JP2019026592A - アルコール系消毒剤 - Google Patents

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博朗 飯田
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Abstract

【課題】エタノールを主成分とするアルコール系消毒剤において、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備えるとともに、抗菌成分の分散性を更に高めることで、より安定して優れた抗菌効果を発揮できるようにする。【解決手段】消毒剤全体に対して、以下の(a)〜(e):(a)エタノールを、40〜60質量%、(b)乳酸又はその塩を、乳酸として1〜5質量%、(c)クエン酸及びグリシンの何れか又は両方を、合計で0.3〜1質量%、(d)金属イオンの無機酸塩を、0.1〜0.5質量%、(e)界面活性剤を、0.1〜0.5質量%、を各質量比で含み、pHが4〜5である消毒剤。【選択図】なし

Description

本発明は、細菌やウイルスに対する不活化作用を有するアルコール系消毒剤に関する。
細菌又はウイルスの感染予防及び治療等を目的として、抗菌・抗ウイルス作用を示す消毒剤が様々な分野で使用されている。特に、食品衛生の分野において、ノロウイルスによる食中毒患者数は全食中毒患者数の約半数を占め、その制御は食中毒対策上重要な課題の一つとなっている。食品取扱者や調理器具からの二次汚染を防止するために、これらの表面に存在するノロウイルスの不活化が重要であると考えられる。
人体に対する安全性の観点から、食品衛生法では、外食産業や食品工場等における食品の洗浄・抗菌・除菌等に使用できる抗菌成分を規定している。このような抗菌成分としては、次亜塩素酸ナトリウムや、酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸等の有機酸や、亜鉛、銅、鉄、銀等の抗菌作用を有する金属イオンや、多価アルコールや、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤等が認められている。
これらの抗菌成分のうち、次亜塩素酸ナトリウムは、実用上における安全性(酸と混合しないように注意する等)、有機物の存在による除菌効果の喪失、強い臭い等の不都合があり、用途によっては使用できない場合がある。また、有機酸には、次亜塩素酸ナトリウムと同様に強い臭いを持つものもある。アルコール製剤については、エタノール単独ではノロウイルスをはじめとするエンベロープを持たないウイルス、すなわちノンエンベロープウイルスを不活化する効果は期待できないため、エタノールの他に、リン酸、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、かつpHが2.5〜5.0の範囲にある水溶液からなる組成物によるカリシウイルス不活化方法が報告されている(特許文献1参照)。
本発明者らは、抗菌作用を有する金属イオンと、該金属イオンと水に不溶の金属塩を生成する界面活性剤とからなる抗菌性液体組成物を既に提案している(特許文献2を参照)。特許文献2に記載されている抗菌性液体組成物は、これに含まれる成分により形成される水不溶性金属塩の抗菌力が高いことから、高い安全性と広範な微生物に対する効果的な抗菌性を兼ね備えるものである。
特許第5542682号公報 特許第5300759号公報
しかしながら、特許文献1に記載のエタノール製剤では、ウイルス不活化能が必ずしも十分ではなく、効果の強化を狙って有効成分の濃度を高くしすぎると、器具等への使用後に有効成分による金属腐食、べたつき、白残り等が生じることが報告されている。また、特許文献2に記載されている抗菌性液体組成物では、製造条件や保存条件によっては、液中に分散されている水不溶性金属塩が凝集し、凝集物が液中を浮遊して液が白濁したり、沈殿したりする場合があった。このように水不溶性金属塩が凝集する場合には、水不溶性金属塩の微粒子が液中に均一に分散されている場合と比べ、抗菌効果が低下したり、凝集物が食品に付着したりするおそれがあった。そのため、水不溶性金属塩の微粒子の凝集が抑制され、分散性が更に向上した消毒剤が求められていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エタノールを主成分とするアルコール系消毒剤において、高い安全性と優れた抗菌性を兼ね備えるとともに、抗菌成分の分散性を更に高めることで、より安定して優れた抗菌効果を発揮できるようにすること、またウイルスは嘔吐物や食材等の有機物環境下にも生息しており、このような場所で使用することができる消毒剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の1つの実施形態に係る消毒剤は、消毒剤全体に対して、以下の(a)〜(e):
(a)エタノールを、40〜60質量%、
(b)乳酸又はその塩を、乳酸として1〜5質量%、
(c)クエン酸及びグリシンの何れか又は両方を、合計で0.3〜1質量%、
(d)金属イオンの無機酸塩を、0.1〜0.5質量%、
(e)界面活性剤を、0.1〜0.5質量%、
を各質量比で含み、pHが4〜5であることを特徴とする。
本発明の消毒剤は、上記構成とすることで、抗菌・抗ウイルス活性に優れるとともに、水不溶性金属塩の微粒子の凝集を抑制して安定した効果を発揮することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明に係る消毒剤については、以下の順序で説明する。
1 消毒剤の組成
2 消毒剤の製造方法
3 抗菌・抗ウイルス作用の原理
4 消毒剤の用途
5 消毒剤の使用方法
≪消毒剤の組成≫
本発明に係る消毒剤(以下、「本消毒剤」と称する。)は、エタノールを主成分とする水性溶媒に、乳酸等の有機酸と、クエン酸及び/又はグリシンと、抗菌性を有する金属イオンの無機酸塩と、界面活性剤と、を主に含有する。本消毒剤に含まれる金属イオンは、界面活性剤との反応により水不溶性塩を生成し、共存するクエン酸及び/又はグリシンの作用によりその分散性が向上する。この消毒剤は、水不溶性金属塩が、クエン酸及び/又はグリシンの添加により分散媒中に均一に分散された分散水溶液(コロイド溶液)となっている。以下、各成分について順に説明する。
<水不溶性金属塩>
本消毒剤において、水不溶性金属塩は、抗菌性を有する金属イオンと界面活性剤とが反応して生成される水不溶性の金属塩であり、例えば、界面活性剤が脂肪酸誘導体の場合には、抗菌性を有する金属を含有する金属石鹸となる。この水不溶性金属塩は、本消毒剤における抗菌成分としての役割を有する。この水不溶性金属塩を含む分散水溶液、すなわち、本消毒剤の抗菌力は、抗菌性を有する金属イオンを含む水溶液の抗菌力よりも高い。
ここで、本消毒剤は、例えば、特開平7−292397号公報や特開2008−214621号公報に記載されているように、抗菌剤や洗浄剤の分野で通常は好ましくないとされている塩析物、すなわち水不溶性金属塩の生成、及びその生成条件を積極的活用したものである。言い換えると、界面活性剤を使用する場合、金属イオンは金属石鹸(水不溶性金属塩)を生成し、界面活性を低下させる原因となるため、これまでは金属石鹸の使用が避けられてきていた。しかし、本発明では、金属石鹸の生成反応を積極的に利用して、従来の抗菌性を有する金属イオン単独の抗菌力よりも高い抗菌力を有する水不溶性金属塩の分散溶液(本消毒剤)を得るものである。
また、本発明に係る水不溶性金属塩は、酸やアルカリによる分解が起こりにくいため、この金属塩が溶媒に分散された本消毒剤の品質は、長期間安定したものとなる。
(抗菌性を有する金属イオン)
上述したように、特定の金属イオンにはそれ自体に抗菌作用があるが、本消毒剤は、抗菌性を有する金属イオンが結合した水不溶性金属塩の抗菌作用により、食品、食器、食品製造装置、皮膚等に付着した細菌やウイルス等を不活性化することができる。
ここで、本消毒剤に用いる抗菌性を有する金属イオンとしては、例えば、アルミニウム(Al)イオン、亜鉛(Zn)イオン、銅(Cu)イオン、鉄(Fe)イオン、銀(Ag)イオンを使用することができる。これらのイオンの硫酸塩その他の無機酸塩(例えば、硫酸亜鉛、ミョウバン等)、グルコン酸塩その他の有機酸塩は、食品添加物として認められていることから、本消毒剤を食品等に対する抗菌剤として使用する場合には、上記の金属イオンを使用することが好ましい。
これらの抗菌性を有する金属イオンの添加量は、金属イオンの無機酸塩として0.1〜0.5質量%が好ましく、その分散性の観点からは0.1質量%以上、0.3質量%未満がさらに好ましい。
(界面活性剤)
本消毒剤に用いる界面活性剤としては、上記抗菌性を有する金属イオンと反応して水不溶性金属塩を生成できるものであれば特に限定はされず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれを用いてもよい。
本消毒剤に用いられるアニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
本消毒剤に用いられるカチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルアンモニウム塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
本消毒剤に用いられる両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
本消毒剤に用いられるノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグルコキシド等が挙げられる。
ここで、本消毒剤を食品の洗浄・抗菌等の用途に用いる場合には、人体への安全性の観点から、界面活性剤として、食品添加物として認められているノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。このようなノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい。)、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール、糖アルコール又は糖類と脂肪酸とのエステルが挙げられる。これらの脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ショ糖脂肪酸エステルは、グリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステルよりも水に対する可溶化力が高いため、生成される水不溶性金属塩も比較的水中に分散しやすいものとなる。従って、水不溶性金属塩の分散性を重視した場合には、ショ糖脂肪酸エステルを含有することが好ましい。一方、水不溶性金属塩の分散性と抗菌力とのバランスを重視した場合には、ソルビタン脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。
本消毒剤中の界面活性剤の含有量は、抗菌性を有する金属イオンに対する質量比で1以上5以下であることが好ましい。具体的には、消毒剤全体に対して0.1〜0.5質量%であることが更に好ましい。界面活性剤の含有量がこの範囲であると、本消毒剤中における水不溶性金属塩粒子の凝集を抑制することができ、その結果、水不溶性金属塩の分散性を高めることができる。従って、本消毒剤が白濁したり、水不溶性金属塩の凝集粒子が沈殿したりすることを抑制することができる。
<抗菌性を有する有機酸>
本消毒剤の抗菌・抗ウイルス作用は、上記金属イオンの他にも、乳酸やクエン酸等の有機酸を含有することによって発揮される。クエン酸、乳酸、リン酸は、アルコール製剤に単独で添加するだけでpHを低下させて抗ウイルス作用を有することが報告されている(特許文献1参照)。本消毒剤では、乳酸及び/又はクエン酸を抗菌物質として添加することにより、上記金属イオンと共存して相乗的な抗菌効果を発揮すると考えられる。本消毒剤において、乳酸及び/又はその塩は、乳酸として1〜5質量%含まれることが好ましく、より好ましくは2〜3質量%である。クエン酸は抗菌物質としての作用の他に分散剤としても機能するため、その含有量については後述する。
<分散剤>
本消毒剤においては、分散剤は、上述した抗菌性を有する金属イオンを含む水不溶性金属塩を後述する分散媒中に均一に分散させる役割を有する。このような分散剤としては、金属イオンに対するキレート作用を有する物質を用いることが好ましく、例えば、EDTA−2Na、クエン酸、グリシン、リンゴ酸、エチレンジアミン等を挙げることができる。これらの中でも、クエン酸及びグリシンの何れか又は両方を用いてもよく、特に、クエン酸とグリシンの両方を使用することが好ましい。
また、本消毒剤中の分散剤の含有量は、全消毒剤の質量を基準として、0.1〜2質量%であることが好ましく、0.2〜1.5質量%であることが更に好ましく、0.3〜1質量%であることが更に一層好ましい。分散剤の含有量がこの範囲であると、本消毒剤中における水不溶性金属塩粒子の凝集を抑制することができ、その結果、水不溶性金属塩の分散性を高めることができる。従って、本消毒剤が白濁したり、水不溶性金属塩の凝集粒子が沈殿したりすることを抑制することができる。一方、分散剤の含有量が少な過ぎると水不溶性金属塩の分散効果が十分に発揮できなくなるおそれがあり、逆に、多過ぎると本消毒剤の抗菌力が低下するおそれがある。
<分散媒>
本消毒剤には、上述した水不溶性金属塩が分散する分散媒として、主に、アルコール及び水が含有されている。以下、これらの成分についてより詳しく説明する。
(アルコール)
アルコールは、水と共に分散剤としての役割を有する他、水不溶性金属塩の分散性を向上させる分散助剤としての役割と、抗菌又は除菌成分としての役割とを有する。本消毒剤においては、水不溶性金属塩の粒子を凝集せずに均一に分散させるために、アルコールは必須の成分である。
ここで、本消毒剤に使用するアルコールとしては、炭素数3個以下の低級アルコールを使用することが好ましい。このような低級アルコールを使用することにより、水不溶性金属塩の分散性を向上させて本消毒剤の透明度を高めるとともに、細菌やウイルスに対する抗菌又は除菌効果を高めることができる。なお、炭素数4個以上の高級アルコールを使用すると、水に溶け難くなるとともに粘度が高くなるため、取扱いが困難となる。
上述した低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられるが、これらのうち、安全性及び抗菌・除菌効果を高めるという観点から、特に、エタノールを使用することが好ましい。
本消毒剤中のアルコールの含有量は、全組成物の質量を基準として、3〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましく、40〜60質量%であることが更に一層好ましい。アルコールの含有量がこの範囲であると、本消毒剤中における水不溶性金属塩粒子の凝集を抑制することができ、その結果、水不溶性金属塩の分散性を高めることができる。従って、本消毒剤が白濁したり、水不溶性金属塩の凝集粒子が沈殿したりすることを抑制することができる。また、アルコールの含有量が上記範囲であると、本消毒剤の抗菌力をより高めることができる。
(水)
水は、上述した水不溶性金属塩を分散させる分散媒としての役割を有する。本消毒剤に使用する水としては、イオン交換水や蒸留水を使用することが好ましい。水不溶性金属塩を分散させる水として、例えば、水道水等の各種金属イオンを含有する水を使用すると、これらの金属イオンが上述した界面活性剤や分散剤等と塩を生成してしまうため、本消毒剤の抗菌性や液安定性(沈殿の生成や白濁等が発生しない状態を保つこと)が損なわれるおそれがある。
本消毒剤中の水の含有量は、特に限定されず、水不溶性金属塩の高い分散性と消毒剤全体としての高い抗菌力を両立するという観点から、他の必要な成分の残部が水となるようにすればよい。
(pH調整剤)
本消毒剤は、pH調整剤として乳酸等の有機酸及びその塩を含有する。pH調整剤は、本消毒剤を弱酸性〜中性にするために使用される。本消毒剤を弱酸性〜中性の範囲とすることで、上述した水不溶性金属塩の分散安定性を向上させることができる。水不溶性金属塩の分散安定性の向上という観点からは、本消毒剤のpHを3〜7の範囲とすることが好ましく、4〜5の範囲とすることが更に好ましい。
本消毒剤に用いられるpH調整剤としては、例えば、pHを上げるものとして、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、その他の有機酸塩、アルギニン、炭酸ナトリウム等が挙げられ、pHを下げるものとして、乳酸、クエン酸、リン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、その他の有機酸が挙げられる。本消毒剤に用いるpH調整剤の種類は、本消毒剤に含まれる他の成分の役割を阻害しないように適宜選択すればよい。
また、本消毒剤中のpH調整剤の含有量は、特に限定されず、本消毒剤中に含まれる成分の種類に応じて、組成物全体として弱酸性〜中性の範囲となるような量を使用すればよい。
(その他の添加剤)
その他、本消毒剤には、上述した本発明の効果を阻害しない範囲で、各種添加剤が更に含有されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、香料、精油、粘度調整剤、泡調整剤、(タンパク質、脂質、糖質等の分解用の)酵素、糖類(ソルビトール、キシリトール、トレハロース等)、アミノ酸類等が挙げられる。なお、上記香料や精油としては、例えば、食品添加物として認められているゲラニオール、シトロネロール、オイゲノール、リナロール、テレピネオール、チモール、メントール、リモネン、ペリラアルデヒド等が挙げられる。
≪消毒剤の製造方法≫
以上、本消毒剤の組成について詳細に説明したが、本消毒剤の製造方法については、特に限定されるものではなく、上記組成物を混合し、pH調整することで容易に得ることができる。
<その他の成分の添加>
また、上記成分の添加と同時又はその前後に、その他の成分、すなわち、香料、精油、粘度調整剤、泡調整剤、(タンパク質、脂質、糖質等の分解用の)酵素等を添加してもよい。
<各成分の含有量>
なお、各成分の含有量については上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
≪抗菌作用の原理≫
次に、本消毒剤による対象物(食品、食品製造装置、厨房用品、食品洗浄装置、トイレ周り、嘔吐物及び皮膚等)に対する抗菌作用の原理について説明する。
本発明では、本消毒剤中の抗菌成分、すなわち、上述した水不溶性金属塩が、水やアルコールに希釈した際、親水性成分としての金属イオンと親油性成分としての界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等)とが乳化している状態となること、すなわち、金属イオンと界面活性剤とが水不溶性金属塩を形成し、これがクエン酸及び/又はグリシン等の分散剤により乳化された状態となることにより、細菌やウイルスを不活性化する作用が発現される。具体的には、本消毒剤は、以下のような原理で細菌やウイルスを不活性化すると理解される。
水不溶性金属塩の作用として、細菌やウイルス等の表面膜への付着、細菌やウイルス等の生体内への浸透、細菌やウイルス等の生体内でのタンパク質変性や凝固作用を引き起こし、低濃度且つ短時間でウイルス粒子の抗原や細菌の糖タンパクを変性し、これらを不活性化することができると考えられる。
≪消毒剤の用途≫
上述したような本消毒剤の用途としては、細菌やウイルス等に対する抗菌・除菌・静菌等が必要な用途であれば特に限定されるものではないが、例えば、食品、食器、厨房用品、食品製造装置、皮膚等の対象物の抗菌・除菌・静菌等に用いられる抗菌(除菌・静菌)剤、食材の品質保持剤、洗浄剤、サニタリー用品、嘔吐物、糞便の処理等の用途に本消毒剤を用いることができる。
≪消毒剤の使用方法≫
本消毒剤は、原液のまま又は希釈して、該組成物を対象物(食品、食品製造装置、厨房用品、食品洗浄装置、トイレ周り、嘔吐物、糞便及び皮膚等)に噴霧若しくは塗布、又は該組成物に対象物を浸漬するといった方法で使用することができる。また、噴霧、塗布、浸漬等の方法については特に限定はされず、一般に適用されている方法を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定
するものではない。
<サンプル調製方法>
本評価で使用する消毒剤のサンプルを次のように調製した。まず、下記表1に記載されているように、抗菌性を有する金属イオン源として、ミョウバン又は硫酸亜鉛をイオン交換水に溶解させ、得られた水溶液に、表1に記載のノニオン性界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル)、クエン酸及び/又はグリシン、アルコールを添加し、撹拌混合した後に、水が組成物中に表1に記載の量含まれるようにイオン交換水を更に添加した。pH調整剤として、乳酸と乳酸ナトリウムとの組み合わせを用いてpHを4.1〜5.1に調整し、実施例1〜7及び比較例1〜4(表1参照)の分散性評価用のサンプルを得た。
なお、本実施例及び比較例において使用した界面活性剤は以下の通りである。
グリセリン脂肪酸エステル:グリセリンモノカプリレート
ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタンモノカプリレート
<外観評価方法>
調製されたサンプルの分散性は、調製直後及び20℃で1週間放置した後のサンプルの
外観を目視観察し、以下の基準により評価し、○及び○△のものを分散性が良好なサンプ
ルとした。実施例1〜7及び比較例1〜4の結果を表1に記載した。
○ :1週間放置後も外観が無色透明
○△:1週間放置後に白色透明に変化又は微量の析出物が発生
△ :1週間放置後に白色の析出物が発生
× :調製直後に白色の析出物が発生
<評価結果>
表1に示すように、実施例1〜7及び比較例1〜4のサンプルは、いずれも分散性が良好であった。なお、表1には記載していないが、低温での温度安定性、例えば、−10℃乃至−20℃で放置したサンプルの外観を観察したところ、実施例4〜7のサンプルで若干の析出物が認められた(○△の評価)。これは、ミョウバン又は硫酸亜鉛の含有量が高いためにこれらの水不溶性金属塩の析出が起きたものと考えられるが、実用的には問題ないと思われる。
Figure 2019026592
次に、本消毒剤の実施例及び比較例に対し、消毒剤の抗菌・抗ウイルス性を評価した。具体的には、まず、以下のようにして実施例1の消毒剤の評価試験を行った。
<評価方法>
抗菌性の評価は、以下の菌・ウイルスについて、下記のような方法で行った。
(大腸菌抗菌試験)
(a)表1の各サンプル10mLを入れた減菌試験管と、対照として減菌生理食塩水10mLを入れた試験管を5セット用意した。
(b)減菌生理食塩水3mLに、ブレインハートインフュジョンブイヨンで35℃、18時間、培養した菌株を用いて、約7.8×10個の菌浮遊液を作製した。
(c)試験品中の菌数が約7.8×10個/mLになるよう、菌浮遊液を100μLずつ、(a)の試験品と対照の減菌生理食塩水を入れた試験管に添加し、良く撹拌、静置した後、3分後に、各1mLをサンプリングして、平板混釈法にて、35℃、72時間観察した。
以上のような試験を、消毒剤を質量比で30%、25%、20%及び15%に希釈して行った。その結果、大腸菌の生育が認められなかったものを○、10個以上のコロニーが認められたものを×と評価した。
(ネコカリシウイルス(ノロウイルス代替)不活化試験)
(a)ネコカリシウイルスをネコ腎臓由来細胞(CRFK)に感染させ、細胞培養面積の約90%以上が細胞変性効果(CPE)を示したとき−80℃の冷凍庫に凍結保存した。その後、凍結融解操作を2回繰り返し、3500rpmで10分間遠心した上澄みを採取し、限外ろ過膜で濃縮精製したウイルス液を供試ウイルス液とした。
(b)試験管内に各サンプル0.9mLとウイルス液0.1mLを混合し、ボルテックスミキサーでゆるやかに混合して、室温で60秒間反応させた。ウイルス液は、負荷剤として10%肉エキス(糞便代替)を1:1で混合し5%肉エキス添加ウイルス液とした。その後、反応液0.1mLを採取し、2%FBS添加DMEMで7〜49倍希釈し、ウイルスに対する作用を停止させた。
(c)この液をウイルス感染価測定用試料としてウイルスの不活化効果を評価した。
(d)ウイルス感染価をTCID50(Median tissue culture infectious dose50%感染量)法により測定した。初期値からのウイルス感染価の減少量を、ウイルス感染価対数減少値として表示した。
以上のような試験の結果、不活化効果については、以下のA〜Cの基準により有効性を判定した。
A:十分な効果あり(4log10以上の減少)
B:効果あり(2log10以上4log10未満の減少)
C:効果なし(2log10未満)
<評価結果>
以上の抗菌・抗ウイルス試験の結果を下記の表2に示す。なお、ネコカリシウイルスの試験結果は、上記A〜Cの有効性判定とともに、対数減少値(数値が大きいほどウイルス感染価の減少度合いが大きい)を記載した。
Figure 2019026592
表2に示したように、実施例1〜7の消毒剤は、大腸菌及びネコカリシウイルスの両方に対して不活化効果を有していた。金属イオンを含まない比較例1及び4に対し、抗菌物質として金属イオンを含む実施例1〜6はウイルス感染価対数減少値が大きくなり、金属イオンを添加することで効果が上がった。また、実施例2と3及び実施例5と6の比較からは、グリシンの添加量を抑えることでウイルスに対する効果が高くなると考えられる。

Claims (3)

  1. 消毒剤全体に対して、以下の(a)〜(e)を各質量比で含み、pHが4〜5である消毒剤:
    (a)エタノールを、40〜60質量%、
    (b)乳酸及び/又はその塩を、乳酸として1〜5質量%、
    (c)クエン酸及びグリシンの何れか又は両方を、合計で0.3〜1質量%、
    (d)金属イオンの無機酸塩を、0.1〜0.5質量%、
    (e)界面活性剤を、0.1〜0.5質量%。
  2. 前記界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上のノニオン性界面活性剤である、請求項1に記載の消毒剤。
  3. 前記金属イオンの無機酸塩を、0.3質量%未満含む請求項1又は2に記載の消毒剤。
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