JP2016069446A - 粘度指数向上剤、並びに潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い粘度指数と良好なせん断安定性を有し、かつ、基油溶解性と耐金属磨耗性の高いポリメタクリレート系重合体を含有する粘度指数向上剤、並びにポリメタクリレート系粘度指数向上剤を用いた潤滑油組成物を提供する。【解決手段】(a)水酸基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を含有する単量体と、(b)マレイミド系単量体を必須成分として重合してなり、溶解度パラメータが9.10以上10.10以下である重合体を含有する粘度指数向上剤、および潤滑油と該粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、特定の構造を有する粘度指数向上剤、並びにこれを含有する潤滑油組成物に関する。特に、高い粘度指数と良好なせん断安定性を有し、かつ、基油溶解性と耐金属磨耗性の高いポリメタクリレート系重合体を含有する粘度指数向上剤に関する。
近年、内燃機関用潤滑油は省燃費特性の向上が強く求められており、1つの手段として潤滑油の低粘度化による摩擦損失の低減が挙げられている。しかし、単なる低粘度化では液漏れや焼きつきという問題が生じるため、高温での粘度を高く保持しながら低温での粘度を低く保つ効果を有する粘度指数向上剤の添加が有効である。
粘度指数向上剤にはさまざまな種類があるが、中でもアルキル(メタ)アクリレート重合体からなる粘度指数向上剤(以下、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤とも称する)が、高い粘度指数向上効果を示す。一方で、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤は、せん断安定性が悪いため、長期使用時に省燃費特性が低下する(ロングライフ性が悪い)という問題があった。
せん断安定性を改善する手段としては、例えば、粘度指数向上剤の分子量を小さくすることが挙げられる。一般に、低分子量ほどせん断の影響を受けにくく分子量低下幅が小さくなるため、低分子量の粘度指数向上剤を用いることで、せん断後の粘度低下を抑制することが可能である(特許文献1および非特許文献1)。 さらに、耐金属磨耗性の向上を目的として、窒素原子含有単量体を必須構成単量体とする粘度指数向上剤も報告されている(特許文献2)。
しかしながら、一般に低分子量であるほど粘度指数向上効果は低い傾向があるため、低分子量の粘度指数向上剤を用いた場合は、粘度指数は低くなるという課題が発生する。さらに、所望の粘度に調整するためには、粘度指数向上剤の使用量を増やす必要があり、コスト面で不利となりやすい。
さらに、窒素原子含有単量体を必須構成単位として多量に用いた場合、一般の潤滑油基油に溶解させるためには分子量を低くする必要があり、その結果粘度指数が低くなるという課題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い粘度指数と良好なせん断安定性を有し、かつ、潤滑油基油への溶解性と耐金属磨耗性の高い重合体を含有する粘度指数向上剤、並びに該粘度指数向上剤を用いた潤滑油組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、主鎖に環構造を有する特定のポリメタクリレート系重合体を含有する粘度指数向上剤、さらには潤滑油組成物を見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は、(a)水酸基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を含有する単量体と、(b)マレイミド系単量体を必須成分として重合してなり、溶解度パラメータが9.10以上10.10である重合体を含有する粘度指数向上剤、および潤滑油と該粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物である。
該重合体の重量平均分子量(Mw)は10万以上であることが好ましい。
該重合体は、(a)および(b)成分に加え、(c)炭素数が6〜40の脂肪族炭化水素基を有するアルキル(メタ)アクリレート(以下、「(c)成分」と称する)を含んで重合してなる重合体であることが好ましい。
該重合体100質量部に対し、(a)成分由来の単位が0.5質量部以上25質量部未満であることが好ましい。
該重合体100質量部に対し、(b)成分由来の単位が5質量部以上30質量部未満であることが好ましい。
該重合体100質量部に対し、(c)成分由来の単位が50質量部以上94.5質量部未満であることが好ましい。
また、本発明は上記粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物である。
本発明の粘度指数向上剤は、高分子量であっても基油へ十分な溶解性を示すために、従来の潤滑油組成物と比べ粘度指数を向上できる。さらに、せん断安定性および耐金属磨耗性が高いために、耐久性に優れた潤滑油組成物を提供することができる。
以下に本発明を詳述する。これ以降の説明において特に記載がない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
本発明の粘度指数向上剤に使用される重合体は、(a)水酸基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を含有する単量体(以下、「(a)成分」と称する)と、(b)マレイミド系単量体(以下、「(b)成分」と称する)を必須成分として重合してなり、溶解度パラメータが9.10以上10.10以下である重合体である。
本発明の粘度指数向上剤に使用される重合体は、(a)水酸基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を含有する単量体(以下、「(a)成分」と称する)と、(b)マレイミド系単量体(以下、「(b)成分」と称する)を必須成分として重合してなり、溶解度パラメータが9.10以上10.10以下である重合体である。
以下、本発明の粘度指数向上剤に含まれる重合体の合成に用いられる各単量体成分について詳述する。
単量体(a)成分は、水酸基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を含有する単量体である。
単量体(a)成分の具体例としては、例えば、水酸基を含有する単量体として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α―ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のグリセリンモノエステル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、2−ブテン−1,4−ジオール等のアルケノール類、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、多価アルコールのアルケニルエーテル等のヒドロキシアルキルアルケニルエーテル類、ヒドロキシスチレン等の水酸基含有芳香族単量体類、またはこれらの水酸基と片末端の水酸基をエーテル化した(ポリ)オキシアルキレンエーテル類等が挙げられる。
アミド基を含有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモリフォリン等の(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド類等が挙げられる。
アミノ基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル類、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
カルボキシル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、(イソ)クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル等の不飽和ジカルボン酸類またはそのモノエステル等が挙げられる。
これらの単量体のうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、α―ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が、共重合性に優れ、入手性および経済性の面からも好ましい。なお、上記単量体(a)は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
単量体(a)成分の含量は、全単量体成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上25質量部未満、より好ましくは2質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上18質量部以下、特に好ましくは5質量部以上15質量部以下である。上記数値範囲の単量体(a)成分を用いた重合体を含有する粘度指数向上剤は、基油から析出することなく金属磨耗の抑制効果が高い。さらには、スラッジ等の清浄分散性も向上させることができる。
本発明に使用する単量体(b)成分はマレイミド系単量体であり、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で示されるマレイミド系単量体が好ましい。
(式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり、Xは水素原子、炭素数1〜40のアルキル基、シクロアルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基である。)
上記Xの内、置換アルキル基としては、ベンジル基、メチルシクロヘキシル基などの芳香環または脂環を有するアルキル基、2−デシルテトラデシル基などの分岐アルキル基、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、置換アリール基としてはフェニル基、ナフチル基の芳香環の水素が置換されたアリール基が好ましい。
上記Xの内、置換アルキル基としては、ベンジル基、メチルシクロヘキシル基などの芳香環または脂環を有するアルキル基、2−デシルテトラデシル基などの分岐アルキル基、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、置換アリール基としてはフェニル基、ナフチル基の芳香環の水素が置換されたアリール基が好ましい。
単量体(b)成分の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−ターシャリブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシルエチルマレイミド、N−ヒドロキシルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミドなどが挙げられる。これらの中でも入手性や経済性の観点および基油への溶解性が高いことから、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドがより好ましく、N−シクロヘキシルマレイミドがさらに好ましい。なお、上記単量体(b)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)成分の含量は、全単量体成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上35質量部以下、さらに好ましくは2質量部以上35質量部以下、より好ましくは5質量部以上35質量部以下、特に好ましくは5質量部以上30質量部以下である。上記数値範囲の単量体(b)成分を用いた重合体を含有する粘度指数向上剤は、基油への溶解性を確保したまま、せん断安定性を高めることができる。さらには、スラッジ等の清浄分散性の向上や、金属表面の磨耗抑制等の効果が期待される。
本発明の重合体は、単量体(a)成分、(b)成分に加え、さらに(c)炭素数が6〜40の脂肪族炭化水素基を有するアルキル(メタ)アクリレート(以下、「(c)成分」と称する)を含んで重合してなる重合体であるであることが好ましい。(c)成分としては、具体的には、単量体(c)成分としては、下記一般式(2)で表される構造を有し、かつ、式中のR3が水素原子又はメチル基であり、R4が炭素数6〜40のアルキル基、好ましくは6〜24のアルキル基、特に好ましくは12〜24のアルキル基である(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、R4 は直鎖状、環状、分岐状のいずれであっても良く、置換基を有していても良い。
単量体(c)成分は、R3及びR4がそれぞれ単一の単量体であってもよく、R3及び/又はR4が異なる2種以上の単量体の混合物であってもよい。反応性の点から、R3は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
単量体(c)成分の具体例としては、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、入手性や経済性の観点および基油への溶解性が高いことから、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、上記単量体(c)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体(c)成分の含量は、全単量体成分の合計100質量部に対して、好ましくは50質量部以上94.5質量部未満、さらに好ましくは50質量部以上93質量部以下、特に好ましくは50質量部以上90質量部以下である。上記数値範囲の単量体(c)成分を用いた重合体を含む粘度指数向上剤は、種々の組成の基油への溶解性が良好なものとなる。
本発明の重合体に用いられる単量体成分として、(a)、(b)、(c)成分以外のラジカル重合性単量体(d)を含有することができる。上記単量体(d)成分は、ラジカル重合性基を同一分子内に1個有する単官能単量体と、ラジカル重合性基を同一分子内に2個以上有する多官能単量体とに分類できる。
単官能単量体の例としては、(a)成分や(c)成分以外のその他の(メタ)アクリレート類、不飽和モノまたはジカルボン酸エステル類、ビニル芳香族類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、オレフィン類、シアン化ビニル類等が挙げられる。これらの単官能単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(a)成分や(c)成分以外のその他の(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、iso−アミル(メタ)アクリレート、t−アミル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(a)成分や(c)成分以外のその他の不飽和モノまたはジカルボン酸エステル類としては、例えば、ブチルクロトネート、オクチルクロトネート、ジブチルマレエート、ジラウリルマレエート、ジオクチルフマレート、ジステアリルフマレート、等が挙げられる。
(a)成分や(c)成分以外のその他のビニル芳香族化合物類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン等のスチレン系単量体、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
(a)成分や(c)成分以外のその他のビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オクチル酸ビニル等が挙げられる。
(a)成分や(c)成分以外のその他のビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、等が挙げられる。
(a)成分や(c)成分以外のその他のオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−テトラデセン、1−オクタデセン、ジイソブテン等が挙げられる。
(a)成分や(c)成分以外のその他のシアン化ビニル類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらの単官能単量体のうち、少なくともメチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。単官能単量体がメチル(メタ)アクリレートを含有することにより、粘度指数向上効果が大きく、耐熱性およびせん断安定性が高い粘度指数向上剤となる。
ラジカル重合性単量体(d)成分に含まれる単官能単量体由来の単位は、重合体100質量部に対し0質量部以上40質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以上35質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以上30質量部以下である。ラジカル重合性単量体(d)成分に含まれる単官能単量体由来の単位が上記範囲において、他の成分との共重合性が良く、重合速度も良好で重合率も高く生産性が良い。また、共重合して得られる粘度指数向上剤のせん断安定性や基油溶解性がより良好となる
多官能単量体の例としては、多官能(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート類、アリル基含有(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類、多官能ウレタン(メタ)アクリレート類などの多官能(メタ)アクリル系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル、多官能アリル系化合物、多官能芳香族ビニルなどが挙げられる。なお、上記多官能単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多官能単量体の例としては、多官能(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート類、アリル基含有(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類、多官能ウレタン(メタ)アクリレート類などの多官能(メタ)アクリル系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル、多官能アリル系化合物、多官能芳香族ビニルなどが挙げられる。なお、上記多官能単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多官能(メタ)アクリレート類としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2,2’−〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリル酸、ジアルキル−2,2’−〔オキシビス(メチレン)〕ビス−2−プロペノエートなどが挙げられる。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。
アリル基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、α―アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類としては、例えば、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとの反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能マレイミド系化合物類としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサンなどが挙げられる。
多官能ビニルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
多官能アリル系化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテルなどの多官能アリルエーテル;トリアリルイソシアヌレートなどの多官能アリル基含有イソシアヌレート;フタル酸ジアリル、ジフェン酸ジアリルなどの多官能アリルエステル;ビスアリルナジイミド化合物など;ビスアリルナジイミド化合物などが挙げられる。
多官能芳香族ビニル類としては、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ラジカル重合性単量体(d)成分に含まれる多官能単量体由来の単位は、重合体100質量部に対し0質量部以上5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0質量部以上3質量部以下であり、さらに好ましくは0質量部以上2質量部以下である。この場合、重合体が分岐構造などをとることにより、基油への溶解性を大きく損ねることなく、該重合体を含有する粘度指数向上剤のせん断安定性を改善することができる。
ただし、2,2’−〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリル酸、ジアルキル−2,2’−〔オキシビス(メチレン)〕ビス−2−プロペノエート、α―アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−デシルテトラデシルのように、環化しながら重合が進行する多官能単量体の場合は、重合体100質量部に対し0質量部以上30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0質量部以上25質量部以下であり、さらに好ましくは0質量部以上20質量部以下である。この場合、主鎖に導入される環構造の効果により、該重合体を含有する粘度指数向上剤の耐熱性が向上するとともに、せん断安定性を改善することができる。
多官能単量体由来の単位が上記範囲を超えると、重合時にゲル化が進行したり、該重合体を含有する粘度指数向上剤の基油への溶解度が低下したりする場合がある。
上記単量体成分の重合方法は、たとえば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などいずれでもよいが、特に限定はされない。分散媒、乳化剤、分散剤等を使用する場合は、特に制限がなく公知のものが使用できる。
重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合開始剤・重合触媒の種類や量等の重合条件に応じて適宜設定すればよいが、重合体の溶解度を確保する観点、および重合後に基油への溶媒置換が容易である観点から、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランが好ましい。また、後述する潤滑油基油も溶媒として好適に用いることができる。この場合、重合後の溶媒置換が不要となり、プロセスが簡略化されるため、より好ましい。これら溶媒は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量は特に制限はないが、重量平均分子量が10万以上の重合体を得る観点から、単量体成分、重合開始剤、その他の成分の合計量の濃度が、全体の40質量%以上100質量%以下となる程度が好ましい。
本発明の粘度指数向上剤に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)は好ましくは10万以上であり、より好ましくは20万以上60万以下であり、さらに好ましくは25万を超えて60万以下であり、特に好ましくは27万以上55万以下である。重合体の重量平均分子量が上記下限値に満たない場合は、潤滑油組成物の粘度指数が低くなるだけでなく、所望の粘度に調整するために粘度指数向上剤の使用量を増やす必要があり、コスト面で不利となる。重合体の重量平均分子量が過度に大きい場合は、粘度指数向上剤の基油への溶解性が不足したり潤滑油組成物のせん断安定性が低下したりする傾向がある。なお、本発明における重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法にて測定した値である。
分子量の制御方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、重合開始剤・重合触媒の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整などにより制御できる。
重合開始剤や重合触媒としては、熱または光ラジカル重合開始剤、熱または光ラジカル重合促進剤、光増感剤等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤として多官能開始剤を用いる場合、重合体が星型構造や架橋構造をとるために、該重合体を含有する粘度指数向上剤のせん断安定性を改善することができる。
上記ラジカル重合開始剤の添加量総量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重合性、分解物の悪影響、経済性のバランスを考慮し、さらに基油溶解性が高い重量平均分子量が10万以上の重合体を含有する粘度指数向上剤を得るためには、単量体成分100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下、好ましくは0.02質量部以上5質量部以下、さらに好ましくは0.05質量部以上2質量部以下である。
上記熱ラジカル重合促進剤、光増感剤、光ラジカル重合促進剤の添加量総量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、分子量調整、重合性、分解物の悪影響、経済性のバランスの点から、単量体成分100質量部に対して0.02質量部以上10質量部以下、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。
上記単量体成分をラジカル重合機構により重合する場合、必要に応じて、公知の連鎖移動剤を使用してもよく、ラジカル重合開始剤と併用するのがより好ましい。
上記連鎖移動剤として多官能連鎖移動剤を用いる場合、重合体が星型構造や架橋構造をとるために、該重合体を含有する粘度指数向上剤のせん断安定性を改善することができる。
上記ラジカル重合機構における連鎖移動剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、基油溶解性が高い重量平均分子量が10万以上の重合体を含有する粘度指数向上剤を得るには、単量体成分100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.05質量部以上2質量部以下がさらに好ましい。この範囲とすることで、分子量分布が狭くなり、せん断安定性を向上できる。
分子量分布を狭くすることは、粘度指数の改善やせん断安定性改善の観点から非常に有利であるため、重合方法としてはLiving Radical Polymerizationも使用できる。具体的な方法としては、RAFT法やNMP法、ATRP法などが有名である。詳細については、Aldrich Material Matters Volume5,Number1,2010に概説されている。使用例としては、例えばRAFT法の場合、特開2012−197399号において、重合開始剤として2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル、重合触媒として、ジチオ安息香酸クミルが用いられている。
上記単量体成分を重合する際の重合温度としては、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合開始剤・重合触媒の種類や量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、0℃以上200℃以下が好ましく、25℃〜150℃が特に好ましい。重合温度が0℃未満であると、重合反応が非常に遅くなり、200℃を超えると反応が激しく制御が困難となるため、いずれも好ましくない。
また、本発明は、溶解度パラメータ(SP値)が9.10以上成分10.10以下である重合体を有する粘度指数向上剤である。SP値は9.12以上10.00以下が好ましく、9.15以上9.90以下がより好ましく、9.15以上9.85以下がさらに好ましい。SP値が9.10未満では粘度指数向上能に乏しく、10.10を超えると基油への溶解性が不足するために好ましくない。なお、SP値は後述のFedersによる方法で求めた値である。
前記潤滑油基油としては、鉱油系基油又は合成系基油を好適に挙げることができる。基油の好ましい具体例としては、以下に示す基油(1)〜(7)を原料とし、この原料油及び/又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。また(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(8)が特に好ましい。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)〜(2)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸残渣油の脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)〜(6)から選ばれる2種以上の混合油。
を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油
(8)上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)〜(2)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸残渣油の脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)〜(6)から選ばれる2種以上の混合油。
を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油
(8)上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
また、合成系基油としては、ポリα−オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられ、中でも、ポリα−オレフィンが好ましい。ポリα−オレフィンとしては、典型的には、炭素数2〜32、好ましくは6〜16のα−オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1−オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水素化物が挙げられる。合成系基油の100℃における動粘度は、1〜20mm2/sであることが好ましい。
本発明の粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果とせん断安定性を高いレベルで両立できる。せん断安定性の具体的数値としてPSSI(パーマネントシアスタビリティインデックス:ASTM D 6022)またはそれに類似のせん断前後の粘度変化を表すパラメータや分解開始温度が指標となる。PSSIに類似のせん断前後の粘度変化を表すパラメータの例としては、実施例に示すSSIを用いることができる。
この粘度指数向上剤のSSIは、40以下であることが好ましく、より好ましくは35以下であり、さらに好ましくは30以下であり、特に好ましくは25以下である。また、上記SSIは、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは2以上であり、特に好ましくは5以上である。SSIが0.1未満の場合には粘度指数向上効果が小さくコストが上昇するおそれがあり、SSIが40を超える場合にはせん断安定性や貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
本実施形態に係る粘度指数向上剤は、上述した重合体を主成分として含み、好ましくは本発明の粘度指数向上剤に対して70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは99質量%以上、100質量%以下として含有する。
本発明は、上記本発明の粘度指数向上剤を含む、潤滑油組成物でもある。本発明の潤滑油組成物の粘度指数は、200以上400以下であることが好ましく、230以上300以下であることがより好ましい。粘度指数が上記の範囲内であれば、省燃費性と熱・酸化安定性、貯蔵安定性に優れる。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基油と、上述した本発明の粘度指数向上剤を必須成分として含有する。さらに好ましくは流動点降下剤、摩耗防止剤、金属系清浄分散剤、無灰清浄分散剤、酸化防止剤、腐食防止剤、泡消剤及び摩擦調整剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。
本実施形態に係る潤滑油基油としては、上述した重合体の反応溶媒として述べた基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について上述の処理を行うことにより得られる基油(8)が特に好ましい。
また、本実施形態に係る潤滑油基油として上述の合成系基油を用いても良い。
本実施形態に係る潤滑油基油の粘度指数は、100以上であることが好ましく、より好ましくは120〜160である。粘度指数が上記の下限値未満であると、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、揮発防止性が悪化するだけでなく、摩擦係数が上昇する傾向にあり、また、摩耗防止性が低下する傾向にある。また、粘度指数が上記の上限値を超えると、低温粘度特性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本実施形態に係る潤滑油基油の粘度指数は、100以上であることが好ましく、より好ましくは120〜160である。粘度指数が上記の下限値未満であると、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、揮発防止性が悪化するだけでなく、摩擦係数が上昇する傾向にあり、また、摩耗防止性が低下する傾向にある。また、粘度指数が上記の上限値を超えると、低温粘度特性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本実施形態に係る潤滑油組成物においては、上記本実施形態に係る潤滑油基油を単独で用いてもよく、また、本実施形態に係る潤滑油基油を他の基油の1種又は2種以上と併用してもよい。なお、本実施形態に係る潤滑油基油と他の基油とを併用する場合、それらの混合基油中に占める上記潤滑油基油(8)の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
本実施形態に係る潤滑油組成物において、上述した本発明の粘度指数向上剤の含有量は、潤滑油組成物の全量を基準として、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
流動点降下剤としては、潤滑油に用いられる任意の流動点降下剤が使用できる。例えば、ポリメタクリレート類、ナフタレン−塩素化パラフィン縮合生成物、フェノール−塩素化パラフィン縮合生成物などが挙げられる。これらの中ではポリメタクリレート類の添加が好ましい。
摩耗防止剤(又は極圧剤)としては、潤滑油に用いられる任意の摩耗防止剤・極圧剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、MoDTC、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。これらの中では硫黄系極圧剤の添加が好ましく、特に硫化油脂が好ましい。
金属系清浄分散剤としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート等の正塩又は塩基性塩を挙げることができる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、特にカルシウムがより好ましい。
無灰清浄分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰清浄分散剤が使用でき、例えば、炭素数40〜400の直鎖もしくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノ又はビスコハク酸イミド、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいは炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはこれらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物等が挙げられる。
泡消剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm2/sのシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
摩擦調整剤としては、モリブデンジチオカーバメートやモリブデンジチオフォスフェートなどのコハク酸イミドモリブデン錯体や有機モリブデン酸のアミン塩等の有機モリブデン化合物のほか、基本構造として炭素数8以上30以下の直鎖アルキルと金属に吸着できる極性基を同じ分子内にもつ構造のものが挙げられる。極性基としては、アミンやポリアミン、アミドや、これらを同時に分子内に持つ、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、ウレア系化合物、ヒドラジド系化合物等尿素やアルケニルコハク酸イミドタイプ、エステル、アルコールやジオール、あるいはエステルと水酸基を同時にもつ、例えばモノアルキルグリセリンエステルなどが挙げられる。そのほかアミンと水酸基とを同じ分子内に持つ、たとえばアルキルアミンアフコシキアルコール等など様々である。
本実施形態に係る潤滑油組成物が流動点降下剤、摩耗防止剤、金属系清浄分散剤、無灰清浄分散剤、酸化防止剤、さび止め剤、泡消剤及び摩擦調整剤の1種又は2種以上を含有する場合、それぞれの含有量は、潤滑油組成物の全量を基準として、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、本実施形態に係る潤滑油組成物が消泡剤を含有する場合、その含有量は、好ましくは0.0001質量%以上0.01質量%以下である。
また、本実施形態に係る潤滑油組成物は、上記の成分に加えて、本発明の重合体以外の粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、さび止め剤、抗乳化剤、金属不活性化剤等をさらに含有することができる。
先の実施形態に係る本発明の重合体以外の粘度指数向上剤は、具体的には非分散型又は分散型エステル基含有粘度指数向上剤であり、例として非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、非分散型又は分散型オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。特に非分散型又は分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。その他に、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体及びポリアルキルスチレン等を挙げることができる。
さび止め剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%および部は質量%および質量部を表す。
(実施例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、メチルメタクリレート(MMA)20質量部、ステアリルメタクリレート(StMA)70質量部、N−フェニルマレイミド(PMI)5質量部、α―ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(MHMA)5質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、およびトルエン0.46質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。次に、トルエン10.5質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.205質量部を溶解させた溶液を4時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させた。滴下終了30分後にトルエン13.5質量部を加え、さらに2.5時間の熟成を行った。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、メチルメタクリレート(MMA)20質量部、ステアリルメタクリレート(StMA)70質量部、N−フェニルマレイミド(PMI)5質量部、α―ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(MHMA)5質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、およびトルエン0.46質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。次に、トルエン10.5質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.205質量部を溶解させた溶液を4時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させた。滴下終了30分後にトルエン13.5質量部を加え、さらに2.5時間の熟成を行った。
続いて、冷却管を冷却管および溜出液受器につなげたトの字管に取替え、基油(粘度指数130)233質量部を反応容器に投入した。バス温を150℃まで昇温した後、真空ポンプを用いて徐々に減圧し、トルエンを除去した。内温が142℃に到達してから30分後に解圧・冷却し、重合体の基油溶液(重合体濃度30質量%)を得た。
重合体に関する分析および評価を、以下の方法で行った。結果を表1に示す。
(SP値の計算)
SP値(溶解度パラメータ)については、アクセルリス株式会社製のMaterials Studio R Ver.6.1 MS−Synthiaモジュールを用いて計算することができる。まず、モノマー構造を作成し、繰り返し構造を定義する。定義したモノマー構造を用いてMS−Synthiaモジュールで高分子物性(溶解度パラメーター等)を計算する。MS−Synthiaモジュールは定量的構造物性相関(QSPR:Quantitave Structure Property Relationships)を用いることにより高分子の物性を計算できるソフトウェアであり、グラフ理論から得られる結合性指数を用いてモノマー構造から高分子の物性を計算することができる。詳細な理論は、以下の文献1に記載されている。今回は、MS−Synthiaで計算できるBiceranoが改良したFedors法とvan Krevelen法のSP値(溶解度パラメータ)のうち、Fedes法の値を使用した。
SP値(溶解度パラメータ)については、アクセルリス株式会社製のMaterials Studio R Ver.6.1 MS−Synthiaモジュールを用いて計算することができる。まず、モノマー構造を作成し、繰り返し構造を定義する。定義したモノマー構造を用いてMS−Synthiaモジュールで高分子物性(溶解度パラメーター等)を計算する。MS−Synthiaモジュールは定量的構造物性相関(QSPR:Quantitave Structure Property Relationships)を用いることにより高分子の物性を計算できるソフトウェアであり、グラフ理論から得られる結合性指数を用いてモノマー構造から高分子の物性を計算することができる。詳細な理論は、以下の文献1に記載されている。今回は、MS−Synthiaで計算できるBiceranoが改良したFedors法とvan Krevelen法のSP値(溶解度パラメータ)のうち、Fedes法の値を使用した。
<文献1>
タイトル:「Prediction of Polymer Properties,Third Edition」
著者:Jozef Bicerano
出版元:Marcel Dekker Ink.,New York
Copyright:2002
(重量平均分子量)
システム:東ソー製GPCシステム HLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム:東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L
・分離カラム:東ソー製、TSKgel SuperHZM−M
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー製、TSKgel SuperH−RC
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
(基油溶解性)
重合体濃度が30質量%の基油溶液について、以下の基準に従い、○または×の判定を行った。
○:25℃において、目視で完全に溶解し溶液が透明となる。
×:25℃において、目視で溶け残りが確認される、または溶液が白濁する。
タイトル:「Prediction of Polymer Properties,Third Edition」
著者:Jozef Bicerano
出版元:Marcel Dekker Ink.,New York
Copyright:2002
(重量平均分子量)
システム:東ソー製GPCシステム HLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム:東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L
・分離カラム:東ソー製、TSKgel SuperHZM−M
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー製、TSKgel SuperH−RC
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
(基油溶解性)
重合体濃度が30質量%の基油溶液について、以下の基準に従い、○または×の判定を行った。
○:25℃において、目視で完全に溶解し溶液が透明となる。
×:25℃において、目視で溶け残りが確認される、または溶液が白濁する。
(粘度指数)
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように、基油(粘度指数:130)に重合体を希釈し、JIS K2283の方法で測定した。粘度指数が、200以上の場合を○、200未満の場合を×とした。
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように、基油(粘度指数:130)に重合体を希釈し、JIS K2283の方法で測定した。粘度指数が、200以上の場合を○、200未満の場合を×とした。
(せん断安定性)
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように、基油(粘度指数:130)に重合体を希釈し、以下の条件で超音波を照射した。
装置:Hielscher Ultrasonics製 UP400S
設定:Amplitude=70%、Cycle=1
時間:5分
温度:100℃
せん断前後および基油の100℃における動粘度を測定し、SSI={1−(せん断後の動粘度−基油の動粘度)/(せん断前の動粘度−基油の動粘度)}*100の式で計算される値が、25未満である場合を○、25以上である場合を×とした。
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように、基油(粘度指数:130)に重合体を希釈し、以下の条件で超音波を照射した。
装置:Hielscher Ultrasonics製 UP400S
設定:Amplitude=70%、Cycle=1
時間:5分
温度:100℃
せん断前後および基油の100℃における動粘度を測定し、SSI={1−(せん断後の動粘度−基油の動粘度)/(せん断前の動粘度−基油の動粘度)}*100の式で計算される値が、25未満である場合を○、25以上である場合を×とした。
(耐金属磨耗性)
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように、基油(粘度指数:130)に重合体を希釈し、フレッチング摩擦試験機(SRV3:オプチモール製)のボールオンディスクでボールの磨耗痕径を測定した。磨耗痕径が0.5mm未満の場合を○、0.5mm以上の場合を×とした。
ボール:直径10mm
ディスク:直径24mm、厚さ8mm
荷重:200N
ストローク幅:4mm
振動数:60Hz
試験時間:10分間
磨耗痕径:ボールの磨耗痕の縦と横の平均値
(実施例2)
MMA20質量部を25質量部に、StMA70質量部を60質量部に、およびPMI5質量部を10質量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
100℃における動粘度が7.0mm2/sとなるように、基油(粘度指数:130)に重合体を希釈し、フレッチング摩擦試験機(SRV3:オプチモール製)のボールオンディスクでボールの磨耗痕径を測定した。磨耗痕径が0.5mm未満の場合を○、0.5mm以上の場合を×とした。
ボール:直径10mm
ディスク:直径24mm、厚さ8mm
荷重:200N
ストローク幅:4mm
振動数:60Hz
試験時間:10分間
磨耗痕径:ボールの磨耗痕の縦と横の平均値
(実施例2)
MMA20質量部を25質量部に、StMA70質量部を60質量部に、およびPMI5質量部を10質量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、MMA15質量部、StMA60質量部、PMI10質量部、α―ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(MHMA)15質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、およびトルエン16.6質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。次に、トルエン0.46質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.026質量部を溶解させた溶液を加え、その5分後にトルエン20.5質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.205質量部を溶解させた溶液を4時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させた。滴下終了さらに3時間の熟成を行った。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、MMA15質量部、StMA60質量部、PMI10質量部、α―ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(MHMA)15質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、およびトルエン16.6質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。次に、トルエン0.46質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.026質量部を溶解させた溶液を加え、その5分後にトルエン20.5質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.205質量部を溶解させた溶液を4時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させた。滴下終了さらに3時間の熟成を行った。
続いて、冷却管を冷却管および溜出液受器につなげたトの字管に取替え、基油(粘度指数130)233質量部を反応容器に投入した。バス温を150℃まで昇温した後、真空ポンプを用いて徐々に減圧し、トルエンを除去した。内温が142℃に到達してから30分後に解圧・冷却し、重合体の基油溶液(重合体濃度30質量%)を得た。
(実施例4)
MHMA5質量部をN−ビニルピロリドン(VP)5質量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
MHMA5質量部をN−ビニルピロリドン(VP)5質量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
PMI5質量部をN−シクロヘキシルマレイミド(CMI)5質量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
PMI5質量部をN−シクロヘキシルマレイミド(CMI)5質量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
MMA25質量部を40質量部に、PMI10質量部を0質量部に、およびMHMA5質量部を0質量部に変更した以外は実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
MMA25質量部を40質量部に、PMI10質量部を0質量部に、およびMHMA5質量部を0質量部に変更した以外は実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
MMA25質量部を5質量部に、およびMHMA5質量部を25質量部に変更した以外は実施例3と同様の操作を行った。基油溶液は全体が白濁していたため、以降の評価を実施できなかった。結果を表1に示す。
MMA25質量部を5質量部に、およびMHMA5質量部を25質量部に変更した以外は実施例3と同様の操作を行った。基油溶液は全体が白濁していたため、以降の評価を実施できなかった。結果を表1に示す。
実施例で得られる重合体は、いずれも(a)成分および(b)成分を重合してなる重合体であるために、粘度指数向上剤として用いた場合に粘度指数およびせん断安定性が高いだけでなく、耐金属磨耗性にも優れる粘度指数向上剤が得られた。また、SP値を特定の範囲に調整することで、高分子量でありながら基油への溶解性が高い粘度指数向上剤となった。
本発明の重合体を含有する粘度指数向上剤を使用した潤滑油組成物は、従来の潤滑油組成物に比べて、基油溶解性を犠牲にすることなく、耐金属磨耗性とせん断安定性が改良でき、かつ、粘度指数が同程度に高いことから、今後の自動車の省燃費性およびロングライフ性の要求に対応できるため、駆動系潤滑油、作動油、エンジン油に好適に用いることができる。
Claims (7)
- (a)水酸基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を含有する単量体(以下、「(a)成分」と称する)と、(b)マレイミド系単量体(以下、「(b)成分」と称する)を必須成分として重合してなり、溶解度パラメータが9.10以上10.10以下である重合体を含有する粘度指数向上剤。
- 該重合体の重量平均分子量(Mw)が10万以上である請求項1に記載の粘度指数向上剤。
- 該重合体が、さらに(c)炭素数が6〜40の脂肪族炭化水素基を有するアルキル(メタ)アクリレート(以下、「(c)成分」と称する)を含んで重合してなる重合体である請求項1または2に記載の粘度指数向上剤。
- 該重合体100質量部に対し、(a)成分由来の単位が0.5質量部以上25質量部未満である請求項1〜3のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
- 該重合体100質量部に対し、(b)成分由来の単位が5質量部以上30質量部以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
- 該重合体100質量部に対し、(c)成分由来の単位が50質量部以上94.5質量部以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
- 潤滑油基油と、請求項1〜6のいずれかに記載の粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物。
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2014
- 2014-09-29 JP JP2014198088A patent/JP2016069446A/ja active Pending
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