JP2019014685A - 抗がん剤 - Google Patents
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しかしながら、既存薬はそれぞれが標的とする遺伝子変異を有することが治療適応の絶対条件となるためコンパニオン診断が必須である。また、それらの治療薬全ては進行肺腺がんに対するものであり、初期の肺腺がんに対する治療薬はまだない。
Stratifin(SFN)は、14−3−3ファミリーに属するアンカータンパク質であり、ほぼすべての肺腺がん症例において発現亢進が見られる腫瘍悪性化因子である(非特許文献1、2)。従って、SFNの発現亢進を抑制/遅延させることができる化合物やその機能を阻害できる化合物は、コンパニオン診断をせずに全ての肺腺がん、ひいては肺腺がんを含む種々のがんに対して効果を示すことが期待できる。
本発明者らはSFNの結合因子としてSKP1を同定した。SKP1は、E3ユビキチンリガーゼであるSCFのアダプター部分でありSFNはSKP1タンパク質に結合することでがんの悪性化を引き起こすと考えられている。従って、SFNとSKP1との結合を阻害できる化合物は、抗がん剤として有望である。
一方、脱ユビキチン化酵素の1つであるUSP8は、14−3−3タンパク質との結合モチーフを有し、SFNと結合することで上皮細胞増殖因子EGFにより活性化されたEGF受容体を脱ユビキチン化することにより、そのリソソームへの輸送・分解を負に調節することが知られている(非特許文献3)。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1](i)Stratifinと、(ii)SKP1及びUSP8の少なくともいずれかとの結合を阻害する化合物を有効成分として含む抗がん剤。
[2]該化合物が、下記式で表される化合物またはその類縁体である、上記[1]記載の抗がん剤。
[4]がんが、初期の肺腺がんである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の抗がん剤。
下式
好ましくは、
R2及びR3が独立して水素原子、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル基等)、低級アルケニル(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等のC2−6アルケニル基等)及びフェニルからなる群より選択され;
R6、R7及びR8が独立して水素原子、低級アルキル基(上述と同義)、ハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード)及び−CF3からなる群より選択され;
R11、R12及びR13が独立して水素原子、低級アルキル基(上述と同義)、ハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード、好ましくはフルオロ)及び−CF3からなる群より選択され;
Yが−O−であり;
ZがC1-4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等、好ましくはメチル)であり;
R1が下記式から選択される、化合物およびその医薬上許容される塩である。
下式
好ましくは、
R1がそれぞれトリフルオロメチルにより置換されていてもよいC1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等、好ましくはプロピル)又はフェニルであり;
R2がフェニルにより置換されるブチル又はシクロプロピルであり、該フェニル基はそれ自体1個以上(好ましくは2個)のハロゲン(好ましくはフルオロ)、C3−8アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等)、アルコキシ(例えば、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基等)、フェノキシ又はフェニルにより置換され;
R3及びR4が共にヒドロキシであり;
RがOH、CH2OH、CH2CH2OH、OCH2CH2OH、CH2OCH2C(CH3)2OH又はOCH2C(CH3)2OHである
化合物およびその医薬上許容される塩である。
下式
好ましくは、
Qがフリルであり;R1が水素又はアセチルであり;R2がシクロペンチル、シクロヘキシル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ピリジル、チアジアゾリル、C4〜C6アルキル(例えば、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等)、任意に置換したフェニル(C1〜C2)アルキル(例えば、フェニルメチル、フェニルエチル、好ましくはフェニルエチル)、任意に置換したフェニル、フリルメチル又はピリジルメチルであり、前記任意に置換したフェニルが非置換であるか、又はメチレンジオキシによってもしくはフルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、メトキシカルボニル、ヒドロキシ、ピバロイルオキシ、ニトロ、メチル、メトキシ、t−ブトキシカルボニルエチル及びスルファモイルのいずれかによって置換したフェニルであり;Xがオキシ又はイミノであり;AはN又はCT(Tは水素である)である
化合物およびその医薬上許容される塩である。
特に好ましくは、
R2がシクロヘキシル、テトラフルオロフェニル、2−メチルプロピル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、2−シアノフェニル、3−シアノフェニル、2−ニトロフェニル、2−メトキシカルボニルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、ベンジル、2−フルオロベンジル、3−メトキシベンジル、2−フリルメチル、2−フェニルエチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2−メチルフェニル)エチル、2−(4−t−ブトキシカルボニルフェニル)エチル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(4−スルファモイルフェニル)エチル及び2−(4−ピバロイルオキシフェニル)エチルである
化合物又はその医薬上許容される塩である。
下式
好ましくは、
X、Y及びZが同一で−CH2−であり;
R1及びR3が同一で水素原子であり;
R及びR2が独立して、−OR6、又は容易にヒドロキシに代謝される基(例えば−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR6R7であり;
R6、R7及びR8は水素、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル基等)、アリール(例えば、フェニル、ナフチル等のC6−10アリール基等)及びアリール(上述と同義)置換低級アルキル(上述と同義)からなる群より独立して選択され;
R9は低級アルキル(上述と同義)、アリール(上述と同義)又はアリール置換低級アルキル(上述と同義)であり;
m、n、p、q及びrの合計は、好ましくは2、3又は4、より好ましくは3である(より好ましくは、m、n及びrがそれぞれ0であり、qが1でありpが2であるか、p、q及びnがそれぞれ0であり、rが1でありmが2又は3である)
化合物又はその医薬上許容される塩である。
m、n及びrがそれぞれ0であり、qが1であり、pが2であり、Zが−CH2−であり、Rが−OR6(上述と同義、好ましくは水素原子)である化合物又はその医薬上許容される塩も好ましい。
p、q及びnがそれぞれ0であり、rが1であり、mが2であり、Xが−CH2−であり、R2が−OR6(上述と同義、好ましくは水素原子)である化合物又はその医薬上許容される塩も好ましい。
下式
好ましくは、
A及びA’がそれぞれp−クロロフェニル基であり;
z及びz’が0であり;
nが6である
化合物およびその医薬上許容される塩である。
好ましくは、がんが、肺がん、乳がん、前立腺がん、膵がん、胃がん、大腸がん、食道がん、十二指腸がん、頭頚部がん、脳腫瘍、肝臓がん、腎臓がん、胆管がん、子宮がん、卵巣がん、膀胱がん、皮膚がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺がん、骨腫瘍、陰茎がん、小児固形がん、上顎洞腫瘍、から選択される少なくとも1種である。
より好ましくは、がんは、肺腺癌、乳癌又は大腸癌である。
がん細胞の増殖抑制作用は、当分野で通常実施されている方法に準じて、あるいは当該方法を必要に応じて改変することによってインビトロ及び/又はインビボにおいて測定することができる。例えば、後述の実施例に記載の方法によって測定することができる。
例えば、本発明化合物を、1日量約0.01〜10mg/Kg(体重)程度、好ましくは約0.5〜5mg/Kg(体重)程度、更に好ましくは約0.1〜1mg/Kg(体重)程度を1回又は2ないし3回に分けて投与するのが好ましい。
本発明化合物を含有する医薬は、経口又は非経口投与され、上記した化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
無痛化剤の好適な例として、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
抗酸化剤の好適な例として、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
着色剤の好適な例として、例えばタール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類等が挙げられる。
甘味剤の好適な例として、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
アプレピタントの、SFNとUSP8あるいはSKP1との結合阻害能を調べた。
(材料と方法)
1.細胞
細胞は高分化型肺腺癌より樹立された培養細胞株A549を用いた。A549は10%非動化ウシ胎児血清を添加したD−MEM/F12培地を用いて、直径10cmのコラーゲンコートディッシュ上で、37℃・5%CO2濃度条件下のCO2インキュベーター内で培養した。
2.アプレピタント処理
アプレピタントは最終濃度10μMで直径10cmの培養ディッシュにて培養した細胞に添加した。1時間後に培地を除去し、細胞をPBSでリンスした後、M-PERTM Mammalian Protein Extraction Reagent (PIERCE, Rockford, IL) 500μl、Protease inhibitor cocktail(PIERECE) 3μl、およびPhosphatase inhibitor cocktail(PIERECE) 5μlを加え、タンパク質を抽出した。抽出したタンパク質はBCA Protein Assay Reagent Kit (PIERECE)を用いて定量した。
3.免疫沈降
免疫沈降では、抽出タンパク質溶液500倍希釈で抗ヒトSFNマウスモノクローナル抗体(GeneTex, Inc., San Antonio, TX)とprotein A magnetic beadsを添加し、4℃で一晩反応させた。その後磁気ラックにてビーズを沈殿させ上清を取り除き、沈殿したビーズから溶出させた免疫沈降産物をウェスタンブロットにて解析した。
4.ウェスタンブロット
ウェスタンブロットは上記免疫沈降産物を、95℃で5分間変性させた後、10%Mini-PROTEAN TGX Precast Gels (Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)を用いて電気泳動を行なった。その後、タンパク質はiBlotTM gel transfer system (Life Technologies)によりPVDF膜に転写した。一次抗体は抗ヒトSFNマウスモノクローナル抗体(GeneTex, Inc., San Antonio, TX;200倍希釈)および抗ヒトSKP1マウスモノクローナル抗体(BD Bioscience, San Jose, CA;500倍希釈)、二次抗体はHRP標識抗マウスIgG二次抗体(PIERCE;500倍希釈)を使用した。タンパク質バンドはSuperSignal West Femto(登録商標) extended duration substrate (PIERCE)を用い、ChemiDoc Touch Imaging System (Bio-Rad Laboratories)にて検出した。
結果を図1に示す。アプレピタントを添加することによりSFNに結合するUSP8やSKP1が減少し、アプレピタントがSFNとUSP8との結合や、SFNとSKP1との結合を阻害していることがわかる。
同様にチカグレロル、ZM241385、エゼチミブ及びクロルヘキシジンについてもその結合阻害能を調べた。結果を表1に示す。
アプレピタントについて、そのがん細胞に対する増殖抑制効果を調べた。
(材料と方法)
1.細胞
細胞は高分化型肺腺癌より樹立された培養細胞株A549を用いた。A549は10%非動化ウシ胎児血清を添加したD−MEM/F12培地を用いて、直径10cmのコラーゲンコートディッシュ上で、37℃・5%CO2濃度条件下のCO2インキュベーター内で培養した。
2.阻害薬の調製
各阻害薬はDMSOを溶媒として用い、ボルテックスミキサーにて混和した。
3.WST−8による細胞増殖試験
化合物を添加する前日に96穴細胞培養プレートの各ウェルに6,000細胞/100μlを添加し、CO2インキュベーターにて一晩培養した。その後各阻害薬を終濃度0.1、1、10μMで添加し、再びCO2インキュベーターにて48時間培養した。各インキュベート時間後にWST−8試薬を10μl添加し、1時間CO2存在下でインキュベートした後、450nmにおける吸光度を測定した。コントロールにはDMSOを1μl添加した細胞を用い、この細胞のWST-8添加時の吸光度を増殖能1とした。
(結果)
結果を図2に示す。
同様にチカグレロル、ZM241385、エゼチミブ及びクロルヘキシジンについてもその細胞増殖抑制効果を調べた。
各阻害薬の濃度は、アプレピタントでいずれの経過時間でも細胞増殖抑制効果が確認された10μMとした。
アプレピタント同様にチカグレロル、ZM241385、エゼチミブ及びクロルヘキシジンについても細胞増殖抑制効果が確認された。
Claims (4)
- (i)Stratifinと、(ii)SKP1及びUSP8の少なくともいずれかとの結合を阻害する化合物を有効成分として含む抗がん剤。
- 該化合物が、下記式で表される化合物またはその類縁体である、請求項1記載の抗がん剤。
- がんが、乳がん、前立腺がん、膵がん、胃がん、肺がん、大腸がん、食道がん、十二指腸がん、頭頚部がん、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺がん、肺小細胞がん、肝臓がん、腎臓がん、胆管がん、子宮がん、卵巣がん、膀胱がん、皮膚がん、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺がん、骨腫瘍、血管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎がん、小児固形がん、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、および白血病から選択される少なくとも1種である、請求項1または2記載の抗がん剤。
- がんが、初期の肺腺がんである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗がん剤。
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JP2017502973A (ja) * | 2013-12-30 | 2017-01-26 | オンコプレフェント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 癌を予防する方法において使用するためのニューロキニン−1受容体アンタゴニスト |
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PEPTIDES, vol. 38, JPN6021032204, 2012, pages 318 - 325, ISSN: 0004571836 * |
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