JP2021008223A - 乗物用シート - Google Patents

乗物用シート Download PDF

Info

Publication number
JP2021008223A
JP2021008223A JP2019123488A JP2019123488A JP2021008223A JP 2021008223 A JP2021008223 A JP 2021008223A JP 2019123488 A JP2019123488 A JP 2019123488A JP 2019123488 A JP2019123488 A JP 2019123488A JP 2021008223 A JP2021008223 A JP 2021008223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seat
airbag
swelling
general
back surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019123488A
Other languages
English (en)
Inventor
良亮 村知
Ryosuke Murachi
良亮 村知
誉章 ▲高▼▲崎▼
誉章 ▲高▼▲崎▼
Yoshiaki Takasaki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Boshoku Corp
Original Assignee
Toyota Boshoku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Boshoku Corp filed Critical Toyota Boshoku Corp
Priority to JP2019123488A priority Critical patent/JP2021008223A/ja
Publication of JP2021008223A publication Critical patent/JP2021008223A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Seats For Vehicles (AREA)
  • Air Bags (AREA)

Abstract

【課題】エアバッグの速やかな膨出を確保しつつ、シートパッドの裏面に裏面材を性能良く固定しておくことにある。【解決手段】裏面材30は、膨出許容部31の一側とその反対の他側に位置する一般部32,33同士を連結する連結材40を有し、エアバッグ21の未膨張時において、一般部同士32,33が近接又は隣接して連結材40にて連結されており、エアバッグ21の膨張によって、連結材40による一般部32,33同士の連結が解除されて膨出許容部31が拡開する構成となっている。【選択図】図5

Description

本発明は、シートパッドと、シートフレームと、シートパッドの裏面に固定された裏面材と、シートフレームに取付けられたエアバッグとを備えた乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートは、金属製のシートフレーム上に発泡樹脂製のシートパッドを配置し、これらをシートカバーで被覆することで形成されている。またシートパッドの裏面には面状の裏面材が固定されており、この裏面材によって、シートフレームとシートパッドの直接接触を回避することで、擦れ音等の異音発生を極力阻止している。そしてシートフレームには、エアバッグを内蔵したエアバッグ装置が取付けられており、乗物衝突時などに、エアバッグが膨張しつつシートパッドの着座側に膨出する。
ところで上述のシート構成では、エアバッグの速やかな膨出等を確保する観点から、裏面材に、エアバッグの膨出を許容する構造を設けておくことが望ましいといえる。例えば特許文献1に開示の自動車用座席では、クッションパッドの裏面に補強部材が取付けられ、フレームにはエアバッグ装置が取付けられている。この補強部材は、本発明の裏面材に相当する面状部材であり、エアバッグを臨む位置に複数の切欠孔が設けられている。各切欠孔は、補強部材を厚み方向に貫通する貫通孔であり、これら切欠孔の設けられている補強部材部分が本発明の膨出許容部に相当する。そして公知技術では、エアバッグの膨張によって、補強部材の一部(膨出許容部)が各切欠孔を基点に上下に破断して拡開することにより、エアバッグの速やかな膨出を確保している。またエアバッグを、予め定められた補強部材の一部(膨出許容部)から膨出させることで、このエアバッグの膨出方向が適切となるように規制することもできる。
特許第3358450号公報
ここで公知技術では、補強部材(裏面材)に複数の切欠孔を設けて、エアバッグの速やかな膨出を確保している。しかしこのような構成では、シートパッドが切欠孔を通じてシートフレームに直に接触するおそれがあるため、異音の発生を回避して静音性を確保するには不向きの構成となりがちであった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、エアバッグの速やかな膨出を確保しつつ、シートパッドの裏面に裏面材を性能良く固定しておくことにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、シートパッドの着座面とは反対の裏面に固定された面状の裏面材と、シートパッドの裏側に配置されたシートフレームと、シートフレームに取付けられたエアバッグとを備えている。そして裏面材は、一般部と、エアバッグの膨出を許容する膨出許容部とを有し、膨張するエアバッグが膨出許容部を拡開させてシートパッドの着座側に膨出可能である。この種の構成では、エアバッグの速やかな膨出を確保しつつ、シートパッドの裏面に裏面材を性能良く(例えば静音性を極力確保しつつ)固定しておくことが望まれる。
そこで本発明の裏面材は、膨出許容部の一側とその反対の他側に位置する一般部同士を連結する連結材を有し、エアバッグの未膨張時において、一般部同士が近接又は隣接して連結材にて連結されている。そしてエアバッグの膨張によって、連結材による一般部同士の連結が解除されて膨出許容部が拡開する構成となっている。本発明では、エアバッグの未膨張時において、膨出許容部の両側に位置する一般部同士を、近接又は隣接させて連結材にて連結している。こうして一般部によって膨出許容部を構造的に補完しておくことで、膨出許容部が原因の静音性の悪化を極力回避することができる。さらにエアバッグの膨出の際に、連結材による一般部同士の連結を解除して膨出許容部を本来の状態に戻すことで、エアバッグの速やかな膨出を確保することが可能となる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、シートパッドの着座側は、複数の表皮ピースを縫合してなるシートカバーで覆われている。そして膨出許容部は、所定の方向に延びるスリット又は貫通孔であり、連結材は、膨出許容部を閉じるように一般部同士を縫付けている縫合糸であって、シートカバーを縫合する他の縫合糸に比して脆弱である。本発明では、スリット状又は孔状の膨出許容部が、一般部同士を連結する連結材としての縫合糸によって閉じられることで、膨出許容部が原因の静音性の悪化をより確実に回避することができる。さらに一般部同士を連結する連結材を、相対的に脆弱な縫合糸で構成することにより、エアバッグの速やかな膨出をより確実に確保することが可能となる。
第3発明の乗物用シートは、第2発明の乗物用シートにおいて、連結材をなす縫合糸のステッチが膨出許容部の延びる方向に延設されている。本発明では、連結材をなす縫合糸のステッチを、膨出許容部の延びる方向に延設しておくことで、一般部同士によって膨出許容部を構造的により性能良く補完することができる。すなわち縫合糸がステッチをなして連続的に延設されることで、膨出許容部を広範囲にわたって補完することが可能となり、膨出許容部が原因の静音性の悪化をより確実に回避することができる。また本発明では、ステッチを断続的に延設して、ステッチ同士の間を相対的に拡開しやすくしておくこともでき、こうすることでエアバッグの速やかな膨出をより確実に確保することができる。
第4発明の乗物用シートは、第3発明の乗物用シートにおいて、ステッチでは、縫い初めの第一端部と、縫い終わりの第二端部の少なくとも一つが返し縫を施すことなく糸切処理されている。本発明では、ステッチの少なくとも一つの端部が返し縫を施されておらず一般部から抜き外れやすくなっている。このためエアバッグの膨出の際に、連結材による一般部の連結をスムーズに解除することができ、エアバッグの速やかな膨出を更に確実に確保することが可能となる。
本発明に係る第1発明によれば、エアバッグの速やかな膨出を確保しつつ、シートパッドの裏面に裏面材を性能良く固定しておくことができる。また第2発明によれば、エアバッグの速やかな膨出をより確実に確保しつつ、シートパッドの裏面に裏面材をより確実に性能良く固定しておくことができる。また第3発明によれば、シートパッドの裏面に裏面材をさらに性能良く固定しておくことができる。そして第4発明によれば、エアバッグの速やかな膨出を更に確実に確保することができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートバックの断面図である。 シートバックの分解斜視図である。 連結材を取付ける前の裏面材の正面図である。 膨出許容部を示す裏面材一部の概略正面図である。 連結材を取付ける際の裏面材一部の概略拡大正面図である。 エアバッグ膨出時の裏面材一部の概略正面図である。 エアバッグ膨出時の裏面材一部の概略拡大正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図8を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8とを有している。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなして乗員を弾性的に支持可能なシートパッド(4P,6P,8P)と、シートの意正面を構成するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4の後部には、リクライナRを介してシートバック6(詳細後述)の下部が起倒可能に連結されている。また起立状態のシートバック6の上方にはヘッドレスト8が配設されている。
[シートバック]
図1に示すシートバック6は、乗員の背凭れとなる正面視で概ね矩形状の部材であり、その左肩口には持手部7が取付けられている。このシートバック6は、図1〜図3を参照して、シートフレーム6Fの着座側にシートパッド6Pを配置し、さらにこれらをシートカバー6Sで被覆することで形成されている(各構成の詳細は後述)。またシートバック6では、シートの静音性を確保する観点から、シートパッド6Pの着座面(前面)とは反対の裏面6Pdに後述の裏面材30が固定されている。
またシートパッド6Pの裏側には、図2及び図3に示すように、エアバッグ装置20が取付けられたシートフレーム6Fが配置されている。そして乗物衝突時などに、エアバッグ装置20内のエアバッグ21が膨張しつつシートパッド6Pの着座側に膨出することとなる。この種のシート構成では、エアバッグ21の膨出を許容する構成(後述の膨出許容部31)を裏面材30に設けるべきであるが、この構造が原因となって裏面材30の性能が悪化するといった事態は極力回避すべきである。そこで本実施例では、後述する構成(連結材40)によって、エアバッグ21の速やかな膨出を確保しつつ、シートパッド6Pの裏面6Pdに裏面材30を性能良く固定しておくこととした。以下、各構成について詳述する。
[シートカバー]
図2及び図3に示すシートカバー6Sは、シートの意正面を構成する面材であり、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で形成されている。このシートカバー6Sは、複数の表皮ピース(符号省略)を図2に示す一般縫合糸Y1で袋状となるように縫合することで形成されており、この種の一般縫合糸Y1として、天然繊維又は合成繊維製の糸材を使用することができる。ここで一般縫合糸Y1の繊度は特に限定しないが、適度な強度を備えた8番手以下の糸材が用いられ、典型的には5番手〜8番手程度の糸材が用いられることが多い。そして本実施例では、表皮ピース同士を縫合する一般縫合糸Y1が、本発明のシートカバーを縫合する他の縫合糸に相当する。またシートカバー6Sの左側に位置する表皮ピース同士の縫合箇所は、後述するエアバッグ21の膨出を許容する脆弱部位6SSとなっており、この脆弱部位6SSには、破断を助長するための力布(図示省略)を取付けておくことができる。そしてエアバッグ21の膨張にて力布が引っ張られて脆弱部位6SSが破断することにより、この破断した脆弱部位6SSからエアバッグ21がシート着座側(各図の前側)に膨出することとなる。
[シートフレーム]
図2及び図3に示すシートフレーム6Fは、正面視で概ねアーチ状をなす枠体であり、剛性に優れる金属や硬質樹脂で形成されている。このシートフレーム6Fは、上部骨格をなすアッパフレーム10と、側部骨格をなす右側のサイドフレーム11及び左側のサイドフレーム12と、下部骨格をなすロアフレーム13とを有している。各サイドフレーム11,12は、シートの右側と左側に分かれて配置されているとともに、左右対称となっている以外は概ね同一の基本構成を有している。例えば左側のサイドフレーム12は、上下に長尺な板状の部材であり、その下側にはリクライナRが嵌挿されている。またロアフレーム13は、左右の各サイドフレーム11,12の下部に架け渡されて固定されている平板状の部材である。
[エアバッグ]
ここで図2及び図3に示すエアバッグ21は、エアの流入により膨張可能な袋体であり、略立方体状のエアバッグ装置20内に配設されている。このエアバッグ装置20は、上下方向を向いた状態で左側のサイドフレーム12の外面にブラケット(図示省略)を介して取付けられている。そしてエアバッグ装置20の内部には、エアバッグ21とともにエアバッグモジュール(図示省略)が配設され、さらにエアバッグ装置20の外側には、電源や制御部に連結されるケーブル22が延設されている。このエアバッグモジュールにはガス供給装置が配設され、さらにガス供給装置にはガス発生剤又は高圧ガスが封入されている。本実施例では、乗物衝突時にエアバッグモジュールが信号を受信してエアをエアバッグ21に供給することができる。そして膨張するエアバッグ21が、エアバッグ装置20の外に飛び出すことにより、後述するようにシートパッド6Pの着座側に膨出可能とされている。そしてエアバッグ21は、シートバック6の左側から着座側に膨出して展開状態となることにより、乗員胸部から乗員腰部にかけての身体範囲を保護できる。
[シートパッド]
図2及び図3に示すシートパッド6Pは、正面視で概ね矩形の部材であり、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂で形成されている。このシートパッド6Pは適度な厚み(前後の寸法)を有しているとともに、その上後縁6Paと右後縁6Pbと左後縁6Pcが、シートフレーム6Fの周縁とエアバッグ装置20を囲うように後方に突出している。またシートパッド6Pの裏面6Pdの右側は、エアバッグ装置20を臨む位置が着座側に凹んでおり、この凹んだシートパッド部分(凹み部位6PP)では厚み寸法が薄くなって破断しやすくなっている。そしてシートパッド6Pの裏面6Pdには、後述する裏面材30が固定されており、この裏面材30が、シートフレーム6Fとエアバッグ装置20を臨む位置に配設されている。
[裏面材]
図2〜図5に示す裏面材30は、シートパッド6Pの裏面6Pdに固定されている面状部材であり、シートの静音性を確保するために設けられている。この裏面材30は、シートパッド6Pの裏面形状に倣った面材であり、その左側に設けられている後述の膨出許容部31と、膨出許容部31以外の一般部32,33等とに区分けすることができる。なお裏面材30の左上側には、持手部7を取付けるための孔部7Hが設けられている。ここで裏面材30の素材は、シートフレーム6Fとの接触時に擦れ音が発生しにくい面材を用いることができ、例えばフェルトや布帛を使用することが可能である。
[膨出許容部]
図2〜図5に示す膨出許容部31は、エアバッグ21の膨出を許容する箇所であり、裏面材30のエアバッグ装置20を臨む位置に設けられている。この膨出許容部31は、スリット状や孔状の部位、または一般部に比して薄肉化されて(脆弱化されて)破断しやすい部位で形成することができる。例えば本実施例では、図4を参照して、連結材取付け前の膨出許容部31が、裏面材30を厚み方向に貫通する長孔状に形成されており、エアバッグの通過を許容するように左右に拡開することが可能である。そして膨出許容部31は、エアバッグの形状に倣って上下方向(所定の方向)に延長し、右縁をなす右一般部32と、左縁をなす左一般部33と、上下の縁をなす他の一般部(符号省略)とで囲まれている。これら右一般部32と左一般部33は、本発明の膨出許容部の一側とその反対の他側に位置する一般部同士に相当し、図2及び図5に示すように後述の連結材40によって連結される。そして膨出許容部31は、後述の連結材40によって右一般部32と左一般部33が連結されることで、エアバッグ21未膨張時においては閉じ状態となっている。
[連結材]
図5及び図6を参照して、連結材40は、膨出許容部31の両側に位置する右一般部32と左一般部33を連結する部材であり、本実施例では縫合糸Y2のステッチSTで構成されている。この連結材40としての縫合糸Y2のステッチST(詳細後述)は、膨出許容部31の延びる方向である上下方向に延設されているとともに、エアバッグ21の未膨張時において右一般部32と左一般部33を隣接させて連結している。そして膨出許容部31には、連結材40としてのステッチSTが形成されている上下一対の縫合領域AR1,AR2と、連結材40が配設されていない中間領域AR3とが形成されている。上側の上部縫合領域AR1は、膨出許容部31の上端から下方に向けて形成されている。また上部縫合領域AR1の下側には中間領域AR3が形成されており、この中間領域AR3の下方には、下側の下部縫合領域AR2が膨出許容部31の下端まで形成されている。なお中間領域AR3の右一般部32と左一般部33は、物理的に連結されていないが、上下の各縫合領域AR1,AR2の影響(引締力)で概ね隣接した状態となっている。
[ステッチ及びその端部処理]
ここで図5に示す上部縫合領域AR1と下部縫合領域AR2では、概ね同一構成の連結材40としての縫合糸Y2のステッチSTが設けられている。そこで以下に、上部縫合領域AR1を一例にステッチSTの詳細を説明する。このステッチSTは、上下に延びる複数の縫目で形成されており、膨出許容部31を閉じるように右一般部32と左一般部33を縫い付けている。なおステッチSTの形成手法は、一般部同士を連結可能な各種の手法を採用でき、一般部同士を重ねることなく縫い付けたり、一般部同士を重ねて縫い付けたりすることができる。そして図6に示すように右一般部32と左一般部33の間にステッチSTを形成しつつ、さらにステッチSTを左右方向に引き締めておく。このステッチSTの引締力によって、右一般部32と左一般部33が、膨出許容部31を閉じるように(図6の二点破線で示した位置まで)互いに近づいて隣接した状態で連結されることとなる。さらに本実施例では、ステッチSTの縫い初めの第一端部41と縫い終わりの第二端部42とは、いずれも返し縫が施されることなく糸切処理がなされている。このように返し縫いを施さないことにより、各端部41,42の縫合糸Y2の末端側を、対応する一般部から抜け外れやすくしておくことができる。
ここで図2及び図6を参照して、縫合糸Y2の繊度は、エアバッグ未膨張時に一般部同士の連結を維持可能であれば特に限定しないが、シートカバー6Sの一般縫合糸Y1よりも脆弱であることが望ましい。例えば一般縫合糸Y1と縫合糸Y2が同材質の場合には、縫合糸Y2を、一般縫合糸Y1よりも細くすることで脆弱化することができる。このときステッチSTに10番手以上(好ましくは20番手以上)の縫合糸Y2を用いることで、各端部41,42の縫合糸Y2の末端側が対応する一般部からスムーズに抜け外れやすくなり、またエアバッグ膨張時に破断しやすくなる。また縫合糸Y2を、一般縫合糸Y1よりも脆弱な素材で形成することも可能であり、この場合には、縫合糸Y2の繊度を一般縫合糸Y1と無関係に設定することができる。
[シートパッドに対する裏面材の固定手法]
ここでシートパッド6Pに対する裏面材30の固定手法として、インサート成形などの一体成形や、接着や融着、縫合などの手法を例示できる。例えば本実施例の裏面材30は、連結材40を取付けたのち、インサート成形によってシートパッド6Pの成形と同時にその裏面6Pdに固定されて一体化されている。このインサート成形の際には、液状の原剤が発泡硬化することでシートパッド6Pが形成され、さらに原剤が裏面材30に適度に含侵した状態で硬化する。このとき裏面材30の膨出許容部31が連結材40で閉じられていることにより、この膨出許容部31を通じて原剤が裏面材30の裏側に漏れ出すといった事態を極力阻止することができる。このため本実施例によれば、裏面材30の裏側(シートフレーム側)にシートパッド6Pの一部が意図せず形成されるといった事態を極力回避することができ、シートの静音性の確保に資する構成となっている。さらに裏面材30の膨出許容部31が連結材40で閉じられているため、膨出許容部31が原因となる遊びがなくなり、成形時の裏面材設定(例えば裏面材の配置等)が容易となる。
[エアバッグ未膨張時の裏面材の作用]
図2を参照して、シートフレーム6Fの着座側にシートパッド6Pを配置したのち、これらをシートカバー6Sで被覆する。そして本実施例では、シートの静音性を確保する観点から、シートパッド6Pの裏面6Pdに裏面材30を固定し、この裏面材30を、シートフレーム6Fを臨む位置に配置している。こうして裏面材30によって、シートフレーム6Fとシートパッド6Pの直接接触を回避することにより、これらが接触することによって生じる擦れ音などの異音の発生を極力阻止することとしている。そして本実施例では、エアバッグ21の速やかな膨出を確保するため、上述のように裏面材30に膨出許容部31を設けている。この種のシート構成では、膨出許容部31が原因となって、シートフレーム6Fとシートパッド6Pが直に接するといった事態は極力回避すべきである。
そこで本実施例の裏面材30は、図2及び図5を参照して、膨出許容部31の一側とその反対の他側に位置する一般部32,33同士を連結する連結材40を有している。そしてエアバッグ21の未膨張時において、一般部32,33同士が隣接して連結材40にて連結されている。すなわち膨出許容部31の各縫合領域AR1,AR2において、連結材40としての縫合糸Y2のステッチSTが右一般部32と左一般部33を隣接させて連結している。こうして膨出許容部31が、一般部32,33同士を連結する連結材40によって閉じられて構造的に補完されることで、この膨出許容部31を通じてシートパッド6Pがシートフレーム6Fに直に接触するといった事態を極力回避することが可能となっている。特に各縫合領域AR1,AR2において、ステッチSTを連続的に延設して、膨出許容部31を広範囲にわたって補完することにより、膨出許容部31が原因の静音性の悪化をより確実に回避することができる。さらに本実施例では、エアバッグ21の膨張によって、後述するように連結材40による一般部32,33同士の連結が解除されて膨出許容部31が拡開する構成となっている。そこで以下に、エアバッグ21膨張時の膨出許容部31と連結材40の挙動を説明する。
[エアバッグ膨張時の裏面材の挙動]
図2に示すエアバッグ21の膨出に際しては、このエアバッグ21が、エアバッグモジュールからのエアの供給を受けて着座側(図2の前側)に膨張していく。このとき膨出許容部31を閉じているステッチSTが、図7及び図8を参照して、エアバッグ21膨張時の圧力を受けてほどけていくことにより、一般部32,33同士の連結が解除されて、膨出許容部31が本来の長孔状に戻っていく。このためエアバッグ21は、長孔状の膨出許容部31を押し広げるように左右に拡開させながら着座側に膨出していくことができる。特に本実施例では、連結材40としてのステッチSTを断続的に形成して、上下の各縫合領域AR1,AR2の間に中間領域AR3を設けている。このためエアバッグ21が、中間領域AR3を基点に膨出許容部31を押し広げて膨出することができる。さらに各縫合領域AR1,AR2では、縫合糸Y2が相対的に脆弱であり、且つ対応するステッチSTの各端部41,42に返し縫が施されておらず抜き外れやすくなっている。このため各縫合領域AR1,AR2では、エアバッグ21膨張時の圧力によって、ステッチSTの各端部41,42の縫合糸Y2が対応する一般部32,33から抜け外れてほどけたり、縫合糸Y2自体が途中で破断したりする。このため各縫合領域AR1,AR2も、中間領域AR3につづいて次第に左右方向にスムーズに拡開していくことができる。
こうして本実施例では、エアバッグ21の膨出の際に、図7及び図8に示すように連結材40による一般部32,33同士の連結を解除して膨出許容部31を本来の状態に戻すことで、エアバッグ21の速やかな膨出を確保することができる。さらにエアバッグ21を、膨出許容部31から膨出させることで、このエアバッグ21の膨出方向が適切となるように規制することができる。そして図2を参照して、膨出許容部31を通過したエアバッグ21は、さらに膨張しながらシートパッド6Pの凹み部位6PPとシートカバー6Sの脆弱部位6SSを破断させて、シート着座側に膨出して展開することとなる。
以上説明した通り本実施例では、エアバッグ21の未膨張時において、膨出許容部31の両側に位置する一般部32,33同士を、隣接させて連結材40にて連結している。こうして一般部によって膨出許容部31を構造的に補完しておくことで、膨出許容部31が原因の静音性の悪化を極力回避することができる。さらにエアバッグ21の膨出の際に、連結材40による一般部32,33同士の連結を解除して膨出許容部31を本来の状態に戻すことで、エアバッグ21の速やかな膨出を確保することが可能となる。また本実施例では、孔状の膨出許容部31が、一般部32,33同士を連結する連結材40としての縫合糸Y2によって閉じられることで、膨出許容部31が原因の静音性の悪化をより確実に回避することができる。さらに一般部32,33同士を連結する連結材40を、相対的に脆弱な縫合糸Y2で構成することにより、エアバッグ21の速やかな膨出をより確実に確保することが可能となる。また本実施例では、連結材40をなす縫合糸Y2ステッチSTを、膨出許容部31の延びる方向に延設しておくことで、一般部32,33同士によって膨出許容部31を構造的により性能良く補完することができる。すなわち縫合糸Y2がステッチSTをなして連続的に延設されることで、膨出許容部31を広範囲にわたって補完することが可能となり、膨出許容部31が原因の静音性の悪化をより確実に回避することができる。また本実施例では、ステッチSTを断続的に延設して、ステッチST同士の間を相対的に拡開しやすくしておく(中間領域AR3を形成しておく)ことができ、エアバッグ21の速やかな膨出をより確実に確保することができる。そして本実施例では、ステッチSTの各端部41,42が返し縫を施されておらず一般部32,33から抜き外れやすくなっている。このためエアバッグ21の膨出の際に、連結材40による一般部32,33の連結をスムーズに解除することができ、エアバッグ21の速やかな膨出を更に確実に確保することが可能となる。このため本実施例によれば、エアバッグ21の速やかな膨出を確保しつつ、シートパッド6Pの裏面6Pdに裏面材30を性能良く固定しておくことができる。
本実施形態の乗物用シート2は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、長孔状の膨出許容部31を例示したが、膨出許容部の構成(形状,寸法,配置位置,形成数など)を限定する趣旨ではない。例えば複数の孔部(貫通孔)を上下に適宜の間隔で設け、各孔部を結ぶ裏面材部分を膨出許容部とすることもできる。また膨出許容部は、連続的又は断続的に形成されたスリット(切目)で構成することができ、こうすることで一般部同士を、連結材を介してより確実に隣接して配置させることが可能となる。また膨出許容部は、裏面材を部分的に薄肉化してなる部分で形成することが可能であり、例えば薄肉部分を溝状に連続的に形成してもよく、孔状(未貫通孔)を断続的に配置して形成することもできる。
また本実施形態では、連結材40の構成を例示したが、連結材の構成を限定する趣旨ではない。例えば連結材は、静音性を確保できる限り、一般部同士を近接させて連結する構成とされていてもよい。また連結材は、縫合糸のほか、帯状のテープ材やステープルやリング材(Cリング等)で構成することができる。また一般部の一部を他の一般部に融着して連結しておくこともでき、この場合には、一般部の一部が連結材となる。また連結材を縫合糸で構成する場合、一般部同士をループ状の縫合糸で縫合し、このループ状の縫合糸を、膨出許容部に断続的に設けることもできる。また膨出許容部には、未縫合領域と縫合領域を複数又は単数形成することができ、連結材としての縫合糸のステッチを膨出許容部の概ね全長にわたって形成しておくこともできる。またエアバッグの膨出が可能であるならば、ステッチの端部の少なくとも一方に返し縫を施すこともできる。
また本実施形態では、シートバック6を一例に説明したが、本実施例の構成は、シートクッションなどの他のシート構成部材にも適用することができる。またシートフレームとシートパッドとシートカバーの構成は、適用すべきシート構成部材に応じて適宜変更可能である。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
7 持手部
8 ヘッドレスト
6S シートカバー
6SS 脆弱部位
6F シートフレーム
10 アッパフレーム
11 右側のサイドフレーム
12 左側のサイドフレーム
13 ロアフレーム
6P シートパッド
6Pa 上後縁
6Pb 右後縁
6Pc 左後縁
6Pd 裏面
6PP 凹み部位
20 エアバッグ装置
21 エアバッグ
22 ケーブル
30 裏面材
7H 孔部
31 膨出許容部
32 右一般部
33 左一般部
40 連結材
41 第一端部
42 第二端部
AR1 上部縫合領域
AR2 下部縫合領域
AR3 中間領域
ST ステッチ
Y1 一般縫合糸
Y2 縫合糸
R リクライナ

Claims (4)

  1. 乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、前記シートパッドの着座面とは反対の裏面に固定された面状の裏面材と、前記シートパッドの裏側に配置されたシートフレームと、前記シートフレームに取付けられたエアバッグとを備え、
    前記裏面材は、一般部と、前記エアバッグの膨出を許容する膨出許容部とを有し、膨張する前記エアバッグが前記膨出許容部を拡開させて前記シートパッドの着座側に膨出可能である乗物用シートにおいて、
    前記裏面材は、前記膨出許容部の一側とその反対の他側に位置する一般部同士を連結する連結材を有し、前記エアバッグの未膨張時において、前記一般部同士が近接又は隣接して前記連結材にて連結されており、
    前記エアバッグの膨張によって、前記連結材による前記一般部同士の連結が解除されて前記膨出許容部が拡開する構成となっている乗物用シート。
  2. 前記シートパッドの着座側は、複数の表皮ピースを縫合してなるシートカバーで覆われており、
    前記膨出許容部は、所定の方向に延びるスリット又は貫通孔であり、前記連結材は、前記膨出許容部を閉じるように前記一般部同士を縫付けている縫合糸であって、前記シートカバーを縫合する他の縫合糸に比して脆弱である請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記連結材をなす前記縫合糸のステッチが前記膨出許容部の延びる方向に延設されている請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記ステッチでは、縫い初めの第一端部と、縫い終わりの第二端部の少なくとも一つが返し縫を施すことなく糸切処理されている請求項3に記載の乗物用シート。
JP2019123488A 2019-07-02 2019-07-02 乗物用シート Pending JP2021008223A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019123488A JP2021008223A (ja) 2019-07-02 2019-07-02 乗物用シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019123488A JP2021008223A (ja) 2019-07-02 2019-07-02 乗物用シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021008223A true JP2021008223A (ja) 2021-01-28

Family

ID=74199267

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019123488A Pending JP2021008223A (ja) 2019-07-02 2019-07-02 乗物用シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021008223A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4084853B2 (ja) 座席装着の展開力集中装置を備えたサイドエアバッグ
JP6234877B2 (ja) 乗物用シート
JP6041763B2 (ja) サイドエアバッグ内蔵の車両用シート
KR101775857B1 (ko) 차량용 시트
JP5077962B2 (ja) 車両用シート
JP5077961B2 (ja) 車両用シート
JPH09254735A (ja) 側部用エアバッグ装置
JP2019123478A (ja) 乗物用シート
JP2021008223A (ja) 乗物用シート
CN114954176B (zh) 车辆座椅
CN111038431A (zh) 具有气囊模块的用于座椅的装饰罩
JP6139956B2 (ja) 車両用シート
JP4541778B2 (ja) シート用パッドの製造方法
JP6696364B2 (ja) 乗物用シート
JP3393754B2 (ja) 乗員保護装置
JP2021066425A (ja) エアバッグ装置
JP2015209081A (ja) 乗物用シート
US11312327B2 (en) Vehicle seat and method for manufacturing the same
SK284870B6 (sk) Poťahy sedadiel auta
JP2006001147A (ja) シート用パッドの製造方法
JPH10278712A (ja) エアバッグ及びその製造方法
JP2013203368A (ja) シート構造
JP5565622B2 (ja) 自動車用シート
JP5284033B2 (ja) シートカバー
JP2017149248A (ja) 乗物用シート