JP6480235B2 - リチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法 - Google Patents

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Description

この発明は、鉄及びアルミニウムを含むリチウムイオン電池スクラップから鉄及びアルミニウムを除去する方法に関するものであり、特には、リチウムイオン電池スクラップから各種金属を回収する場合等の、金属の回収率の向上に資する技術を提案するものである。
各種の電子デバイスをはじめとして多くの産業分野で使用されているリチウムイオン電池は、マンガン、ニッケルおよびコバルトを含有するリチウム金属塩を正極材として用いたものであり、近年は、その使用量の増加および使用範囲の拡大に伴い、電池の製品寿命や製造過程での不良により廃棄される量が増大している状況にある。
かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池スクラップから、上記のニッケルおよびコバルト等の有価金属を、再利用するべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
有価金属の回収のためにリチウムイオン電池スクラップを処理するには、はじめに、たとえば、所要に応じて焙焼、破砕および篩別等の各工程を経て得られた粉状ないし粒状のリチウムイオン電池スクラップを、硫酸等で酸浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、アルミニウム等を溶液中に溶解させて浸出液を得る。次いで、この浸出液に対して中和処理を施すことにより、アルミニウム等の不純物を分離させて除去し、その後に、コバルトやニッケル等の有価金属を、電解採取により回収する。
ここで、特許文献1には、リチウムイオン電池を浸出して得られた浸出液に、正極材のアルミニウム箔に由来するアルミニウムが溶解して含まれている場合に着目し、その浸出液からアルミニウムを、中和により分離除去する際に、アルミニウムとともにニッケル等の有価金属が共沈することを抑制するための技術が開示されている。具体的には、浸出液に、炭酸水素塩または炭酸塩を添加して所定のpHに調整することとし、これにより、有価金属の回収ロスを抑制しながら浸出液中のアルミニウムを効果的に分離除去できるとされている。
特開2014−114470号公報
ところで、リチウムイオン電池スクラップには、アルミニウムの他に鉄が含まれることがあるが、特許文献1では、浸出液にアルミニウムだけでなく鉄が溶解している場合については何ら想定されていないことから、特許文献1に記載された方法によっては、少なくとも鉄とアルミニウムが溶解した浸出液から、鉄及びアルミニウムのそれぞれを、他の金属の共沈なしに有効に沈殿させて除去することができなかった。
また、鉄及びアルミニウムを含むリチウムイオン電池スクラップを酸浸出した浸出液から、鉄及びアルミニウムは十分に沈殿除去する一方で、他の金属はほとんど沈殿することなく浸出液に溶解した状態で残すための具体的な手法については、これまでのところ明らかになっていない。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、リチウムイオン電池スクラップを浸出して得られる浸出液から、鉄及びアルミニウムを除去する際に、他の金属の共沈を有効に抑制することのできる鉄及びアルミニウムの除去方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、リチウムイオン電池スクラップを浸出して得られる浸出液から、鉄及びアルミニウムを分離させて除去する際に、浸出液中の鉄イオン濃度が高いほど、鉄の沈殿時にコバルト等の他の金属が多量に共沈するとの知見を得た。そして、その原因が、リチウムイオン電池スクラップの浸出後の浸出液に溶解している鉄が、鉄(II)イオンの形態となっていることにあると考えた。
そのため、浸出液のpH等を所定の値に調整し、浸出液に溶解している鉄を酸化させながら沈殿させることが、他の金属の共沈を防ぐために有効であることを見出した。
このような知見に基き、この発明のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法は、鉄およびアルミニウムを含むリチウムイオン電池スクラップを酸浸出して得られた浸出液から、鉄およびアルミニウムを除去する方法であって、前記浸出液のpHを4.0以下に保ち、浸出液中の鉄(II)イオンを、鉄(III)イオンに酸化して、浸出液中の鉄成分を沈殿させることにより、浸出液中の鉄イオン濃度を、0.2g/L以下とする沈殿工程を含み、前記沈殿工程の後、浸出液のpHを、4を超え5.5以下に保ち、浸出液中に残留した鉄、アルミニウム成分を沈殿させるアルミニウム分離工程をさらに含むものである。
前記沈殿工程では、浸出液中の鉄成分とともにアルミニウム成分もまた沈殿することがある。
この発明の鉄及びアルミニウムの除去方法では、前記浸出液が、該浸出液中に溶解したリチウムを含み、前記浸出液中のリチウムに対するアルミニウムのモル比を、1.1以下とすることが好ましい。
ここで、上記の沈殿工程では、浸出液中に酸化剤を添加して、鉄(II)イオンを、鉄(III)イオンに酸化することが好ましい。
この場合においては、上記の沈殿工程で、浸出液への酸化剤の添加を、複数回に分けて行うことがより好ましい。
またここで、上記の沈殿工程では、浸出液のORP値(銀/塩化銀電位基準)を、290mV〜410mVの範囲内に維持することが好ましい。
そしてまた、上記の沈殿工程では、浸出液の液温を、60℃〜100℃とすることが好適である。
この発明によれば、浸出液に溶解している鉄を酸化しながら行う鉄除去工程及び、その後にアルミニウム除去工程を実施することにより、鉄の沈殿時の他の金属の共沈を有効に抑制しつつ、鉄及びアルミニウムを十分に除去することができる。
その結果として、鉄及びアルミニウムが除去された浸出液には、多くの他の金属が溶解した状態で残ることから、そのような他の金属を回収する場合の回収率の向上に寄与することができる。
試験例1で鉄を沈殿させる際の浸出液のpH及びORP値の推移を、各時点の鉄イオン濃度とともに示すグラフである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係るリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法は、鉄及びアルミニウムを含むリチウムイオン電池スクラップを酸浸出する浸出工程を行った後、浸出工程で得られた浸出液に対し、前記浸出液のpHを4.0以下に保ち、浸出液中の鉄(II)イオンを、鉄(III)イオンに酸化して、浸出液中の主として鉄成分を沈殿させることにより、浸出液中の鉄イオン濃度を、0.2g/L以下とする沈殿工程を実施する。この沈殿工程の後、浸出液中にアルミニウム成分が残っている場合は、必要に応じて、アルミニウム分離工程を行うことも可能である。
そしてその後、鉄及びアルミニウムが沈殿した浸出液から、それらの鉄及びアルミニウムを含む残渣を分離させる濾過工程を行う。
(リチウムイオン電池スクラップ)
リチウムイオン電池スクラップは、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄された、いわゆる電池滓、アルミニウム箔付き正極材もしくは正極活物質、または、これらのうちの少なくとも一種、あるいは、たとえば、電池滓等を、必要に応じて焙焼し、化学処理し、破砕し、および/もしくは篩別したもの等とすることができる。但し、リチウムイオン電池スクラップの種類等によっては、このような焙焼や化学処理、破砕、篩別は必ずしも必要ではない。
なおここで、たとえば、リチウムイオン電池スクラップが電池滓である場合、このリチウムイオン電池スクラップには一般に、正極活物質を構成するリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンのうちの一種の元素からなる単独金属酸化物および/または、二種以上の元素からなる複合金属酸化物の他、アルミニウム、銅、鉄等が含まれることがある。あるいは、正極活物質である場合、そのスクラップには一般に、上記の単独金属酸化物および/または複合金属酸化物が含まれ得る。また、アルミニウム箔付き正極材の場合は、当該単独金属酸化物および/または複合金属酸化物に加えて、さらにアルミニウムが含まれることがある。
この発明で対象とするリチウムイオン電池スクラップは、少なくとも鉄及びアルミニウムを含むものとし、特に、この発明の除去方法を実施した後に有価金属を回収する場合、鉄及びアルミニウムの他、コバルト及び/又はニッケルをさらに含むものであることが好ましい。
(浸出工程)
浸出工程では、上記のリチウムイオン電池スクラップを酸浸出させることにより、それに含まれる金属が溶解した浸出液を得ることができる。リチウムイオン電池スクラップの浸出に用いる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸等を挙げることができるが、これらのなかでも硫酸は、常温での無酸化性と金属に対する対配位能の点で好ましい。浸出工程では、酸の添加によってpHを例えば1.5〜3.5に調整することが好ましい。
ここで得られた浸出液は、たとえば、鉄イオンを、0.1g/L〜2.0g/Lで含み、また、アルミニウムイオンを、0.1g/L〜20g/Lで含むことがある。特に、鉄イオン濃度が0.2〜2.0g/L以上、アルミニウムイオンが2g/L以上であれば、この浸出液に対し、後述の沈殿工程等を実施することが有効である。
ここで、浸出液中に溶解したアルミニウムとリチウムとのモル比(Al/Li比)は1.1以下として、浸出液中のリチウムを比較的多くすることが好ましい。これにより、後述の沈殿工程、アルミニウム分離工程で、アルミニウムを沈殿させる際に、結晶性のあるAl(OH)3、LiAlO2、LiAl2(OH)7等の混合沈殿物が生成し、その際のコバルトの共沈を抑制することができる。また、そのような沈殿物は、ゲル状ではなく粉末状に近い形態をなすことから、沈殿工程、アルミニウム分離工程の後に浸出液を濾過する際に、濾過に要する時間を短縮化することができる。
この観点から、浸出液中のリチウムに対するアルミニウムのモル比(Al/Li比)は、1.0以下とすることが好ましく、さらに0.9以下とすることが好ましい。
なお、浸出液中に溶解したリチウムは、リチウムイオン電池スクラップにそもそも含まれるリチウムが酸浸出されたものとすることができる他、浸出液に他のリチウム含有材料を添加して、これが酸浸出されたものとすることもできる。また、リチウム含有材料の添加により、酸浸出液中のAl/Li比を調整することが可能である。このリチウム含有材料としては、試薬を用いることもできるが、リチウムイオン電池スクラップの処理プロセスで得られた炭酸リチウム、水酸化リチウムその他のリチウム化合物や、これらのうちの少なくとも一種を水に溶解させて得られるリチウム水溶液とすることが好ましい。
(沈殿工程)
上記の浸出工程で得られた浸出液中の鉄成分は、鉄(II)イオンの形態となっている。この状態で鉄成分を沈殿させるには、金属のpHと溶解度との関係より、浸出液のpHを、コバルトが沈殿する程度まで比較的大きく上昇させる必要があるので、多量のコバルトの共沈を招く。
これに対処するため、この沈殿工程では、浸出液中の鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化しながら、浸出液中の鉄成分を沈殿させる。具体的には、この実施形態では、たとえば、浸出液中に酸化剤を徐々に添加し、浸出工程で得られた浸出液の低いpHを次第に上昇させることにより、コバルト(II)と近いpHで析出する鉄(II)を、より低いpHで析出する鉄(III)イオンに酸化させた上で、浸出液中の鉄成分を沈殿させる。
鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化させるために酸化剤を添加する場合、酸化剤は、浸出液のpHの上昇状況に基いて、沈殿工程の間にわたって、複数回に分けて少しずつ添加することが好ましい。酸化剤を浸出後液中に一括で添加することも可能であるが、一度に多量の酸化剤を添加するとpHが急上昇し、鉄の酸化が生じることなく、鉄がコバルトとともに沈殿してしまうおそれがあるからである。
沈殿工程での浸出液のpHは、沈殿工程の終了まで、4.0以下に保たれるように、たとえば複数回にわたって添加する場合の酸化剤の各添加量等を調整することが好ましい。上述したようなコバルトの共沈をより効果的に抑制するためである。より好ましくは、沈殿工程での浸出液のpHは3.8以下とする。特に、沈殿工程の終了時の浸出液のpHは、3.2〜3.8とすることが好ましい。
この沈殿工程の終了時には、浸出液中の鉄イオン濃度を、0.2g/L以下とする。沈殿工程の終了時の鉄イオン濃度は、0.01g/L以下とすることがより好ましく、特に0.001g/L以下とすることが一層好ましい。
また、沈殿工程での浸出液のORP値(銀/塩化銀電位基準)は、290mV〜410mVの範囲内に維持されるように調整することが好ましい。このときのORP値が高すぎると、コバルトが共沈することによるコバルトのロスの増大を招くことが懸念され、この一方で、ORP値が低すぎると、鉄の除去が完了しない可能性がある。
浸出液中に酸化剤を複数回に分けて添加する場合、酸化剤の種類にもよるが、たとえば、0.5時間〜4時間の保持時間で行う沈殿工程の間に、酸化剤を、2回〜100回に分けて、0.005時間〜2時間の間隔で添加することができる。一回当たりの酸化剤の添加量は、二価の鉄に対して0.01当量〜0.5当量とすることができる。なお、沈殿工程終了後は、この酸化剤の量を急増させることができるが、上記の沈殿工程の保持時間は、浸出液にはじめに酸化剤を添加したときから、酸化剤の添加量を急増させるときまでの時間とすることができる。
酸化剤としては、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)や過酸化水素(H22)や二酸化マンガン(MnO2)等を用いることができる。なかでも、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)は、沈殿のろ過性の点で好ましい。アルカリとしてはナトリウム塩(NaHCO3、Na2CO3)もしくはカリウム塩(KHCO3、K2CO3)等のアルカリ性の炭酸水素塩もしくは炭酸塩、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを用いることができる。
なおここで、沈殿工程での浸出液の液温は、60℃〜100℃とすることが好適である。鉄の沈殿反応を促進させ、短い時間で多くの鉄成分を沈殿させるためである。
このような沈殿工程では、アルミニウム成分もある程度沈殿することがある。
(アルミニウム分離工程)
上記の沈殿工程の後、浸出液中にアルミニウム成分が無視できない量で残留している場合は、アルミニウム分離工程を実施することができる。但し、沈殿工程でアルミニウム成分が十分に沈殿した場合は、このアルミニウム分離工程を省略することも可能である。
このアルミニウム分離工程では、たとえば浸出液中へのアルカリの添加量を急増させることにより、浸出液のpHを、アルミニウムの析出が生じる程度まで上昇させて、アルミニウムを沈殿させる。なお、浸出液中に鉄成分が若干残っている場合は、このアルミニウム分離工程で鉄成分が僅かに沈殿することもある。アルミニウム分離工程で沈殿する鉄成分の量は、鉄イオン濃度の減少量で表して、0.01g/L以下、より好ましくは0.001g/L以下とすることができる。
アルミニウム分離工程の間、浸出液のpHは、アルミニウム成分を有効に沈殿させるため、4.0を超え5.5以下とすることが好ましい。特に、アルミニウム分離工程での浸出液のpHは、4.5〜5.0とすることがより好ましい。アルミニウムの沈殿時のpHが高すぎると、コバルトの沈殿が少なくない量で生じてしまうので、回収ロスの増大を招く。
また、アルミニウム分離工程では、浸出液のORP値(銀/塩化銀電位基準)は、たとえば、150mV〜410mVの範囲に維持することができる。アルミニウム分離工程でのORP値が高すぎると、コバルトのロスとなる可能性があり、またORP値が低すぎると、鉄残渣が再溶解することが懸念される。このときのORP値は、200mV〜310mVとすることがより好ましい。
上述した沈殿工程及び/又はアルミニウム分離工程では、酸化剤と浸出液を十分に混合させるため、攪拌機にて、浸出液を、たとえば100〜1000rpm、より具体的には200〜500rpm程度の速度で撹拌させることができる。
(濾過工程)
沈殿工程、アルミニウム分離工程を経た後の浸出液を濾過することにより、浸出液から、その浸出液中に沈殿した鉄及びアルミニウムを含む濾過残渣を分離させて、濾過後液を得る。
ここでは、上記の沈殿工程、アルミニウム分離工程により、鉄及びアルミニウムが十分に沈殿するとともに、コバルト等の他の金属の沈殿は有効に抑制されたので、鉄及びアルミニウムを含み、かつ他の金属がほとんど含まれない濾過残渣を得ることができる。また、濾過後液には、他の金属が高い濃度で含まれるので、これを、その後の回収工程で回収することが好ましい。
また、先に述べた浸出工程で、浸出液中のリチウムに対するアルミニウムのモル比(Al/Li比)を1.1以下として、浸出液がリチウムを過剰に含むものとしたことにより、浸出液中に沈殿したアルミニウムは、ゲル状ではなく粉末状に近いAl(OH)3、LiAlO2、LiAl2(OH)7等の混合沈殿物の形態をなす。そのため、濾過工程での濾過の速度が速くなり、短い時間で濾過を終了させることができる。濾過残渣は、自然乾燥するか、または例えば60〜80℃で加熱して水分を除去する(加熱乾燥)ことによって、白色粉状のリチウム・アルミニウム系複合水酸化物粉末を得ることができる。
この濾過工程で得られる濾過後液は、リチウムを2.0g/L以上、好ましくは2.4g/L以上で含むものとすることができ、また、濾過残渣中のリチウムに対するアルミニウムのモル比(Al/Li比)を、3.5未満、好ましくは3.4以下とすることができる。
次に、この発明の方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであって、それに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
コバルトが60g/L、ニッケルが4g/L、マンガンが3.5g/L、アルミニウムが15g/L、リチウムが4g/L、鉄が1.0g/Lで溶解している浸出液に対し、鉄に対して1.0モル倍当量の亜硝酸ナトリウム(NaNO2)200g/Lの酸化剤を用いて、鉄及びアルミニウムを順次に沈殿させ、その後に濾過する試験を行った。それにより得られた濾過残渣は質量33g、pH5であり、その濾過残渣の組成を表1に示し、固液分配率を表2に示す。また、この試験のなかで、沈殿工程の間の浸出液のpH及びORP値の推移を、図1にグラフで示す。
この試験では、酸化剤の添加状況を調整したことにより、図1に示すように、沈殿工程の間にわたって、ORP値は所定の範囲内に維持されており、またpHは比較的小さく保たれていることが解かる。そして、各時点で浸出液の鉄イオン濃度が順調に低下し、pHを大きく増加させた際に鉄イオン濃度が十分に低下したことが解かる。
そして、表1及び2に示す結果から、上記の試験では、鉄及びアルミニウムのそれぞれを完全に除去することができ、また、濾過残渣に含まれるコバルトが少なく、コバルトの沈殿が抑制できたことが解かる。
(試験例2)
試験例1と略同様の条件の下、表3に示すように、酸化剤の種類、添加量及び添加方法並びに、中和開始時及びpH4のときのORP値を変化させて、鉄及びアルミニウムを沈殿させる複数種類の試験を行った。これらの実施例1〜3及び比較例1〜3のそれぞれの条件及び結果を、表3に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3では、酸化剤でORPを上昇させ、またアルカリでpHを上昇させた。ここで、比較例2及び3は、添加方法に起因してpHが急激に上昇して4.0を超えたため、鉄を酸化させて沈殿する沈殿工程が存在しなかった。
表3に示す結果より、pH2において少しずつ酸化剤を滴下した実施例1及び2ならびに、pH3.5において少しずつ酸化剤を滴下した実施例3では、沈殿工程で鉄が十分に沈殿するとともに、最終的なコバルトの沈殿量を小さく抑えることができた。
一方、酸化剤を添加しなかった比較例1では、鉄が十分に沈殿せずに、浸出液中に残った。また、比較例2及び3では、酸化剤を一括で添加したことに起因して、鉄の沈殿とともにコバルトもまた沈殿し、コバルトのロスが大きくなった。
以上に示したところから、この発明によれば、浸出液中の鉄成分を沈殿させる際に、コバルトの共沈を有効に抑制できることから、コバルト等の金属の回収率向上に寄与できることが解かった。

Claims (7)

  1. 鉄及びアルミニウムを含むリチウムイオン電池スクラップを酸浸出して得られた浸出液から、鉄及びアルミニウムを除去する方法であって、
    前記浸出液のpHを4.0以下に保ち、浸出液中の鉄(II)イオンを、鉄(III)イオンに酸化して、浸出液中の鉄成分を沈殿させることにより、浸出液中の鉄イオン濃度を、0.2g/L以下とする沈殿工程を含み、
    前記沈殿工程の後、浸出液のpHを、4を超え5.5以下に保ち、浸出液中に残留した鉄、アルミニウム成分を沈殿させるアルミニウム分離工程をさらに含む、リチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
  2. 前記沈殿工程で、浸出液中の鉄成分とともにアルミニウム成分を沈殿させる、請求項1に記載のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
  3. 前記浸出液が、該浸出液中に溶解したリチウムを含み、前記浸出液中のリチウムに対するアルミニウムのモル比を、1.1以下とする、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
  4. 前記沈殿工程で、浸出液中に酸化剤を添加して、鉄(II)イオンを、鉄(III)イオンに酸化する、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
  5. 前記沈殿工程で、浸出液への酸化剤の添加を、複数回に分けて行う、請求項に記載のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
  6. 前記沈殿工程で、浸出液のORP値(銀/塩化銀電位基準)を、290mV〜410mVの範囲内に維持する、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
  7. 前記沈殿工程で、浸出液の液温を、60℃〜100℃とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法。
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