JP2020109735A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高寿命であり高安全な高出入力および高容量を実現可能な形状自由な可撓性を有する二次電池を提供する。【解決手段】二次電池(100)は、第1電極(10)と、第2電極(20)と、を有し、フィルム状の第1樹脂シート(31)もしくは及び固体電解質を含有したフィルム状の第2樹脂シート(32)が両電極(10,20)間に構成される。【選択図】図1

Description

本発明は二次電池に関する。
電池は、内部に入っている化学物質の化学エネルギーを電気化学的酸化還元反応によって電気エネルギーに変換する。近年、電池は、電子、通信、コンピュータなどの携帯型電子機器を中心に世界的に広く使用されている。また、電池は、今後、電気自動車等の移動体、および、電力負荷平準化システム等の定置用電池といった大型デバイスとしての実用化が望まれており、益々、重要なキーデバイスとなっている。
電池の中でも、リチウムイオン二次電池は、現在広く普及されている。一般的なリチウムイオン二次電池は、リチウム含有遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な材料(例えば、リチウム金属、リチウム合金、金属酸化物またはカーボン)を活物質とする負極と、非水電解液と、セパレータとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−002167号公報
しかしながら、従来のリチウムイオン二次電池は、単位重さあたりの出力および容量に限界を有しており、新たな二次電池が期待されている。
特許文献に示す資料によれば、従来のリチウムイオン二次電池では得られなかった高容量且つ高出力を得られることが開示されたが、電気自動車の普及には、高入力、急速充電性能を更に向上させることが期待される。また、特許文献資料に示す実施形態の電池では、5000サイクル程度の寿命が確認できるが、電気自動車やスマートグリッドや人型ロボット、ドローンを含めた次世代モビリティの普及には更に寿命性能を向上させることが期待されている。また、非水電解液、石油系溶媒を使用するリチウムイオン電池は安全上も大きな問題が有り、なかなか自動車を含むモビリティでの普及が進まない要因となっている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高寿命且つ高出入力および高容量を両立実現可能な新規高安全な二次電池を提供することにある。
本発明のある実施形態に係る二次電池は、第1電極と、第2電極と、を有し、フィルム状の第1樹脂シートもしくは及び固体電解質を含有したフィルム状の第2樹脂シートが前記両電極間に構成される。
ある実施形態に係る二次電池は、第1電極が少なくとも酸化ニッケルを含有し、第2電極が少なくともグラファイト、グラフェン、及びシリコンを含有する。
ある実施形態に係る二次電池は、第1樹脂シートが少なくともニオブ酸リチウムを含有する。
ある実施形態に係る二次電池は、第1樹脂シートの樹脂とニオブ酸リチウムとの重量割合が以下の範囲である。
20/100 < ニオブ酸リチウム/樹脂 < 110/100
ある実施形態に係る二次電池は、固体電解質がペロブスカイト構造を有する。
ある実施形態に係る二次電池は、ペロブスカイト構造を有する固体電解質がLiBH4である。
ある実施形態に係る二次電池は、第1樹脂シート及び第2樹脂シートの樹脂材料がアクリル樹脂である。
ある実施形態に係る二次電池は、正極に第1樹脂シートが貼り付けられ、負極に第2樹脂シートが貼り付けられて成る。
ある実施形態に係る二次電池は、第1電極と、第2電極と、を有する一方、リチウムイオン電池では従来有していたセパレータを有さず、フイルム状電解質により成る電池において、第2電極が少なくとも粒径が30〜200nmの大きさのシリコン含有物質を含み、多層グラフェンとグラファイト材料とバインダーとを含む。
ある実施形態に係る二次電池は、全固体電池が固体電解質粉末を第1電極と第2電極の間に挟持した構成ではなく、側鎖のできるだけ少ないアクリル樹脂中に固体電解質を分散させたフィルムを第1電極と第2電極の間に挟持した構成である。
ある実施形態に係る二次電池は、電解質が固体電解質を含有したフィルム状シートが負極上に形成され、ニオブ酸リチウムを含有した樹脂フィルムが正極上に形成された構成である。
ある実施形態に係る二次電池は、固体電解質が水素とホウ素元素を含有して成る。
ある実施形態に係る二次電池は、シリコン含有物質が充電時に膨張することでペロブスカイト層に外力が加わることで蓄電機構が発現する機構を有する。
ある実施形態に係る二次電池は、固体電解質フィルムシートの樹脂の割合が50%重量割合以上である。
ある実施形態に係る二次電池は、正極上に形成されるフィルム状シートがアクリル基を有する高分子を含有する。
ある実施形態に係る二次電池は、第1電極表面に形成されたニオブ酸リチウム粉末を含有するフィルム状シートの樹脂割合が50重量%以上である二次電池。
ある実施形態に係る二次電池は、フィルム状シート表面にタック性を有するフィルムを有する。
ある実施形態に係る二次電池は、第1電極が少なくともリチウムとニッケルとを含有する材料により成る。
本発明によれば、高寿命であり且つ、高出入力および高容量を実現可能な高安全二次電池を提供することができる。同時にプロセスコストを低減でき、汎用性、量産性に優れた全固体電池を提供することができる。
本発明の実施形態に係る二次電池の模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る二次電池について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1に、本実施形態の二次電池100の模式図を示す。二次電池100は、電極10と、電極20と、ホールを伝達するホール伝達部材30とを備えている。ホール伝達部材30は一層もしくは二層以上より成ることもある。電極10はホール伝達部材30を介して電極20と対向しており、ホール伝達部材30により、電極10は電極20と物理的に接触しない。
ここでは、電極(第1電極)10は正極として機能し、電極(第2電極)20は負極として機能する。放電を行う際、電極10の電位は電極20の電位よりも高く、電流は、電極10から外部負荷(図示せず)を介して電極20に流れる。また、充電を行う際、外部電源(図示せず)の高電位端子が電極10と電気的に接続され、外部電源(図示せず)の低電位端子が電極20と電気的に接続される。また、ここでは、電極10は集電体(第1集電体)110と接触して正極を形成しており、電極20は集電体(第2集電体)120と接触して負極を形成している。
ホール伝達部材30は電極10および電極20と接触している。ホール伝達部材30は、電極10と電極20の間を繋ぐように設けられた孔に位置している場合もある。これに代わり、孔がなくLISICONやNASICONのような膜である場合もある。ホール伝達部材30は少なくとも固体電解質材料を含むことから成る。放電の際、電極20において発生したホール(正孔)は、ホール伝達部材30を介して電極10に移動する。一方、充電の際、電極10において発生したホール(正孔)は、ホール伝達部材30を介して電極20に移動する。ホールが電極10から電極20に移動することにより、電極10の電位は電極20の電位よりも高くなるようなことも想定され、また、他のメカニズム動作も想定できる。それは、充電の際は、電極20に電子挿印することで、電極10内に過剰なカチオンを起因として、ホールを発生させ、ホールが電極20方向に向かい、ホール伝達部材30に電極10から発生したホールが衝突してホール伝達部材30に含有していた多価カチオンになり得る材料から乖離し、多価カチオンを輸送し、電極20に多価カチオンが衝突し、ホールを起因させることも可能である。今回、ホール伝達部材30を樹脂フィルムとすることで、高カチオンを含みやすくなることも特徴ではあるが、樹脂の高分子材料がラジカル伝達することで電極10からのホールをラジカルに変換して伝達することも見出したことが大きな特徴である。その電極20内のホールは電極10での電界方向と垂直方向に進行するとともに電子もホールと反対方向に蓄積されて行く。これは電極20に用いているグラフェン(Graphene)に起因する現象であることをこの度見出している。この時、電極10はドーピングによりp型化させた半導体材料であり、電極20は含有しているシリコンをn型化させた半導体材料である。その結果、イオン移動よりも高速なホール移動のため、急速充電を実現し、高入力性能を得ることができる。
また、放電時は、誘電分極反応を起こし、電極20の電子蓄積層に蓄積された電子は一気に電極内から外部に放出され、電極20内のホールが電極10側に移動することで高出力を得る結果に結びつく。
ここで、LISICON、NASICONとは、次の構造物質である。
Li1+x+yAlx(Ti,Ge)2-xSiyP3-yO12 、Na1+xZr2SixP3-xO12
このようにホール移動により得られた電池となることが見出された。これによって、これまでにない高安全、高寿命、高出入力、高容量の電池を得ることが出来ることを見出した。更に、この原理を利用し、シートフィルムを積層形成することにより電池が得られることも見出した。これによって、プロセス自体を簡素化し、従来よりもプロセスコストを大幅に削減した。また、シートフィルムを積層することで得られる電池によって、あらゆる大きさの電池にも容易に対応でき、フィルムの特徴である可撓性を有する電池であることからあらゆる形状にも対応できる電池を得ることができ、幅広い用途に対応できる電池を得た。
本実施形態の二次電池100では、電極10はp型半導体を有しており、電極20はn型半導体性質を有している。充電および放電のそれぞれの場合において、ホールがホール伝達部材30を介して移動する。
ホール伝達部材30は、電極10および電極20と接触している。放電の際、電極20の電子はホール電池内放出と同時に、外部負荷(図示せず)を介して電極10に移動し、また、電極10は、ホール伝達部材30を介してホールを受け取る。一方、充電の際、電極10のホールは、ホール伝達部材30を介して電極20に移動し、また、電極20は外部電源(図示せず)から電子を得て電池内で電極10からのホールを受け取る。
こうしたホール(正孔)を使った動作原理の電池は、電極表面の凹凸によってホールの移動が相殺されることがあることがホールを使った電池の欠点であることもこの度、見出した。電極表面に垂直にホールは直進移動するため、凹凸があると凹凸に沿って垂直にホールの移動方向が決まるためである。そこで、今回、電極表面を平滑化し、ホール移動をスムーズにし、更に、可撓性を電池に持たせること、また、塗工プロセスを削減できプロセスコストの削減もできるように固体電解質を含有する樹脂フィルムを電極表面に貼り付け形成することによって成る電池をこの度見出した。また、樹脂のタック性を活かし、電極が振動でずれることのない従来にない振動試験にも強い全固体電池を得られる結果も見出した。また、樹脂材料の高分子中のラジカルがホールを伝達することも確認でき、従来のリチウムイオン電池や全固体リチウムイオン電池ではイオンを捕獲してしまう障害物となる高分子が本電池系では性能を助長できることを見出したものである。
これによって、本発明を効果的に発現させ、従来にない本発明の効果を得ることを見出した。
このように、本実施形態の二次電池100では、電極10または電極20において発生したホールは、ホール伝達部材30を介して電極10と電極20との間を移動する。イオンのような大きな形態ではなくホールが電極10と電極20との間を移動するため、二次電池100は、効率よく高容量を実現できる。また、本実施形態の二次電池100では、ホールは、ホール伝達部材30を介して電極10と電極20との間を移動する。ホールは、イオンよりも小さく、かつ、高い移動度を有しているため、二次電池100は、高出入力を実現できる。
また、ここに見出したる条件によれば、ホール伝達部30が固体形状であり、本電池が化学反応による化学電池でないことによって、高安全で高寿命であり、高容量、高出入力を実現する結果を得た。
後述する表1には、本実施形態の二次電池100および一般的なリチウムイオン電池の重量エネルギー密度も示している。これから理解されるように、本実施形態の二次電池100によれば、従来にない容量性能特性を大きく改善することができる。
以上により、本実施形態の二次電池100は、高容量および高出力を実現している。本実施形態の二次電池100は、p型半導体である電極10からホール伝達部材30を介してホールの伝達を行う半導体電池の特性を有しており、二次電池100は、物理電池(半導体電池)の原理より成る電池といえる。
本実施形態の二次電池100では、電解液を使わないことと化学反応を伴わない物理電池であることから、仮に、電極10と電極20とが接触して内部を短絡させても、二次電池100の温度の上昇を抑制できるし、引火し難い。また、本実施形態の二次電池100は、急速放電での容量低下も少なく、サイクル特性に優れている。
なお、電極10をp型半導体とすることに加えて、電極20をn型半導体とすることにより、本発明の効果を得やすく、二次電池100の容量および出力特性をさらに向上させることができる。
電極10および電極20がそれぞれp型半導体およびn型半導体であるか否かは、ホール効果(Hall effect)を測定することによって判定できる。ホール効果により、電流を流しながら磁場を印加すると、電流が流れる方向および磁場の印加方向と直角する方向に電圧が発生する。その電圧の向きにより、p型半導体であるかn型半導体であるか判定できる。
[電極10について]
電極10は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する複合酸化物を有している。例えば、アルカリ金属はリチウムおよびナトリウムの少なくとも1種であり、アルカリ土類金属はマグネシウムである。複合酸化物は、二次電池100の正極活物質として機能する。例えば、電極10は、複合酸化物および正極結着剤を混合した正極電極材から形成される。また、正極電極材には、さらに導電材が混合されてもよい。なお、複合酸化物は、1種類に限られず、複数種類であってもよい。
複合酸化物は、p型半導体であるp型複合酸化物を含む。例えば、p型半導体として機能するように、p型複合酸化物は、アンチモン、鉛、燐、ホウ素、アルミニウムおよびガリウムからなる群から選択された少なくとも1種をドーピングしたリチウムおよびニッケルを有する。この複合酸化物は、例えば、LixNiyzOαと表される。ここで、0<x<3、y+z=1、1<α<4である。また、ここでは、Mは、p型半導体として機能させるための元素であり、Mは、アンチモン、鉛、燐、ホウ素、アルミニウムおよびガリウムからなる群から選択された少なくとも1種である。もしくは、リチウムを含まない場合も考えられる。ドーピングにより、p型複合酸化物には構造的な欠損が生じており、これにより、ホールが形成される。
例えば、p型複合酸化物は、金属元素のドーピングされたニッケル酸リチウムを含むことが好ましい。一例として、p型複合酸化物は、アンチモンをドープしたニッケル酸リチウムである。または、リチウムを含まない酸化ニッケルである。
例えば、電極10の活物質として、ニッケル酸リチウム、リン酸マンガンリチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、マンガンニオブ酸リチウムおよび、これらの固溶体、ならびに、各々の変性体(アンチモンやアルミニウムやマグネシウム等の金属を共晶させたもの)などの複合酸化物や各々の材料を化学的または物理的に合成したものが挙げられ、リチウムを含有しない場合も挙げられる。例えば、酸化ニッケル、酸化マンガンなども含む。
電極10は、複合酸化物、正極結着剤および導電材を混合した正極電極材から形成される。
例えば、正極結着剤は、増粘効果のあるカルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose:CMC)である例えば、日本製紙株式会社製MAC−350HCおよび変性アクリロニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製BM−451Bなど)と混合して作製される。正極結着剤としてアクリル基を有するポリアクリル酸モノマーからなる結着剤(日本ゼオン株式会社製SX9172)を用いることが好ましい。また、導電剤として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、および、各種グラファイトやグラフェンやカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーを単独または組み合わせて用いてもよい。
上述した材料を電極結着剤とすることにより、二次電池100を組み立てる際、電極10にクラックが生じにくく、歩留を高く維持できる。また、正極結着剤としてアクリル基を有する材料を用いることにより、ホール(正孔)移動において抵抗が低くなり、電極10のp型半導体の性質の阻害を抑制できることも見出している。
なお、アクリル基を有する正極結着剤内にグラフェンやペロブスカイト材料または固体電解質材料が存在していることが好ましい。これにより、正極結着剤が抵抗体とならず、電子やホールをトラップしにくくなり、電極10がp型半導体化しやすく、更に化学電池のような発熱が抑制される。具体的には、アクリル基を有する正極結着剤内にグラフェンやペロブスカイト材料または固体電解質材料が存在すると、ホール移動を阻害しにくく、p型半導体化が促進される。これらの材料が含まれることにより、アクリル樹脂層は活物質を覆うことができ、活物質が化学反応してイオン電池となることが抑制され、半導体としてホール移動を活かした電池となる。更に、本電池のような場合も、電池内部抵抗が低く保てられるため、電極20での動作を効率良く行える結果をもたらす。
さらに、アクリル樹脂層内にグラフェンや燐元素またはペロブスカイト材料または固体電解質材料が存在すると、電位が緩和されて活物質に到達する酸化電位を下げることにもなる一方で、ホールは緩衝されずに移動できる。また、アクリル樹脂層は耐電圧に優れている。このため、電極10内に、高電圧でも使用でき、安全に高容量かつ高出力を実現できる機構を形成できる。また、化学反応を伴わないため、高出力時の温度上昇も抑制される。これによって、寿命および安全性を向上させることもできる。本電池のような場合も、同様に電池内部抵抗を下げることができ、高効率で高性能であり、高寿命も保つことができる。
[電極20について]
電極20は電極10において発生するイオンやホール、電子を吸蔵および放出可能である。電極20の活物質として、少なくともグラファイトとグラフェンとシリコン含有物を有し、加えて、各種天然黒鉛、人造黒鉛、シリコン系複合材料(シリサイド)、酸化シリコン系材料、チタン合金系材料、および各種合金組成材料を単独または混合して用いることができる。
例えば、電極20はグラフェンとシリコンの混合物を含有する。更に、酸化燐や硫黄酸化物を高せん断力分散機(例えば、プラミクス株式会社製フィルミクス)で添加分散することで、この場合、電極20はn型半導体となる。ここでは、グラフェンは、層数が10層以下のナノレベルの層である。グラフェンには、カーボンナノチューブ(Carbon nanotube:CNT)が含有されてもよい。
特に、電極20は、グラファイトとグラフェンとシリコンもしくは酸化シリコンの混合物を含有することが好ましい。この場合、電極20のホールの吸蔵効率を向上させることができると同時に電子蓄積層を設けることができる。また、グラフェンおよび酸化シリコンはそれぞれ発熱体として機能しにくいため、二次電池100の安全性を向上及び寿命を向上させることができる。
上述したように、電極20はn型半導体となることが好ましい。電極20は、グラフェンおよびシリコンを含む物質を有する。シリコンを含む物質は、例えば、SiOxa(xa<2)である。また、電極20に、グラフェンおよび/またはシリコンを用いることにより、二次電池100の内部短絡が生じた場合でも、発熱しにくく、二次電池100の発火や破裂を抑制することができる。
また、電極20に、ドナーがドーピングされてもよい。例えば、電極20には、ドナーとして金属元素がドープされている。金属元素は、例えば、アルカリ金属または遷移金属である。アルカリ金属として、例えば、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのいずれかがドープされてもよい。あるいは、遷移金属として、銅、チタンまたは亜鉛がドープされてもよい。また、酸化燐や硫黄酸化物を用いても良い。
電極20は、リチウムのドーピングされたグラフェンを有してもよい。例えば、電極20の材料に有機リチウムを含有させて加熱もしくは、前述のフィルミクスを用いて高分散状況下で物質の衝突熱を利用することにより、リチウムのドーピングを行ってもよい。あるいは、電極20にリチウム金属を貼り付けることにより、リチウムのドーピングを行ってもよい。好ましくは、電極20は、リチウムがドープされたグラフェンもしくはグラファイトもしくはシリコンを含有する。実施例では、電極10内のリチウムを充電により電極20に移動させ、ドーピングする方法を見出したことを示している。ドーピング後はリチウムは電極10戻ることはなく、リチウムは電極20のドーピングに利用される。
電極20は、負極活物質および負極結着剤を混合した負極電極材から形成される。負極結着剤として、正極結着剤と同様の物を用いることができる。なお、負極電極材には、さらに導電材が混合されてもよい。
[ホール伝達部材30について]
ホール伝達部材30は、電解液を有さず、今回、フィルムシート状とする構成を見出した。ホール伝達部材30は、アクリル樹脂を含むことが好ましい。これは、アクリル樹脂のラジカル伝達機能がホールを効率よく運ぶことを今回見出したことによる。また、樹脂フィルムにより固体電解質や電解質を滑落防止でき、振動試験、衝突試験に対して耐性を向上させることに結び付く。更に、電池に可撓性を付与できることにも繋がった。
ホール伝達部材30は、電極10および電極20の少なくとも一方と接着されている。もしくは、電解質を介して接着されている。好ましくはペロブスカイト構造を有す物質を含有するフィルムを設ける。これによって、充電時のシリコンの膨張により、ペロブスカイト層に圧力が加わり、ホール移動を加速させる機能が備わり、従来にない急速充電を可能とすることを見出した。
例えば、ホール伝達部材30は、セラミック材料を有している。一例として、ホール伝達部材30は、無機酸化物フィラーを含有する多孔膜層を有している。例えば、無機酸化物フィラーは、アルミナ(α−Al23)を主成分とすることが好ましく、ホールはアルミナの表面を移動する。また、多孔膜層は、ZrO2−P25をさらに含有してもよい。あるいは、ホール伝達部材30として、酸化チタンまたはシリカもしくはLiBH4もしくは、Li1+x+yAlx(Ti,Ge)2-xSiyP3-yO12を混合用いてもよい。
ホール伝達部材30は、セラミック材料を担持するフィルムが用いられる。フィルムは、耐電圧性および耐酸化性を示し、低抵抗を示す。また、可撓性を有し、ホール移動を助長するフィルム内をラジカル移動が可能なものが好ましい。
ホール伝達部材30はいわゆるセパレータとしての機能も有することが好ましい。ホール伝達部材30は、二次電池100の使用範囲に耐えうる組成であり、二次電池100における半導体機能を失わなければ特に限定されない。ホール伝達部材30として、フィルムにLiBH4等ペロブスカイト材料や酸化物固体電解質を担持したものを用いることが好ましい。ホール伝達部材30の厚さは、特に限定されないが、設計容量を得られる膜厚内となるように、6μm〜25μmと設計することが好ましい。
また、フィルム状に高分子に前記材料を含有させる際に、高分子割合は重量比で50%以上を有する構成とする。これによってフィルムは電極に吸着しやすく、ずれが生じ難くなり、安定した電池性能を示す。また、可撓性を有すため、電池の形態の自由度が得られる。電極に吸着することで含有材料の接合性が確保しやすくなることもこの度見出した。リチウム電池のような場合、高分子がこのように多いとイオンが捕捉されて電池性能の確保が困難となるが、本電池の場合、イオンでなくホールであるがためにホールのホッピング現象が活かされることにより電池性能を向上させ、振動試験にも耐え得、電気自動車用電池としてもスペックを満足できることを見出せれた。
更に、高分子材料は側鎖基をあまり有さないラジカル伝達しやすいアクリル樹脂を用いると更に良いこともこの度見出し、電気自動車用スペックを満足できる電池を得ることとなった。
このような構成によれば、シートフィルムを形成するだけで大小さまざまな大きさや形態の本電池を得ることができ、従来の電池の製造コストを格段に下げることにも成功した。
[集電体110、120について]
例えば、第1集電体110および第2集電体120はステンレス鋼もしくはニッケル箔から形成されている。これにより、低コストで電位幅を拡大させることができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まずは、従来のリチウムイオン電池を比較に挙げる。
(比較例1)
住友スリーエム株式会社製ニッケルマンガンコバルト酸リチウムBC−618、株式会社クレハ製PVDF#1320(固形分12重量部のN−メチルピロリドン(NMP)溶液)、および、アセチレンブラックを重量比率3:1:0.09で、さらなるN−メチルピロリドン(NMP)とともに双腕式練合機にて攪拌し、正極電極材を作製した。厚さ13.3μmのアルミニウム箔に正極電極材を塗布して乾燥させた後、総厚が155μmとなるように圧延し、その後、特定の大きさに切り出して正極の電極を形成した。
一方、人造黒鉛、日本ゼオン株式会社製のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム粒子結着剤BM−400B(固形分40重量部)、および、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose:CMC)を重量比率100:2.5:1で適量の水とともに双腕式練合機にて攪拌し、負極電極材を作製した。厚さ10μmの銅箔に負極電極材を塗布して乾燥させた後、総厚が180μmとなるように圧延し、その後、特定な大きさに切り出して負極の電極を形成した。
厚さ20μmのポリプロピレン微多孔フィルムをセパレータとして正極および負極のそれぞれの電極で挟持して積層構成し、所定の大きさで切断して電槽缶内に挿入した。エチレンカーボネート(Ethylene Carbonate:EC)、ジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate:DMC)およびメチルエチルカーボネート(Methyl Ethyl Carbonate:MEC)を混合した混合溶媒にLiPF6を1M溶解させた電解液をドライエア環境下で電槽缶に注入して一定期間放置した後、0.1Cに相当する電流で20分程度予備充電を行った後で封口し、積層型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、その後、常温環境下で一定期間エージング放置した。
次に、グラフェン電池を比較例に挙げる。
(比較例2)
ニッケル酸リチウム(住友金属鉱山株式会社製)にアンチモン(Sb)を0.7重量%ドープした材料、Li1.2MnPO4(Dow Chemical Company製のLithiated Metal Phosphate II)、および、Li2MnO3(Zhenhua E−Chem co.,ltd製のZHFL−01)をそれぞれ重量比率54.7重量%、18.2重量%、18.2重量%となるように混合し、ホソカワミクロン株式会社製のAMS−LAB(メカノフュージョン)において回転速度1500rpmで3分間処理し、電極10の活物質を作製した。次に、活物質、導電部材であるアセチレンブラック、および、アクリル基を有するポリアクリル酸モノマーからなる結着剤(日本ゼオン株式会社製SX9172)を固形分重量比率92:3:5で、N−メチルピロリドン(NMP)とともに双腕式練合機にて攪拌し、正極電極材を作製した。
正極電極材を厚さ13μmのSUS製集電箔(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製)に塗布し、乾燥させた後、面密度26.7mg/cm2となるように圧延した。その後、特定の大きさに切断し、電極10を得た。この電極10のホール効果を測定したところ、電極10はp型半導体であることが確認された。
一方、グラフェン材料(XG Sciences,Inc.製の「xGnP Graphene Nanoplatelets H type」)、および、酸化シリコンSiOxa(上海杉杉科技有限公司製の「SiOx」)を重量比率56.4:37.6で混合し、ホソカワミクロン株式会社製NOB−130(ノビルタ)において回転速度800rpmで3分間処理し、負極活物質を作製した。次に、負極活物質、および、アクリル基を有するポリアクリル酸モノマーからなる負極結着剤(日本ゼオン株式会社製SX9172)を固形分重量比率95:5で、N−メチルピロリドン(NMP)とともに双腕式練合機にて攪拌し、負極電極材を作製した。
厚さ13μmのSUS製集電箔(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製)に負極電極材を塗布し、乾燥させた後、面密度5.2mg/cm2となるように圧延した。その後、特定の大きさに切断し、電極20を形成した。
厚さ20μmの不織布にαアルミナを担持したシート(三菱製紙株式会社製「Nano X」)を電極10と電極20との間に挟持させて積層構造を形成し、積層構造を所定の大きさに切断して電池容器内に挿入した。α−アルミナを担持した不織布シートには、Novolyte technologies社の「Novolyte EEL−003」(ビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate:VC)およびリチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(Lithium bis(oxalate)borate:LiBOB)をそれぞれ2重量%および1重量%添加したもの)を染み込ませるように処理した。
次に、EC(エチレンカーボネート)、DMC(ジメチルカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)を容積比率1:1:1で混合させた混合溶媒を用意し、この混合溶媒にLiPF6を1M溶解させた電解液を形成した。その後、ドライエア環境下で電池容器内に電解液を注入して一定期間放置した後、0.1Cに相当する電流で20分程度予備充電を行い、その後、封口し、常温環境下で一定期間エージング放置して二次電池を作製した。
次に、実施例1,2及び比較例3の電極について示すと共に、実施例1,2及び比較例3を示す。
電極の作製方法を以下に示す。
ニッケル酸リチウム(JFEミネラル株式会社製)にアンチモン(Sb)(高純度科学製)を0.4重量%相当添加した材料に、導電部材であるグラフェン(XG Sciencess社製Graphene type-R)、および、アクリル基を有するポリアクリル酸モノマーからなる結着剤(日本ゼオン株式会社製SX9172)を固形分重量比率92:3:5で、N−メチルピロリドン(NMP)とともにプライミクス株式会社製薄膜旋回型高速ミキサーであるフィルミックスにて攪拌分散し、正極電極材を作製した。
正極電極材を厚さ13μmのSUS製集電箔(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製)に塗布し、乾燥させた後、面密度26.7mg/cm2となるように圧延した。その後、特定の大きさに切断し、電極10を得た。この電極10のホール効果を測定したところ、電極10はp型半導体であることが確認された。
一方、1〜10μmの長軸粒径のグラファイト(上海杉杉科技有限公司製)に30〜200nmの球状粒径のシリコン(上海杉杉科技有限公司製)を重量比1:1でホソカワミクロン株式会社製NOB-130(ノビルタ)にて800rpm3分間処理混合し、その混合物と、グラフェン材料(XG Sciences,Inc.製の「xGnP Graphene Nanoplatelets H type」)と、cmc(日本製紙株式会社製MAC350HC)を水に1.4重量%溶解させたものと、ポリアクリル酸モノマーのエマルジョンからなる結着剤(日本ゼオン株式会社製BM451B)を重量比率90.8%、4,32%、1.96%、2.92の配合割合で双腕式ミキサーで一定時間撹拌した後、この撹拌混合物に対して重量比1:0.005の割合で五酸化燐(株式会社高純度科学研究所製)を添加し、フィルミックス(プライミクス株式会社製)にて負極塗料化した。
厚さ13μmのSUS製集電箔(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製)に負極電極材を塗布し、乾燥させた後、面密度5.2mg/cm2となるように圧延した。その後、特定の大きさに切断し、電極20を形成した。
(比較例3)
比較例3では、前記電極20の負極表面にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かしたPbI2溶液濃度40%をマイクログラビアで塗工乾燥し、更に、CH3NH3Iを2-プロパノールに濃度45%溶解させたものをその上からマイクログラビアで塗工乾燥し、更に、真空乾燥―100kPaの減圧下で105℃72時間保管したものを用いて電池化した。この手法で得た負極表面にはCH3NH3PbI3が4〜6μm程度形成できていることをTOF-SIMS等により確認した。
(実施例1)
露点−60℃の雰囲気環境の中、アクリル樹脂材料(アクリルモノマー)とLiBH4(リチウムボロハライド)(Sigma-Aldrich社製)を1:1の重量比でTHF54重量%溶液としたものをPET上に塗工し、乾燥(100℃24時間−100kPa真空乾燥)をする(乾燥後の膜厚が25μmとなるように)ことによってフィルム化し、PETから剥がして、このフィルム(第2樹脂シート)を前記電極20の負極表面に転写設置する。前記正極10と対向させて積層することによって電池を得る。図1に、第2樹脂シートとしての固体電解質フィルム32を示す。実施例1では、固体電解質フィルム32がホール伝達部材30として機能する。
ここで、フィルム化せずにLiBH4を電極20の表面上に形成した場合、露点環境が−60℃に達しない環境では、水分と反応し、発煙することも確認されたが、フィルム化したものは露点の良くない環境でも発煙することはなく、安全で安定した電池を確保できることも見出した。また、フィルム化しないものは性能ばらつきが大きくなることも確認できた。これは、電極の凹凸によりホールの方向性がばらつき、性能ばらつきを生むのに対して、フィルム化して構成したものは、フィルムにより、電極の凹凸を平滑化することができて、ホールの方向性を均一化できるため性能安定性が向上すると考えている。また、フィルム化したものは可撓性があり、どのような形状形態にも応用できることも見出した。フィルム化しないで構成したものは、LiBH4層が変形により、電極表面から滑落したり、クラックを発生させてしまうため性能低下が見られた。
更に、このフィルムを比較例1のセパレータの代わりに用いると、電池としての動作ができないことも確認できた。これは、樹脂が多いとリチウムイオンが動作できないこと、抵抗分が高いことからと考えられる。
(実施例2)
次に、実施例1の構成に加えて、LiNbO3ニオブ酸リチウム(Sigma-Aldrich社製)をアクリル樹脂材料と重量比1:1で混合し、53%NMP溶液を作製し、PET上に塗工乾燥(100℃24時間−100kPa真空乾燥)をする(乾燥後の膜厚が25μmとなるように)ことによってフィルム化し、PETから剥がして、このフィルム(第1樹脂シート)を正極10の電極表面に対して、転写設置して電池化した。図1に、第1樹脂シートとしてのニオブ酸リチウム含有フィルム31を示す。実施例2では、ニオブ酸リチウム含有フィルム31及び固体電解質フィルム32がホール伝達部材30として機能する。
なお、上記のように作製した実施例1、実施例2および比較例1から比較例3の電池を、以下に示す方法にて評価した。
(電池初期容量評価)
比較例1の仕様電位範囲1V−3.8Vにおける1C放電容量を100として各二次電池の容量比較性能評価を行った。また、電池の形状は、今回、角型電池缶を用い、積層電池とした。さらに、10C/1Cの放電容量比を測定した。これによって、高出力性能を評価する。同様に10C/1C充電容量比を測定した。これによって入力性能、急速充電性を評価する。
(釘刺試験)
満充電した二次電池に対して、2.7mm径の鉄製丸釘を常温環境下で5mm/秒の速度で貫通させた時の発熱状態及び外観を観測した。下記表1に結果を示す。表1では、二次電池の温度及び外観の変化が生じなかった二次電池を「OK」と示し、二次電池の温度及び外観の変化が生じた二次電池を「NG」と示している。
(過充電試験)
充電率200%を電流維持し、15分以上外観に変化が生じるか否かを判定した。下記表1に結果を示す。表1では、異常を起こさなかった二次電池を「OK」と示し、変化(膨れまたは破裂等)が生じた二次電池を「NG」と示している。
(常温寿命特性)
実施例1、実施例2及び比較例1から比較例3の二次電池を仕様電位範囲1V−3.8V仕様の場合、25℃で1C/3.8Vで充電した後、1C/1V放電を3000サイクル及び1万サイクル実施し、初回目の容量に対して容量低下を比較した。
(評価結果)
表1に上述した評価結果を示す。
Figure 2020109735
比較例1の二次電池は、いわゆる一般的なリチウムイオン二次電池である。比較例1の二次電池では、釘刺速度の如何に関わらず1秒後に過熱が顕著であったのに対し、実施例1の二次電池では、釘刺後において温度上昇が殆どなく、大幅に抑制された。釘刺試験後の電池を分解し調べたところ、比較例1の二次電池では、セパレータが広範囲に及んで溶融していたが、実施例1の二次電池では、釘刺しによる穴はあるものの何ら短絡の様相形態変化(前記の溶融等)が見られるものがなかった。そのため、穴があっても電池として作動することも確認できた。これまでのリチウムイオン電池のような電池では有り得ないことであることは言うまでもない。これは、フィルム状にした固体電解質を用いた電池であることで、フィルムによる原形を保てられることから釘刺しの衝撃からも電池内部構造を保てられた結果とも言える。また、イオン電池でない為化学反応を伴わないことにも起因すると考える。寿命試験においても差があるのは、その起因によるものと言える。
比較例2は、電解液の影響を受けて、レート性能、寿命の点で実施例1との差を示している。このことからも本発明は、電解液を用いた電池では得られなかった大きな特徴を得ていることを示すものである。
比較例3は、電極上に塗布などにより固体形成する固体電池であり、このタイプの電池は、特に、衝突試験や振動試験において課題を有していた。UL、CE等に代表される小型二次電池の安全性信頼性試験基準に従い、衝突試験及び振動試験を行うと、発火や破裂などの危険性はないものの両試験とも1/5の確率で電池機能を失ってしまうことがわかっており、電池性能を失ったものを解体したところ、電極や固体電解質が集電体から滑落していることが分かった。
電気自動車や次世代モビリティでの電池では、電池機能を失う危険性ができるだけ排除されていなければならないため、研究を重ねた結果、本発明に至り、実施例1、2に示されるものは、各試験100個の電池において電池機能を失うことはなかったことが明らかとなった。
実施例1では、固体電解質がフィルム状であり、固体電解質自体が衝突や振動で崩壊することはなく、フィルム樹脂のバインド力が電極の崩壊をも防ぐ保護膜となることからと考える。これまで、フィルム状の固体電解質はなく、これまでの固体電解質は粉体成型や微量の樹脂を混ぜて塗工するのが一般的である。それは、固体電解質はイオン電池において絶縁物があるとイオンをトラップし、イオン移動の障害となり、電池性能を得ることができないからである。今回、本発明は樹脂の割合が50重量%近くもあることはイオン電池では有り得ないと考えられてきたものであり、フィルム状のものは世の中になかった。では、なぜ、本電池で成功できたかは、本電池がホール移動電池だからであり、ホールは樹脂の骨格を飛び越える性質も有するから障害となり難いからであると考える。本構成によれば、安定して電気自動車など次世代モビリティのスペックを満足できることを今回得たわけである。
実施例2では、実施例1同様に負極20上に固体電解質フィルム31を設けると同時に正極10側にニオブ酸リチウム含有フィルム32を設けた。その結果、先に示すように安全性試験問題が解消できると共に、性能も寿命も更に改善される結果を得た。これは、正極表面の凹凸表面をニオブ酸リチウム含有フィルムが平滑化する平坦膜となり、直進する性質のホールの移動方向において正極表面の凹凸で乱れた進行方向を効率よく、負極方向に向ける効果からくるものと考える。また、樹脂フィルムに使われる高分子内のラジカル移動機能がホールを輸送するため、効率の良いホール移動を助長し、性能向上に結び付いていると考える。ニオブ酸リチウムは固体電解質と正極のオーミックコンタクト性を向上させるアンカー効果を発現するものとして機能するとも考えている。同時に、振動試験で電極がずれることを防ぐ効果もある結果とも考える。更に、この構成が寿命が殆ど劣化しない性能を得ている理由の1つに固体電解質にLiBH4を用いた場合、本実施例のようにフィルム化していない場合、LiBH4が正極を腐食することが一般的に知られており、従来の固体リチウムイオン電池では寿命が短かったが、フィルム内のLiBH4成分が正極に到達し難くなっていることと更に、実施例2の構成では正極に保護膜が形成されることで寿命を延ばす結果となったと考える。
このように従来のイオン電池では得られなかった耐衝撃性の良い電池となり、今回、この特徴を見出すことによって、高安全な高容量高出入力電池を得ることができた。
実施例2において、ニオブ酸リチウムと樹脂の割合は、ニオブ酸リチウムと樹脂の重量比率が20:100から110:100内であれば、本性能を得ることも確認できた。ニオブ酸リチウムが20より下回る割合の際は、電池内抵抗が極端に大きくなった。これは、前述したように電極と固体電解質のオーミックコンタクト性を落とすことからと現段階では考えている。この後、分析方法が見つかることで証明して行きたいと考える。逆に、ニオブ酸リチウム割合が110を超えるとフィルム化が困難なのが現状である。また、フィルム化できずに材料を塗工した場合、電極の平滑化ができずにむしろ、凹凸が大きくなることで性能低下が見られた。これらのことから範囲規定される。
なお、上記実施例1では、両電極10,20間にホール伝達部材30として固体電解質フィルム32のみを設ける構成について説明した。また、上記実施例2では、負極20に固体電解質フィルム32を設けると同時に正極10にニオブ酸リチウム含有フィルム31を設ける構成、つまり、両電極10,20間にホール伝達部材30として固体電解質フィルム32及びニオブ酸リチウム含有フィルム31を設ける構成について説明した。これに代わり、両電極10,20間にニオブ酸リチウム含有フィルム31のみを設ける構成であってもよい。
本発明の二次電池は高出力で急速充電を可能とする高容量を実現可能であり、高安全な大型蓄電池等として好適に用いられる。例えば、本発明の二次電池は、地熱発電、風力発電、太陽発電、水力発電および波力発電といった発電力の安定しない発電機構の蓄電池として好適に用いられる。また、本発明の二次電池は、電気自動車等の移動体にも好適に用いられる。更に、高安全であるため、カード用電池から携帯電話、モバイル端末にも幅広く用いられる。
10 第1電極
20 第2電極
30 ホール伝達部材
31 ニオブ酸リチウム含有フィルム(第1樹脂シート)
32 固体電解質フィルム(第2樹脂シート)
100 二次電池

Claims (8)

  1. 第1電極と、第2電極と、を有し、フィルム状の第1樹脂シートもしくは及び固体電解質を含有したフィルム状の第2樹脂シートが前記両電極間に構成されて成る二次電池。
  2. 前記第1電極が少なくとも酸化ニッケルを含有し、前記第2電極が少なくともグラファイト、グラフェン、及びシリコンを含有する請求項1記載の二次電池。
  3. 前記第1樹脂シートが少なくともニオブ酸リチウムを含有する請求項1又は2記載の二次電池。
  4. 前記第1樹脂シートの樹脂とニオブ酸リチウムとの重量割合が以下の範囲である請求項3記載の二次電池。
    20/100 < ニオブ酸リチウム/樹脂 < 110/100
  5. 前記固体電解質がペロブスカイト構造を有する請求項1記載の二次電池。
  6. 前記ペロブスカイト構造を有する固体電解質がLiBH4である請求項5記載の二次電池。
  7. 前記第1樹脂シート及び前記第2樹脂シートの樹脂材料がアクリル樹脂である請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の二次電池。
  8. 正極に前記第1樹脂シートが貼り付けられ、負極に前記第2樹脂シートが貼り付けられて成る請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の二次電池。
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