JP2018034452A - 液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液滴吐出ヘッドのノズル面を、第1膜液で洗浄した後、その第1膜液を第2膜液で除去しない構成に比べて、第1膜液が、そのノズル面に残存するのを抑制できる液滴吐出装置を得る。
【解決手段】回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第1膜液46が形成され、液滴吐出ヘッド20のノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、第1膜液46によりノズル面21を洗浄する第1ローラー44を有する第1メンテナンス装置40と、回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第2膜液56が形成され、第1ローラー44に後続して、ノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、第2膜液56によりノズル面21に残存する第1膜液46を除去する第2ローラー54を有する第2メンテナンス装置50と、を備えた液滴吐出装置10とする。
【選択図】図2
【解決手段】回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第1膜液46が形成され、液滴吐出ヘッド20のノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、第1膜液46によりノズル面21を洗浄する第1ローラー44を有する第1メンテナンス装置40と、回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第2膜液56が形成され、第1ローラー44に後続して、ノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、第2膜液56によりノズル面21に残存する第1膜液46を除去する第2ローラー54を有する第2メンテナンス装置50と、を備えた液滴吐出装置10とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、液滴吐出装置に関する。
インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)のノズル面に布を押し付けて、ノズルからインクを強制排出した後、布を巻き取ることで、ノズル面上に付着したインクを拭き取るワイピングモードを備えたインクジェット記録装置(液滴吐出装置)は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、液滴吐出ヘッドのノズル面を、第1膜液で洗浄した後、その第1膜液を第2膜液で除去しない構成に比べて、第1膜液が、そのノズル面に残存するのを抑制できる液滴吐出装置を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の液滴吐出装置は、搬送される記録媒体の幅方向が長手方向とされ、ノズル面に形成されたノズルから前記記録媒体に対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第1膜液が形成され、前記ノズル面に対して非接触状態で該ノズル面の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、前記第1膜液により前記ノズル面を洗浄する第1ローラーを有する第1メンテナンス装置と、回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第2膜液が形成され、前記第1ローラーに後続して、前記ノズル面に対して非接触状態で該ノズル面の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、前記第2膜液により前記ノズル面に残存する前記第1膜液を除去する第2ローラーを有する第2メンテナンス装置と、を備えている。
また、請求項2に記載の液滴吐出装置は、請求項1に記載の液滴吐出装置であって、前記第1膜液が、前記ノズル面を湿潤させる湿潤液とされ、前記第2膜液が、前記ノズル面に残存する前記第1膜液の湿潤液を吸収して除去する除去液とされている。
また、請求項3に記載の液滴吐出装置は、請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置であって、前記第1膜液の表面張力が、前記第2膜液の表面張力よりも小さい。
また、請求項4に記載の液滴吐出装置は、請求項3に記載の液滴吐出装置であって、前記第1膜液の表面張力が、40mN/m以下であり、前記第2膜液の表面張力が、70mN/m以上である。
また、請求項5に記載の液滴吐出装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出装置であって、前記第1ローラー及び前記第2ローラーの回転方向が、相対的に移動してくる前記ノズル面に対して相対速度が増加する方向とされている。
また、請求項6に記載の液滴吐出装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の液滴吐出装置であって、前記第1メンテナンス装置と前記第2メンテナンス装置との間に、前記ノズル面に接触して該ノズル面を清掃する清掃布を有する第3メンテナンス装置が配設されている。
請求項1に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドのノズル面を、第1膜液で洗浄した後、その第1膜液を第2膜液で除去しない構成に比べて、第1膜液が、そのノズル面に残存するのを抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、第2膜液が、液滴吐出ヘッドのノズル面に残存する第1膜液の湿潤液を吸収して除去する除去液とされていない構成に比べて、第1膜液が、そのノズル面に残存するのを抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、第2膜液の表面張力が、第1膜液の表面張力よりも小さい場合に比べて、第1膜液が、液滴吐出ヘッドのノズル面に残存するのを抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、第1膜液の表面張力が、40mN/mより大きく、第2膜液の表面張力が、70mN/mより小さい場合に比べて、第1膜液が、液滴吐出ヘッドのノズル面に残存するのを抑制することができる。
請求項5に記載の発明によれば、第1ローラー及び第2ローラーの回転方向が、相対的に移動してくる液滴吐出ヘッドのノズル面に対して相対速度が減少する方向とされている場合に比べて、第1膜液が、そのノズル面に残存するのを抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第1メンテナンス装置と第2メンテナンス装置との間に、液滴吐出ヘッドのノズル面に接触して、そのノズル面を清掃する清掃布を有する第3メンテナンス装置が配設されていない構成に比べて、そのノズル面をより効果的に清掃することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図に適宜示される矢印UPを液滴吐出装置の一例としてのインクジェット記録装置10の上方向とする。また、以下において、記録媒体の一例としての記録用紙Pの搬送方向を単に「搬送方向」と言い、その搬送方向上流側及び搬送方向下流側を、それぞれ単に「上流側」、「下流側」と言う場合がある。
図1に示されるように、インクジェット記録装置10は、記録用紙Pが収容される給紙部12と、給紙部12から繰り出された記録用紙Pに画像を記録する画像記録部14と、画像記録部14へ記録用紙Pを搬送する搬送手段16と、画像記録部14によって画像が記録された記録用紙Pを収容する排紙部18と、を有している。
画像記録部14は、液滴吐出ヘッドの一例としてのインクジェット記録ヘッド20を有している。インクジェット記録ヘッド20は、複数のノズル(図示省略)が形成されたノズル面21(図2参照)を有しており、そのノズル面21は、インクジェット記録装置10での画像記録が想定される記録用紙Pの最大幅と同程度か、又はそれ以上の記録可能領域を有している。
また、インクジェット記録ヘッド20は、記録用紙Pの搬送方向に対して、その上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に並設されており、サーマル方式や圧電方式等の公知の手段によって、インク滴(液滴)が吐出されるように構成されている。
なお、インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、各種インクが使用可能である。また、インクジェット記録装置10には、各インクジェット記録ヘッド20Y、20M、20C、20Kにインクを供給するインクタンク22Y、22M、22C、22Kが配設されている。
一方、給紙部12に収容されている複数枚の記録用紙Pは、ピックアップローラー24によって1枚ずつ取り出されるように構成されており、搬送ローラー対25によって画像記録部14へ搬送されるように構成されている。
搬送手段16は、記録用紙Pの印刷面をインクジェット記録ヘッド20のノズル面21に対して予め決められた間隔(例えば1mm程度)で対面させるための搬送ベルト30を有している。搬送ベルト30は、下流側に配置された駆動ローラー26と、上流側に配置された従動ローラー28とに張架されて、図示の矢印A方向に循環駆動(回転)するように構成されている。
また、従動ローラー28の上部には、搬送ベルト30の表面側から、その搬送ベルト30に従動する帯電ローラー32が配設されている。この帯電ローラー32によって搬送ベルト30が帯電される(電荷が与えられる)ことにより、記録用紙Pが搬送ベルト30に静電吸着されて搬送される構成になっている。
なお、搬送ベルト30は、記録用紙Pを静電吸着して保持する構成とされるものに限定されるものではなく、記録用紙Pとの摩擦や記録用紙Pを吸引又は粘着するなどの非静電的吸着手段によって保持する構成とされていてもよい。また、搬送ベルト30の下流側には、複数の搬送ローラー対35と複数の搬送ローラー対38とが配設されている。
また、搬送ベルト30の下方には、反転部34が設けられている。したがって、両面印刷するときには、搬送ローラー対35によって搬送された記録用紙Pが、反転部34の複数の搬送ローラー対36によって更に搬送され、再度インクジェット記録ヘッド20へ送られるようになっている。そして、画像が記録された記録用紙Pは、搬送ベルト30から剥離され、搬送ローラー対35及び搬送ローラー対38によって搬送されて、排紙部18へ排出される構成になっている。
なお、図示しないが、このインクジェット記録装置10には、画像信号に応じてインク滴の吐出タイミングと使用するノズルを決定し、そのノズルに駆動信号を印加するインクジェット記録ヘッド20の制御手段と、インクジェット記録装置10全体の動作を制御するシステム制御手段が備えられている。
<第1実施形態>
以上のような構成とされたインクジェット記録装置10において、次にインクジェット記録ヘッド20のノズル面21を清掃する第1実施形態に係る清掃装置、即ち第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50について説明する。
以上のような構成とされたインクジェット記録装置10において、次にインクジェット記録ヘッド20のノズル面21を清掃する第1実施形態に係る清掃装置、即ち第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50について説明する。
図2に示されるように、第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50は、それぞれインクジェット記録装置10に固定配置されており、各インクジェット記録ヘッド20が、ラック・ピニオンやスライドガイド等の公知の移動機構23により、その長手方向(記録用紙Pの幅方向)に移動可能に構成されている。これにより、第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50が、相対的にインクジェット記録ヘッド20のノズル面21に沿って移動しつつ、そのノズル面21を清掃する構成になっている。
第1メンテナンス装置40は、搬送方向が長手方向とされ、湿潤液の一例としての洗浄液Sが貯留された筐体状の第1貯留部42と、搬送方向が軸方向とされ、第1貯留部42内に貯留された洗浄液Sに回転しつつ接触することにより、その洗浄液Sが表面に保持されて第1膜液46(図3参照)とされる第1ローラー44と、を有している。
第1ローラー44は、図示しない駆動モーターにより図示の矢印R方向(相対的に移動してくるノズル面21に対して相対速度が増加する方向)へ回転駆動されている。これにより、第1ローラー44の表面に保持された洗浄液S(第1膜液46)が、その矢印Rで示す周方向に流れるようになっている。
第2メンテナンス装置50は、搬送方向が長手方向とされ、除去液の一例としての純水Wが貯留された筐体状の第2貯留部52と、搬送方向が軸方向とされ、第2貯留部52内に貯留された純水Wに回転しつつ接触することにより、その純水Wが表面に保持されて第2膜液56(図3参照)とされる第2ローラー54と、を有している。
第2ローラー54は、図示しない駆動モーターにより図示の矢印R方向(相対的に移動してくるノズル面21に対して相対速度が増加する方向)へ回転駆動されている。これにより、第2ローラー54の表面に保持された純水W(第2膜液56)が、その矢印Rで示す周方向に流れるようになっている。
また、第1メンテナンス装置40は、ノズル面21に対して第1膜液46(洗浄液S)のみが接触するように(第1ローラー44は非接触となるように)、ノズル面21に対する第1ローラー44の高さ位置が適宜設定されている。すなわち、ノズル面21と第1ローラー44との間には上下方向にギャップGが形成されるようになっている。
同様に、第2メンテナンス装置50は、ノズル面21に対して第2膜液56(純水W)のみが接触するように(第2ローラー54は非接触となるように)、ノズル面21に対する第2ローラー54の高さ位置が適宜設定されている。すなわち、ノズル面21と第2ローラー54との間にも上下方向にギャップGが形成されるようになっている。
また、ノズル面21を湿潤させる第1膜液46の洗浄液Sの表面張力は、第2膜液56の純水Wの表面張力よりも小さくされている。具体的には、純水Wの表面張力が70mN/m以上とされているのに対し、洗浄液Sの表面張力は、40mN/m以下(30mNm〜40mNm)とされている。これにより、第2膜液56の純水が、ノズル面21に残存する第1膜液46の洗浄液Sを吸収して除去可能になっている。
ここで、例えば水性インクを用いて印刷するインクジェット記録装置10の場合、洗浄液Sとしては、アルカリイオン水を使用することが望ましく、更にはpHが10以上となるアルカリイオン水を用いることが望ましい。アルカリイオン水は、その特性として優れた浸透作用を有しているが、pHが10以上のアルカリイオン水は、その浸透特性が特に高いからである。また、アルカリイオン水は、表面張力が純水Wに比べて低く、洗浄するインクジェット記録ヘッド20のノズル面21に対する腐食性が少ないからである。
そして、そのアルカリイオン水には、水溶性有機溶剤としてのアルコールや界面活性剤を含有させることが望ましい。特に、低粘度の水溶性有機溶剤は、洗浄液Sの浸透を高められるため、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21に付着した凝集された汚染物質Tのノズル面21との界面への浸透性が向上され、そのノズル面21からの汚染物質Tの剥離性が向上される。
なお、低粘度の水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノールなどの低級アルコール類が特に望ましく、その使用量は、5重量%〜35重量%が望ましい。また、アルカリイオン水には、洗浄中の乾燥を抑制し、回収した汚染物質Tのノズル面21への再付着を防止する観点から、沸点が150℃以上の水溶性有機溶剤を1重量%〜20重量%添加することが望ましい。
150℃以上の水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、チオジグリコール等の多価アルコール類やポリアルキレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びグリセリンが望ましく、特にグリコールエーテル類が比較的低粘度で、浸透性を高める効果を有しているので望ましいが、これに限定されるものではない。
また、浸透向上剤としての界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が挙げられるが、一般的なインク中に含まれている材料は、ノニオン性又はアニオン性が多いことから、界面活性剤もノニオン性又はアニノン性を使用することが望ましい。また、その使用量は、0.05重量%〜0.50重量%が望ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。
また、アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルアリル又はアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等が挙げられる。
なお、洗浄液Sとしてのアルカリイオン水に緩衝剤を添加してもよく、緩衝剤に由来するナトリウムイオン、カリウムイオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、乳酸イオン、ピロリン酸イオン、フッ素イオン、塩素イオン等のイオンを含有させてもよい。緩衝剤を添加することにより、アルカリイオン水としての特性が長期間に亘って保持される。
また、第1メンテナンス装置40における第1貯留部42では、図示しない配管によって洗浄液Sが循環されるように構成されており、その配管には図示しないフィルター等が設けられている。そして、第2メンテナンス装置50における第2貯留部52でも、図示しない配管によって純水Wが循環されるように構成されており、その配管には図示しない分離装置等が設けられている。
したがって、第1貯留部42に回収された汚染物質Tや第2貯留部52に回収された洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)は、フィルターや分離装置等によって捕捉・分離されて除去されるようになっている。そして、汚染物質Tが除去された洗浄液Sや純水Wは、再び第1貯留部42や第2貯留部52へ供給されて再利用されるようになっている。
以上のような構成とされた第1実施形態に係る清掃装置(第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50)を備えたインクジェット記録装置10において、次にその作用について説明する。
インクジェット記録ヘッド20のノズル面21を清掃する際には、第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50に対して、インクジェット記録ヘッド20を、その長手方向(記録用紙Pの幅方向)へ移動させる。換言すれば、図3、図4に示されるように、第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50を相対的にインクジェット記録ヘッド20の長手方向へ移動させる。
すると、第1メンテナンス装置40の第1ローラー44が、ノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、その表面に保持した洗浄液Sからなる第1膜液46をノズル面21に接触させる。すなわち、ノズル面21と第1ローラー44との間に第1膜液46の洗浄液Sを架橋させる。
これにより、ノズル面21が第1膜液46の洗浄液Sによって湿潤され、ノズル面21に付着していた増粘インク(固化した高粘度インク)や異物(紙粉)等の凝集された汚染物質Tの界面に、その洗浄液Sが浸透される。すると、図4に示されるように、その汚染物質Tがノズル面21から剥がれ落ちて第1貯留部42に回収されるが、ノズル面21には、第1膜液46の洗浄液Sが残存する。
よって、第1メンテナンス装置40の第1ローラー44に後続して、第2メンテナンス装置50の第2ローラー54が、ノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、その表面に保持した純水Wからなる第2膜液56をノズル面21に接触させる。すなわち、ノズル面21と第2ローラー54との間に第2膜液56の純水Wを架橋させる。
これにより、ノズル面21に残存する第1膜液46の洗浄液Sが、第2膜液56の純水Wによって吸収されつつ除去される。特に、純水Wは、洗浄液Sよりも表面張力が大きく、ノズル面21に残存し難いので、ノズル面21に残存していた洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)は、その純水Wによってノズル面21から効率よく除去されて第2貯留部52に回収される。
このように、第1実施形態に係る清掃装置(第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50)では、ノズル面21を表面張力の小さい(表面張力が40mNm以下の)第1膜液46(洗浄液S)で洗浄した後、そのノズル面21に残存する第1膜液46(洗浄液S)を、表面張力の大きい(表面張力が70mNm以上の)第2膜液56(純水W)で吸収して除去する。
したがって、ノズル面21を表面張力の小さい第1膜液46で洗浄した後、そのノズル面21に残存する第1膜液46を、表面張力の大きい第2膜液56で除去しない構成や、第2膜液56の表面張力が、第1膜液46の表面張力よりも小さい場合に比べて、第1膜液46が、そのノズル面21に残存するのが抑制又は防止される。
よって、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21に第1膜液46(洗浄液S)が残存することによるノズルからのインク吐出不良が抑制又は防止され、インクジェット記録ヘッド20による画像品質が安定化される。また、このように、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21が効率よく、かつ効果的に清掃されるため、インクジェット記録ヘッド20の交換寿命も延びる。
また、第1実施形態に係る清掃装置(第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50)では、第1ローラー44及び第2ローラー54の回転方向が、相対的に移動してくるノズル面21に対して相対速度が増加する方向とされている。したがって、第1ローラー44及び第2ローラー54の回転方向が、相対的に移動してくるノズル面21に対して相対速度が減少する方向(矢印R方向と逆方向)とされている場合に比べて、第1膜液46が、そのノズル面21に残存するのが抑制又は防止される。
更に、第1実施形態に係る清掃装置(第1メンテナンス装置40及び第2メンテナンス装置50)では、ノズル面21に対し、第1膜液46(洗浄液S)及び第2膜液56(純水W)だけが接触し、第1ローラー44及び第2ローラー54は接触することがない。したがって、例えばブレードからなる清掃部材(図示省略)がノズル面21に接触して清掃する構成に比べて、ノズル面21の特にノズルの縁部における撥水処理膜に対して与えるダメージ(摩耗劣化)や異物をノズルに押し込むなどの不具合の発生が抑制又は防止される。
なお、第1貯留部42に回収された汚染物質Tは、循環される洗浄液Sと共に配管を流れ、配管の途中に設けられたフィルター等によって捕捉されて除去される。また、第2貯留部52に回収された洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)は、循環される純水Wと共に配管を流れ、配管の途中に設けられた分離装置等によって純水Wと分離されて除去される。そして、汚染物質Tが除去された洗浄液Sや純水Wは、再び第1貯留部42や第2貯留部52へ供給され、再利用される。
<第2実施形態>
次に、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21を清掃する第2実施形態に係る清掃装置、即ち第1メンテナンス装置40、第2メンテナンス装置50及び第3メンテナンス装置60について説明する。なお、上記第1実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用を含む)は適宜省略する。
次に、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21を清掃する第2実施形態に係る清掃装置、即ち第1メンテナンス装置40、第2メンテナンス装置50及び第3メンテナンス装置60について説明する。なお、上記第1実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用を含む)は適宜省略する。
図5に示されるように、第2実施形態に係る清掃装置では、第1メンテナンス装置40と第2メンテナンス装置50との間に、第1メンテナンス装置40による湿潤だけでは剥離不能な汚染物質Tを払拭して除去する第3メンテナンス装置60が配設されている。すなわち、第3メンテナンス装置60には、ノズル面21を払拭するための清掃布70が備えられている。
詳細に説明すると、第3メンテナンス装置60は、第2メンテナンス装置50側に配置され、清掃布70を繰り出す繰出ロール62と、第1メンテナンス装置40側に配置され、清掃布70を回収する回収ロール64と、清掃布70をノズル面21に接触可能な高さ位置で平面状に張架する一対の支持ロール66と、一対の支持ロール66によって平面状に張架された清掃布70を上方へ付勢する加圧ロール68と、を有している。
繰出ロール62、回収ロール64、一対の支持ロール66及び加圧ロール68は、それぞれ搬送方向が軸方向とされており、加圧ロール68は、付勢手段の一例としてのコイルバネ72によって上方(記録用紙Pの幅方向に移動してくるインクジェット記録ヘッド20のノズル面21)へ向けて付勢されている。
なお、清掃布70は、ノズル面21に対する上下方向のギャップGを設けないため、第1ローラー44及び第2ローラー54よりも上方へ突出している。また、清掃布70の繰出方向(矢印Bで示す)も、第1ローラー44及び第2ローラー54の回転方向と同様に、相対的に移動してくるノズル面21に対して相対速度が増加する方向とされている。
そして、図示しないが、繰出ロール62から繰り出される清掃布70には、第1実施形態における洗浄液Sと同等の洗浄液Sが含浸されるように構成されている。これにより、ノズル面21に対する清掃布70の摺動抵抗が低減され、ノズル面21の撥水処理膜に対して与えるダメージ(摩耗劣化)が抑制される構成になっている。なお、清掃布70は、ポリエステル樹脂やナイロン樹脂等の織布であることが望ましい。
更に、第3メンテナンス装置60は、図示の払拭可能位置から下方の退避位置(図示省略)へ移動可能(昇降可能)に構成されている。つまり、第3メンテナンス装置60は、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21の汚染具合に応じて適宜配設されるようになっている。これにより、第3メンテナンス装置60が常時配設されている構成に比べて、ノズル面21の撥水処理膜に対して与えるダメージ(摩耗劣化)が更に抑制される構成になっている。
以上のような構成とされた第2実施形態に係る清掃装置(第1メンテナンス装置40、第2メンテナンス装置50及び第3メンテナンス装置60)を備えたインクジェット記録装置10において、次にその作用について説明する。
インクジェット記録ヘッド20のノズル面21を清掃する際には、第1メンテナンス装置40、第3メンテナンス装置60及び第2メンテナンス装置50に対して、インクジェット記録ヘッド20を、その長手方向(記録用紙Pの幅方向)へ移動させる。換言すれば、図6、図7に示されるように、第1メンテナンス装置40、第2メンテナンス装置50及び第3メンテナンス装置60を相対的にインクジェット記録ヘッド20の長手方向へ移動させる。
すると、第1メンテナンス装置40の第1ローラー44が、ノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、その表面に保持した洗浄液Sからなる第1膜液46をノズル面21に接触させる。すなわち、ノズル面21と第1ローラー44との間に第1膜液46の洗浄液Sを架橋させる。
これにより、ノズル面21が第1膜液46の洗浄液Sによって湿潤され、ノズル面21に付着していた増粘インク(固化した高粘度インク)や異物(紙粉)等の凝集された汚染物質Tの界面に、その洗浄液Sが浸透される。すると、その汚染物質Tの一部がノズル面21から剥がれ落ちて第1貯留部42に回収されるが、ノズル面21には、第1膜液46の洗浄液Sだけでは剥離不能な汚染物質Tや第1膜液46の洗浄液Sが残存する。
そこで、第1メンテナンス装置40の第1ローラー44に後続して、第3メンテナンス装置60の清掃布70が、ノズル面21に対して面接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、そのノズル面21に残存している第1膜液46の洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)やノズル面21に未だに付着している汚染物質Tを払拭して除去する。
ここで、清掃布70には、洗浄液Sが含浸されている。そのため、清掃布70が払拭したノズル面21には、清掃布70で払拭しきれなかった第1膜液46の洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)と清掃布70の洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)とが残存する。
よって、第3メンテナンス装置60の清掃布70に後続して、第2メンテナンス装置50の第2ローラー54が、ノズル面21に対して非接触状態でノズル面21の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、その表面に保持した純水Wからなる第2膜液56をノズル面21に接触させる。すなわち、ノズル面21と第2ローラー54との間に第2膜液56の純水Wを架橋させる。
これにより、ノズル面21に残存する第1膜液46の洗浄液S及び清掃布70の洗浄液Sが、第2膜液56の純水Wによって吸収されつつ除去される。特に、純水Wは、洗浄液Sよりも表面張力が大きく、ノズル面21に残存し難いので、清掃布70によって払拭された後にノズル面21に残存していた第1膜液46の洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)及び清掃布70の洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)は、その純水Wによってノズル面21から効率よく除去されて第2貯留部52に回収される。
このように、第2実施形態に係る清掃装置(第1メンテナンス装置40、第2メンテナンス装置50及び第3メンテナンス装置60)では、ノズル面21を表面張力の小さい(表面張力が40mNm以下の)第1膜液46(洗浄液S)で洗浄し、次いで洗浄液Sが含浸された清掃布70で払拭した後、そのノズル面21に残存する第1膜液46の洗浄液S及び清掃布70の洗浄液Sを、表面張力の大きい(表面張力が70mNm以上の)第2膜液56(純水W)で吸収して除去する。
したがって、上記第1実施形態と同等の作用効果が得られるとともに、第1メンテナンス装置40と第2メンテナンス装置50との間に、インクジェット記録ヘッド20のノズル面21に面接触して、そのノズル面21を清掃する清掃布70を有する第3メンテナンス装置60が配設されていない構成に比べて、そのノズル面21がより効果的に清掃される。
以上、本実施形態に係るインクジェット記録装置10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係るインクジェット記録装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、第2実施形態において、第3メンテナンス装置60が、インクジェット記録装置10に対して着脱可能に構成されていてもよい。
また、インクジェット記録ヘッド20が、その長手方向(記録用紙Pの幅方向)に移動する構成に限定されるものではなく、第1メンテナンス装置40、第2メンテナンス装置50、第3メンテナンス装置60が、インクジェット記録ヘッド20の長手方向に移動するように構成されていてもよい。
また、第1ローラー44及び第2ローラー54は、それぞれの駆動モーターによって独立して回転駆動される構成に限定されるものではなく、1つの駆動モーターから、図示しないギア群を介して駆動力が伝達されて回転駆動される構成とされていてもよい。また、第1ローラー44及び第2ローラー54の回転速度は、特に限定されない。
更に、第1ローラー44の回転速度と第2ローラー54の回転速度とは同一とされるように構成されていてもよいし、互いに異なるように構成されていてもよい。また、第1ローラー44及び第2ローラー54の回転方向が図示のものと逆方向とされていてもよい。また、湿潤液は、上記洗浄液Sに限定されるものではなく、除去液も、純水Wに限定されるものではない。例えば、除去液は、精製水などでもよい。
また、第2貯留部52に回収された洗浄液S(汚染物質Tを捉えた洗浄液Sを含む)は、分離装置等によって純水Wと分離されて除去される構成に限定されるものではなく、そのまま排出されるように構成されていてもよい。つまり、純水Wは、第2貯留部52に対して、供給及び排出されるだけの構成とされていてもよく、循環される構成とされていなくてもよい。
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置10は、複写機、プリンター複合機、ワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置等、記録用紙P上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されるものではなく、例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製等にも適用することが可能である。
すなわち、本実施形態における「記録媒体」は、記録用紙Pに限定されるものではなく、例えば、OHPシートや配線パターン等が形成される基板なども含まれる。そして、本実施形態における「画像」は、一般的な画像(文字、絵、写真等)のみならず、インク滴が記録媒体上に着弾されることで得られるドットのパターン(配線パターン)なども含まれる。
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置の一例)
20 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)
21 ノズル面
40 第1メンテナンス装置
44 第1ローラー
46 第1膜液
50 第2メンテナンス装置
54 第2ローラー
56 第2膜液
60 第3メンテナンス装置
70 清掃布
P 記録用紙(記録媒体の一例)
20 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)
21 ノズル面
40 第1メンテナンス装置
44 第1ローラー
46 第1膜液
50 第2メンテナンス装置
54 第2ローラー
56 第2膜液
60 第3メンテナンス装置
70 清掃布
P 記録用紙(記録媒体の一例)
Claims (6)
- 搬送される記録媒体の幅方向が長手方向とされ、ノズル面に形成されたノズルから前記記録媒体に対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第1膜液が形成され、前記ノズル面に対して非接触状態で該ノズル面の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、前記第1膜液により前記ノズル面を洗浄する第1ローラーを有する第1メンテナンス装置と、
回転駆動されるとともに表面に周方向に流れる第2膜液が形成され、前記第1ローラーに後続して、前記ノズル面に対して非接触状態で該ノズル面の長手方向一端部側から他端部側まで相対的に移動しつつ、前記第2膜液により前記ノズル面に残存する前記第1膜液を除去する第2ローラーを有する第2メンテナンス装置と、
を備えた液滴吐出装置。 - 前記第1膜液が、前記ノズル面を湿潤させる湿潤液とされ、
前記第2膜液が、前記ノズル面に残存する前記第1膜液の湿潤液を吸収して除去する除去液とされている請求項1に記載の液滴吐出装置。 - 前記第1膜液の表面張力が、前記第2膜液の表面張力よりも小さい請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置。
- 前記第1膜液の表面張力が、40mN/m以下であり、
前記第2膜液の表面張力が、70mN/m以上である請求項3に記載の液滴吐出装置。 - 前記第1ローラー及び前記第2ローラーの回転方向が、相対的に移動してくる前記ノズル面に対して相対速度が増加する方向とされている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
- 前記第1メンテナンス装置と前記第2メンテナンス装置との間に、前記ノズル面に接触して該ノズル面を清掃する清掃布を有する第3メンテナンス装置が配設されている請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
Priority Applications (1)
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JP2019162733A (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | 株式会社リコー | 払拭装置、払拭ユニット、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置 |
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-
2016
- 2016-08-31 JP JP2016170177A patent/JP2018034452A/ja active Pending
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