JP6128339B2 - 車両用フレーム構造 - Google Patents
車両用フレーム構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6128339B2 JP6128339B2 JP2014254943A JP2014254943A JP6128339B2 JP 6128339 B2 JP6128339 B2 JP 6128339B2 JP 2014254943 A JP2014254943 A JP 2014254943A JP 2014254943 A JP2014254943 A JP 2014254943A JP 6128339 B2 JP6128339 B2 JP 6128339B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- side wall
- wall portion
- compression
- compression side
- section
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Body Structure For Vehicles (AREA)
Description
このような衝撃吸収機構では、フロントサイドフレームの折れ変形によって吸収される衝撃荷重がエネルギ吸収量全体の大半を占めるため、折れ変形によるエネルギ吸収特性は圧縮変形によるエネルギ吸収特性よりもEA(Energy Absorption)性能に与える影響が大きい。
また、延性に優れたアルミ合金製車両用フレームは、断面の自由度が高く、軽量で且つ材料強度の高い断面形状が押出成形で得ることができることから、生産性にも優れている。
つまり、折れ変形によって吸収される衝撃荷重が小さい場合、衝撃吸収のために必要なフロントサイドフレームの長手方向の変形ストローク、所謂クラッシュストロークが長くなり、車体デザインの自由度低下や車体重量の増加を招く虞がある。
まず、この解析の基本的な考え方について説明する。
図14に示すように、長手方向に延びる閉断面状鋼板製フレームモデルMと、このフレームモデルMの両端部を挟み込んだ状態でフレームモデルMの軸心を曲げるための荷重付与手段Tとを準備して、荷重点Pの変位と荷重点Pの反力とを解析した。
図14,図15(a),図15(b)に示すように、荷重付与手段Tは、枢支部Rを中心として回動可能な支持部Taと、荷重を付与する荷重点Pが形成され且つ支持部Ta側へ変位しつつ回動可能な支持部Tbとを有し、枢支部Rと荷重点Pを結ぶ直線がフレームモデルMの軸心から50mmオフセットしている。尚、フレームモデルMの各壁部を、圧縮荷重が作用する圧縮側壁部Ma、引張荷重が作用する引張側壁部Mb、各々の壁部の上下端部を夫々連結する上端壁部Mc及び下端壁部Mdとしている。
図16に示すように、長手方向に延びる閉断面状フレームでは、所定変位においてピークとなる最大(許容限界)荷重26kNが発生し、座屈後、急激に荷重が低下する。
図17に示すように、許容限界を越えた荷重の付与によって圧縮側壁部Maに弾性座屈波Wが生じ、この弾性座屈波Wが上端壁部Mc及び下端壁部Mdに伝播することから、圧縮側壁部Maにおける弾性座屈波Wの谷領域mに対応した上端壁部Mc及び下端壁部Mdの山領域nに面外変形が夫々発生する。その結果、上端壁部Mc及び下端壁部Mdが夫々面外方向に膨出し且つ圧縮側壁部Maが二つ折りに折り畳まれて閉断面状フレームが座屈する。即ち、圧縮側壁部Ma、上端壁部Mc及び下端壁部Mdの弾性座屈波Wを減衰させることで、材料の塑性領域まで許容限界荷重を増加する、換言すれば、材料の保有する性能を有効に活用してEAを増加することができる。
また、単に圧縮側壁部Maの板幅を減少すると車体の主要構成フレームとして強度不足になり、圧縮側壁部Maの板幅を減少して上端壁部Mc及び下端壁部Mdの板幅を増加するとエンジンルームに配置する各部材の配置スペースが不利になる虞がある。
これにより、幅短縮に伴う圧縮側壁部の弾性座屈周期の短縮化によって弾性座屈を抑制することができ、車両用フレームの許容限界荷重を増加することができる。
また、隣り合う横仕切壁部の離隔幅をb、圧縮側壁部の板厚をtとしたとき、0.06≦t/b≦0.12の関係を満たすように複数の横仕切壁部を形成したため、フレーム材料の弾性領域における座屈発生を回避することができる。
この構成によれば、1又は複数の縦仕切壁部によって上端壁部及び下端壁部を引っ張るため、圧縮側壁部から伝播した弾性座屈波に起因した上端壁部及び下端壁部の面外方向の変形を抑制することができる。
この構成によれば、押出成形が困難な主閉断面内に配設される複数の横仕切壁部と1又は複数の縦仕切壁部を備えた構造を簡単な方法で圧縮側壁部と一体形成することができる。
この構成によれば、上端壁部及び下端壁部の面外変形を抑制できるため、車両用フレームの許容限界荷重の低下を抑制しながら車両用フレームをビード位置を起点として折れ変形させることができる。しかも、圧縮側壁部の座屈後、崩壊した縦仕切壁部が圧縮側壁部と引張側壁部との間に介在してビードに対応した位置の断面崩れを抑制するため、EA効率を増加することができる。
以下の説明は、本発明を車両のフロントサイドフレームに適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
尚、図において、矢印F方向を前方とし、矢印L方向を左方とし、矢印U方向を上方として説明する。
まず、フロントサイドフレームが設置された前部車体構造について簡潔に説明する。
図1に示すように、車両Vは、エンジンルームEと車室とを上下方向および車幅方向に延びて仕切るダッシュパネル1と、このダッシュパネル1の前方位置で車体前後方向に延びるフロントサイドフレーム2と、フロントサイドフレーム2の側方位置でタワー形状に立設されるサスタワー部3と、このサスタワー部3と前述のダッシュパネル1とを上下方向および車体前後方向に延びて連結するエプロン部4と、エプロン部4上端で車体前後方向に延びるエプロンレインメンバ5等を備えている。尚、左右対象構造であるため、主に車体右側構造について説明し、車体左側構造については説明を省略する。
フロントサイドフレーム2の前後方向中央部には、略円柱形状のエンジンマウント7を設置して、このエンジンマウント7によってパワーユニット(図示略)を弾性支持している。また、このエンジンマウント7よりも下方のフロントサイドフレーム2内には、エンジンマウント7の取り付け剛性を高めるために、マウント取付レイン8を設置している。フロントサイドフレーム2の後部下面には、サスペンションサブフレーム(図示略)を取付けるサブフレーム取付ブラケット9を接合固定している。
図2,図3に示すように、フロントサイドフレーム2は、アルミ合金材料(5000系)により形成され、上下方向に長い、所謂縦比が横比よりも大きな略矩形状の主閉断面Cを構成している。このフロントサイドフレーム2は、前後方向における各々の領域の機能に応じて、先端部分2aと、この先端部分2aの後側に連なる前側途中部分2bと、この前側途中部分2bの後側に連なる後側途中部分2cと、この後側途中部分2cの後側に連なる基端部分2dとを備えている。
図4に示すように、アウタ部材10は、先端部分2aの右半部を構成する第1アウタ部分11(圧縮側部分)と、前側途中部分2bの右半部を構成する第2アウタ部分12と、後側途中部分2cの右半部を構成する第3アウタ部分13(引張側部分)と、基端部分2dの右半部を構成する第4アウタ部分14(圧縮側部分)とによって一体形成されている。
図2〜図4,図6,図7に示すように、第1アウタ部分11は、左右方向に略直交する面に沿った圧縮側壁部11aと、この圧縮側壁部11aから左方に延びる2つの縦仕切壁部11bと、圧縮側壁部11aの上端部から左方に延びる上端壁部11cと、圧縮側壁部11aの下端部から左方に延びる下端壁部11d等を一体的に備えている。
圧縮側壁部11aは、3つの横仕切壁部11eと、第1ビード部11fを一体的に備えている。3つの横仕切壁部11eは、主閉断面C内を上下に隣り合い且つ前後方向に延びた4つの副閉断面cを形成している。これら4つの副閉断面cは、断面横長矩形状に形成され、縦横比が1未満に設定されている。
3つの横仕切壁部11eは、圧縮側壁部11aから夫々略水平状に左方に延びて上端壁部11cと下端壁部11dとの間を略均等な離隔幅bに区画している。
圧縮側壁部11aの厚さtと隣り合う横仕切壁部11eの離隔幅b(上下ピッチ)は、次式(1)を満たすように設定されている。
0.05≦t/b≦0.12 …(1)
EA効率はビード幅a(ビードの前後幅)が小さい程増加するため、生産性を考慮して本実施例ではビード幅aを1.6mmに設定している。
これにより、圧縮側壁部11aに対して前方から所定の圧縮荷重が作用したとき、圧縮側壁部11aは第1ビード部11fを起点として右側(車幅方向外側)に折れ変形を生じる。
前側の縦仕切壁部11bは、圧縮側壁部11aから左方に延び、後側の縦仕切壁部11bは、右端部が接合された第1ビード部11fから左方に延びている。
2つの縦仕切壁部11bの離隔幅L(前後ピッチ)は、EA効率の観点から、30〜50mmに設定されている。2つの縦仕切壁部11bにより、第1ビード部11fが折れ変形する際、上端壁部11cと下端壁部11dに生じる面外変形を抑制することができる。
尚、縦仕切壁部11bの離隔幅Lは、次式(2)によって設定することができる。
0.7■(a/2+b)≦L≦1.7■(a/2+b) …(2)
第3アウタ部分13は、左右方向に略直交する面に沿った引張側壁部13aによって構成されている。この引張側壁部13aは、所定厚さ、例えば3.0mmに形成されている。
図2,図4に示すように、この引張側壁部13aは、前後方向に延びる4つの係合部13bと、引張側壁部13aの上端部から上方に延びる上フランジ部13cと、引張側壁部13aの下端部から下方に延びる下フランジ部13dを一体的に備えている。
これら係合リブ13eは、引張側壁部13aから主閉断面C内(左方)へ所定幅、例えば10mm突出している。この係合リブ13eの突出幅Hは、EA効率の観点から、5〜15mmの範囲で設定されている。
圧縮側壁部14aの厚さtと隣り合う横仕切壁部14eの離隔幅bは、式(1)を満たすように設定され、3つの縦仕切壁部14bの離隔幅Lは、30〜50mmに設定されている。これにより、圧縮側壁部14aに対して前方から所定の圧縮荷重が作用したとき、圧縮側壁部14aは第3ビード部14fを起点として右側に折れ変形を生じる。
第4アウタ部分14は、縦仕切壁部14b及び横仕切壁部14eの個数を除き第1アウタ部分11と略同様に構成されている。
図2,図5に示すように、インナ部材20は、先端部分2aの左半部を構成する第1インナ部分21(引張側部分)と、前側途中部分2bの左半部を構成する第2インナ部分22と、後側途中部分2cの左半部を構成する第3インナ部分23(圧縮側部分)と、基端部分2dの左半部を構成する第4インナ部分24(引張側部分)とによって一体形成されている。
第1インナ部分21は、左右方向に略直交する面に沿った引張側壁部21aによって構成されている。この引張側壁部21aは、所定厚さ、例えば3.0mmに形成されている。この引張側壁部21aは、前後方向に延びる3つの係合部21bと、引張側壁部21aの上端部から上方に延びる上フランジ部21cと、引張側壁部21aの下端部から下方に延びる下フランジ部21dを一体的に備えている。
上フランジ部21cと上フランジ部11gを接合すると共に下フランジ部21dと下フランジ部11hを接合することにより、4つの副閉断面cで構成された主閉断面Cを有する先端部分2aが形成される。これにより、横仕切壁部11eの左端部と係合部21bとが係合し、引張側壁部21aの右面部と縦仕切壁部11bの左端部とが当接或いは僅かな間隔を介して対向している。
左側壁部22aは、上端部から上方に延びる上フランジ部22bと、下端部から下方に延びる下フランジ部22cを備えている。
図2,図4,図5に示すように、上フランジ部22bと上フランジ部12dを接合すると共に下フランジ部22cと下フランジ部12eを接合することにより、マウント取付レイン8が配設された主閉断面Cを備えた前側途中部分2bが形成される。
図2,図5に示すように、第3インナ部分23は、圧縮側壁部23aと、3つの縦仕切壁部23bと、上フランジ部23gを有する上端壁部23cと、下フランジ部23hを有する下端壁部23d等を一体的に備えている。圧縮側壁部23aは、4つの横仕切壁部14eと、主閉断面C側に凹入した第2ビード部23fを一体的に備えている。
圧縮側壁部23aの厚さtと隣り合う横仕切壁部23eの離隔幅bは、式(1)を満たすように設定され、3つの縦仕切壁部23bの離隔幅Lは、30〜50mmに設定されている。これにより、圧縮側壁部23aに対して前方から所定の圧縮荷重が作用したとき、圧縮側壁部23aは第2ビード部23fを起点として左側(車幅方向内側)に折れ変形を生じる。第3インナ部分23は、縦仕切壁部23b及び横仕切壁部23eの個数を除き第1アウタ部分11(第4アウタ部分14)と略同様に構成されている。
上フランジ部24cと上フランジ部14gを接合すると共に下フランジ部24dと下フランジ部14hを接合することにより、3つの副閉断面cで構成された主閉断面Cを有する基端部分2dが形成される。これにより、横仕切壁部14eの左端部と係合部24bとが係合し、引張側壁部24aの右面部と縦仕切壁部14bの左端部とが当接或いは僅かな間隔を介して対向している。
図9の模式図において、Fはフロントサイドフレームとクラッシュボックスとからなるフロントフレーム体、Dはダッシュパネル、Mは連結補強メンバ、Iはダッシュロアクロスとトンネル部に設けたメンバ部材とからなる内側荷重伝達体、Uは上部連結メンバ、Q(ハッチング領域)はマウント取付レイン、R(ハッチング領域)はサブフレーム取付ブラケット、Tはフロントタイヤを夫々示している。
第1ポイントP1はクラッシュカン6の前端位置、第2ポイントP2はフロントサイドフレーム2の前端位置、第3ポイントP3は第1ビード部11fの形成位置、第4ポイントP4はマウント取付レイン8の後端位置、第5ポイントP5は第2ビード部23fの形成位置、第6ポイントP6は第3ビード部14fの形成位置を夫々示している。
図10に示すように、衝突体がフロントフレーム体Fに衝突すると、フロントフレーム体Fの第1ポイントP1から第2ポイントP2までの領域及び第2ポイントP2の後側近傍領域に軸圧縮変形が生じる。
第3ポイントP3では、第1ビード部11fによって車幅方向外側へ折れ変形(外折れ変形)が発生する。第3ポイントP3から第4ポイントP4の間では、マウント取付レインQ等が存在して変形を生じさせることができないため、第2ポイントP2と第3ポイントP3との間で一旦車幅方向内側に折れ変形(内折れ変形)を生じさせ、第3ポイントP3で車幅方向外側へ折れ変形をさせるようにしている。
以上のように、第3ポイントP3と第6ポイントP6では、車幅方向外側への折れ変形を生じさせ、第5ポイントP5では、車幅方向内側への折れ変形を生じさせることにより、十分に高いEA効率を確保している。
まず、圧縮側壁部11a(14a,23a)の厚さtと隣り合う横仕切壁部11e(14e,23e)の離隔幅bとEA効率との相関関係を検証する。
複数の副閉断面cによって構成された主閉断面Cを有するフロントサイドフレーム2は、単一矩形断面(副閉断面c)フレームの集合体と見做すことができる。即ち、矩形断面フレーム単独のEA効率を検証することで、フロントサイドフレーム2のEA効率を評価することができる。そこで、単一矩形断面の圧縮曲げモデルを準備し、CAE(Computer Aided Engineering)による第1の解析を行った。
高延性で破断しないと仮定された5000系アルミ合金材料の材料特性を備えた圧縮曲げモデルを準備し、モデルの支持可能な荷重とモデルが変形するストロークとの相関関係(FS特性)に基づき座屈モードと荷重特性を検証した(図14,図15参照)。
圧縮曲げモデルは、断面(上下)高さを50(mm)に固定して、離隔幅bと見做した断面(左右)幅dを20、25、30、40、50、75(mm)、板厚tを1.0、2.5、3.0、3.5(mm)に変更した長尺状のモデルA11〜A64を使用した。
尚、判定する座屈モードは、アルミ合金材料の降伏点前の弾性領域で圧縮曲げモデルが座屈する弾性座屈モード、降伏点後の塑性領域で圧縮曲げモデルが座屈する塑性座屈モード、圧縮曲げモデルが座屈を生じることなく全塑性曲げモーメントが生じる完全弾塑性モードに分類した。
モデルA11〜A64のFS特性を示す各々のグラフの縦軸は荷重(kN)、横軸はストローク(mm)である。
図11に示すように、t/dが0.040以下のモデルA21,A31,A41,A51,A61〜A63は、荷重が急激に落ち込む弾性座屈モードを生じるため、材料の保有する性能を有効に活用できていない。t/dが0.047であるモデルA64は、塑性座屈モードであるものの、座屈による荷重の落ち込みが大きく、EA(Energy Absorption)効率に問題がある。これにより、弾性座屈モード、塑性座屈モード、完全弾塑性モードの分類においては、t/dが0.05以上のとき、材料の保有する性能を有効に活用でき、塑性座屈モードで圧縮曲げを実行できることが分かる。
尚、モデルA11は、t/dが0.050であるものの、弾性領域で複数箇所が座屈する弾性多段座屈モードが生じることから、弾性座屈モード、塑性座屈モード、完全弾塑性モードの何れにも属さないため、今回の分類から除外している。
これにより、t/dが0.088以上のとき、材料性能を活用しつつ座屈の発生を回避することができ、t/dが0.120を超えたとき、EA効率が飽和することが分かる。
従って、t/dが0.06以上で且つ0.12以下のとき、弾性座屈の発生を回避して高いEA質量効率(単位質量当たりのEA効率)を確保することができる。
また、t/dが0.088以上で且つ0.12以下のとき、完全弾塑性モードを実行でき、更に高いEA質量効率を確保することができる。
第2のCAE解析の前提条件を説明する。
第1のCAE解析と同様に、5000系アルミ合金材料の材料特性を備えた長尺状圧縮曲げモデルX1〜X6を準備し、各モデルのFS特性に基づき荷重特性を検証した。
モデルX1〜X4の解析結果から、4つの横仕切壁部を備えたモデルX4のEAが最も高いものの、質量を考慮すると、3つの横仕切壁部を備えたモデルX3が最もEA質量効率が高いことが分かる。また、モデルX5,X6の解析結果から、引張側壁部に係合部を形成したモデルX5のEA質量効率は圧縮側壁部に係合部を形成したモデルX6のEA質量効率の約1.3倍であることが分かる。尚、FS特性の縦軸は荷重(kN)、横軸はストローク(mm)である。
モデルX5は、曲げ変形が進行する程、横仕切壁部が引張側壁部に押し付けられるため、横仕切壁部がモデル全体の強度向上に貢献している。一方、モデルX6は、曲げ変形に伴って横仕切壁部が圧縮側壁部から離隔するため、曲げ変形が進行した際、横仕切壁部と係合部との係合が解除され、横仕切壁部がモデルの強度向上に寄与していないことがEA効率低下の理由である。更に、引張側壁部に係合リブを形成することにより、引張側壁部自体の引張強度を向上することができる。
第3のCAE解析の前提条件を説明する。
第1のCAE解析と同様に、5000系アルミ合金材料の材料特性を備えた長尺状圧縮曲げモデルY1〜Y11を準備し、各モデルのFS特性に基づき荷重特性を検証した。
モデルY3は隣り合う各縦仕切壁部間の間隔が夫々20mm、モデルY4は隣り合う各縦仕切壁部間の間隔が夫々30mm、モデルY5は隣り合う各縦仕切壁部間の間隔が夫々40mm、モデルY6は隣り合う各縦仕切壁部間の間隔が夫々50mm、モデルY7は隣り合う各縦仕切壁部間の間隔が夫々60mmに夫々設定されている。
モデルY8〜Y11は、隣り合う縦仕切壁部間の間隔が夫々30mmに設定されている。
モデルY8は突出幅Hが3mmの係合リブ、モデルY9は突出幅Hが5mmの係合リブ、モデルY10は突出幅Hが15mmの係合リブ、モデルY11は突出幅Hが20mmの係合リブが夫々形成されている。
モデルY1,Y2の解析結果から、縦仕切壁部を形成したモデルY2のEA質量効率は縦仕切壁部を省略したモデルY1のEA質量効率よりも高いことが分かる。
これは、ビードを起点とした折れ変形が発生する際、縦仕切壁部が上端壁部と下端壁部夫々に連結されていることにより面外変形を抑制しているためである。
また、モデルY2のFS特性には、一旦落ち込んだ荷重が再度上昇する立上り部が観察された。これは、ビードを起点とした折れ変形が発生する際、崩壊した縦仕切壁部が圧縮側壁部と引張側壁部との間に介在してビードに対応した位置の断面崩れを抑制しているためである。
これは、変形の起点となるビードに対応した位置に近過ぎ或いは遠過ぎても、縦仕切壁部による面外変形抑制の寄与率が低下するためである。
係合リブの突出幅Hが小さい程、EA質量効率は高くなるものの、横仕切壁部と係合部の係合が解除されて横仕切壁部がモデルの強度向上に寄与しない虞があり、突出幅Hが10mmを超えると湯回り等から型設計が難しく生産性が低下する虞がある。
これにより、上下幅短縮に伴う圧縮側壁部11a(23a,14a)の弾性座屈周期の短縮化によって弾性座屈を抑制することができ、フロントサイドフレーム2の許容限界荷重を増加することができる。また、隣り合う横仕切壁部11e(23e,14e)の離隔幅をb、圧縮側壁部11a(23a,14a)の板厚をtとしたとき、0.05≦t/b≦0.12の関係を満たすように複数の横仕切壁部11e(23e,14e)を形成したため、フレーム材料の弾性領域における座屈発生を回避することができる。
これにより、複数の縦仕切壁部11b(23b,14b)によって上端壁部11c(23c,14c)及び下端壁部11d(23d,14d)を引っ張るため、圧縮側壁部11a(23a,14a)から伝播した弾性座屈波に起因した上端壁部11c(23c,14c)及び下端壁部11d(23d,14d)の面外方向の変形を抑制することができる。
1〕前記実施形態においては、フロントサイドフレームの例を説明したが、リヤサイドフレーム、サスクロスメンバ、バンパビーム、センタピラー、インパクトバー等、少なくとも、圧縮荷重と引張荷重とが作用する車両用フレームであれば何れにも適用することができる。
3〕前記実施形態においては、EA効率の観点から2〜4つの横仕切壁部の例を説明したが、設計上の観点から5つ以上の横仕切壁部を採用しても良い。
6〕前記実施形態においては、折れ変形の起点として連続した断面U字状ビードを採用した例を説明したが、断面V字状ビードでも良く、また、複数に分断されたビードでも良い。
少なくとも折れ変形の起点になれば良く、表面処理等によって脆弱部を形成しても良い。
2 フロントサイドフレーム
11 第1アウタ部分
11a 圧縮側壁部
11b 縦仕切壁部
11e 横仕切壁部
11f 第1ビード部
21 第1インナ部分
21b 係合部
21e 係合リブ
21f 係合溝
t (圧縮側壁部)板厚
b (横仕切壁部)離隔幅
H (係合リブ)突出幅
Claims (4)
- 圧縮荷重が作用する縦向きの圧縮側壁部を含む圧縮側部分と、引張荷重が作用する縦向きの引張側壁部を含む引張側部分とを備え、前記圧縮側部分と引張側部分の上下端部を夫々接合して長手方向に直交する断面が略矩形状の主閉断面を構成するアルミ合金製車両用フレーム構造において、
前記圧縮側壁部から引張側壁部に延びると共に前記主閉断面内に上下に隣り合う複数の副閉断面を形成するように配設された複数の横仕切壁部を備え、
隣り合う横仕切壁部の離隔幅をb、圧縮側壁部の板厚をtとしたとき、
0.06≦t/b≦0.12
の関係を満たすように前記複数の横仕切壁部を形成したことを特徴とする車両用フレーム構造。 - 前記主閉断面内に長手方向に直交するように配設され且つ前記圧縮側壁部と一体形成された1又は複数の縦仕切壁部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用フレーム構造。
- 前記圧縮側部分と引張側部分が夫々鋳造品で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用フレーム構造。
- 前記圧縮側壁部に長手方向に直交し且つ前記主閉断面側に凹入するビードが形成され、
前記縦仕切壁部が前記ビードに接合されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用フレーム構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014254943A JP6128339B2 (ja) | 2014-12-17 | 2014-12-17 | 車両用フレーム構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014254943A JP6128339B2 (ja) | 2014-12-17 | 2014-12-17 | 車両用フレーム構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016113079A JP2016113079A (ja) | 2016-06-23 |
JP6128339B2 true JP6128339B2 (ja) | 2017-05-17 |
Family
ID=56140613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014254943A Active JP6128339B2 (ja) | 2014-12-17 | 2014-12-17 | 車両用フレーム構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6128339B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7162900B2 (ja) | 2017-03-05 | 2022-10-31 | アイ.シー. メディカル, インコーポレイテッド | アルゴンビーム機能を有する単極電気外科用ペンシル |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101836730B1 (ko) | 2016-10-25 | 2018-03-08 | 현대자동차주식회사 | 차량용 프론트 사이드멤버 |
JP6597730B2 (ja) * | 2017-07-14 | 2019-10-30 | マツダ株式会社 | 車両の前部車体構造 |
JP6597731B2 (ja) * | 2017-07-14 | 2019-10-30 | マツダ株式会社 | 車両の前部車体構造 |
CN109515573A (zh) * | 2018-12-31 | 2019-03-26 | 章玉妹 | 一种共享单车 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2876872B2 (ja) * | 1992-03-03 | 1999-03-31 | 日産自動車株式会社 | 車体強度メンバの結合構造 |
JP2008174104A (ja) * | 2007-01-18 | 2008-07-31 | Honda Motor Co Ltd | 車体フレーム |
-
2014
- 2014-12-17 JP JP2014254943A patent/JP6128339B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7162900B2 (ja) | 2017-03-05 | 2022-10-31 | アイ.シー. メディカル, インコーポレイテッド | アルゴンビーム機能を有する単極電気外科用ペンシル |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016113079A (ja) | 2016-06-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6044624B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6107850B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6128339B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6044796B2 (ja) | 車両の前部車体構造 | |
JP5509242B2 (ja) | 車体前部構造 | |
JP6315292B2 (ja) | 車両のフレーム構造 | |
JP2009234495A (ja) | 自動車のフレーム構造 | |
JP6119727B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
US6874843B2 (en) | Vehicle front-end body structure | |
JP4687138B2 (ja) | 車両前部構造 | |
JP5056545B2 (ja) | 車両用バンパの取付構造 | |
JP6098626B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6575317B2 (ja) | 車両前部構造 | |
JP6098625B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP5928880B2 (ja) | 自動車のcfrp製キャビン | |
JP6572786B2 (ja) | 車両後部の衝撃吸収構造 | |
JP5702161B2 (ja) | 自動車の前部車体構造 | |
JP6206304B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6172132B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6206303B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP6206302B2 (ja) | 車両用フレーム構造 | |
JP5947080B2 (ja) | エネルギ吸収ブラケット | |
JP6120447B2 (ja) | 自動車の車体構造 | |
JP7060560B2 (ja) | 車体前部構造 | |
JP7213292B2 (ja) | 車体後部構造 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170315 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170328 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6128339 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |