む。
突然変異誘発の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham, B.C. and Wells, J.A., Science 244 (1989) 1081-1085によって記載されているように「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定されて、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)により置換される。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入され得る。代替的に又は追加的には、抗体と抗原の接点を特定するための抗原−抗体複合体の結晶構造。このような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的にしても排除してもよい。変異体は、所望の特性を含むかどうかを判定するためにスクリーニングされ得る。
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100又はそれ以上の残基を有するポリペプチドまでの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニン残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を延ばす酵素(例えばADEPTのための)又はポリペプチドに対する抗体のN末端又はC末端への融合物を含む。
b)Fc領域変異体
特定の実施態様では、1つ又は複数のアミノ酸修飾を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入し、それによりFc領域変異体を生成することができる。Fc領域変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置でアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含み得る。
エフェクター機能が低下した抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ又は複数の置換を伴うものが含まれる(米国特許第6737056号)。このようなFc変異体には、残基265及び297のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含め、アミノ酸265、269、270、297及び327位のうちの2つ以上において置換を有するFc変異体が含まれる(米国特許第7332581号)。
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体変異体が記載されている。(例えば、米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShields, R.L. et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604を参照)。
本発明の一実施態様では、このような抗体は、変異L234A及びL235A、又は変異L234A、L235A及びP329Gを含むIgG1である。別の実施態様では、このような抗体は、変異S228P及びL235E、又はS228P、L235E又は/及びP329Gを含むIgG4である(番号付けは、KabatらのEUインデックス、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991による)。
増加した半減期を有し、胎児への母性IgGの移動を担う(Guyer et al., J. Immunol. et al., J. Immunol. 24:249 (1994))新生児Fc受容体(FcRn)への結合性が改善された抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号(Hintonら)に記述されている。これらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ又は複数の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異体には、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ又は複数における置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7371826号)。また、Fc領域変異体の他の例に関するDuncan, A.R. and Winter, G., Nature 322 (1988) 738-740;米国特許第5648260号;同第5624821号;及び国際公開第94/29351号も参照のこと。
c)システイン操作抗体変異体
特定の実施態様では、システイン操作抗体、例えば、抗体の1つ又は複数の残基がシステイン残基で置換された「thioMAb」を作成することが望ましい場合がある。特定の実施態様では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に存在する。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書中でさらに記載されるように、イムノコンジュゲートを生成するために、例えば薬物部分又はリンカー−薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートさせるために使用される。特定の実施態様では、次の残基のうちのいずれか1つ又は複数がシステインと置換され得る:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成され得る。
d)抗体誘導体
特定の実施態様では、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むようにさらに修飾することができる。抗体の誘導体化に適した部分は、限定しないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマー)及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール並びにこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水中での安定性のために製造上の利点を有し得る。ポリマーは任意の分子量のものであってよく、分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。抗体に結合しているポリマーの数は変化してよく、1つを超えるポリマーが結合している場合、それらは同じ分子でも又は異なる分子でもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善されるべき抗体の特定の特性又は機能、その抗体誘導体が限定条件下での治療に使用されるかどうかを含めた(ただしこれらに限定されない)考慮事項に基づいて決定することができる。
別の実施態様では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る非タンパク質性部分と抗体とのコンジュゲートが提供される。一実施態様では、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam, N.W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102 (2005) 11600-11605)。放射線は、任意の波長であってよく、通常の細胞に害を与えないが抗体−非タンパク質部分の近位細胞を死滅させる温度に非タンパク質部分を加熱する波長を含むが、これに限定されない。
B.組換え方法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号に記載されているような組換え方法及び組成物を用いて生成することができる。一実施態様では、本明細書に記載される抗HLA−G抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。さらなる実施態様では、そのような核酸を含む1つ又は複数のベクター(例えば発現ベクター)が提供される。さらなる実施態様では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのそのような実施態様では、宿主細胞は:(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1ベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2ベクターを含む(例えば、同ベクターで形質転換されている)。一実施態様では、宿主細胞は、真核生物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293細胞又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様では、上述のように、抗体の発現に適した条件下で、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することと、任意選択的に宿主細胞(又は宿主細胞培地)から抗体を回収することとを含む、抗HLA−G抗体を作製する方法が提供される。
抗HLA−G抗体の組換え生産のために、例えば上述したように、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために、1つ又は複数のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離することができ、一般的な手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適した宿主細胞は、本明細書に記載の原核生物細胞又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要ない場合には、抗体は細菌内で産生され得る。細菌内での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば米国特許第5648237号、同第5789199号、及び同第5840523号を参照のこと。(また、大腸菌における抗体断片の発現を記載しているCharlton, K.A., Methods in Molecular Biology, Vol. 248, Lo, B.K.C. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ (2003), p. 245-254も参照のこと)。発現後、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され、さらに精製され得る。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母のような真核微生物は、抗体をコードするベクターのための適切なクローニング宿主又は発現宿主であり、これには、グリコシル化経路が「ヒト化」され、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす真菌及び酵母の株が含まれる。Gerngross, T.U., Nat. Biotech. 22 (2004) 1409-1414;及びLi, H. et al., Nat. Biotech. 24 (2006) 210-215を参照のこと。
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例は、植物細胞及び昆虫細胞を含む。多数のバキュロウイルス株が同定されており、これらは特にヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併せて使用することができる。
植物細胞培養を宿主として利用することもできる。例えば、米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号及び同第6417429号(トランスジェニック植物における抗体生成に関するPLANTIBODIESTM技術を記載)を参照。
脊椎動物細胞も宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(例えば、Graham, F.L. et al., J. Gen Virol. 36 (1977) 59-74に記載された293細胞又は293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(例えば、Mather, J.P., Biol. Reprod. 23 (1980) 243-252に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2);マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えばMather, J.P. et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383 (1982) 44-68に記載のTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR−CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77 (1980) 4216-4220);並びにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えばYazaki, P. 及びWu, A.M., Methods in Molecular Biology, 248巻, Lo, B.K.C. (編), Humana Press, Totowa, NJ (2004), p. 255-268を参照。
C.アッセイ
本明細書で提供される抗HLA−G抗体が同定されて、当技術分野で知られている様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物学的活性についてスクリーニング、又は特徴づけることができる。
1.結合アッセイ及びその他のアッセイ
一態様では、本発明の抗体は、例えばELISA、ウエスタンブロットなどの既知の方法により、その抗原結合活性について試験される。
別の態様では、HLA−Gに対する結合についてHLA−G−0031(配列番号7のVH配列と配列番号8のVL配列とを含む)と競合する抗体を同定するために競合アッセイを使用することができる。本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに対する結合について、配列番号7のVH配列の3つすべてのHVRと配列番号8のVL配列の3つすべてのHVRとを含む抗HLA−G抗体と競合する抗体である。特定の実施態様では、このような競合抗体は、抗HLA−G抗体HLA−G−0031によって結合される同じエピトープ(例えば直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。一実施態様では、配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列を含む抗体と同じHLA−G上のエピトープに結合する抗HLA−G抗体が提供される。別の態様では、HLA−Gに対する結合についてHLA−G−0090(配列番号31のVH配列と配列番号32のVL配列とを含む)と競合する抗体を同定するために競合アッセイを使用することができる。本発明の一実施態様は、ヒトHLA−Gに対する結合について、配列番号31のVH配列の3つすべてのHVRと配列番号32のVL配列の3つすべてのHVRとを含む抗HLA−G抗体と競合する抗体である。特定の実施態様では、このような競合抗体は、抗HLA−G抗体HLA−G−0090によって結合される同じエピトープ(例えば直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。一実施態様では、配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む抗体と同じHLA−G上のエピトープに結合する抗HLA−G抗体が提供される。抗体が結合するエピトープをマッピングするための例示的な方法の詳細が、Morris, G.E. (ed.), Epitope Mapping Protocols, In: Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Humana Press, Totowa, NJ (1996)に提供されている。
例示的な競合アッセイにおいて、固定化されたHLA−Gは、HLA−Gに結合する第1の標識された抗体(例えば、抗HLA−G抗体HLA−G−0031又はHLA−G−0090)と、HLA−Gに対する結合について第1の抗体と競合する能力について試験されている第2の非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマの上清中に存在し得る。コントロールとして、固定化されたHLA−Gが、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体のHLA−Gへの結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰な未結合抗体が除去され、固定化されたHLA−Gに結合した標識の量が測定される。固定化されたHLA−Gに結合した標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第2の抗体が、HLA−Gに対する結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow, E. and Lane, D., Antibodies: A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1988)を参照のこと。別の例示的競合アッセイに関し、実施例2(エピトープマッピングELISA/結合競合アッセイ)を参照されたい。
2.活性のアッセイ
一態様では、生物活性を有するその抗HLA−G抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物活性は、例えば、T細胞を含む様々な免疫細胞の活性化及び/又は増殖を亢進させる能力を含み得る。例えばそれは、免疫調節性サイトカイン(例えばインターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)及び/又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ))の放出を高める。亢進される又は亢進され得る他の免疫調節性サイトカインは、例えば様々な細胞型に結合するIL1s、IL6、IL12、グランザイムBなどである。また、in vivo及び/又はin vitroでこのような生物活性を有する抗体が提供される。
特定の実施態様では、本発明の抗体は、例えば以下の実施例に記載されるような生物活性について試験される。
D.イムノコンジュゲート(がんのみ又は標的用に修飾)
本発明はまた、化学療法剤又は薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク毒素、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素的に活性の毒素、若しくはその断片)、又は放射性同位体といった1つ又は複数の細胞傷害性剤にコンジュゲートする本明細書の抗HLA−G抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。
一実施態様では、イムノコンジュゲートは、抗体が、メイタンシノイド(米国特許第5208020号、同第5416064号及びEP特許第0425235号を参照);アウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(米国特許第5635483号、同第5780588号及び同第7498298号を参照);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5712374号、同第5,714,586号、同第5739116号、同第5767285号、同第5,770,701号、同第5770710号、同第5773001号及び同第5877296号;Hinman, L.M. et al., Cancer Res. 53 (1993) 3336-3342;及びLode, H.N. et al., Cancer Res. 58 (1998) 2925-2928を参照);アントラサイクリン、例えば、ダウノマイシン又はドキソルビシン(Kratz, F. et al., Curr. Med. Chem. 13 (2006) 477-523; Jeffrey, S.C. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16 (2006) 358-362; Torgov, M.Y. et al., Bioconjug. Chem. 16 (2005) 717-721; Nagy, A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97 (2000) 829-834; Dubowchik, G.M. et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12 (2002) 1529-1532; King, H.D. et al., J. Med. Chem. 45 (20029 4336-4343;及び米国特許第6630579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;タキサン、例えばドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル;トリコテセン;並びにCC1065を含むがこれらに限定されない1つ又は複数の薬物にコンジュゲートしている抗体−薬物コンジュゲート(ADC)である。
別の実施態様では、イムノコンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サポンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン、及びトリコテセン(tricothecenes)を含むがこれらに限定されない、酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートしている、本明細書に記載の抗体を含む。
別の実施態様では、イムノコンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成する、本明細書に記載の抗体を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの製造のために入手可能である。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体が含まれる。放射性コンジュゲートは、検出用に使用される場合、シンチグラフ検査のための放射性原子、例えばTC99m若しくはI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像法(磁気共鳴画像法、MRIとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、再びヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含み得る。
抗体と細胞傷害性剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン 2,6−ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta, E.S. et al., Science 238 (1987) 1098-1104に記載されているようにして調製することができる。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026を参照のこと。リンカーは、細胞内で細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari, R.V. et al., Cancer Res. 52 (1992) 127-131;米国特許第5208020号)が使用され得る。
本明細書のイムノコンジュゲート又はADCは、限定しないが、(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)市販されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたコンジュゲートを明確に意図している。
E.診断及び検出のための方法及び組成物
特定の実施態様では、本明細書において提供される抗HLA−G抗体のいずれもが、生物学的試料中のHLA−Gの存在を検出するために有用である。本明細書において使用される「検出」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。特定の実施態様では、生物学的試料は、免疫細胞又はT細胞浸潤物及び/又は腫瘍細胞といった細胞又は組織を含む。
一実施態様では、診断又は検出方法に使用される抗HLA−G抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中におけるHLA−Gの存在を検出する方法が提供される。特定の実施態様では、本方法は、生物学的試料を、HLA−Gに対する抗HLA−G抗体の結合を許容する条件下において本明細書に記載される抗HLA−G抗体と接触させること、及び抗HLA−G抗体とHLA−Gとの間に複合体が形成されるかどうかを検出することを含む。このような方法はin vitro又はin vivoの方法とすることができる。一実施態様では、抗HLA−G抗体は、抗HLA−G抗体を用いた療法に適した対象を選択するために使用され、例えばHLA−Gは患者の選択のためのバイオマーカーである。
特定の実施態様では、標識された抗HLA−G抗体が提供される。標識には、限定されないが、(例えば蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識等の)直接検出される標識又は部分、及び、例えば酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドなどの部分が含まれる。例示的な標識には、限定されないが、ラジオアイソトープ32P、14C、125I、H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシェフェリン、2,3−ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、色素前駆体(例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ又はマイクロペルオキシダーゼ等)を酸化させるため過酸化水素を利用し、酵素とカップリングさせた複素環式オキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定な遊離ラジカル等が含まれる。
F.薬学的製剤
本明細書に記載される抗HLA−G抗体の薬学的製剤は、所望の度合いの純度を有するこのような抗体を、1つ又は複数の任意選択的な薬学的に許容される担体と混合することによって(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態に調製される。通常、薬学的に許容される担体は、用いられる用量及び濃度で受容者に対して非毒性であり、限定されるものではないが、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えばオクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及びその他の糖質;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)などの介在性薬物分散剤、例えばrhuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質をさらに含む。rhuPH20を含む特定の例示的なsHASEGP及び使用法については、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1種以上のさらなるグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸バッファーが含まれる。
本明細書中の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な2種以上の活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含有してもよい。例えば、さらに提供することが望ましい。そのような活性成分は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
活性成分は、例えばコアセルベーション技術又は界面重合法によって調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルに、コロイド薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)に、又はマクロエマルジョンに封入することができる。これらの技術は、RemingtonのPharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980)に開示されている。
徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、このマトリックスは成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。
in vivo投与に使用される製剤は、一般的に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成することができる。
G.治療方法及び組成物
本明細書において提供される抗HLA−G抗体(又は抗原結合タンパク質)はいずれも、治療法に使用することができる。
一態様において、医薬としての使用のための抗HLA−G抗体が提供される。さらなる態様では、がんの治療における抗HLA−G抗体又は使用が提供される。特定の実施態様では、治療法における使用のための抗HLA−G抗体が提供される。特定の実施態様では、本発明は、がんを有する個体の治療方法における使用のための抗HLA−G抗体を提供し、この方法は、そのような個体に対して有効量の抗HLA−G抗体を投与することを含む。
さらなる実施態様では、本発明は、免疫調節剤としての使用/例えば、TNFアルファ(TNFa)やIFNガンマ(IFNg)のような免疫刺激性サイトカインの放出又は免疫細胞のさらなる動員による、免疫細胞の増殖、活性化を直接的又は間接的に誘導するための、抗HLA−G抗体を提供する。特定の実施態様では、本発明は、個体における、免疫調節剤の方法/例えばTNFa及びIFNガンマのような免疫刺激性サイトカインの放出又は免疫細胞のさらなる動員による、免疫細胞の増殖、活性化を直接的又は間接的に誘導するための方法であって、個体に対し、免疫調節のための/又は例えばTNFa及びIFNガンマのような免疫刺激性サイトカインの放出又は免疫細胞のさらなる動員により、直接的又は間接的に免疫細胞の増殖、活性化を誘導するための、有効量の抗HLA−G抗体を投与することを含む方法における使用のための、抗HLA−G抗体を提供する。
さらなる実施態様では、本発明は、免疫刺激性剤としての使用/又は腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)放出を刺激するための抗HLA−G抗体を提供する。特定の実施態様では、本発明は、個体における、例えばTNFa及びIFNgのような免疫刺激性サイトカインの放出又は免疫細胞のさらなる動員による、増殖、活性化を直接的又は間接的に誘導するための免疫調節の方法であって、個体に対し、例えばTNFa及びIFNgのような免疫刺激性サイトカインの放出又は免疫細胞のさらなる動員により、直接的又は間接的に増殖、活性化を誘導するための、有効量の抗HLA−G抗体免疫調節を投与することを含む方法における使用のための、抗HLA−G抗体を提供する。
さらなる実施態様では、本発明は、腫瘍(腫瘍細胞)における免疫抑制の阻害における使用のための抗HLA−G抗体を提供する。さらなる実施態様では、本発明は、HLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、免疫細胞によるサイトカイン放出(例えば、単球によるTNFアルファ放出))の回復における使用のための抗HLA−G抗体を提供する。
上記のいずれの実施態様に記載の「個体」も、好ましくはヒトである。さらなる実施態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における抗HLA−G抗体の使用を提供する。一実施態様では、医薬はがんの治療を目的とする。さらなる実施態様では、医薬は、がんを有する個体に該医薬の有効量を投与することを含む、がんを治療する方法における使用のためのものである。さらなる実施態様では、医薬は、がん細胞の細胞媒介性溶解を誘導することを目的としている。さらなる実施態様では、医薬は、がんに罹患した個体に対し、がん細胞にアポトーシスを誘導する/又はがん細胞の増殖を阻害するための有効量の医薬を投与することを含む、前記個体にがん細胞の細胞媒介性溶解を誘導する方法における使用を目的としている。上記のいずれの実施態様に記載の「個体」も、ヒトであってよい。
さらなる態様において、本発明は、がんを治療するための方法を提供する。一実施態様では、方法は、がんを有する個体に対し、有効量の抗HLA−Gを投与することを含む。上記いずれの実施態様に記載の「個体」も、ヒトであってよい。
さらなる態様では、本発明は、がんに罹患している個体におけるがん細胞の細胞媒介性溶解を誘導するための方法を提供する。一実施態様では、方法は、がんに罹患した個体にがん細胞の細胞媒介性溶解を誘導するために、前記個体に対して有効量の抗HLA−Gを投与することを含む。一実施態様では、「個体」はヒトである。
さらなる態様では、本発明は、例えば上述の治療方法のいずれかにおける使用のための、本明細書において提供される抗HLA−G抗体のいずれかを含む薬学的製剤を提供する。一実施態様では、薬学的製剤は、本明細書において提供される抗HLA−G抗体のいずれかと薬学的に許容される担体とを含む。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内を含む任意の適切な手段により投与することができ、また、局所治療が望まれるのであれば、病巣内投与であってもよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投与スケジュールが想定される。
本発明の抗体は、医療実施基準に合致した様式で製剤化され、投薬され、投与される。この文脈において考慮すべき要因には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与のスケジュール、及び医療従事者が知るその他の要因が含まれる。抗体は、必ずしもそうである必要はないが、任意選択的に、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ又は複数の薬剤と共に製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療の種類、及び上記で論じた他の要因に依存する。これらは一般に、本明細書に記載されているのと同じ投与量及び投与経路で、又は本明細書に記載の投与量の約1%〜99%で、又は経験的に/臨床的に妥当であると決定された任意の投与量及び経路で使用される。
疾患の予防又は治療に関し、本発明の抗体の(単独での使用又は1種以上の他の追加的治療剤との併用の際の)適切な投与量は、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防又は治療のどちらの目的で投与されるか、従前の治療、患者の病歴及び抗体に対する応答、並びに主治医の裁量によって決定されるであろう。本発明の抗体は、単回又は一連の治療にわたって患者へ適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば単回又は複数回の個別投与によるか、連続注入によるかに関わらず、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.5mg/kg〜10mg/kg)の抗体が患者への投与のための初期候補用量となり得る。1つの典型的な1日の投与量は、上記の要因に応じて、約1μg/kgから100mg/kg又はそれ以上の範囲であろう。数日間以上にわたる反復投与の場合には、状態にもよるが、治療は一般に疾患症状の望ましい抑制が起こるまで継続されることになる。抗体の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kg(又はその任意の組み合わせ)のうちの1つ又は複数の用量が患者に投与され得る。このような用量は断続的に、例えば毎週又は3週毎に(例えば患者が約2〜約20用量の抗体、又は例えば約6用量の抗体を受けるように)投与してもよい。初回のより高い負荷用量、続いて1つ又は複数のより低い用量を投与してもよい。例示的な投与レジメンは、約4mg/kgの初期負荷用量を投与し、続いて約2mg/kgの抗体の毎週の維持量を投与することを含む。しかしながら、他の投与レジメンが有用な場合もある。この治療の経過は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニターされる。
上記の製剤又は治療方法のいずれかが、抗HLA−G抗体の代わりに、又は抗HLA−G抗体に加えて、本発明のイムノコンジュゲートを使用して実施されてもよいことが理解される。
上記の製剤又は治療方法のいずれかが、抗HLA−G抗体の代わりに、又は抗HLA−G抗体に加えて、本発明のイムノコンジュゲートを使用して実施されてもよいことが理解される。
II.製造品
本発明の別の態様では、上述した障害の治療、予防、及び/又は診断に有用な材料を含む製造品が提供される。製造品は、容器と、容器に貼られているか又は付随しているラベル又は添付文書とを備える。好適な容器は、例としてボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグなどを含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、病状の治療、予防及び/又は診断に効果的である、単独の又は別の組成物と併用の組成物を収容し、滅菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1種の活性剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が選択された状態を治療するために使用されることを示している。さらに、製造品は、(a)本発明の抗体を含む組成物が中に収容されている第1の容器;及び(b)さらなる細胞傷害性剤又はその他の治療剤を含む組成物が中に収容されている第2の容器を備え得る。本発明の本実施態様における製造品は、組成物が特定の状態を治療するために使用できることを示す添付文書をさらに備えてもよい。代替的に又は追加的に、製造品は、薬学的に許容されるバッファー(例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液)を収容する第2(又は第3)の容器をさらに備えてもよい。製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに備えてもよい。
以下の実施例及び図面は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の真の範囲は特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順に改変を加えることができることが理解される。
アミノ酸配列の説明
抗HLAG抗体(可変領域及び超可変領域(HVR)):
配列番号1 重鎖HVR−H1、HLA−G−0031
配列番号2 重鎖HVR−H2、HLA−G−0031
配列番号3 重鎖HVR−H3、HLA−G−0031
配列番号4 軽鎖HVR−L1、HLA−G−0031
配列番号5 軽鎖HVR−L2、HLA−G−0031
配列番号6 軽鎖HVR−L3、HLA−G−0031
配列番号7 重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0031
配列番号8 軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0031
配列番号9 重鎖HVR−H1、HLA−G−0039
配列番号10 重鎖HVR−H2、HLA−G−0039
配列番号11 重鎖HVR−H3、HLA−G−0039
配列番号12 軽鎖HVR−L1、HLA−G−0039
配列番号13 軽鎖HVR−L2、HLA−G−0039
配列番号14 軽鎖HVR−L3、HLA−G−0039
配列番号15 重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0039
配列番号16 軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0039
配列番号17 重鎖HVR−H1、HLA−G−0041
配列番号18 重鎖HVR−H2、HLA−G−0041
配列番号19 重鎖HVR−H3、HLA−G−0041
配列番号20 軽鎖HVR−L1、HLA−G−0041
配列番号21 軽鎖HVR−L2、HLA−G−0041
配列番号22 軽鎖HVR−L3、HLA−G−0041
配列番号23 重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0041
配列番号24 軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0041
配列番号25 重鎖HVR−H1、HLA−G−0090
配列番号26 重鎖HVR−H2、HLA−G−0090
配列番号27 重鎖HVR−H3、HLA−G−0090
配列番号28 軽鎖HVR−L1、HLA−G−0090
配列番号29 軽鎖HVR−L2、HLA−G−0090
配列番号30 軽鎖HVR−L3、HLA−G−0090
配列番号31 重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0090
配列番号32 軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0090
配列番号33 ヒト化変異体重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0031−0104(HLA−G−0104)
配列番号34 ヒト化変異体軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0031−0104(HLA−G−0104)
さらなる配列
配列番号35:例示的なヒトHLA−G
配列番号36:例示的なヒトHLA−G細胞外ドメイン(ECD)
配列番号37:例示的なヒトβ2M
配列番号38:修飾ヒトHLA−G(HLA−G特異的アミノ酸がHLA−Aコンセンサスアミノ酸によって置き換えられている(=デグラフトHLA−G、図1も参照)のECD)
配列番号39:例示的なヒトHLA−A2
配列番号40:例示的なヒトHLA−A2のECD
配列番号41:例示的なマウスH2KdのECD
配列番号42:例示的なラットRT1AのECD
配列番号43:例示的なヒトHLA−G β2M MHCクラスI複合体
配列番号44:例示的な修飾ヒトHLA−G β2M MHCクラスI複合体(HLA−G特異的アミノ酸がHLA−Aコンセンサスアミノ酸によって置き換えられている(=デグラフトHLA−G)図1も参照)
配列番号45:例示的なマウスH2Kd β2M MHCクラスI複合体
配列番号46:例示的なヒトHLA−G/マウスH2Kd β2M MHCクラスI複合体(ヒトHLA−Gに特異的な位置がマウスH2Kdフレームワーク上に移植されている)
配列番号47:例示的なラットRT1A β2M MHCクラスI複合体
配列番号48:例示的なヒトHLA−G/ラットRT1A β2M MHCクラスI複合体(ヒトHLA−Gに特異的な位置がラットRT1Aフレームワーク上に移植されている)
配列番号49 リンカー及びhisタグ
配列番号50 ペプチド
配列番号51 ヒトカッパ軽鎖定常領域
配列番号52 ヒトラムダ軽鎖定常領域
配列番号53 IgG1由来のヒト重鎖定常領域
配列番号54 変異L234A、L235A 及びP329Gを有する、IgG1由来のヒト重鎖定常領域
配列番号55 IgG4由来のヒト重鎖定常領域
抗HLAG抗体(下線が引かれた太字の超可変領域(HVR)を有する可変領域)のアミノ酸配列:

配列番号7:重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0031:
Figure 2021521791
配列番号8:軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0031:
Figure 2021521791
配列番号33:ヒト化変異体重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0031−0104(HLA−G−0104):
Figure 2021521791
配列番号34:ヒト化変異体軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0031−0104(HLA−G−0104):
Figure 2021521791
配列番号15:重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0039:
Figure 2021521791
配列番号16:軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0039
Figure 2021521791
配列番号23:重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0041:
Figure 2021521791
配列番号24:軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0041
Figure 2021521791
配列番号31:重鎖可変ドメインVH、HLA−G−0090:
Figure 2021521791
配列番号32:軽鎖可変ドメインVL、HLA−G−0090
Figure 2021521791
以下に、本発明の特定の実施態様を列挙する:
1.抗体が、
A)(a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
B)(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
C)(a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
D)(a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと
を含む、ヒトHLAに特異的に結合する単離された抗体。
2.抗体が、
A)
i) 配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列;
ii) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
を含むか;あるいは
i) 配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含むか;あるいは
B)
配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含むか;あるいは
C)
配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含むか;あるいは
D)
配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む
実施態様1に記載の抗体。
3.抗体が、
a)配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する;
あるいはb)配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する
ヒトHLA−Gに結合する単離された抗体。
4.抗体が、
a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
e)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
f)単量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
g)三量体HLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では60%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
h)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体(配列番号43を含む)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害し(実施例4bを参照);かつ/あるいは
i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
j)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し(実施例5を参照)、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)(50%を超えて(一実施態様では80%を超えて))阻害し(実施例6を参照);かつ/あるいは
k)HLAGに対するCD8aの結合を(抗体なしでの結合と比較したとき)80%を超えて阻害し(例えば実施例4cを参照);かつ/あるいは
l)JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する
実施態様1から4のいずれか一項に記載の抗HLA−G抗体。
5.抗体がIgG1アイソタイプのものである、先行する実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
6.抗体が、変異L234A、L235A及びP329G(KabatのEUインデックスによる番号付け)を含むIgG1アイソタイプのものである、実施態様5に記載の抗体。
7.先行する実施態様のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
8.実施態様7に記載の核酸を含む宿主細胞。
9.抗体が産生されるように実施態様7に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法。
10.宿主細胞から抗体を回収することをさらに含む、実施態様9に記載の方法。
11.実施態様1から6のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的製剤。
12.医薬としての使用のための、実施態様1から6のいずれか一項に記載の抗体。
13.がんの治療における使用のための、実施態様1から6のいずれか一項に記載の抗体。
14.医薬の製造における、実施態様1から6のいずれか一項に記載の抗体の使用。
15.医薬が、がんの治療のためのものである、実施態様14の使用。
16.がんを有する個体を治療する方法であって、実施態様1から6のいずれか一項に記載の抗体の有効量を個体に投与することを含む方法。
17.抗HLAG抗体(例えば実施態様1から6による)を選択するための方法であって:
a)表面プラズモン共鳴アッセイにより、配列番号43を含むヒトHLA−G β2M MHC I複合体に対する抗HLAG抗体の結合を決定する工程;
b)それぞれの抗HLAG抗体による、単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合の阻害を決定する工程;及び
c)単量体HLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合を、(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害する抗HLAG抗体を選択する工程、又は単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合を、(抗体なしでの結合と比較したとき)50%を超えて(一実施態様では70%を超えて)阻害する抗HLAG抗体を選択する工程
d)JEG−3細胞(ATCC HTB36)と共培養された単球によるHLA−G特異的抑制免疫応答(例えば、抑制された腫瘍壊死因子(TNF)アルファ放出)を回復する工程
を含む方法。
18.抗HLAG抗体(例えば実施態様6による)を選択するための方法であって:
a)(蛍光標識細胞分取を使用する)フローサイトメトリーアッセイ(FACSアッセイ)において、JEG3細胞(ATCC No.HTB36)に対する抗HLAG抗体の結合を決定する工程
b)(蛍光標識細胞分取を使用する)フローサイトメトリーアッセイ(FACSアッセイ)において、それぞれの抗HLAG抗体によるJEG3細胞(ATCC No.HTB36)に対するILT2の結合の阻害を決定する工程;及び
c)JEG3(ATCC No.HTB36)細胞に結合し、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)に対するILT2の結合を、抗体なしでの結合と比較したとき、50%を超えて(一実施態様では80%を超えて)阻害する抗HLAG抗体を選択する工程
を含む方法。
組換えDNA技術
標準的な方法を使用して、Sambrook, J. et al., Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載されているようにDNAを操作した。分子生物学的試薬を、製造者の指示に従って使用した。
遺伝子とオリゴヌクレオチドの合成
所望の遺伝子セグメントを、Geneart GmbH(Regensburg、Germany)において化学合成により調製した。合成された遺伝子断片を、伝播/増幅のために大腸菌プラスミド中にクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNA配列決定によって確認した。代替的に、短い合成DNA断片を、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドをアニーリングすることにより、又はPCRを介して構築した。それぞれのオリゴヌクレオチドは、metabionGmbH(Planegg−Martinsried、Germany)によって調製された。
基本的な/標準の哺乳動物発現プラスミドの説明
所望の遺伝子/タンパク質(例えば完全長抗体重鎖、完全長抗体軽鎖、又はMHCクラスI分子、例えばHLA−G、又はペプチド及びベータ−2ミクログロブリンに融合したMHCクラスI分子、例えばHLA−G結合ペプチド及び/又はベータ−2ミクログロブリンに融合したHLA−G)の発現のために、以下の機能的要素を含む転写ユニットが使用される:
− イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)からの最初期エンハンサー及びプロモーター、
− ヒト重鎖免疫グロブリン 5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− 発現される遺伝子/タンパク質(例えば完全長抗体重鎖又はMHCクラスI分子)、及び
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
発現される所望の遺伝子を含む発現ユニット/カセットの他に、基本的な/標準の哺乳動物発現プラスミドは、
− 大腸菌においてこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、及び
− 大腸菌にアンピシリン耐性を付与するベータラクタマーゼ遺伝子
を含む。
タンパク質定量
精製されたポリペプチドのタンパク質濃度を、ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を用いて、280nmにおける光学濃度(OD)を測定することにより決定した。
実施例1
スクリーニング及びカウンタースクリーニングのためのHLA−Gキメラ分子の生成
他のMHC I分子との高い相同性(>98%)に起因して、HLA−G分子による免疫化の結果、MHC−I交差反応性抗体と真のHLA−G特異的抗体の混合物から構成されるポリクローナル血清が生成される。
これまでのところ、他のヒトMHC−I(例えばHLA−A)に対する交差反応性を有しない真にHLA−G特異的抗体を選択し、さらには受容体遮断機能を有するものを選択するためのツールは提供されていない。
本発明者らは、構造的適合性と受容体相互作用に必要な位置と組み合わせて、特有のHLA−G位置を同定した(ILT2/4及びKIR2DL4)。
次いで、ヒトHLA−Gの特有かつ近位の位置を、異なるげっ歯類種由来のMHCクラスI複合分子(例えばラットRT1A及びマウスH2kd)上に「移植」し、「キメラ」免疫原/スクリーニング抗原を生成した。
生成された抗体は、結合/特異性に関して(及びカウンター抗原に対する結合/特異性がないことに関して)ストリンジェントなスクリーニングに供された。
スクリーニング抗原:
− 配列番号43を含むヒトHLA−G β2M MHC複合体として発現されたrec.HLA−G
− ラットRT−1及びマウスH2kd上に移植されたHLA−G特異性配列(配列番号46:ヒトHLA−Gに特異的な位置がマウスH2Kdフレームワーク上に移植されている、ヒトHLA−G/マウスH2Kd β2M MHCクラスI複合体、及び配列番号48:ヒトHLA−Gに特異的な位置がラットRT1Aフレームワーク上に移植されている、ヒトHLA−G/ラットRT1A β2M MHCクラスI複合体)
− 天然HLA−G MHCクラスI複合体発現細胞(例えばJeg3細胞)、又はヒトHLA−Gトランスフェクト細胞株SKOV3 HLA−G+及びPA−TU−8902 HLA−G+
スクリーニングカウンター抗原:
− 異なるペプチドと組み合わされた他のHLA−A配列(HLA−A2及びHLA−GHlA−Aコンセンサス配列によるデグラフト)を含むカウンター抗原(MHCクラスI複合体)(例えばHLA−Gフレームワーク上の配列番号40(HLA−A2)及び配列番号44のHLA−Aコンセンサス配列を参照)
− ラットRT−1及びマウスH2kd(配列番号45及び配列番号47)といった他の種由来のカウンター抗原(MHCクラスI複合体)
− HLA−G発現が存在しないことを特徴とする、非修飾腫瘍細胞株であるSKOV3及びPA−TU−8902。
HLA特異的抗体の生成のための免疫化及びスクリーニングにおける使用のためのキメラHLA−G抗原の設計(図1を参照):
野生型(wt)及びトランスジェニックラット、又はウサギ及びマウスなどの免疫化における使用のため、及び/又はスクリーニングアッセイにおける使用のためのHLA−G特有の位置を有するキメララットMHC I分子(RT1−A)(配列番号48)の設計:
HLA−G特有の位置を、IMGT(2014年2月6日に入手可能であったもの)からの2579 HLA−A、3283 HLA−B、2133 HLA−C、15 HLA−E、22 HLA−F、及び50 HLA−G配列のアラインメントにより同定した。3つの配列セットHLA−A、HLA−B、及びHLA−C+HLA−E+HLA−Fを組み合わせたセットのいずれかの配列の1%未満(多くの場合〜0%)に存在するHLA−Gのそれら残基を、HLA−G特有の位置と呼ぶ。
4つのコアとなるHLA−G特有の位置(アルファ−1に2つ、及びアルファ−3に2つ)は、HLA−G配列のセットに多型を示さず、他のHLA遺伝子でこれらの位置にHLA−G特異的残基を含むものはない(M100の場合1×HLA−A、Q103の場合1×HLA−B、及びQ103の場合1×HLA−Cを除く)。
ラットRT1−Aの結晶構造(Rudolph, M.G. et al. J.Mol.Biol. 324: 975-990 (2002);PDBコード:1KJM)を、ヒトHLA−Gの結晶構造に重ね合わせた(Clements, C.S. et al. PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 102: 3360-3365 (2005);PDBコード:1YDP)。アルファ鎖及び会合したベータ−2−ミクログロブリンの全体構造は保存されている。
HLA−G特有の位置を、配列と構造アラインメントの比較により、RT1−A構造において同定した。第1の工程では、HLA−G及びRT1−Aの分子表面に露出しているために抗体がアクセス可能である特有のHLA−G位置を同定した。タンパク質の折り畳み内に埋もれている特有の位置は、エンジニアリングから除外された。第2の工程では、対応する領域「HLA−G様」を作製するため、すなわち、人工的であろうHLA−G/ラットRT1−Aキメラエピトープを生成するのではなく、特有の位置を含む本物のHLA−Gエピトープを生成するためにはやはり交換されなければならない、構造的に近位の残基を同定した。変異のためにこのように選択されたすべての位置を、変異に伴う分子構造の起こり得る局所的な乱れを避けるために、HLA−Gのそれぞれの残基の構造的な一致について分析した。
免疫化における使用のため及び/又はスクリーニングアッセイにおける使用のためのHLA−G特有の位置を有するキメラマウスMHC I分子(H2Kd)(配列番号46)を同様に生成した。
スクリーニングにカウンター抗原として使用されるHLA−Aコンセンサス配列(配列番号44)に向けてHLA−G特有の位置を「デグラフトすること(de−grafting)」による、HLA−Aベースのカウンター抗原の設計
多重配列アライメントに由来する特有の位置を、ヒトHLA−Gの結晶構造(PDBコード:1YDP)において分析した。まず、HLA−G表面上に露出しておらず、したがって抗体がアクセスできない位置を、エンジニアリングのために除外した。次に、表面に露出した残基を、アミノ酸交換の実現可能性について分析した(すなわち、関連する位置が変異した時に分子構造に起こり得る局所的乱れの排除)。合計で、14の位置を交換について検証した。検証された位置におけるアミノ酸を、IMGT(2014年2月6日に入手可能であったもの)からダウンロードされた、2579個のHLA−A配列の多重配列アライメントから導かれるHLA−Aコンセンサス配列へと変異させた。
可溶性古典的及び非古典的MHCクラスI分子の発現プラスミドの生成
組換えMHCクラスI遺伝子は、それぞれのMHCクラスI分子、ベータ−2ミクログロブリン、及びそれぞれのMHCクラスI分子が結合することが知られているペプチドからなるN末端伸長融合分子をコードする。
可溶性MHCクラスI分子の一過性発現のための発現プラスミドは、可溶性MHCクラスI分子の発現カセットに加えて、大腸菌においてこのプラスミドの複製を可能にする、ベクターpUC18由来の複製開始点、及び大腸菌におけるアンピシリン耐性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。
可溶性MHCクラスI分子の転写ユニットは、以下の機能的要素を含んでいた:
− イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)からの最初期エンハンサー及びプロモーター、
− ヒト重鎖免疫グロブリン 5’−非翻訳領域(5’UTR)、
− マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− N末端切断型黄色ブドウ球菌ソルターゼAコード化核酸、及び
− ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
様々な種に由来する成熟した可溶性MHCクラスI分子のアミノ酸配列は以下の通りである:
配列番号43:例示的なヒトHLA−G β2M MHCクラスI複合体
配列番号44:例示的な修飾ヒトHLA−G β2M MHCクラスI複合体(HLA−G特異的アミノ酸がHLAコンセンサスアミノ酸によって置き換えられている(=デグラフトHLA−G、図1も参照))
配列番号45:例示的なマウスH2Kd β2M MHCクラスI複合体
配列番号46:例示的なヒトHLA−G/マウスH2Kd β2M MHC複合体(ヒトHLA−Gに特異的な位置がマウスH2Kdフレームワーク上に移植されている)
配列番号47:例示的なラットRT1A β2M MHCクラスI複合体
配列番号48:例示的なヒトHLA−G/ラットRT1A β2M MHC複合体(ヒトHLA−Gに特異的な位置がラットRT1Aフレームワーク上に移植されている)
スクリーニングに使用される例示的なHLA−A2 β2M MHCクラスI複合体のために、以下の成分が使用され、複合体が大腸菌に発現され、精製された。
MHC I複合体HLA−A2/b2M(配列番号40及び37)(両方とも追加のN末端メチオニンを含む)+VLDFAPPGAペプチド(配列番号50)+リンカー及びhisタグ(配列番号49)
実施例2
免疫化キャンペーン
A)マウス及びラットの免疫化
a.キメラタンパク質(非特異的MHC−I/HLAに対する耐性及び特有のHLA−G位置への方向性のため)
免疫化には、Charles River Laboratories International,Inc.から取得されたBalb/Cマウスを使用した。動物は、AAALACi(国際実験動物ケア評価認証協会)の付録A「Guidelines for accommodation and care of animals」に従って収容した。すべての動物免疫化プロトコール及び実験は、Government of Upper Bavariaによって承認され(許可番号55.2−1−54−2531−19−10及び55.2−1−54−2532−51−11)、ドイツ動物保護法及び欧州議会及び理事会の指示2010/63に従って実施された。
Balb/Cマウス(n=5)(週齢6〜8)は、4週間の過程にわたって、キメラH2Kd/HLA−G分子(配列番号46(「HLA−G−0006」))による5回の免疫化を受けた。各免疫化の前に、マウスを酸素とイソフルランの混合ガスで麻酔した。1回目の免疫化では、20mMのHis/HisCl、140mMのNaCl(pH6.0)に溶解した15μgのタンパク質を、等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、マウスの背中に沿って、流入領域リンパ節の近位の6つの部位、すなわち首筋の2つの部位と鼠径部及び腓腹の両側のそれぞれ2つの部位とに皮下(s.c.)投与した。RIBIアジュバント(Sigma−Aldrich、#S6322)で乳化された別の15μgのタンパク質を、腹部に沿った6つの並置部位に、すなわち腋窩、鼡径部、及び大腿部の両側のそれぞれ2部位に投与した。追加免疫の抗原を、用量を漸減させながら、7日目(10μg)、14日目(5μg)、21日目(5μg)、及び28日目(5μg)に同じように与え、ただし、RIBIアジュバントを、全体を通して、腹部に沿ってのみ使用した。最後の免疫化の3日後、マウスを安楽死させ、両側の膝窩、浅鼠径、腋窩、及び鰓器官のリンパ節を無菌的に単離し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、3回目及び5回目の免疫化後にELISAによって組換えヒトHLA−G及び免疫原特異的総IgG抗体産生について試験した。
6〜8週齢のBalb/Cマウスの別のセット(n=5)は、3か月の過程にわたってキメラH2Kd/HLA−G分子(HLA−G−0006)による3回の免疫化を受けた。1回目の免疫化では、20mMのHis/HisCl、140mMのNaCl、pH6.0に溶解した100μgのタンパク質を等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、腹腔内(i.p.)投与した。追加免疫が、不完全フロイントアジュバント(BD DifcoのIFA、#DIFC263910)を使用したことを除いて、同様の方法で28日目と56日目に与えられた。最終免疫化の4〜5週間後に、マウスに約25μgの免疫原を滅菌PBS中で静脈内投与(iV)し、72時間後に脾臓を無菌的に摘出し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、組換えヒトHLA−G(配列番号43(「HLA−G−0003」))、及び免疫原特異的キメラH2Kd/HLA−G分子(配列番号46(「HLA−G−0006」))について試験し、3回目の免疫化後、コンセンサスHLA−A特異的位置(配列番号44(「HLA−G−0007」))及びマウスH2kdタンパク質(配列番号45「HLA−G−0009」))を含む「デグラフト」ヒトHLA−Gを用いて、総IgG抗体産生を、ELISAによりカウンタースクリーニングした。
b.野生型HLA−Gタンパク質
免疫化には、Charles River Laboratories International,Inc.から取得されたCDラットを使用した。動物は、AAALACi(国際実験動物ケア評価認証協会)の付録A「Guidelines for accommodation and care of animals」に従って収容した。すべての動物免疫化プロトコール及び実験は、Government of Upper Bavariaによって承認され(許可番号55.2−1−54−2532−51−11)、ドイツ動物保護法及び欧州議会及び理事会の指示2010/63に従って実施された。
6〜8週齢のCDラット(n=4)は、4ヶ月の過程にわたって、組換えヒトHLA−Gタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」))による4回の免疫化を受けた。1回目の免疫化では、20mMのHis/HisCl、140mMのNaCl、pH6.0に溶解した100μgのタンパク質を、等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、腹腔内投与した。追加免疫が、不完全フロイントアジュバント(BD DifcoのIFA、#DIFC263910)が全体を通して使用されたことを除いて、同様の方法で28、56、及び84日目に与えられた。最終免疫化の3〜4週間後、ラットに約75μgの免疫原を滅菌PBS中で静脈内投与し、その72時間後、脾臓を無菌的に摘出し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、3回目及び4回目の免疫化後に、ELISAによって組換えHLA−G(配列番号43(「HLA−G−0003」))特異的IgG1、IgG1a、IgG2b及びIgG2c抗体産生について試験し、コンセンサスHLA−A特異的位置(配列番号44(「HLA−G−0007」))を有する「デグラフト」ヒトHLA−Gを用いてカウンタースクリーニングした。
c.JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(HLA−Gを天然に発現する)
免疫化には、Charles River Laboratories International,Inc.から取得されたCDラットを使用した。動物は、AAALACi(国際実験動物ケア評価認証協会)の付録A「Guidelines for accommodation and care of animals」に従って収容した。すべての動物免疫化プロトコール及び実験は、Government of Upper Bavariaによって承認され(許可番号AZ.55.2−1−542531−83−13)、ドイツ動物保護法及び欧州議会及び理事会の指示2010/63に従って実施された。
6〜8週齢のCDラットの2つのグループ(n=2)は、それぞれ5カ月(A)から7カ月(B)の過程にわたって、JEG−3細胞(ATCC HTB36)を使用して5回(A群)又は7回(B群)の免疫化を受けた。1回目の免疫化では、滅菌PBSに溶解した1x10^7個の細胞を、等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、腹腔内投与した。追加免疫が、不完全フロイントのアジュバント(BD DifcoのIFA、#DIFC263910)が全体を通して使用されたことを除いて、28日目、56日目、84日目、112日目、140日目(Bのみ)、及び168日目(Bのみ)に、同様の方法でA及びBに与えられた。最終免疫化の3週間後、ラットに、100μgの組換えヒトHLA−Gタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」))を滅菌PBS中で静脈内投与し、その72時間後、脾臓を無菌的に摘出し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、それぞれ3回目、5回目及び7回目の免疫化後に、ELISAによって、組換えHLA−G(配列番号43(「HLA−G−0003」))特異的IgG1、IgG1a、IgG2b及びIgG2c抗体産生−特異的IgG1、IgG1a、IgG2b及びIgG2c抗体産生について試験し、コンセンサスHLA−A特異的位置(配列番号44(「HLA−G−0007」))を有する「デグラフト」ヒトHLA−Gを用いてカウンタースクリーニングした。
d.JEG3/DNA IMS(追加免疫効果のため)
免疫化には、Charles River Laboratories International,Inc.から取得されたCDラットを使用した。動物は、AAALACi(国際実験動物ケア評価認証協会)の付録A「Guidelines for accommodation and care of animals」に従って収容した。すべての動物免疫化プロトコール及び実験は、Government of Upper Bavariaによって承認され(許可番号AZ.55.2−1−542531−83−13)、ドイツ動物保護法及び欧州議会及び理事会の指示2010/63に従って実施された。
6〜8週齢のCDラット(n=5)は、プラスミドDNAと細胞ベースの免疫化を3か月の過程にわたって交互に受けた。単鎖分子としてヒトHLA−GをコードするプラスミドDNA HLA−G−0030(p17747)と、天然にHLA−Gを発現するJEG−3細胞(ATCC HTB36)を、それぞれこの目的のために使用した。
1回目の免疫化のために、動物を、イソフルラン麻酔し、動物の尾部近傍の、背中の毛を剃った一の部位に適用した滅菌H2O中100μgのプラスミドDNAで皮内(i.d.)免疫した。皮内に適用後、その部位を、ECM 830エレクトロポレーションシステム(BTX Harvard Apparatus)で次のパラメータを使用して電気穿孔した:それぞれ0.1msにわたり1000V/cmで、125msの間隔を空けて2回、続いて10msにわたり287.5V/cmで、やはり125msの間隔を空けて4回。14日目の2回目の免疫化のために、動物に、滅菌PBSに溶解した1x10^7個の細胞を、等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、安定したエマルションの生成後、腹腔内投与した。追加免疫が、不完全フロイントアジュバント(BD DifcoからのIFA、#DIFC263910)が全体を通して細胞免疫化に使用されたことを除いて、同様の方法で28日目(DNA)、42日目(細胞)、56日目(DNA)、70日目(細胞)に与えられた。最終免疫化の4週間後、ラットに、100μgの可溶性組換えヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」))を滅菌PBS中で静脈内投与し、その72時間後、脾臓を無菌的に摘出し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、それぞれ3回目、5回目及び6回目の免疫化後に、ELISAによって可溶性組換えヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」))特異的IgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG2c抗体産生について試験し、コンセンサスHLA−A特異的位置(配列番号44(「HLA−G−0007」))を有する「デグラフト」ヒトHLA−Gを用いてカウンタースクリーニングした。
すべての免疫化戦略において、高度に多反応性の体液性免疫反応が誘導され、免疫化された動物からのポリクローナル血清を使用してELISAフォーマットにおいて分析したところ、HLA−G、並びにカウンタースクリーニングに使用されたタンパク質(例えば、組換え「デグラフト」ヒトHLA−G、キメラH2Kd/HLA−G分子又は関連するヒトHLA−A2分子)を認識した(データは示さない)。
B)ヒト化OMNIRAT line 7ラットの免疫化
OmniRat Line 7ラットは、Open Monoclonal Technology,Inc.(2747 Ross Road、Palo Alto、CA 94303、USA)と提携し、Charles River Laboratories International,Inc.で飼育され、入手した。動物は、AAALACi(国際実験動物ケア評価認証協会)の付録A「Guidelines for accommodation and care of animals」に従って収容した。すべての動物免疫化プロトコール及び実験は、Government of Upper Bavariaによって承認され(許可番号55.2−1−54−2532−51−11及び55.2−1−54−2531−83−13)、ドイツ動物保護法及び欧州議会及び理事会の指示2010/63に従って実施された。
6〜8週齢のOmniRat Line 7ラット(n=4)は、4ヶ月の過程にわたって、組換えキメラHLA−Gタンパク質(配列番号48(「HLA−G−0011」))による4回の免疫化を受けた。1回目の免疫化では、20mMのHis/HisCl、140mMのNaCl、pH6.0に溶解した100μgのタンパク質を、等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、腹腔内投与した。追加免疫が、不完全フロイントアジュバント(BD DifcoのIFA、#DIFC263910)が全体を通して使用されたことを除いて、同様の方法で28、56、及び84日目に与えられた。最終免疫化の3〜4週間後、ラットに、滅菌PBS中で、約50μgの免疫原を静脈内投与し、25μgの免疫原を腹腔内に投与し、その72時間後、脾臓を無菌的に摘出し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、3回目及び4回目の免疫化後に、ELISAによって組換えHLA−G(配列番号48(「HLA−G−0011」))特異的IgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG2c抗体産生について試験し、コンセンサスHLA−A特異的位置(配列番号44(「HLA−G−0007」))を有する「デグラフト」ヒトHLA−Gを用いてカウンタースクリーニングした。
あるいは、6〜8週齢のOmniRat Line7ラット(n=5)は、プラスミドDNAと細胞ベースの免疫化を3か月の過程にわたって交互に受けた。単鎖分子としてヒトHLA−G(ヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」)))をコードするプラスミドDNAと、天然にHLA−Gを発現するJEG−3細胞(ATCC HTB36)を、それぞれこの目的のために使用した。
1回目の免疫化のために、動物を、イソフルラン麻酔し、動物の尾部近傍の、背中の毛を剃った一の部位に適用した滅菌H2O中100μgのプラスミドDNAで皮内(i.d.)免疫した。皮内に適用後、その部位を、ECM 830エレクトロポレーションシステム(BTX Harvard Apparatus)で次のパラメータを使用して電気穿孔した:それぞれ0.1msにわたり1000V/cmで、125msの間隔を空けて2回、続いて10msにわたり287.5V/cmで、やはり125msの間隔を空けて4回。14日目の2回目の免疫化のために、動物に、滅菌PBSに溶解した1x10^7個の細胞を、等容積のCFA(BD Difco、#263810)と混合し、安定したエマルションの生成後、腹腔内投与した。追加免疫が、不完全フロイントアジュバント(BD DifcoからのIFA、#DIFC263910)が全体を通して細胞免疫化に使用されたことを除いて、同様の方法で28日目(DNA)、42日目(細胞)、56日目(DNA)、70日目(細胞)に与えられた。最終免疫化の4週間後、ラットに、100μgの可溶性組換えヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」))を滅菌PBS中で静脈内投与し、その72時間後、脾臓を無菌的に摘出し、ハイブリドーマ生成のために調製した。血清を、それぞれ3回目、5回目及び6回目の免疫化後に、ELISAによって可溶性組換えヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質(配列番号43(「HLA−G−0003」))特異的IgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG2c抗体産生について試験し、コンセンサスHLA−A特異的位置(配列番号44(「HLA−G−0007」))を有する「デグラフト」ヒトHLA−Gを用いてカウンタースクリーニングした。
すべての免疫化戦略において、高度に多反応性の体液性免疫反応が誘導され、免疫化された動物からのポリクローナル血清を使用してELISAフォーマットにおいて分析したところ、HLA−G、並びにカウンタースクリーニングに使用されたタンパク質(例えば、組換え「デグラフト」ヒトHLA−G、キメラH2Kd/HLA−G分子又は関連するヒトHLA−A2分子)を認識した(データは示さない)。
得られた抗体
上記の方法を使用して、ヒト抗HLA−Gに特異的に結合する以下の抗体が得られた:CDラットからのラットHLA−G 0031、ヒト化ラットからのヒトHLAG 0039、HLA−G 0041及びHLA−G 0090。
得られた抗HLA−G特異的抗体の結合特性及び生物活性を、以下の実施例に記載されるように決定し、既知の参照抗体と比較した。抗体HLA−G−0031は、そのHVR及びHUMAN_IGHV1−3のVHアクセプターヒトフレームワークとHUMAN_IGKV1−17のVLアクセプターヒトフレームワークを使用してヒト化された(Vドメイン、位置R46Fに1つの追加の逆突然変異、Kabat番号付け)。
HLAGバインダーHLAG−0031のヒト化の際の適切なヒトアクセプターフレームワークの同定のために、2つの方法論の組み合わせが使用された。一方では、親抗体と高い配列相同性を持つアクセプターフレームワークを探索し、続いてこのアクセプターフレームワークにCDR領域をインシリコで移植するという古典的なアプローチが採用された。親抗体に対する同定されたフレームワークの各アミノ酸の違いは、バインダーの構造的完全性に与える影響について判断され、適切な場合には親配列への逆変異がいつでも考慮された。
他方、国際公開第2016/062734号に記載されているインシリコツールを使用して、ヒト化バージョンのVHドメイン及びVLドメインの互いに対する配向を予測した。これは、すべての可能なヒト生殖細胞系列の組み合わせについてのCDRの仮想移植片に対して実施された。その結果を親バインダーのVH VLドメイン配向と比較して、出発抗体に形状が近いフレームワークの組み合わせを選択した。
抗HLAG抗体(可変領域及び超可変領域(HVR)の配列番号):
Figure 2021521791
実施例3
A)可溶性ヒトHLA−G、HLA−A特異的配列を有する可溶性デグラフトヒトHLA−G、ヒトHLA−A2、及びラット/マウスH2−Kdに対する抗HLA−G抗体の結合
免疫化から得られた抗体を、ヒト、HLA−G、キメラ、デグラフトHLA−G、HLA−A2及びラット/マウスH2−Kdに対するそれらの結合特性についてスクリーニングした。それぞれのアッセイを以下に説明する。ヒトHLA−Gの試験のために、単量体、二量体、三量体のいずれかの形態を使用した(以下の調製を参照)。
ヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質の二量体化/三量体化
単量体のHisタグ付き可溶性ヒトHLA−G MHCクラスIタンパク質(配列番号23)を含む上清を、AKTA−FPLCを使用して、5mlのNi−セファロースを含むHisTrap HPカラム(GE Healthcare #17−5248−02)に0.2ml/分の流速で一晩室温でロードした。次いでカラムを0.5Mのイミダゾールを含む2%のDPBS(Merck #8.14223.025)で、ベースラインに到達するまで洗浄した。次いでカラムを、0.5Mのイミダゾールを含む2%のDPBS中10mMのDTTで平衡化し、室温で30分間インキュベートした。PBS/10mMのイミダゾールを用いてカラムからDTTを洗い流し、0.5mMのイミダゾールを含む2〜100%の勾配のDPBSでタンパク質を溶出した。Amicon−Ultra 15 M/Ultracel 10Kを使用して溶出液を濃縮した後、タンパク質を室温で24時間、続いて4℃で48時間インキュベートして、二量体化/多量体化させた。次いで、二量体と三量体の分離をSuperdex 200 HiLoad 16/60(GE Healthcare #17−5175−01)で実施し、0.5MのNaOHで一晩洗浄した。カラムをPBSで平衡化した後、10mg/mlのBSAで飽和させた。次に、二量体(画分A9)及び三量体(画分A8)を収集し、等分して、さらに使用するまで−80℃で保存した。
ヒト野生型HLA−G結合ELISA
ストレプトアビジンでコーティングしたプレート(Nunc、MicroCoat #11974998001)を、25μl/ウェルの、濃度250ng/mlのビオチン化ヒト野生型HLA−Gでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μlの抗HLA−G試料(OSEPバッファー中で1:3に希釈)又は参照抗体(G233、Thermo/Pierce #MA1−19449、500ng/ml)を加え、1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのヤギ−抗マウスH+L−POD(Biorad #170−6561、OSEP中1:2000)又はロバ−抗ウサギIgG POD(GE #NA9340V、OSE中1:5000)を加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。ラットIgGの検出のために、ヤギ−抗ラットIgG1−POD(Bethyl #A110−106P)、ヤギ−抗ラットIgG2a−POD(Bethyl #A110−109P)及びヤギ−抗ラットIgG2b−POD(Bethyl #A110−111P)をOSEP中1:10000で加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。洗浄(6x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、11835033001)を加え、OD2〜3までインキュベートした。測定は、Tecan Safire 2機器において370/492nmで行った。
HLA−A特異的配列を有するヒトデグラフトHLA−G結合ELISA
ストレプトアビジンでコーティングしたプレート(Nunc、MicroCoat #11974998001)を、25μl/ウェルの、濃度250ng/mlのビオチン化ヒトデグラフトHLA−Gでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μlの抗HLA−G試料(OSEPバッファー中で1:3に希釈)又はラット血清(OSEP中で1:600に希釈)を加え、1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、ヤギ−抗ラットIgG1−POD(Bethyl #A110−106P)、ヤギ−抗ラットIgG2a−POD(Bethyl #A110−109P)及びヤギ−抗ラットIgG2b−POD(Bethyl #A110−111P)の混合物25μl/ウェルを、OSEP中1:10000で加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。洗浄(6x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、11835033001)を加え、OD2〜3までインキュベートした。測定は、Tecan Safire 2機器において370/492nmで行った。
ラットMHC I(RT1−A)結合ELISA
ストレプトアビジンでコーティングしたプレート(Nunc、MicroCoat #11974998001)を、25μl/ウェルの、濃度250ng/mlのビオチン化ラットMHC I(RT1−A)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μlの抗HLA−G試料(OSEPバッファー中で1:3に希釈)又はラット血清(OSEP中で1:600に希釈)を加え、1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、ヤギ−抗ラットIgG1−POD(Bethyl #A110−106P)、ヤギ−抗ラットIgG2a−POD(Bethyl #A110−109P)及びヤギ−抗ラットIgG2b−POD(Bethyl #A110−111P)の混合物25μl/ウェルを、OSEP中1:10000で加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。洗浄(6x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、11835033001)を加え、OD2〜3までインキュベートした。測定は、Tecan Safire 2機器において370/492nmで行った。
HLA−A2結合ELISA
ストレプトアビジンでコーティングしたプレート(Nunc、MicroCoat #11974998001)を、25μl/ウェルの、濃度250ng/mlのビオチン化ヒトHLA−A2でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μlの抗HLA−G試料(OSEPバッファー中で1:3に希釈)又はラット血清(OSEP中で1:600に希釈)を加え、1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、ヤギ−抗ラットIgG1−POD(Bethyl #A110−106P)、ヤギ−抗ラットIgG2a−POD(Bethyl #A110−109P)及びヤギ−抗ラットIgG2b−POD(Bethyl #A110−111P)の混合物25μl/ウェルを、OSEP中1:10000で加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。洗浄(6x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、11835033001)を加え、OD2〜3までインキュベートした。測定は、Tecan Safire 2機器において370/492nmで行った。
抗HLA−G抗体の結合キネティクス
ヒトHLA−G、ヒトHLA−Gデグラフト及びヒトHLA−A2に対する抗HLA−G抗体の結合キネティクスを、BIACORE T200機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によって調査した。すべての実験は、ランニングバッファーとしてPBSバッファー(pH7.4+0.05%のTween20)を使用し、希釈バッファーとしてPBSバッファー(+0.1%のBSA)を使用して、25℃で実施した。抗ヒトFc(JIR009−005−098、Jackson)又は抗ラットFc(JIR112−005−071、Jackson)又は抗マウスFc(JIR115−005−071、Jackson)抗体を、GE Healthcareによって供給されるアミンカップリングキットを使用することにより、Series S CM5 Sensor Chip(GE Healthcare)上にpH5.0で固定化した。抗HLA−G抗体は表面上に捕捉され、50〜200RUの捕捉応答をもたらした。HLA−G分子を、2.5から800nMの濃度で(2x1:2及び4x1:3の希釈系列)表面上に180秒間にわたって30μl/分で注入した(会合相)。ランニングバッファーで洗浄することにより、解離相を300〜600秒間監視した。表面を、抗ヒトFc捕捉抗体についてはH3PO4(0.85%)を60+30秒間にわたって注入することにより、抗ラットFc捕捉抗体についてはグリシン(pH1.5)を60秒間にわたって及びグリシン(pH2.0)を60秒間にわたって注入することにより、抗マウスFc捕捉抗体についてはH3PO4(0.85%)を80+60秒間にわたって注入することにより、再生した。バルク屈折率の差異は、モック面から得られた応答を差し引くことにより補正された。ブランク注入が差し引かれた(二重参照)。得られた曲線を、BIAevaluationソフトウェアを用いて1:1ラングミュア結合モデルにフィッティングした。
抗HLA−G抗体のクロスブロッキング
ヒトHLA−Gに対する抗HLA−G抗体の結合のクロスブロッキング実験を、BIACORE T200又はB4000機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴により調査した。すべての実験を、PBSバッファー(pH7.4+0.05% Tween20)をランニングバッファーとして使用して、25℃で実施した。
抗ヒトFab(GE−Healthcare、28−9583−25)抗体を、供給者のプロトコールに従ってSeries S CM5 Sensor Chip(GE Healthcare)に固定化し、ヒトCkドメインを含むOMTラットから抗体を捕捉した。抗HLA−G抗体を、15μg/mlの濃度で70秒間捕捉した。野生型HLA−Gを、500又は1000nMの濃度で60秒間注入した(30μl/分)。次いで野生型ラット抗体を、30μg/mlの濃度で90秒間注入した。ランニングバッファーで洗浄することにより、解離相を60又は240秒間監視した。グリシン(pH1.5)を60秒間にわたって注入し、追加の安定化期間を90秒間おくことにより、表面を再生した。
別のアッセイ設定では、抗ヒトFab(GE−Healthcare、28−9583−25)抗体を、供給者のプロトコールに従ってSeries S CM5 Sensor Chip(GE Healthcare)に固定化し、ヒトCkドメインを含むOMTラットから抗体を捕捉した。抗HLA−G抗体を、30μg/mlの濃度で90秒間捕捉した。捕捉抗体上の占有されていない結合部位を、4x120秒間にわたり濃度500μg/ml及び流速30μl/分でヒトIgG(JIR009−000−003)を注入することによりブロックした。野生型HLA−Gを、500nMの濃度で90秒間注入した(30μl/分)。次いでOMTラット(ヒトCkドメイン)からの第2の抗体を、30μg/mlの濃度で90秒間注入した。ランニングバッファーで洗浄することにより、解離相を240秒間監視した。グリシン(pH1.5)を60秒間にわたって注入し、追加の安定化期間を90秒間おくことにより、表面を再生した。
表:単量体、二量体及び三量体の形態の組換え可溶性HLA−G MHCクラス1複合体に対するHLA−G抗体の結合(ELISA)
Figure 2021521791
上の表は、野生型タンパク質IMS由来の異なるラット抗ヒトHLA−Gモノクローナル抗体の結合をまとめたものである。ELISAによって評価された、rec野生型単量体、二量体及び三量体のHLA−Gタンパク質に対するそれぞれの結合の相対的なEC50値[ng/ml]が示されている。ELISAは、ストレプトアビジン(strepdavidin)プレートにビオチン化野生型HLA−G抗原をコーティングすることにより設定された。インキュベーション及び洗浄工程の後、1:2の希釈工程においてそれぞれの抗体を10から0μgの濃度範囲で結合させた。結合した抗体の検出を、抗Fc−抗体−PODコンジュゲートにより実施した。その結果得られた結合曲線から、最大半量シグナルを生成する抗体濃度においてEC50値を決定した。非ビオチン化HLA−G二量体及び三量体抗原の場合、固定化は、アッセイプレート上をランダムにコーティングすることにより実施した。
HLA−G野生型対HLA−Gデグラフトの結合ELISA:
Figure 2021521791
上記の表は、野生型及びOMTラットの両方の野生型タンパク質IMSに由来する、異なるラット抗ヒトHLA−Gモノクローナル抗体の結合をまとめたものである。ELISAによって評価されたrec.野生型単量体HLA−Gタンパク質又はいわゆるデグラフトHLA−G(HLA−HLA−Gバックボーンのコンセンサス配列)タンパク質に対するそれぞれの結合の相対EC50値[ng/ml]及び最大ODが示されている。ELISAは、ビオチン化野生型HLA−G又はコンセンサス抗原をストレプトアビジン(strepdavidin)プレートにコーティングすることによって設定された。インキュベーション及び洗浄工程の後、1:2の希釈工程においてそれぞれの抗体を10から0μgの濃度範囲で結合させた。結合した抗体の検出を、抗Fc−抗体−PODコンジュゲートにより実施した。その結果得られた結合曲線から、最大半量シグナルを生成する抗体濃度においてEC50値を決定した。
HLA−G野生型対HLA−Gデグラフトの結合−表面プラズモン共鳴
HLA−G抗体の、組換えHLA−G(配列番号43)及びコントロール修飾ヒトHLA−G β2M MHCクラスI複合体(HLA−G特異的アミノ酸がHLA−Aコンセンサスアミノ酸によって置き換えられている(=デグラフトHLA−G、配列番号44))に対する結合親和性。(「−」は検出可能な結合が存在しないことを示す)
Figure 2021521791
上の表は、表面プラズモン共鳴(Biacore)分析によって評価された、野生型及びデグラフトHLA−Gに対する抗体親和性及びt1/2値をまとめたものである。
ヒトHLA−G、及びヒトHLA−Gデグラフトに対する抗HLA−G抗体の結合キネティクスを、BIACORE T200機器(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によって調査した。すべての実験は、ランニングバッファーとしてPBSバッファー(pH7.4+0.05%のTween20)を使用し、希釈バッファーとしてPBSバッファー(+0.1%のBSA)を使用して、25℃で実施した。抗ヒトFc(JIR009−005−098、Jackson)又は抗ラットFc(JIR112−005−071、Jackson)又は抗マウスFc(JIR115−005−071、Jackson)抗体を、GE Healthcareによって供給されるアミンカップリングキットを使用することにより、Series S CM5 Sensor Chip(GE Healthcare)上にpH5.0で固定化した。抗HLA−G抗体は表面上に捕捉され、50〜200RUの捕捉応答をもたらした。非ビオチン化HLA−G分子を、2.5から800nMの濃度で(2x1:2及び4x1:3の希釈系列)表面上に180秒間にわたって30μl/分で注入した(会合相)。ランニングバッファーで洗浄することにより、解離相を300〜600秒間監視した。表面を、抗ヒトFc捕捉抗体についてはH3PO4(0.85%)を60+30秒間にわたって注入することにより、抗ラットFc捕捉抗体についてはグリシン(pH1.5)を60秒間にわたって及びグリシン(pH2.0)を60秒間にわたって注入することにより、抗マウスFc捕捉抗体についてはH3PO4(0.85%)を80+60秒間にわたって注入することにより、再生した。バルク屈折率の差異は、モック面から得られた応答を差し引くことにより補正された。ブランク注入が差し引かれた(二重参照)。得られた曲線を、BIAevaluationソフトウェアを用いて1:1ラングミュア結合モデルにフィッティングした(−上の表は、検出可能な結合が存在しなかったことを示している)。
さらなる実験において、以下の参照抗体(様々な商業的ベンダーから取得)を、単量体のヒトHLA−G MHC I(配列番号43(「HLA−G−0003」))及びコンセンサスHLA−A特異的位置を有する「デグラフト」ヒトHLA−G(配列番号44(「HLA−G−0007」))に対する結合について比較した:
MEM/G9、87G、G233、2A12、4H84、5A6G7、6D463、9−1F10、MEM−G/1、MEM−G/11、MEM−G/2及びMEM−G/4(「−」は検出可能な結合が存在しないことを示す)。
Figure 2021521791
Figure 2021521791
興味深いことに、測定された抗体の多くは、抗体87Gも含めて、単量体のヒトHLA−G MHC I(配列番号43(「HLA−G−0003」))に対する特異的結合をまったく示さなかった。文献に記載されているようなオリゴマー形態のHLA−Gに対する結合は、オリゴマー形態の結合部位の増加に起因して生じた結合活性であり得る。
7.7E−09Mの結合親和性のKD値を有する抗体MEM/G9、2.0E−08MのKD値を有する抗体G233及び1.2E−08Mの結合親和性のKD値を有するMEM−G/11のみが、単量体の野生型ヒトHLA−G MHC I複合体に対する結合を示した。しかしながら、これらの抗体の1つであるMEM−G/11は、HLA−Gデグラフト(配列番号44)上のHLA−Aコンセンサスに対してもいくらかの結合/交差反応性を示した。加えて、別の抗体(MEM/G9)も、HLA−Gデグラフト(配列番号44)上のHLA−Aコンセンサスに対するより強い非特異的結合を示した。
実施例4
a)受容体結合阻害(単量体、二量体、及び三量体のHLA−Gによる):ILT−2及びILT−4ブロッキングELISA
ストレプトアビジンでコーティングしたプレート(Nunc、MicroCoat #11974998001)を、25μl/ウェルの、濃度500−1000ng/mlのビオチン化ヒト野生型HLA−Gでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μlの抗HLA−G試料を10又は3μg/mlから濃度を徐々に低下させながら加え、次いで1:3又は1:2に段階希釈し、1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのc−myc−タグ付き組換えILT−2受容体を200ng/mlの濃度で加え、1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのヤギ−抗c−myc−POD(Bethyl #A190−104P、PBST+0.5%BSA中で1:7000)又は抗ヒトFcgPOD(JIR、109−036−098、PBST+0.5%BSA中で1:8000)を加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、11835033001)を加え、OD2〜3までインキュベートした。測定は、Tecan Safire 2機器において370/492nmで行った。
Figure 2021521791
上記の表は、ブロックされていないHLA−G:受容体相互作用と比較して、3μg/mlの濃度で、HLA−Gに結合した異なる抗体のILT−2及びILT−4ブロッキングの程度をまとめたものである。HLA−G−0090は、ILT2遮断の別の実験で試験され、ILT4ブロッキングは評価されなかった。
b)異なるアッセイ設定を使用した、ILT2及び−4結合阻害特性に関する抗HLA−G抗体の生化学的比較
Maxisorpマイクロタイタープレートに対してFcタグ付きILT2及びILT4をそれぞれコーティングすることにより、ELISAを設定した。インキュベーション及び洗浄工程の後、それぞれの抗体を100nMの濃度で加えた。可溶性Hisタグ付き単量体、二量体又は三量体のHLA−Gをウェルに加えた。インキュベーション及び洗浄工程の後、結合した受容体の検出を、抗His−抗体−PODコンジュゲートにより実施した。阻害率(%)は、ILT2/4+HLA−G(単量体、二量体、又は三量体)を含み、抗HLA−G又はILT2/4抗体を含まないウェルから得られた値との比較において計算された(100%結合=0%阻害)。
Figure 2021521791
上の表は、ELISAによって評価した、110nMの濃度の記載されたHLAG抗体による(HLA−G−0090は44nMの濃度で試験された)、recHLA−Gタンパク質(単量体及びオリゴマー)とその受容体ILT2及びILT4との間の相互作用のブロッキングをまとめたものである。HLA−G/受容体の相互作用の%阻害が示されている(ILT2及びILT4に関して)。それほど顕著でないILT4の阻害は、この受容体の主要なβ2M依存的相互作用によるものである。
図4a及びbの棒グラフは、市販の抗体と比較して、記載されている抗HLA−G抗体によって達成された阻害%を示している。市販のHLA−G抗体87G、MEM/G09及びG233は、本明細書に記載の抗体ほど効率的にはHLA−G/ILT2又はILT4の相互作用をブロックしない。さらに、市販の抗体は、場合によっては、結合時にHLA−GのILT2又はILT4に対する結合の増加を導く。
c)抗HLAG抗体によるHLAGに対するCD8a結合の阻害
ストレプトアビジンでコーティングされた384ウェルプレートは、30μl/ウェルのブロッキング溶液でブロックされた。ブロッキング溶液を、Starting Block T20(Thermo Scientific #37543)中で、5%ポリビニルアルコール(PVA、Sigma #P8136)及び8%ポリビニルピロリドン(PVP、Sigma #PVP360)を、3.5mlのPVA+3.5mlのPVPを35mlのStarting Block T20に加えることによって、1:10に希釈して調製した。ブロッキング溶液で希釈した30μlのビオチン化HLAG(3μg/ml)を各ウェルに加え、シェーカー上で室温で1時間インキュベートした。ウェルを、0.1%のTween−20(Merck#8.22184.500)を含む100μlのPBS(PAN Biotech#P04−36500)で3回洗浄した。次に、ウェルを、三連でブロッキングバッファーで希釈した30μlの抗HLAG抗体とともに、シェーカー上で室温で1時間インキュベートし、0.1%のTween−20を含む100μlのPBSで3回洗浄した。組換えCD8a(Sino Biological#10980−H08H、4℃で1週間保存して再構成)をブロッキング溶液(1.25μg/ml)で希釈し、30μlをすべてのウェルに加え、シェーカー上で室温で2時間インキュベートした。ウェルを0.1%のTween−20を含む100μlのPBSで3回洗浄した。HRP結合ポリクローナル抗CD8aラットIgG抗体(USBiological #033547−HRP)を3%ウシ血清アルブミン画分V(Roche #10735086001)/PBS 0.2%のTween20で希釈し、この希釈液の30μlを各ウェルに加えた。次に、プレートをシェーカー上で室温で1時間インキュベートし、0.1%のTween−20を含む100μlのPBSで3回洗浄した。次に、30μlのTMB基質(BM−Blue、可溶性HRP基質、Roche #11484281001)を各ウェルに加え、続いてシェーカー上で室温で25分間インキュベートした。次いで、25μlの硫酸を各ウェルに加え、プレートリーダーで450nMで吸光度を測定することにより反応を停止させた。CD8aのHLAGへの特異的結合は、結合値の平均からバックグラウンド値の平均を差し引くことによって計算された。抗体の非存在下でのCD8のHLAGへの全結合は、100%結合又は0%阻害と見なされた。
図4cの棒グラフは、市販の抗体と比較して、記載されている抗HLA−G抗体によって達成された阻害%を示している。市販のHLA−G抗体87Gは、HLA−G/CD8aの相互作用をブロックしないが、MEM/G09及びG233は、この設定で説明されている抗体と比較して、CD8aとのHLAGの相互作用を部分的に阻害する。
実施例5
抗HLA−G抗体の細胞への結合
a)細胞表面HLA−G結合ELISA
25μl/ウェルのJEG3細胞(HLA−Gを天然に発現、20000細胞/ウェル)、Skov−3細胞、又は細胞表面上に組換えHLA−Gを発現するSkov−3細胞(共に10000個の細胞/ウェル)を、組織培養処理した384ウェルプレート(Corning、3701)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、12.5μlの抗HLA−G試料(最終希釈1:3)を加え、2時間にわたり4℃でインキュベートした。50μl/ウェルのグルタルアルデヒドを最終濃度0.05%(Sigma Cat.No:G5882;Lot No.:056K5318)になるように加えることにより細胞を固定した。洗浄(3x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのヤギ−抗マウスH+L−POD(Biorad #170−6561、OSEP中1:2000)又はロバ−抗ウサギIgG POD(GE #NA9340V、OSE中1:5000)を加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。ラットIgGの検出のために、ヤギ−抗ラットIgG1−POD(Bethyl #A110−106P)、ヤギ−抗ラットIgG2a−POD(Bethyl #A110−109P)及びヤギ−抗ラットIgG2b−POD(Bethyl #A110−111P)をOSEP中1:10000で加え、シェーカーで1時間室温でインキュベートした。洗浄(4x90μl/ウェルのPBSTバッファー)の後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、11835033001)を加え、OD2〜3までインキュベートした。測定は、Tecan Safire 2機器において370/492nmで行った。
Figure 2021521791
上記の表は、FACS分析によって評価された、異なる細胞及び細胞株で発現されたHLA−Gに対する異なるラット抗ヒトHLA−Gモノクローナル抗体の結合をまとめたものである。天然にHLA−Gを発現するJEG3腫瘍細胞又はSkov3若しくはPA−TU−8902トランスフェクタント及びそれぞれの親の、トランスフェクトされていない細胞に対するいずれかの結合が記載されている。
b)細胞上に発現される天然又は組換えHLA−Gに対するHLA−G抗体の結合(FACS分析により評価)
フローサイトメトリー分析のために、細胞を、4℃において抗HLA−G mAbsで染色した。簡潔には、25μl/ウェルの各細胞懸濁液(5x10細胞/ウェル)を、ポリプロピレンの96ウェルV底プレートに移し、冷蔵庫内において5℃で10分間事前冷却した。抗HLA−G試料を染色バッファーで2倍の開始濃度80μg/mlに希釈した。抗体の4倍の段階希釈を実施し、25μl/ウェルの抗体溶液を調製された細胞に加え、1時間にわたり5℃でインキュベートした。細胞を200μl/ウェルの染色バッファーで2回洗浄し、300gで3分間遠心分離した。検出のために、蛍光標識抗種抗体(Alexa 488にコンジュゲートしたヤギ抗ラットIgG(H+L)、Life technologies #A11006;又はヤギ抗マウスIgG(H+L)、Life technologies #A11001)又はAlexa 488にコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Life Technologies #A11013)を染色バッファーで20μg/mlに希釈し、細胞ペレットを50μl/ウェルの検出抗体に再懸濁した。5℃で1時間のインキュベーションの後、細胞を再び染色バッファーで2回洗浄し、70μlの染色バッファーに再懸濁し、FACS Canto IIで測定した。
抗HLA−G抗体HLA−G 0031、HLAG 0039、HLA−G 0041及びHLA−G 0090の例示的なFACS染色は、図4のFACSオーバーレイに示されている。
実施例6
抗HLA−G抗体は、JEG3細胞で発現するHLA−Gに対するILT2の結合を阻害/調節する
分析のために、JEG3細胞(ATCC HTB36)を、異なる抗HLA−G抗体とのプレインキュベーションの有無にかかわらず、ILT2−Fc融合タンパク質(コントロール=阻害なし)で染色した。抗HLA−G抗体とのプレインキュベーションのために、25μl/ウェルの細胞懸濁液をポリプロピレンの96ウェルV底プレートに移し、4℃で10分間事前冷却した。抗HLA−G抗体又は参照抗体(G233、MEM−G/9又は87G)を、染色バッファーで2倍の濃度80μg/mlに希釈し、25μl/ウェルの抗体溶液を調製された細胞に加え、1時間5℃でインキュベートした。細胞を200μl/ウェルの染色バッファーで2回洗浄し、300gで3分間遠心分離して、最後に25μl/ウェルの染色バッファーに再懸濁した。
a)抗HLA−G mAbと共にプレインキュベートしたJEG3細胞又はb)参照としての未処理のJEG3細胞に対するヒトILT2−Fcキメラタンパク質(RD #2017−T2−050)の検出を、以下のようにして決定した。簡潔には、ILT2−Fc又はコントロールヒトIgG(Jackson−Immuno−Research #009−000−003)を染色バッファーで(ILT2)の2倍の濃度20μg/mlに希釈し、25μl/ウェルのILT2−Fcタンパク質溶液を調製された細胞に加え、2時間5℃でインキュベートした。細胞を200μl/ウェルの染色バッファーで再度2回洗浄し、ヒトILT2−Fcタンパク質を、染色バッファーで10μg/mlに希釈した蛍光標識抗ヒトIgG Fc−ガンマ特異的抗体(F(ab’)断片ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ断片特異的FITC、Jackson−Immuno−Research #109−096−008)を用いて検出した。細胞ペレットを、50μl/ウェルの検出抗体に再懸濁した。5℃での1時間のインキュベーション後、細胞を染色バッファーで2回洗浄し、70μlに再懸濁し、FACS Canto IIにおいて測定して、JEG 3細胞に対するILT2の結合を決定した。
コントロールとして、JEG−3プレインキュベート細胞に結合した抗HLA−G抗体は、抗種抗体(Alexa 488にコンジュゲートした(ヤギ抗ラットIgG(H+L)(Life technologies、#A11001)、又はヤギ−抗マウスIgG(H+L)−Alexa 488(Life technologies #A11006)を濃度10μg/mlで使用することにより検出された。
図5のグラフは、異なるHLA−G抗体の、JEG3腫瘍細胞に天然に発現されるHLA−Gに対する組換えILT2の相互作用及び結合を修飾するそれぞれの能力を示す。
以下の表は、実験結果をまとめたものである。JEG3細胞に対する抗HLA−G抗体の結合は、+(=弱い結合)〜+++(=強い結合)で示されている。抗HLA−G抗体の能力は、HLA−Gを発現するJEG3細胞に対するILT2の結合を、阻害/ブロックする又は増加させる。最後のカラムには、細胞に対する組換えILT2の結合又はその阻害/遮断が示され/定量化されている(抗HLA−G抗体の非存在下でのILT2−Fcの染色を、100%結合、すなわち0%阻害に設定した。負の値は結合がさらに増加していることを示す。染色シグナルの5%未満の相違は有意でないため「効果なし」に分類した。):
Figure 2021521791
実施例7
単球サイトカイン回復アッセイ(HLA−G媒介性抑制後)
異なるラット抗ヒトHLA−Gモノクローナル抗体の機能的特徴づけのために、単球を用いたHLA−G発現細胞の以下の共培養アッセイを使用した。末梢ヒト単球を、健常なドナーの血液から単離した。簡潔には、血液を、抗凝固剤を含むチューブに収集し、PBSで1:2に希釈した。末梢血単核細胞(PBMC)を単離するために、30mlの混合物を、分離培地を事前充填した各Leucosepチューブに移した。PBMC特異的バンドを12分間の遠心分離(ブレーキなしで1200xg)後に収集し、PBSで3回洗浄し、300xgで10分間遠心分離した。最後に、細胞ペレットを、MiltenyiからのMACSバッファーに再懸濁し、製造者の指示に従ってMiltenyiのヒトMonocyte Isolation Kit II(#130−091−153)による磁気選別を介してヒト単球をPBMCから単離した(負の選択)。単離された単球を初代細胞培養培地(RPMI 1640、10%のFCSを補充したPAN #P04−17500、Gibco #10500;2mMのL−グルタミン、Sigma #G7513;1mMのピルビン酸ナトリウム、Gibco #11360;MEM非必須アミノ酸、Gibco #11140;0,1mMの2−メルカプトエタノール、Gibco #31350;MEMビタミン、Gibco #11120;ペニシリンストレプトマイシン、Gibco #15140)に5x10e5個の細胞/mlの密度で再懸濁した。CD14 CD16細胞の濃縮を、フローサイトメトリーにより監視し、細胞のILT2及びILT4の発現を分析した。濃縮された単球とHLA−G発現細胞との共培養アッセイでは、JEG−3細胞を、アッセイの前日に、JEG−3培養培地(EBSS及びL−グルタミンを含むMEM Eagle、10%のFCSを補充したPAN #P04−00509、Gibco #10500;1mMのピルビン酸ナトリウム、Gibco #11360;MEM非必須アミノ酸 Gibco #11140)において100μl中8x10e3個の細胞/ウェルで、96ウェル平底組織培養プレートに播種し、アッセイ当日に培養密度層を形成させた。いくつかの実験では、JEG−3 HLAGノックアウト細胞株を使用し、上記のようにJEG−3野生型細胞として播種した。接着性JEG−3細胞を、初代細胞培養培地で4倍に段階希釈した抗HLA−G抗体と共にプレインキュベートした。したがって、接着性JEG−3細胞由来の上清を除去し、50μl/ウェルの調製済み抗体溶液を添加し、加湿雰囲気下で37℃及び5%CO2で1時間インキュベートした。ヒト単球を、50μlの初代細胞培養培地中において、2,5x10e4個のヒト単球/ウェルで、抗HLA−G抗体と共にプレインキュベートしたJEG−3細胞に加え、共培養物を、加湿雰囲気中で一晩(およそ18〜20時間)37℃及び5%CO2でインキュベートした。翌日、50ng/mlのLPSによるLPS刺激を7時間にわたって実施し、その後共培養物の上清を回収した。共培養物上清のTNFアルファの濃度を、eBioscience(#88−7346−88)のヒトTNFアルファELISA Ready−SET−Go!(登録商標)を使用して決定した。
以下の表は、異なる抗体特性における特定のドナーに対する特定のHLA−G抗体の機能特性をまとめたものである。
表:機能的抗HLA−G抗体は、HLA−G特異的抑制免疫応答を回復することができる(すなわち、HLA−G発現細胞との共培養において単球によるLPS誘導性TNFa産生を回復する):
機能的抗HLA−G抗体のTNF放出(回復)のパーセンテージ%
機能的抗HLA−G抗体は、免疫応答を誘導する(抑制された免疫応答を回復する)ことができ、すなわち、HLA−G発現細胞との共培養における単球によるLPS誘導性TNFa産生を回復することができる(抗体がTNF誘導を示さないか(真にHLA−G特異的抗体)、ノックアウト細胞株でTNF誘導を示すか(HLAG特異的とすることができない)を区別するために、HLAG特異的TNF誘導のネガティブコントロールには、HLAGノックアウト細胞株を使用した)。
抗HLA−G抗体の%TNF誘導の値は、次の条件を使用して計算される:JEG3細胞と単球の未処理の共培養=0%、単球のみの培養(HLA−G誘導抑制なし)=100%。
Figure 2021521791
上の表から、本発明の抗体は、HLA−Gを発現するJEG−3細胞と共培養した単球ではTNFアルファ放出を誘導することができたが、HLA−GをノックアウトしたJEG−3細胞と共培養した単球ではTNFアルファ放出を誘導することができなかったことが明らかとなる。
表から、参照抗体は、HLA−Gノックアウト細胞株においても強いTNFアルファ放出を誘導するため、真にHLA−G特異的ではないことが明らかとなる。
ドナー(以下の異なるドナー)に応じて、%TNF放出(回復)のパーセンテージは異なる。
Figure 2021521791

Claims (15)

  1. ヒトHLA−Gに結合し;かつJEG−3細胞(ATCC HTB36)上のHLAGに対するILT2の結合を阻害し、JEG−3細胞と共培養された単球によるHLA−G特異的に抑制されたTNFアルファ放出を回復する、単離された抗体。
  2. 抗体が
    A)(a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号3から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
    B)(a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号11から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
    C)(a)(i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと;又は
    D)(a)(i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、VLドメインと
    を含む、ヒトHLA−Gに結合する単離された抗体。
  3. 抗体が、
    A)
    iv) 配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列;
    v) 又はi)の抗体のVH及びVLのヒト化変異体
    を含むか;あるいは
    vi) 配列番号33のVH配列及び配列番号34のVL配列を含むか;あるいは
    B)
    配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含むか;あるいは
    C)
    配列番号23のVH配列及び配列番号24のVL配列を含むか;あるいは
    D)
    配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む、
    請求項2に記載の抗体。
  4. 抗体が、
    a)配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する;
    あるいはb)配列番号31のVH配列及び配列番号32のVL配列を含む抗体と同じエピトープに結合する
    ヒトHLA−Gに結合する単離された抗体。
  5. 抗体が、
    a)配列番号44を含む修飾ヒトHLA−G β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
    b)配列番号39及び配列番号37を含むヒトHLA−A2 β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
    c)配列番号45を含むマウスH2Kd β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
    d)配列番号47を含むラットRT1A β2M MHC I複合体と交差反応せず;かつ/あるいは
    e)単量体HLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
    f)三量体HLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
    g)単量体及び/又は二量体及び/又は三量体のHLA−G β2M MHC I複合体に対するILT2の結合を50%を超えて阻害し;かつ/あるいは
    h)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
    i)JEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に結合し、かつJEG3細胞(ATCC No.HTB36)(上のHLA−G)に対するILT2の結合を阻害し;かつ/あるいは
    j)HLAGに対するCD8aの結合を80%を超えて阻害する
    請求項1から4のいずれかに記載の抗HLA−G抗体。
  6. 抗体がIgG1アイソタイプのものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 抗体が、変異L234A、L235A及びP329G(KabatのEUインデックスによる番号付け)を含むIgG1アイソタイプのものである、請求項6に記載の抗体。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
  9. 請求項8に記載の核酸を含む宿主細胞。
  10. 抗体が産生されるように請求項8に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法。
  11. 宿主細胞から抗体を回収することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的製剤。
  13. 医薬としての使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
  14. がんの治療における使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
  15. 医薬の製造における、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体の使用。
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