JP2020030313A - 防汚性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金型の転写回数が増加しても、金型の白化を防止しつつ、得られる防汚性フィルムの防汚性を高められる防汚性フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】 金型の表面上に離型処理剤を塗布し、金型の離型処理剤が塗布された表面に対する水の接触角を所定の範囲に調節するプロセスと、樹脂を基材の表面上に塗布するプロセスと、樹脂を間に挟んだ状態で、基材を金型の離型処理剤が塗布された表面に押し当て、樹脂層を形成するプロセスと、樹脂層を硬化させ、重合体層を形成するプロセスと、を含み、樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する所定のフッ素系オリゴマーと、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマーと、を所定の割合で含有し、パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は所定の範囲である、防汚性フィルムの製造方法。【選択図】 図1A
Description
本発明は、防汚性フィルムの製造方法に関する。
反射防止性を有する光学フィルムは、種々検討されている(例えば、特許文献1参照)。特に、ナノメートルサイズの凹凸構造(ナノ構造)を有する光学フィルムは、優れた反射防止性を有することが知られている。このような凹凸構造によれば、空気層から基材にかけて屈折率が連続的に変化するために、反射光を劇的に減少させることができる。
しかしながら、このような光学フィルムにおいては、優れた反射防止性を有する一方で、その表面の凹凸構造のために、指紋(皮脂)等の汚れが付着すると、付着した汚れが広がりやすく、更に、凸部間に入り込んだ汚れを拭き取ることが困難となることがあった。また、付着した汚れは、その反射率が光学フィルムの反射率と大きく異なるため、視認されやすかった。そのため、ナノメートルサイズの凹凸構造を表面に有し、汚れに対する拭き取り性(例えば、指紋拭き取り性)、すなわち、防汚性に優れた機能性フィルム(防汚性フィルム)が求められていた。
これに対して、本発明者らが検討したところ、光学フィルムの凹凸構造を構成する重合体層において、その構成成分としてフッ素系化合物を配合すれば、防汚性が高まることが分かった。
しかしながら、本発明者らが更に検討したところ、重合体層の凹凸構造を形成する際に金型を用いると、金型の転写回数の増加に伴って、フッ素系化合物が金型の表面に蓄積(移行)していき、金型が白化してしまうことが分かった。そして、このような状態で金型の転写回数が更に増加すると、金型の離型性が低下しやすくなり、結果的に、得られる防汚性フィルムの防汚性が低下しやすくなることが分かった。
以上のように、従来では、金型の転写回数が増加しても、金型の白化を防止しつつ、得られる防汚性フィルムの防汚性を高められる防汚性フィルムの製造方法を実現する、という課題があった。しかしながら、上記課題を解決する手段は見出されていなかった。例えば、上記特許文献1には、金型の転写回数の増加に伴う、金型の白化及び防汚性フィルムの防汚性の低下に関する記載はなく、上記課題を解決するものではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、金型の転写回数が増加しても、金型の白化を防止しつつ、得られる防汚性フィルムの防汚性を高められる防汚性フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の一態様は、基材と、上記基材の表面上に配置され、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層と、を備える防汚性フィルムの製造方法であって、金型の表面上に離型処理剤を塗布し、上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に対する水の接触角を90〜150°に調節するプロセス(1)と、樹脂を上記基材の表面上に塗布するプロセス(2)と、上記樹脂を間に挟んだ状態で、上記基材を上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に押し当て、上記凹凸構造を表面に有する樹脂層を形成するプロセス(3)と、上記樹脂層を硬化させ、上記重合体層を形成するプロセス(4)と、を含み、上記樹脂は、有効成分換算で、(メタ)アクリロイル基を有するフッ素系オリゴマーを2.5〜12.5重量%、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマーを2.5〜9重量%含有し、上記フッ素系オリゴマーは、パーフルオロポリエーテル系オリゴマー及びパーフルオロアルキル系オリゴマーのうちの少なくとも一方を含み、上記パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は、50〜60重量%である、防汚性フィルムの製造方法であってもよい。
本発明によれば、金型の転写回数が増加しても、金型の白化を防止しつつ、得られる防汚性フィルムの防汚性を高められる防汚性フィルムの製造方法を提供することができる。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。また、実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
本明細書中、「X〜Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
[実施形態]
実施形態の防汚性フィルムの製造方法について、以下に説明する。図1A、図1B、図1C、図1D、及び、図1Eは、実施形態の防汚性フィルムの製造方法を説明するための断面模式図である。
実施形態の防汚性フィルムの製造方法について、以下に説明する。図1A、図1B、図1C、図1D、及び、図1Eは、実施形態の防汚性フィルムの製造方法を説明するための断面模式図である。
(A)金型の表面処理(プロセス(1))
図1Aに示すように、金型5の表面上に離型処理剤7を塗布し、金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対する水の接触角を、90〜150°、好ましくは100〜140°に調節する。これにより、金型5の初期の離型性を意図的に低下させる。
図1Aに示すように、金型5の表面上に離型処理剤7を塗布し、金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対する水の接触角を、90〜150°、好ましくは100〜140°に調節する。これにより、金型5の初期の離型性を意図的に低下させる。
離型処理剤7の塗布方法としては、例えば、スプレー方式、グラビア方式、スロットダイ方式、バーコート方式、ポッティング方式等で塗布する方法が挙げられる。
金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対する水の接触角を調節する方法としては、例えば、以下の調節方法例1〜3が挙げられる。
(調節方法例1)
金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対して、エキシマ紫外線を照射してもよい。これにより、金型5の表面に存在する離型処理剤7の余剰分を除去し、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができる。エキシマ紫外線の照射条件としては、例えば、照射強度、照射時間等が調節可能である。例えば、エキシマ紫外線を照射強度50mW/cm2で照射する場合の照射時間は、好ましくは10〜35分である。
金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対して、エキシマ紫外線を照射してもよい。これにより、金型5の表面に存在する離型処理剤7の余剰分を除去し、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができる。エキシマ紫外線の照射条件としては、例えば、照射強度、照射時間等が調節可能である。例えば、エキシマ紫外線を照射強度50mW/cm2で照射する場合の照射時間は、好ましくは10〜35分である。
(調節方法例2)
金型5の表面上に塗布される離型処理剤7は、有効成分濃度が0.0001〜0.001重量%であってもよい。離型処理剤7中の有効成分濃度をこのように低くすることによっても、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができる。このように有効成分濃度が低い離型処理剤は、調節方法例1で用いられてもよい。
金型5の表面上に塗布される離型処理剤7は、有効成分濃度が0.0001〜0.001重量%であってもよい。離型処理剤7中の有効成分濃度をこのように低くすることによっても、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができる。このように有効成分濃度が低い離型処理剤は、調節方法例1で用いられてもよい。
調節方法例1、2で用いられる離型処理剤7としては、例えば、フッ素系離型処理剤、シリコン系離型処理剤、リン酸エステル系離型処理剤、等が挙げられ、中でも、フッ素系離型処理剤が好ましい。フッ素系離型処理剤としては、パーフルオロポリエーテル系離型処理剤が好ましく用いられ、その公知例としては、ダイキン工業社製の「オプツール(登録商標)DSX」、「オプツールUD509」、「オプツールAES4」、等が挙げられる。
(調節方法例3)
金型5の表面上に塗布される離型処理剤7は、CF2基を1分子当たり3〜25個有するシランカップリング剤であってもよい。離型処理剤7として、フッ素鎖長がこのように短いシランカップリング剤を用いることによっても、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができる。
金型5の表面上に塗布される離型処理剤7は、CF2基を1分子当たり3〜25個有するシランカップリング剤であってもよい。離型処理剤7として、フッ素鎖長がこのように短いシランカップリング剤を用いることによっても、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができる。
調節方法例3で用いられる離型処理剤7(シランカップリング剤)としては、例えば、1,1,2,2−テトラヒドロ−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン(FAS13、1分子当たりのCF2基の個数:6個)、1,1,2,2−テトラヒドロ−パーフルオロデシルトリメトキシシラン(FAS17、1分子当たりのCF2基の個数:8個)、等が挙げられる。これらのシランカップリング剤(離型処理剤)は、調節方法例1、2で用いられてもよい。
(B)樹脂の塗布(プロセス(2))
図1Bに示すように、樹脂6を基材2の表面上に塗布する。
図1Bに示すように、樹脂6を基材2の表面上に塗布する。
樹脂6の塗布方法としては、例えば、スプレー方式、グラビア方式、スロットダイ方式、バーコート方式等で塗布する方法が挙げられる。中でも、膜厚を均一にし、生産性を向上する観点から、グラビア方式又はスロットダイ方式で塗布する方法が好ましい。
樹脂6が溶剤を含有する場合、樹脂6の塗布後に、溶剤を除去する加熱処理(乾燥処理)を行ってもよい。この加熱処理は、溶剤の沸点以上の温度で行われることが好ましい。
上記(A)と上記(B)とは、同じタイミングで行われてもよく、異なるタイミングで行われてもよい。
(C)樹脂層の形成(プロセス(3))
樹脂6を間に挟んだ状態で、基材2を金型5の離型処理剤7が塗布された表面に押し当てる。その結果、図1Cに示すように、凹凸構造を表面(基材2とは反対側の表面)に有する樹脂層8が形成される。
樹脂6を間に挟んだ状態で、基材2を金型5の離型処理剤7が塗布された表面に押し当てる。その結果、図1Cに示すように、凹凸構造を表面(基材2とは反対側の表面)に有する樹脂層8が形成される。
(D)重合体層の形成(プロセス(4))
樹脂層8を硬化させる。その結果、図1Dに示すように、重合体層3が形成される。
樹脂層8を硬化させる。その結果、図1Dに示すように、重合体層3が形成される。
樹脂層8の硬化方法としては、例えば、活性エネルギー線の照射、加熱等による方法が挙げられる。本明細書中、「活性エネルギー線」は、紫外線、可視光線、赤外線、プラズマ、等を意味する。樹脂層8の硬化は、活性エネルギー線の照射によって行われることが好ましく、中でも、紫外線の照射によって行われることがより好ましい。活性エネルギー線の照射は、樹脂層8の基材2側から行われてもよく、樹脂層8の金型5側から行われてもよい。また、樹脂層8に対する活性エネルギー線の照射回数は、1回のみであってもよいし、複数回であってもよい。
上記(C)と上記(D)とは、同じタイミングで行われてもよく、異なるタイミングで行われてもよい。
(E)金型の剥離
図1Eに示すように、金型5を重合体層3から剥離する。その結果、防汚性フィルム1が完成する。
図1Eに示すように、金型5を重合体層3から剥離する。その結果、防汚性フィルム1が完成する。
本明細書中、上記(B)〜(E)のような一連のプロセスを、「金型の転写」とも呼ぶ。本実施形態では、防汚性フィルム1を連続的に製造する場合、上記(A)を少なくとも最初の段階(1回目の転写前)で1度行えばよく、その後、上記(B)〜(E)を繰り返せばよい。例えば、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(B)、(C)、(D)、(E)、(B)、(C)、(D)、(E)、・・・、の順のように、2回目以降の転写時に上記(A)を都度行わなくてもよい。また、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(B)、(C)、(D)、(E)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、・・・、の順のように、2回目以降の転写時(この例では、3回目の転写時)に上記(A)を適宜行ってもよい。このような金型の転写において、例えば、基材2をロール状にすれば、上記(B)〜(E)を連続的かつ効率的に行うことができる。
本実施形態では、上記(A)のように、金型5の初期の離型性を意図的に低下させているが、この作用効果について、上述した調節方法例1の場合を例示して説明する。
図2A及び図2Bは、実施形態の調節方法例1による効果を説明するための模式図である。金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対してエキシマ紫外線を照射すると、図2Aに示すように、離型処理剤7中のフッ素含有モノマー20が適度に残存する状態(余剰分が除去された状態)が得られる。ここで、フッ素含有モノマー20においては、エキシマ紫外線の照射によって、金型5との結合部分以外にダメージが及び、ダメージ部分21が生じることがある。このような状態の金型5を用いて樹脂6への転写を行うと、図2Bに示すように、樹脂6中のフッ素系化合物22がフッ素含有モノマー20に引き寄せられ、ダメージ部分21がフッ素系化合物22によって修復される。すなわち、金型5の転写時に、フッ素系化合物22が離型処理剤7の代わりに金型5に補充されると見なされ、金型5の離型性が長期間維持されることになる。なお、フッ素含有モノマー20の余剰分は少なくとも最初の段階(1回目の転写前)で予め除去されているため、金型5の転写時にフッ素系化合物22がフッ素含有モノマー20に引き寄せられたとしても、金型5の表面に蓄積(移行)し過ぎることはなく、結果的に、金型5の白化が防止される。
以上のように、調節方法例1では、金型5の白化を防止しつつ、金型5の離型性を長期間維持し、得られる防汚性フィルム1の防汚性を高めるために、金型5の初期の離型性を意図的に低下させているが、その離型性の指標として水の接触角が用いられている。具体的には、金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対する水の接触角は、少なくとも最初の段階(1回目の転写前)で、90〜150°、好ましくは100〜140°に調節されている。水の接触角が90°よりも小さい場合、金型5の初期の離型性が低くなり過ぎてしまい、得られる防汚性フィルム1の防汚性が低下する。水の接触角が150°よりも大きい場合、金型5の初期の離型性が高くなり過ぎてしまい、金型5の転写回数が増加すると、金型5が白化する。
上述した調節方法例2、3の場合であっても、金型5の初期の離型性を意図的に低下させることができるが、離型処理剤7の表面のみに影響を及ぼしやすく(金型5との結合部分には影響を及ぼしにくく)、水の接触角を調節しやすい観点からは、調節方法例1が好ましい。
一方、従来の金型の転写時には、金型5が白化し、離型性が低下してしまう。図3A、図3B、及び、図3Cは、従来の金型の転写時に生じる離型性の低下を説明するための模式図である。従来では、金型5の表面上に離型処理剤7を塗布すると、図3Aに示すように、離型処理剤7中のフッ素含有モノマーの余剰分23が存在することになる。フッ素含有モノマーの余剰分23については、例えば、フッ素系溶剤によるウェット洗浄(リンス処理)で除去しようとしても、完全に除去することができない。また、従来では、金型5の離型性を本実施形態のように意図的に低下させることはなく、金型5の離型処理剤7が塗布された表面に対する水の接触角は、通常、最初の段階(1回目の転写前)で150°よりも高くなる。このような状態の金型5を用いて樹脂6への転写を繰り返し行うと、図3Bに示すように、樹脂6中のフッ素系化合物22がフッ素含有モノマーの余剰分23(フッ素含有モノマー20)に引き寄せられて蓄積し、結果的に、金型5が白化してしまう。そして、このような状態で金型5の転写回数が更に増加すると、図3Cに示すように、フッ素系化合物22が蓄積して凝集した部分を起点として、離型処理剤7(フッ素含有モノマー20及びその余剰分23)が剥離し、結果的に、離型性が低下してしまう。
次に、本実施形態の製造方法によって製造される防汚性フィルムについて、以下に説明する。図1Eに示すように、防汚性フィルム1は、基材2と、基材2の表面上に配置される重合体層3と、を有している。
重合体層3は、複数の凸部(突起)4が可視光の波長(780nm)以下のピッチ(隣接する凸部4の頂点間の距離)Pで設けられる凹凸構造、すなわち、モスアイ構造(蛾の目状の構造)を表面に有している。よって、防汚性フィルム1は、モスアイ構造による優れた反射防止性(低反射性)を示すことができる。
重合体層3の厚みTは、樹脂6に配合されるフッ素系化合物中のフッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に高濃度で偏在させる観点から、小さいことが好ましい。具体的には、重合体層3の厚みTは、好ましくは5〜20μm、より好ましくは8〜12μmである。
複数の凸部4の形状としては、例えば、柱状の下部と半球状の上部とによって構成される形状(釣鐘状)、錐体状(コーン状、円錐状)等の、先端に向かって細くなる形状(テーパー形状)が挙げられる。図1E中、隣接する凸部4の間隙の底辺は傾斜した形状となっているが、傾斜せずに水平な形状であってもよい。
複数の凸部4の平均ピッチは、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生を充分に防止する観点から、好ましくは100〜400nm、より好ましくは100〜200nmである。複数の凸部4の平均ピッチは、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された平面写真の1μm角の領域内における、すべての隣接する凸部のピッチ(図1E中のP)の平均値を指す。
複数の凸部4の平均高さは、後述する複数の凸部4の好ましい平均アスペクト比と両立させる観点から、好ましくは50〜600nm、より好ましくは100〜300nmである。複数の凸部4の平均高さは、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された断面写真における、連続して並んだ10個の凸部の高さ(図1E中のH)の平均値を指す。但し、10個の凸部を選択する際は、欠損や変形した部分(測定用試料を準備する際に変形させてしまった部分等)がある凸部を除く。
複数の凸部4の平均アスペクト比は、好ましくは0.8〜1.5、より好ましくは1.0〜1.3である。複数の凸部4の平均アスペクト比が0.8よりも小さい場合、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生を充分に防止することができず、優れた反射防止性が得られないことがある。複数の凸部4の平均アスペクト比が1.5よりも大きい場合、凹凸構造の加工性が低下し、スティッキングが発生したり、凹凸構造を形成する際の転写具合が悪化したりする(金型5が詰まったり、巻き付いてしまう、等)ことがある。複数の凸部4の平均アスペクト比は、上述した複数の凸部4の平均高さと平均ピッチとの比(高さ/ピッチ)を指す。
複数の凸部4は、ランダムに配置されていても、周期的(規則的)に配置されていてもよい。複数の凸部4が周期的に配置されている場合、その周期性に起因する不要な回折光が発生することがあるため、複数の凸部4は、図4に示すようにランダムに配置されていることが好ましい。図4は、図1E中の重合体層を示す斜視模式図である。
防汚性の観点から、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に対して、水の接触角は120°以上、ヘキサデカンの接触角は30°以上であることが好ましく、水の接触角は140°以上、ヘキサデカンの接触角は70°以上であることがより好ましく、水の接触角は150°以上、ヘキサデカンの接触角は90°以上であることが更に好ましい。
防汚性フィルム1の用途は、その優れた防汚性を活用するものであれば特に限定されず、例えば、反射防止フィルム等の光学フィルム用途であってもよい。このような反射防止フィルムは、表示装置の内部又は外部に取り付けられることで、視認性の向上に寄与する。
防汚性フィルム1の防汚性は、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に付着した汚れが容易に除去可能なことを意味していてもよく、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に汚れが付着しにくいことを意味していてもよい。また、防汚性フィルム1によれば、モスアイ構造による効果で、平坦面等の通常の表面を有する従来の防汚性フィルム(例えば、フッ素含有フィルム)よりも高い防汚性が得られる。
続いて、防汚性フィルム1を製造する際に用いられる各部材について、以下に説明する。
<基材>
基材2の材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(MMA)等の樹脂が挙げられる。基材2は、上記材料に加えて、可塑剤等の添加剤を適宜含んでいてもよい。
基材2の材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(MMA)等の樹脂が挙げられる。基材2は、上記材料に加えて、可塑剤等の添加剤を適宜含んでいてもよい。
基材2の表面(重合体層3側の表面)には易接着処理(例えば、プライマー処理)が施されていてもよく、例えば、易接着処理が施されたトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。また、基材2の表面(重合体層3側の表面)にはケン化処理が施されていてもよく、例えば、ケン化処理が施されたトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。
防汚性フィルム1が液晶表示装置等の偏光板を備える表示装置に取り付けられるものである場合、基材2は、偏光板の一部を構成するものであってもよい。
基材2の厚みは、透明性及び加工性を確保する観点から、好ましくは50〜100μmである。
<金型>
金型5としては、例えば、下記の方法で作製されるものを用いることができる。まず、金型5の材料となるアルミニウムを、支持基材の表面上にスパッタリング法によって成膜する。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、モスアイ構造の雌型(金型5)を作製することができる。この際、陽極酸化を行う時間、及び、エッチングを行う時間を調節することによって、金型5の凹凸構造を変化させることができる。
金型5としては、例えば、下記の方法で作製されるものを用いることができる。まず、金型5の材料となるアルミニウムを、支持基材の表面上にスパッタリング法によって成膜する。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、モスアイ構造の雌型(金型5)を作製することができる。この際、陽極酸化を行う時間、及び、エッチングを行う時間を調節することによって、金型5の凹凸構造を変化させることができる。
支持基材の材料としては、例えば、ガラス;ステンレス、ニッケル等の金属;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子(代表的には、ノルボルネン系樹脂等である、日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」、JSR社製の「アートン(登録商標)」)等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等の樹脂、等が挙げられる。また、支持基材の表面上にアルミニウムを成膜したものの代わりに、アルミニウム製の基材を用いてもよい。
金型5の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられる。
<離型処理剤>
離型処理剤7は、金型5の表面の離型処理を目的として用いられるものである。離型処理剤7によれば、金型5の離型性(例えば、撥水性)が高まり、金型5を重合体層3から容易に剥離することができる。また、金型5の表面自由エネルギーが低くなるため、基材2を金型5に押し当てる際(上記(C))に、樹脂6に配合されるフッ素系化合物中のフッ素原子を樹脂層8の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に分布させることができる。更に、樹脂層8を硬化させる前に、フッ素原子が樹脂層8の表面(基材2とは反対側の表面)から離れてしまうことを防止することができる。その結果、防汚性フィルム1において、フッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に分布させることができる。本実施形態によれば、金型5の転写回数が増加しても、金型5の離型性の低下が抑制されるため、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在し続け、防汚性フィルム1の防汚性が長期間維持される。
離型処理剤7は、金型5の表面の離型処理を目的として用いられるものである。離型処理剤7によれば、金型5の離型性(例えば、撥水性)が高まり、金型5を重合体層3から容易に剥離することができる。また、金型5の表面自由エネルギーが低くなるため、基材2を金型5に押し当てる際(上記(C))に、樹脂6に配合されるフッ素系化合物中のフッ素原子を樹脂層8の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に分布させることができる。更に、樹脂層8を硬化させる前に、フッ素原子が樹脂層8の表面(基材2とは反対側の表面)から離れてしまうことを防止することができる。その結果、防汚性フィルム1において、フッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に分布させることができる。本実施形態によれば、金型5の転写回数が増加しても、金型5の離型性の低下が抑制されるため、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在し続け、防汚性フィルム1の防汚性が長期間維持される。
離型処理剤7の厚みT1は、好ましくは1〜10nm、より好ましくは3〜5nmである。離型処理剤7の厚みT1が1nmよりも小さい場合、金型5の離型性が低くなり過ぎることがある。離型処理剤7の厚みT1が10nmよりも大きい場合、金型5の離型性が高くなり過ぎることがあり、金型5の転写回数が増加すると、金型5が白化することがある。
<樹脂>
樹脂6は、フッ素系化合物として、(メタ)アクリロイル基を有するフッ素系オリゴマー(R)と、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマー(S)と、を含有している。本明細書中、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
樹脂6は、フッ素系化合物として、(メタ)アクリロイル基を有するフッ素系オリゴマー(R)と、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマー(S)と、を含有している。本明細書中、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
(フッ素系オリゴマー(R))
フッ素系オリゴマー(R)は、(メタ)アクリロイル基を有しており、例えば、フッ素含有炭化水素鎖の末端に(メタ)アクリロイル基が配置される構造を有している。フッ素系オリゴマー(R)において、(メタ)アクリロイル基は、光、熱等の外部エネルギーによって他の成分と反応する重合性官能基として機能する。
フッ素系オリゴマー(R)は、(メタ)アクリロイル基を有しており、例えば、フッ素含有炭化水素鎖の末端に(メタ)アクリロイル基が配置される構造を有している。フッ素系オリゴマー(R)において、(メタ)アクリロイル基は、光、熱等の外部エネルギーによって他の成分と反応する重合性官能基として機能する。
樹脂6にフッ素系オリゴマー(R)が配合されていることによって、フッ素含有炭化水素鎖由来のフッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在し、重合体層3の表面自由エネルギーが低くなるため、防汚性フィルム1の防汚性が高まる。一方、(メタ)アクリロイル基を有さないフッ素系オリゴマーによれば、樹脂6中で架橋することがないために、防汚性フィルム1の防汚性が長期間維持されない。
樹脂6は、有効成分換算で、フッ素系オリゴマー(R)を2.5〜12.5重量%、好ましくは5〜10重量%含有している。樹脂6中のフッ素系オリゴマー(R)の含有率が有効成分換算で2.5重量%よりも低い場合、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在するフッ素原子の量が少なくなり、防汚性フィルム1の防汚性が低下する。樹脂6中のフッ素系オリゴマー(R)の含有率が有効成分換算で12.5重量%よりも高い場合、樹脂6中の他の成分との相溶性が低下し、結果的に、防汚性フィルム1(重合体層3)の透明性が低下する(白化する)。樹脂6が複数種のフッ素系オリゴマー(R)を含有する場合、複数種のフッ素系オリゴマー(R)の含有率の合計が有効成分換算で2.5〜12.5重量%であればよい。本明細書中、樹脂の「有効成分」は、硬化後に重合体層の構成成分となるものであり、硬化反応(重合反応)に寄与しない成分(例えば、溶剤)を除いたものを意味する。
フッ素系オリゴマー(R)は、パーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1)及びパーフルオロアルキル系オリゴマー(R2)のうちの少なくとも一方を含んでいる。本明細書中、「パーフルオロポリエーテル系オリゴマー」は、パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素系オリゴマーを意味する。本明細書中、「パーフルオロアルキル系オリゴマー」は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系オリゴマーを意味する。特に、フッ素系オリゴマー(R)としてパーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1)が配合されていると、その動きやすさに起因して、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)の滑り性が高まりやすく、結果的に、耐擦性が高まりやすい。
パーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1)の公知例としては、ソルベイ社製の「フォンブリン(登録商標)MT70」、「フルオロリンク(登録商標)AD1700」、「フルオロリンクMD700」、信越化学工業社製の「KY−1203E」、「KY−1211」、「KY−1207」、ダイキン工業社製の「オプツールDAC−HP」、等が挙げられる。
パーフルオロアルキル系オリゴマー(R2)の公知例としては、DIC社製の「メガファック(登録商標)RS−90」、「メガファックRS−75」、「メガファックRS−76−NS」、ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL(登録商標)8110」、ネオス社製の「フタージェント(登録商標)601ADH2」、等が挙げられる。
(パーフルオロアルキル系モノマー(S))
パーフルオロアルキル系モノマー(S)は、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有している。本明細書中、「パーフルオロアルキル系モノマー」は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系モノマーを意味する。パーフルオロアルキル系モノマー(S)において、(メタ)アクリロイル基は、光、熱等の外部エネルギーによって他の成分と反応する重合性官能基として機能する。
パーフルオロアルキル系モノマー(S)は、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有している。本明細書中、「パーフルオロアルキル系モノマー」は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系モノマーを意味する。パーフルオロアルキル系モノマー(S)において、(メタ)アクリロイル基は、光、熱等の外部エネルギーによって他の成分と反応する重合性官能基として機能する。
樹脂6にパーフルオロアルキル系モノマー(S)が配合されていることによって、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在し、重合体層3の表面自由エネルギーが低くなるため、防汚性フィルム1の防汚性が高まる。また、パーフルオロアルキル系モノマー(S)は、分子量が小さいために、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在(移行)しやすく、配合量が少なくても防汚性フィルム1の防汚性が高まりやすい。一方、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり2個以上有するパーフルオロアルキル系モノマーによれば、分子量が大きくなるために、樹脂6中の他の成分との相溶性が低下し、結果的に、防汚性フィルム1(重合体層3)の透明性が低下する(白化する)。更に、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり2個以上有するパーフルオロアルキル系モノマーは、重合体層3中で主骨格又は分岐部を構成し、架橋構造に取り込まれやすくなるため、パーフルオロアルキル系モノマー(S)と比較して、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在しにくくなる。
パーフルオロアルキル系モノマー(S)中のフッ素原子濃度は、50〜60重量%、好ましくは52〜60重量%である。パーフルオロアルキル系モノマー(S)中のフッ素原子濃度が50重量%よりも低い場合、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在するフッ素原子の量が少なくなり、防汚性フィルム1の防汚性が低下する。パーフルオロアルキル系モノマー(S)中のフッ素原子濃度が60重量%よりも高い場合、重合体層3が軟らかくなるために耐擦性が低下し、また、樹脂6中の他の成分との相溶性が低下するために防汚性フィルム1(重合体層3)の透明性が低下する(白化する)。
樹脂6は、有効成分換算で、パーフルオロアルキル系モノマー(S)を2.5〜9重量%、好ましくは3〜7重量%含有している。樹脂6中のパーフルオロアルキル系モノマー(S)の含有率が有効成分換算で2.5重量%よりも低い場合、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在するフッ素原子の量が少なくなり、防汚性フィルム1の防汚性が低下する。樹脂6中のパーフルオロアルキル系モノマー(S)の含有率が有効成分換算で9重量%よりも高い場合、樹脂6中の他の成分との相溶性が低下し、結果的に、防汚性フィルム1(重合体層3)の透明性が低下する(白化する)。樹脂6が複数種のパーフルオロアルキル系モノマー(S)を含有する場合、複数種のパーフルオロアルキル系モノマー(S)の含有率の合計が有効成分換算で2.5〜9重量%であればよい。
パーフルオロアルキル系モノマー(S)としては、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、等が挙げられる。
2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの公知例としては、ユニマテック社製の「CHEMINOX(登録商標) FAAC−6」等が挙げられる。2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの公知例としては、ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−4」等が挙げられる。2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレートの公知例としては、ユニマテック社製の「CHEMINOX FAMAC−6」等が挙げられる。2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレートの公知例としては、ユニマテック社製の「CHEMINOX FAMAC−4」等が挙げられる。1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレートの公知例としては、大阪有機化学工業社製の「ビスコート8F」等が挙げられる。1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレートの公知例としては、大阪有機化学工業社製の「ビスコート8FM」等が挙げられる。
本実施形態では、フッ素系化合物として、フッ素系オリゴマー(R)とパーフルオロアルキル系モノマー(S)とを併用しているため、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)により多く偏在し、防汚性フィルム1の防汚性がより高まる。
樹脂6は、単官能アミドモノマーを更に含有していてもよい。本明細書中、「単官能アミドモノマー」は、アミド基を有し、かつ、アクリロイル基を1分子当たり1個有するモノマーを意味する。樹脂6に単官能アミドモノマーが配合されていると、フッ素系化合物との相溶性が高まるため、フッ素系化合物中のフッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在しやすくなり、防汚性フィルム1の防汚性がより高まる。また、樹脂層8の硬化収縮が抑制され、基材2との凝集力が高まるため、重合体層3と基材2との密着性が高まる。
樹脂6は、有効成分換算で、単官能アミドモノマーを、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%含有していてもよい。樹脂6中の単官能アミドモノマーの含有率が有効成分換算で1重量%よりも低い場合、重合体層3と基材2との密着性が充分に高まらないことがある。樹脂6中の単官能アミドモノマーの含有率が有効成分換算で15重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が高まらず、結果的に、耐擦性が低下することがある。樹脂6が複数種の単官能アミドモノマーを含有する場合、複数種の単官能アミドモノマーの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であることが好ましい。
単官能アミドモノマーとしては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、等が挙げられる。
N−アクリロイルモルホリンの公知例としては、KJケミカルズ社製の「ACMO(登録商標)」等が挙げられる。N,N−ジメチルアクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「DMAA(登録商標)」等が挙げられる。N,N−ジエチルアクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「DEAA(登録商標)」等が挙げられる。N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「HEAA(登録商標)」等が挙げられる。ダイアセトンアクリルアミドの公知例としては、日本化成社製の「DAAM(登録商標)」等が挙げられる。N−n−ブトキシメチルアクリルアミドの公知例としては、MRCユニテック社製の「NBMA」等が挙げられる。
樹脂6は、多官能アクリレートを更に含有していてもよい。本明細書中、「多官能アクリレート」は、アクリロイル基を1分子当たり2個以上有するアクリレートを意味する。樹脂6に多官能アクリレートが配合されていると、重合体層3の架橋密度が高まり、適度な弾性(硬度)が付与されるため、耐擦性が高まる。
多官能アクリレートは、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを少なくとも一種含むことが好ましい。これにより、重合体層3による適度な弾性(硬度)が付与されるため、耐擦性がより高まる。
樹脂6は、有効成分換算で、多官能アクリレートを、好ましくは50〜94重量%、より好ましくは60〜90重量%含有していてもよい。樹脂6中の多官能アクリレートの含有率が有効成分換算で50重量%よりも低い場合、重合体層3が硬くなり、結果的に、耐擦性が低下することがある。樹脂6中の多官能アクリレートの含有率が有効成分換算で94重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が高まらず、結果的に、耐擦性が低下することがある。樹脂6が複数種の多官能アクリレートを含有する場合、複数種の多官能アクリレートの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であることが好ましい。
多官能アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、等が挙げられる。
ポリエチレングリコール(200)ジアクリレートの公知例としては、MIWON社製の「MIRAMER(登録商標) M282」等が挙げられる。トリメチロールプロパントリアクリレートの公知例としては、MIWON社製の「MIRAMER M300」等が挙げられる。
樹脂6は、重合開始剤を更に含有していてもよい。樹脂6に重合開始剤が配合されていると、樹脂層8の硬化性が高まる。
重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられ、中でも、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は、活性エネルギー線に対して活性である重合開始剤である。
光重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤、等が挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアルキルフェノン類、等が挙げられる。
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドの公知例としては、IGM Resins社製の「LUCIRIN(登録商標) TPO」、「IRGACURE(登録商標) TPO」、等が挙げられる。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの公知例としては、IGM Resins社製の「IRGACURE 819」等が挙げられる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの公知例としては、IGM Resins社製の「IRGACURE 184」等が挙げられる。
樹脂6は、溶剤を更に含有していてもよい。この場合、溶剤は、樹脂6の各成分中に有効成分とともに含有されていてもよく、各成分とは独立して含有されていてもよい。
溶剤としては、例えば、アルコール(炭素数1〜10:例えば、メタノール、エタノール、n−又はi−プロパノール、n−、sec−、又は、t−ブタノール、ベンジルアルコール、オクタノール等)、ケトン(炭素数3〜8:例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル又はエーテルエステル(炭素数4〜10:例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート、エーテル(炭素数4〜10:例えば、EGモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、EGモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(炭素数6〜10:例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(炭素数3〜10:例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、ハロゲン化炭化水素(炭素数1〜2:例えば、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等)、石油系溶剤(例えば、石油エーテル、石油ナフサ等)、等が挙げられる。
樹脂6の厚みT2は、好ましくは5〜45μm、より好ましくは7〜35μmである。樹脂6の厚みT2が5μmよりも小さい場合、重合体層3(樹脂層8)中のフッ素原子の量が少なくなり、防汚性フィルム1の防汚性が低下することがある。樹脂6の厚みT2が45μmよりも大きい場合、重合体層3(樹脂層8)の物性バランスが崩れ、結果的に、耐擦性が低下することがある。
樹脂6の粘度は、25℃において、好ましくは30cPよりも低い。樹脂6の粘度が30cP以上である場合、樹脂6中のフッ素系化合物の流動性が低下し、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に偏在しにくくなることがある。
[実施例及び比較例]
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、防汚性フィルムを製造するために用いた材料は以下の通りである。
<基材>
富士フイルム社製の「TAC−TD80U」を用い、その厚みは80μmであった。
富士フイルム社製の「TAC−TD80U」を用い、その厚みは80μmであった。
<金型>
下記の方法で作製したものを用いた。まず、金型の材料となるアルミニウムを、10cm角のガラス基板上にスパッタリング法によって成膜した。成膜されたアルミニウムの層の厚みは、1.0μmであった。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、多数の微小な穴(隣り合う穴(凹部)の底点間の距離が可視光の波長以下)が設けられた陽極酸化層を形成した。具体的には、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、及び、陽極酸化を順に行う(陽極酸化:5回、エッチング:4回)ことによって、アルミニウムの層の内部に向かって細くなる形状(テーパー形状)を有する微小な穴(凹部)を多数形成し、その結果、凹凸構造を有する金型が得られた。陽極酸化は、シュウ酸(濃度:0.03重量%)を用いて、液温5℃、印加電圧80Vの条件下で行った。1回の陽極酸化を行う時間は、25秒とした。エッチングは、リン酸(濃度:1mol/l)を用いて、液温30℃の条件下で行った。1回のエッチングを行う時間は、25分とした。金型を走査型電子顕微鏡で観察したところ、凹部の深さは290nmであった。
下記の方法で作製したものを用いた。まず、金型の材料となるアルミニウムを、10cm角のガラス基板上にスパッタリング法によって成膜した。成膜されたアルミニウムの層の厚みは、1.0μmであった。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、多数の微小な穴(隣り合う穴(凹部)の底点間の距離が可視光の波長以下)が設けられた陽極酸化層を形成した。具体的には、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、及び、陽極酸化を順に行う(陽極酸化:5回、エッチング:4回)ことによって、アルミニウムの層の内部に向かって細くなる形状(テーパー形状)を有する微小な穴(凹部)を多数形成し、その結果、凹凸構造を有する金型が得られた。陽極酸化は、シュウ酸(濃度:0.03重量%)を用いて、液温5℃、印加電圧80Vの条件下で行った。1回の陽極酸化を行う時間は、25秒とした。エッチングは、リン酸(濃度:1mol/l)を用いて、液温30℃の条件下で行った。1回のエッチングを行う時間は、25分とした。金型を走査型電子顕微鏡で観察したところ、凹部の深さは290nmであった。
<離型処理剤>
各離型処理剤の略称は、下記の通りである。
・「X1」
ダイキン工業社製の「オプツールDSX」
有効成分濃度:0.1重量%
・「X2」
ダイキン工業社製の「オプツールDSX」
有効成分濃度:0.001重量%
・「X3」
1,1,2,2−テトラヒドロ−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン(FAS13)
1分子当たりのCF2基の個数:6個
有効成分濃度:98重量%よりも高い
各離型処理剤の略称は、下記の通りである。
・「X1」
ダイキン工業社製の「オプツールDSX」
有効成分濃度:0.1重量%
・「X2」
ダイキン工業社製の「オプツールDSX」
有効成分濃度:0.001重量%
・「X3」
1,1,2,2−テトラヒドロ−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン(FAS13)
1分子当たりのCF2基の個数:6個
有効成分濃度:98重量%よりも高い
金型の表面処理としては、以下のように、表面処理M1〜M8が行われた。
(表面処理M1)
金型の表面上に離型処理剤X1を塗布した。離型処理剤X1の厚みは、5nmであった。その後、金型の離型処理剤X1が塗布された表面に対して、エキシマ紫外線を照射強度50mW/cm2で10分間照射した。
金型の表面上に離型処理剤X1を塗布した。離型処理剤X1の厚みは、5nmであった。その後、金型の離型処理剤X1が塗布された表面に対して、エキシマ紫外線を照射強度50mW/cm2で10分間照射した。
(表面処理M2)
エキシマ紫外線の照射時間を25分間としたこと以外、表面処理M1と同様であった。
エキシマ紫外線の照射時間を25分間としたこと以外、表面処理M1と同様であった。
(表面処理M3)
エキシマ紫外線の照射強度を15mW/cm2としたこと以外、表面処理M2と同様であった。
エキシマ紫外線の照射強度を15mW/cm2としたこと以外、表面処理M2と同様であった。
(表面処理M4)
エキシマ紫外線の照射時間を35分間としたこと以外、表面処理M1と同様であった。
エキシマ紫外線の照射時間を35分間としたこと以外、表面処理M1と同様であった。
(表面処理M5)
金型の表面上に離型処理剤X2を塗布した。離型処理剤X2の厚みは、5nmであった。
金型の表面上に離型処理剤X2を塗布した。離型処理剤X2の厚みは、5nmであった。
(表面処理M6)
金型の表面上に離型処理剤X3を塗布した。離型処理剤X3の厚みは、2nmであった。
金型の表面上に離型処理剤X3を塗布した。離型処理剤X3の厚みは、2nmであった。
(表面処理M7)
エキシマ紫外線の照射を行わなかったこと以外、表面処理M1と同様であった。
エキシマ紫外線の照射を行わなかったこと以外、表面処理M1と同様であった。
(表面処理M8)
エキシマ紫外線の照射時間を60分間としたこと以外、表面処理M1と同様であった。
エキシマ紫外線の照射時間を60分間としたこと以外、表面処理M1と同様であった。
<樹脂>
表1〜6に示すような組成(有効成分量)の樹脂A1〜A24を用いた。各成分の略称は、以下の通りである。
表1〜6に示すような組成(有効成分量)の樹脂A1〜A24を用いた。各成分の略称は、以下の通りである。
(パーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1))
・「MT70」
ソルベイ社製の「フォンブリンMT70」
有効成分濃度:80重量%
・「1203E」
信越化学工業社製の「KY−1203E」
有効成分濃度:20重量%
・「MT70」
ソルベイ社製の「フォンブリンMT70」
有効成分濃度:80重量%
・「1203E」
信越化学工業社製の「KY−1203E」
有効成分濃度:20重量%
(パーフルオロアルキル系オリゴマー(R2))
・「RS−90」
DIC社製の「メガファックRS−90」
有効成分濃度:10重量%
・「E8110」
ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL8110」
有効成分濃度:約50重量%
・「RS−90」
DIC社製の「メガファックRS−90」
有効成分濃度:10重量%
・「E8110」
ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL8110」
有効成分濃度:約50重量%
(パーフルオロアルキル系モノマー(S))
・「FAAC−6」
ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−6」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:59.1重量%
・「FAAC−4」
ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−4」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:53.7重量%
・「V8FM」
大阪有機化学工業社製の「ビスコート8FM」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:50.7重量%
・「FAAC−6」
ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−6」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:59.1重量%
・「FAAC−4」
ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−4」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:53.7重量%
・「V8FM」
大阪有機化学工業社製の「ビスコート8FM」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:50.7重量%
(パーフルオロアルキル系モノマー(S)以外のパーフルオロアルキル系モノマー)
・「V4F」
大阪有機化学工業社製の「ビスコート4F」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:40.9重量%
・「C10A」
Exfluor社製の「C10ACRY」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:65.2重量%
・「V4F」
大阪有機化学工業社製の「ビスコート4F」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:40.9重量%
・「C10A」
Exfluor社製の「C10ACRY」
有効成分濃度:100重量%
フッ素原子濃度:65.2重量%
(単官能アミドモノマー)
・「AC」
KJケミカルズ社製の「ACMO」
有効成分濃度:100重量%
・「AC」
KJケミカルズ社製の「ACMO」
有効成分濃度:100重量%
(多官能アクリレート)
・「M282」
MIWON社製の「MIRAMER M282」
有効成分濃度:100重量%
エチレンオキサイド基の個数:1分子当たり4個
・「M300」
MIWON社製の「MIRAMER M300」
有効成分濃度:100重量%
エチレンオキサイド基の個数:0個
・「M282」
MIWON社製の「MIRAMER M282」
有効成分濃度:100重量%
エチレンオキサイド基の個数:1分子当たり4個
・「M300」
MIWON社製の「MIRAMER M300」
有効成分濃度:100重量%
エチレンオキサイド基の個数:0個
(重合開始剤)
・「TPO」
IGM Resins社製の「IRGACURE TPO」
有効成分濃度:100重量%
・「TPO」
IGM Resins社製の「IRGACURE TPO」
有効成分濃度:100重量%
樹脂A1〜A24中の各成分の含有率(有効成分換算)を、表7〜12に示す。
<実施例1>
実施例1の防汚性フィルムを、以下の方法によって製造した。
実施例1の防汚性フィルムを、以下の方法によって製造した。
(A)金型の表面処理
金型に対して、表面処理M1を行った。
金型に対して、表面処理M1を行った。
(B)樹脂の塗布
樹脂A1を基材の表面上に塗布した。樹脂A1の厚みは、35μmであった。
樹脂A1を基材の表面上に塗布した。樹脂A1の厚みは、35μmであった。
(C)樹脂層の形成
樹脂A1を間に挟んだ状態で、基材を金型の表面(表面処理M1が行われた表面)に押し当てた。その結果、凹凸構造を表面(基材とは反対側の表面)に有する樹脂層が形成された。
樹脂A1を間に挟んだ状態で、基材を金型の表面(表面処理M1が行われた表面)に押し当てた。その結果、凹凸構造を表面(基材とは反対側の表面)に有する樹脂層が形成された。
(D)重合体層の形成
樹脂層に対して、基材側から紫外線(照射量:1J/cm2)を照射して硬化させた。その結果、重合体層が形成された。
樹脂層に対して、基材側から紫外線(照射量:1J/cm2)を照射して硬化させた。その結果、重合体層が形成された。
(E)金型の剥離
金型を重合体層から剥離した。その結果、防汚性フィルムが完成した。重合体層の厚みは、12μmであった。
金型を重合体層から剥離した。その結果、防汚性フィルムが完成した。重合体層の厚みは、12μmであった。
防汚性フィルムの表面仕様は、下記の通りであった。
凸部の形状:釣鐘状
凸部の平均ピッチ:200nm
凸部の平均高さ:200nm
凸部の平均アスペクト比:1.0
凸部の形状:釣鐘状
凸部の平均ピッチ:200nm
凸部の平均高さ:200nm
凸部の平均アスペクト比:1.0
防汚性フィルムの表面仕様の評価は、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「S−4700」を用いて行われた。なお、評価時には、メイワフォーシス社製のオスミウムコーター「Neoc−ST」を用いて、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)上に富士フイルム和光純薬社製の酸化オスミウムVIII(厚み:5nm)が塗布されていた。
その後、金型の転写(上記(B)〜(E)の一連のプロセス)を500回繰り返した。以下では、金型の転写回数が1回目である場合を「仕様1」、金型の転写回数が200回目である場合を「仕様2」、金型の転写回数が500回目である場合を「仕様3」、と呼ぶ。つまり、1回目の金型の転写で得られた防汚性フィルムを「仕様1の防汚性フィルム」、200回目の金型の転写で得られた防汚性フィルムを「仕様2の防汚性フィルム」、500回目の金型の転写で得られた防汚性フィルムを「仕様3の防汚性フィルム」、と呼ぶ。
<実施例2〜19、及び、比較例1〜13>
表13〜19に示すような製造条件に変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の防汚性フィルムを製造した。
表13〜19に示すような製造条件に変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の防汚性フィルムを製造した。
[評価]
各例について、以下の評価を行った。結果を、表13〜19に示す。
各例について、以下の評価を行った。結果を、表13〜19に示す。
<初期の離型性>
初期の離型性としては、金型の撥水性を評価した。
初期の離型性としては、金型の撥水性を評価した。
(撥水性)
1回目の転写前の金型について、表面に対して水(約10μlの液滴)を滴下し、滴下から1秒後の接触角(静的接触角)を測定した。なお、表13〜19中の「着滴せず」とは、接触角が非常に大きく(例えば、160°以上)、撥水性が非常に高い状態を示す。
1回目の転写前の金型について、表面に対して水(約10μlの液滴)を滴下し、滴下から1秒後の接触角(静的接触角)を測定した。なお、表13〜19中の「着滴せず」とは、接触角が非常に大きく(例えば、160°以上)、撥水性が非常に高い状態を示す。
接触角としては、協和界面科学社製のポータブル接触角計「PCA−1」を用いて、θ/2法(θ/2=arctan(h/r)、θ:接触角、r:液滴の半径、h:液滴の高さ)で測定された、3箇所の接触角の平均値を示した。ここで、1箇所目の測定点としては、金型の中央部分を選択し、2箇所目及び3箇所目の測定点としては、1箇所目の測定点から20mm以上離れ、かつ、1箇所目の測定点に対して互いに点対称な位置にある2点を選択した。
<透明性>
透明性としては、樹脂の透明性を評価した。
透明性としては、樹脂の透明性を評価した。
(樹脂の透明性)
樹脂を透明な試験管に入れ、その状態を照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:透明又はごくわずかに白濁していた。
△:わずかに白濁しているが、1日間放置した後であっても沈降物は見られなかった。
×:白濁しており、1日間放置した後に沈降物が見られた。
ここで、樹脂の透明性が高いほど、樹脂中の各成分の相溶性が高いと判断した。
樹脂を透明な試験管に入れ、その状態を照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:透明又はごくわずかに白濁していた。
△:わずかに白濁しているが、1日間放置した後であっても沈降物は見られなかった。
×:白濁しており、1日間放置した後に沈降物が見られた。
ここで、樹脂の透明性が高いほど、樹脂中の各成分の相溶性が高いと判断した。
<反射防止性>
反射防止性としては、防汚性フィルムの反射率を測定した。
反射防止性としては、防汚性フィルムの反射率を測定した。
(反射率)
まず、仕様1〜3の防汚性フィルムの各々に対して、基材の重合体層とは反対側の表面に、光学粘着層を介して、三菱レイヨン社製の黒色のアクリル板「アクリライト(登録商標)EX−502」を貼り付けた。そして、各仕様の防汚性フィルムについて、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して極角5°の方位からC光源の光を照射し、入射角5°における反射率(正反射率、単位:%)を測定した。反射率の測定は、日本分光社製の分光光度計「V−560」を用い、250〜850nmの波長領域で行った。本評価では、波長750nmにおける反射率(視感反射率:Y値)を反射防止性の評価指標とした。判定基準は、下記の通りとした。
◎:「反射率」≦0.1
○:0.1<「反射率」≦0.3
△:0.3<「反射率」≦0.5
×:「反射率」>0.5
ここで、判定が◎、○、又は、△である場合を、反射防止性が優れていると判断した。
まず、仕様1〜3の防汚性フィルムの各々に対して、基材の重合体層とは反対側の表面に、光学粘着層を介して、三菱レイヨン社製の黒色のアクリル板「アクリライト(登録商標)EX−502」を貼り付けた。そして、各仕様の防汚性フィルムについて、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して極角5°の方位からC光源の光を照射し、入射角5°における反射率(正反射率、単位:%)を測定した。反射率の測定は、日本分光社製の分光光度計「V−560」を用い、250〜850nmの波長領域で行った。本評価では、波長750nmにおける反射率(視感反射率:Y値)を反射防止性の評価指標とした。判定基準は、下記の通りとした。
◎:「反射率」≦0.1
○:0.1<「反射率」≦0.3
△:0.3<「反射率」≦0.5
×:「反射率」>0.5
ここで、判定が◎、○、又は、△である場合を、反射防止性が優れていると判断した。
<防汚性>
防汚性としては、防汚性フィルムの撥水性、撥油性、及び、指紋拭き取り性を評価した。
防汚性としては、防汚性フィルムの撥水性、撥油性、及び、指紋拭き取り性を評価した。
(撥水性)
仕様1〜3の防汚性フィルムの各々について、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して水(約10μlの液滴)を滴下し、滴下から1秒後の接触角(静的接触角)を測定した。なお、表13〜19中の「着滴せず」とは、接触角が非常に大きく(例えば、160°以上)、撥水性が非常に高い状態を示す。
仕様1〜3の防汚性フィルムの各々について、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して水(約10μlの液滴)を滴下し、滴下から1秒後の接触角(静的接触角)を測定した。なお、表13〜19中の「着滴せず」とは、接触角が非常に大きく(例えば、160°以上)、撥水性が非常に高い状態を示す。
(撥油性)
仕様1〜3の防汚性フィルムの各々について、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対してヘキサデカン(約10μlの液滴)を滴下し、滴下から1秒後の接触角(静的接触角)を測定した。
仕様1〜3の防汚性フィルムの各々について、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対してヘキサデカン(約10μlの液滴)を滴下し、滴下から1秒後の接触角(静的接触角)を測定した。
接触角としては、協和界面科学社製のポータブル接触角計「PCA−1」を用いて、θ/2法(θ/2=arctan(h/r)、θ:接触角、r:液滴の半径、h:液滴の高さ)で測定された、3箇所の接触角の平均値を示した。ここで、1箇所目の測定点としては、防汚性フィルムの中央部分を選択し、2箇所目及び3箇所目の測定点としては、1箇所目の測定点から20mm以上離れ、かつ、1箇所目の測定点に対して互いに点対称な位置にある2点を選択した。
(指紋拭き取り性)
まず、仕様1〜3の防汚性フィルムの各々に対して、基材の重合体層とは反対側の表面に、光学粘着層を介して、三菱レイヨン社製の黒色のアクリル板「アクリライトEX−502」を貼り付けた。次に、指紋を想定したものとして、伊勢久社製の人工汚染液を、旭化成せんい社製の「ベンコット(登録商標)S−2」に0.1ml浸み込ませてから、ゴム手袋を着用した指に付着させた。そして、各仕様の防汚性フィルムに対して、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に指で人工汚染液を付着させてから10分後、旭化成せんい社製の「ベンコットS−2」で10往復擦り、人工汚染液が拭き取れるかどうかを、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:人工汚染液が完全に拭き取れ、拭き残りが見えなかった。
△:人工汚染液は目立たないが、蛍光灯を映り込ませると拭き残りがわずかに見えた。
×:人工汚染液が全く拭き取れなかった。
ここで、判定が○又は△である場合を、指紋拭き取り性が優れていると判断した。
まず、仕様1〜3の防汚性フィルムの各々に対して、基材の重合体層とは反対側の表面に、光学粘着層を介して、三菱レイヨン社製の黒色のアクリル板「アクリライトEX−502」を貼り付けた。次に、指紋を想定したものとして、伊勢久社製の人工汚染液を、旭化成せんい社製の「ベンコット(登録商標)S−2」に0.1ml浸み込ませてから、ゴム手袋を着用した指に付着させた。そして、各仕様の防汚性フィルムに対して、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に指で人工汚染液を付着させてから10分後、旭化成せんい社製の「ベンコットS−2」で10往復擦り、人工汚染液が拭き取れるかどうかを、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:人工汚染液が完全に拭き取れ、拭き残りが見えなかった。
△:人工汚染液は目立たないが、蛍光灯を映り込ませると拭き残りがわずかに見えた。
×:人工汚染液が全く拭き取れなかった。
ここで、判定が○又は△である場合を、指紋拭き取り性が優れていると判断した。
表13〜16に示すように、実施例1〜19では、金型の転写回数が増加しても、防汚性に優れた防汚性フィルムを製造することができた。また、実施例1〜19では、金型の転写回数が増加しても、反射防止性に優れた防汚性フィルムを製造することができた。
一方、表17〜19に示すように、比較例1〜13では、金型の転写回数が増加すると、防汚性に優れた防汚性フィルムを製造することができなかった。
比較例1では、金型の表面処理が行われず、初期の離型性(水の接触角)が低過ぎたため、防汚性フィルムの防汚性が仕様1の段階で低かった。また、金型の転写回数が増加すると、5回目の金型の転写時に、金型が重合体層から剥離されにくくなり、防汚性フィルムの製造が困難となったため、その後の評価を中止した。
比較例2では、金型の初期の離型性(水の接触角)が高過ぎたため、金型の転写回数が増加すると、仕様2の段階で金型が白化した(反射防止性が低下した)。そのため、その後の評価を中止した。
比較例3では、金型の初期の離型性(水の接触角)が低過ぎたため、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
比較例4では、フッ素系化合物が樹脂に配合されていなかったため、防汚性フィルムの防汚性が仕様1の段階で低かった。また、金型の転写回数が増加すると、25回目の金型の転写時に、金型が重合体層から剥離されにくくなり、防汚性フィルムの製造が困難となったため、その後の評価を中止した。
比較例5では、フッ素系化合物としてフッ素系オリゴマー(R)(パーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1))のみが樹脂に配合されていたため、防汚性フィルムの防汚性が高まりにくく、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
比較例6では、フッ素系化合物としてフッ素系オリゴマー(R)(パーフルオロアルキル系オリゴマー(R2))のみが樹脂に配合されていたため、防汚性フィルムの防汚性が高まりにくく、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
比較例7では、フッ素系化合物としてパーフルオロアルキル系モノマー(S)のみが樹脂に配合されていたため、防汚性フィルムの防汚性が高まりにくく、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
比較例8では、樹脂に配合されたパーフルオロアルキル系モノマー(S)中のフッ素原子濃度が50重量%よりも低かったため、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
比較例9では、樹脂に配合されたパーフルオロアルキル系モノマー(S)中のフッ素原子濃度が60重量%よりも高かったため、樹脂中の他の成分との相溶性が低下し、防汚性フィルムが仕様1の段階で白化した(反射防止性が低下した)。そのため、その後の評価を中止した。
比較例10では、樹脂中のフッ素系オリゴマー(R)(パーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1))の含有率が有効成分換算で12.5重量%よりも高かったため、樹脂中の他の成分との相溶性が低下し、防汚性フィルムが仕様1の段階で白化した(反射防止性が低下した)。そのため、その後の評価を中止した。
比較例11では、樹脂中のフッ素系オリゴマー(R)(パーフルオロポリエーテル系オリゴマー(R1))の含有率が有効成分換算で2.5重量%よりも低かったため、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
比較例12では、樹脂中のパーフルオロアルキル系モノマー(S)の含有率が有効成分換算で9重量%よりも高かったため、樹脂中の他の成分との相溶性が低下し、防汚性フィルムが仕様1の段階で白化した(反射防止性が低下した)。そのため、その後の評価を中止した。
比較例13では、樹脂中のパーフルオロアルキル系モノマー(S)の含有率が有効成分換算で2.5重量%よりも低かったため、金型の転写回数が増加すると、防汚性フィルムの防汚性が低下した。
[付記]
本発明の一態様は、基材と、上記基材の表面上に配置され、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層と、を備える防汚性フィルムの製造方法であって、金型の表面上に離型処理剤を塗布し、上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に対する水の接触角を90〜150°に調節するプロセス(1)と、樹脂を上記基材の表面上に塗布するプロセス(2)と、上記樹脂を間に挟んだ状態で、上記基材を上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に押し当て、上記凹凸構造を表面に有する樹脂層を形成するプロセス(3)と、上記樹脂層を硬化させ、上記重合体層を形成するプロセス(4)と、を含み、上記樹脂は、有効成分換算で、(メタ)アクリロイル基を有するフッ素系オリゴマーを2.5〜12.5重量%、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマーを2.5〜9重量%含有し、上記フッ素系オリゴマーは、パーフルオロポリエーテル系オリゴマー及びパーフルオロアルキル系オリゴマーのうちの少なくとも一方を含み、上記パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は、50〜60重量%である、防汚性フィルムの製造方法であってもよい。本態様によれば、金型の転写回数が増加しても、防汚性に優れた防汚性フィルムを製造することができる。
本発明の一態様は、基材と、上記基材の表面上に配置され、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層と、を備える防汚性フィルムの製造方法であって、金型の表面上に離型処理剤を塗布し、上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に対する水の接触角を90〜150°に調節するプロセス(1)と、樹脂を上記基材の表面上に塗布するプロセス(2)と、上記樹脂を間に挟んだ状態で、上記基材を上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に押し当て、上記凹凸構造を表面に有する樹脂層を形成するプロセス(3)と、上記樹脂層を硬化させ、上記重合体層を形成するプロセス(4)と、を含み、上記樹脂は、有効成分換算で、(メタ)アクリロイル基を有するフッ素系オリゴマーを2.5〜12.5重量%、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマーを2.5〜9重量%含有し、上記フッ素系オリゴマーは、パーフルオロポリエーテル系オリゴマー及びパーフルオロアルキル系オリゴマーのうちの少なくとも一方を含み、上記パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は、50〜60重量%である、防汚性フィルムの製造方法であってもよい。本態様によれば、金型の転写回数が増加しても、防汚性に優れた防汚性フィルムを製造することができる。
上記プロセス(1)では、上記金型の上記離型処理剤が塗布された表面に対して、エキシマ紫外線を照射してもよい。これにより、上記プロセス(1)において、上記金型の初期の離型性を意図的に低下させることができる。
上記プロセス(1)で上記金型の表面上に塗布される上記離型処理剤は、有効成分濃度が0.0001〜0.001重量%であってもよい。これにより、上記プロセス(1)において、上記金型の初期の離型性を意図的に低下させることができる。
上記プロセス(1)で上記金型の表面上に塗布される上記離型処理剤は、CF2基を1分子当たり3〜25個有するシランカップリング剤であってもよい。これにより、上記プロセス(1)において、上記金型の初期の離型性を意図的に低下させることができる。
上記樹脂は、有効成分換算で、上記フッ素系オリゴマーを5〜10重量%含有していてもよい。これにより、上記防汚性フィルムの防汚性がより高まる。更に、上記樹脂中の他の成分との相溶性が高まるため、結果的に、上記防汚性フィルム(上記重合体層)の透明性がより高まる。
上記樹脂は、有効成分換算で、上記パーフルオロアルキル系モノマーを3〜7重量%含有していてもよい。これにより、上記防汚性フィルムの防汚性がより高まる。更に、上記樹脂中の他の成分との相溶性が高まるため、結果的に、上記防汚性フィルム(上記重合体層)の透明性がより高まる。
上記パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は、52〜60重量%であってもよい。これにより、上記防汚性フィルムの防汚性がより高まる。
上記樹脂は、単官能アミドモノマーを更に含有していてもよい。これにより、上記フッ素系オリゴマー及び上記パーフルオロアルキル系モノマーを含むフッ素系化合物との相溶性が高まるため、フッ素系化合物中のフッ素原子が上記重合体層の表面(上記基材とは反対側の表面)に偏在しやすくなり、上記防汚性フィルムの防汚性がより高まる。また、上記樹脂層の硬化収縮が抑制され、上記基材との凝集力が高まるため、上記重合体層と上記基材との密着性が高まる。
上記重合体層の厚みは、5〜20μmであってもよい。これにより、上記フッ素系オリゴマー及び上記パーフルオロアルキル系モノマーを含むフッ素系化合物中のフッ素原子が、上記重合体層の表面(上記基材とは反対側の表面)により高濃度で偏在する。
上記複数の凸部の平均ピッチは、100〜400nmであってもよい。これにより、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生が充分に防止される。
上記複数の凸部の平均高さは、50〜600nmであってもよい。これにより、上記複数の凸部の好ましい平均アスペクト比と両立させることができる。
上記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8〜1.5であってもよい。これにより、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生が充分に防止され、優れた反射防止性を実現することができる。更に、上記凹凸構造の加工性の低下による、スティッキングの発生、及び、上記凹凸構造を形成する際の転写具合の悪化が充分に防止される。
1:防汚性フィルム
2:基材
3:重合体層
4:凸部
5:金型
6:樹脂
7:離型処理剤
8:樹脂層
20:フッ素含有モノマー
21:ダメージ部分
22:フッ素系化合物
23:フッ素含有モノマーの余剰分
P:凸部のピッチ
H:凸部の高さ
T:重合体層の厚み
T1:離型処理剤の厚み
T2:樹脂の厚み
2:基材
3:重合体層
4:凸部
5:金型
6:樹脂
7:離型処理剤
8:樹脂層
20:フッ素含有モノマー
21:ダメージ部分
22:フッ素系化合物
23:フッ素含有モノマーの余剰分
P:凸部のピッチ
H:凸部の高さ
T:重合体層の厚み
T1:離型処理剤の厚み
T2:樹脂の厚み
Claims (12)
- 基材と、前記基材の表面上に配置され、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層と、を備える防汚性フィルムの製造方法であって、
金型の表面上に離型処理剤を塗布し、前記金型の前記離型処理剤が塗布された表面に対する水の接触角を90〜150°に調節するプロセス(1)と、
樹脂を前記基材の表面上に塗布するプロセス(2)と、
前記樹脂を間に挟んだ状態で、前記基材を前記金型の前記離型処理剤が塗布された表面に押し当て、前記凹凸構造を表面に有する樹脂層を形成するプロセス(3)と、
前記樹脂層を硬化させ、前記重合体層を形成するプロセス(4)と、を含み、
前記樹脂は、有効成分換算で、(メタ)アクリロイル基を有するフッ素系オリゴマーを2.5〜12.5重量%、(メタ)アクリロイル基を1分子当たり1個有するパーフルオロアルキル系モノマーを2.5〜9重量%含有し、
前記フッ素系オリゴマーは、パーフルオロポリエーテル系オリゴマー及びパーフルオロアルキル系オリゴマーのうちの少なくとも一方を含み、
前記パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は、50〜60重量%であることを特徴とする防汚性フィルムの製造方法。 - 前記プロセス(1)では、前記金型の前記離型処理剤が塗布された表面に対して、エキシマ紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記プロセス(1)で前記金型の表面上に塗布される前記離型処理剤は、有効成分濃度が0.0001〜0.001重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記プロセス(1)で前記金型の表面上に塗布される前記離型処理剤は、CF2基を1分子当たり3〜25個有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記樹脂は、有効成分換算で、前記フッ素系オリゴマーを5〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記樹脂は、有効成分換算で、前記パーフルオロアルキル系モノマーを3〜7重量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記パーフルオロアルキル系モノマー中のフッ素原子濃度は、52〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記樹脂は、単官能アミドモノマーを更に含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記重合体層の厚みは、5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記複数の凸部の平均ピッチは、100〜400nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記複数の凸部の平均高さは、50〜600nmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
- 前記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8〜1.5であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の防汚性フィルムの製造方法。
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