JP2018193531A - 筆記具用水性インク組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
A群:
フタル酸−2−メタクリロイルオキシエステル、フタル酸−2−アクリロイルオキシエステル、ヘキサヒドロフタル酸−2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−2−アクリロイルオキシエチル、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−メタリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸
B群:
ポリフェノール類、システイン類、アスコルビン酸類、ポリビニルピロリドンのオリゴマー、ブチルヒドロキシアニソール
上記B群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤がクロロゲン酸、カフェイン酸、タンニン酸、L−アスコルビン酸、ピセアタンノール、レスベラトロールであることが好ましい。
本発明の筆記具は、上記筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも、下記A群から選択される少なくとも1種のモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子が水に分散されている水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、下記B群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤とを含有することを特徴とするものである。
A群:
フタル酸−2−メタクリロイルオキシエステル、フタル酸−2−アクリロイルオキシエステル、ヘキサヒドロフタル酸−2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−2−アクリロイルオキシエチル、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−メタリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸
B群:
ポリフェノール類、システイン類、アスコルビン酸類、ポリビニルピロリドンのオリゴマー、ブチルヒドロキシアニソール
疎水性ビニルモノマーとしては、特に制限することはなく、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル類、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン類などの少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
用いることができるアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の少なくとも1種が挙げられる。なお、上記「(メタ)アクリル酸」の表記は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を表す。
また、これらの市販品も使用することができ、黄色塩基性染料では、AIZEN CATHILON YELLOW GPLH(保土谷化学工業社製の商品名)等、赤色塩基性染料では、AIZEN CATHILON RED BLH、AIZEN CATHILON RED RHなど(以上、保土谷化学工業社製の商品名)、Diacryl Supra Brilliant Red 2Gなど(三菱化学社製の商品名)、Sumiacryl Red B(住友化学社製の商品名)等、青色塩基性染料では、AIZEN CATHILON TURQUOISE BLUE LH(保土谷化学工業社製の商品名)等、緑色塩基性染料では、Diacryl Supra Brilliant Green 2GL(三菱化学社製の商品名)等、茶色塩基性染料では、Janus Brown R(日本化学社製の商品名)、AIZEN CATHILON BROWN GH(保土谷化学工業社製の商品名)等が挙げられる。
黄色系としては、C.I.ソルベントイエロー16、29、30、56、79、82、114、116;オレンジ系としては、C.I.ソルベントオレンジ67;赤色系としては、C.I.ソルベントレッド1、8、25、27、49、122、127、132、146、218;青色系としては、C.I.ソルベントブルー5、36、38、44、63、70、83、105、111;黒色系としては、C.I.ソルベントブラック3、7、27、29;等がそれぞれ挙げられる。
具体的な市販油溶性染料としては、青染料SBNブルー701(保土谷化学工業社製)、青染料SPTブルー26(保土谷化学工業社製)、赤染料サビニールピンク 6BLS(クラリアントケミカルズ社製)等を挙げることができる。
用いることができるジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーには、ジシクロペンタニルアクリレートモノマー、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートモノマー、ジシクロペンテニルメタクリレートを含むものである。
また、本発明において、上記乳化重合の際には、上記A群のモノマー、上記疎水性ビニルモノマー、上記ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマー以外に、エポキシ基、ヒドロキシメチルアミド基、イソシアネート基などの反応性架橋基を有するモノマーや2つ以上のビニル基を有する多官能性モノマーを配合して架橋してもよい。
特に好ましくは、上記A群から選択される少なくとも1種のモノマーの含有量は、40質量%以上であり、上記疎水性ビニルモノマーの含有量は、好ましくは、20質量%以上であることが望ましい。
上記水性インク用着色樹脂微粒子を構成するポリマー成分のうち、更に、前記ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合は、安定性の点、インク性能の更なる向上の点から、その含有量は0〜25質量%、更に好ましくは、1〜25質量%、特に好ましくは、5〜15質量%であることが望ましい。
この着色樹脂微粒子の分散液は、発色性、耐候性、安定性など優れた機能を有する色材を有するものであり、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物の色材として有用となるものである。
また、本発明において、得られる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液における着色樹脂微粒子の平均粒子径は、モノマー種、含有量、重合の際の重合条件等により変動するものであるが、0.8μm以下となるものであり、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具のペン芯において目詰まりすることなく、また、保存安定性などに優れたものとなる。なお、本発明で規定する「平均粒子径」は、粒度分布測定装置〔FPAR1000(大塚電子製)〕にて、測定したD50の値である。
B群:
ポリフェノール類、システイン類、アスコルビン酸類、ポリビニルピロリドンのオリゴマー、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)
用いることができるポリフェノール類は、複数のヒドロキシ基を有するフェノール性分子を有するものであり、具体的には、カテキン(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなど)、タンニン酸、タンニン、クロロゲン酸、カフェイン酸、ネオクロロゲン酸、シアニジン、プロアントシアニジン、テアルビジン、ルチン、フラボノイド(ケルシトリン、アントシアニン、フラバノン、フラバノール、フラボノール、イソフラボンなど)、フラボン、カルコン類(ナリンゲニンカルコンなど)、キサントフィル、カルノシン酸、エリオシトリン、ノビレチン、タンジェレチン、マグノロール、ホノキオール、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリン、カテコール、プロシアニジン、テアフラビン、ロズマリン酸、キサントン、ケルセチン、レスベラトロール、没食子酸、没食子酸プロピル、フロロタンニン、ピセアタンノール〔5−(ジヒドロキシフェニルエテニル)レゾルシン〕、レスベラトロール(3,5,4'-トリヒドロキシ-trans-スチルベン)などが挙げられる。
用いることができるアスコルビン類としては、アスコルビン酸及びその誘導体(立体異性体含む)などが挙げられる。アスコルビン酸としては、L体、D体、及びDL体のいずれであってもよいが、入手性等の点からL体が好ましい。アスコルビン酸の誘導体としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビル酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸アスコルビル等;ステアリン酸アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸アスコルビルエステル、パルミチン酸アスコルビルエステル等のアスコルビン酸の脂肪酸エステル類等を挙げることができる。
この酸素吸収成分の含有量が0.01質量%未満では、本発明の効果の発揮することができず、一方、30質量%を超えると、インクの安定性が損なわれることがある。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジ オール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル1,3−ブタンジオール、2メチルペンタン −2,4−ジオール、3−メチルペンタン−1,3,5トリオール、1,2,3−ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどのグリセロール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールの低級アルキルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダリジノンなどの少なくとも1種が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具種により変動するものであり、インク組成物全量に対して、1〜40質量%、描線乾燥性を更に向上させる点から、10質量%以下としたインク組成に対して特に有効であり、より好ましくは、3〜8質量%とすることが望ましい。
例えば、pH調整剤として、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、トリポリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などの少なくとも1種が挙げられる。
防腐剤もしくは防黴剤として、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン3−オン、2,3,5,6−テトラクロロ−4(メチルフォニル)ピリジン、安息香酸やソルビン酸やデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩、ベンズイミダゾール系化合物などの少なくとも1種が挙げられる。
潤滑剤としてリン酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリアルキレングリコール誘導体、脂肪酸アルカリ塩、ノニオン系界面活性剤、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのフッ素系界面活性剤、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物などのポリエーテル変性シリコーンなどの少なくとも1種が挙げられる。
ボールペンとしては、上記組成の筆記具用水性インク組成物をボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された上記組成の筆記具用水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、ボールペン、マーキングペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の筆記具用水性インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペン、マーキングペンであってもよいものである。
下記製造例1〜5により、各着色樹脂微粒子の分散液を製造した。
2リットルのフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、モノマー投入用1000ml分液漏斗を取り付け、温水槽にセットし、蒸留水500g、重合性界面活性剤〔アデカ社製“アデカリアソープSE−10N”〕50gおよび過硫酸アンモニウム3gを仕込んで、窒素ガスを導入しながら、内温を50℃まで昇温した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、水性インク用着色樹脂微粒子の分散液(粒子1)を得た。
上記製造例1において、A群のモノマーとして、2−アクリロイロキシエチルフタル酸[共栄社化学株式会社製:HOA−MPL(N)]300gを用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子2)を得た。
上記製造例1において、A群のモノマーとして、ヘキサヒドロフタル酸−2−メタクリロイルオキシエチル〔三菱レイヨン(株)製、アクリルエステルHH)300gを用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子3)を得た。
上記製造例1において、A群のモノマーとして、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸[共栄社化学株式会社製:HOA−HH(N)]300gを用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子4)を得た。
上記製造例1において、A群のモノマーとして、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸[共栄社化学株式会社製:HOA−MPE(N)]300gを用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子5)を得た。
上記製造例1〜5で得た各水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、平均粒子径は0.05〜0.30μmの範囲であり、樹脂固形分も10〜50質量%の範囲内であった。
上記製造例1〜5により製造した各着色樹脂微粒子の分散液(粒子1〜5)を用いて、下記表1及び表2に示す配合組成(全量100質量%)により常法により各筆記具用水性インク組成物を調製した。
下記表1及び表2に実施例1〜11及び比較例1〜5の各評価結果を示す。
上記で得た実施例1〜11及び比較例1〜5で調製した各インク組成物のpH(25℃)を測定した。pH測定は、HORIBA pH/ION METER F−23(HORIBA社製)により測定した。
上記で得た実施例1〜11及び比較例1〜5で調製した各インク組成物をガラス製バイアル瓶に充填し蓋を閉め、50℃の環境下に保存し、一定期間後に、バイアル瓶内のインクに凝集や沈降が見られない期間を「安定性が維持されている期間」とし、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:3ヶ月以上
○:1ヶ月以上3ヶ月未満
△:2週間以上1ヶ月未満
×:2週間未満
(筆記具:ボールペンの作製)
ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:シグノUM−100〕の軸を使用し、内径4.0mm、長さ113mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.7mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各水性インク組成物を充填し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
(筆記具:マーキングペンの作製)
マーキングペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:プロパス・ウインドウPUS−102T、ペン先、太:PE樹脂製燒結芯、細:PET繊維芯〕に上記各水性インク組成物を装填してマーキングペンを作製した。
ボールペン、マーキングペンは、共に、カスレもなく、滲まず、鮮明な筆記描線となることを確認した。
Claims (3)
- 少なくとも、下記A群から選択される少なくとも1種のモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子が水に分散されている水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、下記B群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤とを含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
A群:
フタル酸−2−メタクリロイルオキシエステル、フタル酸−2−アクリロイルオキシエステル、ヘキサヒドロフタル酸−2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−2−アクリロイルオキシエチル、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−メタリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸
B群:
ポリフェノール類、システイン類、アスコルビン酸類、ポリビニルピロリドンのオリゴマー、ブチルヒドロキシアニソール - 上記B群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤がクロロゲン酸、カフェイン酸、タンニン酸、L−アスコルビン酸、ピセアタンノール、レスベラトロールであることを特徴とする請求項1記載の筆記具用水性インク組成物。
- 請求項1又は2記載の筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
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