JP2018118249A - 中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着剤の硬化発熱による膜、筐体等の強度低下、熱変形という問題を、特許文献2のように仕切り板等の別部材を用いずに解決できる中空糸膜モジュールを提供すること。【解決手段】本発明は、筒状ケースと、前記筒状ケース内に収容された複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、前記複数の中空糸膜を結束する少なくとも一つの結束部とを備え、前記結束部が接着剤を含有し、前記接着剤は、ガラス転移温度が80℃以上160℃未満である中空糸膜モジュールに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、水処理分野、発酵工業分野、医薬・医療分野、食品工業分野などで使用する中空糸膜モジュールに関し、さらに詳しくは耐熱性が高い結束部を有する中空糸膜モジュールに関する。また、本発明は、該中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
特許文献1に見られるように、一般に中空糸膜モジュールは、およそ数百〜数万本の中空糸膜が束ねられた中空糸膜束を筒状ケース内に収容し、該中空糸膜束の少なくとも一方の端部を結束し、筒状ケース内に収容した構成になっている。
ここで、結束された中空糸膜は少なくとも一方の端部で開口しており、中空部がろ過液または被ろ過液の流路となる。ここで、結束部は膜を束ねると共に、ろ過液と被ろ過液を隔絶する機能を有している。この結束部は、接着剤を用いて成形されることが多く、中でもウレタン樹脂またはエポキシ樹脂が広く用いられている。
特許文献2には、限外濾過膜モジュールあるいは精密濾過膜モジュールによる、浄水あるいは下水の除濁についての適用検討が盛んに実施されていること;この様な分野では、膜モジュールの大型化による処理コストのコストダウンが必要と考えられていること;膜モジュールの大型化には、いくつかの問題があり、その1つに、ケースが耐熱性の低い材質の場合には、ケースの変形を生じるという問題が発生すること;および、この変形という問題は、使用する接着剤の量が2次曲線的に増加し、接着剤の硬化発熱も比例して高くなるためと考えられることなどが記載されている。
また、特許文献2には、大型モジュールでの接着剤の硬化発熱を抑える方法として、接着剤を少量ごとに分ける仕切板を設ける技術が開示されている。
国際公開第2010/014010号 日本国特開2000−185220号公報
しかし、特許文献2のように仕切板を使用すると、筒状ケース内に充填できる中空糸膜面積が減少し、中空糸膜モジュールのろ過能力が低下する。また、部材数が増えるために中空糸膜モジュールの製造コストが大きくなる。
本発明は、上記従来の実情を鑑みてなされたものであって、接着剤の硬化発熱による膜、筐体等の強度低下、熱変形という問題を、特許文献2のように仕切り板等の別部材を用いずに解決できる中空糸膜モジュールを提供することを課題とする。
本発明者らは、接着剤の特定範囲のガラス転移温度および式1で示されるMcと、中空糸膜のビカット軟化温度VSTが式2を満たすように選定することで、中空糸膜モジュールの耐熱性を実現しつつ接着剤硬化時の発熱を抑制でき、上記課題を解決できるという新たな知見を得た。
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、以下の(1)〜(11)の技術を提供する。
(1)筒状ケースと、前記筒状ケース内に収容された複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、前記複数の中空糸膜を結束する少なくとも一つの結束部とを備え、前記結束部が接着剤を含有し、前記接着剤は、ガラス転移温度が80℃以上160℃未満で、かつ前記接着剤の式1で示されるMcと、前記中空糸膜の中空部が開口した状態で結束する前記結束部一つの重量Wと、前記中空糸膜のビカット軟化温度VSTとが、式2を満たす中空糸膜モジュール。
Mc=2(1+μ)ρRT/E (式1)
μ:ポアソン比、ρ:密度(g/m)、R:気体定数(J/K/mol)、
T:絶対温度(K)、E:貯蔵弾性率(Pa)
VST≧5.78×W/Mc+420 (式2)
VST:中空糸膜のビカット軟化温度(K)、W:中空部が開口した結束部一つの重量(g)
(2)前記接着剤が、前記式1で示されるMcが140以上1760未満である、(1)に記載の中空糸膜モジュール。
(3)前記結束部が、(a)エポキシ樹脂と、(b)アミン硬化剤とを含有する、(1)または(2)に記載の中空糸膜モジュール。
(4)前記結束部が、(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(b)脂環式アミンおよび芳香族アミンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤とを含有する、(1)から(3)のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
(5)前記結束部が、(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂と、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびビス(4−アミノフェニル)メタンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤とを含有する、(1)から(4)のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
(6)前記結束部が、前記(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基数を、前記硬化剤中の(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびビス(4−アミノフェニル)メタンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤のアミノ基数で除した値が6以上20未満となる前記(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する、(5)に記載の中空糸膜モジュール。
(7)前記結束部が、平均粒径40μm以下の粒子を、前記接着剤100gに対して沈降容積が150以上1000ml未満となるように含有する、(1)から(6)のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
(8)前記筒状ケースと前記結束部が、シール材によって液密に固定されている、(1)から(7)のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
(9)前記筒状ケース内に収容される第2筒状ケースを備え、前記第2筒状ケースと前記結束部がシール材によって液密に固定されている、(1)から(8)のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
(10)筒状ケースと、前記筒状ケース内に収容された複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、前記複数の中空糸膜を結束する少なくとも一つの結束部とを備える中空糸膜モジュールの製造方法であって、前記結束部が接着剤を含有し、前記接着剤のガラス転移温度が80℃以上160℃未満であり、かつ前記接着剤の式1で示されるMcと、前記中空糸膜の中空部が開口した状態で結束する前記結束部一つの重量Wと、前記中空糸膜のビカット軟化温度VSTとが、式2を満たすように前記接着剤および前記中空糸膜を選定する、中空糸膜モジュールの製造方法。
Mc=2(1+μ)ρRT/E (式1)
μ:ポアソン比、ρ:密度(g/m)、R:気体定数(J/K/mol)、
T:絶対温度(K)、E:貯蔵弾性率(Pa)
VST≧5.78×W/Mc+420 (式2)
VST:中空糸膜のビカット軟化温度(K)、W:中空部が開口した結束部一つの重量(g)
(11)前記接着剤として、前記式1で示されるMcが140以上1760未満である接着剤を選定する、請求項10に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
本発明の中空糸膜モジュールでは、結束部が含有する接着剤のガラス転移温度が80℃以上であることで、高温での殺菌、滅菌時に原水のリーク等が起きない耐熱性が実現できると共に、中空糸膜のビカット軟化温度VSTが式2を満たすことで、接着剤の硬化時の発熱による中空糸膜モジュールの損傷を抑制することができる。
また、接着剤のガラス転移温度が160℃未満であることで、さらに接着剤硬化時の発熱損傷を抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Aの概略断面図である。 図2は、本発明の第1実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Aの製造方法の一例を示すフローチャートである。 図3は、本発明の第1実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Aの製造方法の一例で使用される遠心ポッティング装置である。 図4は、本発明の第2実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Bの概略断面図である。 図5は、本発明の第3実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Cの第1端側の概略縦断面図である。
以下に、本発明の中空糸膜モジュール形態を図に基づいて詳細に説明する。
尚、本発明の中空糸膜モジュールにおいて、「上」、「下」は、図に示す状態に基づいており、便宜的なものであって、被ろ過液が流入する側を「下」方向、ろ過液が流出する側を「上」方向とする。
また、「下」から「上」に向かう方向を「高さ方向」と便宜的に表現する。通常、中空糸膜モジュールの使用時の姿勢において、上下方向は、図における上下方向と一致する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態にかかる中空糸膜モジュールの構成について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる外圧式中空糸膜モジュール100Aの概略縦断面図である。
<中空糸膜モジュール構造>
第1実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Aは、高さ方向における第1端と第2端とを有する筒状ケース1と、筒状ケース1内に収容され、第1端側の端部が開口し、第2端側の端部が閉塞している複数の中空糸膜2を有する中空糸膜束12と、中空糸膜2の第1端側の端部を結束する第1結束部3と、第2端側の端部を結束する第2結束部4と、を備えている。
筒状ケース1は、中空状の筒状ケース本体1と、該筒状ケース本体1の両端部に設けられた上部キャップ6と下部キャップ7とで構成されている。
図1に示したように、筒状ケース本体1の上部には、ろ過液出口8を有する上部キャップ6が、筒状ケース本体1の下部には、被ろ過液流入口9を有する下部キャップ7がそれぞれ、液密かつ気密に接続されている。上部キャップ6および下部キャップ7は、例えば図1に示したようにガスケット10を使用し、クランプ等で筒状ケース本体1に固定される。
筒状ケース本体1は、その上端および下端に筒状ケース本体1の全周に亘って鍔部1Aおよび鍔部1Bを有している。また、筒状ケース本体1の側部には、ろ過液出口8寄りに被ろ過液出口11が設けられている。
上部キャップ6は筒状ケース本体1の内径と略等しい内径を有し、その上端側が縮径してろ過液出口8を成形している。上部キャップ6の下端側には、筒状ケース本体1と接続したときに溝を成形するための段部6Aが上部キャップ6の全周に亘って成形されている。
下部キャップ7は筒状ケース本体1の内径と略等しい内径を有し、その下端側が縮径して被ろ過液流入口9を成形している。
さらに、中空糸膜モジュール100Aは、複数の中空糸膜2を含む中空糸膜束12と、中空糸膜束12の端部で中空糸膜2間を結束する結束部とを備える。結束部は、筒状ケース1のろ過液出口8側に配置される第1結束部3と、筒状ケース1の被ろ過液流入口9側に配置される第2結束部4とを有する。第2結束部4には、被ろ過液の流路となる孔5が設けられている。
さらに、中空糸膜モジュール100Aは、被ろ過液出口11と、筒状ケース1の径方向において並ぶように、筒状ケース1と中空糸膜束12との間に配置され、かつ側面に複数の整流孔14を有する第2筒状ケース15と、を備え、第2筒状ケース15を筒状ケース1の第1端側に固定している。
<中空糸膜>
本実施形態の中空糸膜モジュールは、分離膜として、中空糸膜2を備える。中空糸膜は一般的に平膜よりも比表面積が大きく、単位時間当たりにろ過できる液量が多いため有利である。中空糸膜の構造としては、全体的に孔径が一様な対称膜や、膜の厚み方向で孔径が変化する非対称膜、強度を保持するための支持層と対象物質の分離を行うための分離機能層を有する複合膜などが存在する。
中空糸膜の平均孔径は分離対象によって適宜選択すればよいが、細菌類や真菌類などの微生物や、動物細胞の分離などを目的とする場合、10nm以上、600nm以下であることが好ましい。平均孔径が10nm未満だと透水性が低くなり、600nmを超えると微生物等が漏洩する可能性がある。本発明での平均孔径とは、最も孔径の小さい緻密層の孔径とする。
中空糸膜の材質は特に限定されないが、中空糸膜は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体などのフッ素系樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリプロピレンなどの樹脂を含有することができる。
特に、フッ素系樹脂やポリスルホン系樹脂からなる中空糸膜は耐熱性、物理的強度、化学的耐久性が高いことから、蒸気滅菌や温水殺菌が必要な発酵工業分野、医薬品製造分野、食品工業分野、水処理分野などで中空糸膜モジュールに好適に用いることができる。
また、中空糸膜は、フッ素系樹脂やポリスルホン系樹脂に加えて、親水性樹脂をさらに含有してもよい。親水性樹脂によって、中空糸膜の親水性を高め、膜の透水性を向上させることができる。
親水性樹脂は、中空糸膜に親水性を付与することができる樹脂であればよく、具体的な化合物に限定されるものではないが、例えば、セルロースエステル、脂肪酸ビニルエステル、ビニルピロリドン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、及びポリアクリル酸エステル系樹脂などが好適に用いられる。
中空糸膜モジュールを作製する際は、中空糸膜は接着剤を用いて結束する。その場合、結束部成形用治具に中空糸膜を充填し、接着剤で固定するが、ハンドリングや接着の問題から予め中空糸膜を乾燥させておく。
しかし、中空糸膜の多くは乾燥により収縮が起こり、透水性が低下するという問題があるため、グリセリン水溶液に浸漬した後で乾燥させたものを用いる。グリセリン水溶液に浸漬した後で乾燥すると、グリセリンが細孔内に残留することで乾燥による収縮を防止することができ、その後エタノールなどの溶媒で浸漬処理を行うことで透水性を回復させることができる。
後述する第1結束部の、筒状ケースと垂直な方向の断面において、中空糸膜が占有する面積は30%以上90%未満であることが好ましい。
30%以上であると、装置体積当たりの膜面積が大きく、膜面積当たりの製造コストを低減できる。また、第1結束部を成形する際に、接着剤の硬化反応による発熱を中空糸膜によって放熱し、過剰な温度上昇を抑制することができる。
90%未満とすることで、中空糸膜モジュールを製造する際に、中空糸膜同士が押し合って潰れてしまうことを防ぐことができる。
中空糸膜モジュールは、蒸気滅菌や温水殺菌してから使用することも可能だが、中空糸膜の種類によっては蒸気滅菌および温水殺菌により収縮が起こるものがある。そのため、中空糸膜モジュール作製後に蒸気滅菌或いは温水殺菌を行うと中空糸膜の収縮により中空糸膜が損傷したり、中空糸膜が結束部から脱落したりする可能性がある。従って、予め中空糸膜を蒸気処理或いは温水で処理し、収縮させてから端部結束を行って中空糸膜モジュールを製作することが望ましい。
一般的に、蒸気滅菌は121℃以上で実施するため、121℃以上の蒸気で前処理を実施しておくことが望ましい。また、温水殺菌は80℃程度で実施することが一般的であるが、工程により温度を変えることがしばしばある。そのため、想定される使用温度以上の温水で予め中空糸膜を処理しておくことが望ましい。
また、中空糸膜束12は、中空糸膜モジュール100Aを作製する作業性や中空糸膜モジュール洗浄における中空糸膜2の洗浄性を鑑み、緩みを持つ状態で両端の結束部3または結束部4を介して筒状ケース1内に収容されている。
緩みがあるとは、第1結束部3の第2端側端面から第2結束部4第1端側端面までの直線距離よりも、該部分の中空糸膜2の長さの方が長い状態を指す。
<第1結束部>
筒状ケース1の第1端側には、中空糸膜モジュール100Aの上端側である第1結束部3が配置されている。第1結束部3は、多数本の中空糸膜2からなる中空糸膜束12を結束して構成される。ここで、中空糸膜2の中空部が封止されておらず、開口している状態となっており、開口部からろ過液を上部キャップ6側に取り出す。また、第1結束部3の外径は筒状ケース1の外径よりも小さい構成となっている。
結束部は、ガラス転移温度が80℃以上160℃未満の接着剤を含有する。ガラス転移温度の測定方法は種々あるが、例えば、示差走査熱量測定(DSC)を行えばよい。示差走査熱量測定機は市販されており、例えば、株式会社島津製作所製DSC−60 Plus等を用いることができる。
ガラス転移温度が80℃以上であることにより高温液体のろ過、温水殺菌、蒸気滅菌等の高温条件での使用が可能となる。また、ガラス転移温度が160℃未満であることにより、ポリマー製の中空糸膜を、硬化発熱によって劣化することなく大容量接着剤を硬化成形することができる。さらに、硬化収縮で働く応力を抑制し、結束部とケースを接着している場合には接着剥離を防止することができる。
結束部は、式1で示されるMcが140以上1760未満の接着剤を含有することが好ましい。Mcが140以上であることで、硬化発熱がさらに抑制されやすい。また、Mcが1760未満であることで、適したガラス転移温度範囲の接着剤を硬化成形することが可能となりやすい。
Mc=2(1+μ)ρRT/E (式1)
μ:ポアソン比、ρ:密度(g/m)、R:気体定数(J/K/mol)、
T:絶対温度(K)、E:貯蔵弾性率(Pa)
測定は、硬化した接着剤を用いる。実際に中空糸膜モジュールを製作した場合には、その結束部から切片を切り出して測定を行うことができる。ポアソン比は、JIS K 7161に準じて引張試験を行い、求めることができる。密度は、JIS K 0061に準じてピクノメーター法も用いて求めることができる。貯蔵弾性率は、JIS K 7244に準じて動的粘弾性試験を行い、求めることができる。いずれもガラス転移温度以上における測定値を用い、測定した温度を式1に代入して算出する。
架橋点間分子量Mcは、古典ゴム論(Flory,P.J.:Chem.Rev.35(1944),51)によって式1の通りに表される。この方法で見積もられる架橋点間分子量は、化学結合由来の架橋のみでなく、分子鎖の絡み合い等の物理架橋も含まれる。
中空糸膜および、筒状ケース等の中空糸膜モジュール部材は温水殺菌や蒸気滅菌等に耐えうる耐熱性を有する材質を使用することが好ましい。
耐熱性を有する材質の中で、金属やセラミックと比べて耐熱性が比較的低いポリマー製の材料を使用する場合には、接着剤の硬化中の温度は、中空糸膜のビカット軟化温度未満であることが好ましい。接着剤の硬化中の温度が中空糸膜のビカット軟化温度未満であれば、ポリマー製中空糸膜は強度、透水性、および分離性能を維持することができる。さらに好ましくは、接着剤の硬化中の温度が130℃未満であれば、中空糸膜モジュールまたは結束部の成形時に使用する治具等に、より広範な材料を使用することができる。
接着剤の硬化中の温度は、中空糸膜内に熱電対を設置する等して測定することができる。
また、中空糸膜の、ビカット軟化温度はJISK7206に則って測定することができる。ビカット軟化温度の測定機は市販されており、例えば、東洋精機製作所製3M−2型HDT試験装置等を用いることができる。中空糸膜のビカット軟化温度は、中空糸膜を製造する原材料、または中空糸膜自身の切片を溶融し、板状に成形して測定を行うとよい。
硬化中の接着剤は、結束部の中央付近ほど放熱が小さく、発熱温度が高くなるため、中空糸膜のビカット軟化温度は、中央付近において発熱温度よりも低いことが好ましい。
接着剤、特にエポキシ樹脂のガラス転移温度は、組成分子の選択により、高いもので250℃に達することが知られている。高いガラス転移温度を示す接着剤は高い耐熱性を有するが、その反面、硬化させるために高い温度を必要とする。また、高いガラス転移温度を有する接着剤は硬化時に大きな熱を生じ、特に数百グラム以上接着剤を硬化させる際には顕著である。
また、ポリマー製の中空糸膜は、セラミック製の中空糸膜等と比べて耐熱性に劣るが、安価に製造することができ、工業的に用いられ易い。ポリマー製中空糸膜において熱劣化が起こった場合、ろ過対象液が漏洩する等の問題が起こる。本発明者等は、鋭意検討の結果、中空糸膜モジュールにおいて熱劣化によるろ過対象液の漏洩等が起こる始動原理を明らかにすることができた。
ポリマー製中空糸膜は、材質によりその耐熱性が異なるが、特に開口部を有する結束部においては、機械的強度を保つために中空糸膜のビカット軟化温度が硬化発熱温度より高いことが重要である。そして、結束部の硬化発熱は、接着剤のMcおよびその重量と関係があることを見出し、所望の耐熱性を有する中空糸膜モジュールを製造するのに最適な中空糸膜の選定方法として、式2を導出した。
つまり、本発明により、所望の耐熱性を有する結束部を構成する接着剤はまず式1に従ってMcを算出し、さらに式2を指標として中空糸膜と結束部を構成する接着剤を選定する製造方法によって、耐熱性を有する中空糸膜モジュールを、膜の劣化等なく、収率よく得ることが可能となる。
VST≧5.78×W/Mc+420 (式2)
VST:中空糸膜のビカット軟化温度(K)、W:中空部が開口した結束部一つの重量(g)
また、特許文献2に見られるように、中空糸膜の熱劣化を起こす硬化発熱を抑制するために、エポキシ樹脂を少量ごとに分ける仕切板を設ける技術が開示されている。しかし、仕切板を使用した場合には筒状ケース内に充填できる中空糸膜面積が減少し、中空糸膜モジュールのろ過能力が低下する。また、部材数が増えるために中空糸膜モジュールの製造コストが大きくなる。
一般的に、80℃以上の高いガラス転移温度を有する接着剤を硬化させる方法として、架橋点を増やす方法、つまり本発明においてはMcを小さくする方法が挙げられる。しかし、Mcが140より小さいと、ガラス転移温度は高くなるが、一方で硬化発熱が大きくなり、中空糸膜等の中空糸膜モジュール部材の劣化に繋がりやすい。
また、Mcが140以上であることで、硬化時の発熱の抑制のみならず、十分な靭性を備えやすい。Mcが1760未満であることで、80℃以上のガラス転移温度を実現しやすくなる。
Mcは、より好ましくは200以上、さらに好ましくは250以上である。また、Mcは、より好ましくは1600未満、さらに好ましくは1500未満である。
Mcがこの範囲にあることで、接着剤の適切なガラス転移温度と、硬化発熱温度を実現しやすくなる。
中空糸膜モジュールの膜結束に好適に用いられる接着剤は、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂である。中でもエポキシ樹脂は、耐熱性が比較的耐熱性が高いことで好適に用いられる。
適切なガラス転移温度を有し、かつ硬化発熱を抑制するためには、Mcに加えて、主骨格の対称性および剛直さを制御することが好ましい。
結束部が、(a)エポキシ樹脂と、(b)アミン硬化剤とを含有し、それらを混合して硬化成形することで、接着剤の適したガラス転移温度と、硬化発熱の抑制を実現しやすい。
(a)エポキシ樹脂は、より好ましくは、(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂である。また、(b)アミン硬化剤は、より好ましくは、(b)脂環式アミンおよび芳香族アミンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤である。
(a)エポキシ樹脂は、さらに好ましくは、(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂(下記式(a))である。また、(b)アミン硬化剤は、さらに好ましくは、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(下記式(b1))およびビス(4−アミノフェニル)メタン(下記式(b2))の少なくとも一方を主骨格とする硬化剤である。
Figure 2018118249
上記式(a)中、nは0以上の整数であり、Xは水素原子又はメチル基である。
Figure 2018118249
Figure 2018118249
脂環式アミンとしては、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、m−キシリレンジアミン、キシリレンジアミン誘導体、キシリレンジアミン三量体、m−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合してもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は種々あるが、X=HのビスフェノールF型、またはX=CHのビスフェノールA型が、液状で取り扱い易く、好ましい。
(a)エポキシ樹脂中、(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂(上記式(a))は、60%以上含まれることが好ましい。
(b)アミン硬化剤中、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(上記式(b1))およびビス(4−アミノフェニル)メタン(上記式(b2))の少なくとも一方を主骨格とする硬化剤は、40%以上含まれることが好ましい。(b)アミン硬化剤中、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(上記式(b1))およびビス(4−アミノフェニル)メタン(上記式(b2))の少なくとも一方を主骨格としない硬化剤は、特に制限はないが、脂肪族アミンを用いることが好ましい。
(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂(上記式(a))中のエポキシ基数を、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(上記式(b1))およびビス(4−アミノフェニル)メタン(上記式(b2))の少なくとも一方を主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、6以上20未満であることが好ましい。より好ましくは、8以上13未満である。
鎖状脂肪族アミン等の他の硬化剤を併用した場合、(a)のエポキシ基数を(b)のアミノ基数で除して算出される値が大きくなり、硬化したエポキシ樹脂の繰り返し単位の対称性が低くなり、ポリマー鎖のパッキングが整然と起こりづらく、接着剤のガラス転移温度が低くなる。
また、活性水素当量の大きい硬化剤を添加した場合等には、(a)のエポキシ基数を(b)のアミノ基数で除して算出される値が小さくなり、この場合には添加した硬化剤により可塑化され、接着剤のガラス転移温度は低くなる。
(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂(上記式(a))と、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(上記式(b1))およびビス(4−アミノフェニル)メタン(上記式(b2))の少なくとも一方の主骨格は、何れも炭素の六員環を対称性よく有しており、この組み合わせで硬化したエポキシ樹脂はポリマー鎖の繰り返し単位のパッキングが整然と起こり易い。
また、(a)エポキシ樹脂は芳香環、(b)アミン硬化剤は脂肪族六員環および芳香環の少なくとも一方を有しているために、鎖状脂肪族と比べて剛直である。さらに、エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂(上記式(a))は、エポキシ当量が比較的低いために、同じ主骨格を使用するエポキシ樹脂の中では架橋点数が多くなる。これらにより、80℃以上の高いガラス転移温度を有し、Mcが70以上の接着剤を得ることができる。
一方、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(上記式(b1))およびビス(4−アミノフェニル)メタン(上記式(b2))の少なくとも一方を主骨格とする硬化剤は、他のアミン系硬化剤と比べて活性水素当量が大きく、従って架橋点間分子量が大きくなる。これにより、ガラス転移温度が160℃未満で、かつMcが1760未満の接着剤を得やすい。
このように、架橋点間分子量のみならず、主骨格の対称性および剛直さを制御することで、80℃以上160℃未満の適正なガラス転移温度およびMcが140以上1760未満の接着剤を得ることができ、これにより接着剤の硬化発熱を抑制しやすくなる。
結束部の主成分が(a)エポキシ樹脂の場合、結束部は、(a)エポキシ樹脂及び(b)アミン硬化剤以外の他の成分を含んでいてもよい。
例えば、接着剤の硬化反応時間を制御するための3級アミン類、またはイミダゾール等の硬化促進剤、反応性希釈剤、フィラー等を添加してもよい。
また、接着剤の硬化成形時の中空糸膜間への流動性や、混合時の取扱い性を鑑みて粘度を調整することがあり、フィラー、界面活性剤、シランカップリング剤等を添加してもよい。
硬化成形した接着剤の靭性向上が課題となる場合には、ゴム成分やゴム粒子を添加することが多い。中でも、コアシェル型ゴム粒子は、耐熱性を損なうことなく靭性を向上することができるため効果的である。
シリカ、タルク、ゼオライト、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のフィラーは硬化発熱の抑制、強度向上、増粘等の様々な目的で添加されることがある。しかし、多量に添加することによって粘度が上昇し、取扱い性が低下することがあり、好ましくない。
中空糸膜の外側から中空部側へ、細孔内を接着剤が透過して中空部が閉塞される、接着剤の過浸透が起こる場合がある。過浸透が第1結束部で発生すると、ろ過液の流路がなくなり、ろ過できない。
この過浸透を抑制するためには、前記結束部が、平均粒径40μm以下の粒子を、接着剤100gに対して沈降容積が150ml以上1000ml未満となるように含有するとよい。
より好ましくは、前記結束部が、平均粒径20μm以下の粒子を、接着剤100gに対して沈降容積が200ml以上500ml未満となるように含有するとよい。
平均粒径はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を使って測定することができる。例えば、株式会社堀場製作所製Partica mini LA−350等の市販品を用いればよい。
沈降容積は、空のメスシリンダー中に粒子を入れ、静置した際の粒子容積として求めることができる。沈降容積が150ml未満の場合、接着剤の過浸透を完全に防ぐことが難しい。
また、沈降容積が1000ml以上の場合、粒子を添加した接着剤の粘度が高く、中空糸膜間への流動性や混合時の取扱い性が損なわれる。
添加する粒子の材質は、大きさ、沈降容積を満たせば構わないが、粘度制御がシランカップリング剤等の他成分で調整しやすいことから、シリカが好適に用いられる。
また、添加する粒子は、例えば、(a)エポキシ樹脂、および(b)アミン硬化剤の何れかに、(a)エポキシ樹脂と(b)アミン硬化剤の混合による硬化の前に予め分散させておくとよい。通常、(a)エポキシ樹脂と(b)アミン硬化剤の内、粘度が高い方に粒子を添加しておくことで、長期間保管しても粒子が液体中で沈降しづらい。シランカップリング剤を添加して粘度を調整する場合には、粒子と同じ液体中に予め添加しておくことが好ましい。
このように得られた接着剤は、中空糸膜モジュールを使用するプロセスで汎用に用いられる膜洗浄用の薬品、具体的には、塩酸、硫酸などの無機酸や、酢酸、クエン酸、乳酸等の有機酸、および次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ、さらに亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤に対する化学的耐久性も高い。そのため、食品、バイオ、医薬等の分野においてこの中空糸膜モジュールを使用した際も、溶出物の懸念等は少ない。
第1結束部は、通常円柱に近い形状で成形されるが、直方体或いは立方体に近い形状であってもよい。円柱に近い形状の場合、ケースを筒状としやすく、原水等を移液する配管との接続が容易であるため好ましい。円柱状に成形された第1結束部は、外径が70mm以上250mm未満であるとよい。70mm以上であることで、装置体積当たりの膜面積を増大でき、膜面積当たりの装置製造コストを抑制することができる。
前記の方法で得られた接着剤は、耐熱性が高く、かつ硬化時の発熱が抑制されているために、第1結束部の外形が70mm以上と大型であっても、硬化時に過剰な温度上昇を起こさない。また、外径を250mm未満とすることで、装置自身の重量を抑制し、接続する配管等への負荷を抑制することができる。
発酵工業や医薬・医療分野においては、被ろ過液、或いはろ液への雑菌混入(コンタミネーション)を防ぐ必要があり、そのような分野において中空糸膜モジュールを使用する際には、使用前に中空糸膜モジュール内を殺菌、或いは滅菌操作を行う。
一般的な殺菌、滅菌の方法としては、温水殺菌、乾熱滅菌、煮沸滅菌、蒸気滅菌、紫外線滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌等の方法が挙げられる。特に、大型の槽や、槽に連結された配管、分離膜モジュールの殺菌または滅菌を行う場合は、温水殺菌(通常は80℃、1時間)、または蒸気滅菌(通常は121℃、20分間)が最も有効な方法である。しかしながら、接着剤のガラス転移温度が低い場合、温水殺菌或いは蒸気滅菌操作において機械的強度が著しく低下し、結束部で液密に空間を隔絶することが難しい。
これに対して、以上に述べた特定の範囲のガラス転移温度とMcとを有する接着剤は、良好な耐熱性を有すると共に、硬化時の発熱による他部材の劣化を引き起こしにくい。
<第2結束部>
筒状ケース1の被ろ過液流入口9側、つまり中空糸膜モジュール100Aの下端側に配置される第2結束部4は、中空糸膜2を第2端部において、中空部を閉塞した状態で結束している。
結束方法は、結束部の機械的強度、化学的耐久性、熱的耐久性などを満たせば特に限定されないが、熱収縮チューブ等で中空糸膜束12の外周を覆い、加熱して結束する方法や、シートに中空糸膜を並べてのり巻き状に結束する方法、接着剤を用いて接着する方法などが挙げられる。
接着剤は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはポリウレタン樹脂などを主成分として含有することができるが、第1結束部3と同じ接着剤をポリマー主成分とすることが好ましい。尚、ポリマー主成分とは含有成分中に含まれるポリマーの内、最も質量が多く含まれる成分を指す。第2結束部4は、筒状ケース1に液密に、或いは通液可能に固定されていてもよく、その固定方法は本発明とは何ら関わりない。
<第2結束部中の貫通孔>
第2結束部4は、被ろ過液等の流体流路となる孔5を有している。第2結束部4の第1端部側端面近傍での流れの滞留部を低減するためには、高さ方向に垂直な断面における孔5の総面積が、前記第2結束部を含む、前記高さ方向に垂直な断面における前記筒状ケース内側の面積に対して、2%以上35%未満であることが好ましい。
孔5の総面積を2%以上とすることで、滞留箇所になり得る各孔5の間の面積を小さくすることができる。また、孔5を流体が通過するときの圧力損失を低減し、下から上に流体が流れる場合にはポンプ動力費を削減できる。さらに、上から下に流体が流れる場合には流れが起こりやすく、濁質が孔5を塞ぐ可能性を抑えられる。さらに、第2結束部を第1結束部と同様に接着剤を用いて成形する場合には、孔5は硬化発熱で発生した熱を放熱する役割を果たす。
一方、孔5の総面積を35%未満とすることで、第2結束部4における中空糸膜2以外の部分の断面積が大きくなるため、中空糸膜2が密集して中空糸膜2の第2端側封止不良が生じる、或いは中空糸膜2間に堆積した濁質を排出しにくくなるなどの不具合を防止することができる。さらに、孔5を流体が下から上に流れる場合に、流入する流れに偏りがあると、滞留部が発生しやすく、濁質が堆積しやすい。孔5の総面積が35%未満であれば、流体の圧力損失は十分であり、孔5に流入する流れに偏りは小さい。
複数の孔5が存在することが好ましく、各孔5の配置は、多数の正三角形の頂点の位置や、放射線と同心円との交点の位置、格子上の交点の位置など任意であるが、隣り合う孔どうしの間隔に偏りがあると、該間隔が他より大きい箇所は滞留しやすいので、該間隔に大差がないように等間隔にすることが好ましい。
さらに、第2結束部4の第1端側端面のうち、最も低い部位から高さ3mm以内の範囲の領域に、少なくとも1つの孔5の終端が配置されているとより好ましい。流体が上から下に流れ落ちる場合において、第2結束部4の第1端側端面が水平でない場合には、最も低い部位に滞留部が発生しやすく、該部位からの排水を確実に行うためである。
第2結束部4の第1端側端面が水平でない場合は、例えば、以下の様な場合が挙げられる。第2結束部4を接着剤によって成形し、特に遠心ポッティング法を行った場合には、遠心力の影響で第1結束部の第2端側中央部に凹みができる。また、重力の影響で接着時の上方向と下方向で傾斜が形成される。
一方、静置ポッティング法では、第1結束部3の第2端側端面を水平にすることもできるが、第2結束部成形用治具17を鉛直方向から傾けた状態でポッティングを行った場合には、第2端側端面に傾斜が形成される。
また、孔5の高さ方向に垂直な断面形状は円形、楕円形、多角形、星型など任意である。
<筒状ケース、第2筒状ケースの材質>
中空糸膜モジュールで使用する筒状ケース1の材質は機械的強度、化学的耐久性、熱的耐久性などを満たせば特に限定されないが、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂などのフッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ステンレス、アルミニウムなどを挙げることができる。
また、中空糸膜モジュールで使用する第2筒状ケース15の材質は特に限定されないが、例えば、筒状ケース1と同様の材料から選択することができる。
<中空糸膜モジュールの製造方法>
以下に、第1実施形態にかかる中空糸膜モジュールの製造方法について説明する。尚、ここに記載する製造方法は第1実施形態に限定されるものではなく、後述するいずれの実施形態でも同様の方法で中空糸膜モジュールを製造できる。
以下において、第1結束部3および第2結束部4を、接着剤を用いて硬化成形し、中空糸膜2をポッティングする方法で説明する。
ポッティング方法としては、遠心力を利用して液状の接着剤を中空糸膜間に浸透させてから硬化させる遠心ポッティング法と、液状の接着剤を定量ポンプやヘッドにより送液し自然に流動させることにより中空糸膜2間に浸透させてから硬化させる静置ポッティング法のいずれを用いてもよい。
ポッティングを行う際は、0℃以上60℃未満で雰囲気温度を管理することが好ましい。0℃以上にすることで、接着剤の硬化反応を進行させることができる。エポキシ樹脂においては、エポキシ基とアミンの反応を進行させることができる。より好ましくは、5℃以上であることで反応時間を短縮することができる。また、60℃未満とすることで過剰な硬化発熱を抑制することができる。より好ましくは、50℃未満とすることで作業者の耐熱措置が軽微であり、作業性がよい。
硬化した接着剤は、後工程で加熱することによりその強度を高めることができる。具体的には、80℃以上で熱処理することが好ましい。80℃以上で熱処理することで、接着剤の強度は温水殺菌時等の高温運転においても十分な強度を有する。また、中空糸膜のビカット軟化温度以下の温度における熱処理によって、中空糸膜等の接着剤以外の他の部材の熱による損傷を防止することができる。より好ましくは、90℃以上で熱処理することで、接着剤が十分な強度を有し、接着剤以外の他の部材の熱による損傷を防止することができる。
また、熱処理は段階的に温度を上げていくとよい。例えば、60℃で一定時間熱処理した後に80℃、100℃、120℃と、複数の温度ステップで熱処理を行うことが好ましい。
遠心ポッティング法は、遠心力により接着剤が中空糸膜間に浸透しやすく、高粘度の接着剤も使用することができる。また、中空糸膜2を接着する接着剤にポリウレタン樹脂を使用する場合、中空糸膜2に含まれる水分とイソシアネートが反応して二酸化炭素が発生し発泡するため、静置ポッティング法でポリウレタン樹脂を使用することは難しい。
遠心ポッティング法ならば遠心力により中空糸膜モジュールの端部方向に圧力が生じ、気泡が内側方向に抜けるため、中空糸膜2を接着する接着剤としてポリウレタン樹脂を使用することができる。一方で、静置ポッティングでは遠心成形機などの大型設備は不要である。
ポッティングが終了し接着剤が硬化したら、第1結束部3の第1端側の結束部をカットすることで中空糸膜2の端面を開口させる。ポッティングを行う前には、中空糸膜2の第1端側端部の中空部をシリコーン接着剤などで封止する目止め処理を実施しておくことが望ましい。目止め処理を行うと、それ以上中空部にポッティング剤が進入することを防ぎ、中空部がポッティング剤で満たされて透過液が出なくなる不通糸の発生を防止することができる。
また、第2筒状ケース15の内側に第1結束部3を接着する場合および筒状ケース1に接着して結束部を固定する場合は、接着性を向上させるため第2筒状ケース15および筒状ケース1の内側の表面にヤスリがけ、プラズマ処理、プライマー処理などを実施してもよい。
次に、第1実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Aの製造方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。ただし、以下に説明する製造方法は、後述のいずれの実施形態の中空糸膜モジュールにも適用可能である。
まず、中空糸膜束12を図3に示す遠心ポッティング装置に設置して遠心ポッティングを行い、第1結束部および第2結束部を成形する(ステップS1)。
ここで、中空糸膜束12は筒状ケース1に収められ、中空糸膜束12の第1端部は第2筒状ケース15に、さらに第2筒状ケース15は第1結束部成形用治具16に、中空糸膜束12の第2端部は第2結束部成形用治具17に、それぞれ挿入されている。また、第2結束部成形用治具17底部の貫通孔に、ピン18が挿入されている。尚、中空糸膜2の第1端部は予めシリコーン接着剤で目止め処理されている。
筒状ケース1にはポッティング剤投入器19が接続されており、この装置全体を遠心成形機内で回転させることで、遠心力によりポッティング剤を第1結束部ケース16および第2結束部成形用治具17に供給することができる。尚、ポッティング剤は第1結束部成形用治具16および第2結束部成形用治具17に同時に供給することもできるし、別々に供給することもできる。
接着剤が硬化した後に、第1結束部成形用治具16、第2結束部成形用治具17およびピン18を取り外す。硬化に要する時間および温度は接着剤の成分により異なるため、適した条件を適宜適用すればよい。
チップソー式回転刃で図3のC−C線部分を切断し、中空糸膜2の第1端部を開口させる(ステップS2)。
最後に、筒状ケース1の第1端側に上部キャップ6を、第2端側に下部キャップ7を固定して中空糸膜モジュール100Aを製造できる(ステップS3)。
結束部成形用治具の材質は、耐熱性、化学的耐久性などを満たせば特に限定されないが、例えば、塩化ビニル系樹脂、ナイロン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等が離型性にも優れ、好適に用いられる。ポッティング部成形用治具は、単一の材質を用いても、上述したような材質を少なくとも一つ含むように複数の材質を組み合わせて用いてもよい。
また、ピンの材質も耐熱性、化学的耐久性などを満たせば特に限定されないが、例えば結束部成形用治具と同様の材質を用いることができる。金属を用いる場合は、離型性を向上するためにフッ素系樹脂のコーティングなどを行うとよい。
<中空糸膜モジュールの運転方法>
中空糸膜モジュール100Aを用いたろ過運転中には、被ろ過液は、被ろ過液流入口9から入り、第2結束部4の第2端側から孔5を下から上に通過し、中空糸膜束12の間に導入される。被ろ過液は中空糸膜2内を通過し、ろ過液として第1結束部3と上部キャップ6で囲まれた空間に移動した後に、ろ過液出口8から中空糸膜モジュール外に取り出される。
デッドエンドろ過を行う場合には、被ろ過液出口11は閉止しておくが、クロスフローろ過を行う場合には、被ろ過液出口11から、筒状ケース1内に導入された被ろ過液の一部を取り出し、取り出された被ろ過液は、再び被ろ過液流入口9から中空糸膜モジュール内に導入される。
クロスフローろ過を行うことで、中空糸膜モジュール内に流れが起き易く、濁質堆積の低減や、膜面近傍の流れによる膜面洗浄の効果が得られる。クロスフローろ過は、特に、発酵工業分野、医薬・医療分野、食品工業分野において広く用いられる。
また、一般的に、一定期間中空糸膜モジュールを用いてろ過運転を行った後には、中空糸膜モジュール内を洗浄する工程が設けられており、被ろ過液流入口9から、水、薬液、気体などが供給される。特に、温水殺菌が必要な工程では80℃程度の温水が供給される。
一方、洗浄工程において、ろ過液出口8から、ろ過液や、水、または洗浄液を導入し、中空糸膜2の中空部から外側に排出する方法をとる場合や、中空糸膜モジュール内を蒸気滅菌する場合等は、孔5を上から下に排水が流れ、被ろ過液流入口9から蒸気ドレンが中空糸膜モジュール外に排出される。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Bの構成について、図を参照しながら説明する。図4は、第2実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Bの概略縦断面図である。尚、以下で言及しない中空糸膜モジュール100Bの構成については、第1実施形態の中空糸膜モジュール100Aと同様の構造を適用可能である。第1実施形態で説明した部材と同様の機能を有する部材については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
第2実施形態にかかる内圧式中空糸膜モジュール100Bを用いたろ過運転中には、被ろ過液は、被ろ過液流入口21から入り、第2結束部4の第2端側から中空糸膜2の中空部を通過し、被ろ過液出口20から中空糸膜モジュール外に取り出される。被ろ過液は中空糸膜2内を通過し、ろ過液として筒状ケース1に囲まれた中空糸膜束12間に取り出され、その後ろ過液出口22、23から中空糸膜モジュール外に取り出される。
デッドエンドろ過を行う場合には、被ろ過液出口20は閉止しておくが、クロスフローろ過を行う場合には、被ろ過液出口20から取り出された被ろ過液は、再び被ろ過液流入口21から中空糸膜モジュール内に導入される。
クロスフローろ過を行うことで、膜面近傍の流れによる膜面洗浄の効果が得られる。クロスフローろ過は、特に発酵工業分野、医薬・医療分野、食品工業分野において広く用いられる。
また、一般的に、一定期間中空糸膜モジュールを用いてろ過運転を行った後には、中空糸膜モジュール内を洗浄する工程が設けられており、被ろ過液流入口21から、水、薬液、気体などが供給される。特に、温水殺菌が必要な工程では80℃程度の温水が供給される。
一方、洗浄工程において、ろ過液出口22またはろ過液出口23から、ろ過液や、水、または洗浄液を導入し、中空糸膜2の中空部から内側に排出する方法をとる場合や、中空糸膜モジュール内を蒸気滅菌する場合等はろ過液出口23、または被ろ過液流入口21から蒸気ドレンが中空糸膜モジュール外に排出される。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Cの構成について、図を参照しながら説明する。図5は、第3実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Cの第1端側の概略縦断面図である。尚、以下で言及しない中空糸膜モジュール100Cの構成については、第1実施形態の中空糸膜モジュール100Aと同様の構造を適用可能である。第1実施形態で説明した部材と同様の機能を有する部材については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
第3実施形態にかかる中空糸膜モジュール100Cでは、第1結束部3は、シール材25およびシール材26を潰して、第2筒状ケース15および上部キャップ6に液密に固定されている。
第2筒状ケース15は、ガスケット10およびシール材24を潰して、筒状ケース1に液密に固定されている。
この第1結束部3および第2筒状ケース15の固定方法以外は、第1実施形態の中空糸膜モジュール100Aと同様の構造、運転方法、製造方法である。第1結束部3を、シール材を介して第2筒状ケース15に液密に固定したことにより、第1結束部3と第2筒状ケース15との接着面が存在せず、従って接着剥離の不良が起こることがない。
これにより、高いガラス転移温度を有する接着剤を使用した場合にも、硬化収縮の影響を抑制し、第1結束部3と筒状ケース1を接着している場合には、接着剥離を防止できる。
また、第1結束部3に結束された中空糸膜束12の劣化等が起こった際には、第2筒状ケース15および筒状ケース1を再利用することが可能となる。
尚、第2筒状ケース15は筒状ケース1内、中空糸膜2の外側の液流を制御するために用いているが、該部分における液流の流速が小さい場合には第2筒状ケース15を用いなくてもよい。その場合、筒状ケース1と第1結束部3が、シール材によって液密に固定されており、接着面が存在せず、従って接着剥離の不良が起こることがない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(a)中空糸膜の製造
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38質量部とγ−ブチロラクトン62質量部を混合し、160℃で溶解した。この高分子溶液を、85質量%γ−ブチロラクトン水溶液を中空部形成液体として随伴させながら二重管の口金から吐出し、口金の30mm下方に設置した温度20℃のγ−ブチロラクトン85質量%水溶液からなる冷却浴中で凝固させて、球状構造からなる中空糸膜を作製した。
次いで、重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー14質量部、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル社製、CAP482−0.5)1質量部、N−メチル−2−ピロリドン77質量部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(三洋化成工業株式会社製、イオネット(登録商標)T−20C)5質量部、水3質量部を混合し、95℃で溶解して高分子溶液を作製した。
この製膜原液を、上記で得られた球状構造からなる中空糸膜の表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させて、球状構造層の上に三次元編目構造を形成させた中空糸膜2を作製した。
得られた中空糸膜2は、外径1350μm、内径800μmで、膜表面平均孔径は40nmであり、中空糸膜切片を溶融して板状に成形し、HDT試験装置(東洋精機製作所製3M−2型)を用いてビカット軟化温度を測定したところ、170℃であった。
(b)中空糸膜モジュールの製造
上記(a)で得られた中空糸膜2を長さ1800mmにカットし、30質量%グリセリン水溶液に1時間浸漬後、風乾した。この中空糸膜2を125℃の水蒸気で1時間加熱処理して風乾させ、長さ1200mmにカットした。
その後、シリコーン接着剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、SH850A/B、2剤を質量比が50:50となるように混合したもの)で、中空糸膜2の第1端側を目止めした。
その後、図3に示すようにステンレス製筒状ケース1(内径145mm、外径155mm、長さ1000mm、割り型)に、前述の中空糸膜2を5000本充填した。
さらに、ステンレス製筒状ケース1内の第1端側にポリスルホン製第2筒状ケース15を配置した。
ステンレス製筒状ケース1の両端に、第1結束部成形用治具16、第2結束部成形用治具17を配置した。第2結束部成形用治具17底部の貫通孔にはピン18が挿入されていた。
(実施例1)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族環状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))と脂肪族鎖状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、ジエチレントリアミン)を質量比が100:22:12となるように合計2000g(片端当たり1000g)を混合し、ポッティング剤投入器19に入れた。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、11.3であった。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は158℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
続いて、遠心成型機を回転させ、接着剤を両端の結束部成形用治具16、17に充填して第1結束部3および第2結束部4を成形し、接着剤を硬化させた。
遠心成型機内の温度は35℃、回転数は350rpm、遠心時間は5時間とした。このとき、硬化中の温度推移を、接着剤の中央部に熱電対を挿入して測定した結果、最高到達温度は151℃であった。各部材に発熱による損傷は認められなかった。
硬化後、100℃で24時間熱処理した。
その後、結束部成形用治具16、17とピン18を取り外した後、第1結束部3の端部(図3に示すC−C面)をチップソー式回転刃でカットし、中空糸膜2の端面を開口させた。
続いて、両端に上部キャップ6、下部キャップ7を取り付け、図1に示すような中空糸膜モジュール100Aとした。その後、中空糸膜モジュール100Aにエタノールを送液してろ過を行い、中空糸膜2の細孔内をエタノールで満たした。続いて、RO(Reverse Osmosis)水を送液してろ過を行い、エタノールをRO水に置換した。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、株式会社島津製作所製DSC−60 Plusを用いて温度を25℃から300℃へ10℃/分で上昇させた際の熱量を測定し、ガラス転移温度を求めた。
結果を表1に示す。ガラス転移温度は103℃であり、80℃の温水をろ過して殺菌等を行うことが可能であった。
(c)引張試験
(a)と同じ組成、硬化条件でJISK7113に準拠したダンベル試験片1号を5個製作し、JISK7161に準拠して引張試験を行った。ダンベルは180℃雰囲気に制御した恒温テンシロンで5mm/分でN=5で引張試験を行った。ひずみゲージを使用して求めたところ、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
(a)と同じ組成、硬化条件でシートを作製した。シートから各辺7mmの立方体20個を切り出し、JISK0061に準拠してピクノメーター法により180℃における密度を算出した結果1.2g/mlであった。測定はN=2で行った。
(e)粘弾性測定
(a)と同じ組成、硬化条件でシートを作製した。シートから厚み1mm、幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、動的粘弾性装置(Rheogel−E4000、UBM製)を用い、25〜200℃の温度範囲で5℃/分の昇温速度で加熱しながら、貯蔵弾性率(E)の温度依存性を測定した。このとき、測定長さを20mm、周波数を10Hz、引っ張り歪みを0.05%とした。測定はN=3で行い、180℃において平均貯蔵弾性率は22MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは593であった。
(実施例2)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER825)と脂肪族環状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))と脂肪族鎖状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、ジエチルアミノプロピルアミン)を質量比が100:20:11となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、11.3であった。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は153℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は99℃であり、80℃の温水で殺菌等を行うことが可能であった。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.0g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は11MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは1020であった。
(実施例3)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族環状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))を質量比が100:31となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、7.9であった。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は167℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。ガラス転移温度は148℃であり、脂環式アミンを多量に使用することで高いガラス転移温度を示した。80℃の温水で殺菌、さらには125℃の蒸気で滅菌等を行うことが可能であった。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様の方法で引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.0g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は36MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは300であった。
(実施例4)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と芳香族アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、ビス(4−アミノフェニル)メタン))を質量比が100:29となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノフェニル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、9.6であった。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は154℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。ガラス転移温度は152℃であり、芳香族アミンを多量に使用することで高いガラス転移温度を示した。80℃の温水で殺菌、さらには125℃の蒸気で滅菌等を行うことが可能であった。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様の方法で引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.0g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は13MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは902であった。
(実施例5)
(a)中空糸膜の製造
ポリエーテルスルホン(Victres 200)20質量部、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量36万)10質量部、N−メチル−2−ピロリドン65質量部、イソプロパノール5質量部を混合溶解し、二重管の口金から吐出し、すぐに温度20℃の水中で固化した。得られた中空糸状分離膜をエタノールに浸漬させ、さらにヘキサンに浸漬させて脱水した。その後、150℃雰囲気下で2時間熱処理を行い、ポリビニルピロリドンを架橋させた。中空糸膜切片を溶融して板状に成形し、HDT試験装置(東洋精機製作所製3M−2型)を用いてビカット軟化温度を測定したところ、220℃であった。
(b)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤を合計6000g(片端当たり3000g)混合したこと、およびポリエーテルスルホン製中空糸膜を用いた以外は、実施例1と同じである。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は176℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(c)ガラス転移温度測定
(b)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は103℃であり、80℃の温水をろ過して殺菌等を行うことが可能であった。
(d)引張試験
(b)と同じ組成で、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(e)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.2g/mlであった。
(f)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は22MPaであった。
(g)Mcの算出
(式1)に(d)、(e)、(f)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは593であった。
(比較例1)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族鎖状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、ジエチレントリアミン)を質量比が100:11となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は191℃であり、中空糸膜モジュール100Aのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜2が融解した。さらに、ポリスルホン製第2筒状ケース15と第1結束部3の間に剥離が生じた。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は117℃であった。80℃の温水で殺菌を行ったところ、ポリスルホン製第2筒状ケース15と第1結束部3との間の剥離から原水側の流体がろ過液側へ流出した。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.1g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は98MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは130と低かった。
(比較例2)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族鎖状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、テトラエチレンペンタミン)を質量比が100:15となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は200℃であり、中空糸膜モジュール100Aのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜2が融解した。さらに、ポリスルホン製第2筒状ケース15と第1結束部3の間に剥離が生じた。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は119℃であった。80℃の温水で殺菌を行ったところ、ポリスルホン製第2筒状ケース15と第1結束部3との間の剥離から原水側の流体がろ過液側へ流出した。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.1g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は117MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは109と低かった。
(比較例3)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族鎖状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、ジエチルアミノプロピルアミン)を質量比が100:35となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は150℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は43℃であり、80℃の温水で殺菌等を行った際にエポキシ樹脂の強度が著しく低下し、原水側の流体がろ液側へ流出した。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、80℃の雰囲気温度で実施した以外は、実施例1と同様の方法で引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
80℃の雰囲気温度で実施した以外は、実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.0g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、80℃における平均貯蔵弾性率は7MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは1781と大きかった。
(比較例4)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、多官能型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER604)と脂肪族環状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))を質量比が100:44となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は195℃であり、中空糸膜モジュール100Aのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜2が融解した。さらに、ポリスルホン製第2筒状ケース15と第1結束部3の間に剥離が生じた。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は114℃であった。80℃の温水で殺菌を行ったところ、ポリスルホン製第2筒状ケース15と第1結束部3との間の剥離から原水側の流体がろ過液側へ流出した。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.1g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は101MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは120と小さかった。
(比較例5)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族環状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))と、芳香族アミン系硬化剤(三菱化学株式会社製、JERキュアW)を質量比が100:79:20となるように混合した以外は、実施例1と同じである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、3.1であった。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は130℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を測定した結果、70℃であった。80℃の温水で殺菌等を行った際にエポキシ樹脂の強度が著しく低下し、原水側の流体がろ液側へ流出した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値が3.1と小さかったためであると考えられる。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、25℃の雰囲気温度で実施した以外は、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ダンベル試験片がチャックで把持した際に破損し、測定不可能であった。強度が著しく低いためであると予想される。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.2g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、試験片がチャックで把持した際に破損し、測定不可能であった。強度が著しく低いためであると予想される。
(比較例6)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤(ポッティング剤)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、JER828)と脂肪族環状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))と脂肪族鎖状アミン系硬化剤(和光純薬工業株式会社製、ジエチルアミノプロピルアミン)を質量比が100:11:25となるように混合した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基数を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを主骨格とする成分中のアミノ基数で除した値は、25.9であった。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は148℃であり、中空糸膜モジュール100Aの部材に発熱による損傷は与えなかった。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は60℃であり、80℃の温水で殺菌等を行った際にエポキシ樹脂の強度が著しく低下し、原水側の流体がろ液側へ流出した。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、80℃の雰囲気温度で実施した以外は、実施例1と同様の方法で引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
80℃の雰囲気温度で実施した以外は、実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.3g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は8MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは1776と大きかった。
(比較例7)
(a)エポキシ樹脂の硬化温度測定
結束部を成形する接着剤を合計6000g(片端当たり3000g)混合した以外は、実施例1と同じである。硬化時に達した接着剤の最高発熱温度は176℃であり、中空糸膜モジュール100Aのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜2が一部融解した。
(b)ガラス転移温度測定
(a)で硬化した接着剤の一部を切り出し、実施例1と同様にガラス転移温度を求めた。結果を表1に示す。ガラス転移温度は103℃であった。80℃の温水で殺菌を行ったところ、融解したポリフッ化ビニリデン製中空糸膜2と第1結束部3との間の剥離から原水側の流体がろ過液側へ流出した。
(c)引張試験
(a)と同じ組成で、実施例1と同様に引張試験を行った結果、ポアソン比は0.5であった。
(d)密度測定
実施例1と同様にして、ピクノメーター法で密度を算出した結果、1.2g/mlであった。
(e)粘弾性測定
実施例1と同様にして、粘弾性試験を行った結果、平均貯蔵弾性率は22MPaであった。
(f)Mcの算出
(式1)に、(c)、(d)、(e)で測定した値を代入してMcを算出した。結果を表1に示す。Mcは593であった。
Figure 2018118249
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2016年1月29日出願の日本特許出願(特願2016−015154)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の中空糸膜モジュールは、高い温度域において使用することができ、特に被ろ過液が高温の場合や、温水殺菌、蒸気滅菌が必要なプロセスに適用することができる。さらに、本発明の中空糸膜モジュールは、接着剤の硬化時の発熱を抑制できるため、大容量の接着剤を同時に硬化させて、ポリマー製中空糸膜を結束することが可能であり、そのため装置体積あたりの膜面積が大きいポリマー製中空糸膜モジュールを安価に製造することができる。
これにより、中空糸膜モジュールの膜面積当たりの製造原価が低減できると共に、プロセス中に使用する中空糸膜モジュールの本数を低減できるために、弁、管理機器等を同時に削減でき、工業的に非常に有利である。
100A:中空糸膜モジュール
100B:中空糸膜モジュール
100C:中空糸膜モジュール
1:筒状ケース
1A:鍔部
1B:鍔部
2:中空糸膜
3:第1結束部
4:第2結束部
5:孔
6:上部キャップ
6A:段部
7:下部キャップ
8:ろ過液出口
9:被ろ過液流入口
10:ガスケット
11:被ろ過液出口
12:中空糸膜束
14:整流孔
15:第2筒状ケース
16:第1結束部成形用治具
17:第2結束部成形用治具
18:ピン
19:ポッティング剤投入器
20:被ろ過液出口
21:被ろ過液流入口
22:ろ過液出口
23:ろ過液出口
24:シール材
25:シール材
26:シール材

Claims (11)

  1. 筒状ケースと、前記筒状ケース内に収容された複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、前記複数の中空糸膜を結束する少なくとも一つの結束部とを備え、前記結束部が接着剤を含有し、前記接着剤は、ガラス転移温度が80℃以上160℃未満である、中空糸膜モジュール。
  2. 前記接着剤の式1で示されるMcが140以上1760未満である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
    Mc=2(1+μ)ρRT/E (式1)
    μ:ポアソン比、ρ:密度(g/m)、R:気体定数(J/K/mol)、
    T:絶対温度(K)、E:貯蔵弾性率(Pa)
  3. 前記結束部が、(a)エポキシ樹脂と、(b)アミン硬化剤とを含有する、請求項1または請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記結束部が、(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(b)脂環式アミンおよび芳香族アミンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤とを含有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
  5. 前記結束部が、(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂と、(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびビス(4−アミノフェニル)メタンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤とを含有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
  6. 前記結束部が、前記(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基数を、前記硬化剤中の(b)ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびビス(4−アミノフェニル)メタンの少なくとも一方を主骨格とする硬化剤のアミノ基数で除した値が6以上20未満となる前記(a)エポキシ当量が150以上250未満のビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する、請求項5に記載の中空糸膜モジュール。
  7. 前記結束部が、平均粒径40μm以下の粒子を、前記接着剤100gに対して沈降容積が150以上1000ml未満となるように含有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
  8. 前記筒状ケースと前記結束部が、シール材によって液密に固定されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
  9. 前記筒状ケース内に収容される第2筒状ケースを備え、前記第2筒状ケースと前記結束部がシール材によって液密に固定されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
  10. 筒状ケースと、前記筒状ケース内に収容された複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、前記複数の中空糸膜を結束する少なくとも一つの結束部とを備える中空糸膜モジュールの製造方法であって、前記結束部が接着剤を含有し、前記接着剤として、ガラス転移温度が80℃以上160℃未満である接着剤を選定する、中空糸膜モジュールの製造方法。
  11. 前記接着剤として、式1で示されるMcが140以上1760未満である接着剤を選定する、請求項10に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
    Mc=2(1+μ)ρRT/E (式1)
    μ:ポアソン比、ρ:密度(g/m)、R:気体定数(J/K/mol)、
    T:絶対温度(K)、E:貯蔵弾性率(Pa)
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