JP6901058B1 - 紙積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、離解性に優れ、高いバリア性を有する紙積層体を提供することを主な目的とする。本発明の紙積層体は、紙基材と、紙基材の少なくとも一方の面に樹脂層および保護層と、を有する紙積層体であって、紙基材の密度が0.50g/cm3以上0.90g/cm3以下であり、紙基材の片方の面が平滑面であり、JIS P 8155:2010に準拠して測定される、平滑面の王研式平滑度が100秒以上であり、樹脂層が水懸濁性高分子、アスペクト比が50以上の板状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有し、保護層が水溶性高分子を含有する。

Description

本発明は、紙積層体に関する。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性(とくに、酸素バリア性)を付与した包装材料は、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するために、従来から用いられている。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、水蒸気バリア性やガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムを紙基材に積層する方法が一般的である。しかし、紙基材に合成樹脂フィルム等を積層した材料は、使用後に紙や合成樹脂等をリサイクルすることが困難であり、環境面において課題を有するものであった。
そこで、合成樹脂フィルム等を使用せずに、紙を基材としたバリア性材料の開発が進められてきている。たとえば、特許文献1には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料が提案されている。前記水蒸気バリア層は、水蒸気バリア性樹脂および撥水剤を含有し、かつ前記ガスバリア層は、水溶性高分子および界面活性剤を含有する。
また、特許文献2には、紙基材上に水蒸気バリア層およびガスバリア層が設けられた紙製バリア包装材料が提案されている。水蒸気バリア層は、平均粒子径5μm以上、アスペクト比10以上のカオリンを全顔料に対して50〜100重量%含有し、ガスバリア層のバインダー樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂である。
国際公開第2017/170462号 国際公開第2013/069788号
特許文献1および2のように、紙基材のガスバリア性および水蒸気バリア性を向上させる試みはなされているものの、十分なバリア性が得られていない。また、一般的に、カレンダーを用いて平滑処理を施された原紙では、平滑化に際して原紙にかかる圧力が高く、原紙の通気性と透湿性が低下し、紙基材の離解性が損なわれてリサイクル性が低下する。このように、相反する関係にあるバリア性とリサイクル性とを両立させるには、必ずしも満足すべき結果が得られていないのが現状である。
そこで、本発明は、離解性に優れ、高いバリア性を有する紙積層体を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、特定の紙基材に、樹脂層と保護層とを備え、樹脂層が水懸濁性高分子、特定のアスペクト比を有する板状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有し、保護層が水溶性高分子を含有する紙積層体が、前記課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は、下記の紙積層体に係る。
<1>:紙基材と、前記紙基材の少なくとも一方の面に樹脂層および保護層と、を有する紙積層体であって、前記紙基材の密度が0.50g/cm以上0.90g/cm以下であり、前記紙基材の片方の面が平滑面であり、JIS P 8155:2010に準拠して測定される、前記平滑面の王研式平滑度が100秒以上であり、前記樹脂層が水懸濁性高分子、アスペクト比が50以上の板状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有し、前記保護層が水溶性高分子を含有する、紙積層体。
<2>:前記平滑面の逆側の面に前記樹脂層と前記保護層とを有する、<1>に記載の紙積層体。
<3>:前記樹脂層中に含有される前記水懸濁性高分子が、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体、スチレン・ブタジエン系共重合体およびスチレン・アクリル系共重体よりなる群から選ばれる1種以上を含む、<1>または<2>に記載の紙積層体。
<4>:前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物が、合成マイカ、ベントナイトおよびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の紙積層体。
<5>:前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物の含有量が、前記水懸濁性高分子100質量部に対して0.1質量部以上800質量部以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の紙積層体。
<6>:前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物の厚さが、200nm以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載の紙積層体。
<7>:前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物の含有割合が、前記樹脂層の全固形量中0.1質量%以上80質量%以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の紙積層体。
<8>:前記保護層中に含有される前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上を含む、<1>〜<7>のいずれかに記載の紙積層体。
<9>:前記紙基材の坪量が、20g/m以上100g/m以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載の紙積層体。
<10>:前記紙基材は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される、前記平滑面の逆側の面の王研式平滑度が100秒未満である、<1>〜<9>のいずれかに記載の紙積層体。
<11>:前記樹脂層中に含有される前記カチオン性樹脂の含有量は、前記板状無機化合物100質量部に対して、0.5質量部以上300質量部以下である、<1>〜<10>のいずれかに記載の紙積層体。
<12>:前記樹脂層中に含有される前記カチオン性樹脂の含有量は、前記水懸濁性高分子100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、<1>〜<11>のいずれかに記載の紙積層体。
<13>:少なくとも一方の最外層にシーラント層をさらに有する、<1>〜<12>のいずれかに記載の紙積層体。
<14>:包装用材料である、<1>〜<13>のいずれかに記載の紙積層体。
本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明の内容に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。本実施形態において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
<紙積層体>
本実施形態の紙積層体は、紙基材と、紙基材の少なくとも一方の面に樹脂層および保護層と、を有する紙積層体であって、紙基材の密度が0.50g/cm以上0.90g/cm以下であり、紙基材の片方の面が平滑面であり、JIS P 8155:2010に準拠して測定される、平滑面の王研式平滑度が100秒以上であり、樹脂層が水懸濁性高分子、アスペクト比が50以上の板状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有し、保護層が水溶性高分子を含有する。
本実施形態の紙積層体は、離解性に優れ、高いバリア性を有する。
本実施形態において、王研式平滑度がもう一方の面より高い面を平滑面と呼び、王研式平滑度が低い面を非平滑面と呼ぶ。
上記の効果が得られる理由は定かではないが、以下の理由が考えられる。
上記紙基材は平滑面の王研式平滑度が上記下限値以上であり、密度が上記範囲内であることで、繊維の収縮が抑えられるため、離解性が高く、地合の良い紙となる。地合いが良いと塗料を塗工した際に、浸みこみのムラが少なく、均一性の高い塗膜が得られる。そのため、本実施形態の紙積層体は、離解性に優れ、高いバリア性が発揮されると考えられる。
本実施形態の紙積層体は、紙基材と、前記紙基材の少なくとも一方の面に樹脂層および保護層と、を有する。紙基材の片面に樹脂層と保護層を有していてもよく、両面に樹脂層と保護層を有していてもよい。生産効率の点からは、片面に樹脂層と保護層を有することが好ましい。本実施形態においては、片面のみに樹脂層と保護層とを有しても、十分なバリア性、とくに酸素バリア性を発現することができる。以下、単にバリア性と表現した場合、水蒸気バリア性またはガスバリア性(とくに酸素バリア性)を指す。
本実施形態では、紙基材の片方の面が平滑面である。このとき、紙基材のもう片方の面が平滑面の逆側の面である。紙基材の樹脂層および保護層が設けられる面は、平滑面であってもよく、平滑面の逆側の面であってもよい。本実施形態では、平滑面の逆側の面に樹脂層と保護層とを有することが好ましい。これにより、紙基材が有する平滑面のバリア性と印刷適性をより効果的に発現させることができる。
本実施形態では、紙基材の少なくとも一方の面に、紙基材に近い側から樹脂層と保護層とをこの順に有していてもよく、紙基材に近い側から保護層と樹脂層とをこの順に有していてもよい。本実施形態では、紙基材の少なくとも一方の面に、紙基材に近い側から、樹脂層と保護層とをこの順に有することが好ましい。
また、保護層が樹脂層上に直接形成されていることが好ましい。保護層が樹脂層上に直接形成されていることで、樹脂層が紙基材側と保護層側の両方からの機械的離解作用により水中で分散しやすく、本実施形態における紙基材の効果をより遺憾なく発揮させることができる。
さらに、本実施形態の紙積層体は、樹脂層が紙基材上に直接形成されていることが好ましい。樹脂層が紙基材上に直接形成されていることで、樹脂層と紙基材との密着性を高めることができ、紙積層体のバリア性をより向上させることができる。
本実施形態の紙積層体において、水蒸気バリア性をより向上させる観点から、JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、紙積層体の樹脂層が内側(低湿度側)に来るように配置して測定される、本実施形態の紙積層体の水蒸気透過度は、好ましくは20.0g/(m・day)以下、より好ましくは16.0g/(m・day)以下、さらに好ましくは12.0g/(m・day)以下、さらに好ましくは10.0g/(m・day)以下、さらに好ましくは5.0g/(m・day)以下である。本実施形態の紙積層体の水蒸気透過度は低ければ低いほど好ましいため下限値はとくに限定されないが、たとえば0.01g/(m・day)以上である。
本実施形態の紙積層体において、大気圧下で温度23℃、相対湿度50%の条件にて測定される、本実施形態の紙積層体の酸素透過度は、ガスバリア性をより向上させる観点から、好ましくは10.0cc/(m・day・atm)以下、より好ましくは5.0cc/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは2.0cc/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは1.0cc/(m・day・atm)以下ある。本実施形態の紙積層体の酸素透過度は低ければ低いほど好ましいため下限値はとくに限定されないが、たとえば0.01cc/(m・day・atm)以上である。
本実施形態の紙積層体の離解率は、紙基材として晒クラフト紙を用いた場合、離解性をより向上させる観点から、好ましくは92.5%以上、より好ましくは93.0%以上、さらに好ましくは94.0%以上、さらに好ましくは95.0%以上、さらに好ましくは96.0%以上であり、そして、たとえば100%以下である。
本実施形態の紙積層体の離解率は、紙基材として未晒クラフト紙を用いた場合、離解性をより向上させる観点から、好ましくは87.0%以上、より好ましくは88.0%以上、さらに好ましくは88.5%以上、さらに好ましくは89.0%以上であり、そして、たとえば100%以下である。
離解率は、本実施形態の紙積層体をJIS P 8220:2012に準拠して離解し、離解開始から10分後にスクリーン上の試料を回収して乾燥させることで残渣の質量比率(%)を算出し、100−残渣の質量比率により算出される。
[紙基材]
本実施形態における紙基材は、密度が0.50g/cm以上0.90g/cm以下であり、包装用紙として使用する観点から、好ましくは0.70g/cm以上、より好ましくは0.73g/cm以上であり、そして離解性をより向上させる観点から、好ましくは0.85g/cm以下、より好ましくは0.83g/cm以下である。密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定される値である。
本実施形態における紙基材は、片方の面が平滑面であり、平滑面の王研式平滑度が100秒以上である。平滑面の王研式平滑度は、紙積層体の離解性およびバリア性をより向上させる観点から、200秒以上が好ましく、250秒以上が好ましく、300秒以上がより好ましく、350秒以上がさらに好ましく、400秒以上がさらに好ましい。一方、平滑面の王研式平滑度は、紙積層体のバリア性、地合いおよび不透明度をより向上させる観点から、1000秒以下が好ましく、800秒以下がより好ましく、600秒以下がさらに好ましく、500秒以下がさらに好ましく、450秒以下がさらに好ましい。かかる平滑面の逆側の面は、王研式平滑度が平滑面よりも小さければよく、とくに限定されないが、好ましくは1秒以上、より好ましくは10秒以上であり、そして好ましくは100秒より小さく、より好ましくは90秒以下、さらに好ましくは50秒以下である。王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される値である。
紙基材を構成するパルプとしては、たとえば、木材パルプ、非木材パルプ等が挙げられる。
木材パルプとしては、たとえば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等が挙げられる。
紙基材の通気性と透湿性を高めて離解性を向上する観点から、紙基材を構成するパルプ全体の40質量%以上を広葉樹パルプとすることが好ましく、50質量%以上を広葉樹パルプとすることがより好ましい。また、広葉樹パルプの使用量の上限値は、たとえば、紙基材を構成するパルプ全体の100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
一方、針葉樹パルプの繊維が長いため、紙基材の引張強度を高める観点から、紙基材を構成するパルプ全体の5質量%以上を針葉樹パルプとすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましい。また、針葉樹パルプの使用量の上限値は、たとえば、紙基材を構成するパルプ全体の60質量%以下、好ましくは50質量%以下である。
非木材パルプとしては、たとえば、綿パルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、竹パルプ等が挙げられる。レーヨン繊維やナイロン繊維等の合成繊維等のパルプ繊維以外の材料を、本発明の効果を損なわない限り、副資材として配合してもよい。
紙基材は、たとえば、パルプスラリーを主成分とする抄紙原料を抄紙することにより得られる。
パルプスラリーは、木材または非木材の原料チップから、蒸解、洗浄、漂白等の工程を経て得られる。蒸解方法、洗浄方法、漂白方法等にとくに限定はない。これらの工程を経て得られたパルプスラリーは、さらに、水の存在下で叩解される。
パルプのフリーネス(濾水度)は、とくに限定されず、好ましくは150mLCSF以上、より好ましくは250mLCSF以上であり、そして好ましくは600mLCSF以下、より好ましくは500mLCSF以下である。フリーネスを調節することによって、所望とする密度を好適に調整することができる。すなわち、フリーネスを150mLCSF以上とすることによって、紙基材の密度を下げて、通気性と透湿性を高めることができる。一方、フリーネスを600mLCSF以下とすることによって、紙基材の密度を上げて、平滑面のバリア性を高めることができる。ここで、フリーネスとは、JIS P8121−2:2012によるカナダ標準ろ水度のことである。フリーネスを調節するために、パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
紙基材には、必要に応じて、填料を適宜添加してもよい。填料としては、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、二酸化チタン等を例示することができる。
紙基材中にはパルプや填料の他に、たとえば、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、濾水性向上剤、pH調整剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤等の公知の抄紙用内添剤を必要に応じて添加することができる。サイズ剤としては、たとえば、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤等が挙げられる。
紙基材の坪量は、とくに限定されないが、所望の密度や厚みを得る観点から、20g/m以上が好ましく、30g/m以上がより好ましく、40g/m以上がさらに好ましく、そして100g/m以下が好ましく、90g/m以下がより好ましく、80g/m以下がさらに好ましい。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機、たとえば、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機を適宜選択して使用することができる。抄紙機によって形成された湿紙は、フェルトにて搬送され、ドライヤーで乾燥される。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。湿紙を半乾燥状態でオンマシンブレーカースタックにより平滑化処理を施してもよいし、乾燥状態でオンマシンまたはオフマシンカレンダーにより平滑化処理を施してもよい。
本実施形態における紙基材としては片艶紙が好ましい。片艶紙とは、ヤンキードライヤーに圧接して乾燥することによって得られる紙である。片艶紙は抄紙時にヤンキードライヤーなどに接しながら乾燥される(拘束乾燥)ことで、繊維の収縮が抑えられるため、離解性が高く、地合の良い紙となる。地合いが良いと塗料を塗工した際に、浸みこみのムラが少なく、均一性の高い塗膜が得られる。そのため、紙基材として片艶紙を用いると、離解性により優れ、より一層高いバリア性が発揮されると考えられる。
また、紙基材として片艶紙を使用することにより、平滑化に際して紙基材にかかる圧力が少ないため、より一層高い通気性と透湿性を有し、さらに樹脂層と保護層を設けても優れた離解性を発現し、リサイクル性を高めることができる。また、紙基材の片方の面が平滑面であって密度が高いことから、通気性と透湿性を有することとは相反するバリア性の向上に寄与することができる。
また、本実施形態における紙基材は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられている紙であればとくに制限はない。本実施形態における紙基材としては、具体的には、晒または未晒クラフト紙、片艶紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、グラシン紙、グラファン紙等を挙げることができる。これらの中でも、片艶紙、晒または未晒クラフト紙が好ましく、離解性を向上させる観点からは晒クラフト紙、片艶紙、片艶晒クラフト紙が好ましく、不透明度を向上させる観点からは未晒クラフト紙、片艶未晒クラフト紙が好ましい。
[樹脂層]
本実施形態における樹脂層は、紙基材の少なくとも一方の面に形成されている。かかる樹脂層は、水懸濁性高分子、アスペクト比が50以上の板状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有する。これにより、樹脂層の顕微鏡拡大写真を撮ったときに、従来とは明らかに異なり、空隙のない稠密な膜を形成することができる。この樹脂層の空隙のない稠密な膜構造が、優れた水蒸気バリア性を発揮している。また、樹脂層を紙基材上に形成し、保護層を樹脂層上に直接形成する場合、均一な保護層の形成にも寄与して、より一層優れたガスバリア性、水蒸気バリア性を発現することができる。
(水懸濁性高分子)
水懸濁性高分子は、水に懸濁することが可能な高分子であり、樹脂層を形成する際に、水を分散媒とした塗料を調製することを容易にする。水懸濁性高分子は、樹脂層の形成においてバインダーとして機能するため、板状無機化合物等を含有する樹脂層を均一に形成することができる。
水懸濁性高分子は、樹脂層に柔軟性を持たせ、加工時の耐久性を高める観点から熱可塑性樹脂が好ましく、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体、スチレン・ブタジエン系共重合体、およびスチレン・アクリル系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、前記群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
(オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体)
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン系単量体と不飽和カルボン酸系単量体との共重合体であり、たとえば、オレフィン系単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを乳化重合することにより得られる共重合体である。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体のオレフィン系単量体としては、エチレン;プロピレン、ブチレン等のα−オレフィンが挙げられ、これらの中でも、好ましくはエチレンである。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体は、不飽和カルボン酸単量体、および加水分解によりカルボン酸を形成する不飽和カルボン酸のエステル単量体を含む。オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等の不飽和カルボン酸およびそのエステル;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等の、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸モノアルキルエステルが挙げられる。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体は、単独で、または2種以上用いてもよい。オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィンおよび不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が少量共重合されていてもよい。
これらの中でも、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、エチレン・アクリル酸系共重合体、およびエチレン・メタクリル酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、およびエチレン・メタクリル酸ブチル共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、エチレン・アクリル酸共重合体であることがさらに好ましい。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量が、好ましくは1mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、そして、好ましくは50mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。不飽和カルボン酸系単量体の含有量が上記範囲内であると、板状無機化合物の分散性に優れる。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、紙基材に付与する際の粘度および強度の観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは10万以上であり、そして、好ましくは1000万以下、より好ましくは500万以下である。オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算値により求めることができる。
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば、住友精化株式会社製の「ザイクセン(商品名)」等が挙げられる。
(スチレン・ブタジエン系共重合体)
スチレン・ブタジエン系共重合体としては、スチレン・ブタジエン系ゴム(SBR)、変性スチレン・ブタジエン系ゴム(変性SBR)等が挙げられる。
変性スチレン・ブタジエン系ゴムとしては、酸変性スチレン・ブタジエン系ゴム(酸変性SBR)等が挙げられる。
スチレン・ブタジエン系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば、日本ゼオン株式会社製の「Nipol LX407Sシリーズ(商品名)」、「Nipol LX407BPシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
(スチレン・アクリル系共重合体)
スチレン・アクリル系共重合体は、スチレン系化合物とアクリル系化合物との共重合体であり、たとえば、スチレン系化合物およびアクリル系化合物を含み、さらに必要に応じてこれらと共重合可能なその他の化合物を含む単量体を乳化重合することにより得られる共重合体である。
スチレン系化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
アクリル系化合物としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸系単量体;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体等が挙げられる。
その他の化合物としては、たとえば、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等の不飽和カルボン酸系単量体;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステルおよびマレイン酸モノブチルエステル等の少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル系単量体;アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩等の不飽和スルホン酸系単量体またはその塩等が挙げられる。
スチレン系化合物としてはスチレン等が好適であり、またアクリル系化合物としてはアクリル酸、メタクリル酸が好適であり、その他の化合物としては、イタコン酸、フマル酸等が好適である。
スチレン・アクリル系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば、株式会社第一塗料製造所製の「ハービルシリーズC−3(商品名)」、BASF社製の「ACRONAL4160」等が挙げられる。
水懸濁性高分子の含有割合は、とくに限定されないが、樹脂層の全固形量中15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、そして95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
(板状無機化合物)
板状無機化合物は、アスペクト比が50以上であり、好ましくは80以上であり、より好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上である。アスペクト比が大きいほど、水蒸気およびガスの移動距離が長くなる迷路効果により、水蒸気バリア性およびガスバリア性を向上させることができる。また、アスペクト比が大きいほど、少ない含有量で高い水蒸気バリア性を発揮することができる。アスペクト比の上限は、とくに限定されないが、入手容易性、紙基材上に樹脂層を形成する際の粘度等の観点から、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは2000以下である。
板状無機化合物のアスペクト比は、樹脂層を付与した方向に対して平行な厚さ方向(樹脂層の垂直方向)の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、少なくとも30個の板状無機化合物の長さおよび厚さを測定し、算術平均することにより平均長さおよび平均厚さを求める。そして、板状無機化合物の平均長さを平均厚さで除した値を板状無機化合物のアスペクト比とする。
板状無機化合物は、上記のアスペクト比を有していれば、とくに限定されないが、合成マイカ、ベントナイト、およびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、前記群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、さらに好ましくは合成マイカ、およびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは合成マイカである。
板状無機化合物の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは200nm以下、より好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。厚さの下限は、とくに限定されないが、入手容易性、紙基材上に樹脂層を形成する際の粘度等の観点から、好ましくは1nm以上である。板状無機化合物の平均厚さが小さい方が、樹脂層中における板状無機化合物の積層数が多くなるため、少ない含有量で高い水蒸気バリア性を発揮することができる。
板状無機化合物の長さ(平均長さ)は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。長さが1μm以上であると、板状無機化合物が紙基材に対して平行に配列し易い。また、長さが100μm以下であると板状無機化合物の一部が樹脂層から突出する懸念が少ない。なお、板状無機化合物の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
樹脂層中に含有される板状無機化合物の含有量は、とくに限定されず、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、そして好ましくは800質量部以下、より好ましくは500質量部以下、さらに好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。板状無機化合物の含有量が、水懸濁性高分子100質量部に対して0.1質量部以上であると、水蒸気バリア性が発現し易い。一方、800質量部以下であると、板状無機化合物の一部が層表面から露出するのをより抑制でき、水蒸気バリア性をより向上させることができる。また、保護層を樹脂層上に直接形成する場合、保護層の塗工性が向上して均一な保護層が形成しやすくなり、ガスバリア性が向上しやすい。
樹脂層中に含有される板状無機化合物の割合は、とくに限定されず、水蒸気バリア性およびガスバリア性を向上する観点から、樹脂層の全固形量中0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。一方、保護層表面の平滑性を向上する観点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。より少ない含有量で効果的であるといった観点から、板状無機化合物の中でもアスペクト比が大きく、厚さの小さい合成マイカが好適に使用できる。
(カチオン性樹脂)
樹脂層は、カチオン性樹脂を含有する。これにより、板状無機化合物の分散性が向上し、水蒸気バリア性が大きく向上する。板状無機化合物は、板状の平面部分がアニオン性に帯電しやすく、エッジ部分がカチオン性に帯電しやすいため、板状無機化合物が相互に立体的に連結した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、板状無機化合物の水分散液の粘度は非常に高くなる。一方、カードハウス構造は撹拌等により力を加えると簡単に壊れるため、板状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。板状無機化合物の水分散液に、適切なカチオン性樹脂を添加すると、板状無機化合物のアニオン性に帯電した平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊されると考えられる。その結果、板状無機化合物が立体的に連結することが抑制され、板状無機化合物が紙基材平面に対して平行に積層しやすくなり、水蒸気バリア性の向上につながると推定される。さらに、ガスバリア性も向上すると推定される。
カチオン性樹脂としては、たとえば、ポリアミン樹脂、変性ポリアミド系樹脂(たとえば、アミン変性ポリアミド樹脂等のカチオン変性ポリアミド樹脂)、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン・エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン・エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素・エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素・エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素・エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
これらの中でも、カチオン性樹脂は、ポリアミン樹脂、変性ポリアミド系樹脂、およびポリエチレンイミン樹脂より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは変性ポリアミド系樹脂であり、さらに好ましくはカチオン変性ポリアミド系樹脂であり、さらに好ましくはアミン変性ポリアミド樹脂である。
樹脂層中に含有されるカチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア性をより向上させる観点から、板状無機化合物100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上であり、そして好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、さらに好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
樹脂層中に含有されるカチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア性をより向上させる観点から、水懸濁性高分子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、そして好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
樹脂層中に含有されるカチオン性樹脂の割合は、とくに限定されず、樹脂層の全固形量中0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、そして20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
樹脂層には、水懸濁性高分子、板状無機化合物、およびカチオン性樹脂以外に、必要に応じて適宜、顔料、上述したカチオン性樹脂以外の分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤、水溶性高分子等の助剤を添加することができる。
樹脂層の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
また、樹脂層の形成量(以下、塗工量ともいう。)は、固形分として、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上であり、そして好ましくは30g/m以下、より好ましくは20g/m以下である。
[保護層]
本実施形態における保護層は、紙基材の少なくとも一方の面に形成されている。かかる保護層は、水溶性高分子を含有する。保護層は、樹脂層上に形成されていてもよく、紙基材上に形成されていてもよい。樹脂層上に形成される場合、ガスバリア性、とくに酸素バリア性に優れるとともに、樹脂層を保護してバリア性を向上できる。また、水の存在下で離解性を高めて、リサイクル性により優れた紙積層体を得ることができる。一方、保護層を紙基材上に形成することによって、より均一な樹脂層を形成し、バリア性をより向上することができる。
(水溶性高分子)
水溶性高分子としては、たとえば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ウレタン系樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
これらの中でも、ガスバリア性がより優れていることから、完全ケン化もしくは部分ケン化したポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンが好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、前記群から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
水溶性高分子の含有量は、保護層の全固形量中50質量%以上が好ましく、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、そして100質量%以下が好ましい。
保護層には、樹脂層と同様に、前記した板状無機化合物を含有させてもよい。板状無機化合物としては、バリア性を向上させる観点から、合成マイカ、ベントナイトおよびカオリンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。保護層に含有させる板状無機化合物は、樹脂層に含有させる板状無機化合物と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
板状無機化合物を保護層に含有させる場合、板状無機化合物の含有量は、とくに限定されないが、保護層の水溶性高分子100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、そして80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。板状無機化合物の中でも、保護層の水溶性高分子100質量部に対して、アスペクト比が大きく、厚さの小さい合成マイカを5質量部以上15質量部以下含有させることが好ましい。さらに、合成マイカと他の板状無機化合物(たとえば、カオリン等)を併用する場合、他の板状無機化合物の含有量は、保護層の水溶性高分子100質量部に対して、好ましくは20質量部以上であり、そして、好ましくは80質量部以下である。
保護層は、水溶性高分子以外に、必要に応じて適宜、板状無機化合物、顔料、カチオン性樹脂、上述したカチオン性樹脂以外の分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤等の助剤を添加することが可能である。
保護層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、そして好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
また、保護層の形成量(以下、塗工量ともいう。)は、固形分として、好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.5g/m以上であり、そして好ましくは10g/m以下、より好ましくは5g/m以下である。
[シーラント層]
本実施形態では、紙積層体の少なくとも一方の最外層にシーラント層をさらに有することが好ましい。すなわち、シーラント層は、樹脂層および保護層を形成した側の紙基材から最も遠い層の上、または樹脂層および保護層を形成していない側の紙基材から最も遠い層の上(樹脂層および保護層を形成していない側に他の層がない場合は紙基材の上)、のどちらか一方または両方に形成することができる。
シーラント層は、加熱や超音波で溶融し接着する層であり、紙積層体同士をヒートシール等により相互に結合させることができる層である。
シーラント層は、たとえば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体等の合成樹脂を溶融押出ラミ法やドライラミ法によって積層することによって形成することができる。また、シーラント層は、たとえば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体等の合成樹脂の乳化分散液を塗工することによって形成することもできる。
シーラント層は、生分解性樹脂を含有することが好ましい。生分解性樹脂の具体例としては、とくに限定されず、たとえば、ポリ乳酸(PLA).ポリブチレンサクシネート(PBS)ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、3−ヒドロキシブタン酸・3−ヒドロキシヘキサン酸共重合体(PHBH)等が挙げられる。
シーラント層の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
また、シーラント層の形成量は、固形分として、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上であり、そして好ましくは50g/m以下より好ましくは30g/m以下である。
<紙積層体の製造方法>
本実施形態の紙積層体は、紙基材上の少なくとも一方の面に、樹脂層と保護層とが形成され、必要によりシーラント層が形成される。
各層の形成方法は、とくに限定されないが、少なくとも樹脂層と保護層は、塗工法により形成することが好ましい。本実施形態の好ましい一態様として、具体的には、紙基材上に樹脂層塗料を塗工し、乾燥して、樹脂層を形成し、さらに樹脂層上に保護層塗料を塗工し、乾燥して、保護層を形成すればよい。各層は、塗料を逐次塗工および乾燥させて形成してもよく、同時多層塗工した後に乾燥させて形成してもよい。同時多層塗工としては、紙基材における表面と裏面の塗工層を両面同時に、または片面の下層および上層を同時に塗工してもよい。
塗料を塗工するための塗工設備にはとくに制限はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、メイヤーバー、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーター、サイズプレスコーター等が挙げられる。とくに、樹脂層の形成には、メイヤーバー、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター等の塗工表面をスクレイプするコーターが、板状無機化合物の配向を促す点で好ましい。
塗工層を乾燥するための乾燥設備には、とくに限定されず、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板等が挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
塗料の溶媒としては、とくに限定されず、たとえば、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンもしくはトルエン等の有機溶媒を用いることができる。
これらの中でも、本実施形態において、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、塗料の分散媒としては、水が好ましい。すなわち、樹脂層および保護層の塗料は、水系組成物であることが好ましい。
塗料の固形分濃度は、とくに限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
本実施形態の紙積層体は、上記の優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を活かして、コーヒー、菓子、牛乳等の食品、医薬品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。これらの中でも、折割れに耐性を有することから、軟包装用材料、重袋用の紙容器、ミルクカートン等の包装容器に好適に用いることができる。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、とくに断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[実施例1]
・板状無機化合物の水分散液の調製
板状無機化合物(エンジニアードカオリン、粒子径10μm、アスペクト比100、厚さ100nm、商品名:バリサーフHX、イメリス社製)を水に分散し、固形分55%の水分散液Aを得た。
・樹脂層塗料の調製
オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体として自己乳化型ポリオレフィン分散液(固形分29.2%、商品名:ザイクセンAC、住友精化株式会社製、エチレン・アクリル酸共重合体)34.2部に対して、上記の板状無機化合物の水分散液Aを36.4部加えて撹拌した。これに、カチオン性樹脂として変性ポリアミド系樹脂(固形分53%、商品名:SPI203(50)H、田岡化学工業株式会社製)を0.75部加えて撹拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.30部加えて撹拌した。さらに、希釈水を加えて固形分濃度40%とし、樹脂層塗料を得た。
・保護層塗料の調製
水溶性高分子としてエチレン変性ポリビニルアルコール(完全ケン化型、商品名:エクセバールAQ−410、株式会社クラレ製)の固形分15%の水溶液66.7部に、ポリエチレンイミン(固形分30%、商品名:エポミンP−1000、株式会社日本触媒製)0.17部を加え、さらに希釈水を加え、固形分濃度10%とし、保護層塗料を得た。
・紙積層体の作製
得られた樹脂層塗料を用いて、乾燥後の塗工量が12.0g/mとなるように、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(以下、非艶面や非平滑面ともいう。)にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥して樹脂層(厚さ:12μm)を形成した。さらに、保護層塗料を用いて、乾燥後の塗工量が3.0g/mとなるように、樹脂層上にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥して保護層(厚さ:3μm)を形成し、紙積層体を得た。紙基材として使用した片艶晒クラフト紙は、坪量65g/m、厚さ62μm、密度0.76g/m、平滑面の王研式平滑度427秒、非平滑面の王研式平滑度17秒であった。
[実施例2]
・樹脂層塗料の調製
板状無機化合物の水分散液B(合成マイカ、粒子径6μm、アスペクト比1200、厚さ5nm、固形分6%、商品名:NTO−05、トピー工業株式会社製)30.0部に、撹拌しながらオレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体として自己乳化型ポリオレフィン分散液(固形分29.2%、商品名:ザイクセンAC、住友精化株式会社製、エチレン・アクリル酸共重合体)34.2部を加えて撹拌した。これに、カチオン性樹脂として変性ポリアミド系樹脂(固形分53%、商品名:SPI203(50)H、田岡化学工業株式会社製)を2.55部加えて撹拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.30部加えて撹拌した。さらに、希釈水を加えて固形分濃度19%とし、樹脂層塗料を得た。
・保護層塗料の調製
水溶性高分子としてエチレン変性ポリビニルアルコール(完全ケン化型、商品名:エクセバールAQ−4104、株式会社クラレ製)の固形分12%の水溶液83.3部に、上記の板状無機化合物の水分散液Bを16.7部加えて撹拌し、さらに上記の板状無機化合物の水分散液Aを9.1部加え、さらに、希釈水を加えて固形分濃度10%とし、保護層塗料を得た。
・紙積層体の作製
得られた樹脂層塗料を用いて、乾燥後の塗工量が6.0g/mとなるように、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥して樹脂層(厚さ:6μm)を形成した。さらに、保護層塗料を用いて、乾燥後の塗工量が3.0g/mとなるように、樹脂層上にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥して保護層(厚さ:3μm)を形成し、紙積層体を得た。紙基材として使用した片艶晒クラフト紙は、坪量65g/m、厚さ62μm、密度0.76g/m、平滑面の王研式平滑度427秒、非平滑面の王研式平滑度17秒であった。
[実施例3]
実施例1の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に代えて、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面(艶面)に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして紙積層体を得た。
[実施例4]
実施例1の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に代えて、片艶晒クラフト紙(王子エフテックス株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして紙積層体を得た。紙基材として使用した片艶晒クラフト紙は、坪量50g/m、厚さ62.3μm、密度0.80g/cm、平滑面の王研式平滑度287秒、非平滑面の王研式平滑度17秒であった。
[実施例5]
実施例2の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に代えて、片艶晒クラフト紙(王子エフテックス株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例2と同様にして紙積層体を得た。
[実施例6]
実施例2の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に代えて、片艶晒クラフト紙(王子エフテックス株式会社製)の平滑面(艶面)に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例2と同様にして紙積層体を得た。
[実施例7]
実施例4の紙積層体において、保護層の上にさらに、水性ヒートシール剤(主成分:変性ポリオレフィン樹脂)を6g/mを塗工し、シーラント層(厚さ:6μm)を形成し、紙積層体を得た。
[実施例8]
実施例5の紙積層体において、保護層の上にさらに、水性ヒートシール剤(主成分:変性ポリオレフィン樹脂)を6g/mを塗工し、シーラント層(厚さ:6μm)を形成し、紙積層体を得た。
[実施例9]
実施例1の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に代えて、片艶未晒クラフト紙(天間特殊製紙株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして紙積層体を得た。紙基材として使用した片艶未晒クラフト紙は、坪量50g/m、厚さ65μm、密度0.80g/cm、平滑面の王研式平滑度213秒、非平滑面の王研式平滑度25秒であった。
[実施例10]
実施例2の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に代えて、片艶未晒クラフト紙(天間特殊製紙株式会社製)の平滑面の逆側の面(非平滑面)に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例2と同様にして紙積層体を得た。
[比較例1]
実施例1の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)に代えて、晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)を使用し、さらに晒クラフト紙の一方の面に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして紙積層体を得た。紙基材として使用した晒クラフト紙は、坪量50g/m、厚さ60μm、密度0.76g/m、一方の面の王研式平滑度63秒、他方の面の王研式平滑度45秒であった。
[比較例2]
実施例2の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)に代えて、晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)を使用し、さらに晒クラフト紙の一方の面に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例2と同様にして紙積層体を得た。紙基材として使用した晒クラフト紙は、坪量50g/m、厚さ60μm、密度0.76g/m、一方の面の王研式平滑度63秒、他方の面の王研式平滑度45秒であった。
[比較例3]
実施例1の紙積層体の作製において、樹脂層と保護層を形成せず、紙基材だけを評価に供した。
[比較例4]
実施例1の紙積層体の作製において、片艶晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)に代えて、未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製)を使用し、さらに未晒クラフト紙の一方の面に樹脂層および保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして紙積層体を得た。紙基材として使用した未晒クラフト紙は、坪量50g/m、厚さ74μm、密度0.68g/cm、一方の面の王研式平滑度18秒、他方の面の王研式平滑度17秒であった。
得られた紙積層体および紙基材について、以下の各性能を評価した。評価結果は表1に示すとおりであった。
・水蒸気透過度
JIS Z0208:1976(カップ法)B法(温度40℃±0.5℃、相対湿度90%±2%)に準拠して、紙積層体の樹脂層が内側(低湿度側)に来るように配置して、水蒸気透過性を測定した。水蒸気透過度の値は低いほど水蒸気バリア性に優れる。
・酸素透過度
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用し、大気圧下で温度23℃、相対湿度50%の条件(低湿度条件)にて、紙積層体の酸素透過度を測定した。酸素透過度の値は低いほど酸素バリア性に優れる。
・離解率
得られた紙積層体をJIS P 8220:2012に準拠して離解した。このとき、離解開始から10分後にスクリーン上の試料を回収して乾燥させることで残渣の質量比率(%)を算出し、100−残渣の質量比率を離解率(%)とした。
・印刷濃度
グラビア印刷適性試験機を用い、得られた紙積層体の樹脂層および保護層の非塗工面に対し、速度60m/min、印圧40kg/cmでザーン粘度を18秒に調製したグラビアインキの印刷を行った。このとき印刷が最も濃い領域に対して、ポータブル反射濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて印刷面の濃度の測定を行った。
・地合い
地合計(Mk systems社、3Dシートアナライザー)を使用し、得られた紙積層体の地合いの測定を行った。RANGEを1に設定し、測定面は平滑度が高い方の面とした。
・不透明度
JIS P 8149:2000に準じて、得られた紙積層体の不透明度の測定を行った。平滑度が高い方の面の不透明度を測定した。
Figure 0006901058
表1では、紙基材として片艶晒クラフト紙を用いた実施例1〜8と、紙基材として王研式平滑度が100秒以上の平滑面がない晒クラフト紙を用いた比較例1〜3とを比較した。
実施例1〜8の紙積層体は水蒸気透過度および酸素透過度が低く、さらに離解率が高かった。すなわち、実施例1〜8の紙積層体は離解性に優れ、高いバリア性を有していた。
一方、比較例1および2の紙積層体は、離解率が低く、離解性に劣っていた。
また、紙基材の少なくとも一方の面に樹脂層および保護層を有しない比較例3の紙積層体は、水蒸気透過度および酸素透過度が高く、バリア性に劣っていた。
Figure 0006901058
表2では、紙基材として片艶未晒クラフト紙を用いた実施例9〜10と、紙基材として王研式平滑度が100秒以上の平滑面がない未晒クラフト紙を用いた比較例4とを比較した。
実施例9〜10の紙積層体は水蒸気透過度および酸素透過度が低く、さらに離解率が高かった。すなわち、実施例9〜10の紙積層体は離解性に優れ、高いバリア性を有していた。
一方、比較例4の紙積層体は、離解率が低く、離解性に劣っていた。さらに、比較例4の紙積層体は、水蒸気透過度が高く、水蒸気バリア性に劣っていた。
さらに、紙基材として片艶未晒クラフト紙を用いた実施例9〜10は、片艶晒クラフト紙を用いた実施例1〜8よりも不透明度が高かった。そのため、実施例9〜10の紙積層体は包装材料として用いた場合に中身が透けにくいという点でより優れていた。

Claims (14)

  1. 紙基材と、前記紙基材の少なくとも一方の面に樹脂層および保護層と、を有する紙積層体であって、
    前記紙基材の密度が0.50g/cm以上0.90g/cm以下であり、
    前記紙基材の片方の面が平滑面であり、
    JIS P 8155:2010に準拠して測定される、前記平滑面の王研式平滑度が100秒以上であり、
    前記樹脂層が水懸濁性高分子、アスペクト比が50以上の板状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有し、
    前記保護層が水溶性高分子を含有する、紙積層体。
  2. 前記平滑面の逆側の面に前記樹脂層と前記保護層とを有する、請求項1に記載の紙積層体。
  3. 前記樹脂層中に含有される前記水懸濁性高分子が、オレフィン・不飽和カルボン酸系共重合体、スチレン・ブタジエン系共重合体およびスチレン・アクリル系共重体よりなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1または2に記載の紙積層体。
  4. 前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物が、合成マイカ、ベントナイトおよびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙積層体。
  5. 前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物の含有量が、前記水懸濁性高分子100質量部に対して0.1質量部以上800質量部以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙積層体。
  6. 前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物の厚さが、200nm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙積層体。
  7. 前記樹脂層中に含有される前記板状無機化合物の含有割合が、前記樹脂層の全固形量中0.1質量%以上80質量%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の紙積層体。
  8. 前記保護層中に含有される前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の紙積層体。
  9. 前記紙基材の坪量が、20g/m以上100g/m以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の紙積層体。
  10. 前記紙基材は、JIS P 8155:2010に準拠して測定される、前記平滑面の逆側の面の王研式平滑度が100秒未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の紙積層体。
  11. 前記樹脂層中に含有される前記カチオン性樹脂の含有量は、前記板状無機化合物100質量部に対して、0.5質量部以上300質量部以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の紙積層体。
  12. 前記樹脂層中に含有される前記カチオン性樹脂の含有量は、前記水懸濁性高分子100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の紙積層体。
  13. 少なくとも一方の最外層にシーラント層をさらに有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の紙積層体。
  14. 包装用材料である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の紙積層体。
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