JP6738285B2 - ヒト及びカニクイザルcd3イプシロンに結合する抗体 - Google Patents

ヒト及びカニクイザルcd3イプシロンに結合する抗体 Download PDF

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Description

本発明は、交差反応性抗体の分野にある。本明細書では、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を生成するための方法及びその使用が報告されている。
T細胞は、適応免疫応答の重要なエフェクターであり、病原体の排除及び自己免疫疾患における多くの重要な役割を有する。異なる機能を有するT細胞の幾つかのサブセットが存在する。
T細胞の表面上に見出されるTCR(T細胞受容体)は、TCR集団の約95%を構成する組成物であるアルファ及びベータポリペプチド鎖又はγ及びδポリペプチド鎖の何れかからなるヘテロ二量体である(Pitcher and van Oers, 2003; Malissen, 2008)。各ポリペプチドは、定常(C)及び可変(V)領域を含む。定常領域は細胞膜に固定されるが、一方可変領域は細胞外に伸長し、抗原結合に関与する。TCRの短い細胞質尾部は、シグナル伝達能力を欠いている。細胞内シグナル伝達は、細胞内免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むCD3タンパク質複合体によって開始される。
CD3(分化3のクラスター)T細胞共受容体はタンパク質複合体であり、4つの異なる鎖からなる。哺乳動物では、複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖、CD3δ(デルタ)鎖及び2つのCD3ε(イプシロン)鎖を含む。これらの鎖は、Tリンパ球において活性化シグナルを生成するために、TCR及びζ鎖(ゼータ鎖)と会合する。TCR、ζ鎖、及びCD3分子は共にTCR複合体を構成する。CD3γ、CD3δ、及びCD3ε鎖は、単一の細胞外免疫グロブリンドメインを含む免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連した細胞表面タンパク質である。
TCRは遊離のエピトープ/抗原に結合することはできず、代わりにTCRはヒトにおけるヒト白血球抗原(HLA)系と同義である主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と会合するより大きなポリペプチドの酵素的に切断された断片を結合する(Rudd 1990; Gao et al., 2002)。免疫学的シナプスとして知られるようになっている空間内でこの相互作用は生じる。MHCクラスI分子は、身体の全ての有核細胞上で過剰発現され、抗原を細胞傷害性T細胞に提示し、これらの細胞上ではCD8はMHC/TCRの相互作用を安定化させる。細胞傷害性T細胞の活性化は、続いて(ウイルスに)感染した細胞の破壊をもたらす。MHCクラスIIは、マクロファージ、B細胞及び樹状細胞上に見出される。これらの免疫細胞は、MHC/TCR相互作用を安定化するCD4を有するヘルパーT細胞に抗原を提示する。MHCクラスIIとTCRとの相互作用は、最終的には、抗体媒介性免疫応答をもたらす。CD45、CD28及びCD2などの他の共刺激分子は、免疫学的シナプスにおけるT細胞活性化を促進し、細胞内シグナル伝達を担う高分子タンパク質複合体であるTCRシグナロソームの形成を開始する。
ヒトCD3イプシロンに結合する幾つかの抗体、例えば、抗体OKT3(例えば、Kung, P. et al., Science 206 (1979) 347-349; Salmeron, A. et al., J Immunol 147 (1991) 3047-3052)、抗体UCHT1(例えば、Callard, R.E. et al., Clin Exp Immunol 43 (1981) 497-505)又は抗体SP34(例えば、Pessano, S. et al., EMBO J 4 (1985) 337-344)などが当技術分野で知られている。これらから、見た目上抗体SP34のみが、ヒト カニクイザル交差反応性である(Conrad M.L., et. al., Cytometry A 71 (2007) 925-933)。
国際公開第2007/042261号は、交差種特異的抗体を含む組成物及びその使用を報告している。Soo Young Yang, et al., LN USA 137 (1986) 1097-1100において、CD3−Ti系複合体及びCD2ヒツジ赤血球受容体の決定基の両方を含む、Tリンパ球の活性化のための共通の経路が報告されている。国際公開第2012/158818号は、多重特異性Fab融合タンパク質及び使用方法を報告する。DD272473は、ヒトTリンパ球のCD3抗原のイプシロン鎖に対するモノクローナル抗体の産生のための方法が報告されている。
発明の要旨
本明細書では、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するための方法及びその使用を提供する。
非ヒト実験動物をカニクイザル抗原のみで免疫することにより、すなわちヒトホモログで前又は後で実験動物を免疫しないでヒト カニクイザル交差反応性抗体を得ることができることが見いだされている。
本明細書で報告される一態様は、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する/生成する/得るための唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で非ヒト実験動物を免疫する工程を含む方法の使用である。
一実施態様において、天然型カニクイザル抗原は、対応するヒト抗原に存在している一以上の(連続する)アミノ酸ストレッチを欠いており、対応するヒト抗原における、ている(連続する)アミノ酸ストレッチの一つが、ヒト抗原の主要免疫原性部位/エピトープである。一実施態様において、(天然型カニクイザル)抗原はCD3イプシロンであり、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は配列番号02の(天然型)ヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合する。一実施態様において、非ヒト実験動物は、初代カニクイザルPBLで1回以上免疫され、それによりPBLは(任意選択的に)T細胞について濃縮される。一実施態様において、免疫化は、第一工程(注射)として皮内投与、第二工程(注射)として筋肉内投与、及び第三段階(注射)として皮下投与を含む。一実施態様において、本方法は、変性剤を使用しない/使用する。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロン、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。
本明細書で報告される別の態様は、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生し/生成し/得るために、免疫原として初代ヒトPBLを使用せず/使用して、かつ変性剤を使用せず/使用して、非ヒト実験動物を初代カニクイザルPBLで3回免疫し、(任意選択的に)T細胞について濃縮される工程を含む方法の使用であり、ここで抗体がヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3(例えば、Kung, P. et al., Science 206 (1979) 347-349; Salmeron, A. et al., J Immunol 147 (1991) 3047-3052を参照、抗体UCHT1(例えば、Callard, R.E. et al., Clin Exp Immunol 43 (1981) 497-505を参照)又は抗体SP34(例えば、Pessano, S. et al., EMBO J 4 (1985) 337-344を参照)と同じエピトープに結合しない。一実施態様において、本明細書中に報告される抗体は、国際公開第2007/042261号において報告された抗体と同じエピトープに結合しない。一実施態様において、本明細書に報告される抗体は、国際公開第2007/042261号に報告された抗体と同じエピトープに結合せず、ヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、及び(/又は)ヒトT細胞を活性化する。
本明細書で報告される別の態様は、唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で非ヒト実験動物を免疫する工程を含むヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する方法である。
一実施態様において、天然型カニクイザル抗原は、対応するヒト抗原に存在している一以上の(連続する)アミノ酸ストレッチを欠いており、対応するヒト抗原における、ている(連続する)アミノ酸ストレッチの一つが、ヒト抗原の主要免疫原性エピトープである。一実施態様において、非ヒト実験動物は、初代カニクイザルPBLで1回以上免疫され、それによりPBLは(任意選択的に)T細胞について濃縮される。一実施態様において、免疫化は、第一工程として皮内投与、第二工程として筋肉内投与、及び第三工程として皮下投与を含む。
本明細書に報告される別の態様は、初代カニクイザルPBLで非ヒト実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが(任意選択的に)T細胞について濃縮される工程を含む、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する方法であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない。
本明細書に報告される別の態様は、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。一実施態様において、本明細書中に報告される抗体は、国際公開第2007/042261号において報告された抗体と同じエピトープに結合しない。一実施態様において、本明細書に報告される抗体は、国際公開第2007/042261号に報告された抗体と同じエピトープに結合せず、ヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、及び(/又は)ヒトT細胞を活性化する。
本明細書に報告される別の態様は、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34及び/又は国際公開第2007/042261号に報告されている抗体と同じエピトープに結合しない。
本明細書に報告される別の態様は、初代カニクイザルPBLで非ヒト実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに/使用して、かつ変性剤を使用せずに、PBLが(任意選択的に)T細胞について濃縮されることにより得ることができる/得られる、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない。一実施態様において、本明細書中に報告される抗体は、国際公開第2007/042261号において報告された抗体と同じエピトープに結合しない。一実施態様において、本明細書に報告される抗体は、国際公開第2007/042261号に報告された抗体と同じエピトープに結合せず、ヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、及び(/又は)ヒトT細胞を活性化する。
発明の詳細な説明
T細胞は、適応免疫応答の重要なエフェクターであり、病原体の排除及び自己免疫疾患における多くの重要な役割を有する。異なる機能を有するT細胞の幾つかのサブセットが存在する。
Tヘルパー細胞は、B細胞の形質細胞及び記憶B細胞への成熟、ならびに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む免疫学的プロセスにおいて他の白血球を支援する。これらの細胞は、それらの表面にCD4糖タンパク質を発現するので、CD4+ T細胞としても知られている。Tヘルパー細胞は、それらがAPCの表面上に発現されるMHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示されると活性化される。活性化されると、それらは急速に***し、活性な免疫応答を調節又は補助するサイトカインと呼ばれる小さなタンパク質を分泌する。
細胞傷害性T細胞は、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊し、移植拒絶にも関与する。これらの細胞は、それらの表面でCD8糖タンパク質を発現するので、CD8+ T細胞としても知られている。これらの細胞は、全ての有核細胞の表面上に存在するMHCクラスIと会合する抗原に結合することによって、それらの標的を認識する。
記憶T細胞は、感染が消散された後も長期間持続する抗原特異的T細胞のサブセットである。それらは、それらの同族抗原への再曝露時に、多数のエフェクターT細胞に迅速に増殖し、免疫系に過去の感染に対する「記憶」を提供する。記憶細胞は、CD4+又はCD8+の何れかである。
以前はサプレッサーT細胞として知られていた調節性T細胞は、免疫学的耐性の維持に重要である。それらの主要な役割は、免疫反応の終焉に向かってT細胞媒介性免疫を停止し、胸腺において陰性選択の過程を逃れた自己反応性T細胞を抑制することである。
ナチュラルキラーT細胞は、自然免疫系と適応免疫系を架橋する。NKT細胞は、主要組織適合複合体(MHC)分子によって提示されるペプチド抗原を認識する従来のT細胞とは異なり、CD1dと呼ばれる分子によって提示される糖脂質抗原を認識する。一旦活性化されると、これらの細胞は、ヘルパーT細胞及び細胞傷害性T細胞の両方に起因する機能(すなわち、サイトカイン産生及び細胞溶解/細胞死滅分子の放出)を行うことができる。
TCRとペプチド−MHC複合体との相互作用の後、TCR共受容体CD4及びCD8は、SrcキナーゼLCKをその基質(Veillette et al., 1988, Cell):TCR会合性CD3及びζ鎖免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)(Artyomov et al., 2010, Proc. Natl Acad. Sci. USA)の近傍への送達を標的化するために重要である。生存する無刺激T細胞は、シグネチャーチロシン、及びロイシン又はイソロイシン、原形質膜の脂質二重層中に埋め込まれたそれらのCD3εITAMの残基を有することが示された。活性化すると、これらの膜貫通ドメインは脂質二重層から放出され、LCKの基質として利用可能になる(Xu et al., 2008, Cell)。何がCD3イプシロン細胞質ドメインの解離を引き起こすのかは明らかではないが、TCR会合における局所脂質環境の過渡的変化(Xu et al., 2008, Cell)、又はペプチド−MHC複合体に結合するTCRによるCD3イプシロン鎖に及ぼされるトルクのメカノセンシング(mechano−sensing)が可能性のある原因として想定されている(Kim et al., 2012, Front. Immunol.)。動力学的分離モデルは、TCRシグナル伝達が、LCKが豊富で膜貫通型ホスファターゼCD45を欠いている脂質膜の領域に分割された結果として引き起こされることを示唆している。
TCRの作動により、LCKの豊富さとその調節因子の豊富さと位置は、LCKの標的がリン酸化される程度を決定づける(Lovatt et al., 2006, Mol. Cell. Biol.)。これらの標的は、TCR会合CD3ガンマ鎖、CD3デルタ鎖、CD3イプシロン鎖及びゼータ鎖のITAMの中のチロシン残基及びSYKファミリーキナーゼZAP70(70kDaのゼータ鎖会合プロテインキナーゼ)を含む。結果として、幾つかの主要なシグナル伝達枝が活性化され得る(Acuto et al., 2008, Nature Rev. Immunol.):細胞接着を促進するインテグリン親和性の上方制御;T細胞の増殖及び分化に必要な遺伝子の発現に重要な転写因子の核への協調的動員;及びT細胞活性化、増殖、接着及びT細胞のエフェクターT細胞への分化に必須であるアクチン再編成(より詳細については、Brownlie & Zamoyska , 2013, Nat Rev Immunol.を参照)。
種々の研究により、CD3分子がアルファベータTCRの適切な細胞表面発現及び正常なT細胞発生にとって重要であることが明らかにされている(Berkhout et al., 1988, J. Biol. Chem.; Wang et al., 1998, J. Exp. Med.; Kappes, 1995, Curr. Opin. Immunol.)。システインリッチなストークは、CD3二量体化を促進する上で重要な役割を果たすようであるが(Su, loc. cit., Borroto, 1998, J. Biol. Chem.)、CD3イプシロン(CD3e)の細胞外ドメイン(ECDs)及びCD3γは、これらのタンパク質のTCRβとの会合に十分である(Manolios, 1994, Eur. J. Immunol.; Manolios & Li, 1995, Immunol. Cell Biol.)。TCRの化学量論は、1つのアルファベータTCR、1つのCD3イプシロンガンマヘテロ二量体、1つのCD3イプシロンデルタヘテロ二量体及び1つのCD3ゼータゼータホモ二量体を恐らく含む。免疫応答におけるヒトCD3イプシロンガンマヘテロ二量体の中心的役割を考慮して、治療抗体OKT3に結合したこの複合体の結晶構造は解明されている(Kjer-Nielsen, 2004, PNAS)。
多くの治療戦略は、TCRシグナル伝達を標的とすることによって、特に臨床的に使用される抗ヒトCD3モノクローナル抗体によってT細胞免疫を調節する。動物研究は、抗CD3抗体が同種異系移植に対する耐性を誘導することを示し(Nicolls et al., 1993)、CD3イプシロンに対する抗CD3抗体であるOKT3は、拒絶反応の予防及び治療のための固形臓器移植において免疫抑制の誘導のためにヒトにおける使用が臨床的に承認されている(Norman 1995)。興味深いことに、I型糖尿病に対する感受性はCD3イプシロン遺伝子座に関連しており(Wong et al., 1991)、抗CD3抗体はI型糖尿病及び他の自己免疫疾患の症状を改善することが示されている(Sprangers et al., 2011)。CD3特異的抗体(Tunnacliffe, 1989, Int. Immunol.)は、リンホカイン産生(Von Wussow, 1981, J. Immunol.; Palacious, 1982, J. Immunol.)、増殖(Van Wauve, 1980, J. Immunol.)及びサプレッサー−T細胞誘導(Kunicka, 1986, in "Lymphocyte Typing II")などの様々なT細胞応答を誘導することができる。実験条件に依存して、CD3特異的モノクローナル抗体は、細胞傷害性を阻害するか又は誘導することができる(Leewenberg, 1985, J. Immunol.; Phillips, 1986, J . Immunol.; Platsoucas, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci.; Itoh, 1987, Cell. Immunol.; Mentzer, 1985, J. Immunol.; Landegren, 1982, J. Exp. Med.; Choi, 2001, Eur. J. Immunol.; Xu, 2000, Cell Immunol.; Kimball, 1995, Transpl. Immunol.)。
幾つかの研究は、最も広く使用されているCD3イプシロンモノクローナル抗体OKT3、WT31、UCHT1,7D6及びLeu−4は、CD3−イプシロン鎖で一度トランスフェクトされた細胞に結合しないことを報告している。しかし、これらの抗体は、CD3イプシロン+CD3ガンマ又はCD3デルタの何れかの組み合わせで二重にトランスフェクトされた細胞を染色した(Tunnacliffe, 1989, Int. Immunol.; Law, 2002, Int. Immunol.; Salmeron, 1991, J. Immunol.; Coulie, 1991, Eur. J. Immunol.)。2番目のより小さいグループでは、立体構造エピトープがCD3イプシロンサブユニットそれ自体の内に形成されている。このグループのメンバーは、例えば、変性型CD3イプシロンに対して産生されたmAb APA1/1である(Risueno, 2005, Blood)。まとめると、当技術分野において記載されているCD3イプシロン抗体の大部分は、CD3の二以上のサブユニットに位置する立体構造エピトープを認識し、従って、TCRの天然型の状況においてCD3イプシロンのみを認識する。
種特異性は、ヒト疾患の治療のための治療剤としての抗体の開発に対して大きな障害である。市場の承認を得るためには、何れの新規候補薬物も前臨床及び臨床段階を通過しなければならない。後者はヒト患者で実施されるが、前者は動物で実施される。前臨床試験の目的は、薬物候補が所望の活性を有し、かつ最も重要なことは安全であることを証明することである。動物における安全性及び薬物候補の潜在的な有効性が前臨床試験で確立された場合にのみ、この薬物候補はヒトにおける臨床試験について各規制当局によって承認される。チンパンジーは絶滅の危機に瀕していると考えられており、及び、そのヒトのような性質のために、薬物安全性試験のためのそのような動物の使用は、欧州では禁止されており、他の地域では非常に制限されているので、好ましくは、カニクイザルのような下等霊長類が免疫系を妨害する薬物候補の安全性試験に使用される。
多くのCD3抗体が種特異的であることが見出されている。最も広く使用され、かつ最も特徴付けられた、CD3複合体に特異的なモノクローナル抗体の1つはOKT−3である。この抗体は、マカク(例えば、カニクイザル)又はイヌCD3(Sandusky et al., 1986, J. Med. Primatol.)などの他の霊長類のCD3ホモログとは反応しないが、チンパンジーCD3と反応する。抗CD3モノクローナル抗体UCHT−1はまた、チンパンジーからのCD3と反応するが、マカクからのCD3とは反応しない。一方、マカク抗原を認識するが、抗体FN18のようなそれらのヒト対応物は認識しないモノクローナル抗体の例もある。
上記のように、CD3複合体のサブユニットであるCD3イプシロン(CD3e)を介してヒトT細胞に結合して活性化する利用可能な抗体が幾つか存在する:OKT3(Kung et al., 1979, Science; Salmeron et al., 1991, J Immunol)、UCHT1(Callard et al., 1981, Clin Exp Immunol)、その誘導体V9(Zhu & Carter, 1995, J Immunol)及びSP34(Pessano et al., 1985, EMBO J)。OKT3、UCHT1(=誘導体V9)は、カニクイザルT細胞に対して交差反応性ではない。カニクイザルT細胞に結合して活性化する唯一の抗体はSP34抗体であるように見える(Conrad et al., 2007, Cytometry A)。
適切な抗体の生成は、例えば、組換え発現されたCD3eが人工的なコンフォメーションを有するホモ二量体を形成するので、天然型コンフォメーションを有する組換え単量体CD3eを得ることが困難であるという事実により大きく妨げられている(Su et al., 2009, Int J Mol Med)。更に、CD3e内の小胞体の保持シグナルは細胞内蓄積を引き起こし、その結果、CD3eは細胞内に組換え発現されると細胞表面に到達しない(Brodeur et al., 2009, Int Immunol)。更に悪いことに、細胞内の尾部において高度に荷電したアミノ酸も、細胞内及び細胞上における適切な組換え発現を妨げる(Call & Wucherpfennig 2005, Annu Rev Immunol)。
更に、72%同一性アミノ酸であるヒト及びカニクイザルCD3イプシロンECDの低い配列類似性は、機能的なヒト カニクイザル交差反応性抗体を生成することを非常に困難にさせる。
本発明は、少なくとも部分的には、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、非ヒト実験動物をカニクイザル抗原のみで免疫することにより、すなわち実験動物をヒトホモログにより前又はその後に免疫することなく得ることができるという知見に基づいている。当業者は、実験動物としてのカニクイザルを免疫することは、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を得るためには適切ではない、すなわち非ヒト実験動物も非カニクイザル実験動物であることを理解している。
従って、本明細書で報告される一態様は、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するための唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で実験動物を免疫する工程を含む方法である。一実施態様において、天然型カニクイザル抗原は、対応するヒト抗原に対して80%未満の配列同一性を有する。一実施態様において、天然型カニクイザル抗原は、対応するヒト抗原に対して80%から60%の配列同一性を有する。一実施態様において、天然型カニクイザル抗原は、対応するヒト抗原に対して80%から70%の配列同一性を有する。
ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、ヒト抗原において高度に免疫原性であるアミノ酸ストレッチが免疫化のために回避される場合に得られることが見出されている。一実施態様において、天然型カニクイザル抗原は、対応するヒト抗原に存在している一以上の(連続する)アミノ酸ストレッチを欠いており、対応するヒト抗原における、ている(連続する)アミノ酸ストレッチの一つが、ヒト抗原の主要免疫原性エピトープである。
一実施態様において、天然型カニクイザル抗原はT細胞抗原である。一実施態様において、天然型カニクイザル抗原はCD3イプシロンである。一実施態様において、天然型カニクイザル抗原はCD3イプシロンであり、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は配列番号02の(天然型)ヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチド(YPRGSKPEDANFYLYLRARV)に特異的に結合する。
一実施態様において、実験動物は、初代カニクイザルPBLで1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される。一実施態様において、実験動物は、初代カニクイザルPBLで3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される。
T細胞を活性化するヒト カニクイザル交差反応性抗体は、その本来の形態である、すなわち変性されていない抗原で実験動物を免疫することによって生成され得ることが見出されている。従って、一実施態様において、本方法は変性剤を使用しない。一実施態様において、本方法は完全フロイントアジュバントを使用しない。
本明細書に記載の方法により、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロンに特異的に結合し、更にT細胞を活性化することができるヒト カニクイザル交差反応性抗体が見出された。T細胞活性化は、カルシウムフラックスアッセイを用いて示すことができる。従って、一実施態様において、本明細書に報告されるヒト カニクイザル交差反応性抗体は、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロン、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。
本明細書に報告される一態様は、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するために、初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮される工程を含む方法であり、ここで抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。
本明細書に報告される別の態様は、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するために、初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮される工程を含む方法であり、ここで抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない。更に、抗体はまた国際公開第2007/042261号において報告された抗体と同じエピトープに結合しない。
本明細書に報告される別の態様は、以下の工程を含む、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生するための方法である:
a)本明細書に報告される方法を用いてヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する工程、
b)工程a)で産生された抗体をコードする核酸を含む細胞を提供する工程、
c)工程b)の細胞を培養する工程、
d)細胞又は培養上清から抗体を回収する工程、
及び、それによりヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生する工程。
本明細書に報告される別の態様は、以下の工程を含む、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生するための方法である:
a)本明細書に報告される方法を用いて抗体を産生する工程、
b)工程a)で産生された抗体をコードする核酸を単離する工程、
c)任意選択的に抗体をヒト化する工程、
d)工程b)で単離された、又は工程c)で得られた抗体をコードする核酸を発現ベクターにクローニングする工程、
e)工程d)で得られた発現ベクターで細胞をトランスフェクトする工程、
f)工程e)の細胞を培養する工程、
g)細胞又は培養上清から抗体を回収する工程、
及び、それによりヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生する工程。
本明細書に報告される別の態様は、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。
本明細書に報告される更なる態様は、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない。
一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び(c)配列番号06から配列番号08からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号04から配列番号05からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号06から配列番号08からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号10から配列番号11からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号05のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号15のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は(c)(a)のVH配列及び(b)のVL配列を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、配列番号14のVH配列を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、配列番号15のVL配列を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、配列番号14のVH配列及び配列番号15のVL配列を含む。
本明細書に報告される一態様は、本明細書に報告されるヒト カニクイザル交差反応性抗体及び細胞障害剤を含むイムノコンジュゲートである。
本明細書に報告される一態様は、本明細書に報告されるヒト カニクイザル交差反応性抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的製剤である。
本明細書で報告される一態様は、唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で実験動物を免疫する工程を含む方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体である。
本明細書に報告される一態様は、初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮されることにより得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。
本明細書に報告される一態様は、初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮されることにより得ることができる、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない。
当業者は、カニクイザル由来の抗原を使用する場合、実験動物は免疫応答を得るために非カニクイザルの実験動物でなければならないという事実を認識している。
定義
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列の変化を含み得る。幾つかの実施態様において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。幾つかの実施態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、Vはヒト免疫グロブリンのフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に配列が同一である。
用語「抗CD3イプシロン抗体」及び「CD3イプシロンに結合する抗体」は、抗体がCD3イプシロンを標的とし、診断薬剤及び/又は治療的薬剤として有用であるように十分な親和性でCD3イプシロンに結合することができる抗体を指す。一実施態様において、抗CD3イプシロン抗体の、無関係な、非CD3イプシロンタンパク質への結合の程度は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される場合、ヒト及び/又はカニクイザルCD3イプシロンへの抗体のETBRへの結合の約10%未満である。
「特異的に結合する(specifically binds)」又は「特異的に結合する(specifically binding)」という用語は、BIAcoreアッセイ(SPR)で決定された10−5M未満のK値(M=mol/l)(例えば、10−6M)を有する抗原への抗体の結合を指す。
本明細書で使用する用語「ヒトCD3イプシロン」は、ヒトCD3イプシロンの全長アミノ酸配列の細胞外ドメイン、すなわちシグナル配列、膜貫通ドメイン又は細胞質ドメインを含まず、アミノ酸配列DGNEEMGGITQTPYKVSISGTTVILTCPQYPGSEILWQHNDKNIGGDEDDKNIGSDEDHLSLKEFSELEQSGYYVCYPRGSKPEDANFYLYLRARVCENCMEMD(配列番号02)を有する。
本明細書において用語「抗体」は、最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
用語「ヒト カニクイザル交差反応性抗体」は、ヒト抗原ならびに対応するカニクイザル抗原に特異的に結合する分子を指す。
本明細書で報告されるCD3イプシロンに結合する抗体と同じエピトープに結合する抗体は、例えば、X線結晶学又はペプチドスキャンにより決定されたCD3イプシロンの同じアミノ酸残基に結合/相互作用する抗体を指す。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらの幾つかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IGA、及びIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
本明細書で使用される場合の用語「細胞傷害性薬物」は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を指す。細胞傷害性薬物は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);成長阻害剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素など;抗生物質;小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素(それらの断片及び/又はその変異体を含む);及び様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を包含する。
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより変わる、抗体Fc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害(CDC);Fc受容体結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、例えば、所望の治療的又は予防的結果を達成するために、必要な用量及び期間で有効な量を指す。
用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。その用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。一実施態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在しても、存在してなくともよい。本明細書に明記されていない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、 Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「フレームワーク」又は「FR」は、高頻度可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を意味する。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRのドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。従って、HVR及びFR配列は一般にVH(又はVL)の以下の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に現れる。
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然型抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含める。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、継代の数に関係なく、それに由来する初代形質転換細胞及び子孫が含まれる。子孫は、親細胞と、核酸含有物において完全に同一ではなく、変異を含む場合もある。元来の形質転換細胞において、スクリーニング又は選択された場合に、同様の機能又は生物活性を有する変異子孫がここに含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリーや他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のそれに対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからなされる。一般的には、配列のサブグループは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Bethesda MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3にあるサブグループである。一実施態様において、VLについて、サブグループは上掲のKabat et al.にあるサブグループカッパIである。一実施態様において、VHについて、サブグループは上掲のKabat et al.にあるサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRのアミノ酸残基及びヒトFRのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意選択的に、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
本明細書で用いられる「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列が超可変である抗体可変ドメインの領域(「相補性決定領域」すなわち「CDR」)及び/又は構造的に既定されるループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域及び/又は抗原に接触する残基(「抗原コンタクト(antigen contact)」を含有する抗体可変ドメインの領域のそれぞれを指す。一般的に、抗体は、VHに三つ(H1、H2、H3)、VLに三つ(L1、L2、L3)の計六つのHVRを含む。
本明細書において、例示的なHVRは、
(a)アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b)アミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35b(H1)、50−65(H2)、及び95−102(H3)で生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c)アミノ酸残基27c−36(L1)、46−55(L2)、89−96(L3)、30−35b(H1)、47−58(H2)、及び93−101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));及び
(d)HVRのアミノ酸残基46−56(L2)、47−56(L2)、48−56(L2)、49−56(L2)、26−35(H1)、26−35b(H1)、49−65(H2)、93−102(H3)、及び94−102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組合せ。
特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、上掲のKabatらに従い、本明細書において番号が付けられる。
「イムノコンジュゲート」とは、細胞傷害性剤を含むがそれに限定されない、一又は複数の異種分子にコンジュゲートした抗体である。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる変異を含み、又はモノクローナル抗体製剤の製造時に発生し、一般的に少量で存在している変異体などの、可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」なる修飾語句は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないと解釈されるべきものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック実験動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
本明細書で使用する「末梢血リンパ球」又は「PBL」という用語は、臓器(脾臓又はリンパ節など)に局在化するのではなく、血液中を循環する成熟リンパ球を意味する。PBLは、T細胞、NK細胞及びB細胞を含む。
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを得るように配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後の、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなさない、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、当分野の技術の範囲内にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含めた、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書において、アミノ酸配列同一性%の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社によって著作され、ソースコードは米国著作権庁、ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。また、ALIGN−2は、ジェネンテック社(South San Francisco、California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)V4.0Dを含めたUNIX(登録商標)オペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定されて変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは、A及びBのプログラムアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2によって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと一致しない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは一致しないと評価されるであろう。特に断らない限りは、ここで使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、直前のパラグラフに記載したように、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。
用語「薬学的製剤」は、その中に含有されている活性成分の生物学的活性が有効になることを可能にするような形態であって、製剤が投与される被験体にとって許容できないほど毒性である追加の成分を含まない調製物を指す。
「薬学的に許容可能な担体」は、被験体に非毒性であり、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容可能な担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は保存剤を含む。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。通常、天然型抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般的に、各々が四つの保存されたフレームワーク領域(FR)と三つの超可変領域(HVR)とを含む類似構造を有する。(例えば、Kindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007)、91頁を参照)。抗原結合特異性を付与するには、単一のVH又はVLドメインで十分である。更に、ある特定の抗原に結合する複数の抗体を、その抗原に特異的に結合するある一つの抗体に由来するVHドメイン又はVLドメインを用いて単離し、相補的なVLドメイン又はVHドメインそれぞれのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano, S. et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照。
本明細書で使用される用語「ベクター」は、結合する別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びに導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、それらが動作可能なように結合されている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターを、本明細書では「発現ベクター」と言う。
A.例示的な抗CD3イプシロン抗体
一態様において、本発明は、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロンに結合する単離された抗体を提供する。ある実施態様において、抗CD3イプシロン抗体は
・配列番号01のポリペプチドに結合し、及び/又は
・ヒト(配列番号02)及びカニクイザル(配列番号28)のCD3イプシロンのECDに結合し、及び/又は
・ヒト及び/又はカニクイザルT細胞を活性化し、及び/又は
・CD3イプシロンのアゴニストであり、及び/又は
・その抗原に対して≦10μMの親和性で結合する。
一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び(c)配列番号06から配列番号08からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号04から配列番号05からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号06から配列番号08からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号10から配列番号11からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号05のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号15のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は(c)(a)のVH配列及び(b)のVL配列を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、配列番号14のVH配列を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、配列番号15のVL配列を含む。一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、配列番号14のVH配列及び配列番号15のVL配列を含む。
更なる実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗CD3イプシロン抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。
一実施態様において、抗CD3イプシロン抗体は抗体断片、例えばFv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)断片である。
別の実施態様において、抗体は全長抗体、例えばインタクトなIgG1抗体又は本明細書で定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
更なる実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗CD3抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる:
1.抗体親和性
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、≦100μM又は≦10μM(例えば、10−5M又はそれ未満)の解離定数(Kd)を有する。
別の実施態様によれば、CM4チップ上の固定化抗原により、25℃でBIACORE(登録商標)−T100(GE Healthcare)を用いる表面プラズモン共鳴アッセイを用いてKd値を測定する。例えば、捕捉系(10μg/mlヤギ抗ウサギIgG Fc断片特異的;注文コード:111−005−046;Jackson Immuno Research)の約2000共鳴単位(RU)をGE Healthcareによって供給されるアミンカップリングキットを用いてpH5.0でCM4チップ(GE Healthcare、BR−1005−34)に結合させる。固定化のためのランニング緩衝液は、HBS−N pH7.4(10mMのHEPES、150mMのNaCl、pH7.4、GE Healthcare、BR−1006−70)であった。追跡される動力学アッセイのために、ランニング及び希釈緩衝液はHBS−P pH7.4(10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.05%界面活性剤P20、pH7.4、GE Healthcare、BR−1006−71)である。フローセルを25℃に設定し、試料ブロックを12℃に設定し、ランニング緩衝液で2回刺激する。クローン645抗体は、1μg/mlの溶液を10μl/分の流速で60秒間注入することによって捕捉する。会合は、溶液中の様々な濃度のヒトCD3e(ストーク)Fc−Knob−CD3d(ストーク)FcHole又はカニクイザルCD3e(ストーク)Fc−Knob−CD3d(ストーク)FcHoleの注入を、1350nMで開始し、続いて1回1:1.5希釈し、更に1:3希釈して、30μl/分の流速で180秒間の注入によって測定される。解離相を最高300秒間モニターし、試料溶液からランニング緩衝液に切り替えることによってトリガーする。表面を、10μl/分の流速で60秒間、グリシンpH1.7溶液の2回の連続注入で洗浄することによって再生する。バルク屈折率の差は、ヤギ抗ウサギIgG Fc表面から得られた応答を差し引くことによって補正する。ブランク注入もまた減算される(=ダブルリファレンス)。会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時にフィットさせることによる単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えば、Chen, Y. et al., J. Mol. Biol. 293 (1999) 865-881を参照。
2.抗体断片
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は抗体断片である。抗体断片は、限定されるものではないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、Fv、及びscFv断片、並びに下記の他の断片を含む。所定の抗体断片の総説については、Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134を参照。scFv断片の総説については、例えば、Plueckthun, A., In; The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore (eds.), Springer-Verlag, New York (1994), pp. 269-315を参照;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。
ダイアボディは、二価又は二重特異性でありうる二つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第0404097号;国際公開第1993/01161号; Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134;及びHolliger, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448を参照。トリアボディ及びテトラボディもまた、Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (20039 129-134)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部、又は軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部を含む抗体断片である。ある実施態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis、Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6248516(B1)号を参照)。
抗体断片は様々な技術で作成することができ、限定されないが、本明細書に記載するように、インタクトな抗体の分解、並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による生産を含む。
3.キメラ及びヒト化抗体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体はキメラ抗体である。所定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号、及びMorrison, S.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855に記載されている。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
ある実施態様において、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したままヒト化されている。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が、非ヒト抗体から由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する、一以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、場合によっては、ヒト定常領域の少なくとも一部を含むであろう。幾つかの実施態様において、ヒト化抗体の幾つかのFR残基は、例えば抗体特異性又は親和性を回復もしくは改善するめに、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。
ヒト化抗体及びそれらの製造方法は、例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633に総説され、更に、 Riechmann, I. et al., Nature 332 (1988) 323-329; Queen, C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033;米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号及び第7087409号; Kashmiri, S.V. et al., Methods 36 (2005) 25-34 (SDR(a−CDR)グラフティングを記述);Padlan, E.A., Mol. Immunol. 28 (1991) 489-498 (「リサーフェシング」を記述); Dall'Acqua, W.F. et al., Methods 36 (2005) 43-60 (「FRシャッフリング」を記述);及びOsbourn et al., Methods 36:61-68 (2005) 及び Osbourn, J. et al., Methods 36 (2005) 61-68 and Klimka, A. et al., Br. J. Cancer 83 (2000) 252-260(FRシャッフリングへの「誘導選択」アプローチを記述)に記載されている。
ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域は、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims, M.J. et al.,J. Immunol. 151 (1993) 2296-2308を参照;軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289;及びPresta, L.G. et al., J. Immunol. 151 (1993) 2623-2632を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒトの生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633を参照);及びFRライブラリースクリーニング由来のフレームワーク領域(例えば、Baca, M. et al., J. Biol. Chem. 272 (1997) 10678-10684 及びRosok, M.J. et al., J. Biol. Chem. 271 (19969 22611-22618)を参照)を含む。
4.ヒト抗体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で周知の様々な技術を用いて生産することができる。ヒト抗体は一般的に、van Dijk, M.A. and van de Winkel, J.G., Curr. Opin. Pharmacol. 5 (2001) 368-374及びLonberg, N., Curr. Opin. Immunol. 20 (2008) 450-459に記載されている。
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を持つインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック実験動物に、免疫原を投与することにより調製され得る。このような動物は、典型的には内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか若しくは該動物の染色体にランダムに組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、通常は不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の報告については、Lonberg, N., Nat. Biotech. 23 (2005) 1117-1125を参照。また、例えば、XENOMOUSETM技術を記載している、米国特許第6075181号及び6150584号;HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号)を参照。このような動物で生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、更に改変される可能性がある。
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の製造のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒト異種骨髄腫細胞株が記述されている。(例えば、 Kozbor, D., J. Immunol. 133 (1984) 3001-3005;Brodeur, B.R. et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York (1987), pp. 51-63; and Boerner, P. et al., J. Immunol. 147 (1991) 86-95);及びBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されたヒト抗体はまた、Li, J. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103 (2006) 3557-3562に記載されている。更なる方法は、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)及びNi, J., Xiandai Mianyixue 26 (2006) 265-268(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers, H.P. and Brandlein, S., Histology and Histopathology 20 (2005) 927-937及びVollmers, H.P. and Brandlein, S., Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27 (2005) 185-191に記載されている。
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。このような可変ドメイン配列は、次いで所望のヒト定常ドメインと組み合わされてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術が、以下に記載される。
5.ライブラリー由来の抗体
本発明の抗体は、一又は複数の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、様々な方法が、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなラリーをスクリーニングするために、当技術分野で知既知である。その方法は、例えば、Hoogenboom, H.R. et al., Methods in Molecular Biology 178 (2001) 1-37に概説され、更に、McCafferty, J. et al., Nature348 (1990) 552-554; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628; Marks, J.D. et al., J. Mol. Biol. 222 (1992) 581-597; Marks, J.D. and Bradbury, A., Methods in Molecular Biology 248 (2003) 161-175; Sidhu, S.S. et al., J. Mol. Biol. 338 (2004) 299-310; Lee, C.V. et al., J. Mol. Biol. 340 (2004) 1073-1093; Fellouse, F.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 12467-12472;及びLee, C.V. et al., J. Immunol. Methods 284 (2004) 119-132に記載されている。
所定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングされ、ファージライブラリーにランダムに再結合され、その後、Winter, G. et al., Ann. Rev. Immunol. 12 (1994) 433-455に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、通常、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片、又はFab断片の何れかとして提示する。免疫された起源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性を伴うことなく免疫原に高親和性抗体を提供する。代わりに、Griffiths, A.D. et al., EMBO J. 12 (1993) 725-734に記載されるように、ナイーブなレパートリーが、任意の免疫感作無しで、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対して、抗体の単一起源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。
最後に、ナイーブなライブラリーはまた、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)に記載されるように、非常に可変なCDR3領域をコードし、インビトロで再構成を達成するために、幹細胞由来の非再配列V遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用することにより合成することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを説明している特許公報は、例えば米国特許第5750373号並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、第2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、及び第2009/0002360号を含む。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書でヒト抗体又はヒト抗体の断片とみなされる。
6.多重特異性抗体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある実施態様において、結合特異性の一つはCD3イプシロンに対してであり、他は、任意の他の抗原に対してである。特定の実施態様において、二重特異性抗体は、CD3イプシロンの2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体はまたCD3イプシロンを発現する細胞に細胞傷害性薬物を局所化するために用いることができる。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製するための技術は、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein, C. and Cuello, A.C., Nature 305 (1983) 537-540、国際公開第93/08829号、及びTraunecker, A. et al., EMBO J. 10 (1991) 3655-3659を参照)及び「ノブ・イン・ホール(knob−in−hole)」エンジニアリング(例えば、米国特許第5731168号を参照)を含む。多重特異抗体はまた、抗体のFc−ヘテロ2量体分子を作成するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004号);2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan, M. et al., Science 229 (1985) 81-83を参照);2重特異性抗体を生成するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny, S.A. et al., J. Immunol. 148 (1992) 1547-1553を参照);二重特異性抗体断片をするため、「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Holliger, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448を参照);単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber, M et al., J. Immunol. 152 (1994) 5368-5374を参照);及び、例えばTutt, A. et al., J. Immunol. 147 (1991) 60-69に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作製することができる。
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を持つ改変抗体もまた本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号を参照)。
本明細書中の抗体又は断片はまた、CD3イプシロン並びにその他の異なる抗原(例えば米国特許出願公開第2008/0069820号参照)に結合する抗原結合部位を含む、「2重作用(Dual Acting)Fab」又は「DAF」を含む。
本明細書中の抗体又は抗体断片はまた、国際公開第2009/080251号、国際公開第2009/080252号、国際公開第2009/080253号、国際公開第2009/080254号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/115589号、国際公開第2010/136172号、国際公開第2010/145792号、及び国際公開第2010/145793号に記載される多重特異性抗体を含む。
7.抗体変異体
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれる。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することにより、又はペプチド合成により調製することができる。このような修飾は、例えば抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はそれへの挿入、及び/又はそれの置換を含む。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終コンストラクトに到達させるために作成され得る。
a)置換、挿入、及び欠失変異体
ある実施態様において、一以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異の目的の部位は、HVR及びFRを含む。例示的な変更は、「例示的置換」と題して表1に示され、アミノ酸側鎖のクラスを参照して下記に更に説明される。保存的置換は、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示されている。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、その生成物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされる。
アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
置換変異体の一つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体など)の一以上の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的には、更なる研究のために選択され得られた変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の改変(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。典型的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて簡便に生成され得る。簡潔に言えば、一以上のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば、置換)を、例えば抗体の親和性を向上させるために、HVRで行うことができる。このような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンにコードされた残基で(例えば、Chowdhury, P.S., Methods Mol. Biol. 207 (2008) 179-196を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)で行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーから構築され再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom, H.R. et al. in Methods in Molecular Biology 178 (2002) 1-37に記載されている。親和性成熟の幾つかの実施態様において、多様性が、種々の方法(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチドを標的とした突然変異誘発)の何れかにより、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが作成される。次いで、該ライブラリーは、所望の親和性を持つ任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するするもう一つの方法は、幾つかのHVR残基(例えば、一度に4から6残基)がランダム化されたHVR指向のアプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発又はモデリングを用いて、特異的に同定することができる。特に、CDR−H3及びCDR−L3が多くの場合標的とされる。
ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限りにおいて、一以上のHVR内で生じる可能性がある。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的変更(例えば本明細書において提供される保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上記に与えられた変異体VH又はVL配列のある実施態様において、各HVRは不変であるか、又はわずか1個、2個又は3個のアミノ酸置換が含まれているかの何れかである。
突然変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham, B.C. and Wells, J.A., Science 244 (1989) 1081-1085により説明されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定され、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを判断するために、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置換される。更なる置換が該アミノ酸位に導入されて、最初の置換に対する機能的感受性を実証してもよい。代わりに、又は更に、抗原抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との接触点を同定する。そのような接触残基及び隣接残基が、置換の候補として標的とされるか又は排除され得る。変異体はそれらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
アミノ酸配列挿入は、一残基から百以上の残基を含有するポリペプチド長にわたるアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、酵素に対する抗体のN末端又はC末端への融合(例えばADEPTの場合)、又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドへの融合を含む。
b)グリコシル化変異体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少するように改変される。グリコシル化部位の抗体への付加又は欠失は、一又は複数のグリコシル化部位が創出又は削除されるようにアミノ酸配列を改変することにより、簡便に達成することができる。
抗体がFc領域を含む場合には、それに付着する糖を変えることができる。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN結合により一般に付着した分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright, A. and Morrison, S.L., TIBTECH 15 (1997) 26-32を参照。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合した、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、シアル酸、並びにフコースを含み得る。幾つかの実施態様において、本発明の抗体におけるオリゴ糖の改変は、一定の改善された特性を有する抗体変異体を作成するために行われ得る。
一実施態様において、抗体変異体は、Fc領域に(直接又は間接的に)付着されたフコースを欠いた糖鎖構造を有して提供される。例えば、このような抗体のフコース量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析法によって測定されるAsn297に付着している全ての糖構造の合計(例えば、コンプレックス、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対して、Asn297の糖鎖中のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とはFc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、しかしながら、Asn297はまた抗体のわずかな配列変異に起因して、297位のおよそ±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち294位から300位に位置する場合もある。このようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有しうる。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号;米国特許第2004/0093621号を参照。「非フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する出版物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号、国際公開第2000/61739号、国際公開第2001/29246号、米国特許出願公開第2003/0115614号、米国特許出願公開第2002/0164328号、米国特許出願公開第2004/0093621号、米国特許出願公開第2004/0132140号、米国特許出願公開第2004/0110704号、米国特許出願公開第2004/0110282号、米国特許出願公開第2004/0109865号、国際公開第2003/085119号、国際公開第2003/084570号、国際公開第2005/035586号、国際公開第2005/035778号、国際公開第2005/053742号、国際公開第2002/031140号、Okazaki, A. et al., J. Mol. Biol. 336 (2004) 1239-1249; Yamane-Ohnuki, N. et al., Biotech. Bioeng. 87 (2004) 614-622が含まれる。非フコシル化抗体を産生する能力を有する細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka, J., et al., Arch. Biochem. Biophys. 249 (1986) 533-545;米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えば、アルファ−1、6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞など(例えば、Yamane-Ohnuki, N., et al., Biotech. Bioeng. 87 (2004) 614-622; Kanda, Y., et al., Biotechnol. Bioeng. 94 (2006) 680-688;及び国際公開第2003/085107号を参照)を含む。
抗体変異体は、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を更に備えている。そのような抗体変異体は、低下したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有しうる。このような抗体変異体の例は、例えば国際公開第2003/011878号;米国特許第6602684号;及び米国特許出願公開第2005/0123546号に記述される。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体変異体も提供される。このような抗体変異体はCDC機能を改善させた可能性がある。このような抗体変異体は、例えば国際公開第1997/30087号;国際公開第1998/58964号;及び国際公開第1999/22764号に記述される。
c)Fc領域変異体
ある実施態様において、一又は複数のアミノ酸修飾を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入し、それによりFc領域変異体を生成することができる。Fc領域変異体は、一又は複数のアミノ酸位置でアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含みうる。
ある実施態様において、本発明は、インビボにおける抗体の半減期が重要であるが、ある種のエフェクター機能(例えば補体及びADCCなど)が不要又は有害である用途のための望ましい候補とならしめる、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体変異体を意図している。インビトロ及び/又はインビボでの細胞毒性アッセイを、CDC活性及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認するために行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠くが(それゆえ、おそらくADCC活性を欠く)、FcRn結合能力を保持していることを確認するために行うことができる。ADCCを媒介する初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch, J.V. and Kinet, J.P., Annu. Rev. Immunol. 9 (1991) 457-492の464ページの表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5500362号(例えば、Hellstrom, I., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83 (1986) 7059-7063;及びHellstrom, I., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 (1985) 1499-1502を参照);米国特許第5821337号(Bruggemann, M., et al., J. Exp. Med. 166 (1987) 1351-1361を参照)に説明される。あるいは、非放射性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology、Inc. Mountain View、CA;及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代わりに、又は更に、対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95 (1998) 652-656に開示されている動物モデルなどの動物モデルで評価しうる。C1q結合アッセイはまた、抗体が体C1qを結合することができないこと、従ってCDC活性を欠いていることを確認するために行うことができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照のこと。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro, H. et al., J. Immunol. Methods 202 (1996) 163-171; Cragg, M.S. et al., Blood 101 (2003) 1045-1052;及びCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103 (2004) 2738-2743を参照)。FcRn結合及びインビボでのクリアランス/半減期の測定は、当該分野で公知の方法を用いても行うことができる(例えば、Petkova, S.B. et al., Int. Immunol. 18 (2006: 1759-1769を参照)。
エフェクター機能が低下した抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの一又は複数の置換を伴うものを含む(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然変異体を含めた、アミノ酸位置265、269、270、297、及び327のうちの二以上において置換を有するFc突然変異体を含む(米国特許第7332581号)。
FcRへの改善又は減少した結合を持つ特定の抗体変異体が記載されている。(例えば、米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShields, R.L. et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604を参照)。
ある実施態様において、抗体変異体はADCCを改善する一又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334における置換(EUの残基番号付け)を含む。
幾つかの実施態様において、改変された(すなわち改善されたか又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を生じる、Fc領域における改変がなされ、例えば、米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie, E.E. et al., J. Immunol. 164 (2000) 4178-4184に説明される。
増加した半減期を有し、胎仔への母性IgGの移送を担う、新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer, R.L. et al., J. Immunol. 117 (1976) 587-593及びKim, J.K. et al., J. Immunol. 24 (1994) 2429-2434)が、米国特許出願公開第2005/0014934号に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する一又は複数の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域の残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の一以上の置換、例えば、Fc領域の残基434の置換(米国特許第7,371,826号)を有するものが含まれる。
Duncan, A.R. and Winter, G., Nature 322 (1988) 738-740;米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及びFc領域の変異体の他の例に関しては国際公開第94/29351号も参照のこと。
d)システイン操作抗体変異体
ある実施態様において、抗体の一以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「thioMAbs」を作成することが望まれ得る。特定の実施態様において、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で存在する。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それにより抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書中で更に記載されるように、イムノコンジュゲーを作成するために、例えば薬物部分又はリンカー−薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートするために使用することができる。ある実施態様において、以下の残基の任意の一以上がシステインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabatの番号づけ);重鎖のA118(EUの番号づけ);及び重鎖Fc領域のS400(EUの番号づけ)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成され得る。
e)抗体誘導体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手可能な付加的な非タンパク質部分を含むように更に改変することができる。抗体の誘導体化に適した部分としては、限定されないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーの何れか)及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール並びにこれらの混合物を含む。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のために製造上の利点を有しうる。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に結合するポリマーの数は変動してよく、そして、一以上の重合体が結合する場合は、それらは同じか又は異なる分子であることができる。一般的に、誘導体化に使用するポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、向上させるべき抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が限定された条件下で治療に使用されるのか等を含む考慮に基づいて決定することができる。
その他の実施態様において、放射線への曝露によって選択的に加熱されてもよい抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが、提供される。一実施態様において、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam, N.W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102 (2005) 11600-11605)。放射線は、任意の波長であって良いが、限定されないものの、通常の細胞に害を与えないが、抗体−非タンパク質部分の近位細胞が死滅される温度に非タンパク質部分を加熱する波長が含まれる。
組換え法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号で説明したように、組換えの方法及び組成物を用いて製造することができる。一実施態様では、本明細書に記載される抗CD3イプシロン抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードしうる。更なる実施態様では、そのような核酸を含む一又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施態様では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施態様では、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下で形質転換されている):(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一ベクターと、抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第ニベクター。一実施態様において、宿主細胞は、真核生物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様において、抗CD3イプシロン抗体を作製する方法が提供され、その方法は、上記のように、抗体の発現に適した条件下で、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、及び必要に応じて、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
抗CD3イプシロン抗体の組み換え生産のために、例えば上述のような、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/又は発現のために、一又は複数のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離することができ、一般的な手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適切な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要ない場合には、抗体は、細菌で産生することができる。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、第5789199号及び第5840523号を参照。(また、大腸菌における抗体断片の発現を記述しているCharlton, K.A., In: Methods in Molecular Biology, 248巻、Lo, B.K.C. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ (2003)、頁245-254も参照。)発現の後、抗体は可溶性画分において細菌の細胞ペーストから単離され、更に精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、菌類や酵母菌株を含む抗体をコードするベクターのための、適切なクローニング宿主又は発現宿主であり、そのグリコシル化経路が、「ヒト化」されており、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす。Gerngross, T.U., Nat. Biotech. 22 (2004) 1409-1414; and Li, H. et al., Nat. Biotech. 24 (2006) 210-215を参照。
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物と脊椎動物)から派生している。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定され、これらは特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と組み合わせて使用することができる。
植物細胞培養を宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号及び第6417429号(トランスジェニック植物における抗体産生に関するPLANTIBODIESTM技術を記載)を参照。
脊椎動物細胞もまた宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合した哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(例えば、Graham, F.L. et al., J. Gen Virol. 36 (1977) 59-74に記載される293又は293細胞;ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(例えば、Mather, J.P., Biol. Reprod. 23 (1980) 243-252に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頚がん細胞(HeLa);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2)、マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えば、Mather, J.P. et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383 (1982) 44-68に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR CHO細胞(Urlaub, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77 (1980) 4216-4220)を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;及びY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、Yazaki, P. and Wu, A.M., Methods in Molecular Biology, Vol. 248, Lo, B.K.C. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ (2004), pp. 255-268を参照。
薬学的製剤
本明細書に記載の抗CD3イプシロン抗体の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するその抗体と任意の薬学的に許容可能な一以上の担体(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980))とを、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容可能な担体は、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに毒性でなく、そしてこれには、限定しないが、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリ(ビニルピロリドン);アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における典型的な薬学的に許容可能な担体は、介在性薬物分散剤、例えば、水溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rhuPH20(HYLENEX(登録商標))、Baxter International、Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。所定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rhuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968号に開示されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ又は複数の追加のグルコサミノグリカンと組み合わされる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性の抗体製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
本明細書中の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な一を超える活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含有してもよい。このような活性成分は、意図した目的のために有効な量で組み合わされ適切に存在する。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルジョン中に、封入され得る。これらの技術は、RemingtonのPharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980)に開示されている。
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の例には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、造形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
インビボ投与に使用される製剤は、一般に滅菌である。無菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を介した濾過によって、容易に達成され得る。
C.アッセイ
本明細書で提供される抗CD3イプシロン抗体は、当技術分野で周知の種々のアッセイによって同定され、その物理的/化学的性質及び/又は生物学的活性についてスクリーニングされ又は特徴付けされうる。
1.結合アッセイ及びその他のアッセイ
一態様において、本発明の抗体は、例えばELISA、ウエスタンブロット法など公知の方法により、その抗原結合活性について試験される。
別の態様では、競合アッセイを使用して、CD3イプシロンへの結合についてクローン645によって産生される抗体と競合する抗体を同定することができる。特定の実施態様では、このような競合抗体は、クローン645によって産生された抗体によって結合される同じエピトープ(例えば直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な典型的な方法が、Morris, G.E. (ed.), Epitope Mapping Protocols, In: Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Humana Press, Totowa, NJ (1996)に提供されている。
例示的競合アッセイでは、固定化CD3イプシロンは、CD3イプシロンに結合する第一の標識抗体(例えば、クローン645によって産生される抗体)と、CD3イプシロンへの結合について第一の抗体と競合する能力について試験される第二の標識化されていない抗体を含む溶液中においてインキュベートされる。第二の抗体はハイブリドーマ上清に存在してもよい。対照として、固定化CD3イプシロンが、第一の標識された抗体を含むが第二の非標識抗体は含まない溶液中でインキュベートされる。第一の抗体のCD3イプシロンへの結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰な未結合抗体が除去され、固定化されたCD3イプシロンに結合した標識の量が測定される。固定化CD3イプシロンに結合した標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体がCD3イプシロンへの結合において第一の抗体と競合していることを示している。Harlow, E. and Lane, D., Antibodies: A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1988)を参照。
2.活性のアッセイ
一態様において、アッセイは、生物学的活性を有するそれらの抗CD3イプシロン抗体を同定するために与えられる。生物学的活性は、例えば、T細胞の活性化を含み得る。インビボ及び/又はインビトロでこのような生物学的活性を有する抗体もまた提供される。
ある実施態様では、本発明の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。抗CD3イプシロン抗体の機能活性を試験するために、CD3陽性(Jurkat E6−1)及びCD3陰性(Jurkat RT3−T3.5)ヒトT細胞株を用いたカルシウムフラックスアッセイを使用することができる。従って、例えば、CD3陽性Jurkat E6−1細胞又はCD3陰性Jurkat RT3−T3.5を、ウェルあたり50μlの無血清培地(RPMI 1640/2mMのグルタミン/1mMのピルビン酸ナトリウム/10mMのHepes/0.1mMのNEAA中200,000細胞で黒壁透明底96ウェルプレート(BD Falcon)中に播種する。細胞にカルシウム感受性色素(FLIPR(登録商標)Calcium 5 Assay Kit、Molecular Devices)をロードする。色素の貯蔵溶液を製造業者の指示に従って調製する。使用直前にプロペネシドを添加し、50μl/ウェルの希釈色素を細胞に添加する(プロベネシドの最終濃度は2.5mM/ウェルであろう)。効率的なローディングのために、細胞を暗所で室温で2時間色素と共にインキュベートする。続いて、20μlのウサギ抗CD3イプシロンmAb(ウサギB細胞上清)又はキメラV9mAb、ウサギ免疫グロブリン定常領域及びヒト化抗CD3 mAb V9の可変領域からなるキメラ抗CD3抗体の連続希釈物を添加することによって細胞を刺激する。非特異的ポリクローナルウサギIgGは陰性対照として役割を果たす。抗CD3イプシロン誘導カルシウムフラックスの動力学を、30秒の時間間隔で7.5−10分間、蛍光(485nm ex./530nm em.)を測定することによってモニターする。キメラV9 mAbによって誘導されたカルシウムフラックスを図6Aに示す。キメラV9 mAbは、CD3陰性Jurkat RT3−T3.5細胞においてではなく、CD3陽性Jurkat E6−1細胞においてのみカルシウム動員を誘導し、その作用のCD3依存性を実証する。同様に、細胞を非特異的ウサギIgGで処理する場合、カルシウムフラックスは観察されない。
D.イムノコンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤又は薬物、成長抑制剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)、又は放射性同位元素など、1つ以上の細胞傷害性薬物にコンジュゲートした本明細書中の抗CD3イプシロン抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。
一実施態様において、イムノコンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)であって、そこでは抗体は、限定されないが、メイタンシノイド(米国特許第5208020号、第5416064号及び欧州特許第0425235(B1)号を参照);モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(米国特許第5,635,483号及び第5780588号及び第7498298号を参照)などのアウリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5712374号、米国特許第5714586号、米国特許第5739116号、米国特許第5767285号、米国特許第5770701号、米国特許第5770710号、米国特許第5773001号、及び米国特許第5877296号を参照;Hinman, L.M. et al., Cancer Res. 53 (1993) 3336-3342;及びLode, H.N. et al., Cancer Res. 58 (1998) 2925-2928);ダウノマイシン又はドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz, F. et al., Curr. Med. Chem. 13 (2006) 477-523; Jeffrey, S.C. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16 (2006) 358-362; Torgov, M.Y. et al., Bioconjug. Chem. 16 (2005) 717-721; Nagy, A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97 (2000) 829-834; Dubowchik, G.M. et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12 (2002) 1529-1532; King, H.D. et al., J. Med. Chem. 45 (20029 4336-4343;及び米国特許第6630579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;及びCC1065を含む一つ以上の薬物とコンジュゲートしている。
他の実施態様において、イムノコンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サポンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、及びトリコテセン(tricothecenes)を含む(ただし、これらに限定されない)酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートしている、本明細書に記載の抗体を含む。
他の実施態様では、イムノコンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成する本明細書に記載の抗体を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの製造のために入手可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体を含む。放射性コンジュゲートが検出に使用される場合、それは、シンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばTc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、MRIとしても周知)用のスピン標識、例えば、再びヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含有し得る。
抗体と細胞傷害性剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダート HCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6−ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、Vitetta, E.S. et al., Science 238 (1987) 1098-1104に記載されるように、リシンイムノトキシンを調製することができる。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのためのキレート剤の例である国際公開第94/11026号を参照のこと。リンカーは、細胞中に細胞毒性薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari, R.V. et al., Cancer Res. 52 (1992) 127-131;米国特許第5208020号)が使用され得る。
本明細書において、イムノコンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販の(例えばPierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL.、U.S.Aからの)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むクロスリンカー試薬を用いて調製されるコンジュゲートを明示的に意図する。
E.診断及び検出のための方法並びに組成物
特定の実施態様では、本明細書において提供される抗CD3イプシロン抗体のいずれもが、生物学的試料中の抗CD3イプシロンの存在を検出するために有用である。本明細書で使用する「検出(する)」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。ある実施態様において、生物学的試料は、細胞又は組織、例えば血液などを含む。
一実施態様では、診断又は検出方法に使用される抗CD3イプシロン抗体が提供される。更なる態様では、生物学的試料中におけるCD3イプシロンの存在を検出する方法が提供される。ある実施態様において、本方法は、抗CD3イプシロン抗体のCD3イプシロンへの結合を許容する条件下で、本明細書に記載のように抗CD3イプシロン抗体と生物学的試料を接触させること、及び複合体が抗CD3イプシロン抗体とCD3イプシロンとの間に形成されているかどうかを検出することを含む。そのような方法は、インビトロ又はインビボでの方法であり得る。一実施態様において、例えばCD3イプシロンが患者の選択のためのバイオマーカーであるなど、抗CD3イプシロン抗体が抗CD3イプシロン抗体による治療に好適な被験体を選択するために使用される。
本発明の抗体を用いて診断され得る典型的な障害はがんを含む。
ある実施態様において、標識された抗CD3イプシロン抗体が提供される。標識は、限定されるものではないが、(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識など)直接検出される標識又は部分、並びに、例えば、酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドのような部分が含まれる。典型的な標識は、限定されないが、ラジオアイソトープ32P、14C、125I、H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシェフェリン、2,3−ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、色素前駆体を酸化する過酸化水素を利用する酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼと共役したもの、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定な遊離ラジカルなどが含まれる。
F.薬学的製剤
本明細書に記載の抗CD3イプシロン抗体の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するその抗体と任意の薬学的に許容可能な一以上の担体(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980))とを、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容可能な担体は、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに毒性でなく、そしてこれには、限定しないが、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリ(ビニルピロリドン);アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における典型的な薬学的に許容可能な担体は、介在性薬物分散剤、例えば、水溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rhuPH20(HYLENEX(登録商標))、Baxter International、Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。所定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rhuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968号に開示されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ又は複数の追加のグルコサミノグリカンと組み合わされる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性の抗体製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
本明細書中の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な一を超える活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含有してもよい。このような活性成分は、意図した目的のために有効な量で組み合わされ適切に存在する。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルジョン中に、封入され得る。これらの技術は、RemingtonのPharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980)に開示されている。
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の例には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、造形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
インビボ投与に使用される製剤は、一般に滅菌である。無菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を介した濾過によって、容易に達成され得る。
G.治療法及び組成物
本明細書で提供される抗CD3イプシロン抗体の何れかを、治療方法で使用することができる。
一態様では、医薬として使用するための抗CD3イプシロン抗体が提供される。更なる態様では、がんの治療に使用するための抗CD3イプシロン抗体が提供される。ある実施態様において、治療の方法に使用される抗CD3イプシロン抗体が提供される。ある実施態様において、本発明は、個体に抗CD3イプシロン抗体の有効量を投与することを含む、癌を有する個体を治療する方法における使用のための抗CD3イプシロン抗体を提供する。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の付加的治療剤の有効量を個体に投与することを更に含む。更なる実施態様において、本発明は、T細胞を活性化することに使用のための抗CD3イプシロン抗体を提供する。ある実施態様において、本発明は、個体にT細胞を活性化するための抗CD3イプシロン抗体の有効量を投与することを含む、T細胞を活性化する方法において使用のための抗CD3イプシロン抗体を提供する。上記実施態様の何れかに記載の「個体」は、好ましくはヒトである。
更なる態様にて、本発明は、医薬の製造又は調製における抗CD3イプシロン抗体の使用を提供する。一実施態様において、医薬品はがんの治療のためのものである。更なる実施態様において、医薬は、がんを有する個体に、医薬の有効量を投与することを含む、がんを治療する方法で使用するためのものである。一つのそのような実施態様において、この方法は少なくとも一の付加的治療剤の有効量を個体に投与することを更に含む。更なる実施態様において、医薬はT細胞の活性化のためのものである。更なる実施態様にて、医薬は、T細胞を活性化するために医薬の有効量を個体に投与することを含む、個体においてT細胞を活性化する方法において使用するためのものである。上記実施態様の何れかに記載の「個体」は、ヒトであり得る。
更なる態様において、本発明は、例えば、上記の治療法の何れかに使用される、本明細書で提供される抗CD3イプシロン抗体の何れかを含む薬学的製剤を提供する。一実施態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗CD3イプシロン抗体の何れか、及び薬学的に許容可能な担体を含む。別の実施態様において、薬学的製剤は、本本明細書で提供される抗CD3イプシロン抗体の何れか、及び少なくとも一の付加的治療剤を含む。
本発明の抗体は、治療において、単独で又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも一の付加的治療剤と共投与されうる。
上記のこうした併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が、同一又は別々の製剤に含まれている)、及び、本発明の抗体の投与が、追加の治療剤及び/又はアジュバントの投与の前、同時、及び/又はその後に起きうる分離投与を包含する。本発明の抗体はまた放射線治療と併用して用いることができる。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、任意の適切な手段によって投与することができ、経口、肺内、及び鼻腔内、及び局所治療が所望される場合、病巣内投与が含まれる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存し、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。限定されないが、様々な時間点にわたる、単一又は複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含む様々な投与スケジュールが本明細書で考えられている。
本発明の抗体は良好な医療行為に合致した方法で処方され、投与され、投薬される。この文脈における考慮因子としては、治療すべき具体的な障害、治療すべき具体的な哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の因子が挙げられる。抗体は、必要ではないが任意選択的に、問題となる障害の予防又は治療のために、現在使用中の一又は複数の薬剤ともに処方される。そのような他の薬剤の有効量は製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療の種類及び上記した他の要因に依存する。これらは一般的には本明細書に記載されるのと同じ用量及び投与経路において、又は、本明細書に記載された用量の1%から99%で、又は経験的に/臨床的に妥当であると決定された任意の用量及び任意の経路により使用される。
疾患の予防又は治療のためには、本発明の抗体の適切な用量(単独で使用されるか、又は、一以上の更なる治療的薬剤との組み合わされる場合)は治療すべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体を予防又は治療目的のいずれにおいて投与するか、以前の治療、患者の臨床的履歴及び抗体に対する応答性、及び担当医の判断に依存する。抗体は、患者に対して、単回、又は一連の治療にわたって適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一回以上の別個の投与によるか、連続注入によるかに関わらず、抗体約1μg/kgから15mg/kg(例えば0.5mg/kgから10mg/kg)が患者への投与のための初期候補用量となり得る。1つの典型的な一日当たり用量は上記した要因に応じて約1μg/kgから100mg/kg又はそれ以上の範囲である。数日間以上に渡る反復投与の場合には、状態に応じて、治療は疾患症状の所望される抑制が起こるまで持続するであろう。1つの例示される抗体用量は約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲である。従って、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kgの1つ以上の用量(又はこれらの何れかの組み合わせ)を患者に投与してよい。このような用量は断続的に、例えば毎週又は3週毎(例えば患者が抗体の約2投与量から約20投与量、又は例えば約6投与量を受けるように)投与してよい。初期の高負荷投与量の後に一以上の低投与量が投与され得る。この治療の進行は、従来技術及びアッセイにより容易にモニターされる。
上記の製剤又は治療方法の何れかが、抗CD3イプシロン抗体の代わりか又は抗CD3イプシロン抗体に加えて、本発明のイムノコンジュゲートを用いて行うことができることが理解される。
III.製造品
本発明の他の実施態様において、上述した障害の治療、予防、及び/又は診断に有用な物質を含む製造品が提供される。製造品は、容器とラベル又は容器上にある又は容器に付属する添付文書を含む。好適な容器は、例としてボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグ等を含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な物質から形成されうる。容器は、疾患の治療、予防、及び/又は診断に有効である、それ自体か、又はその他の組成物と併用される化合物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針による穴あきストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一の活性剤は本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が特定の症状の治療のために使用されることを示している。更に、製造品は、(a)組成物が本発明の抗体を包含する組成物を含む第一の容器;及び(b)組成物が更なる細胞障害性又はその他の治療的薬剤を包含する組成物を含む第2の容器を含み得る。本発明の本実施態様における製造品は、組成物が特定の疾患を治療することに用いることができることを示す添付文書を更に含んでいてもよい。別法として、又は加えて、製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液を含む第二(又は第三)の容器を更に含んでもよい。これは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの立場から望まれる他の物質を更に含んでもよい。
上記の製造品の何れかは、抗CD3イプシロン抗体の代わりか又はそれに加えて、本発明のイムノコンジュゲートを含み得ることが理解される。
本発明の特定の実施態様
1.ヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するための唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で実験動物を免疫する工程を含む方法の使用。
2.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%未満の配列同一性を有する、実施態様1に記載の使用。
3.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から50%の配列同一性を有する、実施態様1又は2の何れか一に記載の使用。
4.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から60%の配列同一性を有する、実施態様1から3の何れか一に記載の使用。
5.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から70%の配列同一性を有する、実施態様1から4の何れか一に記載の使用。
6.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に存在している一以上の(連続する)アミノ酸ストレッチを欠いており、対応するヒト抗原における、ている(連続する)アミノ酸ストレッチの一つが、ヒト抗原の主要免疫原性エピトープである、実施態様1から5の何れか一に記載の使用。
7.天然型カニクイザル抗原が、T細胞抗原である、実施態様1から6の何れか一に記載の使用。
8.天然型カニクイザル抗原が、CD3イプシロンである、実施態様1から7の何れか一に記載の使用。
9.天然型カニクイザル抗原がCD3イプシロンであり、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は配列番号02の(天然型)ヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合する、実施態様1から8の何れか一に記載の使用。
10.実験動物が、初代カニクイザルPBLで1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様1から9の何れか一に記載の使用。
11.実験動物が、初代カニクイザルPBLで2回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様1から10の何れか一に記載の使用。
12.実験動物が、初代カニクイザルPBLで3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様1から11の何れか一に記載の使用。
13.免疫化が、皮内投与、筋肉内投与及び皮下投与を含む、実施態様1から12の何れか一に記載の使用。
14.免疫化が第一工程として皮内投与、第二工程として筋肉内投与、及び第三工程として皮下投与を含む、実施態様1から13の何れか一に記載の使用。
15.実験動物が、初代カニクイザルPBLで週1回1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様1から14の何れか一に記載の使用。
16.実験動物が、初代カニクイザルPBLで毎週1回3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様10から15の何れか一に記載の使用。
17.実験動物が(ヒト)トランスジェニック実験動物である、実施態様1から16の何れか一に記載の使用。
18.実験動物がマウス又はラット又はモルモット又はウサギである、実施態様1から17の何れか一に記載の使用。
19.実験動物がウサギである、実施態様1から18の何れか一に記載の使用。
20.実験動物がラットである、実施態様1から19の何れか一に記載の使用。
21.方法が変性剤を使用しない、実施態様1から20の何れか一に記載の使用。
22.方法が完全フロイントアジュバントを使用しない、実施態様1から21の何れか一に記載の使用。
23.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、ヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様1から22の何れか一に記載の使用。
24.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロン、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様1から23の何れか一に記載の使用。
25.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、配列番号02のヒトCD3イプシロンの残基30から60からなるポリペプチドに特異的に結合しない、実施形態1から24の何れか一に記載の使用。
26.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、配列番号02のヒトCD3イプシロンの残基1から70からなるポリペプチドに特異的に結合しない、実施形態1から25の何れか一に記載の使用。
27.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない、実施形態1から27の何れか一に記載の使用。
28.ヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するために、初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮される工程を含む方法の使用であり、ここで抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する方法の使用。
29.配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生するために、初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮される工程を含む方法の使用であり、ここで抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない方法の使用。
30.唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で実験動物を免疫する工程を含むヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する方法。
31.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%未満の配列同一性を有する、実施態様30に記載の方法。
32.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から50%の配列同一性を有する、実施態様30から31の何れか一に記載の方法。
33.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から60%の配列同一性を有する、実施態様30から32の何れか一に記載の方法。
34.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から70%の配列同一性を有する、実施態様30から33の何れか一に記載の方法。
35.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に存在している一以上の(連続する)アミノ酸ストレッチを欠いており、対応するヒト抗原における、ている(連続する)アミノ酸ストレッチの一つが、ヒト抗原の主要免疫原性エピトープである、実施態様30から34の何れか一に記載の方法。
36.天然型カニクイザル抗原が、T細胞抗原である、実施態様30から35の何れか一に記載の方法。
37.天然型カニクイザル抗原が、CD3イプシロンである、実施態様30から36の何れか一に記載の方法。
38.天然型カニクイザル抗原がCD3イプシロンであり、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は配列番号02の(天然型)ヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合する、実施態様30から37の何れか一に記載の方法。
39.実験動物が、初代カニクイザルPBLで1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様30から38の何れか一に記載の方法。
40.実験動物が、初代カニクイザルPBLで2回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様30から39の何れか一に記載の方法。
41.実験動物が、初代カニクイザルPBLで3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様30から40の何れか一に記載の方法。
42.免疫化が、皮内投与、筋肉内投与及び皮下投与を含む、実施態様30から41の何れか一に記載の方法。
43.免疫化が第一工程として皮内投与、第二工程として筋肉内投与、及び第三工程として皮下投与を含む、実施態様30から42の何れか一に記載の方法。
44.実験動物が、初代カニクイザルPBLで週1回1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様30から43の何れか一に記載の方法。
45.実験動物が、初代カニクイザルPBLで毎週1回3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様39から44の何れか一に記載の方法。
46.実験動物がトランスジェニック実験動物である、実施態様30から45の何れか一に記載の方法。
47.実験動物がマウス又はラット又はモルモット又はウサギである、実施態様30から46の何れか一に記載の方法。
48.実験動物がウサギである、実施態様30から47の何れか一に記載の方法。
49.実験動物がラットである、実施態様30から48の何れか一に記載の方法。
50.方法が変性剤を使用しない、実施態様30から49の何れか一に記載の方法。
51.方法が完全フロイントアジュバントを使用しない、実施態様30から50の何れか一に記載の方法。
52.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、ヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様30から51の何れか一に記載の方法。
53.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロン、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様30から52の何れか一に記載の方法。
54.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、配列番号02のヒトCD3イプシロンの残基30から60からなるポリペプチドに特異的に結合しない、実施形態30から53に記載の方法。
55.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、配列番号02のヒトCD3イプシロンの残基1から70からなるポリペプチドに特異的に結合しない、実施形態30から54の何れか一に記載の方法。
56.ヒト カニクイザル交差反応性抗体が、抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない、実施形態30から55の何れか一に記載の方法。
57.初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより初代ヒトPBLを使用せずにPBLが任意選択的にT細胞について濃縮され、それにより変性剤を使用せずに免疫原としてPBLが任意選択的にT細胞について濃縮される工程を含むヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する方法であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する方法。
58.初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより初代ヒトPBLを使用せずにPBLが任意選択的にT細胞について濃縮され、それにより変性剤を使用せずに免疫原としてPBLが任意選択的にT細胞について濃縮される工程を含む、配列番号02のヒトCD3イプシロンに結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する方法であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない方法。
59.以下の工程:
a)実施態様30から58の何れか一に記載の方法を用いてヒト カニクイザル交差反応性抗体を産生する工程、
b)工程a)で産生された抗体をコードする核酸を含む細胞を提供する工程、
c)工程b)の細胞を培養する工程、
d)細胞又は培養上清から抗体を回収する工程、
及び、それによりヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生する工程
を含む、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生するための方法。
60.以下の工程:
a)実施態様30から58の何れか一に記載の方法を用いて抗体を産生する工程、
b)工程a)で産生された抗体をコードする核酸を単離する工程、
c)任意選択的に抗体をヒト化する工程、
d)工程b)で単離された、又は工程c)で得られた抗体をコードする核酸を発現ベクターにクローニングする工程、
e)工程d)で得られた発現ベクターで細胞をトランスフェクトする工程、
f)工程e)の細胞を培養する工程、
g)細胞又は培養上清から抗体を回収する工程、
それによりヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生する工程
を含む、ヒト カニクイザル交差反応性抗体を組換え的に産生するための方法。
61.配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する。
62.配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない。
63.抗体が、(a)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び(c)配列番号06から配列番号08からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む、実施態様61から62の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
64.抗体が、(a)配列番号04から配列番号05からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号06から配列番号08からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、実施態様61から63の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
65.(a)配列番号10から配列番号11からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、実施態様61から64の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
66.抗体が、(a)配列番号05のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、実施態様61から65の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
67.一実施態様において、ヒト カニクイザル交差反応性抗体は、(a)配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号15のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は(c)(a)のVH配列及び(b)のVL配列を含む、実施態様61から66の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
68.配列番号14のVH配列を含む、実施態様61から67の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
69.配列番号15のVL配列を含む、実施態様61から68の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
70.配列番号14のVH配列及び配列番号15のVL配列を含む、ヒト カニクイザル交差反応性抗体。
71.実施態様61から70の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体及び細胞障害剤を含むイムノコンジュゲート。
72.実施態様61から71の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的製剤。
73.医薬として使用のための実施態様61から72の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
74.抗体が配列番号14のウサギVH配列のヒト化変異体及び配列番号15のウサギVL配列のヒト化変異体を含む、実施態様61から73の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
75.抗体が配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、並びに抗体がヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様61から74の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
76.抗体が配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、並びに抗体がヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない、実施態様61から75の何れか一に記載のヒト カニクイザル交差反応性抗体。
77.唯一の抗原として、天然型カニクイザル抗原で実験動物を免疫する工程を含む方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
78.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%未満の配列同一性を有する、実施態様77に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
79.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から50%の配列同一性を有する、実施態様77から78の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
80.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から60%の配列同一性を有する、実施態様77から79の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
81.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に対して80%から70%の配列同一性を有する、実施態様77から80の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
82.天然型カニクイザル抗原が、対応するヒト抗原に存在している一以上の(連続する)アミノ酸ストレッチを欠いており、対応するヒト抗原における、ている(連続する)アミノ酸ストレッチの一つが、ヒト抗原の主要免疫原性エピトープである、実施態様77から81の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
83.天然型カニクイザル抗原が、T細胞抗原である、実施態様77から82の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
84.天然型カニクイザル抗原が、CD3イプシロンである、実施態様77から83の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
85.天然型カニクイザル抗原がCD3イプシロンであり、抗体が配列番号02の(天然型)ヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合する、実施態様77から84の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
86.実験動物が、初代カニクイザルPBLで1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様77から85の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
87.実験動物が、初代カニクイザルPBLで2回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様77から86の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
88.実験動物が、初代カニクイザルPBLで3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様77から87の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
89.免疫化が、皮内投与、筋肉内投与及び皮下投与を含む、実施態様77から88の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
90.免疫化が、第一の注入として皮内投与、第二の注入として筋肉内投与及び第三の注入として皮下投与を含む、実施態様77から89の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
91.実験動物が、初代カニクイザルPBLで週1回1回以上免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様77から90の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
92.実験動物が、初代カニクイザルPBLで週1回3回免疫され、それによりPBLは任意選択的にT細胞について濃縮される、実施態様77から91の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
93.実験動物がトランスジェニック実験動物である、実施態様77から92の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
94.実験動物がマウス又はラット又はモルモット又はウサギである、実施態様77から93の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
95.実験動物がウサギである、実施態様77から94の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
96.実験動物がラットである、実施態様77から95の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
97.方法が変性剤を使用しない、実施態様77から96の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
98.方法が完全フロイントアジュバントを使用しない、実施態様77から97の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
99.抗体が、ヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様77から98の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
100.抗体が、ヒト及びカニクイザルCD3イプシロン、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する、実施態様77から99の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
101.抗体が、配列番号02のヒトCD3イプシロンの残基30から60からなるポリペプチドに特異的に結合しない、実施形態77から100の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
102.抗体が、配列番号02のヒトCD3イプシロンの残基1から70からなるポリペプチドに特異的に結合しない、実施形態77から101の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
103.抗体が、抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない、実施形態77から102の何れか一に記載の方法により得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体。
104.初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮されることにより得ることができるヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞、配列番号01のポリペプチドに特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化する抗体。
105.初代カニクイザルPBLで実験動物を3回免疫し、それにより、免疫原として初代ヒトPBLを使用せずに、かつ変性剤を使用せずに、PBLが任意選択的にT細胞について濃縮されることにより得ることができる、配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体はヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、ヒトT細胞を活性化し、かつ抗体OKT3、抗体UCHT1及び/又は抗体SP34と同じエピトープに結合しない抗体。
以下の実施例、図面及び配列は、本発明の理解を助けるために提供されるが、本発明の真の範囲は特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順で改変がなされうる。
配列の説明
配列番号01 ヒトCD3イプシロン細胞外ドメインの残基77−96のアミノ酸配列。
配列番号02 ヒトCD3イプシロンの細胞外ドメインのアミノ酸配列。
配列番号03 全長ヒトCD3イプシロンのアミノ酸配列。
配列番号04 抗体クローン645のHVR−H1変異体1のアミノ酸配列。
配列番号05 抗体クローン645のHVR−H1変異体2のアミノ酸配列。
配列番号06 抗体クローン645のHVR−H2変異体1のアミノ酸配列。
配列番号07 抗体クローン645のHVR−H2変異体2のアミノ酸配列。
配列番号08 抗体クローン645のHVR−H2変異体3のアミノ酸配列。
配列番号09 抗体クローン645のHVR−H3のアミノ酸配列。
配列番号10 抗体クローン645のHVR−L1変異体1のアミノ酸配列。
配列番号11 抗体クローン645のHVR−L1変異体2のアミノ酸配列。
配列番号12 抗体クローン645のHVR−L2のアミノ酸配列。
配列番号13 抗体クローン645のHVR−L3のアミノ酸配列。
配列番号14 抗体クローン645の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列。
配列番号15 抗体クローン645の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列。
配列番号16 ヒトCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号17 Fc(ホール)のアミノ酸配列。
配列番号18 カニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号19 ヒトCD3e−ストーク−Fc(ノブ)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号20 ヒトCD3d−ストーク−Fc(ホール)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号21 ヒトCD3gC85−ストーク−Fc(ホール)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号22 カニクイザルCD3e ストーク−Fc(ノブ)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号23 カニクイザルCD3d ストーク−Fc(ホール)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号24 ヒトCD3e −1−26−Fc(ノブ)Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号25 カニクイザルCD3e 5−26−Fc(ノブ)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号26 ヒトCD3e 5−26−Fc(ノブ)−Avi融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
配列番号27 全長カニクイザルCD3イプシロンのアミノ酸配列。
配列番号28 カニクイザルCD3イプシロン細胞外ドメインのアミノ酸配列。
配列番号29 カニクイザルCD3イプシロンの残基69−88のアミノ酸配列。
配列番号30 プライマーrbHCfinal.upのヌクレオチド配列。
配列番号31 プライマーrbHCfinal.doのヌクレオチド配列。
配列番号32 プライマーrbLCfinal.upのヌクレオチド配列。
配列番号33 プライマーrbLCfinal.doのヌクレオチド配列。
ヒト及びカニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)融合ポリペプチドの概略図。 SDS−Page Gel(複数):4−12% Bis/TrisA)1 − Mark 12(Invitrogen)、2 − ヒトCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)還元型B)1 − HiMark(Invitrogen)、2 − CD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)非還元型C)1 − Mark 12(Invitrogen)、2 − カニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)還元型;3 − カニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)非還元型; A)ヒト及びカニクイザルCD3eストークFc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)融合ポリペプチド、B)ヒトCD3eストークFc(ノブ)−Avi/CD3gC85−ストーク−Fc(ホール)融合ポリペプチド、C)ヒトCD3e−1−26−Fc(ノブ)Avi/Fc(ホール)、ヒト及びカニクイザルCD3e 5−26−Fc(ノブ)Avi/Fc(ホール)融合ポリペプチドの概略図。 代表的なSDS−Page Gel(複数):4−12% Bis/TrisA)1 − Mark 12(invitrogen)、2 − ヒトCD3e ストークFc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)還元型;B)1 − HiMark(Invitrogen)、2 − ヒトCD3e ストークFc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)非還元型; ヒトTリンパ球の増殖のグラフ表示 試験した抗体がヒトT細胞を活性化する能力を評価するためのカルシウムフラックスアッセイ(96ウェルフォーマット)A)結合した抗CD3抗体の架橋を伴わないカルシウムフラックスアッセイB)感度を改善するために結合した抗CD3抗体の架橋を伴うカルシウムフラックスアッセイ 試験した抗体がヒトT細胞を活性化する能力を評価するためのカルシウムフラックスアッセイ(384ウェルフォーマット)A)結合した抗CD3抗体の架橋を伴わないカルシウムフラックスアッセイB)感度を改善するために結合した抗CD3抗体の架橋を伴うカルシウムフラックスアッセイ 生成したmAb対抗CD3対照抗体(SP34−2)のヒトT細胞への結合の比較 生成したmAb対抗CD3対照抗体(SP34−2)のカニクイザルT細胞への結合の比較
材料及び方法
実施例1
A)第一の免疫化キャンペーンのための組換えヒトCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)及びカニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)の調製
第一の免疫化キャンペーンのために、CD3g鎖と融合したCD3eを含むヒト及びカニクイザル組換えタンパク質が産生された。ヒトCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi(配列番号16)及びカニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi(配列番号18)は、グリシン−セリンリンカー((G4S)5)によって連結されているCD3e及びCD3gの外部ドメインがFc(ホール)と同時発現されたC末端Aviタグを有するFc(ノブ)に融合した組換えタンパク質である(配列番号17)(図1)。
分子は、ポリエチレンイミン(PEI)を用いてHEK293−EBNA細胞を対応する哺乳動物発現ベクターと同時トランスフェクトすることによって産生される。細胞に対応する発現ベクターを1:1の比率(「ベクター抗原−Fc(ホール)」:「ベクター抗原−Fc(ノブ)」)でトランスフェクトする。
HEK293−EBNA細胞を、血清を含まないCD CHO培養液中で浮遊状態で培養する。500mlの振盪フラスコ中での産生のために、トランスフェクションの24時間前に、400万個のHEK293 EBNA細胞を播種する。トランスフェクションのために、細胞を210xgで5分間遠心分離し、上清を予熱した20mlのCD CHO培地と交換する。発現ベクターをCD CHO培地20ml中で最終量200μgのDNAと混合する。540μlのPEI溶液の添加後、15秒間ボルテックスし、続いて室温で10分間インキュベートする。その後、細胞をDNA/PEI溶液と混合し、500mlの振とうフラスコに移し、5%CO雰囲気のインキュベーターで37℃で3時間インキュベートする。インキュベーション時間後、160mlのF17培地を添加し、細胞を24時間培養する。
トランスフェクションの1日後、1mMのバルプロ酸及び7%のFeed1を添加する。7日間培養した後、210×gで15分間の遠心分離による精製のために上清を集め、溶液を滅菌濾過し(0.22μmフィルター)、0.01%w/vの最終濃度のアジ化ナトリウムを添加し、4℃に保つ。
分泌されたタンパク質は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、続いてサイズ排除クロマトグラフィー工程を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製される。
アフィニティークロマトグラフィーのために、上清を40mMの20mMリン酸ナトリウム、20mMのクエン酸ナトリウム、500mMのNaCl、0.01%(v/v)のTween−20、pH7.5で平衡化したHiTrap ProteinA HPカラム(CV=5mL、GE Healthcare)にロードする。非結合タンパク質は、少なくとも10カラム容量の平衡緩衝液で洗浄することによって除去される。20mMのクエン酸ナトリウム、500mMの塩化ナトリウム、0.01%(v/v)のTween−20、pH3.0まで20カラム容積にわたって直線的なpH勾配で標的タンパク質を溶出する。続いて10カラム容量の20mMクエン酸ナトリウム、500mMのNaCl、0.01%(v/v)Tween−20、pH3.0でカラムを洗浄する。
0.5Mリン酸ナトリウムの1/10を添加することにより、タンパク質溶液を中和する。標的タンパク質を、0.01%(v/v)Tween−20を含有するpH7.4の2mMのMOPS、150mM塩化ナトリウム溶液で平衡化したHiLoad Superdex 200カラム(GE Healthcare)にロードする前に濃縮する。
精製されたタンパク質試料のタンパク質濃度は、アミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を用いて280nmでの光学密度(OD)を測定することによって決定される。抗体の純度及び分子量は、還元剤(5mMの1,4−ジチオトレイトール)の存在下及び非存在下でSDS−PAGE及びクーマシー(SimpleBlueTM SafeStain、Invitrogen)による染色によって分析する(図2Aから2C)。製造業者の指示(4−12%トリス−アセテートゲル又は4−12%ビス−トリス)に従って、NuPAGE(登録商標)プレキャストゲルシステム(Invitrogen、USA)を使用する。抗体試料の凝集物含有量を、2mMのMOPS、150mMのNaCl、0.02%(w/v)NaN3、pH7.3のランニング緩衝液中、25℃で平衡化したSuperdex200 10/300GL分析サイズ排除カラム(Tosoh)を用いて分析する。
1B)免疫化から生じるIgGの特徴付けのための組換えヒトCD3e−ストーク−Fc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)、ヒトCD3e−ストーク−Fc(ノブ)−Avi/CD3gC85−ストーク−Fc(ホール)、カニクイザルCD3e ストーク−Fc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)、ヒトCD3e−1−26 − Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)、ヒトCD3e 5−26 − Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)及びカニクイザルCD3e 5−26 − Fc(ノブ)Avi/Fc(ホール)の調製
免疫化によって生成されたCD3eに対する抗体を特徴付けるために、幾つかの組換えタンパク質が産生された(図3Aから3C)。ヒトCD3e−ストーク−Fc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)(配列番号19/配列番号20)、ヒトCD3e−ストーク−Fc(ノブ)−Avi/CD3gC85−ストーク−Fc(ホール)(配列番号19/配列番号21)及びカニクイザルCD3e ストーク−Fc(ノブ)−Avi/CD3d−ストーク−Fc(ホール)(配列番号22/配列番号23)は、Fc(ホール)に融合したCD3d又はCD3gの何れかの細胞外ドメインと同時発現されたC末端Aviタグを有するFc(ノブ)に融合したストーク領域を含むCD3eの完全な外部ドメインを有する組換えタンパク質である。ヒトCD3e−1−26 − Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)(配列番号24/配列番号17)、ヒトCD3e 5−26 − Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)(配列番号26/配列番号17)及びカニクイザルCD3e 5−26 − Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)(配列番号25/配列番号17)はFc(ホール)と同時発現されたFc(ノブ)へのペプチド融合体である。ヒトCD3e−1−26 − Fc(ノブ)−Avi/Fc(ホール)は成熟CD3eの最初の26アミノ酸を含むが、一方ヒト及びカニクイザルCD3e 5−26 − Fc(ノブ)Avi/Fc(ホール)は成熟CD3eのアミノ酸残基5−26のペプチド融合体である。
分子は、ポリエチレンイミン(PEI)を用いてHEK293−EBNA細胞を対応する哺乳動物発現ベクターと同時トランスフェクトすることによって産生される。細胞に対応する発現ベクターを1:1の比率(「ベクター抗原−Fc(ホール)」:「ベクター抗原−Fc(ノブ)」)でトランスフェクトする。
HEK293−EBNA細胞を、血清を含まないCD CHO培養液中で浮遊状態で培養する。500mlの振盪フラスコ中での産生のために、トランスフェクションの24時間前に、400万個のHEK293 EBNA細胞を播種する。トランスフェクションのために、細胞を210xgで5分間遠心分離し、上清を予熱した20mlのCD CHO培地と交換する。発現ベクターをCD CHO培地20ml中で最終量200μgのDNAと混合する。540μlのPEI溶液の添加後、15秒間ボルテックスし、続いて室温で10分間インキュベートする。その後、細胞をDNA/PEI溶液と混合し、500mlの振とうフラスコに移し、5%CO雰囲気のインキュベーターで37℃で3時間インキュベートする。インキュベーション時間後、160mlのF17培地を添加し、細胞を24時間培養する。トランスフェクションの1日後、1mMのバルプロ酸及び7%のFeed1を添加する。7日間培養した後、210×gで15分間の遠心分離による精製のために上清を集め、溶液を滅菌濾過し(0.22μmフィルター)、0.01%w/vの最終濃度のアジ化ナトリウムを添加し、4℃に保つ。
分泌されたタンパク質は、上述されるようにプロテインAアフィニティークロマトグラフィー、続いてサイズ排除クロマトグラフィー工程を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製される。
精製されたタンパク質試料のタンパク質濃度は、アミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を用いて280nmでの光学密度(OD)を測定することによって決定される。抗体の純度及び分子量は、還元剤(5mMの1,4−ジチオトレイトール)の存在下及び非存在下でSDS−PAGE及びクーマシー(SimpleBlueTM SafeStain、Invitrogen)による染色によって分析する。製造業者の指示(4−12%トリス−アセテートゲル又は4−12%ビス−トリス)に従って、NuPAGE(登録商標)プレキャストゲルシステム(Invitrogen、USA)を使用する(図3A及び3B)。抗体試料の凝集物含有量を、25mMのK2HPO4、125mMのNaCl、200mMのL−アルギニンモノヒドロクロライド、0.02%(w/v)NaN3、pH6.7のランニング緩衝液中、25℃で平衡化したTSKgel G3000 SW XL分析サイズ排除カラム(Tosoh)を用いて分析する。
更に、以下のヒト及びカニクイザルCD3eペプチドが、新規抗体のエピトープの精製のために生成された:
a)ビオチン−リンカー−ヒトCD3eアミノ酸1−22
b)ヒトCD3eアミノ酸1−22−リンカー−ビオチン

c)ビオチン−リンカー−カニクイザルCD3eアミノ酸1−22
d)カニクイザルCD3eアミノ酸1−22−リンカー−ビオチン

e)ビオチン−リンカー−ヒトCD3eアミノ酸77−96(配列番号01)
f)ヒトCD3eアミノ酸77−96(配列番号01)−リンカー−ビオチン

g)ビオチン−リンカー−カニクイザルCD3eアミノ酸69−88(配列番号29)
h)カニクイザルCD3eアミノ酸69−88(配列番号29)−リンカー−ビオチン
これらの4つのペプチドは、(別段の記載がない場合)全ての可能なエピトープへの接近可能性を可能にするために、スクリーニングアッセイにおいて両方の変異体の混合物として使用されるN又はC末端ビオチンの何れかと共に合成され、例えばビオチン化末端が抗体から1つのエピトープをブロックする場合、同じペプチドの他のビオチン変異体はこの抗体の結合を可能にするであろう。
実施例2
ウサギの免疫化
第一の免疫化キャンペーン
Charles River Laboratories International、Inc.のNZWウサギを免疫化に使用した。
組換えヒト及びカニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Aviタンパク質を、濃度1mg/mlのKPO緩衝液pH7.0に溶解し、完全フロインドアジュバント(CFA)と安定したエマルションの生成まで混合(1:1)した。3匹のウサギに、2.4mlのエマルジョンの皮内(i.d.)注射を行い、続いて1週間間隔で各々1.2mlの第2の筋肉内(i.m.)及び第3の皮下(s.c.)注射を行った。3週間後に1.2mlの第4の筋肉内注射を行い、続いて4週間間隔で更に1.2mlの2回の皮下及び筋肉内注射を行った。カニクイザル組換えタンパク質を1回目、2回目、4回目及び6回目に、ヒト組換えタンパク質を3回目及び5回目の免疫化に使用した。
各動物の10mlの末梢全血試料を、3回目、4回目、5回目及び6回目の注射の4日後に収集し、FACSにおける単一細胞選別のために使用した。各動物の更なる0.5mlの血清を同時に収集し、ヒト/カニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi特異的抗体応答の測定に使用した。
3匹のウサギの第2群は、上記免疫化スケジュールに従って、4×10の濃縮された初代カニクイザル/ヒトT細胞(下記参照)で免疫した。カニクイザルのインビトロで増殖させたT細胞を1回目、2回目、4回目及び6回目に使用し、健常ドナーのPBLから濃縮されたヒト初代T細胞を3回目及び5回目の免疫化に使用した。各動物の10mlの末梢全血試料を、3回目、4回目、5回目及び6回目の注射の4〜6日後に収集し、FACSにおける単一細胞選別のために使用した。各動物の更なる0.5mlの血清を同時に収集し、ヒト/カニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Avi特異的抗体応答の測定に使用した。
抗体応答
免疫化に対する抗体応答は、Maxisorb 96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc)上で1ウェルあたり2.5μgの組換えヒト/カニクイザルCD3g(G4S)5CD3e−AcTev−Fc(ノブ)−Aviを4℃で一晩4℃でインキュベートしたELISAを用いた血清の連続希釈によって決定した。検出のために、西洋ワサビペルオキシダーゼ(The Jackson laboratory)に連結したヤギ抗ウサギIgGを1:16000希釈で使用した。BM Blue POD基質、沈殿性テトラメチルベンジジン(TMB)、すぐに使用できる溶液(Roche)を可視化するために使用した。1NのHClで反応を停止させ、Tecan Infiniteで450/690nmで測定した。
免疫化のための抗原としての初代ヒトT細胞の生成
初代ヒトT細胞を、RosetteSepヒトT細胞エンリッチメントカクテル(StemCell Technologies)により、6人の健常ヒトドナーの全血200mlから製造業者の指示に従って単離した。得られたT細胞の品質及び細胞数を、細胞計数装置XT−1800 iVET(Sysmex)によって確認した(表4)。CD3、CD4及びCD8陽性T細胞を検出するBDからのTriTestを用いたFACS分析を、得られたT細胞の質及び純度の分析に用いた(表5)。更に、これらのT細胞の生存率をPI(ヨウ化プロピジウム)FACS染色によって評価し、全試料において99.6%超の生存細胞であった。免疫化までの保存のために、T細胞を、シスメックス(Sysmex)装置によって測定された細胞数を用いて4.6×10及び1.15×10の細胞として液体窒素中で個別に各ドナーについて凍結させた。
カニクイザルTリンパ球の調製及びインビトロでの増殖
リコール細胞をFicoll−Paque(GE Healthcare)を用いた密度勾配遠心分離によってカニクイザル血液(Covance)から単離した。簡潔に述べると、10mlのヘパリン添加血液を同量のRPMI−1640培地(Invitrogen)で希釈し、希釈血液の5mlのアリコートを15mlのファルコンチューブ中の5mlのFicoll−Paqueの上に重層した。室温で800×gで45分間遠心分離した後(連続的に)、リンパ球含有画分を回収し、プールし、リンパ球集団の純度を高めるために第2の勾配遠心分離に供した。このために、プールされた画分約6mlを18mlのRPMI−1640培地で希釈し、希釈した細胞懸濁液の6mlアリコートを15mlファルコンチューブ中のFicoll−Paque3mlの上に重層した。室温で800×gで30分間遠心分離した後(連続的に)、リンパ球を採取し、プールした。PBSで洗浄した後、リンパ球を、10%ウシ胎児血清、10mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、1×NEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム及び1×抗生物質−抗真菌剤を補充したRPMI−1640培地に6.0E+05細胞/mlで再懸濁した(培地及びサプリメントはInvitrogenから購入した)。細胞を、20μg/mlのコンカナバリンA(Sigma−Aldrich)の存在下、加湿雰囲気中37℃、5%CO2で3日間培養した。その後、培地を交換し、細胞を10%ウシ胎児血清、10mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、1×NEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム及び1×抗生物質−抗真菌剤及び20U/mLのヒトIL−2(Roche)を補充したRPMI−1640培地中で9日間培養した。この培養期間中、2−3日ごとにIL−2含有培地を交換した。細胞生存率及び細胞数を培養期間を通してモニターし、インビトロで拡大したカニクイザルTリンパ球のCD3発現を、抗CD3 mAb(クローンSP34;BD Pharmingen)を用いたフローサイトメトリーによって確認した。インビトロで増殖したTリンパ球(生存率>80%)を採取し、PBSで洗浄し、1.0E+07細胞/mlで凍結培地(10%DMSO、90%FCS)に再懸濁した。細胞のアリコートを液体窒素中に貯蔵した。
第二の免疫化キャンペーン
カニクイザルTリンパ球の調製及びインビトロでの増殖
リコール細胞をFicoll−Paque(GE Healthcare)を用いた密度勾配遠心分離によってカニクイザル血液(Covance)から単離した。簡潔に述べると、10mlのヘパリン添加血液を同量のRPMI−1640培地(Invitrogen)で希釈し、希釈血液の9−10mlのアリコートを15mlのファルコンチューブ中の5mlのFicoll−Paqueの上に重層した。室温で800×gで45分間遠心分離した後(連続的に)、リンパ球含有画分を回収し、プールし、リンパ球集団の純度を高めるために第2の勾配遠心分離に供した。このために、おおよそプールされた画分をRPMI−1640培地で希釈された初期体積まで希釈し、希釈した細胞懸濁液の9−10mlアリコートを15mlファルコンチューブ中のFicoll−Paque 5mlの上に重層した。室温で800×gで30分間遠心分離した後(連続的に)、リンパ球を採取し、プールした。PBSで洗浄した後、リンパ球を、10%ウシ胎児血清、10mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、1×NEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム及び1×抗生物質−抗真菌剤を補充したRPMI−1640培地に6.0E+05細胞/mlで再懸濁した(培地及びサプリメントはInvitrogenから購入した)。細胞を、20μg/mlのコンカナバリンA(Sigma−Aldrich)及び20U/mlのヒトIL−2(Roche)の存在下、加湿雰囲気中37℃、5%CO2で3日間培養した。その後、培地を交換し、細胞を10%ウシ胎児血清、10mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、1×NEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム及び1×抗生物質−抗真菌剤及び20U/mLのヒトIL−2(Roche)を補充したRPMI−1640培地中で9日間培養した。この培養期間中、2−3日ごとにIL−2含有培地を交換した。細胞生存率及び細胞数を培養期間を通してモニターし、インビトロで拡大したカニクイザルTリンパ球のCD3発現を、抗CD3 mAb(クローンSP34;BD Pharmingen)を用いたフローサイトメトリーによって確認した。インビトロで増殖したTリンパ球(生存率>90%)を採取し、PBSで洗浄し、1.0E+07細胞/mlで凍結培地(10%DMSO、90%FCS)に再懸濁した。細胞のアリコートを液体窒素中に貯蔵した。
ヒトTリンパ球の調製及びインビトロでの増殖
リンパ球をLeukosep(Greiner Bio One、227 288)を用いた密度勾配遠心分離によって健常なドナーの末梢血から単離した。簡潔に述べると、ヘパリン添加血液を3倍容量のPBSで希釈し、希釈した血液の25mlアリコートを50mlのLeukosepチューブに重層した。室温で800×gで15分間遠心分離した後(連続的に)、リンパ球含有画分を回収し、PBSで洗浄し、10%ウシ胎児血清、10mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、1×NEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム及び1×抗生物質−抗真菌剤を補充したRPMI−1640培地に1.0E+06細胞/mlで再懸濁した(培地及びサプリメントはInvitrogenから購入した)。細胞を、T175フラスコ中に10μg/mlのコンカナバリンA(Sigma−Aldrich)の存在下、加湿雰囲気中37℃、5%CO2で2日間培養した。その後、培地を交換し、細胞を10%ウシ胎児血清、10mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、1×NEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム及び1×抗生物質−抗真菌剤及び20U/mLのヒトIL−2(Roche)を補充したRPMI−1640培地中で更に7日間培養した。この培養期間中、細胞を2−3日ごとに1.0E+06細胞/mlに分割され、IL−2含有培地を交換した。細胞生存率及び細胞数を培養期間を通してモニターし(図5)、インビトロで拡大したヒトTリンパ球のCD3発現を、抗CD3 mAb(クローンV9)を用いたフローサイトメトリーによって確認した。インビトロで増殖したTリンパ球(生存率>90%)を採取し、PBSで洗浄し、1.0E+07細胞/mlで凍結培地(10%DMSO、90%FCS)に再懸濁した。細胞のアリコートを液体窒素中に貯蔵した。
免疫化
3匹のウサギを、T細胞について濃縮されたカニクイザル及びヒトPBLで免疫した(上述されるように)。各免疫化のために、凍結した細胞を解凍し、計数し、遠心分離によって凍結培地から分離し、注射用の適切な容量のPBSに再懸濁した。各ウサギは、0日目にPBSに再懸濁した6×10個のカニクイザルPBLの1回の皮内適用を受けた;その後7日目及び14日目にそれぞれ4×10個のカニクイザルPBLの1回の筋肉内投与及び1回の皮下投与を行い、21日目に最初の出血を行った。
各々が3−5×10個のPBLの3回の追加免疫化のために、起源の種及び投与経路を交互に入れ替えた:動物は7週目と20週目にヒトPBLの2回の筋肉内投与を受け、11週目にカニクイザルPBLの1回の皮下投与を受けた。
追加免疫化の各々の21日後及び5−7日目に血液(推定総血液量の10%)を採取した。FACSによる力価測定に用いられた血清を調製し、末梢単核球を単離し、B細胞クローニング法において抗原特異的B細胞の供給源として用いた(実施例3)。
実施例3
B細胞クローニング
ウサギ末梢血単核細胞(PBMC)の単離は
3匹のウサギ(実施例「ウサギの免疫化」に記載)を血液源として使用した。哺乳動物lympholyte(Cedarlane Laboratories、Burlington、Ontario、Canada)を用いて、製造者の仕様に従って密度遠心分離前に、全血を含むEDTAを1×PBS(PAA、Pasching、Austria)で2倍に希釈した。PBMCを1×PBSで2回洗浄した。
EL−4 B5培地
10%FCS(Hyclone、Logan、UT、USA)、2mMのグルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(PAA、Pasching、Austria)、2mMのピルビン酸ナトリウム、10mMのHEPES(PAN(登録商標))を補充したRPMI 1640(Pan Biotech、Aidenbach、Biotech、Aidenbach、Germany)及び0.05mMのβ−メルカプトエタノール(Gibco、Paisley、Scotland)
マクロファージ/単球の枯渇
滅菌6ウェルプレート(細胞培養グレード)を使用して、非特異的接着によってマクロファージ及び単球を枯渇させた。各ウェルは、最大で4mlの培地で、免疫化されたウサギからの6×10個のPBMCになるまで充填され、インキュベーター内で37℃で1時間結合させた。上清中の細胞(末梢血リンパ球(PBL))を抗原パニング工程に使用した。
プレートのコーティング
タンパク質パンニングのために、滅菌ストレプトアビジン被覆6−ウェルプレート(Microcoat、Bernried、Germany)をPBS中の2μg/mlのビオチン化ヒトCD3eタンパク質変異体(表6参照)を用いて室温で3時間コーティングした。各タンパク質変異体を別々にコーティングした。ヒト表面CD3細胞上でのパンニングを可能にするために、CD3陽性Jurkat T細胞をウシ胎仔血清(FCS)を含まない滅菌細胞培養6ウェルプレートに播種し、直ちに遠心分離した。培養の1−4時間後、コンフルエントな細胞単層が生成された。パンニングの前に、これらの6ウェルプレートを滅菌PBSで3回慎重に洗浄した。
ヒトCD3eタンパク質変異体に対するB細胞の濃縮
抗原特異的末梢B細胞の濃縮のために、ヒトCD3eタンパク質変異体でコーティングされた、又はヒトCD3陽性Jurkat T細胞で覆われた6ウェル組織培養プレートに、培地4ml当たり最大で6×10個のPBLを播種し、5%CO2下で37℃で1時間結合させた。その後、1×PBSでウェルを慎重に1−2回洗浄することによって、非接着細胞を除去した。残りの粘着性細胞を、5%CO2下37℃で10分間、トリプシンにより脱離した。トリプシン処理をEL−4 B5培地で停止させた。免疫蛍光染色まで細胞を氷上に保った。
免疫蛍光染色及びフローサイトメトリー
抗IgG FITC(AbD Serotec、Duesseldorf、Germany)を単細胞選別に使用した。表面染色のために、枯渇及び濃縮工程からの細胞をPBS中で抗IgG FITC抗体と共にインキュベートし、暗所で4℃で45分間インキュベートした。染色後、PBMCを氷冷PBSで2回洗浄した。最後に、PBMCを氷冷PBS中に再懸濁し、直ちにFACS分析に供した。FACS分析の前に、5μg/mlの濃度のヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen、San Diego、CA、USA)を添加して、死細胞と生存細胞とを区別した。
コンピュータとFACSDivaソフトウェア(BD Biosciences、USA)を備えたBecton Dickinson FACSAriaを単細胞分別に使用した。
B細胞培養
ウサギB細胞の培養は、Zubler et al. (1985)により記載されたものと類似の方法により調製された。簡潔には、単一選別されたウサギB細胞を、Pansorbin細胞(1:100000)(Calbiochem(Merck)、Darmstadt、Deutschland)、5%ウサギ胸腺細胞上清(charge TSN−M13(10242)、MicroCoat、Bernried、Germany)及びγ線照射マウスEL−4−B5胸腺腫細胞(2.5×10/ウェル)を含有するEL−4 B5培地を200μl/ウェル含む96ウェルプレート中で、インキュベーター内で37℃、5%COの雰囲気下で7日間培養した。B細胞培養の上清をスクリーニングのために除去し、残りの細胞を直ちに回収し、100μlのRLT緩衝液(Qiagen、Hilden、Germany)中で−80℃で凍結した。
VドメインのPCR増幅及び配列決定
全RNAは、NucleoSpin 8/96 RNAキット(Macherey&Nagel;740709.4、740698)を製造者のプロトコールに従って用いて調製した。全ての工程は、epMotion 5075液体ハンドリングシステム(Eppendorf)で行った。RNAを60μlのRNaseを含まない水を用いて溶出した。6μlのRNAを使用して、Superscript III First−Strand Synthesis SuperMix(Invitrogen 18080−400)及びオリゴdTプライマーを製造業者の指示に従って使用して逆転写反応によってcDNAを生成した。4μlのcDNAを用いてAccuPrime Supermix(Invitrogen 12344−040)により免疫グロブリン重鎖及び軽鎖可変領域(VH及びVL)を、重鎖についてはプライマーrbHCfinal.up及びrbHCfinal.doを使用し、軽鎖についてはプライマーrbLCfinal.up及びrbLCfinal.doを使用して(配列番号30から33)最終体積50μl中で増幅した。PCRの条件は以下の通りであった:94℃で5分間ホットスタート;94℃で20秒、70℃で20秒、68℃で45秒、及び68℃で7分間最終延長の35サイクル。
50μlのPCR溶液8μlを48 E−Gel 2%(Invitrogen G8008−02)にロードした。陽性PCR反応物を、NucleoSpin Extract IIキット(Macherey&Nagel;740609250)を用いて製造業者のプロトコールに従って取り除き、50μlの溶出緩衝液中で溶出させた。重鎖についてはrbHCfinal.up及びrbHCfinal.doを使用し、軽鎖についてはrbLCfinal.up及びrbLCfinal.doを使用して(配列番号30から33)、精製PCR産物12μlを両方向に直接配列決定した。
ウサギモノクローナル抗体及びウサギ/マウスキメラ抗体の組換え発現。
ウサギモノクローナル抗体の組換え発現のために、VH又はVLをコードするPCR産物を、オーバーハングクローニング法によりcDNAとして発現ベクターにクローニングした(RS Haun et al., Biotechniques (1992) 13, 515-518; MZ Li et al., Nature Methods (2007) 4, 251-256)。
ウサギカッパ又はガンマ定常領域をコードする線状化発現プラスミド及びVL又はVHインサートを、オーバーラッピングプライマーを用いたPCRによって増幅した。
精製されたPCR産物を、一本鎖オーバーハングを生成するT4 DNAポリメラーゼと共にインキュベートした。dCTP添加により反応を停止させた。
次の工程では、プラスミド及びインサートは結合され、部位特異的組換えを誘導するrecAとともにインキュベートされた。組換えプラスミドをE.coliに形質転換した。翌日、増殖したコロニーを採取し、プラスミドの調製、制限分析及びDNA配列決定によって正しい組換えプラスミドについて試験した。
抗体発現のために、単離したHC及びLCプラスミドをHEK293細胞に一過的に同時トランスフェクトし、上清を1週間後に回収した。
実施例4
ヒト及びカニクイザルT細胞を用いた機能活性アッセイ(Ca Flux)
CD3媒介カルシウムフラックスアッセイの確立
抗CD3 mAbの機能活性をスクリーニングするために、CD3陽性(Jurkat E6−1)及びCD3陰性(Jurkat RT3−T3.5)ヒトT細胞株を用いてカルシウムフラックスアッセイを確立した。アッセイは、96ウェルフォーマット(二次スクリーニング)又は384ウェルフォーマット(一次ハイスループットスクリーニング)において行った。
96ウェルフォーマット
CD3陽性Jurkat E6−1細胞又はCD3陰性Jurkat RT3−T3.5を、ウェルあたり50μlの無血清培地(RPMI 1640/2mMのグルタミン/1mMのピルビン酸ナトリウム/10mMのHepes/0.1mMのNEAA中200,000細胞で黒壁透明底96ウェルプレート(BD Falcon)中に播種した。細胞にカルシウム感受性色素(FLIPR(登録商標)Calcium 5 Assay Kit、Molecular Devices)をロードした。色素の貯蔵溶液を製造業者の指示に従って調製した。使用直前にプロペネシドを添加し、50μl/ウェルの希釈色素を細胞に添加した(プロベネシドの最終濃度は2.5mM/ウェルであろう)。効率的なローディングのために、細胞を暗所で室温で2時間色素と共にインキュベートした。続いて、20μlのウサギ抗CD3mAb(ウサギB細胞上清)又はキメラV9mAb、ウサギ免疫グロブリン定常領域及びヒト化抗CD3 mAb V9の可変領域からなるキメラ抗CD3抗体の連続希釈物を添加することによって細胞を刺激した。非特異的ポリクローナルウサギIgGは陰性対照として役割を果たした。抗CD3誘導カルシウムフラックスの動力学を、30秒の時間間隔で7.5−10分間、蛍光(485nm ex./530nm em.)を測定することによってモニターした。キメラV9 mAbによって誘導されたカルシウムフラックスを図6Aに示す。このデータは、このアッセイが、最小濃度約37ng/mlでアゴニスト抗CD3 mAbの検出を可能にすることを示している(アッセイ中の最終mAb濃度:6.2ng/ml;シグナル−ノイズ比>2)。キメラV9 mAbは、CD3陰性Jurkat RT3−T3.5細胞においてではなく、CD3陽性Jurkat E6−1細胞においてのみカルシウム動員を誘導し、その作用のCD3依存性を実証した。同様に、細胞を非特異的ウサギIgGで処理した場合、カルシウムフラックスは観察されなかった。
アッセイの感度を増加させるために、CD3結合mAbを細胞の表面で架橋するために追加の工程が導入された。従って、上記のように抗CD3 mAb(ウサギB細胞上清又はキメラV9 mAb)で細胞を刺激し、初期CD3媒介カルシウムフラックスを7.5−10分間モニターした。その後、20μlのFc特異的ヤギ抗ウサギIgG(c=7.5μg/ml;JacksonImmunoResearch)を添加することによりCD3結合mAbを架橋させ、蛍光((485nm ex./530nm em.)を更に7.5−10分間記録した。図6Bに示すように、二次抗ウサギ抗体による細胞表面結合抗CD3 mAb(キメラV9)の架橋は、初期シグナルと比較して改善されたシグナル対ノイズ比を有する付加的なカルシウムフラックスを誘導する。このアッセイの改変は、アッセイの感度を改善し、わずか約12ng/mlの濃度(アッセイにおける最終mAb濃度:2ng/ml)で抗CD3 mAbの検出を可能にする。
384ウェルフォーマット
CD3陽性Jurkat E6−1細胞又はCD3陰性Jurkat RT3−T3.5を、ウェルあたり25μlの無血清培地(RPMI 1640/2mMのグルタミン/1mMのピルビン酸ナトリウム/10mMのHepes/0.1mMのNEAA中100,000細胞で黒壁透明底384ウェルプレート(Corning)中に播種した。細胞にカルシウム感受性色素(FLIPR(登録商標)Calcium 5 Assay Kit、Molecular Devices)をロードした。色素の貯蔵溶液を製造業者の指示に従って調製した。使用直前にプロペネシドを添加し、25μl/ウェルの希釈色素を細胞に添加した(プロベネシドの最終濃度は2.5mM/ウェルであろう)。効率的なローディングのために、細胞を暗所で室温で2時間色素と共にインキュベートした。続いて、10μlのウサギ抗CD3mAb(ウサギB細胞上清)又はキメラV9mAb、ウサギ免疫グロブリン定常領域及びヒト化抗CD3 mAb V9の可変領域からなるキメラ抗CD3抗体の連続希釈物を添加することによって細胞を刺激した。非特異的ポリクローナルウサギIgGは陰性対照として役割を果たした。抗CD3誘導カルシウムフラックスの動力学を、30秒の時間間隔で7.5−10分間、蛍光(485nm ex./530nm em.)を測定することによってモニターした。キメラV9 mAbによって誘導されたカルシウムフラックスを図7Aに示す。これらのデータは、このアッセイが、最小濃度約25ng/mlでアゴニスト抗CD3 mAbの検出を可能にすることを示している(アッセイ中の最終mAb濃度:4.2ng/ml;シグナル−ノイズ比>2)。キメラV9 mAbは、CD3陰性Jurkat RT3−T3.5細胞においてではなく、CD3陽性Jurkat E6−1細胞においてのみカルシウム動員を誘導しており、CD3依存性を実証した。同様に、細胞を非特異的ウサギIgG(アイソタイプ対照)で処理した場合、カルシウムフラックスは観察されなかった。
アッセイの感度を増加させるために、CD3結合mAbを細胞の表面で架橋するために追加の工程が導入された。従って、上記のように抗CD3 mAb(ウサギB細胞上清又はキメラV9 mAb)で細胞を刺激し、初期CD3媒介カルシウムフラックスを7.5−10分間モニターした。その後、20μlのFc特異的ヤギ抗ウサギIgG(c=7.5μg/ml;JacksonImmunoResearch)を添加することによりCD3結合mAbを架橋させ、蛍光((485nm ex./530nm em.)を更に7.5−10分間記録した。図7Bに示すように、二次抗ウサギ抗体による細胞表面結合抗CD3 mAb(キメラV9)の架橋は、抗CD3mAbの低濃度で改善されたシグナル対ノイズ比を有する付加的なカルシウムフラックスを誘導する。このアッセイの改変は、アッセイの感度を改善し、わずか約10ng/mlの濃度(アッセイにおける最終mAb濃度:1.7ng/ml)で抗CD3 mAbの検出を可能にする。
実施例5
ヒト及びカニクイザルCD3タンパク質並びにペプチドへの結合
抗CD3抗体のヒト及びカニクイザルCD3タンパク質並びにペプチドへの結合をELISAによって決定した。ビオチン化標的タンパク質及びペプチドを、384ウェルのストレプトアビジン被覆マイクロプレート(MaxiSorb;MicroCoat、DE、Cat.No.11974998/MC1099)上、DPBS(PAN Biotech GmbH、DE、Cat.No.P0436500)中25μl/ウェルで4℃で一晩インキュベートすることにより固定化した。標的濃度は、1000ng/mlの濃度で固定化されたカニクイザルCD3ペプチド−1−22及びヒトCD3ペプチド77−96を除いて、表8に記載の全てのタンパク質及びペプチドについて250ng/mlであった。使用したペプチドは、リンカーを介してペプチドのN末端又はC末端の何れかに結合したビオチンとともに生成された。標的結合ELISAのために、N及びC末端ビオチン化ペプチドをマイクロプレート上での固定化のために1:1の比で混合し(表8)、別々に使用した(表8)。1X PBS(Roche、Cat.No.1666789)中の0.1%Tween20(USB、Cat.No.20605)を用いた3回の洗浄工程の後、組換え抗CD3抗体(25μl/ウェル、1X PBS中の0.5%BSA(ウシ血清アルブミン画分V、脂肪酸フリー、Roche、#10735078001)、0.05%Tween20)が添加され、オービタルシェーカーを室温で1時間インキュベートした後、洗浄緩衝液(90μl/ウェル)による3回の洗浄工程が続いた。抗体は、室温で1時間、1X PBS(w/0.5%BSA、0.05%Tween20)中で1:5000に希釈した、ペルオキシダーゼ結合型、種特異的抗ウサギIgG、ロバ由来のF(ab’)2断片、GE、Cat.No.NA 9340)により検出された。検出抗体を洗浄緩衝液で4回の洗浄工程により除去し、TMB基質(TMB溶液、Roche)の添加によってシグナルを発色させた。吸光度を、一定時間間隔後にEX370nm/EM492nmで読み取った。
結合ELISAからの結果は、クローン596及びクローン645が、それぞれ、アミノ酸77−96(ヒトCD3e)及び69−88(カニクイザルCD3e)からなるエピトープ領域において、ヒト及びカニクイザルCD3eに結合することを示している。
FACSに基づく細胞結合研究:ヒト及びカニクイザルの増殖型T細胞への結合
生成した抗CD3抗体の細胞結合を評価するために、ヒト及びカニクイザルの増殖型T細胞を用いたFACSに基づく結合アッセイを実施した。簡潔には、凍結したT細胞(実施例2)を解凍し、遠心分離によって凍結培地から分離し、Jurkat細胞培地に2×106細胞/mlで懸濁した。50μlの細胞アリコートを抗CD3抗体の連続希釈物(BD FACS緩衝液中10μg/ml−0.01μg/ml)と共に4℃で1時間インキュベートした。BD FACS緩衝液で洗浄した後、細胞はその起源に応じて、4℃で1時間、BD FACS緩衝液中に10μg/mlのAlexa488標識抗ウサギIgG H+L(Invitrogen 34732A)又は抗マウスIgG H+L(Invitrogen 65E1−1)又は抗ヒトIgG H+L(Invitrogen A11013)により染色された。洗浄及び遠心分離後、染色された細胞のMFIシグナルを、BD Biosciences FACSCantoフローサイトメーターによって分析した。
FACSに基づく細胞結合研究の結果は、クローン450、クローン627及びクローン645は、抗CD3参照抗体(SP34−2= CH2527及びH2C)に匹敵してカニクイザルT細胞に結合し、一方OKT3及びUCHT1抗CD3参照抗体はカニクイザルT細胞に結合しないことを示している(図8及び図9)。
実施例6
結合エピトープの特徴付け
N及びC末端ビオチン化ヒト及びカニクイザルCD3ペプチドへの抗CD3抗体クローン645の結合を、上記のようにELISAによって決定した(実施例5)。
結合ELISAからの結果は、クローン645が、C末端の融合ビオチンを介してストレプトアビジン被覆マイクロプレート上に固定化されたヒトCD3 77−96ペプチドに結合しないことを示す。しかし、クローン645は、N末端で固定化される場合同じペプチドに結合し、並びにビオチン融合の部位に関係なく両方のカニクイザルCD3ペプチド69−88に結合する。
実施例8
抗CD3e抗体の結合親和性KD値
ヒト及びカニクイザルCD3eに対するクローン645抗体の結合を、BIACORE T100装置(GE Healthcare)を用いた表面プラズモン共鳴によって調べた。捕捉系(10μg/mlヤギ抗ウサギIgG Fc断片特異的;注文コード:111−005−046;Jackson Immuno Research)の約2000共鳴単位(RU)をGE Healthcareによって供給されるアミンカップリングキットを用いてpH5.0でCM4チップ(GE Healthcare、BR−1005−34)に結合させた。固定化のためのランニング緩衝液は、HBS−N pH7.4(10mMのHEPES、150mMのNaCl、pH7.4、GE Healthcare、BR−1006−70)であった。追跡される動力学アッセイのために、ランニング及び希釈緩衝液はHBS−P pH7.4(10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.05%界面活性剤P20、pH7.4、GE Healthcare、BR−1006−71)とした。フローセルを25℃に設定し、試料ブロックを12℃に設定し、ランニング緩衝液で2回刺激した。クローン645抗体は、1μg/mlの溶液を10μl/分の流速で60秒間注入することによって捕捉した。会合は、溶液中の様々な濃度のヒトCD3e(ストーク)Fc−Knob−CD3d(ストーク)FcHole又はカニクイザルCD3e(ストーク)Fc−Knob−CD3d(ストーク)FcHoleの注入を、1350nMで開始し、続いて1回1:1.5希釈し、更に1:3希釈して、30μl/分の流速で180秒間の注入によって測定された。解離相を最高300秒間モニターし、試料溶液からランニング緩衝液に切り替えることによってトリガーした。表面を、10μl/分の流速で60秒間、グリシンpH1.7溶液の2回の連続注入で洗浄することによって再生した。バルク屈折率の差は、ヤギ抗ウサギIgG Fc表面から得られた応答を差し引くことによって補正した。ブランク注入もまた減算される(=ダブルリファレンス)。KD及び他の動力学パラメーターの計算のために、ラングミュアの1:1モデルを使用した。
ヒト及びカニクイザル標的、huCD3e(ストーク)Fc−Knob−CD3d(ストーク)FcHole及びcyCD3e(ストーク)Fc−Knob−CD3d(ストーク)FcHoleと相互作用するクローン645の表面プラズモン共鳴測定。この表は、単一測定から得られた値を示す(ka:会合速度;kd:解離速度;KD:親和性)。

Claims (1)

  1. 配列番号02のヒトCD3イプシロンに特異的に結合し、かつ配列番号01のポリペプチドに特異的に結合するヒト カニクイザル交差反応性抗体であり、ここで、ヒト カニクイザル交差反応性抗体がヒト及びカニクイザルT細胞に特異的に結合し、かつヒトT細胞を活性化し、
    抗体は、
    (a)配列番号04又は配列番号05のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
    (b)配列番号06から配列番号08のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHVR−H2、
    (c)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H3、
    (d)配列番号10又は配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
    (e)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び
    (f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−L3
    を含む、ヒト カニクイザル交差反応性抗体。
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