ここで、振動による粉粒体の移動効率は、粉粒体固有の物性による影響を大きく受ける。例えば、粉粒体の比重、粒度、付着性、凝集性等が大きい場合、振動によって移動させることが難しく、こうした粉粒体を計量容器に落下させるには、振動数又は振幅を大きくする必要がある。しかし、振動数又は振幅を大きくした場合、粉粒体の落下量の微量調整は困難となる。逆に、比重や粒度等が小さい粉粒体に対して落下量の微量調整を高精度で行うためには、振動数又は振幅を小さく抑える必要があるが、このような場合、作業効率が著しく低下する。つまり、振動によって粉粒体を計量容器に落下させる特許文献1の装置では、様々な物性を有する粉粒体に対して高精度且つ高効率に計量を行うことができない。
そこで、本発明の目的は、様々な種類の粉粒体の重量の計量を高精度且つ高効率に行うことのできる、粉粒体の自動計量装置を提供することである。
本発明に係る自動計量装置は、粉粒体容器内から、目的量の粉粒体を計量容器に収容する自動計量装置であって、第1ロボットアームと、前記第1ロボットアーム先端に保持された計量スコップと、第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に保持された摺切板と、前記計量スコップが、前記粉粒体容器から前記粉粒体を取り出すように前記第1ロボットアームを制御する第1制御手段と、前記摺切板が、前記計量スコップ上の粉粒体を、所定の位置で切り出し、且つ、前記計量スコップの開口端側に押し出すことで、前記計量容器に収容するように前記第2ロボットアームを制御する第2制御手段と、を備える。
上記構成では、計量スコップによって粉粒体容器から取り出された粉粒体を、摺切板によって切り出し、且つ、計量スコップの開口端側に押し出すことにより計量容器に収容している。すなわち、摺切板が粉粒体に接触した状態で直接押し出すことによって粉粒体を移動させているため、粉粒体の物性が粉粒体の移動性に及ぼす影響は小さい。よって、上記構成によれば、計量スコップの振動によって粉粒体を計量容器に落下させる場合と比べて、様々な物性の粉粒体に対して高精度且つ高効率に計量を行うことができる。
また、上記自動計量装置において、前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームとは、双腕ロボットを構成することが好ましい。
第1ロボットアームと第2ロボットアームとが一機の双腕ロボットを構成する上記構成では、第1ロボットアームと第2ロボットアームとが、それぞれ独立して配置される場合と比べて、スペースを省くことができ、粉粒体の自動計量装置の小型化に寄与できる。
また、上記自動計量装置は、前記計量容器内の粉粒体の重量を測定する重量センサを備え、前記第2制御手段は、前記摺切板が、前記重量センサの測定値に基づいて押し出し量を調整しながら、前記粉粒体を前記計量容器に収容するように前記第2ロボットアームを制御することが好ましい。
上記構成によれば、計量容器に収容された粉粒体の重量を測定し、計量作業の進行度に応じて、摺切板による粉粒体の押し出し量を調整できる。そのため、例えば、計量作業が進行し、計量容器への粉粒体の収容量が目的量に近づくにつれて粉粒体の押し出し量を減少させることによって、計量容器に収容する粉粒体の重量を目的量に合わせる微量調整が行い易くなり、計量の精度が向上する。
また、上記自動計量装置において、前記第2制御手段は、前記摺切板を、下端の辺が前記計量スコップの開口端側の辺に対して所定の角度傾いた状態で、前記計量スコップの底面に沿って平行移動させるように前記第2ロボットアームを制御することが好ましい。
摺切板の下端の辺と計量スコップの開口端側の辺とが平行である場合、摺切板による粉粒体の押し出し動作が進行し、摺切板が計量スコップの開口端側に移動したとしても、粉粒体は、常に計量スコップの開口端側の辺のうちの同一部分から計量容器へと落下する。そのため、摺切板の移動距離当たりの、摺切板によって押し出される粉粒体の重量は、ほぼ一定である。
一方で、上記構成のように、摺切板の下端の辺が、計量スコップの開口端側の辺に対して所定の角度傾いている場合、摺切板が計量スコップの開口端側に移動するにつれて、計量スコップの開口端側の辺のうちの粉粒体が落下する部分の長さは短くなる。そのため、摺切板による押し出し動作が進行するにつれて、摺切板の移動距離当たりの、摺切板によって押し出される粉粒体の重量は減少する。これにより、計量容器へ収容する粉粒体の重量を目的量に合わせる最後の微量調整が容易となり、計量の誤差をより小さくすることができる。
また、上記自動計量装置において、前記第2制御手段は、前記摺切板による前記計量スコップ上の粉粒体の切り出し位置及び押し出し速度を調整可能であることが好ましい。
摺切板によって粉粒体の押し出し動作を開始した直後は、作業の効率化の観点から押し出し速度は速い方が好ましい。一方で、押し出し動作が進行し、計量容器へ収容する粉粒体の重量を目的量に合わせる最後の微量調整を行うときには、計量の誤差を抑えるために押し出し動作を慎重に行う必要があり、押し出し速度は遅くすることが好ましい。そこで、上記構成とすることで、摺切板の位置に応じて、すなわち、摺切板による押し出し動作の進行度合いに応じて押し出し速度を調整できるので、粉粒体の計量をさらに高精度且つ高効率に行うことができる。
また、上記構成によれば、例えば、目的量が大きいときは、計量スコップの開口端側から離れた位置で切り出しを行い、小さいときは、開口端側に近い位置で切り出しを行うといったように、目的量に応じて摺切板による粉粒体の切り出し位置を調整できるため、必要且つ十分な量の粉粒体を効率良く計量することができる。
また、上記自動計量装置において、前記計量スコップは、底面が平坦であり、前記摺切板は、下端の辺が直線であることが好ましい。
摺切板によって計量スコップ上の粉粒体を切り出す場合、摺切板の下端の辺と、計量スコップの底面とが接するまで、摺切板を下降させる。例えば、計量スコップの底面に凹凸がある場合、粉粒体の切り出し位置によって、摺切板を下降させる深さを変動させる必要があり、切り出し動作の制御が複雑となる。また、摺切板による粉粒体の押し出し動作の際に、計量スコップの底面の凹部に粉粒体が溜まってしまうため、粉粒体の押し出し効率が悪い。この問題は、摺切板を凹凸に沿わせて移動させることで解消できるが、摺切板の複雑な駆動制御が必要となるため、現実的ではない。
また、摺切板の下端の辺が直線でない場合、摺切板による粉粒体の切り出しを行ったとき、摺切板の下端の辺と計量スコップの底面との間に隙間が生じる。この隙間の部分では、粉粒体を押し出すことができないため、摺切板による粉粒体の押し出し動作の効率が低下する。
そこで、計量スコップの底面を平坦とし、摺切板の下端の辺を直線とすることで、摺切板による切り出し動作を簡易にできるとともに、摺切板によって計量スコップの底面に存在する粉粒体を取りこぼしなく押し出すことができるので、作業効率が向上する。
また、上記自動計量装置は、前記計量スコップによって前記粉粒体容器内から取り出された粉粒体の重量を測定する取り出し量重量センサをさらに備え、前記目的量が所定の閾値以下の場合、前記第1制御手段は、前記計量スコップが、前記目的量よりも大きく、且つ、前記閾値以下の第1取り出し量の粉粒体を、前記粉粒体容器内から取り出すように前記第1ロボットアームを制御し、前記第2制御手段は、前記摺切板が、前記計量スコップ上の粉粒体を押し出すことで、前記計量容器に前記目的量の粉粒体を収容するように前記第2ロボットアームを制御し、前記目的量が所定の閾値よりも大きい場合、前記第1制御手段は、前記計量スコップが、前記閾値以下の第2取り出し量の粉粒体を前記粉粒体容器から取り出し、その後、全量を前記計量容器に収容することを、前記重量センサの測定値と前記取り出し量重量センサの測定値との合計値が、前記目的量以上となるまで繰り返すように前記第1ロボットアームを制御し、前記第2制御手段は、前記重量センサの測定値と前記取り出し量重量センサの測定値との合計値が、前記目的量以上となったとき、前記摺切板が、前記計量スコップ上の粉粒体を押し出すことで、前記計量容器に前記目的量の粉粒体を収容するように前記第2ロボットアームを制御することが好ましい。
上記構成によれば、目的量が閾値よりも小さい場合、計量スコップによって目的量よりも大きい重量の粉粒体を粉粒体容器から取り出す。これによって、計量スコップによる粉粒体容器からの粉粒体の取り出しを複数回繰り返す必要がなく、作業効率を向上させることができる。
一方で、目的量が閾値よりも大きい場合、計量スコップによって粉粒体容器から取り出された粉粒体が、計量スコップ上からこぼれ落ちてしまうおそれがある。このような場合、計量の作業効率を低下させる。また、重量センサの測定値と取り出し量重量センサの測定値との合計値の誤差が大きくなり、計量の精度を低下させる。上記構成によれば、目的量が閾値よりも大きい場合、計量スコップによって閾値以下の第2取り出し量の粉粒体を取り出し、全量を計量容器に収容する動作を複数回繰り返す。そして、重量センサ及び取り出し量重量センサの測定値の合計値が目的量以上となったときに、摺切板によって計量スコップ上の粉粒体を計量容器に収容する。これにより、計量スコップによって粉粒体容器から取り出された粉粒体が、計量スコップ上からこぼれ落ちることを回避することができ、作業効率及び計量の精度をさらに向上させることができる。
また、上記自動計量装置において、前記重量センサの測定値が、前記目的量よりも大きい場合、前記第2制御手段は、前記第2ロボットアームが、前記摺切板を調整スプーンに持ち替え、前記重量センサの測定値が前記目的量となるように、前記調整スプーンによって前記計量容器から粉粒体を取り除くように前記第2ロボットアームを制御することが好ましい。
上記構成によれば、計量容器に収容された粉粒体の重量が目的量よりも大きい場合、調整スプーンによって計量容器から粉粒体を取り除くことで、計量容器に収容された粉粒体の重量を目的量に近づけることができる。これにより、粉粒体の計量の精度がさらに向上する。
また、上記自動計量装置は、前記粉粒体容器内の粉粒体の高さを測定する高さ測定センサを備え、前記計量スコップは、開口端側の辺が直線状であり、前記第1制御手段は、前記計量スコップを、前記高さセンサの測定値に基づき前記粉粒体容器内を鉛直方向に所定量下降させ、前記粉粒体容器内を水平方向に移動させ、且つ、前記粉粒体容器の内壁面に到達したとき、内壁面に沿って上側に移動させるように前記第1ロボットアームを制御することが好ましい。
上記構成では、計量スコップによって粉粒体容器内から粉粒体を取り出す前に、予め粉粒体の高さを測定し、その測定値に基づいて計量スコップの下降量を調整している。そのため、例えば、計量スコップによる取り出し動作を複数回行い、粉粒体容器内の粉粒体の残量が減少した場合でも、毎回の粉粒体容器からの粉粒体の取り出し量を常に一定量に近い値とすることができる。これにより、計量スコップ上に存在する粉粒体は、ほぼ一定量となるため、毎回の摺切板による切り出し位置をほぼ固定することができ、押し出し量の調整も比較的同様のパターンで行うことができる。すなわち、上記構成とすることで、計量スコップによって粉粒体容器から粉粒体を取り出した後の、摺切板による切り出し動作及び押し出し動作の制御が容易となり、ひいては、作業効率の向上につながる。
また、上記構成によれば、開口端側の辺が直線状である計量スコップが、粉粒体容器内を水平方向に移動して粉粒体の上層をすくい取るため、残った粉粒体の表面は平坦となる。さらに、計量スコップの開口端側の直線状の辺と粉粒体容器の内壁面とは、隙間なく接触する。この状態で計量スコップを粉粒体容器の内壁面に沿って移動させた場合、内壁面との隙間から粉粒体が漏れ落ちることがないため、内壁面付近に粉粒体の***が生じるのを抑え、粉粒体全体の表層を平坦に保つことができる。
粉粒体の表層に凹凸がある場合、粉粒体容器内の粉粒体の高さを正確に測定することができないが、上記構成とすることで、粉粒体容器内の粉粒体の表面は平坦となり、粉粒体の高さをより正確に測定することができる。そのため、実際の粉粒体の高さと、高さセンサによって測定される粉粒体の高さとの間の誤差は小さくなり、粉粒体容器から取り出される粉粒体の重量をより一定に近づけることができるため、計量作業の効率をさらに向上させることができる。
また、上記自動計量装置において、前記第2制御手段は、粉粒体の計量後、前記第2ロボットアームが、前記摺切板又は前記調整スプーンを前記計量容器に持ち替え、計量した粉粒体を含む前記計量容器を所定位置まで運搬するように前記第2ロボットアームを制御することが好ましい。
上記構成によれば、第2ロボットアームは、摺切板を用いて粉粒体を計量容器へ収容すること、及び、計量した目的量の粉粒体を所定位置へ運ぶことを交互に繰り返すことができる。これにより、目的量の粉粒体を連続的に計量することが可能となるため、作業者が一回の計量毎に計量した粉粒体を計量容器から取り出した後、再度、空の計量容器を配置する手間が省け、作業効率がさらに向上する。
本発明によれば、様々な種類の粉粒体の重量の計量を高精度且つ高効率に行うことのできる、粉粒体の自動計量装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
粉粒体自動計量装置1は、使用者によって予め定められた目的量の粉粒体を計量する自動計量装置である。本実施形態において、粉粒体自動計量装置1は、図1に示すように、粉粒体容器2と、多関節型の双腕ロボット3と、双腕ロボット3の駆動制御を行う制御装置4と、粉粒体容器2から測り取られた粉粒体20を収容する計量容器5と、粉粒体容器2から取り出された粉粒体20の重量を測定する第1重量センサ(取り出し量重量センサ)6と、計量容器5内に収容された粉粒体20の重量を測定する第2重量センサ(重量センサ)7と、架台8と、から構成されている。
双腕ロボット3は、図2に示すように、底部が地面に固定されたほぼ円柱型の胴部30と、第1ロボットアーム31と、第2ロボットアーム32とからなる。また、胴部30の軸心を回転軸とする回転部30aを有しており、回転部30aが回転することによって、第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32を含む胴部30の回転部30aより上側の部分が回転する。第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32は、互いに対面して胴部30に接続された6軸の垂直多関節ロボットアームである。第1ロボットアーム31の先端には、第1ハンド131が設けられており、第2ロボットアーム32の先端には、第2ハンド132が設けられている。
計量スコップ33には、取手部分63が設けられており、取手部分63が第1ハンド131に挟持されることで、第1ロボットアーム31の先端に保持される。計量スコップ33は、図2に示すように、底面が平坦の直方体形状であり、一側面及び上面が開口しており、さらに、底面の開口端側の辺は直線状である。また、計量スコップ33は、第1ロボットアーム31によって360度回転及び前後上下左右に移動可能である。計量スコップ33の材質は、通常の動作温度及び条件下で変形しない耐久性を有するものであれば、金属、樹脂、又は、その他の部材など、特に限定されない。
なお、計量スコップ33は、計量する粉粒体20の種類に応じて、形状、材質等が異なる専用の計量スコップ33が選択される。それぞれの計量スコップ33には、第1ハンド131が挟持可能な取手部分63が設けられている。
摺切板34には、取手部分64が設けられており、取手部分64が第2ハンド132に挟持されることで、第2ロボットアーム32の先端に保持される。摺切板34は、図2に示すように、下端の辺が直線である長方形状の平板であり、下端の長さが計量スコップ33の開口端側の辺より短い。また、摺切板34は、第2ロボットアーム32によって360度回転及び前後上下左右に移動可能である。
摺切板34の材質は、例えば、金属や刷毛などが挙げられる。但し、金属製の摺切板34の場合、計量スコップ33上の粉粒体20に対して、切り出し動作及び押し出し動作を行う場合、計量スコップ33の底面を傷つけてしまうおそれがある。また、刷毛などの軟らかい素材からなる摺切板34の場合、その軟らかさ故に、粘性の高い粉粒体20や比重の大きい粉粒体20などに対して、押し出し動作を行うことが困難となる。このため、摺切板34の材質としては、切り出し動作及び押し出し動作の際に、計量スコップ33の底面を傷つけず、粘性の高い又は比重の大きい粉粒体20に対しても、容易に押し出し動作が可能なものが好ましい。このような部材としては、例えば、樹脂などが挙げられる。
粉粒体容器2は、上部に開口を有する箱型の容器であって、内部に粉粒体20が収容されている。粉粒体容器2の下には、計量スコップ33によって取り出された粉粒体20の重量を測定する第1重量センサ6が配置されており、粉粒体20の重量の測定値は、制御装置4に出力される。また、粉粒体容器2及び第1重量センサ6は、架台8の上に配置されている。
計量容器5は、上部に開口を有する容器であって、計量スコップ33によって取り出された粉粒体20が収容される容器である。計量容器5の形状はどのようなものでもよいが、例えば、逆円錐台型である。計量容器5の下には、計量容器5内に収容された粉粒体20の重量を測定する第2重量センサ7が配置されており、粉粒体20の重量の測定値は、制御装置4に出力される。また、計量容器5及び第2重量センサ7は、架台8の上に配置されている。
また、図3(a)及び(b)に示すように、第2ロボットアーム32の第2ハンド132は、摺切板34を、調整スプーン51又は計量容器5に持ち替えることが可能である。調整スプーン51は、計量容器5に収容された粉粒体20の重量が目的量より大きい場合、計量容器5から粉粒体20を取り除くためのスプーンである。調整スプーン51は、図3(a)に示すように、計量容器5から粉粒体20を抄い上げる皿状部分51aと、取手部分51bとからなり、取手部分51bが第1ハンド132に挟持されることで、第2ロボットアーム32の先端に保持される。計量容器5は、図3(b)に示すように、容器が直接第2ハンド132に挟持されることで、第2ロボットアーム32の先端に保持される。なお、計量容器5は、第2ハンド132が挟持しやすいように、取手部分を有していてもよい。
第2ロボットアーム32が、摺切板34を調整スプーン51又は計量容器5に持ち替える際、取り外された摺切板34は、架台8の上面に直接置かれてもよいが、摺切板34が地面に落下する危険性があり、これを避けるために、摺切板34を一時的に収容できる収容部(図示なし)が、架台8の上面又は側面に設置されていることが好ましい。また、第2ハンド132に挟持されていない状態の調整スプーン51については、収容部に入れられていてもよく、架台8の上面に直接置かれていてもよく、その他の任意の位置に配置されていてもよい。
なお、計量動作の過程で、第1ロボットアーム31と第2ロボットアーム32とが交差することは、作業効率の低下につながるため好ましくない。そこで、これを避けるため、架台8上のうち、第1ロボットアーム31が配置されている側と同一側に粉粒体容器2が配置され、第2ロボットアーム32が配置されている側と同一側に計量容器5が配置されることが好ましい。
制御装置4は、双腕ロボット3、第1重量センサ6及び第2重量センサ7と接続されており、予め入力された計量する粉粒体の重量(目的量W)、第1重量センサ6及び第2重量センサ7から出力された測定値W1及びW2、並びに、使用者によって決められた詳細な動作設定等に基づいて、双腕ロボット3の駆動制御を行う。
図4に示すように、架台8の上面且つ粉粒体容器2の近傍には、粉粒体容器2の高さよりも高い支柱35が設置されており、支柱35の先端に、粉粒体容器2内に収容されている粉粒体20の高さを測定する高さ測定センサ9が取り付けられている。本実施形態において、高さ測定センサ9は、粉粒体容器2内の粉粒体20に対してレーザーを照射することで、粉粒体20の高さを測定するレーザーセンサである。高さ測定センサ9によって測定された粉粒体20の高さ情報は、制御装置4に出力される。そして、制御装置4は、粉粒体20の高さ情報に基づき第1ロボットアーム31の動作を制御し、計量スコップ33による粉粒体20の取り出し量を調整する。
なお、高さ測定センサ9は、粉粒体容器2の内壁面上部に取り付けられてもよい。但し、この場合、粉粒体20は、その高さが高さ測定センサ9の取り付けられている位置まで到達しないように、粉粒体容器2内に収容される。また、高さ測定センサ9は、粉粒体自動計量装置1が設置されている部屋の壁面又は天井に取り付けられてもよい。
また、高さ測定センサ9は、レーザーセンサ以外のセンサでもよく、例えば、超音波式、渦電流式、LED式などが挙げられる。
次に、以上の構成からなる粉粒体自動計量装置1による粉粒体20の計量動作について説明する。
図5は、粉粒体自動計量装置1による粉粒体20の計量動作を示すフローチャートである。まず、粉粒体自動計量装置1による計量動作を行う前に、粉粒体20を、その表面が平坦となるように粉粒体容器2に収容する。なお、粉粒体容器2への粉粒体20の収容は、使用者によって行われてもよく、自動で行われてもよい。
また、計量する粉粒体20の種類に応じて選択された専用の計量スコップ33を、第1ロボットアーム31の先端の第1ハンド131に挟持させ、摺切板34を、第2ロボットアーム32の第2ハンド132に挟持させる。なお、計量スコップ33を第1ハンド131に挟持させる動作及び摺切板34を第2ハンド132に挟持させる動作は自動で行われてもよく、使用者によって直接行われてもよい。
使用者は、計量する粉粒体20の重量を目的量Wとして、予め制御装置4に入力する(ステップS1)。続いて、高さ測定センサ9は、粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHを測定し、その情報を制御装置4へ出力する(ステップS2)。
次に、制御装置4は、予め定められた目的量Wが閾値P以下か否か判別する(ステップS3)。ここで、閾値Pとは、粉粒体容器2から取り出された粉粒体20が計量スコップ33上からこぼれ落ちることのない範囲内において、計量スコップ33が取り出すことのできる粉粒体20の最大の重量である。例えば、粉粒体20が計量スコップ33上からこぼれ落ちることのない範囲内において、粉粒体20を取り出すために、粉粒体容器2内の粉粒体20の表面から計量スコップ33を下降させる下降量の上限を最大下降量とする。そして、計量スコップ33を最大下降量だけ下降させたときに、計量スコップ33によって取り出される粉粒体20の重量が閾値Pである。閾値Pは、計量スコップ33の大きさ、粉粒体20の比重などによって変動する。
また、制御装置4は、粉粒体容器2から取り出された粉粒体20が計量スコップ33の開口端側からこぼれ落ちることのないように、粉粒体容器2から粉粒体20を取り出した後、計量スコップ33を開口端側が上方、取付部分側が下方となるように傾けることが好ましい。この場合、上述の最大下降量は、計量スコップ33を傾けたときにおいても、粉粒体20がこぼれ落ちることのないように、計量スコップ33の傾きを考慮して決定される。例えば、最大下降量は、約7mmである。また、計量スコップ33の大きさ、粉粒体20の比重などに応じて、適宜設定されてもよい。
目的値Wが閾値P以下である場合(S3:YES)、制御装置4は、計量スコップ33が、目的量Wよりも大きく、且つ、閾値Pよりも小さい第1取り出し量の粉粒体20を粉粒体容器2から取り出すように、第1ロボットアーム31を制御する(ステップS4)。このとき、粉粒体容器2内において計量スコップ33を下降させる下降量は、ステップS2で、高さ測定センサ9によって測定された粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHと第1取り出し量とに基づいて決定される。
ここで、第1取り出し量とは、例えば、目的量Wの約+100gである。但し、W+100gが閾値Pを超える場合、第1取り出し量は、閾値Pの値となる。なお、第1取り出し量は、目的量Wよりも大きく、且つ、閾値P以下の値であれば任意の値でよく、例えば、目的量Wの約+50g又は約+200gなどでもよい。
ステップS4において、制御装置4は、計量スコップ33を、粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHと第1取り出し量とに基づいて決定された下降量の分だけ、粉粒体容器2内の鉛直方向に向かって下降させ、粉粒体容器2内を水平方向に移動させ、粉粒体容器2の内壁面に到達したときに内壁面に沿って上側に移動させるように、第1ロボットアーム31を制御する。これによって、第1取り出し量の粉粒体20を取り出すことができる。
なお、第1重量センサ6によって測定された粉粒体容器2から取り出された粉粒体20の重量W1が目的量Wよりも小さい場合、制御装置4は、計量スコップ33によって取り出された粉粒体20を、粉粒体容器2に戻すように第1ロボットアーム31を制御することが好ましい。これにより、計量スコップ33上に存在する粉粒体20の重量が目的量Wに満たない状態で、摺切板34による切り出し動作及び押し出し動作を行うことを回避することができる。この場合、制御装置4は、計量スコップ33が、再度、第1取り出し量の粉粒体20を粉粒体容器2から取り出すように、第1ロボットアーム31を制御する。
計量スコップ33によって第1取り出し量の粉粒体20が粉粒体容器2から取り出された後、制御装置4は、摺切板34が、計量スコップ33の底面に対して垂直に下降するように第2ロボットアーム32を制御する(切り出し動作)。そして、図6(b)に示すように、制御装置4は、摺切板34を、その下端の辺が計量スコップ33の開口端側の辺に対して所定の角度θ傾いた状態で、計量スコップ33の底面に沿って平行移動させるように第2ロボットアーム32を制御する(押し出し動作)。これらの切り出し動作及び押し出し動作によって、計量スコップ33上の粉粒体20を押し出し、第2重量センサ7の測定値W2がW−αを超えて、且つ、W±αの範囲内となるように、粉粒体20を計量容器5に収容する(ステップS5)。なお、αは、目的量Wに対して許容される測定値W1の公差であって、例えば、2gである。また、目的量Wの大きさに応じて、適宜設定されてもよい。
ここで、所定の角度θを設ける理由について、図6を用いて説明する。摺切板34の下端の辺と計量スコップ33の開口端側の辺とが平行である場合、図6(a)に示すように、摺切板34による粉粒体20の押し出し動作が進行し、摺切板34が計量スコップ33の開口端側に移動したとしても、粉粒体20は、常に計量スコップ33の開口端側の辺のうちの同一部分から計量容器5へと落下する。そのため、摺切板34の移動距離当たりの、摺切板34によって押し出される粉粒体20の重量は、ほぼ一定である。
一方で、摺切板34の下端の辺が計量スコップ33の開口端側の辺に対して所定の角度θ傾いている場合、図6(b)に示すように、摺切板34が計量スコップ33の開口端側に移動するにつれて、計量スコップ33の開口端側の辺のうちの粉粒体20が落下する部分の長さは短くなる。そのため、押し出し動作が進行するにつれて、摺切板34の移動距離当たりの、摺切板34によって押し出される粉粒体20の重量は減少する。これにより、計量容器5へ収容する粉粒体20の重量を目的量Wに合わせる最後の微量調整が容易となり、計量の誤差をより小さくすることができる。
なお、「所定の角度θ」は、10〜60°であり、好ましくは15〜50°、より好ましくは20〜40°である。
ステップS5において、粉粒体20は、摺切板34によって計量スコップ33の任意の位置で切り出され、任意の速度で計量スコップ33の開口端側に向かって押し出される。制御装置4は、例えば、目的量Wに応じて切り出し位置を自由に変更してもよい。
また、ステップS5において、計量容器5に収容される粉粒体20の重量は、第2重量センサ7によって経時的に測定され、測定値情報は制御装置4に出力される。そして、制御装置4は、押し出し動作の際に、第2重量センサ7の測定値W2及び目的量Wに基づいて、摺切板34による粉粒体20の押し出し量を調整する。例えば、摺切板34が計量スコップ33の開口端側に近づき、計量容器5へ収容した粉粒体20の重量W2が目的量Wに近づくにつれて、微量調整を容易に行うために、押し出し速度を遅くしてもよい。
目的量Wが閾値Pよりも大きい場合(S3:NO)、制御装置4は、計量スコップ33が、閾値Pの第2取り出し量の粉粒体20を粉粒体容器2から取り出すように、第1ロボットアーム31を制御する(ステップS6)。このとき、粉粒体容器2内において計量スコップ33を下降させる下降量は、ステップS2で、高さ測定センサ9によって測定された粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHと第2取り出し量とに基づいて決定される。
ここで、目的量Wが閾値Pよりも大きい場合、計量スコップ33によって閾値Pの第2取り出し量の粉粒体20を取り出し、全量を計量容器5に収容する作業を複数回繰り返す。
ステップS6において、制御装置4は、計量スコップ33を、粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHと第2取り出し量とに基づいて決定された下降量の分だけ、粉粒体容器2内の鉛直方向に向かって下降させ、粉粒体容器2内を水平方向に移動させ、粉粒体容器2の内壁面に到達したときに内壁面に沿って上側に移動させるように、第1ロボットアーム31を制御する。これによって、第2取り出し量の粉粒体20を取り出すことができる。
なお、計量スコップ33の開口端側の辺は直線状であるため、粉粒体20が計量スコップ33によって取り出された後、残った粉粒体20の表面は平坦となる。さらに、計量スコップ33の開口端側の直線状の辺と粉粒体容器2の内壁面とは、隙間なく接触する。この状態で計量スコップ33を内壁面に沿って上側に移動させた場合、内壁面との隙間から粉粒体20が漏れ落ちることがないため、内壁面付近に粉粒体20の***が生じるのを抑え、粉粒体20全体の表面を平坦に保つことができる。後述するように、計量スコップ33による粉粒体容器2からの粉粒体20の取り出し動作を複数回繰り返す場合、1回の取り出し動作毎に高さ測定センサ9によって粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHが測定される。このとき、粉粒体容器2内の粉粒体20の表面が平坦に保たれているため、高さHの測定誤差を小さくすることができる。
続いて、制御装置4は、第1重量センサ6によって測定された粉粒体容器2から取り出された粉粒体20の重量W1と、第2重量センサ7によって測定された計量容器5内の粉粒体20の重量W2と、の合計値が目的量W以上か否か判別する(ステップS7)。
W1とW2との合計値がW未満である場合(S7:NO)、制御装置4は、計量スコップ33上の粉粒体20の全量を計量容器5に収容するように、第1ロボットアーム31を制御する(ステップS8)。なお、このとき、作業効率の向上の観点から、摺切板34は使用しないことが好ましい。計量スコップ33上の粉粒体20の全量を計量容器5に収容した後、高さ測定センサ9が、再び、粉粒体容器2内の粉粒体20の高さHを測定し、その情報を制御装置4へ出力する(ステップS9)。その後、制御装置4は、再びステップS6を実行する。
W1とW2との合計値がW以上である場合(S7:YES)、制御装置4は、摺切板34による切り出し動作及び押し出し動作によって、計量スコップ33上の粉粒体20を押し出して、第2重量センサ7の測定値W2がW−αを超えて、且つ、W±αの範囲内となるように、粉粒体20を計量容器5に収容するように第2ロボットアーム32を制御する(ステップS5)。
摺切板34による押し出し動作の終了後、制御装置4は、第2重量センサ7によって測定された計量容器5内の粉粒体20の重量W2が、目的量W+αよりも大きいか否か判別する(ステップS10)。
測定値W2がW+αよりも大きい場合(S10:YES)、制御装置4は、第2ハンド132が摺切板34を取り外し、調整スプーン51を挟持するように第2ロボットアーム32を制御する。そして、制御装置4は、第2重量センサ7の測定値W2が目的量W±αの範囲内に収まるように、調整スプーン51によって計量容器5から粉粒体20を取り除くように、第2ロボットアーム32を制御する(ステップS11)。その後、ステップS10に戻り、制御装置4は、第2重量センサ7の測定値W2が、目的量W+αよりも大きいか否か、再び判別する。
第2重量センサ7の測定値W2が目的量W+α以下の場合(S10:NO)、制御装置4は、第2ハンド132が摺切板34又は調整スプーン51を取り外し、計量容器5を挟持するように第2ロボットアーム32を制御する。そして、制御装置4は、計量容器5が、使用者によって予め設定された任意の位置まで運搬されるように、第2ロボットアーム32を制御する(ステップS12)。そして、計量容器5内の粉粒体20を任意の位置における所定の箇所に排出する。以上によって、粉粒体20の計量作業が終了する。
なお、目的量Wの粉粒体20を複数回連続して計量する場合、ステップS12において、計量容器5が任意の位置まで運搬された後、再度、計量容器5を第2重量センサ7の上に配置する。そして、制御装置4は、第2ハンド132が計量容器5を取り外し、摺切板34を挟持するように第2ロボットアーム32を制御する。その後、再び、ステップS2に戻る。なお、第2重量センサ7の上に再度配置される計量容器5は、任意の位置において粉粒体20を排出した後の空になった容器でもよく、新しい容器でもよい。また、目的量Wの粉粒体20を計量後、目的量Wとは異なる目的量W’の粉粒体20を計量してもよい。この場合、ステップS12の後、ステップS1に戻る。
本実施形態の構成によれば、本実施形態に係る粉粒体自動計量装置1は、粉粒体20が収容された粉粒体容器2と、先端に計量スコップ33が保持された第1ロボットアーム31及び先端に摺切板34が保持された第2ロボットアーム32を含む双腕ロボット3と、双腕ロボット3の動作を制御する制御装置4と、目的量Wの粉粒体20を収容する計量容器5と、を備えている。そして、計量スコップ33によって粉粒体容器2から取り出された粉粒体20を、摺切板34によって切り出し、且つ、計量スコップ33の開口端側に押し出すことにより計量容器5に収容している。すなわち、摺切板34が、粉粒体20に接触した状態で直接押し出すことにより粉粒体20を移動させているため、粉粒体20の物性が移動性に及ぼす影響は小さい。よって、計量スコップ33の振動によって粉粒体を計量容器5に落下させる場合と比べて、様々な物性の粉粒体20に対して高精度且つ高効率に計量を行うことができる。
また、本実施形態の構成によれば、計量容器5の下側には、計量容器5内に収容された粉粒体20の重量を経時的に測定する第2重量センサ7が配置されており、第2重量センサ7の測定値W2は、制御装置4へと出力される。制御装置4は、摺切板34が、目的量Wと計量容器5内の粉粒体20の重量W2とに基づいて押し出し量を調整しながら粉粒体20を計量容器5に収容するように第2ロボットアーム32を制御することができるので、より正確に計量を行うことができる。
また、本実施形態の構成によれば、制御装置4は、摺切板34による計量スコップ33上の粉粒体20の切り出し位置及び押し出し速度を調整可能である。これによれば、目的量Wが大きいときは計量スコップ33の開口端側から離れた位置で切り出しを行い、小さいときは開口端側に近い位置で切り出しを行うといったように、目的量Wに応じて摺切板34による粉粒体20の切り出し位置を調整できるため、必要且つ十分な量の粉粒体20を効率良く計量することができる。また、押し出し動作が進行するにつれて押し出し速度を遅くすることで、計量容器5へ収容する粉粒体の重量を目的量Wに合わせるための微量調整を容易に行うことができる。
また、本実施形態の構成によれば、計量スコップ33は、底面が平坦であり、摺切板34は、下端の辺が直線である。摺切板によって計量スコップ上の粉粒体を切り出す場合、摺切板の下端の辺と、計量スコップの底面とが接するまで、摺切板を下降させる。例えば、計量スコップの底面に凹凸がある場合、粉粒体の切り出し位置によって、摺切板を下降させる深さを変動させる必要があり、切り出し動作の制御が複雑となる。また、摺切板による粉粒体の押し出し動作の際に、計量スコップの底面の凹部に粉粒体が溜まってしまうため、粉粒体の押し出し効率が悪い。この問題は、摺切板を凹凸に沿わせて移動させることで解消できるが、摺切板の複雑な駆動制御が必要となるため、現実的ではない。また、摺切板の下端の辺が直線でない場合、摺切板による粉粒体の切り出しを行ったとき、摺切板の下端の辺と計量スコップの底面との間に隙間が生じる。この隙間の部分では、粉粒体を押し出すことができないため、摺切板による粉粒体の押し出し動作の効率が低下する。そこで、計量スコップの底面を平坦とし、摺切板の下端の辺を直線とすることで、摺切板による切り出し動作を簡易にできるとともに、摺切板によって計量スコップの底面に存在する粉粒体を取りこぼしなく押し出すことができるので、作業効率が向上する。
また、本実施形態の構成によれば、粉粒体容器2の下に第1重量センサ6が配置されている。そして、目的量Wが閾値P以下の場合、計量スコップ33によって第1取り出し量の粉粒体20を取り出し、摺切板34によって計量容器5に収容する。一方で、目的量Wが閾値Pよりも大きい場合、計量スコップ33によって第2取り出し量の粉粒体20を取り出し、全量を計量容器5に収容することを、第1重量センサ6の測定値W1と第2重量センサ7の測定値W2との合計値が目的量W以上となるまで繰り返す。そして、W1とW2との合計値がW以上となったとき、摺切板34によって粉粒体20を計量容器5に収容している。これにより、計量スコップ33によって取り出された粉粒体20が、計量スコップ33上からこぼれ落ちることを回避でき、作業の効率及び計量の精度をさらに向上させることができる。
また、本実施形態の構成によれば、第2重量センサ7によって測定された計量容器5に収容された粉粒体20の重量W2が、目的量Wよりも大きい場合、調整スプーン51によって計量容器5から粉粒体20を取り除く。これにより、計量する粉粒体20の重量を、より目的量Wに近づけることができ、粉粒体20の計量の精度がさらに向上する。
また、本実施形態の構成によれば、粉粒体容器2内の粉粒体20の高さを測定する高さ測定センサ9の測定値に基づいて、粉粒体容器2から粉粒体20を取り出している。このため、計量スコップ33による取り出し動作を複数回行う場合でも、毎回、ほぼ一定量の粉粒体20を取り出すことができる。これによって、計量スコップ33によって粉粒体20を取り出した後の、摺切板34による切り出し動作及び押し出し動作の制御が容易となり、ひいては、作業効率の向上につながる。また、計量スコップ33を粉粒体容器2内の鉛直方向に向かって下降させ、粉粒体容器2内を水平方向に移動させ、粉粒体容器2の内壁面に到達したときに内壁面に沿って上側に移動させることで、粉粒体20を取り出している。このため、計量スコップ33による取り出し後の粉粒体容器2内の粉粒体20全体の表面を平坦に保つことができる。これにより、粉粒体容器2内の粉粒体20の実際の高さと、高さ測定センサ9の測定値Hとの間に生じる誤差は小さくなるため、計量スコップ33によって粉粒体容器2から取り出される粉粒体20をより一定量に近づけることができる。
また、本実施形態の構成によれば、目的量Wの粉粒体20の計量後、第2ロボットアーム32は、摺切板34を計量容器5に持ち替え、計量した粉粒体20を含む計量容器5を所定の位置まで運搬する。これにより、摺切板34による目的量Wの粉粒体20の計量容器5への収容と、目的量Wの粉粒体20の所定位置への運搬とを自動で連続的に行うことができる。また、これにより、作業者が、手動で、目的量Wの粉粒体20が収容された計量容器5を所定の位置に運ぶ手間が省け、作業効率がさらに向上する。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
上記実施形態では、第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32は、6軸の垂直多関節型である場合を例示した。しかし、これに限らず、作業に必要な自由度を確保できるのであれば5軸以下でもよく、又は、7軸以上でもよい。また、第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32のそれぞれの関節は、アームの伸長方向と垂直の向きに回転してもよく、アームの伸長方向を軸として回転してもよい。
また、第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32は、それぞれ独立して配置されていてもよい。この場合、粉粒体自動計量装置1は、先端に計量スコップ33が保持された第1隻腕ロボットと、先端に摺切板34が保持された第2隻腕ロボットとを備えた構成となる。但し、それぞれの隻腕ロボットを独立して配置しなければならないため、双腕ロボット3と比べて、より広いスペースを用意することが求められる。そのため、スペースを省くことができる双腕ロボット3とすることが好ましい。
上記実施形態では、1つの制御装置4が、第1ロボットアーム31と第2ロボットアーム32との動作を制御している。しかしながら、2つの制御装置4が、それぞれ第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32を制御してもよい。
計量スコップ33は、粉粒体容器2から粉粒体20を取り出すことのできる形状であれば、どのようなものでもよい。例えば、直方体形状でなくてもよく、底面が台形であってもよい。また、開口端側の辺は直線状でなくてもよい。但し、計量スコップ33による粉粒体20の取り出し後の粉粒体容器2内の粉粒体20の表面を平坦として、高さ測定センサ9による測定の誤差を小さくするためには、直線状であることが好ましい。また、計量スコップ33は、底面が平坦でなくてもよい。但し、摺切板34による切り出し動作及び押し出し動作の際に、計量スコップ33の底面に存在する粉粒体を取りこぼしなく切り出し、且つ、押し出すためには、底面が平坦であることが好ましい。
摺切板34は、長方形状でなくてもよく、例えば、台形状又は三角形状の平板でもよいが、計量スコップ33の底面に存在する粉粒体を取りこぼしなく切り出し、且つ、押し出すためには、少なくとも下端の辺が直線であることが好ましい。
上記実施形態では、第1ロボットアーム31は先端には第1ハンド131が設けられ、第2ロボットアーム32の先端には第2ハンド132が設けられている。しかしながら、例えば、第1ロボットアーム31及び第2ロボットアーム32の先端に挿入口が形成されており、計量スコップ33、摺切板34、計量容器5及び調整スプーン51には突起部分が形成されていてもよい。この場合、第1ロボットアーム31の挿入口に計量スコップ33の突起部分が挿入されることで、第1ロボットアーム31の先端に計量スコップ33が保持された状態となる。また、第2ロボットアーム32の挿入口に摺切板34、計量容器5又は調整スプーン51の突起部分が挿入されることで、第2ロボットアーム32の先端に摺切板34、計量容器5又は調整スプーン51の何れかが保持された状態となる。
上記実施形態では、粉粒体容器2の下に第1重量センサ6が配置されており、ステップS7において、制御装置4は、第1重量センサ6の測定値W1と、第2重量センサ7の測定値W2との合計値が目的量W以上か否かを判別している。しかしながら、第1重量センサ6は配置されていなくてもよい。この場合、制御装置4は、ステップS7において、目的量Wと第2重量センサ7の測定値W2との差が閾値P未満か否か判別する。そして、WとW2との差が閾値P未満であれば、摺切板34による粉粒体20の切り出し動作及び押し出し動作を行い(S5)、閾値P以上であれば、計量スコップ33上の粉粒体20の全量を計量容器5に収容する(S8)。
また、制御装置4は、押し出し動作の際に、摺切板34を、その下端の辺が計量スコップ33の開口端側の辺と平行の状態で、計量スコップ33の底面に沿って平行移動させてもよい。但し、この場合、摺切板34の移動距離当たりの、摺切板34によって押し出される粉粒体20の重量は常に一定であり、計量容器5に収容する粉粒体20の微量調整を行うことが困難となる。そのため、制御装置4は、摺切板34を、その下端の辺が計量スコップ33の開口端側の辺に対して所定の角度θ傾いた状態で、計量スコップ33の底面に沿って平行移動させることが好ましい。
上記実施形態においては、第2ハンド132が、摺切板34、調整スプーン51、及び、計量容器5を相互に持ち替える動作は、自動で行われている。しかしながら、これらの持ち替え動作は、作業者によって行われてもよい。
また、第2ロボットアーム32は、摺切板34を計量容器5に持ち替えることができなくてもよい。この場合、目的量Wの粉粒体20を計量後、粉粒体20を含む計量容器5は作業者又はベルトコンベアによって所定位置まで運搬される。又は、計量容器5を運搬する第3ロボットアームが配置されていてもよい。
高さ測定センサ9は、配置されていなくてもよい。但し、この場合、制御装置4は、粉粒体容器2内の粉粒体20の残量に合わせて計量スコップ33の下降量を調整することができないため、常に一定量に近い重量の粉粒体20を粉粒体容器2から取り出すことができない。そのため、例えば、第1重量センサ6の測定値W1に基づいて、調整スコップ33の下降量を調整できるようにしてもよい。