JP2018119648A - オイルシール及びシール付軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール部材のシールリップと相手部材との間をシールリップの複数の突起で流体潤滑状態にすることが可能なオイルシールにおいて、突起数を増やすことなく、シールリップの突起間の部分における弾性変形を抑制する。【解決手段】シールリップ10を突起11の有無で周方向に区分して考えて、シールリップ10のうち、突起11が存在しない第二領域A2の剛性を、突起11が存在する第一領域A1の剛性に比して高くする。【選択図】図1

Description

この発明は、潤滑油中の異物が装置の内部空間へ侵入することを防ぐために用いられるオイルシール、及びそのオイルシールを備えるシール付軸受に関する。
例えば、自動車、各種建設用機械等の車両に搭載されたトランスミッション内にはギヤの摩耗粉等の異物が混在する。トランスミッションの回転軸を回転可能に支持する転がり軸受として、オイルシールを備えるシール付軸受を採用することにより、軸受の内部空間への異物侵入を防ぎ、軸受の早期破損を防止するようにしている。
このようなオイルシールとして、ゴム材で形成されたシールリップを有するシール部材と、シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備えるものが利用されている。相手部材は、例えば軌道輪、スリンガ等であり、シールリップを摺接させるシール摺動面を有する。シール部材と相手部材との間に偏心がある場合でもシールリップがシール摺動面に十分に追従できるようにするため、シールリップと、相手部材のシール摺動面との間に締め代を設定することが一般的である。シール部材と相手部材を所定に配置すると、その締め代により、シールリップが、相手部材のシール摺動面を緊迫する。このため、シール部材と相手部材との間の相対回転時、シール摺動面に摺接するシールリップの引き摺り抵抗(シールトルク)が生じる。また、その摺接の摩擦は、温度上昇の原因になる。この温度上昇が進むと、内部空間と外部との間の圧力差による吸着作用を招き、その摩擦が大きくなる。
これに対し、シールリップと相手部材のシール摺動面間を流体潤滑状態にすることが提案されている(特許文献1)。特許文献1で開示されたシール部材は、周方向に所定間隔で並ぶ多数の突起が形成されたシールリップを有する。突起は、相手部材のシール摺動面との間にくさび状の隙間を形成する。相手部材がシール部材に対して相対的に所定速度以上で回転しているとき、そのくさび状の隙間に潤滑油が引き摺り込まれ、くさび効果によって油膜形成が促進され、各突起が、相手部材のシール摺動面と流体潤滑状態で摺接する。このため、シールリップと相手部材のシール摺動面とが完全に分離される。
ここで、流体潤滑状態は、流体力学的な原理によって潤滑油の流体膜を二面間に形成し、摩擦面の直接接触が生じていない状態のことをいう。二面間の最小油膜厚さが二乗平均粗さと比較して大きい、一般に三倍以上である場合に流体潤滑状態であるとみなすことができる。シールリップと相手部材のシール摺動面との間が流体潤滑状態になると、摺動抵抗がほぼゼロになるため、シールトルクを極めて軽減することが可能であり、従来のオイルシールでは不可能だった高周速での使用が可能となる。また、突起の高さ設定により、所定以上の粒径の異物が突起間の隙間を通過できないようにして、装置の内部空間への侵入を防ぐことも可能である。
国際公開第WO2016/143786号
しかしながら、特許文献1のシールリップは、突起を除いて周方向全周に一様な断面形状になっており、周方向に隣り合う突起間に亘る部分の剛性が比較的に低い。その突起間に亘る部分は、自然状態のとき、周方向に沿うが、前述の締め代に起因する緊迫力により、図13に示すように、当該突起100間に亘る部分101は、弾性変形し、相手部材102のシール摺動面103側へ接近する。その結果、部分101とシール摺動面103との間での隙間104は、突起100の高さHより小さくなる。これは、シールトルクの上昇を招く原因になり得る。特に、周方向に隣り合う突起100間の周方向の間隔Pが大きくなるほど、すなわち突起数が少ないほど、隙間104が小さくなり過ぎてシールトルクの上昇が大きくなる懸念が高まる。
シールリップの部分101の前述の弾性変形を小さくするために、突起100の数を多くして突起100間の間隔Pを小さくすると、突起100とシール摺動面103との間での粘性抵抗が増加し、これがシールトルクの上昇原因となる問題が生じる。ストライベック線図を考えると、流体潤滑状態の範囲内では、面積が小さく面圧が高い方が低トルクになるので、シールリップの突起100以外の部分とシール摺動面103との間で隙間104を確保できる前提において、突起100は周方向に小さく、突起数(一周において周方向に並んでいる突起100の数)が少ない方がよい。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、シール部材のシールリップと相手部材との間をシールリップに形成された複数の突起で流体潤滑状態にすることが可能なオイルシールにおいて、シールリップの突起数を増やすことなく、シールリップの突起間に亘る部分での弾性変形を抑制することにある。
上記の課題を達成するための第一の手段として、この発明は、ゴム材で形成されたシールリップを有するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備え、前記相手部材に形成されたシール摺動面と、前記シールリップとの間に締め代が設定されており、前記シールリップが、前記シール摺動面と流体潤滑状態で摺接する複数の突起を周方向に所定間隔で有するオイルシールにおいて、前記シールリップを前記突起の有無で周方向に区分して考えて、当該シールリップのうち、当該突起が存在する領域を第一領域とし、当該突起が存在しない領域を第二領域としたとき、当該第二領域の剛性が当該第一領域の剛性に比して高くなっている構成を採用した。
シールリップのうち、周方向に隣り合う突起間に亘る部分を含む第二領域の剛性を、突起の存在する第一領域の剛性に比して高くしておけば、シールリップの緊迫力が作用する際、当該突起間に亘る部分での弾性変形が抑制される。このため、シールリップの突起数を増やすことなく、当該突起間に亘る部分での弾性変形を抑制することが可能となる。なお、第二領域の剛性向上は、シールリップの緊迫力を増加させることなく実現可能である。
例えば、前記シールリップの前記第二領域は、前記第一領域に比して前記シール摺動面に沿う方向又は前記シール摺動面から遠ざかる方向に大きく形成された補強部を有するとよい。このようにすると、第二領域の厚さをシール摺動面側に増加させることなく、第二領域の剛性を第一領域の剛性よりも高くすることができる。
例えば、前記シールリップは、前記複数の突起を繋ぐように周方向全周に連続する中実部を有し、前記補強部は、前記中実部のうち、周方向に隣り合う前記突起間に亘る部分のみに連続している。
例えば、前記シールリップの前記第二領域は、前記第一領域を形成する前記ゴム材に比して硬化させられた状態の前記ゴム材からなる硬化部を有するとよい。このようにすると、第二領域の剛性を第一領域の剛性よりも高くすることができる。
上記の課題を達成するための第二の手段として、この発明は、ゴム材で形成されたシールリップを有するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備え、前記相手部材に形成されたシール摺動面と、前記シールリップとの間に締め代が設定されており、前記シールリップが、前記シール摺動面と流体潤滑状態で摺接する複数の突起を周方向に所定間隔で有するオイルシールにおいて、前記シール部材が前記相手部材に対して所定に配置される取付前後の状態を比較して考えて、当該シール部材の半径方向に沿った任意の断面を、前記シール摺動面に対して直角な方向に実質的に変位する第一断面領域と、当該直角な方向に実質的に変位しない第二断面領域とに区分したとき、当該第二断面領域のうち、当該第一断面領域との境界部の剛性が、当該第一断面領域の剛性に比して高くなっている構成を採用した。
シール部材を相手部材に対して所定に配置する際、シールリップは、シール摺動面との間に設定された締め代をもっているので、シール摺動面に押し付けられ、撓むように弾性変形して緊迫力が生じる。撓むシールリップには、シール摺動面に対して直角な方向に変位する部分が生じる。ただし、シール部材全体で考えると、取付時、シール摺動面に対して直角な方向に変位する量は、シールリップの先端(締め代が最も大きい箇所)からの距離に応じて減少する。その距離が一定以上のところでは、その変位の量は殆どなくなり、力学的に無視することができる。すなわち、シール部材を相手部材に対して所定に配置する取付前後の状態を比較して考えると、シール部材の半径方向に沿った任意の断面は、前記シール摺動面に対して直角な方向に実質的に変位する第一断面領域と、当該直角な方向に実質的に変位しない第二断面領域とに区分することができる。その第二断面領域のうち、第一断面領域との境界部での剛性を第一断面領域でのシールリップの剛性に比して高くしておけば、シールリップのうち、複数の突起を繋ぐように周方向全周に連続する中実部に比して、この中実部を支持する部分で剛性が向上し、シールリップの緊迫力が作用する際、中実部の突起間に亘る部分での弾性変形量が減少する。このため、シールリップの突起数を増やすことなく、当該突起間に亘る部分での弾性変形を抑制することが可能となる。なお、シールリップの緊迫力が増加することはない。
例えば、前記シール部材は、金属板によって形成された環状の芯金を有し、前記芯金は、前記境界部に配置された縁部を有するとよい。このようにすると、第二断面領域の境界部での剛性を芯金によって高くすることができる。
例えば、前記シール部材は、金属板によって形成された環状の芯金と、前記ゴム材の剛性に比して高剛性の材料によって形成された補強環とを有し、前記補強環は、前記境界部に配置されているとよい。このようにすると、第二断面領域の境界部での剛性を補強環によって高くすることができる。また、芯金と補強環との間を繋ぐシールリップ部分の厚さを薄くして剛性を低くすることが可能なため、相手部材の偏心に従って補強環も偏心し(相手部材と補強環は常に同軸に位置する)、偏心が大きい場合のシールリップの追従性が向上する。
この発明に係るオイルシールを備え、前記シール部材が、軸受内部空間と外部との間を区切るものとなっているシール付軸受は、軸受の内部空間への異物侵入をシール部材で防止しつつ、シールトルクの著しい低減によって軸受回転トルクの低減されたものとなる。このため、このシール付軸受は、自動車のトランスミッションの回転軸を支持する用途に好適である。
この発明は、上記第一の手段又は第二の手段に係る構成の採用により、シール部材のシールリップと相手部材との間をシールリップに形成された複数の突起で流体潤滑状態にすることが可能なオイルシールにおいて、シールリップの突起数を増やすことなく、シールリップの突起間に亘る部分での弾性変形を抑制することができ、ひいては、突起数等を小さくしつつ、シールリップの突起間に亘る部分と相手部材との間における隙間を適切に保ち、シールトルクの更なる低減を図ることができる。
この発明の第一実施形態に係るオイルシールを示す部分正面図 図1のオイルシールを備えるシール付軸受を示す断面図 図1のIII−III線の断面を示す部分拡大断面図 第一実施形態に係る突起の作用を示す部分断面図 この発明の第二実施形態に係るオイルシールを示す部分正面図 図5のVI−VI線での切断面を示す部分拡大断面図 この発明の第三実施形態に係るオイルシールを示す部分正面図 図7のVIII−VIII線の切断面を示す部分拡大断面図 この発明の第四実施形態に係るオイルシールを示す部分断面図 第四実施形態に係るオイルシールの部分正面図 この発明の第五実施形態に係るオイルシールを示す部分断面図 この発明に係るシール付軸受を備えるトランスミッションの一例を示す断面図 従来例のシールリップの弾性変形の様子を周方向に沿った断面で示す図
以下、この発明に係る第一実施形態を添付図面の図1〜図4に基づいて説明する。第一実施形態は、上記第一の手段を採用したオイルシール及び、このオイルシールを備えるシール付軸受の一例である。
このオイルシールは、図2に示すように、シール部材1と、シール部材1に対して周方向に相対的に回転する相手部材2とを備える。このシール付軸受は、内輪からなる相手部材2と、相手部材2との間に環状の軸受内部空間3を形成する外輪4と、相手部材2の軌道と外輪4の軌道間に介在する所定数の転動体5とを備える。シール部材1は、軸受内部空間3と外部(軸受周辺)との間を区切るものとなっている。
相手部材2は、回転軸(図示省略)に取り付けられ、回転軸と一体に回転する。回転軸は、例えば、車両のトランスミッション、ディファレンシャル、等速ジョイント、プロペラシャフト、ターボチャージャ、工作機械、風力発電機、又はホイール軸受の回転部として設けられる。外輪4は、ハウジング、ギヤ等、回転軸からの荷重を負荷させる部材(図示省略)に取り付けられる。このシール付軸受は、回転軸を回転可能に支持する。
このシール付軸受には、はねかけ、オイルバス等の適宜の手段により、外部から潤滑油が供給される。シール部材1を境界とした外部側には、ギヤの摩耗粉、クラッチの摩耗粉、微小砕石等、軸受の組み込み先に応じた異物が存在する。このような粉状の異物は、潤滑油や雰囲気の流れによって、このシール付軸受付近に到達し得る。シール部材1は、外部から軸受内部空間3への異物侵入を防止する。
以下、シール部材1の中心軸(図示省略)に沿った方向を「軸方向」という。軸方向は、図2中左右方向に相当する。また、軸方向に対して直角な方向を「半径方向」という。径方向は、図2中上下方向に相当する。また、その中心軸回りの円周方向を「周方向」という。相手部材2の中心軸は、設計上、シール部材1の中心軸と同軸に設定されている。
外輪4の内周の端部にシール溝6が形成されている。相手部材2の外周には、周方向に沿うシール摺動面7が形成されている。シール部材1の外周縁がシール溝6に圧入されることにより、シール部材1が外輪4に取り付けられる。
シール摺動面7は、円筒面状になっている。シール摺動面7の最大高さ粗さRzは、2.5μm以下(好ましくは、1μm未満)になっている。ここで、最大高さ粗さRzは、JIS規格のB0601:2013で規定された最大高さ粗さのことをいう。
シール部材1は、金属板によって形成された環状の芯金8と、芯金8に付着しているゴム材9とを有する。シール部材1の全体は、芯金8とゴム材9とで構成されている。芯金8は、周方向全周に連続する円環板状になっている。芯金8の材料は、ゴム材9の剛性よりも高剛性の金属からなる。例えば、プレス加工に好適な芯金8の材料として、鋼板が挙げられる。ゴム材9は、芯金8に加硫接着されている。ゴム材9の種類は特に問わないが、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シール部材1は、ゴム材9により形成されたシールリップ10を有する。シールリップ10は、芯金8の縁部8aからシール摺動面7側に延びるゴム材9の一部分からなる。なお、芯金8の縁部8aは、芯金8の内径又は外径のうち、シール摺動面7に近い方の径寸を規定する芯金8の内周縁又は外周縁である。
シールリップ10は、ラジアルリップになっている。ここで、ラジアルリップとは、シール摺動面7のような軸方向に沿ったシール摺動面又は軸方向に対して45°以内の鋭角の勾配をもったシール摺動面と密封作用を奏するシールリップであって、当該シール摺動面との間に半径方向の締め代をもったもののことをいう。シール部材1を外輪4に取り付けると、シールリップ10は、締め代により、シール摺動面7に押し付けられる。このため、シールリップ10は、撓むように弾性変形し、シール摺動面7を半径方向に緊迫する力(緊迫力)を生じる。シール部材1の取り付け誤差、製造誤差、相手部材2と外輪4間の偏心等は、シールリップ10の弾性変形によって吸収される。
なお、シールリップ10としてラジアルリップを例示したが、アキシアルリップに変更してもよい。アキシアルリップとは、径方向に沿ったシール摺動面又は径方向に対して45°未満の鋭角の勾配をもったシール摺動面と密封作用を奏するシールリップであって、当該シール摺動面との間に軸方向の締め代をもったもののことをいう。
シールリップ10は、図1、図3に示すように、周方向に所定間隔で並ぶ複数の突起11と、これら複数の突起11を繋ぐように周方向全周に連続する中実部12とを有する。
シール部材1の中心軸を一辺とした任意の仮想アキシアル平面で切断したシールリップ10の断面を考えたとき、どの断面においても、中実部12は同一の断面領域を占める。
突起11は、シールリップ10のうち、シール摺動面7と対向する表面部分(図では内径側を向く面)において、周方向に対して直交する方向に長く延びている。突起11は、図1、図4に示すように、周方向に一定の間隔Pで並んでいる。すなわち、シール部材1の中心軸回りで考えたとき、複数の突起11は、一定のピッチ角度で配置されている。間隔Pは、例えば、0.2mm以上、3.0mm以下(好ましくは0.2mm以上、1.5mm以下)に設定することができる。
突起11は、シール摺動面7との間にくさび状の隙間を形成する。ここで、くさび状の隙間とは、周方向に当該突起11側に向かって次第に半径方向に狭くなる隙間のことをいう。突起11の表面は、周方向に沿った断面で円弧状になる形状とされている。ここで、突起11の周方向に沿った断面とは、シール摺動面7に直交しかつ周方向に沿って延びる仮想面で突起11を切断したときの突起11の断面のことをいう。この断面形状において、前述の円弧状の半径Rは、例えば、0.4mm以上、9.0mm未満(好ましくは0.4mm以上、6.0mm以下、より好ましくは、0.4mm以上、3.0mm以下)に設定することができる。
突起11は、相手部材2のシール摺動面7に向かって高さHをもっている。ここで、突起11の高さHは、周方向に沿った断面において、シール摺動面7に対して直角な方向での高さのことをいう。シール摺動面7が前述の円筒面状なので、これに対して直角な方向は、半径方向に相当し、突起11の高さHは、中実部12からの半径方向の比高に相当する。各突起11は、シール摺動面7に対する締め代を規定する箇所となる。
突起11の高さHは、突起11の半径Rよりも小さく、例えば、0.01mm以上、0.10mm未満(好ましくは0.01mm以上、0.08mm以下、より好ましくは0.01mm以上、0.05mm以下)に設定することができる。
シールリップ10を突起11の有無で周方向に区分して考えて、シールリップ10のうち、突起11が存在する領域を第一領域A1とし、突起11が存在しない領域を第二領域A2とする。すなわち、シール部材1の中心軸を一辺とした任意の仮想アキシアル平面でシールリップ10を切断した断面を考えたとき、シールリップ10のうち、突起11の断面を含むところが第一領域A1に相当し、突起11の断面を含まないところが第二領域A2に相当し、第一領域A1と第二領域A2の境界は、図1中、突起11の周方向幅両端の仮想アキシアル平面Pax1,Pax2となる。図中時計回りで考えて、仮想アキシアル平面Pax1から仮想アキシアル平面Pax2までの間が第一領域A1となり、かつ仮想アキシアル平面Pax2から仮想アキシアル平面Pax1までの間が第二領域A2となる。各第一領域A1は、同じ構造をもち、各第二領域A2は、同じ構造をもつ。
その第二領域A2は、図1、図3に示すように、第一領域A1に比して、シール摺動面7に沿った方向に大きく形成された補強部13を有する。補強部13は、中実部12のうち、周方向に隣り合う突起11間に亘る部分のみに連続しており、当該部分からシール摺動面7に沿った方向かつ周方向と交差する方向へ延長されている。第二領域A2においては、中実部12の突起11間に亘る部分と補強部13とで形成された一連の部分が、シールリップ10の緊迫力に抵抗する剛性を発揮する。このため、補強部13がない第一領域A1の断面に比して、補強部13によって断面積が拡大された第二領域A2の剛性は、第一領域A1の剛性に比して高くなっている。これにより、第二領域A2(特に中実部12の突起11間に亘る部分)が前述の緊迫力の影響で生じる弾性変形は、効果的に抑制される。突起11を含む第一領域A1の剛性は増加しないため、シールリップ10の緊迫力を増加させることがない。
なお、第二領域A2の弾性変形が極僅かなため、弾性変形の様子を特に図示しないが、潤滑油の流れに関する流体力学的な影響を無視できるように当該弾性変形が抑制されている。このように僅かな弾性変形に抑制する必要はなく、シールトルク低減を図るために第二領域A2とシール摺動面7との間で隙間14を適切な大きさに確保できるように第二領域A2の弾性変形を抑制すればよいのであって、ある程度の弾性変形を許してもよい。
シール部材1の取り付けの際、シールリップ10は各突起11のみでシール摺動面7と接触し、周方向に隣り合う突起11間には、軸受内部空間3と外部との間に亘って連通する隙間14が形成され、第二領域A2とシール摺動面7とが直接に接触することはない。その第二領域A2とシール摺動面7との間において、シール摺動面7に対して直角な方向に関し、隙間14の大きさは、突起11の高さHよりも大きくならないが、補強部13を含む第二領域A2の高剛性化により、突起11の高さHに対して所定の割合以上に確保される。
このシール付軸受の運転中、相手部材2がシール部材1に対して相対的に回転する(図4参照)。運転中に外部から供給される潤滑油(例えば、トランスミッションオイル)は、周方向に隣り合う突起11間に形成された隙間14に入り込み、シールリップ10と相手部材2との間を潤滑する。ここで、図4に示すように、シールリップ10の各突起11が、周方向に沿った断面で0.4mm以上、9.0mm未満の半径Rをもつ円弧状なので、相手部材2のシール摺動面7が各突起11に対して周方向に移動したときに、その各突起11の表面に沿って、突起11と相手部材2の摺接部に効果的に潤滑油が引き摺り込まれる。このとき、くさび効果により油膜の形成が促進され、シールリップ10の各突起11と相手部材2との間の摺接部の潤滑状態が流体潤滑状態となり、シールトルクが飛躍的に低減する。また、シールトルクが小さいため、シールリップ10と相手部材2との間の摩擦熱が発生しにくい。さらに、外部から供給される潤滑油は、隙間14を通って、シールリップ10と相手部材2との間を通過することにより、シールリップ10と相手部材2との間の摩擦熱が放熱される。そのため、このシール付軸受の温度上昇を極めて効果的に抑えることが可能である。
また、このシール付軸受は、各突起11間で周方向の間隔Pが、3.0mm以下(好ましくは1.5mm以下)とされているので、一般的な軸受の使用条件において、シールリップ10の各突起11と相手部材2との間に形成される油膜の厚さを確保し、効果的にくさび効果を発生させることが可能となっている。また、各突起11間で間隔Pが、0.2mm以上とされているので、シールリップ10を製造するための金型の製作コストを低く抑えることが可能となっている。
また、このシール付軸受は、突起11の高さHが0.01mm以上とされているので、一般的な軸受の使用条件において、効果的にくさび効果を発生させることが可能となっている。また、突起11の高さHを0.01mm以上とすることで、金型でシールリップ10を製造するときに、確実に突起11を形成することが可能となっている。また、突起11の高さHが、0.10mm未満(好ましくは0.08mm以下、より好ましくは0.05mm以下)とされているので、軸受寿命に悪影響を及ぼすような異物が軸受内部空間3に侵入するのを効果的に防止することが可能となっている。
また、転がり軸受の内部空間の潤滑油に含まれる異物の粒径が50μm以下であれば、転がり軸受の寿命比(実際寿命の計算寿命に対する比)が、自動車のトランスミッションでの実用に十分耐えうる値(例えば7〜10倍程度)を示す。したがって、突起11の高さHを、0.01mm以上、0.10mm未満(好ましくは0.01mm以上、0.08mm以下、より好ましくは0.01mm以上、0.05mm以下)としたときに、特に、自動車のトランスミッションでの実用において、軸受のシール性能を確保することができる。
また、このオイルシールは、突起11の存在する第一領域A1の剛性に比して、周方向に隣り合う突起11間に亘る部分を含む第二領域A2の剛性が高くなっているため、シールリップ10の突起11間に亘る部分での弾性変形が抑制される(図1、4参照)。これにより、このオイルシールは、シールリップ10の突起数を増やすことなく、当該突起11間に亘る部分での弾性変形を抑制することができる。突起11が存在する第一領域A1においてシールリップ10の厚さを増加させる必要はなく、緊迫力を増加させずに第二領域A2の剛性向上を実現することが可能である。
このため、このオイルシールは、突起11の半径Rや突起数や突起11間の間隔Pを小さくして各突起11とシール摺動面7間でのシールトルクを流体潤滑によって効果的に低減しつつ、第二領域A2とシール摺動面7との間において、直接接触を許すことなく隙間14を適切な大きさに保ち、第二領域A2とシール摺動面7との間での潤滑油のせん断によるシールトルクも効果的に低減して、シールトルクの更なる低減を図ることができる。
また、このオイルシールは、第一領域A1に比して、シール摺動面7に沿った方向に大きく形成された補強部13を有する第二領域A2を採用しているので、第二領域A2の厚さをシール摺動面7に向かって増加させることなく、第二領域A2の剛性を第一領域A1の剛性よりも高くすることができる(図1、3参照)。
補強部の変更例として、第二実施形態を図5、6に示す。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
第二実施形態に係るシールリップ20の第二領域A2は、第一実施形態に係る補強部を省略し、第一領域A1に比して、シール摺動面7から遠ざかる方向(この例では、半径方向の外側向き)に大きく延びる補強部21を有する点で相違している。補強部21は、中実部12の突起11間に亘る部分12aのみに連続している。第二領域A2においては、中実部12と補強部21との一連の部分が剛性を発揮するため、第二領域A2の厚さをシール摺動面7側に増加させることなく、第二領域A2の剛性を第一領域A1の剛性よりも高くすることができる。なお、補強部21は、第一実施形態に係る補強部と共に採用してもよい。
上述の第一、第二実施形態では補強部によって第二領域の高剛性化を図ったが、ゴム材を硬化させることによって第二領域の高剛性化を図ることも可能である。その一例としての第三実施形態を図7、8に示す。
第三実施形態に係るシールリップ30の第二領域A2は、第一領域A1を形成するゴム材9に比して硬化させられた状態のゴム材からなる硬化部31を有する(硬化部31は、図中黒塗りで示す。)。シールリップをゴム材9で成形後、そのゴム材9に対して熱、光照射、化学処理等の適宜の硬化加工を行なうことによって、ゴム材9を硬化させることができる。硬化加工は、第二領域A2を形成するゴム材9のみに行われており、第一領域A1を形成するゴム材9に対して行われていない。硬化部31は、硬化加工を行なっていない第一領域A1のゴム材9に比して硬いため、シールリップ30の緊迫力に対する抵抗性に優れる。このため、第三実施形態は、硬化部31を含む第二領域A2の剛性を第一領域A1の剛性よりも高くすることができる。
なお、図示の硬化部31は、第二領域A2の中実部の突起11間に亘る部分12a´、補強部13´の表面層に限定されているが、隙間14を適切に保つのに必要な第二領域A2の剛性が得られる限り、硬化部の形成位置、範囲は適宜に変更すればよい。例えば、中実部、補強部を形成するゴム材の全部を硬化させること、補強部を省略し、第二領域の中実部のみを硬化させること、補強部のみを硬化させることが挙げられる。
第四実施形態を図9、図10に示す。第四実施形態は、上記第二の手段の採用例であって、第一実施形態に比して、補強部を省き、芯金の内径を変更した点で相違したものである。
図9中には、第四実施形態に係るシール部材40を外輪に取り付ける前の状態(シール部材40が外力によって製造時の形状から変形していない自然状態に相当)でシールリップ41付近の半径方向に沿った断面(図1のIII―III線での断面相当)を視たときのシールリップ41付近の外形を二点鎖線で示す。図9中の二点鎖線のシール部材40は、相手部材2と同軸に配置されている。シール部材40の半径方向に沿った断面は、シール部材40の中心軸を一辺とした仮想アキシアル平面での切断面に相当する。また、図9中には、このシール部材40を外輪に取り付け後の状態(相手部材2に対して所定に配置した状態)でのシールリップ41付近の半径方向に沿った断面を実線で示す。シール部材40は、周方向全周に図示の断面構造をもっている。図10は、図9中に実線で示すシールリップ41付近の側面図である。
図9中に示す二点鎖線のシールリップ41と、相手部材2のシール摺動面7とを見比べれば明らかなように、シール摺動面7とシールリップ41との間には、シール摺動面7に対して直角な方向に締め代が設定されている。二点鎖線のシール部材40を図中左向きに動かして外輪(図2参照)に取り付けると、シールリップ41は、締め代により、シール摺動面7に押し付けられる。このため、シールリップ41は、撓むように弾性変形して図9中に実線で示す状態となり、シール摺動面7を半径方向に緊迫する力(緊迫力)を生じる。
今、シール部材40が相手部材2に対して所定に配置される取付前の状態(図9中に二点鎖線で示す状態)と、シール部材40が相手部材2に対して所定に配置された取付後の状態(図9中に実線で示す状態)とを比較して考えて、シール部材40の半径方向に沿った任意の断面を、シール摺動面7に対して直角な方向(半径方向)に実質的に変位する第一断面領域A3と、当該直角な方向(半径方向)に実質的に変位しない第二断面領域A4とに区分する。第一断面領域A3のシールリップ41の各部における半径は、前述の撓み変形に伴う半径方向の変位により、取付前に比して増加し、取付後の方が大きい。その半径方向の変位量(半径の増加量)は、締め代が最も大きいシールリップ41の先端(図9中二点鎖線のシールリップ41の最下部)からの距離の増加に応じて減少する。第一断面領域A3と第二断面領域A4の境界においては、半径方向の変位量が殆どなくなり、緊迫力に影響するような変形が起こっていない。
すなわち、実質的にシール摺動面7に対して直角な方向に変位する第一断面領域A3とは、シール部材40を相手部材2に対して所定に配置する際、シールリップ41が締め代でシール摺動面7に押し付けられることによって、シールリップ41の緊迫力に影響を及ぼす量で当該直角な方向に変位するシール部材40の弾性変形部分のことをいう。一方、実質的にシール摺動面7に対して直角な方向に変位しない第二断面領域A4とは、シール部材40を相手部材2に対して所定に配置する際、シールリップ41が締め代でシール摺動面7に押し付けられることによって、当該直角な方向に変位しないか、シールリップ41の緊迫力への影響を力学的に無視できる量で当該直角な方向に変位するシール部材40の非弾性変形部分のことをいう。
第一断面領域A3と第二断面領域A4の境界は、図9中において、第一断面領域A3の範囲を示す矢線と、第二断面領域A4の範囲を示す矢線とに接する図中左右方向の引き出し線の延長上にあり、図10中において、第一断面領域A3の範囲を示す矢線と、第二断面領域A4の範囲を示す矢線とに接する周方向の引き出し線の延長上にある。
図9に示すように、第一断面領域A3は、シールリップ41からなる。第二断面領域A4は、芯金42と、ゴム材43のシールリップ41以外の部分とからなる。図9、図10に示すように、芯金42は、第二断面領域A4のうち、第一断面領域A3との境界部に配置された縁部42aを有する。当該第二断面領域A4の境界部での剛性は、第二断面領域A4に限って配置された芯金42によって、第一断面領域A3でのシールリップ41の剛性に比して高くなっている。このため、シールリップ41のうち、複数の突起11を繋ぐように周方向全周に連続する中実部に比して、この中実部を支持する部分での剛性が向上している。これにより、シールリップ41の中実部のうち、周方向に隣り合う突起11間に亘る部分41aは、前述の緊迫力による弾性変形量が減少している。すなわち、芯金の縁部が第二断面領域A4の境界部に及ばず、その分をゴム材に置換した場合に比して、図9例では、当該突起11間に亘る部分41aの弾性変形が抑制されている。この第二断面領域A4の境界部での高剛性化により、シール摺動面7に対する直角な方向に関する隙間14の大きさは、突起11の高さに対して所定の割合以上に確保されている。第二断面領域A4に限って存在する芯金42によって、シールリップ41の緊迫力が増加することはない。
このように、第四実施形態に係るオイルシールでは、シール部材40の第二断面領域A4のうち、第一断面領域A3との境界部での剛性が第一断面領域A3でのシールリップ41の剛性に比して高くなっているため、シールリップ41の突起11間に亘る部分41aでの弾性変形が抑制される(図10参照)。これにより、このオイルシールは、シールリップ41の突起数を増やすことなく、当該突起11間に亘る部分41aでの弾性変形を抑制することができる。このため、このオイルシールは、突起11の半径Rや突起数や突起11間の間隔Pを小さくして各突起11とシール摺動面7間でのシールトルクを流体潤滑によって効果的に低減しつつ、シールリップ41の突起11間に亘る部分41aとシール摺動面7との間において、直接接触を許すことなく隙間14を適切な大きさに保ち、当該突起11間に亘る部分41aとシール摺動面7との間での潤滑油のせん断によるシールトルクも効果的に低減して、シールトルクの更なる低減を図ることができる。
また、このオイルシールは、環状の芯金42の縁部42aが第二断面領域A4の境界部に配置されているので、シール部材40の骨格となる芯金42によって第二断面領域A4の境界部での剛性を高くすることができる。
芯金とは別の部材を追加することによって第二断面領域の境界部での高剛性化を図ってもよい。その一例としての第五実施形態を図11に示す。
第五実施形態に係るシール部材50は、金属板によって形成された環状の芯金51と、ゴム材52の剛性に比して高剛性の材料によって形成された補強環53とを有する。シール部材50は、周方向全周に図示の断面構造をもっている。芯金51は、第一実施形態に比して半径方向に短くなっており、その分、シールリップ54が長くなっている。第一断面領域A3と第二断面領域A4の境界は、シールリップ54の中程上にある。芯金51は、第二断面領域A4の境界部から距離を取った位置にある。シールリップ54は、第一断面領域A3に位置する部分54aから芯金51に向かって次第に薄くなる第二断面領域A4内の薄肉部と、この薄肉部からさらに芯金51に向かって次第に厚くなる芯金付着部とを有する。
補強環53は、円環状の金属線材からなり、断面円形になっている。補強環53は、第二断面領域A4のうち、第一断面領域A3との境界部に配置されている。
第二断面領域A4の境界部での剛性は、第二断面領域A4に限って配置された補強環53によって、第一断面領域A3でのシールリップ54の部分54aの剛性に比して高くなっている。このため、シールリップ54の中実部を支持する部分での剛性が向上している。これにより、シールリップ54の突起11間に亘る部分は、前述の緊迫力による弾性変形量が減少している。すなわち、補強環53をゴム材に置換した場合に比して、当該突起11間に亘る部分の弾性変形が抑制されている。第二断面領域A4に限って存在する補強環53によって、シールリップ54の緊迫力が増加することはない。
このように、第五実施形態に係るオイルシールは、シール部材50の第二断面領域A4の境界部での剛性を補強環53によって高くすることができる。
また、このオイルシールは、芯金51と補強環53との間を繋ぐシールリップ54の部分の厚さを薄くして剛性を低くすることが可能なため、相手部材2の偏心に従って補強環53も偏心し、偏心が大きい場合のシールリップ54の追従性が向上する。
上述の各実施形態に係るシール付軸受は、自動車のトランスミッションの回転軸を支持する転がり軸受として採用することができる。その一例を図12に示す。図示のトランスミッションは、段階的に変速比を変化させる多段変速機になっており、その回転軸(例えば入力軸S1および出力軸S2)を回転可能に支持するシール付軸受Bとして、上述の実施形態のいずれかに該当するものを備えている。図示のトランスミッションは、エンジンの回転が入力される入力軸S1と、入力軸S1と平行に設けられた出力軸S2と、入力軸S1から出力軸S2に回転を伝達する複数のギヤ列G1〜G4と、各ギヤ列G1〜G4と入力軸S1または出力軸S2との間に組み込まれた図示しないクラッチとを有し、そのクラッチを選択的に係合させることで使用するギヤ列G1〜G4を切り替え、これにより、入力軸S1から出力軸S2に伝達する回転の変速比を変化させるものである。出力軸S2の回転は出力ギヤG5に出力され、その出力ギヤG5の回転がディファレンシャルギヤ等に伝達される。入力軸S1と出力軸S2は、それぞれシール付軸受Bで回転可能に支持されている。また、このトランスミッションは、ギヤの回転に伴う潤滑油のはね掛けにより、又はハウジングHの内部に設けられたノズルからの潤滑油の噴射により、はね掛け又は噴射された潤滑油が各シール付軸受Bの側面にかかるようになっている。
上述の実施形態では、内輪回転型の軸受を例に挙げて説明したが、この発明は、外輪回転型の軸受(シール部材が内輪に固定され、相手部材が外輪側となる軸受)に適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、転動体として玉を使用する形式の軸受を例に挙げて説明したが、この発明は、円筒ころまたは円すいころを転動体として使用する形式の軸受に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、軸受内部空間の両側にシール部材を設けた例で説明したが、シール部材は、軸受内部空間の片側にのみ設けるようにしてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、40、50 シール部材
2 相手部材
3 軸受内部空間
4 外輪
5 転動体
7 シール摺動面
8、42、51 芯金
9、43、52 ゴム材
10、20、30、41、54 シールリップ
11 突起
12 中実部
12a、12a´ 部分
13、13´、21 補強部
14 隙間
31 硬化部
42a 縁部
53 補強環
A1 第一領域
A2 第二領域
A3 第一断面領域
A4 第二断面領域
B シール付軸受
S1 入力軸(回転軸)
S2 出力軸(回転軸)

Claims (9)

  1. ゴム材で形成されたシールリップを有するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備え、前記相手部材に形成されたシール摺動面と、前記シールリップとの間に締め代が設定されており、前記シールリップが、前記シール摺動面と流体潤滑状態で摺接する複数の突起を周方向に所定間隔で有するオイルシールにおいて、
    前記シールリップを前記突起の有無で周方向に区分して考えて、当該シールリップのうち、当該突起が存在する領域を第一領域とし、当該突起が存在しない領域を第二領域としたとき、当該第二領域の剛性が当該第一領域の剛性に比して高くなっていることを特徴とするオイルシール。
  2. 前記シールリップの前記第二領域は、前記第一領域に比して前記シール摺動面に沿う方向又は前記シール摺動面から遠ざかる方向に大きく形成された補強部を有する請求項1に記載のオイルシール。
  3. 前記シールリップは、前記複数の突起を繋ぐように周方向全周に連続する中実部を有し、前記補強部は、前記中実部のうち、周方向に隣り合う前記突起間に亘る部分のみに連続している請求項2に記載のオイルシール。
  4. 前記シールリップの前記第二領域は、前記第一領域を形成する前記ゴム材に比して硬化させられた状態の前記ゴム材からなる硬化部を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のオイルシール。
  5. ゴム材で形成されたシールリップを有するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備え、前記相手部材に形成されたシール摺動面と、前記シールリップとの間に締め代が設定されており、前記シールリップが、前記シール摺動面と流体潤滑状態で摺接する複数の突起を周方向に所定間隔で有するオイルシールにおいて、
    前記シール部材が前記相手部材に対して所定に配置される取付前後の状態を比較して考えて、前記シール部材の半径方向に沿った任意の断面を、前記シール摺動面に対して直角な方向に実質的に変位する第一断面領域と、当該直角な方向に実質的に変位しない第二断面領域とに区分したとき、当該第二断面領域のうち、当該第一断面領域との境界部の剛性が、当該第一断面領域の剛性に比して高くなっていることを特徴とするオイルシール。
  6. 前記シール部材は、金属板によって形成された環状の芯金を有し、
    前記芯金は、前記境界部に配置された縁部を有する請求項5に記載のオイルシール。
  7. 前記シール部材は、金属板によって形成された環状の芯金と、前記ゴム材の剛性に比して高剛性の材料によって形成された補強環とを有し、
    前記補強環は、前記境界部に配置されている請求項5に記載のオイルシール。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のオイルシールを備え、前記シール部材が、軸受内部空間と外部との間を区切るものとなっているシール付軸受。
  9. 自動車のトランスミッションの回転軸を支持する請求項8に記載のシール付軸受。
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