JP2019031232A - エンジンマウント構造及びこれを用いたエンジン組付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンマウンティングの適切な変位クリアランスを確保しつつエンジンを車体側に組み付け得るようにする。【解決手段】エンジン2側のマウントブラケット3とサイドレール1(車体)側のマウントブラケット4との間に、上金具7及び下金具8により緩衝ラバー9を挾持して成るエンジンマウンティング5を車幅方向内側に軸心Aを傾倒させて介装し、下金具8側のコア部10と上金具7側のカバー部11との干渉により緩衝ラバー9の変形範囲を制限するエンジンマウント構造に関し、最上部の変位クリアランスCにコア部10側からカバー部11側に渡る架橋構造16を施し、該架橋構造16が前記エンジンマウンティング5の変位を一時的に拘束し且つ前記エンジン2の始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造16が破断して前記エンジンマウンティング5の変位の拘束を解除し得るように構成する。【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンマウント構造及びこれを用いたエンジン組付方法に関するものである。
一般的に、車両のエンジンは、緩衝ラバーを備えたエンジンマウンティングを介して車体側に搭載されるようになっており、エンジンからの振動が車体側へ極力伝わらないようにしてある。
図3はこの種のエンジンマウント構造の一例を後面視で示したもので、トラックにおける左右のサイドレール1にエンジン2を搭載する場合を例示しており、該エンジン2側に装備されたマウントブラケット3と、サイドレール1側に装備されたマウントブラケット4との間には、前記エンジン2の車体側への振動伝搬を抑制するエンジンマウンティング5が介装されるようになっている。
より具体的に述べると、前記エンジン2側のマウントブラケット3は、エンジン2の両側面の下方位置に夫々装備され、その下面が車幅方向(図3中の左右方向)外側に向け徐々に上昇する傾斜を成すようにしてあり、他方、前記サイドレール1側のマウントブラケット4は、左右のサイドレール1の内側にコの字形断面のベースプレート6を介して装着され、その上面が車幅方向内側に向け略水平な棚状を成すようにしてあり、両マウントブラケット3,4間に介装される両エンジンマウンティング5,5が車幅方向内側に軸心Aを傾倒するように配置されている。
また、図4に拡大して示す如く、前記エンジンマウンティング5は、互いに対向する上金具7と下金具8との間に緩衝ラバー9を挾持した構造を有しており、前記下金具8の外周に上部開口のU字形断面を成すように立ち上がるコア部10が形成されていると共に、該コア部10の周囲を所要の変位クリアランスCを有して包囲するように下部開口の逆U字形断面を成すカバー部11が前記上金具7の外周に形成されている。
即ち、下金具8のコア部10と上金具7側のカバー部11との干渉により緩衝ラバー9の変形範囲が制限されるようになっており、これによって、エンジン2が悪路走行時や、急発進時、急制動時に変位を生じても、その過剰な変位が抑制されてエンジン2と車体側の周辺機器との干渉が回避されるようにしてある。
そして、斯かるエンジンマウント構造を採用したエンジン2を車体に組み付けるにあたっては、エンジンマウンティング5を予め締結しておいたエンジン2を左右のサイドレール1間に吊り下ろし、前記エンジンマウンティング5の下金具8の下面からアダプタ12を介し下方向きに突き出すボルト13をサイドレール1側のマウントブラケット4のボルト穴14に上方から挿入してナット15により締結するようにしている。
尚、この種のエンジンマウント構造に関連する先行技術文献情報としては、例えば下記の特許文献1等がある。
しかしながら、従来におけるマウントブラケット4のボルト穴14は、上方から吊り下ろされるエンジン2に多少の揺らぎが生じていても、エンジンマウンティング5のボルト13をマウントブラケット4のボルト穴14に容易く挿入できるよう余裕を持たせて大きめに形成するようにしているため、マウントブラケット4に着座した瞬間にコア部10とカバー部11との適切な変位クリアランスCが確保されていても、図5に示す如く、前記エンジン2の荷重が徐々に加わるにつれて前記ボルト穴14内で前記ボルト13が車幅方向外側へ押しやられて緩衝ラバー9が変形し、最上部の変位クリアランスCが縮小して設計通りの間隔を確保できなくなり、このような状態でエンジン2が組み付けられてしまうと、エンジンマウンティング5が狙い通りの性能を発揮できない虞れがあった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、エンジンマウンティングの適切な変位クリアランスを確保しつつエンジンを車体側に組み付け得るエンジンマウント構造及びこれを用いたエンジン組付方法を提供することを目的とする。
本発明は、エンジン側のマウントブラケットと車体側のマウントブラケットとの間に、上金具及び下金具により緩衝ラバーを挾持して成るエンジンマウンティングを車幅方向内側に軸心を傾倒させて介装し、前記下金具側に上部開口のU字形断面を成すように形成されたコア部と、該コア部の周囲を所要の変位クリアランスを隔てて包囲する下部開口の逆U字形断面を成すように前記上金具側に形成されるカバー部との干渉により前記緩衝ラバーの変形範囲を制限するエンジンマウント構造であって、最上部の変位クリアランスに前記コア部側から前記カバー部側に渡る架橋構造を施し、該架橋構造が前記エンジンマウンティングの変位を一時的に拘束し且つ前記エンジンの始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造が破断して前記エンジンマウンティングの変位の拘束を解除し得るように構成したことを特徴とするものである。
そして、このようなエンジンマウント構造を用いたエンジンを車体に組み付けるにあたっては、車体にエンジンを吊り下ろす前に該エンジン側にマウントブラケットを介しエンジンマウンティングを予め締結しておき、次いで、前記エンジンを吊り下ろして前記車体側のマウントブラケットに前記エンジンマウンティングを載置し、該エンジンマウンティングの変位を架橋構造により拘束した状態で前記エンジンマウンティングを前記車体側のマウントブラケットに締結し、前記エンジンの始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造を破断して前記エンジンマウンティングの変位の拘束を解除させれば良い。
上記した本発明のエンジンマウント構造及びこれを用いたエンジン組付方法によれば、最上部の変位クリアランスに施した架橋構造によりエンジンマウンティングの変位を一時的に拘束しながら該エンジンマウンティングを車体側のマウントブラケットに締結することができるので、エンジンマウンティングの適切な変位クリアランスを確保しつつエンジンを車体側に組み付けることができ、しかも、前記架橋構造をエンジンの始動時におけるクランキング振動により破断して前記エンジンマウンティングの変位の拘束を後加工無しで解除することができるので、エンジンを車体側に搭載して最初に始動した後は緩衝ラバーを設計通りのばね定数で変形し得るようにしてエンジンマウンティングに狙い通りの性能を発揮させることができるという優れた効果を奏し得る。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図3〜図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
前述した図3〜図5と略同様に構成したエンジンマウント構造に関し、本形態例においては、コア部10の上片とカバー部11の上片との間に形成される最上部の変位クリアランスCに前記コア部10側から前記カバー部11側に渡る架橋構造16を施し、該架橋構造16が前記エンジンマウンティング5の変位を一時的に拘束し且つ前記エンジン2の始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造16が破断して前記エンジンマウンティング5の変位の拘束を解除し得るように構成したところが特徴となっている。
より具体的には、前記架橋構造16をラバー素材により構成し且つ前記コア部10の上片と前記カバー部11の上片との間を複数の柱状部16aに分けて連結するようにしており、エンジン2の搭載荷重が加わった時に前記コア部10の上片と前記カバー部11の上片とが近接しようとする圧縮方向の荷重に対し座屈しない高い強度を発揮する一方、エンジン2の始動時にスタータでクランキングを行った時の反力でクランク軸中心回りにローリングしようとする剪断方向の荷重に対し容易に破断してしまう脆弱性を兼ね備えたものとしている。
そして、このようなエンジンマウント構造を採用したエンジン2をサイドレール1(車体)に組み付けるにあたっては、サイドレール1にエンジン2を吊り下ろす前に該エンジン2側にマウントブラケット3を介しエンジンマウンティング5を予め締結しておき、次いで、前記エンジン2を吊り下ろして前記サイドレール1側のマウントブラケット4に前記エンジンマウンティング5を載置し、該エンジンマウンティング5の変位を架橋構造16により拘束した状態で前記エンジンマウンティング5を前記サイドレール1側のマウントブラケット4に締結し、前記エンジン2の始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造16を破断して前記エンジンマウンティング5の変位の拘束を解除させれば良い。
従って、上記形態例によれば、最上部の変位クリアランスCに施した架橋構造16によりエンジンマウンティング5の変位を一時的に拘束しながら該エンジンマウンティング5をサイドレール1側のマウントブラケット4に締結することができるので、エンジンマウンティング5の適切な変位クリアランスCを確保しつつエンジン2をサイドレール1側に組み付けることができ、しかも、前記架橋構造16をエンジン2の始動時におけるクランキング振動により破断して前記エンジンマウンティング5の変位の拘束を後加工無しで解除することができるので、エンジン2をサイドレール1側に搭載して最初に始動した後は緩衝ラバー9を設計通りのばね定数で変形し得るようにしてエンジンマウンティング5に狙い通りの性能を発揮させることができる。
尚、本発明のエンジンマウント構造及びこれを用いたエンジン組付方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、架橋構造の素材は必ずしもラバー素材に限定されないこと、また、コア部の上片とカバー部の上片との間を複数の柱状部に分けて連結する形式にも限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 サイドレール(車体)
2 エンジン
3 マウントブラケット
4 マウントブラケット
5 エンジンマウンティング
7 上金具
8 下金具
9 緩衝ラバー
10 コア部
11 カバー部
16 架橋構造
C 変位クリアランス
2 エンジン
3 マウントブラケット
4 マウントブラケット
5 エンジンマウンティング
7 上金具
8 下金具
9 緩衝ラバー
10 コア部
11 カバー部
16 架橋構造
C 変位クリアランス
Claims (2)
- エンジン側のマウントブラケットと車体側のマウントブラケットとの間に、上金具及び下金具により緩衝ラバーを挾持して成るエンジンマウンティングを車幅方向内側に軸心を傾倒させて介装し、前記下金具側に上部開口のU字形断面を成すように形成されたコア部と、該コア部の周囲を所要の変位クリアランスを隔てて包囲する下部開口の逆U字形断面を成すように前記上金具側に形成されるカバー部との干渉により前記緩衝ラバーの変形範囲を制限するエンジンマウント構造であって、最上部の変位クリアランスに前記コア部側から前記カバー部側に渡る架橋構造を施し、該架橋構造が前記エンジンマウンティングの変位を一時的に拘束し且つ前記エンジンの始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造が破断して前記エンジンマウンティングの変位の拘束を解除し得るように構成したことを特徴とするエンジンマウント構造。
- 請求項1に記載のエンジンマウント構造を用いたエンジン組付方法であって、車体にエンジンを吊り下ろす前に該エンジン側にマウントブラケットを介しエンジンマウンティングを予め締結しておき、次いで、前記エンジンを吊り下ろして前記車体側のマウントブラケットに前記エンジンマウンティングを載置し、該エンジンマウンティングの変位を架橋構造により拘束した状態で前記エンジンマウンティングを前記車体側のマウントブラケットに締結し、前記エンジンの始動時におけるクランキング振動により前記架橋構造を破断して前記エンジンマウンティングの変位の拘束を解除させることを特徴とするエンジン組付方法。
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- 2017-08-09 JP JP2017154324A patent/JP2019031232A/ja active Pending
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