JP2021098454A - 車両構造 - Google Patents
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Abstract
Description
これに対し、従来においては、前記要請に応えるための手段として、たとえば前記した左右一対のフロントサイドメンバとは別に、車両前後方向に延びる左右一対の補強部材(インナメンバ)を用いて、これら一対の補強部材をフロア部の上部や下部に接合することにより、ダッシュパネルやフロア部を補強する手段が採用されている。また、このような手段に加え、フロアトンネルリインフォースをフロアトンネル部に接合し、フロアトンネル部を補強するなどの手段も採用されている。
しかしながら、このような手段を採用した場合、補強部材がフロア部の上側または下側において大きく嵩張る。このため、たとえばフロア部の上側または下側に、大型のバッテリを搭載する場合に、そのスペースを確保するのに苦慮する不具合を生じる。また、前記したような補強手段によれば、補強部材のサイズをかなり大きくする必要があるため、車両重量の大幅な増加や、生産コストの大幅な上昇をも招く。
ところが、同文献に記載の手段によれば、ダッシュパネルのうち、フロアトンネル部の前端開口部よりも上側の領域を補強しているに過ぎない。このため、車両の前突が発生し、その衝突荷重がフロアトンネル部の前端開口部の近辺に入力した場合には、この部分が車室内側に進入することを効果的に防止することは困難なものとなっており、前記した不具合を適切に解消することはできない。
第1に、車両の前突が発生することにより、車両前方側から車両前部に衝突荷重が入力し、ダッシュパネルに対してその荷重の一部が作用すると、その衝突初期においては、前記補強部材によって前記荷重を受けさせるとともに、その後の衝突中・後期においては、前記荷重を前記補強部材からフロントサイドメンバに伝達させ、このフロントサイドメンバにも荷重を負担させることができる。このため、車両の前突が発生した際の耐荷重性能(耐衝撃性能)を優れたものとすることができる。
第2に、前記した衝突荷重を、補強部材およびフロントサイドメンバに負担させるため、ダッシュパネルや車室のフロア部に衝突荷重が直接作用することを抑制し、ダッシュパネルが車室内側に大きく進入するように変形することを適切に防止または抑制することが可能である。したがって、乗員保護性能に優れたものとすることができる。また、たとえば電気自動車において、バッテリなどの機器を車室のフロア部の上側または下側に搭載した場合に、車両の前突が発生した際に前記機器に衝突荷重が強く作用することも回避可能となり、前記機器を保護する性能も優れたものとすることができる。
第3に、補強部材は、フロアトンネル部の前端開口部の縁部のうち、上下高さ方向に延びる左右の両側縁部の少なくとも一方の稜線を覆うようにしてダッシュパネルに接合されているため、ダッシュパネルが衝突荷重を受けた際に、前記稜線を起点として曲げ変形することも適切に抑制される。その結果、ダッシュパネルが車室内に進入することなどを、より徹底して防止することができる。
第4に、補強部材は、ダッシュパネルのフロアトンネル部の前端開口部の縁部、およびこの縁部からフロントサイドメンバに到る領域に設けられており、車室のフロア部にいて車両前後方向に長く延びて嵩張った状態に設ける必要はない。このため、車室のフロア部には、たとえばバッテリなどの所望の機器を搭載するためのスペースを大きな面積で確保することが容易に実現できる。
フロア部6の前寄り領域の車幅方向略中央部には、フロアトンネル部7が設けられている。このフロアトンネル部7は、ダッシュパネル2の下部寄り領域に前端開口部70が形成された下面開口状である。このフロアトンネル部7内には、エンジンルーム11から車両後方側に延びるように設定される排気マフラ(不図示)などの所望の機器類が配置される。
央寄り領域は、断面ハット状とされており、ダッシュパネル2との接合箇所において、閉断面構造部が構築されている。
より具体的には、フロアトンネル部7の前端開口部70は、図3(b)および図4(b)に示すように、たとえば正面視略台形状であり、その縁部としては、上縁部71b、および左右の両側縁部71aがある。一対の補強部材5の長手方向中央寄り領域は、両側縁部71aの各稜線Laを覆う(稜線Laに重なる)ようにして、ダッシュパネル2に接合されている。ここで、稜線とは、互いに交差する角度で繋がった複数の壁部どうしの境界部分であり、稜線Laは、フロアトンネル部7の側壁部7aと、ダッシュパネル2の後下がり傾斜部21との境界部分である。好ましくは、前端開口部70の上縁部71bの稜線Lbの略全長域も、補強部材5によって覆われている。
成によれば、ダッシュパネル2に衝突荷重が作用した際に、ダッシュパネル2が稜線Laを起点として大きく曲げ変形することも適切に抑制される。したがって、車両Aの前突が発生した際に、ダッシュパネル2が車室10内に進入することは、より徹底して防止される。
上述の実施形態においては、補強部材5が、左右一対で設けられているが、これに限定されない。たとえば、左右一対の補強部材5のうち、いずれか一方の補強部材5のみを設けて、フロアトンネル部7の前端開口部70の左右の両側縁部71aのうち、一方の側縁部71aの稜線Laのみが補強部材5によって覆われた構成とすることもできる。このような構成であっても、そのような補強構造が採用されていない従来技術と比較すると、好ましい補強効果が得られる。なお、上述した実施形態の左右一対の補強部材5の上部を繋げるなどして、これらを単一の補強部材として構成とすることも可能である。
本発明においては、ダッシュクロスメンバ4を設けた上で、補強部材5の上端部5aをダッシュクロスメンバ4に接合することが好ましいものの、ダッシュクロスメンバ4を省略した構成とすることも可能である。
フロアトンネル部の具体的な形状やサイズなども限定されない。
B 車両構造
La 稜線(前端開口部の側縁部の)
10 車室
2 ダッシュパネル
3 フロントサイドメンバ
4 ダッシュクロスメンバ
5 補強部材
5b 下端部(補強部材の一端部)
6 フロア部
7 フロアトンネル部
70 前端開口部(フロアトンネル部の)
71a 側縁部(前端開口部の)
Claims (1)
- 車室の前側の隔壁をなすように上下高さ方向に起立して設けられ、かつ下部寄り領域にフロアトンネル部の前端開口部が形成されているダッシュパネルと、
前記フロアトンネル部よりも車幅方向両外方側に位置するように車幅方向に間隔を隔てた配置とされ、かつ前記ダッシュパネルよりも車両前方側の位置から車両後方側の位置にわたって車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、
を備えている、車両構造であって、
前記フロアトンネル部の前端開口部の縁部のうち、上下高さ方向に延びる左右の両側縁部の少なくとも一方の稜線を覆うようにして前記ダッシュパネルに接合され、かつ一端部が前記各フロントサイドメンバに接合されている補強部材を、さらに備えていることを特徴とする、車両構造。
Priority Applications (1)
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JP2019231231A JP7149043B2 (ja) | 2019-12-23 | 2019-12-23 | 車両構造 |
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JP2005199945A (ja) * | 2004-01-19 | 2005-07-28 | Nissan Motor Co Ltd | 車体前部構造 |
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- 2019-12-23 JP JP2019231231A patent/JP7149043B2/ja active Active
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