JP2021102976A - 遊星ローラ式動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】寿命を向上させることができる遊星ローラ式動力伝達装置を提供する。【解決手段】固定輪2と、固定輪2の径方向の内側において固定輪2と同心状に配置された太陽軸3と、固定輪2と太陽軸3との間に設けられ固定輪2と太陽軸3とに圧接される複数の遊星ローラ4と、固定輪2の内周面2aに沿った遊星ローラ4の公転に連動して回転するキャリア5と、を備えている遊星ローラ式動力伝達装置であって、少なくとも1つの遊星ローラ4の外周面に接触しかつ遊星ローラ4の外周面に付着した摩耗粉を取り除くワイパー部材29を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、遊星ローラ式動力伝達装置に関する。
特許文献1には、固定輪と、この固定輪の内側において当該固定輪と同心状に配置された太陽軸と、この太陽軸と固定輪とに所定の締め代をもって圧接される複数の遊星ローラと、各遊星ローラの公転により回転するキャリアと、を備えた遊星ローラ式動力伝達装置が開示されている。この遊星ローラ式動力伝達装置の遊星ローラは、キャリアに設けられた支持軸にすべり軸受を介して回転自在に取り付けられている。太陽軸に入力された回転動力は、太陽軸と遊星ローラとの間及び遊星ローラと固定輪との間の摩擦によってキャリアに伝達され、キャリアと一体の出力軸から減速された状態で出力される。
上記のような動力伝達装置においては、遊星ローラと、太陽軸及び固定輪とが相互に圧接されるため、これらの接触面において摩耗が発生し易くなる。この摩耗によって太陽軸と遊星ローラとの締め代及び遊星ローラと固定輪との締め代が減少すると、トルクの伝達効率が悪化し、遊星ローラ式動力伝達装置の寿命が短くなる。また、摩耗によって生じた摩耗粉が接触面に付着すると、その摩耗粉が接触面を削ることによるアブレシブ摩耗が発生し、より摩耗が促進される可能性があるため、遊星ローラ式動力伝達装置の寿命がより短くなるおそれがある。
本発明は、寿命を向上させることができる遊星ローラ式動力伝達装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の遊星ローラ式動力伝達装置は、固定輪と、前記固定輪の径方向の内側において前記固定輪と同心状に配置された太陽軸と、前記固定輪と前記太陽軸との間に設けられ前記固定輪と前記太陽軸とに圧接される複数の遊星ローラと、前記固定輪の内周面に沿った前記遊星ローラの公転に連動して回転するキャリアと、を備えている遊星ローラ式動力伝達装置であって、少なくとも1つの前記遊星ローラの外周面に接触しかつ前記遊星ローラの外周面に付着した摩耗粉を取り除くワイパー部材を備えている。
以上の構成を有する遊星ローラ式動力伝達装置は、少なくとも1つの遊星ローラの外周面に接触しかつ遊星ローラの外周面に付着した摩耗粉を取り除くワイパー部材を備えているので、当該遊星ローラに付着した摩耗粉に起因するアブレシブ摩耗を抑制し、遊星ローラ式動力伝達装置の寿命を向上させることができる。
(2) 好ましくは、前記ワイパー部材がその表面における一定の位置で前記遊星ローラの外周面に接触する。
例えば、ワイパー部材が遊星ローラの自転に伴って回転(自転)し、遊星ローラへの接触位置が変動する場合、遊星ローラとワイパー部材との間に生じる摩擦力が小さくなり、遊星ローラに付着した摩耗粉を除去する作用が小さくなる。上記のように、ワイパー部材がその表面における一定の位置で遊星ローラの外周面に接触する場合、自転する遊星ローラの外周面上をワイパー部材が滑り、遊星ローラの外周面に付着した摩耗粉をワイパー部材で擦り取ることができる。そのため、ワイパー部材によって摩耗粉を効率よく取り除くことができる。
例えば、ワイパー部材が遊星ローラの自転に伴って回転(自転)し、遊星ローラへの接触位置が変動する場合、遊星ローラとワイパー部材との間に生じる摩擦力が小さくなり、遊星ローラに付着した摩耗粉を除去する作用が小さくなる。上記のように、ワイパー部材がその表面における一定の位置で遊星ローラの外周面に接触する場合、自転する遊星ローラの外周面上をワイパー部材が滑り、遊星ローラの外周面に付着した摩耗粉をワイパー部材で擦り取ることができる。そのため、ワイパー部材によって摩耗粉を効率よく取り除くことができる。
(3) 好ましくは、前記ワイパー部材が、前記遊星ローラの外周面に接触する接触面を有し、前記接触面に溝が形成されている。
このような構成によって、遊星ローラから取り除いた摩耗粉を溝を介して排出するか又は溝内に蓄積することができ、ワイパー部材の接触面に摩耗粉が残存するのを抑制することができる。
このような構成によって、遊星ローラから取り除いた摩耗粉を溝を介して排出するか又は溝内に蓄積することができ、ワイパー部材の接触面に摩耗粉が残存するのを抑制することができる。
(4) 好ましくは、前記ワイパー部材は、非多孔質材料により形成されている。
ワイパー部材が、多孔質材料により形成されていると、遊星ローラから取り除かれた摩耗粉がワイパー部材内の小孔に入り込み、その摩耗粉によって遊星ローラを摩耗させるアブレシブ摩耗が生じる可能性がある。ワイパー部材を非多孔性材料により形成することで、取り除いた摩耗粉がワイパー部材に付着したまま残存するのを抑制し、アブレシブ摩耗の発生を抑制することができる。
ワイパー部材が、多孔質材料により形成されていると、遊星ローラから取り除かれた摩耗粉がワイパー部材内の小孔に入り込み、その摩耗粉によって遊星ローラを摩耗させるアブレシブ摩耗が生じる可能性がある。ワイパー部材を非多孔性材料により形成することで、取り除いた摩耗粉がワイパー部材に付着したまま残存するのを抑制し、アブレシブ摩耗の発生を抑制することができる。
本発明によれば、遊星ローラ式動力伝達装置の寿命を向上させることができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の遊星ローラ式動力伝達装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る遊星ローラ式動力伝達装置1の縦断面図である。図2は、図1に示される遊星ローラ式動力伝達装置1のB−B線断面図である。
遊星ローラ式動力伝達装置1は、モータの高速回転を減速して出力する装置である。遊星ローラ式動力伝達装置1は、固定輪2と、太陽軸3と、複数の遊星ローラ4と、キャリア5と、支持プレート6と、ワイパー部材29とを備えている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る遊星ローラ式動力伝達装置1の縦断面図である。図2は、図1に示される遊星ローラ式動力伝達装置1のB−B線断面図である。
遊星ローラ式動力伝達装置1は、モータの高速回転を減速して出力する装置である。遊星ローラ式動力伝達装置1は、固定輪2と、太陽軸3と、複数の遊星ローラ4と、キャリア5と、支持プレート6と、ワイパー部材29とを備えている。
固定輪2は、図2に示すように、モータのハウジング7に形成されたブラケット8にボルト9で固定されている。ブラケット8は、一端側が開放された円筒形状を呈している。ブラケット8の内部には、太陽軸3及び支持プレート6が配置されている。固定輪2の軸方向両側面には、遊星ローラ4をガイドするための鍔輪10がそれぞれ配置されている。鍔輪10の内周10aは、自転及び公転する遊星ローラ4の軸方向への移動を規制するために、固定輪2の内周面2aよりもわずかに径内方向に突出している。鍔輪10は、固定輪2とともにブラケット8にボルト9で固定されている。固定輪2は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属で作製することができる。鍔輪10は、例えば工具鋼等の金属で作製することができる。
モータ軸11の先端部には、ネジ12によって円筒形状のカップリング13が固定されている。カップリング13は、大径部13aと小径部13bとを備えている。大径部13aの外径は、小径部13bの外径よりも大きい。大径部13aと小径部13bとの境界には、段部13cが形成されている。大径部13aの内径は、小径部13bの内径よりも大きい。大径部13aの孔14内には、モータ軸11が挿入されている。小径部13bの孔15内には、太陽軸3の一端が圧入されている。太陽軸3は、固定輪2の径方向の内側において固定輪2と同心状に配置されている。
図1及び図2に示すように、遊星ローラ4は、固定輪2と太陽軸3との間に配置されている。本実施形態では、3つの遊星ローラ4が固定輪2の周方向に等間隔で配置されている。遊星ローラ4は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属で作製することができる。遊星ローラ4は、所定の締め代をもって太陽軸3に圧接している。遊星ローラ4は、所定の締め代をもって固定輪2に圧接している。
図2に示すように、キャリア5は、遊星ローラ4の軸方向一方側(図2において左側)であって、モータとは反対側に配置されている。キャリア5は円板形状を呈している。キャリア5の外周部には、孔16が形成されている。孔16には、支持軸17の軸方向一方側の端部が圧入されている。支持軸17は円柱体である。支持軸17の軸方向他方側(図2において右側)の一部は、キャリア5から軸方向他方側に突出している。キャリア5から突出する支持軸17の一部は、すべり軸受18を介して遊星ローラ4の孔内に挿入されている。すべり軸受18は、遊星ローラ4の内周面4aと、支持軸17の外周面17aとの間に設けられている。キャリア5の中央孔19には、出力軸20の軸方向他方側の端部20aが圧入されている。
ブラケット8の開口は円板形状のカバー21により閉止されている。カバー21は、ボルト9によって、固定輪2及び鍔輪10とともにブラケット8に固定されている。カバー21の中央孔22には玉軸受23が嵌入されている。玉軸受23の外輪24はカバー21の中央孔22内に圧入されており、ボール25を挟んで外輪24の内方に設けられた内輪26内に出力軸20が圧入されている。
図1に示すように、モータ軸11の回転によって太陽軸3が回転すると、太陽軸3に圧接している複数の遊星ローラ4が摩擦によって支持軸17の周りを自転する。この遊星ローラ4の自転により、固定輪2の内周面2a上を摩擦によって遊星ローラ4が公転する。遊星ローラ4に連結されたキャリア5は、遊星ローラ4の公転に伴って回転し、その回転が出力軸20から出力される。以上によって、太陽軸3の回転が減速された状態で出力軸20から出力される。
図2に示すように、ブラケット8及びカバー21内には、太陽軸3、遊星ローラ4、及び固定輪2の摩擦による焼き付きを防止するために、潤滑剤が充填されている。この潤滑剤には、トラクショングリースと呼ばれるものが用いられ、遊星ローラ4と、太陽軸3及び固定輪2との間に油膜を形成し、これらの部材の間で回転力を伝え、スリップが生じるのを抑制している。
支持プレート6は、遊星ローラ4よりも軸方向他方側(モータ側)に配置されている。支持プレート6は、中央に孔(中央孔)27が形成された本体6aと、孔27の内周縁から軸方向他方側に向けて軸方向に沿って延設された円筒部6bとを備えている。支持プレート6の軸方向一方側の面の周縁部には、複数のワイパー部材29が設けられている。
支持プレート6の円筒部6bは、カップリング13の小径部13bの径方向外方に隙間をあけて配置されている。支持プレート6は、太陽軸3と一体回転するカップリング13に対して相対回転可能である。支持プレート6は、カップリング13の段部13cと、遊星ローラ4とで軸方向の移動が規制されている。
図3は、遊星ローラ4とワイパー部材29とを示す断面図である。
図1〜図3に示すように、ワイパー部材29は、支持プレート6から軸方向一方側に突出している。ワイパー部材29は、周方向に隣り合う遊星ローラ4の各間に配置されている。本実施形態では、3個の遊星ローラ4の間に、3個のワイパー部材29が設けられている。
図1〜図3に示すように、ワイパー部材29は、支持プレート6から軸方向一方側に突出している。ワイパー部材29は、周方向に隣り合う遊星ローラ4の各間に配置されている。本実施形態では、3個の遊星ローラ4の間に、3個のワイパー部材29が設けられている。
本実施形態のワイパー部材29は、合成樹脂材料によって円柱形状に形成されている。ワイパー部材29を形成する合成樹脂材料としては、ポリアミド、ポリアセタール等を挙げることができる。ワイパー部材29は、内部に微小な孔を有していない非多孔質材料により形成されている。ワイパー部材29は、支持プレート6と一体に形成されている。ただし、ワイパー部材29は、支持プレート6とは別体に形成されて支持プレート6に固定されていてもよい。
上述したように、太陽軸3に入力された回転動力は、太陽軸3と遊星ローラ4との間及び遊星ローラ4と固定輪2との間の摩擦によってキャリア5に伝達されるため、太陽軸3、遊星ローラ4、及び固定輪2の相互の接触面において摩耗が発生する。この摩耗によって太陽軸3と遊星ローラ4との締め代及び遊星ローラ4と固定輪2との締め代が減少すると、回転動力の伝達効率が悪化し、遊星ローラ式動力伝達装置1の寿命が短くなる。また、摩耗によって生じた摩耗粉が接触面に付着すると、その摩耗粉が接触面を削るアブレシブ摩耗が発生し、より摩耗が促進される可能性があり、遊星ローラ式動力伝達装置1の寿命がより短くなる原因となる。
図3に示すように、太陽軸3の回転によって遊星ローラ4が矢印a方向に自転し、さらに遊星ローラ4が固定輪2の内周面2a上を矢印b方向に公転すると、遊星ローラ4の外周面がワイパー部材29に接触する。この接触により、遊星ローラ4の外周面に付着した摩耗粉がワイパー部材29によって取り除かれる。そのため、上述したようなアブレシブ摩耗を抑制することができ、遊星ローラ式動力伝達装置1の寿命を向上させることができる。
ワイパー部材29は、支持プレート6と一体に形成されているので、自転する遊星ローラ4に接触したとしても自身の回転(自転)は規制される。そのため、ワイパー部材29は、その外周面(表面)における一定の位置29aで遊星ローラ4の外周面に接触し、遊星ローラ4の外周面に接触したまま当該外周面上を滑りながら移動する。したがって、ワイパー部材29自身が自転する場合に比べて遊星ローラ4の外周面に対する摩擦力を高めることができ、摩耗粉を効率よく取り除くことができる。
ワイパー部材29は、円柱形状に形成され、遊星ローラ4に接触する面29aが円弧状に湾曲しているので、例えば遊星ローラ4の外周面にワイパー部材29の外周面が引っ掛かって過度の抵抗を与えてしまうようなことがなく、遊星ローラ4の回転トルクの増大を抑制することができる。
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態における遊星ローラ4とワイパー部材39とを示す断面図である。
本実施形態のワイパー部材39は、側面視で略台形のブロック状に形成されている。ワイパー部材39は、遊星ローラ4の外周面に沿って円弧状に形成された接触面39aを有する。この接触面39aは、略全体が遊星ローラ4の外周面に接触する。ワイパー部材39は、周方向の両側に接触面39aを有しており、遊星ローラ4は、固定輪2の周方向のいずれに公転したとしても、ワイパー部材39の接触面39aに接触することができる。
図4は、第2の実施形態における遊星ローラ4とワイパー部材39とを示す断面図である。
本実施形態のワイパー部材39は、側面視で略台形のブロック状に形成されている。ワイパー部材39は、遊星ローラ4の外周面に沿って円弧状に形成された接触面39aを有する。この接触面39aは、略全体が遊星ローラ4の外周面に接触する。ワイパー部材39は、周方向の両側に接触面39aを有しており、遊星ローラ4は、固定輪2の周方向のいずれに公転したとしても、ワイパー部材39の接触面39aに接触することができる。
遊星ローラ4が公転すると、その外周面がワイパー部材39の接触面39aに接触し、ワイパー部材39も遊星ローラ4とともに公転する。そして、遊星ローラ4の外周面に付着した摩耗粉は、遊星ローラ4の自転によって接触面39aで擦り取られ、遊星ローラ4から取り除かれる。したがって、本変形例のワイパー部材39も、上記実施形態のワイパー部材29と同様の作用効果を奏する。
また、本変形例のワイパー部材39は、上記第1の実施形態のワイパー部材29よりも広い面積で遊星ローラ4に接触するため、遊星ローラ4から摩耗粉を取り除く効果を高めることができる。
[第3の実施形態]
図5(a)は、本発明の第3の実施形態における遊星ローラ4とワイパー部材49を示す断面図、(b)は、ワイパー部材49の斜視図である。
図5に示すワイパー部材49は、支持プレート6(図2参照)に設けられた軸28に回転自在に取り付けられた円筒形状のローラからなる。軸28は、支持プレート6に一体に形成されている。軸28は、遊星ローラ4を支持する支持軸17と平行に配置されている。ワイパー部材49の外周面49aには、複数の溝49bが形成されている。各溝49bは、軸28の軸心方向に沿って延びている。
図5(a)は、本発明の第3の実施形態における遊星ローラ4とワイパー部材49を示す断面図、(b)は、ワイパー部材49の斜視図である。
図5に示すワイパー部材49は、支持プレート6(図2参照)に設けられた軸28に回転自在に取り付けられた円筒形状のローラからなる。軸28は、支持プレート6に一体に形成されている。軸28は、遊星ローラ4を支持する支持軸17と平行に配置されている。ワイパー部材49の外周面49aには、複数の溝49bが形成されている。各溝49bは、軸28の軸心方向に沿って延びている。
遊星ローラ4が矢印b方向に公転することによってワイパー部材49に接触すると、遊星ローラ4の矢印a方向の自転に伴ってワイパー部材49も矢印c方向に回転(自転)する。遊星ローラ4の外周面に付着した摩耗粉は、ワイパー部材49が接触することによって取り除かれる。ワイパー部材49の外周面49aには、溝49bが形成されているので、遊星ローラ4の外周面から取り除かれた摩耗粉を溝49b内に入り込ませることができる。そして、溝49b内に入り込ませた摩耗粉は、溝49b内を通ってワイパー部材49の外部に排出されるか、又は、溝49b内に蓄積される。そのため、ワイパー部材49の外周面49aに摩耗粉が付着したまま残存してしまうことが少なくなり、ワイパー部材49による摩耗粉の除去作用の低下を抑制し、ワイパー部材49に付着した摩耗粉によるアブレシブ摩耗を抑制することができる。
ワイパー部材49の外周面49aと溝49bとの境界には、角部49cが形成される。この角部49cは、遊星ローラ4に付着した摩耗粉を掻き落とすように作用し、摩耗粉を取り除く効果を高めることができる。
[第4の実施形態]
図6(a)は、本発明の第4の実施形態における遊星ローラ4及びワイパー部材59を示す断面図、(b)は、ワイパー部材59の斜視図である。
本実施形態のワイパー部材59は、第3の実施形態と同様に円筒形状に形成され、支持プレート6の軸28に回転自在に設けられている。また、ワイパー部材59の外周面59aには、溝59bが形成されている。
図6(a)は、本発明の第4の実施形態における遊星ローラ4及びワイパー部材59を示す断面図、(b)は、ワイパー部材59の斜視図である。
本実施形態のワイパー部材59は、第3の実施形態と同様に円筒形状に形成され、支持プレート6の軸28に回転自在に設けられている。また、ワイパー部材59の外周面59aには、溝59bが形成されている。
本実施形態の溝59bは、ワイパー部材59の周方向に延びつつ、軸方向にも延びる螺旋状に形成されている。本実施形態においても、遊星ローラ4の外周面から取り除かれた摩耗粉を溝59b内に入り込ませることができる。そして、溝59b内に入り込ませた摩耗粉は、溝59b内を通ってワイパー部材59の外部に排出されるか、又は、溝59b内に蓄積される。そのため、ワイパー部材59の外周面59aに摩耗粉が付着したまま残存してしまうことが少なくなり、ワイパー部材59による摩耗粉の除去作用の低下を抑制し、ワイパー部材59に付着した摩耗粉によるアブレシブ摩耗を抑制することができる。
また、ワイパー部材59の外周面59aと溝59bとの境界には、角部59cが形成される。この角部59cは、遊星ローラ4に付着した摩耗粉を掻き落とすように作用し、摩耗粉を取り除く効果を高めることができる。
図5に示すワイパー部材49の場合、溝49bが軸28の軸心方向に沿って延びているので、遊星ローラ4がワイパー部材49の外周面49aに接触する状態と、遊星ローラ4が溝49b上にある状態とが交互に発生し、遊星ローラ4が角部49cを乗り越えるときにガタツキや衝撃が生じ、遊星ローラ4のスムーズな回転が阻害される可能性がある。この点、本実施形態のワイパー部材59は、溝59bが螺旋状に形成されるので、遊星ローラ4は常に外周面59aに接触する状態となり、遊星ローラ4をスムーズに回転させることができる。
[その他の実施形態]
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置1では、3個の遊星ローラ4に対応して3個のワイパー部材が設けられていたが、少なくとも1つの遊星ローラ4に対応してワイパー部材が設けられていればよい。この場合、ワイパー部材が設けられていない遊星ローラ4に対応して潤滑油を含浸させた従来公知の含油部材(例えば、特許文献1の含油ローラ)を設け、この含油部材を遊星ローラ4に接触させることにより遊星ローラ4の潤滑を行ってもよい。また、このような含油部材は、ワイパー部材とともに複数の遊星ローラ4の各間に設けられていてもよい。なお、含油部材は、例えば焼結樹脂又は焼結金属等の多孔質材料により形成され、内部の小孔に潤滑油を含浸させたものを用いることができる。
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置1では、3個の遊星ローラ4に対応して3個のワイパー部材が設けられていたが、少なくとも1つの遊星ローラ4に対応してワイパー部材が設けられていればよい。この場合、ワイパー部材が設けられていない遊星ローラ4に対応して潤滑油を含浸させた従来公知の含油部材(例えば、特許文献1の含油ローラ)を設け、この含油部材を遊星ローラ4に接触させることにより遊星ローラ4の潤滑を行ってもよい。また、このような含油部材は、ワイパー部材とともに複数の遊星ローラ4の各間に設けられていてもよい。なお、含油部材は、例えば焼結樹脂又は焼結金属等の多孔質材料により形成され、内部の小孔に潤滑油を含浸させたものを用いることができる。
第3及び第4実施形態で説明したような溝49b、59bを有するワイパー部材49,59は、焼結樹脂又は焼結金属等の多孔性材料からなる含油部材により構成することも可能である。含油部材には多数の小孔が形成されるため、遊星ローラ4に付着した摩耗粉を取り除こうとすると摩耗粉で小孔が目詰まりし、潤滑を行えなくなったり目詰まりした摩耗粉によってアブレシブ摩耗が発生したりする可能性があり、そのままではワイパー部材として不適である。しかし、このような含油部材に溝49b,59bを形成することによって、溝49b,59b内に摩耗粉を入り込ませ、摩耗粉の排出を促進したり摩耗粉を溝49b,59b内で蓄積したりすることができるので、含油部材であってもワイパー部材としての使用が可能となる。また、含油部材の小孔が摩耗粉で目詰まりしても、溝49b,59bの内部からしみ出した潤滑油を遊星ローラ4に供給することが可能となるので、潤滑性能も維持することができる。
第1の実施形態や第2の実施形態で説明したような自転しない形態のワイパー部材29,39においても、遊星ローラ4との接触面に溝を形成してもよい。
上記実施形態の支持プレート6は、軸方向においてキャリア5との間に遊星ローラ4に挟むように配置されていたが、キャリア5と遊星ローラ4との間に配置されていてもよい。
上記実施形態の支持プレート6は、軸方向においてキャリア5との間に遊星ローラ4に挟むように配置されていたが、キャリア5と遊星ローラ4との間に配置されていてもよい。
上記各実施形態のワイパー部材は、支持プレート6に設けられていたが、支持プレート6以外のもの、例えば、キャリア5に設けられていてもよい。
上記実施形態では、3つの遊星ローラ4が太陽軸3の周りに配置されているが、遊星ローラ4の数は、本発明においてとくに限定されるものではなく、例えば4つ以上の遊星ローラ4を太陽軸3の周りに配置することもできる。
上記実施形態では、3つの遊星ローラ4が太陽軸3の周りに配置されているが、遊星ローラ4の数は、本発明においてとくに限定されるものではなく、例えば4つ以上の遊星ローラ4を太陽軸3の周りに配置することもできる。
1:遊星ローラ式動力伝達装置、2:固定輪、3:太陽軸、4:遊星ローラ、5:キャリア、29:ワイパー部材、39:ワイパー部材、49:ワイパー部材、49a:外周面、49b:溝、59:ワイパー部材、59a:外周面、59b:溝
Claims (4)
- 固定輪と、前記固定輪の径方向の内側において前記固定輪と同心状に配置された太陽軸と、前記固定輪と前記太陽軸との間に設けられ前記固定輪と前記太陽軸とに圧接される複数の遊星ローラと、前記固定輪の内周面に沿った前記遊星ローラの公転に連動して回転するキャリアと、を備えている遊星ローラ式動力伝達装置であって、
少なくとも1つの前記遊星ローラの外周面に接触しかつ前記遊星ローラの外周面に付着した摩耗粉を取り除くワイパー部材を備えている、遊星ローラ式動力伝達装置。 - 前記ワイパー部材が、その表面における一定の位置で前記遊星ローラの外周面に接触する、請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
- 前記ワイパー部材が、前記遊星ローラの外周面に接触する接触面を有し、前記接触面に溝が形成されている、請求項1又は2に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
- 前記ワイパー部材は、非多孔質材料により形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102022115328A1 (de) | 2021-06-22 | 2022-12-22 | Hamamatsu Photonics K.K. | Verfahren zum Entfernen des Hintergrunds einer Fluoreszenzlebenszeitmessung und Verfahren zum Quantifizieren einer Zielsubstanz |
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-
2019
- 2019-12-25 JP JP2019234235A patent/JP2021102976A/ja active Pending
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