以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係るラベル付き容器10を示す斜視図である。ラベル付き容器10は、容器20(マイクロ波処理用容器)、被包フィルム30、及び通蒸ラベル40を有している。容器20は、電子レンジ等の電磁調理器による加熱調理に対応する容器であり、内部には食品等の内容物が収容されている。
また、容器20(マイクロ波処理用容器)は、開口部28が設けられた蓋体24と、容器本体22とを有している。容器20の開口部28は、熱融解可能な被包フィルム30に覆われており、さらに開口部28及び被包フィルム30を覆うように通蒸ラベル40が貼付されている。言い換えれば、通蒸ラベル40は、被包フィルム30によって密封包装された状態の容器20の開口部28に対応する位置となるように蓋体24に貼付されている。通蒸ラベル40は、ラベル付き容器10に収容された食品を加熱調理された際に発生する蒸気を排出可能とされている。以下、各構成について詳細に説明する。
<容器(マイクロ波処理用容器)について>
図2に示すとおり、容器20(マイクロ波処理用容器)は、内容物たる食品が収容される容器本体22と、容器本体22の開口を閉塞する蓋体24とを有する。また、容器20は、蓋体24に開口部28が設けられている。開口部28は、容器20の内部空間から外部へと連通する蓋体24の切目として設けられている。
なお、本発明のラベル付き容器に用いられる容器(マイクロ波処理用容器)は、開口部28が形成された密封容器であれば特に限定されない。例えば、本発明のラベル付き容器に用いられる容器は、樹脂を用いたシート成形容器や射出成形容器、発泡樹脂容器のような形状維持容器が挙げられるが、柔らかい軟質容器でもよい。なお、前記形状維持容器は、内容物を収納した際に、その形状が実質的に変形しない容器をいい、前記軟質容器は、内容物を収納した際に膨らんで変形する容器をいう。
容器本体22には、食品等の内容物が収容される。容器本体22は、シート成形品、射出成形品又は発泡樹脂成形品などからなる凹状体である。図2に示すとおり、容器本体22は、略円形の平面形状とされた椀状の外観とされている。容器本体22の上端には、周方向全域に亘り蓋嵌合部22aが形成されている。図2に示すとおり、蓋嵌合部22aは、容器本体22の縁部を段状に形成された部分である。容器本体22は、蓋嵌合部22aに後述する蓋体24のフランジ部24aを嵌め込むことにより、容器本体22の開口が閉塞される。
なお、容器本体22の平面視形状は、特に限定されず、平面視略矩形状、平面視略円形状、略楕円形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状などが挙げられる。
蓋体24は、容器本体22の開口を閉塞するための蓋材である。蓋体24は、シート成形品、射出成形品又は発泡樹脂成形品などからなる。蓋体24は、平面視において略円形の外観とされ、周方向の外側に延びるように環状に形成されたフランジ部24aが設けられている。また、蓋体24の上方面の略中央には、上方面の一部を容器20の下方面に向かって凹状に窪ませて形成された凹部26が設けられている。
蓋体24は、容器本体22の開口を閉塞した状態では、フランジ部24aが容器本体22の蓋嵌合部22aに嵌め込まれる。これにより、容器20は、容器本体22に対して蓋体24を着脱可能とされている。容器本体22に取り付けられた蓋体24は、さらに、留めシートや帯シールなどによって容器本体22から外れないように保持されるものであってもよい。さらに、密封性を確保するため必要に応じて、蓋体24のフランジ部24a等の周縁部と、容器本体22の蓋嵌合部22a等を、手で剥がせる程度の接着力で接着してもよい。蓋体24と容器本体22との接着は、代表的には、熱溶着が挙げられるが、接着剤を用いて接着してもよい。本実施形態では、容器本体22と蓋体24とは、被包フィルム30(熱収縮性フィルム)によって密封包装されている。
凹部26は、蓋体24の略中央に形成されている。凹部26の平面視形状は、特に限定されない。凹部26の深さは、特に限定されないが、余りに小さいと、実質的に凹部26にならず、余りに大きいと、凹部26の内側が収納空間に収納された内容物と接触するおそれがある。かかる観点から、凹部26の深さは、3mm〜15mmが好ましい。
開口部28は、容器20の内部に収容された内容物から発生する蒸気を、容器20の内部空間から外部へと排出するための蒸気抜き用の開口として設けられている。上述のとおり、本実施形態の容器20では、蓋体24の凹部26に開口部28が設けられている。図3に示すとおり、開口部28は、蓋体24に切目28aを設けることにより、略U字状に形成されている。
なお、開口部28は、蓋体24に形成する場合に限られず、例えば、容器本体22の上方部に形成してもよい。また、開口部28の形成位置は、容器20の収納空間に連通する位置であれば特に限定されず、適宜設定できる。例えば、開口部28は、容器20に形成された凹部26内に形成され、好ましくは、凹部26の底面に形成される。容器20の凹部26は、内側に凹んだ容器20の一部分をいう。なお、容器20は、凹部26を有しないものであってもよい。また、開口部28は、凹部26に形成されるものに限定されない。
図3(a)に示すとおり、開口部28は、切目28aにより取り囲まれた領域27aと、他の領域27bとの境界をなすように形成されている。切目28aにより取り囲まれた領域27aは、他の領域27bとの接続部分を基端とすると、基端と反対側の他端が、他の領域27bに対して遊離可能な自由端27dとされている。図3(b)に示すとおり、開口部28は、容器20の内部に蒸気が発生すると、蒸気圧により自由端27dが他の領域27bに対して容器20の外側に離間して、容器20の上下方向に開口する隙間29を形成する。容器20の内部に発生した蒸気は、隙間29を介して容器20の内部から外部へと排出される。容器20は、開口部28を通じて排出される蒸気を、開口部28から自由端27dの向く方向(容器20の周縁に向かう方向)である蒸気排出方向Xに向けて排出できる。
開口部28の平面視形状は、特に限定されず、有端直線状;X字状、Y字状、U字状、V字状、C字状などの有端非直線状;ピンホール、比較的大きな径の孔などの穿設孔状;などが挙げられる。
なお、開口部28は、蒸気排出方向Xを開口部28から容器20の周縁に向かう方向とする場合には、開口部28の切目28aを、U字状、V字状、コの字状、C字状等、自由端が形成される形状とすることが望ましい。これにより、後述する通蒸ラベル40の可変表示部60に向けて、効率的に蒸気を排出させることができる。
<被包フィルムについて>
被包フィルム30は、熱溶融しうるフィルムであって、包装に適するものであれば、その材質や厚みなどは特に限定されない。被包フィルム30は、熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)でもよいし、ストレッチフィルム(自己伸縮性フィルム)でもよく、その性質についても限定されない。また、被包フィルム30は、開口部28を覆うように容器20を包装可能なものであればいかなるものでもよい。例えば、被包フィルム30は、容器20の蓋体24全域と蓋嵌合部22aとに装着されるものであってもよいし、帯状フィルムであってもよい。
<通蒸ラベルについて>
図4(a)に示すとおり、通蒸ラベル40は、ラベル基材44、導電体層46、粘着層48、及び可変表示部60を有している。また、通蒸ラベル40には、スリット部50が設けられている。
図4(b)に示すとおり、通蒸ラベル40は、後述する粘着層48が形成された面が被包フィルム30に貼付される貼付面40aとされ、貼付面40aとは反対側の面が容器20の外側に露出する露出面40bとされている。可変表示部60は、通蒸ラベル40の露出面40bに形成されている。
通蒸ラベル40は、ラベル基材44、導電体層46、及び粘着層48を有する多層体である。通蒸ラベル40には、貼付面40a側に粘着剤からなる粘着層48が形成されている。導電体層46は、基材44の裏面(貼付面40a側)に積層されている。粘着層48は、通蒸ラベル40の裏面(貼付面40a側)の全域に形成されている。なお、粘着層48は、貼付面40aの全域に形成されたものであってもよいし、例えば、通蒸ラベル40の周縁に沿って形成されるものであってもよい。
さらに、通蒸ラベル40には、最上層の基材44から最下層の粘着層48の裏面に渡るスリット部50が形成されている。スリット部50は、通蒸ラベル40を厚み方向全層に渡って、カッターなどで切り込むことにより形成されている。
図4(a)に示すとおり、本実施形態では、スリット部50は、通蒸ラベル40の厚み方向(図7では上下方向)に延びるように設けられ、平面視において直線状の形状とされている。なお、スリット部50の平面形状は、特に限定されず、直線状、略V字状、略U字状などの単数の直線又は非直線からなる形状、略X字状、略十字状、対向接触する2本の略U字状などの複数の直線又は非直線交差からなる形状、直線、略V字状などの非直線の複数を平行に配置させた形状や直線、略V字状などの非直線の複数を非平行(例えば対向させる)に配置させた形状、略円形状(楕円などを含む)、略四角形状、略三角形状などの無端線からなる形状、これら各線を適宜組み合わせた形状など、種々選択可能である。
さらに、スリット部50の隙間は、1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下であり、導電体層46の分離端面同士が実質的に接触していてもよい(スリット部50に実質的に隙間がない状態)。
基材44の材質は、特に限定されず、合成樹脂製フィルム、合成紙、紙、異種の材質の積層体などを用いることができる。また、基材44は、単層構造とされたものであってもよいし、複数の素材を積層させた多層構造とされたものであってもよい。
なお、基材44の露出面40bには、後述する示温インクではないインク(通常インク)を用いた印刷により、通常印刷層が形成されている。さらに、基材44の露出面40bには、通常印刷層よりも露出面40b側に後述する示温インクによる印刷層が形成されている。基材44には、通常印刷層により、後述する表示情報として、内容物たる食品が適温であることを示唆する文字や、内容物たる食品が加熱されて高温であることを示唆する注意喚起の文字、あるいは商品名、商標、使用説明、絵柄などが印刷されている。
導電体層46は、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属、合金又は金属酸化物などの導電性物質を含有する層であり、金属蒸着、導電性物質を含むインキによる印刷、導電性物質の溶射、金属箔や導電性フィルムなどの接着などにより、基材44に積層される。なかでも、導電体層46として蒸着層を用いれば、大きなスパークが発生し難く、使用者を驚かせないため好ましい。導電体層46の厚みは、金属蒸着の場合には、約0.005〜0.1μm程度、好ましくは0.015μm以上、より好ましくは0.04μm以上であり、好ましくは0.08μm以下である。例えば、アルミ蒸着の場合には、厚さ0.01〜0.08μm、好ましくは0.04〜0.06μmに形成される。また、金属箔の場合には、その金属の電気抵抗により異なるが、例えば厚さ1〜30μm程度、導電性物質含有インキを塗布する場合には、厚さ1〜20μm程度が例示される。尚、金属箔(例えば、厚さ5〜15μmのアルミニウム箔)を用いる場合、スリット部50の切断面(導電体層46の分離端面)に、微細な凹凸、好ましくは、先端の尖った凸部を有する微細な凹凸(例えば、鋸刃状)が形成されていれば、スパークが発生し易くなるので好ましい態様である。また、導電体層46は、金属蒸着、金属箔などの接着、導電性インキのベタ印刷などによって基材44に容易に設けることができることから、基材44の全面に積層されていることが好ましいが、必ずしも基材44の全面に積層されている場合に限られず、基材44の一部に部分的に設けられていてもよい。尚、導電体層46の大きさは、マイクロ波処理する収容物等の構成によって適宜設計される。
基材44の平面形状は特に限定されず、例えば、本実施形態で例示するような長方形の他、略蝶ネクタイ状(2つの台形の上底を突き合わせた形状)、特に図示しないが、円形状、楕円形状、三角形状、その他の形状に形成することができる。
また、マイクロ波照射時に、スリット部50の形状に沿って被包フィルム30に切れ目32を確実に形成するためには、導電体層46(導電体層46が全面に積層されている場合には基材44)は、ある程度の面積が必要と考えられる。マイクロ波照射により切れ目が形成されるのは、導電体層46で生じた電流が導電体層46のスリット部50に集まってスパーク等を生じることに起因すると考えられるので、マイクロ波を受けて電流を生じる部分である導電体層46が狭いと、十分に電流が生じなかったり、或いはスリット部50の一部分のみに電流が流れてスリット部50の形状に沿った大きな切れ目を形成し難くなると考えられる。このような点を考慮して、導電体層46の大きさは適宜設計すればよい。
図4に示すとおり、可変表示部60は、通蒸ラベル40の露出面40bに設けられている。また、可変表示部60は、通蒸ラベル40を平面視した場合において、通蒸ラベル40の中央よりも一の周縁側(図4では右側)に形成されている。より具体的には、可変表示部60は、通蒸ラベル40において容器20の開口部28が下方に位置する想定位置よりも、蒸気排出方向X側に設けられている。
可変表示部60は、印刷された文字や図形、絵柄等(以下、「文字等」と記載する場合がある)、可視可能な情報である表示情報を含み、表示情報の表示状態を変化可能とされている。より具体的には、可変表示部60は、文字等の表示情報を、温度条件により、文字等が視認可能な表示状態と文字等が視認できないあるいは視認が困難な表示状態とに変化可能とされている。
なお、本明細書において「表示情報」とは、示温インク及び通常インクのうちのいずれを用いて印刷されたかに関わらず、文字、図形、絵柄、一定の領域にインク色のベタ塗りが表示されたもの等(文字等)、インク色の発色により視認可能とされる全てのものが含まれる。言い換えれば、本明細書における「表示情報」には、示温インクにより印刷された文字等、及び通常インクにより印刷された文字等の双方が含まれる。
可変表示部60は、視認可能な文字や図形、絵柄等の表示情報の少なくとも一部が、示温インクを用いた印刷により表示されている。「示温インク」とは、所定の温度域に到達するとインク色の発色状態を変化させる印刷用のインクである。
本明細書における「発色状態の変化」には、インク色が無彩色(黒色、白色、灰色等)であるか有彩色(赤色、青色、黄色等)であるかを問わず、視認可能なインク色が発色して視認可能となる状態(有色状態)からインク色が消色して視認ができなくなる、あるいは視認が困難となる状態(消色状態)に変化すること、及び消色状態から発色状態に変化することの双方が含まれる。また、「発色状態の変化」とは、ある温度に到達するとインク色の変化が開始され、ある温度まで上昇するとインク色が見えなくなる、あるいは視認が困難となり消色状態となるなど、一定の温度域においてインク色の発色状態の変化が完了するものが含まれる。
なお、温度域に関わらずインク色の発色が維持され、ラベルに文字等を表示するために通常用いられる印刷用インクを、示温インクと区別するため「通常インク」と記載して説明する場合がある。
また、示温インクには、「可逆性示温インク」と「不可逆性示温インク」とが含まれる。「可逆性示温インク」とは、所定の温度域に到達すると、インク色の発色状態が変化し、所定の温度域に戻ると元のインク色の発色状態に戻るよう、可逆的に発色状態を変化させる示温インクである。一方、「不可逆性示温インク」とは、所定の温度域に到達するとインク色の発色状態が変化し、所定の温度域に戻っても元のインク色の発色状態に戻らず、不可逆的に発色状態を変化させる示温インクである。
さらに、本実施形態の可変表示部60の表示情報を印刷するために用いられる示温インクは、いかなるインク色のものであってもよい。
また、示温インクの発色状態の変化を生じさせる温度域は、示温インクの種類により種々選択可能である。例えば、常温とされる温度域(摂氏15度〜25度)では有色状態とされ、温度が上昇して摂氏40度に到達すると消色状態とされる示温インクを選択して可変表示部60に印刷を行ってもよい。さらに、人が熱いと感じる温度域(摂氏60度程度)に到達すると、有色状態から消色状態へと発色状態を変化させる示温インクを選択して可変表示部60に印刷を行ってもよい。さらに、示温インクは、発色状態の変化が生じる温度域を種々選択可能であるほか、可逆性示温インク及び不可逆性示温インクのいずれを選択してもよい。
図4(a)に示すとおり、本実施形態の可変表示部60には、可逆性示温インクを用いた印刷により表示情報の表示状態を変化可能とされた第一可変表示部62と、不可逆性示温インクを用いた印刷により表示情報表示状態を変化可能とされた第二可変表示部64とが設けられている。また、可変表示部60には、示温インクを用いた印刷により所定の温度域で発色状態が変化する示温インク部66が設けられている。なお、本実施形態の示温インク部66には、可逆性示温インクを用いた印刷による第一示温インク部66aと、不可逆性示温インクを用いた印刷による第二示温インク部66bとが含まれる。
第一可変表示部62は、通常インクにより印刷された文字等が可逆性示温インクのベタ塗りとされた第一示温インク部66aにより遮蔽された状態で、表示情報が表示されている。第一可変表示部62の印刷に用いられている可逆性示温インクは、温度域がN1に到達する前では有色状態とされ、温度がN1(例えば摂氏40度)に到達すると消色状態となり、温度がN1よりも下がると再び有色状態となる。言い換えれば、第一示温インク部66aは、温度域がN1に到達する前では印刷された表示情報が視認できる状態となり、温度がN1(例えば摂氏40度)に到達すると印刷された表示情報が視認できない、あるいは視認が困難な状態となり、温度がN1よりも下がると再び印刷された表示情報が視認できる状態となる。
図5(a)に示すとおり、第一可変表示部62の表示情報は、温度域がN1よりも低温である常温の状態では、通常インクにより印刷された文字が第一示温インク部66aに覆い隠された状態で表示される。すなわち、第一可変表示部62の表示情報は、常温の状態では文字が覆い隠されて表示されない状態となる。図5に一例として示すとおり、第一可変表示部62の表示情報は、常温の状態では、適温に加熱されたことを報知する「おいしく召し上がれます」との文字が表示されない。
図5(b)に示すとおり、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域がN1に到達すると、第一示温インク部66aのインク色が消色状態となる。そのため、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域がN1を超えた状態では、第一示温インク部66aのインク色が消色状態となり、通常インクにより印刷された文字情報が視認できる状態で表示される。すなわち、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域N1を超えた状態では文字が表示された状態となる。図5に一例として示すとおり、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域がN1(例えば摂氏40度)を超えた状態では、適温に加熱されたことを報知する「おいしく召し上がれます」との文字が表示される。
図5(d)に示すとおり、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域がN1を超えた後に温度がN1よりも低下して常温となると、第一示温インク部66aのインク色は消色状態から有色状態となる。そのため、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域がN1を超えた状態から常温まで低下した場合、第一示温インク部66aのインク色が再び有色状態(インク色が発色する状態)となり、通常インクにより印刷された文字情報が遮蔽されて表示されない状態となる。図5に一例として示すとおり、第一可変表示部62に表示された表示情報は、温度域がN1(例えば摂氏40度)の状態から常温の状態まで低下すると、適温に加熱されたことを報知する「おいしく召し上がれます」との文字が表示されない。
上述のように、第一可変表示部62に表示された表示情報は、現在の温度域がN1よりも高温である場合には文字情報が表示される表示態様とされ、現在の温度域がN1よりも低温である場合には文字情報が表示されない表示態様とされる。このように、第一可変表示部62は、表示情報を現在の温度域と連動した表示態様により表示する。
第二可変表示部64は、通常インクにより印刷された文字等が不可逆性示温インクのベタ塗りとされた第二示温インク部66bにより遮蔽された状態で、表示情報が表示されている。第二可変表示部64の印刷に用いられている不可逆性示温インクは、温度域がN2に到達する前では有色状態とされ、温度がN2(例えば摂氏60度)に到達すると消色状態となり、一旦消色状態とされると温度がN2よりも下がった場合でも消色状態が維持される。言い換えれば、第二示温インク部66bは、温度域がN2に到達する前では印刷された表示情報が視認できる状態となり、温度がN2(例えば摂氏40度)に到達すると印刷された表示情報が視認できない、あるいは視認が困難な状態となり、一旦温度がN2に到達した後は表示情報が視認できない状態が維持される。
また、第二可変表示部64の表示情報の印刷に用いられる不可逆性示温インクの発色状態を変化させる温度域N2は、第一可変表示部62に設けられる表示情報の印刷に用いられる可逆性示温インクの発色状態を変化させる温度域N1と異なる。
図5(a)に示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2よりも低温である常温の状態では、通常インクにより印刷された文字情報が第二示温インク部66bに覆い隠された状態で表示される。すなわち、第二可変表示部64に表示された表示情報は、常温の状態では文字が覆い隠されて表示されない状態となる。図5に一例として示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、常温の状態では、適温以上に加熱され高温であることを報知する「熱くなっていますのでやけどに注意してください」との文字が表示されない。
図5(b)に示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2よりも低温であるN1の状態では、通常インクにより印刷された文字情報が第二示温インク部66bに覆い隠された状態で表示される。すなわち、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域N1の状態では文字が覆い隠されて表示されない状態となる。このように、温度域N1では、第一可変表示部62に表示される文字情報が表示される状態となるのに対し、第二可変表示部64に表示される文字情報は表示されない。図5に一例として示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN1の状態では、適温以上に加熱され高温であることを報知する「熱くなっていますのでやけどに注意してください」との文字が表示されない。
図5(c)に示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2に到達すると、第二示温インク部66bのインク色が消色状態となる。そのため、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2を超えた状態では、第二示温インク部66bのインク色が消色状態となり、通常インクにより印刷された文字情報が視認できる状態で表示される。すなわち、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域N2を超えた状態では文字が現れて表示された状態となる。図5に一例として示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2以上となると、適温以上に加熱され高温であることを報知する「熱くなっていますのでやけどに注意してください」との文字が表示される。
図5(d)に示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2を超えた後に温度がN2よりも低下して常温となった場合であっても、第二示温インク部66bのインク色は消色状態が維持される。そのため、第二可変表示部64に表示された表示情報は、一旦温度域がN2を超えた状態となると、その後の温度域に関わらず通常インクにより印刷された文字が視認できる状態で維持される。図5に一例として示すとおり、第二可変表示部64に表示された表示情報は、一旦温度域がN2以上となると、その後の温度が低下した場合であっても、適温以上に加熱され高温であることを報知する「熱くなっていますのでやけどに注意してください」との文字が表示される。これにより、第二可変表示部64は、内容物の温度が一旦N2以上まで加熱された履歴があることを示唆することができる。
上述のように、第二可変表示部64に表示された表示情報は、温度域がN2に到達する以前は文字情報が表示されない表示態様とされ、一旦温度域がN2よりも高温となった後には文字情報が表示される表示態様とされる。このように、第二可変表示部64は、表示情報を一度温度N2に到達したか否かを示唆する表示態様により表示する。
なお、可変表示部60に表示させる表示情報は、上述のように通常インクを用いた印刷により文字を印刷して、通常印刷による印刷文字を示温インクによるベタ塗りを施して遮蔽するように表示するもののほか、示温インクを用いた印刷により文字が印刷されたものであってもよい。また、示温インクは、シルク印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等、種々の方法により印刷することができる。さらに、示温インクを用いた印刷により通常印刷による文字等を遮蔽する場合には、シルク印刷などにより、40μm以上の厚みとされることが望ましい。
例えば、図6に示すとおり、温度域N1を超えると発色状態が変化する可逆性示温インクを用いた印刷により第一可変表示部62を設け、温度域N2を超えると発色状態が変化する不可逆性示温インクを用いた印刷により第二可変表示部64を設けてもよい。また、第一可変表示部62及び第二可変表示部64の双方を、示温インクを用いた印刷により文字を表示したものであってもよい。
また、第一可変表示部62及び第二可変表示部64に表示される表示情報は、いかなるものであってもよい。例えば、図6に一例をして示すとおり、第一可変表示部62に内容物の加熱が必要であることを示唆する文字「加熱してお召し上がりください」を表示し、第二可変表示部64に内容物が一旦加熱されたことを示唆する文字「加熱済みです」を表示してもよい。
さらに、第一可変表示部62及び第二可変表示部64を表示するインク色は、いかなるものであってもよい。例えば、第一可変表示部62の文字を表示するインク色と、第二可変表示部64の文字を表示するインク色とは、同一色を用いてもよいし、異なるものとしてもよい。
なお、本実施形態の通蒸ラベル40は、上述のとおり、可逆タイプの示温インクを用いた印刷とされた第一示温インク部66aを含む第一可変表示部62と、不可逆タイプの示温インクを用いた印刷とされた第二示温インク部66bを含む第二可変表示部64とを設けた例を示したが、本発明のラベル付き容器に設けられる通蒸ラベルはこれに限定されない。
例えば、本発明のラベル付き容器に設けられる通蒸ラベルは、可変表示部60に、第一示温インク部66a及び第二示温インク部66bのうち、いずれか一方が設けられるものであってもよい。
さらに、上述の実施形態では、第一可変表示部62の表示情報を表示する示温インクの発色状態を変化させる温度域と、第二可変表示部64の表示情報を表示する示温インクの発色状態を変化させる温度域とを、異なる温度域とした例を示したが、本発明のラベル付き容器に設けられる通蒸ラベルはこれに限定されない。
例えば、本発明のラベル付き容器に設けられる通蒸ラベルは、第一可変表示部62に用いられる可逆タイプの示温インクの発色状態を変化させる温度域と、第二可変表示部64に用いられる不可逆タイプの示温インクの発色状態を変化させる温度域とを、略同一の温度域としてもよい。さらに、本発明のラベル付き容器に設けられる通蒸ラベルは、発色状態を変化させる温度域が異なる複数の可逆タイプの示温インク又は不可逆タイプの示温インクを用いて異なる表示情報を表示する可変表示部を形成してもよい。
さらに、本発明のラベル付き容器に設けられる通蒸ラベルは、いかなる表示情報が可変表示部に表示されるものであってもよい。例えば、可変表示部に表示される表示情報は、上述の実施形態において一例をして示したとおり、ラベル付き容器の内容物たる食品が適温に加熱されたことを示唆する情報や、内容物たる食品が適温以上に加熱され高温であることを示唆して注意喚起する情報以外のものであってもよい。例えば、可変表示部に表示される表示情報は、内容物たる飲料や食品などが所定の温度域以下であることを示唆する情報(例えば、「冷えています」等)や、表示情報の表示状態が変化することによりくじの当たりの当否が遮蔽された状態から当否が判別可能とされる「インスタントウィン」などであってもよい。
<ラベル付き容器について>
続いて、ラベル付き容器10について説明する。ラベル付き容器10は、被包フィルム30に包装された状態の容器20に対して、被包フィルム30を介して開口部28を覆うように通蒸ラベル40が貼付されている。
ラベル付き容器10は、電子レンジ等のマイクロ波が照射される前の状態では、開口部28が被包フィルム30により覆われて閉塞された状態で維持される。そのため、ラベル付き容器10は、例えば、ラベル付き容器10に食品等の内容物を収容した食品において、量販店、コンビニエンスストア等の店頭に陳列された状態では、開口部28を閉塞させて容器の内部に異物が混入することを抑制することができる。
図7に示すとおり、ラベル付き容器10に電子レンジ等のマイクロ波を照射すると、通蒸ラベル40のスリット部50を通じて被包フィルム30にスリット部50と略同形状(直線状)の開封用切れ目32が形成される、又はスリット部50付近が高温に発熱することにより被包フィルム30のスリット部50と隣接する部分が溶融する。これは、導電体層46で生じた電流が、導電体層46の分離端面の対向部分(スリット部50)に集まってスパーク等を生じるためと考えられる。具体的には、スリット部50にスパークが発生し、スパークがスリット部50を通じて被包フィルム30に作用して、被包フィルム30のスリット部50と略同じ形状の切れ目32が形成される。あるいは、スリット部50近傍が高温となり、被包フィルム30が融解して、切れ目32が形成される。これにより、ラベル付き容器10は、通蒸ラベル40及び被包フィルム30に通蒸口54を形成して、開口部28から排出される蒸気を通蒸口54から外部へと排出することができる。このように、ラベル付き容器10は、容器内部の蒸気圧が過剰に上昇する前に開口部28から排出される蒸気を、容器20の外部へ排出させることができる。その結果、ラベル付き容器10は、内容物が過剰に加熱されて容器20が破裂することを抑制することができる。
また、食品等の内容物が収容されたラベル付き容器10を加熱すると、やがて内部に発生した蒸気は、開口部28から蒸気排出方向Xに向けて排出される。通蒸ラベル40の可変表示部60は、開口部28よりも蒸気排出方向X側に設けられている。そのため、可変表示部60には、容器20の内部から排出される蒸気が効率的に噴き付けられる。
可変表示部60に蒸気が噴き付けられ、温度域がN1(例えば摂氏40度)に到達すると、第一可変表示部62の表示状態が変化する。具体的には、図5(b)に示すとおり、温度域がN1に到達すると、第一可変表示部62は、内容物の温度が適温に加熱されたことを示唆する文字(本実施形態では「おいしく召し上がれます」と記載された文字)を遮蔽していた第一示温インク部66aが消色状態となり、内容物の温度が適温に加熱されたことを示唆する文字が視認できる状態で表示される。これにより、ラベル付き容器10は、内容物が適温まで加熱されたことを視覚的に報知することができる。
さらに可変表示部60に蒸気が噴き付けられ、温度域がN2(例えば摂氏60度)に到達すると、第二可変表示部64の表示状態が変化する。具体的には、図5(c)に示すとおり、温度域がN2に到達すると、内容物が適温以上に加熱され高温であることを報知して注意喚起する文字(本実施形態では「熱くなっていますのでやけどに注意してください。」と記載された文字)を遮蔽していた第二示温インク部66bが消色状態となり、注意喚起の文字が視認できる状態で表示される。これにより、ラベル付き容器10は、内容物が高温であることを表示して、利用者に注意を促す注意喚起を表示することができる。
図5(d)に示すとおり、内容物が収容されたラベル付き容器10が一旦温度域N2まで加熱され、その後温度が低下した場合(内容物が冷めた場合)、第一可変表示部62は、第一示温インク部66aが有色状態となり、内容物が適温であることを示唆する文字が再び遮蔽された状態となる。これにより、ラベル付き容器10は、内容物の温度が適温ではないこと(内容物が冷めてしまったこと)を示唆することができる。また、第二可変表示部64は、第二示温インク部66bが消色した状態で維持される。そのため、ラベル付き容器10は、内容物が一旦温度N2まで加熱されたか否かを示唆することができる。すなわち、ラベル付き容器10は、不可逆性示温インクにより表示情報を表示することにより、ラベル付き容器10の内容物の熱履歴を示唆することができる。
<第二実施形態>
続いて、本発明の第二実施形態に係るラベル付き容器100について説明する。図10に示すとおり、ラベル付き容器100は、容器20及び通蒸ラベル140を有する。本実施形態のラベル付き容器100の通蒸ラベル140は、開口部28を覆うように蓋体24に直接貼付される。開口部28は、通蒸ラベル140により閉塞されている。
なお、ラベル付き容器100の容器20は、第一実施形態において説明したラベル付き容器10の容器20と同様の構成とされている。そのため、以下のラベル付き容器100の説明において、容器20については第一実施形態において用いた符号と同一の符号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。また、以下のラベル付き容器100の説明では、通蒸ラベル140について説明する。
通蒸ラベル140は、表基材144(第一基材)、裏基材146(第二基材)、及び粘着層148を含む多層体と、可変表示部60とを有する。なお、通蒸ラベル140の可変表示部60は、第一実施形態において説明した通蒸ラベル40の可変表示部60と同様の構成とされている。そのため、以下の説明では、表基材144、裏基材146、及び粘着層148により構成される多層体について詳細に説明し、可変表示部60については第一実施形態の通蒸ラベル40の可変表示部60の説明において付した符号と同一の符号を用いて説明し詳細な説明を省略する。
図8に示すとおり、通蒸ラベル140には、貼付面140a側に粘着層148が露出する粘着部150が形成されている。また、可変表示部60は、通蒸ラベル140の露出面140b側に設けられている。
通蒸ラベル140は、貼付面140aから露出面140bに向けて、裏基材146、粘着層148、及び表基材144が積層された構成とされている。言い換えれば、通蒸ラベル140は、粘着層148を介して裏基材146と表基材144とが積層された構成とされている。また、通蒸ラベル140には、表基材144の裏面のうち、裏基材146が積層されていない領域に、粘着層148が露出する粘着部150が形成される。
表基材144(第一基材)は、非収縮性の基材により形成されている。裏基材146は、熱収縮可能とされた基材により形成されている。通蒸ラベル140は、裏基材146が熱収縮して変形することにより表基材144に起伏を生じさせ、容器20の開口部28から排出される蒸気の通蒸口を形成可能とされている。
図8(a)に示すとおり、表基材144は、平面視において略矩形の外観を有している。また、表基材144の露出面140b側には、通常インクによる印刷が設けられている。さらに、表基材144の露出面140b側には、通常インクを用いた印刷を遮蔽するように示温インクを用いた印刷が施され、可変表示部60が設けられている。
表基材144は、柔軟なシートであれば特に限定されないが、熱により実質的に変形しないシートが好ましい。また、表基材144は、平面視において略矩形の形状であってもよいし、円形、楕円形等、種々選択可能である。
ここで、本明細書において、熱により実質的に変形しないシートは、熱が加わることによって変形しない又は変形してもその変形量が本発明の属する技術分野において許容される誤差範囲であるものをいう。誤差範囲は、例えば、後述する熱収縮率が5%未満を含む。
実質的に変形しないシートとしては、紙、合成紙、熱収縮性を有さない合成樹脂シート、不織布及び発泡樹脂シート、並びにこれらの積層シートが挙げられ、好ましくは、熱収縮性を有さない合成樹脂シート又はこれを含む積層シートであり、より好ましくは、合成樹脂シートである。合成樹脂シートの材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。合成樹脂シートは、1つの層で構成されていてもよく、又、異種若しくは同種の異なる複数の層から構成されていてもよい。また、表基材144は、マイクロ波を受けてもそれ自身スパークしないシート(マイクロ波によってスパークし得る成分が実質的に含まれていないもの)が好ましく、さらに、マイクロ波を受けてもそれ自身スパーク及び発熱しないシート(マイクロ波によってスパーク及び発熱し得る成分が実質的に含まれていないもの)がより好ましい。本明細書において、シートとは、フィルムと呼ばれるものと同義である。
表基材144の厚みは、特に限定されず、例えば、20μm〜120μmであり、好ましくは20μm〜100μmであり、より好ましくは30μm〜60μmである。
裏基材146(第二基材)は、熱収縮可能とされた基材により構成されている。図8(a)に示すとおり、裏基材146は、平面視において略菱形状の形状を有している。また、裏基材146は、表基材144よりも小さい大きさとされている。
裏基材146は、熱により変形する柔軟なシートが用いられる。熱によって変形するシートとしては、熱収縮性を有する合成樹脂シート、不織布及び発泡樹脂シート並びにこれらの積層シートなどの熱収縮性シート;形状記憶シート;などが挙げられる。裏基材146としては、熱収縮性シートが好ましい。
熱収縮性シートは、所要温度(例えば、80℃)に加熱されると、面方向に収縮するシートである。熱収縮性シートは、合成樹脂シート又はこれを含む積層シートから構成されていることが好ましく、合成樹脂シートから構成されていることがより好ましい。合成樹脂シートの材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。合成樹脂シートは、少なくとも1つの熱収縮層を含んでいることを条件として、1つの熱収縮層で構成されていてもよく、又、異種若しくは同種の異なる複数の層から構成されていてもよい。また、裏基材146は、マイクロ波を受けてもそれ自身スパークしないシートが好ましく、さらに、マイクロ波を受けてもそれ自身スパーク及び発熱しないシートがより好ましい。
裏基材146の面積は、表基材144よりも小さければ特に限定されないが、余りに大きいと相対的に粘着部150が小面積となり、他方、余りに小さいと裏基材146を設けた意義が低下するので、例えば、裏基材146の面積は、表基材144の面積の0.2倍〜0.9倍であり、好ましくは、0.3倍〜0.8倍である。
また、裏基材146は、容器20の開口部28の全体を覆うことができる大きさに形成されていることが好ましい。
粘着部150は、表基材144に対して裏基材146を積層させ、表基材144の裏面に設けられた粘着層148が貼付面140a側に露出することにより形成される。より具体的には、粘着部150は、表基材144の面積に対して小さい面積とされた裏基材146が、表基材144の縁に接触又は交差しないように表基材144に対して粘着層148を介して接着されることにより、表基材144の裏面のうち裏基材146が積層されていない領域(裏基材146の縁よりも外側の領域)において粘着層148の裏面が露出することにより形成される。言い換えれば、粘着部150は、表基材144のうち裏基材146が積層されていない領域に形成される。また、粘着部150は、裏基材146を取り囲むように環状に形成される。通蒸ラベル140は、環状に形成された粘着部150を有するので、容器の開口部が確実に密封される。
粘着部150は、その周方向において幅が異なるように形成されることが好ましい。例えば、粘着部4は、裏基材146の熱収縮方向と直交する方向における表基材144の両側部のうち少なくとも一方の側部において、その幅が最小となった最小幅部とされた脆弱部152を形成することが好ましい。なお、粘着部150は、その周方向において略均一な幅(略均一な面積)とされるものであってもよい。
また、表基材144及び裏基材146の平面視における形状は、矩形、円形、楕円、菱形等、いかなる形状であってもよい。なお、表基材144及び裏基材146の形状は、これらが積層された状態で、粘着部150の幅が表基材144の周方向において異なるように形成され、最小幅部とされた脆弱部152が形成されるものであることが好ましい。また、表基材144(第一基材)を熱収縮可能とされた基材により形成し、裏基材146(第二基材)を非収縮性の基材により形成してもよい。
例えば、本実施形態の通蒸ラベル140では、略矩形の表基材144に対し、略菱形状の裏基材146を積層させることにより、表基材144の周縁において貼付対象面(本実施形態では蓋体24)に対する粘着が弱い脆弱部152を形成している。通蒸ラベル140は、脆弱部152を設けることにより、裏基材146が熱収縮した際に、表基材144を変形させつつ脆弱部152近傍の周縁を貼付対象面(蓋体24)から離間させて、通蒸口154を形成可能とされている。
続いて、通蒸ラベル140を備えるラベル付き容器100について説明する。ラベル付き容器100は、容器20の開口部28が覆われるように通蒸ラベル140が貼付されている。
ラベル付き容器100に電子レンジ等のマイクロ波が照射され、容器20の内部に蒸気が発生すると、蒸気が開口部28を通じて通蒸ラベル140に向けて噴き付けられる。図9に示すとおり、通蒸ラベル140は、蒸気の熱により裏基材146が熱収縮する。また、通蒸ラベル140は、裏基材146の熱収縮に伴って表基材144が変形して起伏が生じる。また、通蒸ラベル140は、表基材144の変形により脆弱部152が蓋体24から離間して、通蒸口154が形成される。ラベル付き容器100は、通蒸口154を通じて蒸気を外部へ排出させることができる。これにより、ラベル付き容器100は、容器内部の蒸気圧が過剰に上昇する前に開口部28から排出される蒸気を、容器20の外部へ排出させることができる。その結果、ラベル付き容器100は、内容物が過剰に加熱されて容器20が破裂することを抑制することができる。
また、食品等の内容物が収容されたラベル付き容器100を加熱すると、やがて内部に発生した蒸気は、開口部28から蒸気排出方向Xに向けて排出される。通蒸ラベル40の可変表示部60は、開口部28よりも蒸気排出方向X側に設けられている。そのため、可変表示部60には、容器20の内部から排出される蒸気が効率的に噴き付けられる。これにより、ラベル付き容器100は、可変表示部60の表示状態を変化させ、内容物の温度域を視覚的に判別することができる。
以上、本発明の実施形態に係るラベル付き容器10,100について説明したが、本発明のラベル付き容器は、上述の実施形態に限定されない。
上述のとおり、本発明のラベル付き容器に用いられる容器(マイクロ波処理用容器)は、マイクロ波処理による加熱に対応するものであれば、いかなるものであってもよい。具体的には、マイクロ波処理用容器は、椀状のもの、袋状のもの、略矩形のもの等、開口部を有するものであればいかなるものであってもよい。
また、上述のとおり、本発明のラベル付き容器の可変表示部は、いかなる表示情報を有するものであってもよい。