JP2020056119A - エアレイド不織布及びその製法 - Google Patents

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【課題】濾過性能を向上する凹凸形状を有するエアレイド不織布を提供する。【解決手段】エアレイド不織布は、シート本体(7)の一方の主面(7a)に互いに隣接して交互に設けられた多数の谷面(3)及び***面(4)と、谷面(3)を有しシート本体(7)を構成する凹部(1)と、***面(4)を有し凹部(1)と一体にシート本体(7)を構成する凸部(2)とを備える。***面(4)は、***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出する突毛繊維(5)とを有する。これにより、傾斜面の濾過を促進し、凹凸形状の表面全体で均一な濾過を実現する。【選択図】図2

Description

本発明は、(1)生理用品、紙おむつ、その他の吸収性物品、(2)対人ワイパー、対物ワイパー、(3)ドリップ吸収シート(生鮮食品類敷物)、(4)高通気性を有する包装材、緩衝材、(5)ガス吸着用の吸着性シート、芳香剤に使用する揮散体、(6)フィルター、水切り袋、お茶パック、コーヒーフィルター、(7)灰汁取りシート、に使用される立体模様を有するエアレイド不織布及びその製法に関する。特に、気体又は液体フィルター用のエアレイド不織布及びその製法に関する。
人体から排出される液体を吸収する吸収性物品は、一般に、液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、及びトップシートとバックシートとの間の吸収体とを備える。吸収性物品は、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキンに代表され、人体からの尿、経血、オリモノ等の排出物をできるだけ多く速やかに横漏れなく吸収保持でき、薄く軽い性能が要求される。
本性能を満足させるために、着用者からの排出液体がトップシートを通過し吸収層に吸収保持される過程の迅速な液体搬送と拡散性の改良が不可欠である。一般的な吸収性物品では、排出物がトップシートの略同一部分に滴下又は流入が繰り返される。このため、吸収層の一定部分に吸収が集中し吸収が飽和し易い。また、滴下された液体は、縦横比が略等しいため、長手方向全体に拡散する前に横方向に飽和する。吸収層の一部しか使用しない状態でも、トップシートから横漏れし易く、結果として吸収層を厚くし、幅を広げなければ、吸収量を確保できない。
吸収の一定部分集中を避けるため、特許文献1は、熱融着繊維及びパルプからなるエアレイド不織布に熱圧エンボスをかけ、複数の線状(筋状)の高密度領域を有する液拡散シートを提案する。液拡散シートにより、迅速な液体の透過と拡散性を改良でき、特にタテ筋状は長手方向の縁部分での横漏れを防ぐ。しかし、局部的な高密度化により、シートが硬く肌触りが良くない。
特許文献2では、繊維ウェブを形成するマット形成車輪にパターンを付与し、形成された凸部のウェブを削って繊維ウェブの分離体を形成し、これを衛生ナプキン等の吸収物品に使用する。しかし、本繊維ウェブは、切削部位が極めて薄く又は空隙を生じ、強度が弱く取り扱いが難しい。
特許文献3は、凹凸パターン化した流体透過性織物を使い、エアレイド法等で吸収性物品に用いる繊維ウェブを形成する方法を提案する。本繊維ウェブは、両面に凹凸パターンが付与されるが、品質上の特徴、効果の記載がない。しかも、特許文献3の繊維ウェブは、両面に凹凸があり、肌に接触する側の反対面にも凹凸が存在するので、吸収層への液体移行が遅い。
特許文献4では、エアレイド不織布を製造する際に、繊維捕集ネット上に合成樹脂の突起を設け、この上に短繊維を積層することにより、同特許文献の図1のように、多数の凹凸を有するエアレイド不織布が得られる。しかし、エアレイド不織布の凸部は頂部を備えず、必然的に平坦な凸部上面と凹状傾斜面とを有する。平坦な凸部上面は比較的大面積のため、人体の皮膚との接触部分が大きく、不快感を有し、当該不織布シートに保持される経血が直接人体に触れる問題がある。また、特許文献4では、吸収性物質、ドリップ吸収体、ワイパーの利用可能性を企図するが、オイルミスト除去等のフィルター材料用途の記載は無い。
一方、不織布シートでは、製造する際、用途に応じて短繊維の径、種類、繊維長を自由に選択し、特定のシート厚、密度、空隙率を有する不織布シートを製造することができる。また、不織布シートは、柔軟性、加工性に優れ、変性せず、安価かつ軽量で運搬効率が良く、無毒で安全性が高いため、フィルター材料として使用されている。例えば、気体用フィルターとして、浮遊物質を捕捉し室内の空気を清浄化する空気清浄機用及びエアコン用のフィルター、クリーンルーム等の無菌空間の微細な埃を除去する空調設備用のフィルター、防塵マスク用のフィルター、塵芥を捕捉する集塵用又は掃除機用フィルター、家庭台所、厨房、工場で使用された油が霧化して空中に舞うオイルミストを捕捉する換気扇用フィルター等に使用される。
特許文献5は、多層繊維構造体の不織布であって、熱圧着により表面がエンボス加工されて凹部が形成され、底部より上開口部が大きく、凹部の側面に接する接線と底部とのなす角度が140〜170°であるフィルター濾材を開示する。凹部は、多数の円錐台形状凸部を設けたエンボスロールにより、スパンボンド不織布を熱圧着して形成される。傾斜面を有する。
特許文献5のフィルター濾材60の部分断面形状を図14に示す。フィルター濾材60は、一方の主面に多数の凹面53を有する凹部51と、凹面53に隣接する多数の凸面54を有する凸部52とを備え、凸面54は傾斜面54aを有する。しかしながら、熱圧着して形成されたフィルター濾材60は繊維密度が全体的に高く、特に、エンボス加工により、凸部52に比べ凹部51の繊維密度は極めて高い。また、加熱ロールが直接当たる濾材表面の温度は、内部に比べて高温であり、表面繊維の溶融割合が大きく表面空隙の閉塞率が高い。このため、図15の通り、流体を流した表面に捕集物59が堆積し易く圧力損失が早期に上昇する。
また、フィルター濾材60は、圧縮した表面は平滑で繊維の突出又は毛羽立ちが無いため、流体が傾斜面54aで抵抗無く流動58aし、傾斜面54aでの濾過量に比べ凹面53での濾過量が極めて多く、図15のように捕集物59が凹面53底部に大量に蓄積する。また、被処理流体中の埃、塵、髪の毛等の浮遊物が引っ掛かり難い。更に、圧縮形成したフィルター濾材60では、高密度の繊維を含むため、用途に合った寸法に手作業で切断することは難しく、濾材60に定規を当て、鋏、カッター等を用いた切断を要する。
また、不織布シートは、例えば、飲料、液体食品、調味料、浄水、下水、工業排水等の濾過装置、家庭用浄水器、ティーパック等の液体用フィルターにも使用される。特許文献6は、エンボス加工された不織布のコーヒードリップ用フィルターを示す。表面に凹凸を有するエンボスロールにより、エンボス部を不織布全体に略均等に分散形成し、不織布に強度を持たせる。しかしながら、本フィルターは、引用文献5同様に、エンボス加工によりフィルター表面が圧縮されているため、目詰まりが生じ易く、圧力上昇が早期に起こる。特に、平面形状の凹部底面には、捕集物が大量に蓄積される。
加圧エンボス加工をせず表面の空隙率が高い不織布としてエアレイド不織布が知られる。エアレイド不織布は、熱接着性繊維を重力又は吸引力によりワイヤ上に積層させ、加熱してシートが形成される。特許文献7は、複数の穴部が平面全体に設けられた基材不織布の片側面に、エアレイド不織布層が配設されたエアフィルターを示す。しかしながら、特許文献7は、濾過面に凹凸が無く平面であるため濾過面積が小さい。また、フィルターに引火したとき、凹凸が無いと延焼速度が早く、構造上、延焼を停止又は遅延できず、厨房等の換気扇用途には好ましくない。
特許文献8は、不織布繊維ウェブの主表面から延びる複数の非中空の突起部と、それぞれ隣接する突起部間に形成された複数の実質的に平坦なランド領域とを備えるパターン付きエアレイド不織布繊維ウェブを示す。即ち、図16の断面形状に示すエアレイド不織布繊維ウェブ70は、突起部としての凸部62と、ランド領域としての凹部61とを備える立体形状を有する。しかしながら、エアレイド不織布繊維ウェブ70のシート面と略直角方向に流体を矢印68の方向に流す場合、不織布繊維の厚みが薄く抵抗が小さい凹部61の入口の凹面63から流体がウェブ70内部に導入され68a、流れに略平行に設けられた垂直面64aでは、濾過量が極めて小さい。垂直面64aから殆ど濾過されない本構造では、全表面を均一利用した効率的な濾過ができず、また、ウェブ70全体積を利用した濾過ができず立体形状のメリットが生かされていない。即ち、垂直面64a及びその内部は、濾過流路として殆ど機能していない。また、濾過が凹面(底面)63に集中して捕集物69による局部的な閉塞が生じ、また、図16のように、凹面63から濾過厚が肉薄の凹部61を通じて、捕集物69がウェブ70から流出69aするおそれがある。更に、図16のウェブ70では、大面積かつ平面状の凸部上面64にて流れ68を均一分散又は分配できず、頂部を有さない本構造では捕集物が凸部上面64上に集中して積層するおそれもある。
また、フィルター用途の記載は無いが頂部を備えずかつ平坦な凸部上面を有する特許文献4の不織布を、フィルター材料に使用した場合でも同様に、流体を全体に万遍なく分散できないため、平坦な凸部上面に捕集物が堆積集中し堆積後は内部への流体導入量が著しく減少すると考えられる。通常、フィルター表面に捕集物が堆積し閉塞した場合、フィルターを交換するが、交換せずに、表面から捕集物を除去して再利用する技術は従来存在しない。また、凹凸を有するフィルターでは、肉薄の凹部に比べ凸部の濾過容積が大きく抵抗が大きいため、濾過容積を出来る限り均一化するフィルターが望まれる。更に、被処理流体中に多種多様の形状、寸法、質量、性質の物質を含む場合、単一層の不織布フィルターでは処理しきれない。
特開2003−235894号公報 特開2003−38567号公報 特開2002−30561号公報 特許第5024833号公報 特開2011−88349号公報 特開2017−225589号公報 特開2014−121693号公報 特開2013−538297号公報
本発明は、濾過性能を向上する凹凸立体形状を有するエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。また、凸部の形状及び凸面の表面状態を改善し優れた濾過性能を持続できるエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。捕集物による目詰まりを抑制しかつ濾過面全体及び濾材体積全体で均一な処理を実行して濾過量を長期間維持できる気体用又は液体用のエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。引火による延焼を停止又は遅延させるエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。オイルミストを有効に除去できるエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。多種多様の物質を含む被処理流体を処理できるエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。
本発明は、凹凸を有するエアレイド不織布であって、個々の凸部の人体への接触面積が小さく、高い液体透過性を有し、人体からの排出液のより効率的な処理が可能で、また、排出液の逆戻りを改良し、皮膚への接触面積を低下させることにより、皮膚への快適性を改良した、生理用品、生理ナプキン、紙おむつ及びその他の吸収性物品に使用される立体模様を有するエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。また、対人ワイパー、対物ワイパー、ドリップ吸収シート、高通気性を有する各種包装材、緩衝材、吸着性シート、芳香剤等の揮散体、エアフィルター、水切り袋、お茶パック、コーヒーフィルター、灰汁取りシート等に使用される立体模様を有するエアレイド不織布及びその製法を提供することを目的とする。
本発明のエアレイド不織布は、熱接着性繊維から形成された短繊維を含むシート本体(7)と、シート本体(7)の一方の主面(7a)に互いに隣接して交互に設けられた多数の谷面(3)及び***面(4)と、谷面(3)を有しシート本体(7)を構成する凹部(1)と、***面(4)を有し凹部(1)と一体にシート本体(7)を構成する凸部(2)とを備え、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比が1:0.8〜1.2である。***面(4)は、***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出する突毛繊維(5)とを有する。
傾斜面が圧縮されて突毛繊維の無い平滑な従来の不織布シートに比べて、本発明のエアレイド不織布は、***面(4)の傾斜面(テーパ面)(4a)から突毛繊維(5)が不規則に突出するため、傾斜面(4a)に沿って流体(8)が流動するとき、傾斜面(4a)に毛羽立つ突毛繊維(5)が抵抗体となり、流体(8)の流動が部分的に妨げられる。これにより、流体(8)の一部(8a)は、突毛繊維(5)に沿って傾斜面(4a)からシート本体(7)の内部に浸入する。同時に、傾斜面(4a)及びシート本体(7)内部の短繊維により、流体(8)が濾過されて、流体(8)中の固体成分を捕捉することができる。シート本体(7)に浸入しない流体(8)の残部(8b)は、傾斜面(4a)に沿って更に流動し、傾斜面(4a)の突毛繊維(5)に部分的に衝突して傾斜面(4a)からシート本体(7)内部に浸入して濾過され、流体(8)の残部は、減少流量で引き続き傾斜面(4a)に沿って流動する。傾斜面(4a)に沿う流動を反復して、流体(8)の残部は、減少流量で谷面(3)に到達する。このように、本発明では、従来とは異なり、流体(8)の濾過流量が著しく少ない垂直面が無く、傾斜面(4b)からシート本体(7)内部に流体(8)が浸入し易く、***面(4)の傾斜面(4a)の全面を濾過に使用できる。このため、谷面(3)又は谷面(3)の最下部での部分的な濾過による谷面(3)にのみ閉塞物が集中堆積する目詰まりを防止し、濾過流速を維持して、安定な濾過性能を長期間発揮することができる。傾斜面(4a)が圧縮されずに、毛羽立つ表面の突毛繊維(5)により、流体(8)中の毛髪、糸、屑、塵、綿、繊維等を捕集し捕獲し易い。凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比が1:0.8〜1.2であり略等しい。圧縮されない凹部(1)のため、凹部(1)と凸部(2)との空隙率も略等しく、濾過体積が小さい凹部(1)とその入口の谷面(3)とに流れが集中せず、目詰まりなくシート本体(7)全体で流体(8)が均一に流動できる。また、プリーツ状に折曲げられるエアレイド不織布の使用時に、対向する不織布の対向面間に付加的な分離材を間挿させずに、一方の主面(7a)の谷面(3)と***面(4)により不織布間の密着を防止できる効果を有する。
本発明のエアレイド不織布の実施の形態は、傾斜面(4a)は、複数の突毛繊維(5)と複数の突毛繊維(5)間の空隙(15)とにより濾過面を構成し、突毛繊維(5)は、傾斜面(4a)の垂線(V)に対し谷面(3)側に傾く第1の突毛繊維(5a)と、第1の突毛繊維(5a)より多数存在しかつ傾斜面(4a)の垂線(V)に対し***面(4)中央側に傾く第2の突毛繊維(5b)とを備える。第2の突毛繊維(5b)は、傾斜面(4a)を流動する流体(8)の抵抗体を構成し、流体(8)を空隙(15)からシート本体(7)内部に導く。
エアレイド不織布の製造時に、シート本体(7)の他方の主面(7b)側から一方の主面(7a)側に吸引力が加えられるため、積層時に、他方の主面(7b)から一方の主面(7a)の方向に毛羽立つ熱接着性繊維の割合が多い。このため、***面(4)の中央方向に突出する第2の突毛繊維(5b)の数は、傾斜面(4a)から谷面(3)方向に突出する第1の突毛繊維(5a)より多い。別法として、両者を同等数又は第2の突毛繊維(5b)の数をより少なく設計することも可能である。このため、***面(4)中央から傾斜面(4a)を流動する流体(8)は、第2の突毛繊維(5b)に衝突して第2の突毛繊維(5b)によりの流動が部分的に妨げられ、第2の突毛繊維(5b)に沿って、空隙(15)からシート本体(7)内部に導かれる。この場合に、抵抗体として機能する第2の突毛繊維(5b)が傾斜面(4a)に多数存在するため、傾斜面(4a)での濾過が促進される。他方、第1の突毛繊維(5a)は、流れの下流方向に傾き起毛するため、第1の突毛繊維(5a)に衝突した流体(8)は、第1の突毛繊維(5a)に沿って流れ、大部分が空隙(15)内に侵入せずに、傾斜面(4a)に沿って引き続き流動する。
本発明のエアレイド不織布の実施の形態は、傾斜面(4a)の縦断面形状は、直線状又は凸弧状である。
傾斜面(4b)の縦断面形状は、***面(4)中央と谷面(3)との間が、直線状又は凸弧状(円弧状)に形成されるため、傾斜面(4b)を流動する流体(8)の濾過は、傾斜面(4b)にて均一にかつ徐々に進行して、傾斜面(4b)の一部に捕集物が集中蓄積し難い。
他方、傾斜面が凹弧状に形成されると、凹弧状の底面付近では、濾過が集中し捕集物が集中蓄積し、流体の流動方向と略平行な垂直面付近では、濾過速度が著しく低下する。このため、傾斜面が凹弧状では、濾過性能を完全に発揮できない。
本発明のエアレイド不織布の実施の形態は、各***面(4)の略中央には、シート本体(7)の一方の主面(7a)から垂直方向に最も高い頂部(4b)を備え、頂部(4b)は、尖形状又は曲面形状の頂部であり、尖形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)が集中する頂点を有し、曲面形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)より小さい表面積を有する。
***面(4)の略中央に設けられた頂部(4b)により、流体(8)の流れを略均一に分離して、垂直ではない傾斜面(4a)により濾過面を形成する。他方、図16に示す従来技術では、垂直面64aは、濾過面とならずデッドエリアとなる。また、流体(8)の均一分離により、傾斜面(4a)内部のシート本体(7)全体の体積濾過を可能とする。更に、曲面形状及び平面形状の頂部は、表面積が傾斜面(4a)に比べて小さいため、頂部(4b)上のみに捕集物が大量に蓄積されることはない。他方、谷面に比べ平面形状の凸部上面(頂部)64の面積が大きい従来技術(図16)では、凸部上面64に捕集物が大量に蓄積される。
本発明のエアレイド不織布の実施の形態は、シート本体(7)の一方の主面(7a)に多数の谷面(3)を連結した直線路(9)を備える場合、直線路(9)は、少なくとも一端に開放端(9a)を有し、直線路(9)を構成する凹部(1)の繊維密度は、0.02〜0.2である。
多数の谷面(3)を連結した直線路(9)を形成するため、不織布の手切れ性が良い。即ち、切裂部として機能する肉薄の直線路(9)と、切裂を案内しかつ直線路(9)に沿う複数の凸部(1)との一体的相乗効果により、本発明では、鋏を使用せず、また別途ミシン目を形成せずに、用途及び寸法に応じて、開放端(9a)から直線路(9)に沿って、エアレイド不織布(10)を例えば手で前後に引き裂くことにより所望の寸法にスムースに切断できる。
家庭用換気扇フィルターとして使用する場合に好ましい。また、谷面(3)上に捕集物が堆積されたとき、直線路(9)に沿って、水流により又は掻取具を使用して、谷面(3)上に蓄積された捕集物を掻き集め洗浄できると共に、直線路(9)の開放端(9a)から容易に除去できる。このため、エアレイド不織布を長期間使用でき、また再利用も可能である。
凹部(1)の繊維密度が0.02未満であると、引裂強度及び引張強度が弱く、使用前に破れるおそれがある。また、濾過容積が小さすぎて、捕集物が抜ける可能性がある。繊維密度が0.2を超えると、手作業で切断することは難しい。尚、後述する従来のサーマルボンド(エアスルー)不織布(比較例1c)は、繊維が長く縦配向するため、繊維密度に関わらず縦方向以外に手で切断することは容易ではない。
本発明のエアレイド不織布の実施の形態は、シート本体(7)は、単糸繊度0.2〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む単一層である。
また、本発明のエアレイド不織布の実施の形態は、シート本体(7)は、***面(4)の一部又は全部を含みかつシート本体(7)の一方の主面(7a)を形成する第1の層(11)と、シート本体(7)の一方の主面(7a)と反対側の第1の層(11)の接合面(11a)上に積層された第2の層(12)とを少なくとも備える。第1の層(11)及び第2の層(12)の何れか一方は、単糸繊度1.5〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む。第1の層(11)及び第2の層(12)の何れか他方は、単糸繊度0.2〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む。
本発明のエアレイド不織布の製法は、解繊された熱接着性繊維を空気流に分散させて噴出装置から放出する工程と、放出された熱接着性繊維を、通気性を有しかつ多数のネット凹部(22)及びネット凸部(21)を有する単層又は二層以上の繊維捕集ネット(27)上に、吸引力を加えながら堆積させる工程と、堆積させた熱接着性繊維を加熱溶融して、互いに熱融着した短繊維を含むシート本体(7)を形成する工程とを含む。シート本体(7)は、ネット凸部(21)及びネット凹部(22)にそれぞれ対応する形状の凹部(1)及び凸部(2)を含み、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比が1:0.8〜1.2であり、凸部(2)の***面(4)は、***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出する突毛繊維(5)とを有する。
表面に圧力を加えずエアレイド法により形成するため、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度が略一定であり、表面に目詰まりが生じ難く、不織布の体積全体で均一な濾過ができる。
本発明のエアレイド不織布の製法の実施の形態は、吸引力を加えながら熱接着性繊維を堆積させる工程は、ネット凸部(21)と比較してネット凹部(22)に強い吸引力が加えられる工程と、傾斜面(4a)の垂線(V)に対し谷面(3)側に傾く第1の突毛繊維(5a)と、傾斜面(4a)の垂線(V)に対し***面(4)中央側に傾く第2の突毛繊維(5b)とを形成する工程とを含む。ネット凹部(22)に強い吸引力が加えられる工程は、第1の突毛繊維(5a)よりも多数の第2の突毛繊維(5b)を傾斜面(4a)に形成する工程を含む。
ネット凹部(22)に強い吸引力が加えられるため、ネット凹部(22)に対応するエアレイド不織布の傾斜面(4a)及び頂部(4b)では、凹部(1)の谷面(3)に比べ突毛繊維(5)が多く毛羽立つ。
繊維捕集ネット(27)の主面(27a)側から他面(27b)側に流動する吸引力が加えられるため、堆積時に、傾斜面(4a)の垂線(V)に対し***面(4)中央側に傾き突出する第2の突毛繊維(5b)が、谷面(3)側に傾く第1の突毛繊維(5a)に比べ多数存在する。流体に対し高抵抗に作用する第2の突毛繊維(5b)によって、傾斜面(4a)での濾過、及び凸部(2)内部での三次元濾過を促進する。
本発明のエアレイド不織布は、表面に凹凸を有し、凸部の傾斜面から繊維が突出するため、傾斜面の濾過を促進し、凹凸形状の表面全体で均一な濾過を実現する。また、本発明では、表面が圧縮されていないため、表面に捕捉物が集中堆積せず、不織布の全体積を使用して三次元的に濾過できる。従って、長期間交換を要せず高性能な濾過を実現できる。
片面に凸部の面が多数存在するため、皮膚との接触面積が小さいので、肌への刺激が小さく、人体から排出された液体によるウエット感が小さくムレ感が小さい。しかも、肌と不織布との間には微小空間が多数存在するため、排出液体がもたらす高湿度感、ムレ感が改良されて快適性が高い。一方、凸部を有する面とは反対側の面では、フラットなので、吸収層への液体の移行がスムースである。
更に、各種の対人ワイパー、対物ワイパーに適用すれば、凹凸により埃や汚れのかき取り性が高まり、ドリップ吸収シートに適用すればウエットバックを削減させ鮮度保持効果が高まる。また、吸着性シートに適用すれば、表面積が大きいためガス吸着効果が高まる。更に、灰汁取りシートに適用すれば、表面積が大きいため灰汁の捕捉効果が高まる。その他、芳香剤等の揮散体、高通気性を有する各種包装材、緩衝材、エアフィルター、水切り袋、お茶パック、コーヒーフィルターにも有効である。
本発明の実施の形態によるエアレイド不織布を示す平面図 本発明の実施の形態によるエアレイド不織布を示す断面図 本発明のエアレイド不織布の傾斜面を示す拡大断面図 エアレイド不織布の傾斜面を示す拡大断面図 本発明のエアレイド不織布の傾斜面の形状を示す断面図 本発明のエアレイド不織布の傾斜面の形状を示す拡大写真 本発明のエアレイド不織布の頂点の形状を示す拡大断面図 本発明の種々の実施の形態によるエアレイド不織布を示す平面図 本発明の他の実施の形態によるエアレイド不織布(多層構造)を示す断面図 本発明の変形例によるエアレイド不織布を示す断面図 本発明のエアレイド不織布に流体が流動する状態を示す概略断面図 本発明のエアレイド不織布を製造する繊維捕集ネット示す断面図 繊維捕集ネットにエアレイド不織布が堆積された状態を示す断面図 従来の不織布フィルターを示す概略断面図 従来の不織布フィルターに流体が流動する状態を示す概略断面図 従来のエアレイド不織布に流体が流動する状態を示す概略断面図
本発明によるエアレイド不織布及びその製法の実施の形態を図1〜図13について以下説明する。
図1及び図2に示す本発明によるエアレイド不織布(10)は、熱接着性繊維から形成された短繊維を含むシート本体(7)と、シート本体(7)の一方の主面(7a)に互いに隣接して交互に設けられた多数の谷面(凹面)(3)及び***面(凸面)(4)と、谷面(3)を有しシート本体(7)を構成する凹部(1)と、***面(4)を有し凹部(1)と一体にシート本体(7)を構成する凸部(2)とを備える。
熱接着性繊維は、熱溶融し相互に結合するもので、溶融による繊維間結合による網目状構造で不織布自体が固定され、例えばポリオレフィン類、不飽和カルボン酸類でグラフト化されたポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリビニルアルコール等である。ポリオレフィン系熱接着性繊維として、芯鞘型又は偏芯サイドバイサイド型の複合繊維が好適である。鞘又は繊維外周部を構成するポリオレフィンとして、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。芯成分又は繊維内層部を構成するポリマーとして、鞘より高融点であり、加熱接着処理温度で変化しないポリマーが好ましい。複合繊維の組み合わせは、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル等であるが、本発明の作用効果を阻害しない範囲で変性されていてもよい。更に、フィブリル状繊維でも良い。例えば、三井化学株式会社のSWPである。
エアレイド不織布(10)のシート本体(7)を構成する凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比は、1:0.8〜1.2である。本発明は、エアレイド法により形成された不織布のため、特に凹部(1)が圧縮されず両者の値は略等しい。好ましくは繊維密度比が1:0.82〜1.17である。凹部(1)と凸部(2)との境界を図2の破線に示す。後述するエアレイド不織布を製造する繊維捕集ネット(27)のネット凹部(22)の直径、長径又は対角線の寸法により境界を計測できる。
凸部(2)の***面(4)は、図2の通り、***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出して毛羽立つ突毛繊維(5)とを有する。谷面(3)と比較して***面(4)の表面積が大きいため、***面(4)の表面である傾斜面(4a)にて多量の濾過が進行する。図2のエアレイド不織布(10)の概念的断面図では、突毛繊維(5)を簡略化のため直線状に記載するが、実際には、曲線状の突毛繊維(5)も含む。他の図面も同様である。
図3及び図4の通り、***面(4)の傾斜面(4a)は、複数の突毛繊維(5)と複数の突毛繊維(5)間の空隙(15)とにより濾過面を構成する。突毛繊維(5)は、傾斜面(4a)の垂線(V)に対し谷面(3)側に傾く第1の突毛繊維(5a)と、第1の突毛繊維(5a)より多数存在しかつ傾斜面(4a)の垂線(V)に対し***面(4)中央側に傾く第2の突毛繊維(5b)とを備える。第2の突毛繊維(5b)は、傾斜面(4a)を流動する流体(8)の抵抗体を構成し、流体(8)を空隙(15)からシート本体(7)内部に導く(8a)。図3に示す第2の突毛繊維(5b)を多く有する本発明のエアレイド不織布(10)の傾斜面(4a)では、流体(8)をシート本体(7)内部に大量に導く(8a)ため、シート本体(7)全体を含めた三次元濾過が実現できる。他方、本発明とは異なる図4に示す第1の突毛繊維(5a)を多く含む傾斜面(4a’)では、流体(8)がシート本体(7)内部に導入する量が少なく(8a)、傾斜面(4a)を続けて流動する量が多いため(8b)、谷面(3)に濾過が集中する。
傾斜面(4a)の縦断面形状は、図5(a)に示す直線状、又は図5(b)に示す凸弧状に形成可能である。図5では、形状を明示するため、突毛繊維(5)の記載を省略する。図6(a)及び(b)はそれぞれ、図5(a)及び(b)の傾斜面(4a)左側に対応する拡大写真である。図6(a)及び(b)より、直線状及び凸弧状の各傾斜面(4a)と、傾斜面(4a)から突出する突毛繊維(5)を確認できる。図7は、各凸部(2)の各***面(4)の略中央に設けられた頂部(4b)の実施例を示し、図6(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、尖形状、曲面形状及び平面形状の頂部を示す。頂部(4b)は、シート本体(7)の一方の主面(7a)から垂直方向に最も高い位置に設けられる。
各凸部(2)の立体形状は、***面(4)の傾斜面(4a)と頂部(4b)とにより、多角錐状、円錐状、球状、楕円球状又は台状に形成される。各凸部(2)の平面形状は、図1に例示する菱形の他、円形(図8(a))、楕円形(図8(b))、六角形(図8(c))を含む多角形に形成される。円形の場合は直径の寸法、楕円形の場合は短径又は長径の寸法、多角形の場合は対角線の寸法が1〜20mm、好ましくは2〜15mmである。シート本体(7)の他方の主面(7b)から頂部(4b)までの高さは、0.5〜12mm、好ましくは1〜10mmである。凸部の直径(又は短径若しくは直径)が1mm未満では、凸部によって得られる効果が小さく、20mmを超えると、シート強度が低下し実用的でない。凸部の高さが0.5mm未満では、凸部によって得られる効果が小さく、12mmを超えると、例えば、後述する捕集ネット(27)の厚さが厚くなり過ぎ、不織布シートの潰れや破損等が生じ易く、生産上の問題を生じる。頂部(4b)までの高さは、例えば、後述の通気性を有する捕集ネット(27)の凸部(21)及び凹部(22)のサイズを変更、繊維ウェブの熱処理条件の変更により容易に調整できる。
本発明の不織布は、多数の凸部(2)が存在するゾーンが、シート本体(7)全面に存在していなくてもよい。例えば、多数の凸部(2)が存在するゾーンと、存在しないゾーンとがタテ、ヨコ、斜め等の交互のストライプ状に共存してもよく、又は多数の凸部(2)が存在するゾーンが円形、角形等のパターン状でもよい。更に、本発明の趣旨の範囲であれば、凸部(2)が一定形状でなくてよく、文字、波柄、ストライプ柄、格子柄、又は何らかのパターンやロゴを表しても良い。
図7(a)に示す尖形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)が集中する頂点を有する。曲面形状の頂部(4b)及び平面形状の頂部(4b)の何れも、傾斜面(4a)より小さい表面積を有する。曲面形状及び平面形状の頂部(4b)の表面積が傾斜面(4a)に比べて小さいため、本発明では、谷面に比べ平面状頂部の面積が大きく平面状頂部に捕集物が大量に蓄積される従来技術と異なり、頂部(4b)上のみに捕集物が大量蓄積されることはない。
谷面(3)と***面(4)との表面積の比は、1:1.5〜10である。好ましくは1:2〜8である。1:1.5未満では、凸部(2)により得られる性能上の特徴が得られ難く、1:10を超えると、凸部(2)が高く不織布シートの潰れや破損等が生じ易く実用的でない。表面積の比を前記範囲にするには、例えば後述の捕集ネット(27)の構造設計を適正化すればよい。表面積とは、例えば凸部(2)の場合は、凸部(2)の***面(4)の実質的な三次元的な表面積であり、二次元的な投影面積ではない。凹部(1)の表面積も同様である。
本発明の不織布シートは、凹部(1)の谷面(2)と凸部(2)の***面(4)との投影面積比が1:0.2〜4.0、好ましくは1:0.4〜3.0である。投影面積比が1:0.2より小さい場合は凸部(2)が小さく本発明の効果が発現し難い。投影面積の比が1:4.0より大きい場合は凸部(2)が大きいため凹部(1)のシート強度が低下し実用的でない。投影面積比を本範囲にするには、例えば後述の捕集ネット(27)の構造設計を適正化すればよい。投影面積とは、上方から不織布を見た場合の平面としての凹部と凸部との比である。即ち、図1では、凹部(1)の谷面(3)の投影面積は菱形の周囲の面積であり、凸部(2)の***面(4)の投影面積は菱形の面積である。
図1及び図8の通り、エアレイド不織布(10)は、シート本体(7)の一方の主面(7a)に多数の谷面(3)を連結した直線路(9)を備えることができる。直線路(9)は、少なくとも一端に開放端(9a)を有する。直線路(9)を構成する凹部(1)の繊維密度は、0.02〜0.2であり、好ましくは0.03〜0.18である。シート本体(7)は、単糸繊度0.2〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む単一層である。
繊維の太さは用途に応じて選択できるが、好ましい繊度は、0.2dtex〜60dtexであり、より好ましくは、0.8dtex〜35dtexであるが用途により適正範囲は異なる。ここで、単糸繊度が60dtexを超えると、得られるエアレイド不織布シートが硬く肌触りが悪く、皮膚への刺激が大きく、手作業で加工し難い。一方、0.2dtex未満では不織布の生産性に欠け実用的でない。
熱接着性繊維は、細いと構成繊維の本数が多いため、脱落繊維が少なく、吸収性物品に適用する場合は、風合いや肌触りも柔らかくなる。太い場合、繊維間の空隙が大きく、嵩高い不織布となり、通気性もアップするので皮膚近傍の湿度アップが抑制されムレ感が小さくなる。尚、使用する短繊維は、対人ワイパー、対物ワイパーに適用する場合、その対象物に合わせて繊度を設定でき、対人ワイパーでは0.2〜5dtexである。対物ワイパーでは用途により繊度が異なり例えば家具用であれば0.2〜5dtex、シンク用であれば10〜60dtexである。尚、対人ワイパーとして、使い捨ておしぼり、コスメ用ウエットシート、化粧用パフ等、対物ワイパーとして、フローリングワイパー、ハンドワイパー等が挙げられる。
熱接着性繊維の長さは、2〜15mmが好ましい。繊維が短いと開繊性がよくなり、より均一な不織布となりやすいが、2mm未満になると粉末状に近づき、繊維間結合による網目構造が作り難くなるばかりか、不織布としての強力が低くなり、実用性に欠けるので好ましくない。一方、15mmより長くなると不織布の強力は上がるが、不織布製造時の繊維の空気輸送において繊維どうしが絡まり易くなり、繊維塊状欠点を増大させるので好ましくない。特に、エアレイド法においては繊維長が短く、凹凸を有する空気透過性シートへの積層において凹凸の形成が充分になされることから、好ましいのは、3〜8mmである。
本発明の不織布シートには、上記の熱接着性繊維のほかに、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維、SWP等のフィブリル状繊維、パルプ、コットン、麻等の天然繊維等の他の繊維を含んでいてもよい。この場合、不織布シートにおける熱接着性繊維の割合は30〜100重量%が好ましく、更に好ましくは70〜100重量%である。30重量%未満の場合は上記の他の繊維の脱落が生じる可能性が多くなるうえ、湿潤強力も低くなる場合があり、実用上の問題を生じる。また、強度が必要で、かつ、例えば親水性のある他の繊維を含む必要が無い場合には、不織布シートにおける熱接着性繊維の割合は100重量%であることが好ましい。
図9(a)の通り、シート本体(7)は、***面(4)の一部又は全部を含みかつシート本体(7)の一方の主面(7a)を形成する第1の層(11)と、シート本体(7)の一方の主面(7a)と反対側の第1の層(11)の接合面(11a)上に積層された第2の層(12)とを備える二層構造のエアレイド不織布(20)を形成してもよい。第1の層(11)は、単糸繊度1.5〜60dtex、好ましくは1.7〜35dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む。第2の層(12)は、単糸繊度0.2〜60dtex、好ましくは0.2〜35dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む。第1の層(11)と第2の層(12)を反対に(即ち後述する実施例10に対し実施例11を)形成してもよい。二層構造のエアレイド不織布(20)では、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比は1:0.8〜1.2、好ましくは1:0.88〜1.19であり、凹部(1)の繊維密度は0.02〜0.2であり、好ましくは0.03〜0.11である。図9(b)の通り、第2の層(12)上に更に第3の層(13)を積層して三層構造にエアレイド不織布(30)を形成してもよく、図示しないが、四層以上に積層形成してもよい。
前記実施の形態では、シート本体(7)の他方の主面(7b)が平面のエアレイド不織布(10)を示したが、シート本体(7)の他方の主面(7b)が、凸部(2)の***面(4)と反対側に陥没部(6a)(図10(a))又は突出部(6b)(図10(a))を備えてもよい。***面(4)の裏側の他方の主面(7b)に陥没部(6a)を形成すると、濾過体積が最大となる凸部(2)の厚さを減少することにより、凸部(2)の流体の流動を促進し、凸部(2)及び凹部(1)全体で流速が均一な濾過が実現する。また、シート本体(7)の他方の主面(7b)に陥没部(6a)又は突出部(6b)を設けると、エアレイド不織布を折り曲げてプリーツ状にして使用するとき、対向面間の密着による濾過機能停止を防止し、濾過性能を長期間維持できる。単層だけでなく、多層構造のシート本体(7)の他方の主面に陥没部(6a)又は突出部(6b)を形成してもよい。
本発明によるエアレイド不織布の製法の実施の形態を以下説明する。
本発明の立体模様を有するエアレイド不織布の製法には、多数の凸部及び凹部を有しかつ通気性を有する繊維捕集ネットを用いる。又は金属製又はプラスチック製のネット上に多数の凹部又は開口を有する空気透過性シートを積層した二層構造の繊維捕集ネットも使用できる。繊維捕集ネットの凹部に熱接着性繊維を堆積させることにより、凹凸の立体模様を有するシート状のエアレイド不織布が製造される。二層構造の捕集ネットのネットと空気透過性シートとの接合方法は、縫い合わせ、接着剤による接合、熱によるヒートシールが可能だが、接着剤及びヒートシールによる接合では繊維捕集ネットの再利用が困難となる他、接着剤では、ネットと空気透過性シートの少なくとも何れかが熱接着性を有する素材に限定されるため、縫い合わせによる接合が望ましい。
本発明では、所定量の解繊された例えば単糸繊度が0.2〜60dtex、繊維長が2〜15mmの熱接着性繊維と必要に応じてその他の繊維とを空気流に均一分散させながら噴出装置の細孔から放出し、下部に設置された多数の凹部を有する繊維捕集ネット又は二層構造の繊維捕集ネット上に、繊維捕集ネット下部から空気をサクションしながら堆積させる。必要に応じて、本操作を複数回繰り返した後、熱接着性繊維の接着成分の融点より15〜40℃高い温度で加熱処理して、多数の凹凸が形成された立体模様を有するシート状のエアレイド不織布を製造する。
サーマルボンド法、スパンレース法及びケミカルボンド法による不織布の製法では、一般に38〜64mmの繊維長が長い繊維を使用するため、凹凸の形成が充分では無い。スパンボンド法、メルトブロー法では、繊維が連続紡糸されるため、同じく凹凸の形成が充分では無い。即ち、繊維長が短く凹凸を有する不織布の積層では、充分に凹凸が形成されるエアレイド法が最適である。
本発明のエアレイド不織布は、熱接着性繊維と必要に応じてその他の繊維とから成る。即ち、熱接着性繊維100重量%の他、例えば熱接着性繊維+パルプ繊維、熱接着性繊維+ポリエステル繊維、又は熱接着性繊維+パルプ繊維+ケミカルバインダーから成る一層以上のエアレイド不織布を構成してもよい。熱接着性繊維は一般に低親水性のため、その他の繊維は親水性繊維が好ましく、パルプ繊維、レーヨン繊維等を含む。特に、凹部を有する面は、不織布の強度面から熱接着性繊維を主成分とすることが好ましい。凸部の面には吸水性の発現が必要な場合、パルプ繊維等の親水性の非熱接着性繊維を混合できるが、用途により配合や繊維太さは適宜設定できる。ここで、「主成分とする」とは、熱接着性繊維が70重量%以上、好ましくは85重量%以上であることを指称し、30重量%以下の他の繊維及びパルプを含んでもよい。
本発明によるエアレイド不織布の製法を図12及び図13により説明する。
所定量の解繊された熱接着性繊維を主成分として空気流に均一分散させながら、図示しない噴出装置の細孔から放出して、多数のネット凸部(21)及びネット凹部(22)を有する単層又は二層以上の構造の繊維捕集ネット(27)上に落とし、繊維捕集ネット(27)の他面(27b)方向(矢印26)に空気を吸引しながら、熱接着性繊維を繊維捕集ネット(27)上に堆積させる。必要に応じて本操作を複数回繰り返して繊維ウェブを積層すれば、前記二層又は三層構造のエアレイド不織布(20,30)が得られる。
図12に示す吸引力(26)を加えながら熱接着性繊維を繊維捕集ネット(27)上に堆積させるとき、図3の通り、傾斜面(4a)の垂線(V)に対し凹部(1)の谷面(3)側に傾く第1の突毛繊維(5a)と、***面(4)中央側に傾く第2の突毛繊維(5b)とが形成される。このとき、繊維捕集ネット(27)の主面(27a)側から他面(27b)側に図12の矢印の方向に流れる吸引力(26)が加えられるため、第1の突毛繊維(5a)よりも第2の突毛繊維(5b)が多数傾斜面(4a)に形成される。
図12の断面図に示す通り、繊維捕集ネット(27)の厚みは、ネット凸部(21)に比べネット凹部(22)が薄いため、ネット凸部(21)の吸引力(26c)と比較して抵抗が小さいネット凹部(22)では強い吸引力(26a,26b)が加えられる。このため、ネット凸部(21)に対応するエアレイド不織布(10)の凹部(1)と比較して、ネット凹部(22)に対応するエアレイド不織布(10)の凸部(2)の傾斜面(4a)及び頂部(4b)には、短繊維が表面から無秩序に突出する突毛繊維(5)が数多く存在する(図13)。
次に、堆積した熱接着性繊維が十分その接着効果を発揮する温度、即ち、熱接着性繊維の接着成分の融点より15〜40℃高い温度で加熱処理される。これにより、熱接着性繊維が加熱溶融され、互いに熱融着して固定した網目状構造の短繊維を含むシート本体(7)を形成する。即ち、シート本体(7)は、ネット凸部(21)及びネット凹部(22)にそれぞれ対応する形状の凹部(1)及び凸部(2)を含み、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比が1:0.8〜1.2である。***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出する突毛繊維(5)とを凸部(2)の***面(4)に有する本発明のエアレイド不織布(10)が得られる。
繊維捕集ネット(27)の多数のネット凹部(22)又は開口のサイズは、得られる立体模様を有する不織布シートに対応して、凸部(2)の平面形状が円形の場合は直径、楕円形の場合は短径又は長径、多角形の場合は対角線が1〜20mm、好ましくは2〜15mmである。ネット凹部(22)又は開口の深さが(凸部(2)の高さに対応して)0.5〜12mm程度である。ここで「多数」とは、得られるエアレイド不織布シートの凹凸に対応する多数のネット凹部(22)又は開口を意味し、定量的に定義できない。繊維捕集ネット(27)の強度及び耐久性を考慮して、二層以上の構造の繊維捕集ネットを使用してもよい。
ネットに載置される空気透過性シートは、凹部又は開口の設計が容易な編物が好ましく、例えば平編、平編変形組織、リブ編、リブ編変形組織、両面編、両面編変形組織、パール編、パール編変形組織等の緯編物、トリコット編、ラッセル編、ミラニーズ編等の経編物を使用できる。その他、凹部又は開口を有していれば織物、ネット、不織布でもよい。
尚、本発明のエアレイド不織布の製法においてケミカルバインダー樹脂を用いる場合、堆積されたウェブ上に、ウェブ形成ごと(又は堆積されたウェブ全体)に、ホットメルト接着剤、ラテックス系接着剤、エマルジョン系接着剤、樹脂パウダ接着剤等のケミカルバインダー樹脂を散布又は塗布すればよい。ケミカルバインダー樹脂の成分として、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリアクリル酸エステル系、合成ゴム系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、熱硬化型樹脂系等である。ケミカルバインダー樹脂の使用量は、通常、固形分換算で2〜100g/m2、好ましくは4〜50g/m2であり、熱接着繊維やパルプ繊維の結合や各層の剥離を生じない範囲で決められる。
本発明のエアレイド不織布シートには、消臭剤、抗菌剤、芳香剤、保湿剤、着色剤、親水剤、撥水剤等の機能加工を付与できる。加工法は、予め機能を付与した繊維の混合、粉体状の剤の混合、液体状の剤をスプレや含浸する方法である。エアレイド法で製造された不織布は、不織布の流れ方向、幅方向及び厚み方向へ繊維をランダムに3次元配向できる。これらが熱接着するので層間剥離を起こさない。また、エアレイド法で製造した不織布は、均一性が良好なので性能のバラツキも少ない。
本発明のエアレイド不織布シートは、熱接着性繊維を主成分とし、総目付が、16〜800g/m2、好ましくは20〜300g/m2である。16g/m2未満では、不織布強度が低下し、製造工程性、商品取扱性等、実用上の問題を生じやすい。800g/m2を超えると、シートが硬化し吸収性物品では肌触りが悪化し実用上の問題を生じる。
本発明の立体模様を有するエアレイド不織布シートは、多数の凹凸部を有し、凹部と凸部の繊維密度の比が1:0.8〜1.2であり、凹部と凸部の目付けの比が1:1.2〜20であり、凹部と凸部の表面積の比が1:1.5〜10である。本発明のエアレイド不織布シートは、吸収性物品の表面シートに用いると、凸部の面には、皮膚との接触面積が小さいので肌への刺激が小さく、排出された液体によるウエット感が小さくムレ感が小さくなる。一方、凹部の面は、吸収層への液体の移行がスムースである。また、各種の対人ワイパー、対物ワイパーに適用すれば、凹凸により埃や汚れの掻取性が高まり、ドリップ吸収シートに適用すればウエットバックを削減させるため、鮮魚や精肉の鮮度保持効果が高まり、その他、高通気性を有する各種包装材、緩衝材、吸着性シート、芳香剤等の揮散体、エアフィルター、水切り袋、お茶パック、コーヒーフィルター、灰汁取りシート等にも有効である。
凹部と凸部の繊維密度は略均一なため、その密度比は1:0.8〜1.2、好ましくは1:0.9〜1.1となる。この範囲内にするには、エアレイドシートを形成する際、紡出風量とネット下部の空気サクション量を適宜適正化すれば良い。
本発明のエアレイド不織布シートは、全体の繊維密度が略均一であるため、凹部に相当する目付は、結果的に凸部に比べて小さい。その結果、凹部と凸部の目付比は、1:1.2〜20、好ましくは1:1.5〜10である。この数値範囲内にするには、凸部に相当する、例えば繊維捕集ネットの厚さ、及び全体シート目付けを調整して達成される。尚、凹部と凸部の目付けは、それぞれ小さいポンチで打抜き実測する。1:1.2未満では、凹部により得られる性能上の特徴が得られ難く、1:20を超えると、凹部が高くなり不織布シートの潰れや破損等が生じ易く実用的でない。
オイルミストを含む気体を本発明のエアレイド不織布(10)に通す実施の形態を以下に説明する。
吸引、送風等による図11に示す気体の流れ(8)は、凸部(2)の頂部(4b)に衝突したとき、均等に分散され、傾斜面(4a)に沿って流動する。傾斜面(4a)は、多数の突毛繊維(5)を有し、特に、傾斜面(4a)の垂線(V)(図3)に対し***面(4)の頂部(4b)側に傾く第2の突毛繊維(5b)を数多く含むため、突毛繊維(5)が、粘性を有するオイルミストの抵抗体となり、気体の流動(8)を抑制する。このとき、傾斜面(4a)の空隙(15)を通じて気体の一部がオイルミストを濾別しながら、凸部(2)内に導入される(8a)。気体の他の部分は、傾斜面(4a)に沿って引き続き流動し(8b)、傾斜面(4a)の突毛繊維(5)により、オイルミストを濾別して空隙(15)から凸部(2)内に侵入する(8a’)。残りの気体は傾斜面(4a)を更に流動し(8b’)、一部は傾斜面(4a)から凸部(2)内に、他の残りは少量の気体流となって、凹部(1)の谷面(3)に到達する(8b”)。
以上のように、凸部(2)は、頂部(4b)を有するため、気流(8)を一極に集中させず、均等に傾斜面(4a)全体に分散させて、捕集物としてのオイルミストが一部に蓄積せずに全面濾過が可能となる。頂部(4b)は、図11の曲面状(図7(b))でも、頂点を有する尖形状(図7(a))でも本作用効果が得られる。また、傾斜面(4a)は平滑面ではなく突毛繊維(5)が突出し、特に頂部(4b)側に傾く第2の突毛繊維(5b)を数多く含むため、粘性を有するオイルミストの抵抗体となり、オイルミストを捕集し易い。傾斜面(4a)では、繰り返し濾過を続け、傾斜面(4a)から凸部(2)内に連続して気体が導入される(8a,8a’,8a”)から、凸部(2)及びシート本体(3)全体の体積を利用して三次元濾過が可能となる。即ち、図11の通り、オイル成分(19)を凸部(2)全体によって均一に捕捉することができる。また、気体が谷面(3)に到達する際には、気体量及び速度が極端に減少し(8b”)、凹部(1)の谷面(3)に濾過が集中することを抑制できる。
図11では、気体を本発明のエアレイド不織布(10)に通す実施の形態を示したが、気体だけでなく液体でも同様に処理でき、同様の作用効果が得られる。
[実施例A]
本発明によるエアレイド不織布(10,20)の実施例を比較例と対比しながら説明する。
[1]本発明のエアレイド不織布(10)(単層)の製造(実施例1〜8)
<実施例1>
ネット凹部(22)を有する樹脂製の繊維捕集ネット(27)上に、ポリエチレンの鞘及びポリエチレンテレフタレートの芯(PE/PET)を有する繊度1.7dtex及び繊維長3mmの熱接着性繊維(熱接着性芯鞘型複合繊維)(帝人(株)製、品名TJ04V4)を堆積させ、147℃で加熱して繊維間を熱融着し、凹部(1)及び凸部(2)を一方の主面(7a)に有するエアレイド不織布(10)を製造した(実施例1)。実施例1は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:0.97及び表面積比1:1.65、凹部(1)繊維密度0.033、目付80g/m2、厚み1.8mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ0.9mmの楕円凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有する図6(b)と同等のエアレイド不織布(10)である。厚みは(株)大栄科学精器製作所製、デジタル厚み測定器FS-60DS(測定端子50mmφ、測定荷重3g/cm2)にて測定した。「目付」は凹部(1)及び凸部(2)を含む目付、「厚み」はシート全体の厚さ、「高さ」は凹部(1)谷面(3)から凸部(2)頂部(4b)までの高さを各々表し、以下同様である。
<実施例2>
実施例1同様の方法及び熱接着性繊維により、エアレイド不織布(10)を製造した(実施例2)。実施例2は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:1.03及び表面積比1:1.57、凹部(1)繊維密度0.062、目付80g/m2、厚み2.4mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ2mmの菱形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有する図6(a)と同等のエアレイド不織布(10)である。
<実施例3>
イソフタル酸共重合ポリエステルの鞘及びポリエチレンテレフタレートの芯(低融点PET/PET)を有する繊度1.7dtex及び繊維長5mmの熱接着性繊維(帝人(株)製、品名TJ04B5)を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布(10)を製造した(実施例3)。実施例3は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:1.05及び表面積比1:1.51、凹部(1)繊維密度0.123、目付80g/m2、厚み2.2mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ1.7mmの菱形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(10)である。
<実施例4>
ポリエチレンの鞘及びポリプロピレンの芯(PE/PP)を有する繊度0.2dt及び繊維長3mmの熱接着性繊維(宇部エクシモ(株)製、品名エアリモQCE-K)を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布(10)を製造した(実施例4)。実施例4は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:1.04及び表面積比1:3.94、凹部(1)繊維密度0.183、目付80g/m2、厚み1.1mmのシートであり、長径5mm、短径3mm、高さ0.8mmの楕円形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(10)である。
<実施例5>
ポリエチレンの鞘及びポリプロピレンの芯(PE/PP)を有する繊度35dt及び繊維長5mmの熱接着性繊維(ESファイバービジョンズ製、品名ESC090)を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布(10)を製造した(実施例5)。実施例5は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:0.82及び表面積比1:9.36、凹部(1)繊維密度0.026、目付80g/m2、厚み3mmのシートであり、長径5mm、短径3mm、高さ1.9mmの楕円形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(10)である。
<実施例6g〜6k>
実施例1同様の方法及び熱接着性繊維を使用して、目付がそれぞれ16.0g/m2、17.6g/m2、19.2g/m2、20.8g/m2及び22.4g/m2となるようにエアレイド不織布(10)を製造した(実施例6g、6h、6i、6j及び6k)。実施例6gは、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:1.17及び表面積比1:1.65、凹部(1)繊維密度0.032、目付16g/m2、厚み1mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ0.9mmの楕円形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(10)である。
<実施例7>
実施例1同様の方法及び熱接着性繊維を使用して、目付が800g/m2となるようにエアレイド不織布(10)を製造した(実施例7)。実施例7は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:1及び表面積比1:1.87、凹部(1)繊維密度0.102、厚み12mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ3mmの楕円形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(10)である。
<実施例8>
実施例1に使用した熱接着性繊維35重量%と粉砕パルプ((株)インターナショナル・ペーパー・ジャパン社製、品名NF405)65重量%との混合繊維を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布(10)を製造した(実施例8)。実施例8は、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:0.99及び表面積比1:1.84、凹部(1)繊維密度0.032、目付80g/m2、厚み1.9mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ1mmの楕円形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(10)である。
[2]不織布の製造(単層)(比較例1〜8)
<比較例1a>
ネット凹部を有しない樹脂製の繊維捕集ネット上に、実施例1の熱接着性繊維を堆積させ、147℃で加熱して繊維間を熱融着し、平面(フラット)状のエアレイド不織布を製造した(比較例1a)。比較例1aは、目付80g/m2、厚み1.3mmである。
<比較例1b>
比較例1aの平面状のエアレイド不織布に対し、エンボスロール及び弾性ロールを組み合わせてエンボス加工を施し、凸凹状の不織布を製造した(比較例1b)。比較例1bは、凹部と凸部との繊維密度比1:4、凹部(1)繊維密度0.405、目付80g/m2、厚み0.9mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ0.7mmの矩形凸部を有する不織布である。
<比較例1c>
ネット凹部を有しない樹脂製の繊維捕集ネット上に、ポリエチレンの鞘及びポリエチレンテレフタレートの芯(PE/PET)を有する繊度1.7dtex及び繊維長44mmの熱接着性繊維(帝人(株)製、品名TJ04CE)を堆積させたカードウエブを熱風加熱処理して、平面(フラット)状のサーマルボンド(エアスルー)不織布を製造した(比較例1c)。比較例1cは、目付80g/m2、厚み1mmである。
<比較例1d>
従来技術の特許文献4に記載の方法により実施例1の熱接着性繊維を使用して凹凸状のエアレイド不織布を製造した(比較例1d)。比較例1dは、凹部と凸部との繊維密度比1:1.05及び表面積比1:1.65、凹部繊維密度0.038、目付80g/m2、厚み1.7mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ0.9mmの楕円形凸部を有しかつ凸部が平坦上面及び凹状傾斜面を有するエアレイド不織布である。
<比較例2>
実施例2のエアレイド不織布(10)を平型オートプレス機(HASHIMA社 品番HP-125FA)により135℃、40g/cm2で1分間プレスして、熱プレス不織布を製造した(比較例2)。比較例2は、凹部と凸部との表面積比1:1.32、凹部繊維密度0.246、目付80g/m2、厚み0.5mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ0.25mmの楕円形凸部を有する不織布である。
<比較例3>
実施例3の熱接着性繊維を使用した以外、比較例1a同様の方法により、平面状(フラット)のエアレイド不織布(10)を製造した(比較例3)。比較例3は、目付80g/m2、厚み1.4mmである。
<比較例4>
ポリエチレンの鞘及びポリプロピレンの芯(PE/PP)を有する繊度0.1dt及び繊維長3mmの熱接着性繊維を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布を製造した(比較例4)。比較例4は、凹部と凸部との繊維密度比1:1.07及び表面積比1:2.64、凹部繊維密度0.31、目付80g/m2、厚み0.7mmのシートであり、長径5mm、短径3mm、高さ0.5mmの楕円形凸部を有しかつ傾斜面及び突毛繊維を有するエアレイド不織布である。
<比較例5>
ポリエチレンの鞘及びポリプロピレンの芯(PE/PP)を有する繊度72dt及び繊維長5mmの熱接着性繊維(ESファイバービジョンズ製、品名ES)を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布を製造した(比較例5)。比較例5は、凹部と凸部との繊維密度比1:0.79及び表面積比1:8.38、凹部(1)繊維密度0.025、目付80g/m2、厚み2.8mmのシートであり、長径5mm、短径3mm、高さ1.7mmの楕円形凸部を有しかつ傾斜面及び突毛繊維を有するエアレイド不織布である。
<比較例6a〜f>
実施例1同様の方法及び熱接着性繊維を使用して、目付がそれぞれ6.4g/m2、8.0g/m2、9.6g/m2、11.2g/m2、12.8g/m2及び14.4g/m2となるようにエアレイド不織布を製造した(比較例6a、6b、6c、6d、6e及び6f)。比較例6fは、凹部と凸部との繊維密度比1:1.23及び表面積比1:1.65、凹部繊維密度0.029、目付14.4g/m2、厚み1mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ0.9mmの楕円形凸部を有しかつ傾斜面及び突毛繊維を有するエアレイド不織布である。
<比較例7>
実施例1同様の方法及び熱接着性繊維を使用して、目付が900g/m2となるようにエアレイド不織布を製造した(比較例7)。比較例7は、凹部と凸部との繊維密度比1:1及び表面積比1:1.87、凹部繊維密度0.108、厚み13mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ3mmの楕円形凸部を有しかつ傾斜面及び突毛繊維を有するエアレイド不織布である。
<比較例8>
実施例1の熱接着性繊維25重量%と実施例8の粉砕パルプ75重量%との混合繊維を使用した以外、実施例1同様の方法により、エアレイド不織布を製造した(比較例8)。比較例8は、凹部と凸部との繊維密度比1:1.01及び表面積比1:2.02、凹部繊維密度0.031、目付80g/m2、厚み2mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ1.1mmの楕円形凸部を有しかつ傾斜面を有するエアレイド不織布である。
[3]本発明のエアレイド不織布(20)(二層)の製造(実施例9〜11)
<実施例9a>
実施例1同様の方法により熱接着性繊維を堆積させた後、更に実施例4の熱接着性繊維を積層し、147℃で加熱して繊維間を熱融着し、凹部(1)及び凸部(2)を一方の主面(7a)に有する二層構造のエアレイド不織布(20)を製造した(実施例9a)。実施例9aは、第1の層(11)と第2の層(12)との重量比62.5:37.5、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:0.88及び表面積比1:1.65、凹部(1)繊維密度0.114、目付80g/m2、厚み1.2mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ0.9mmの楕円凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(20)である。
<実施例9b>
実施例9a同様の方法及び熱接着性繊維により、エアレイド不織布(10)を製造した(実施例9b)。実施例9bは、第1の層(11)と第2の層(12)との重量比62.5:37.5、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:0.97及び表面積比1:1.5、凹部(1)繊維密度0.085、目付80g/m2、厚み2.1mmのシートであり、長径15mm、短径7mm、高さ1.3mmの菱形凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(20)である。
<実施例10>
ネット凹部(22)を有する樹脂製の繊維捕集ネット(27)上に、ポリエチレンの鞘及びポリプロピレンの芯(PE/PP)を有する繊度11dtex及び繊維長5mmの熱接着性繊維(小山化学(株)製、品名S/S 006-1)を堆積させ、更に実施例1の熱接着性繊維を積層し、147℃で加熱して繊維間を熱融着し、凹部(1)及び凸部(2)を一方の主面(7a)に有する二層構造のエアレイド不織布(20)を製造した(実施例10)。実施例10は、第1の層(11)と第2の層(12)との重量比62.5:37.5、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:0.95及び表面積比1:3.31、凹部(1)繊維密度0.03、目付80g/m2、厚み2.7mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ1.8mmの楕円凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(20)である。
<実施例11>
実施例1同様の方法により熱接着性繊維を堆積させた後、更に実施例10の第1の層(11)に使用した熱接着性繊維を積層し、147℃で加熱して繊維間を熱融着し、凹部(1)及び凸部(2)を一方の主面(7a)に有する二層構造のエアレイド不織布(20)を製造した(実施例11)。実施例11は、第1の層(11)と第2の層(12)との重量比62.5:37.5、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比1:1.19及び表面積比1:1.65、凹部(1)繊維密度0.027、目付80g/m2、厚み1.8mmのシートであり、長径3mm、短径2.5mm、高さ0.9mmの楕円凸部(2)を有しかつ傾斜面(4a)及び突毛繊維(5)を有するエアレイド不織布(20)である。
[4]エアレイド不織布の製造(二層)の製造(比較例9)
比較例1a同様の方法により熱接着性繊維を堆積させた後、更に実施例4の熱接着性繊維を積層し、147℃で加熱して繊維間を熱融着し、平面(フラット)状の二層構造のエアレイド不織布を製造した(比較例9)。比較例9は、第1の層と第2の層との重量比62.5:37.5、目付80g/m2、厚み0.9mmである。
[5]試験方法
実施例及び比較例について、下記方法により試験した。
[5−1]通気試験
(株)大栄科学精器製作所製AP-360SMを用い、日本工業規格L1096A法(フラジール法)に従い通気度を測定した。即ち、実施例及び比較例から採取した約200mm×200mm各試験片をフラジール形試験機の円筒の一端に取り付けた後、加減抵抗器により傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファン及び空気孔を調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力を測る。測定した圧力と使用した空気孔の種類とから試験機に附属の換算表により試験片を通過する空気量(cm3/cm2・s)を求めた。
[5−2]保持容量試験
東京ダイレック社製DFT-3T1Nを用い、実施例及び比較例のシートに気体を通過させて、圧力損失が150Paに達したときの捕捉した粉塵の重量を測定し保持容量(mg)とした。粉塵にはJIS試験用粉体(JIS Z 8901 11種、関東ローム焼成製品)を用いた。
[5−3]粉塵保持量試験
実施例及び比較例の各試料を直径13cmの円形に打ち抜き、凸部を有する面又は凸部がないものは毛羽を有する面に、JIS試験用粉体11種3gを付着させて平らにならした後、10mmピッチの金網で粉体の付着面を下にして1分後に、粉体の保持量を測定した。
[5−4]保油量試験
5cm×5cmの実施例及び比較例のシートを1分間油に漬け、1分間水平金網で油を切った後、シートの油保持重量を測定した。
[5−5]ミスト捕集量試験
未使用のサラダ油1kgを鍋に入れ、IHクッキングヒータ及び鍋の上部及び四辺をアルミ枠で囲い、鍋より高さ70cmの高さのアルミ枠の上部に水平に25cm×40cmの実施例及び比較例の各シートを取り付け、上部の20cm×20cmの開口部を換気扇で排気をしながら、出力1400WのIHクッキングヒータで180℃、6時間加熱し、シートの吸着した油の量を測定し、1m2当たりに換算してミスト捕集量とした。
[5−6]燃焼試験
日本工業規格の繊維製品の燃焼性試験方法(JIS L-1091)の45°ミクロバーナ法(A−1法)に基づき、実施例及び比較例について燃焼の広がりの程度(燃焼長さ及び燃焼面積)、残炎及び残じん時間を測定し、測定値から燃焼性の区分を算出した。ここで「燃焼面積」は、規定された試験条件において、燃焼又は熱分解によって破壊された部分の総面積、「燃焼長さ」は、燃焼又は熱分解によって破壊された部分の最大長さ、「残炎時間+残じん時間」は、加熱終了時から試験片の赤熱が停止するまでの時間をそれぞれ表す。
[5−7]引張強度試験
実施例及び比較例について、試料幅50mm、チャック間100mm、引張速度300m/minにてフォーステスター((株)エー・アンド・デイ 品番MCT-2150)により引張強度を測定した。
[6]試験結果及び考察
各実施例及び比較例の組成並びに試験結果を表1〜表4に示し以下考察する。表中の「繊維構成」の欄に示す繊度単位「t」は全て「dtex」を意味する。
[6−1]通気度
表1、2及び4より、本発明による実施例1、2、5、6g、10及び11は、170cc/cm2/sec以上の優れた通気度を示し、エアフィルターに好適である。他方、低繊度(0.1dtex)の比較例4、高目付(900g/m2)の比較例7及びフラット二層構造の比較例9は、35cc/cm2/sec以下の低通気度の値を示し、フィルターには適さない。
[6−2]保持容量
表1より、実施例1及び2は、588mg以上の優れた保持容量値を示し、比較例1bは、140mgの低保持容量の値を示した。即ち、熱エンボスの比較例1bでは、従来技術(図15)に説明した通り、凹部に流れが集中するが、加熱圧縮されているため、早期に目詰まりが生じフィルターには適さない。これに対し、本発明のエアレイド不織布(10)は、表面が圧縮されていないため、全面及び全体積を利用して濾過するため、目詰まりが生じず高い保持容量値を示す。
[6−3]粉塵保持量
表1、2及び4より、実施例8、9a及び9bが1.23g/枚以上の特に優れた粉塵保持量の値を示し、実施例1、2、3、7、11も0.61g/枚以上の良好な粉塵保持量の値を示した。前記本発明では、表面が毛羽立ち、凸部(2)の傾斜面(4a)には突毛繊維(5)が多く突出するため、粉塵を捕獲保持し易い。フラットの比較例1a、3及び9、熱エンボス及びプレスの比較例1b及び2、平坦な凸部上面と凹状傾斜面とを有する比較例1d、低繊度(0.1dtex)及び高繊度(72dtex)の比較例4及び5、並びに低目付(14.4g/m2)の比較例6fは、0.39g/枚以下の低粉塵保持量の値を示した。
[6−4]保油量
表1、2及び4より、目付が800g/m2と大きい実施例7と、第1の層(11)に繊度11dtexの繊維を使用する実施例10とが、2154g/m2以上の特に優れた保油量の値を示した。実施例1、2、3、5、8、9b及び11も1016g/m2以上の良好な保油量の値を示した。前記実施例では、相当量の油を保持できるため、油吸収材又はオイルミストを捕捉する換気扇用フィルターとして好ましい。比較例1b、2、4及び6fは、488g/m2以下の低保油量の値を示し、換気扇用フィルターに使用する場合、保油力が無いため、一旦保持しても早期に油が落下するおそれがあり換気扇には不適である。
[6−5]ミスト捕集量
表1、2及び4より、実施例1、2、3、8、9a及び9bは、0.11g/枚以上の優れたミスト捕集量の値を示し、換気扇フィルターとして好ましい。熱エンボスの比較例1b及び熱プレスの比較例2は、製造時に表面及び内部が圧縮されているため、油を不織布表面から十分に導入及び吸収できず、また保持できないため、0.05g/枚以下の低ミスト捕集量の値を示した。
[6−6]燃焼性能
表1及び2より、実施例1、2、3及び6gは、燃焼長さが7.6cm以下、燃焼面積が10.9cm2以下、燃焼区分が3の何れも優れた燃焼性能の数値を示した。これは、凹部(1)の繊維本数が少ないため、炭化距離及び炭化面積が小さいと予想される。熱エンボスの比較例1b及び熱プレスの比較例2は、燃焼長さが26.5cm以上、燃焼面積が46m2以上、燃焼区分が1の何れも燃焼性能が低い数値を示した。繊維が密集し繊維間距離が短いためと考えられる。
[6−7]引張強度
以下、引張強度を乾燥(DRY)状態の不織布の縦方向(MD:Machine Direction)にて考察する。表3より、実施例6g〜6kは、1.05kgf/50mm以上の優れた引張強度の値を示し、実施例6a〜6fは、0.58kgf/50mm以下の低引張強度の値を示した。このため、高引張強度のエアレイド不織布の目付の下限値は、16.0g/m2(実施例6g)と考えられる。表1、2及び4より、実施例7は、50kgf/50mm以上の特に優れた引張強度値を示し、実施例1〜4、9a及び9bは、8.9kgf/50mm以上の良好な引張強度値を示した。比較例5、6f及び8は、0.9kgf/50mm以下のの低引張強度値を示した。比較例8はまた、短繊維及びパルプの脱落が多くフィルターに適さない。
[7]結論
前記試験結果及び考察より、実施例1及び2は、[6−1]〜[6−7]の全試験項目において、また、実施例3は、通気度を除き全試験項目において優れた値を示し、極めて高性能な濾過材料であることが判明した。実施例7、8、9a、9b及び11も、試験した全5項目中3項目で、優れた値を示したので、高性能の濾過材料であることが判明した。以上の実施例は、あらゆる用途の濾過材料として万能的に使用できると考える。実施例4は、引張強度が強く繊維が細いので、業務用(クリーンルーム等の空調設備用、防塵マスク用、集塵用又は掃除機用)フィルターに適し、実施例5及び10は、通気度及び保油量が高いため、油を多く使用する工場等の換気扇フィルターに適し、実施例6gは、通気度が高く、優れた燃焼性能を示すため、火を使う厨房、台所等の換気扇フィルターに適し、更に、実施例6g〜6kは、比較例6a〜6fに比べて高引張強度のため、高圧力又は高水圧条件下における業務用フィルターに適することが判明した。以上より、凸部(2)の傾斜面(4a)に突毛繊維(5)を備え特に第1の突毛繊維(5)を多数備えかつ頂部(4b)を有する本発明の全実施例1〜11は、優れた濾過特性を有することが判明した。実施例に従い、本発明のエアレイド不織布の各物性の好適な範囲を以下に示す。
凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比の範囲について、表1及び表2より単一層のエアレイド不織布(10)は1:0.82(実施例5)〜1:1.17(実施例6g)が好ましく、表4より二層構造のエアレイド不織布(20)は1:0.88(実施例9a)〜1:1.19(実施例11)が好ましい。よって、単一層及び二重構造の何れのエアレイド不織布(10,20)も繊維密度比が略等しいと判明した。凹部(1)の繊維密度範囲について、表1及び表2より単一層のエアレイド不織布(10)は0.026(実施例5)〜0.183(実施例4)が好ましく、表4より二層構造のエアレイド不織布(20)は0.027(実施例11)〜0.114(実施例9a)が好ましい。0.2以下の低密度である本発明の全実施例では、多数の谷面(3)を連結した直線路(9)及び直線路(9)に並設される多数の凸部(2)に沿って、手作業で容易かつ綺麗にエアレイド不織布(10,20)を引裂切断できる。
繊度の範囲について、表1及び表2より単一層のエアレイド不織布(10)は0.2dtex(実施例4)〜35dtex(実施例5)が好ましく、表4より二層構造のエアレイド不織布(20)は0.2dtex(実施例9a及び9b)〜11dtex(実施例10及び11)が好ましい。熱可塑性繊維の含有率範囲について、表1及び表2より単一層のエアレイド不織布(10)は35重量%(実施例8)〜100重量%(実施例8以外の全実施例)が好ましい。更に凸部(2)の形状について、表1、表2及び表4よりエアレイド不織布(10,20)は、楕円(実施例1、4、5、6g〜6k、8、9a、10及び11)及び菱形(実施例2、3、7及び9b)が好ましい。
[実施例B]
以下、対物ワイパーの評価、吸着性シートの評価は次のようにして実施した。
<ドライ状の対物ワイパーの評価>
ドライ状の対物ワイパーとして、下記のフローリングワイパーの試験方法に基づき、床拭き試験を行った。試験方法は、下記の実施例、比較例の不織布シートを200mm×300mmにカットし、フローリングワイパーとした。それを同じ品種の掃除具に別々に展張し、その後、床面に0.2gずつ散布したJIS試験用粉体4種と、JIS試験用粉体7種と、コットンリンター、及び10本ずつ散布した毛髪を、それぞれ拭き掃除し、掃除具を2往復させた前後の各物質の重量(毛髪においては本数)を測定し、削減率を測定した。試験は各3回実施し、平均値を算出した。尚、不織布シートの諸物性については表5に記載した。
<吸着性シート(アンモニア消臭率)の評価>
吸着性シートとして、下記の試験方法に基づき、アンモニアガスの吸着試験を行った。まず、下記の実施例及び比較例として、エアレイド不織布のシートを製作した。次いで20Lのテドラー(R)バッグに9%のアンモニア水溶液を30μl滴下し、次いでこれを密閉して24時間放置し、アンモニアを気化させた。初期アンモニア濃度、及び実施例及び比較例のシートを各々、65mm×160mm×2枚ずつを、3Lのテドラー(R)バッグに封入し室温で24時間放置後のバッグから採取した気体中の残存アンモニア濃度を、ガス検知管を用いて測定した。以下の式から消臭率を求めた。試験は各3回実施し、平均値を算出した。
消臭率={1−(残存アンモニア濃度)/(初期アンモニア濃度)}×100(%)
不織布シートの諸物性については表6に記載した。
<灰汁とりシートの評価(灰汁捕捉量の評価)>
また、灰汁とりシートとして、下記の試験方法に基づき、試験を行った。直径20cm、深さ8.5cmのアルミ鍋に水500ccと、獣脂(牛)20g、赤身の牛肉180gとを入れ、更にこの上に表7に示す直径20cmの円形の灰汁とりシートを半円に断裁し実施例と比較例の2種類を同時に乗せた。この状態を1回目として、10分間煮込んだあと、調理シートを取り出し、風乾して灰汁固形分の付着量を計測後、下記の(1)式により算出した。次に2回目として、灰汁とりシートを交換して、1回目と同様に、10分間煮込んだあと、調理シートを取り出し、風乾して灰汁固形分の付着量を計測後、下記の(1)式により算出した。ここで、灰汁捕捉量W(g/m2)は、次式より算出した。
W=(W2−W1) ・・・・・ (1)
ここで、
W1:使用前の灰汁とりシートの重量(g)
W2:使用後の灰汁とりシートを風乾した重量(g)
尚、不織布シートの諸物性については表7に記載した。
実施例B1(吸収性物品の評価)
図3〜4(但し、便宜上、凸部は球状)に示した形状となるよう、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の捕集ネットに、市販のトリコット編物(図1参照(但し、便宜上、開口部は球状)、開口部が楕円球状で長径が3.0mmで短径が2.5mmであり、開口部が千鳥状に配列され、その数が6.60個/cm2)を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。この上に、鞘PE(ポリエチレン)/芯PETからなる熱接着性複合繊維(帝人(株)製、品名TJ04V4、1.7dtex×3mm)が70重量%、粉砕パルプ(Weyerhaeuser社製、品名NB−405)を30重量%の比率で混合し、45g/m2となるようエアレイド法で、熱オーブンにより147℃で加熱し繊維間結合を生じさせて、凹部と凸部を片面に有し、凸部の高さが1.1mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。得られたシートを実測した結果、凹部と凸部の繊維密度の比が1:0.94であり、凹部と凸部の目付けの比が1:1.9であった。また、楕円球状である凸部の長径が3.0mmで短径が2.5mm、高さは1.1mmより計算した結果、凹部と凸部の表面積比は1:1.6、凹部と凸部の投影面積比が1:0.63であった。ここで、市販の生理用品の表面シートを剥がしてから、凸部を表面にしてこのシートに取替えて用いたところ、経血は素早く吸収でき、且つ逆戻りし難いものであった。しかも、肌のサラッとした感じは良好で、肌触りも良く、有用であった。
実施例B2(吸収性物品の評価)
トリコット編物の開口部が楕円球状で長径が5.5mmで、短径が2.2mmであり、開口部が千鳥状に配列され、その数が4.41個/cm2であること以外は、条件を実施例B1と同一にして、凸部の高さが2.6mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。得られたシートを実測した結果、凹部と凸部の繊維密度の比が1:1.02であり、凹部と凸部の目付けの比が1:4.5であった。また、楕円球状である凸部の長径が5.5mmで短径が2.2mm、高さは2.6mmより計算した結果、凹部と凸部の表面積比は1:9.5、凹部と凸部の投影面積比が1:0.72であった。ここで、市販の生理用品の表面シートを剥がしてから、凸部を表面にしてこのシートに取替えて用いたところ、経血は素早く吸収でき、且つ逆戻りしにくいものであった。しかも、肌のサラッとした感じは良好で、肌触りも良く、有用であった。
比較例B1(吸収性物品の評価)
エアレイド捕集ネットとして、トリコット編物を積層していない通常のネット(図2の繊維捕集ネット11のみ)を用い、その他の条件は実施例B1に同じとした。両面ともにフラットな、厚み0.8mmのシートが得られた。実施例B1と同様に市販の生理用品から表面シートを剥がして取り替えて用いたところ、経血の吸収が実施例B1及びB2に比べて遅く、凸部と凹部が無いので肌にまとわりつく感触があって、サラッとした感じは小さかった。
比較例B2(吸収性物品の評価)
エアレイド捕集ネットとして、特許第5024833号公報に記載の「所定量の解繊された熱接着性繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属又はプラスチックの繊維捕集ネットであって、該ネット上には、局部的に合成樹脂による突起を設けた繊維捕集ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返したのち、更に熱接着性繊維の接着成分の融点よりも15〜40℃高い温度で加熱処理する」方法を用い、その他の条件は実施例B1に同じとした。片面の陥没部が楕円球状である、厚み1.0mmのシートが得られた。実施例B1と同様に市販の生理用品から表面シートを剥がして取り替えて用いたところ、実施例B1に比べて、陥没部に若干保水し、サラッとした感じは小さかった。これは、実施例B1が多数の凸部を有するのに比べて、比較例B2は多数の凹部を有するため、肌への接触面積が大きいためと思われる。
比較例B3(吸収性物品の評価)
比較例B1と同じものを、後工程でエンボスロールと弾性ロールの組み合わせによるエンボス加工をして、凸凹のシートを得た。尚、エンボス形状は実施例B1と同一とした。実施例B1と同様に市販の生理用品から表面シートを剥がして取り替えて用いたところ、実施例B1に比べて、凹部が凸部に比べて密度が高いため、凹部にて若干保水し、サラッとした感じは小さかった。
実施例B3(ドライ状の対物ワイパーの評価)
実施例B1と同一の捕集ネット及びトリコット編物を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。この上に、鞘PE(ポリエチレン)/芯PETからなる熱接着性複合繊維(帝人(株)製、品名TJ04V4、1.7dtex×3mm)が70重量%、粉砕パルプ(Weyerhaeuser社製、品名NB−405)を30重量%の比率で混合し、30g/m2となるようエアレイド法で、熱オーブンにより147℃で加熱し繊維間結合を生じさせて、凹部と凸部を片面に有し、凸部の厚みが1.0mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。ここで、上記に示す方法でフローリングワイパーとしての評価を実施した。結果は表1に示すが、比較例B4及び比較例B5に比べて凸面による掻き取り性の効果で各物質の削減率、即ち塵の除去率に優位性が見られた。
実施例B4(ドライ状の対物ワイパーの評価)
実施例B2と同一の捕集ネット及びトリコット編物を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。その他の条件は実施例B3に同じとした。凹部と凸部を片面に有し、凸部の厚みが1.9mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。ここで、上記に示す方法でフローリングワイパーとしての評価を実施した。結果は表5に示すが、比較例B4及び比較例B5に比べて凸面による掻き取り性の効果で各物質の削減率、即ち塵の除去率に優位性が見られた。尚、実施例B3に比べても塵の除去率に優位性が見られたが、これは凹凸形状が実施例B3より大きいためと考えられる。
実施例B5(ドライ状の対物ワイパーの評価)
実施例B2と同一の捕集ネット及びトリコット編物を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。この上に、鞘PE(ポリエチレン)/芯PETからなる熱接着性複合繊維(帝人(株)製、品名TJ04C2、56dtex×5mm)が70重量%、粉砕パルプ(Weyerhaeuser社製、品名NB−405)を30重量%の比率で混合し、30g/m2となるようエアレイド法で、熱オーブンにより147℃で加熱し繊維間結合を生じさせて、凹部と凸部を片面に有し、凸部の厚みが1.9mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。上記に示す方法でフローリングワイパーとしての評価を実施した。結果は表1に示すが、比較例B4及び比較例B5に比べて凸面による掻き取り性の効果で各物質の削減率、即ち塵の除去率に優位性が見られた。尚、実施例B4に比べると、繊維が太いため、コットンリンターと毛髪においてはても塵の除去率に優位性がみられたが、細かい塵であるJIS試験用粉体4種とJIS試験用粉体7種においては劣っていた。
比較例B4(ドライ状の対物ワイパーの評価)
エアレイド捕集ネットとして、トリコット編物を積層していない通常のネット(図2の繊維捕集ネット11のみ)を用い、その他の条件は実施例B3に同じとした。両面ともにフラットな、厚み0.7mmのシートが得られた。ここで、上記に示す方法でフローリングワイパーとしての評価を実施した。結果は表5に示すが、実施例B3〜B5に比べて各物質の削減率、つまり塵の除去率が劣るものであった。
比較例B5(ドライ状の対物ワイパーの評価)
比較例B4と同じものを、後工程でエンボスロールと弾性ロールの組み合わせによるエンボス加工をして凸凹のシートを得た。尚、エンボス形状は実施例B3と同一とした。ここで、上記に示す方法でフローリングワイパーとしての評価を実施した。結果は表5に示すが、比較例B4に比べて各物質の削減率は若干勝ったが、実施例B3〜B5に比べて各物質の削減率つまり塵の除去率が劣るものであった。
実施例B6(消臭率の評価)
実施例B1と同一の捕集ネット及びトリコット編物を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。この上に、鞘PE(ポリエチレン)/芯PETからなる熱接着性複合繊維(帝人ファイバー(株)製、品名TJ04V4、1.7dtex×3mm)が50重量%、粉砕パルプ(Weyerhaeuser社製、品名NB−405)を50重量%の比率で混合し、60g/m2となるようエアレイド法で、熱オーブンにより147℃で加熱し繊維間結合を生じさせて、凹部と凸部を片面に有し、凸部の厚みが1.2mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。ここで、上記に示す方法でアンモニアガスの吸着性能の評価を実施した。結果は表6に示すが、比較例B6及び比較例B7に比べてアンモニアガスの吸着性能に優位性が見られた。これは凸凹面による表面積の増大によるものと考える。
比較例B6(消臭率の評価)
エアレイド捕集ネットとして、トリコット編物を積層していない通常のネット(図2の繊維捕集ネット11のみ)を用い、その他の条件は実施例B6に同じとした。両面ともにフラットな、厚み0.9mmのシートが得られた。ここで、上記に示す方法でアンモニアガスの吸着性能の評価を実施した。結果は表6に示すが、実施例B6に比べてアンモニアガスの吸着性能は劣るものであった。
比較例B7(消臭率の評価)
比較例B6と同じものを、後工程でエンボスロールと弾性ロールの組み合わせによるエンボス加工をして凸凹のシートを得た。尚、エンボス形状は実施例B6と同一とした。ここで、上記に示す方法でアンモニアガスの吸着性能の評価を実施した。結果は表2に示すが、実施例B6に比べてアンモニアガスの吸着性能は劣るものであった。比較例B6に対してもアンモニアガスの吸着性能は劣るものであったが、エンボス加工により凹部の密度が高くなったことによるものと考える。
実施例B7(灰汁捕捉量の評価)
実施例B1と同一の捕集ネット及びトリコット編物を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。この上に、鞘PE(ポリエチレン)/芯PETからなる熱接着性複合繊維(帝人ファイバー(株)製、品名TJ04V4、1.7dtex×3mm)が100重量%で、40g/m2となるようエアレイド法で、熱オーブンにより147℃で加熱し繊維間結合を生じさせて、凹部と凸部を片面に有し、凸部の厚みが1.0mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。ここで、上記に示す方法で灰汁とりシートとしての評価を実施した。結果は表7に示すが、比較例B8に比べて灰汁捕捉量の点で優位性が見られた。
実施例B8(灰汁捕捉量の評価)
実施例B2と同一の捕集ネット及びトリコット編物を用いて、両者を積層して一体化させたネットを用いた。その他の条件は実施例B7に同じとした。凹部と凸部を片面に有し、凸部の厚みが2.0mmである、片面に立体模様を有するエアレイド不織布シートを得た。ここで、上記に示す方法で灰汁とりシートとしての評価を実施した。結果は表7に示すが、比較例B8に比べて灰汁捕捉量の点で優位性が見られた。尚、実施例B7に比べても灰汁捕捉量の点で優位性が見られたが、これは凹凸形状が実施例B7より大きいためと考えられる。
比較例B8(灰汁捕捉量の評価)
エアレイド捕集ネットとして、トリコット編物を積層していない通常のネット(図2の繊維捕集ネット11のみ)を用い、その他の条件は実施例B7に同じとした。両面ともにフラットな、厚み0.8mmのシートが得られた。ここで、上記に示す方法で灰汁とりシートとしての評価を実施した。結果は表7に示すが、実施例B7及び実施例B8に比べて灰汁捕捉量の点で劣るものであった。
本発明のエアレイド不織布は、気体又は液体フィルターの用途だけでなく、例えば、生理用品、紙おむつ、その他の吸収性物品、対人ワイパー、対物ワイパー、ドリップ吸収シート(生鮮食品類敷物)、高通気性を有する包装材、緩衝材、ガス吸着用の吸着性シート、芳香剤に使用する揮散体、フィルター、水切り袋、お茶パック、コーヒーフィルター、灰汁取りシート、にも使用できる。
(1)・・凹部、 (2)・・凸部、 (3)・・谷面、 (4)・・***面、 (4a)・・傾斜面、 (5)・・突毛繊維、(5a)・・第1の突毛繊維(5a)、 (5b)・・第2の突毛繊維、 (7)・・シート本体、 (7a)・・一方の主面、 (8)・・流体、 (9)・・直線路、 (9a)・・開放端、 (11)・・第1の層、 (12)・・第2の層、 (15)・・空隙、 (21)・・ネット凸部、 (22)・・ネット凹部、 (27)・・繊維捕集ネット、
本発明のエアレイド不織布は、熱接着性繊維から形成された短繊維を含むシート本体(7)と、シート本体(7)の一方の主面(7a)に互いに隣接して交互に設けられた多数の谷面(3)及び***面(4)と、谷面(3)を有しシート本体(7)を構成する凹部(1)と、***面(4)を有し凹部(1)と一体にシート本体(7)を構成する凸部(2)とを備え、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比が1:0.8〜1.2である。***面(4)は、***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出する突毛繊維(5)とを有し、傾斜面(4a)の縦断面形状は、直線状又は凸弧状であり、各***面(4)の略中央は、シート本体(7)の一方の主面(7a)から垂直方向に最も高い頂部(4b)を備え、各***面(4)の頂部(4b)は、尖形状又は曲面形状の頂部であり、尖形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)が集中する頂点を有し、曲面形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)より小さい表面積を有する。
本発明のエアレイド不織布は、傾斜面(4a)の縦断面形状は、直線状又は凸弧状である。
本発明のエアレイド不織布は、各***面(4)の略中央には、シート本体(7)の一方の主面(7a)から垂直方向に最も高い頂部(4b)を備え、頂部(4b)は、尖形状又は曲面形状の頂部であり、尖形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)が集中する頂点を有し、曲面形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)より小さい表面積を有する。
本発明のエアレイド不織布の製法は、解繊された熱接着性繊維を空気流に分散させて噴出装置から放出する工程と、放出された熱接着性繊維を、通気性を有しかつ多数のネット凹部(22)及びネット凸部(21)を有する単層又は二層以上の繊維捕集ネット(27)上に、吸引力を加えながら堆積させる工程と、堆積させた熱接着性繊維を加熱溶融して、互いに熱融着した短繊維を含むシート本体(7)を形成する工程とを含む。シート本体(7)は、ネット凸部(21)及びネット凹部(22)にそれぞれ対応する形状の凹部(1)及び凸部(2)を含み、凹部(1)と凸部(2)との繊維密度比が1:0.8〜1.2であり、凸部(2)の***面(4)は、***面(4)の中央と谷面(3)との間に形成された傾斜面(4a)と、シート本体(7)を構成する短繊維が傾斜面(4a)から外側に突出する突毛繊維(5)とを有し、傾斜面(4a)の縦断面形状は、直線状又は凸弧状であり、各***面(4)の略中央は、シート本体(7)の一方の主面(7a)から垂直方向に最も高い頂部(4b)を備え、各***面(4)の頂部(4b)は、尖形状又は曲面形状の頂部であり、尖形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)が集中する頂点を有し、曲面形状の頂部(4b)は、傾斜面(4a)より小さい表面積を有する。

Claims (9)

  1. 熱接着性繊維から形成された短繊維を含むシート本体と、
    シート本体の一方の主面に互いに隣接して交互に設けられた多数の谷面及び***面と、
    谷面を有しシート本体を構成する凹部と、
    ***面を有し凹部と一体にシート本体を構成する凸部とを備え、
    凹部と凸部との繊維密度比が1:0.8〜1.2であるエアレイド不織布において、
    ***面は、***面の中央と谷面との間に形成された傾斜面と、シート本体を構成する短繊維が傾斜面から外側に突出する突毛繊維とを有することを特徴とするエアレイド不織布。
  2. 傾斜面は、複数の突毛繊維と複数の突毛繊維間の空隙とにより濾過面を構成し、
    突毛繊維は、傾斜面の垂線に対し谷面側に傾く第1の突毛繊維と、第1の突毛繊維より多数存在しかつ傾斜面の垂線に対し***面中央側に傾く第2の突毛繊維とを備え、
    第2の突毛繊維は、傾斜面を流動する流体の抵抗体を構成し、流体を空隙からシート本体内部に導く請求項1に記載のエアレイド不織布。
  3. 傾斜面の縦断面形状は、直線状又は凸弧状である請求項1又は2に記載のエアレイド不織布。
  4. 各***面の略中央には、シート本体の一方の主面から垂直方向に最も高い頂部を備え、
    頂部は、尖形状又は曲面形状の頂部であり、
    尖形状の頂部は、傾斜面が集中する頂点を有し、
    曲面形状の頂部は、傾斜面より小さい表面積を有する請求項3に記載のエアレイド不織布。
  5. シート本体の一方の主面に多数の谷面を連結した直線路を備え、
    直線路は、少なくとも一端に開放端を有し、
    直線路を構成する凹部の繊維密度は、0.02〜0.2である請求項1〜4の何れか1項に記載のエアレイド不織布。
  6. シート本体は、単糸繊度0.2〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む単一層である請求項1〜5の何れか1項に記載のエアレイド不織布。
  7. シート本体は、***面の一部又は全部を含みかつシート本体の一方の主面を形成する第1の層と、シート本体の一方の主面と反対側の第1の層の接合面上に積層された第2の層とを少なくとも備え、
    第1の層及び第2の層の何れか一方は、単糸繊度1.5〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含み、
    第1の層及び第2の層の何れか他方は、単糸繊度0.2〜60dtex及び繊維長2〜15mmの熱接着性繊維から形成された短繊維を30〜100重量%含む請求項1〜5の何れか1項に記載のエアレイド不織布。
  8. 解繊された熱接着性繊維を空気流に分散させて噴出装置から放出する工程と、
    放出された熱接着性繊維を、通気性を有しかつ多数のネット凹部及びネット凸部を有する単層又は二層以上の繊維捕集ネット上に、吸引力を加えながら堆積させる工程と、
    堆積させた熱接着性繊維を加熱溶融して、互いに熱融着した短繊維を含むシート本体を形成する工程とを含み、
    シート本体は、ネット凸部及びネット凹部にそれぞれ対応する形状の凹部及び凸部を含み、凹部と凸部との繊維密度比が1:0.8〜1.2であり、
    凸部の***面は、***面の中央と谷面との間に形成された傾斜面と、シート本体を構成する短繊維が傾斜面から外側に突出する突毛繊維とを有することを特徴とするエアレイド不織布の製法。
  9. 吸引力を加えながら熱接着性繊維を堆積させる工程は、
    ネット凸部と比較してネット凹部に強い吸引力が加えられる工程と、
    傾斜面の垂線に対し谷面側に傾く第1の突毛繊維と、傾斜面の垂線に対し***面中央側に傾く第2の突毛繊維とを形成する工程とを含み、
    ネット凹部に強い吸引力が加えられる工程は、第1の突毛繊維よりも多数の第2の突毛繊維を傾斜面に形成する工程を含む請求項8に記載のエアレイド不織布の製法。
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