JP2020105295A - 粘度指数向上剤および潤滑油組成物 - Google Patents

粘度指数向上剤および潤滑油組成物 Download PDF

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洋平 今泉
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Abstract

【課題】高い粘度指数を有し、基油溶液とした場合に常温での流動性が高く取り扱いが容易な粘度指数向上剤を提供する。【解決手段】分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数3〜6である構成単位(A)を有する重合体を含有する粘度指数向上剤であって、重合体100質量%中、構成単位(A)の含有量が2質量%以上62質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、粘度指数向上剤とこれを含有する潤滑油組成物に関する。
近年、内燃機関用潤滑油は省燃費特性の向上が強く求められており、1つの手段として潤滑油の低粘度化による摩擦損失の低減が挙げられている。しかし、単なる低粘度化では液漏れや焼き付きという問題が生じるため、高温での粘度を高く保持しながら低温での粘度を低く抑える効果を有する粘度指数向上剤の添加が有効となる。粘度指数向上剤を潤滑油に添加することにより、潤滑油の温度による粘度変化が低減され、高温での潤滑性を確保しつつ低温での省燃費特性を向上させることができる。
粘度指数向上剤としては重合体を含有するものが知られており、中でも(メタ)アクリレート系重合体からなる粘度指数向上剤は、高い粘度指数向上効果を示すとされている。一方、(メタ)アクリレート系重合体からなる粘度指数向上剤はせん断安定性が悪いため、長期使用時に省燃費特性が低下する(ロングライフ性が悪い)という問題があった。そこで、粘度指数向上効果とせん断安定性を両立させる手段として、例えば特許文献1〜3には、マクロモノマーを単量体成分として用いたくし形構造を有する重合体からなる粘度指数向上剤が開示され、特許文献4には、コア部にジビニルベンゼンを用いた星形構造を有する重合体からなる粘度指数向上剤が開示されている。
特開2013−133460号公報 特表2012−520358号公報 特表2010−532805号公報 特開2012−197399号公報
粘度指数向上剤の基本特性は粘度指数によって評価される。粘度指数は温度による潤滑油の粘度変化の大きさを表す指標であり、粘度指数向上剤の基油溶液の40℃と100℃における動粘度を測定し、JIS K 2283(2000)に定められた所定の方法により粘度指数の値を算出する。粘度指数は、その値が大きいほど温度による粘度変化が小さく、潤滑油として好ましいものとなる。一方、粘度指数向上剤は通常、基油に溶解させた基油溶液として取り扱われるが、当該基油溶液中の重合体濃度を高めると、製造や輸送等のコスト面で有利となるのに対し、粘度指数向上剤の基油溶液の粘度が高くなり、常温でのハンドリング性が低下しやすくなる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い粘度指数を有し、基油溶液とした場合に常温での流動性が高く、取り扱いが容易な粘度指数向上剤、およびこの粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物を提供することである。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数3〜6である構成単位(A)を有する重合体を含有し、前記重合体100質量%中、前記構成単位(A)の含有量が2質量%以上62質量%以下であることを特徴とする粘度指数向上剤。
[2]前記重合体がさらに、マクロモノマー由来の構成単位(B)を有する[1]に記載の粘度指数向上剤。
[3]前記重合体がさらに、直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が1〜6である構成単位(C)を有し、前記重合体100質量%中、構成単位(A)と構成単位(C)の合計含有量が40質量%以上75質量%以下である[1]または[2]に記載の粘度指数向上剤。
[4]前記重合体がさらに、アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が7〜40である構成単位(D)を有する[1]〜[3]のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
[5]前記重合体がさらに、マレイミド系単量体由来の構成単位(E)を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
[6]前記重合体の重量平均分子量(Mw)が20万以上70万以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
[7]下記の方法で測定した粘度が5000mPa・s以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
(粘度測定方法)米国石油協会(API)分類におけるグループIII基油(粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/s)78質量%と、前記重合体22質量%からなる溶液を、粘度計(東機産業社製、TVB−10、ローター:SPINDLE No.M3、回転数6rpm)にて25℃で測定。
[8]潤滑油基油と、[1]〜[7]のいずれかに記載の粘度指数向上剤を含有することを特徴とする潤滑油組成物。
本発明の粘度指数向上剤は、炭素数3〜6の分岐状アルキルを有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を所定の含有量で含む重合体を含有するため、高い粘度指数を示すものとなるとともに、基油溶液としたときに常温での流動性が高く、取り扱い性に優れるものとなる。
〔1.粘度指数向上剤〕
本発明の粘度指数向上剤は、分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数3〜6である構成単位(A)を有する重合体を含有し、重合体100質量%中、構成単位(A)の含有量が2質量%以上62質量%以下であるものである。本発明の粘度指数向上剤に含まれる重合体は、分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(A)を所定の含有量で含むことにより、基油溶液としたときに高い粘度指数を示し、また常温での流動性が高く、ハンドリング性に優れるものとなる。以下、本発明の粘度指数向上剤について詳しく説明する。
本発明の粘度指数向上剤に含まれる重合体は、分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が3〜6である構成単位(A)を必須的に有する。重合体が分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(A)を有することにより、同じような炭素数で直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む場合と比べて、粘度指数向上剤の基油溶液の粘度指数をより効果的に高めることができる。そのため、当該重合体を含有する粘度指数向上剤は、優れた粘度指数向上効果を示すものとなる。
単位(A)は、アルキル基の炭素数が3〜6である分岐状アルキル(メタ)アクリレートを(共)重合させることにより重合体に導入することができる構成単位である。単位(A)を与える分岐状アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレートの有するアルキル基が分岐状であり、当該アルキル基の炭素数が3〜6のものであれば特に限定されず、例えば、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、sec−ペンチル(メタ)アクリレート、tert−ペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルプロピル(メタ)アクリレート、1,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、sec−ヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、1,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1−エチル−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単位(A)としては、下記式(1)で表される単位であることが好ましい。式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数3〜6の分岐状アルキル基を表す。
Figure 2020105295
式(1)のR2の炭素数3〜6の分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。R2の分岐状アルキル基の炭素数は3〜5が好ましい。中でも、単位(A)を与える分岐状アルキル(メタ)アクリレートの入手容易性や、粘度指数向上効果に優れる点から、R2のアルキル基はイソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基またはtert−ブチル基が好ましく、イソブチル基がより好ましい。
重合体には、アルキル基の炭素数が3〜6である分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(A)が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
重合体中の単位(A)の含有量は、重合体100質量%中、2質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。これにより、当該重合体を含む粘度指数向上剤がより高い粘度指数を示すものとなる。一方、重合体中の単位(A)の含有量は、重合体100質量%中、62質量%以下であり、これにより粘度指数向上剤の基油溶液の粘度が下がり、常温での流動性を高めることができる。そのため、ハンドリング性に優れた粘度指数向上剤とすることができる。粘度指数向上剤の基油溶液の常温での流動性を高めることが容易な点から、重合体中の単位(A)の含有量はさらに低くてもよく、例えば重合体100質量%中、単位(A)の含有量は60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
粘度指数向上剤に含まれる重合体はさらに、マクロモノマー由来の構成単位(B)を有することが好ましい。単位(B)は、マクロモノマーを上記に説明した分岐状アルキル(メタ)アクリレート単量体と共重合させることにより重合体に導入することができる構成単位である。重合体がマクロモノマー由来の構成単位(B)を有していれば、重合体の基油溶解性が高まり、粘度指数向上剤の基油溶液の粘度指数を高めることが容易になる。また、粘度指数向上剤の基油溶液の常温での流動性も高めやすくなる。さらに、重合体の重量平均分子量を高めつつ、当該重合体のせん断安定性を高めることが容易になるため、粘度指数向上剤の高せん断条件下での粘度を長期にわたり確保しやすくなる。
マクロモノマーとしては、重合性官能基を有する高分子であれば特に限定なく用いることができるが、重合体の基油溶解性を高める点から、マクロモノマーは炭素数50以上の炭化水素基を有することが好ましく、当該炭素数は70以上がより好ましく、100以上がさらに好ましく、150以上がさらにより好ましい。マクロモノマーの有する炭化水素基の炭素数の上限は特に限定されないが、例えば3500以下が好ましく、1500以下がより好ましく、700以下がさらに好ましい。
マクロモノマーの有する炭化水素基は、炭化水素単量体由来の繰り返し構造またはその水素化物を含むことが好ましく、当該炭化水素単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等のモノオレフィン類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン(別名ジイソブテン)等のアルカジエン類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等が挙げられる。中でも炭化水素単量体としては、モノオレフィン類、アルカジエン類などが好ましく、従って、マクロモノマーの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。なお、炭化水素単量体がアルカジエン類である場合、アルカジエン類由来の繰り返し構造には不飽和結合が含まれうるが、その場合は当該不飽和結合が水素化(水素添加)されていてもよい。これらモノオレフィン類およびアルカジエン類の炭素数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また20以下が好ましく、10以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
単位(B)の脂肪族炭化水素基は、直鎖状または分岐状が好ましく、粘度指数向上剤の低温時の結晶化を抑制し増粘を防ぐ点から、分岐状であることが好ましい。分岐状のマクロモノマーの炭化水素基は、分岐状のアルキレン基を繰り返し単位として含むことが好ましく、分岐状のアルキレン基と直鎖状のアルキレン基の両方を繰り返し単位として含むのが好ましい。分岐状アルキレン基としては、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ブチレン基、1,2−ヘキシレン基等が挙げられる。直鎖状アルキレン基としては、エチレン、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基等が挙げられる。単位(B)の脂肪族炭化水素基は不飽和結合を含まないことが好ましく、従って、脂肪族飽和炭化水素基であることが特に好ましい。
マクロモノマー由来の構成単位(B)としては、マクロモノマーの製造容易性や入手容易性、また他の単量体成分と共重合させることが容易な点から、下記式(2)で表されるものが好ましい。下記式(2)において、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は単結合、アルキレン基、−O−、−CO−、−NH−、−SO2−またはこれらを組み合わせた連結基を表し、R4は炭化水素基を表す。
Figure 2020105295
式(2)のR3の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。R3のアルキル基の炭素数は1〜3がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。中でも、R3は水素原子またはメチル基であることが好ましい。
式(2)のX1が単結合である場合、R4の炭化水素基は式(2)のエステル基に直接結合し、式(2)のX1が連結基である場合、R4の炭化水素基は連結基を介して式(2)のエステル基に結合する。X1の連結基にアルキレン基が含まれる場合、当該アルキレン基は直鎖状または分岐状であることが好ましく、その炭素数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。X1の連結基には、ウレタン結合(−NH−CO−O−)、ウレア結合(−NH−CO−NH−)、エステル結合(−CO−O−)、アミド結合(−NH−CO−)、スルホン酸エステル結合(−SO2−O−)、およびスルホンアミド結合(−SO2−NH−)等が含まれていてもよく、これらの各結合の方向は特に限定されない。ウレタン結合を例にとると、式(2)中、ウレタン結合は、窒素原子が(メタ)アクリロキシ基由来の構造のエステル基側に位置していてもよく、酸素原子が当該エステル基側に位置してもよい。X1としては、粘度指数向上剤の基油溶液の室温付近での粘度が低下し、ハンドリング性が向上する点から、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合およびアミド結合から選ばれる1種または2種以上が含まれるものが好ましい。
式(2)のR4の炭化水素基は、上記のマクロモノマーの炭化水素基の説明が参照される。例えば、R4の炭化水素基は炭素数50以上であることが好ましく、また、炭化水素単量体由来の繰り返し構造またはその水素化物を含むことが好ましい。
単位(B)のR4の炭化水素基の数平均分子量は、基油溶解性、粘度指数、せん断安定性の観点から、750以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましく、2000以上がさらにより好ましく、また50000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましい。また、R4の炭化水素基(特に脂肪族炭化水素基)の炭素数が50以上であることが好ましく、70以上がより好ましく、100以上がさらに好ましく、150以上がさらにより好ましく、また3500以下が好ましく、1500以下がより好ましく、700以下がさらに好ましい。
重合体には、マクロモノマー由来の構成単位(B)が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
重合体が単位(B)を有する場合、重合体中の単位(B)の含有量は、重合体100質量%中、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、また30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、16質量%以下がさらにより好ましい。これにより、粘度指数向上剤による粘度指数向上効果を高めたり、せん断安定性を高めることが容易になる。粘度指数向上剤の製造コスト低減の点からは単位(B)の含有量がさらに低いことが好ましく、重合体中の単位(B)の含有量は、重合体100質量%中、15質量%以下であってもよく、14質量%以下であってもよい。
重合体が単位(B)を有する場合、重合体中の単位(A)と単位(B)の含有比(質量基準)は、単位(A)/単位(B)として、30/70以上が好ましく、50/50以上がより好ましく、また90/10以下が好ましく、85/15以下がより好ましく、80/20以下がさらに好ましい。単位(A)と単位(B)はともに粘度指数を高めるように作用するが、比較的低価格の単量体から形成可能な単位(A)の含有比を増やすことで、粘度指数向上剤のコスト低減効果が期待できる。また、このように重合体中の単位(A)と単位(B)の含有比を定めることにより、粘度指数向上剤の基油溶液の常温での流動性を確保しつつ、せん断安定性を高めることが容易になる。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が1〜6である構成単位(C)を有することが好ましい。重合体が構成単位(C)を有していれば、粘度指数向上剤の基油溶液の常温での流動性を高めやすくなる。
構成単位(C)としては、下記式(3)で表される単位であることが好ましい。式(3)中、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素数1〜6の直鎖状アルキル基を表す。
Figure 2020105295
式(3)のR6の炭素数1〜6の直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。なお、粘度指数向上剤の粘度指数を高めることが容易な点から、R6の直鎖状アルキル基の炭素数は2以上が好ましい。従って、構成単位(C)は、直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が2〜6であるものが好ましい。また、このようにR6の直鎖状アルキル基の炭素数を設定することにより、粘度指数向上剤中の重合体濃度(基油溶液中の重合体濃度)を高めても粘度の上昇が抑えられ、ハンドリング性の点で有利になる。R6の直鎖状アルキル基の炭素数の上限は5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。特に、単位(C)を与える直鎖状アルキル(メタ)アクリレートの入手容易性や、粘度指数向上剤の室温付近での流動性に優れる点から、R6のアルキル基はn−ブチル基であることが好ましい。
重合体には、アルキル基の炭素数が1〜6である直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(C)が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
重合体が単位(C)を有する場合、重合体中の単位(C)の含有量は、重合体100質量%中、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、また60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。なお、ここで説明した単位(C)の含有量は、アルキル基の炭素数が2〜6である直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位に対して定められるものであってもよい。また、重合体中のメチル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、重合体100質量%中、10質量%未満が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
重合体中の単位(A)と単位(C)の合計含有量は、重合体100質量%中、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上がさらにより好ましい。このような含有量で重合体中に単位(A)と単位(C)が含まれていれば、粘度指数向上剤の耐熱性を高めやすくなり、粘度指数向上剤のせん断安定性が向上する。また、重合体を形成する際の重合性を高めやすくなる。一方、重合体中の単位(A)と単位(C)の含有量は、重合体100質量%中、75質量%以下が好ましく、72質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、68質量%以下がさらにより好ましく、これにより重合体の基油溶解性を確保しやすくなる。
重合体が単位(C)を有する場合、重合体中の単位(A)と単位(C)の含有比(質量基準)は、単位(A)/単位(C)として、10/90以上が好ましく、15/85以上がより好ましく、20/80以上がさらに好ましく、また80/20以下が好ましく、75/25以下がより好ましく、70/30以下がさらに好ましい。このような含有比で重合体が単位(A)と単位(C)を含有していれば、粘度指数向上剤の基油溶液の室温付近での粘度が低下しやすくなり、ハンドリング性が向上する。
重合体中の単位(A)と単位(B)と単位(C)の合計含有量は、粘度指数向上剤の粘度指数を高めるとともに、粘度指数向上剤のせん断安定性を高める点から、重合体100質量%中、45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がさらにより好ましい。また、重合体の基油溶解性を高める点から、単位(A)と単位(B)と単位(C)の合計含有量は、重合体100質量%中、85質量%以下が好ましく、82質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、77質量%以下がさらにより好ましい。
上記に説明した重合体中の単位(A)と単位(C)の合計含有量、重合体中の単位(A)と単位(C)の含有比、重合体中の単位(A)と単位(B)と単位(C)の合計含有量は、単位(C)が、直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が2〜6であるものに対して定められるものであってもよい。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が7〜40である構成単位(D)を有することが好ましい。重合体に構成単位(D)が含まれることにより、重合体の基油溶解性を高めやすくなる。
構成単位(D)としては、下記式(4)で表される単位であることが好ましい。式(4)中、R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は炭素数7〜40のアルキル基を表す。
Figure 2020105295
式(4)のR8の炭素数7〜40のアルキル基としては、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基等の環状のアルキル基等が挙げられる。R8のアルキル基は、好ましくは直鎖状または分岐状であり、より好ましくは直鎖状である。また、その炭素数は9以上が好ましく、11以上がより好ましく、また35以下が好ましく、30以下がより好ましい。
重合体には、アルキル基の炭素数が7〜40であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(D)が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
重合体が単位(D)を有する場合、重合体中の単位(D)の含有量は、重合体100質量%中、3質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、また40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。このような含有量で重合体中に単位(D)が含まれていれば、重合体の基油溶解性を高めやすくなる。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、マレイミド系単量体由来の構成単位(E)を有することが好ましい。この場合、マレイミド系単量体に由来して、重合体の主鎖にスクシンイミド環構造が導入される。このように重合体の主鎖に環構造が導入されることにより、重合体の基油溶解性を確保しつつ、粘度指数向上剤のせん断安定性や耐熱性を高めることができる。さらには潤滑油組成物としたときに、スラッジ等の清浄分散性の向上や金属表面の摩耗抑制等の効果が期待される。単位(E)は、N位に置換基を有していてもよいマレイミドを、上記に説明したアルキル(メタ)アクリレート等と共重合させることにより、重合体に導入することができる。
単位(E)としては、下記式(5)で表される単位であることが好ましい。式(5)中、R9およびR10はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を表し、R11は水素原子または炭素数が1〜40の有機基を表す。
Figure 2020105295
式(5)のR9およびR10のアルキル基は、炭素数1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。R9およびR10としては、水素原子、メチル基またはエチル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
式(5)のR9の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキル基に含まれる−CH2−の一部が−O−に置き換えられた基等が挙げられ、これらの基には、水酸基、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基(アリール基、アラルキル基の場合)、アルコキシ基、カルボキシ基等の置換基が結合していてもよい。R11の有機基は、粘度指数向上剤の基油溶解性を高める点から、炭素数1〜24が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましい。
11のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基や、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基等の環状のアルキル基等が挙げられる。R11のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。R11のアラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。R11のアルキル基に含まれる−CH2−の一部が−O−に置き換えられた基としては、ポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基が挙げられる。例えばR11がアリール基であれば、粘度指数向上剤のせん断安定性を向上させることが容易になり、R11がシクロアルキル基であれば、粘度指数向上剤の粘度指数を向上させることが容易になる。
マレイミド系単量体の具体例としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−2−エチルヘキシルマレイミド、N−デシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−テトラデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−2−デシルテトラデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシルエチルマレイミド、N−ヒドロキシルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミド等が挙げられる。これらの中でも、マレイミド系単量体の入手容易性や、粘度指数向上剤の基油溶解性を高めることが容易な点から、マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミドが好ましい。従って、式(5)において、R9とR10は水素原子であることが好ましく、R11はフェニル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、ベンジル基、ラウリル基またはステアリル基であることが好ましい。
重合体には、マレイミド系単量体由来の構成単位(E)が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
重合体が単位(E)を有する場合、重合体中の単位(E)の含有量は、重合体100質量%中、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、また20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。これにより、重合体に単位(E)を含ませることの効果が奏効されやすくなる。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、上記に説明した単位(A)〜(E)以外の単量体由来の構成単位(以下、「単位(F)」と称する)を有していてもよい。単位(A)〜(E)は、それぞれ対応するアルキル(メタ)アクリレート、マクロモノマー、マレイミド系単量体をラジカル共重合することにより、重合体の構成単位として導入することができることから、単位(F)もラジカル重合性単量体由来の単位であることが好ましい。単位(F)を形成するラジカル重合性単量体としては、ラジカル重合性基を分子内に1個有する単官能単量体と、ラジカル重合性基を分子内に2個以上有する多官能単量体とに分類できる。
単官能単量体の例としては、単位(A)や単位(C)や単位(D)を形成するアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート、不飽和モノまたはジカルボン酸エステル、不飽和カルボン酸類、ビニル芳香族化合物、ビニルエステル、ビニルエーテル、オレフィン類、シアン化ビニル、N−ビニル化合物等が挙げられる。これらの単官能単量体に由来して形成される単位(F)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
単位(A)や単位(C)や単位(D)を形成するアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルフォリノアルキレン(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和モノまたはジカルボン酸エステルとしては、例えば、ブチルクロトネート、オクチルクロトネート、ジブチルマレエート、ジラウリルマレエート、ジオクチルフマレート、ジステアリルフマレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン等のスチレン系単量体、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オクチル酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等が挙げられる。
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−テトラデセン、1−オクタデセン、ジイソブテン等が挙げられる。
シアン化ビニルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
これらの単官能単量体のうち、単位(F)としては、単位(A)や単位(C)や単位(D)を形成するアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートやN−ビニル化合物が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、N−ビニルピロリドンが特に好ましい。
単位(F)を形成する多官能単量体の例としては、多官能(メタ)アクリレート、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、アリル基含有(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル、多官能アリル系化合物、多官能芳香族ビニルなどが挙げられる。これらの多官能単量体に由来して形成される単位(F)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビスアクリル酸、ジアルキル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
アリル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−デシルテトラデシル等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレートとしては、例えば、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとの反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能マレイミド系化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン等が挙げられる。
多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
多官能アリル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル等の多官能アリルエーテル;トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル基含有イソシアヌレート;フタル酸ジアリル、ジフェン酸ジアリル等の多官能アリルエステル;ビスアリルナジイミド化合物等;ビスアリルナジイミド化合物等が挙げられる。
多官能芳香族ビニルとしては、例えば、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
重合体中の単位(F)の含有量は、重合体100質量%中、0質量%以上であればよい。重合体が単位(F)を有する場合、重合体中の単位(F)の含有量は、重合体100質量%中、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、また50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がさらにより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
なお、重合体にはスチレン系単量体由来の構成単位が多く含まれないことが好ましい。スチレン系単量体由来の構成単位の含有量が多くなると、重合体の基油溶解性が低下しやすくなるとともに、粘度指数向上剤による粘度指数向上効果が低下しやすくなるからである。従って、重合体100質量%中、スチレン系単量体由来の構成単位の含有量は3質量%未満であることが好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。スチレン系単量体には、スチレンのみならず、スチレンのベンゼン環やビニル基に置換基が結合したものも含まれ、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレンが含まれる。
また、ビニルエーテル、オレフィン類などは(メタ)アクリレートとのラジカル共重合性が落ちるため、重合体の製造容易性の点から、重合体にはこれらに由来する構成単位が多く含まれないことが好ましい。例えば、これらの単量体由来の構成単位(F)の合計含有量は、重合体100質量%中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
重合体中の多官能単量体由来の構成単位(F)の含有量は、重合体100質量%中、0質量%以上5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。多官能単量体由来の構成単位(F)の含有量が上記範囲を超えると、重合時にゲル化が進行したり、当該重合体を含有する粘度指数向上剤の基油への溶解度が低下したりする場合がある。ただし、2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビスアクリル酸、ジアルキル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−デシルテトラデシルのように、環化しながら重合が進行する多官能単量体の場合は、重合体中の当該多官能単量体由来の構成単位の含有量は、重合体100質量%中、0質量%以上30質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよい。この場合、主鎖に導入される環構造の効果により、粘度指数向上剤の耐熱性が向上するとともに、せん断安定性を改善することができる。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、多官能連鎖移動剤や多官能重合開始剤由来の分岐単位を有していてもよい。重合体がこのような分岐単位を有していれば、重合体の基油溶解性を大きく損ねることなく、粘度指数向上剤のせん断安定性を改善することができる。
多官能連鎖移動剤としては3官能以上の多価メルカプタンを用いることが好ましく、そのような連鎖移動剤を用いて単量体成分をラジカル共重合させると、下記式(6)で表される分岐単位(連鎖移動剤残基)が重合体に導入される。下記式(6)において、L1はm価の有機残基を表し、mは0以上の数を表す。mは、好ましくは0〜5である。
Figure 2020105295
3官能以上の多価メルカプタンとしては、例えば、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキスメルカプトアセテート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)など、水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物、トリアジン多価チオール類、多価エポキシ化合物の複数のエポキシ基に硫化水素を付加させて1分子当たり3個以上のメルカプト基を導入してなる化合物、多価カルボン酸の複数のカルボキシル基とメルカプトエタノールをエステル化してなる1分子当たり3個以上のメルカプト基を有する化合物等が挙げられる。重合体中には、3官能以上の多官能連鎖移動剤由来の分岐単位が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
多官能重合開始剤としては3官能以上の過酸化物を用いることが好ましく、そのような多官能重合開始剤をラジカル重合開始剤として用いると、下記式(7)で表される分岐単位(開始剤残基)が重合体に導入される。下記式(7)において、L2はn価の有機残基を表し、nは0以上の数を表す。nは、好ましくは0〜5である。
Figure 2020105295
3官能以上の多官能開始剤としては、例えば、2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどの3官能以上の有機過酸化物等が挙げられる。重合体中には、3官能以上の多官能開始剤由来の分岐単位が1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
重合体中の多官能連鎖移動剤および/または多官能開始剤由来の分岐単位の含有量(合計含有量)は、重合体100質量%中、0質量%以上であればよく、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、また3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。分岐単位の含有量をこのような範囲とすることで、重合体の分子量分布が狭くなり、粘度指数向上剤のせん断安定性を向上できる。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることが好ましく、25万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましく、また70万以下が好ましく、65万以下がより好ましく、60万以下がさらに好ましい。重合体の重量平均分子量が小さい場合は、これを添加した潤滑油、すなわち粘度指数向上剤の基油溶液の粘度指数が低下しやすくなるため、所望の粘度に調整するために粘度指数向上剤の使用量が増え、コスト面で不利となる。また、高温高せん断時の粘度が一定以上となるように粘度指数向上剤を潤滑油に添加したときに、低温時の粘度が高くなりやすくなる。一方、重合体の重量平均分子量が過度に大きい場合は、重合体の基油溶解性が低下したり、粘度指数向上剤のせん断安定性が低下しやすくなる。
粘度指数向上剤に含まれる重合体の数平均分子量(Mn)は10万以上が好ましく、12万以上がより好ましく、14万以上がさらに好ましく、また30万以下が好ましく、25万以下がより好ましく、22万以下がさらに好ましい。
重合体のMwとMnから算出される分子量分布(Mw/Mn)は4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましく、2.5以下がさらにより好ましい。分子量分布が4.0を超えると重合体の基油への溶解性が不足したり、潤滑油組成物のせん断安定性が低下しやすくなる。一方、分子量分布の下限は1.0が好ましいが、重合体の合成が容易な点から、分子量分布(Mw/Mn)は1.5以上が好ましく、1.8以上がより好ましい。なお、重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法により求める。
分子量の制御方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、重合開始剤・重合触媒の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整などにより制御できる。分子量分布を制御する方法としてはLiving Radical Polymerizationも使用できる。具体的な方法としては、RAFT法やNMP法、ATRP法などが有名である。詳細については、Aldrich Material Matters,Vol.5,No.1(2010)に概説されている。使用例としては、例えばRAFT法の場合、特開2012−197399号公報において、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、重合触媒として、ジチオ安息香酸クミルが用いられている。
粘度指数向上剤に含まれる重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上が好ましく、−40℃以上がより好ましく、−30℃以上がさらに好ましく、また0℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましく、−20℃以下がさらに好ましい。重合体のTgがこのような範囲であれば、粘度指数向上剤を潤滑油に添加したときに、重合体の潤滑油(基油)への溶解性が確保され、高い粘度指数を維持したまま、室温付近での流動性を高めやすくなる。
重合体の熱分解開始温度(Td)は、275℃以上が好ましく、278℃以上がより好ましく、280℃以上がさらに好ましい。重合体のTdが275℃以上であれば、耐熱性が向上し、熱分解安定性やせん断安定性が良好なものとなる。そのため、これを潤滑油に添加して使用した場合に、高温高せん断条件下で所望の粘度が長期にわたり確保することが容易になる。重合体のTdの上限は特に限定されないが、過度に耐熱性を向上させた場合は、重合体の基油への溶解性が不足したり、粘度指数向上効果が低下したりする傾向があることから、500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましく、400℃以下がさらに好ましく、380℃以下がさらにより好ましい。
重合体の主鎖SP値(主鎖の溶解度パラメータ)は、9.20以上が好ましく、9.22以上がより好ましく、9.25以上がさらに好ましく、また9.50以下が好ましく、9.45以下がより好ましく、9.40以下がさらに好ましい。基油のSP値は一般に8.0〜8.5程度の値を示すが、重合体の主鎖SP値が9.20以上であれば粘度指数向上剤の基油溶液の粘度指数を高めることが容易になり、主鎖SP値が9.50以下であれば重合体の基油溶解性を確保しやすくなる。
本発明の粘度指数向上剤に含まれる重合体は、米国石油協会(API)分類におけるグループIII基油(粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/s)78質量%と、前記重合体22質量%からなる溶液を、粘度計(東機産業社製、TVB−10、ローター:SPINDLE No.M3、回転数6rpm)にて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以下となることが好ましい。重合体の基油溶液がこのような粘度を有していれば、粘度指数向上剤の室温付近での流動性が高まり、ハンドリング性が向上する。前記粘度は、3000mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以下がさらに好ましく、1000mPa・s以下がさらにより好ましい。前記粘度の下限は特に限定されず、例えば1mPa・s以上であればよい。粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/sを有するグループIII基油は、SKルブリカンツ社製のYUBASE4を用いる。
なお、粘度指数向上剤中には、性能を大きく損なうことがない限り、重合体とともにその製造原料が一部含まれていてもよく、例えば重合反応で得られた重合体を特に精製することなく、あるいは高度に精製することなく、粘度指数向上剤を製造する場合は、粘度指数向上剤中に重合体原料(例えば、単量体成分、重合開始剤、連鎖移動剤等)が含まれうる。そのような場合は、上記の粘度測定で用いる重合体の基油溶液の重合体濃度は、重合体と当該重合体原料の合計濃度を、重合体濃度と見なすことができる。すなわち、重合体と当該重合体原料の合計22質量%とグループIII基油78質量%からなる溶液を、粘度測定に用いてもよい。重合体原料を含めた重合体濃度は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いてサンプル中の基油の含有量を測定し、基油を除く成分濃度として求めることもできる。
粘度指数向上剤は、せん断安定性の指標であるSSIが38以下であることが好ましく、36以下がより好ましく、34以下がさらに好ましく、これにより粘度指数向上剤のせん断安定性や貯蔵安定性が向上する。粘度指数向上剤のSSIの下限値は特に限定されないが、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは2以上であり、さらにより好ましくは5以上である。SSIが0.1未満の場合には、粘度指数向上剤の粘度指数向上効果が低下しやすくなる。SSIは、100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように粘度指数向上剤(重合体)を基油で希釈し、超音波ホモジナイザーによるせん断処理前後の動粘度と基油の100℃における動粘度を測定し、次式により求める:SSI={1−(せん断処理後の動粘度−基油の動粘度)/(せん断処理前の動粘度−基油の動粘度)}×100。
粘度指数向上剤は、粘度指数向上剤(重合体)を基油で希釈した際の100℃における動粘度が7.0mm2/sとなる基油中の重合体の濃度が高いほど、粘度指数とせん断安定性が高くなる傾向があり、その濃度は、好ましくは3.0質量%以上であり、より好ましくは3.5質量%以上である。一方、前記濃度の上限は特に限定されないが、例えば10.0質量%以下であればよい。
粘度指数向上剤は、100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように粘度指数向上剤(重合体)を基油で希釈したときの粘度指数が、230以上であることが好ましく、250以上がより好ましく、265以上がさらに好ましく、また350以下であることが好ましく、330以下がより好ましく、310以下がさらに好ましい。粘度指数向上剤の粘度指数が上記の範囲内であれば、省燃費性と熱・酸化安定性、貯蔵安定性に優れるものとなる。粘度指数は、JIS K 2283の方法に準拠して測定する。
粘度指数向上剤に含まれる重合体は、米国石油協会(API)分類におけるグループIII基油(粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/s)中の100℃における固有粘度[η]100が0.07dL/g以上0.17dL/g以下であり、40℃における固有粘度[η]40が0.01dL/g以上0.08dL/g以下であることが好ましい。粘度指数向上剤は通常、最も油膜が薄くなる高温かつ高せん断時の粘度が所定値以上に維持されるように、潤滑油に配合される。特に内燃機関用潤滑油は、シリンダとシリンダヘッドの間で高いせん断力がかかる状況で使用されるが、100℃における固有粘度[η]100と40℃における固有粘度[η]40を上記範囲に調整することにより、高温高せん断条件下での潤滑性を維持しつつ、低温での粘度をより低く抑えることが可能となる。具体的には、最も油膜が薄くなる高温高せん断時の粘度が一定値以上となるように粘度指数向上剤を潤滑油(基油)に添加したときに、低温高せん断時あるいは低温低せん断時の粘度をより低く抑えることが可能となる。そのため、粘度指数向上剤がこのような固有粘度を有していれば、内燃機関用潤滑油の使用環境、すなわち例えば温度150℃以下で、高せん断時と低せん断時の両方において、好適な粘度特性改善効果が得られる。
100℃における固有粘度[η]100は、好ましくは0.08dL/g以上であり、より好ましくは0.09dL/g以上であり、また0.16dL/g以下が好ましく、0.15dL/g以下がより好ましい。80℃における固有粘度[η]80は、0.02dL/g以上が好ましく、0.03dL/g以上がより好ましく、また0.13dL/g以下が好ましく、0.09dL/g以下がより好ましい。60℃における固有粘度[η]60は、0.02dL/g以上が好ましく、0.03dL/g以上がより好ましく、また0.08dL/g以下が好ましく、0.07dL/g以下がより好ましい。40℃における固有粘度[η]40は、0.02dL/g以上が好ましく、0.03dL/g以上がより好ましく、また0.07dL/g以下が好ましく、0.06dL/g以下がより好ましい。また、100℃における固有粘度[η]100は、40℃における固有粘度[η]40よりも大きいことが好ましい。粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/sを有するグループIII基油としては、SKルブリカンツ社製のYUBASE4を使用することができる。
重合体の固有粘度[η]は、温度が高くなるほど当該値の増加率が高くなることが好ましく、例えば100℃における固有粘度[η]100、80℃における固有粘度[η]80、60℃における固有粘度[η]60、40℃における固有粘度[η]40をそれぞれ求めたとき、固有粘度比[η]100/[η]80が固有粘度比[η]80/[η]60と固有粘度比[η]60/[η]40よりも大きくなることが好ましく、固有粘度比[η]100/[η]80が固有粘度比[η]80/[η]60よりも大きく、かつ固有粘度比[η]80/[η]60が固有粘度比[η]60/[η]40よりも大きくなることがより好ましい。これにより、粘度指数向上剤の潤滑油への添加量を少なくしても、高温高せん断時の粘度を一定値以上に確保することが容易になる。その結果、低温高せん断時あるいは低温低せん断時の粘度をより低く抑えることが容易になる。
固有粘度比[η]100/[η]40は、1.7以上が好ましく、1.9以上がより好ましく、2.1以上がさらに好ましく、また7.0以下が好ましく、4.7以下がより好ましく、3.8以下がさらに好ましく、3.5以下がさらにより好ましい。また、高温条件の固有粘度比[η]100/[η]80は、1.3以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、また3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましい。
粘度指数向上剤は、150℃におけるUSV(Ultra Shear Viscometer)粘度が2.30mPa・sとなるように粘度指数向上剤(重合体)を基油で希釈したときに、100℃におけるUSV粘度が4.70mPa・s以下となることが好ましく、4.60mPa・s以下がより好ましく、4.55mPa・s以下がさらに好ましい。また同条件で、80℃におけるUSV粘度が8.00mPa・s以下となることが好ましく、7.50mPa・s以下がより好ましく、7.20mPa・s以下がさらに好ましい。USV粘度は、実際の潤滑油を想定してパッケージ添加剤が添加された粘度指数向上剤の基油溶液を対象に、高せん断条件下で測定を行うものである。これにより、内燃機関用潤滑油の使用環境により近い条件での粘度を把握することができる。100℃におけるUSV粘度または80℃におけるUSV粘度がこのような値であれば、内燃機関用潤滑油として使用した際に良好な省燃費性を示すものとなる。一方、100℃におけるUSV粘度と80℃におけるUSV粘度の下限は特に限定されないが、潤滑油組成物として使用したときの潤滑性を確保する点から、100℃におけるUSV粘度は3.00mPa・s以上が好ましい。80℃におけるUSV粘度は、例えば4.70mPa・s以上、5.50mPa・s以上、または6.00mPa・s以上であってもよい。
本発明の粘度指数向上剤は、上述した重合体を含み、さらに溶媒(特に基油)を含んでいてもよい。なお粘度指数向上剤は、上述した重合体が粘度指数向上剤の固形分の主成分を占めることが好ましく、例えば粘度指数向上剤の固形分100質量部中、上述した重合体の含有量が80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上がさらに好ましい。なお、粘度指数向上剤の固形分とは、粘度指数向上剤の溶媒を除く成分を意味する。粘度指数向上剤は、固形分成分として、上述した重合体以外の重合体を含んでいてもよく、そのような重合体としては、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン水素化共重合体、これらのグラフトポリマーやくし形ポリマー、星形ポリマー等が挙げられる。
本発明の粘度指数向上剤に含まれる重合体は、アルキル(メタ)アクリレートを含む単量体成分をラジカル重合する工程(重合工程)を有する製造方法により得ることができる。単量体成分としては、上記に説明した構成単位(A)や構成単位(C)や構成単位(D)を形成するアルキル(メタ)アクリレート、構成単位(B)を形成するマクロモノマー、構成単位(E)を形成するマレイミド系単量体、構成単位(F)を形成するラジカル重合性単量体等を用いることができる。構成単位(B)を形成するマクロモノマーは、市販のものを用いてもよいし、重合工程に先立ってマクロモノマー合成工程を設けることにより、マクロモノマーを合成してもよい。
重合工程における単量体成分の重合方法は、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等いずれでもよく、特に限定されない。分散媒、乳化剤、分散剤等を使用する場合は、特に制限がなく公知のものが使用できる。中でも、重合反応の制御が容易であり、粘度指数向上剤を基油溶液として得ることが容易な点から、溶液重合により重合を行うことが好ましい。
重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合開始剤や重合触媒の種類や量等の重合条件に応じて適宜設定すればよい。なお、重合体の溶解度を確保する観点、および重合後に基油への溶媒置換が容易である観点から、重合に使用する溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランが好ましい。また、潤滑油基油も溶媒として好適に用いることができる。この場合、重合後の溶媒置換が不要となり、プロセスが簡略化されるため、より好ましい。これら溶媒は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量は特に制限はないが、単量体成分、重合開始剤、その他の成分の合計量の濃度が、全体の40質量%以上99質量%以下となる程度が好ましい。
重合の際には重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては公知の重合開始剤を用いればよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート等の過酸化物等を用いることができる。また、上記に説明した多官能開始剤を用いることもできる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、例えば、単量体成分100質量部に対して0.01〜3質量部とすることが好ましい。
重合工程では、連鎖移動剤等を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、分子量分布の小さい重合体を得やすくなる。また、解重合による熱分解も抑制しやすくなる。連鎖移動剤としては、ブタンチオール、オクタンチオール、オクタデカンチオール、ドデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、ドデシルメルカプタン、エチレングリコールビスチオグリコレート等のメルカプタン;四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。また、上記に説明した多官能連鎖移動剤を用いることもできる。連鎖移動剤の使用量は、例えば、単量体成分100質量部に対して0.01〜3質量部とすることが好ましい。
重合反応の温度は、重合溶媒の種類や重合反応の進行度合に応じて適宜調整すればよいが、例えば、0℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、また200℃以下が好ましく、155℃以下がより好ましい。重合反応の時間は、重合反応の進行度合に応じて適宜調整すればよいが、例えば、1〜48時間(好ましくは3〜24時間)行えばよい。
マクロモノマー合成工程を行う場合は、上記に説明したマクロモノマーに含まれる炭化水素基を有するとともに、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、イソシアネート基、およびスルホ基から選ばれる官能基を有する化合物(以下、「マクロ化合物」と称する)と、前記官能基との反応性基と重合性二重結合を有する化合物(以下、「カウンター化合物」と称する)とを反応させて、マクロモノマーを合成することが好ましい。マクロ化合物とカウンター化合物とを付加反応または縮合反応させ、得られたマクロモノマーを他の単量体成分とともに重合工程で重合させることにより、重合体中にマクロ化合物に由来した炭化水素基が取り込まれる。
マクロ化合物の有する官能基としては、製造容易性や入手容易性の点から、水酸基、カルボキシ基、またはカルボン酸エステル基が好ましい。マクロ化合物はこのような官能基を1つのみ有していることが好ましく、より好ましくはマクロ化合物の末端部にそのような官能基を有する。
カウンター化合物の有する反応性基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、イソシアネート基、スルホ基、オキサゾリン基等が挙げられる。カウンター化合物はこのような反応性基を1つのみ有することが好ましい。カウンター化合物としては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2,2−ジメチル−2−イソシアナトエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;4−アミノスチレン、4−ビニルベンゼンスルホン酸等のスチレン類;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
マクロ化合物とカウンター化合物との反応は、イソシアネート基と水酸基とが反応するウレタン化反応、イソシアネート基とアミノ基が反応するウレア化反応、カルボキシ基と水酸基とが反応するエステル化反応、カルボキシ基とアミノ基とが反応するアミド化反応、スルホ基と水酸基とが反応するスルホン酸エステル化反応、スルホ基とアミノ基が反応するスルホンアミド化反応、水酸基とカルボキシ基のエステル化物とが反応するエステル交換反応、オキサゾリン基とカルボキシ基が反応するアミドエステル化反応等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン化反応、ウレア化反応、エステル化反応、エステル交換反応、またはアミド化反応が好ましく、反応性に優れる点から、ウレタン化反応が特に好ましい。
マクロモノマー合成工程では、マクロ化合物とカウンター化合物との反応を、金属触媒の存在下で行うことが好ましい。これによりマクロ化合物とカウンター化合物とからマクロモノマーを効率的に製造することが可能となり、反応時間の短縮化を図ることができる。さらに後段の重合工程において、反応液中に金属触媒由来の金属が残存していても、マクロモノマーを含む単量体成分の重合反応を好適に行うことができる。
金属触媒は、マクロ化合物とカウンター化合物との反応を促進するものであれば特に限定されないが、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、およびビスマスよりなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含む金属触媒を用いることが好ましく、チタン触媒および/またはスズ触媒を用いることがさらに好ましい。チタン触媒および/またはスズ触媒を用いれば、マクロモノマー合成工程において、マクロ化合物とカウンター化合物との反応が速やかに進行するとともに、これらの触媒に由来する金属が後段の重合工程の反応液中に残存していても、マクロモノマーの重合率を高めることができ、より高分子量の重合体を得ることが容易になる。
金属触媒は、第16族元素を含む基または配位子を有することが好ましい。この場合、当該基または配位子に含まれる第16族元素が、金属触媒の金属原子に結合または配位していることが好ましい。第16族元素としては、酸素、硫黄 、セレン、テルル等が挙げられ、中でも酸素または硫黄を含む基または配位子が好ましい。このような基または配位子としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、アシレート基、カテコラート基、チオール基、チオシアナート基等が挙げられ、特に酸素を含む基または配位子が好ましく用いられる。
マクロモノマーの合成は溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、重合反応で使用可能な溶媒を用いることができ、潤滑油基油も好適に用いることができる。マクロモノマー合成工程における反応溶媒の使用量は特に限定されないが、反応液中のマクロ化合物とカウンター化合物の合計の濃度が5質量%以上70質量%以下となる程度が好ましい。
マクロモノマーの合成を基油中で行った場合は、重合工程においても、当該基油を反応溶媒として用いることもできる。これにより、マクロモノマー合成工程と重合工程を簡略化できるとともに、重合後の溶媒置換が不要となるため、粘度指数向上剤を簡便に製造することが可能となる。この場合、マクロモノマー合成工程で使用した金属触媒由来の金属の存在下、マクロモノマー合成工程で使用した溶媒(基油)中で、マクロモノマーを含む単量体成分を重合する重合工程を行ってもよい。
マクロ化合物とカウンター化合物とを反応させる際の温度は、反応溶媒の種類や反応の進行度合に応じて適宜調整すればよいが、例えば、0℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、また180℃以下が好ましく、155℃以下がより好ましい。反応時間は、反応の進行度合に応じて適宜調整すればよいが、例えば、20分〜16時間(好ましくは30分〜12時間)行えばよい。
〔2.粘度指数向上剤と基油を含有する組成物〕
本発明は、上記に説明した粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物も提供する。本発明の粘度指数向上剤は、潤滑油基油と配合して、潤滑油組成物とすることができる。潤滑油組成物は、それをさらに基油で希釈せずに潤滑油に用いてもよく、あるいは、さらに基油で希釈したものを潤滑油に用いてもよい。後者の場合、潤滑油組成物は原液として用いられ、以下これを「基油組成物」と称する場合がある。
潤滑油基油としては、公知の潤滑油基油を特に制限なく用いることができ、鉱油系基油や合成系基油が好適に挙げられる。鉱油系基油としては、パラフィン系やナフテン系等の基油が挙げられる。鉱物系基油には、原料基油を溶剤精製したり、水素化分解または水素化異性化処理したものも含まれる。合成系基油としては、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコーン系、フッ素系等の基油が挙げられる。潤滑油基油は、上述したように、重合体を製造する際の重合反応溶媒として用いることもできる。
鉱油系基油の具体例としては、以下に示す油(1)〜(7)を原料とし、この原料油および/またはこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。得られる粘度指数向上剤の品質を高めることが容易な点を考慮すると、潤滑油基油として、(1)〜(7)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(8)または(9)が好ましく用いられる。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)〜(2)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)基油(1)〜(4)のいずれかの脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)〜(6)から選ばれる2種以上の混合油
(8)上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油。
(9)上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
合成系基油としては、具体的には、ポリα−オレフィンまたはその水素化物、イソブテンオリゴマーまたはその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられ、中でもポリα−オレフィンが好ましい。ポリα−オレフィンとしては、典型的には、炭素数2〜32、好ましくは6〜16のα−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー(1−オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンコオリゴマー等)およびそれらの水素化物が挙げられる。
潤滑油組成物に配合する潤滑油基油としては、上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分について、上記の処理を行うことにより得られる基油(8)または(9)が好ましい。また、米国石油協会(API)による分類に基づくグループIIIに属する基油を用いることも好ましい。潤滑油組成物に配合する潤滑油基油としては、合成系基油を用いてもよい。
本発明の潤滑油組成物においては、上記の潤滑油基油を単独で用いてもよく、また他の基油の1種または2種以上と併用してもよい。なお、潤滑油基油と他の基油とを併用して混合基油とする場合、当該混合基油は上記潤滑油基油(8)または(9)を少なくとも含むことが好ましい。混合基油中の上記潤滑油基油(8)または(9)の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
潤滑油基油の粘度指数は、100以上であることが好ましく、120以上がより好ましく、また160以下が好ましい。例えば、粘度指数が100未満であると、粘度−温度特性や熱・酸化安定性、揮発防止性が悪化しやすくなったり、摩擦係数が上昇したり、摩耗防止性が低下しやすくなる。一方、粘度指数が160を超えると、低温粘度特性が低下しやすくなる。また、潤滑油基油の100℃における動粘度は、1〜20mm2/sであることが好ましい。
潤滑油組成物の粘度指数は、200以上であることが好ましく、230以上がより好ましく、255以上がさらに好ましく、また350以下であることが好ましく、300以下がより好ましい。粘度指数が上記の範囲内であれば、省燃費性と熱・酸化安定性、貯蔵安定性に優れるものとなる。
潤滑油組成物中の本発明に係る重合体の含有量は特に限定されず、例えば、潤滑油組成物100質量部中、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましく、また70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部未満がさらに好ましい。なお、潤滑油組成物をさらに潤滑油基油で希釈せずに潤滑油に用いる場合は、潤滑油組成物中の本発明に係る重合体の含有量は、潤滑油組成物100質量部中、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましく、また20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。本発明の潤滑油組成物を基油組成物として用いる場合は、基油組成物中の本発明に係る重合体の含有量は、潤滑油組成物100質量部中、例えば5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、また70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部未満がさらに好ましい。
潤滑油組成物は、粘度指数向上剤と潤滑油基油を必須成分として含有し、さらに任意の添加剤等が配合されていてもよい。潤滑油組成物は、例えば、流動点降下剤、摩耗防止剤、金属系清浄分散剤、無灰清浄分散剤、酸化防止剤、腐食防止剤、泡消剤、摩擦調整剤、さび止め剤、抗乳化剤、および金属不活性化剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤が配合されることが好ましい。
流動点降下剤としては、潤滑油に用いられる任意の流動点降下剤が使用できる。流動点降下剤としては、例えば、ポリメタクリレート類、ナフタレン−塩素化パラフィン縮合生成物、フェノール−塩素化パラフィン縮合生成物などが挙げられる。これらの中ではポリメタクリレート類が好ましい。
摩耗防止剤(または極圧剤)としては、潤滑油に用いられる任意の摩耗防止剤・極圧剤が使用できる。摩耗防止剤(または極圧剤)としては、例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、MoDTC、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。これらの中では硫黄系極圧剤が好ましく、特に硫化油脂が好ましい。
金属系清浄分散剤としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネート、およびアルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート等の正塩または塩基性塩を挙げることができる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、これらの中でも、マグネシウムまたはカルシウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。
無灰清浄分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰清浄分散剤が使用できる。無灰清浄分散剤としては、例えば、炭素数40〜400の直鎖または分岐状のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノまたはビスコハク酸イミド、炭素数40〜400のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいは炭素数40〜400のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはこれらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、またはイミダゾール系化合物等が挙げられる。
泡消剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm2/sのシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
摩擦調整剤としては、モリブデンジチオカーバメートやモリブデンジチオフォスフェートなどのコハク酸イミドモリブデン錯体や有機モリブデン酸のアミン塩等の有機モリブデン化合物のほか、基本構造として炭素数8以上30以下の直鎖アルキルと金属に吸着できる極性基を同じ分子内にもつ構造のものが挙げられる。極性基としては、アミンやポリアミン、アミドや、これらを同時に分子内に持つ、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、ウレア系化合物、ヒドラジド系化合物等尿素やアルケニルコハク酸イミドタイプ、エステル、アルコールやジオール、あるいはエステルと水酸基を同時にもつ、例えばモノアルキルグリセリンエステルなどが挙げられる。そのほかアミンと水酸基とを同じ分子内に持つ、例えばアルキルアミンアルコキシアルコール等など様々である。
さび止め剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
潤滑油組成物が、流動点降下剤、摩耗防止剤、金属系清浄分散剤、無灰清浄分散剤、酸化防止剤、腐食防止剤、泡消剤、摩擦調整剤、さび止め剤、抗乳化剤、および金属不活性化剤よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する場合、それぞれの含有量は、例えば、潤滑油組成物100質量部中、0.01質量部以上10質量部以下であればよい。
潤滑油組成物が金属系清浄分散剤を含有する場合、その含有量は、潤滑油組成物100質量部中、0.01質量部以上30質量部未満であることが好ましい。含有量が0.01質量部に満たない場合には、省燃費効果が短期間しか持続しないおそれがあり、また30質量部以上の場合には含有量に見合った効果が得られにくくなる。
潤滑油組成物が泡消剤を含有する場合、その含有量は、潤滑油組成物100質量部中、0.0001質量部以上0.01質量部以下であることが好ましい。
潤滑油組成物が摩擦調整剤を含有する場合、その含有量は、潤滑油組成物100質量部中、0.01質量部以上3質量部以下であることが好ましい。摩擦調整剤の含有量が0.01質量部未満であると、その添加による摩擦低減効果が不十分となる傾向にあり、また3質量部を超えると、他の添加剤の効果を阻害しやすくなったり、あるいは添加剤の溶解性が悪化する傾向にある。
潤滑油組成物を基油組成物として用いる場合は、基油組成物は実質的に粘度指数向上剤と潤滑油基油からなるものであってもよく、この場合、基油組成物中の粘度指数向上剤と潤滑油基油の合計含有量は、基油組成物100質量部中、例えば95質量部以上であることが好ましく、97質量部以上がより好ましく、98質量部以上がさらに好ましい。特に、本発明に係る重合体と潤滑油基油の合計含有量がこのような範囲となるように基油組成物が構成されることが好ましい。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)分析および評価方法
(1−1)重量平均分子量および数平均分子量
重合体の重量平均分子量と数平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、HLC−8320GPC ECOSEC)を用いて求めた。測定条件は下記の通りである。
−カラム:東ソー社製、TSKgel GMHXL 2本
−展開溶媒:テトラヒドロフラン
−展開溶媒の流量:1.0mL/分
−標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
−カラム温度:40℃
−サンプル濃度:0.5%
−注入量:200μL
(1−2)マクロモノマーを除く各単量体成分由来の構成単位の含有量
重合体中のマクロモノマーを除く各単量体成分由来の構成単位の含有量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、GC−2010plus)を用いて求めた。具体的には、各単量体とトリデカンをメチルイソブチルケトンに溶解した検量線溶液を作製し、それらをガスクロマトグラフィーで測定し、ピーク面積から検量線を作成した。次いで、重合体溶液(反応溶液)とトリデカンをメチルイソブチルケトンに溶解させたサンプル溶液を作製し、同様にガスクロマトグラフィーで測定した。内部標準法により重合体溶液中の各単量体成分の含有量を求め、系中に仕込んだ各単量体成分量に対する割合(重合率)を求めることで、重合体中の各単量体成分由来の構成単位の含有量を求めた。ガスクロマトグラフィーの測定条件は下記の通りである。
−カラム:GLサイエンス製 Inert Cap1(液相の膜厚:0.25μm、長さ:30m、内径:0.25mm)
−温度:40℃(5分保持)+40℃〜170℃(10℃/分)+170℃〜210℃(5℃/分)+210℃〜330℃(15℃/分)+330℃(20分保持)
−気化室温度:200℃
−検出器温度:350℃(FID)
−キャリアガス:ヘリウム(カラム流量1.33mL/分)
−注入量:0.5μL(スプリット法、スプリット比:30.0)
−内部標準試料:トリデカン
−希釈溶剤:メチルイソブチルケトン
(1−3)マクロモノマー由来の構成単位の含有量
重合体中のマクロモノマー由来の構成単位の含有量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、HLC−8320GPC ECOSEC)を用いて求めた。具体的には、マクロモノマーをテトラヒドロフランに溶解させた検量線溶液を作製し、それをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、ピーク面積から検量線を作成した。次いで、重合体溶液(反応溶液)をテトラヒドロフランに溶解させたサンプル溶液を作製し、同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した。得られたクロマトグラムのマクロモノマーのピーク面積より重合体溶液中のマクロモノマーの含有量を求め、系中に仕込んだマクロモノマー量に対する割合(重合率)を求めることで、重合体中のマクロモノマー由来の構成単位の含有量を求めた。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定条件は下記の通りである。
−カラム:東ソー社製、TSKgel GMHXL 2本
−展開溶媒:テトラヒドロフラン
−展開溶媒の流量:1.0mL/分
−標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
−カラム温度:40℃
−サンプル濃度:0.5%
−注入量:200μL
(1−4)粘度指数
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)に重合体を希釈し、JIS K 2283(2000)の方法で測定した。粘度指数が268以上の場合を○、268未満の場合を×と評価した。
(1−5)粘度
米国石油協会(API)分類におけるグループIII基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4、粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/s)78質量%と重合体(重合体原料を含む)22質量%からなる溶液を、粘度計(東機産業社製、TVB−10、ローター:SPINDLE No.M3、回転数6rpm)にて25℃で測定した。粘度が5000mPa・s以下の場合を○、5000mPa・sを超える場合を×と評価した。
(1−6)固有粘度
重合体濃度が0.25質量%、0.5質量%、0.75質量%、1.0質量%となるように基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)に希釈した重合体の基油溶液と、基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)について、スタビンガー粘度計(アントンパール社製、SVM(登録商標)3000)を用いて、40℃、60℃、80℃、100℃における動粘度および密度を測定した。重合体の基油溶液の濃度をc(g/dL)、動粘度をη(mm2/s)、基油の動粘度をη0としたとき、各濃度における{(η/η0)−1}/cをプロットして近似直線を計算し、c=0となるときの値を固有粘度[η]として求めた。
(1−7)USV(Ultra Shear Viscometer)粘度
基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)に重合体とパッケージ添加剤(Chevron Oronite社製、OAS−55501)を加えた基油溶液を調製した。基油溶液中のパッケージ添加剤濃度は8.9質量%に調整し、150℃でのUSV粘度が2.30mPa・sとなるように、基油溶液中の重合体濃度を適宜調整した(基油溶液中の重合体濃度は表1を参照)。基油溶液の80℃、100℃、150℃におけるUSV粘度を、USV粘度計(PCS Instruments社製)を用いて、せん断条件106/sで測定した。
(2)重合体の基油溶液の製造例
(2−1)実施例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、水素化ポリブタジエンの片末端水酸基含有重合体(TOTAL社製、Krasol(登録商標)HLBH−5000M)、数平均分子量8200)48.6質量部、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI(登録商標))1.38質量部、テトラオクチルチタネート(マツモトファインケミカル社製)0.1質量部、基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)307.1質量部を仕込み、これを、窒素ガスを導入しつつオイルバスで70℃に加熱しながら30分撹拌を行い、ラウリン酸0.16質量部(和光純薬工業社製)を添加し、さらに30分間加熱撹拌を実施することで、下記に示すマクロモノマーの基油溶液を得た。
Figure 2020105295
次いで、単量体成分として、上記で得られたマクロモノマーの基油溶液を85.7質量部、n−ブチルメタクリレート(BMA)30質量部、イソブチルメタクリレート(IBMA)30質量部、ラウリルメタクリレート/トリデシルメタクリレート混合物(質量比=54/46)(SLMA)23質量部、N−フェニルマレイミド(PMI)5質量部と、基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)157.4質量部と、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)0.015質量部とを反応容器に仕込み、反応容器内に窒素ガスを導入しつつ、撹拌しながら内容物を105℃まで昇温させた。そこに重合開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(和光純薬工業社製、V−40)0.146質量部と基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)1.44質量部とを混合した溶液を添加し、その後6時間の熟成を行った。そこに基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)37.0質量部を加え希釈することで、重合体1の基油溶液(重合体濃度27質量%)を得た。
(2−2)実施例2
実施例1において、SLMA23質量部をステアリルメタクリレート(SMA)18質量部に変更し、さらに単量体成分としてメチルメタクリレート(MMA)5質量部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、重合体2の基油溶液(重合体濃度27質量%)を得た。
(2−3)実施例3
実施例1において、BMA30質量部を35質量部に、SLMA23質量部をSMA18質量部に変更し、熟成後に加える基油量を37.0質量部から66.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、重合体3の基油溶液(重合体濃度25質量%)を得た。
(2−4)実施例4
実施例1において、BMA30質量部を27質量部に、SLMA23質量部をSLMA5質量部とSMA18質量部に、PMI5質量部を8質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、重合体4の基油溶液(重合体濃度27質量%)を得た。
(2−5)実施例5
実施例1において、BMA30質量部を45質量部に、IBMA30質量部を15質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、重合体5の基油溶液(重合体濃度27質量%)を得た。
(2−6)実施例6
実施例1において、マクロモノマーの基油溶液85.7質量部を107.1質量部に、BMA30質量部をMMA2質量部に、IBMA30質量部を60質量部に、SLMA23質量部をSMA18質量部に、反応容器に仕込む基油量を157.4質量部から139.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、重合体6の基油溶液(重合体濃度27質量%)を得た。
(2−7)比較例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、水素化ポリブタジエンの片末端水酸基含有共重合体(TOTAL社製、Krasol(登録商標)HLBH−5000M)、数平均分子量8200)50質量部、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工社製、カレンズMOI(登録商標))1.6質量部、ジブチルスズジラウリレート0.1質量部、トルエン20質量部を仕込み、これを、窒素ガスを導入しつつオイルバスで65℃に加熱しながら6時間撹拌を行った。反応終了後、水50質量部を加えて分液ロートにて上澄み液を回収し、65℃に昇温後、減圧下でトルエンを除去し、表1に示すマクロモノマーを48質量部得た。このようにして得られたマクロモノマーを12質量部、MMA10質量部、BMA52質量部、SMA21質量部、PMI5質量部を反応容器に仕込み、さらに基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)124.2質量部とペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)0.05質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら内容物を105℃まで昇温させた。そこに、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.12質量部と基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)8.2質量部とを混合した溶液を添加するとともに、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)575)0.051質量部を基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)3.4質量部に溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。続いて、そこに基油(SKルブリカンツ社製、YUBASE4)211.3質量部を加え希釈することで、重合体7の基油溶液(重合体濃度22質量%)を得た。
(2−8)比較例2
実施例1において、BMA30質量部を0質量部に、IBMA30質量部を65質量部に、SLMA23質量部をSMA18質量部に変更し、熟成後に加える基油量を37.0質量部から66.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、重合体8の基油溶液(重合体濃度25質量%)を得た。
Figure 2020105295
(3)結果
表1には、実施例と比較例で製造した各重合体の構成単位の組成割合(質量基準)とその分子量、および粘度測定結果を示した。実施例1〜6で製造した重合体の基油溶液、すなわち粘度指数向上剤は、構成単位(A)としてイソブチルメタクリレート由来の単位を15質量%〜60質量%の含有量で含む重合体を含有していたため、粘度指数が270以上と高い値を示すとともに、25℃粘度が570mPa・s以下と低くなり、常温での流動性に優れるものとなった。一方、比較例1で製造した粘度指数向上剤の重合体は、構成単位(A)のイソブチルメタクリレート由来の単位を有しておらず、粘度指数が264と、実施例1〜6の粘度指数向上剤よりも低い値を示した。比較例2で製造した粘度指数向上剤の重合体は、構成単位(A)のイソブチルメタクリレート由来の単位を66質量%と高い含有量で含んでいたため、25℃粘度が5310mPa・sと、実施例1〜6の粘度指数向上剤よりも高い値を示し、ハンドリング性に劣るものとなった。
本発明の粘度指数向上剤は潤滑油組成物として用いることができ、駆動系潤滑油、作動油、エンジン油等に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 分岐状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数3〜6である構成単位(A)を有する重合体を含有する粘度指数向上剤であって、
    前記重合体100質量%中、前記構成単位(A)の含有量が2質量%以上62質量%以下であることを特徴とする粘度指数向上剤。
  2. 前記重合体がさらに、マクロモノマー由来の構成単位(B)を有する請求項1に記載の粘度指数向上剤。
  3. 前記重合体がさらに、直鎖状アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が1〜6である構成単位(C)を有し、
    前記重合体100質量%中、前記構成単位(A)と前記構成単位(C)の合計含有量が40質量%以上75質量%以下である請求項1または2に記載の粘度指数向上剤。
  4. 前記重合体がさらに、アルキル(メタ)アクリレート由来であって該アルキル基の炭素数が7〜40である構成単位(D)を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘度指数向上剤。
  5. 前記重合体がさらに、マレイミド系単量体由来の構成単位(E)を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘度指数向上剤。
  6. 前記重合体の重量平均分子量(Mw)が20万以上70万以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘度指数向上剤。
  7. 下記の方法で測定した粘度が5000mPa・s以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘度指数向上剤。
    (粘度測定方法)
    米国石油協会(API)分類におけるグループIII基油(粘度指数122、40℃動粘度19.6mm2/s)78質量%と、前記重合体22質量%からなる溶液を、粘度計(東機産業社製、TVB−10、ローター:SPINDLE No.M3、回転数6rpm)にて25℃で測定。
  8. 潤滑油基油と、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘度指数向上剤を含有することを特徴とする潤滑油組成物。
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WO2022270342A1 (ja) * 2021-06-21 2022-12-29 三洋化成工業株式会社 粘度指数向上剤、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物

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