JP2020163675A - 紙製バリア材料 - Google Patents

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博 紺屋本
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正明 福永
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泰弘 山下
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Abstract

【課題】優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持つ紙製バリア材料であり、特に食品などの包装材、容器、カップなど、包装用途に好適に用いられる、ヒートシール適性を有する紙製バリア材料を提供する。【解決手段】紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも該ガスバリア層上に、さらにヒートシール層を有することを特徴とする紙製バリア材料。前記紙製バリア原紙が、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持つ紙製バリア材料であり、特に食品などの包装材、容器、カップなど、包装用途に好適に用いられる、ヒートシール適性を有する紙製バリア材料に関する。
紙製の材料、特に紙製の包装材料にガスバリア性(特に、酸素バリア性)を付与することは、包装される各種製品をガスによる劣化、例えば酸素による酸化などから守るために重要である。
従来から、紙製の包装材料へのガスバリア性の付与には、紙基材(以下、「原紙」ともいう。)上にガスバリア層として、アルミニウム等の金属からなる金属箔や金属蒸着フィルム、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂フィルム、あるいはこれらの樹脂をコーティングしたフィルム、さらに酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルム等を紙基材(原紙)に押し出しラミネートする、または貼合する方法が主に用いられてきた。
上記以外のガスバリア性を付与した紙製の包装材料としては、水溶性高分子と無機層状化合物からなるガスバリア層を有する紙製のガスバリア材料(特許文献1、特許文献2)、被覆層上に特定のビニルアルコール系重合体からなるバリア層を設けた紙製のガスバリア材料(特許文献2、3)などが開示されている。
また、紙製の包装材料に耐湿性(水蒸気バリア性)を付与することも、包装される各種製品を湿気(水蒸気)による劣化から守るために重要である。
紙製の包装材料への水蒸気バリア性の付与として、紙基材上に水蒸気バリア性に優れる樹脂フィルム、あるいはこれらの水蒸気バリア性に優れる樹脂をコーティングしたフィルム等を紙基材に押し出しラミネートする、または貼合する方法が主に用いられてきた。
これらの方法以外の水蒸気バリア性を付与した紙製の包装材料としては、合成樹脂ラテックス、ワックス及び無機微粒子からなる防湿層を有する包装用紙(特許文献4)が開示されている。
さらに、紙製の包装材料にガスバリア性と水蒸気バリア性の両方を付与した包装材料としては、紙基材にガスバリア性を有する樹脂と水蒸気バリア性を有する樹脂をラミネートした包装材料が知られている。
特開2009−184138号公報 特開2003−094574号公報 特許第5331265号公報 特開2005−162213号公報
しかしながら、紙基材(原紙)にガスバリア性を有する樹脂と水蒸気バリア性を有する樹脂をラミネートや貼合した包装材料は、ラミネート可能な樹脂の種類などに制限があるため、様々な要求品質に対応できないといった問題があった。
一方、紙基材(原紙)にガスバリア性を有する樹脂、水蒸気バリア性を有する樹脂をコーティングすることによってガスバリア性と水蒸気バリア性とを付与した包装材料は、使用できる樹脂の種類などの制限が少ないため、様々な要求品質への対応は可能になる。しかしながら、ガスバリア性、水蒸気バリア性の両方を付与した包装材料、例えば、特許文献1あるいは特許文献2のガスバリア性を有する包装材料の上に、特許文献4の防湿層を設けた場合、良好な水蒸気バリア性は得られるもののガスバリア性が得られなくなる問題があった。また、特許文献4の水蒸気バリア層を有する防湿紙の上に、特許文献1あるいは特許文献2のガスバリア層を設けた場合においても、十分なガスバリア性と水蒸気バリア性の両立を得ることができなかった。
さらに、紙製の包装材料を食品などの包装材、容器、カップなどに成形する場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂を押出しラミネート法等により包装材料に積層させ、ヒートシール適性を付与することが一般に行われている。しかしながら、熱可塑性樹脂を積層させた紙製の包装材料は、一般的にはリサイクル不能である禁忌品として扱われており、古紙原料として回収、リサイクルすることができない。
そこで、本発明は、優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持つ紙製バリア材料であり、特に食品などの包装材、容器、カップなど、包装用途に好適に用いられる、ヒートシール適性を有する紙製バリア材料を提供することを目的とする。
本発明は、以下の〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも該ガスバリア層上に、さらにヒートシール層を有することを特徴とする紙製バリア材料。
〔2〕前記紙製バリア原紙が、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有することを特徴とする〔1〕に記載の紙製バリア材料。
〔3〕前記ガスバリア層が、水溶性高分子を含有することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の紙製バリア材料。
〔4〕前記ヒートシール層が、塗工層であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の紙製バリア材料。
本発明によれば、優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持ち、ヒートシール適性を有する紙製バリア材料、特に紙製バリア包装材料を提供することができる。
本発明は、紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも該ガスバリア層上に、さらにヒートシール層を有することを特徴とする紙製バリア材料に関するものである。
本発明の紙製バリア材料は、紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも該ガスバリア層上に、さらにヒートシール層を有する。ヒートシール層は、紙製バリア原紙の両面に設けてもよい。紙製バリア原紙は、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有することが好ましい。
紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙、特に水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有する紙製バリア原紙が優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を併せ持つ理由は次のように推測される。
ガスバリア層に用いられるガスバリア性を有する樹脂としては下記に例示するように水溶性高分子または水分散性樹脂(以下、併せて水系樹脂ということがある。)が一般的であり、紙基材上にガスバリア層、水蒸気バリア層をこの順に設けた場合、紙基材中の水分や紙基材を経由して浸透する空気中の水分などにより、水系樹脂を含有するガスバリア層が劣化しやすい。一方、紙基材上に、耐水性の良好な樹脂を含有する水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有することにより、水蒸気バリア層が紙基材中の水分などによるガスバリア層への影響(劣化)を効果的に抑制することができる。このため、特に水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有する紙製バリア原紙は、良好な水蒸気バリア性およびガスバリア性を有する。
(紙基材)
本発明において紙基材とは、主としてパルプからなるシート(以下、「基紙」ともいう。)であり、更に填料、各種助剤等を含む紙料を抄紙して得られる。
パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプなどの木材繊維、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維などを用いることができ、適宜配合して用いることが可能である。これらの中でも、原紙中への異物混入が発生し難いこと、使用後の紙容器を古紙原料に供してリサイクル使用する際に経時変色が発生し難いこと、高い白色度を有するため印刷時の面感が良好となり、特に包装材料として使用した場合の使用価値が高くなることなどの理由から、木材繊維の化学パルプ、機械パルプを用いることが好ましく、化学パルプを用いることがより好ましい。具体的には、LBKP、NBKP等の化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、化学パルプの配合量が100%であることが特に好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール系樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
紙基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、ギャップフォーマー型、ハイブリッドフォーマー型(オントップフォーマー型)等のツインワイヤー抄紙機等、公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗工してもよい。また、紙基材は1層であってもよく、2層以上の多層で構成されていてもよい。
さらに、紙基材の表面を各種薬剤で処理することが可能である。使用される薬剤としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などを例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらの各種薬剤と顔料を併用してもよい。顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
紙基材の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
この様にして得られる紙基材としては、上質紙、中質紙、塗工紙、片艶紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、晒クラフト紙、グラシン紙、板紙、白板紙、ライナーなどの各種公知のものが例示可能である。
また、紙基材の坪量は、紙製バリア材料に所望される各種品質や取り扱い性等により適宜選択可能であるが、通常は20g/m以上600g/m以下程度のものが好ましい。食品などの包装材、袋、紙器、段ボール箱、カップなど、包装用途に使用する紙製バリア包装材料の場合は、25g/m以上600g/m以下のものがより好ましく、特に袋用または後述する軟包装材用途に使用する紙製バリア包装材料の場合は、30g/m以上150g/m以下のものがより好ましい。
(水蒸気バリア層)
(水蒸気バリア層)
本発明において、水蒸気バリア層に使用される水蒸気バリア性樹脂としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、パラフィン(WAX)系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、またはそれらのパラフィン(WAX)配合合成接着剤等を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。これらの中では、水蒸気バリア性の点からスチレン・ブタジエン系合成接着剤を使用することが好ましい。
本発明においてスチレン・ブタジエン系合成接着剤とは、スチレンとブタジエンを主構成モノマーとし、これに変性を目的とする各種のコモノマーを組み合わせ、乳化重合したものである。コモノマーの例として、メチルメタクリルレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレートや、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。また、乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ロジン酸石鹸、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤が単独、またはノニオン性界面活性剤と組み合わせて用いることができる。目的によっては、両性またはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
なお、水蒸気バリア性に問題がない程度であれば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子やポリ塩化ビニリデン、変性ポリオレフィン系樹脂などの水分散性樹脂を、上記水蒸気バリア性樹脂と併用することも可能である。
本発明において、水蒸気バリア層に顔料を含有させることは、水蒸気バリア層とガスバリア層を有する構成において、水蒸気バリア層とガスバリア層の密着性の点から好ましい。
顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの顔料の中でも、水蒸気バリア性の向上と、ガスバリア層の浸透抑制の両方の観点から、形状が扁平なカオリン、マイカ、タルクなどの無機顔料が好ましく、カオリン、マイカがより好ましい。また、体積50%平均粒子径(D50)(以下、「平均粒子径」ともいう。)が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料を単独または2種類以上混合して使用することが好ましい。使用する無機顔料の平均粒子径またはアスペクト比が上記範囲より小さいと、水蒸気バリア層中を水蒸気が迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、結果として水蒸気バリア性の改善効果が小さくなることがある。
本発明において、水蒸気バリア性の向上、およびガスバリア層との密着性の点から、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料を含有する水蒸気バリア層に、さらに平均粒子径が5μm以下の顔料を含有させてもよい。平均粒子径が5μm以下の顔料を併用することにより、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料により形成された水蒸気バリア層中の空隙を減少させることができるため、さらに優れた水蒸気バリア性が発現する。つまり、水蒸気バリア層に平均粒子径の異なる顔料を含有させた場合、水蒸気バリア層中で大きな平均粒子径の無機顔料により形成される空隙に小さな平均粒子径の顔料が充填された状態となり、水蒸気は顔料を迂回して通過するため、異なる平均粒子径の顔料を含有していない水蒸気バリア層と比較して、高い水蒸気バリア性を有するものと推測される。
本発明において、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料を併用する場合、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料の配合比率は、乾燥重量で、50/50〜99/1であることが好ましい。平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料の配合比率が上記範囲より少ないと、水蒸気が水蒸気バリア層中を迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、水蒸気バリア性の改善効果が小さくなることがある。一方、上記範囲より多いと、水蒸気バリア層中の大きな平均粒子径の無機顔料が形成する空隙を平均粒子径が5μm以下の顔料で十分に埋めることができないため、水蒸気バリア性のさらなる向上は見られない。
本発明において、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料と併用する平均粒子径が5μm以下の顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの顔料の中では、重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
水蒸気バリア層に顔料を含有させる場合、顔料の配合量は、乾燥重量で水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計100重量部に対して、50重量部以上2000重量部以下の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは65重量部以上1000重量部以下である。
本発明において、水蒸気バリア層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤は水蒸気バリア層に含有される水系樹脂と架橋反応を起こすため、水蒸気バリア層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、水蒸気バリア層が緻密な構造となり、良好な水蒸気バリア性を発現することができる。
本発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、水蒸気バリア層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。
水蒸気バリア性に優れた効果を発現するスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系などのスチレン系の水蒸気バリア性樹脂を用いた場合、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。
架橋剤の配合量については、塗工可能な塗料濃度や塗料粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、架橋剤の配合量は、好ましくは乾燥重量で水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計100重量部に対して、0.5重量部以上30重量部以下の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは1重量部以上15重量部以下の範囲である。0.5重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、30重量部より多いと塗料の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
本発明において、水蒸気バリア層用塗料に架橋剤を添加する場合、アンモニアなどの極性溶媒に架橋剤を溶解させてから塗料へ添加することが好ましい。架橋剤を極性溶媒に溶解させると架橋剤と極性溶媒で結合を作るため、塗料へ添加しても直ちには水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こらないため、塗料の増粘を抑制することができる。その場合、紙基材への塗工後に乾燥することにより極性溶媒成分が揮発し、水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こり、緻密な水蒸気バリア層が形成され、水蒸気バリア性が向上すると推測される。
本発明において、水蒸気バリア性向上の観点から、水蒸気バリア層に撥水剤を含有させることが好ましい。撥水剤としては、アルカン化合物を主体とするパラフィン系撥水剤、カルナバやラノインなどの動植物由来の天然油脂系撥水剤、シリコーンまたはシリコーン化合物を含有するシリコーン含有系撥水剤、フッ素化合物を含有するフッ素含有系撥水剤など例示することができる。これらの中では、水蒸気バリア性能発現の観点からパラフィン系撥水剤を使用することが好ましい。また、これらの撥水剤を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
本発明において、撥水剤の配合量は特に限定されるものではないが、撥水剤の配合量は、乾燥重量で水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計100重量部に対して、撥水剤が1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。撥水剤の配合量が1重量部未満であると、水蒸気バリア性の向上効果が十分に得られない可能性がある。一方、100重量部を超えた場合には、水蒸気バリア層上にガスバリア層を設ける場合にガスバリア層が均一に形成し難くなるため、ガスバリア性が低下する可能性がある。
本発明において、水蒸気バリア層には、上記した水蒸気バリア性樹脂、水溶性高分子、顔料、架橋剤、撥水剤の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。また、水蒸気バリア層用塗工液は、水を主溶媒とすることが好ましい。
(ガスバリア層)
本発明において、ガスバリア層に使用される水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどを例示することができる。これらの中では、ガスバリア性の点から、ポリビニルアルコール類、セルロース誘導体が好ましく、ポリビニルアルコール類がさらに好ましい。また、水分散性樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン、変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
本発明において、ガスバリア層に顔料を含有させることは、ガスバリア性の向上の点から好ましい。ガスバリア層に使用される顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの中では、ガスバリア性の点から無機顔料を使用することが好ましく、平均粒子径が3μm以上且つアスペクト比が10以上の無機顔料を使用することがより好ましく、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が30以上の無機顔料を使用することがさらに好ましい。無機顔料としてはカオリン、マイカが特に好ましい。
ガスバリア層に顔料を含有させた場合、酸素などのガスは顔料を迂回して通過する。このため、顔料を含有していない水溶性高分子からなるガスバリア層と比較して高湿度雰囲気下における優れたガスバリア性を有する。
本発明において、ガスバリア層に顔料を含有させる場合、顔料の配合量は、乾燥重量で水溶性高分子100重量部に対して、1重量部以上1000重量部以下の範囲で使用されることが好ましい。
なお、本発明において、顔料を水溶性高分子中に配合する際に、顔料がスラリー化したものを添加し混合することが好ましい。
本発明において、ガスバリア層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤はガスバリア層に含有される水系樹脂と架橋反応を起こすため、ガスバリア層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、ガスバリア層が緻密な構造となり、良好なガスバリア性を発現することができる。
本発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、ガスバリア層に含有される水溶性高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。なお、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。
架橋剤の配合量については、塗工可能な塗料濃度や塗料粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、架橋剤の配合量は、好ましくは乾燥重量で水溶性高分子100重量部に対して、0.1重量部以上30重量部以下の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは1重量部以上15重量部以下である。0.1重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、30重量部より多いと塗料の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
本発明において、水蒸気バリア層との密着性の観点より、ガスバリア層中に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤のイオン性は制限されるものはなく、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれの種類でも単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、具体的な種類としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アルコール系界面活性剤、アセチレン基を有するアセチレン系界面活性剤、アセチレン基と2つの水酸基を有するアセチレンジオール系界面活性剤、アルキル基とスルホン酸を有するアルキルスルホン酸系界面活性剤、エステル系界面活性剤、アミド系界面活性剤、アミン系界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、フェニルエーテル系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、フェノール系界面活性剤などを例示することができる。これらの中では塗料のレベリング性の向上効果が大きい、アセチレンジオール系界面活性剤を使用することが好ましい。なお、塗料のレベリング性が向上すると、ガスバリア層の均一性が向上するため、ガスバリア性が向上する。
本発明において、ガスバリア層には、上記した水溶性高分子、水分散性樹脂、顔料、架橋剤、界面活性剤の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。また、ガスバリア層用塗工液は、水を主溶媒とすることが好ましい。
(水蒸気バリア層、ガスバリア層の塗工)
本発明において、水蒸気バリア層、ガスバリア層の塗工方法については特に限定されるものではなく、公知の塗工装置および塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。また、塗工系としては、水等の溶媒を使用した水系塗工、有機溶剤等の溶媒を使用した溶剤系塗工などが挙げられる。
水蒸気バリア層、ガスバリア層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
本発明において、水蒸気バリア層の塗工量は、乾燥重量で3g/m以上50g/m以下とすることが好ましく、5g/m以上40g/m以下とすることがより好ましく、7g/m以上30g/m以下とすることがさらに好ましい。水蒸気バリア層の塗工量が3g/m未満であると、原紙を塗工液が完全に被覆することが困難となり、十分な水蒸気バリア性が得られなくなることや、ガスバリア層が紙基材にまで浸透して、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、50g/mより多いと、塗工時の乾燥負荷が大きくなる。
なお、本発明において、水蒸気バリア層は1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。水蒸気バリア層を2層以上の多層で構成する場合は、全ての水蒸気バリア層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
本発明において、ガスバリア層の塗工量は、乾燥重量で0.2g/m以上20g/m以下とすることが好ましい。ガスバリア層の塗工量が0.2g/m未満であると、均一なガスバリア層を形成することが困難であるため、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、20g/mより多いと、塗工時の乾燥負荷が大きくなる。
なお、本発明において、ガスバリア層は1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。ガスバリア層を2層以上の多層で構成する場合は、全てのガスバリア層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
(ヒートシール層)
本発明において、紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも該ガスバリア層上に、さらにヒートシール層を有する。ヒートシール層は、紙製バリア原紙の両面に設けることもできるが、少なくともガスバリア層上に有する。
ヒートシール層はヒートシール適性を付与する層であり、具体的には、加熱、加圧することで接着対象に接着することができる層である。ヒートシール適性を有することにより、特に食品などの包装材、容器、カップなど、包装用途において、包装形態への成形や形状の維持、密封性の確保などが容易となる。
本発明において、ヒートシール層が、スチレンアクリル酸エステル系共重合樹脂、アクリル系樹脂、エチレン・アクリル系樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩から成る群から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明において、ヒートシール層は塗工層であることが好ましい。ヒートシール層を塗工層とすることで、押出しラミネート法等による積層よりも製造効率が向上すると共に、リサイクル性が良好となる。
ヒートシール層の塗工方法は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置および塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。また、塗工系としては、水等の溶媒を使用した水系塗工、有機溶剤等の溶媒を使用した溶剤系塗工などが挙げられる。本発明の耐油紙は、食品等と接触する用途に用いられる場合があるため、水系塗工であることが、食品安全性の点から好ましい。
ヒートシール層の塗工量(乾燥重量)は、3g/m2以上20g/m2以下であることが好ましい。塗工量が3g/m2未満では、ヒートシール適性が低下する。また、塗工量が20g/m2を超えてもヒートシール適性はほとんど向上せず、コストが増加する。ヒートシール層は、1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。ヒートシール層を2層以上の多層で構成する場合は、全てのヒートシール層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
本発明の紙製バリア材料は、食品などの包装材、容器、カップ等の包装用途に用いられる紙製バリア包装材料とすることが可能である。これらの中で、食品などの包装材、容器、カップ等の包装用途に用いられる紙製バリア包装材料として好適に使用することができ、食品などの軟包装材として特に好適に使用することができる。なお、軟包装材とは、構成としては、柔軟性に富む材料で構成されている包装材であり、一般には紙、フィルム、アルミ箔等の薄く柔軟性のある材料を、単体あるいは貼り合せた包装材を指す。また、形状としては、袋など、内容物を入れることにより立体形状を保つような包装材を指す。
本発明の紙製バリア材料を食品などの包装材、特に軟包装材として用いる場合は、ヒートシール性を有するため、包装材料としての密閉性を高め、内容物を酸素による酸化や湿気などによる劣化などから守り、保存期間の延長を可能にすることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、もちろんこれらの例に限定される物ではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示す。なお、得られた紙製バリア材料について以下に示す様な評価法に基づいて試験を行った。
(評価方法)
(1)水蒸気透過度(水蒸気バリア性):温度40±0.5℃、相対湿度差90±2%の条件下で、透湿度測定器(Dr.Lyssy社製、L80−4000)を用いて測定した。
(2)酸素透過度(ガスバリア性):MOCON社製、OX−TRAN2/21を使用し、23℃−0%RH条件(乾燥下)にて測定した。
(3)ヒートシール適性
(ヒートシール条件)
得られた紙製バリア材料から1辺100mmの正方形の試験片を2枚切り出し、ヒートシール層同士を接触させて、加圧温度120℃、加圧圧力2kgf、加圧時間1秒でヒートシールした。
ヒートシールした試験片を手で剥離させた際の、剥離部分を目視で観察し、以下の基準でヒートシール性を評価した。
〇:紙基材内で剥離(紙基材が破壊される)。
×:ヒートシール層間で剥離。
[実施例1]
(紙基材の作製)
カナダ式標準ろ水度(CSF)500mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF530mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を80/20の重量比で配合して、原料パルプとした。
原料パルプに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.1%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対絶乾パルプ重量あたり0.35%、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン(PAEH)系樹脂を対絶乾パルプ重量あたり0.15%、さらに歩留剤として分子量1000万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.08%添加した後、デュオフォーマーFM型抄紙機にて300m/minの速度で抄紙し、坪量59g/mの紙を得た。
次いで、得られた紙に固形分濃度2%に調製したポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)をロッドメタリングサイズプレスで、両面合計で1.0g/m塗工、乾燥し、坪両60g/mの紙基材を得た。得られた紙基材をチルドカレンダーを用いて、速度300min/m、線圧50kgf/cm、1パスにて平滑処理を行った。
(水蒸気バリア層用塗工液Aの調製)
エンジニアードカオリン(イメリス社製、バリサーフHX、平均粒子径9.0μm、アスペクト比80−100)に分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加し(対顔料0.2%)、セリエミキサーで分散して固形分濃度60%のカオリンスラリーを調製した。得られたカオリンスラリー中に、顔料100部(固形分)に対し水蒸気バリア性樹脂としてスチレン・アクリル系共重合体エマルジョン(サイデン化学社製、X−511−374E)を100部(固形分)となるように配合し、固形分濃度45%の水蒸気バリア層用塗工液Aを得た。
(ガスバリア層用塗工液Bの調製)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)水溶液を固形分濃度12%となるよう調製し、ガスバリア層用塗工液Bを得た。
(紙製バリア材料の作製)
得られた紙基材上に、水蒸気バリア層用塗工液Aを乾燥重量で塗工量15g/mとなるようバーブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した後、その上にガスバリア層用塗工液Bを乾燥重量で塗工量5.0g/mとなるようロールコーターを用いて片面塗工、乾燥し、紙製バリア原紙を得た。
次いで、得られた紙製バリア原紙のガスバリア層上に、スチレンアクリル酸エステル系共重合樹脂(第一塗料社製、ハービルHS−1)を乾燥重量で塗工量10.0g/mとなるようバーブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥し、紙製バリア材料を得た。
[実施例2]
得られた紙製バリア原紙のガスバリア層上に、アクリル系樹脂(BASF社製、EPOTAL HLB4100)を乾燥重量で塗工量10.0g/mとなるようバーブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、紙製バリア材料を得た。
[実施例3]
得られた紙製バリア原紙のガスバリア層上に、エチレン・アクリル系樹脂(マイケルマン社製、MP4983−45N.S))を乾燥重量で塗工量10.0g/mとなるようバーブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、紙製バリア材料を得た。
[実施例4]
得られた紙製バリア原紙のガスバリア層上に、エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩(三井化学社製、ケミパールS300)を乾燥重量で塗工量10.0g/mとなるようバーブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、紙製バリア材料を得た。
Figure 2020163675
表1に示されるように、実施例1〜4の紙製バリア材料は優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持つと共に、ヒートシール適性を有した。

Claims (4)

  1. 紙基材上に、水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも該ガスバリア層上に、さらにヒートシール層を有することを特徴とする紙製バリア材料。
  2. 前記紙製バリア原紙が、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の紙製バリア材料。
  3. 前記ガスバリア層が、水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の紙製バリア材料。
  4. 前記ヒートシール層が、塗工層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙製バリア材料。
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