以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係るシンチレータパネルは、X線等の放射線を可視光等のシンチレーション光に変換する。シンチレータパネルは、例えば、放射線カメラ等に用いられる放射線イメージセンサに適用される。
図1に示されるように、放射線検出器としての放射線イメージセンサ1は、センサ基板2(光検出基板)と、シンチレータパネル10と、防湿シート3と、を有する。これらの構成要素は、Z方向(第1の方向)に沿ってこの順に積層される。
センサ基板2は、平面視して矩形状を呈し、主面2aと、裏面2bと、側面2cと、を有する。センサ基板2は、さらに、主面2aに設けられた複数の光電変換素子2dを有する。光電変換素子2dは、主面2aに沿って二次元状に配置される。
シンチレータパネル10は、平面視して略矩形状を呈し、パネル主面10aと、パネル裏面10bと、パネル側面10cと、を有する。シンチレータパネル10は、センサ基板2の主面2a上の一部を覆うように、主面2aに対して接着される。つまり、シンチレータパネル10は、センサ基板2よりも小さい。具体的には、シンチレータパネル10は、光電変換素子2dが配置された領域を覆うように主面2a上に接着剤4を介して貼り合わされる。シンチレータパネル10の詳細については、後述する。
防湿シート3は、シンチレータパネル10の全体と、センサ基板2の一部を覆う。具体的には、防湿シート3は、シンチレータパネル10のパネル裏面10bと、パネル側面10cと、を覆う。さらに、防湿シート3は、センサ基板2の主面2aの一部、つまり、シンチレータパネル10を囲む部分を覆う。防湿シート3の周辺部3aは、センサ基板2の主面2aに対して接着される。この構成により、防湿シート3に覆われた内部空間は、気密が保たれ、防湿シート3の外部から内部への水分等の浸入が抑制される。
上記の構成を有する放射線イメージセンサ1は、例えば、防湿シート3側から放射線Rを受け入れる。シンチレータパネル10は、当該放射線Rの入射に応じてシンチレーション光を発生する。センサ基板2は、二次元状に配置された光電変換素子2dを有しており、光電変換素子2dはシンチレーション光に応じて電気信号を発生する。当該電気信号は、所定の電気回路を通じて取り出される。そして、電気信号に基づいて、放射線の入射位置及びエネルギを示す二次元像が生成される。
次にシンチレータパネル10について詳細に説明する。図2は、シンチレータパネル10の辺部を拡大して示す断面図である。シンチレータパネル10は、基板11(基板部)と、シンチレータ層12(シンチレータ層部)と、保護膜13と、を有する。
基板11は、シンチレータパネル10の基体をなす樹脂製の板材である。基板11は、一例としてポリエチレンテレフタレート(PET)により形成される。PET基板を用いることで、可撓性を有するシンチレータパネルとすることができ、センサ基板との貼り合せ作業が容易となる。又、シンチレーション光に対して吸収性の基板或いは反射性の基板を比較的容易に準備することができ、所望のX線特性(輝度及び解像度)のシンチレータパネルを形成することができる。基板11は、基板主面11a(第1の主面)と、基板裏面11b(第1の裏面)と、基板側面11c(第1の側面)と、を有する。基板主面11a及び基板裏面11bは、Z方向に直交すると共に、互いに対向する。基板側面11cは、基板主面11aと基板裏面11bとを連結するように延びる。換言すると、基板側面11cは、Z方向と交差するX方向及びY方向に対して交差する。
シンチレータ層12は、放射線Rを受け入れてシンチレーション光を発生する。シンチレータ層12は、CsI:TlといったCsI(ヨウ化セシウム)を主成分とする複数の柱状結晶を含む(図10参照)。例えば、シンチレータ層12のCsI含有量は、90%以上100%以下であってもよい。換言すると、シンチレータ層12のCsI含有量が90%以上である場合に、シンチレータ層12はCsIを主成分とするものといってよい。
シンチレータ層12は、シンチレータ主面12a(第2の主面)と、シンチレータ裏面12b(第2の裏面)と、シンチレータ側面12c(第2の側面)と、を有する。シンチレータ裏面12bは、柱状結晶の一端である複数の根元部によって形成される。シンチレータ主面12aは、柱状結晶の他端である複数の先端部によって形成される。シンチレータ主面12a及びシンチレータ裏面12bは、Z方向に直交すると共に、互いに対向する。また、シンチレータ裏面12bは、基板主面11aと対面する。つまり、シンチレータ層12は、基板11に対して直接に接している。換言すると、シンチレータ層12と基板11との間には、何らの層も挟まれていない。シンチレータ側面12cは、シンチレータ主面12aとシンチレータ裏面12bとを連結するように延びる。換言すると、シンチレータ側面12cは、Z方向と交差するX方向及びY方向に対して交差する。シンチレータ側面12cは、基板側面11cに略連続する。このようなシンチレータ側面12c及び基板側面11cの構成は、クリティカルエッジと呼ばれる。
保護膜13は、基板11及びシンチレータ層12を覆う防湿性を有する薄膜である。保護膜13は、パリレン(ポリパラキシレン)等から形成される。具体的には、保護膜13は、基板裏面11b、基板側面11c、シンチレータ主面12a及びシンチレータ側面12c上に形成される。
次に、放射線イメージセンサ1の製造方法について説明する。
まず、図3の(a)部に示されるように、基板11を準備する。次に、図3の(b)部に示されるように、基板主面11aにシンチレータ層12を形成する。具体的には、蛍光体材料(例えば、CsI:TI、CsBr:Eu等)を基板主面11a上に真空蒸着することによって、基板主面11aに柱状結晶を成長させる。
次に、図3の(c)部に示されるように、第1膜部13aを形成する。この第1膜部13aは、一例としてパリレンにより形成される。第1膜部13aは、基板裏面11b、基板側面11c、シンチレータ主面12a及びシンチレータ側面12c上に形成される。第1膜部13aは、シンチレータ層12を構成する複数の柱状結晶(図10参照)の隙間に入り込む。この構成によれば、第1膜部13aによって柱状結晶が保護されるので、次の切断工程において柱状結晶の破損を抑制することが可能になる。上記の工程により、シンチレータパネル基体100が得られる。
次に、シンチレータパネル基体100から複数のシンチレータパネル10を切り出す。つまり、シンチレータパネル基体100を切断する。この切断には、シャー刃(上下2本刃、図14及び図15参照)タイプのローラカット、シャーリング、打ち抜き、或いは押切カット(上1本刃)タイプ(図5参照)等といった切断工法を採用し得る。図3の(d)部に示されるように、シンチレータパネル基体100を作業台101上に配置する。このとき、基板裏面11bが作業台101と対面する。この配置によれば、切断工具102は、シンチレータ層12側から差し込まれる。
次に、図4の(a)部に示されるように、第2膜部13bを形成する。第2膜部13bも第1膜部13aと同様に、パリレンを採用できる。パネル側面10cは、基板側面11c及びシンチレータ側面12cを含む。そこで、少なくともこれらの側面を覆うように、第2膜部13bを形成する。なお、第2膜部13bは、基板裏面11b上の第1膜部13a及びシンチレータ主面12a上の第1膜部13aを覆っていてもよい。これらの第1膜部13a及び第2膜部13bは、保護膜13を構成する。
次に、図4の(b)部に示されるように、シンチレータパネル10を予め準備したセンサ基板2に貼り付ける。まず、センサ基板2上に接着剤4を塗布する。次に、シンチレータパネル10を接着剤4に載置する。このとき、パネル主面10aは、センサ基板2の主面2aに対面する。そして、基板側面11c及びシンチレータ側面12cは、面一であるので、接着剤4は、それぞれの側面上を良好に流動し得る。従って、接着剤4中に気泡が滞留するといった状態を回避できる。そして、加熱又は紫外線の照射等により接着剤4を硬化させる。そして、図4の(c)部に示されるように、防湿シート3を取り付ける。以上の工程により、放射線イメージセンサ1が得られる。なお、放射線イメージセンサ1は防湿シート3を備えるため、シンチレータパネル10に保護膜13を形成せずにセンサ基板2と貼り合せて形成しても、防湿シート3がシンチレータ層の潮解を防止することができる。
上述したように、放射線イメージセンサ1及びシンチレータパネル10を製造する方法では、シンチレータパネル基体100を切断する工程を含む。ここで、シンチレータパネル基体100の切断、及び、切断面(つまりパネル側面10c)について、図5〜図10を参照しつつ詳細に説明する。なお、図6〜図10は、説明の便宜上、図1及び図2に示された放射線イメージセンサ1とは上下方向が逆となっている。
シンチレータ層12の側から切断工具102を差し込んでシンチレータパネル10を切断したとき、図6に示されるような切断面(パネル側面10c)が形成される。パネル側面10cは、基板側面11cとシンチレータ側面12cとを含む。
既に述べたように、シンチレータ側面12cは基板側面11cに略連続する。つまり、シンチレータ側面12cは、基板側面11cに対して略面一である。ここで「面一」とは、基板側面11c及びシンチレータ側面12cを巨視的に見た場合に、それぞれの面が同一の仮想平面K1に含まれることをいう。なお、基板側面11c及びシンチレータ側面12cは、後述するように、微視的に見るとダレ、粗面、バリといった微細な凹凸構造を有するが、「面一」と規定する場合にはそれらの凹凸構造は無視される。また、「略面一」とは、基板側面11cとシンチレータ側面12cとが完全に同一平面に含まれていなくてもよいことを意味する。例えば、仮想平面K1を中心平面とした所定の幅が規定され、当該幅に基板側面11cとシンチレータ側面12cとが収まっていればよい。換言すると、「略面一」とは、例えば、図11の(b)部や、図12の(b)部に示されるように、基板側面11c及びシンチレータ側面12cの一方が他方よりも突出した形態でないことを意味する。
また、基板11をY方向から見るとパネル側面10cは、垂直ではない。換言すると、パネル側面10cは、Z方向に対して傾いている。より具体的には、パネル側面10cを構成する基板側面11cがZ方向に対して傾いている。
さらに具体的には、基板裏面11bと基板側面11cとの間の角度A1は、90度未満である。換言すると、角度A1は、82度以上である。また、角度A1は、88度以下である。一例として、角度A1は、85度前後である。そうすると、Z方向と基板側面11cとの間の角度A2は、0度より大きく、8度以下であるともいえる。また、角度A2は、2度以上であるともいえる。このような角度A1,A2によって規定される基板側面11c及びシンチレータ側面12cは、基板11及びシンチレータ層12の中心に向かって傾斜しているともいえる。これらの角度A1,A2を規定するとき、上述の「面一」と同様に、基板側面11c上に形成される凹凸構造は無視される。つまり、角度A1,A2を規定するとき、基板側面11cは、上述した仮想平面K1として置き換えてもよい。この場合には、角度A1は、基板裏面11bと微細な凹凸構造を無視した仮想平面K1との間の角度であるといえる。
図7は、シンチレータ層12のシンチレータ主面12aとシンチレータ側面12cとの角部の断面を示す(図6のM2部)。シンチレータ層12の角部には、ダレ12dと呼ばれる曲面状の領域が形成される。
シンチレータパネル基体100を切断するとき、切断工具102はまず第1膜部13aに押し当てられる(図5の(a)部参照)。このとき、切断工具102はシンチレータ層12に触れていない。そして、さらに切断工具102を押し込むと、切断工具102は第1膜部13aをわずかに押しつぶしながら第1膜部13aを切断する。この押しつぶしによる内部応力は、切断工具102の到達していないシンチレータ層12の一部分12eにも到達する。そうすると、切断工具102がシンチレータ層12に到達するまでに間に、内部応力によってシンチレータ主面12aに含まれる一部分12eを形成する柱状結晶がわずかに破壊され、欠損する。この柱状結晶が欠損した部分が、ダレ12dを形成する(図10参照)。
切断工具102がシンチレータ層12に到達すると(図5の(b)部参照)、鋭利な切断工具102によってシンチレータ層12が切断される。シンチレータ層12は、Z方向に延びる複数の柱状結晶を含むので、切断工具102は、柱状結晶の一部を破断しながら、下方に移動する。この柱状結晶の破断は、不規則に生じ得る。従って、シンチレータ層12の破断面(つまり、シンチレータ側面12c)を微視的にみると、不規則に破断された複数の柱状結晶により形成される。従って、シンチレータ側面12cは、微視的には粗面12caである(図10参照)。ここでいう「粗面」とは、例えば、柱状結晶の欠落がなく、柱状結晶が規則的に並んだ面によりも大きい凹凸を有する面であるといえる。
また、図8に示されるように、切断工具102による切断において、シンチレータ層12の厚みが比較的厚くなる(例えば200μm以上)と、シンチレータ層12のシンチレータ裏面12bにおいて、欠け12fが生じることがある。この欠け12fは、柱状結晶の根元部が欠損した部分により形成される(図10参照)。
これらのダレ12d、粗面12ca及び欠け12fには、切断後に設けられる第2膜部13bが入り込む。具体的には、第2膜部13bは、柱状結晶の欠損によって生じる微細な隙間に入り込む。従って、この構成によれば、シンチレータ側面12cに対する第2膜部13bの密着性が向上する。
さらに、切断工具102は下方に移動しつつ、基板11を切断する。基板11の切断過程の初期(図5の(c)部参照)では、基板11の厚みが比較的厚い。従って、切断工具102を下方に押圧する力によって基板11が折れることなく、切断工具102によって基板11が切断される。この過程において形成された面は、比較的滑らかなせん断面である。切断過程の後期(図5の(d)部参照)では、基板11の厚みが比較的薄くなる。従って、切断工具102を下方に押圧する力に基板11が耐えることができず、基板11は力によって分断される。この過程において形成された面の表面状態(図9参照、図6のM3部)は、比較的粗く粗面11d(破断面)となり、粗面11dの下端にはバリ11eが形成される。そうすると、基板側面11cは、切断工具102の進行方向に沿って、平滑面と粗面とが並ぶ。つまり、基板側面11cにおいてシンチレータ層12から遠い領域は、シンチレータ層12に近い領域よりも面粗さが粗くなる。シンチレータ側面12cにおける粗面12caは、基板側面11cにおける粗面11dと連続しない。つまり、粗面12caと、粗面11dとの間には、比較的な滑らかな基板側面11cの一部が存在する。また、バリ11eは、例えば、基板側面11cにおいて、基板裏面11bよりも突出した鋭利な部分であるといえる。
以下、本実施形態に係るシンチレータパネル10及び放射線イメージセンサ1の作用効果について説明する。
シンチレータパネル10は、基板11の基板裏面11bと基板側面11cとの間の角度A1が90度未満である。このような形状は、基板11とシンチレータ層12とが積層された積層構造物に対して、シンチレータ層12側から切断工具102を差し入れることによって形成される。従って、シンチレータパネル10の成形に切断を利用することが可能であるので、任意の形状や大きさに成形することが可能である。
次に、基板11の基板側面11cとシンチレータ層12のシンチレータ側面12cとは面一であり、基板11の基板裏面11bと基板側面11cとの間の角度A1が90度未満である。そうすると、基板11の基板側面11cは、シンチレータ層12のシンチレータ側面12cよりも外側に突出する。換言すると、基板11はシンチレータ層12より外側に存在する部分を有する。この構成によれば、シンチレータ層12のシンチレータ側面12cが、基板11の基板側面11cによって保護される。
図11の(a)部は実施形態に係るシンチレータパネル10を示し、図11の(b)部は、比較例に係るシンチレータパネル200を示す。図11の(b)部によれば、シンチレータ層202の側面202cの一部202dが基板201の基板側面201cより突出している。このような構成によれば、例えば、平板210に対して相対的にシンチレータパネル200が近づいたとき、シンチレータ層202の一部202d上の保護膜213が最初に当接する。当接による内部応力は、シンチレータ層202の突出した一部202dに作用するので、シンチレータ層202がダメージを受けやすい。一方、図11の(a)部によれば、平板210に対して相対的にシンチレータパネル10が近づいたとき、基板11の基板側面11c上の保護膜13が最初に当接する。従って、基板側面11cがシンチレータ側面12cよりも先に当接するので、衝突によるシンチレータ層12へのダメージを軽減できる。従って、実施形態に係るシンチレータパネル10の場合には、ハンドリング時におけるシンチレータ側面12cへの衝撃による破損が抑制される。
さらに、基板11の基板側面11cとシンチレータ層12のシンチレータ側面12cとは面一である。これにより、シンチレータパネル10を別の部品に接着剤4によって貼り合わせる際に、接着剤4の流れが良好になり、気泡溜まりの発生が抑制され得る。従って、シンチレータパネル10によれば、光検出基板との貼り合せ作業を容易に行うことができる。
図12の(a)部は実施形態に係るシンチレータパネル10を示し、図12の(b)部は、比較例に係るシンチレータパネル300を示す。図12の(b)部によれば、シンチレータ層301の側面301cと基板302の側面302cとが面一でない。この場合には、センサ基板310とシンチレータ層301と基板302とに囲まれた領域が形成されてしまう。そして、シンチレータパネル300をセンサ基板310に接着するとき、接着剤304は、当該領域に留められる傾向にある。そうすると、接着剤304が含む気泡320がシンチレータ層301と基板302との間の角部に滞留しやすくなる。このような滞留が予想される場合には、脱気等の処理を行うことが検討される。一方、図12の(a)部に示されるシンチレータパネル10は、比較例のシンチレータパネル300が有するような領域をもたない。つまり、接着剤4が所定の領域に留め置かれることがない。従って、シンチレータパネル10とセンサ基板2との接着作業性を向上させることができる。
シンチレータパネル10を備える放射線イメージセンサ1によれば、シンチレータパネル10をセンサ基板2に容易に貼り着ける作業を行い得る。従って、放射線イメージセンサ1は、容易に組み立てることができる。
本実施形態に係るシンチレータパネル10及び放射線イメージセンサ1は、以下のような作用効果を奏することもできる。
シンチレータパネル10は、基板11及びシンチレータ層12を備える。当該基板11の基板側面11cは、粗面化された領域(粗面11d)を部分的に有する。この粗面11dによれば、基板11と保護膜13との接触面積が増加する。また、当該シンチレータ層12のシンチレータ側面12cは、凹凸構造を含む粗面化された領域である粗面12caを有する。この粗面12caによれば、シンチレータ層12と保護膜13との接触面積が増加する。保護膜13の密着性は、接触面積が大きくなると高くなる。従って、シンチレータパネル10は、基板11と保護膜13との密着性、及び、シンチレータ層12と保護膜13の密着性を向上することができる。
粗面12caが含む凹凸構造は、柱状結晶が部分的に欠損することによって形成される。このような構成を有するシンチレータ側面12cは、シンチレータ層12と基板11とを有する積層構造物を切断することにより得られる。従って、凹凸構造を含む粗面12caを容易に形成することができる。
基板側面11cは、基板裏面11bと基板側面11cとの間の角部に形成されたバリ11eを含む。この構成によれば、基板11と保護膜13との接触面積が大きくなる。従って、シンチレータパネル10は、基板11と保護膜13との密着性を向上することができる。
シンチレータ層12は、シンチレータ裏面12bとシンチレータ側面12cとの間の角部に形成された欠け12fを有する。欠け12fには、保護膜13が充填される。この構成によれば、シンチレータ層12と保護膜13との接触面積がさらに大きくなる。そのうえ、基板11と保護膜13との接触面積もさらに大きくなる。従って、シンチレータパネル10は、保護膜13との密着性をさらに向上することができる。
シンチレータ層12は、シンチレータ主面12aとシンチレータ側面12cとの間の角部に形成されたダレ12dを有する。ダレ12dには、保護膜13が充填される。この構成によれば、シンチレータ層12と保護膜13との接触面積がいっそうに大きくなる。従って、シンチレータパネル10は、保護膜13との密着性をいっそう向上することができる。
放射線イメージセンサ1は、シンチレータパネル10を備えるので、シンチレータ層12と保護膜13との密着性が向上し、耐湿性を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、上記実施形態に係るシンチレータパネル10は、基板11上にシンチレータ層12が形成されていた。つまり、シンチレータ裏面12bは、直接に基板主面11aに接していた。シンチレータパネル10は、このような構成に限定されない。
図13の(a)部に示されるように、放射線イメージセンサ1Aが備えるシンチレータパネル10Aは、基板11A及びシンチレータ層12に加えて、さらに別の機能を有する追加層を備えてもよい。追加層の例示として、基板11Aとシンチレータ層12との間に形成されたバリア層16があり得る。この構成によれば、シンチレータパネル10Aは、基板11A、バリア層16及びシンチレータ層12がこの順に積層された積層構造を有する。つまり、シンチレータ層12は、バリア層16を介して基板主面11a上に形成される。
バリア層16は、例えばTlI(ヨウ化タリウム)を主成分とする層である。例えば、バリア層16のTlI含有量は、90%以上100%以下であってもよい。換言すると、バリア層16におけるTlI含有量が90%以上である場合に、バリア層16はTlIを主成分とするものといってよい。このようなバリア層16は、水分を通しにくい性質を有する。そうすると、基板11A側から水分が浸透したとき、当該水分はバリア層16によってシンチレータ層12への移動が妨げられる。従って、バリア層16を有するシンチレータパネル10Aによれば、シンチレータ層12を構成する柱状結晶が水分によって潮解することを抑制できる。
このような構成は、基板11Aが水分を透しやすい有機層を有する場合に、特に有効である。ここでいう有機層を有する基板とは、有機材料とは別の材料(金属、カーボン、ガラス等)による基体11mと、有機材料(キシリレン系樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)による有機層11rと、により構成された基板11Aであってもよい。また、図13の(b)部に示されるように、有機層を有する基板とは、有機材料(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等)による基体11sによって構成された基板11Bであってもよい。
また、シンチレータパネル10の基板には、所定の光機能を付与してもよい。具体的には、基板には、光吸収性、光透過性或いは光反射性といった機能を選択的に付与してよい。例えば、基板に光反射性を付与する場合には、基板の主材であるPETに、反射顔料としての二酸化チタン、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加する。また、基板に光反射性を付与する場合の別の例として、PETを主材とする基体上に上述の反射顔料とバインダー樹脂とを含む光反射層を形成してもよい。
また、図14に示されるように、シンチレータパネル基体100の切断には、上述したようにシャー刃カット(上下2本刃)タイプを採用してもよい。このタイプは、上刃103と、下刃104とを利用する。図15の(a)部、(b)部及び(c)部に示されるように、まず、シンチレータパネル基体100を下刃104上に配置する。厳密には、下刃104における刃部は、角部である。シンチレータパネル基体100は、角部を覆うように配置される(図15の(a)部参照)。次に、上刃103をシンチレータ層12側から差し入れる(図15の(a)部及び(b)参照)。そして、上刃103が下刃104の角部に到達すると、シンチレータパネル基体100が切断される(図15の(c)部参照)。