JP2018056233A - 太陽電池 - Google Patents

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明伸 早川
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麻由美 湯川
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Tetsuya Aida
哲也 会田
哲也 榑林
Tetsuya Kurebayashi
哲也 榑林
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元彦 浅野
智仁 宇野
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智仁 宇野
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雄一郎 福本
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Abstract

【課題】高温高湿耐久性に優れた太陽電池を提供する。【解決手段】基板2上に複数の太陽電池セルを有する太陽電池であって、複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極3と、上部電極4と、下部電極と上部電極との間に配置された光電変換層5とを有する積層体からなり、複数の太陽電池セルは、上部電極が、隣接する太陽電池セルの下部電極と接続することで電気的に接続しており、電子顕微鏡にて観察した太陽電池の断面図において、下部電極の上面に接する光電変換層の側面の角度をθ2としたとき、θ2が90°未満である太陽電池。【選択図】図3

Description

本発明は、高温高湿耐久性に優れた太陽電池に関する。
従来から、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体を備えた光電変換素子が開発されている。このような光電変換素子では、光励起により光キャリアが生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
現在、実用化されている光電変換素子の多くは、シリコン等の無機半導体を用いて製造される無機太陽電池である。しかしながら、無機太陽電池は製造にコストがかかるうえ大型化が困難であり、利用範囲が限られてしまうことから、無機半導体の代わりに有機半導体を用いて製造される有機太陽電池が注目されている。
有機太陽電池においては、ほとんどの場合フラーレンが用いられている。フラーレンは、主にN型半導体として働くことが知られている。例えば、特許文献1には、P型半導体となる有機化合物とフラーレン類とを用いて形成された半導体ヘテロ接合膜が記載されている。しかしながら、フラーレンを用いて製造される有機太陽電池において、その劣化の原因はフラーレンであることが知られており(例えば、非特許文献1参照)、フラーレンに代わる材料が求められている。
そこで近年、有機無機ハイブリッド半導体と呼ばれる、中心金属に鉛、スズ等を用いたペロブスカイト構造を有する光電変換材料が発見され、高い光電変換効率を有することが示された(例えば、非特許文献2)。
しかしながら、このような有機無機ペロブスカイト化合物を用いた場合、有機太陽電池が高温高湿耐久性に劣るという問題があった。
特開2006−344794号公報
Reese et al.,Adv.Funct.Mater.,20,3476−3483(2010) M.M.Lee et al.,Science,338,643−647(2012)
本発明は、高温高湿耐久性に優れた太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に複数の太陽電池セルを有する太陽電池であって、前記複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体からなり、前記複数の太陽電池セルは、前記上部電極が、隣接する太陽電池セルの前記下部電極と接続することで電気的に接続しており、電子顕微鏡にて観察した前記太陽電池の断面図において、前記下部電極の上面に接する前記光電変換層の側面の角度をθ2としたとき、θ2が90°未満である太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
図1に、従来の太陽電池(有機太陽電池)の一例を模式的に示す断面図を示す。
図1に示すように、一般的に、従来の太陽電池1’は、基板2’上に複数の太陽電池セルを有しており、上記複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極3’と、上部電極4’と、下部電極3’と上部電極4’との間に配置された光電変換層5’とを有する積層体からなる。上記複数の太陽電池セルは、上部電極4’が、隣接する太陽電池セルの下部電極3’と接続することで電気的に接続している。必要に応じて、上部電極4’上を覆って上記複数の太陽電池セルを封止するバリア層6’が形成される。
図1に示すような従来の太陽電池(有機太陽電池)を製造する際には、一般的に、基板の全面に下部電極を製膜した後、下部電極のパターニングを行う工程(1)、基板上に下部電極が設けられたサンプルの全面に光電変換層を製膜した後、光電変換層のパターニングを行う工程(2)、及び、基板上に下部電極及び光電変換層が設けられたサンプルの全面に上部電極を製膜した後、上部電極のパターニングを行う工程(3)が行われる。本発明者らは、有機無機ペロブスカイト化合物を用いた場合に有機太陽電池が高温高湿耐久性に劣る原因について検討したところ、他の太陽電池と比べて有機太陽電池は厚みが極めて薄いため、上記工程(3)において上部電極を製膜する際に上部電極が光電変換層を充分に覆うことができない場合があり、その結果、水分の浸透により有機無機ペロブスカイト化合物が劣化し、充分な高温高湿耐久性が得られないことを見出した。なお、有機無機ペロブスカイト化合物は水分に非常に弱いため、光電変換層がこのような有機無機ペロブスカイト化合物を含む有機太陽電池では、他の太陽電池(例えば、CIGS太陽電池等)と比べて高温高湿耐久性の低さが問題となりやすい。
図2に、従来の太陽電池(有機太陽電池)において上部電極が光電変換層を充分に覆うことができなかった場合の一例を模式的に示す断面図を示す。図2において、上部電極4’は、光電変換層5’を充分に覆うことができておらず、光電変換層5’の側面が露出したり、光電変換層5’の角部分が露出したりしている。
これに対して、本発明者らは、電子顕微鏡にて観察した太陽電池の断面図において、下部電極の上面に接する光電変換層の側面の角度をθ2としたとき、θ2を特定範囲に調整して緩やかな角度とすることにより、上部電極を製膜する際に上部電極が光電変換層を充分に覆うことができるようになり、その結果、高い高温高湿耐久性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の太陽電池は、基板上に複数の太陽電池セルを有する。
上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、透明プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。
上記複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極と、上部電極と、上記下部電極と上記上部電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体からなる。上記複数の太陽電池セルは、上記上部電極が、隣接する太陽電池セルの上記下部電極と接続することで電気的に接続している。
本発明の太陽電池においては、電子顕微鏡にて観察した本発明の太陽電池の断面図において、上記基板の上面に接する上記下部電極の側面の角度をθ1としたとき、θ1が90°未満であることが好ましい。
θ1を上記範囲に調整して緩やかな角度とすることにより、上記光電変換層を製膜する際に上記光電変換層が上記下部電極を充分に覆うことができるようになる。その結果、上記下部電極の側面が露出したり、上記下部電極の角部分が露出したりすることを防止することができ、上記上部電極と上記下部電極とが接触して光電変換効率にばらつきが生じることを防ぐことができる。θ1のより好ましい上限は85°である。θ1の下限は特に限定されないが、好ましい下限は10°である。θ1が85°以下であれば、上記光電変換層が上記下部電極をより充分に覆うことができる。θ1のより好ましい下限は20°である。
本発明の太陽電池においては、電子顕微鏡にて観察した本発明の太陽電池の断面図において、上記下部電極の上面に接する上記光電変換層の側面の角度をθ2としたとき、θ2が90°未満である。なお、本発明の太陽電池が電子輸送層、及び/又は、ホール輸送層を有する場合には、上記下部電極の上面に接する、電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層の側面の角度をθ2とする。
θ2を上記範囲に調整して緩やかな角度とすることにより、上記上部電極を製膜する際に上記上部電極が上記光電変換層を充分に覆うことができるようになる。その結果、上記光電変換層の側面が露出したり、上記光電変換層の角部分が露出したりすることを防止することができ、上記光電変換層が有機無機ペロブスカイト化合物を含む場合であっても水分の浸透により有機無機ペロブスカイト化合物が劣化することを抑制し、高い高温高湿耐久性を得ることができる。θ2の好ましい上限は85°である。θ2の下限は特に限定されないが、好ましい下限は20°である。θ2が85°以下であれば、上記上部電極が上記光電変換層をより充分に覆うことができる。
上記電子顕微鏡にて観察した本発明の太陽電池の断面図において、上記光電変換層の上面に接する上記上部電極の側面の角度もまた、90°未満であってもよい。
θ1及びθ2を測定する方法としては、電子顕微鏡(例えば、S−4800、HITACHI社製等)を用いて倍率5万〜50万倍にて、本発明の太陽電池の水平面に対して垂直な断面図を観察し、得られた写真から画像解析ソフトを用いてθ1及びθ2を算出する方法を採用することができる。
上記基板の上面、上記下部電極の側面、上記下部電極の上面、上記光電変換層の側面等が平滑ではなく、例えば、波打っている等の場合には、以下のように近似直線による補正を行い、平滑であるものと見なしてθ1及びθ2を測定することができる。
即ち、上記基板又は上記下部電極の上面が平滑でない場合には、上記基板又は上記下部電極の上部にあたる画像上の任意の10点を選択し、最小二乗法により直線を近似する。上記下部電極の側面が平滑でない場合には、上記方法によって出された近似直線から求められる上記下部電極の平均厚みの四等分線と、上記下部電極−上記光電変換層間の境界線との各交点となる三点を用いて、最小二乗法により直線を近似する。上記光電変換層の側面が平滑でない場合にも、上記下部電極の場合と同様にして直線を近似する。
θ1及びθ2を上記範囲に調整する方法として、例えば、パターニング方法を選択及び調整する方法が挙げられる。具体的には例えば、メカニカルスクライブにより上記下部電極及び上記光電変換層のパターニングを行う場合には、スクライブのツールの種類により調整する方法、スクライブ圧により調整する方法等が挙げられる。また、レーザースクライブにより上記下部電極及び上記光電変換層のパターニングを行う場合には、加工スピード、ショットピッチ、レーザー照射径、パルス幅、レーザー強度等により調整する方法等が挙げられる。
図3に、本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図を示す。
図3に示すように、本発明の太陽電池1は、基板2上に複数の太陽電池セルを有しており、上記複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極3と、上部電極4と、下部電極3と上部電極4との間に配置された光電変換層5とを有する積層体からなる。上記複数の太陽電池セルは、上部電極4が、隣接する太陽電池セルの下部電極3と接続することで電気的に接続している。必要に応じて、上部電極4上を覆って上記複数の太陽電池セルを封止するバリア層6が形成される。
本発明の太陽電池1においては、下部電極3の上面に接する光電変換層5の側面の角度をθ2としたとき、θ2が90°未満である。更に、基板2の上面に接する下部電極3の側面の角度をθ1としたとき、θ1が90°未満であることが好ましい。
上記電子顕微鏡にて観察した本発明の太陽電池の断面図において、上記下部電極の形状、及び/又は、上記光電変換層の形状は、上底の長さが下底の長さよりも短い台形形状であることが好ましい。なお、上底とは、上記基板と反対側の辺を意味し、下底とは、上記基板側の辺を意味する。
上記下部電極の形状及び上記光電変換層の形状を観察する方法としても、電子顕微鏡(例えば、S−4800、HITACHI社製等)を用いて倍率5万〜50万倍にて、本発明の太陽電池の水平面に対して垂直な断面図を観察し、得られた写真から形状を観察する方法を採用することができる。
なお、例えば、上記下部電極の形状の場合、上記基板と上記下部電極との接触面の長さを下底の長さ、上記下部電極と上記光電変換層との接触面で下底と平行な領域の長さを上底の長さと定義する。
上記下部電極及び上記上部電極は、どちらが陰極になってもよく、陽極になってもよい。上記下部電極及び上記上部電極の材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含むことが好ましい。上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
なお、本明細書中、「層」とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池の断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、イミダゾリン、カルバゾール、メチルカルボキシアミン、エチルカルボキシアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ヘキシルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン、アニリン、ピリジン及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンがより好ましい。なかでも、高い光電変換効率が得られることから、メチルアミン、ホルムアミジニウム及びこれらのイオンが更に好ましい。
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。なかでも、電子軌道の重なりの観点から、鉛又はスズが好ましい。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図4は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。
上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制されやすくなる。
また、結晶化の指標として結晶化度を評価することもできる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30%である。上記結晶化度が30%以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。また、上記結晶化度が30%以上であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制されやすくなる。上記結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
また、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール(加熱処理)、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
また、他の結晶化の指標として結晶子径を評価することもできる。結晶子径は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークの半値幅からhalder−wagner法で算出することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶子径が5nm以上であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記結晶子径のより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nmである。
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物や、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、CuO、CuI、MoO、V、WO、MoS、MoSe、CuS等が挙げられる。
上記光電変換層は、上記有機無機ペロブスカイト化合物と上記有機半導体又は上記無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
上記光電変換層は、光電変換層形成後に熱アニール(加熱処理)が施されていることが好ましい。熱アニール(加熱処理)を施すことにより、光電変換層中の有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができ、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)をより抑制することができる。上記基板として従来の耐熱高分子材料からなるフレキシブル基材を用いた太陽電池にこのような熱アニール(加熱処理)を行うと、フレキシブル基材と光電変換層等との線膨張係数の相違により、アニール時に歪みが生じ、その結果、高い光電変換効率を達成することが難しくなることがある。これに対して、上記基板として金属基板(例えば、アルミニウム箔等の金属箔)を用いることにより、熱アニール(加熱処理)を行っても、歪みの発生を最小限に抑えて、高い光電変換効率を有する太陽電池を得ることができる。
上記熱アニール(加熱処理)を行う場合、上記光電変換層を加熱する温度は特に限定されないが、100℃以上、200℃未満であることが好ましい。上記加熱温度が100℃以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱温度が200℃未満であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。より好ましい加熱温度は、120℃以上、170℃以下である。また、加熱時間も特に限定されないが、3分以上、2時間以内であることが好ましい。上記加熱時間が3分以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱時間が2時間以内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。
これらの加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが好ましく、露点温度は10℃以下が好ましく、7.5℃以下がより好ましく、5℃以下が更に好ましい。
本発明の太陽電池は、上記下部電極及び上記上部電極のうちの陰極となる電極と、上記光電変換層との間に、電子輸送層を有してもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層(バッファ層)のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位を複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合膜が製膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の太陽電池は、上記光電変換層と、上記下部電極及び上記上部電極のうちの陽極となる電極との間に、ホール輸送層を有してもよい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、トリフェニルアミン骨格、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
上記ホール輸送層は、その一部が上記光電変換層に浸漬していてもよいし、上記光電変換層上に薄膜状に配置されてもよい。上記ホール輸送層が薄膜状に存在する時の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の太陽電池は、更に、上記上部電極上を覆って上記複数の太陽電池セルを封止するバリア層を有していてもよい。
上記バリア層の材料としてはバリア性を有していれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又は無機材料等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ブチルゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリイソブチレン等が挙げられる。
上記バリア層の材料が熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である場合、バリア層(樹脂層)の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
上記無機材料としては、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、上記バリア層に水蒸気バリア性及び柔軟性を付与するために、Zn、Snの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましい。
上記バリア層の材料が無機材料である場合、バリア層(無機層)の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、太陽電池の耐久性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層と上記積層体との剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE−3000等)を用いて測定することができる。
上記バリア層の材料のうち、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂で上記複数の太陽電池セルを封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状のバリア層の材料を用いて上記複数の太陽電池セルをシールする方法、バリア層の材料を有機溶媒に溶解させた溶液を上記複数の太陽電池セルに塗布する方法、バリア層となる液状モノマーを上記複数の太陽電池セルに塗布した後、熱又はUV等で液状モノマーを架橋又は重合させる方法、バリア層の材料に熱をかけて融解させた後に冷却させる方法等が挙げられる。
上記バリア層の材料のうち、上記無機材料で上記複数の太陽電池セルを覆う方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記複数の太陽電池セル上に原料を堆積して製膜することにより、無機材料からなる無機層を形成することができる。
上記バリア層の材料は、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と、上記無機材料との組み合わせでもよい。
本発明の太陽電池においては、更に、上記バリア層上を、例えば樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム、金属箔等のその他の材料が覆っていてもよい。即ち、本発明の太陽電池は、上記複数の太陽電池セルと上記その他の材料との間を、上記バリア層によって封止、充填又は接着している構成であってもよい。これにより、仮に上記バリア層にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
本発明の太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、基板の全面に下部電極を製膜した後、下部電極のパターニングを行う工程(1)、基板上に下部電極が設けられたサンプルの全面に光電変換層を製膜した後、光電変換層のパターニングを行う工程(2)、及び、基板上に下部電極及び光電変換層が設けられたサンプルの全面に上部電極を製膜した後、上部電極のパターニングを行う工程(3)を有する方法が挙げられる。更に、上部電極上を覆って上記複数の太陽電池セルを封止するバリア層を形成する工程(4)を行ってもよい。
上記工程(1)及び(2)においてθ1及びθ2を上記範囲に調整する方法としては、例えば、上述したように、メカニカルスクライブにより上記下部電極及び上記光電変換層のパターニングを行う場合には、スクライブのツールの種類により調整する方法、スクライブ圧により調整する方法等が挙げられる。また、レーザースクライブにより上記下部電極及び上記光電変換層のパターニングを行う場合には、加工スピード、ショットピッチ、レーザー照射径、パルス幅、レーザー強度等により調整する方法等が挙げられる。
本発明によれば、高温高湿耐久性に優れた太陽電池を提供することができる。
従来の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。 従来の太陽電池において上部電極が光電変換層を充分に覆うことができなかった場合の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。 有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)太陽電池の製造
ガラス基板上に、陰極として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させた。このとき、マスキングテープを用いてエッチング部以外をマスクし、露出している部分に亜鉛粉を載せ、更に10%希釈塩酸水溶液をかけることにより、陰極のパターニング(パターニング方法:エッチング)を行った。
FTO膜の表面上に、2%に調整したチタンイソプロポキシドエタノール溶液をスピンコート法により塗布した後、400℃で10分間焼成し、厚み20nmの薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、有機バインダとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、500℃で10分間焼成し、厚み500nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、ハロゲン化金属化合物としてヨウ化鉛をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの溶液を調製し、多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法によって製膜した。更に、アミン化合物としてヨウ化メチルアンモニウムを2−プロパノールに溶解させて1Mの溶液を調製した。この溶液内に上記のヨウ化鉛を製膜したサンプルを浸漬させることによって有機無機ペロブスカイト化合物であるCHNHPbIを含む層を形成得られたサンプルに対して120℃にて30分間アニール処理を行った。
次いで、クロロベンゼン25μLにSpiro−OMeTAD(スピロビフルオレン骨格を有する)を68mM、t−ブチルピリジンを55mM、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド・銀塩を9mM溶解させた溶液を調製した。この溶液を光電変換層上にスピンコート法によって塗布し、厚み150nmのホール輸送層を形成した。
その後、メカニカルスクライブ機により、電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層のパターニング((パターニング方法:メカニカルスクライブ)を行った。パターニングにおいては、スクライブのツールの種類やスクライブ圧を調整することにより、陰極の上面に接する、電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層の側面の角度θ2を調整した。
得られたホール輸送層上に、陽極として真空蒸着により厚み100nmのITO膜を形成した。このとき、メカニカルスクライブ機においてツール幅40μm、ランド150μmのツールを用いて、陽極のパターニングを行った。
得られた陽極上に、スパッタリング法により100nmのZnSnOからなるバリア層を形成し、太陽電池を得た。
(2)電子顕微鏡による太陽電池の観察
電子顕微鏡(S−4800、HITACHI社製)を用いて倍率5万倍にて、得られた太陽電池の水平面に対して垂直な断面図を観察し、得られた写真から画像解析ソフトを用いてθ1及びθ2を算出した。また、陰極の形状(表1中、下部電極の形状)、並びに、電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層の形状(表1中、光電変換層の形状)を観察した。結果を表1に示した。なお、形状については、表1には台形形状又は非台形(台形形状でないもの)と記載した。
(実施例2)
ガラス基板上に、陰極として厚み100nmのアルミニウム膜と電子輸送層として100nmのチタン膜とを蒸着により形成し、メカニカルスクライブ機によって陰極と電子輸送層とのパターニング(パターニング方法:メカニカルスクライブ)を行った以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
(実施例3)
ガラス基板の代わりにアルミニウム基材(表1中、アルミ基材)を陽極酸化させたものを使用した以外は実施例2と同様にして、太陽電池を得た。
(実施例4)
ガラス基板上に、陰極として厚み1000nmのFTO膜を、パターニングを模したマスクをかぶせた上で、スプレーパイロリシスデポジション法にて形成した(パターニング方法:マスク製膜)以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
(実施例5)
電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層のパターニングにおいてレーザースクライブ機において加工スピードを1200mm/s、ショットピッチを5μmでパターニング(パターニング方法:レーザースクライブ)を行った以外は実施例2と同様にして、太陽電池を得た。
(比較例1)
電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層のパターニングにおいてメカニカルスクライブ機のツールの形状をすくい加工にしたものを使用した(パターニング方法:メカニカルスクライブ)以外は実施例4と同様にして太陽電池を得た。
(比較例2)
電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層のパターニングにおいてレーザースクライブ機において加工スピードを400mm/s、ショットピッチを1μmでパターニング(パターニング方法:レーザースクライブ)を行った以外は実施例2と同様にして、太陽電池を得た。
<評価>
実施例、比較例で得られた太陽電池について、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)光電変換効率のばらつき
太陽電池の電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用い、露光面積0.01cmで光電変換効率を測定した。10試料を作製して測定し、下記式によりσを求め、光電変換効率のばらつきを判定した。
Figure 2018056233
上記値が0.3未満であった場合を〇、0.3以上であった場合を△とした。
(2)高温高湿耐久性
太陽電池の電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用い、露光面積0.01cmで光電変換効率を測定し、得られた光電変換効率を初期変換効率とした。その後、太陽電池を85℃、湿度85%の環境下に100時間置いて高温高湿耐久性試験を行った。初期変換効率と同様にして、高温高湿耐久性試験後の光電変換効率を測定し、高温高湿耐久性試験後の光電変換効率/初期変換効率の値を求めた。
○:高温高湿耐久性試験後の光電変換効率/初期変換効率の値が0.8以上
×:高温高湿耐久性試験後の光電変換効率/初期変換効率の値が0.8未満
Figure 2018056233
本発明によれば、高温高湿耐久性に優れた太陽電池を提供することができる。
1 本発明の太陽電池
1’ 従来の太陽電池
2,2’ 基板
3,3’ 下部電極
4,4’ 上部電極
5,5’ 光電変換層
6,6’ バリア層

Claims (5)

  1. 基板上に複数の太陽電池セルを有する太陽電池であって、
    前記複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体からなり、
    前記複数の太陽電池セルは、前記上部電極が、隣接する太陽電池セルの前記下部電極と接続することで電気的に接続しており、
    電子顕微鏡にて観察した前記太陽電池の断面図において、前記下部電極の上面に接する前記光電変換層の側面の角度をθ2としたとき、θ2が90°未満である
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 電子顕微鏡にて観察した太陽電池の断面図において、基板の上面に接する下部電極の側面の角度をθ1としたとき、θ1が90°未満であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 電子顕微鏡にて観察した太陽電池の断面図において、下部電極の形状、及び/又は、光電変換層の形状が、上底の長さが下底の長さよりも短い台形形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池。
  4. 光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の太陽電池。
  5. 更に、上部電極上を覆って複数の太陽電池セルを封止するバリア層を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の太陽電池。
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