JP2021070434A - 車体前部構造 - Google Patents

車体前部構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2021070434A
JP2021070434A JP2019199168A JP2019199168A JP2021070434A JP 2021070434 A JP2021070434 A JP 2021070434A JP 2019199168 A JP2019199168 A JP 2019199168A JP 2019199168 A JP2019199168 A JP 2019199168A JP 2021070434 A JP2021070434 A JP 2021070434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing member
side frame
vehicle body
fragile
bent portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019199168A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7060560B2 (ja
Inventor
優大 安孫子
Yudai Abiko
優大 安孫子
僚 喜多
Ryo Kita
僚 喜多
優太 出口
Yuta Deguchi
優太 出口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2019199168A priority Critical patent/JP7060560B2/ja
Publication of JP2021070434A publication Critical patent/JP2021070434A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7060560B2 publication Critical patent/JP7060560B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Body Structure For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】車体への衝撃エネルギーの吸収量を大きくできること。【解決手段】車体前部構造100は、フロントサイドフレーム31の車幅方向外側、且つ上方で車体前後方向に延びる側部フレーム1を有する。側部フレーム1は、水平に延びるアッパメンバ2と、アッパメンバ2の前端に接続されて前下方に湾曲して延びるロアメンバ3と、ロアメンバ3におけるアッパメンバ2との接続部の近傍に屈曲して設けられた屈曲部4とを備える。更に、側部フレーム1の内部に、アッパメンバ2から屈曲部4を跨いでロアメンバ3に渡って延在する補強部材7を配設し、補強部材7における屈曲部4の前方側に脆弱な脆弱部9a,9bを形成する構成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車体前部構造に関する。
車体のSOT(Small Overlap Test)衝突や微小ラップ衝突等のナローオフセット衝突を吸収する対策として、特許文献1に記載の車体前部構造がある。この車体前部構造は、フロントピラーから前方に延びるアッパメンバ(ホイールハウスアッパメンバ)と、このアッパメンバの前方で下方側に湾曲するロアメンバ(ホイールハウスロアメンバ)とによる側部フレームを屈曲させて衝撃エネルギーを吸収するように構成されている。衝撃エネルギーを吸収する側部フレームの屈曲は、アッパメンバとロアメンバとの境界部分の屈曲部で実現されている。
特許第6541722号公報
ところで、近年増加する電気自動車は、大型バッテリー搭載のため重量が増加しており、このため、衝突時の衝撃エネルギーも増加している。しかし、上記特許文献1の車体前部構造では、アッパメンバとロアメンバとの境界部分の屈曲部のみを屈曲(変形)させるため、衝撃エネルギーの吸収量が小さい。このため、より衝撃エネルギーの吸収量を増大する構造が望まれていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車体への衝撃エネルギーの吸収量を大きくできる車体前部構造を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の車体前部構造は、フロントサイドフレームの車幅方向外側、且つ上方で車体前後方向に延びる側部フレームを有する車体前部構造において、前記側部フレームは、水平に延びるアッパメンバと、当該アッパメンバの前端に接続されて前下方に湾曲して延びるロアメンバと、当該ロアメンバにおける当該アッパメンバとの接続部の近傍に屈曲して設けられた屈曲部とを備え、前記側部フレームの内部に、前記アッパメンバから前記屈曲部を跨いで前記ロアメンバに渡って延在する補強部材を配設し、当該補強部材における当該屈曲部の前方側に脆弱部を形成することを特徴とする。
本発明によれば、車体への衝撃エネルギーの吸収量を大きくできる。
本実施形態に係る車体前部構造の斜視図である。 本実施形態の車体前部構造における側部フレームの断面図である。 本実施形態の車体前部構造における側部フレーム内の補強部材、バルクヘッド及び脆弱部を示す斜視図である。 補強部材の脆弱部である切欠き部及び穿孔部を示す側面図である。 衝突時の側部フレームの折れ曲がりの様態を示し、(a)はバリアへの衝突時に側部フレームの補強部材前端より前部が折れ曲がる様態を示し、(b)は補強部材の前方の切欠き部の前方が折れ曲がる様態を示し、(c)は後方の切欠き部の前方が折れ曲がる様態を示す簡易側面図である。 図3のVI−VI断面図である。 側部フレーム内の補強部材の内側に配置された追加補強部材を示す側面図である。 側部フレーム内の補強部材の内側に配置された追加補強部材を示す斜視図である。 側部フレームにおける補強部材の前端を強度境界とするアウタパネルの前部と後部とを示す側面図である。 側部フレームにおけるアッパメンバの水平部分の下側に設けた切欠きを示す側面図である。 縦軸の衝突荷重(F)と、横軸の衝突ストローク(S)との関係を示すグラフである。 側部フレームの前端部が、フロントサイドフレームの前端側で車幅方向外側に拡がる拡幅部と接続されている簡易構成を示す平面図である。
<実施形態の構成>
本発明の実施形態について、図1〜図12を参照して詳細に説明する。説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図中において、矢印で示す「前後」は図示せぬ自動車(車両)の前後方向、「左右」は自動車の幅方向、「上下」は鉛直上下方向をそれぞれ示している。
図1は本実施形態に係る車体前部構造の斜視図である。
図1に示す車体前部構造100において、側部フレーム1は、車両前部において略水平状で車両前後方向に延びるフロントサイドフレーム31の車幅方向外側に配置されている。側部フレーム1とフロントサイドフレーム31とは、車幅方向両側に左右一対で配置されており、図1は車両左側に配置された側部フレーム1及びフロントサイドフレーム31を示している。以下、この車両左側に配置された側部フレーム1について説明するが、車両右側のものも左右対称の形状である以外は同じ構造である。
側部フレーム1は、図示せぬ前輪の上方側に配置されるホイールハウスアッパメンバ(アッパメンバともいう)2及びホイールハウスロアメンバ(ロアメンバともいう)3を備えて構成されている。
アッパメンバ2は、この後端が、上下方向に立設するフロントピラー41に接続され、略水平状に車両前後方向に延びている。ロアメンバ3は、アッパメンバ2の前端に接続され、前方斜め下方側(前下方)に湾曲状に延びている。
アッパメンバ2は、この後端側がフロントピラー41に接続されて前方側に延び、この延びた前端側が、ロアメンバ3の後端にスポット溶接等で接続されている。このアッパメンバ2の車幅方向の内側には、図示せぬダンパを上方から覆うダンパベース42が配置されている。
ロアメンバ3は、アッパメンバ2との接続部から僅かに前方へ延びた後、前下方に湾曲状に屈曲した屈曲部4を介して、前下方に緩やかに湾曲して延びる形状を成す。ロアメンバ3の前端部は、フロントサイドフレーム31の前端側から車幅方向の外側に拡がる拡幅部33と接続されている。更に、ロアメンバ3の前端は、フロントサイドフレーム31の前端と車幅方向で面一となっており、双方の前端がガセット32で連結されている。
側部フレーム1を構成するアッパメンバ2及びロアメンバ3の各々は、アウタパネル5とインナパネル6とから構成されている。インナパネル6は、図2に示すように、車幅方向の外側に開口する断面コ字形状を成す。アウタパネル5は、インナパネル6に開口を塞ぐ状態で内側に組付けられ、次のように接合されている。即ち、インナパネル6の開口側の端部6aと、アウタパネル5の上下両辺が折り曲げられた端部5aとが当接され、溶接等によって接合されている。
また、アウタパネル5で閉塞された断面コ字形状のインナパネル6の内部には、断面コ字形状の補強部材7が組み込まれ、補強部材7とインナパネル6との対向面又は当接面の所定部分が溶接等で接合(符号7aで指示する)されている。このように補強部材7を、アウタパネル5及びインナパネル6から成るロアメンバ3の閉断面内に配置固定することで、ロアメンバ3の双方向矢印Y1で示す上下方向の強度がアップする。
補強部材7は、図3に示すように、アッパメンバ2の前端部分からロアメンバ3の屈曲部4を跨って、ロアメンバ3の前端側の強度境界14(後述)まで延在している。補強部材7の屈曲部4に対応する位置から前方側には、補強部材7を切欠き又は穿孔した複数の脆弱部9a,9bが離間して形成されている。
これらの脆弱部9a,9b以外に、図4に示すように、屈曲部4(図2)の付近で補強部材7を貫通状態に穿孔した脆弱部9cと、この脆弱部9cよりもアッパメンバ2側に補強部材7を切り欠いた脆弱部9dとが形成されている。但し、脆弱部9a,9b,9dを、切欠き部9a,9b,9dとも称し、脆弱部9cを穿孔部9cとも称す。
脆弱部9a〜9dは、図2に矢印Y2で示す補強部材7の上半分に形成される。上半分とは、アウタパネル5とインナパネル6とで囲まれる側部フレーム1の矩形断面における上下間の中心位置10よりも上側を指す。また、上半分を、図4の補強部材7においても、破線10で示す中心位置付近の稜線から上側に向く矢印Y2で示した。
この構成の補強部材7を、側部フレーム1内に設けた場合、側部フレーム1の衝突時に、次に説明する図5(a)〜(c)に示すように、補強部材7が下方側へ変形(曲げ)する。
即ち、図5(a)に示すように、電柱等の物体であるバリア15に側部フレーム1の前端が衝突した際に、補強部材7よりも前方に配置された前側の側部フレーム1の前部1aが、バリア15に衝突して矢印Y3で示すように下方側へ折れ曲がる。この前部1aの折れ曲がりは、補強部材7の前端に沿った、図9に示す側部フレーム1の強度境界(境界ともいう)14で分割される前部1aと後部1bとの強度が異なるためである。即ち、補強部材7が固定された後部1bよりも前部1aが固いため、側部フレーム1の前端の衝突時に前部1aが折れ曲がる。
次に、図5(b)に示すように、更なる衝突荷重により、補強部材7の脆弱部である切欠き部9aの前方部分がバリア15に衝突して、矢印Y4で示すように、切欠き部9aで下方側に折れ曲がる。更に、図5(c)に示すように、切欠き部9bの前方部分がバリア15に衝突して、矢印Y4で示すように、切欠き部9bで下方側に折れ曲がる。これによって衝撃エネルギー吸収量が増大する。
図3に示すように、補強部材7の内側には、屈曲部4の近傍で且つ離間した3か所に、金属等の剛性材料による剛性構造としてのバルクヘッド(壁)11a,11b,11cが配設されている。これらの内、図6にバルクヘッド11bを代表して示し、その説明を行う。図6は、図3のVI−VI断面図である。
図6に示すバルクヘッド11bは、補強部材7の断面コ字形状の内壁に入る矩形状を成す。このバルクヘッド11bの上面及び下面と、この上下面に対向する補強部材7の上下壁と、インナパネル6の上下壁との3枚の所定部分が溶接等で接合(符号7aで指示する)されている。言い換えれば、バルクヘッド11bは、アウタパネル5及びインナパネル6から成るロアメンバ3の閉断面内に、補強部材7を介して連結されている。
但し、バルクヘッド11cは、図3に示すように、切欠き部9dから露出したロアメンバ3の閉断面内にも連結されている。更に説明すると、バルクヘッド11cは、下面側が補強部材7の内壁に固定され、上面側がインナパネル6の内壁に固定されている。また、補強部材7に沿ったバルクヘッド11aの前後両側には脆弱部9a,9bが配置され、バルクヘッド11bの両側には脆弱部9b,9cが配置されている。
なお、剛性構造をバルクヘッド11a〜11cに代え、ロアメンバ3の長手方向に沿ってビードを形成してもよい。
図7は補強部材7に設けた追加補強部材12の側面図である。図8は追加補強部材12の斜視図である。但し、図3でも、補強部材7に追加補強部材12を備えるが、図3では追加補強部材12を省略してある。
図7に示すように、追加補強部材12は、補強部材7の上下幅よりも狭い幅で所定の長さを有する形状を成す。この追加補強部材12は、補強部材7の断面コ字形状(図2参照)の内側を上下に区切る状態で、補強部材7の長手方向に沿って配設されている。この配設状態は、追加補強部材12が脆弱部である切欠き部9aを跨ぎ、この跨いだ後端側がバルクヘッド11aに固定され、前方側が補強部材7の前端から突き出てロアメンバ3のインナパネル6に固定されている。
更に詳細に説明すると、図8に示すように、追加補強部材12は、断面L字形状で所定長さに延びる本体部12aと、本体12aの前端で下方側にL字状に曲がる前端部12bと、この逆の後方側において上向きに開口した断面コ字形状の後端部12cとから構成されている。その前端部12bがインナパネル6の下側内壁に固定され、本体部12aが切欠き部9aを跨ぎ、この跨いだ後端側の後端部12cがバルクヘッド11aに固定されている。この固定により、追加補強部材12の断面L字形状の縦壁と横壁間の稜線12dが、ロアメンバ3の両角の稜線に沿って延びる配置状態となっている。
図9は側部フレーム1における補強部材7の前端を強度境界14として前後に分けた際の、アウタパネル5の前部5aと後部5bとを示す側面図である。
アウタパネル5は、図2に示すように、断面コ字形状のインナパネル6の開口を閉塞して組付けられている。アウタパネル5は、強度境界14で分けた前部5aが、後部5bより高い強度を有している。例えば、前部5aが1.6t/980板材で、後部5bが1.4t/780板材で形成されている。
一方、インナパネル6は、側部フレーム1の先端から後端まで、同じ厚さで同じ引張強度の金属製の板材(例えば1.6t/980板材)を用いて形成されている。なお、板材の厚さ及び引張強度で、板材の強度が決まる。このことから、アウタパネル5とインナパネル6とを組み合わせて構成される側部フレーム1の強度は、強度境界14で前後に分けた際の前部1aが、後部1bよりも高い強度を有している。
図10に示すように、側部フレーム1は、フロントピラー41に接続されるアッパメンバ2における補強部材7より後側の水平部分の下側に、切欠き2kを設けてある。この切欠き2kは、側面から見た際にダンパベース42よりも、やや前方側に形成されている。この構成によって、側部フレーム1の前方側が衝突した場合、側部フレーム1が、ダンパベース42よりも前方の切欠き2kで折り曲げられるようになっている。
図3に示すように、側部フレーム1に固定された補強部材7の内側には、屈曲部4の前方側に、剛性構造としての2つのバルクヘッド11a,11bが配設されている。バルクヘッド11bとバルクヘッド11aとの間には、脆弱部9bが形成され、バルクヘッド11aの前方側には、脆弱部9aが形成されている。
このように、側部フレーム1において、脆弱部9a,9bの後方にバルクヘッド11a,11bが設けられている構成において、衝突時の側部フレーム1の折れ曲がりについて、図5を参照して説明する。但し、図5は補強部材7及び側部フレーム1の前部1aのみを示してある。
図5(a)に示す前部1aへのバリア15の衝突後、図5(b)に示すように、バルクヘッド11a(図3)の前方側の脆弱部9aが下方側に折れ曲がる。次に、図5(c)に示すように、バルクヘッド11b(図3)の前方側の脆弱部9bが下方側に折れ曲がる。このように2段底突き時に、側部フレーム1が前方側から後方側に向かって順次折れ曲がるようになっている。
<実施形態の効果>
次に、上述した本実施形態の車体前部構造の特徴構成及びその効果について説明する。車体前部構造100は、フロントサイドフレーム31の車幅方向外側、且つ上方で車体前後方向に延びる側部フレーム1を有する。この車体前部構造100の特徴構成について説明する。
(1)側部フレーム1は、水平に延びるアッパメンバ2と、アッパメンバ2の前端に接続されて前下方に湾曲して延びるロアメンバ3と、ロアメンバ3におけるアッパメンバ2との接続部の近傍に屈曲して設けられた屈曲部4とを備える。更に、側部フレーム1の内部に、アッパメンバ2から屈曲部4を跨いでロアメンバ3に渡って延在する補強部材7を配設し、補強部材7の屈曲部4よりも前方側に脆弱な脆弱部9a,9bを形成する構成とした。
この構成によれば、従来の車体前部構造で折れやすかった屈曲部4(従来では脆弱部としていた)を補強部材7で補強し、この補強部材7の屈曲部4の前方側に脆弱部9a,9bを形成した。このため、側部フレーム1の前端が衝突時に、補強部材7における屈曲部4の前方側の脆弱部9a,9bを、屈曲部4よりも早期に屈曲させることができ、このため、吸収可能な衝撃エネルギーを増大できる。
この吸収可能な衝撃エネルギーの増大について、図11に示す縦軸の衝突荷重(F)と、横軸の衝突ストローク(S)との関係のグラフを参照して詳細に説明する。但し、衝突荷重Fは、側部フレーム1におけるナローオフセット衝突等の衝突時の荷重を示し、F0からF6に向かうに従って増加する。衝突ストロークSは、その衝突時点t0からt8へ向かう経過時間に伴う側部フレーム1の屈曲量(変形量)を示す。この衝突ストロークSは、時間経過t1〜t8に応じてS0〜S8に向かう方向に増加する。
<従来の車体前部構造の作用効果>
従来の車体前部構造では、破線L1で示すように、側部フレーム(側部フレーム1)への衝突時点t0から時間経過に伴い、衝突荷重Fが徐々に大きくなって側部フレームが僅かずつ湾曲する。この後、経過時間t1で側部フレームの衝突荷重がF1となった際に衝突ストロークがS1となる。この後も、衝突荷重が徐々に大きくなるに従い側部フレームが僅かずつ湾曲し、経過時間t3で衝突荷重がF3となった際に衝突ストロークがS3となる。
この衝突ストロークS3の衝突荷重F3以上になると、側部フレームの屈曲部(屈曲部4)が屈曲し、この屈曲変形により衝撃エネルギーが吸収される。その後、屈曲部は、経過時間t5の衝突荷重F5まで急激に屈曲して衝突ストロークがS5となる。更に、衝突荷重F5から衝突荷重F6に至るまで屈曲部の屈曲量が急激に増加し、経過時間t6で衝突荷重F6となった際に屈曲部が鋭角に折れ曲がり、衝突荷重が経過時間t8のF2まで急激に減少する。その屈曲部の鋭角な折れ変形により衝撃エネルギーが更に吸収される。
即ち、従来の車体前部構造では、破線L1で囲まれる面積に対応する屈曲部の屈曲量(変形量)だけ衝撃エネルギーが吸収される。つまり、側部フレームの衝突荷重F1,F3,F5,F6,F2に応じた衝突ストロークS1,S3,S5,S6,S8で示す屈曲部の屈曲量に応じて衝撃エネルギーが吸収される。
<本実施形態の車体前部構造の作用効果>
これに対して、本実施形態の車体前部構造(本構造ともいう)100では、図11に実線L2で示すように、側部フレーム1への衝突時点t0からt1へ向かう時間経過に伴い、従来と同様に、衝突荷重Fが僅かずつ大きくなって側部フレーム1が徐々に湾曲する。
経過時間t1において、側部フレーム1の衝突荷重がF1となった際に衝突ストロークがS1となる。この衝突ストロークS1の衝突荷重F1以上になると、側部フレーム1の脆弱部9aが急激に屈曲{図5(b)参照}し、この屈曲変形により衝撃エネルギーが吸収される。更に、衝突荷重F1を超え、衝突荷重F4に至るまで脆弱部9aの屈曲量が増加する。
その後、経過時間t2の衝突荷重F4になると、屈曲部4側の脆弱部9bが急激に屈曲{図5(c)参照}する。更に、衝突荷重F4を超え、衝突荷重F6に至るまで脆弱部9bの屈曲量が増加し、経過時間t4で衝突荷重F6になると、屈曲部4が鋭角に折れ曲がり、衝突荷重が経過時間t7のF3となるまで後述の破線L1よりも緩やかに減少する。その屈曲部4の鋭角な折れ変形により衝撃エネルギーが更に吸収される。
但し、本実施形態の衝突ストロークS7となる経過時間t7と、従来の衝突ストロークS8となる経過時間t8とは極近傍である。
上記の動作により本構造100では、実線L2で囲まれる面積に対応する脆弱部9a,9b及び屈曲部4の屈曲量(変形量)だけ衝撃エネルギーが吸収される。つまり、側部フレームの衝突荷重F1,F4,F6,F3に応じた衝突ストロークS1,S2,S3,S7で示す屈曲部4の屈曲量に応じて衝撃エネルギーが吸収される。本構造100の実線L2に係る面積は、従来構成の破線L1に係る面積よりも広いので、従来よりも多くの衝撃エネルギーを吸収できる。
更に説明すると、従来構造に係る破線L1では、経過時間t3の衝突荷重F3で側部フレームの屈曲部が急激に屈曲していた。しかし、本構造100に係る実線L2では、矢印Y10で示すように、前記経過時間t3よりも早期の経過時間t1の衝突荷重F1で、側部フレーム1における屈曲部4の前方の脆弱部9aが急激に屈曲し、この屈曲後、経過時間t2の衝突荷重F4で次の脆弱部9bが急激に屈曲する。これらの脆弱部9a,9bの屈曲は、従来の屈曲部が鋭角に折れ曲がる時間t3よりも早いので、従来よりも早期に衝撃エネルギーを吸収できる。この後、更に屈曲部4が、従来の屈曲部の鋭角な折れ曲がり時間t6よりも早い時間t4で鋭角に折れ曲がる。このような屈曲による本実施形態の実線L2と、従来の破線L1とで囲まれる面積K2に対応する衝撃エネルギー吸収量の殆どは、脆弱部9a,9bの早期屈曲による衝撃エネルギー吸収量である。この早期屈曲による衝撃エネルギー吸収量が、従来の衝撃エネルギー吸収量よりも増加することになる。
(2)補強部材7における屈曲部4の近傍に、当該補強部材7の剛性を高める複数の剛性構造(バルクヘッド11a〜11c又はビード)を設け、補強部材7における剛性構造の前後に脆弱部9a〜9cを形成する構成とした。
この構成によれば、屈曲部4の近傍に剛性構造を設けたので、脆弱部9a〜9cが折れた後に剛性差に基づく折れ変形を連続させ、トータルとして衝撃エネルギー吸収量を増大できる。
(3)上記剛性構造は、側部フレーム1の閉断面内に補強部材7を介して連結されたバルクヘッド11a〜11cである構成とした。
この構成によれば、剛性構造は、バルクヘッド11a〜11cであることによって、バルクヘッド11a〜11cの前方の脆弱部9a〜9cが潰れた(断面崩壊した)場合でも、バルクヘッド11a〜11cが存在するため、バルクヘッド11a〜11cの後方の脆弱部9b,9cの断面崩壊を抑制できる。また、側部フレーム1の剛性構造の間の区画を、前方から後方にかけて順番に潰すことができるので、衝突荷重を徐々に上げることでピーク荷重を抑え、衝撃エネルギー吸収量を増大させることができる。
(4)補強部材7は、断面コ字形状を成し、側部フレーム1の矩形断面を構成する内側面、上面及び下面の3面に沿って配置され、当該補強部材7の上半分の領域に部分的に切欠き(切欠き部9a,9b,9d)又は穿孔(穿孔部9c)による脆弱部9a〜9dが長手方向に沿って複数形成されている構成とした。
この構成によれば、補強部材7を切り欠く又は穿孔する簡単な加工を行うだけなので、脆弱部9a〜9dを容易に形成できる。また、脆弱部9a〜9dが補強部材7の上半分に形成されているので、補強部材7の下方への変形(曲げ)を、上述で図5(a)〜(c)を参照して説明したように促進できる。
(5)補強部材7の上下幅よりも狭い幅で所定長さ延在し、断面L字形状を成す追加補強部材12を備える。追加補強部材12は、補強部材7の長手方向に、補強部材7の断面コ字形状の内側を上下に区切る状態で、脆弱部9aを跨いで配設される構成とした。
この構成によれば、補強部材7の長手方向に沿って且つ脆弱部9aを跨いで追加補強部材12が配設されているので、追加補強部材12が加わった部位の補強部材7の強度が高まる。この強度が高まった部位は、高まった強度を超える衝突荷重が加わった際に、追加補強部材12が跨る脆弱部9aで折れ曲がる。このため、衝撃エネルギーの吸収量を増加させることができる。
(6)側部フレーム1は、補強部材7の前端を境界14として前部1aと後部1bに分けた際の、前部1aが後部1bより高強度である構成とした。
この構成によれば、補強部材7の前端に曲げ応力が集中するので、側部フレーム1を、前端から後端に向けて順次折り曲げることができる。
(7)アッパメンバ2の下側に、切欠き2kを設けた構成とした。
この構成によれば、フロントピラー41の前側に接続された側部フレーム1の前方側が衝突した場合、側部フレーム1が、ダンパベース42よりも前方の切欠き2kで折り曲げられる。このため、側部フレーム1の車室側への変形を抑制できる。
(8)側部フレーム1の前端部が、図1に示したように、フロントサイドフレーム31の前端側から車幅方向外側に拡がる拡幅部33と接続されている構成とした。この構成の簡易構成を図12に示す。
この構成によれば、図12に示すように、バリア15が矢印Y6で示すように、側部フレーム1の前端に衝突した際に、このSOT荷重を、矢印Y7で示すように側部フレーム1に伝達できると共に、矢印Y8で示すように、フロントサイドフレーム31にも伝達できる。このため、側部フレーム1が折れ曲がると共に、フロントサイドフレーム31にも荷重が分散されるので、より一層、衝撃エネルギーを吸収できる。
(9)側部フレーム1は、図3に示す屈曲部4の前方側に、少なくとも2つ以上の剛性構造としてのバルクヘッド11a,11bを備え、当該2つ以上のバルクヘッド11a,11bの各々の前方側に、1つずつの脆弱部9a,9bを備える構成とした。
この構成によれば、側部フレーム1のバリア15{図5(a)}への衝突時に、前側のバルクヘッド11aの前方側の脆弱部9a{図5(b)}が下方に折れ曲がり、次に、後側のバルクヘッド11bの前方側の脆弱部9b{図5(c)}が下方に折れ曲がる。このように側部フレーム1が前方から後方側に向かって順次折れ曲がる2段底突きの折れ曲がりによって、より一層、衝撃エネルギーを吸収できる。
以上、本実施形態に係る車体構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。なお、追加補強部材12は無くてもよい。
1 側部フレーム
1a 前部
1b 後部
2 ホイールハウスアッパメンバ(アッパメンバ)
2k 切欠き
3 ホイールハウスロアメンバ(ロアメンバ)
5 アウタパネル
5a 前部
5b 後部
6 インナパネル
5a,6a 端部
7 補強部材
9a,9b,9d 脆弱部(切欠き部)
9c 脆弱部(穿孔部)
10 稜線
11a〜11c バルクヘッド(剛性構造)
12 追加補強部材
12a 本体部
12b 前端部
12c 後端部
12d 稜線
14 境界(強度境界)
15 バリア
31 フロントサイドフレーム
32 ガセット
33 拡幅部
41 フロントピラー
42 ダンパベース
100 車体前部構造

Claims (9)

  1. フロントサイドフレームの車幅方向外側、且つ上方で車体前後方向に延びる側部フレームを有する車体前部構造において、
    前記側部フレームは、水平に延びるアッパメンバと、当該アッパメンバの前端に接続されて前下方に湾曲して延びるロアメンバと、当該ロアメンバにおける当該アッパメンバとの接続部の近傍に屈曲して設けられた屈曲部とを備え、
    前記側部フレームの内部に、
    前記アッパメンバから前記屈曲部を跨いで前記ロアメンバに渡って延在する補強部材を配設し、当該補強部材の当該屈曲部よりも前方側に脆弱部を形成する
    ことを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記補強部材における前記屈曲部の近傍に、当該補強部材の剛性を高める複数の剛性構造を設け、
    前記補強部材における前記剛性構造の前後に脆弱部を形成する
    ことを特徴とする請求項1の車体前部構造。
  3. 前記剛性構造は、前記側部フレームの閉断面内に前記補強部材を介して連結されたバルクヘッドである
    ことを特徴とする請求項2に記載の車体前部構造。
  4. 前記補強部材は、断面コ字形状を成し、前記側部フレームの矩形断面を構成する内側面、上面及び下面の3面に沿って配置され、当該補強部材の上半分の領域に部分的に切欠き又は穿孔による脆弱部が長手方向に沿って複数形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車体前部構造。
  5. 前記補強部材の上下幅よりも狭い幅で所定長さ延在し、断面L字形状を成す追加補強部材を備え、
    前記追加補強部材は、前記補強部材の長手方向に当該補強部材の断面コ字形状の内側を上下に区切る状態で、前記脆弱部を跨いで配設される
    ことを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。
  6. 前記側部フレームは、前記補強部材の前端を境界として前部と後部に分けた際の、前部が後部より高強度である
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車体前部構造。
  7. 前記アッパメンバの下側に、切欠きを設けた
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車体前部構造。
  8. 前記側部フレームの前端部は、前記フロントサイドフレームの前端側から車幅方向外側に拡がる拡幅部と接続されている
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車体前部構造。
  9. 前記側部フレームは、前記屈曲部の前方側に、少なくとも2つ以上の剛性構造を備え、当該2つ以上の剛性構造の各々の前方側に、前記脆弱部を備える
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の車体前部構造。
JP2019199168A 2019-10-31 2019-10-31 車体前部構造 Active JP7060560B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019199168A JP7060560B2 (ja) 2019-10-31 2019-10-31 車体前部構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019199168A JP7060560B2 (ja) 2019-10-31 2019-10-31 車体前部構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021070434A true JP2021070434A (ja) 2021-05-06
JP7060560B2 JP7060560B2 (ja) 2022-04-26

Family

ID=75712316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019199168A Active JP7060560B2 (ja) 2019-10-31 2019-10-31 車体前部構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7060560B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014141933A1 (ja) * 2013-03-12 2014-09-18 日産自動車株式会社 車両前部構造
JP2019014342A (ja) * 2017-07-05 2019-01-31 本田技研工業株式会社 車体前部構造

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014141933A1 (ja) * 2013-03-12 2014-09-18 日産自動車株式会社 車両前部構造
JP2019014342A (ja) * 2017-07-05 2019-01-31 本田技研工業株式会社 車体前部構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP7060560B2 (ja) 2022-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5596753B2 (ja) 衝撃吸収部材
US8066322B2 (en) Vehicle body structure
JP5999134B2 (ja) 車両前部構造
JP6717378B2 (ja) 衝撃吸収部材
JP2005125989A (ja) 車両用フード構造
JP6616001B2 (ja) 車体前部構造
CN109421815B (zh) 车体构造
JP6252572B2 (ja) 車体前部構造
JP2016120875A (ja) 車両後部構造
JP6128339B2 (ja) 車両用フレーム構造
JP2014184857A (ja) 車両前部構造
JP7087973B2 (ja) 車体構造
JP2009051251A (ja) 車両前部構造
JP7060560B2 (ja) 車体前部構造
JP2017088127A (ja) 車両前部構造
JP6572786B2 (ja) 車両後部の衝撃吸収構造
JP2008132830A (ja) 車両の前部構造
JP2007176451A (ja) バンパアブソーバ
JP5027684B2 (ja) 車体前部構造
JP6414705B2 (ja) 車両の側部車体構造
JP7213292B2 (ja) 車体後部構造
JP2017052341A (ja) 車両前部構造
JP6225879B2 (ja) 車両前部構造
JP6098626B2 (ja) 車両用フレーム構造
JP5161631B2 (ja) 車両用バンパビーム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7060560

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150