JP2019026915A - 金属濃縮方法及び金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的低コストかつ短時間で、所定の濃縮対象の金属イオンを有効に濃縮することのできる金属濃縮方法及び、それを用いる金属回収方法を提供する。【解決手段】この発明の金属濃縮方法は、ナトリウムイオン及び濃縮対象の金属イオンを含む金属含有溶液中の前記金属イオンの濃度を高めるものであって、前記金属含有溶液中のナトリウムイオンをナトリウム塩として析出させるに当り、前記金属含有溶液の温度を低下させ、該金属含有溶液のナトリウム濃度が、当該温度における前記ナトリウム塩の溶解度を上回るようにし、結晶水を有するナトリウム塩を析出させるナトリウム析出工程と、前記ナトリウム析出工程の後、析出したナトリウム塩を固液分離により取り除く固液分離工程とを有する。【選択図】図1

Description

この発明は、ナトリウムイオン及び濃縮対象の金属イオンを含む金属含有溶液中の前記金属イオンの濃度を高める金属濃縮方法及び、それを用いる金属回収方法に関するものであり、特には、比較的低コストかつ短時間で濃縮対象の金属イオンを有効に濃縮して、そのような金属の回収処理の改善を図ることのできる技術を提案するものである。
金属の回収方法には、金属を溶融して回収する乾式法と、酸等の溶液に金属を溶解して回収する湿式法がある。
湿式法では、溶解している金属(金属イオン)をメタルの状態や化合物の状態で溶液から析出させて分離回収することが一般的である。このような湿式法では、回収対象の所定の金属が溶解した金属含有溶液のその金属イオンの濃度を高めるため、金属含有溶液の当該金属イオンを濃縮することがある。
たとえば、上述したような湿式法による金属の回収方法の一例として、リチウムイオン電池スクラップからリチウムを湿式法にて回収する方法では一般に、リチウムイオン電池スクラップを焙焼して有害な電解液を除去し、その後に破砕、篩別を順に行い、次いで、篩別の篩下に得られる粉末状の電池粉を浸出液に添加して浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、アルミニウム等を液中に溶解させる。
そしてその後、浸出後液に溶解している各金属元素のうち、鉄、銅及びアルミニウム等を順次に又は同時に除去し、コバルト、マンガン及びニッケル等の有価金属を回収する。具体的には、浸出後液に対し、分離させる金属に応じた複数段階の溶媒抽出もしくは中和等を施し、さらには、各段階で得られたそれぞれの溶液に対して、逆抽出、電解、炭酸化その他の処理を施す。それにより、リチウムイオンを含むリチウム含有溶液が得られる。このようなリチウム含有溶液からリチウムを有効に回収するには、リチウム含有溶液のリチウムイオン濃度を高めるべく濃縮することが好ましい。
ところで、上述したリチウム含有溶液等の金属含有溶液におけるリチウムイオンその他の金属イオンを濃縮させる場合、溶媒抽出や樹脂吸着を行ったり、あるいは加熱により濃縮したりすることが考えられる。
しかしながら、溶媒抽出や樹脂吸着では、金属含有溶液に含まれ得る他の金属成分の影響を無視することができず、共存する成分によっては効率的かつ効果的な濃縮ができないことがある。また加熱濃縮では、加熱コストが大きく嵩むとともに、加熱処理に長時間を要するので効率性の観点から問題があるのみならず、たとえばリチウムイオン以外に含まれることのあるナトリウムイオン等の他の成分も濃縮されてしまう。
この発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的は、比較的低コストかつ短時間で、所定の濃縮対象の金属イオンを有効に濃縮することのできる金属濃縮方法及び、それを用いる金属回収方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、金属含有溶液中に、濃縮対象の金属イオンだけでなく、ナトリウムイオンや、硫酸イオン等のその他のイオンも含まれていることに着目して、そのようなナトリウムイオンと他のイオンとが、液温に依存して、水和物を有するナトリウム塩を生成することを見出した。そして、このことを利用することで、濃縮対象の金属イオンを有効に濃縮できると考えた。
この発明の金属濃縮方法は、ナトリウムイオン及び濃縮対象の金属イオンを含む金属含有溶液中の前記金属イオンの濃度を高めるものであって、前記金属含有溶液中のナトリウムイオンをナトリウム塩として析出させるに当り、前記金属含有溶液の温度を低下させ、該金属含有溶液のナトリウム濃度が、当該温度における前記ナトリウム塩の溶解度を上回るようにし、結晶水を有するナトリウム塩を析出させるナトリウム析出工程と、前記ナトリウム析出工程の後、析出したナトリウム塩を固液分離により取り除く固液分離工程とを有するものである。
金属含有溶液は硫酸酸性溶液であることが好ましい。
この発明の金属濃縮方法では、前記ナトリウム析出工程の前、及び/又は、前記ナトリウム析出工程の間に、金属含有溶液に硫酸を添加することができる。
この発明の金属濃縮方法では、ナトリウム析出工程で析出させる結晶水を有するナトリウム塩が、硫酸ナトリウム水和物であることが好ましい。
この発明の金属濃縮方法は、ナトリウム濃度が20.0g/L以上である金属含有溶液を対象とすることが好ましい。
この発明の金属濃縮方法では、ナトリウム析出工程で、前記金属含有溶液の温度を10℃以下に低下させることが好適である。
また、この発明の金属濃縮方法は、リチウムイオン二次電池スクラップを湿式処理して得られる金属含有溶液を対象とすることが好ましい。
そしてまた、この発明の金属濃縮方法では、濃縮対象の金属イオンがリチウムイオンを含むことが好ましい。
この場合においては、リチウム濃度が0.1g/L〜40.0g/Lである金属含有溶液を対象とすることが好ましい。
またこの場合、ナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比(Li/Naモル比)が0.08より大きい金属含有溶液を対象とすることが好ましい。
この発明の金属濃縮方法では、固液分離工程で得られる分離後液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比(Li/Naモル比)が、ナトリウム析出工程を経る前の金属含有溶液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比より大きいことが好ましい。
この発明の金属回収方法は、上記のいずれかの金属濃縮方法を用いて、濃縮対象の金属イオンの金属を回収するものである。
この発明では、金属含有溶液のナトリウム濃度がナトリウム塩の溶解度を上回るように、金属含有溶液の温度を低下させ、結晶水を有するナトリウム塩を析出させるナトリウム析出工程により、結晶水を有するナトリウム塩を意図的に析出させ、これをその後に除去することで、ナトリウム塩の除去とともに見かけの液量が減少する。それにより、当該工程の前後で量が変化しない濃縮対象の金属イオンの濃度が高くなるので、当該金属イオンを、比較的低コストで、かつ効率的に濃縮させることができる。
この発明の一の実施形態の金属濃縮方法を示すフロー図である。 実施例の液温に対するリチウム濃度の変化を示すグラフである。 実施例の液温に対するナトリウム濃度の変化を示すグラフである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の金属除去方法は、図1に例示するように、金属含有溶液に含まれる濃縮対象の金属イオンの濃度を高めるため、金属含有溶液の温度を低下させ、その金属含有溶液のナトリウム濃度が、当該温度におけるナトリウム塩の溶解度を上回るようにし、結晶水を有するナトリウム塩を析出させるナトリウム析出工程と、析出したナトリウム塩をその後に固液分離により取り除く固液分離工程とを有する。
(金属含有溶液)
金属含有溶液は、少なくともナトリウムイオンと濃縮対象の金属イオンとを含むものであれば、どのようなものであってもこの発明を適用することができる。
金属含有溶液としては、リチウムイオン二次電池スクラップ、たとえば、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたリチウムイオン二次電池に対して焙焼、破砕、篩別その他の所要の処理を順次に行った後に得られる電池粉等を湿式処理して得られるものとすることが好適である。この湿式処理は具体的には、上記の電池粉を硫酸もしくは塩酸その他の鉱酸等の酸性浸出液に浸出させ、その浸出後液に対して複数段階の溶媒抽出もしくは中和等の処理であり、溶媒抽出もしくは中和等を施す回収工程で、鉄、アルミニウム、マンガン、コバルト、ニッケル等を分離させた後に得られる種々の溶液を、金属含有溶液とすることができる。
ナトリウム含有溶液は、硫酸酸性溶液であることが好ましい。これにより、後述するようにナトリウム析出工程で、硫酸ナトリウムが析出してナトリウムをより有効に除去できるからである。また、ナトリウム析出工程の前や、その工程の間に、ナトリウム含有溶液に硫酸を添加してもよい。
ナトリウム含有溶液が硫酸を含む場合、その濃度は硫酸イオン濃度で30g/L〜330g/L、特に50g/L〜190g/Lとすることが好ましい。
金属含有溶液のナトリウム濃度は、たとえば1.0g/L〜50.0g/L、典型的には20.0g/L〜40.0g/Lである。このような比較的高濃度でナトリウムイオンを含む金属含有溶液を対象とすることが有効である。金属含有溶液のナトリウム濃度が低すぎると、後述のナトリウム析出工程で冷却によるナトリウム除去を目的とした際の溶解度に至る温度が低くなり、場合によっては氷点下に達し、対象液自体が凝固する可能性があり、この一方で、ナトリウム濃度が高すぎると、ナトリウム析出工程で発生するナトリウム塩の量が多くなるため、固液分離工程での付着水への回収対象成分のロスが相対的に増えることが懸念される。
金属含有溶液に含まれる濃縮対象の金属イオンは、少なくともリチウムイオンとすることが好ましい。後述するようにナトリウムを除去した後に、濃縮されたリチウムを有効に回収することができるからである。金属含有溶液がリチウムイオンを含む場合、金属含有溶液のリチウム濃度は、たとえば0.1g/L〜40.0g/L、典型的には2.0g/L〜20.0g/L、より典型的には5.0g/L〜12.0g/Lである。また、金属含有溶液のナトリウム含有溶液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比は、0.08より大きいことが好適である。このLi/Naモル比が高ければ高いほど、後述するような炭酸リチウムの回収時のリチウム回収率が上昇する。
なお、ナトリウム含有溶液はさらに、0.3g/L〜1.0g/Lのニッケルイオン、0.05g/L〜0.15g/Lのマグネシウムイオンを含むものであってもよい。この場合、ナトリウム含有溶液中のニッケルイオンやマグネシウイオンムも、リチウムイオンと同様に、後述のナトリウム析出工程で濃縮されることになる。その他にも低温側で溶解度が大きな成分が含まれる場合、そのような成分も濃縮することができる。
後述のナトリウム析出工程前の金属含有溶液のpHは、たとえば、酸濃度領域〜13、典型的には1〜5である。
(ナトリウム析出工程)
上述したような金属含有溶液中の濃縮対象の金属イオンの濃度を高めようとする場合、従来は、溶媒抽出や樹脂吸着による濃縮または、加熱濃縮を行っていたが、溶媒抽出や樹脂吸着では他の成分の影響によって効率的に濃縮できないことがあり、また加熱濃縮は加熱に大きなコスト及び時間がかかるとともに、ナトリウム等の意図しない成分も一緒に濃縮されてしまう。
そこで、この発明の実施形態では、金属含有溶液の温度を所定の低い温度に冷却することで、結晶水を有するナトリウム塩を析出させるナトリウム析出工程を行い、それにより、見かけの液量の減少による濃縮対象の金属イオンの濃度上昇を図る。より詳細には、金属含有溶液の温度を低下させていくと、金属含有溶液の溶媒の量に応じて、金属含有溶液のナトリウム濃度が、溶質である所定のナトリウム塩の溶解度を上回ったところから、当該ナトリウム塩が析出していく。そして、そのような温度低下によって析出したナトリウム塩は結晶水を含むことから、これを後述の固液分離工程で取り除くと、見かけの液量が減少して、濃縮対象の金属イオンの濃度が高まる。
なお液温は、固液分離工程の後に所定の温度に戻すことができる。
ナトリウム析出工程で、金属含有溶液の温度低下により析出するナトリウム塩は、見かけの液量の減少を図るため、結晶水を有するものであることが前提であり、これには、金属含有溶液の種類等にもよるが、たとえば、硫酸ナトリウム水和物、硫酸ナトリウム七水和物、硫酸ナトリウム十水和物等が含まれる。なかでも硫酸ナトリウム水和物は一般に十水和物であり、金属含有溶液が硫酸酸性溶液である場合に、硫酸ナトリウムが結晶水を持つ形で析出する。
ナトリウム析出工程では、金属含有溶液の温度を低下させる際の目標到達温度を10℃以下とすることが好適である。10℃より高い温度とすれば、結晶水を有するナトリウム塩の析出が不十分となることが懸念されるからである。
一方、温度を低下させるほど結晶水を有するナトリウム塩が析出するので、結晶水を有するナトリウム塩の析出量の観点からは目標到達温度の好ましい下限値はないが、温度を低下させすぎると、対象液自体が凝固してしまうおそれがあることから、目標到達温度は0℃以上とすることが好ましい。したがって、金属含有溶液の温度は、0℃〜10℃の範囲内まで低下させることが好ましい。さらに好ましくは、金属含有溶液の温度は、3℃〜7℃に低下させる。
金属含有溶液の温度を低下させる際の冷却速度は、0.5℃/min〜2.0℃/minとすることができる。この速度が速すぎると、局所的に温度が下がり過ぎ凝固してしまう可能性が考えられ、また遅すぎると、生じるナトリウム塩が粗大となり、析出に際し液を巻き込んでしまい、回収対象成分のロスとなる可能性がある。この冷却速度は、1分おきに測定した液温と時間間隔から算出できる速度の平均値とする。
金属含有溶液の温度が目標到達温度に達した後は、その目標到達温度に達したときから60min〜180minにわたって、当該目標到達温度を保持することができる。保持時間が短い場合はナトリウム塩の析出が不十分となる懸念があり、この一方で、保持時間が長い場合は析出したナトリウム塩が結晶成長し、その際液を巻き込んでしまい、回収対象成分のロスとなる可能性がある。
金属含有溶液を冷却して所定の低い温度で保持する際には、必要に応じて、金属含有溶液を攪拌することができる。それにより、析出するナトリウム塩の結晶が微細となり、液の巻き込みの減少に伴う回収対象成分のロス低減となる。このときの攪拌速度は、たとえば300rpm〜600rpm程度とすることができるが、装置等によっても変化し得るのでこの範囲の攪拌速度に限らず、可能な限り強く攪拌することが好ましい。
金属含有溶液の温度を低下させるための冷却装置は、接液部が金属含有溶液の性状に耐えることができるとともに、熱伝導率が比較的高い材質からなるものであることが好適であるが、種々の公知の冷却装置を用いることが可能である。
(固液分離工程)
上記のナトリウム析出工程で結晶水を有するナトリウム塩を析出させた後は、フィルタープレスやシックナー等の公知の装置ないし方法を用いて固液分離を行い、結晶水を有する固体のナトリウム塩を取り除いて分離後液を得る。これにより、当該分離後液のナトリウム濃度を、好ましくは40g/L以下、より好ましくは30g/L以下とする。
この一方で、金属含有溶液中の濃縮対象の金属イオン、たとえばリチウムイオン等はナトリウム析出工程でほぼ析出しないので、濃縮対象の金属イオンは分離後液中に残存している。但し、ここでは、先述したようにナトリウム析出工程での結晶水を有するナトリウム塩の析出により、金属含有溶液の見かけの液量が減少しているので、分離後液の濃縮対象の金属イオンの濃度は上昇する。たとえば分離後液のリチウム濃度は、好ましくは10g/L〜40g/L、より好ましくは20g/L〜30g/Lとなる。分離後液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比は、ナトリウム析出工程を経る前の金属含有溶液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比より大きいことが好適である。
なお分離後液のpHは、たとえば、一般には酸濃度領域〜13、典型的には1〜4程度になる。
ナトリウム析出工程及び固液分離工程は、連続処理またはバッチ処理のいずれであってもよい。
固液分離工程で結晶水を有するナトリウム塩を除去した後の分離後液では、リチウムなどの濃縮対象の金属の濃縮率が1.1倍〜1.5倍となっていることが好ましい。この濃縮率は、ナトリウム析出工程及び固液分離工程からなる処理の前後の液の当該金属の濃度比、つまり、分離後液の当該金属の濃度を、ナトリウム析出工程前における金属含有溶液の当該金属の濃度で除した比である。かかる処理の前後で液中の当該金属の量自体はほぼ変化しないが、液量の減少により見かけの当該金属の濃度が上昇する。
(リチウムの回収)
上述したナトリウム析出工程及び固液分離工程を経て得られた分離後液に対しては、それに含まれるリチウムを回収するため、炭酸化処理を行うことができる。ここでは、分離後液に炭酸塩を添加し、又は炭酸ガスを吹き込むことにより、分離後液中のリチウムイオンを炭酸リチウムとして回収する。
炭酸塩の添加ないし炭酸ガスの吹込み後は、たとえば、液温を20℃〜50℃の範囲内として、必要に応じて撹拌して所定の時間を保持する。
分離後液に添加する炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等を挙げることができるが、回収率の観点から炭酸ナトリウムが好ましい。炭酸塩の添加量は、たとえばLiモル量の1.0〜1.7倍、好ましくは1.2〜1.5倍とすることができる。炭酸ガスの添加量は、たとえばLiモル量の1.0〜1.7倍、好ましくは1.2〜1.5倍とすることができる。
炭酸塩を添加する場合、炭酸塩を、水等に溶かさずに固体で分離後液に添加することが好ましい。炭酸塩を溶かして溶液として添加すると、その分液量が増えるので、炭酸リチウムの溶ける量が多くなってリチウムのロスを招くからである。
炭酸化の際の分離後液のpHは10〜13と比較的高くすることが好適である。pHが低い状態で炭酸塩を添加すると炭酸ガスとして抜けてしまうので、反応効率が低下することが懸念される。
このようにして得られた炭酸リチウムは、先述のナトリウム除去工程でナトリウムを除去したことにより、ナトリウムが含まれず純度の高いものとなる。炭酸リチウムのリチウム品位は、好ましくは17%以上、より好ましくは18%以上である。
なお、炭酸リチウムのリチウム品位が所定の値より低い場合、さらに高品位の炭酸リチウムを得るため、炭酸リチウムを精製することができる。この精製は、一般的に知られている手法にて行うことができる。
次に、この発明の金属濃縮方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
主として金属イオンの濃度が異なる四種類の、リチウムイオン及びナトリウムイオンを含有する金属含有溶液(硫酸酸性溶液)の溶液A〜Dを用意した。それらの各溶液A〜Dを20℃、10℃、0℃、−10℃、−20℃と徐々に冷却し、各目標到達温度に達したときから一時間にわたって保持した。保持中は攪拌を行った。冷却時の上記の各温度でリチウム濃度及びナトリウム濃度を測定した。その結果をそれぞれ図2及び3にグラフで示す。冷却保持後、固液分離を行い、析出したナトリウム塩を除去した。なお、図2及び3中、溶液Dは20℃〜−10℃までの濃度しか示されていないが、これは、それ以下の温度で液が凝固したことからサンプリングできなかったことによるものである。
図2及び3に示すところから、液温が低下するほど、リチウム濃度が上昇するとともにナトリウム濃度が低下することが解かる。また液量も測定し、リチウム濃度に液量を乗じて算出した重量より、リチウムは減少していなかったことが確認された。一方、ナトリウムの量は低減していたことから、ナトリウムイオンは硫酸ナトリウムの形態で析出したことによってナトリウム濃度が低下したと考えられる。
以上より、この発明によれば、濃縮対象の金属イオンの濃度を有効に高め得ることが解かった。

Claims (12)

  1. ナトリウムイオン及び濃縮対象の金属イオンを含む金属含有溶液中の前記金属イオンの濃度を高める金属濃縮方法であって、
    前記金属含有溶液中のナトリウムイオンをナトリウム塩として析出させるに当り、前記金属含有溶液の温度を低下させ、該金属含有溶液のナトリウム濃度が、当該温度における前記ナトリウム塩の溶解度を上回るようにし、結晶水を有するナトリウム塩を析出させるナトリウム析出工程と、前記ナトリウム析出工程の後、析出したナトリウム塩を固液分離により取り除く固液分離工程とを有する金属濃縮方法。
  2. 金属含有溶液が硫酸酸性溶液である請求項1に記載の金属濃縮方法。
  3. 前記ナトリウム析出工程の前、及び/又は、前記ナトリウム析出工程の間に、金属含有溶液に硫酸を添加する請求項1又は2に記載の金属濃縮方法。
  4. ナトリウム析出工程で析出させる結晶水を有するナトリウム塩が、硫酸ナトリウム水和物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属濃縮方法。
  5. ナトリウム濃度が20.0g/L以上である金属含有溶液を対象とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属濃縮方法。
  6. ナトリウム析出工程で、前記金属含有溶液の温度を10℃以下に低下させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属濃縮方法。
  7. リチウムイオン二次電池スクラップを湿式処理して得られる金属含有溶液を対象とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属濃縮方法。
  8. 濃縮対象の金属イオンがリチウムイオンを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属濃縮方法。
  9. リチウム濃度が0.1g/L〜40.0g/Lである金属含有溶液を対象とする請求項8に記載の金属濃縮方法。
  10. ナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比が0.08より大きい金属含有溶液を対象とする請求項8又は9に記載の金属濃縮方法。
  11. 固液分離工程で得られる分離後液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比が、ナトリウム析出工程を経る前の金属含有溶液のナトリウム濃度に対するリチウム濃度のモル比より大きい請求項8〜10のいずれか一項に記載の金属濃縮方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の金属濃縮方法を用いて、濃縮対象の金属イオンの金属を回収する金属回収方法。
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