以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、特に断りがない限り、「上下方向」は基本的に鉛直方向(重力方向)を基準としており、上向きは重力に逆らう方向を意味し、下向きは重力に従う方向を意味する。
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウエハ(以下ウエハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
次に、処理ユニット(すなわち基板処理装置)16の構成を説明する。図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウエハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸周りに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウエハWを回転させる。
処理流体供給部40は、ウエハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源(図示省略)に接続される。
保持部31は、円盤状のベースプレート31aと、ベースプレート31aに設けられウエハWを保持する複数の保持要素31bと、処理ユニット16へのウエハWの搬出入時に保持要素31bから離れたウエハWの下面を支持するリフトピン31cと、を有する。保持要素31bは、ウエハWの周縁部を保持/解放でき、ベースプレート31aに取り付けられた可動の保持爪、または、ベースプレート31aに固定された保持ピン等によって構成可能である。
リフトピン31cは、ベースプレート31aの上面に形成された凹所に格納されるリング状のリフトピンプレート31dに固定されている。リフトピンプレート31dは図示しない昇降機構により昇降可能に設けられ、リフトピン31cを介してウエハWを持ち上げることができる。チャンバ20内に侵入してきた基板搬送装置17のアームと、上昇したリフトピン31cとの間で、ウエハWの受け渡しを行うことができる。
なお、FFU21の吹き出し口の真下には、多数の穴(図示せず)が形成された整流板22が設けられ、チャンバ20内の空間を流れるダウンフローガスの分布が最適化されている。
次に、回収カップ50の構成を説明する。
図2に示すように、回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置されており、ウエハWから飛散する処理液を回収するとともに、ウエハWの周囲の気流を制御する役割を果たす。回収カップ50は、最も外側にある不動の排気カップ51と、その内側にある処理液案内用の排液カップ52とを有する。
一方、保持部31のベースプレート31aには第1回転カップ53及び第2回転カップ54が取り付けられており、第1回転カップ53及び第2回転カップ54は、保持部31の一部として設けられ、ベースプレート31aと一緒に回転する。第1回転カップ53及び第2回転カップ54は、複数の保持要素31bによって保持されたウエハWを取り囲むように設けられており、ウエハWの表面(上面)から外方に飛散する液を受け止めて、斜め下方(すなわち半径方向外向きかつ下方に)案内する。また第2回転カップ54は、ウエハWの裏面(下面)から外方に飛散する液を案内する機能も果たす。さらに、第1回転カップ53及び第2回転カップ54は、ウエハWの周囲の気流を制御する機能も果たす。第1回転カップ53及び第2回転カップ54の各々とベースプレート31aとの間には隙間が設けられており、第1回転カップ53及び第2回転カップ54により案内された液及び気流は、当該隙間を通って外方(図2では第2可動カップ要素523に向かって)流出する。
排液カップ52は、排液カップ本体521と、第1可動カップ要素522と、第2可動カップ要素523とを有する。排液カップ本体521は、概ね鉛直方向に延びる外周筒部521aと、張出部521bと、底部521cと、内周部521dとを有する。張出部521bは、外周筒部521aの上端部から、ウエハW側に向かって延びている。底部521cからは2つの凸部521e、521fが上方に延びている。
外周筒部521aと凸部521eとの間、凸部521eと凸部521fとの間、並びに凸部521fと内周部521dとの間には、それぞれ酸性液、アルカリ性液、及び有機液を受けるための液溜まり522a、522b、522cが画定されている。液溜まり522a、522b、522cは、各々に接続された排液ライン523a、523b、523cを介して、酸性液用(DR1)、アルカリ性液用(DR2)、及び有機液用(DR2)の工場廃液系にそれぞれ接続されている。
凸部521e、521fには、第1可動カップ要素522及び第2可動カップ要素523がそれぞれ上下動自在に嵌合している。第1可動カップ要素522及び第2可動カップ要素523は、図示しない昇降機構により昇降する。第1可動カップ要素522及び第2可動カップ要素523の位置を変更することにより、ウエハWから外方に飛散した後に第1回転カップ53及び第2回転カップ54により案内された処理液を、それぞれ対応する液溜まり(522a、522b、522cのうちのいずれか1つ)に導くことができる。
排気カップ51は、外周筒部511と、張出部512と、底部513と、内周部514とを有する。排気カップ51と排液カップ本体521との間には、排気通路551が形成されている。排気カップ51の底部513には排気口552が設けられ、この排気口552には排気ダクト(排気路)553が接続されている。排気ダクト553は減圧雰囲気の工場排気系の工場排気ダクト(図示せず)に接続されている(C−EXH)。排気ダクト553にはバタフライ弁またはダンパ等の流量制御弁554が介設されている。流量制御弁554の開度を調節することにより、排気通路551を介して吸引されるガスの流量を調節することができる。なお、排気ダクト553に、エジェクタまたは排気ポンプ等の排気を促進する機器を介設してもよい。このように本実施形態では、排気ダクト553、流量制御弁554、及び減圧雰囲気の工場排気ダクト(図示せず)によって圧力調整機構が構成され、当該圧力調整機構によって、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースが負圧にされる。
次に、処理流体供給部40の構成を説明する。
図3に示すように、処理流体供給部40は、処理流体(液体または気体)を供給する複数のノズルを有する。これらの複数のノズルには、図3に示すように、SC1液を吐出するSC1ノズル411、DIW(純水)の液滴と窒素ガスとを含む二流体を吐出するASノズル412、DHF(希フッ酸)を吐出するDHFノズル413、純水(DIW)を吐出する第1DIWノズル414、暖められたIPA(イソプロピルアルコール)を吐出するIPAノズル415、窒素ガスを鉛直方向下方に向けて吐出する第1窒素ガスノズル416、窒素ガスを斜め下方に向けて吐出する第2窒素ガスノズル417、SC2液を吐出するSC2ノズル418、及び純水(DIW)を吐出する第2DIWノズル419が含まれる。
ASノズル412は、窒素ガスの流れにDIWを合流させることによりDIWをミスト化させ、このミスト化したDIWと窒素ガスとを含む二流体を吐出する。ASノズル412に窒素ガスを供給しないでDIWのみを供給することにより、ASノズル412からミスト化されていないDIWのみを吐出させることができる。IPAノズル415は、DIWと相溶性があり、DIWより揮発性が高く、かつ、DIWより表面張力の低いDIW以外の溶剤を吐出することもできる。
SC1ノズル411及びASノズル412は第1ノズルアーム421に保持されている。DHFノズル413、第1DIWノズル414及びIPAノズル415は、第2ノズルアーム422に保持されている。第1窒素ガスノズル416及び第2窒素ガスノズル417は第3ノズルアーム423に保持されている。第1〜第3ノズルアーム421、422、423は、各々に設けられたアーム駆動機構431、432、433によって、鉛直軸線周りに旋回することができ、かつ、鉛直方向に昇降することができる。各アーム駆動機構431、432、433は、例えば上記旋回機能を実現するための旋回駆動機構として回転モータ(図示せず)を備え、また上記昇降機能を実現するための昇降機構としてエアシリンダ(図示せず)を備えることができる。
アーム駆動機構431が第1ノズルアーム421を旋回させることにより、SC1ノズル411及びASノズル412を、回収カップ50外方の待機場所441、及びウエハWの中心部Wcの真上の位置を含む旋回軌道上の任意の場所に配置することができる(図3の矢印M1を参照)。アーム駆動機構432が第2ノズルアーム422を旋回させることにより、DHFノズル413、第1DIWノズル414及びIPAノズル415を、回収カップ50外方の待機場所442、及びウエハWの中心部Wcの真上の位置を含む旋回軌道上の任意の場所に配置することができる(図3の矢印M2を参照)。アーム駆動機構433が第3ノズルアーム423を旋回させることにより、第1窒素ガスノズル416及び第2窒素ガスノズル417を、回収カップ50外方のホーム待機場所443、及びウエハWの中心部Wcの真上の位置を含む旋回軌道上の任意の場所に配置することができる(図3の矢印M3を参照)。
アーム駆動機構431に設けられた昇降機構(図示省略)により、各ノズルアーム(421、422、423)を低位置と高位置との間で移動させることができる。これに伴い、該当するノズルアームに担持されたノズルを、ウエハWに近接した近接位置と、近接位置よりもウエハWから離れた離間位置との間で移動させることができる。
ただし、SC2ノズル418及び第2DIWノズル419は不動の固定ノズルであり、床板96の上に配置されている。SC2ノズル418及び第2DIWノズル419は、予め定められた流量で液を吐出し、これらのノズル418、419から吐出された液が放物線を描いて飛んでウエハWの中心部Wcに落ちるように設置されている。後述のミストガード80(特に外周筒部81)には通液開口(図示省略)が形成され、SC2ノズル418及び第2DIWノズル419から吐出された液はこの通液開口を通ってウエハW上に着地する。
なお、図2に示すように、支柱部32の内部において円筒体450が上下方向に延びている。円筒体450は、支柱部32が回転しても回転しないように設置されている。円筒体450の内部には、1つまたは複数の処理流体供給路451(図2では1つだけ示す)が上下方向に延びている。処理流体供給路451の上端開口が処理流体を供給するための下面ノズル452を形成する。この下面ノズル452からは、ウエハWの裏面(下面)に、例えば、リンス液またはパージ液としてのDIWや、乾燥ガスまたはパージガスとしての窒素ガスを供給することができる。以下の説明においては、この下面ノズル452についての言及はしない。
各ノズル(411〜419、452)には、対応する処理流体供給源(例えばSC1、DHF等を貯留する薬液供給タンク、或いは工場用として提供される純水、窒素ガス等の供給元等(図示せず))から、対応する処理流体供給機構(図示せず)を介して、上記の処理流体のいずれかが供給される。処理流体供給機構は、各ノズル(411〜419、422)と対応する処理流体供給源とを接続する供給ライン、この供給ラインに介設された開閉弁、及び流量制御弁等の流量制御機器等を有する。
処理液ノズル(SC1ノズル411、ASノズル412、DHFノズル413、第1DIWノズル414、SC2ノズル418、第2DIWノズル419等)から回転するウエハWに供給された処理液は、ウエハWの表面に衝突することによって(2つ以上のノズルから同時に液がウエハW表面に供給された場合には液同士の衝突によっても)、或いは、ウエハWから遠心力により振り切られることによって、微小な液滴となって飛散する。この飛散した液滴は、チャンバ20の内壁面及びチャンバ20内の装置構成部品に付着しうる。飛散した処理液がチャンバ20の内壁面に到達することを防止するか、少なくとも大幅に抑制するために、回収カップ50の外側にはミストガード80が設けられている。
次に、ミストガード80の構成を説明する。
図2に示すように、ミストガード80は、外周筒部81と、この外周筒部81の上端部から外周筒部81の(半径方向)内側に向かって延びて排気カップ51の上方に張り出す張出部82と、を有する。張出部82の先端部の下面には、下方に向けて突出する突起83が設けられている。
ミストガード80は、排気カップ51よりも上方において昇降可能に設けられ、下方位置(すなわち図2において実線で示す低位置)と、当該下方位置よりも排気カップ51から上方に離れている上方位置(すなわち高位置又は中間位置)とに配置することができる。すなわちミストガード80は、昇降機構84(図3を参照)により昇降させられて、3つの異なる高さ位置(高位置(図2では一点鎖線で示す)、低位置(図2では実線で示す)及び中間位置(図2では二点鎖線で示す))に配置できる。昇降機構84は、図3に概略的に示すように、例えばエアシリンダ84aにより構成される。ミストガード80は、外周筒部81から外側に張り出すフランジ部85を有し、フランジ部85には、その下方にあるエアシリンダ84aのロッド84bが接続され、ロッド84bの進退に伴ってミストガード80が昇降する。昇降機構84は、回転モータにより駆動される直動機構、或いはリニアモータにより構成されてもよく、そのような場合、ミストガード80を任意の高さ位置に配置することができる。
ミストガード80は、高位置にあるときに、ノズル(SC1ノズル411、ASノズル412、DHFノズル413、第1DIWノズル414、SC2ノズル418、第2DIWノズル419等)からウエハWに供給され当該ウエハWから飛散する処理液がチャンバ20の内壁に到達することを、最も効果的に防止できる。ミストガード80の高位置の望ましい高さは、ウエハW回転数及びウエハW表面上への処理液供給条件(流量等)により異なるので、それら条件に応じて高位置の高さを決定することが好ましい。一例として、高位置にあるミストガード80の最上部の高さは、ウエハWの表面の高さより60mm高い。ミストガード80が高位置に位置しているときには、近接位置にあるノズル(ノズル411〜417のいずれかに対応する)の吐出口がミストガード80の張出部82の内周端よりも低い位置に位置し、かつ、当該ノズルに対応するノズルアーム(第1ノズルアーム421、第2ノズルアーム422及び第3ノズルアーム423のいずれかに対応する)は張出部82より上方に位置する。
低位置は、ミストガード80がとりうる下限位置である。低位置に配置されたミストガード80の張出部82の突起83は、排気カップ51の張出部512の上面516に接する。つまり、ミストガード80と排気カップ51との間の空間が、ウエハW近傍のウエハWの上方空間から隔離される。また、ミストガード80は、低位置に位置している間は、ウエハWの上方空間からチャンバ20の周縁部にある排気口(すなわちスリット状開口97)に向かうガスの流れを妨げない。
中間位置は、前述した高位置と低位置との間の中間の高さにある。ミストガード80が中間位置に位置しているときには、ミストガード80の張出部82が排気カップ51の張出部512から上方に離れる。このように中間位置に配置されたミストガード80は、高位置に配置されたミストガード80よりも処理液飛散防止能力は劣るものの、ウエハWから飛散する処理液がチャンバ20の内壁に到達することをある程度抑制することができる。また、ミストガード80が中間位置に位置しているときには、前述した離間位置にあるノズルの吐出口がミストガード80の張出部82の内周端よりも高い位置に位置し、ノズルは、ミストガード80と干渉することなく、ミストガード80の上方を越えて、ウエハWの面内の上方の位置と上述した待機位置との間を自在に移動することができる。
各アーム駆動機構(431、432、433)は昇降機構を含む。ミストガード80を中間位置に配置した状態でノズルアーム(421、422、423)を高位置に上昇させることによって、対応するノズルがミストガード80の上方を、十分なクリアランスをもって通過できる。
図2に示すように、排気カップ51の外周筒部511の外側には、ミストガード80の外周筒部81を収容する円筒状のガードポケット90が設けられている。ガードポケット90は、排気カップ51の外周筒部511の外周面と、外周筒部511に対面する円筒状の鉛直壁(縦壁)91と、底壁92とにより画定されている。底壁92には、円周方向に複数の排出口93が等間隔に形成されている。各排出口93には排出管94(排出ライン)が接続されている。ミストガード80の内面上を重力の影響によって下方に流れる液滴は、ガードポケット90内に落ち、排出管94及び排気管100を通って流れ、ミストトラップ101によって気液分離された後、液体成分としてドレン103から図示しない工場廃液系に排出される。
なお、高位置にあるミストガード80の外周筒部81の下端は、ガードポケット90の上端よりやや上方に位置する。これにより、ミストガード80の張出部82と排気カップ51の張出部512との間の空間内の雰囲気(ガス、ミストなど)が、スリット状開口97またはガードポケット90内にスムーズに流れ込むようになり、ウエハW上方の空間に薬液由来の雰囲気や高湿度雰囲気(ミストを含む)が滞留することを防止することができる。
チャンバ20内には、チャンバ20内の処理空間の下限を画定する床板96が設けられている。床板96は、ミストガード80の全周を囲み、ガードポケット90を構成する鉛直壁91から、概ね水平方向外側に向けてチャンバ20の側壁20aに至るまで延びている。床板96の一部は、チャンバ20の側壁20aの手前で終端しており、床板96の外側端96aとチャンバ20の側壁20aとの間にスリット状開口97が形成される。図3に示すチャンバ20は4つの側壁20aを有しており、そのうちの3つに沿ってそれぞれ1ずつスリット状開口97が設けられている。これらの3つのスリット状開口97は共通の1つの排気空間98に接続されている。残りの1つの側壁20aには、ウエハWをチャンバ20内に搬出入するためのシャッタ25付きの搬出入口24が設けられており、ここには、スリット状開口97は設けられていない。
床板96の下方には、チャンバ20内の空間(処理空間)の雰囲気を排気するための排気空間98が形成されている。排気空間98は、床板96、チャンバ20の側壁20a、底壁20b等の壁体、及び鉛直壁91により画定されている。床板96の上面は、平滑かつ平坦であり、チャンバ20の側壁20aに近づくに従って高さが低くなるように緩やかに傾斜している。チャンバ20内を洗浄したときに、スリット状開口97を介して洗浄液がスムーズに排気空間98に流れ込むようになっている。
排気空間98に面するチャンバ20の底壁20bには、排気口99が設けられている。排気口99には、排気管100(排気ライン)が接続されている。排気管100には、排出管94が合流している。合流点の下流側において、排気管100には、ミストトラップ101およびバタフライ弁またはダンパ等の流量制御弁102が介設されている。排気管100の下流端は、減圧雰囲気の工場排気系のダクト(図示せず)に接続されている。流量制御弁102の開度を調節することにより、排気空間98及びガードポケット90内の減圧の度合いを調整することができる。
[回収カップの洗浄]
次に、回収カップ50の洗浄について、以下の第1実施形態及び第2実施形態に基づいて説明する。
以下の各実施形態において、本発明の各要素は、以下のように構成されている。すなわち、洗浄液を吐出する液供給部は、第1ノズルアーム421に保持されているASノズル412と、第2ノズルアーム422に保持されている第1DIWノズル414と、を含む。また保持部31を囲む第1カップ体は排気カップ51によって構成され、排気カップ51の下方において保持部31を囲み、排気カップ51との間にスペースを形成する第2カップ体は、排液カップ本体521によって構成されている。なお、排気カップ51及び排液カップ本体521の各々は固定的に設けられているため、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースは一定の大きさを有する。
そして、ASノズル412及び第1DIWノズル414から吐出されるDIW(特にミスト化されていないDIW)が洗浄液として使用され、当該DIWが、回転する保持部31(特に第1回転カップ53)にDIWを供給し、当該保持部31(特に第1回転カップ53)を介して、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースに供給される。ここでいう保持部31にはベースプレート31aとともに回転する第1回転カップ53及び第2回転カップ54も含まれ、洗浄液として用いられるDIWは、第1回転カップ53及び/又は第2回転カップ54を介して、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースに供給される。
なお、下述の洗浄処理に関連する各デバイスは、図1に示す制御装置4によって制御される。制御装置4の制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラム及びデータに従って各デバイスを制御し、以下の各実施形態に係る洗浄処理を実行する。したがって記憶部19は、下述の洗浄処理に含まれる各手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一次的な記録媒体を構成する。
[第1実施形態]
図4は、第1実施形態に係る洗浄方法を説明するための図であって、回収カップ50及び保持部31の断面状態の概略を示す拡大斜視図である。なお図4には、ASノズル412が代表的に示されているが、第1DIWノズル414もASノズル412と同様に配置され、ASノズル412と同様にDIWを吐出する。
保持部31の一部を構成する円環状の第1回転カップ53の上面は、第1傾斜面56及び第2傾斜面57を有する。第1傾斜面56は、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSの開口部に対向する位置に配置される。第2傾斜面57は、第1傾斜面56よりも下方において、第1傾斜面56に隣接して設けられる。第1傾斜面56及び第2傾斜面57は相互に異なる傾斜角を有し、第2傾斜面57の傾斜角の方が第1傾斜面56の傾斜角よりも鉛直方向の傾斜角に近い。第1傾斜面56及び第2傾斜面57は、径方向外側に向かって徐々に下降しており、第1傾斜面56の方が第2傾斜面57よりもなだらかな傾斜を持つ。第1傾斜面56と第2傾斜面57との間の境界部分は、鉛直方向(すなわち図4の上下方向)に関し、排気カップ51と排液カップ本体521との間に位置する。
本実施形態のASノズル412及び第1DIWノズル414は、第1傾斜面56よりも上方から第1傾斜面56にDIWを付与し、そのDIWの少なくとも一部を、第1傾斜面56を介して排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSに供給する。
すなわちASノズル412及び第1DIWノズル414の各々は、排気カップ51と第1回転カップ53との間に形成される隙間の直上に配置され、当該隙間に向けてDIWを吐出する。第1傾斜面56の一部は当該隙間に対面しており、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々から吐出されたDIWの一部又は全部は、当該隙間を通過して第1傾斜面56に着地する。一方、第1回転カップ53を含む保持部31は駆動部33によって回転させられているため、上述のようにしてASノズル412及び第1DIWノズル414の各々から吐出されたDIWは、回転する第1傾斜面56上に着地する。
なお排気カップ51は、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々から吐出されたDIWの断面に対応する大きさを持つ切欠部を有していてもよい。この場合、当該切欠部を通過するようにASノズル412及び第1DIWノズル414の各々からDIWを吐出させることで、DIWを効率良く第1傾斜面56に付与することができる。
第1傾斜面56に付与されたDIWは、第1傾斜面56の回転によってもたらされる遠心力の影響を受け、径方向外側に向けて飛散する。このようにして飛散したDIWは、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSに供給され、排気カップ51及び排液カップ本体521の表面に付着した処理液成分Cを洗い流す洗浄液として働く。
なお、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々が上述のようにしてDIWを吐出している間、ミストガード80は、高位置(図2の一点鎖線参照)又は中間位置(図2では二点鎖線参照)に配置される。ミストガード80を上方位置に配置することで、ASノズル412及び第1DIWノズル414は、排気カップ51及び保持部31(特に第1回転カップ53)よりも上方から、DIWを吐出する。これにより、排気カップ51又は保持部31(特に第1回転カップ53)に衝突して飛散したDIWの一部を、ミストガード80に付着させることができる。このようにしてミストガード80に付着したDIWは、ミストガード80に付着した処理液の成分を洗い流す洗浄液として働く。
なお、ミストガード80に付着させるDIWを増大させる観点からは、排気カップ51又は保持部31に近い位置にミストガード80を配置することが好ましい。したがって、高位置よりも中間位置にミストガード80を配置した方が、より効果的に、ミストガード80に付着した処理液の成分を洗い流すことができることを期待できる。また、上述の低位置と中間位置との間若しくは中間位置と高位置との間の中途位置にミストガード80を配置することができる場合には、そのような中途位置にミストガード80が配置されてもよい。このように、排気カップ51又は保持部31(特に第1回転カップ53)に衝突して飛散したDIWの一部が、ミストガード80のうち排気カップ51と向かい合う下面に付着することが可能な任意の高さ位置にミストガード80を配置した状態で、上述のようにしてASノズル412及び第1DIWノズル414の各々からDIWが吐出される。
また、ミストガード80に付着させるDIWを増大させる観点からは、ASノズル412及び第1DIWノズル414から吐出されるDIWの一部を、第1回転カップ53の上面及び排気カップ51の上面516に衝突させることが好ましい。すなわち、第1回転カップ53及び排気カップ51のうち、第1回転カップ53及び排気カップ51よりも上方且つミストガード80よりも下方の空間に露出する面に、DIWを積極的に衝突させて飛散させることで、ミストガード80の内面にDIWの液滴を効果的に付着させることができる。
このように、本実施形態に係る処理ユニット16及び洗浄方法によれば、排気カップ51と排液カップ本体521の間のスペースSにおける処理液成分Cだけではなく、ミストガード80に付着した処理液成分も洗い流すこともできる。
なお、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々は、ミスト状(液滴状を含む)のDIWを洗浄液として吐出してもよい。これにより、ミストガード80に対してDIWを効率良く付着させることができる。なお、この場合、ASノズル412及び第1DIWノズル414の両方からミスト状のDIWを吐出させてもよい。また、ASノズル412及び第1DIWノズル414のうちの一方から連続的に流れる液状のDIWを吐出させつつ、他方からミスト状のDIWを吐出させてもよい。これにより、スペースSを形成する排気カップ51及び排液カップ本体521を液状のDIWによって効果的に洗浄しつつ、ミストガード80をミスト状のDIWによって効果的に洗浄することができる。
また上述の実施形態では、スペースSを形成する排気カップ51及び排液カップ本体521の洗浄とミストガード80の洗浄とを同時に行っているが、先ず一方の洗浄を行い、その後、他方の洗浄を行ってもよい。例えば、まず図5Aに示すように、排気カップ51と第1回転カップ53との間に形成される隙間の直上にASノズル412及び第1DIWノズル414を配置し、当該隙間に向けてASノズル412及び第1DIWノズル414からDIWを吐出し、第1傾斜面56に対してDIWを積極的に付与する。これにより、スペースSを形成する排気カップ51及び排液カップ本体521の洗浄が行われる。その後、図5Bに示すように、ASノズル412及び第1DIWノズル414の位置を変えて第1回転カップ53の天面の直上にASノズル412及び第1DIWノズル414を配置し、当該天面に向けてASノズル412及び第1DIWノズル414からDIWを吐出する。これにより、第1回転カップ53の天面にDIWを積極的に衝突させて、DIWの飛沫をミストガード80に向けて飛散させ、ミストガード80の洗浄が行われる。
図6は、洗浄処理におけるASノズル412及び第1DIWノズル414の配置(第1位置)を概略的に示す平面図である。図7は、洗浄処理におけるASノズル412及び第1DIWノズル414の配置(第2位置)を概略的に示す平面図である。
本実施形態のASノズル412及び第1DIWノズル414は、保持部31(特に第1回転カップ53の第1傾斜面56)の複数箇所を介し、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIWを供給する。すなわち、ASノズル412及び第1DIWノズル414は、それぞれ、回転する第1回転カップ53の第1傾斜面56のうちの異なる位置(特に保持部31の回転方向に関して異なる位置)に向けてDIWを吐出する。第1回転カップ53の第1傾斜面56の全周にわたって満遍なくDIWを付与する観点からは、ウエハWの中心部Wcを介して相互に対向する位置(すなわち中心部Wcを基準として180度の中心角を形成する位置)に向けて、ASノズル412及び第1DIWノズル414からDIWを吐出することが好ましい。このように保持部31の複数箇所を介してDIWを供給することによって、より確実に、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSの全体にDIWを行き渡らせることができる。
また本実施形態の洗浄方法は、正方向CWに回転する保持部31(特に第1回転カップ53)を介して排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIWを供給する工程と、逆方向CCWに回転する保持部31(特に第1回転カップ53)を介して排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIWを供給する工程と、を含む。
制御部18(図1参照)は、駆動部33(図2参照)及び液供給部の一部を構成する上述の処理流体供給機構(図示せず)を制御する。当該制御下で、まず、保持部31を正方向CWに回転させつつ排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIWが供給され、その後、保持部31を逆方向CCWに回転させつつ排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIWが供給される。
具体的には、まず、ASノズル412及び第1DIWノズル414を図6に示す第1位置に配置し、保持部31を正方向CWに回転させつつASノズル412及び第1DIWノズル414から同時にDIWを吐出させる(第1洗浄工程)。この第1洗浄工程を所定時間行った後、ASノズル412及び第1DIWノズル414を図6に示す第1位置に配置し続けた状態で、保持部31を逆方向CCWに回転させつつASノズル412及び第1DIWノズル414から同時にDIWを吐出させる(第2洗浄工程)。この第2洗浄工程を所定時間行った後、ASノズル412及び第1DIWノズル414を図7に示す第2位置に配置し、保持部31を正方向CWに回転させつつASノズル412及び第1DIWノズル414から同時にDIWを吐出させる(第3洗浄工程)。この第3洗浄工程を所定時間行った後、ASノズル412及び第1DIWノズル414を図7に示す第2位置に配置し続けた状態で、保持部31を逆方向CCWに回転させつつASノズル412及び第1DIWノズル414から同時にDIWを吐出させる(第4洗浄工程)。
上述の第1洗浄工程〜第4洗浄工程を連続的に行うことによって、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSの全体にDIWを行き渡らせて、排気カップ51及び排液カップ本体521に付着した処理液成分Cを効果的に洗い流すことができる。なお、上述の第1洗浄工程〜第4洗浄工程を実施する順番は特に限定されず、第1洗浄工程〜第4洗浄工程のいずれかが省略されてもよく、第1洗浄工程〜第4洗浄工程以外の洗浄工程が行われてもよく、第1洗浄工程〜第4洗浄工程のうちの1以上の工程が繰り返し行われてもよい。例えば、上述の第1洗浄工程、第2洗浄工程、第4洗浄工程及び第3洗浄工程の順に洗浄処理を行う場合、第2洗浄工程及び第4洗浄工程における保持部31の回転方向が同じであるため、ASノズル412及び第1DIWノズル414の配置を変えるだけで、第2洗浄工程及び第4洗浄工程を連続的にスムーズに実施することができる。
本件発明者は、本実施形態に係る処理ユニット16及び洗浄方法の洗浄性能を確認するための実験を行った。すなわち、上述の処理液としてクエン酸を使用し、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにクエン酸の固化成分を堆積させた回収カップ50(すなわち処理ユニット16)を準備した。そして、上述の第1洗浄工程〜第4洗浄工程を順次実施し、洗浄後の排気カップ51及び排液カップ本体521の表面におけるクエン酸の固化成分の残存の有無を目視により確認した。具体的には、保持部31を1500rpmで回転させつつ、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々から1.0/minの流量でDIWを吐出させ、各洗浄工程を20sec(秒)行って、全体で80secにわたって上述の洗浄処理を行った。その結果、排気カップ51及び排液カップ本体521の表面におけるクエン酸の固化成分の残存は認められず、洗浄が適切に行われたことを確認できた。
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と共通の要素には同一の符合を付し、その詳細な説明を省略する。また本実施形態において、上述の第1実施形態と共通の作用及び効果についても、その詳細な説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係る洗浄方法を説明するための図であって、回収カップ50及び保持部31の断面状態の概略を示す拡大斜視図である。図9は、排液カップ本体521の側面部60の一部を示す概略図である。
本実施形態のASノズル412及び第1DIWノズル414も、保持部31(特に第1回転カップ53)を介して、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIW(すなわち洗浄液)を供給するが、本実施形態では当該スペースSよりも下方から当該スペースSにDIWが供給される。このDIWの具体的な経路については後述するが、図8に示す矢印は、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々から吐出されたDIWの進行ルートを示す。
排液カップ本体521は、保持部31(特に第1回転カップ53の第2傾斜面57)と対向するようにして配置された側面部60を有する。側面部60と第1回転カップ53(特に第2傾斜面57)との間には隙間が形成され、当該隙間は、排気カップ51と第1回転カップ53(特に第1傾斜面56)との間に形成される隙間と、第1可動カップ要素522及び第2可動カップ要素523と保持部31(特にベースプレート31a)との間に形成される隙間と、に連通する。
排液カップ本体521の側面部60には、図9に示すように複数の溝部61が形成されている。複数の溝部61は、上下方向に延在するが、鉛直方向(すなわち図8及び図9の上下方向)とは異なる方向に方向付けられており、回転する保持部31から飛散して側面部60に付着したDIWを、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSに向けて誘導する。
本実施形態では、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIWを供給する際、保持部31は逆方向CCW(図6及び図7参照)に回転する。したがって、本実施形態の複数の溝部61は、図9に示すように、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIW(すなわち洗浄液)を供給する際の保持部31の回転方向(すなわち逆方向CCW)に関し、上方向を向くように方向付けられている。なお、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIWを供給する際に保持部31を正方向CWに回転させる場合には、各溝部61は図9に示す方向とは逆方向(すなわち図9の紙面の右斜め上方向及び左斜め下方向)に方向付けられ、正方向CWに関して上方向を向くように方向付けられる。
他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
本実施形態では、ダミーのウエハWdがセットされた状態で保持部31が回転されつつ、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々からダミーのウエハWd上にDIWが吐出される。ダミーのウエハWd上に吐出されたDIWは、ダミーのウエハWdの回転による遠心力の影響を受けて第1回転カップ53及び第2回転カップ54に向かって飛散し、第1回転カップ53及び第2回転カップ54によって、第1回転カップ53及び第2回転カップ54の各々とベースプレート31aとの間に形成される隙間に誘導される。DIWは、その後、遠心力の影響を受けて保持部31から外方に飛散して第2可動カップ要素523に衝突し、当該衝突によって様々な方向に飛散する。このようにして飛散したDIWの一部は、排液カップ本体521の側面部60に形成された溝部61によって、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSに誘導される。このようにして排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIWが供給され、当該スペースSに堆積した処理液成分CがDIWによって洗い流される。
なお本実施形態においても、上述の第1実施形態(図6及び図7参照)と同様に、ASノズル412及び第1DIWノズル414は、保持部31(特に第1回転カップ53)の複数箇所を介し、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIWを供給する。すなわち、ASノズル412及び第1DIWノズル414は、それぞれ、回転するダミーのウエハWdの異なる位置(特に保持部31の回転方向に関して異なる位置)に向けてDIWを吐出する。これにより、ASノズル412から吐出されたDIW及び第1DIWノズル414から吐出されたDIWは、それぞれ第1回転カップ53及び第2回転カップ54の異なる箇所に付着し、その後、第2可動カップ要素523の異なる箇所に衝突する。このように保持部31の複数箇所を介してDIWを供給することで、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSの全体に、効果的にDIWを行き渡らせることができる。
またASノズル412及び第1DIWノズル414の各々は、洗浄処理が行われている間に、異なる位置(図6及び図7に示す第1位置及び第2位置参照)でDIWを吐出してもよい。
ただし本実施形態の洗浄方法は、逆方向CCWに回転する保持部31を介して排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIWを供給する工程のみを含み、正方向CWに回転する保持部31を介して排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにDIWを供給する工程は含まない。すなわち制御部18(図1参照)は、駆動部33(図2参照)及び上述の処理流体供給機構(図示せず)を制御し、保持部31を逆方向CCWに回転させつつ、ASノズル412及び第1DIWノズル414からDIWを吐出させ、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSにDIWを供給する。
これにより、排液カップ本体521の側面部60に形成された溝部61によって、DIWを、排気カップ51と排液カップ本体521との間に形成されるスペースSに効果的に誘導して、排気カップ51及び排液カップ本体521に付着した処理液成分CをDIWによって適切に洗い流すことができる。また、洗浄液としてのDIWが側面部60にも付着するため、側面部60も併せて洗浄される。
本件発明者は、本実施形態に係る処理ユニット16及び洗浄方法の洗浄性能を確認するための実験を行った。すなわち、上述の処理液としてクエン酸を使用し、排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSにクエン酸の固化成分を堆積させた回収カップ50(すなわち処理ユニット16)を準備した。そして、上述の洗浄方法を実施し、洗浄後の排気カップ51及び排液カップ本体521の表面におけるクエン酸の固化成分の残存の有無を目視により確認した。具体的には、保持部31を2000rpmで回転させつつ、ASノズル412及び第1DIWノズル414の各々から2.0/minの流量でDIWを吐出させ、180secにわたって上述の洗浄処理を行った。その結果、排気カップ51及び排液カップ本体521の表面におけるクエン酸の固化成分の残存は認められず、洗浄が適切に行われたことを確認できた。
[他の実施形態]
なお、本発明は上述の実施形態には限定されない。
上述の第1の実施形態及び第2実施形態は組み合わされてもよい。例えば、ASノズル412及び第1DIWノズル414の一方を使って第1実施形態のように第1傾斜面56を介して上方から上述のスペースSにDIW(すなわち洗浄液)を供給しつつ、他方を使って第2実施形態のようにダミーのウエハWdを介して下方から上述のスペースSにDIWを供給してもよい。また、ASノズル412及び第1DIWノズル414以外の追加ノズルから上述のスペースSにDIWを供給してもよい。この場合、第1実施形態に基づくDIWの供給手法が、ASノズル412、第1DIWノズル414及び追加ノズルのうちのいずれか1以上のノズルが使われて行われ、第2実施形態に基づくDIWの供給手法が、他のノズルが使われて行われてもよい。
また、上述の各実施形態では排気カップ51と排液カップ本体521との間のスペースSを洗浄対象としているが、他のカップ体間のスペースに対して上述の各洗浄手法を適用し、そのような他のカップ体の表面に付着している処理液成分を洗い流してもよい。したがって、排液流路を形成するスペース(例えば、排液カップ本体521と第1可動カップ要素522との間のスペース、第1可動カップ要素522と第2可動カップ要素523との間のスペース、或いは第2可動カップ要素523と内周部521dとの間のスペース)に対し、上述の各洗浄手法が適用されてもよい。
また、上述の各実施形態では、処理対象の基板は半導体ウエハであったが、これに限定されるものではなく、他の基板(例えば液晶ディスプレイ用のガラス基板、セラミック基板等)であってもよい。