以下では、図1を用いて、第一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
電力供給システム1は、複数の戸建住宅(住宅H)からなる住宅街区T(住宅Hの集合体)に適用することを想定している。具体的には、住宅街区Tには、複数の(戸建)住宅Hとして、第一住宅H1、第二住宅H2及び第三住宅H3が設けられる。住宅街区Tにおいては、電力小売事業者が電力会社(系統電源S)から電力を一括購入し、当該購入した電力が各住宅Hに適宜供給(売却)される。
電力供給システム1は、電力小売事業者が電力会社から一括購入した電力等を、複数の住宅H(第一住宅H1、第二住宅H2及び第三住宅H3)間で適宜供給(融通)するためのシステムである。電力供給システム1は、主としてセンサ部10、第一蓄電システム20、第二蓄電システム30、第三蓄電システム40及びEMS50を具備する。
複数の住宅H(第一住宅H1、第二住宅H2及び第三住宅H3)は、人が居住する建物である。各住宅Hには適宜の電気製品が設けられ、電力が消費される。
また、各住宅Hは、配電線Lを介して系統電源Sと接続される。具体的には、配電線Lの上流側端部は系統電源Sと接続され、配電線Lの下流側端部は分岐してそれぞれで各住宅Hと接続される。
センサ部10は、配電線Lを流通する電力を検出するものである。センサ部10は、第一センサ11、第二センサ12及び第三センサ13を具備する。
第一センサ11、第二センサ12及び第三センサ13は、それぞれ配置箇所を流通する電力を検出するものである。第一センサ11、第二センサ12及び第三センサ13は、それぞれ検出結果に関する信号を出力可能に構成される。第一センサ11、第二センサ12及び第三センサ13は、それぞれ所定の蓄電システムと対応するように設けられ、当該対応する蓄電システムのハイブリッドパワコンと電気的に接続される。
具体的には、第一センサ11は、後述する第一蓄電システム20のハイブリッドパワコン23と電気的に接続される。また、第二センサ12は、後述する第二蓄電システム30のハイブリッドパワコン33と電気的に接続される。また、第三センサ13は、後述する第三蓄電システム40のハイブリッドパワコン43と電気的に接続される。
また、第一センサ11、第二センサ12及び第三センサ13は、それぞれ配電線Lにおいて、前記対応する蓄電システムのハイブリッドパワコンが接続された連結点の直ぐ上流側に配置される。具体的には、第一センサ11、第二センサ12及び第三センサ13は、それぞれ配電線Lにおいて、後述する第一連結点P1、第二連結点P2及び第三連結点P3の直ぐ上流側に配置される。
第一蓄電システム20、第二蓄電システム30及び第三蓄電システム40は、それぞれ配電線Lに接続される。より詳細には、第一蓄電システム20、第二蓄電システム30及び第三蓄電システム40は、配電線Lにおいて、各住宅H側から系統電源S側にかけて順に接続され、これにより系統電源Sと各住宅Hとの間に直列に配置される。第一蓄電システム20、第二蓄電システム30及び第三蓄電システム40は、それぞれ第一住宅H1、第二住宅H2及び第三住宅H3の居住者に所有されている。具体的には、第一蓄電システム20は、第一住宅H1に設けられ、第一住宅H1の住人に所有されている。また、第二蓄電システム30は、第二住宅H2に設けられ、第二住宅H2の住人に所有されている。また、第三蓄電システム40は、第三住宅H3に設けられ、第三住宅H3の住人に所有されている。
第一蓄電システム20は、系統電源Sから購入した電力や太陽光を利用して発電された電力を蓄電したり、各住宅H等へと供給したりするものである。第一蓄電システム20は、太陽光発電部21、蓄電池22及びハイブリッドパワコン23を具備する。
太陽光発電部21は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部21は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部21は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。太陽光発電部21は、後述するハイブリッドパワコン23を介して、配電線Lの中途部に設けられた第一連結点P1で当該配電線Lと接続される。
蓄電池22は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池22は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池22は、後述するハイブリッドパワコン23を介して太陽光発電部21と接続される。また、蓄電池22は、後述するハイブリッドパワコン23を介して、配電線Lの中途部に設けられた第一連結点P1で当該配電線Lと接続される。蓄電池22は、図示せぬDCブレーカを有し、当該DCブレーカがオンにされることで稼動(起動)する。また、蓄電池22は、DCブレーカがオフにされることで稼動を停止する。なお、本実施形態において、蓄電池22の最大容量は、6.2kWhとなっている。
ハイブリッドパワコン23は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21で発電された電力及び系統電源Sからの電力を蓄電池22に充電可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21で発電された電力及び蓄電池22に充電されている電力を各住宅H等へと放電可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21及び蓄電池22の運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン23は、第一連結点P1で配電線Lの中途部と接続される。
また、ハイブリッドパワコン23は、対応するセンサ(第一センサ11)から所定の信号が入力され、当該信号に基づいてセンサの検出結果を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン23は、取得したセンサの検出結果に基づいて蓄電池22の蓄電や放電を行う負荷追従運転を行うことができる。
第二蓄電システム30は、ハイブリッドパワコン33が第一連結点P1よりも系統電源S側に設けられた第二連結点P2で配電線Lに接続される点を除いて、第一蓄電システム20と同様に構成される。具体的には、第二蓄電システム30の太陽光発電部31、蓄電池32及びハイブリッドパワコン33は、それぞれ第一蓄電システム20の太陽光発電部21、蓄電池22及びハイブリッドパワコン23に相当する。
第三蓄電システム40は、ハイブリッドパワコン43が第二連結点P2よりも系統電源S側に設けられた第三連結点P3で配電線Lに接続される点を除いて、第一蓄電システム20と同様に構成される。具体的には、第三蓄電システム40の太陽光発電部41、蓄電池42及びハイブリッドパワコン43は、それぞれ第一蓄電システム20の太陽光発電部21、蓄電池22及びハイブリッドパワコン23に相当する。
EMS50は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS50は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部及びタッチパネル等の入出力部等を具備し、所定の演算処理や記憶処理等を行うことができる。EMS50には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。
また、EMS50は、各ハイブリッドパワコン23・33・43と電気的に接続される。EMS50は、所定の信号を各ハイブリッドパワコン23・33・43に出力することで、当該ハイブリッドパワコン23・33・43を介して各蓄電池22・32・42の動作を制御することができる。また、EMS50は、所定の信号を各ハイブリッドパワコン23・33・43に出力することで、各蓄電池22・32・42の電源(DCブレーカ)のオンとオフとを切り替えることができる。また、EMS50は、各ハイブリッドパワコン23・33・43から所定の信号が入力可能に構成される。これにより、EMS50は、各ハイブリッドパワコン23・33・43を介して各太陽光発電部21・31・41の発電量及び各蓄電池22・32・42の残量を検出することができる。
また、EMS50は、各住宅Hと電気的に接続される。EMS50は、各住宅Hから所定の信号が入力可能に構成される。これにより、EMS50は、各住宅Hの消費電力量を取得することができる。
また、EMS50は、各蓄電池22・32・42にそれぞれ放電優先順位を設定する制御を実行可能とされている。本実施形態において、放電優先順位とは、各蓄電システム20・30・40の中での蓄電池22・32・42の放電の優先順位である。EMS50は、例えば、前日までの積算放電量等に基づいて、放電優先順位を設定する。より詳細には、EMS50は、前日までの積算放電量が少ない順に、蓄電池22・32・42の放電優先順位が高くなるように設定する。
次に、上述の如く構成された電力供給システム1における、電力小売事業者による電力の売買の様子について簡単に説明する。
電力小売事業者は、電力会社(系統電源S)から一括購入した電力を、各住宅Hからの要求に応じて当該各住宅Hへと適宜売却する。各住宅Hの住人は、電力小売事業者を介して電力会社から購入した電力を使用することができる。また、電力小売事業者は、各蓄電システム20・30・40からの電力を購入し、当該電力を各住宅Hからの要求に応じて当該各住宅Hへと適宜売却する。電力小売事業者が売買する電力の価格は適宜設定される。
このように、電力小売事業者は、電力の売買によって利益を得ることができる。また、各住宅Hの住人も、各蓄電システム20・30・40の電力(すなわち、余剰電力)を電力小売事業者に売却することで利益を得ることができる。
次に、上述の如く構成された電力供給システム1において、各蓄電池22・32・42及び各住宅Hへ電力を供給する流れについて、簡単に説明する。
系統電源Sや、各太陽光発電部21・31・41からの電力は、配電線Lを介して各住宅Hへ供給される。こうして、各住宅Hの居住者は、系統電源Sや各太陽光発電部21・31・41からの電力を用いて照明を点灯させたり、調理器具やエアコンを使用したりすることができる。このように、各住宅Hへ各太陽光発電部21・31・41からの電力を供給すれば、系統電源Sからの買電量を減少させ、電力料金を節約することができる。
また、系統電源Sや、各太陽光発電部21・31・41からの電力は、適宜の時間帯に各蓄電池22・32・42に充電することができる。各蓄電池22・32・42が充電される時間(充電時間)は、居住者の任意に設定することができる。例えば、充電時間を深夜電力の時間帯(例えば23時から6時までの時間帯)に設定すれば、料金の安い深夜電力を各蓄電池22・32・42に充電することができる。また、充電時間を昼間の時間帯に設定すれば、各太陽光発電部21・31・41からの電力を各蓄電池22・32・42に充電することができる。
第一実施形態においては、充電時間(充電が開始される時間)が深夜電力の時間帯である0時に設定されている。また、各蓄電池22・32・42は、深夜電力の時間帯以外の時間帯(7時から22時までの時間帯)に、各住宅Hの消費電力に応じて適宜放電するように設定されている。
各蓄電池22・32・42からの電力は、配電線Lを介して各住宅Hに供給される。こうして、各蓄電池22・32・42からの電力は、当該各蓄電池22・32・42を所有する住人(住宅H)だけでなく、その他の住人(住宅H)へも供給される。すなわち、各住宅Hをまとめて一つの負荷として各蓄電池22・32・42からの電力を供給し、当該各蓄電池22・32・42からの電力を複数の住宅H間で融通することができる。
これによれば、電力を融通しない(1つの蓄電池が1つの住宅へのみ電力を供給する)場合と比較して、各蓄電池22・32・42を放電させ易くすることができる。例えば、蓄電池22を第一住宅H1へのみ供給する場合、第一住宅H1の消費電力が少ないと、蓄電池22の放電電力が少なくなってしまう。これに対して、電力を融通する場合、第一住宅H1の消費電力が少なくても、それ以外の住宅H2・H3の消費電力が多ければ、住宅H全体としての消費電力が多くなり、当該消費電力を賄うために、蓄電池22の放電電力を増やすことができる。また、一の住宅Hの蓄電池が放電可能な状態であるにもかかわらず、他の住宅が系統電源Sから電力を購入するのを抑制できるため、蓄電池に充電させた電力(例えば太陽光発電部の発電電力等の、自然エネルギーを利用した発電電力)を有効に活用することができる。
また、EMS50は、放電優先順位に基づいて各蓄電池22・32・42を放電させる。具体的には、EMS50は、各住宅Hの消費電力を太陽光発電部21・31・41からの電力だけで賄えない場合に、放電優先順位が1位の蓄電池を放電させる。当該蓄電池は、負荷追従運転による放電を行う。具体的には、当該蓄電池は、対応するセンサ部10の検出結果(下流側へと流れる電力)に応じた放電を行う。さらに、EMS50は、各住宅Hの消費電力を、当該蓄電池から放電した電力及び太陽光発電部21・31・41からの電力で賄えない場合に、放電優先順位が2位の蓄電システムの蓄電池を放電させる。当該蓄電池は、負荷追従運転による放電を行う。具体的には、当該蓄電池は、対応するセンサ部10の検出結果(下流側へと流れる電力)に応じた放電を行う。
このように、EMS50は、各住宅Hの消費電力が賄えない場合に、放電が開始された蓄電池よりも放電優先順位が1つ下位の蓄電池を放電させるという動作を、繰り返し行う。こうして、EMS50は、放電優先順位が上位の蓄電池を下位の蓄電池よりも優先的に放電させる。これによって、各蓄電池22・32・42の積算放電量の均等化を図ることができる。
また、EMS50は、停電が発生した場合を考慮して、各蓄電池22・32・42の残量を所定量確保するようにしている。具体的には、EMS50は、通常時(非停電時)において、各蓄電池22・32・42の残量が所定の閾値(本実施形態においては最大容量(6.2kWh)の30%)以下となった場合、各蓄電池22・32・42を放電させないようにする。前述の如く、各蓄電池22・32・42は、最大容量が6.2kWhであるため、通常時における最大放電量(満充電から放電しなくなるまでの放電量)は、最大容量(6.2kWh)の70%、すなわち4.34kWhとなる。
また、EMS50は、各太陽光発電部21・31・41及び各蓄電池22・32・42からの電力を各住宅Hへ供給する場合に、系統電源Sからも少量の電力(本実施形態では200W)を各住宅Hへ供給するようにしている。これによって、各太陽光発電部21・31・41の発電電力や各住宅Hの消費電力が若干増減した場合に、各蓄電池22・32・42が放電した状態で、電力が系統電源Sへ逆潮流されないようにしている。
次に、各蓄電池22・32・42の動作(充放電)について説明する。
各蓄電池22・32・42は、充放電に関する複数の動作モードを実行可能に構成される。動作モードには、充電モード、放電モード及び待機モードが含まれる。
充電モードは、各蓄電池22・32・42が充電を行うためのモードである。すなわち、充電モードが実行されると、各蓄電池22・32・42は充電を行う。
放電モードは、各蓄電池22・32・42が放電を行うためのモードである。すなわち、放電モードが実行されると、各蓄電池22・32・42は放電を行う。
待機モードは、充電モード又は放電モードへと速やかに切り替えられるように待機するモードである。待機モードが実行されると、各蓄電池22・32・42は、稼動しているものの充放電は行わず、待機電力を使用して充放電に備えて待機する。待機モードが実行されると、待機電力を使用するため、各蓄電池22・32・42の残量が減少することになる。例えば本実施形態において、前記待機電力量は40Whとなっている。
EMS50は、各ハイブリッドパワコン23・33・43に信号を送信することで、このような動作モードの切替を行うことができる。すなわち、EMS50は、各蓄電池22・32・42に対して、充電モード、放電モード及び待機モードを任意に実行させることができる。また、EMS50は、各蓄電池22・32・42に対して、それぞれ対応するセンサ部10の検出結果に応じてモードを切り替えて実行するように指示することもできる。
また、EMS50は、前述の如く、各蓄電池22・32・42の電源(DCブレーカ)のオンとオフとを切り替えることができる。各蓄電池22・32・42は、電源がオンにされることで稼動して、動作モードを実行することができる。以下では、このような電源がオンにされた状態(動作モードを実行可能な状態)を「稼動状態」と称する。すなわち、本実施形態において「稼動状態」には、充電モード又は放電モードを実行している状態と、待機電力を用いて待機を行っている待機モードを実行している状態と、を含んでいる。
また、各蓄電池22・32・42は、EMS50により電源がオフにされることで稼動(起動)が停止される。当該各蓄電池22・32・42は、充放電不能となり、待機電力を使用せずに完全に停止した状態となる。以下では、このような状態を「停止状態」と称する。すなわち、本実施形態において「停止状態」とは、充電モード、放電モード及び待機モードのいずれのモードも実行していない、完全停止した状態を指すものである。各蓄電池22・32・42は、停止状態となると、再び電源(DCブレーカ)がオンにされなければ、充放電を行えない。
以下では、動作モードと時間帯との関係について説明する。
本実施形態においては、各住宅Hの消費電力に対して、深夜電力の時間帯(23時から6時までの時間帯)においては、料金が安いため、系統電源Sからの電力が供給される。すなわち、深夜電力の時間帯においては、EMS50は、各蓄電池22・32・42に対して、上述の如き充電モードを実行している場合を除くと、待機モードを実行するように指示を行う。こうして、各蓄電池22・32・42は、放電モードを実行せず、充電モードが実行されている場合を除くと、待機モードを実行する。
また、深夜電力の時間帯以外の時間帯(7時から22時までの時間帯、以下、「昼間時間帯」と称する)において、EMS50は、各蓄電池22・32・42に対して、それぞれ対応するセンサ部10の検出結果に応じてモードを切り替えて実行するように指示を行う。こうして、例えば昼間時間帯において、各蓄電池22・32・42は、各住宅Hの消費電力に対して各太陽光発電部21・31・41からの電力が不足する場合に、放電モードを実行する。また、各蓄電池22・32・42は、各住宅Hの消費電力に対して各太陽光発電部21・31・41からの電力や他の蓄電池からの電力によって賄える場合に、待機モードを実行する。
以上の如く構成された電力供給システム1においては、各住宅Hの消費電力が少ない場合や各太陽光発電部21・31・41の発電電力が消費電力に対して余剰する場合等において、各蓄電池22・32・42が長時間動作(放電)しない場合がある。例えば、ある1日において、各住宅Hの消費電力が少ないと、各蓄電池22・32・42のうち、放電優先順位が第1位の蓄電池のみが放電し、他の蓄電池(放電優先順位が第2位及び第3位の蓄電池)が一切放電しない場合がある。
仮に、放電しない蓄電池が1日中待機モードを実行すると、当該蓄電池は、待機電力を1日中消費し続けることとなる。前述の如く、待機電力量は40Whであるため、放電しない蓄電池は、1日中待機することで、960Whもの電力量を無駄にしてしまう。これによって、放電しない蓄電池は、通常時における最大放電量(4.34kWh)の、約4分の1もの電力量を失うことになってしまう。
そこで、第一実施形態に係る電力供給システム1は、図2に示す第一切替処理及び後述する第二切替処理により、各蓄電池22・32・42の稼動状態と停止状態とを適宜切り替えることで、各蓄電池22・32・42の待機電力を抑制するようにしている。
以下では、図2を用いて、第一切替処理について説明する。
第一切替処理は、各蓄電池22・32・42の予測される今後の動作に応じて、当該蓄電池22・32・42を適宜停止状態に切り替えるための処理である。第一切替処理は、決まったタイミングで(例えば、当日の24時になると)行われる。
まず、ステップS110において、EMS50は、全ての蓄電池22・32・42の電源をオンにする。これにより、EMS50は、過去に実行された第一切替処理や後述する第二切替処理により、停止状態となっていた蓄電池22・32・42を起動させる。EMS50は、ステップS110の処理が終了すると、ステップS120へ移行する。
ステップS120において、EMS50は、住宅街区T全体の翌日(1日)の消費電力量(より詳細には、各住宅Hの消費電力量の合計)及び発電量を予測する。このとき、EMS50は、翌日の各住宅Hの消費電力量(消費電力量の合計)及び各太陽光発電部21・31・41の発電量(発電量の合計)を、1時間毎に予測する。EMS50は、各住宅Hから過去の1時間毎の消費電力量を取得し、当該取得結果等に基づいて翌日の消費電力量を予測する。また、EMS50は、ハイブリッドパワコン23・33・43を介して過去の太陽光発電部21・31・41の1時間毎の発電量を取得し、当該取得結果等に基づいて翌日の発電量を予測する。EMS50は、ステップS120の処理が終了すると、ステップS130へ移行する。
ステップS130において、EMS50は、各蓄電池22・32・42の翌日(1日)の運転動作をシミュレーションする。このとき、EMS50は、ステップS120で予測した消費電力量及び発電量に基づいて、各蓄電池22・32・42の運転動作を、1時間毎にシミュレーションする。このとき、EMS50は、各蓄電池22・32・42が稼動状態であるものとして、シミュレーションを行う。こうして、EMS50は、ステップS130の処理が終了すると、ステップS140へ移行する。
ステップS140において、EMS50は、ステップS130でシミュレーションした結果、全ての蓄電池22・32・42が翌日に動作(放電)するのかを確認する。EMS50は、全ての蓄電池22・32・42が翌日に放電すると判断した場合(ステップS140:YES)、第一切替処理を終了する。一方、EMS50は、各蓄電池22・32・42のうち、少なくとも1台の蓄電池が放電しないと判断した場合(ステップS140:NO)、ステップS150へ移行する。
ステップS150において、EMS50は、放電しないと判断した台数の蓄電池を停止状態とする。例えば、放電しないと判断した台数が1台であれば、EMS50は、蓄電池22・32・42のうち、1台の蓄電池を停止状態とする。EMS50は、停止状態とする蓄電池として、放電優先順位が下位の蓄電池を順番に選択する。なお、本実施形態においては、EMS50は、選択した蓄電池が充電を行って満充電になった後に、当該蓄電池を停止状態とする。EMS50は、ステップS150の処理が終了すると、第一切替処理を終了する。
以下では、図3及び図4を用いて、第一実施形態に係る第一切替処理において、停止状態とする蓄電池として、放電優先順位が第3位であった蓄電池42が選択された場合の電力の供給態様の一例について説明する。
なお、図3及び図4において、消費電力量とは、系統電源Sから各蓄電池22・32・42に充電された電力量と、第一住宅H1、第二住宅H2及び第三住宅H3へと供給された合計の電力量との、合計の電力量を指している。また、蓄電池22・32・42の電力量は、「0時」から「2時」までの時間帯においては充電量を指し、その他の時間帯においては放電量を指している。
なお以下では、各蓄電池22・32・42が当日の24時の時点(第一切替処理の実行時)において、放電しきった状態(残量が最大容量の30%程度)となっているものとする。
まずEMS50により各蓄電池22・32・42の電源がオンにされた後(図2のステップS110参照)、図3に示すように「0時」から「2時」までの時間帯において各蓄電池22・32・42の充電が行われる。そして、蓄電池22・32・42のうち、蓄電池42は、満充電となると、停止状態に切り替えられる。
なお、「0時」から「6時」の時間帯までは、深夜電力の時間帯であり、かつ消費電力量が発電量を上回っているため、系統電源Sからの電力が各住宅Hへ供給される。
また、「7時」から「16時」までの時間帯において、発電量が消費電力量を上回っている。この場合、消費電力の全ては発電電力で賄われる。
また、「17時」から「22時」までの時間帯において、発電量が消費電力量を下回っている。この場合、消費電力に対して発電電力で不足する分は、蓄電池からの電力で賄われる。なお、図4に示す一例においては、予測されたシミュレーション結果のとおりであり、消費電力に対して発電電力で不足する分は、2台の蓄電池(蓄電池22・32)からの電力で賄われている。すなわち、消費電力に対して、残りの1台の蓄電池42が放電する機会はない。
また、「23時」の時間帯においては、深夜電力の時間帯であり、かつ消費電力量が発電量を上回っているため、系統電源Sからの電力が各住宅Hへ供給される。
このような構成によれば、EMS50は、各蓄電池22・32・42のうち、放電しないと判断した蓄電池42を、「2時」の時間帯に停止状態にすることができる。なお、図5においては、停止状態となった蓄電池(蓄電池42)を点線で示している。蓄電池42を停止状態にすることにより、蓄電池42が待機電力を消費するのを防止することができる。また、稼動状態の蓄電池22・32により、翌日の各住宅Hの消費電力を賄うことができる。
このように、EMS50は、放電しないと判断した蓄電池42を停止状態にすることで、各住宅Hの消費電力を賄うのに必要な蓄電池(蓄電池22・32)のみを稼働させることができる。これによって、翌日に稼動状態にする蓄電池22・32・42の台数を最適な台数にして、各住宅Hの消費電力を賄いながらも、待機電力を減らすことができる。これにより、電力を有効に活用することができる。
次に、図6を用いて、第二切替処理について説明する。
第二切替処理は、第一切替処理で予測した時間帯(「0時」から「23時」までの時間帯)における、各住宅Hの消費電力量及び発電量の実測値を用いて、各蓄電池22・32・42の動作モードを適宜切り替えるための処理である。第二切替処理は、毎時0分に(1時間毎に)実行される。
まず、ステップS210において、EMS50は、住宅街区T全体の1時間後の消費電力量及び発電量を予測する。このとき、EMS50は、第二切替処理が実行される直前までの1時間毎の消費電力量を各住宅Hから取得し、当該取得結果に基づいて1時間後(次の時間帯)の消費電力量を予測する。例えば、EMS50は、10時に第二切替処理が実行された場合、「10時」の時間帯までの消費電力量を取得して、1時間後(「11時」の時間帯)の消費電力量を予測する。
また、ステップS210において、EMS50は、第二切替処理が実行される直前までの1時間毎の発電量を各太陽光発電部21・31・41から取得し、当該取得結果に基づいて1時間後の発電量を予測する。EMS50は、ステップS210の処理が終了すると、ステップS220へ移行する。
ステップS220において、EMS50は、放電する蓄電池22・32・42の台数が現在の稼動状態の台数よりも増加するか否かを確認する。このとき、EMS50は、ステップS210で予測した1時間後の消費電力量及び発電量に基づいて、1時間後の各蓄電池22・32・42の動作をシミュレーションする。
そして、ステップS220において、EMS50は、シミュレーションの結果に基づいて、今後1時間の間に動作(放電)する蓄電池の台数を算出する。その後、EMS50は、今後1時間の間に動作する台数と、現在(第二切替処理の実行時に)稼動している台数と、を比較して、増加する蓄電池の台数を算出する。例えば、今後1時間の間に放電する台数が「3台」であり、現在稼動している台数が「2台」である場合、EMS50は、増加する台数が「1台」であると判断する。EMS50は、増加する台数が「1台」以上である場合(ステップS220:YES)、ステップS230へ移行する。一方、EMS50は、増加する台数が「0台」である場合(ステップS220:NO)、ステップS240へ移行する。
ステップS230において、EMS50は、停止状態となっている蓄電池を稼動状態に切り替える。具体的には、EMS50は、ステップS220で判断した、増加する台数だけ、停止状態となっている蓄電池を稼動させる(電源をオンにする)。このとき、EMS50は、放電優先順位及び蓄電池22・32・42の残量に基づいて、どの蓄電池を稼動させるのかを決定する。
具体的には、ステップS230において、EMS50は、停止状態となっている蓄電池のうち、放電可能な(残量が所定の閾値以上の)蓄電池を抽出する。そして、EMS50は、抽出した蓄電池の中で放電優先順位が高い蓄電池を稼動させる。EMS50は、ステップS230の処理が終了すると、第二切替処理を終了する。
ステップS240において、EMS50は、稼動する蓄電池の台数が減少するか否かを確認する。このとき、EMS50は、例えば、ステップS220で算出した今後1時間の間に動作する台数と、現在稼動している台数と、を比較して、減少する蓄電池の台数を算出する。例えば、今後1時間の間に動作する台数が「1」台であり、現在稼動している台数が「3台」である場合、EMS50は、減少する台数が「2台」であると判断する。EMS50は、減少する台数が「1台」以上である場合(ステップS240:YES)、ステップS250へ移行する。一方、EMS50は、減少する台数が「0台」である場合(ステップS240:NO)、第二切替処理を終了する。
ステップS250において、EMS50は、停止させる蓄電池の台数Aを算出する。このとき、EMS50は、ステップS240で算出した、減少する台数から1を引くことで、停止させる蓄電池の台数Aを算出する。例えば、EMS50は、減少する台数が「2台」である場合、「1台」を停止させる蓄電池の台数Aとする。EMS50は、ステップS250の処理が終了すると、ステップS260へ移行する。
ステップS260において、EMS50は、A台の蓄電池を停止状態に切り替える。このとき、EMS50は、稼動している蓄電池のうち、放電優先順位の低い蓄電池をA台停止状態に切り替える。EMS50は、ステップS260の処理が終了すると、第二切替処理を終了する。
以上のような第二切替処理によれば、直近の実測値を用いて次の時間帯(1時間後)の消費電力量及び発電量を予測することができる。これにより、第一切替処理(ステップS120)よりも正確に、次の時間帯の消費電力量及び発電量を予測することができる(ステップS210)。また、当該消費電力量及び発電量を用いて、次の時間帯の各蓄電池22・32・42の動作を正確にシミュレーションすることができる(ステップS220)。また、当該シミュレーション結果に応じて各蓄電池22・32・42の動作モードを切り替えることで(ステップS230・S260)、次の時間帯に稼動させる蓄電池22・32・42の台数を、直近の実測値(現在の状態)に応じて最適な台数にすることができる。
このような第二切替処理によれば、第一切替処理における予測(ステップS120)が外れた場合でも、各蓄電池22・32・42を適切に稼動又は停止することができる。
例えば、第一切替処理において、消費電力量が少ないと予測した時間帯に、予測に反して消費電力量が多くなってしまった場合、停止状態になっている蓄電池を動作させなければ、各蓄電池22・32・42で各住宅Hの消費電力を賄えず、系統電源Sからの買電量が増加してしまう場合がある。
このような場合でも、EMS50は、第二切替処理を実行することで、実測値に基づいて消費電力量を予測して(ステップS210)、次の時間帯に稼動する蓄電池の台数を増やすことができる(ステップS220:YES、ステップS230)。これにより、第一切替処理の予測が外れて、各蓄電池22・32・42を必要以上に停止状態にしてしまった場合でも、次の時間帯に稼動する蓄電池の台数を最適な台数にすることができる。これによって、買電量が増加するのを抑制することができる。
また、例えば、第一切替処理において、発電量が少ないと予測した時間帯に、予測に反して発電量が多かった場合、稼動している蓄電池の台数を減らしても、特に問題がない(残りの蓄電池で各住宅Hの消費電力を賄える)場合がある。
このような場合でも、EMS50は、第二切替処理を実行することで、実測値に基づいて発電量を予測して(ステップS210)、次の時間帯に稼動する蓄電池の台数を減らすことができる(ステップS220:NO、ステップS240:YES、ステップS250、ステップS260)。これにより、第一切替処理の予測が外れて、停止状態にしても問題のない蓄電池を稼動させてしまった場合でも、次の時間帯に当該蓄電池を停止状態にして待機電力を抑制することができる。
また、EMS50は、第二切替処理において、停止可能な台数分だけ蓄電池を停止状態にするのではなく、停止可能な台数よりも1台少ない台数Aだけ蓄電池を停止状態にしている(ステップS250・S260)。これによれば、各住宅Hの消費電力に対して、放電可能な蓄電池の台数に余裕を持たせることができる。これによって、負荷が急変した場合、具体的には、各住宅Hの消費電力が急に増大したり、各太陽光発電部21・31・41の発電電力が急に減少した場合でも、放電させる(待機モードから放電モードにする)蓄電池の台数を増やして、負荷の急変に対応することができる。
以上の如く、第一実施形態に係る電力供給システム1は、各住宅H(負荷)と接続される複数の蓄電池22・32・42と、前記複数の蓄電池22・32・42を、充放電を行っている状態と待機電力を用いて充放電の待機を行っている状態とを含む稼動状態、又は、充放電を行っておらず、かつ待機電力を用いず充放電の待機を行っていない停止状態に切り替えるEMS50(切替手段)と、を具備し、前記EMS50は、各住宅Hの消費電力を含む電力情報を予測し、当該予測結果に応じて前記複数の蓄電池22・32・42を前記稼動状態に切り替えた場合における、当該複数の蓄電池22・32・42の動作をシミュレーションし、当該シミュレーション結果に基づいて、前記蓄電池22・32・42を前記停止状態に切り替えるものである。
このように構成することにより、シミュレーション結果に応じて蓄電池22・32・42を適宜停止状態にすることができる。これにより、蓄電池22・32・42のうち、一部の蓄電池で各住宅Hの消費電力を賄いながら、残りの蓄電池を停止状態にして待機電力を抑制することが可能となる。これによって、電力を有効に活用することができる。
また、前記EMS50は、所定期間(1日)を複数の時間帯に分けて前記電力情報の予測(ステップS120)及び前記複数の蓄電池22・32・42の動作のシミュレーション(ステップS130)を行い、当該シミュレーション結果に基づいて前記蓄電池22・32・42の状態を切り替える(ステップS150)第一切替処理を行うものである。
このように構成することにより、各蓄電池22・32・42が充電する時間帯(充電時間帯)と、放電する時間帯(放電時間帯)と、に分けてシミュレーションを行うことが可能となる。これによって、各蓄電池22・32・42のシミュレーションを細かく行うことができる。
また、前記EMS50は、前記第一切替処理において、前記シミュレーション結果から放電しないと判断した前記蓄電池22・32・42を前記停止状態に切り替える(ステップS150)ものである。
このように構成することにより、放電しないと判断した蓄電池22・32・42を全て停止状態にして、待機電力を効果的に抑制することができる。
また、前記EMS50は、前記所定期間に測定された前記電力情報の実測値を用いて、現在の時刻を基準とした次の時間帯における前記電力情報の予測(ステップS210)及び前記複数の蓄電池22・32・42の動作のシミュレーション(ステップS220)を行い、当該シミュレーション結果に基づいて前記蓄電池22・32・42の状態を切り替える(ステップS230:YES、ステップS260)第二切替処理をさらに行うものである。
このように構成することにより、次の時間帯に停止させる蓄電池22・32・42の台数を、直近の実測値(現在の状態)に応じて最適な台数にすることができる。これによって、電力をより有効に活用することができる。
また、前記EMS50は、前記第二切替処理において、前記シミュレーション結果から放電しないと判断した前記蓄電池22・32・42の台数よりも少ない台数の前記蓄電池22・32・42を、前記停止状態に切り替える(ステップS250・S260)ものである。
このように構成することにより、各住宅Hの消費電力に対して放電可能な蓄電池の台数に余裕を持たせることができるため、負荷の急変に対応することができる。
また、前記EMS50は、前記蓄電池22・32・42が満充電になってから、当該蓄電池22・32・42を前記停止状態に切り替える(ステップS150)ものである。
このように構成することにより、蓄電池22・32・42に、放電を行う際に十分な量の電力を確保することができる。
また、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部21・31・41(発電部)をさらに具備し、前記電力情報には、前記太陽光発電部21・31・41の発電電力が含まれるものである。
このように構成することにより、太陽光発電部21・31・41を具備する構成において、電力を有効に活用することができる。
なお、第一実施形態に係るEMS50は、本発明に係る切替手段の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る太陽光発電部21・31・41は、本発明に係る発電部の実施の一形態である。
次に、第二実施形態に係る電力供給システムについて説明する。
第二実施形態に係る電力供給システムは、蓄電池22・32・42の充電が、系統電源Sからの深夜電力を用いて行われるのではなく、各太陽光発電部21・31・41からの電力を用いて行われる点で、第一実施形態に係る電力供給システム1と相違する。すなわち、第二実施形態に係る蓄電池22・32・42は、上述の如き深夜電力の時間帯ではなく、各太陽光発電部21・31・41が発電を行う昼間時間帯に充電を行う。これに伴って、第二実施形態に係る電力供給システムは、第一切替処理の内容が、第一実施形態とは異なるものとなっている。このため、以下では、図7を用いて第一切替処理の内容について説明する。
まず、ステップS310において、EMS50は、第一実施形態(ステップS110)と同様に、全ての蓄電池22・32・42の電源をオンにする。EMS50は、ステップS310の処理が終了すると、ステップS320へ移行する。
ステップS320において、EMS50は、第一実施形態(ステップS120)と同様に、住宅街区T全体の翌日(1日)の消費電力量及び発電量を予測する。EMS50は、ステップS320の処理が終了すると、ステップS330へ移行する。
ステップS330において、EMS50は、各蓄電池22・32・42の翌日(1日)の運転動作をシミュレーションする。このとき、EMS50は、各太陽光発電部21・31・41からの電力を充電することを考慮して、シミュレーションする。EMS50は、ステップS330の処理が終了すると、ステップS340へ移行する。
ステップS340において、EMS50は、第一実施形態(ステップS140)と同様に、全ての蓄電池22・32・42が翌日に動作(放電)するのかを確認する。EMS50は、全ての蓄電池22・32・42が翌日に放電する場合(ステップS340:YES)、第一切替処理を終了する。一方、EMS50は、各蓄電池22・32・42のうち、少なくとも1台の蓄電池が放電しない場合(ステップS340:NO)、ステップS350へ移行する。
ステップS350において、EMS50は、翌日に動作しない蓄電池が充電可能であるか否かを判断する。仮に、翌日に動作しない蓄電池が複数台ある場合、EMS50は、複数台の蓄電池のうち、少なくとも1台の蓄電池が充電可能である場合に、蓄電池が充電可能であると判断する(ステップS350:YES)。この場合、EMS50は、ステップS370へ移行する。一方、EMS50は、蓄電池(複数台ある場合、全ての蓄電池)が充電不能である場合(ステップS350:NO)、ステップS360へ移行する。
ステップS360において、EMS50は、放電しないと判断した台数の蓄電池を停止状態とする。EMS50は、ステップS360の処理が終了すると、第一切替処理を終了する。
ステップS370において、EMS50は、動作しない蓄電池を満充電になるまで充電させる。仮に、翌日に動作しない蓄電池が複数台あり、そのうちの一部の蓄電池がステップS370に移行した時点で既に満充電である場合、EMS50は、ステップS370において、満充電の蓄電池を停止状態にする。EMS50は、ステップS360の処理が終了すると、ステップS380へ移行する。
ステップS380において、EMS50は、ステップS370で満充電になった蓄電池を停止状態に切り替える。EMS50は、ステップS380の処理が終了すると、第一切替処理を終了する。
以下では、図8及び図9を用いて、第二実施形態に係る第一切替処理において、停止状態とする蓄電池として、放電優先順位が第3位であった蓄電池42が設定された場合の電力の供給態様の一例について説明する。
なお、図8及び図9において、消費電力量とは、第一住宅H1、第二住宅H2及び第三住宅H3へと供給された合計の電力量を指している。また、蓄電池22・32・42の電力量は、「7時」から「10時」までの時間帯においては充電量、その他の時間帯においては放電量を指している。
なお、以下では、各蓄電池22・32・42が当日の24時の時点(第一切替処理の実行時)において、放電しきった状態(残量が最大容量の30%程度)となっているものとする。また、深夜電力の時間帯が終了した後に、EMS50は、各蓄電池22・32・42に対して、それぞれ対応するセンサ部10の検出結果に応じてモードを切り替えて実行するように指示したものとする。
まずEMS50により各蓄電池22・32・42の電源がオンにされた後(図7のステップS310参照)、「0時」から「6時」までの時間帯は、深夜電力の時間帯であり、かつ消費電力量が発電量を上回っているため、系統電源Sからの電力が各住宅Hへ供給される。
また、「7時」からの時間帯において、発電量が消費電力量を上回っている。すなわち、消費電力に対して発電電力が余剰する。この場合、発電電力(余剰した電力)を用いて蓄電池の充電が行われる。図8に示す一例においては、「10時」の時間帯までに、発電電力を用いて各蓄電池22・32・42が満充電とされる。そして、蓄電池22・32・42のうち、蓄電池42は満充電となると、停止状態に切り替えらえる。
なお、「7時」から「16時」までの時間帯において、発電量が消費電力量を上回っている。この場合、消費電力の全ては発電電力で賄われる。
また、「17時」から「22時」までの時間帯において、発電量が消費電力量を下回っている。この場合、消費電力に対して発電電力で不足する分は、蓄電池からの電力で賄われる。なお、図9に示す一例においては、シミュレーション結果のとおりであり、消費電力に対して発電電力で不足する分は、2台の蓄電池(蓄電池22・32)からの電力で賄われている。すなわち、消費電力に対して、残りの1台の蓄電池42が放電する機会はない。
また、「23時」の時間帯においては、深夜電力の時間帯であり、また消費電力量が発電量を上回っているため、系統電源Sからの電力が各住宅Hへ供給される。
このように、第二実施形態に係る電力供給システムによれば、各太陽光発電部21・31・41からの電力を各蓄電池22・32・42に充電しながらも、動作(放電)しない蓄電池42を停止状態に切り替えることができる。これによって、待機電力及び系統電源Sからの買電量を減らすことができるため、電力を有効に活用することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、電力供給システム1は、住宅街区Tに適用されるものとしたが、電力供給システム1の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えば、集合住宅やオフィス等であってもよい。また、住宅街区Tにおいては、電力小売事業者が電力会社から電力を一括購入し、当該購入した電力が各住宅Hに適宜供給されるものとしたが、電力会社と各住宅Hとの間に電力小売事業者が介在しなくともよい。
また、各住宅Hの戸数は、3戸であるものとしたが、これに限定されるものではなく、任意の戸数とすることができる。
また、蓄電池22・32・42の台数は、3台であるものとしたが、これに限定されるものではなく、2台以上の任意の台数とすることができる。また、本実施形態において太陽光発電部21・31・41の台数は、3台であるものとしたが、これに限定されるものではなく、任意の台数とすることができる。
また、発電部は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部21・31・41であるものとしたが、自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであれば、これに限定されるものではない。
また、電力供給システム1は、各住宅Hへ電力を供給する機器として、少なくとも蓄電池22・32・42を具備していればよく、必ずしも太陽光発電部21・31・41を具備する必要はない。
また、EMS50は、第一切替処理において、翌日(1日)の消費電力量及び発電量を予測したが(ステップS120・S320)、予測する期間は1日に限定されるものではなく、任意の期間とすることができる。例えば、EMS50は、半日の消費電力量及び発電量を予測してもよい。この場合、EMS50は、半日の各蓄電池22・32・42の動作をシミュレーションする。また、この場合、EMS50は、第一切替処理を半日毎に実行する。
また、EMS50は、第一切替処理において、必ずしも満充電になってから蓄電池を停止状態にする必要はなく、残量が所定量(例えば、最大容量の80%)となったら停止状態にしてもよい。また、EMS50は、充電することなく、蓄電池を停止状態にしてもよい。
また、EMS50は、第一切替処理において、動作しない蓄電池を全て停止状態にするものとしたが(ステップS150)、これに限定されるものではなく、動作しない蓄電池の台数よりも少ない台数の蓄電池を停止状態にしてもよい。これにより、各住宅Hの消費電力に対して、放電可能な蓄電池の台数に余裕を持たせることができる。これによって、負荷が急変した場合でも、放電させる(待機モードから放電モードにする)蓄電池の台数を増やして、負荷の急変に対応することができる。
また、EMS50は、1時間毎に第二切替処理を行うものとしたが、第二切替処理を行う間隔は1時間に限定されるものではなく、任意の間隔とすることができる。例えば、EMS50は、30分毎に第二切替処理を行ってもよい。この場合、EMS50は、30分後の消費電力量及び発電量を予測すると共に、30分後の蓄電池22・32・42の動作をシミュレーションする。
また、EMS50は、必ずしも第二切替処理を決まった間隔で実行する必要はない。EMS50は、例えば、第一切替処理(ステップS120)で予測した消費電力量及び発電量と、消費電力量及び発電量の実測値と、を比較して、その比較結果のずれが所定の閾値を超えた場合にのみ、第二切替処理を実行してもよい。このように構成することで、予測が外れたと考えられる場合にのみ第二切替処理を実行させることができる。これによって、必要な場合にのみ第二切替処理を実行させるようにして、EMS50の負荷を低減することができる。
また、EMS50は、第二切替処理(ステップS210)において、1時間後の消費電力量及び発電量を予測したが、第二切替処理において予測する期間は、これに限定されるものではなく、任意の期間とすることができる。EMS50は、例えば、第二切替処理を実行した日の24時までの消費電力量及び発電量を予測してもよい。また、EMS50は、第二切替処理において、複数の時間帯に分けて消費電力量及び発電量を予測してもよい。
また、EMS50は、第二切替処理において、動作しない蓄電池の台数よりも1台少ない台数(台数A)だけ、蓄電池を停止状態にするものとしたが(ステップS260)、これに限定されるものではなく、任意に設定することができる。例えば、EMS50は、動作しない蓄電池の台数だけ、停止状態にしてもよい。また、EMS50は、動作しない蓄電池の台数よりも2台以上少ない台数の蓄電池を停止状態にしてもよい。
また、EMS50は、第一切替処理及び第二切替処理(ステップS130・S220・S330)でシミュレーションした結果、放電量が少ない(放電量が所定値以下の)蓄電池がある場合に、当該蓄電池を停止状態に切り替えてもよい。このように構成することで、放電電力が少ない(放電効率が悪い)状態で蓄電池が放電するのを抑制することができると共に、当該蓄電池の待機電力を抑制することができる。
また、EMS50は、必ずしも第一切替処理及び第二切替処理を両方とも行う必要はなく、いずれか一方の処理のみを行ってもよい。
また、電力供給システムにおいては、EMS50が各蓄電池22・32・42の動作モードを切り替えるものとしたが、動作モードを切り替える機器はこれに限定されるものではなく、例えば、各ハイブリッドパワコン23・33・43等であってもよい。また、各蓄電池22・32・42の稼動状態及び停止状態を切り替える機器についても、EMS50に限定されるものではなく、他の機器(例えば、各ハイブリッドパワコン23・33・43等)であってもよい。