JP2019089335A - 三次元成形用転写フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
このような状況下、本発明は、三次元成形性に優れ、かつ、より一層高い耐傷性を有する三次元成形用転写フィルムを提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該三次元成形用転写フィルムを利用した樹脂成形品を提供することも目的とする。
項1. 転写用基材上に少なくとも表面保護層が積層された三次元成形用転写フィルムであって、
前記表面保護層が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されている、三次元成形用転写フィルム。
項2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物がイソシアネート化合物をさらに含む、項1に記載の三次元成形用転写フィルム。
項3. 前記表面保護層の直上にプライマー層を有する、項1または2に記載の三次元成形用転写フィルム。
項4. 前記プライマー層が、ポリオール樹脂及び/又はその硬化物を含む、項3に記載の三次元成形用転写フィルム。
項5. 前記ポリオール樹脂が、アクリルポリオールを含む、項4に記載の三次元成形用転写フィルム。
項6. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、前記電離放射線硬化性樹脂組成物中の前記イソシアネート化合物以外の固形分100質量部に対して前記イソシアネート化合物を1〜10質量部含む、項2〜5のいずれかに記載の三次元成形用転写フィルム。
項7. 前記表面保護層の直上にプライマー層を有し、
前記プライマー層の前記表面保護層とは反対側に、装飾層、接着層、及び透明樹脂層からなる群から選択された少なくとも1種が積層されてなる、項1〜6のいずれかに記載の三次元成形用転写フィルム。
項8. 前記転写用基材の前記表面保護層側の表面が凹凸形状を有しており、
前記転写用基材の直上に前記表面保護層が積層されている、項1〜7のいずれかに記載の三次元成形用転写フィルム。
項9. 前記転写用基材が微粒子を含み、前記転写用基材の前記表面保護層側の表面が前記微粒子による凹凸形状を有している、項8に記載の三次元成形用転写フィルム。
項10. 前記転写用基材と前記表面保護層との間に離型層が積層されており、前記離型層の直上に前記表面保護層が積層されている、項1〜7のいずれかに記載の三次元成形用転写フィルム。
項11. 前記離型層の前記表面保護層側の表面が凹凸形状を有している、項10に記載の三次元成形用転写フィルム。
項12. 前記離型層が微粒子を含み、前記離型層の前記表面保護層側の表面が前記微粒子による凹凸形状を有している、項11に記載の三次元成形用転写フィルム。
項13. 転写用基材上に、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層を積層する工程と、
前記電離放射線硬化性樹脂組成物に電離放射線を照射し、前記電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層を硬化させて前記転写用基材上に表面保護層を形成する工程と、
を備える、三次元成形用転写フィルムの製造方法。
項14. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、イソシアネート化合物をさらに含む、項13に記載の三次元成形用転写フィルムの製造方法。
項15. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層の直上にプライマー層形成用組成物からなる層を積層する工程を備える、項13または14に記載の三次元成形用転写フィルムの製造方法。
項16. 前記プライマー層形成用組成物がポリオール樹脂を含む、項15に記載の三次元成形用転写フィルムの製造方法。
項17. 項1〜12のいずれかに記載の三次元成形用転写フィルムの前記転写用基材とは反対側に成形樹脂層を積層する工程と、
前記転写用基材を前記表面保護層から剥離する工程と、
を備える、樹脂成形品の製造方法。
項18. 項17に記載の製造方法により得られる、樹脂成形品。
本発明の三次元成形用転写フィルムは、転写用基材上に少なくとも表面保護層が積層された三次元成形用転写フィルムであって、表面保護層が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されていることを特徴とする。本発明の三次元成形用転写フィルムでは、このような構成を有することにより、三次元成形性に優れ、かつ、高い耐傷性を有する。なお、後述の通り、本発明の三次元成形用転写フィルムは、装飾層などを有していなくてもよく、例えば透明であってもよい。以下、本発明の三次元成形用転写フィルムについて詳述する。
本発明の三次元成形用転写フィルムは、転写用基材1上に、少なくとも表面保護層3を有する。転写用基材1の表面保護層3側の表面には、転写用基材1と表面保護層3との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて、離型層2を設けてもよい。本発明の三次元成形用転写フィルムにおいては、転写用基材1及び必要に応じて設けられる離型層2が、支持体10を構成しており、当該支持体10は、三次元成形用転写フィルムを成形樹脂層8に積層させて樹脂成形品となった後に、剥離除去される。
[支持体10]
本発明の三次元成形用転写フィルムは、支持体10として、転写用基材1、必要に応じて離型層2を有する。転写用基材1の上に形成された表面保護層3、必要に応じてさらに形成されるプライマー層4、装飾層5、接着層6、透明樹脂層7などが、転写層9を構成している。本発明においては、三次元成形用転写フィルムと成形樹脂を一体成形した後に、支持体10と転写層9の界面が引き剥がされ、支持体10が剥離除去されて樹脂成形品が得られる。
本発明において、転写用基材1は、三次元成形用転写フィルムにおいて支持部材としての役割を果たす支持体10として用いられる。本発明で用いられる転写用基材1は、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
離型層2は、転写用基材1と表面保護層3との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて、転写用基材1の表面保護層3が積層される側の表面に設けられる。離型層2は、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であってもよいし、一部に設けられるものであってもよい。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層が好ましい。
離型層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで、電離放射線とは、後述の[表面保護層3]の欄に記載の通りである。
本発明の三次元成形用転写フィルムにおいては、支持体10の上に形成された、表面保護層3、必要に応じてさらに形成されるプライマー層4、装飾層5、接着層6、透明樹脂層7などが転写層9を構成している。本発明においては、三次元成形用転写フィルムと成形樹脂を一体成形した後に、支持体10と転写層9の界面が引き剥がされ、三次元成形用転写フィルムの転写層9が成形樹脂層8に転写された樹脂成形品が得られる。以下、これらの各層について詳述する。
表面保護層3は、樹脂成形品の耐傷性、耐候性、耐薬品性などを高めることを目的として、樹脂成形品の最表面に位置するようにして、三次元成形用転写フィルムに設けられる層である。
表面保護層3の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層3の形成において好適に使用される。
本発明に用いられるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性を有する樹脂であり、通常カプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができるものである。
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を有する化合物であれば、特に制限されないが、好ましくはイソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物が挙げられる。多官能イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等や、ブロック化されたイソシアネート化合物等も挙げられる。イソシアネート化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
表面保護層3を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、表面保護層3に備えさせる所望の物性に応じて、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート以外の電離放射線硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のほか、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、マット剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができ、例えばマット剤としてはシリカ粒子や水酸化アルミニウム粒子等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
表面保護層3の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層3の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、三次元成形用転写フィルムの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の三次元成形用転写フィルムは表面保護層3の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層3に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の三次元成形用転写フィルムとしても有用である。
表面保護層3の形成は、例えば、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、転写用基材1または離型層2の表面上に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
プライマー層4は、表面保護層3とその下(支持体10とは反対側)に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。プライマー層4は、プライマー層形成用樹脂組成物により形成することができる。
装飾層5は、樹脂成形品に装飾性を付与するために、必要に応じて設けられる層である。装飾層5は、通常、絵柄層及び/又は隠蔽層により構成される。ここで、絵柄層は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現するために設けられる層であり、隠蔽層は、通常全面ベタ層であり成形樹脂等の着色等を隠蔽するために設けられる層である。隠蔽層は、絵柄層の絵柄を引き立てるために絵柄層の内側に設けてもよく、また隠蔽層単独で装飾層5を形成してもよい。
接着層6は、三次元成形用転写フィルムと成形樹脂層8との密着性を向上させることなどを目的として、装飾層5、透明樹脂層7などの裏面(成形樹脂層8側)に必要に応じて設けられる層である。接着層6を形成する樹脂としては、これらの層間の密着性や接着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の三次元成形用転写フィルムにおいては、プライマー層4と接着層6との密着性を向上させることなどを目的として、必要に応じて、透明樹脂層7を設けてもよい。透明樹脂層7は、本発明の三次元成形用転写フィルムが装飾層5を有さない態様において、プライマー層4と接着層6との密着性を向上させることができるので、本発明の三次元成形用転写フィルムを透明性が要求される樹脂成形品の製造に供する場合において設けることが特に有用である。透明樹脂層7は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明樹脂層7を形成する樹脂成分としては、装飾層5で例示したバインダー樹脂などが挙げられる。
転写用基材1上に、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層を積層する工程
電離放射線硬化性樹脂組成物に電離放射線を照射し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層を硬化させて転写用基材1上に表面保護層3を形成する工程
本発明の樹脂成形品は、本発明の三次元成形用転写フィルムと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。具体的には、当該三次元成形用転写フィルムの支持体10とは反対側に成形樹脂層8を積層することにより、少なくとも成形樹脂層8と、表面保護層3と、支持体10とがこの順に積層された、支持体付き樹脂成形品が得られる(例えば図2を参照)。次に、支持体付き樹脂成形品から支持体10を剥離することにより、少なくとも成形樹脂層8と表面保護層3とがこの順に積層された本発明の樹脂成形品が得られる(例えば図3を参照)。図3に示されるように、本発明の樹脂成形品では、必要に応じて、上述のプライマー層4、装飾層5、接着層6、透明樹脂層7などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
三次元成形用転写フィルムの転写用基材とは反対側に成形樹脂層を積層する工程、
転写用基材を前記表面保護層から剥離する工程
(1)まず、上記転写用三次元成形用転写フィルムの表面保護層側(支持体と反対側)を金型内に向けて、熱盤によって表面保護層側から三次元成形用転写フィルムを加熱する工程、
(2)該三次元成形用転写フィルムを金型内形状に沿うように予備成形(真空成形)して金型内面に密着させて型締する工程、
(3)樹脂を金型内に射出する工程、
(4)該射出樹脂を冷却した後に金型から樹脂成形品(支持体付き樹脂成形品)を取り出す工程、及び
(5)樹脂成形品の表面保護層から支持体を剥離する工程。
[三次元成形用転写フィルムの製造]
転写用基材として、一方面に易接着剤層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を用いた。ポリエチレンテレフタレートフィルムの易接着剤層の面に、メラミン系樹脂を主成分とする塗工液をグラビア印刷にて印刷して離型層(厚さ1μm)を形成した。次いで、離型層の上に、下記の電離放射線硬化性樹脂に表1に記載のイソシアネート化合物を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化後の厚さが3μmとなるようにバーコーダーにより塗工し、表面保護層形成用塗布膜を形成した。この塗膜上から加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、表面保護層形成用塗布膜を硬化させて表面保護層を形成した。この表面保護層の上に、表1に記載の樹脂を含むプライマー層形成用の樹脂組成物をグラビア印刷により塗工し、プライマー層(厚み1.5μm)を形成した。更に、プライマー層上に、アクリル系樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂をバインダー樹脂(アクリル樹脂50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂50質量%)として含む装飾層形成用黒色系インキ組成物を用いて、ヘアライン柄の装飾層(厚さ5μm)をグラビア印刷により形成した。更に、装飾層上に、アクリル系樹脂(軟化温度:125℃)を含む接着層形成用の樹脂組成物を用いて、接着層(厚さ4μm)をグラビア印刷により形成することにより、転写用基材/離型層/表面保護層/プライマー層/装飾層/接着層が順に積層された三次元成形用転写フィルムを製造した。
[三次元成形用転写フィルムの製造]
離型層を形成する塗工液として、表2に記載の合成樹脂粒子と下記の電離放射線硬化性樹脂とを含む樹脂組成物を用い、転写用基材の易接着剤層の面に当該塗工液をバーコーダーにて塗工し、塗膜の上から加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、塗膜を硬化させて離型層(1μm)を形成したこと以外は、実施例1〜6及び比較例1と同様にして、三次元成形用転写フィルムを製造した。
<電離放射線硬化性樹脂>
A:カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート
B:ペンタエリスリトールトリアクリレート40質量部、アクリルポリマー(アクリル樹脂、メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体)60質量部
C:2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量8000)94質量部と、4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量6000)6質量部との混合物
上記で得られた各三次元成形用転写フィルムを金型に入れて、赤外線ヒーターで350℃、7秒間加熱し、真空成形で金型内の形状に沿うように予備成形して型締した(最大延伸倍率50%)。その後、射出樹脂を金型のキャビティ内に射出し、該三次元成形用転写フィルムと射出樹脂とを一体化成形し、金型から取り出すと同時に支持体(転写用基材及び離型層)を剥離除去することにより、樹脂成形品を得た。
上記で得られた樹脂成形品を目視で観察し、箔バリの有無を確認し、箔バリの抑制効果を以下の基準に従って評価した。結果を表1、2に示す。
◎:箔バリが存在しなかった
○:箔バリがほとんど存在しなかった(パーティングライン部への加飾がわずかにギザギザして見える程度)
△:箔バリが発生しているが実用上問題とならないレベルであった
×:箔バリが顕著に存在した
上記で得られた樹脂成形品を目視で観察し、樹脂成形品の表面におけるクラックの発生の有無を確認し、三次元成形用転写フィルムの伸展性を以下の基準に従って評価した。結果を表1、2に示す。
○:クラックが存在しなかった
×:クラックが存在した
80℃に設定したオーブンにて、三次元成形用転写フィルム(1インチ幅の短冊状試験片)を60秒間加熱し、テンシロン万能試験機を用いて1000mm/minで引っ張って、亀裂が生じた際の引張伸度を測定した。結果を表1、2に示す。
実施例7〜15及び比較例2で得られた樹脂成形品の表面の艶(60°グロス値)を評価した。60°グロス値は、BykGardner社製micro-TRI-gloss(カタログNo.4520)を用いて測定した。結果を表2に示す。
実施例1〜6及び比較例1で得られた樹脂成形品の表面を、スチールウール(#0000)を用いて荷重1.5kgfで10往復擦り、目視で表面を観察して、スチールウールに対する耐傷性を以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
○:外観に著しい変化が無い
×:外観に著しい変化がある
実施例1〜6及び比較例1で得られた樹脂成形品の表面を、サンドペーパー(平均粒径9μmアルミナ砥粒の研磨紙)を用いて荷重800gfで10往復擦った。次に、BykGardner社製micro-TRI-gloss(カタログNo.4520)を用いて、試験前後における転写成形品表面の艶(20°)を測定し、試験後における艶/試験前における艶を算出した。サンドペーパーに対する耐傷性を以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
○:(試験後における艶/試験前における艶)×100=80%以上である
×:(試験後における艶/試験前における艶)×100=80%未満である
実施例7〜15及び比較例2で得られた樹脂成形品の表面に対して、JIS L0849(摩耗試験機II型(学振型))に準拠して、学振型摩耗試験を行った。試験に用いた装置は、テスター産業株式会社製「学振型摩耗試験機」であり、摩擦用白綿布としてカナキン3号を用い200g荷重で2000往復後の試験片で評価した。評価基準は、以下の通りである。結果を表2に示す。
○:表面に傷つきがなかった
×:表面における傷つきまたは艶変化が、1/2を超える部分で発生した
上記で得られた樹脂成形品を目視で観察し、樹脂成形品の表面にリリースライン(樹脂成形品から転写用基材を剥離する際に、表面保護層の表面に残る線状の剥離ムラ)が残存しているか否かを確認し、リリースラインの抑制効果を以下の基準に従って評価した。結果を表1、2に示す。
○:リリースラインが残存していなかった
△:リリースラインが僅かに残存していたが、実用上問題の無い程度であった
×:リリースラインが顕著に残存していた
上記で得られた樹脂成形品の表面に対して、縦50mm×横50mmの部分に市販の日焼け止め化粧料0.5gを均一に塗布した。これを80℃のオーブン内に1時間放置した。樹脂成形品を取り出し、洗浄液で表面を洗い流した後、日焼け止め化粧料を塗布した部分(試験表面)の状態を目視で観察して、日焼け止め化粧料について耐薬品性を以下の基準で評価した。結果を表1、2に示す。日焼け止め化粧料は、市販のSPF50のものであり、成分として、1−(4−メトキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3−プロパンジオン 3%、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル 10%、サリチル酸2−エチルヘキシル 5%、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル 10%を含有している。
○:外観に著しい変化が無い
×:外観に著しい変化がある
※表1中、表面保護層におけるイソシアネート化合物の量(質量部)は、表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれるイソシアネート化合物以外の固形分100質量部に対する添加量を示す。
※表1中、プライマー層におけるイソシアネート化合物の量は、表に示したプライマー樹脂100質量部に対する添加量を示す。
一方、表面保護層にペンタエリスリトールトリアクリレート及びアクリルポリマーを用いた比較例1では、スチールウール及びサンドペーパーによる耐傷性試験において、実施例1〜6のいずれに対しても劣っていた。
※表2中、表面保護層におけるイソシアネート化合物の量(質量部)は、表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれるイソシアネート化合物以外の固形分100質量部に対する添加量を示す。
※表2中、プライマー層におけるイソシアネート化合物の量は、表に示したプライマー樹脂100質量部に対する添加量を示す。
一方、表面保護層にペンタエリスリトールトリアクリレート及びアクリルポリマーを用いた比較例2では、学振摩擦試験において、実施例7〜15のいずれに対しても耐傷性が劣っていた。なお、比較例1及び比較例2の樹脂成形品の表面に定規を当て、定規に親指の爪を当てながら樹脂成形品の表面を5往復擦ったところ、比較例1では傷が付かなかったが、比較例2では傷が付いてしまった。このことから、離型層に合成樹脂粒子を配合して表面保護層に微細な凹凸を賦型することにより、耐傷性が低下する傾向があることが理解できる。
2 離型層
3 表面保護層
4 プライマー層
5 装飾層
6 接着層
7 透明樹脂層
8 成形樹脂層
9 転写層
10 支持体
Claims (1)
- 転写用基材上に少なくとも表面保護層が積層された三次元成形用転写フィルムであって、
前記表面保護層が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されている、三次元成形用転写フィルム。
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