JP2019147763A - プロリンアミド化合物の製造方法 - Google Patents

プロリンアミド化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糖尿病治療薬等として有用なテネリグリプチン及びその合成中間体の工業的に有利な製造方法の提供。【解決手段】下記縮合反応を用いる、式(2a)に代表されるチアゾリジン誘導体の製造方法。式(2a)で表される化合物は、テネリグリプチンの製造中間体として有用である。(DIPEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンを表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、医薬の合成中間体等として有用なプロリンアミド化合物の新規製造方法に関する。また、本発明は、当該化合物の新規製造方法を利用して、糖尿病治療薬等として有用なテネリグリプチン(化学名:{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノン又はその塩を製造する方法に関する。
プロリンアミド部分を含んだ側鎖を有するテネリグリプチン又はその塩は、DPP−IV阻害活性を示し、糖尿病等の治療又は予防において有用であることが報告されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1には、テネリグリプチン又はその塩については、その製造方法、及びその合成中間体であるプロリンアミド化合物の製造方法が開示されている。当該製造方法は、N−t−ブトキシカルボニル−L−トランス−4−ヒドロキシプロリンとチアゾリジンを、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール存在下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用いて縮合させた後、塩基存在下、ピリジン三酸化硫黄錯体を用いて酸化することにより製造したプロリンアミド化合物を経由してテネリグリプチン又はその塩を得るものである。しかしながら、この製造方法では当該プロリンアミド化合物の収率は不十分であり、工業的製造方法として利用する上ではさらなる改良が望まれていた。
また、別の方法として、(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−カルボン酸とチアゾリジンを、塩基存在下、n−プロピルホスホン酸無水物(環状三量体)を用いて縮合させることにより製造したプロリンアミド化合物を経由してテネリグリプチン又はその塩を製造する方法が報告されている(特許文献3参照)。当該製造方法は、工業的な規模においても利用可能な方法であるが、n−プロピルホスホン酸無水物(環状三量体)は、化学兵器禁止法の指定物質であり、届出義務、国際機関の査察官による査察(検査)を受け入れる義務等の一定の対応が必要である上に高価(4,200円/mol)であるため、必ずしも大量生産に適した方法であるとはいえない。
さらに別の方法として、(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−カルボン酸とチアゾリジンを、4−ジメチルアミノピリジン存在下、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いて縮合させることにより製造したプロリンアミド化合物を経由してテネリグリプチン又はその塩を製造する方法が報告されている(特許文献4のExample 3参照)。当該製造方法は、短時間で段階的に微調整が必要な低温下(具体的には、−5℃〜−10℃(30分)、続いて−6℃〜−2℃(15〜20分)、その後、0℃〜5℃(60分))で行われるが、工業的な規模において、反応容器内を短時間で均一な温度に制御することや温度を微調整することは難しく、また、DCCは毒性(皮膚炎症性)を有し、且つ高価(825円/mol(4000円/kg))であるため、大量生産に適した方法とはいえない。
国際公開第2002/014271号 国際公開第2006/088129号 国際公開第2012/165547号 国際公開第2015/019238号
本発明の目的は、医薬の合成中間体等として有用なプロリンアミド化合物の工業的製造に適した安価で、安全且つ効率的な製造方法を提供することにある。また、当該製造方法を用いて、糖尿病治療薬等として有用なテネリグリプチン又はその塩の工業的に有利な製造方法を提供することにある。
前記の通り、プロリンアミド化合物の工業的製造においては、プロリン誘導体のカルボキシ基とチアゾリジンの環状アミノ基との縮合工程に使用するアミド化方法、反応条件(仕込み量、反応溶媒、反応温度、反応時間等)、後処理方法等の最適化により、安全で、低コスト且つ高収率な方法が求められている。しかし、従来法は、いずれも工業的製造方法としては満足できるものではなく、また、膨大な数のアミド化方法(アミド化試薬(例、酸クロリド、縮合剤、混合酸無水物形成剤等)、塩基、添加剤等)、反応条件、後処理方法等の選択肢の組み合わせの中から、特定のプロリンアミド化合物の工業的製造に耐え得る最適な組み合わせを特定するには、通常大きな技術的困難性を伴う。
本発明者等は、鋭意研究した結果、アミド化試薬として毒性が比較的低く、且つ安価な混合酸無水物形成剤であるピバロイルクロリドを用い、塩基としてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(以下、「DIPEA」と称することもある。)を用いることで、過剰量の試薬や基質を用いることなく、数百kgスケールの工業的規模の反応においても、目的とするプロリンアミド化合物を安価且つ高収率で再現性良く、好適に製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]:
一般式(3):
(式中、Rは、アミノ基の保護基を表す。)で表される化合物又はその塩とチアゾリジンとを、N,N−ジイソプロピルエチアミン(DIPEA)の存在下、ピバロイルクロリドを用いて縮合させることを特徴とする、一般式(2):
(式中、Rは前記と同義である)で表される化合物又はその塩の製造方法、
[2]:
前記[1]に記載の製造方法により一般式(2):
(式中、Rは請求項1と同義である)で表される化合物又はその塩を製造し、当該化合物を、一般式(4):
で表される化合物のカルボン酸塩存在下、還元的アミノ化反応に付すことにより、一般式(5):
で表される化合物又はその塩を製造し、次いで一般式(5)で表される化合物又はその塩のアミノ基の保護基Rを除去することからなる、一般式(1):
で表される化合物又はその塩の製造方法、
[3]:
前記[2]に記載の製造方法により一般式(1):
で表される化合物を製造し、次いで酸による造塩処理に付すことからなる、一般式(1)で表される化合物の塩の製造方法、
[4]:
Rが置換又は無置換のアルコキシカルボニルである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法、
[5]:
Rがt−ブトキシカルボニルである、前記[4]に記載の製造方法、
[6]:
一般式(1)で表される化合物又はその塩が、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩である前記[2]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、
[7]:
一般式(1)で表される化合物又はその塩が、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩・水和物である前記[2]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、及び
[8]:
前記[2]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により製造された一般式(1)で表される化合物又はその塩と医薬上許容される添加剤とを混合することを含む、医薬組成物の製造方法である。
本発明によれば、アミド化試薬として毒性が比較的低く、安価な混合酸無水物形成剤であるピバロイルクロリド(200円/mol)を用い、塩基としてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を用いることにより、医薬の合成中間体等として有用なプロリンアミド化合物又はその塩を、数百kgスケールの工業的規模においても、安価、安全且つ簡便に、しかも、高純度且つ高収率で製造することができる。また、本発明の製造方法により得られるプロリンアミド化合物又はその塩を用いることにより、糖尿病治療薬等として有用なテネリグリプチン又はその塩を工業的有利に効率的に製造することができる。
(定義)
本発明において、「アミノ基の保護基」とは、有機化学の技術分野において一般的に使用される、アミノ基をその高反応性から保護するための、水素原子に代わる置換基を表す。代表的な「アミノ基の保護基」としては、例えば、Wiley-Interscience社2007年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著)等に記載された基が挙げられる。Rで表されるアミノ基の保護基としては、反応を妨げない保護基であればよく、かかるアミノ基の保護基としては、例えば、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)並びに置換アルコキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル等)が好適に使用できる。Rとしては、これらのうち、アルコキシカルボニル基が好ましく、とりわけt−ブトキシカルボニルが好ましい。
一般式(4)で表される化合物のカルボン酸塩を形成する「カルボン酸」としては、置換されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜7(C1−7)のカルボン酸が挙げられる。具体的には、例えば、ギ酸、炭素数2〜7(C2−7)のアルキルカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸又はイソ酪酸等)、炭素数2〜7(C2−7)の置換されたアルキルカルボン酸(トリフルオロ酢酸等)が挙げられる。これらのうち、アルキルカルボン酸が好ましく、とりわけ酢酸が好ましい。
本明細書に開示される化合物は、1又はそれ以上の不斉炭素を有する場合がある。その場合、本明細書に開示される化合物は、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、エナンチオマーの混合物又はジアステレオマーの混合物として存在する場合がある。
本明細書に開示される化合物は、上記の異性体を生じさせる構造上の特徴を同時に複数含むことがある。また、本明細書に開示される化合物は、上記の異性体をあらゆる比率で含み得る。
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーや結晶化などの慣用されている方法によって、それぞれのジアステレオマーに分離することができる。また、立体化学的に単一である出発物質を用いることにより、又は立体選択的な反応を用いる合成方法によりそれぞれのジアステレオマーを作ることもできる。
エナンチオマーの混合物からのそれぞれの単一なエナンチオマーへの分離は、当分野でよく知られた方法で行うことができる。
例えば、エナンチオマーの混合物と、実質的に純粋なエナンチオマーであってキラル補助剤として知られている化合物を反応させて形成させたジアステレオマー混合物から、分別結晶化やクロマトグラフィーのような標準的な方法で、異性体比率を高めたもしくは実質的に純粋な単一のジアステレオマーを分離することができる。分離されたジアステレオマーを、付加されたキラル補助剤を除去することにより、目的のエナンチオマーに変換することができる。
また、当分野でよく知られた、キラル固定相を使用するクロマトグラフィー法によって、化合物のエナンチオマーの混合物を直接分離することもできる。
あるいは、化合物のどちらか一方のエナンチオマーを、実質的に純粋な光学活性出発原料を用いることにより、又は、プロキラルな中間体に対しキラル補助剤や不斉触媒を用いた立体選択的合成(不斉誘導)を行うことによって得ることもできる。
絶対立体配置は結晶性の生成物又は中間体のX線結晶解析により決定することができる。その際、必要によっては立体配置が既知である不斉中心を持つ試薬で誘導化された結晶性の生成物又は中間体を用いてもよい。
(本発明の製造方法)
以下、本発明の製造方法についてさらに詳細に説明する。
原料化合物は、市販品として容易に入手できるか、以下に示す製造方法若しくは自体公知の方法(例えば、国際公開第2002/014271号(特許文献1)、国際公開第2012/165547号(特許文献3)及び国際公開第2015/019238号(特許文献4)参照)により製造することができるか、又はこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
以下の各反応で用いられる化合物は、反応に支障を来たさない範囲において、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩)、金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩)、又は塩基との塩(例えば、エチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩)を形成していてもよい。
また、以下の各工程で得られた化合物は、反応混合物から単離せずに又は粗生成物として次の工程に用いられてもよい。あるいは、当該化合物は通常公知の方法に従って反応混合物から単離されてもよく、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の通常の分離手段により容易に精製されてもよい。さらに、当該化合物は、通常公知の方法に従って、無機酸塩、有機酸塩、金属塩、又は塩基との塩として単離されてもよい。
本発明に用いられる化合物及び得られた化合物、又はそれらの塩は、それらの溶媒和物、又は水和物を含むものである。
(工程1)
(式中のRは、前記と同義である。)
本工程は、自体公知の方法(例えば、国際公開第2002/014271号(特許文献1)、国際公開第2015/019238号(特許文献4)等)又はそれに準ずる方法に従って製造される一般式(3)で表される化合物又はその塩とチアゾリジンとを、N,N−ジイソプロピルエチアミン(DIPEA)の存在下、ピバロイルクロリドを用いて、混合酸無水物を経る縮合反応(アミド化反応)により、一般式(2)で表される化合物又はその塩を製造する工程である。本工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことができる。
チアゾリジンの使用量は、一般式(3)で表される化合物1モルに対して通常1.0〜1.2モル、好ましくは、1.0モルである。
ピバロイルクロリドの使用量は、一般式(3)で表される化合物1モルに対して通常1.0〜1.2モル、好ましくは、1.0モルである。
DIPEAの使用量は、一般式(3)で表される化合物1モルに対して通常1.0〜1.2モル、好ましくは、1.0モルである。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことが好ましい。反応溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFと略称する。)、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、これらの混合溶媒等を使用することができ、好ましくは、酢酸エチルを使用することができる。
反応温度としては、通常、−10℃〜30℃から任意に選択することができ、好ましくは、−10℃〜10℃である。
反応時間は、通常、10分〜6時間程度であり、好ましくは、30分〜2時間である。
本反応の後処理方法としては、特に限定されないが、一般式(2)で表される化合物又はその塩の工業的製法(大量合成)においては、例えば、以下のような晶析による後処理方法を好適に使用することができる。
すなわち、前記縮合反応の反応混合液に水を添加して反応を停止させ、反応溶媒で抽出後、有機層を一部濃縮し、そこへ貧溶媒を加え、混合物を撹拌することにより晶析させて、当該結晶をろ取することにより、一般式(2)で表される化合物又はその塩を得ることができる。また、必要に応じて、貧溶媒の添加前に極性プロトン性溶媒を少量添加したり、晶析の際に冷却下で行うことも可能である。かかる後処理方法は、工業的スケールの仕込み量(数百kgスケール)であっても適用可能であり、これにより一般式(2)で表される化合物又はその塩を高純度、且つ高収率で得ることができる。
上記後処理方法に使用する極性プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられ、好ましくは、2−プロパノールである。
上記後処理方法に使用する貧溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の非極性非プロトン性溶媒が挙げられ、好ましくは、n−ヘプタンである。
貧溶媒を加える時の温度(加温条件)は、使用する溶媒の種類により変化し得るが、通常、40℃〜80℃であり、好ましくは、40℃〜50℃である。
結晶を析出させる時の温度(冷却条件)は、通常、10℃以下であり、好ましくは、0℃以下であり、より好ましくは、−5℃以下である。
(工程2)〜(工程4)
(式中のRは前記と同義である)
前記工程1で得られる一般式(2)で表される化合物又はその塩は、適宜、自体公知の方法又はそれらを組み合わせることにより、一般式(1)で表される化合物(テネリグリプチン)又はその塩に変換することができる。
具体的には、前記工程1で得られる一般式(2)で表される化合物又はその塩を、自体公知の方法(例えば、国際公開第2012/165547号(特許文献3)の実施例2参照)又はそれに準ずる方法に従って製造される一般式(4)で表される化合物のカルボン酸塩との還元的アミノ化反応に付すことにより、一般式(5)で表される化合物又はその塩を製造し(工程2)、次いで一般式(5)で表される化合物又はその塩のアミノ基の保護基Rを除去して一般式(1)で表される化合物を製造することができる(工程3)。さらに所望によりこれを酸による造塩処理に付すことにより、その塩(酸付加塩)に変換することができる。以下に、(工程2)〜(工程4)について説明する。
(工程2)
一般式(4)で表される化合物のカルボン酸塩の存在下での一般式(2)で表される化合物の還元的アミノ化反応としては、通常、公知の方法を使用しうる。具体的には、適当な溶媒中、一般式(4)で表される化合物のカルボン酸塩、一般式(2)で表される化合物及び還元剤を反応させることにより行なうことができる。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、ジメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、t−ブチルアミンボラン、N,N−ジエチルアニリンボラン又は2−ピコリンボランが挙げられ、好ましくは、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドが挙げられる。
還元剤の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対して通常1.0〜2.0モル、好ましくは、1.1〜1.5モルである。
一般式(4)で表される化合物のカルボン酸塩の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対して通常0.9〜1.1モル、好ましくは、1.0モルである。
反応溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、アセトニトリル、トルエン若しくはジメチルホルムアミド、又はこれらの混合溶媒を使用することができ、好ましくは、トルエンを使用することができる。
反応温度は、通常、−20〜100℃から任意に選択することができ、反応時間は、通常、10分〜1日程度である。
(工程3)
前記工程2で得られる一般式(5)で表される化合物又はその塩のアミノ基の保護基Rを除去する方法としては、用いられた保護基に応じて適した公知の方法を適宜使用しうる。
具体的には、例えば、保護基Rとしてt−ブトキシカルボニルが用いられている場合は、適当な溶媒中又は無溶媒で、酸と反応させて脱保護を行うことができる。酸としては、トリフルオロ酢酸、塩化水素、臭化水素又は硫酸等が挙げられ、好ましくは、臭化水素が挙げられる。当該酸の濃度は反応混合物に対し0.01〜10mol/L、好ましくは、0.1〜4mol/Lである。
本反応は、適当な反応溶媒中で行なうことが好ましい。反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、トルエン若しくは水、又はこれらの混合溶媒を使用することができ、好ましくは、2−プロパノール及び水の混合溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、0〜100℃から任意に選択することができ、反応時間は、通常、10分〜2日程度である。
保護基Rとしてメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はn−プロポキシカルボニル等が用いられている場合は、適当な溶媒中又は無溶媒で、塩基と反応させて脱保護を行うことができる。塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等が挙げられ、好ましくは、水酸化カリウムが挙げられる。当該塩基の濃度は反応混合物に対し、0.1〜100mol/L、好ましくは、1〜10mol/Lである。
本反応は、適当な反応溶媒中で行なうことが好ましい。反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、アセトニトリル若しくは水、又はこれらの混合溶媒を使用することができ、好ましくは、メタノール及び水の混合溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、0〜100℃から任意に選択することができ、反応時間は、通常、10分〜2日程度である。
保護基Rとして、ベンジルオキシカルボニルが用いられている場合は、適当な溶媒中、水素雰囲気下で、パラジウム炭素触媒又は水酸化パラジウム炭素触媒の存在下で脱保護を行なうことができる。
保護基Rとして、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルが用いられている場合は、適当な溶媒中で亜鉛粉末と反応させることで脱保護を行なうことができる。
保護基Rとして、9−フルオレニルメトキシカルボニルが用いられている場合は、適当な溶媒中又は無溶媒で、ピロリジン、ピペリジン又はモルホリンと反応させることで脱保護を行なうことができる。
(工程4)
前記工程3で得られる一般式(1)で表される化合物の酸による造塩処理は、通常公知の方法に従って対応する酸と処理することで行うことができる。例えば、一般式(1)で表される化合物と酸を、適当な溶媒中、造塩処理させることにより行なうことができる。
酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素若しくは硝酸等の無機酸、又は、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベシル酸、ナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、没食子酸若しくはカンファースルホン酸等の有機酸が挙げられ、好ましくは、臭化水素である。具体的には、一般式(1)で表される化合物1モルに対して、1〜10モル、好ましくは、2〜5モルの酸を反応させることで、一般式(1)で表される化合物の塩を製造することができる。
反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、アセトニトリル、トルエン若しくは水、又はこれらの混合溶媒を使用することができ、好ましくは、2−プロパノール及び水の混合溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、0〜100℃から任意に選択することができ、反応時間は、通常、10分〜2日程度である。
一般式(1)で表される化合物の酸との塩を製造する場合においては、一般式(5)で表される化合物又はその塩のアミノ基の保護基Rとしてt−ブトキシカルボニル等の酸で除去できる保護基を用いると、保護基Rの除去反応と次の造塩処理とを同時に行うことができるので、より好ましい。
本発明の製造方法により好適に製造される化合物としては、テネリグリプチン(すなわち、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノン)、又はその塩が挙げられる。
かかる化合物として、より詳細には、例えば、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩が挙げられる。さらに詳細には、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩の1〜2水和物が挙げられる。
本発明の製造方法の具体的な特徴として、以下が挙げられる。
(A)アミド化試薬として毒性が比較的低く且つ安価な混合酸無水物形成剤であるピバロイルクロリドを用いるので、従来法と比較して、安全且つ経済的な製造方法を提供することができる。
(B)塩基としてDIPEAを用いることにより、他の有機塩基(例、トリエチルアミン)を用いた場合とは異なり難溶性の塩の析出量が減り、撹拌効率が向上するため、反応溶媒の使用量を低減することができる(すなわち、1ロット当たりの仕込み量を増加させることができる)。
(C)原料基質である一般式(3)で表される化合物に対して、過剰量のチアゾリジン、アミド化試薬、及び塩基を用いることなく、等モルずつ用いるだけで反応が収率良く進行するため、類縁物質の生成が抑えられ、且つ過剰量の試薬の除去等の余分な精製操作が不要となり、実験操作や後処理も簡便に行うことができる。
(D)反応条件(反応温度:−10℃〜10℃)も緩和であり、スケールアップ(数百kgスケール)にも耐え得ることから、特定のプロリンアミド化合物又はその塩(すなわち、一般式(2)で表される化合物又はその塩)、及びそれを用いるテネリグリプチン又はその塩の工業的製造方法として適している。
本発明の製造方法により製造された一般式(1)で表される化合物又はその塩(例、テネリグリプチン又はその塩)を含有する医薬組成物は、少なくとも1種以上の医薬上許容される添加剤等と、適宜、適量混合等することによって、製造される。
医薬組成物中の一般式(1)で表される化合物又はその塩の含有率は、特段制限されないが、通常、該医薬組成物全体の30ないし80重量%、好ましくは45ないし55重量%である。
医薬上許容される添加剤としては、製剤素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が挙げられ、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、流動化剤、崩壊剤、溶解補助剤等が挙げられる。好ましくは、賦形剤、結合剤、流動化剤、崩壊剤であり、より好ましくは賦形剤である。
賦形剤の好適な例としては、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等が挙げられ、好ましくは、D−マンニトール、キシリトール、トウモロコシデンプンである。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
結合剤の好適な例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース等が挙げられる。
流動化剤の好適な例としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルク等が挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスポビドン等が挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
本発明の製造方法により製造された一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する医薬組成物は、通常、固体であり、その形状は、特段限定されず、粒状、顆粒状ないし塊状のいずれであってもよい。
本明細書中、略号、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基、「Ac」はアセチル基、「t−Bu」は第三級ブチル基、「EDC」は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、「HOBt」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、「NMM」はN−メチルモルホリン、「TEA」はトリエチルアミン、「DMAP」は4−ジメチルアミノピリジン、「CDI」はN,N’−カルボニルジイミダゾール、「EEDQ」は1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、及び「DMC」は1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロリドを各々表す。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、「w%」とは、重量%を表し、「室温」とは、特記しない限り、15〜30℃の温度を表す。
実施例1
3−[(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−イルカルボニル]チアゾリジン(化合物2a)の製造
(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−カルボン酸(化合物3a)(250.0kg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(141kg)の酢酸エチル(2242.5kg)溶液に、ピバロイルクロリド(131.5kg)を10℃以下で加えた後、反応混合物を10℃以下で30分間撹拌した。この反応混合物にチアゾリジン(97.2kg)を10℃以下で加えた後、反応混合物を0〜10℃で1時間撹拌した。この反応混合物に、水(500.0kg)を加え分液し、酢酸エチル層をリン酸水素二アンモニウム水溶液(リン酸水素アンモニウム144.0kgと水(750.0kg)より調製)と食塩水(食塩(75.0kg)と水(425.0kg)より調製)で順次洗浄した。酢酸エチル層を濃縮し、残量を1250Lにした後、2−プロパノール(976.3kg)を加えた後に再び濃縮し、残量を1000Lにした後、n−ヘプタン(1368kg)を40〜45℃で添加し、混合物を−5℃以下で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、n−ヘプタン(684.0kg)で洗浄した。得られた結晶に2−プロパノール(429.6kg)を加えた後、n−ヘプタン(1521.9kg)を40〜45℃で添加し、混合物を−5℃以下で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、n−ヘプタン(769.8kg)で洗浄した後、減圧乾燥することにより、3−[(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−イルカルボニル]チアゾリジン(化合物2a)を283.1kg得た。(収率86%)
H−NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.36,1.40(9H,s),2.36−2.45(1H,m),2.97−3.12(3H,m),3.62−3.71(2H,m),3.74−3.94(2H,m),4.33−4.80(2H,m),4.91−5.04(1H,m).
実施例2
{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩の1〜2水和物(化合物1a)の製造
(式中、Yは1〜2を示す)
3−メチル−1−フェニル−5−(1−ピペラジニル)ピラゾールの酢酸塩(化合物4a)(25.2kg)、3−[(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−イルカルボニル]チアゾリジン(化合物2a)(25.0kg)にトルエン(425L)を加え、更にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(23.0kg)のトルエン(75L)スラリーを8℃で加えた後、20〜28℃で3時間撹拌した。この反応混合物に、水(150L)を加え、分液した。得られたトルエン層を5w%重曹水(158kg)、水(150L)の順で洗浄後、減圧濃縮、乾固し、得られた残渣に2−プロパノール(125L)を加えて再度減圧濃縮、乾固した。この残渣に2−プロパノール(375L)を加え、昇温し、48w%臭化水素酸(42.14kg)を75〜77℃で滴下後、2.5時間還流した。反応混合物を冷却し、反応混合物をサンプリングして作成した種晶を58℃で接種後、58℃で1時間、次いで33〜40℃で1時間、更に17〜25℃で1時間晶析し、一夜静置した。析出した結晶を濾取し、2−プロパノール(50L)で結晶を洗浄した。得られた結晶を18時間温風乾燥(40〜47℃)し、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの臭化水素酸塩(50.0kg)を粗生成物として得た。
当該粗生成物(24.0kg)にエタノール(144L)を加え、加熱溶解(73℃)後、熱時濾過し、エタノール(24L)で洗浄した。この濾液及び洗液を合わせ、67℃で水(3.4L)を加えた後、49〜55℃で2時間、次いで19〜25℃で1時間晶析した。析出した結晶を濾取し、エタノール(24L)で洗浄した。得られた結晶を45℃で19時間減圧乾燥した後、50℃で18時間温風乾燥することにより、精製物として、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩の1〜2水和物(化合物1a)を20.9kg得た。(収率79%、収率は2水和物とみなして計算した値)
H−NMR(400MHz,CN)δ2.02−2.14(1H,m),2.33(3H,m),2.46−2.56(4H,m),2.87(4H,m),2.91−3.12(3H,m),3.45−3.51(1H,m),3.63−3.67(1H,m),3.80−3.90(1.4H,m),4.08(0.6H,m),4.11−4.16(1H,m),4.68(0.6H,d,J=10.1Hz),4.72(0.6H,d,J=10.1Hz),4.80(0.4H,d,J=8.8Hz),4.96(0.4H,d,J=8.8Hz),5.42(0.6H,dd,J=8.8,8.8Hz),5.52(0.4H,dd,J=8.8,8.8Hz),5.76(0.4H,s),5.77(0.6H,s),7.32(1H,t,J=7.8Hz),7.53(2H,dd,J=8.8,7.8Hz),8.07(2H,d=8.8Hz).
比較例1〜14
各種アミド化試薬、及び各種塩基又は各種添加剤の存在下、(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−カルボン酸(化合物3a)とチアゾリジン(化合物3aに対して1.1モル)から3−[(2S)−1−t−ブトキシカルボニル−4−オキソピロリジン−2−イルカルボニル]チアゾリジン(化合物2a)への変換反応を検討した結果を下記表1に示す。
その結果、アミド化試薬としてSOCl及び(CO)Clを使用した場合には、化合物2aは全く得られなかった(比較例11及び12)。また、表1によれば、反応溶媒の収率への影響は見られなかった(比較例2及び3)。さらに、ピバロイルクロリドをアミド化試薬として用いて、DIPEA以外の他の有機塩基を使用した場合には、難溶性の有機塩基の塩酸塩(例、トリエチルアミン塩酸塩(比較例5))の析出量が増えるために撹拌が困難になり、反応が安定せず、副生物が生じやすくなる。また、反応性の高い有機塩基であるDMAPを使用した場合(比較例6)には、多くの副生物が生成したため、化合物2aを高純度且つ高収率で得ることが難しく、スケールアップすることが困難であることが分かった。
実施例1、及び上記表1の結果から、化合物3aとチアゾリジンとの縮合反応においては、塩基としてDIPEAの存在下、アミド化試薬としてピバロイルクロリドを用いた場合に、仕込み量を工業的スケール(数百kgスケール)まで増やしても、化合物2aを高純度且つ高収率で製造できることが分かった。これに対し、ピバロイルクロリド以外のアミド化試薬は、いずれもピバロイルクロリドよりも遥かに高価であり、また、前記の通り、アミド化試薬としてピバロイルクロリドを用いた場合でも、他の塩基を用いた場合には、得られる化合物2aの純度や収率が低下することから、比較例1〜14の製造方法は、いずれも化合物2aの工業的製法として適さないことが分かった。
本発明の製造方法によれば、アミド化試薬として毒性が比較的低く、且つ安価なピバロイルクロリドを用い、塩基としてDIPEAを用いることにより、過剰量の基質(チアゾリジン)、アミド化試薬、及び塩基を用いることなく、原料基質(すなわち、一般式(3)で表される化合物)に対して、それぞれ等モルずつ用いるだけで反応が収率良く進行し、医薬の合成中間体等として有用なプロリンアミド化合物(すなわち、一般式(2)で表される化合物)又はその塩を高純度で提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、プロリンアミド化合物の製造工程において、従来法に比べて反応条件が緩和で、且つ後処理も簡便であり、スケールアップ(数百kgスケール)にも耐え得ることから、DPP−IV阻害活性を示し、糖尿病等の治療又は予防において有用なテネリグリプチン又はその塩の経済性及び安全性に優れた工業的製造方法を提供することができる。
以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正および変更も、すべて特許請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。

Claims (8)

  1. 一般式(3):
    (式中、Rは、アミノ基の保護基を表す。)で表される化合物又はその塩とチアゾリジンとを、N,N−ジイソプロピルエチアミンの存在下、ピバロイルクロリドを用いて縮合させることを特徴とする、一般式(2):
    (式中、Rは前記と同義である)で表される化合物又はその塩の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により一般式(2):
    (式中、Rは請求項1と同義である)で表される化合物又はその塩を製造し、当該化合物を、一般式(4):
    で表される化合物のカルボン酸塩存在下、還元的アミノ化反応に付すことにより、一般式(5):
    で表される化合物又はその塩を製造し、次いで一般式(5)で表される化合物又はその塩のアミノ基の保護基Rを除去することからなる、一般式(1):
    で表される化合物又はその塩の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法により一般式(1):
    で表される化合物を製造し、次いで酸による造塩処理に付すことからなる、一般式(1)で表される化合物の塩の製造方法。
  4. Rが置換又は無置換のアルコキシカルボニルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. Rがt−ブトキシカルボニルである、請求項4に記載の製造方法。
  6. 一般式(1)で表される化合物又はその塩が、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩である請求項2〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 一般式(1)で表される化合物又はその塩が、{(2S,4S)−4−[4−(3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペラジン−1−イル]ピロリジン−2−イル}(1,3−チアゾリジン−3−イル)メタノンの2.5臭化水素酸塩・水和物である請求項2〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 請求項2〜7のいずれか一項に記載の製造方法により製造された一般式(1)で表される化合物又はその塩と医薬上許容される添加剤とを混合することを含む、医薬組成物の製造方法。
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