JP2020131758A - タイヤのシミュレーション方法及びタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タイヤの走行時の温度を高い精度で計算することができる。【解決手段】 タイヤのビード部がリムに装着された前記タイヤの走行時の温度を、コンピュータを用いて計算するための方法である。このシミュレーション方法は、コンピュータに、タイヤを有限個の要素で離散化したタイヤモデルを入力する工程S1と、コンピュータが、タイヤの走行時のリムの温度を計算するリム温度計算工程S6と、計算されたリムの温度をタイヤモデルに定義して、タイヤの走行時の温度を計算する工程S8とを含んでいる。リム温度計算工程S6は、コンピュータが、タイヤモデルの走行時のビード部の温度を計算する工程SS62と、タイヤモデルのビード部の温度に基づいて、リムの温度を計算する工程S63とを含む。【選択図】図3
Description
本発明は、タイヤの走行時の温度を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法等に関する。
近年、コンピュータを用いて、タイヤの走行時の温度を計算するためのシミュレーション方法が提案されている。下記特許文献1のシミュレーション方法では、先ず、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルが、コンピュータに入力される。次に、タイヤモデルに、伝熱・放熱条件等が定義される。この伝熱・放熱条件には、予め定められたリムの温度等が含まれている。そして、コンピュータが、伝熱・放熱条件等に基づいて、タイヤモデルの変形計算を実施することにより、タイヤの走行時の温度が計算される。
しかしながら、上記のシミュレーション方法では、タイヤの走行時の温度の計算結果と、現実のタイヤの走行時の温度の測定結果とが乖離する場合があり、計算精度の向上には、さらなる改善の余地があった。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、現実のリムの温度は一定ではなく、走行時のタイヤのビード部の温度に依存して変化しており、計算精度の向上には、現実に近いリムの温度をタイヤモデルに定義することが重要であることを知見した。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤの走行時の温度を高い精度で計算することができるタイヤのシミュレーション方法等を提供することを主たる目的としている。
本発明は、タイヤのビード部がリムに装着された前記タイヤの走行時の温度を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、前記コンピュータに、前記タイヤを有限個の要素で離散化したタイヤモデルを入力する工程と、前記コンピュータが、前記タイヤの走行時の前記リムの温度を計算するリム温度計算工程と、前記コンピュータが、計算された前記リムの温度を前記タイヤモデルに定義して、前記タイヤの走行時の温度を計算する工程とを含み、前記リム温度計算工程は、前記コンピュータが、前記タイヤモデルの走行時の前記ビード部の温度を計算する工程と、前記コンピュータが、前記タイヤモデルの前記ビード部の温度に基づいて、前記リムの温度を計算する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記タイヤモデルの前記ビード部の外面には、前記タイヤが前記リムに接触する部分に対応するリム接触領域が定義されており、前記リム温度計算工程は、前記リム接触領域の温度に基づいて、前記リムの温度を計算する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記リム接触領域は、複数の小領域に区分され、前記リム温度計算工程は、前記小領域に対応する前記リムの領域の温度を、前記小領域の温度に基づいて計算する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記リム温度計算工程は、前記小領域に対応する前記リムの領域の温度を、前記小領域の温度と、前記小領域と隣り合う他の小領域の温度とに基づいて計算する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記タイヤは、前記ビード部に埋設されたビードコアを含み、前記小領域は、前記ビードコアのタイヤ半径方向の外端よりも外側の第1領域と、前記第1領域よりもタイヤ半径方向の内側の第2領域とを含み、前記リム温度計算工程は、前記第2領域の温度と、前記第1領域の温度に1未満の係数を乗じた温度とを積算して、前記第2領域に対応する前記リムの領域の温度を計算する工程を含んでもよい。
本発明のタイヤの製造方法は、請求項1ないし5のいずれかに記載のシミュレーション方法で計算された前記タイヤの走行時の温度が良好な前記タイヤモデルに基づいて、前記タイヤを製造する工程を含むことを特徴とする。
本発明のタイヤのシミュレーション方法は、コンピュータに、タイヤを有限個の要素で離散化したタイヤモデルを入力する工程と、前記コンピュータが、前記タイヤの走行時の前記リムの温度を計算するリム温度計算工程と、計算された前記リムの温度を前記タイヤモデルに定義して、前記タイヤの走行時の温度を計算する工程とを含んでいる。
前記リム温度計算工程は、前記コンピュータが、前記タイヤモデルの走行時の前記ビード部の温度を計算する工程と、前記タイヤモデルの前記ビード部の温度に基づいて、前記リムの温度を計算する工程とを含んでいる。これにより、前記リム温度計算工程では、前記タイヤの走行時のビード部の温度に依存して変化する現実に近い前記リムの温度を計算することができる。したがって、本発明のシミュレーション方法では、前記タイヤモデルに前記リムの温度を精度良く定義することができるため、前記タイヤの走行時の温度を高い精度で計算することができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)では、タイヤのビード部がリムに装着されたタイヤの走行時の温度が、コンピュータを用いて計算される。
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)では、タイヤのビード部がリムに装着されたタイヤの走行時の温度が、コンピュータを用いて計算される。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
図2は、走行時の温度が予測されるタイヤの一例を示す断面図である。タイヤ2は、例えば、乗用車用タイヤとして構成されている。本実施形態のタイヤ2は、例えば、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経て、ビード部2cに埋設されたビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層7とが設けられている。
さらに、タイヤ2には、ゴム部材11が設けられている。ゴム部材11は、トレッド部2aにおいてベルト層7の外側に配されるトレッドゴム11aと、サイドウォール部2bにおいてカーカス6の外側に配されるサイドウォールゴム11bと、ビード部2cに配されるクリンチゴム11cとを含んでいる。
タイヤ2の外面12は、トレッド接地端2t、2t間のトレッド接地面12a、トレッド接地面12aから凹む溝12b、ビード部2c(クリンチゴム11c)がリム14に接触する部分に対応するリム接触領域12c、及び、トレッド接地端2tとリム接触領域12cとの間のサイド面12dを含んでいる。
なお、本実施形態において、トレッド接地端2tは、リム(例えば、正規リムなど)14にリム組みしかつ予め定められた内圧を充填し、予め定められた荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させた状態において、トレッド接地面12aのタイヤ軸方向最外端の位置を意味している。また、リム接触領域12cも、この状態において特定されるものとする。内圧及び荷重については、例えば、本実施形態のシミュレーション方法で再現したい条件に基づいて、適宜設定することができる。
カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では2枚のカーカスプライ6A、6Bで構成されている。カーカスプライ6A、6Bは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを、それぞれ含んでいる。
カーカスプライ6A、6Bの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム11dが配されている。また、カーカスプライ6A、6Bは、例えば、タイヤ赤道Cに対して80度〜90度の角度で配列されたカーカスコードが、互いに交差する向きに重ねられている。カーカス6の内面には、タイヤ2のタイヤ内腔面13をなすインナーライナーゴム11eが、ビード部2c、2c間に架け渡されている。
ベルト層7は、タイヤ半径方向内、外2枚のベルトプライ7A、7Bによって構成されている。2枚のベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが、タイヤ周方向に対して、例えば10度〜35度の角度で傾けて配列されている。このようなベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされている。
リム14は、リム組み時にビード部2cを落とし込むためのウェル部14aと、このウェル部14aのタイヤ軸方向両側に配置される一対のリム片14b、14bとを含んで構成されている。これらのリム片14b、14bは、タイヤ2のリム接触領域12c、12cに接触している。また、リム14は、タイヤ内腔10を向くリム内腔面15が設けられている。
図3は、シミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、タイヤモデルが入力される(工程S1)。図4は、タイヤモデル及び路面モデルの一例を示す斜視図である。図5は、タイヤモデル16の一例を示す断面図である。
図5に示されるように、タイヤモデル16は、図2に示したタイヤ2を、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)で離散化(モデル化)することによって設定される。要素F(i)は、数値解析法により取り扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用することができる。本実施形態では、有限要素法が採用されている。
本実施形態の工程S1では、先ず、図2に示したトレッドゴム11a、サイドウォールゴム11b、クリンチゴム11c、ビードエーペックスゴム11d、及び、インナーライナーゴム11eを含むゴム部材11が、要素F(i)でモデル化される。これにより、トレッドゴムモデル17a、サイドウォールゴムモデル17b、クリンチゴムモデル17c、ビードエーペックスゴムモデル17d、及び、インナーライナーゴムモデル17eを含むゴムモデル17が設定される。
さらに、工程S1では、図2に示したビードコア5、カーカスプライ6A、6B、及び、ベルトプライ7A、7Bが、要素F(i)でモデル化される。これにより、ビードコアモデル28、カーカスプライモデル18A、18B、及び、ベルトプライモデル19A、19Bが設定される。
このようなモデルの設定(モデリング)は、従来の方法と同様に、例えば、加硫金型の設計データ(例えば、CADデータ)と、メッシュ化ソフトウェアとを用いることにより、容易に実施することができる。これらのゴムモデル17、カーカスプライモデル18A、18B、及び、ベルトプライモデル19A、19Bが順次設定されることにより、タイヤモデル16が設定される。
タイヤモデル16の外面22には、図2に示したタイヤ2の外面12が再現されている。即ち、タイヤモデル16の外面22は、トレッド接地面22a、溝22b、リム接触領域22c、及び、サイド面22dが定義されている。本実施形態では、トレッド接地面22a、溝22b、リム接触領域22c、及び、サイド面22dの各領域が、図2に示すタイヤ2の正規荷重負荷状態に基づいて区分される。また、タイヤモデル16には、タイヤ2のタイヤ内腔面13(図2に示す)が再現されたタイヤ内腔面23が設定されている。
図6は、図5のタイヤモデル16のビード部16c、及び、リムモデル20の拡大図である。図6では、ビードコアモデル28が色付けして表示されている。本実施形態のリム接触領域22cは、複数の小領域33に区分されている。本実施形態の小領域33は、ビードコア5(ビードコアモデル28)のタイヤ半径方向の外端28aよりも外側(タイヤ半径方向の外側)の第1領域33aと、第1領域33aよりもタイヤ半径方向の内側の第2領域33bとを含んでいる。なお、リム接触領域22cは、3つ以上の小領域33に区分されていてもよい。
図2に示したタイヤ2において、第2領域33bに対応する領域(以下、単に「第2ゴム領域」ということがある。)35bは、ビードコア5とリム14との間で、強固に保持されている。このため、図2に示したタイヤ2の走行時において、第2ゴム領域35bは、第1領域33aに対応する領域(以下、単に「第1ゴム領域」ということがある。)35aに比べて変形しにくく、発熱量が小さい。したがって、タイヤ2の走行時において、第2ゴム領域35bの温度は、第1ゴム領域35aの温度に比べて小さい。このように、タイヤ2は、領域(本例では、第1ゴム領域35a及び第2ゴム領域35b)毎に温度が異なる傾向がある。
本実施形態では、リム接触領域22cが複数の小領域33(本例では、第1領域33a及び第2領域33b)に区分されることで、図2に示したタイヤ2の走行時に互いに温度が異なる傾向がある領域(本例では、第1ゴム領域35a及び第2ゴム領域35b)を考慮して、ビード部16cの温度を計算することができる。
各要素F(i)には、複数個の節点24が設けられている。また、各要素F(i)には、要素番号、節点24の番号、節点24の座標値、及び、各部材の材料特性(例えば、密度、ヤング率、減衰係数、損失正接tanδ、及び/又は、熱伝導率等)などの数値データが定義される。このようなタイヤモデル16は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、図5に示されるように、コンピュータ1に、リムモデル20が入力される(工程S2)。本実施形態のリムモデル20は、図2に示したリム14を、数値解析法により取り扱い可能な面要素Gでモデル化することによって設定される。
リムモデル20は、図2に示したリム14のウェル部14aをモデル化したウェルモデル20a、及び、一対のリム片14b、14bをモデル化した一対のリム片モデル20b、20bが含まれる。また、リムモデル20には、図2に示したリム14のリム内腔面15を再現したリム内腔面21が設定されている。
面要素Gは、剛表面の要素として定義されており、図2に示したリム14の材料特性(例えば、密度、ヤング率、及び/又は、熱伝導率等)などの数値データは定義されない。このようなリムモデル20は、変形や熱に関する物理量が計算されないため、計算時間の短縮に役立つ。リムモデル20は、コンピュータ1に記憶される。なお、リムモデル20は、タイヤモデル16と同様に、有限個の要素F(i)でモデル化されてもよい。リムモデル20は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、図4に示されるように、コンピュータ1に、路面(図示省略)を有限個の要素でモデル化した路面モデル26が入力される(工程S3)。
路面モデル26は、例えば、単一の平面を構成する剛表面の要素Hでモデル化される。これにより、路面モデル26は、外力が作用しても変形不能に定義される。そして、路面モデル26を構成する要素Hの数値データが、コンピュータ1に記憶される。
なお、路面モデル26は、例えば、ドラム試験機のように円筒状表面に形成されても良い。また、路面モデル26には、必要に応じて、段差、窪み、うねり又は轍などが設けられても良い。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、タイヤモデル16に境界条件が定義される(境界条件設定工程S4)。図7は、境界条件設定工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の境界条件設定工程S4では、先ず、図4に示したタイヤモデル16の内圧条件等が設定される(工程S41)。この工程S41では、従来のシミュレーション方法と同様に、例えば、タイヤモデル16の内圧条件、負荷荷重条件、キャンバー角、スリップ角、走行速度Vs、静摩擦係数、又は、動摩擦係数等が設定される。これらの条件は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の境界条件設定工程S4では、予め定められた外気の温度、タイヤ内腔25の温度、及び、リム14の温度が設定される(工程S42)。タイヤ内腔25の温度、及び、リム14の温度は、後述のリム温度計算工程S6、及び、工程S8での計算で用いられる初期値である。外気の温度、タイヤ内腔10の温度、及び、リム14の温度については、例えば、タイヤ2の走行条件等、実際のタイヤ内腔10(図2に示す)の測定値、及び、リム14の温度の測定値に基づいて、適宜設定することができる。これらの条件は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の境界条件設定工程S4では、図5に示したタイヤモデル16の外面22と外気との間の熱伝達率が定義される(工程S43)。本実施形態では、トレッド接地面22aと外気との間の熱伝達率、溝22bと外気との間の熱伝達率、及び、サイド面22dと外気との間の熱伝達率が定義される。これらの熱伝達率は、例えば、実際のタイヤ2(図2に示す)の走行試験での測定値や、タイヤモデルを用いて予め実施されたシミュレーションの計算結果から、図2に示したタイヤ2のトレッド接地面12a、溝12b及びサイド面12dの外気への放熱を考慮して、適宜定義することができる。
図2に示したタイヤ2の走行時において、走行速度Vs(図4に示す)に対応するトレッド接地面12aの周速度(外気の流速)は、そのトレッド接地面12aよりもタイヤ半径方向内側に配置される溝12bや、サイド面12dに比べて大きくなる。周速度が大きいと、トレッド接地面12aに接触する外気の流速が大きくなるため、外気への放熱が大きくなる。このため、図3に示したタイヤモデル16のトレッド接地面22aと外気との間の熱伝達率は、溝22bと外気との間の熱伝達率、及び、サイド面22dと外気との間の熱伝達率よりも大に定義されるのが望ましい。
図2に示されるように、溝12bは、該溝12bよりもタイヤ半径方向内側に配置されるサイド面12dに比べて、周速度が大きくなる。このため、溝22bと外気との間の熱伝達率は、サイド面22dと外気との間の熱伝達率よりも大に設定されるのが望ましい。これらのトレッド接地面22a、溝22b及びサイド面22dに設定された熱伝達率は、コンピュータ1に記憶される。
次に、境界条件設定工程S4では、図4に示したトレッド接地面22aと路面モデル26との間の熱伝達率が定義され(工程S44)、さらに、図5に示したタイヤ内腔面23とタイヤ内腔25との間の熱伝達率が定義される(工程S45)。これらの熱伝達率は、工程S43と同様に、例えば、実際のタイヤ2(図2に示す)の走行試験での測定値等から、図2に示したトレッド接地面12aの路面(図示省略)への放熱、及び、タイヤ内腔面13のタイヤ内腔10への放熱をそれぞれ考慮して、適宜定義することができる。これらの熱伝達率も、コンピュータ1に記憶される。
次に、境界条件設定工程S4では、図5に示したリム接触領域22cとリムモデル20との間の熱伝達率が定義され(工程S46)、さらに、リムモデル20のリム内腔面21とタイヤ内腔25との間の熱伝達率が定義される(工程S47)。これらの熱伝達率も、工程S43と同様に、例えば、実際のタイヤ2(図2に示す)の走行試験での測定値等から、図2に示したリム接触領域12cのリム14への放熱、及び、リム内腔面15のタイヤ内腔10への放熱を考慮して、適宜定義することができる。なお、これらの熱伝達率には、リム14の外気への放熱がさらに加味されてもよい。これらの熱伝達率も、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のミュレーション方法では、コンピュータ1に、内圧充填後のタイヤモデル16が設定される(工程S5)。工程S5では、先ず、図5に示されるように、タイヤモデル16のビード部16c、16cを拘束するように、リムモデル20のタイヤモデル16への嵌合が計算される。さらに、タイヤモデル16には、内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて変形計算される。これにより、工程S5では、内圧充填後のタイヤモデル16が計算される。内圧充填後のタイヤモデル16は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態のシミュレーション方法において、タイヤモデル16の変形計算は、各要素の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらが単位時間T(x)(x=0、1、…)ごと(例えば、1μ秒毎)に逐次計算されることによって、タイヤモデル16の変形計算が行われる。このような変形計算は、例えば、LSTC社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤ2の走行時のリム14の温度を計算する(リム温度計算工程S6)。発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、現実のリム14の温度は一定ではなく、走行時のタイヤ2のビード部2cの温度に依存して変化していることを知見した。このような知見に基づいて、本実施形態のリム温度計算工程S6では、タイヤモデル16の走行時のビード部16cの温度に基づいて、リム14の温度を計算している。図8は、リム温度計算工程S6の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のリム温度計算工程S6では、先ず、コンピュータ1が、タイヤモデル16の走行時の発熱量及び放熱量を計算する(発熱量・放熱量計算工程S61)。本実施形態の発熱量・放熱量計算工程S61では、図4に示したタイヤモデル16を路面モデル26に転動させることなく、タイヤモデル16を路面モデル26に静的に接地させる静的解析が実施される。図9は、発熱量・放熱量計算工程S61の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の発熱量・放熱量計算工程S61では、先ず、コンピュータ1が、路面モデル26に接地したタイヤモデル16が計算される(工程S71)。工程S71では、先ず、図4に示されるように、内圧充填後のタイヤモデル16と、路面モデル26との接触が計算される。次に、工程S71では、予め定められた荷重Tに基づいて、タイヤモデル16の変形が計算される。これにより、工程S71では、路面モデル26に接地したタイヤモデル16が計算される。路面モデル26に接地したタイヤモデル16は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の発熱量・放熱量計算工程S61では、コンピュータ1が、タイヤモデル16の走行時の発熱量を計算する(工程S72)。タイヤモデル16の走行時の発熱量は、上記特許文献1と同様の処理手順に基づいて計算することができる。
本実施形態の工程S72では、先ず、タイヤモデル16の計算結果(タイヤモデル16の要素F(i)のタイヤ周方向の歪変動量)と、タイヤモデル16の要素F(i)に定義された損失正接tanδとを用いて、タイヤモデル16の走行抵抗RRが計算される。なお、tanδは、温度依存性を有するが、上述の理由から、走行抵抗RRを計算する際のtanδの初期値として、70℃での値が使用される。
走行抵抗RRの計算については、種々の方法があり、特に限定されるものではない。本実施形態では、タイヤモデル16が1回転したときの各要素F(i)のエネルギーロスを計算する工程と、各要素F(i)のエネルギーロスの総和を計算する工程と、エネルギーロスをタイヤモデル16の周長で除す工程とが行われる。本実施形態のエネルギーロスを計算する工程では、例えば、特開2005−186900号公報と同様に、タイヤモデル16の静的な接地シミュレーションによって求められる1回転分の各要素F(i)の歪の履歴に基づいて、エネルギーロスが計算される。
次に、工程S72では、これまでの経験則や実験結果などに基づいて、計算された各要素F(i)のエネルギーロスを計算の半分が、発熱のエネルギーに変換されたものとみなして、各要素F(i)の発熱量が計算される。このような発熱量の計算は、上記の有限要素解析アプリケーションを用いることによって、容易に計算することができる。なお、走行速度毎に異なる発熱量を計算するには、例えば、基準の走行速度(例えば、80km/h)での発熱量に、基準以外の走行速度(例えば、100km/h)を基準走行速度で除した比を乗じることで求めることができる。タイヤモデル16の走行時の発熱量は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の発熱量・放熱量計算工程S61では、コンピュータ1が、タイヤモデル16の走行時の放熱量を計算する(工程S73)。本実施形態の工程S73では、先ず、従来の方法と同様に、図5に示したタイヤモデル16の外面22、タイヤ内腔面23及びリム内腔面21にそれぞれ設定された熱伝達率、外気の温度、タイヤ内腔25の温度、リム14の温度、及び、各要素F(i)の熱伝導率に基づいて、各要素F(i)の放熱量が計算される。本実施形態において、放熱量は、要素F(i)毎に計算される。
本実施形態の放熱量の計算は、空気(流体)をモデル化した流体シミュレーションを実施しなくても、上記アプリケーションを用いることによって、容易に計算することができる。なお、放熱量の計算に、流体シミュレーションが実施されてもよい。タイヤモデル16の放熱量は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態では、路面(図示省略)の接地、空気の接触、及び、リム14(図2に示す)の接触を考慮して、タイヤモデル16のトレッド接地面22a、溝22b、リム接触領域22c、サイド面22d及びタイヤ内腔面23に、それぞれ異なる熱伝達率が定義されている。このため、工程S73では、タイヤモデル16の放熱量を、実際のタイヤ2の放熱量に近似させることができる。
次に、本実施形態のリム温度計算工程S6では、コンピュータ1が、タイヤモデル16の走行時のビード部16cの温度を計算する(工程S62)。工程S62では、発熱量・放熱量計算工程S61で計算されたタイヤモデル16の発熱量と放熱量とに基づいて、タイヤモデル16の走行時のビード部16cの温度が計算される。本実施形態では、タイヤモデル16の接地領域27の周方向の接地中心27c(図4に示す)を通る子午線断面で区分された二次元のタイヤモデル32が用いられる。なお、図5では、三次元のタイヤモデル16及び二次元のタイヤモデル32を共通して表示している。
工程S62では、タイヤモデル32の各要素F(i)の発熱量と、各要素F(i)の放熱量との熱収支が計算される。これにより、タイヤモデル32の走行時のビード部16cを含む各要素F(i)の節点24の温度が計算される。本実施形態では、二次元のタイヤモデル32を用いて、各要素F(i)の熱収支が計算されるため、計算時間を大幅に短縮することができる。これらの各要素F(i)の節点24の温度は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のリム温度計算工程S6では、コンピュータ1が、タイヤモデル32のビード部16cの温度に基づいて、リム14の温度を計算する(計算工程S63)。図10は、計算工程S63の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の計算工程S63では、先ず、図6に示したリム接触領域22cの温度が計算される(工程S81)。リム接触領域22cの温度は、適宜計算することができる。本実施形態の工程S81では、リム接触領域22cを構成する各要素F(i)の節点24の温度の平均値が、リム接触領域22cの温度として計算される。
本実施形態のリム接触領域22cは、複数の小領域33に区分されている。このため、リム接触領域22cの温度は、複数の小領域33毎に計算されるのが望ましい。本実施形態の工程S81では、各小領域33において、小領域33を構成する各要素F(i)の節点24の温度の平均値が、それらの小領域33の温度として計算される。
本実施形態の小領域33は、第1領域33aと第2領域33bとを含んで構成されている。このため、工程S81では、小領域33の温度として、第1領域33aの温度と、第2領域33bの温度とが計算される。第2領域33bを構成する要素F(i)は、ビードコアモデル28とリムモデル20との間に配されている。このため、第2領域33bを構成する要素F(i)は、第1領域33aを構成する要素F(i)に比べて、小さな温度に計算されている。したがって、第2領域33bの温度(即ち、第2領域33bを構成する要素F(i)の節点24の温度の平均値)は、第1領域33aの温度(即ち、第1領域33aを構成する要素F(i)の節点24の温度の平均値)よりも小さく計算される。各小領域33(本例では、第1領域33a及び第2領域33b)の温度は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の計算工程S63では、リム接触領域22cの温度に基づいて、図2に示したリム14の温度が計算される(工程S82)。上述したように、現実のリム14の温度は、走行時のタイヤ2のビード部2cの温度に依存して変化している。このため、リム14の温度は、リム接触領域22cの温度に基づいて定義することができる。
図11は、リム14の拡大図である。図6に示したように、本実施形態のリム接触領域22cは、複数の小領域33に区分されており、これらの小領域33は、互いに異なる温度に計算されている。このため、図11に示されるように、小領域33(図6に示す)に対応するリム14の領域(以下、単に「リム領域」ということがある。)36の温度が、小領域33の温度に基づいて計算されるのが望ましい。
本実施形態において、リム領域36は、第1領域33a(図6に示す)に対応する第1リム領域36aと、第2領域33b(図6に示す)に対応する第2リム領域36bとを含んでいる。第1リム領域36aの温度は、第1領域33aの温度に基づいて計算される。一方、第2リム領域36bの温度は、第2領域33bの温度に基づいて計算される。
第1リム領域36aは、第1領域33a(図6に示す)に対応するビード部2cのリム接触領域12cに接触しているため、そのリム接触領域12cの温度と、第1リム領域36aの温度とが略同一になると考えられる。このため、本実施形態では、図6に示した第1領域33aの温度(即ち、第1領域33aを構成する要素F(i)の節点24の温度の平均値)が、第1リム領域36aの温度として計算される。
ところで、リム領域36に伝えられた熱は、リム14の熱伝導率によって、温度が相対的に低い他のリム領域36に伝えられる。このため、工程S82では、小領域33に対応するリム領域36の温度を、小領域33の温度と、小領域33と隣り合う他の小領域33の温度とに基づいて計算されるのが望ましい。これにより、リム14の熱伝導率を考慮して、各リム領域36の温度を計算することができる。
上述したように、図6に示した第2領域33bの温度は、第1領域33aの温度よりも小さく計算される。このため、図11に示した第2リム領域36bの温度は、リム14の熱伝導率の影響を考慮して、第2領域33bの熱だけでなく、第1領域33aの熱の一部を考慮して計算されるのが望ましい。
本実施形態の工程S82では、図6に示した第2領域33bの温度と、第1領域33aの温度に1未満の係数を乗じた温度とを積算して、第2領域33bに対応するリム14の領域(図11に示した第2リム領域36b)の温度を計算している。係数については、適宜設定することができる。係数については、1未満であれば適宜設定することができる。係数は、例えば、リム14の熱伝導率や、リム14の温度の実測値等に基づいて、0.4〜0.9(本実施形態では、0.5)に設定されるのが望ましい。
このように、本実施形態のリム温度計算工程S6では、図5に示したタイヤモデル32のビード部16cの温度に基づいて、図11に示したリム14の温度を計算しているため、タイヤ2の走行時のビード部2cの温度に依存して変化する現実に近いリム14の温度を計算することができる。このため、本実施形態のシミュレーション方法では、後述の工程S8において、タイヤモデル(図示省略)に、リム14の温度を精度良く定義することができるため、タイヤ2の走行時の温度を高い精度で計算することができる。
さらに、本実施形態のリム温度計算工程S6では、小領域33(図6に示す)に対応するリム14の領域(リム領域36)の温度を、小領域33の温度に基づいて計算している。このため、リム温度計算工程S6では、それぞれ異なる温度に計算された小領域33の温度を考慮して、リム14の温度を計算することができる。したがって、本実施形態のリム温度計算工程S6では、タイヤ2の走行時のビード部2cの温度に依存して変化する現実に近いリム14の温度を、効果的に計算することができる。
本実施形態のリム温度計算工程S6では、第2領域33bに対応するリム14の領域(第2リム領域36b)の温度が、第2領域33bの温度と、第1領域33aの温度に1未満の係数を乗じた温度とを積算して求められるため、リム14の熱伝導率の影響を考慮して、各リム領域36(本例では、第2リム領域36b)の温度を計算することができる。したがって、本実施形態のシミュレーション方法では、後述の工程S8において、タイヤモデル(図示省略)にリム14の温度を精度良く定義することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1によって、リム14の温度が収束したか否かが判断される(工程S7)。工程S7では、リム温度計算工程S6で計算されたリム14の温度と、計算前のリム14の温度(即ち、工程S42で設定されたリム14の温度の初期値)との差(以下、単に、「温度差」ということがある。)が、予め定められた温度差以下に収束したか否かが判断される。
本実施形態では、リム14の温度として、図11に示した第1リム領域36aの温度と、第2リム領域36bの温度として計算されている。このため、工程S7では、リム領域(第1リム領域36a及び第2リム領域36b)毎に、温度が収束したか否かが判断されるのが望ましい。
工程S7において、リム14の温度が収束したと判断された場合(工程S7で、「Y」)、リム温度計算工程S6で計算されたリム14の温度は、タイヤ走行時(即ち、予め設定された走行速度Vsで走行した時)のタイヤ2のリム14の温度とみなすことができる。この場合、計算されたリム14の温度をタイヤモデル(図示省略)に定義して、タイヤの走行時の温度を計算する工程S8(新たなシミュレーション)が実施される。
タイヤモデルに定義されるリム14の温度は、リム領域36(本例では、第1リム領域36a及び第2リム領域36b)毎に定義されてもよいし、リム領域36(本例では、第1リム領域36a及び第2リム領域36b)の温度の平均値が定義されてもよい。また、リム14の温度は、タイヤの走行時の温度を計算する工程S8において、タイヤモデルのビード部の温度に左右されない一定の値として定義される。このように、工程S8では、リム14の温度の熱収支の計算を省略しつつ、タイヤモデルの温度を計算できるため、計算時間を短縮しうる。
工程S8では、走行速度Vsで走行した実際のリム14の温度を測定しなくても、新たに設定されるタイヤモデル(図示省略)に、走行時の精度の高いリム14の温度が設定されるため、例えば、工程S8において、走行時のタイヤの任意の位置の温度を正確に予測することができる。
本実施形態のシミュレーション方法(タイヤの製造方法)では、走行時の温度が良好なタイヤモデルに基づいて、タイヤ2が製造される。これにより、本実施形態では、走行時の温度が良好なタイヤ2を確実に製造することができる。
他方、工程S7において、リム14の温度が収束していないと判断された場合、計算前のリム14の温度(即ち、工程S42で設定されたリム14の温度)が、リム温度計算工程S6で計算されたリム14の温度に更新される(工程S9)。さらに、単位時間T(x)が一つ進められ(工程S10)、更新されたリム14の温度に基づいて、リム温度計算工程S6が再度実施される。
このように、本実施形態のシミュレーション方法では、リム14の温度が収束するまで、リム温度計算工程S6が繰り返し実施されるため、タイヤの走行時の前記リムの温度の計算精度を高めることができる。なお、リム14の温度が収束したか否かの判断は、前記温度差が、例えば、0.05℃〜0.15℃以下である否かで判断されるのが望ましい。
工程S42では、タイヤモデル16のビード部16cの温度上昇を見込んで、リム14の温度が、予め高くに設定されてもよい。これにより、例えば、リム14の温度を常温(例えば、30℃)に設定されている場合に比べて、計算が収束するまでの時間を短縮することができる。このような作用を効果的に発揮させるために、実際のタイヤ2の走行試験の実測値等に基づいて、リム14の温度が定義されるのが望ましい。これにより、計算が収束するまでの時間をさらに短縮することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示すタイヤが製造され、各走行条件(走行速度:60km/h、80km/h、及び、100km/h)において、リムの温度及びビード部の温度が実測された(実験例)。リムの温度、及び、ビード部の温度の測定には、サーモビューアが用いられた。
図2に示すタイヤをモデル化したタイヤモデルが、コンピュータに設定された(実施例及び比較例)。実施例では、図3及び図7〜図10に示した処理手順に従って、実験例と同一の走行条件において、ビード部の温度が計算され、そのビード部の温度に基づいて、リムの温度が計算された。そして、計算されたリムの温度を、タイヤモデルのリムモデルに定義して、実験例と同一の走行条件で、タイヤモデルが路面モデルを転動するシミュレーションが実施された。そして、タイヤモデルのビード部の温度が計算された。
比較例では、予め定められたリムの温度をタイヤモデルのリムモデルに定義して、実験例と同一の走行条件で、タイヤモデルが路面モデルを転動するシミュレーションが実施された。そして、タイヤモデルのビード部の温度が計算された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:225/75R16C
リムサイズ:16×6.5J
内圧:685kPa
荷重:18.95kN
実施例:
タイヤモデルの発熱量の計算:静的解析
リムの初期設定温度:30℃
ビード部の小領域:第1領域及び第2領域
リム領域:第1リム領域及び第2リム領域
比較例:
リムの温度:55℃(一定)
タイヤサイズ:225/75R16C
リムサイズ:16×6.5J
内圧:685kPa
荷重:18.95kN
実施例:
タイヤモデルの発熱量の計算:静的解析
リムの初期設定温度:30℃
ビード部の小領域:第1領域及び第2領域
リム領域:第1リム領域及び第2リム領域
比較例:
リムの温度:55℃(一定)
図12は、リムの温度と走行速度との関係を示すグラフである。図13は、ビード部の温度と走行速度との関係を示すグラフである。テストの結果を表1に示す。
図12及び表1に示されるように、実施例は、実験例と同様のリムの温度変化を計算することができた。さらに、実施例では、転動シミュレーションにおいて、図12及び表1に示したリムの温度がリムモデルに設定されることにより、タイヤモデルのビード部の温度を、実験例のビード部の温度に近似させることができた。したがって、実施例は、タイヤの走行時の温度を高い精度で計算することができた。
S1 タイヤモデルを入力する工程
S6 リム温度計算工程
S8 タイヤの走行時の温度を計算する工程
S6 リム温度計算工程
S8 タイヤの走行時の温度を計算する工程
Claims (6)
- タイヤのビード部がリムに装着された前記タイヤの走行時の温度を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、
前記コンピュータに、前記タイヤを有限個の要素で離散化したタイヤモデルを入力する工程と、
前記コンピュータが、前記タイヤの走行時の前記リムの温度を計算するリム温度計算工程と、
前記コンピュータが、計算された前記リムの温度を前記タイヤモデルに定義して、前記タイヤの走行時の温度を計算する工程とを含み、
前記リム温度計算工程は、前記コンピュータが、前記タイヤモデルの走行時の前記ビード部の温度を計算する工程と、
前記コンピュータが、前記タイヤモデルの前記ビード部の温度に基づいて、前記リムの温度を計算する工程とを含む、
タイヤのシミュレーション方法。 - 前記タイヤモデルの前記ビード部の外面には、前記タイヤが前記リムに接触する部分に対応するリム接触領域が定義されており、
前記リム温度計算工程は、前記リム接触領域の温度に基づいて、前記リムの温度を計算する工程を含む、請求項1記載のタイヤのシミュレーション方法。 - 前記リム接触領域は、複数の小領域に区分され、
前記リム温度計算工程は、前記小領域に対応する前記リムの領域の温度を、前記小領域の温度に基づいて計算する工程を含む、請求項2記載のタイヤのシミュレーション方法。 - 前記リム温度計算工程は、前記小領域に対応する前記リムの領域の温度を、前記小領域の温度と、前記小領域と隣り合う他の小領域の温度とに基づいて計算する工程を含む、請求項3記載のタイヤのシミュレーション方法。
- 前記タイヤは、前記ビード部に埋設されたビードコアを含み、
前記小領域は、前記ビードコアのタイヤ半径方向の外端よりも外側の第1領域と、前記第1領域よりもタイヤ半径方向の内側の第2領域とを含み、
前記リム温度計算工程は、前記第2領域の温度と、前記第1領域の温度に1未満の係数を乗じた温度とを積算して、前記第2領域に対応する前記リムの領域の温度を計算する工程を含む、請求項3又は4記載のタイヤのシミュレーション方法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のシミュレーション方法で計算された前記タイヤの走行時の温度が良好な前記タイヤモデルに基づいて、前記タイヤを製造する工程を含むタイヤの製造方法。
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JP2019023715A JP2020131758A (ja) | 2019-02-13 | 2019-02-13 | タイヤのシミュレーション方法及びタイヤの製造方法 |
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