実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図1において、マスク基板101に形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置100は、光学画像取得機構150、及び制御系回路160(制御部)を備えている。
光学画像取得機構150は、光源103、透過検査照明光学系170(透過照明光学系)、反射検査照明光学系175(反射照明光学系)、移動可能に配置されたXYθテーブル102、絞り173、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105(センサの一例)、センサ回路106、ストライプパターンメモリ123、及びレーザ測長システム122を有している。XYθテーブル102上には、基板101が載置される。基板101として、例えば、ウェハ等の半導体基板にパターンを転写する露光用のフォトマスク(露光用マスク基板)が含まれる。また、このフォトマスクには、検査対象となる複数の図形パターンによって構成されたパターンが形成されている。基板101は、例えば、パターン形成面を下側に向けてXYθテーブル102に配置される。
透過検査照明光学系170は、投影レンズ180、照明形状切替機構181、及び結像レンズ182を有している。また、透過検査照明光学系170は、その他のレンズ、ミラー、及び/又は光学素子を有していても構わない。反射検査照明光学系175は、光源103から透過検査照明光と分離された反射検査照明光を照明する少なくとも1つのレンズを有する。反射検査照明光学系175は、その他のレンズ、ミラー、及び/又は光学素子を有していても構わない。
拡大光学系104は、対物レンズ171、投影レンズ172、及び結像レンズ176を有している。対物レンズ171、投影レンズ172、及び結像レンズ176は、それぞれ少なくとも1つのレンズによって構成される。また、対物レンズ171と投影レンズ172の間、及び/又は投影レンズ172と結像レンズ176の間に、その他のレンズ、及び/又はミラーを有していても構わない。
フォトダイオードアレイ105として、例えば、TDI(タイム・ディレイ・インテグレーション)センサ等を用いると好適である。フォトダイオードアレイ105(イメージセンサ)は、基板101が載置されたXYθテーブル102が移動している状態で、基板101に形成されたパターンの対応する光学画像を撮像する。
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、モード切替制御回路140、露光模擬参照画像作成回路142、補正テーブル作成回路144、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、センサ回路106は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。
実施の形態1では、高倍率のパターン像を撮像して、かかるパターン像を検査する検査(通常検査モード(1))と露光イメージを取得して、かかる露光イメージを利用した検査(露光イメージ検査モード(2))と、を切り替え可能に構成される。通常検査モード(1)において、検査装置100の光学画像取得機構150では、光源103、透過検査照明光学系170、反射検査照明光学系175、XYθテーブル102、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106により高倍率の通常検査用光学系(検査用光学画像取得機構:第1の光学画像取得機構)が構成される。例えば、400〜500倍の倍率の検査光学系が構成されている。露光イメージ検査モード(2)において、検査装置100の光学画像取得機構150では、光源103、透過検査照明光学系170、XYθテーブル102、絞り173、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106により露光イメージ検査用光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)が構成される。通常検査用光学系と露光イメージ検査用光学系とは、大部分の光学機器を共通にして構成される。言い換えれば、構成の一部が同じ光学機器を流用して構成される。これにより、部品点数の増加を抑制できる。
また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばリニアモータを用いることができる。XYθテーブル102は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、対物レンズ171の位置を固定して、制御計算機110の制御の下に図示しないオートフォーカス(AF)制御回路によりXYθテーブル102を動的に光軸方向(Z軸方向)に移動させることにより、対物レンズ171の焦点位置がマスク基板101のパターン形成面に調整される。かかる場合、XYθテーブル102は、例えば、図示しないピエゾ素子によって光軸方向(Z軸方向)に移動させられることにより、焦点位置が調整される。或いは、対物レンズ171は、制御計算機110の制御の下に図示しないオートフォーカス(AF)制御回路により動的にマスク基板101のパターン形成面に焦点位置(光軸方向:Z軸方向)が調整されるようにしても好適である。かかる場合、対物レンズ171は、例えば、図示しないピエゾ素子によって光軸方向(Z軸方向)に移動させられることにより、焦点位置が調整される。XYθテーブル102上に配置されたマスク基板101の移動位置は、レーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。位置回路107は、測定されるXYθテーブル102の位置から相対的に検査光の照射位置を演算する。
マスク基板101のパターン形成の基となる設計パターンデータ(描画データ)が検査装置100の外部から入力され、磁気ディスク装置109に格納されてもよい。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
図2は、実施の形態1における比較例となる露光装置の光学系の一部を示す概念図である。マスク基板300に形成されたパターンを半導体基板に露光転写するステッパ等の露光装置の光学系の一部を示している。露光装置では、図示しない照明光がマスク基板300に照明され、マスク基板300からの透過光301は、対物レンズ302に入射され、対物レンズ302を通過した光305が半導体基板304(ウェハ:被露光基板)へ結像する。なお、図2では、1つの対物レンズ302(縮小光学系)を示しているが、複数のレンズによる組み合わせであっても構わないことは言うまでもない。ここで、現状の露光装置では、マスク基板300に形成されたパターンを、例えば、1/4に縮小して半導体基板304に露光転写する。その際の露光装置の半導体基板304に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、例えば、NAi=1.4に設定される。言い換えれば、対物レンズ302を通過可能な対物レンズ302の開口数NAi(イメージi側の開口数)は、例えば、NAi=1.4に設定される。露光装置では、マスク基板300からの透過光像を1/4に縮小しているので、対物レンズ302のマスク基板300に対する感度は1/4となる。言い換えれば、マスク基板300から対物レンズ302へ透過光が入射する場合の入射可能な対物レンズ302の開口数NAo(物体o側の開口数)は、NAiの1/4となり、NAo=0.35となる。よって、露光装置では、開口数NAo=0.35の光束のマスク基板300からの透過光像を非常に広い開口数NAi=1.4の光束の像として半導体基板304に露光転写していることになる。
図3は、実施の形態1における検査装置の光学系の一部を示す概念図である。ここでは、実施の形態1における検査装置での開口数と図2に示した露光装置での開口数とを比較する。実施の形態1における検査装置100では、図3に示すように、図示しない照明光がマスク基板101に照明され、マスク基板101からの透過光11は、対物レンズを含む拡大光学系104に入射され、拡大光学系104を通過した光12がフォトダイオードアレイ105(イメージセンサ)へ結像する。その際、マスク基板101から拡大光学系104へ透過光11が入射する場合の入射可能な対物レンズの開口数NAo(物体o側の開口数)は、例えばNAo=0.9に設定する。検査装置100では、マスク基板300からの透過光像を検査で比較可能にするために200〜500倍に拡大しているので、拡大光学系104のマスク基板101に対する感度は200〜500となる。よって、拡大光学系104のフォトダイオードアレイ105に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、NAoの1/500〜1/200となり、例えば、開口数NAi=0.004になる。
このように、NAo=0.35となる露光装置の対物レンズ302が入手する光の情報量と例えばNAo=0.9となる検査装置100の対物レンズが入手する光の情報量とでは、そもそも異なっている。よって、半導体基板304上の像は、フォトダイオードアレイ105の受光面上の像とは、光束数自体が異なるため、同じ像を得ることは困難である。そこで、露光装置の対物レンズ302と等しくするため、絞り173で光束を絞ることで、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.35に設定する。これにより、光束数を合わせることができる。なお、図3では、拡大光学系104しか記載していないが、拡大光学系104内には複数のレンズが配置されている。拡大光学系104内には、上述したように、少なくとも対物レンズ171と投影レンズ172と結像レンズ176とを有している。
よって、対物レンズ171は、マスク基板101が露光装置に配置された場合にマスク基板101からの透過光を入射して半導体基板304に結像する露光装置の対物レンズ302がマスク基板101からの透過光301を入射する場合と同様の開口数NAo(NAo=0.35)で、マスク基板101上に結像された照明光がマスク基板101を透過した透過光11を入射する。なお、結像レンズ176は、拡大光学系104内を通過した光を、露光装置の対物レンズ302よりも十分小さい開口数NAi(NAi=0.001)で結像させることになるが、マスク基板101を透過し、フォトダイオードアレイ105まで届く光の情報量を露光装置に合わせることができる。
図4は、実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図4において、実施の形態1におけるパターン検査方法は、基準マスク計測工程(S90)と、補正閾値探索工程(S92)と、補正テーブル作成工程(S94)と、モード選択工程(S102)と、しぼり解除工程(S104)と、検査用照明光学系配置工程(S106)と、スキャン工程(S108)と、参照画像作成工程(S110)と、フレーム分割工程(S112)と、比較工程(S114)と、絞り工程(S204)と、露光用照明光学系配置工程(S206)と、欠陥候補情報入力工程(S208)と、スキャン工程(S210)と、参照画像作成工程(S212)と、補正閾値算出工程(S214)と、CD測定工程(S216)と、CD測定工程(S218)と、寸法変化率演算工程(S220)と、判定工程(S222)と、の各工程を実施する。
ここで、検査装置100で再現した露光イメージを使ったパターン寸法等の検査を行うと、得られる検査結果が外部の標準装置での検査結果とずれが生じてしまう場合がある。これは、装置構成がそもそも異なるので、得られる結果も異なってしまうからである。しかし、いずれもナノメートルオーダーでのパターン寸法を評価しているので、どちらの結果が正しいのか判断することは困難である。そこで、実施の形態1では、検査装置100にて、かかる標準装置での検査結果と同じ結果が得られるように測定閾値を補正する。かかる補正された補正閾値を得るために、まずは、同じ基準マスク基板を検査装置100と図示しない外部の標準装置とでそれぞれ測定して、検査装置100での測定結果と図示しない外部の標準装置での測定結果とを比較する。
基準マスク計測工程(S90)として、検査装置100を用いて、基準となる基準マスク基板に形成された図形パターンを撮像し、かかる図形パターンの線幅寸法CDを測定する。また、図示しない外部の標準装置(例えばカールツァイス社製の専用機)でも、別途、かかる基準マスク基板に形成された図形パターンの線幅寸法CDを測定する。
ここでは、検査装置100では、露光イメージとして、基準マスク基板の画像を撮像する。よって、光源103、透過検査照明光学系170、XYθテーブル102、絞り173、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106による検査光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)にて撮像する。具体的には、後述するように、絞り173の開口部の直径をしぼり、対物レンズ171のNAoを露光装置の対物レンズ302と等しくする。例えば、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.35に設定する。さらに、照明形状切替機構181は、透過検査用の照明光(検査光)の形状が露光装置で使用する照明形状と同様の照明形状になるようにレンズ、及びミラー等を含む光学素子を切り替える。
図5は、実施の形態1における基準マスク基板に形成される評価パターンの一例を示す図である。図5において基準マスク基板300には、パターンサイズ、配置ピッチ、欠陥タイプ、及び欠陥サイズが異なる同種の複数のパターンからそれぞれ構成される複数種のパターン群が形成される。複数種のパターンとして、例えば、ホールパターン(A)、ホールパターン(A)と白黒反転させたピラーパターン(B)、x方向に並ぶラインアンドスペース(L/S)パターン(C)、及び/或いはy方向に並ぶラインアンドスペース(L/S)パターン(D)が挙げられる。
図6は、実施の形態1における評価パターンを構成するパターン種の一例を示す図である。図6(a)では、x方向幅サイズdxとy方向幅サイズdyの矩形パターンが、x方向にピッチPx、及びy方向にピッチPyで配置されるホールパターン(A)の一例が示されている。図6(b)では、x方向幅サイズdxとy方向幅サイズdyの矩形スペースパターンが、x方向にピッチPx、及びy方向にピッチPyで配置されるピラーパターン(B)の一例が示されている。
図7は、実施の形態1における評価パターンを構成するパターン種の他の一例を示す図である。図7(a)では、x方向幅サイズdxのラインパターンがx方向にピッチPxで配置されるx方向に並ぶラインアンドスペース(L/S)パターン(C)の一例が示されている。図7(b)では、y方向幅サイズdyでラインパターンがy方向にピッチPyで配置されるy方向に並ぶラインアンドスペース(L/S)パターン(D)の一例が示されている。
図8は、実施の形態1における評価パターンの欠陥タイプ及び欠陥サイズの一例を示す図である。図8(a)では、パターンの例えばx方向の両端部が共に欠陥サイズΔxだけ小さくなる欠陥タイプ(1)を示している。図8(b)では、パターンの例えばx方向の両端部のうち右側端部が欠陥サイズΔxだけ小さくなる欠陥タイプ(2)を示している。図8(c)では、パターンの例えばx方向の両端部のうち左側端部が欠陥サイズΔxだけ小さくなる欠陥タイプ(3)を示している。なお、ここでは、x方向端部について示しているが、y方向端部についても同様の欠陥タイプがあり得る。
図9は、実施の形態1における評価パターンの欠陥タイプ及び欠陥サイズの他の一例を示す図である。図9(a)では、パターンの例えばx方向の両端部が共に欠陥サイズΔxだけ大きくなる欠陥タイプ(4)を示している。図9(b)では、パターンの例えばx方向の両端部のうち右側端部が欠陥サイズΔxだけ大きくなる欠陥タイプ(5)を示している。図9(c)では、パターンの例えばx方向の両端部のうち左側端部が欠陥サイズΔxだけ大きくなる欠陥タイプ(6)を示している。なお、ここでは、x方向端部について示しているが、y方向端部についても同様の欠陥タイプがあり得る。
図10は、実施の形態1における評価パターンの欠陥タイプ及び欠陥サイズの他の一例を示す図である。図10(a)では、パターンの例えばx方向の両端部のうち左側端部の一部にx方向に欠陥サイズΔx及びy方向に欠陥サイズΔyの凹部(切り欠き)が生じる欠陥タイプ(7)を示している。図10(b)では、パターンの例えばx方向の両端部のうち左側端部の一部にx方向に欠陥サイズΔx及びy方向に欠陥サイズΔyの凸部(出っ張り)が生じる欠陥タイプ(8)を示している。なお、ここでは、x方向端部について示しているが、y方向端部についても同様の欠陥タイプがあり得る。また、両端部のうち一方の端部について示しているが、他方の端部についても同様の欠陥タイプがあり得る。
図11は、実施の形態1における評価パターンの欠陥タイプ及び欠陥サイズの他の一例を示す図である。図11(a)では、パターンの例えばx方向上部の角部にx方向に欠陥サイズΔx及びy方向に欠陥サイズΔyの矩形パターンが接続する欠陥タイプ(9)を示している。図11(b)では、パターンの例えばx方向上部の角部にx方向に欠陥サイズΔx及びy方向に欠陥サイズΔyの凹部(切り欠き)が生じる欠陥タイプ(10)を示している。なお、ここでは、パターンの4隅のうち1つの角部について示しているが、残りの他の角部についても同様の欠陥タイプがあり得る。
図12は、実施の形態1における評価パターンの欠陥タイプ及び欠陥サイズの他の一例を示す図である。図12(a)では、パターンの例えば中央部にx方向に欠陥サイズΔx及びy方向に欠陥サイズΔyの凹部(切り抜き)が生じる欠陥タイプ(11)を示している。図12(b)では、パターンの周辺近傍にx方向に欠陥サイズΔx及びy方向に欠陥サイズΔyの矩形パターンが隙間を開けて配置される欠陥タイプ(12)を示している。
以上のようなパターンサイズ、配置ピッチ、欠陥タイプ、及び欠陥サイズを可変にした各パターン種のパターン群が基準マスク基板300上に形成される。図5の例では、例えば、ホールパターン(A)について、x方向に向かって欠陥タイプを順に変化させ、y方向に向かって欠陥サイズを順に大きくした複数のホールパターン群を、さらに、x方向に向かって配置ピッチを順に大きくし、y方向に向かってパターンサイズを順に大きくするように配置する。同様に、ピラーパターン(B)について、x方向に向かって欠陥タイプを順に変化させ、y方向に向かって欠陥サイズを順に大きくした複数のピラーパターン群を、さらに、x方向に向かって配置ピッチを順に大きくし、y方向に向かってパターンサイズを順に大きくするように配置する。同様に、x方向に並ぶラインアンドスペース(L/S)パターン(C)について、x方向に向かって欠陥タイプを順に変化させ、y方向に向かって欠陥サイズを順に大きくした複数のL/Sパターン群を、さらに、x方向に向かって配置ピッチを順に大きくし、y方向に向かってパターンサイズを順に大きくするように配置する。同様に、y方向に並ぶL/Sパターン(D)について、x方向に向かって欠陥タイプを順に変化させ、y方向に向かって欠陥サイズを順に大きくした複数のL/Sパターン群を、さらに、x方向に向かって配置ピッチを順に大きくし、y方向に向かってパターンサイズを順に大きくするように配置する。
以上のような基準マスク基板300上に形成された評価パターンについて、検査装置100における露光イメージ検査モード(2)に設定された光学画像取得機構150によって、それぞれ光学画像を撮像する。また、かかる評価パターンを基準マスク基板300に形成する基となる設計評価パターンのパターンデータを検査装置100の外部から入力し、記憶装置109に格納しておく。そして、参照画像作成回路112によりかかる評価パターンの参照画像を作成する。
一方、検査装置100の比較対象となる図示しない標準装置側では、評価パターンの各パターンについて、パターンの幅寸法CDを測定し、評価パターンの各パターンについて、寸法変化率を演算する。寸法変化率は、例えば、測定された画像(空間画像)のCD寸法から設計CD寸法を差し引いた差分を設計CD寸法で割った値(或いは、かかる値に100を乗じた%値)で定義される。検査装置100側で寸法変化率を演算する場合には、例えば、光学画像のCD寸法から参照画像のCD寸法を差し引いた差分を参照画像のCD寸法で割った値(或いは、かかる値に100を乗じた%値)で定義できる。
図13は、実施の形態1における補正テーブル作成回路の内部構成を示す図である。図13において、実施の形態1における補正テーブル作成回路144内には、磁気ディスク装置等の記憶装置40,42,44、補正閾値探索部46、及び補正テーブル作成部48が配置される。補正閾値探索部46、及び補正テーブル作成部48といった各「〜部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「〜部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。補正閾値探索部46、及び補正テーブル作成部48に入出力される情報および演算中の情報は図示しないメモリにその都度格納される。
図14は、実施の形態1における線幅寸法の測定手法を説明するための図である。図14において、得られた光学画像は画素毎の階調値(画素値:画像強度)として得られるので、図14に示すように、縦軸に階調値(画素値:画像強度)、横軸に位置を示す階調プロファイルデータとして取得される。参照画像内のパターンの階調値プロファイルにおいて、図14のEF間寸法が所望する設計幅寸法になる測定閾値Thで、光学画像内のパターンの階調値プロファイルからAB間寸法を測定することで、光学画像内のパターンの幅寸法CDを得ることができる。
上述したように、標準装置と実施の形態1における検査装置100とでは、同じパターンを測定したにも関わらず、得られる寸法変化率が一致しない場合がある。そこで、実施の形態1では、参照画像内のパターンの階調値プロファイルにおいて、図14のEF間寸法が所望する設計幅寸法になる予め設定された測定閾値Thではなく、評価パターンの各パターンについて、標準装置で得られた寸法変化率と一致する寸法変化率が得られる測定閾値Th’を探索する。
そこで、まず、露光イメージ検査モード(2)に設定された光学画像取得機構150によって、それぞれ取得された評価パターンの各パターンの光学画像のデータは、補正テーブル作成回路144に出力され、位置回路107により演算された位置情報と共に、記憶装置40に格納される。また、作成された評価パターンの各パターンの参照画像のデータは、補正テーブル作成回路144に出力され、設計データ上の位置情報と共に、記憶装置42に格納される。また、標準装置で得られた評価パターンの各パターンの寸法変化率のデータは、検査装置100の外部から入力され、記憶装置44に格納される。
補正閾値探索工程(S92)として、まず、補正閾値探索部46は、評価パターンの各パターンについて、光学画像のデータと参照画像のデータと標準装置で得られた寸法変化率のデータとを、それぞれ対応する記憶装置から読み出し、標準装置で得られた寸法変化率と一致する寸法変化率が得られる光学画像のCD寸法と参照画像のCD寸法となる測定閾値Th’を探索する。
補正テーブル作成工程(S94)として、補正テーブル作成部48は、パターンの寸法を測定する測定閾値Thが補正された補正閾値が定義された補正テーブル32を作成する。
図15は、実施の形態1における補正テーブルのフォーマットの一例を示す図である。かかる補正テーブル32には、検査装置100の露光イメージ検査用光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)を用いて基準となる基準マスク基板300から得られた光学画像と、外部の画像取得装置となる標準装置を用いて同じ基準マスク基板300から得られた光学画像と、を用いて設定された補正閾値が定義される。具体的には、補正テーブル作成部48は、図15に示すように、パターン種、パターンサイズ、配置ピッチ、欠陥タイプ、欠陥サイズ、標準装置で得られた寸法変化率、及び補正閾値が関連するように、補正テーブル32を作成する。なお、補正閾値として、探索された測定閾値Th’そのものであっても良いし、検査装置100で予め設定されていた図14のEF間寸法が所望する設計幅寸法になる測定閾値Thから探索された測定閾値Th’になるための変化量(例えば差分値若しくは加算値)、或いは変化率であっても良い。言い換えれば、補正テーブル32は、検査装置100の露光イメージ検査用光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)を用いて基準マスク基板300から得られた光学画像内のパターンの寸法変化率が、外部の画像取得装置となる標準装置を用いて同じ基準マスク基板300から得られた光学画像内のパターンの寸法変化率に一致するように測定閾値Thが補正された補正閾値が定義される。さらに言い換えれば、補正テーブル32は、検査装置100の露光イメージ検査用光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)とは異なる外部の画像取得装置である標準装置により得られたデータを基に、検査装置100の露光イメージ検査用光学系で取得する、転写パターン像を模擬した露光転写模擬画像(露光イメージ画像:第2の光学画像)内のパターンの寸法を測定する測定閾値Thが補正された補正閾値が定義される。作成された補正テーブル32は比較回路108に出力される。
以上の検査前処理が完了した後、実際の検査対象となる基板101についての検査を行う。
モード選択工程(S102)にて、高倍率のパターン像を撮像して、かかるパターン像を検査する通常検査モード(1)を選択した場合、通常検査モード(1)では、図4の各工程のうち、しぼり解除工程(S104)と、検査用照明光学系配置工程(S106)と、スキャン工程(S108)と、参照画像作成工程(S110)と、フレーム分割工程(S112)と、比較工程(S114)と、の各工程を実施する。
モード選択工程(S102)にて、露光イメージ検査モード(2)を選択した場合、露光イメージ検査モード(2)では、図4の各工程のうち、絞り工程(S204)と、露光用照明光学系配置工程(S206)と、欠陥候補情報入力工程(S208)と、スキャン工程(S210)と、参照画像作成工程(S212)と、補正閾値算出工程(S214)と、CD測定工程(S216)と、CD測定工程(S218)と、寸法変化率演算工程(S220)と、判定工程(S222)と、の各工程を実施する。
よって、まず、モード選択工程(S102)において、通常検査モード(1)と露光イメージ検査モード(2)の一方を選択させる。例えば、図示しないキーボード、マウス、タッチパネル等から、かかる検査モード(1)(2)の一方を選択させればよい。そして、かかる選択された検査モードの情報は、制御計算機110の制御のもと、モード切替制御回路140に出力される。モード切替制御回路140は、入力された検査モードの情報に従って、検査光学系の配置等を切り替える。実施の形態1では、まずは、通常検査モード(1)を選択する。
しぼり解除工程(S104)として、モード切替制御回路140は、絞り173の開口部の直径を大きくし、通過可能な光束を増やすことで、対物レンズ171のNAoを通常の高解像の検査時と等しくする。例えば、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.9に設定する。或いは、絞り173の開口部を完全開放してもよい。既に絞り173の開口部の直径が大きくなっている(或いは完全開放されている)状態であれば、特にかかる工程は省略さればよい。
検査用照明光学系配置工程(S106)として、モード切替制御回路140による制御のもと、照明形状切替機構181は、透過検査用の照明光(検査光)の形状が、通常の検査時に使用する照明形状になるように、露光装置の照明用の光学素子を光路上から光路外へと移動させる。或いは、通常検査用に、レンズ、及びミラー等を含む光学素子を切り替える。既に通常の検査時に使用する照明形状になっている状態であれば、特にかかる工程は省略さればよい。
図16は、実施の形態1における通常検査用光学系の構成の一例と露光イメージ検査用光学系の構成の一例とを示す図である。図16では、図1の構成の一部を示している。なお、図1と図16の各構成の位置の縮尺等については一致させていない。図16(a)では、通常検査用光学系の構成の一例が示されている。通常検査用光学系(検査用光学画像取得機構:第1の光学画像取得機構)では、透過検査照明光学系170の照明形状が通常の検査時に使用する照明形状に照明形状切替機構181により制御されている。そして、基板101から拡大光学系104へ透過光が入射する場合の入射可能な対物レンズ171の開口数NAo(物体o側の開口数)が例えばNAo=0.9になるようにしぼりが解除されている。図16(b)に示す露光イメージ検査用光学系の構成の一例については後述する。
スキャン工程(S108)として、上述したしぼり解除と検査用照明光学系配置との各工程により通常検査用光学系(検査用光学画像取得機構:第1の光学画像取得機構)に構成された光学画像取得機構150は、パターンが形成された基板101(露光用マスク基板)に照明光を照射して、基板101から得られる透過光若しくは反射光を用いて、パターンの光学画像(第1の光学画像)を取得する。具体的には以下のように動作する。
図1及び図16(a)において、光源103から検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が発生する。発生された光は、投影レンズ180によって照明形状切替機構181に照明され、照明形状切替機構181によって常の検査時に使用する照明形状となった照明光(第1の照明光)が、結像レンズ182によって、基板101のパターン形成面とは反対の裏面側から基板101のパターン形成面に結像される。基板101を透過した透過光(マスクパターン像)は、対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によって投影レンズ172を介して結像レンズ176に進む。そして、結像レンズ176は、透過光(マスクパターン像)をフォトダイオードアレイ105の受光面に結像させる。そして、フォトダイオードアレイ105は、結像された像を撮像する。かかるスキャン動作の間、XYθテーブル102は連続移動している。
なお、透過検査ではなく、反射検査であってもよい。そのためには、光源103から発生された光は、図示しないハーフミラーによって異なる軌道の2つの光線に分割され、一方の光線が反射検査照明光学系175(反射照明光学系)に入射される。他方の光線は、上述した透過検査照明光学系170(透過照明光学系)へと進めば良い。或いは遮断されてもよい。反射検査照明光学系175(反射照明光学系)は、図示しないビームスプリッタに光線を照明し、ビームスプリッタは、光線を反射して対物レンズ171に入射する。対物レンズ171は入射した光線を基板101のパターン形成面に結像する。そして、基板101から反射した反射光(マスクパターン像)は、対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によって投影レンズ172を介して結像レンズ176に進む。そして、結像レンズ176は、透過光(マスクパターン像)をフォトダイオードアレイ105の受光面に結像させる。そして、フォトダイオードアレイ105は、結像された像を撮像する。或いは、透過及び反射の同時検査を行っても良い。かかる場合には、フォトダイオードアレイを2つ用意して、一方が基板101からの透過光を受光し、同時に他方が基板101からの反射光を受光するようにしてもよい。基板101への照射位置を透過検査光と反射検査光とで若干ずらすことで、透過光と反射光の軌道をずらせばよい。これによりパターンの透過像と反射像との両方の画像を同時に撮像できる。
図17は、実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。基板101の検査領域10(検査領域全体)は、図17に示すように、例えばy方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、検査装置100では、検査ストライプ20毎に画像(ストライプ領域画像)を取得していく。検査ストライプ20の各々に対して、レーザ光を用いて、当該ストライプ領域の長手方向(x方向)に向かって当該ストライプ領域内に配置される図形パターンの画像を撮像する。XYθテーブル102の移動によって、基板101がx方向に移動させられ、その結果、フォトダイオードアレイ105が相対的に−x方向に連続移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、図17に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。言い換えれば、センサの一例となるフォトダイオードアレイ105は、XYθテーブル102と相対移動しながら、検査光を用いて基板101に形成されたパターンの光学画像を撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプ20における光学画像を撮像した後、y方向に次の検査ストライプ20の位置まで移動して今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
ここで、撮像の方向は、フォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の繰り返しに限るものではない。一方の方向から撮像してもよい。例えば、FWD−FWDの繰り返しでもよい。或いは、BWD−BWDの繰り返しでもよい。
フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、フォトダイオードアレイ105のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が60%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いると好適である。
また、検査ストライプ20の光学画像を取得する際、レーザ測長システム122は、XYθテーブル102の位置を測長する。測長された位置情報は、位置回路107に出力される。位置回路107(演算部)は、測長された位置情報を用いて、基板101の照明光の照射位置を演算する。
その後、ストライプ領域画像は、位置回路107から出力された基板101上の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力されたストライプ領域画像は、後述する記憶装置に格納される。
参照画像作成工程(S110)として、参照画像作成回路112は、基板101にパターンを形成する基になった設計データ(描画データ)に定義されたパターンデータに基づいて、検査ストライプ20が、例えば、スキャン幅Wと同じ幅で分割された複数のフレーム領域30のフレーム領域30毎に、参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計データ(描画データ)に定義されたパターンデータを読み出し、読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
ここで、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/28(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして参照回路112に出力する。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。測定画像としての光学画像データは、光学系によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。作成された参照画像の画像データは、設計データ上の位置情報と共に、比較回路108に出力され、図示しないメモリに格納される。
図18は、実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。図18において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52,56,57,60,61,62,68、フレーム分割部54、位置合わせ部58、比較処理部59、欠陥情報解釈部64、測定閾値演算部66、CD測定部70,72、寸法変化率演算部74、及び比較処理部76が配置される。フレーム分割部54、位置合わせ部58、比較処理部59、欠陥情報解釈部64、測定閾値演算部66、CD測定部70,72、寸法変化率演算部74、及び比較処理部76といった各「〜部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「〜部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。フレーム分割部54、位置合わせ部58、比較処理部59、欠陥情報解釈部64、測定閾値演算部66、CD測定部70,72、寸法変化率演算部74、及び比較処理部76に入出力される情報および演算中の情報は図示しないメモリにその都度格納される。
比較回路108に送られた参照画像のデータは、記憶装置50に格納される。また、比較回路108に送られたストライプ領域画像のデータは、記憶装置52に格納される。また、比較回路108に送られた補正テーブル32は、記憶装置68に格納される。
フレーム分割工程(S112)として、フレーム分割部54は、ストライプ領域画像を読み出し、ストライプ領域画像をx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。これにより、検査ストライプ20が、例えば、スキャン幅Wと同じ幅で分割された複数のフレーム領域30について、各フレーム領域30のフレーム画像を取得できる。フレーム画像は記憶装置56に格納される。
比較工程(S114)として、まず、位置合わせ部58は、比較対象となるフレーム画像(第1の光学画像)と、比較対象となる参照画像(第1の参照画像)とについて、所定のアルゴリズムで位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
比較処理部59(比較部)は、取得されたフレーム画像(第1の光学画像)に対応する参照画像(第1の参照画像)と、かかるフレーム画像(第1の光学画像)とを比較することによって、フレーム画像(第1の光学画像)の欠陥の有無を判定する。具体的には、比較処理部59は、位置合わせされたフレーム画像(第1の光学画像)と、比較対象となる参照画像(第1の参照画像)とを、画素毎に比較する。所定の判定閾値を用いて所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が予め設定された判定閾値よりも大きければ欠陥候補と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置57、モニタ117、メモリ118に出力されればよい。或いはプリンタ119から出力されればよい。
上述した例では、基板101にパターンを形成する基になった設計データ(描画データ)から作成した参照画像と光学画像とを比較する「die to database(ダイ−データベース)検査」について説明したが、これに限るものではない。同一基板101上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ−ダイ)検査」を行ってもよい。
例えば、上述したストライプ領域画像には、同じパターンが形成された2つのダイの画像が含まれ得る。そこで、ダイ−ダイ検査の場合、ダイ(1)のフレーム領域30のフレーム画像に対応する、ダイ(2)のフレーム領域30のフレーム画像を同様に生成する。ここでは、例えば、ダイ(2)のフレーム領域30のフレーム画像がダイ(1)のフレーム領域30のフレーム画像に対応する参照画像(第1の参照画像)になる。そして、位置合わせ部58は、ダイ(1)のフレーム画像とダイ(2)のフレーム画像との間で位置合わせを行う。そして、比較処理部59は、ダイ(1)のフレーム画像とダイ(2)のフレーム画像とを、画素毎に比較する。比較結果は、記憶装置57、モニタ117、メモリ118に出力されればよい。或いはプリンタ119から出力されればよい。
以上のようにして、検査装置100によって、基板101に形成されたパターンの欠陥有無が検査され、欠陥個所が取得される。但し、上述したように、実際の露光装置でマスクパターンをウェハ上に転写した際に、ウェハ上で回路の断線或いは/及び短絡等がかかる欠陥によって生じないのであれば、集積回路としては使用可能である。但し、マスク基板の段階での断線或いは/及び短絡が生じていない場合でも、半導体装置として使用することによって、断線或いは/及び短絡が生じる可能性が高い状態のものも排除する必要がある。そのため、かかる判断に上述した寸法変化率をパラメータとして用いる。そこで、実施の形態1の検査装置100では、通常検査モード(1)による通常検査に引き続き、欠陥個所について露光イメージ検査モード(2)による露光イメージ検査を行う。
よって、モード選択工程(S102)に戻り、今度は、露光イメージ検査モード(2)を選択する。かかる選択された検査モードの情報は、制御計算機110の制御のもと、モード切替制御回路140に出力される。モード切替制御回路140は、入力された検査モードの情報に従って、検査光学系の配置等を切り替える。
絞り工程(S204)として、モード切替制御回路140は、絞り173の開口部の直径をしぼり、通過可能な光束を絞ることで、対物レンズ171のNAoを露光装置の対物レンズ302と等しくする。例えば、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.35に設定する。
露光用照明光学系配置工程(S206)として、モード切替制御回路140による制御のもと、照明形状切替機構181は、透過検査用の照明光(検査光)の形状が露光装置で使用する照明形状と同様の照明形状になるようにレンズ、及びミラー等を含む光学素子を切り替える。かかる光学素子は、露光装置の照明条件に合わせて予め切り換え可能に配置しておけばよい。
上述した図16(b)では露光イメージ検査用光学系の構成の一例が示されている。図16(b)に示すように、露光イメージ検査用光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)では、透過検査照明光学系170の照明形状が露光装置で使用する照明形状と同様の照明形状になるように光学素子が照明形状切替機構181により制御されている。そして、基板101から拡大光学系104へ透過光が入射する場合の入射可能な対物レンズ171の開口数NAo(物体o側の開口数)が例えばNAo=0.35になるように光束がしぼられている。
欠陥候補情報入力工程(S208)として、制御計算機110は、記憶装置57から通常の欠陥検査の検査結果のデータを読み出し、欠陥と判定された欠陥(現時点では欠陥候補)個所の情報を入力する。かかる欠陥個所の情報には、欠陥個所の位置(座標)、欠陥個所のパターンの設計データ、及び欠陥個所を含むフレーム画像のデータが含まれる。かかる欠陥個所の情報は、比較回路108、露光模擬参照画像作成回路142、及びテーブル制御回路114に出力される。例えば、比較回路108に出力された欠陥個所の情報は、記憶装置61に格納される。
そして、テーブル制御回路114は、検査光の照明位置が欠陥個所を含む領域(例えばフレーム領域30)の撮像開始位置になるように、或いは撮像方向に対してかかる欠陥個所の手前近傍になるようにXYθテーブル102を移動させる。或いは、テーブル制御回路114は、欠陥個所を含む検査ストライプ20の撮像開始位置にXYθテーブル102を移動させる。ここでは、一例として、検査光の照明位置が欠陥個所を含むフレーム領域30の撮像開始位置になるようにXYθテーブル102を移動させる。
スキャン工程(S210)として、上述したしぼりと露光用照明光学系配置との各工程により露光イメージ検査用光学系(露光イメージ用光学画像取得機構:第2の光学画像取得機構)に構成された光学画像取得機構150は、検査により欠陥と判定された欠陥個所について、パターンを試料(例えば、半導体ウェハ)に露光転写した際に試料上に形成される転写パターン像を模擬した露光転写模擬画像となる光学画像(第2の光学画像)を取得する。具体的には、以下のように撮像する。
図1及び図16(b)において、光源103から発生された検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)は、投影レンズ180によって照明形状切替機構181に照明され、照明形状切替機構181によって露光装置で使用する照明形状と同様の照明形状となった照明光(第2の照明光)が、結像レンズ182によって、基板101のパターン形成面とは反対の裏面側から基板101のパターン形成面に結像される。基板101を透過した透過光(マスクパターン像)は、しぼり173によって光束が絞られた後、対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によって投影レンズ172を介して結像レンズ176に進む。そして、結像レンズ176は、透過光(露光イメージ像)をフォトダイオードアレイ105の受光面に結像させる。そして、フォトダイオードアレイ105は、結像された像を撮像する。かかるスキャン動作の間、XYθテーブル102は連続移動している。
また、欠陥個所を含む欠陥領域(例えばフレーム領域30、或いは検査ストライプ20)の露光転写模擬画像となる光学画像(露光イメージ画像:第2の光学画像)を取得する際、レーザ測長システム122は、XYθテーブル102の位置を測長する。測長された位置情報は、位置回路107に出力される。位置回路107は、測長された位置情報を用いて、基板101の照明光の照射位置を演算する。
その後、欠陥個所を含む欠陥領域の露光イメージ画像(露光転写模擬画像:第2の光学画像)は、位置回路107から出力された基板101上の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力された露光イメージ画像は、記憶装置62に格納される。
参照画像作成工程(S212)として、露光模擬参照画像作成回路142は、設計データ(描画データ)に定義されたパターンデータに基づいて、欠陥個所のパターンを露光装置で露光転写した場合に得られると想定される露光模擬参照画像(第2の参照画像)を作成する。露光模擬参照画像は、露光イメージ画像と同じサイズ、例えば、フレーム領域30に合わせたサイズで作成される。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計データ(描画データ)に定義されたパターンデータを読み出し、読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。かかる場合に、露光転写した場合に得られる形状になるように画像を生成するための変換関数を予めシミュレーション等により設定しておくと好適である。作成された露光模擬参照画像の画像データは、設計データ上の位置情報と共に、比較回路108に出力され、メモリ60に格納される。
補正閾値算出工程(S214)として、まず、欠陥情報解釈部64は、記憶装置61から欠陥個所の情報(欠陥情報)を読み出し、欠陥情報を解釈する。ここでは、欠陥とされたパターンのパターン種、パターンサイズ、配置ピッチ、欠陥タイプ、及び欠陥サイズを解釈する。例えば、欠陥個所のパターンの設計データからパターンのパターン種、パターンサイズ、及び配置ピッチを解釈する。そして、欠陥個所を含むフレーム画像のデータからパターンに生じた欠陥の欠陥タイプ、及び欠陥サイズを解釈する。
測定閾値演算部66は、記憶装置68から補正テーブル32を読み出し、欠陥個所の情報から解釈されたパターン種、パターンサイズ、配置ピッチ、欠陥タイプ、及び欠陥サイズに対応する(或いは最も近い)補正閾値を演算する(或いは検索する)。2つの補正閾値の間に相当する場合には、線形補間した補正閾値を演算により求めても好適である。得られた補正閾値は、CD測定部70,72に出力される。
CD測定工程(S216)として、CD測定部70は、演算された補正閾値を用いて露光転写模擬画像となる光学画像(露光イメージ画像:第2の光学画像)から欠陥個所のパターンの測定パターン寸法(光学画像のCD寸法)を測定する。補正閾値が測定閾値Th’そのものとして定義されていた場合、CD測定部70は、図14に示す露光転写模擬画像となる光学画像の階調プロファイルにおいて測定閾値Th’で切り取られるA’B’間寸法を測定する。補正閾値が、検査装置100に予め設定された測定閾値Thからの変化量(例えば差分値若しくは加算値)として定義されていた場合、CD測定部70は、検査装置100に予め設定された測定閾値Thに補正閾値を加算或いは測定閾値Thから差し引いた測定閾値Th’で、図14に示す露光転写模擬画像となる光学画像の階調プロファイルにおいて切り取られるA’B’間寸法を測定する。補正閾値が、検査装置100に予め設定された測定閾値Thからの変化率として定義されていた場合、CD測定部70は、検査装置100に予め設定された測定閾値Thに補正閾値を乗じて得られる測定閾値Th’で、図14に示す露光転写模擬画像となる光学画像の階調プロファイルにおいて切り取られるA’B’間寸法を測定する。
CD測定工程(S218)として、CD測定部72は、演算された補正閾値を用いて露光模擬参照画像(第2の参照画像)から欠陥個所に対応するパターンの参照パターン寸法(参照画像のCD寸法)を測定する。補正閾値が測定閾値Th’そのものとして定義されていた場合、CD測定部72は、図14に示す露光模擬参照画像の階調プロファイルにおいて測定閾値Th’で切り取られるE’F’間寸法を測定する。補正閾値が、検査装置100に予め設定された測定閾値Thからの変化量(例えば差分値若しくは加算値)として定義されていた場合、CD測定部72は、検査装置100に予め設定された測定閾値Thに補正閾値を加算或いは測定閾値Thから差し引いた測定閾値Th’で、図14に示す露光模擬参照画像の階調プロファイルにおいて切り取られるE’F’間寸法を測定する。補正閾値が、検査装置100に予め設定された測定閾値Thからの変化率として定義されていた場合、CD測定部70は、検査装置100に予め設定された測定閾値Thに補正閾値を乗じて得られる測定閾値Th’で、図14に示す露光模擬参照画像の階調プロファイルにおいて切り取られるE’F’間寸法を測定する。
寸法変化率演算工程(S220)として、寸法変化率演算部74は、補正テーブル32に定義された補正閾値を用いて露光転写模擬画像となる光学画像(露光イメージ画像:第2の光学画像)から測定された欠陥個所のパターンの測定パターン寸法と、かかる露光転写模擬画像に対応する露光模擬参照画像(第2の参照画像)から得られる欠陥個所に対応するパターンの参照パターン寸法と、を用いて、寸法変化率を演算する。寸法変化率は、露光転写模擬画像の測定パターン寸法(CD寸法)から露光模擬参照画像の参照パターン寸法(CD寸法)を差し引いた差分を露光模擬参照画像の参照パターン寸法(CD寸法)で割った値(或いは、かかる値に100を乗じた%値)で定義できる。演算された寸法変化率は、比較処理部76に出力される。或いは、さらに、記憶装置109、モニタ117、メモリ118に出力されてもよい。或いはプリンタ119から出力されてもよい。
判定工程(S222)として、比較処理部76は、欠陥個所毎に、演算された寸法変化率が予め設定された判定閾値よりも大きいかどうかを比較判定する。そして、演算された寸法変化率が予め設定された判定閾値よりも大きい場合には、かかる欠陥個所は、本当の欠陥個所として記憶装置109、モニタ117、メモリ118に出力される。或いはプリンタ119から出力されてもよい。演算された寸法変化率が予め設定された判定閾値よりも大きくない場合には、疑似欠陥として、欠陥として判定された欠陥グループから除外される。
図19は、実施の形態1と比較例とのパターン検査の流れを説明するための図である。図19(a)では、比較例として、露光イメージ検査を行わずに欠陥検査を行う検査装置を用いた場合の検査の流れを示す。図19(b)では、実施の形態1の検査装置100により露光イメージ検査を行う場合の検査の流れを示す。図19(a)において、露光マスク等の基板101は、従来の検査装置で欠陥検査が行われる。検査装置では、非常に小さなずれが生じてもパターン欠陥有りと判定するため、欠陥個所が多数発生する。かかる多数のマスクパターンの欠陥個所の情報は、空間像を用いて露光イメージを検査する外部の標準装置400に出力される。そして、これら多数のマスクパターンの欠陥個所について、それぞれ寸法変化率を演算する。その結果、全個所OKとなれば、露光装置500にてウェハ等の試料にマスクパターンが露光転写されることになる。逆に、NGとなる個所が1か所でもあれば、マスクの修理或いは廃棄が行われることになる。空間像を用いた標準装置は計測に時間がかかる。そのため、多数のマスクパターンの欠陥個所についてすべて空間像を作成して、露光イメージ検査を行っていたのではマスク製造におけるスループットが非常に悪くなってしまう。
これに対して、図19(b)に示すように、実施の形態1では、検査装置100においても、通常の欠陥検査において欠陥と判定されたマスクパターンの欠陥個所について、露光装置500で転写される場合のパターン画像を再現し、それぞれ寸法変化率を演算する。その結果、検査装置100において予め欠陥個所の数を少なく抑えることができる。さらに、実施の形態1では、寸法変化率を演算する場合の寸法測定に用いる測定閾値を外部の標準装置400で測定した場合の寸法変化率に合うように補正している。そのため、外部の標準装置400と同様の判定条件で、外部の標準装置400に出力される欠陥個所の数を少なく抑えることができる。よって、標準装置400での欠陥確認作業にかかる時間を大幅に縮小することができ、マスク製造におけるスループットを向上させることができる。或いは、標準装置400での欠陥確認作業を省略しても構わない。それにより、さらにスループットを向上させることができる。
以上のように、実施の形態1によれば、露光装置500で転写される場合の転写パターン像を模擬した露光転写模擬画像から、例えば標準装置400となる外部の画像取得装置と同様の計測結果を得ることができる。よって、検査装置100において、欠陥判定された複数の個所の中から露光転写された場合に集積回路としては使用可能な個所を除くことができる。
以上の説明において、各「〜回路」は、処理回路を有し、その処理回路として、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等を用いることができる。また、各「〜回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、モード切替制御回路140、露光模擬参照画像作成回路142、および補正テーブル作成回路144等は、上述した少なくとも1つの回路で構成されてもよい。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、寸法変化率を得るためのパターン寸法として、矩形等のパターン部分の寸法の他、複数の矩形等のパターン部分間のスペース寸法についても測定されると好適である。その結果、パターン間距離の寸法変化率を得ることができるので、短絡等の故障予備群を検査によって取得することができる。
また、露光イメージ画像を撮像する場合に、基板101の透過光を複数の偏光波に分離して、偏向波毎に撮像した後に、所定のモデル関数により重み付けをしながら合成してもよい。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての偏光イメージ取得装置、パターン検査装置、及び偏光イメージ取得方法は、本発明の範囲に包含される。