JP2020511993A - NRG1融合遺伝子を有する細胞の処置における使用のためのErbB−2及びErbB3結合二重特異性抗体 - Google Patents

NRG1融合遺伝子を有する細胞の処置における使用のためのErbB−2及びErbB3結合二重特異性抗体 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗体の分野に関する。特に、本発明は、ErbB-2/ErbB-3陽性細胞の処置のための治療的(ヒト)抗体の分野に関する。より特には、本発明は、異なる染色***置由来の配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも一部分を含むNRG1融合遺伝子を含む細胞の処置に関する。

Description

本出願は、2017年3月31日出願の欧州特許出願第17164292.9号に対する優先権を主張し、この内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、抗体の分野に関する。特に、本発明は、ErbB-2/ErbB-3陽性細胞の処置のための治療的(ヒト)抗体の分野に関する。より特には、本発明は、異なる染色***置由来の配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも一部分を含むNRG1融合遺伝子を含む腫瘍の処置に関する。
ニューレグリン-1(NRG1)は、候補癌遺伝子及び候補腫瘍サプレッサー遺伝子として提唱されてきた。これは、ErbBファミリーの受容体に結合できるリガンドをコードするので、上皮癌に関与する可能性が高い。今日まで、NRG1遺伝子由来の16種を超える可溶性及び膜貫通タンパク質が存在している。膜貫通NRG1アイソフォームの細胞外ドメインのタンパク質分解性プロセシングは、可溶性因子を放出する。HRG1-β1は、この遺伝子によってコードされるタンパク質の1つである。これは、受容体チロシンキナーゼErbB-3及びErbB-4への直接的結合に必要なIgドメイン及びEGF様ドメインを含む。NRG1遺伝子及びアイソフォームは、以下のようないくつかの異なる別名の下で公知である:ニューレグリン1;プロ-NRG1;HRGA;SMDF;HGL;GGF;NDF;NRG1イントロン転写物2(非タンパク質コード);ヘレグリン、アルファ(45kD、ERBB2 P185-活性化因子);アセチルコリン受容体誘導活性;プロ-ニューレグリン-1、膜結合型アイソフォーム;感覚及び運動ニューロン由来因子;Neu分化因子;グリア細胞増殖因子2;NRG1-IT2;MSTP131;MST131;ARIA;GGF2;HRG1;並びにHRG。NRG1遺伝子についての外部Idは、HGNC:7997;Entrez Gene:3084;Ensembl:ENSG00000157168;OMIM:142445及びUniProtKB:Q02297である。
NRG1のアイソフォームは、選択的スプライシングによって形成され、膜貫通、外部膜結合型、シェディング型、分泌型又は細胞内である形態を含む(Falls, 2003;Hayes及びGullick, 2008)。これらは、ErbB-3又はErbB-4に結合し、これらはおそらく、ErbB-2(HER2)とのヘテロ二量体としてシグナル伝達する。NRG1がコードするタンパク質は通常、マイトジェンと考えられるが、これらは、強力にアポトーシス促進性でもあり得る:特に、細胞においてNRG1を発現することは、発現細胞のアポトーシスを引き起こし得る(Weinsteinら, 1998)。
NRG1遺伝子は、2つの明らかに矛盾した文脈において、潜在的な癌に重要な遺伝子として同定されている。第1に、これは、染色体8の短腕である染色体8p上にあると考えられる主要な腫瘍サプレッサー遺伝子についての主要な候補である。染色体8pの喪失は、***、結腸、膀胱及び前立腺を含む上皮癌において最も頻繁なゲノム事象の1つである。これは、ヘテロ接合性の喪失、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)及びアレイ-CGH試験によって連続的に示されてきた(参考文献については、Birnbaumら, 2003; Poleら, 2006を参照のこと)。染色体8pのこの喪失の古典的な解釈は、そこに腫瘍サプレッサー遺伝子が存在するということである。癌腫細胞株における染色体8pの喪失は、蛍光in situハイブリダイゼーション及びアレイ-比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイ-CGH)を使用してマッピングされた。ほとんどの切断は、NRG1に対して近位又は事実上NRG1内であったことが見出されため、NRG1及びNRG1に対して直ぐテロメア側の遺伝子は、かかる腫瘍サプレッサーについての主要な候補である(Poleら, 2006; Cookeら, 2008)。第2に、NRG1は、乳癌における染色体転座の標的のように見えるので、癌遺伝子の可能性があった(レビューについては、Chuaら 2009を参照のこと)。
本発明では、染色体8p改変を有する腫瘍が、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位及びErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体への曝露に応答して、成長阻害を示すことが見出された。
WO2015/130173 米国特許出願公開第20030078385号(Arathoonら、-Genentech) PCT出願PCT/NL2013/050294(WO2013/157954A1)
Schmidtら Nature Methods 4, 1051〜1057 (2007) doi:10.1038/nmeth1103 Chernomoridikら Mol Imaging. 2010年8月; 9(4): 192〜200 Ardeshirpourら Technol Cancer Res Treat. 2014年10月; 13(5): 427〜434 van der Woning及びvan Zoelen Biochem Biophys Res Commun. 2009年1月9日;378(2):285〜9 McDonaghら Mol Cancer Ther 2012; 11:582 Shamesら PLOS ONE, 2013年2月,8巻, 2号, 1〜10頁 Yonesakaら, Sci.transl.Med., 3巻, 99号 (2011); 1〜11頁 Junttila, T. T.、K. Parsonsら(2010)、「Superior In vivo Efficacy of Afucosylated Trastuzumab in the Treatment of HER2-Amplified Breast Cancer」、Cancer Research 70(11):4481〜4489 Landgraf, R Breast Cancer Res. 2007; 9(1): 202〜の図1
一態様では、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞を有する個体の処置のための方法であって、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位及びErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を、それを必要とする個体に投与する工程を含み、細胞が、異なる染色***置由来の配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも一部分を含むNRG1融合遺伝子を含むことを特徴とする方法が提供される。典型的には、細胞は、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも3'末端を含むNRG1融合遺伝子を含む。
この細胞は、癌細胞であり得る。この癌細胞は、NRG1融合遺伝子と関連した癌細胞、例えば、NRG1融合物によって駆動される癌細胞であり得る。
別の態様では、ErbB-2及びErbB-3陽性腫瘍を有する、又はこの腫瘍を有するリスクがある個体の処置のための方法であって、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位及びErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を、それを必要とする個体に投与する工程を含み、腫瘍の細胞が、異なる染色***置由来の配列、例えば5'配列に融合したNRG1融合物の一部分、例えばNRG1遺伝子の3'末端を含むNRG1融合遺伝子を含むことを特徴とする方法が提供される。
ErbB-2及びErbB-3陽性腫瘍を有するリスクがある個体は、寛解状態にある個体であり得る。
好ましくは、NRG1融合遺伝子は、NRG1 EGF様ドメインを含むタンパク質を発現する。好ましくは、NRG融合物は、NRG1とヒト染色体8上の遺伝子との融合物である。好ましくは、ヒト染色体8上の遺伝子は、排出型タンパク質又は細胞膜会合型タンパク質をコードする。好ましくは、NRG1融合遺伝子は、NRG1遺伝子の3'末端と、CD74;DOC4;TNFRSF10B;CLU;VAMP2;SLC3A2;RBPMS;WRN;SDC4;KIF13B;SLECA2;PDE7A;ATP1B1;CDK1;BMPR1B;MCPH1及びRAB2IL1からなる群から選択される遺伝子のうち1つの5'配列との融合物である。
好ましくは、細胞は上皮細胞である。好ましくは、細胞は、乳癌細胞、卵巣癌細胞、非小細胞肺癌等の肺癌細胞、又はそれらの転移である。
好ましくは、腫瘍は、上皮起源である。好ましくは、腫瘍は、乳癌、卵巣癌、肺癌、又はそれらの転移である。
細胞は、例えば、CLU-NRG1融合物又はRAB2IL1-NRG1を含む卵巣癌等の癌細胞であり得る。
細胞は、例えば、DOC4-NRG1融合物を含む乳癌細胞等の癌細胞であり得る。
細胞は、例えば、VAMP2-NRG1、RBPMS-NRG1、WRN-NRG1、SDC4-NRG1、SLEC3A2-NRG1、KIF13B-NRG1又はCD74-NRG1を含む、浸潤性粘液性腺癌と呼ばれるサブタイプ等のNSCLC(肺)癌等の癌細胞であり得る。
好ましくは、個体は、好ましくはセツキシマブであるEGFR結合抗体を好ましくは用いる、EGFR阻害を目標とする(標的化する)治療を経験している(既に受けている)。
好ましくは、この方法は、腫瘍の細胞上のErbB-1細胞表面受容体密度;ErbB-2細胞表面受容体密度;ErbB-3細胞表面受容体密度;ErbB-4細胞表面受容体密度又はそれらの組合せを決定する工程を更に含む。好ましくは、細胞又は腫瘍は、細胞1つ当たり400,000未満のErbB-1細胞表面受容体、好ましくは、細胞1つ当たり200.000未満のErbB-1細胞表面受容体を有する。
好ましくは、この方法は、ErbB-1阻害剤、好ましくはセツキシマブを個体に投与する工程を更に含む。
好ましくは、本明細書で開示される方法では、ErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍は、細胞1つ当たり50,000未満のErbB-3細胞表面受容体を有する。
好ましくは、本明細書で開示される方法では、この腫瘍の細胞(複数可)は、MCF7細胞のヘレグリン発現レベルよりも高いヘレグリン発現レベルを有する。
当業者に明らかなように、本明細書に開示される二重特異性抗体は、本明細書に開示されるように、医薬の調製における使用のため及び治療における使用のためのものでもある。
特に、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞を有する個体の処置における使用のための、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位及びErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体であって、細胞は、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも3'末端を含むNRG1融合遺伝子を含む、二重特異性抗体。
この細胞は、癌細胞であり得る。この癌細胞は、NRG1融合物と関連した癌細胞、例えば、NRG1融合物によって駆動される癌細胞であり得る。
また、二重特異性抗体は、ErbB-2/ErbB-3陽性腫瘍の処置における使用のためのものであり、腫瘍の細胞は、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の3'末端を含むNRG1融合遺伝子を含む。
好ましくは、本明細書に開示される方法及び使用では、この第1の抗原結合部位は、ErbB-2のドメインIに結合し、この第2の抗原結合部位は、ErbB-3のドメインIIIに結合し、好ましくは、ErbB-2に対する第1の抗原結合部位の親和性は、ErbB-3に対する第2の抗原結合部位の親和性よりも低い。好ましくは、この二重特異性抗体は、
i)MF2926、MF2930、MF1849;MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003及びMF1898からなる群から選択されるErbB-2特異的重鎖可変領域の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、又はこの抗体は、MF2926、MF2930、MF1849;MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003若しくはMF1898のCDR1、CDR2及びCDR3配列と、最大で3アミノ酸、好ましくは最大で2アミノ酸、好ましくは最大で1アミノ酸が異なるCDR配列を含む;並びに/或いは
ii)MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073及びMF6074からなる群から選択されるErbB-3特異的重鎖可変領域の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、又はこの抗体は、MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073若しくはMF6074のCDR1、CDR2及びCDR3配列と、最大で3アミノ酸、好ましくは最大で2アミノ酸、好ましくは最大で1アミノ酸が異なるCDR配列を含む。好ましくは、抗体は、
i)MF2926、MF2930、MF1849;MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003及びMF1898の重鎖可変領域配列からなる群から選択されるErbB-2特異的重鎖可変領域配列を含み、又はこの抗体は、MF2926、MF2930、MF1849;MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003若しくはMF1898の重鎖可変領域配列と、最大で15アミノ酸が異なる重鎖可変領域配列を含む;並びに/或いは
ii)MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073及びMF6074の重鎖可変領域配列からなる群から選択されるErbB-3特異的重鎖可変領域配列を含み、又はこの抗体は、MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073若しくはMF6074の重鎖可変領域配列と、最大で15アミノ酸が異なる重鎖可変領域配列を含む。好ましくは、抗体は、ErbB-2特異的重鎖可変領域MF3958の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、抗体は、ErbB-3特異的重鎖可変領域MF3178の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。好ましくは、二重特異性抗体は、配列表パート1Dに示される「erbB-2結合のための重鎖」及び配列表パート1Dに示される「erbB-3結合のための重鎖」を含む。
好ましくは、第1の抗原結合部位及びこの第2の抗原結合部位は、IgVKl-39遺伝子セグメントを含む軽鎖可変領域、最も好ましくは、再編成された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVKl-39*01/IGJKl*01又はIgVκ1-39*01/IGJκ5*01を含む。好ましくは、軽鎖可変領域は、配列(RASQSISSYLN)を有するCDR1、配列(AASSLQS)を有するCDR2及び配列(QQSYSTPPT)を有するCDR3を含む。
NRG1融合遺伝子は、異なる染色***置由来の配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも一部分を含む。「少なくとも一部分」は、NRG-1遺伝子全体又はその一部分が、融合物中に存在し得ることを示す。融合物は、好ましくは、エクソン6、7及び8の少なくともコード配列を有する。NRG1融合遺伝子中のNRG1部分を定義するための別の方法は、それが、NRG1のEGF様ドメインを含むことである。NRG1遺伝子の少なくとも一部分は、異なる染色***置由来の配列が、NRG1遺伝子の少なくとも一部分に対して5'側又は3'側に位置するように、その配列に融合され得る。
好ましくは、NRG1遺伝子の3'末端は、異なる染色***置由来の5'配列に融合され得る。NRG1遺伝子は、NRG1の種々のアイソフォームをコードする。種々のアイソフォーム及びそれらの予測された機能は、Adelaideら(2003)に記載されている。GGF及びGGF2アイソフォームは、クリングル様配列+Ig及びEGF様ドメインを含む;SMDFアイソフォームは、他のアイソフォームと、EGF様ドメインのみを共有する。EGF様ドメインは、その遺伝子の3'末端によってコードされる。EGF様ドメインは、本発明の全てのNRG1融合遺伝子中に存在する。異なる染色***置由来の5'が、少なくとも1つの細胞外ドメインと共に、細胞膜タンパク質の排出シグナル及び/又は膜貫通ドメインを含む融合物が、見出されている。一例は、CD74-NRG1融合物である。異なる染色***置由来の5'配列は、NRG1の転写を活性化する配列を挿入してもよく、例は、プロモーター又はエンハンサーである。5'配列は、典型的には、NRG1以外の遺伝子由来の配列である。この配列は、コード領域、発現調節配列、例えば、プロモーター若しくはエンハンサー、又はそれらの組合せを含み得る。NRG融合物は、異なる染色体由来、又は染色体8の別の部分由来であり得る異なる位置由来の5'配列を含む。好ましい実施形態では、5'配列は、ヒト染色体8上の遺伝子由来である。
融合物中のNRG1遺伝子、例えば、NRG-1遺伝子の3'末端は、好ましくは、エクソン6、7及び8の少なくともコード配列を有する。NRG1融合遺伝子中のNRG1部分を定義するための別の方法は、それが、NRG1のEGF様ドメインを含むことである。このドメインは、NRG1遺伝子の3'末端(エクソン6〜8)によってコードされ、ErbB-3への結合に必要である。NRG1融合物は、融合物の3'末端に、このEGF様ドメインのコード領域をインフレームで保持する。EGF様ドメインは、典型的には約30〜40アミノ酸残基長の配列であり、そのプロトタイプは、上皮増殖因子(EGF)の配列中に見出される[PMID:2288911、PMID:6334307、PMID:1522591、PMID:6607417、PMID:3282918、PMID:11498013]。これは、多数の他の大抵は動物のタンパク質中に、より保存された形態又はあまり保存されていない形態で存在することが公知である。EGF様ドメインの共通の特徴は、それらが、膜結合型タンパク質の細胞外ドメイン中又は分泌されることが公知のタンパク質中に見出されることである(例外:プロスタグランジンG/Hシンターゼ)。EGFドメインは、典型的には、ジスルフィド結合に関与することが示された(EGF中の)6つのシステイン残基を含む。その主要な構造は、2本鎖ベータ-シートと、その後の短いC末端2本鎖シートへのループである。保存されたシステイン間のサブドメインは、長さが変動する。
NRG1融合遺伝子は、好ましくは、NRG1遺伝子の3'末端と、CD74;DOC4;TNFRSF10B;CLU;VAMP2;SLC3A2;RBPMS;WRN;SDC4;KIF13B;SLECA2;PDE7A;ATP1B1;CDK1;BMPR1B;MCPH1及びRAB2IL1からなる群から選択される遺伝子のうち1つの5'配列との融合物である。
NRG1融合遺伝子は、NRG1遺伝子の少なくとも一部分と、それに対して3'側に位置する異なる染色***置由来の配列との融合物であり得る。かかるNRG1融合遺伝子は、NRG1遺伝子の少なくとも一部分と、それに対して3'側に位置する異なる染色***置CD74、STMN2、PMEPA1、PROSC又はPSAP由来の配列との融合物であり得る。全てのNRG1アイソフォームに対する受容体は、ErbBファミリーのチロシンキナーゼ膜貫通受容体である。このファミリーは、ヒト上皮増殖因子(EGF)受容体ファミリー(HER)とも呼ばれる。このファミリーは、4つのメンバーを有する:ErbB(赤芽球腫(Erythroblastoma))-1、ErbB-2、ErbB-3及びErbB-4。上皮増殖因子(EGF)受容体(EGFR、ErbB1又はHER1)。これらの受容体(Yarden及びPines、2012において概説される)は、上皮細胞上で広く発現される。HER受容体又はそれらのリガンド、例えばヘレグリン(HRG)若しくは上皮増殖因子(EGF)の上方調節は、ヒト癌において頻繁な事象である(Wilson、Fridlyandら、2012)。特に、ErbB-1及びErbB-2の過剰発現は、上皮腫瘍において生じ、腫瘍浸潤、転移、化学療法に対する耐性、及び予後不良と関連する(Zhang、Berezovら、2007)。正常***では、ErbB-3は、管腔上皮の成長及び分化において重要であることが示されている。例えば、ErbB-3の喪失/阻害は、管腔上皮上の基底の選択的増大を生じる(Balko、Millerら、2012)。RTKの細胞外ドメインへのリガンドの結合は、同じ(ホモ二量体化)受容体サブタイプ間及び異なる(ヘテロ二量体化)受容体サブタイプ間の両方で、受容体二量体化を誘導する。二量体化は、自己リン酸化を受ける細胞内チロシンキナーゼドメインを活性化でき、次に、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)及び生存促進性経路Aktによって媒介されるものを含むいくつかの下流の増殖促進性シグナル伝達経路を活性化できる(Yarden及びPines、2012に概説される)。特異的内因性リガンドは、ErbB-2については同定されておらず、従って、これは通常、ヘテロ二量体化を介してシグナル伝達すると仮定される(Sergina、Rauschら、2007)。ErbB-3は、そのリガンドの会合によって活性化され得る。これらのリガンドには、ニューレグリン(NRG)及びヘレグリン(HRG)が含まれるがこれらに限定されない。
ErbB-1は、種々の異名の下で公知であり、その最も一般的なものはEGFRである。EGFRは、4つのサブドメインから構成される細胞外ドメイン(ECD)を有し、そのうち2つはリガンド結合に関与し、そのうち2つはホモ二量体化及びヘテロ二量体化に関与する。EGFRは、種々のリガンドからの細胞外シグナルを統合して、多様な細胞内応答を生じる。EGFRによって活性化される主要なシグナル伝達経路は、Ras-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)***促進的シグナル伝達カスケードから構成される。この経路の活性化は、チロシンがリン酸化されたEGFRへの、Grb2の動員によって開始される。これは、Grb2結合したRas-グアニンヌクレオチド交換因子であるセブンレスの息子(SOS)を介したRasの活性化をもたらす。更に、PI3-キナーゼ-Aktシグナル伝達経路もまたEGFRによって活性化されるが、この活性化は、ErbB-3(HER3)の共発現が存在する場合にはかなり強い。EGFRは、いくつかのヒト上皮悪性腫瘍、特に、***、膀胱、非小細胞肺癌肺、結腸、卵巣、頭頸部及び脳の癌に関連付けられる。オートクライン活性化ループを生じる、この遺伝子中の活性化性変異並びに受容体及びそのリガンドの過剰発現が見出されている。従って、このRTKは、癌治療のための標的として広範に使用されている。RTKを標的化する小分子阻害剤及び細胞外リガンド結合ドメインに対するモノクローナル抗体(mAb)が共に開発されており、大抵は患者の選択された群についてであるが、今までにいくつかの臨床的成功を示している。ヒトEGFRタンパク質及びそれをコードする遺伝子についてのデータベース登録番号は、(GenBank NM_005228.3)である。この登録番号は、標的としてのEGFRタンパク質の同定の更なる方法を提供するために主に与えられ、抗体が結合するEGFRタンパク質の実際の配列は、例えば、一部の癌において存在するもの等の、コード遺伝子中の変異に起因して、変動し得る。
癌及び腫瘍という単語は、具体的に特記されない限り、典型的には両方とも癌を指すために本明細書で使用される。
本明細書でEGFRに対する言及がなされる場合、特記されない限り、この言及は、ヒトEGFRを指す。EGFRに結合する抗原結合部位は、EGFR及びその種々のバリアント、例えば、一部のEGFR陽性腫瘍上で発現されるものに結合する。
用語「ErbB-3」とは、本明細書で使用する場合、ヒトにおける、ERBB3遺伝子によってコードされる、タンパク質を指す。この遺伝子又はタンパク質の代替名は、HER3;LCCS2;MDA-BF-1;c-ErbB-3;c-ErbB3;ErbB3-S;p180-ErbB3;p45-sErbB3;及びp85-sErbB3である。本明細書でErbB-3に対する言及がなされる場合、この言及は、ヒトErbB-3を指す。ErbB-3に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ヒトErbB-3に結合する。ErbB-3抗原結合部位は、ヒトオルソログと他の哺乳動物オルソログとの間の配列及び三次構造の類似性に起因して、かかるオルソログにも結合し得るが、必ずしも結合するわけではない。ヒトErbB-3タンパク質及びそれをコードする遺伝子についてのデータベース登録番号は、(NP_001005915.1、NP_001973.2、NC_000012.11、NC_018923.2、NT_029419.12)である。これらの登録番号は、標的としてのErbB-3の同定の更なる方法を提供するために主に与えられ、抗体が結合するErbB-3タンパク質の実際の配列は、例えば、一部の癌において存在するもの等の、コード遺伝子中の変異に起因して、変動し得る。ErbB-3抗原結合部位は、ErbB-3及びその種々のバリアント、例えば、一部のErbB-3陽性腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。ErbB-3に結合する抗原結合部位は、好ましくは、ErbB-3のドメインIIIに結合する。
用語「ErbB-2」とは、本明細書で使用する場合、ヒトにおける、ERBB-2遺伝子によってコードされる、タンパク質を指す。この遺伝子又はタンパク質の代替名には、CD340;HER-2;HER-2/neu;MLN 19;NEU;NGL;TKR1が含まれる。ERBB-2遺伝子は、しばしばHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2から)と呼ばれる。本明細書でErbB-2に対する言及がなされる場合、この言及は、ヒトErbB-2を指す。ErbB-2に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ヒトErbB-2に結合する。ErbB-2抗原結合部位は、ヒトオルソログと他の哺乳動物オルソログとの間の配列及び三次構造の類似性に起因して、かかるオルソログにも結合し得るが、必ず結合するわけではない。ヒトErbB-2タンパク質及びそれをコードする遺伝子についてのデータベース登録番号は、(NP_001005862.1、NP_004439.2、NC_000017.10、NT_010783.15、NC_018928.2)である。これらの登録番号は、標的としてのErbB-2の同定の更なる方法を提供するために主に与えられ、抗体が結合するErbB-2タンパク質の実際の配列は、例えば、一部の癌において存在するもの等の、コード遺伝子中の変異に起因して、変動し得る。ErbB-2抗原結合部位は、ErbB-2及びその種々のバリアント、例えば、一部のErbB-2陽性腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。ErbB-2に結合する抗原結合部位は、好ましくは、ErbB-2のドメインIに結合する。
CD74は、いくつかの別名の下で公知である。これらの一部は、CD74分子;CD74抗原(主要組織適合複合体のインバリアントポリペプチド、クラスII抗原関連);CD74分子、主要組織適合複合体、クラスIIインバリアント鎖;HLA-DR抗原関連インバリアント鎖;クラスII抗原のガンマ鎖;Ia関連インバリアント鎖;MHC HLA-DRガンマ鎖;HLA-DR-ガンマ;DHLAG;P33;HLAクラスII組織適合抗原ガンマ鎖;Ia抗原関連インバリアント鎖;Ia-GAMMA及びHLADGである。CD74の外部Idは、HGNC:1697;Entrez Gene:972;Ensembl:ENSG00000019582;OMIM:142790及びUniProtKB:P04233である。
DOC4又はテネウリン(Teneurin)膜貫通タンパク質4(TENM4)は、いくつかの異なる名称、例えば、タンパク質Odd Oz/Ten-Mホモログ4;テネイシン-M4;Ten-M4;Ten-4;ODZ4;TNM4;Odz, Odd Oz/Ten-Mホモログ4(ショウジョウバエ属(Drosophila));Odz, Odd Oz/Ten-Mホモログ4;テネウリン-4;KIAA1302;Doc4;及びETM5の下で公知である。DOC4の外部Idは、HGNC:29945;Entrez Gene:26011;Ensembl:ENSG00000149256;OMIM:610084及びUniProtKB:Q6N022である。
TNFRSF10B又はTNF受容体スーパーファミリーメンバー10bは、いくつかの異なる名称、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー10b;TNF関連アポトーシス誘導性リガンド受容体2;デス受容体5;TRAIL-R2;TRAILR2;KILLER;TRICK2;ZTNFR9;DR5;P53調節型DNA損傷誘導性細胞死受容体(Killer);腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10B;腫瘍壊死因子受容体様タンパク質ZTNFR9;TRAIL/Apo-2Lに対するデスドメイン含有受容体;アポトーシス誘導性タンパク質TRICK2A/2B;アポトーシス誘導性受容体TRAIL-R2;細胞傷害性TRAIL受容体-2;Fas様タンパク質;TRAIL受容体2;CD262抗原;KILLER/DR5;TRICK2A;TRICK2B;TRICKB;及びCD262の下で公知である。TNFRSF10Bの外部Idは、HGNC:11905;Entrez Gene:8795;Ensembl:ENSG00000120889;OMIM:603612;及びUniProtKB:O14763である。
CLU遺伝子又はクラスタリンは、いくつかの異なる名称、例えば、テストステロン抑制型前立腺メッセージ2;アポリポタンパク質J;補体関連タンパク質SP-40,40;補体細胞溶解阻害剤;補体溶解阻害剤;硫酸化糖タンパク質2;Ku70結合タンパク質1;NA1/NA2;TRPM-2;APO-J;APOJ;KUB1;CLI;クラスタリン(補体溶解阻害剤、SP-40,40、硫酸化糖タンパク質2、テストステロン抑制型前立腺メッセージ2、アポリポタンパク質J);加齢関連遺伝子4タンパク質;加齢関連タンパク質4;SGP-2;SP-40;TRPM2;AAG4;CLU1;CLU2;及びSGP2の下で公知である。CLUの外部Idは、HGNC:2095;Entrez Gene:1191;Ensembl:ENSG00000120885;OMIM:185430;及びUniProtKB:P10909である。
VAMP2又は小胞結合膜タンパク質2は、いくつかの異なる名称、例えば、シナプトブレビン2;SYB2;小胞結合膜タンパク質2;及びシナプトブレビン-2の下で公知である。VAMP2の外部Idは、HGNC:12643;Entrez Gene:6844;Ensembl:ENSG00000220205;OMIM:185881;及びUniProtKB:P63027である。
SLCA3A2又は溶質輸送体ファミリー3メンバー2は、いくつかの異なる名称、例えば、リンパ球活性化抗原4F2大サブユニット;溶質輸送体ファミリー3(二塩基性及び中性アミノ酸輸送の活性化因子)、メンバー2;モノクローナル抗体4F2、TRA1.10、TROP4及びT43によって同定される抗原;溶質輸送体ファミリー3(アミノ酸輸送体重鎖)、メンバー2;4F2細胞表面抗原重鎖;CD98重鎖;4F2HC;MDU1;モノクローナル抗体4F2、重鎖によって規定される抗原;モノクローナル抗体4F2によって規定される抗原;4F2重鎖抗原;4F2重鎖;CD98抗原;CD98HC;4T2HC;NACAE;CD98並びに4F2の下で公知である。SLC3A2の外部Idは、HGNC:11026;Entrez Gene:6520;Ensembl:ENSG00000168003;OMIM:158070;及びUniProtKB:P08195である。
RBPMS又はマルチスプライシングを伴うRNA結合タンパク質は、いくつかの異なる名称、例えば、マルチスプライシングを伴うRNA結合タンパク質;心臓及びRRM発現配列;HERMES;マルチスプライシングを伴うRNA結合タンパク質;並びにRBP-MSの下で公知である。RBPMSの外部Idは、HGNC:19097;Entrez Gene:11030;Ensembl:ENSG00000157110;OMIM:601558;及びUniProtKB:Q93062である。
WRN又はウェルナー症候群RecQ様ヘリカーゼは、いくつかの異なる名称、例えば、ウェルナー症候群RecQ様ヘリカーゼ;DNAヘリカーゼ、RecQ様3型;RecQタンパク質様2;エキソヌクレアーゼWRN;RECQL2;RECQ3;ウェルナー症候群ATP依存的ヘリカーゼ;ウェルナー症候群、RecQヘリカーゼ様;ウェルナー症候群;EC 3.6.4.12;EC 3.1.-.-;EC 3.6.1;及びRECQL3の下で公知である。WRNの外部Idは、HGNC:12791;Entrez Gene:7486;Ensembl:ENSG00000165392;OMIM:604611及びUniProtKB:Q14191である。
SDC4又はシンデカン4は、いくつかの異なる名称、例えば、シンデカン4(アンフィグリカン(Amphiglycan)、リュドカン(Ryudocan));シンデカンプロテオグリカン4;リュドカンコアタンパク質;アンフィグリカン;SYND4;リュドカンアンフィグリカン;及びシンデカン-4の下で公知である。SDC4の外部Idは、HGNC:10661;Entrez Gene:6385;Ensembl:ENSG00000124145;OMIM:600017;及びUniProtKB:P31431である。
種々のNRG1融合遺伝子は、Dhanasekaranら(2014)に記載されている。
本発明は、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞又は腫瘍を有する個体の処置の方法を提供する。或いは、個体は、腫瘍を有するリスクがあり得る。この方法は、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位及びErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。この方法は、腫瘍の細胞(複数可)が、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の3'末端を含むNRG1融合遺伝子を含むことを特徴とする。
細胞は、癌細胞であり得る。この癌細胞は、NRG1融合物と関連した癌細胞、例えば、NRG1融合物によって駆動される癌細胞であり得る。
抗体中の抗原結合部位は、典型的には、可変ドメイン中に存在する。可変ドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
好ましくは、個体は、好ましくはセツキシマブであるEGFR結合抗体を好ましくは用いる、EGFR阻害を目標とする治療を経験している。
本発明の処置の方法は、好ましくは、腫瘍の細胞(複数可)上のErbB-1細胞表面受容体;ErbB-2細胞表面受容体;ErbB-3細胞表面受容体;ErbB-4細胞表面受容体又はそれらの組合せの数を決定する工程を更に含む。
本発明の処置の方法は、好ましくは、細胞がNRG1融合物を含むかどうか、又は腫瘍がNRG1融合物を有する細胞を含むかどうかを決定する工程を更に含む。これは、例えば、生検の細胞に対して実施され得る。種々の方法が利用可能であり、多くが当技術分野で公知である。NRG1融合物の場合、染色体切断が生じる領域は公知であるので、腫瘍がかかるNRG1融合物を含むかどうかを決定することは、当業者にとって慣用的である。1つの方法は、NRG1融合物中の接合部にまたがるプライマーを用いたPCR増幅によるものである。これは、存在することが公知のNRG1融合物について容易に実行できる。新しい融合物もまた、容易に検出できる。例えば、適切な方法は、例えば、レトロウイルスゲノムの組込み部位を見出すために使用される接合部クローニング技術によるものである。適切な方法は、LAM-PCRによるものである。Schmidtら Nature Methods 4, 1051〜1057 (2007) doi:10.1038/nmeth1103、及びその中のLAM-テクノロジーに対する具体的な言及を参照のこと。
本発明の処置の方法は、好ましくは、細胞又は腫瘍が、細胞1つ当たり400,000未満のErbB-1細胞表面受容体、好ましくは、細胞1つ当たり200.000未満のErbB-1細胞表面受容体を有することを特徴とする。
好ましい実施形態では、本発明の処置の方法は、ErbB-1阻害剤、好ましくはセツキシマブを個体に投与する工程を更に含む。
本明細書で定義される処置の方法は、の処置における使用のための、化合物又は化合物の組合せとして定義することもできる。化合物の適切な組合せは、本明細書で定義される二重特異性抗体及びErbB-1阻害剤である。
細胞又は腫瘍が、ErbB-2及びErbB-3について陽性かどうかを確立するために、当業者は、例えば、ErbB-2及びErbB-3の増幅及び/又は免疫組織化学における染色を決定できる。生検中の少なくとも10%の腫瘍細胞が、ErbB-2及びErbB-3の両方について陽性であるべきである。生検はまた、20%、30% 40% 50% 60% 70%又はそれ超の陽性細胞を含み得る。ErbB-1陽性腫瘍も同様に同定できる。
好ましくは、この陽性癌は、乳癌、例えば、初期乳癌である。しかし、本発明は、広範なErbB-2、ErbB-3若しくはErbB-2/ErbB-3陽性癌、例えば、胃癌、結腸直腸癌、結腸癌、胃食道癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、乳癌、肝臓癌、非小細胞肺癌を含む肺癌、明細胞肉腫、唾液腺癌、頭頸部癌、脳癌、膀胱癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌、黒色腫等に適用できる。細胞は、好ましくは、上皮細胞である。或いは、細胞又は腫瘍は、好ましくは、上皮起源の細胞又は腫瘍である。好ましい実施形態では、細胞又は腫瘍は、乳癌、卵巣癌、肺癌、又はそれらの転移である。好ましくは、腫瘍は、上皮起源である。好ましくは、腫瘍は、乳癌、卵巣癌、肺癌、又はそれらの転移である。
ErbB2陽性細胞又は腫瘍細胞を有する患者は、腫瘍細胞表面上のErbB-2受容体の数に基づいて分類できる。その細胞表面上に1,000,000超のErbB-2受容体を有する腫瘍は、典型的には、ErbB-2[+++]と分類され、150,000〜1,000,000の間のErbB-2受容体を有する腫瘍は、ErbB-2[++]と分類され、150,000未満のErbB-2受容体を有する腫瘍は、ErbB-2[+]と分類される。好ましくは、患者は、ErbB-2[++]又はErbB-2[+++]と分類される。好ましくは、ErbB-2/ErbB-3陽性腫瘍は、細胞1つ当たり少なくとも1,000,000のErbB-2細胞表面受容体を有する。
好ましくは、ErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍が、細胞1つ当たり少なくとも150,000のErbB-2細胞表面受容体及び細胞1つ当たり50,000未満のErbB-3細胞表面受容体を有する方法が提供される。好ましくは、ErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍が、細胞1つ当たり少なくとも1,00,000のErbB-2細胞表面受容体及び細胞1つ当たり50,000未満のErbB-3細胞表面受容体を有する方法が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、特定の患者集団が、例えば、ErbB-1、ErbB-2及び/又はErbB-3細胞表面受容体密度に基づいて最初に決定されるという点で、有利である。従って、本明細書に開示される方法は、好ましくは、この細胞又は腫瘍について、ErbB-1細胞表面受容体密度、ErbB-2細胞表面受容体密度、ErbB-3細胞表面受容体密度及び/又はErbB-4細胞表面受容体密度を決定する工程を含む。本明細書で使用する場合、細胞表面受容体密度という用語は、細胞1つ当たりの細胞表面上に存在する受容体の数を指す。
好ましくは、本明細書に開示される方法は、この細胞又は腫瘍についてErbB-2細胞表面受容体密度を決定する工程を更に含む。患者は、免疫組織化学又は蛍光in situハイブリダイゼーションを使用して分類され得る。共にDako Denmark A/Sによって市販されるHercepTest(商標)及び/若しくはHER2 FISH(pharm Dx(商標))、並びに/又はMonogram Biosciencesによって市販されるHERmark(登録商標)アッセイを使用することは、ErbB-2又はErbB-3細胞表面受容体密度を決定するための適切なアッセイの例である。ErbB-2受容体細胞密度を決定するための他の方法は、当業者に周知である。ErbB-2を決定するためのin vivo方法もまた公知である。例えば、Chernomoridikら Mol Imaging. 2010年8月; 9(4): 192〜200及びArdeshirpourら Technol Cancer Res Treat. 2014年10月; 13(5): 427〜434を参照のこと。好ましくは、本明細書に開示される方法は、この細胞又は腫瘍についてErbB-2細胞表面受容体密度を決定する工程を更に含む。かかる方法は、当業者に公知である(例えば、van der Woning及びvan Zoelen Biochem Biophys Res Commun. 2009年1月9日;378(2):285〜9を参照のこと)。好ましくは、本明細書に開示される方法は、この細胞又は腫瘍についてErbB-1細胞表面受容体密度を決定する工程を更に含む。かかる方法は、当業者に公知である(例えば、EGFR pharmDx(商標)Kit(Dako))及びMcDonaghら Mol Cancer Ther 2012; 11:582を参照のこと)。同様の方法が、ErbB-4細胞表面受容体密度を決定するために使用できる。
一部の実施形態では、ErbB-1、ErbB-2、ErbB-3及びErbB-4細胞表面受容体密度は、生検腫瘍細胞に対するFACS分析によって決定される。
好ましくは、ErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍の細胞は、比較的高いレベルのヘレグリン発現を有する。ヘレグリンは、ErbB3陽性細胞又は腫瘍細胞の成長に関与する増殖因子である。典型的には、細胞又は腫瘍細胞が高レベルのヘレグリン(ヘレグリンストレスと呼ばれる)を発現する場合、トラスツズマブ、ペルツズマブ及びラパチニブ等の現在公知の治療は、細胞又は腫瘍の成長を阻害することがもはや可能ではない。この現象は、ヘレグリン耐性と呼ばれる。特に、ヘレグリン発現レベルは、MCF7細胞のヘレグリン発現レベルよりも高い。ヘレグリン発現レベルは、例えば、細胞又は腫瘍RNAを用いたqPCRを使用して(例えば、Shamesら PLOS ONE, 2013年2月,8巻, 2号, 1〜10頁及びYonesakaら, Sci.transl.Med., 3巻, 99号(2011); 1〜11頁等に記載されている)、又は血液、血漿若しくは血清サンプルを好ましくは使用する、例えばELISA等のタンパク質検出方法を使用して(例えば、Yonesakaら, Sci.transl.Med., 3巻, 99号(2011); 1〜11頁等に記載されている)、測定される。
高いヘレグリンレベルは、典型的には、転移の形成(即ち、細胞又は腫瘍細胞又は腫瘍開始細胞の遊走、浸潤、成長及び/又は分化)の間に存在する。典型的には、腫瘍開始細胞は、例えばCD44、CD24、CD133及び/又はALDH1等の幹細胞マーカーに基づいて同定される。従って、これらのプロセスが、トラスツズマブ及びペルツズマブ等の現在公知の治療によって、かろうじて対抗され得る。本明細書に開示される二重特異性抗体は、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の3'末端を含むNRG1融合遺伝子を含む細胞腫瘍を有する対象における転移の形成に対抗することが可能である。
従って、ErbB-2、ErbB-3又はErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍を有する対象における転移の形成に対抗するための方法であって、ErbB-2に結合する第1の抗原結合部位及びErbB-3に結合する第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を対象に投与する工程を含み、このErbB-2、ErbB-3又はErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍細胞が、BXPC3又はMCF7細胞のヘレグリン発現レベルの、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%又は95%であるヘレグリン発現レベルを有する方法が更に提供される。転移の形成の処置又は予防における使用のための、ErbB-2に結合する第1の抗原結合部位及びErbB-3に結合する第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体であって、このErbB-2、ErbB-3又はErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍細胞が、BXPC3又はMCF7細胞のヘレグリン発現レベルの、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%又は95%であるヘレグリン発現レベルを有する二重特異性抗体もまた提供される。転移の形成の処置又は予防のための医薬の調製のための本発明に従う二重特異性抗体の使用であって、このErbB-2、ErbB-3又はErbB-2/ErbB-3陽性細胞又は腫瘍細胞が、BXPC3又はMCF7細胞のヘレグリン発現レベルの、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%又は95%であるヘレグリン発現レベルを有する使用が更に提供される。
対象は、好ましくは、ヒト対象である。対象は、好ましくは、トラスツズマブ等のErbB-2特異的抗体を使用するモノクローナル抗体治療に適格な対象である。
患者に投与される二重特異性抗体の量は、典型的には、治療ウインドウ中にあり、これは、治療効果を得るために十分な量が使用されるが、その量は、許容できない程度の副作用をもたらす閾値を超えないことを意味する。所望の治療効果を得るために必要とされる抗体の量が低くなるほど、治療ウインドウは典型的には大きくなる。選択された投薬量レベルは、投与の経路、投与のタイミング、使用される特定の化合物の排出の速度、処置の持続時間、組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の同様の因子を含む種々の因子に依存する。投薬量は、トラスツズマブについての投薬レジームの範囲中にあり得るか、又はより低くてよい。
二重特異性抗体は、医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤、及び更なる任意選択の活性薬剤を含む医薬組成物として製剤化できる。抗体及び抗体を含む組成物は、非経口、経腸及び外用投与を含む任意の経路によって投与できる。非経口投与は通常、注射により、これには、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、真皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内(intracerebro spinal)、腫瘍内及び胸骨内(intrasternal)注射及び注入が含まれる。
好ましい実施形態では、ErbB-1阻害剤は、本明細書に開示される二重特異性抗体による処置と組み合わせることができる。ErbB-1阻害剤は、二重特異性抗体と同時に又は順次、投与できる。ErbB-1阻害剤による処置は、二重特異性抗体による処置から、数分間、数時間又は数日間分離することができる。好ましくは、ErbB-2/ErbB3細胞又は腫瘍は、ErbB1についても陽性である。好ましくは、組合せ処置(併用療法)は、細胞1つ当たり5,000超の表面受容体、好ましくは、細胞1つ当たり少なくとも20,000の表面受容体、より好ましくは、細胞1つ当たり50,000超の表面受容体を有するErbB-2/ErbB3細胞又は腫瘍に適切である。
適切なErbB-1阻害剤は、当技術分野で公知であり、ErbB-1(EGFR)の少なくとも1つの生物学的活性を阻害する化合物、特に、ErbB-1の発現又はシグナル伝達活性を減少させる化合物を指す。好ましいErbB-1阻害剤は、このチロシンキナーゼ受容体分子の細胞外結合部位に結合し、EGF等の天然リガンドの結合を遮断する。かかる阻害剤には、この細胞外EGF受容体結合ドメインを標的化する、抗体、抗体部分、及びエピトープを含むペプチドが含まれる。好ましくは、ErbB-1阻害剤は、好ましくはセツキシマブ、マツズマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ又はザルツムマブから選択される抗ErbB-1抗体である。本発明は、チロシンキナーゼ受容体分子の細胞内リン酸化部位又はドメインに結合できる又はそれと相互作用でき、チロシンキナーゼによるリン酸化を防止又は減少させるような、ErbB-1阻害剤に更に関する。これは、小(化学)分子薬物によって達成できる。好ましい阻害剤には、アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、オシメルチニブ及びネラチニブが含まれる。
本開示は、本明細書に記載される方法及び処置における使用のための二重特異性抗体を提供する。適切な二重特異性抗体は、ErbB-2に結合する第1の抗原結合部位及びErbB-3に結合する第2の抗原結合部位を含み、この二重特異性抗体は、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞上のErbB-3のリガンド誘導性受容体機能を低減させる又は低減できる。好ましい抗体及びそれらの調製は、参照によって本明細書に組み込まれるWO2015/130173に開示されている。WO2015/130173中の例は、抗体のいくつかの特性、例えば、リガンド結合及びエピトープマッピングを更に記載している。
本明細書で使用する場合、用語「抗原結合部位」とは、抗原に結合することが可能な二重特異性抗体に由来する部位、好ましくはかかる二重特異性抗体上に存在する部位を指す。未改変の抗原結合部位は、典型的には、抗体の可変ドメインによって形成され、かかる抗体の可変ドメイン中に存在する。可変ドメインは、上記抗原結合部位を含む。抗原に結合する可変ドメインは、抗原に結合する抗原結合部位を含む可変ドメインである。
一実施形態では、抗体可変ドメインは、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む。抗原結合部位は、組み合わされたVH/VL可変ドメイン中に、又はVH領域中にだけ、若しくはVL領域中にだけ、存在し得る。抗原結合部位が、可変ドメインの2つの領域のうち一方中にだけ存在する場合、対応物の可変領域は、結合性可変領域のフォールディング及び/又は安定性に寄与し得るが、抗原の結合自体には顕著には寄与しない。
本明細書で使用する場合、抗原結合とは、その抗原への抗体の典型的結合能力を指す。ErbB-2に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ErbB-2に結合し、他の点は同一の条件下で、同じ種の相同受容体ErbB-1及びErbB-4に、少なくとも100分の1低く結合する。ErbB-3に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ErbB-3に結合し、他の点は同一の条件下で、同じ種の相同受容体ErbB-1及びErbB-4には結合しない。ErbBファミリーが細胞表面受容体のファミリーであることを考慮すると、結合は、典型的には、受容体を発現する細胞上で評価される。抗原への抗体の結合は、種々の方法で評価され得る。1つの方法は、抗体を抗原(好ましくは、抗原を発現する細胞)と共にインキュベートし、未結合の抗体を除去し(好ましくは、洗浄工程によって)、結合した抗体に結合する標識された抗体によって、結合した抗体を検出することである。
抗体による抗原結合は、典型的には、抗体のランダムな非特異的付着とは対照的に、これら2つの構造を正確に一緒に結合させる、抗体の相補性領域並びに抗原及び可変ドメインの両方の特異的三次元構造を介して媒介される(ロック及びキーと類似の相互作用)。抗体は、典型的には、抗原のエピトープを認識し、かかるエピトープは、他の化合物中にも同様に存在し得るので、ErbB-2及び/又はErbB-3に結合する本発明に従う抗体は、かかる他の化合物が同じエピトープを含む場合、他のタンパク質も同様に認識し得る。従って、用語「結合」は、別のタンパク質又は同じエピトープを含むタンパク質への抗体の結合を排除しない。かかる他のタンパク質は、好ましくは、ヒトタンパク質ではない。本明細書において定義されるErbB-2抗原結合部位及びErbB-3抗原結合部位は、典型的には、出生後の、好ましくは成人のヒトでは、細胞の膜上の他のタンパク質に結合しない。本明細書に開示される二重特異性抗体は、典型的には、以下により詳細に概説されるように、少なくとも1×10e-6Mの結合親和性で、ErbB-2及びErbB-3に結合することが可能である。
用語「結合を妨害する」とは、本明細書で使用する場合、抗体が、ErbB-3上のエピトープに対するものであり、抗体が、ErbB-3への結合についてリガンドと競合することを意味する。抗体は、リガンド結合を減退させ得、リガンドがErbB-3に既に結合している場合にはこれを置き換え得、又は、例えば立体障害を介して、リガンドがErbB-3に結合する可能性を少なくとも部分的に防止し得る。
用語「抗体」とは、本明細書で使用する場合、タンパク質性分子、好ましくは、抗原上のエピトープに結合する1又は複数の可変ドメインを含む免疫グロブリンクラスのタンパク質に属するものを意味し、ここで、かかるドメインは、抗体の可変ドメイン由来であるか、又はかかる可変ドメインと配列相同性を共有する。治療的使用のための抗体は、好ましくは、処置される対象の天然抗体に可能な限り近い(例えば、ヒト対象に対してヒト抗体)。抗体結合は、特異性及び親和性に関して表現され得る。特異性は、どの抗原又はそのエピトープが結合ドメインによって特異的に結合されるかを決定する。親和性は、特定の抗原又はエピトープへの結合の強さについての尺度である。特異的結合は、少なくとも1×10e-6Mの、より好ましくは1×10e-7Mの、より好ましくは1×10e-9Mよりも高い親和性(KD)での結合として定義される。典型的には、治療的適用のための抗体は、最大で1×10e-10M又はそれより高い親和性を有する。本発明の二重特異性抗体等の抗体は、天然抗体の定常ドメイン(Fc部分)を含む。本発明の抗体は、典型的には、好ましくはヒトIgGサブクラスの、二重特異性全長抗体である。好ましくは、本明細書に開示される抗体は、ヒトIgG1サブクラスの抗体である。かかる抗体は、良好なADCC特性を有し、ヒトへのin vivo投与の際に好ましい半減期を有し、クローナル細胞における共発現の際にホモ二量体よりもヘテロ二量体を優先的に形成する改変された重鎖を提供できるCH3操作テクノロジーが存在する。
本明細書に開示される発明の抗体は、好ましくは、「全長」抗体である。用語「全長」は、本質的に完全な抗体を含むと定義されるが、かかる抗体は、インタクトな抗体の全ての機能を有する必要はない。誤解を避けるために、全長抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む。各鎖は、定常(C)領域及び可変(V)領域を含み、これらは、CH1、CH2、CH3、VH、及びCL、VLと称されるドメインへと解体され得る。抗体は、Fab部分中に含まれる可変ドメインを介して抗原に結合し、結合後、定常ドメインを介して、主にFc部分を介して、免疫系の分子及び細胞と相互作用できる。用語「可変ドメイン」、「VH/VL対」、「VH/VL」は、本明細書で相互交換可能に使用される。本発明に従う全長抗体は、所望の特徴を提供する変異が存在し得る抗体を包含する。かかる変異は、これらの領域のいずれかの実質的な部分の欠失であるべきではない。しかし、得られた抗体の結合特徴を本質的に変更することなしに1又は数個のアミノ酸残基が欠失されている抗体は、用語「全長抗体」内に包含される。例えば、IgG抗体は、定常領域中に、1〜20アミノ酸残基の挿入、欠失又はそれらの組合せを有し得る。例えば、抗体自体が低いADCC活性を有する場合、抗体の定常領域をわずかに改変することによって、抗体のADCC活性は改善され得る(Junttila, T. T.、K. Parsonsら(2010)、「Superior In vivo Efficacy of Afucosylated Trastuzumab in the Treatment of HER2-Amplified Breast Cancer」、Cancer Research 70(11):4481〜4489)。
全長IgG抗体は、それらの好ましい半減期、及び免疫原性を理由として完全に自己の(ヒト)分子に近くある必要性に起因して、好ましい。本明細書に開示される抗体は、好ましくは、二重特異性IgG抗体、好ましくは、二重特異性全長IgG1抗体である。IgG1は、ヒトにおけるその長い循環半減期に基づいて好ましい。ヒトにおけるいずれの免疫原性をも防止するために、二重特異性IgG抗体は、ヒトIgG1であることが好ましい。
用語「二重特異性」(bs)とは、抗体の1つの部分(上に定義される)が抗原上の1つのエピトープに結合する一方で、第2の部分が異なるエピトープに結合することを意味する。この異なるエピトープは、典型的には、異なる抗原上に存在する。この第1及び第2の抗原は、事実上、2つの異なるタンパク質である。好ましい二重特異性抗体は、2つの異なるモノクローナル抗体の部分を含む抗体であり、結果として、2つの異なる型の抗原に結合する。二重特異性抗体の一方のアームは、典型的には、1つの抗体の可変ドメインを含み、他方のアームは、別の抗体の可変ドメインを含む。二重特異性抗体の重鎖可変領域は、典型的には互いに異なるが、軽鎖可変領域は、好ましくは、同じである。異なる重鎖可変領域が同じ又は共通の軽鎖と会合している二重特異性抗体は、共通の軽鎖を有する二重特異性抗体とも呼ばれる。
好ましい二重特異性抗体は、単一細胞における2つの異なる重鎖及び1つの共通の軽鎖の共発現によって得ることができる。野生型CH3ドメインが使用される場合、2つの異なる重鎖及び1つの共通の軽鎖の共発現は、3つの異なる種、AA、AB及びBBを生じる。所望の二重特異性産物(AB)の百分率を増加させるために、CH3操作が使用でき、又は言い換えれば、本明細書の以下に定義されるような、適合性のヘテロ二量体化ドメインを有する重鎖を使用できる。
用語「適合性のヘテロ二量体化ドメイン」とは、本明細書で使用する場合、操作されたドメインA'が、操作されたドメインB'とのヘテロ二量体を優先的に形成し、逆もまた然りであるが、A'-A'間及びB'-B'間のホモ二量体化は減退されるように操作されている、タンパク質ドメインを指す。
用語「共通の軽鎖」とは、同一であり得るか、又はいくらかのアミノ酸配列差異を有し得る軽鎖を指すが、全長抗体の結合特異性は影響されない。例えば、保存的アミノ酸変化、重鎖とペアリングした場合に結合特異性に寄与しない又は部分的にのみ寄与する領域中のアミノ酸の変化を、例えば導入及び試験すること等によって、同一ではないがなおも機能的に等価物である軽鎖を調製及び見出すことが可能である。用語「共通の軽鎖」、「共通のVL」、「単一軽鎖」、「単一VL」は、全て、用語「再編成された」の付加あり又はなしで、本明細書で相互交換可能に使用される。
共通の軽鎖(可変領域)は、好ましくは、生殖系列配列を有する。好ましい生殖系列配列は、ヒトレパートリーにおいて頻繁に使用され、良好な熱力学的安定性、収量及び溶解度を有する軽鎖可変領域である。好ましい実施形態では、軽鎖は、0〜10、好ましくは0〜5アミノ酸の挿入、欠失、置換、付加又はそれらの組合せを有する、配列1C「共通の軽鎖IGKV1-39/jk1」に示されるO12/IgVκ1-39*01遺伝子セグメントのアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。IgVκ1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子の省略形である。この遺伝子は、免疫グロブリンカッパ可変1-39;IGKV139;IGKV1-39;O12a又はO12としても公知である。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5740;Entrez Gene:28930;Ensembl:ENSG00000242371である。IGKV1-39の可変領域は、配列1Cに列挙されている。V領域は、5つのJ領域のうち1つと組み合わせることができる。配列1Cは、J領域と組み合わせた、IgVκ1-39の2つの好ましい配列を記載する。連結された配列は、IGKV1-39/jk1及びIGKV1-39/jk5と示される;代替名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01又はIgVκ1-39*01/IGJκ5*01である(imgt.orgにおけるIMGTデータベースワールドワイドウェブに従う命名法)。
軽鎖可変領域を構成するO12/IgVκ1-39*01は、生殖系列配列であることが好ましい。軽鎖可変領域を構成するIGJκ1*01又は/IGJκ5*01は、生殖系列配列であることが更に好ましい。好ましい実施形態では、IGKV1-39/jk1又はIGKV1-39/jk5軽鎖可変領域は、生殖系列配列である。
好ましい実施形態では、軽鎖可変領域は、生殖系列O12/IgVκ1-39*01を含む。好ましい実施形態では、軽鎖可変領域は、カッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01又はIgVκ1-39*01/IGJκ5*01を含む。好ましい実施形態では、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01。軽鎖可変領域は、好ましくは、生殖系列カッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01又は生殖系列カッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ5*01、好ましくは、生殖系列IgVκ1-39*01/IGJκ1*01を含む。
明らかに、当業者は、「共通の」が、そのアミノ酸配列が同一でない軽鎖の機能的等価物もまた指すことを認識する。機能的結合領域の形成に実質的に影響しない変異(欠失、置換、付加)が存在する、上記軽鎖の多くのバリアントが存在する。軽鎖はまた、1〜5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有する、本明細書の上で特定した軽鎖であり得る。
好ましくは、第1の抗原結合部位及びこの第2の抗原結合部位は共に、配列(RASQSISSYLN)を有するCDR1、配列(AASSLQS)を有するCDR2及び配列(QQSYSTPPT)を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
用語「ErbB-1」とは、本明細書で使用する場合、ヒトにおける、ERBB-1遺伝子によってコードされる、タンパク質を指す。この遺伝子又はタンパク質の代替名には、EGFR、ERBB、HER1、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ1が含まれる。本明細書でErbB-1に対する言及がなされる場合、この言及は、ヒトErbB-1を指す。
用語「ErbB-2」とは、本明細書で使用する場合、ヒトにおける、ERBB-2遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。この遺伝子又はタンパク質の代替名には、CD340;HER-2;HER-2/neu;MLN 19;NEU;NGL;TKR1が含まれる。このERBB-2遺伝子は、しばしばHER2と呼ばれる(ヒト上皮増殖因子受容体2から)。本明細書でErbB-2に対する言及がなされる場合、この言及は、ヒトErbB-2を指す。ErbB-2に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ヒトErbB-2に結合する。ErbB-2抗原結合部位は、ヒトオルソログと他の哺乳動物オルソログとの間の配列及び三次構造の類似性に起因して、かかるオルソログにも結合し得るが、必ず結合するわけではない。ヒトErbB-2タンパク質及びそれをコードする遺伝子についてのデータベース登録番号は、(NP_001005862.1、NP_004439.2 NC_000017.10 NT_010783.15 NC_018928.2)である。これらの登録番号は、標的としてのErbB-2の同定の更なる方法を提供するために主に与えられ、抗体によって結合されるErbB-2タンパク質の実際の配列は、例えば、一部の癌において生じるもの等の、コード遺伝子中の変異等に起因して、変動し得る。ErbB-2抗原結合部位は、ErbB-2及びそれらの種々のバリアント、例えば、一部のErbB-2陽性細胞又は腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。
用語「ErbB-3」とは、本明細書で使用する場合、ヒトにおける、ERBB-3遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。この遺伝子又はタンパク質の代替名は、HER3;LCCS2;MDA-BF-1;c-ErbB-3;c-erbb-3;erbb-3-S;p180-Erbb-3;p45-sErbb-3;及びp85-sErbb-3である。本明細書でErbB-3に対する言及がなされる場合、この言及は、ヒトErbB-3を指す。ErbB-3に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ヒトErbB-3に結合する。ErbB-3抗原結合部位は、ヒトオルソログと他の哺乳動物オルソログとの間の配列及び三次構造の類似性に起因して、かかるオルソログにも結合し得るが、必ず結合するわけではない。ヒトErbB-3タンパク質及びそれをコードする遺伝子についてのデータベース登録番号は、(NP_001005915.1 NP_001973.2、NC_000012.11 NC_018923.2 NT_029419.12)である。これらの登録番号は、標的としてのErbB-3の同定の更なる方法を提供するために主に与えられ、抗体によって結合されるErbB-3タンパク質の実際の配列は、例えば、一部の癌において生じるもの等の、コード遺伝子中の変異等に起因して、変動し得る。ErbB-3抗原結合部位は、ErbB-3及びそれらの種々のバリアント、例えば、一部のErbB-2陽性細胞又は腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。
用語「ErbB-4」とは、本明細書で使用する場合、ヒトにおける、ERBB-4遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。この遺伝子又はタンパク質の代替名には、HER4、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ4及びヒト上皮増殖因子受容体4が含まれる。本明細書でErbB-1に対する言及がなされる場合、この言及は、ヒトErbB-4を指す。
本明細書に開示される抗体は、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞上のErbB-3のリガンド誘導性受容体機能を低減できる。過剰なErbB-2の存在下では、ErbB-2/ErbB-3ヘテロ二量体は、ヘテロ二量体中のErbB-3鎖に対する検出可能なリガンドの非存在下で、発現細胞に成長シグナルを提供し得る。このErbB-3受容体機能は、本明細書で、ErbB-3のリガンド非依存的受容体機能と呼ばれる。このErbB-2/ErbB-3ヘテロ二量体は、ErbB-3リガンドの存在下でも、発現細胞に成長シグナルを提供する。このErbB-3受容体機能は、本明細書で、ErbB-3のリガンド誘導性受容体機能と呼ばれる。
用語「ErbB-3リガンド」とは、本明細書で使用する場合、ErbB-3に結合及び活性化するポリペプチドを指す。ErbB-3リガンドの例には、ニューレグリン1(NRG)及びニューレグリン2、ベータセルリン、ヘパリン結合性上皮増殖因子並びにエピレギュリンが含まれるがこれらに限定されない。この用語は、天然に存在するポリペプチドの生物学的に活性な断片及び/又はバリアントを含む。
好ましくは、ErbB-3のリガンド誘導性受容体機能は、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞のErbB-3リガンド誘導性成長である。好ましい一実施形態では、この細胞は、MCF-7細胞(ATCC(登録商標)HTB-22(商標));SKBR3(ATCC(登録商標)HTB-30(商標))細胞;NCI-87(ATCC(登録商標)CRL-5822(商標))細胞;BxPC-3-luc2細胞(Perkin Elmer 125058)、BT-474細胞(ATCC(登録商標)HTB-20(商標))又はJIMT-1細胞(DSMZ番号:ACC 589)である。
本明細書で使用する場合、リガンド誘導性受容体機能は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30、40、50 60又は少なくとも70%低減され、特に好ましい一実施形態では、このリガンド誘導性受容体機能は、80%、より好ましくは90%低減される。この低減は、好ましくは、本明細書に開示される二重特異性抗体の存在下でリガンド誘導性受容体機能を決定し、それを、他の点では同一の条件下で抗体の非存在下での同じ機能と比較することによって、決定される。これらの条件は、ErbB-3リガンドの存在を少なくとも含む。存在するリガンドの量は、好ましくは、ErbB-2及びErbB-3陽性細胞株の最大成長の半分を誘導する量である。この試験のためのErbB-2及びErbB-3陽性細胞株は、好ましくは、MCF-7細胞株(ATCC(登録商標)HTB-22(商標))、SKBR3細胞株(ATCC(登録商標)HTB-30(商標))細胞、JIMT-1細胞株(DSMZ ACC 589)又はNCI-87細胞株(ATCC(登録商標)CRL-5822(商標))である。ErbB-3リガンド誘導性受容体機能を決定するための試験及び/又はリガンドは、好ましくは、実施例に特定されるような、ErbB-3リガンド誘導性成長低減についての試験である。
ErbB-2タンパク質は、いくつかのドメインを含む(Landgraf, R Breast Cancer Res. 2007; 9(1): 202〜の図1を、参考のために参照のこと)。これらの細胞外ドメインは、ドメインI〜IVと呼ばれる。本明細書に記載される抗体の抗原結合部位のそれぞれのドメインへの結合の場所は、マッピングされている。ErbB-2のドメインI又はドメインIVに結合する抗原結合部位(第1の抗原結合部位)(第1の抗原結合部位)を有する二重特異性抗体は、種々の軽鎖と組み合わせた場合に、ErbB-2に対する顕著な結合特異性及び親和性を維持する重鎖可変領域を含む。ErbB-2のドメインI又はドメインIVに結合する抗原結合部位(第1の抗原結合部位)(第1の抗原結合部位)及びErbB-3に対する抗原結合部位(第2の抗原結合部位)を有する二重特異性抗体は、ErbB-2の別の細胞外ドメインに結合する抗原結合部位(第1の抗原結合部位)を含む二重特異性抗体と比較した場合、ErbB-3のリガンド誘導性受容体機能を低減させるのにより有効であることが見出される。ErbB-2に結合する抗原結合部位(第1の抗原結合部位)を含む二重特異性抗体であって、この抗原結合部位が、ErbB-2のドメインI又はドメインIVに結合する抗体が、好ましい。好ましくは、この抗原結合部位は、ErbB-2のドメインIVに結合する。好ましい抗体は、ErbB-2のドメインIに結合する第1の抗原結合部位及びErbB-3のドメインIIIに結合する第2の抗原結合部位を含む。
好ましい一実施形態では、抗体は、T144、T164、R166、P172、G179、S180及びR181、並びにT144、T164、R166、P172、G179、S180又はR181から約5アミノ酸位置以内に位置する、表面に露出したアミノ酸残基からなる群から選択される、ErbB-2のドメインIの少なくとも1つのアミノ酸に結合する抗原結合部位を含む。
好ましい一実施形態では、抗体は、好ましくは、R426及びネイティブErbB-3タンパク質中のR426から11.2Å以内に位置する、表面に露出したアミノ酸残基からなる群から選択される、ErbB-3のドメインIIIの少なくとも1つのアミノ酸に結合する抗原結合部位を含む。
ErbB-2に結合し、ADCCを更に含む抗原結合部位(第1の抗原結合部位)を有する二重特異性抗体は、特にin vivoで顕著なADCC活性を有さなかった他のErbB-2結合抗体よりも、有効であることが見出される。従って、ADCCを示す二重特異性抗体が好ましい。第1の抗原結合部位がErbB-2のドメインIVに結合する抗体は、固有のADCC活性を有することが見出された。低い固有のADCC活性を有する、ドメインI結合性のErbB-2結合抗体は、ADCC活性を増強するために操作され得る。Fc領域は、免疫エフェクター細胞、例えば、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、B細胞及び好中球上の異なる受容体に結合することによって、抗体機能を媒介する。これらの受容体の一部、例えば、CD16A(FcγRIIIA)及びCD32A(FcγRIIA)は、細胞を活性化して、抗原に対する応答を構築させる。他の受容体、例えばCD32Bは、免疫細胞の活性化を阻害する。(アミノ酸置換を導入することによって)より高い選択性で活性化受容体に結合するFc領域を操作することによって、抗癌Mabによる所望の細胞傷害活性を媒介するより高い能力を有する抗体が創出され得る。
抗体のADCCを増強するための1つの技術は、非フコシル化である(例えば、Junttila, T. T.、K. Parsonsら(2010)、「Superior In vivo Efficacy of Afucosylated Trastuzumab in the Treatment of HER2-Amplified Breast Cancer」、Cancer Research 70(11):4481〜4489を参照のこと)。従って、非フコシル化されている、本明細書に開示される二重特異性抗体が、更に提供される。或いは、又は更に、例えば糖鎖工学(Kyowa Hakko/Biowa、GlycArt(Roche)及びEureka Therapeutics)及び変異誘発(Xencor及びMacrogenics)を含む複数の他の戦略が、ADCC増強を達成するために使用され得、これらの戦略は全て、低親和性活性化FcγRIIIaへのFc結合を改善し、及び/又は低親和性阻害性FcγRIIbへの結合を低減させようとするものである。
ADCCを惹起することにおける抗体又はエフェクター細胞の効力を決定するための、いくつかのin vitro方法が存在する。これらには、クロム-51[Cr51]放出アッセイ、ユーロピウム[Eu]放出アッセイ及び硫黄-35[S35]放出アッセイがある。通常、表面に露出した特定の抗原を発現する標識された標的細胞株は、その抗原に特異的な抗体と共にインキュベートされる。洗浄後、Fc受容体CD16を発現するエフェクター細胞は、典型的には、抗体標識された標的細胞と共に共インキュベートされる。標的細胞溶解は、引き続いて、典型的には、例えば、シンチレーションカウンター又は分光光度法によって、細胞内標識の放出によって測定される。
好ましい二重特異性抗体では、ErbB-3陽性細胞に対するこの第2の抗原結合部位の親和性は、ErbB-2陽性細胞に対するこの第1の抗原結合部位の親和性と等しいか、又は好ましくは、それよりも高い。ErbB-3陽性細胞に対する上記第2の抗原結合部位の親和性(KD)は、好ましくは2.0nM以下、より好ましくは1.5nM以下、より好ましくは1.39nM以下、より好ましくは0.99nM以下である。好ましい一実施形態では、SK-BR-3細胞上のErbB-3に対するこの第2の抗原結合部位の親和性は、2.0nM以下、より好ましくは1.5nM以下、より好ましくは1.39nM以下、好ましくは0.99nM以下である。一実施形態では、この親和性は、1.39〜0.59nMの範囲内である。好ましい一実施形態では、BT-474細胞上のErbB-3に対するこの第2の抗原結合部位の親和性は、2.0nM以下、より好ましくは1.5nM以下、より好ましくは1.0nM以下、より好ましくは0.5nM未満、より好ましくは0.31nM以下、より好ましくは0.23nM以下である。一実施形態では、この親和性は、0.31〜0.15nMの範囲内である。上述の親和性は、好ましくは、定常状態細胞親和性測定を使用して測定され、ここで、WO2015/130173の実施例に記載されるように、細胞は、放射活性標識された抗体を使用して4℃でインキュベートされ、その後、細胞に結合した放射活性が測定される。
ErbB-2陽性細胞に対する上記第1の抗原結合部位の親和性(KD)は、好ましくは5.0nM以下、より好ましくは4.5nM以下、より好ましくは3.9nM以下である。好ましい一実施形態では、SK-BR-3細胞上のErbB-2に対するこの第1の抗原結合部位の親和性は、5.0nM以下、好ましくは4.5nM以下、より好ましくは4.0nM以下、より好ましくは3.5nM以下、より好ましくは3.0nM以下、より好ましくは2.3nM以下である。一実施形態では、この親和性は、3.0〜1.6nMの範囲内である。好ましい一実施形態では、BT-474細胞上のErbB-2に対するこの第1の抗原結合部位の親和性は、5.0nM以下、好ましくは4.5nM以下、より好ましくは3.9nM以下である。一実施形態では、この親和性は、4.5〜3.3nMの範囲内である。上述の親和性は、好ましくは、定常状態細胞親和性測定を使用して測定され、ここで、WO2015/130173の実施例に記載されるように、細胞は、放射活性標識された抗体を使用して4℃でインキュベートされ、その後、細胞に結合した放射活性が測定される。
好ましくは、開示された方法において使用される二重特異性抗体は、心筋細胞の生存に顕著には影響を与えない。心毒性は、ErbB-2標的化治療における公知の危険因子であり、合併症の頻度は、トラスツズマブがアントラサイクリンと併せて使用され、それによって、心臓負荷を誘導する場合に、増加する。
本明細書に開示される二重特異性抗体は、好ましくは、ヒトにおいて使用される。従って、好ましい抗体は、ヒト又はヒト化抗体である。ポリペプチドに対するヒトの寛容は、多くの異なる局面によって支配される。T細胞媒介性、B細胞媒介性等である免疫は、ポリペプチドに対するヒトの寛容に包含される変数の1つである。二重特異性抗体の定常領域は、好ましくは、ヒト定常領域である。この定常領域は、天然に存在するヒト抗体の定常領域と、1又は複数の、好ましくは10以下の、好ましくは5アミノ酸以下の差異を含み得る。定常部分が、天然に存在するヒト抗体に完全に由来することが好ましい。本明細書で産生される種々の抗体は、ヒト抗体可変ドメインライブラリーに由来する。かかるこれらの可変ドメインは、ヒトである。ユニークCDR領域は、ヒト由来、合成、又は別の生物由来であり得る。可変領域は、CDR領域を別にして、天然に存在するヒト抗体の可変領域のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する場合、ヒト可変領域とみなされる。抗体中のErbB-2結合VH、ErbB-3結合VH又は軽鎖の可変領域は、CDR領域のアミノ酸配列中の潜在的差異を数に入れずに、天然に存在するヒト抗体の可変領域と、1又は複数の、好ましくは10以下の、好ましくは5アミノ酸以下の差異を含み得る。かかる変異は、体細胞超変異に関しても天然に存在する。
抗体は、重鎖可変領域に関しては少なくとも、種々の動物種由来であり得る。例えば、マウス重鎖可変領域等をヒト化することは、一般的実務である。マウス重鎖可変領域の3D構造と一致する3D構造を有するヒト重鎖可変領域中へのCDR移植;マウス重鎖可変領域から既知の又は疑わしいT細胞エピトープ又はB細胞エピトープを除去することによって好ましくは実施される、マウス重鎖可変領域の脱免疫化がその中にある、これが達成され得る種々の方法が存在する。除去は、典型的には、エピトープ中のアミノ酸のうちの1又は複数を、別の(典型的には保存的)アミノ酸に置換することによるものであり、その結果、エピトープの配列は、もはやT細胞エピトープでもB細胞エピトープでもないように、改変される。
かかる脱免疫化されたマウス重鎖可変領域は、元のマウス重鎖可変領域よりも、ヒトにおいて免疫原性が低い。好ましくは、可変領域又はドメインは、更にヒト化、例えば、ベニヤ化等される。ベニヤ化技術を使用することによって、免疫系が容易に遭遇する外面残基は、弱く免疫原性のベニヤ化表面又は実質的に非免疫原性のベニヤ化表面のいずれかを含むハイブリッド分子を提供するために、ヒト残基で選択的に置き換えられる。本発明において使用される動物は、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、最も好ましくはヒトである。
本明細書に開示される二重特異性抗体は、好ましくは、ヒト抗体の定常領域を含む。それらの重鎖定常ドメインにおける差異に従って、抗体は、5つのクラス又はアイソタイプにグループ分けされる:IgG、IgA、IgM、IgD及びIgE。これらのクラス又はアイソタイプは、対応するギリシャ文字を用いて名付けられた、上記重鎖のうち少なくとも1つを含む。好ましくは、定常領域は、IgG定常領域、より好ましくはIgG1定常領域、好ましくは変異したIgG1定常領域を含む。例えば、アロタイプG1m1、17及びG1m3等の、IgG1の定常領域におけるいくつかのバリエーションが、天然に存在し、並びに/又は得られた抗体の免疫学的特性を変化させることなしに許容される。典型的には、約1〜10の間のアミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せが、定常領域において許容される。
本明細書に開示される好ましい二重特異性抗体は、以下を含む:
- MF2926、MF2930、MF1849;MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003及びMF1898からなる群から選択されるErbB-2特異的重鎖可変領域の少なくともCDR3配列、好ましくは、少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列、若しくは少なくとも重鎖可変領域配列、又は列挙された重鎖可変領域配列と、最大で15アミノ酸、好ましくは最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10アミノ酸、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸が異なる重鎖可変領域配列;並びに/或いは
- MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073及びMF6074からなる群から選択されるErbB-3特異的重鎖可変領域の少なくともCDR3配列、好ましくは、少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列、若しくは少なくとも重鎖可変領域配列、又は列挙された重鎖可変領域配列と、最大で15アミノ酸、好ましくは最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10アミノ酸、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸が異なる重鎖可変領域配列。
CDR配列は、好ましくは、抗体の結合効力又は安定性を改善するために、例えば、最適化目的のために変化させられる。最適化は、得られた抗体の安定性及び/又は結合親和性が好ましくは試験され、改善されたErbB-2又はErbB-3特異的CDR配列が好ましくは選択された後に、例えば、変異誘発手順によって実施される。当業者は、少なくとも1つの変更されたCDR配列を含む抗体バリアントを作製することが十分に可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニン等の1つの疎水性残基の、別の疎水性残基への置換、及び1つの極性残基の別の極性残基への置換、例えば、アルギニンのリジンへの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸への置換、又はグルタミンのアスパラギンへの置換が含まれる。
好ましい抗体は、ErbB-2に結合する可変ドメインを含み、この可変ドメインのVH鎖は、VH鎖MF2926;MF2930;MF1849;MF2973;MF3004;MF3958(ヒト化MF2971である);MF2971;MF3025;MF2916;MF3991(ヒト化MF3004である);MF3031;MF2889;MF2913;MF1847;MF3001、MF3003若しくはMF1898のアミノ酸配列を含み;又は上述のVH鎖配列に関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸の挿入、欠失、置換若しくはそれらの組合せを有する、VH鎖MF2926;MF2930;MF1849;MF2973;MF3004;MF3958(ヒト化MF2971である);MF2971;MF3025;MF2916;MF3991(ヒト化MF3004である);MF3031;MF2889;MF2913;MF1847;MF3001、MF3003若しくはMF1898のアミノ酸配列を含む。ErbB-2に結合する可変ドメインのVH鎖は、好ましくは、以下のアミノ酸配列を含む:
- MF1849;又は
- MF2971若しくはそのヒト化バージョン、ここで、このヒト化バージョンは、好ましくは、MF3958のアミノ酸配列を含む;又は
- MF3004若しくはそのヒト化バージョン、ここで、このヒト化バージョンは、好ましくは、MF3991のアミノ酸配列を含む。
一実施形態では、ErbB-2に結合する可変ドメインのVH鎖は、以下のアミノ酸配列を含む:VH鎖MF1849;又はMF2971若しくはそのヒト化バージョン、ここで、このヒト化バージョンは、好ましくは、MF3958のアミノ酸配列を含む;又はMF3004若しくはそのヒト化バージョン、ここで、このヒト化バージョンは、好ましくは、MF3991のアミノ酸配列を含む。ここで、列挙されたVH配列は、それぞれの配列に関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、より好ましくは最大で1、2、3、4又は5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有する。好ましい一実施形態では、ErbB-2に結合する可変ドメインのVH鎖は、MF3958のアミノ酸配列を含み;又はこのVH鎖配列に関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸の挿入、欠失、置換若しくはそれらの組合せを有する、MF3958のアミノ酸配列を含む。
Erb-B3に結合する可変ドメインのVH鎖は、好ましくは、VH鎖MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073若しくはMF6074のアミノ酸配列を含み;又はVH鎖配列に関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸の挿入、欠失、置換若しくはそれらの組合せを有する、VH鎖MF3178;MF3176;MF3163;MF3099;MF3307;MF6055;MF6056;MF6057;MF6058;MF6059;MF6060;MF6061;MF6062;MF6063;MF6064;MF6065;MF6066;MF6067;MF6068;MF6069;MF6070;MF6071;MF6072;MF6073若しくはMF6074のアミノ酸配列を含む。Erb-B3に結合する可変ドメインのVH鎖は、好ましくは、MF3178、MF3176、MF3163、MF6058、MF6061若しくはMF6065のアミノ酸配列を含み;又はそれぞれのVH鎖配列に関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸の挿入、欠失、置換若しくはそれらの組合せを有する、MF3178、MF3176、MF3163、MF6058、MF6061若しくはMF6065のアミノ酸配列を含む。好ましい一実施形態では、ErbB-3に結合する可変ドメインのVH鎖は、MF3178のアミノ酸配列を含み;又はこのVH鎖配列に関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10、より好ましくは最大で1、2、3、4若しくは5アミノ酸の挿入、欠失、置換若しくはそれらの組合せを有する、MF3178のアミノ酸配列を含む。好ましくは、上述のアミノ酸の挿入、欠失及び置換は、CDR3領域中には存在しない。上述のアミノ酸の挿入、欠失及び置換は、好ましくは、CDR1及びCDR2領域中にも存在しない。上述のアミノ酸の挿入、欠失及び置換は、好ましくは、FR4領域中にも存在しない。
好ましくは、抗体は、MF1849、MF2971、MF3958、MF3004又はMF3991の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列、最も好ましくは、MF3958の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。この抗体は、好ましくは、MF3178、MF3176、MF3163、MF6058、MF6061又はMF6065の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列、最も好ましくは、MF3178の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。
好ましくは、ErbB-2特異的重鎖可変領域は、このVHに関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、より好ましくは最大で1、2、3、4又は5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有するVH鎖MF3958のアミノ酸配列を含む(好ましくは、この挿入、欠失、置換は、CDR1中にもCDR2中にもCDR3中にも存在しない)。好ましくは、ErbB-3特異的重鎖可変領域は、このVHに関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、より好ましくは最大で1、2、3、4又は5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有するVH鎖MF3178のアミノ酸配列を含む。1又は複数のアミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せは、好ましくは、VH鎖のCDR1、CDR2及びCDR3領域中には存在しない。これらは、好ましくは、FR4領域中にも存在しない。アミノ酸置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換である。
好ましくは、ErbB-2特異的重鎖可変領域は、このVHに関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、より好ましくは最大で1、2、3、4又は5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有するVH鎖MF3991のアミノ酸配列を含む(好ましくは、この挿入、欠失、置換は、CDR1中にもCDR2中にもCDR3中にも存在しない)。好ましくは、ErbB-3特異的重鎖可変領域は、このVHに関して、最大で15、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、より好ましくは最大で1、2、3、4又は5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有するVH鎖MF3178のアミノ酸配列を含む。1又は複数のアミノ酸挿入、欠失、置換又はそれらの組合せは、好ましくは、VH鎖のCDR1、CDR2及びCDR3領域中には存在しない。これらは、好ましくは、FR4領域中にも存在しない。アミノ酸置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換である。
好ましくは、抗体の第1の抗原結合部位は、MF3958の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列、又はMF3958のCDR1、CDR2及びCDR3配列と、最大で3つ、好ましくは最大で2つ、好ましくは最大で1つのアミノ酸が異なるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、この第2の抗原結合部位は、MF3178の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列、又はMF3178のCDR1、CDR2及びCDR3配列と、最大で3つ、好ましくは最大で2つ、好ましくは最大で1つのアミノ酸が異なるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。
好ましくは、二重特異性抗体は、i)MF3958のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含むErbB-2特異的重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む第1の抗原結合部位、並びにii)MF3178のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含むErbB-3特異的重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む第2の抗原結合部位、を含む。
好ましくは、ErbB-2特異的重鎖可変領域は、MF3958配列を有し、ErbB-3特異的重鎖可変領域は、MF3178配列を有する。この組合せは、PB4188抗体とも呼ばれる。好ましくは、PB4188抗体は非フコシル化されている。
好ましくは、二重特異性抗体は、配列表パート1Dに示される「erbB-2結合のための重鎖」及び配列表パート1Dに示される「erbB-3結合のための重鎖」を含む。
好ましくは、二重特異性抗体の抗原結合部位は、生殖系列軽鎖O12、好ましくは、再編成された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01又はその断片若しくは機能的誘導体を含む(imgt.orgにおけるIMGTデータベースワールドワイドウェブに従う命名法)。用語、再編成された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01、IGKV1-39/IGKJ1、huVκ1-39軽鎖又はつまりはhuVκ1-39が使用される。この軽鎖は、1、2、3、4又は5アミノ酸の挿入、欠失、置換又はそれらの組合せを有し得る。上述の1、2、3、4又は5アミノ酸の置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換であり、挿入、欠失、置換又はそれらの組合せは、好ましくは、VL鎖のCDR3領域中には存在せず、好ましくは、VL鎖のCDR1、CDR2若しくはCDR3領域又はFR4領域中には存在しない。好ましくは、第1の抗原結合部位及び第2の抗原結合部位は、同じ軽鎖可変領域を含み、より厳密には、共通の軽鎖を含む。好ましくは、軽鎖可変領域は、配列(RASQSISSYLN)を有するCDR1、配列(AASSLQS)を有するCDR2及び配列(QQSYSTPPT)を有するCDR3を含む。好ましくは、軽鎖可変領域は、配列表パート1Cに示される共通の軽鎖配列を含む。
種々の方法が、二重特異性抗体を産生するために利用可能であり、WO2015/130173に開示されている。1つの方法には、細胞における2つの異なる重鎖及び2つの異なる軽鎖の発現、並びに細胞によって産生される抗体を収集することを伴う。この方法で産生された抗体は、典型的には、重鎖及び軽鎖の異なる組合せを有する一群の抗体を含み、その一部は、所望の二重特異性抗体である。この二重特異性抗体は、引き続いて、この一群の抗体から精製され得る。
細胞によって産生される他の抗体に対する二重特異性抗体の比率は、種々の方法で増加され得る。好ましくは、この比率は、細胞において、2つの異なる軽鎖を発現させず、2つの本質的に同一の軽鎖を発現させることによって、増加される。この概念は、当技術分野で、「共通の軽鎖」方法とも呼ばれる。本質的に同一な軽鎖が、2つの異なる重鎖と一緒に機能して、異なる抗原結合部位及び付随する異なる結合特性を有する可変ドメインの形成を可能にする場合、細胞によって産生される他の抗体に対する二重特異性抗体の比率は、2つの異なる軽鎖の発現よりも顕著に改善される。細胞によって産生される二重特異性抗体の比率は、2つの同一の重鎖のペアリングよりも、2つの異なる重鎖の互いとのペアリングを刺激することによって、更に改善され得る。当技術分野は、重鎖のかかるヘテロ二量体化が達成され得る種々の方法を記載している。1つの方法は、「ノブ・イントゥー・ホール」二重特異性抗体を作製することである。米国特許出願公開第20030078385号(Arathoonら、-Genentech)を参照のこと。別の及び好ましい方法は、参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願PCT/NL2013/050294(WO2013/157954A1)に記載されている。単一細胞から二重特異性抗体を産生するための方法及び手段は、開示されており、それによって、単一特異性抗体の形成よりも、二重特異性抗体の形成が優先される手段が提供される。
本開示で言及される配列は、以下及び図1に示される。
配列1A(erbB-2特異的)
MF2926:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLQQSGPELVKPGASVMISCKASGYSFTGYHMNWVKQSPEKSLEWIGDINPSIGTTAHNQIFRAKATMTVDKSSNTAYMQLKSLTSEDSGVFYCVRRGDWSFDVWGTGTTVTVSS
CDR1: GYHMNWVKQSPEKSLE
CDR2: NQIFRA
CDR3: RGDWSFDV
MF2930:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
EVQLQQSGAELVKPGASVMMSCKVSGYTFTSYPIAWMKQVHGKSLEWIGNFHPYSDDTKYNENFKGKATLTVEKSSSTVYLELSRLTSDDSAVYYCARSNPLYYFAMDYWGQGTSVTVSS
CDR1: SYPIAWMKQVHGKSLE
CDR2: NENFKG
CDR3: SNPLYYFAMDY
MF1849:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGDYGSYSSYAFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: SYGMH
CDR2: VISYDGSNKYYADSVKG
CDR3: GDYGSYSSYAFDY
MF2973:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLKQSGAELVRPGASVKLSCKASGYIFTGYYINWLRQRPGQGLEWIAKIYPGSGNTYYNEKFRGKATLTAEESSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARGPHYDYDGPWFVYWGQGTLVTVSS
CDR1: GYYINWLRQRPGQGLE
CDR2: NEKFRG
CDR3: GPHYDYDGPWFVY
MF3004:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLKQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTGYYINWVKQRPGQGLEWIARIYPGSGYTYYNEKFKGKATLTAEESSSTAYMHLSSLTSEDSAVYFCARPHYGYDDWYFGVWGTGTTVTVSS
CDR1: GYYINWVKQRPGQGLE
CDR2: NEKFKG
CDR3: PHYGYDDWYFGV
MF2971:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLKQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTAYYINWVKQRPGQGLEWIARIYPGSGYTYYNEIFKGRATLTADESSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARPPVYYDSAWFAYWGQGTLVTVSS
CDR1: AYYINWVKQRPGQGLE
CDR2: NEIFKG
CDR3: PPVYYDSAWFAY
MF3025:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLKQSGAELVRPGTSVKLSCKASGYTFTGYYINWVKQRPGQGLEWIARIYPGSGYTYYNEKFKGKATLTAEESSNTAYMHLSSLTSEDSAVYFCARPHYGYDDWYFAVWGTGTTVTVSS
CDR1: GYYINWVKQRPGQGLE
CDR2: NEKFKG
CDR3: PHYGYDDWYFAV
MF2916:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTGYYINWVKQRPGQGLEWIARIYPGSGHTSYNEKFKGKATLTTEKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARPIYFDYAGGYFDVWGTRTSVTVSS
CDR1: GYYINWVKQRPGQGLE
CDR2: NEKFKG
CDR3: PIYFDYAGGYFDV
MF3958:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKLSCKASGYTFTAYYINWVRQAPGQGLEWIGRIYPGSGYTSYAQKFQGRATLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARPPVYYDSAWFAYWGQGTLVTVSS
CDR1: AYYIN
CDR2: RIYPGSGYTSYAQKFQG
CDR3: PPVYYDSAWFAY
MF3031:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLQQSGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTAYYINWVKQRPGQGLEWIAKIYPGSGYTYYNENFRGKATLTAEESSSTAYIQLSSLTSEDSAVYFCARGVYDYDGAWFAYWGQGTLVTVSS
CDR1: AYYINWVKQRPGQGLE
CDR2: NENFRG
CDR3: GVYDYDGAWFAY
MF3991:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKLSCKASGYTFTAYYINWVRQAPGQGLEWIGRIYPGSGYTSYAQKFQGRATLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARPHYGYDDWYFGVWGQGTLVTVSS
CDR1: AYYIN
CDR2: RIYPGSGYTSYAQKFQG
CDR3: PHYGYDDWYFGV
配列1B(erbB-3特異的)
MF3178:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDHGSRHFWSYWGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: GYYMH
CDR2: WINPNSGGTNYAQKFQG
CDR3: DHGSRHFWSYWGFDY
MF3176:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDWWYPPYYWGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: SYAMS
CDR2: AISGSGGSTYYADSVKG
CDR3: DWWYPPYYWGFDY
MF3163:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCAKDSYSRHFYSWWAFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: GYYMH
CDR2: WINPNSGGTNYAQKFQG
CDR3: DSYSRHFYSWWAFDY
MF3099:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
EVQLQQPGAELVRPGTSVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGILDPSDSYTTYNQKFKGKATLTVDTSSSIAYMQLSSLTSEDSALYYCARGGDYDEGGAMDYWGQGTSVTVSS
CDR1: SYWMH
CDR2: ILDPSDSYTTYNQKFKG
CDR3: GGDYDEGGAMDY
MF3307:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARGSRKRLSNYFNAFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: GYYMH
CDR2: WINPNSGGTNYAQKFQG
CDR3: GSRKRLSNYFNAFDY
配列1C
共通の軽鎖
IGKV1-39Aの可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTP
CDR 1: RASQSISSYLN
CDR 2: AASSLQS
CDR 3: QQSYSTPPT

IGKV1-39/jk1
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK
共通の軽鎖IGKV1-39/jk1(定常領域に下線を付す)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
IGKV1-39/jk5共通の軽鎖可変ドメイン
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPITFGQGTRLEIK
配列1D(erbB-2特異的)
erbB-2結合のための重鎖
QVQLVQSGAEVKKPGASVKLSCKASGYTFTAYYINWVRQAPGQGLEWIGRIYPGSGYTSYAQKFQGRATLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARPPVYYDSAWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTDPPSREEMTKNQVSLTCEVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
erbB-3結合のための重鎖
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDHGSRHFWSYWGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTKPPSREEMTKNQVSLKCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
配列1E
HER2特異的Ab配列
MF2889:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
EVQLQQSGAELVRPGTSVKVSCKASGYAFTNYLIEWVKQRPGQGLEWIGVIYPEGGGTIYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSGLTSEDSAVYFCARGDYDYKYAMDYWGQGTSVTVSS
CDR1: NYLIE
CDR2: VIYPEGGGTIYNEKFKG
CDR3: GDYDYKYAMDY
MF2913:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
EVKLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYSFTDYKMDWVKQSHGKSLEWIGNINPNSGGVIYNQKFRGKVTLTVDRSSSAAYMELRSLTSEDTAVYYCSRGLWDAMDSWGQGTSVTVSS
CDR1: DYKMDWVKQSHGKSLE
CDR2: NQKFRG
CDR3: GLWDAMDS
MF1847:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGWWHPLLSGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: SYGMH
CDR2: VISYDGSNKYYADSVKG
CDR3: GWWHPLLSGFDY
MF3001:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
EVQLQQSGAELAKPGASVKLSCKTSGYNFPIYWMHWVKQRPGRGLEWIGYINPSTGYIKNNQKFKDKATLTADKSSNTAYMQLNSLTYEDSAVYYCTREGITGFTYWGQGTLVTVSS
CDR1: IYWMHWVKQRPGRGLE
CDR2: NQKFKD
CDR3: EGITGFTY
MF1898:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDGFRRTTLSGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: SYGMH
CDR2: VISYDGSNKYYADSVKG
CDR3: DGFRRTTLSGFDY
MF3003:erbB-2結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLKQSGPELVKPGASVKISCKASGDAFSYSWMNWVKQRPGKGLEWIGRIYPGDGDINYNGKFKGKATLTADKSSSTAHLQLNSLTSEDSAVYFCARGQLGLEAWFAYWGQGTLVTVSS
CDR1: YSWMNWVKQRPGKGLE
CDR2: NGKFKG
CDR3: GQLGLEAWFAY
HER3特異的Ab配列
MF6058:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGADVKKPGASVKVTCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQALEWMGWINPQSGGTNYAKKFQGRVSMTRETSTSTAYMQLSRLRSDDTATYYCARDHGSRHFWSYWGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: GYYMH
CDR2: WINPQSGGTNYAKKFQG
CDR3: DHGSRHFWSYWGFDY
MF6061:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPQSGGTNYAQKFKGRVTMTRDTSTSTAYMELSRLRSDDTAVYYCARDHGSRHFWSYWGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: GYYMH
CDR2: WINPQSGGTNYAQKFKG
CDR3: DHGSRHFWSYWGFDY
MF6065:erbB-3結合抗体の重鎖可変領域配列
核酸配列(下線配列は、リーダーペプチドの末端をコードする):
アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPQGGSTNYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSRLRSEDTAVYYCARDHGSRHFWSYWGFDYWGQGTLVTVSS
CDR1: SYYMH
CDR2: WINPQGGSTNYAQKFQG
CDR3: DHGSRHFWSYWGFDY
明確さ及び簡潔な記述を目的として、特徴は、同じ又は別々の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、本発明の範囲は、記載された特徴の全て又は一部の組合せを有する実施形態を含み得ることが理解される。
MF3178バリアントのアミノ酸アラインメントを示す図である。ドットは、その位置におけるMF3178と同じアミノ酸を示す。MF3178のCDR1、CDR2及びCDR3配列は、太字かつ下線である。 モノクローナル抗体よりも増加した二重特異性抗体のin vivo腫瘍標的化を示す図である。マイクロ-PET画像化により、PB4188バリアントが、HER3モノクローナルと比較して、腫瘍中により効率的に蓄積することが実証されている。 モノクローナル抗体よりも増加した二重特異性抗体のin vivo腫瘍標的化を示す図である。腫瘍中に存在する放射活性のガンマ-カウンター定量化により、腫瘍中のPB4188バリアントのレベルが、親抗HER3抗体のレベルよりも2.5倍高いことが確認された。 モノクローナル抗体よりも増加した二重特異性抗体のin vivo腫瘍標的化を示す図である。48時間の時点での、4つのmAb群における腫瘍取込みについての定量的体内分布。結果は、組織1グラム当たりの注射用量の百分率(%ID/g)として示され、エラーバーは、±SDを示す。 EGFR:HER2、HER2:HER3及びHER2:HER4アッセイにおける、抗体アンタゴニスト様式の用量応答曲線を示す図である。レポーター細胞を、EGFR:HER2の場合には2.5K/ウェルで、又はHER2:HER3及びHER2:HER4の場合には5K/ウェルで、37℃で4時間播種した。抗体を段階希釈し、37℃で3時間インキュベートし、その後、EGFR:HER2又はHER2:HER3及びHER2:HER4の場合、それぞれ、10ng/ml EGF又は30ng/ml HRG-β2で16時間刺激した。アゴニストの参照刺激曲線を、リガンド単独の滴定を24時間インキュベートすることによって得た。各データポイントは、1つの用量について4つの複製の平均及び標準偏差を示す。データを、GraphPad Prismでプロットし、曲線フィッティングを、log(阻害剤)対応答変数応答(4パラメーター)フィッティングを使用して実施して、IC50を計算した。 図3Aの続きを示す。 異なる群中のマウスの体重変化を示す図である。MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体を、OV-10-0050樹立腫瘍を有する雌性BALB/cヌードマウスに投与した後の体重変化。データポイントは、群平均体重を示す。エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。 体重の相対的変化(%)を示す図である。BW変化を、投薬の初日の動物体重に基づいて計算した。データポイントは、BWにおけるパーセント群平均変化を示す。エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。 腫瘍成長曲線を示す図である。MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体を、OV-10-0050樹立腫瘍を有する雌性BALB/cヌードマウスに投与した後の腫瘍体積トレース。データポイントは、群平均を示し、エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。 in vitro及びin vivoでの腫瘍株MDA-MB-175及びOV-10-0050の成長阻害を示す図である。DOC4-NRG1及びCLU-NRG1遺伝子融合物を、それぞれ、MDA-MB-175細胞株(***)及びOV-10-0050PDX(卵巣)において発現させる。左パネル:in vitroのMCLA-128処置は、MDA-MB-175細胞増殖を阻害する。右パネル:in vivoのMCLA-128処置(28日目まで毎週25mg/kg)は、6/8匹の動物において、腫瘍成長を低減させ、腫瘍を排除した。
(実施例1)
ErbB-2ガイドされる標的化
HER2×HER3二重特異性抗体(PB4188)をHER3二価モノクローナル抗体と比較する画像化実験を実施した。bAb PB4188のバリアント及び抗HER3 MF3178(親抗体)を、64Cuで標識し、HER2遺伝子増幅されたJIMT-1腫瘍を異種移植したマウスに静脈内注射した。マイクロ-PET画像化により、PB4188バリアントが、HER3モノクローナルと比較して、腫瘍中により効率的に蓄積したことが実証された(図2A)。腫瘍中に存在する放射活性のガンマ-カウンター定量化により、腫瘍中のPB4188バリアントのレベルが、親抗HER3抗体のレベルよりも2.5倍高いことが確認された(図2B)。全体として、in vitro及びin vivoデータにより、HER2標的化が、腫瘍細胞へのPB4188の増強された結合を担うことが実証されている。抗HER2(MF3958)抗体を使用して、更なる試験を実施した。図2Cは、64Cuで標識し、HER2遺伝子増幅されたJIMT-1腫瘍を異種移植したマウスに注射したそれぞれの抗体の結果をまとめる(各抗体処置についてn=4匹のマウス)。
方法
体内分布試験。bAb PB4188のバリアント、抗HER2 MF3958及び抗HER3 MF3178を、二官能性キレーターにコンジュゲート化した[Paterson 2014 Dalton Transactions]。コンジュゲート化産物の標的への結合特徴を、フローサイトメトリーベースのアッセイを使用して確認した。次いで、タンパク質を、64Cuで標識し、JIMT-1***異種移植片を有するマウスに、尾部静脈を介して(図2A〜図2B、そして図2Cについては「i.v.」)又は腹腔内で(図2Cについて「i.p.」)、放射能標識した抗体を投与した。マイクロPET/CT画像を、注射の48時間後に獲得し、その後、腫瘍を切除し、放射活性をガンマカウンターで測定した。結果を、組織1グラム当たりの注射用量の百分率として示した。
(実施例2)
ヘテロ二量体形成の阻害
酵素断片補完テクノロジーに基づくヘテロ二量体化アッセイを使用した。β-ガラクトシダーゼ酵素は、近接近したときにのみ組み合わさって活性な酵素になる2つの不活性断片、酵素ドナー及び酵素アクセプターへと、人工的に分割することができる。酵素ドナー又は酵素アクセプターのいずれかをコードする各配列を、各ヘテロ二量体化パートナーの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインに連結させる。次いで、両方の遺伝子を、U2OS細胞中に共トランスフェクトして、β-ガラクトシダーゼの一方のドメイン(ED又はEA)に連結されたRTK受容体の細胞外ドメインを発現させる。一方のRTK受容体のアゴニスト刺激の際に、両方のRTK受容体が二量体化し、完全に再構成された活性β-ガラクトシダーゼ酵素の形成を誘導する。最終的に、β-ガラクトシダーゼ活性を、ハイブリダイゼーションの際に発光をもたらす基質を添加することによって測定する。
抗体を、EGFR:HER2、HER2:HER3及びHER3:HER4ヘテロ二量体化レポーター細胞株において試験した。RTKヘテロ二量体化アッセイを、二重特異性抗体MCLA-128(MF3178アーム及びMF3958アーム);抗HER3抗体MF3178/PG3178及びPG3793/AMG-888/パトリツマブ;並びに抗HER2抗体MF3958/PG3958、PG2867/トラスツズマブ、PG2869/ペルツズマブ及びPerjeta(ペルツズマブの臨床的バッチ)を用いて実行した。EGFR:HER2及びHER2:HER3、HER2:HER4アッセイにおけるEGF及びHRG滴定は、用量依存的アゴニスト応答を示した(図3)。MCLA-128は、HER2:HER3二量体形成の完全な阻害を特異的に示したが、EGFR:HER2ヘテロ二量体化にもHER2:HER4ヘテロ二量体化にも影響を有さなかった。対照的に、トラスツズマブ(PG2867)は、EGFR:HER2アッセイ及びHER2:HER3アッセイにおいて、部分アンタゴニストとして挙動した。
MCLA-128及びPG3178は、最も高い強度で、HRG誘導性HER2:HER3二量体化を完全に阻害した(Table 1(表1))。
HER2:HER3アッセイでは、トラスツズマブの強度は、MCLA-128又はPG3178の約4分の1であった。Perjeta(臨床的ペルツズマブ)は、3つ全てのアッセイにおいて完全アンタゴニストとして挙動し、PG2867(ペルツズマブ)と類似のプロファイルを生じた。HER2:HER4アッセイでは、抗HER2 PG3958及びPG2867(ペルツズマブ)は共に、用量依存的のように見える、二量体化における軽微な減少を示した。EGFR:HER2アッセイでは、小さい非特異的応答が、高濃度のPG1337、MCLA-128、PG3178及びPG3958において観察された。
MCLA-128は、HER2:HER3ヘテロ二量体のみの特異的阻害を示した。これは、HER2への結合の際に、MCLA-128が、EGF刺激の際のHER2とEGFRとの相互作用を立体的に損なうことも、HRG刺激の際のHER2とHER4とのヘテロ二量体化を損なうこともないはずであることを示している。
後者は、T47D細胞のHRG誘導性細胞周期ベースの増殖アッセイにおける観察と一致している。これらの細胞を使用したアッセイは、MCLA-128の阻害活性もPG3178の阻害活性も実証できなかったが、これは、HER3と比較したHER4のより高い発現におそらくは起因した。HRGは、T47D細胞では、HER2:HER3の代わりにHER2:HER4を介して好ましくはシグナル伝達すると考えられ、これは、MCLA-128の効力の欠如を説明し、HRG誘導性HER2:HER4二量体に対してではなくHRG誘導性HER2:HER3二量体に対するMCLA-128の特異性を示す。
本試験では、トラスツズマブは、それぞれEGFR:HER2及びHER2:HER3のEGF誘導性ヘテロ二量体化及びHRG誘導性ヘテロ二量体化を遮断した。トラスツズマブ及びペルツズマブは、それぞれ、部分アンタゴニスト及び完全アンタゴニストとして挙動したが、これは、トラスツズマブが、HER2のリガンド非依存的活性化を遮断し、ペルツズマブがリガンド依存的シグナル伝達を遮断するという、一般に受容された主張と一致している。これらのアッセイにおいてトラスツズマブ阻害応答が観察されるという事実は、両方の標的の過剰発現に起因する可能性がある。これは、伝統的な免疫沈降実験よりも高感度な読み出しを可能にし得る。
最後に、PG3793は、MCF-7に対して、PG3178よりも低い結合親和性を示したが、HER2:HER3ヘテロ二量体化アッセイにおけるそのより低い強度は、あまり激しくない(結合アッセイ親和性における30倍の差異に対して、二量体化アッセイ強度における2.5倍の差異)。結合親和性とアンタゴニズム強度との間のこの矛盾は、MCLA-128及びPG3178の場合に以前に観察されていた。PG3178は、MCLA-128よりもわずかに良い親和性でMCF-7に結合するが、MCLA-128は、細胞周期ベースの増殖アッセイにおいて、PG3178よりも優れている。
(実施例3)
試験目的及び規制順守
本試験の目的は、BALB/cヌードマウスにおけるOV-10-0050の皮下ヒト卵巣癌PDXモデルの処置における、MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体のin vivo抗腫瘍効力を評価することである。
実験設計
実験設計は、table 2(表2)に示される。全ての群において、血液を、4匹の動物において2日目(最初の用量の24時間後)にサンプリングし、残り4匹の動物において6日目(最初の用量の5日後)にサンプリングした。指定された時点において、50〜100μlの血液を、無菌収集チューブ(Microvette CB300Z凝固活性化因子/血清、Sarstedt B.V. カタログ番号16.440.100)中に収集して、サンプルを室温で45分間凝固させ、3000rpmで10分間遠心分離し、別の1.5mL無菌Eppendorf中に水性層(約20μlの血清)を取り、-80℃で即座に貯蔵した。サンプルは、ドライアイス上で出荷する。
全ての動物を、1、8、15、22、29日目に処置し(5週間にわたり毎週の処置)、経路は、全ての群についてI.P.であった。
腫瘍サンプルを、最後の用量の48時間後(31日目)に回収した。腫瘍を、中性緩衝ホルマリン(少なくとも1:20の組織:固定液比)中で24時間固定し、次いで、FFPEブロックに変換した。
中性緩衝ホルマリンの調製:1バッグのPBS粉末を透明な5Lメスフラスコ中に入れ、4.5L脱イオン水を添加し、撹拌して粉末を分散させて、透明な溶液を得る。次いで、500mlホルムアルデヒドを添加して、均一な溶液が達成されるまで撹拌した。
材料
動物:種:マウス(Mus musculus):株:BALB/cヌード;齢:6〜8週齢;性別:雌性;体重:18〜22g;動物数:32匹のマウス+予備
動物供給業者:Shanghai Sino-British SIPPR/BK Laboratory Animal Co., LTD.社
食餌:動物は、試験期間全体の間、照射滅菌した乾燥顆粒食への自由なアクセスを有した;水:動物は、無菌飲用水への自由なアクセスを有した。
抗体の包装及び貯蔵条件:
MCLA-128;クライオバイアル、2.5mg/mlで10×1.5ml/バイアル、4℃で貯蔵
PG2863;クライオバイアル、2.5mg/mlで10×1.5ml/バイアル、4℃で貯蔵
PG2869;クライオバイアル、2.5mg/mlで10×1.5ml/バイアル、4℃で貯蔵
PDXモデルの生成
OV-10-0050のヒト卵巣癌PDXモデルは元々、卵巣のグレード3の腺癌を呈する48歳の女性患者から樹立されたものであった。外科的に切除された臨床サンプルを、ヌードマウス中に移植し(継代0、P0として定義)、その後の連続移植を、P1、P2等として定義した。P6腫瘍組織をこの試験に使用した。
腫瘍移植
各マウスに、腫瘍発症のために、ハサミによって切断したOV-10-0050 P6腫瘍スライス(約30mm3)を右脇腹に皮下移植した。処置を、腫瘍移植の30日後に開始したが、これは、平均腫瘍サイズがおよそ152mm3に達した日である。32匹の腫瘍保有マウスを、層別ランダム化方法を用いて4つの群へとランダム化し、各群は、8匹の腫瘍保有マウスからなった。ランダム化の日を1日目とし、これは処置の開始の日であった。試験物品を、実験設計表(Table 2(表2))に示されるように、所定のレジメンに従ってマウスに投与した。
観察
試験における動物の取り扱い、世話及び処置に関する全ての手順は、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care(AAALAC)のガイダンスに従い、WuXi AppTecのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたガイドラインに従って実施した。慣用的なモニタリングの時点で、動物を、正常な挙動、例えば、運動性、食物及び水の消費(目視検査のみによる)、体重増加/減少(体重は、1週間に2回測定した)、眼/毛のマッティング(matting)に対する、腫瘍の成長及び処置の任意の影響、並びにプロトコール中に述べられた任意の他の異常な影響について毎日チェックした。死亡及び観察された臨床徴候を、各サブセット内の動物数に基づいて記録した。
腫瘍測定
腫瘍成長を遅延できたか、又はマウスを治癒できたかを試験した。腫瘍サイズを、ノギスを使用して2つの次元で1週間に2回測定し、体積を、式:V=0.5a×b2を使用してmm3で表し、式中、a及びbはそれぞれ、腫瘍の長い直径及び短い直径である。次いで、腫瘍サイズを、T-C、T/C及びTGI値の計算のために使用した。T-Cを、処置群の腫瘍が所定のサイズ(例えば、500mm3)に達するのに必要な時間の中央値(日)としてのT、及び対照群の腫瘍が同じサイズに達するのに必要な時間の中央値(日)としてのCを用いて計算した。T/C値(パーセント)は、抗腫瘍有効性の指標である;T及びCはそれぞれ、所与の日における、処置群及び対照群の平均体積であった。TGIを、各群について式:TGI(%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100を使用して計算した;Tiは、所与の日における処置群の平均腫瘍体積であり、T0は、処置の初日における処置群の平均腫瘍体積であり、Viは、Tiと同じ日におけるビヒクル対照群の平均腫瘍体積であり、V0は、処置の初日におけるビヒクル群の平均腫瘍体積であった。
統計分析
平均及び平均の標準誤差(SEM)を含む要約統計量を、各時点における各群の腫瘍体積について提供する(table 3(表3)に詳述される)。群間での腫瘍体積における差異の統計分析及び薬物相互作用の分析を、最終用量(群分けの29日後)の後の最良の治療的時点において得たデータに対して実施した。
一元配置ANOVAを実施して、群間で腫瘍体積を比較し、有意なF-統計量(P<0.001、処置分散の誤差分散に対する比)が得られた場合、群間の比較を、ゲイムス・ハウエルを用いて実施した。全てのデータをSPSS 17.0を使用して分析した。p<0.05を、統計的に有意とみなした。
結果
死亡率、罹患率及び体重増加又は減少
動物体重を、毒性の間接的尺度として定期的にモニタリングした。試験物品投与の結果として体重を減少させた群は観察されず(図4)、死亡も罹患率も観察されなかった。従って、MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体の、腫瘍保有BALB/cヌードマウスへの投与と関連する明らかな毒性は存在しないようである。
MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体を投薬した、OV-10-0050異種移植片を有する雌性BALB/cヌードマウスにおける体重変化が、図4及び図5に示される。MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体を投薬した、OV-10-0050異種移植片を有する雌性BALB/cヌードマウスにおける経時的な平均腫瘍体積は、Table 3(表3)に示される。図6は、腫瘍成長を示す。
結果及び考察
この試験では、OV-10-0050ヒト卵巣癌異種移植モデルの処置における単剤としてのMCLA-128、PG2863及びPG2869抗体の治療効力を評価した。腫瘍接種後の異なる時点における異なる群における腫瘍サイズの結果は、Table 3(表3)、Table 4(表4)及び図4に示される。
ビヒクル処置した対照マウスの平均腫瘍サイズは、群分けの29日後に1,161mm3に達した。25mg/kg(QW×5週間)の試験物品MCLA-128、PG2863及びPG2869抗体による処置は、有意な抗腫瘍活性を生じた:それらの平均腫瘍サイズは、同じ時点において、それぞれ23、108及び1mm3であり(それぞれ、T/C値=1.95%、9.28%及び0.06%;TGI値=112.78%、104.37%及び114.96%;p値=0.002、0.003及び0.002)、それらの腫瘍成長は全て、500mm3の腫瘍サイズにおいて、ビヒクル群と比較して14日間超遅延する。処置は、腫瘍の部分的退縮又は完全な退縮を引き起こす。腫瘍体積が、試験の過程の間の3回の連続する測定についてその1日目の体積の50%若しくはそれよりも大きく低減された場合、又はこれら3回の測定のうち1若しくは複数について≧13.5mm3であった場合、マウスを、部分的退縮(PR)を有するとみなした。そして、試験の過程の間の3回の連続する測定について<13.5mm3であった場合、マウスを、完全な退縮(CR)を有するとみなした。触知可能な腫瘍が試験の最後に検出されなかった場合、無腫瘍生存とみなした。
MCLA-128、PG2863及びPG-2869による処置は、異なる割合のPR、CR及びTFSを生じた。PR、CR及びTFSを示す各群中のマウスの量は、table 5(表5)に示される。全ての試験物品は、腫瘍保有動物によって十分に耐容性が示された。処置群の全てにおいて体重減少は観察されなかった。
まとめると、単剤としての3つの試験抗体は全て、この試験において、OV-10-0050ヒト卵巣癌異種移植モデルに対して有意な抗腫瘍活性を生じた。これは、腫瘍保有動物によって十分に耐容性が示された。これらの結果は、これらの抗体が安全かつ有効な抗癌剤であることを示した。
(実施例4)
MCLA-128は、癌細胞の増殖及び生存に関与するHER2及びHER3受容体チロシンキナーゼ(RTK)を標的化する二重特異性抗体である。MCLA-128は、ヘレグリン(HRG)誘導性HER3シグナル伝達及び増殖に関して広範に試験されてきた。MCLA-128は、以下よりも強いin vitro強度を実証している:それぞれリガンド依存的及びリガンド非依存的HER2:HER3シグナル伝達を遮断できる抗HER2抗体ペルツズマブ(PG2869)+トラスツズマブ(PG2867)の組合せ[Agus 2002; Juntilla 2009];HRG誘導性HER3活性化を遮断する抗HER3 MM-121(PG2863)[Schoeberl 2010]。
MCLA-128はまた、HRG遺伝子を含む遺伝子融合物を発現する細胞において抗腫瘍活性を示す。MDA-MB-175細胞株は、DOC4-NRG1遺伝子融合物を含み、NRG1発現に起因して増殖オートクラインループを生じる。この遺伝子融合物は、癌患者設定では今日まで発見されていない[Sanchez-Valdivieso 2002]。
乳癌細胞株のパネルから、MDA-MB-175細胞は、単剤MCLA-128に対して感受性であったが、これは、この細胞株におけるHER3/HRGシグナル伝達軸の重要性を実証している(図7左パネル)。この細胞株におけるHER2の活性化も、in vivoで実証されており、トラスツズマブではなくペルツズマブの単一用量が、同所性MDA-MB-175腫瘍成長を阻害した。乳癌患者におけるDOC4-NRG1遺伝子融合物の関連性は議論されてきたが[Sanchez-Valdivieso 2002]、他の遺伝子融合物が最近注目を集めている。特に、CD74-NRG1融合物は、非小細胞肺癌の下位集団である浸潤性粘液性腺癌において、独立したグループによって報告されている[Fernandez-Cuesta 2014、Duruisseaux 2016]。いくつかの他のNRG1遺伝子融合物、即ち、肺癌ではVAMP2-NRG1、RBPMS-NRG1及びWRN-NRG1、並びに卵巣癌ではRAB2IL1-NRG1もまた検出されている[Jung 2015、Dhanasekaran, 2014]。遺伝子融合物のこの多様性は、転座に対して感受性である、染色体8上のNRG1遺伝子の位置に関連し得る[Adelaide 2003]。
OV-10-0050は、HER依存的であることが見出された。アファチニブ(HER3のトランスリン酸化もまた阻害する、EGFR及びHER2の不可逆的阻害剤)による処置は、腫瘍成長阻害をもたらした。MCLA-128の抗腫瘍効力を、PBSに対して比較した(図7、右パネル)。
マウス:NOD-SCID、Crl:NU(NCr)-Foxn1nu及びBALB/cヌードマウス。抗体を、4週間の間25mg/kgで投薬する。腫瘍体積を、ノギスによって1週間に2回測定する。
(実施例5)
固形腫瘍を有する患者における、HER2及びHER3を標的化する全長IgG1二重特異性抗体MCLA-128のフェーズI/II試験
試験持続時間:
試験の用量漸増パート(パート1、2015年2月3日に最初の患者に投薬)への登録は、28人の患者を補充した後に完了している。試験のパート2、用量増大フェーズの最初の患者には、欧州で2016年1月15日に投薬がされた。パート2の総持続時間は、およそ25〜32カ月である;しかし、実際の持続時間は、いくつかの変数、例えば、対象補充率全体によって影響される。
場所の数:
最大で13の場所が、試験の間に関与すると見積もられる。更なる場所を、許容される登録率が存在することを確実にするため、又は非登録/休薬場所を交換するために追加してもよい。
患者数:
28人の患者をパート1に登録した。パート2について、少なくとも20人であり最大でおよそ40人の評価可能な患者を、浸潤性粘液性腺癌又は報告されたNRG1融合物を有する群分けされた進行した/転移性非小細胞肺癌;NSCLCに登録できる。
疾患進行以外の理由に起因して少なくとも2サイクルの試験処置を完了しない患者は、効力について評価不能であり、それぞれの群において交代させられる。
この実施例は、パート2を記載する。この実施例は、Erb-2、Erb-3結合二重特異性抗体MCLA-128の投与を記載しているが、この実施例は、この具体的な実施形態の使用に限定されることを意図せず、本明細書に開示される他の二重特異性抗体に当てはまる。
試験設計:
これは、MCLA-128の安全性、忍容性、PK、PD、免疫原性及び抗腫瘍活性を評価するためのフェーズI/II非盲検多施設多国籍用量漸増単一群割当て試験である。
この試験は、2つのパートで設計される:
パート1
試験のパート1への登録は、2015年11月24日に達成され、2017年1月24日の時点で、パート1の全ての患者が試験を完了した。9つの用量レベルを調査した:1人の患者のコホートにおいて40mg、80mg、160mg、3人の患者のコホートにおいて240mg、360mg、480mg、600mg、750mg及び900mg。MCLA-128を最初に、3週間の処置サイクルの1日目におよそ60分間かけて与えた。パート1の間、注入関連反応(IRR)を軽減するために、選択肢としてそれを4時間まで増加させて、注入持続時間を2時間まで延長した。
これらの用量レベルのいずれにおいても、用量規制毒性(DLT)は経験されなかった。十分なPK情報を得るために、600mgコホート及び750mgコホートの各々中の3人の更なる患者に投薬した。
900mgの用量レベルでは、MTDには達しなかったので、MCLA-128-CL01についてのData Review Committee(DRC)は、累積的安全性、入手可能なPKデータ及びPKシミュレーションに基づいて、試験のRP2Dとして750mgの用量レベルを割り当てることを決定した。
パート2
パート2は、MCLA-128の選択された用量レベルの安全性及び忍容性の更なる特徴付け、並びに選択された患者集団の増大群中の、CR、PR又は持続性のSD(持続時間が少なくとも12週間にわたるSD)の患者の割合として定義されるCBRの評価を含む。
初回投与のための800mgの負荷用量と共に、最初の2サイクルにわたる毎週400mgの一律用量からなる、4週間サイクルを用いる毎週用量レジメンを、新たに補充した患者において評価する。サイクル3からは、MCLA-128を、毎週400mgの用量で3週間与え、その後1週間休薬する。義務事前薬物療法を投与して、IRRを軽減する。しかし、コルチコステロイドは、サイクル1の1日目の負荷用量の前にのみ義務であり、IRRを管理するための引き続く注入には、治験責任医師の裁量に従ってのみ使用すべきである。
毎週スケジュールの安全性を、処置された最初の5人の患者が少なくとも2回の処置サイクルを完了した後、慣らし期間の間に検討する。DRCは、グレード3〜4の毒性の発生率、IRRの発生率及び重症度、並びに服薬順守に焦点を当てて、全ての安全性データを検討する。DRCの検討により毒性が許容できないと結論されると、試験依頼者は、コホート1つ当たり十分な数の患者が登録されるまで、3週間サイクルの用量レジメンで患者登録を続ける。
患者内用量漸増は、パート2では許容されない。
試験のパート2で評価される目的の患者集団は、以下である:
・報告されたNRG1融合物を有するNSCLC-アジアでの補充についてのみオープン
少なくとも20人であり最大でおよそ40人の患者を、毎週推奨用量で処置するコホート1つ当たり最低10人の患者を含む各群(C〜F)に登録できる。以前にクローズしたコホートを再オープンさせてもよい。
処置の持続時間
試験のパート1及びパート2の両方中の患者は、疾患進行、死亡、許容できない毒性又は任意の他の理由での中止まで、処置を維持できる。
Data Review Committee(DRC):
パート1における全ての用量漸増決定は、全ての入手可能な安全性データ及びPKデータを検討するために召集されたDRCが行った。DRC参加者には、主任治験責任医師(又は彼らの代表者)、試験依頼者の医療ディレクター、試験医療モニター、試験医薬品安全性監視医師、試験プロジェクトマネージャー、試験統計学者、及び必要に応じて招待された専門家(例えば、臨床薬理学専門家)が含まれた。
パート2では、DRCは、全ての引き続く患者において毎週用量レジメンを増大させる前の毎週用量についての安全性慣らし期間の完了後のデータを検討する。
試験評価:
この試験は、分子事前スクリーニング評価の最大で4週間(28日間)のスクリーニング期間と、その後の任意の理由での処置の休薬又は終結までの逐次的処置サイクルとからなる。処置サイクル持続時間は、パート2で初回推奨用量で処置した患者については3週間(21日間)であり、パート2で毎週推奨用量で処置した患者については4週間(28日間)である。全ての患者が、処置休止後1週間以内の処置来診の最後、及び処置の最後又は試験の中止の30日後の最終試験来診時に通院しなければならない。
進行することも、最終試験来診の完了に関する合意を撤回することもなかった患者は、最大で2年間(およそ)にわたって3カ月毎に追跡して、次の抗癌処置の開始まで、患者の疾患進行及び/又は生存状態をチェックする。
試験の間の安全性データ並びに入手可能なPK、PD及び抗腫瘍活性データの進行中の評価が、代替的投薬頻度を評価すべきであることを示唆する場合、又は他の患者集団をパート2において評価すべきであることを示唆する場合、これらの改変は、これらの評価を開始する前にプロトコール修正で明確にされる。
分子事前スクリーニング及びスクリーニング:
分子事前スクリーニングを、NRG1融合物についての分子スクリーニングを実施するのに適格とされた地域の実験室において実施する。事前スクリーニングを開始するために、患者は、以下の基準のうち1つを満たす必要がある:
・IMAの組織学的診断、及びEGFR/ALK変更の報告された非存在。注意:NRG1融合物についての事前スクリーニング試験を実施しなかったIMA患者は、試験に入ることができる。
又は
・病理学的試験はIMA診断をもたらさないが、症状、画像化特徴(例えば、限局性の硬化(consolidation)、複数の両側性小結節又は硬化)、非喫煙者、及びEGFR/ALK変更の報告された非存在に基づいて、治験責任医師がIMAを疑う。
新鮮な又はアーカイブの腫瘍組織を、NRG1融合物状態の決定のための分析に提出する前に、潜在的な試験参加について特定されたNSCLC患者は、分子事前スクリーニングのインフォームドコンセントフォーム(ICF)にサインしなければならない。試験は、サイクル1の1日目の前最大で1年間までの、疾患の自然経過の任意の時点(例えば、診断時、第1選択の治療の間、進行時等)において実施できる。新鮮な腫瘍サンプル(ホルマリン固定パラフィン包埋;FFPE)又は1年よりも古くはないアーカイブの腫瘍サンプルが、NRG1融合物の存在の評価のために必要とされる。サンプルは、NRG1融合物状態の分子プロファイリング(PCR、次世代配列決定[DNA又はRNA]又はFISH)による試験に適格とされた地域の実験室に提出すべきである。次いで、陽性局所NRG1融合物の結果を有する患者は、本試験に入る意思があり本試験に入ることができる場合、本試験ICFにサインするのに適格である。
主要インフォームドコンセントフォーム
任意のスクリーニング手順又は評価が実施される前に全ての患者が、本試験ICFにサインしなければならない。スクリーニング評価を、サイクル1の1日目の7日以内に実施すべき血清妊娠試験を例外として、サイクル1の1日目の前4週間以内に実施する。スクリーニングについて検討するには、ベースライン義務腫瘍サンプル、好ましくは、新鮮な又はアーカイブの組織由来のブロックが必要である。試験依頼者は、新鮮な組織を優先することを示す。アーカイブは許容され、1年以内でなければならないNSCLC以外については、スクリーニングから2年以内に採取したものでなければならない。NSCLC患者について、事前スクリーニング生検サンプルがNRG1の事前スクリーニングの地域試験に提供される場合であっても、スクリーニングのためのベースライン生検がなおも必要であることに留意すべきである。全ての必要なスクリーニング評価及び全ての適格性基準の確認の完了後、患者は、サイクル1の1日目に投薬を開始できる。
安全性評価
同時発生的な病気は、ベースライン時に捕捉する;AE及び併用治療は、試験参加を通じてモニタリングする。安全性評価には、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)活動指標、身体検査(身長及び体重を含む)、バイタルサイン及び心電図(ECG)を検討することが含まれる。左室駆出分画(LVEF)の心機能試験もまた、スクリーニング時、サイクル4の最後(又はサイクル5の1日目)、試験来診の最後、及び臨床的に必要な場合、試験の間の任意の時点において実施する。実験室評価には、臨床化学、血液学、凝固試験、尿検査及び妊娠試験が含まれる。サイトカインパネル分析は、2017年8月1日まで実施したことに留意のこと。
全てのMCLA-128投与日に、患者は、クリニックからの退院の前に、観察及び反復バイタルサインのために、注入の終了の時点から少なくとも60分間(PKサンプルが必要な場合にはより長い時間)にわたって、クリニックに滞在しなければならない。更なる追加的な安全性評価を、臨床的に必要な場合に実施すべきであり、必要に応じて、クリニックでの入院の持続時間を、治験責任医師の判断に基づいて増加させるべきである。
免疫原性評価
抗MCLA-128抗体の血清力価を、サイクル1、2、3、4の各々について1日目の事前投薬時に測定し、次いで、その後4サイクル毎(サイクル8、12、16等)、並びに処置来診の最後及び最終試験来診時に、MCLA-128投与前-3日のウインドウで測定する。
薬物動態評価
パート1及びパート2の初回推奨用量スケジュール:サイクル1では、血液サンプルを、1日目の事前投薬時、注入の終了(EOI)時、並びにEOIの1、2、4、8、24時間後、次いで、4日目(又は3日目)、8日目及び15日目に、PK分析のために収集する。サイクル2〜4では、事前投薬及びEOI時の血液サンプルのみを収集する。
パート2の毎週推奨用量スケジュール:サイクル1では、血液サンプルを、1日目の事前投薬時、EOI時、EOIの2、4、24時間後、次いで、8日目及び15日目の事前投薬時、並びに22日目の事前投薬及びEOI時に、PK分析のために収集する。サイクル2及び3では、事前投薬及びEOI時の血液サンプルを、15日目に収集する。サイクル4では、血液サンプルを、1日目の事前投薬時、並びに15日目の事前投薬及びEOI時に収集する。その後2サイクル毎に(サイクル6、8、10等)、事前投薬血液サンプルを、15日目に収集する。
腫瘍評価
腫瘍評価を、地域の治験責任医師に従い、RECISTバージョン1.1に従って評価する。画像を、スクリーニング時、及び3週間サイクルのレジメンを受けている患者については各2サイクルの処置の最後に、4週間サイクルのレジメンを受けている患者については6週間毎に取得する。
バイオマーカー及び薬物動力学評価
様々なバイオマーカー及び薬物動力学試験を、アーカイブされた又は既存の腫瘍組織の入手可能性、更なる腫瘍サンプルについての同意、及び特定のバイオマーカー試験についての同意に依存して、アーカイブされた及び/又は新鮮な腫瘍サンプル材料及び/又は血液(液体生検)に対して実施する。
十分なサンプルが入手可能な場合、以下の候補バイオマーカーを評価する:
・HER2、HER3、HER2:HER3二量体化、リン酸化されたHER2(pHER2)及びHER3(pHER3)、並びにヘレグリン;
・循環性血漿腫瘍DNA(ctDNA)及び腫瘍サンプルDNA(入手可能性に依存する)を使用して、HER2及びHER3シグナル伝達と関連するものを含む癌遺伝子中の変異を試験する。
・MAPK及びAKTシグナル伝達経路中のリン酸化された分子;
・Fcガンマ受容体多型;
・HER2についての循環性腫瘍細胞;
・ヘレグリン遺伝子融合物
生殖系列DNA評価は含めない(Fcガンマ受容体多型を除く)。
ベースライン時に、患者には、義務腫瘍サンプル組織、好ましくは、新鮮な又はアーカイブの組織由来であり得るブロックを提供することが求められる。試験依頼者は、新鮮な組織を優先することを示す。アーカイブは許容され、1年以内でなければならないNSCLC以外については、スクリーニングから2年以内に採取したものでなければならない。更に、患者には、任意選択により、サイクル4の最後に、及び任意選択で処置来診の最後に、腫瘍サンプル/生検を提出することが求められる。
液体生検試験を目的として、これらの時点において血液サンプルも採取する。
適格性基準:
試験は、NSCLCを有する患者を登録する。
パート2についての一般的組み入れ基準
1. 18歳以上;
2. RECIST v1.1に従う少なくとも1つの測定可能な病変;
3. ECOGが0又は1の活動指標;
4. 少なくとも12週間の推定平均余命;
5. 脱毛症、臨床的に有意でないと評価されるリンパ球減少症、グレード2の感覚神経毒性を除き、≦グレード1まで解決した、以前の抗癌治療の結果として被った毒性(NCI CTCAE v4.03によって定義される);
6. 最後に受けた放射線療法とMCLA-128による投薬の最初のスケジュールされた日との間の少なくとも4週間の間隔(疼痛緩和のための最大1×8Gyは例外とする);
7. 主要な手術からの完全な回復(安定及び<グレード2の毒性が許容される);
8. スクリーニング時の実験室値:
a. 好中球絶対数≧コロニー刺激因子の支持なしに1.5×109/L;
b. 血小板≧100×109/L;
c. ヘモグロビン≧9g/dL又は≧2.2mmol/L(輸血依存性ではない);
d. 総ビリルビン<正常上限(ULN)の1.5倍(ジルベール症候群に起因しない限り);
e. 肝臓転移を伴う進行した固形腫瘍を有する患者について、AST(SGOT)≦2.5×ULN;ALT(SGPT)≦2.5×ULN;≦5×ULN;ALPにおける>5×ULNの単独上昇を有する、骨転移が確認された患者は、試験で許容される;
f. コックロフト・ゴールトの式に基づいて、血清クレアチニン≦1.5×ULN又は推定糸球体濾過率(GFR)>50mL/分;
g. 凝固機能(INR及びaPTT≦1.5×ULN、治療的抗凝固薬を使用していない限り)
h. 尿タンパク質≦2+(尿試験紙によって測定する)又は≦100mg/24時間の尿;
9. ベースライン時に、義務腫瘍生検サンプル(FFPE)、好ましくは、新鮮な(好ましい)又はアーカイブの組織由来のブロックを提供できる。アーカイブの組織は、1年以内でなければならないNSCLC以外については、スクリーニングの前2年以内に収集したものでなければならない。
10. 妊娠可能な潜在力のある女性(50歳以下、又は試験に入る前12カ月間以下にわたる無月経の履歴のある女性として定義される)における、スクリーニングの間、及びサイクル1、1日目の7日以内の、尿又は血液ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)試験によって定義される、入手可能な陰性の妊娠試験結果;
11. 妊娠可能な潜在力のある、性的に活発な男性及び女性患者は、試験の持続時間全体の間、及びMCLA-128の最後の投与後6カ月間にわたって、受胎調節の有効な方法(例えば、殺***薬、経口若しくは非経口避妊薬及び/又は子宮内避妊具を用いるバリア法)を使用することに同意しなければならない。女性患者の不妊は、患者の医療記録中で確認すべきであり、以下のいずれかとして定義すべきであることに留意されたい:両側性卵巣摘出術を伴う外科的子宮摘出術、両側性管結紮術、>1年前の最後の月経を伴う自然閉経;>1年前の最後の月経を伴う照射誘導性の卵巣摘出術;最後の月経から1年間隔があいた化学療法誘導性の閉経;
12. いずれの時点においても権利を侵害せずに患者がその同意を撤回できることを理解して、任意の試験特異的スクリーニング手順前に書面によるインフォームドコンセントを与える能力;
13. 強制された及び任意選択のプロトコール要件を理解することが可能であり、試験プロトコール手順に従う意思があり従うことができ、主要インフォームドコンセント文書にサインしている。任意の任意選択の生検サンプリング(組織及び/又は血液)及び長期サンプル貯蔵については、更なる同意が必要である;
14. 臨床的有用性を有することが公知の全ての入手可能な治療による処置を受けた後に疾患進行を有する、転移性癌を有する患者。
15. 以下の条件のうち1つを満たす、切除不能な又は転移性のNSCLC:
・生検により証明された浸潤性粘液性腺癌(IMA)。注意:NRG1融合物についての事前スクリーニング試験を実施しなかったIMA患者は、試験に入ることができる。
又は
・適格とされた地域の実験室において、EGFR/ALK遺伝子中に公知のドライバー変異も融合物も有さない患者における、PCR、次世代配列決定[DNA又はRNA]又はFISH等の方法を使用する分子プロファイリングによって決定された、報告されたNRG1融合物を有するNSCLC。
16. 局所的に進行した又は転移性設定における少なくとも1ラインの標準治療に対する治験責任医師の評価による、報告された疾患進行。
統計分析:
パート1及びパート2
抗腫瘍及び臨床的有用性変数を、パート2の各群について記述的にまとめる。必要に応じて、変数は、ベースラインからの絶対的変化及び相対的変化の点から示される。カテゴリーデータは、百分率及び頻度の作表として示される。
必要に応じて、パート1の間にMTD又はMRDと同定されるものを受ける患者、及びパート2において同じ用量を受けている患者からのデータを組み合わせてまとめることができるだけでなく、独立してまとめることもできる。
重篤及び非重篤AEの頻度及び性質を、絶対的頻度及び相対的頻度で評価し、MedDRA医薬用語集に従ってコード化する。
パート1
データ評価は、性質が記述的である。患者の人口統計学、疾患の特徴並びに薬物動態学的及び薬物動力学的変数が、各用量レベルにおいてまとめられる。DLTの頻度及び性質もまた、各用量レベルにおいてまとめられる。
パート2
パート2でコホート1つ当たりN=20を用いると、少なくとも0.38の観察された臨床的に有意義な相関係数が、95%信頼度でゼロから識別可能である;より小さい、観察された臨床的に有義でない相関は、ゼロから識別可能でない。従って、パート2でコホート1つ当たり20人の対象が、MCLA-128の抗腫瘍活性と疾患関連バイオマーカーとの間の関連性を調査するために十分であるとみなされる。
臨床活性の徴候が見られる場合、合計で最大およそ40人の更なる患者を補充してもよい。40人の患者を用いると、例えば、10%〜50%の真の臨床的奏効率が、およそ±5%〜±8%の合理的な精度で推定できる。
PKパラメーターを、パート1の各コホート及びパート2の各腫瘍群についてまとめる。算術平均及び幾何平均が、中央値、範囲、SD及び%CVに加えて提供される。AUCは、台形公式に従って計算する。時間に対する血清濃度プロファイルを、各群についてプロットする。
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Claims (21)

  1. ErbB-2及びErbB-3陽性細胞を有する個体の処置における使用のための、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位と、ErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体であって、前記細胞が、異なる染色***置由来の配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも一部分を含むNRG1融合遺伝子を含む、二重特異性抗体。
  2. NRG1融合遺伝子が、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも3'末端を含む、請求項1に記載の抗体。
  3. 細胞が癌細胞である、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 癌細胞が、NRG1融合物と関連する、請求項3に記載の抗体。
  5. 癌細胞が、NRG1融合物によって駆動される、請求項3又は4に記載の抗体。
  6. 細胞が、乳癌細胞、卵巣癌細胞、非小細胞肺癌等の肺癌細胞、又はそれらの転移である、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. ErbB-2及びErbB-3陽性腫瘍を有するか、又は前記腫瘍を有するリスクがある個体の処置における使用のための、ErbB-2の細胞外部分に結合できる第1の抗原結合部位と、ErbB-3の細胞外部分に結合できる第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体であって、方法が、腫瘍の細胞が、異なる染色***置由来の5'配列に融合したNRG1遺伝子の少なくとも3'末端を含むNRG1融合遺伝子を発現することを特徴とする、二重特異性抗体。
  8. 腫瘍が、乳癌、卵巣癌、非小細胞肺癌等の肺癌、又はそれらの転移である、請求項7に記載の抗体。
  9. NRG1融合遺伝子が、NRG1 EGF様ドメインを含むタンパク質を発現する、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. NRG融合物が、NRG1とヒト染色体8上の遺伝子との融合物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体。
  11. ヒト染色体8上の遺伝子が、排出型タンパク質又は細胞膜会合型タンパク質をコードする、請求項10に記載の抗体。
  12. NRG1融合遺伝子が、NRG1遺伝子の3'末端と、CD74;DOC4;TNFRSF10B;CLU;VAMP2;SLC3A2;RBPMS;WRN;SDC4;KIF13B;SLECA2;PDE7A;ATP1B1;CDK1;BMPR1B;MCPH1及びRAB2IL1からなる群から選択される遺伝子の1つの5'配列との融合物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体。
  13. 細胞又は腫瘍が、上皮起源である、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体。
  14. 個体が、好ましくはセツキシマブであるEGFR結合抗体を好ましくは用いる、EGFR阻害を目標とする治療を経験している、請求項1から13のいずれか一項に記載の抗体。
  15. 腫瘍の1つ以上の細胞上のErbB-1細胞表面受容体密度;ErbB-2細胞表面受容体密度;ErbB-3細胞表面受容体密度;ErbB-4細胞表面受容体密度又はそれらの組合せが決定される、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体。
  16. 細胞又は腫瘍が、細胞1つ当たり400,000未満のErbB-1細胞表面受容体、好ましくは、細胞1つ当たり200,000未満のErbB-1細胞表面受容体を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体。
  17. ErbB-1阻害剤、好ましくはセツキシマブを個体に投与することを更に含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体。
  18. 前記第1の抗原結合部位がErbB-2のドメインIに結合でき、前記第2の抗原結合部位がErbB-3のドメインIIIに結合でき、好ましくは、ErbB-2に対する第1の抗原結合部位の親和性が、ErbB-3に対する第2の抗原結合部位の親和性よりも低い、請求項1から17のいずれか一項に記載の抗体。
  19. i)MF2926、MF2930、MF1849、MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003及びMF1898からなる群から選択されるErbB2特異的重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3配列を少なくとも含む、若しくはMF2926、MF2930、MF1849、MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003若しくはMF1898のCDR1、CDR2及びCDR3配列と、最大で3アミノ酸、好ましくは最大で2アミノ酸、好ましくは最大で1アミノ酸が異なるCDR配列を含む、並びに/又は
    ii)MF3178、MF3176、MF3163、MF3099、MF3307、MF6055、MF6056、MF6057、MF6058、MF6059、MF6060、MF6061、MF6062、MF6063、MF6064、MF6065、MF6066、MF6067、MF6068、MF6069、MF6070、MF6071、MF6072、MF6073及びMF6074からなる群から選択されるErbB-3特異的重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3配列を少なくとも含む、若しくはMF3178、MF3176、MF3163、MF3099、MF3307、MF6055、MF6056、MF6057、MF6058、MF6059、MF6060、MF6061、MF6062、MF6063、MF6064、MF6065、MF6066、MF6067、MF6068、MF6069、MF6070、MF6071、MF6072、MF6073若しくはMF6074のCDR1、CDR2及びCDR3配列と、最大で3アミノ酸、好ましくは最大で2アミノ酸、好ましくは最大で1アミノ酸が異なるCDR配列を含む、好ましくは、
    i)MF2926、MF2930、MF1849、MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003及びMF1898の重鎖可変領域配列からなる群から選択されるErbB-2特異的重鎖可変領域配列を含む、若しくはMF2926、MF2930、MF1849、MF2973、MF3004、MF3958、MF2971、MF3025、MF2916、MF3991、MF3031、MF2889、MF2913、MF1847、MF3001、MF3003若しくはMF1898の重鎖可変領域配列と最大で15アミノ酸が異なる重鎖可変領域配列を含む、並びに/又は
    ii)MF3178、MF3176、MF3163、MF3099、MF3307、MF6055、MF6056、MF6057、MF6058、MF6059、MF6060、MF6061、MF6062、MF6063、MF6064、MF6065、MF6066、MF6067、MF6068、MF6069、MF6070、MF6071、MF6072、MF6073及びMF6074の重鎖可変領域配列からなる群から選択されるErbB-3特異的重鎖可変領域配列を含む、若しくはMF3178、MF3176、MF3163、MF3099、MF3307、MF6055、MF6056、MF6057、MF6058、MF6059、MF6060、MF6061、MF6062、MF6063、MF6064、MF6065、MF6066、MF6067、MF6068、MF6069、MF6070、MF6071、MF6072、MF6073若しくはMF6074の重鎖可変領域配列と最大で15アミノ酸が異なる重鎖可変領域配列を含む、請求項18に記載の抗体。
  20. ErbB2特異的重鎖可変領域MF3958の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、ErbB3特異的重鎖可変領域MF3178の少なくともCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、請求項18に記載の抗体。
  21. 前記第1の抗原結合部位を含む可変ドメイン及び前記第2の抗原結合部位を含む可変ドメインが、IgVKl-39遺伝子セグメントを含む軽鎖可変領域、最も好ましくは、再編成された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVKl-39*01/IGJKl*01を含み、好ましくは、前記第1の抗原結合部位を含む可変ドメイン及び前記第2の抗原結合部位を含む可変ドメインが、配列(RASQSISSYLN)を有するCDR1、配列(AASSLQS)を有するCDR2及び配列(QQSYSTPPT)を有するCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の抗体。
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