本発明は、1対のグラス(眼鏡としても知られている)、単眼鏡または片眼鏡のフレームに関する。
眼鏡、単眼鏡または片眼鏡のフレームは、それ自体既知である。これらは、それらが1対のグラス(眼鏡)、単眼鏡または片眼鏡向けに意図されているかに応じて、グラスを受けるための1つまたは複数のフレーム要素(以下、ベースフレーム本体と称する)および1つまたは複数のフレームテンプルまたはフレームハンドルを含む。
独国実用新案第202009015326号明細書は、天然角から作成された眼鏡フレームを開示している。
独国実用新案第6943178号明細書から、スイベルおよび取り外し可能なグラスを備えた木製の眼鏡が既知である。使用される木材の種類に関するさらなる詳細は、この文献に見出すことはできない。
独国実用新案第20301522号明細書から、グラスのテンプル、鼻部分、半円形部分または全リム部分の100%が、鹿角、木材、象牙または他の天然材料から選択された材料からなる天然素材の眼鏡が既知である。
独国特許出願公開第3436959号明細書から、2つの角の層の間に木材の層を含み得る、眼鏡フレームのためのラミネートが既知である。使用される木材の種類に関するいかなる種類の情報も、この文献に見出すことはできない。
独国実用新案第202014001236号明細書から、前部および2つのテンプルを有する、眼鏡レンズを保持するための眼鏡フレームが既知であり、各テンプルは少なくとも1つの端部に、少なくとも1つの木材層および少なくとも1つの角の層を有するラミネートを有し、木材層は第1の端部から一区画を経てテンプルに沿って延伸し、角の層はテンプルの全長にわたって延伸する。
独国実用新案第202015103674号明細書から、少なくともその区画において鉱物複合材料から構成された少なくとも1つのフレーム部材を含む、一対のグラスまたは単眼鏡または片眼鏡のフレームが既知である。
独国実用新案第8429806号明細書の主題は、グラスを受け入れるための中央部分(レンズフレーム)と、中央部分にヒンジ止めされた2つのブラケットとから成り、少なくとも1つのフレーム部分については天然の角が使用される眼鏡フレームである。
国際公開第2008/078823号パンフレットから、眼鏡用のグラスフレームが知られており、これは、高圧および高温で処理された木材から形成された構成要素を含む。
最後に、特開2009/217255号公報には、本質的に木製の眼鏡フレームが記載されているが、使用される木材の処理の指示は示されていない。
フレームが木製のグラスは木製グラスと呼ばれる。木材は安価で一般的な商品であるが、素材は眼鏡類においては一般的でなく、珍しい。
文献に記載され、市販されている木製グラスは、天然の木材材から適切な加工後に作成される。しかしながら、そのような眼鏡は、木材が天然素材として「作用」し、長期的な寸法安定性に悪影響を与える成分を含むという事実から生じるいくつかの欠点を有する。
したがって、グラスを収容するのに役立ち、長時間にわたって十分な寸法安定性を有する木材をベースとするフレーム、特にベースフレーム本体を備えた眼鏡、単眼鏡および片眼鏡が依然として必要とされている。
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項および以下の詳細な説明に記載される。
1対の眼鏡、単眼鏡または片眼鏡のための本発明によるフレームは、アルコール含有媒体による抽出を受けた木製のフレーム基体を有する。
フレーム基体に加えて、1対のグラス、単眼鏡または片眼鏡のための本発明のフレームの他の要素もまた、適切な木材で作成されてもよい。一例として、適切な木材から作成することができる、単眼鏡または片眼鏡のテンプル(フレームブラケット)またはハンドル(フレームハンドル)のみが言及される場合がある。
アルコール含有媒体としては、アルコール、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコール、特に好ましくはエタノールを含有するかまたはそれから構成される任意の液体または気体媒体が適している。アルコールの含有量は、特に限定されず、2〜100重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは7〜50重量%の範囲内であってもよい。
抽出温度は、いかなる特定の制約も受けず、使用される抽出媒体およびそのアルコール含有量に依存して変化してもよい。場合によっては、0℃から使用されるアルコールの沸点までの抽出温度が有利であることが判明している。必要に応じて、圧力を高めて抽出することにより温度を下げることができる。
最後に、アルコールを含む媒体による抽出の持続時間は、いかなる特定の制限も受けない。抽出が行われる時間は、数時間から数ヶ月または数年の範囲であり得る(特に、本発明の好ましい実施形態に従って、アルコール飲料、特に、例えば、ウイスキーもしくはジン、またはポートワインなどの強化飲料のようなワインまたは蒸留酒が貯蔵されていた木材が使用される場合)。場合によっては、1日から2年、好ましくは1週間から1年の範囲の抽出時間が有利であることが判明している。温度または圧力を上げるか、またはこれらの両方の手段を組み合わせることによって、抽出時間を必要に応じて短縮または調整することができる。
主に、任意のタイプの木材が、これをアルコール含有媒体と接触させることによって抽出に適している。したがって、個々の適用事例に応じて、樹木または針葉樹からの木材、地元産の木材または熱帯木材を使用することができる。
好ましくは、使用済みのバリック樽から得られる木材、特に好ましくは、使用済みのバリック樽から得られるオーク材から得られる木材が使用される。
ワインまたは他のアルコール飲料、特に、3つの例のみを挙げると、ジンもしくはウイスキーまたはポートワインのような強化飲料のような蒸留酒が貯蔵されていた、バリック樽からの特に好ましい木材が使用される。
アルコール飲料が貯蔵されていた容器(例えば、バリック樽)から得られた木材を使用する場合、アルコールを含む媒体による別個の抽出は必要ではない。すなわち、そのような木材は、直ちに、さらなる前処理なしで使用することができる。
アルコールを含む媒体による抽出を受けた木材、例えばアルコール飲料が貯蔵されていた容器から得られた木材は、アルコール飲料と接触していない天然の木材と比較して、長時間にわたってより良好な寸法安定性および耐湿性を有する。良好な寸法安定性が、木製フレームにおいて堅固で安定したグラスのフィットにとって重要であるため、これは、眼鏡類のフレームに使用する場合に重要である。
アルコール飲料との接触によって、天然の木材で温度および湿度の変化に反応し、それによって問題を引き起こす、木材からの特定の成分(特にタンニンおよび同様の成分)が浸出(抽出)される。
処理を行っていない天然の木材は、それ自体が異なる温度および湿度下で「作用」し、これは、単純な木片から作成される木製のグラスがすぐに亀裂を生じ、損傷することを意味する。したがって、天然の木材から作成される木製のグラスは、通常、接着合板(ベニヤ木材)から作成される。ベニヤ木材、すなわち、木目が異なる方向においてともに接着された数層の木材は、天然の木材と比較した場合、より良好な安定性を有する。しかしながら、この調製方法は高価であり、木製グラスのコストをかなり増加させる。
本発明によるフレームでは、理想的な場合には、複数のベニヤ層の使用を完全に省くことができ、または必要なベニヤ層の数を少なくとも減らすことができる。ある期間(例えば、数日から数ヶ月または数年)にわたってアルコール媒体と接触している木材を使用することにより、本発明によるフレームは、異なる温度または異なる湿度の結果としての変化を受けることを少なくされる。
しかしながら、アルコール含有媒体による抽出を受けた木材から作成される複数の木材層を合板化することによって、または、技術的もしくは審美的理由で望ましい場合には処理された木材を他の構成要素と組み合わせることによって、本発明によるフレームを従来の方法で得ることも容易に可能である。したがって、本発明によるフレームの特別な製造方法は必要ではなく、従来のプロセスも使用されてもよい。
本発明によるフレームは、1つまたは複数のフレーム部材(要素)を含む。フレーム要素の具体的な数および幾何学的構造設計は、基本的に、フレームの全体構成によって、すなわち、これが1対のグラスのフレーム(眼鏡またはグラスのフレーム)であるか、または、単眼鏡のフレームであるか、または、片眼鏡のフレームであるかに応じて決定される。
本発明によるフレームは、眼鏡、単眼鏡または片眼鏡のためのグラスのような光学素子用の対応するレセプタクル(座部)を含む、いわゆるフレーム基体を有する。眼鏡フレームのフレーム基体は、典型的には、2つの眼鏡グラスのためのレセプタクルを有し(これは、片眼鏡のフレームにも適用される)、一方、単眼鏡のフレーム本体は、1つの眼鏡グラスのための1つのレセプタクルを有する。
フレーム基体に加えて、本発明によるフレームは、1対のグラス(眼鏡)、単眼鏡または片眼鏡のフレームであるかに応じて、1つまたは複数のフレームテンプル(イヤピース)またはフレームハンドルを含む。対応するフレームテンプレートまたはフレームハンドルは、フレームの本体と一体的に形成されてもよく、または本体と直接的もしくは間接的に(例えば、ヒンジを介して)別個の構成要素として接続されてもよい。
眼鏡の場合にベースフレーム本体に取り付けられたテンプル(イヤピース)は、通常、ベースフレーム本体に対して可動であり、特に旋回可能である。この可動性は、ヒンジまたは同様の要素によって達成される。これらは、通常、テンプル(イヤピース)とベースフレーム本体の間に配置または形成され、ベースフレーム本体とテンプル(イヤーピース)の両方に接続される。
ベースフレーム本体を眼鏡フレーム内のテンプル(イヤピース)と接続するヒンジは、通常、金属材料またはプラスチックから作成される。
本発明の一実施形態によれば、異なる材料の組み合わせから作成されるテンプル(イヤピース)を使用することも可能である。これにより、審美的効果および技術的効果を有する可能性がある様々な設計オプションが可能になる。そのようなテンプル(イヤピース)の製造プロセスは、それ自体既知であり、文献に記載されているため、ここでは詳細を記す必要はない。ほんの一例として、少なくとも2つの材料から作成されるテンプル(イヤピース)を有する眼鏡フレームおよびその製造方法が開示されている独国実用新案第202014001236号明細書を挙げることができる。
眼鏡、単眼鏡または片眼鏡のための木材をベースとするフレームを製造する方法もそれ自体知られており、文献に記載されているため、これに関してはそれぞれの従来技術も参照される。
本発明によるフレームは、木材をベースとする既知の従来技術のフレームにまさる技術的および審美的の両方の利点を有する。
1つには、特にアルコール飲料が貯蔵されていた木製容器を使用することにより、そうでなければ熱利用にのみ供給される木材を使用することができ、すなわち、そうでなければ燃やすしかない木材を使用することができる。新鮮な天然の木材を使用する必要がないため、これは天然資源の節約につながる。
さらに、適切な容器からの木材を使用することにより、これらの容器の、容器の内容に関する情報を与える印が存在する部分を使用することによって、装飾的および審美的な効果を達成することもできる。それにより、フレームが、それが作成されている天然材料の種類に関する即時の情報を与えることが可能である。
主に、例えば、ワインの所有者が、自身の好みのワインが貯蔵されており、したがって、その起源に関する情報を直接提供する容器容器(樽)の木材から、自身で眼鏡フレームまたは単眼鏡もしくは片眼鏡のフレームを製造することが可能である。
本発明はまた、眼鏡、単眼鏡または片眼鏡のフレームのためのベースフレーム本体の製造のための、アルコール含有媒体を用いた抽出を受けている木材の使用にも関する。
本発明のさらなる主題は、本発明によるフレームを備えた眼鏡、単眼鏡または片眼鏡である。