本発明の実施は、特に明記しない限り、有機化学、ポリマー技術、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術および記載を用いてよく、それは当該分野の技術の範囲内である。このような従来の技術には、ポリマーアレイ合成、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、ファージディスプレイおよび標識を使用したハイブリダイゼーションの検出が含まれる。適切な技術の特定の例示は、本願の実施例を参照することによって得ることができる。しかし、当然ながら、その他の同等な従来方法もまた使用することができる。このような従来の技術および記述は、標準的な実験室マニュアル(たとえば、Genome Analysis:A Laboratory Manual Series(Vols.I−IV),Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cells:A Laboratory Manual,PCR Primer:A Laboratory Manual,and Molecular Cloning:A Laboratory Manual(all from Cold Spring Harbor Laboratory Press),Stryer,L.(1995)Biochemistry(4th Ed.)Freeman,New York,Gait,“Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach”1984,IRL Press,London,Nelson and Cox(2000),Lehninger,Principles of Biochemistry 3rd Ed.,W.H.Freeman Pub.,New York,N.Y.and Berg et al.(2002)Biochemistry,5th Ed.,W.H.Freeman Pub.,New York,N.Y.)に見出すことができ、これらは全部、全ての目的でその全体が参照により本明細書に援用される。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数形の不定冠詞および定冠詞は、その内容が明確に他のことを指示しない限り、複数の対象物を含む。したがって、たとえば「ポリメラーゼ」に対する言及は、このような物質類の1つの物質または混合物をいう。また、「方法」に対する言及は、当業者に公知の同等な工程および方法等を含む。
別途定義されない限り、ここで用いる技術用語および科学用語は、本発明が属する技術における通常の熟練者が共通に理解するのと同じ意味を有する。ここで述べる全ての刊行物は、その刊行物に記載される装置、組成物、製材および方法を記載および開示する目的で、本明細書の一部として援用され、これらはここに記載する発明に関連して使用されるであろう。
ある値の範囲が与えられる場合、内容的に明確に他のことが指示されない限り、それは各介在値、下限の単位の10分の1、その範囲の上限および下限の間および任意の他の述べられた、または述べられた範囲内の介在値が、本発明の中に包含されるものと理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、明示された範囲内の任意の特定の排除された限界に従うことを条件として、独立してこのより小さな範囲に含まれてよく、これもまた本発明に包含される。明示された範囲がこの限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれた限界の両方のいずれかを除く範囲もまた、本発明に含まれる。
以下の記述において、多数の特定の詳細は、本発明のより完全な理解を提供するために記載される。しかし、本発明がこれらの特定の詳細の1つまたは複数なしで実施されてよいことは、当業者には明らかであろう。その他の例において、当業者に周知の特徴および手順は、発明を不明瞭にすることを回避するために記述していない。
本明細書で使用される「を含む」の用語は、組成物および方法が詳述された要素を含むことを意味する旨を意図しているが、その他を除外していない。組成物および方法を定義するために用いるときに、「本質的になる」は、組成物または方法に必須の何らかの重要なもの以外の要素を除外することを意味する。「からなる」は、請求項に記載された組成物のその他の成分のうちの微量要素より多いもの、および実質的方法工程を除くことを意味するものとする。これら移行用語の各々により定義された実施形態は、本発明の範囲内である。したがって、方法および組成物は、さらなる工程および成分を含むことができる(含むこと)、あるいは重要性でない工程および組成を含むこと(本質的になること)が意図されており、あるいは明示された方法工程または組成だけ(からなること)が意図される。
全ての数値指定、たとえばpH、温度、時間、濃度および分子量は、範囲を含み、0.1の増分だけ変化する(+)または(−)近似値である。また、常に明示的に述べられるものではないが、全ての数値指定には、「約」が先行するものと理解されるべきである。「約」の用語は、正確な値「X」に加えて小さな増分を加えたもの、たとえば「X+0.1」または「X−0.1」を含む。必ずしも明示されないが、本明細書において記述した薬剤は単なる例示に過ぎず、その均等物が当該技術分野において公知であることも理解されるべきである。
「組成物」は、薬剤または化合物を含む任意の物質を含んでよく、また薬剤または化合物およびその他の物質の任意の組み合わせを包含することが意図され、これらはアジュバント、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝液、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどの、担体、たとえば化合物または組成物、不活性なもの(たとえば、検出可能な薬剤または標識)または活性なものを含む。また、担体は、薬学的賦形剤および添加剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭化水素(たとえば、糖、単糖類、二等類、三糖類、四糖類およびオリゴ糖類を含む糖類;アルジトール、アルドン酸、エステル化された糖などの糖誘導体;および多糖または糖ポリマー)を含み、それらは単一または組み合わせにおいて存在することができ、単独または組み合わせで1〜99.99重量%または容量%を含む。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン等などの血清アルブミンを含む。緩衝能力においても機能することができる代表的なアミノ酸/抗体成分は、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等を含む。炭化水素賦形剤もまた本発明の範囲内であり、その例はフルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等などの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース等などの二糖類;ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン等などの多糖類;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)およびミオイノシトールなどのアルジトール類を含むが、限定されない。
薬理学的に許容される担体(または媒体)の用語は、生物学的に適合可能な担体または媒体の用語と互換的に用いられてよく、治療的に投与されるべき細胞および他の薬剤と適合性であるだけでなく、信頼できる医学的判断の範囲内にある薬剤、細胞、化合物、材料、組成物および/または投与量形態をいうが、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応または他の厄介な問題を伴わずに、合理的な利益/リスク比と釣り合った状態で人間および動物の組織に接触して使用するのに適する。本発明における使用に適した薬学的に許容可能な担体は、液体、半固体(たとえば、ゲル)および固体物質(たとえば、細胞足場およびマトリックス、管、シートおよび当該技術において公知かつ本明細書でさらに詳細に記載する他のこのような材料)を含む。これらの半固体材料および固体材料は、身体内での分解に抵抗するように設計されてよく(非バイオ分解性)、またはこれらは、身体内で分解するように(バイオ分解性、バイオ侵食性)設計されてもよい。バイオ分解性の材料は、さらに生体再吸収性または生体吸収型でもよい。すなわち、これは体液中に溶解および吸収されてよく(水溶性インプラントが一例である)、または天然経路を介した他の物質への変換または破壊および除去によって分解され、最終的には身体から除去され得る。
本明細書で使用される「患者」または「被験体」の用語は、動物、哺乳動物、さらにヒト患者を意図する。例示のみの目的で言えば、哺乳動物はヒト、サル、マウス、ウシ、ウマ、ブタまたはヒツジを含むが、限定されない。
本明細書において使用される「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」の用語は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはそれらの任意の組み合わせで構成される短いポリマーをいう。オリゴヌクレオチドは、一般に、少なくとも約10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上のヌクレオチドの長さである。オリゴヌクレオチドは、プライマーまたはプローブとして使用され得る。
「アミノ酸」の用語は、天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸類似体および疑似アミノ酸をいう。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子暗号によってコードされたもの、並びに後で修飾されたこれらのアミノ酸、たとえばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち水素、カルボキシ基、アミノ基およびR基に結合するα炭素を有する化合物、たとえばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムをいう。このような類似体は、修飾されたR基(たとえば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。疑似アミノ酸とは、アミノ酸の一般的な化学的構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸に類似した機能を有する化学的化合物をいう。
本明細書で使用される「単離された」の用語は、たとえば70%、80%、85%、90%、95%または98%を上回る他の材料を実質的に含まない分子または生物学的材料または細胞材料をいう。一つの態様において、「単離された」の用語は、天然源に存在し、かつその天然のまたは天然の状態に存在する場合には達成できない結果を達成するようにその材料の操作、たとえば組換え複製または突然変異による操作を可能にする、それぞれその他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチドまたは細胞もしくは細胞オルガネラまたは組織もしくは器官から分離された、DNAもしくはRNAなどの核酸またはタンパク質もしくはポリペプチドまたは細胞もしくは細胞オルガネラまたは組織もしくは器官をいう。また、「単離された」の用語は、組換えDNA技術により製造されるときは細胞材料、ウイルス材料または培地を、または化学的に合成されるときは化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない核酸またはペプチドをいう。さらに、「単離された核酸」は、断片として天然に存在しない、および天然状態では見出されない核酸断片を含むことを意味する。また、「単離された」の用語は、他の細胞タンパク質から単離されるポリペプチドをいうために本明細書において使用され、また、たとえば70%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を上回る純度を持った精製および組換えポリペプチドを包含することを意味する。また、「単離された」の用語は、他の細胞または組織から単離される細胞または組織をいうために本明細書において使用され、また培養および操作された細胞または組織を包含することを意味する。
「組換え」核酸は、通常は一緒に存在しないであろう2つ以上の配列を結合することによって作製される人工の核酸をいう。一つの実施形態において、これは、抗生物質耐性などの特定の目的のために異なる形質をコードし、または変化させるために、バクテリアのプラスミドなどの既存の生物DNAに関連DNAを導入することを介して創製される。「組換え」ポリペプチドは、組換え核酸に由来するポリペプチドである。
本明細書で使用される「プロモーター」の用語は、遺伝子の直接の転写に十分な核酸配列をいう。また、本発明には、プロモーター依存的な遺伝子発現を、外部のシグナルまたは薬剤によって細胞タイプ特異性、組織特異性または誘導性について制御可能にするために十分なこれらのプロモーターエレメントが含まれる。
いくつかの実施形態において、プロモーターは、誘導性プロモーターまたは分離したプロモーターである。誘導性プロモーターは、化学的条件または温度もしくは光などの物理的な条件によってオンにすることができる。化学的プロモーターの例は、アルコールで調節されるプロモーター、テトラサイクリンで調節されるプロモーター、ステロイドで調節されるプロモーター、金属で調節されるプロモーターおよび病原性関連のプロモーターを含むが、限定されない。分離したプロモーターの例は、たとえば、Wolfe et al.Molecular Endocrinology 16(3):435−49に見出すことができる。
本明細書で使用される「調節エレメント」の用語は、遺伝子の転写を調節できる核酸配列をいう。調節エレメントの非限定的な例は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサ、ポリアデニル化シグナル、転写終始配列を含む。調節エレメントは、天然の遺伝子の5’または3’領域に、またはイントロンの中に存在してよい。
種々のタンパク質もまた、そのヒトタンパク質およびコード配列について、これらのGenBank目録番号と共に本明細書に開示される。しかし、タンパク質は、開示されたGenBank目録番号により表されるアミノ酸配列を有するヒト由来タンパク質に限定されず、その他の動物から、特に、温血動物(たとえば、ラット、モルモット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、その他)由来アミノ酸配列を有してもよい。
本明細書で使用される「Toso」、「FAIM3」または「Fasアポトーシス阻害分子3」の用語は、代表的なToso配列のいずれかと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をいい、GenBank目録番号NP_001135945(ヒトアイソフォームb)、NP_001180267(ヒトアイソフォームc)、NP_005440(ヒトアイソフォームa)、NP_081252(マウス)またはNP_001014843(ラット)の全てのバージョンを含む。Tosoをコードする適切なcDNAは、GenBank目録番号NM_001142473、NM_001193338、NM_005449、NM_026976およびNM_001014843に提供されている。
本明細書で使用される「Tosoの生物学的活性」または「Toso活性」の用語は、全長天然Tosoタンパク質に関連した任意の生物学的活性をいう。いくつかの実施形態において、Tosoの生物学的活性は、IgM抗体に結合することをいう。さらなる実施形態において、Tosoの生物学的活性は、CD11bまたはCD18活性を阻害することをいう。さらに他の実施形態において、Tosoの生物学的活性は、顆粒球の活性化閾値を増加させることをいう。活性化閾値は、骨髄からの活性顆粒球の数によって測定することができる。さらなる実施形態において、Tosoの生物学的活性は、樹状細胞およびT細胞に抗原を提示するその能力の活性化を含む。さらなる実施形態において、Tosoの生物学的活性は、アポトーシスの阻害またはTNFシグナリングの増強を含む。いくつかの実施形態において、Toso生物学的活性は、GenBank目録番号NP_001135945、NP_001180267、NP_005440、NP_081252またはNP_001014843(これら目録番号の全てのバージョンを含む)によって表されるアミノ酸配列を有するタンパク質の活性に等しい。
本明細書で使用される「CD11b、「ITGAM」または「ITGAMインテグリン、アルファM(補体コンポーネント3受容体3サブユニット)」は、実質的にGenBank目録番号NP_000623の代表的なCD11b配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をいう。CD11bをコードする適切なcDNAは、GenBank目録番号NM_000632で与えられる。
本明細書で使用される「CD11bの生物学的活性」の用語は、全長天然CD11bタンパク質に関連した任意の生物学的活性をいう。一つの実施形態において、CD11bの生物学的活性は、白血球特異的なインテグリンを形成するためにβ2鎖(ITGB2)と結合することをいう。適切な実施形態において、CD11b生物学的活性は、GenBank目録番号NP_000623によって表されるアミノ酸配列を有するタンパク質の活性に等しい。転写活性の測定は、免疫組織化学、リポーターアッセイまたはRT−PCRなどの任意の公知の方法を使用して行うことができる。
本明細書で使用される「CD18」、「ITGB2」または「ITGB2インテグリン、β2(補体コンポーネント3受容体3および4サブユニット)」の用語は、実質的にGenBank目録番号NP_000202の代表的なCD18配列と同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をいう。CD18をコードする適切なcDNAコードは、GenBank目録番号NM_000211で与えられる。
本明細書で使用される「治療すること」の用語は、疾患または障害の少なくとも一つの有害作用または症状を減少させ、緩和させ、反転させ、または予防することによって患者の状態を改善する目的のために、医薬組成物を投与することをいう。
本明細書で使用される「予防すること」の用語は、疾患に対する増加した感受性を有するが、疾患の症状をまだ示していない被験体(すなわち、患者)を同定し、およびこの開示の原則にしたがった療法を施すことをいう。予防療法は、感受性の被験体が後で症状性になる可能性を低減するように、または予防療法が存在しない場合よりも疾患が発症もしくは進行を遅延されるように設計される。被験体は、たとえば疾患もしくは他の退行性脳障害の家族歴を同定すること、または疾患もしくは疾患に対する感受性を示す1つまたは複数の診断マーカーを有することによるものを含む、任意の適切な方法により、疾患を発症する増大した可能性を有するとして同定される可能性がある。
本明細書で使用される「試料」または「試験試料」の用語は、核酸を含む任意の液体または固体物質をいう。適切な実施形態において、試験試料は、培養物または動物(最も好ましくはヒト)由来の組織試料中の細胞などの、生物学的供与源(すなわち、「生体試料」)から得られる。
本明細書で使用される「実質的に同一である」の用語は、タンパク質またはポリペプチドをいうときには、参照アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を有するものを意味する。比較の長さは、好ましくはポリペプチドまたはタンパク質の全長であるが、一般に少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、80または100またはそれ以上の連続アミノ酸である。「実質的に同一の」核酸とは、引用核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。比較の長さは、好ましくは核酸の全長であるが、一般に、少なくとも20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、75ヌクレオチド、100ヌクレオチド、125ヌクレオチドまたはそれ以上である。
本明細書で使用される「アミノ酸置換」または「置換」は、他のアミノ酸を持つ開始ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の置換をいう。たとえば置換M23Yは、位置23においてメチオニンがチロシンで置換された変異体ポリペプチドをいう。
タンパク質または核酸の「生物学的同等物」とは、アミノ酸配列または核酸配列によって当該タンパク質または核酸と実質的に同一であるか、または当該タンパク質もしくは核酸と同等な生物学的活性を有するタンパク質または核酸をいう。
本明細書で使用される「有効量」の用語は、患者に医学的な利益を提供するために十分な頻度で送達される化合物(たとえば、Tosoタンパク質または生物活性これらの断片)の量をいう。一つの実施形態において、タンパク質の有効量は、疾患の症状を治療し、または寛解させるために十分な量である。
細胞の集団とは、表現型および/または遺伝子型において同一の(クローン性の)、または同一でない複数の細胞のコレクションを意図する。
「実質的に均一な」とは、細胞の約50%超、約60%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、または約95%超が同一もしくは類似の発現型である細胞の集団を記述する。表現型は、予め選択された細胞表面マーカーまたはその他のマーカーによって決定することができる。
自家転植(autologous transfer)、自家移植(autologous transplantation)および自家移植片等の用語は、細胞ドナーが細胞移植治療のレシピエントでもある場合の治療をいう。同種転植、同種移植、および同種移植片等の用語は、細胞ドナーが細胞置換療法レシピエントと同じ種であるが、同じ個体ではない場合の治療をいう。ドナーの細胞がレシピエントと組織適合性においてマッチングしている場合の細胞移植は、しばしば、同系移植と称される。異種転植、異種移植、異種移植片等の用語は、細胞ドナーが細胞補充療法のレシピエントとは異なる種である場合の治療をいう。
本明細書で使用されるとき、「抗体」は、抗体の全体およびその任意の抗原結合性断片もしくは単鎖を含む。したがって、「抗体」の用語には、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む任意のタンパク質またはペプチドを含む。このような例には、重鎖もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分の領域、重鎖もしくは軽鎖の可変領域、重鎖もしくは軽鎖の定常領域(フレームワーク(FR)領域またはその任意の部分)または結合性タンパク質の少なくとも一部を含むが、限定されない。一般に、「抗体」の用語は、CH1、CH2、CH3およびCLを含むが、限定されない少なくとも1つの定常ドメインを含む任意のポリペプチドを含む。本発明における使用を見出す抗体は、伝統的な抗体、並びに抗体の誘導体、断片および疑似物を含む本明細書において記述した多数の形式を取ることができる。
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであることができ、任意の適切な生物学的供与源、たとえばマウス、ラット、ヒツジおよびイヌから単離することができる。
モノクローナル抗体は、細胞またはハイブリドーマの単一のクローンによって産生される抗体であり、したがって、単一の純粋で均質なタイプの抗体である。
ハイブリドーマは、抗体産生リンパ球および非抗体産生癌細胞、通常は骨髄腫またはリンパ腫の融合により研究室において産生される細胞である。ハイブリドーマは、増殖し、特異的モノクローナル抗体の連続的供給源を生じる。
本明細書で使用される「ヒト抗体」の用語は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基を含んでよい(たとえば、インビトロでのランダムなもしくは部位特異的突然変異誘発によって、またはインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)。しかし、本明細書で使用される「ヒト抗体」の用語は、マウスなどのもう一つの哺乳動物種の生殖系細胞に由来するCDR配列がフレームワーク上に移植されている抗体を含むことは意図されない。したがって、本明細書で使用されるとき、「ヒト抗体」の用語は、タンパク質の実質的にあらゆる部分(たとえば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(たとえば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH))が、軽微な配列の変化または変異を伴うだけで、実質的にヒトにおいて非免疫原性である抗体をいう。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジー等)、齧歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)および他の哺乳類を指定した抗体は、このような種、亜属、属、サブファミリー、ファミリー特異的抗体を指定する。さらに、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含む。このような変化または変異は、任意にかつ好ましくは、非改変抗体と比較して、ヒトまたは他の種における免疫原性を保持し、または減少させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体とは異なる。ヒト抗体は、機能的に再編成されたヒト免疫グロブリン(たとえば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現できる非ヒト動物または原核細胞もしくは真核細胞により産生できることが示される。さらに、ヒト抗体が単鎖抗体であるとき、これは天然のヒト抗体には見られないリンカーペプチドを含むことができる。たとえば、Fvは、2〜約8個のグリシンまたはその他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含むことができ、これは重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域を結合する。このようなリンカーペプチドは、ヒト起源であると考えられる。
本明細書で使用される、ヒト抗体は、抗体がヒト免疫グロブリン配列を使用する系から、たとえばヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを免疫化することによって、またはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって得られる場合、特定の生殖系細胞配列に「由来する」。ヒト生殖系細胞免疫グロブリン配列に「由来する」ヒト抗体は、それ自体、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖系細胞免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することによって同定することができる。選択されたヒト抗体は、アミノ酸配列において、典型的にはヒト生殖系細胞免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であり、また他の種(たとえば、マウス生殖系配列)の生殖免疫グロブリンアミノ酸配列と比較したときに、ヒト抗体をヒトとして同定するアミノ酸残基を含む。一定の場合に、ヒト抗体は、アミノ酸配列において、生殖系細胞免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%またはさらに少なくとも96%、97%、98%または99%同一であってよい。典型的には、特定のヒト生殖系細胞配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖系細胞免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とは10アミノ酸を上回らない相違しか示さないであろう。一定の場合には、ヒト抗体は、生殖系細胞免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とは、5アミノ酸を上回らない、またはさらに4、3、2、もしくは1アミノ酸を上回らない相違しか示さないであろう。
本明細書で使用される、「組換えヒト抗体」の用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてのトランスジェニックもしくは染色体導入である動物(たとえば、マウス)またはこれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、たとえばトランスフェクトーマから単離された抗体、組換えのコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段によって調製され、発現され、作製され、または単離された抗体などの、組換え手段によって調製され、発現され、作製され、または単離された全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系細胞に由来する可変領域および定常領域を有する。しかし、一定の実施形態において、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(またはヒトIg配列についてトランスジェニック動物が使用されるときは、体細胞突然変異誘発)を受けることができ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系細胞VHおよびVL配列に由来するものであっても、インビボのヒト抗体生殖系細胞レパートリー内に天然には存在しなくてもよい配列である。これらの抗体を作製する方法は、本明細書において記載してある。
本明細書で使用される「アイソタイプ」は、これらの定常領域の化学的および抗原的特徴によって定義される免疫グロブリンの任意のサブクラスを意味する。治療的抗体は、アイソタイプおよび/またはサブクラスのハイブリッドを含むことができることを理解すべきである。
本明細書で使用される「ポリクローナル抗体」または「ポリクローナル抗体組成物」の用語は、異なるB細胞株に由来する抗体の製剤をいう。これらは、特異的抗原に対して分泌され、各々が異なるエピトープを認識する免疫グロブリン分子の混合物である。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」の用語は、単一の分子組成物の抗体分子の製剤をいう。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープについての単一の結合特異性および親和性を示す。
本明細書で使用される「標識」の用語は、「標識された」組成物を生成するように、検出すべき組成物に直接または間接的に結合される直接または間接的に検出可能な化合物、たとえばN末端基ヒスチジンタグ(N−His)、磁気的に活性な同位体元素、たとえば115Sn、117Snおよび119Sn、13Cおよび15Nなどの非放射性アイソトープ、ポリヌクレオチドまたは抗体などのタンパク質を意図する。また、この用語は、緑色蛍光タンパク質(GFP)等などの、挿入配列の発現に際してシグナルを与えるであろうポリヌクレオチドに結合された配列をも含む。標識は、それ自体によって検出可能でもよく(たとえば、放射性同位元素標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物または組成物の化学的変化を触媒してもよい。標識は、小スケールでの検出のために適切であること、または高スループットスクリーニングのためにより適切であることができる。したがって、適切な標識は、磁気的に活性な同位体元素、非放射性の同位体元素、放射性同位体元素、蛍光色素、化学発光化合物、色素および酵素を含むタンパク質を含むが、限定されない。標識は、単に検出されてもよく、またはこれは、定量化されてもよい。単に検出される反応は、一般にその存在が単に確認される反応を含むのに対して、定量化される反応は、一般に、強度、変更および/または他の性質などの定量化可能な(たとえば、数値的に報告可能な)値を有する反応を含む。発光または蛍光アッセイにおいて、検出可能な反応は、結合に実際に関与するアッセイ成分に付随した発光団または蛍光団を使用して直接発生されてもよく、または別の(たとえば、リポーターまたは指標)成分に会合した発光団または蛍光団を使用して間接的に発生されてもよい。
シグナルを産生する発光標識の例は、生物発光および化学発光を含むが、限定されない。検出可能な発光反応は、一般に、発光シグナルにおける変化または発光シグナルの発生を含む。アッセイ成分を発光で標識するための適切な方法および発光団は、当該技術分野において公知であり、たとえばHaugland,Richard P.(1996)Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6th ed.)に記述される。発光プローブの例は、エクオリンおよびルシフェラーゼを含むが、限定されない。
適切な蛍光標識の例は、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラサイト(Malacite)緑、スチルベン、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、カスケードブルー(商標:Cascade Blue(商標))およびテキサスレッドを含むが、限定されない。その他の適切な光学的色素は、Haugland,Richard P.(1996)Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6th ed.)に記載されている。
もう一つの態様において、蛍光標識は、細胞表面マーカーなどの細胞または組織の表面にまたはその上に存在する細胞成分への共有結合を容易にするために官能化される。適切な官能基は、限定されないが、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステルおよびスルホニルハライドを含み、これらの全てを第2の分子に蛍光標識を付着するために使用されてよい。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、薬剤、マーカーまたは第2の標識化薬剤のいずれかへの結合部位に依存するであろう。
本発明は、主に特定の実施形態を参照して説明してあるが、本開示を読むことにより、他の実施形態が当業者に明らかになるであろうことが想定され、このような実施形態もまた本発明方法の範囲内に含まれることが意図される。
I.発明の概要
本発明は、Tosoタンパク質(本明細書において、互換的に「Toso」、「Toso受容体」、「Faim3」または「FCMR」とも称する)の活性を調節するための方法および組成物に向けられる。いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、Tosoタンパク質の活性を増加させる。その他の実施形態において、本発明の方法および組成物は、Tosoタンパク質の活性を阻害する。いくつかの実施形態において、Tosoタンパク質の活性を調節するための組成物は、Tosoタンパク質またはTosoタンパク質のリガンドに結合する薬剤を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、可溶性Tosoタンパク質を含む。本明細書においてさらに詳述するように、本発明の可溶性タンパク質は、Toso受容体の細胞外ドメインの全部または一部を含む。本発明の可溶性Tosoタンパク質は、シグナルペプチドおよび/またはFcドメインをさらに含んでもよい。本発明の可溶性Tosoタンパク質は、欠失変異体(全長細胞外ドメインの1つまたは複数のアミノ酸が欠失された変異体)および1つまたは複数のアミノ酸置換を含む変異体を含む、Tosoタンパク質変異体の細胞外ドメインをさらに含んでもよい。
本発明は、さらに、被験体に可溶性Tosoタンパク質(またはその変異体)を投与することによって、障害および疾患を治療する方法に向けられる。本明細書においてさらに詳述するように、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、自己免疫疾患(限定されないが、1型または2型糖尿、多発性硬化症または慢性関節リウマチを含む)、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)、ハイパーIgM症状群、CLL、狼蒼または好中球増加関連する障害(限定されないが、好中球減少、重篤な先天性好中球減少、周期的な好中球減少、抗体で媒介される好中球減少、細網異形成症、白血球接着欠損、家族性骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、家族性冷却じんま疹および白血球増加症および慢性肉芽腫症を含む)に罹患する被験体を治療するために使用することができる。
II. 可溶性Tosoタンパク質
本発明の組成物は、Toso活性を調節する薬剤を含む。このような組成物は、以下でさらに詳細に考察するように、限定されることなく、可溶性形態のTosoタンパク質を含む。
本発明の可溶性Tosoタンパク質(本明細書において、互換的に「可溶性Toso受容体」、「Toso−Fc」および「可溶性Tosoポリペプチド」とも称する)は、Toso受容体の細胞外ドメインの全部または一部を含む。さらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、シグナルドメインおよび/またはFcドメインを含む。本明細書でさらに詳細に述べるように、Tosoタンパク質のこれら成分は、本発明の可溶性Tosoタンパク質を提供するために、追加の成分および/または修飾の有無にかかわらず任意の方法で結合されてよい。
一つの態様において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、Tosoの細胞外ドメインを含む。なおさらなる実施形態において、本可溶性Tosoタンパク質は、ヒトTosoアイソフォームaの細胞外ドメインを含む。ヒトTosoの細胞外ドメインは、NP_005440.1、ヒトTosoアイソフォームaのアミノ酸P21〜のG251にわたることが予測される(Shima et al.,Int.Immunol.(2010)を参照されたい;これは、全ての目的について、およびTosoの細胞外ドメインに関連した全ての教示について、その全体が本明細書に援用される)。明確化のために、本明細書における考察の大部分は、ヒトTosoタンパク質の細胞外ドメインの全部または一部を含む可溶性Tosoタンパク質に向けられる。しかし、任意の種由来のTosoタンパク質の細胞外ドメインを、本明細書の記述にしたがって可溶性Tosoタンパク質を産生するために使用できることが予測されるであろうし、また本明細書で考察されるヒトTosoタンパク質の領域に対応する別の種のTosoタンパク質の領域を同定することは当業者の能力の範囲内であろう。
一つの実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1に記載の細胞外ドメイン配列を含み、これは図10に示してある。さらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性を有する。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1における1−75、2−70、3−65、4−60、5−55、6−50、7−45、8−40、9−35、10−30、11−25、12−20、13−15、5−20、6−18、8−16、10−14のアミノ酸置換を伴ったポリペプチドを含む。さらに他の実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30のアミノ酸置換を伴ったポリペプチドを含む。
一つの実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8に記載の細胞外ドメイン配列を含んでおり、これは図27に示してある。さらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性を有する。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8において1−75、2−70、3−65、4−60、5−55、6−50、7−45、8−40、9−35、10−30、11−25、12−20、13−15、5−20、6−18、8−16、10−14のアミノ酸置換を備えたポリペプチドを含む。さらに他の実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30のアミノ酸置換を伴ったポリペプチドを含む。
さらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号7のアミノ酸18〜253を含む。なおさらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号7のアミノ酸21〜253を含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号7のアミノ酸21〜251を含む。さらに他の実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号7由来のアミノ酸の以下範囲のいずれかを含む:1−255、5−245、10−235、15−225、20−215、25−205、30−195、35−185、40−175、45−165、50−155、45−145、40−135、35−125、30−115、35−105、40−95、45−85、50−75、55−65。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号7のアミノ酸18〜253または21〜253に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。
なおさらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、図27に描かれた配列番号8の全体または一部を含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8のアミノ酸1−231、6−221、11−211、16−201、21−191、26−181、31−171、36−161、41−151、46−141、51−131、56−121、61−111、66−101、71−91、76−81を含む。さらに他の実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8のアミノ酸領域1−231、6−221、11−211、16−201、21−191、26−181、31−171、36−161、41−151、46−141、51−131、56−121、61−111、66−101、71−91、76−81に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性を備えたポリペプチドを含む。
さらに他の実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8、9、11、13、15、17、19、21および23のうちの任意の1つのを含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8、9、11、13、15、17、19、21、および23に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。これらの配列は、Toso受容体の細胞外ドメインの欠失変異体を含む。
なおさらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、Tosoタンパク質の完全な細胞外ドメインの欠失変異体を含む。例示的な実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質の構成成分である欠失変異体は、以下のアミノ酸の1つまたは複数が配列番号8から欠失されたポリペプチドを含む:1−21、1−35、1−87、1−21および211−231の両方の領域、211−231、154−231、105−231および93−231。さらなる例示的実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質の構成成分である欠失変異体は、以下のアミノ酸配列:1−21、1−35、1−87、1−21および211−231の両方の領域、211−231、154−231、105−231および93−231の1つまたは複数を欠失した配列番号8に記載のポリペプチドに対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性をもつポリペプチドを含む。
さらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、Toso受容体のリガンドに結合する領域を含む細胞外ドメイン成分を含む。例示的な実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、IgMに結合する細胞外ドメイン成分を含む。なおさらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8のアミノ酸35〜87を含む。さらなる例示的な実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号8のアミノ酸25−100、29−95、33−90、37−85、41−80、45−75、49−70、53−65または57−60を含む。
さらなる態様において、また上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、上記した細胞外ドメイン成分を含み、さらにシグナル配列を含む。例示的な実施形態において、シグナル配列は、宿主細胞からの分泌を増強する。さらに他の実施形態において、シグナル配列は、限定されないが、IL−2シグナル配列、サッカロマイセスセレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のα−交配因子プレ配列、クロカビ(Aspergillus niger)由来のα−アミラーゼシグナル配列、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のグルコアミラーゼ(Glucoamylase)シグナル配列、ヒト由来の血清アルブミンシグナル配列、クルイベロマイセス・マキシアヌス(Kluyveromcyes maxianus)由来のイヌリナーゼシグナル配列、サッカロマイセスセレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のインベルターゼシグナル配列、サッカロマイセスセレビジエ由来のキラータンパク質シグナル配列、ニワトリ由来のリソザイムシグナル配列から選択されるメンバーを含む。なおさらなる実施形態において、シグナル配列は、図10に示した配列番号2に記載の配列を含む。なおさらなる実施形態において、シグナル配列は、配列番号2に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。特定の実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1、8、9、11、13、15、17、21および23の任意の1つ、または配列番号2または配列番号2に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列との融合タンパク質としてのこれら配列の変異体を含む。
さらなる態様において、また上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、Toso受容体の細胞外ドメインおよびFcドメインを含む。例示的な実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、ヒトTosoタンパク質のアイソフォームAの細胞外ドメインおよびFcドメインを含む融合タンパク質である。さらなる実施形態において、Fcドメインは、Fcドメインをもたないタンパク質と比較して、タンパク質の半減期を増強する任意のドメインを含む。なおさらなる実施形態において、Fcドメインは、Fcドメインをもたないタンパク質と比較して、タンパク質の薬物動態学的プロファイルを改善する任意のドメインを含む。なおさらなる実施形態において、このFcドメインは、C末端においてヒトIgG1に由来し、これはさらに他の実施形態において、抗体依存性および補体依存性の細胞障害性を減弱または除去する突然変異を含む。なおさらなる実施形態において、このような突然変異は、以下の突然変異:E233P;L234V;L235A;ΔG236;A327G;A330S;P331Sの1つまたは複数を単独で、または任意の組み合わせで含む。さらに他の実施形態において、Fcドメインは、図10に示した配列番号3に記載の配列を含む。なおさらなる実施形態において、Fcドメインは、配列番号3に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。
さらなる例示的な実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、細胞外ドメイン成分およびFcドメイン成分の両者を含む融合タンパク質を含む。なおさらなる例示的な実施形態において、本発明のTosoタンパク質は、配列番号1、8、9、11、13、15、17、21および23または配列番号3との融合タンパク質として、または配列番号3に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列との融合タンパク質としてのこれら配列の変異体を含む。
一つの態様において、および上記のいずれかにしたがってに、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、細胞外Tosoドメイン、シグナル配列およびFcドメインを含み−これらの成分のそれぞれは、これらの成分の上記バージョンのいずれかを任意の組み合わせで含んでもよい。なおさらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、図8に示した配列番号5に記載の配列を含む。なおさらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。
さらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号10、12、14、16、18、20、22および24の任意の1つに記載の配列を含み、これは細胞外ドメイン成分、シグナル配列およびFcドメインを含む。さらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、配列番号10、12、14、16、18、20、22および24の任意の1つのに対して、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。
さらなる態様において、また上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、Toso細胞外ドメイン成分とFcドメイン間、Toso細胞外ドメイン成分とシグナル配列間またはToso細胞外ドメイン成分とFcドメインの間および細胞外ドメイン成分とシグナル配列の間の両方に、リンカーをさらに含んでよい。例示的な実施形態において、このようなリンカーは、2つのアミノ酸配列を連結するために有効であるように、当該技術分野において公知のアミノ酸リンカー、ポリマーリンカーまたは任意のその他のリンカーであってもよい。さらなる例示的な実施形態において、リンカーは、アミノ酸リンカーである。なおさらなる実施形態において、リンカーは、アミノ酸配列ISAMVRS(配列番号25)である。さらに他の実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、5または6アミノ酸置換を含んだ配列番号25の変異体である。
さらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質の変異体は、配列番号5、6または8−24を含む本明細書で述べた可溶性Tosoタンパク質のいずれかのアミノ酸配列の改変を介して作製することができる。このような改変は、当該技術において公知の任意の技術、たとえば部位特異的突然変異誘発またはPCRに基づく突然変異誘発を使用して達成することができる。このような技術は、たとえばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,1989およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,1989に記載されており、これら文献のそれぞれは、全ての目的について、および特にタンパク質変異体を形成することに関する全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
なおさらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、単量体形態または多量体形態であってよく、多量体における各モノマーは、1つの細胞外ドメイン配列を含む。さらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の単量体の多量体である。特定の実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、6単量体の多量体である。さらなる実施形態において、6量体Toso多量体は、6量体化タグを含む単量体で形成される。さらなる実施形態において、6量体化タグは、Hirano et al.,Blood(2006)に記載されているようなヒトIgAアルファ重鎖定常領域由来の21アミノ酸尾部小片を含み、この文献は、全ての目的について、および特に6量体化またはその他の多量体化タグに関連した全ての教示ついて、本明細書の一部として援用される。なおさらなる実施形態において、本発明の6量体化タグは、図10に示した配列番号4に記載の配列を含む。
さらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、タンパク質の1つまたは複数の機能特性を変化させるために修飾される。例示的な実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、化学的に修飾される。たとえば、可溶性Tosoタンパク質は、そのインビボでの安定性および/またはその薬物動態学的プロファイルを改善するために、1つまたは複数のポリマーで修飾されてよい。このようなポリマーは、限定されないが、1つまたは複数の種々の非タンパク質ポリマー、たとえば米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号または第4,179,337号に記載されたような、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンを含み、これらは全て、全ての目的について、および特にポリマーにタンパク質を連結することに関する全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明の範囲内に含まれるToso可溶性タンパク質の修飾は、上で述べた配列および可溶性Tosoタンパク質にしたがったTosoポリペプチドのターゲットされたアミノ酸残基を、Tosoポリペプチドの選択した側鎖またはN−もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることを含む。一般に使用される架橋剤は、たとえば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、たとえば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオンナート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二機能性イミドエステル、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二機能性マレイミドおよびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミダートなどの薬剤を含む。
他の修飾には、グルタミニルおよびアスパラギニル残基のそれぞれ対応するグルタルニルおよびアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニン残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジンの側鎖のアミノ基のメチル化[T.E.Creighton、Proteins;Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,pp.79−86(1983)]、N末端アミンのアセチル化および任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に含まれる可溶性Tosoタンパク質のもう一つのタイプの修飾には、ポリペプチドの天然のグリコシル化パターンを変化させることを含む。「天然のグリコシル化パターンを変化させる」は、本明細書における目的については、天然の配列のTosoポリペプチドに見られる1つまたは複数の炭化水素を欠失させること、および/または天然の配列のTosoポリペプチドには存在しない1つまたは複数のグリコシル化部位を付加することを意図する。
Toso可溶タンパク質に対するグリコシル化部位の付加は、そのアミノ酸配列を変化させることによって達成してもよい。この変化は、たとえば天然配列の可溶性Tosoタンパク質に対して(O−結合されたグリコシル化部位について)、1つまたは複数のセリンもしくはスレオニン残基の付加またはこれによる置換によって達成されてよい。可溶性Tosoタンパク質のアミノ酸配列は、必要に応じてDNAレベルでの変化を介して、特に予め選択された塩基において所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるようにToso可溶タンパク質をコードするDNAを変異させることによって変化させてもよい。
Toso可溶タンパク質上の炭化水素部分の数を増加させるもう一つの手段は、ポリペプチドに対するグリコシドの化学的または酵素的結合による。このような方法は、たとえば1987年9月11日に公開されたWO 87/05330およびAplin and Wriston,CRC Crit Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)において記述されており、これらは、全ての目的について、および特にタンパク質上の炭化水素部分を変化させることに関する全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
可溶性Tosoタンパク質上に存在する炭化水素部分の除去は、化学的に、もしくは酵素的に、またはグリコシル化のためのターゲットとして働くアミノ酸残基をコードするコドンの突然変異的置換によって達成されてもよい。化学的な脱グルコシル化技術は、当該技術において公知であり、たとえばHakimuddin、et al.,Arch Biochem.Biophys.,259:52(1987)およびEdge et al.,Anal.Biochem.,118:131(1981)に記載されている。ポリペプチド上の炭化水素部分の酵素的開裂は、Thotakura et al.,Meth.Enzymol.,138:350(1987)に記載されているように、種々のエンド−およびエキソ−グリコシダーゼの使用により達成することができ、これらは、全ての目的について、および特にタンパク質上の炭化水素部分を変化させることに関する全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
また、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、もう一つの異種のポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合されたタンパク質を含むキメラ分子を形成する方法で改変されてもよい。一つの実施形態において、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合することができるエピトープを提供するタグポリペプチドと可溶性Tosoポリペプチドの融合を含む。エピトープタグは、一般に、Tosoポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に配置される。このようなエピトープがタグ付けされた形態のTosoポリペプチドの存在は、タグポリペプチドに対する抗体を使用して検出することができる。また、エピトープタグの提供により、エピトープタグに結合する抗タグ抗体またはもう一つのタイプの親和性マトリックスを使用してTosoポリペプチドを親和性精製により容易に精製することを可能にする。代わりの実施形態において、キメラ分子は、Tosoポリペプチドと免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの特定の領域の融合を含んでもよい。キメラ分子の二価形態については、このような融合は、IgG分子のFc領域またはGST融合に対するのものである得るであろう。
種々のタグポリペプチドおよびそれらのそれぞれの抗体は、当該技術分野において周知である。例には、ポリヒスチジン(ポリ−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−his−gly)タグ;flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5[Field,et al.,Mol. Cell Biol.,8:2159−2165(1988)];c−mycタグおよびこれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7、および9E10抗体[Evan,et al.,Molecular and Cellular Biology,5:3610−3616(1985)];および単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborsky,et al.,Protein Engineering,3(6):547−553(1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、Flag−ペプチド[Hopp,et al.,BioTechnology,6:1204−1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martin,et al.,Science、255:192−194(1992)];チューブリンエピトープペプチド[Skinner,et al.,J.Biol.Chem.,266:15163−15166(1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz−Freyermuth,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87;6393−6397(1990)]を含む。
さらなる実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、細胞貫通ペプチドと融合される。
さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数の可溶性Tosoタンパク質をコードする核酸、並びにこのような核酸を含む宿主細胞を包含する。一定の実施形態において、本発明にしたがって使用される宿主細胞は、HEK293F、HEK298T、Cos7、HeLaおよびCHO−DHFR欠損細胞を含むが、限定されない。なおさらなる実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、無血清懸濁液中で増殖するように改変された株化細胞において安定して発現される。
さらなる態様において、本発明の組成物は、添加物および薬学的に許容される担体と共に、本明細書で述べた可溶性Tosoタンパク質のいずれかを含んでよい。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」には、組み合わさられたときに、その接合体が抱合体の活性を保持し、また被験体の免疫系とは非反応性である任意の材料を含む。その例には、標準的な医薬品担体、たとえばリン酸緩衝食塩水溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、および種々のタイプの湿潤剤のいずれかを含むが、限定されない。他の担体には、滅菌溶液、およびコーティング錠を含む錠剤、並びにカプセルを含む。典型的には、このような担体は、デンプン、乳、糖、一定のタイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸またはその塩、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、タルク、植物性脂肪もしくは油、ガム、グリコールまたはその他公知の賦形剤などの賦形剤を含む。このような担体はまた、香料および着色添加剤またはその他の成分を含んでもよい。このような担体を含む組成物は、周知の従来法によって製剤化される。
III. Tosoに対する抗体
一つの態様において、本発明は、Tosoタンパク質に結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、Toso活性を増加させる。その他の実施形態において、本発明の抗体は、Toso活性を減少させる。
抗体を調製する方法は、一般に当該技術分野において公知である。たとえば、米国特許第6,727,350号は、Tosoに対する抗体を開示しており、これは、全ての目的について、および特にTosoタンパク質に対する抗体に関連した全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明の抗体は、以下で定義したように、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはこれらの誘導体もしくは断片であってよい。一つの態様において、断片は、抗体のCDRを含む、または代わりにそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。一つの態様において、本発明の抗体は、検出可能に標識されており、またはさらにそれに抱合された検出可能な標識を含む。また、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株化細胞が提供される。上記実施形態の1つまたは複数を含む組成物がさらに提供される。
また、抗体および担体を含む組成物も提供される。さらに、抗体の生物学的に活性な断片または抗体断片を含む組成物が提供される。適切な担体は、上で定義されている。
抗体および抗体に特異的に抗体に結合されるポリペプチドを含む、または代わりにそれから本質的になる、またはさらに代わりにそれからなる抗体−ペプチド複合体がさらに提供される。一つの態様において、ポリペプチドは、それに対して抗体が産生されるキメラポリペプチドである。
また、本発明は、本発明の治療方法において有用である、Tosoと特異的に複合体を形成できる抗体を提供する。本発明の抗体は、マウス抗体、ラット抗体およびウサギ抗体またはヒト抗体を含むが、限定されない。抗体は、細胞培養において、ファージにおいて、またはウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、類人猿などを含むが、限定されない種々の動物において製造することができる。また、抗体は、治療的ポリペプチドを同定し、および精製するために有用である。
また、本発明は、上記抗体および抗体に特異的に結合されるポリペプチドを含む、または代わりにそれから本質的になる、またはさらに代わりにそれからなる抗体−ペプチド複合体を提供する。一つの態様において、ポリペプチドは、それに対して抗体が産生されるポリペプチドである。一つの態様において、抗体−ペプチド複合体は、単離された複合体である。さらなる態様において、複合体の抗体は、本明細書において記述したポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体または抗体誘導体であるが、限定されない。抗体−ペプチド複合体の抗体またはペプチドのいずれかまたは両方は、検出可能な標識することができ、またはそれに抱合された検出可能な標識をさらに含む。つの態様において、本発明の抗体−ペプチド複合体は、診断アッセイまたはスクリーニングアッセイにおける対照または参照サンプルとして使用することができる。
本発明のポリクローナル抗体は、当該技術分野において公知の、かつ文献に十分に記載された従来の技術を使用して産生することができる。いくつかの方法論が、ポリクローナル抗体の産生のために存在する。たとえば、ポリクローナル抗体は、典型的にはニワトリ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、ラマ(lhama)、マウス、ラットおよびウサギなどの適切な哺乳動物の免疫化によって産生されるが、限定されない。抗原が哺乳動物に注射され、これが抗原に特異的なIgG免疫グロブリンを産生するようにBリンパ球を誘導する。このIgGは、哺乳動物の血清から精製される。この方法論の変形例には、最適な産生および動物ヒト治療のための、アジュバント、投与の経路および部位、部位当たりの注射容積および動物当たりの部位の数を含む。たとえば、アジュバントは、典型的には、抗原に対する免疫応答を改善し、または増強するために使用される。大部分のアジュバントは、注射部位抗原デポーを提供し、これは流入領域リンパ節への抗原の遅放を可能にする。その他のアジュバントは、広い表面領域にわたるタンパク質抗原分子および免疫刺激分子の濃縮を促進する表面活性物質を含む。ポリクローナル抗体産生のためのアジュバントの非限定的な例は、フロイントアジュバント、Ribiアジュバントシステムおよびタイターマックス(Titermax)を含む。ポリクローナル抗体は、米国特許第7,279,559号;第7,119,179号;第7,060,800号;第6,709,659号;第6,656,746号;第6,322,788号;第5,686,073号;および第5,670,153号に記載の方法を使用して産生することができ、これらは、全ての目的のために、および特に抗体に関連した全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明のモノクローナル抗体は、当該技術分野において公知の、かつ文献に十分に記載された従来のハイブリドーマ技術を使用して産生することができる。たとえば、ハイブリドーマは、適切な不死細胞株(たとえば、限定されないが、Sp2/0、Sp2/0−AG14、NSO、NS1、NS2、AE−1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U397、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA−1、JURKAT、WEHI、K−562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL−60、MLA 144、NAMAIWA、NEURO 2A、CHO、PerC.6、YB2/Oなどのミエローマ細胞株)等、またはヘテロミエローマ、その融合産物またはこれらから誘導された細胞もしくは融合細胞、または当該技術において公知の任意の他の適切な細胞株(たとえば、2007年11月26日に最後にアクセスされたwww.atcc.org、www.lifetech.com.)を、内因性または異種の核酸として、組換えまたは内因性のウイルス、バクテリア、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、齧歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、葉緑体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本、二本もしくは三本鎖、ハイブリダイズされたもの、またはこれらの任意の組み合わせとしていずれかで、限定されないが、単離された、もしくはクローン化された脾臓、末梢血液、リンパ、扁桃またはその他の免疫細胞もしくはB細胞を含む細胞または重鎖もしくは軽鎖定常もしくは可変もしくはフレームワークもしくはCDR配列を発現する任意のその他の細胞などの抗体産生細胞と融合させることによって産生される。また、抗体産生細胞は、関心対象の抗原で免疫化したヒトまたはその他の適切な動物の末梢血液、または好ましくは脾臓もしくはリンパ節から得ることができる。また、任意の他の適切な宿主細胞を、本発明の抗体、その特定された断片または変異体をコードする異種もしくは内因性の核酸を発現するために使用することができる。融合された細胞(ハイブリドーマ)または組換え細胞は、選択的培養条件またはその他の適切な公知の方法で単離すること、また限界希釈もしくは細胞ソーティングまたはその他の公知の方法によってクローン化することができる。
一つの実施形態において、本明細書に記載した抗体は、多重抗原ペプチド(Multiple Antigenic Peptide;MAP)系を使用して産生することができる。MAPシステムは、3つまたは7つの放射状に分枝したリジン残基のペプチジルコアを利用することができ、その上に標準の固相化学を使用して関心対象の抗原ペプチドを構築することができる。リジンコアは、内核に依存して、ペプチドエピトープの約4〜8のコピーを有するMAPを生じるが、これは一般に総分子量の10%未満に相当する。そのMAPシステムは、結合のために担体タンパク質を必要としない。MAPにおいて、抗原性エピトープの複数のコピーの高モル比および高密度パッキングは、強力な免疫原性の反応を生じることが示された。この方法は、米国特許第5,229,490号に記載されており、この特許は全ての目的について、および特にMAPシステムに関連した全ての教示について、その全体が本明細書の一部として援用される。
当該技術で公知の方法を使用して、ペプチドまたはタンパク質ライブラリーから組換え抗体を選択する方法(たとえば、限定されないが、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNAまたはcDNA等、ディスプレイライブラリー;たとえばCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire(UK))、MorphoSys(Martinsreid/Planegg,Del.)、Biovation(Aberdeen,Scotland,UK)、BioInvent(Lund,Sweden)などの種々の商業的供給業者から入手可能)を含む、必要な特異性の抗体を産生する、または単離する他の適切な方法を使用することができる。米国特許第4,704,692号;第5,723,323号;第5,763,192号;第5,814,476号;第5,817,483号;第5,824,514号;第5,976,862号を参照され、これらは、全ての目的について、および特に抗体に関連した方法に関する全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。代わりの方法は、当該技術において公知なように、および/または本明細書に記載したように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(たとえば、SCIDマウス、Nguyen et al.(1997)Microbiol.Immunol.41:901−907;Sandhu et al.(1996)Crit.Rev.Biotechnol.16:95−118;Eren et al.(1998)Immunol.93:154−161)。このような技術は、限定されないが、リボソームディスプレイ(Hanes et al.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4937−4942;Hanes et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:14130−14135);単細胞抗体産生技術(たとえば、選択されたリンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.(1987)J.Immunol.17:887−892、Babcook et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843−7848);ゲルマイクロドロップレットおよびフローサイトメトリー(Powell et al.(1990)Biotechnol.8:333−337);ワンセルシステム(Cambridge,Mass);Gray et al.(1995)J.Imm.Meth.182:155−163;およびKenny et al.(1995)Bio.Technol.13:787−790;B細胞選択(Steenbakkers et al.(1994)Molec.Biol.Reports 19:125−134)を含み、これらは、全ての目的について、および特に抗体を生成するための方法に関連した全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
また、本発明の抗体誘導体は、ミルクの中にこのような抗体を産生するヤギ、ウシ、ウマおよびヒツジ等などのトランスジェニック動物または哺乳類を提供するように、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを適切な宿主に送達することによって調製することができる。これらの方法は、当該技術分野において公知であり、またたとえば米国特許第5,827,690号;第5,849,992号;第4,873,316号;第5,849,992号;第5,994,616号;第5,565,362号;および第5,304,489号に記載されており、これらは全ての目的について、および特に抗体を生成することに関する全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
「抗体誘導体」の用語は、抗体または断片の直鎖状のポリペプチド配列に対する翻訳後修飾を含む。たとえば、全ての目的について、および特に抗体の修飾に関連した全ての教示について、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,602,684 B1号は、増大されたFc媒介性細胞毒性有する抗体分子全体、抗体断片または免疫グロブリンのFc領域と同等の領域を含む融合タンパク質を含む修飾されたグリコール形の抗体を産生するための方法およびこのようにして産生された糖タンパク質を記載している。
また、抗体誘導体は、本発明のポリヌクレオチドを送達して、このような抗体、特定の部分および変異体を産生するトランスジェニック植物および培養された植物細胞(限定されないが、たとえばタバコ、トウモロコシおよびウキクサ)を提供し、植物部分において、またはこれから培養された細胞において、このような抗体、特定の部分または変異体を産生することによって製造することができる。たとえば、Cramer et al.(1999)Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95−118およびその中に引用された参照文献は、たとえば誘導性プロモーターを使用して、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコの葉の製造を記載している。トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生され、または天然供与源から精製されたものと同等の生物学的活性で、市販の産生レベルで哺乳動物タンパク質を発現させるために使用されてきた。たとえば、Hood et al.(1999)Adv.Exp.Med.Biol.464:127−147およびその中に引用された参照文献を参照されたい。また、単鎖抗体(scFv’s)などの抗体断片を含む抗体誘導体も、タバコの種およびジャガイモ塊茎を含むトランスジェニック植物種子から大量に産生されてきた。たとえば、Conrad et al.(1998)Plant Mol.Biol.38:101−109およびその中で引用された参照文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、公知の方法にしたがってトランスジェニック植物を使用して産生することができる。
また、抗体誘導体は、たとえば外因性配列を付加して免疫原性を修飾し、結合性、親和性、オンレート、オフレート、アビディティー、特異性、半減期または他の適切な特性を低下、増強または改変することによって製造することができる。一般に、非ヒトまたはヒトのCDR配列の一部または全部は、維持され、一方で、可変領域および定常領域の非ヒト配列は、ヒトまたは他のアミノ酸で置換される。
一般に、CDR残基(抗体断片の例)は、抗原結合への影響に直接および最大限に関与する。本発明の抗体のヒト化または操作は、以下に記載されているものなどの任意の公知の方法を使用して行うことができる:米国特許第5,723,323号;第5,976,862号;第5,824,514号;第5,817,483号;第5,814,476号;第5,763,192号;第5,723,323号;第5,766,886号;第5,714,352号;第6,204,023号;第6,180,370号;第5,693,762号;第5,530,101号;第5,585,089号;第5,225,539号;および第4,816,567号、これらは、全ての目的について、および特にヒト化または抗体を操作することに関連した全教示について、その全体が参照により本明細書に援用される。
部分的ないし完全にヒト抗体を作製するための技術は、当該技術分野において公知であり、任意のこのような技術を使用することができる。一つの実施形態にしたがって、完全なヒト抗体配列は、ヒト重鎖および軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製される。異なるクラスの抗体を産生することができる、複数系統のこのようなトランスジェニックマウスが作製されてきた。所望の抗体の連続的な産生のためのハイブリドーマ細胞株を作製するために、所望の抗体を産生するトランスジェニックマウスからのB細胞を融合することができる。(たとえば、Russel et al.(2000)Infection and Immunity 68(4):1820−1826;Gallo et al.(2000)European J.of Immun.30:534−540;Green(1999)J.of Immun.Methods 231:11−23;Yang et al.(1999A)J.of Leukocyte Biology 66:401−410;Yang(1999B)Cancer Research 59(6):1236−1243;Jakobovits(1998)Advanced Drug Delivery Reviews 31:33−42;Green and Jakobovits(1998)J.exp.Med.188(3):483−495;Jakobovits(1998)Exp.Opin.Invest.Drugs 7(4):607−614;Tsuda et al.(1997)Genomics 42:413−421;Sherman−Gold(1997)Genetic Engineering News 17(14);Mendez et al.(1997)Nature Genetics 15:146−156;Jakobovits(1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology,Integrated Immune System Vol.IV,194.1−194.7;Jakobovits(1995)Current Opinion in Biotechnology 6:561−566;Mendez et al.(1995)Genomics 26:294−307;Jakobovits(1994)Current Biology 4(8):761−763;Arbones et al.(1994)Immunity 1(4):247−260;Jakobovits et al.(1993)Nature 362(6417):255−258;Jakobovits et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(6):2551−2555;および米国特許第6,075,181号を参照されたい)。
また、本発明の抗体は、キメラ抗体を作製するために改変することができる。キメラ抗体は、抗体の重鎖および軽鎖の種々のドメインが複数の種由来のDNAによってコードされるものである。たとえば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。
あるいは、本発明の抗体は、また、ベニアリング(veneered)抗体を作製するために改変することができる。ベニアリング抗体は、第1の種の抗体が第2の種において免疫原性ではなくなり、それによって抗体の免疫原性を減少させるように、第1の種の抗体の外部アミノ酸残基を第2の種のもので慎重に置換したものである。タンパク質の抗原性は、主にその表面の性質に依存するので、抗体の免疫原生は、もう一つの別の哺乳動物種の個体に通常見られるものとは異なる露出した残基を置換することによって減少させることができるであろう。外側の残基のこの慎重な置換は、内部ドメインに対して、もしくはドメイン間接触に対してほとんどまたは全く効果を有さないであろう。したがって、リガンド結合特性は、可変領域フレームワーク残基に限定される変化の結果として、影響を受けないはずである。このプロセスは、抗体の外部表面または皮膚だけを変化させ、支持残基は乱されないまま残るので、「ベニアリング」と称される。
「ベニアリング」のための手順は、Kabat et al.(1987)Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th ed.,Bethesda,Md.,National Institutes of Healthに準拠したヒト抗体可変ドメインについて入手可能な配列データ、このデータベースに対する更新および他のアクセス可能な米国および外国のデータベース(核酸およびタンパク質)を使用する。ベニアリング抗体を生成するために使用される方法の非限定的な例は、EP 519596;米国特許番号6,797,492;およびPadlan et al.(1991)Mol.Immunol.28(4−5):489−498に記載されたものを含む。
また、「抗体誘導体」の用語は、2つの抗原結合部位をもつ抗体断片である「二重特異性抗体」を含み、断片は、同じポリペプチド鎖における軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。(たとえば、EP404,097;WO93/11161;およびHollinger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448を参照されたい)。同じ鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするにはあまりに短いリンカーを使用することにより、ドメインは、もう一つの鎖の相補的なドメインと強制的に対形成して、2つの抗原結合部位を形成する。(また、親抗体の超可変領域に挿入された1つまたは複数のアミノ酸を有し、かつ抗原に対する親抗体の結合親和性より少なくとも約2倍強い標的抗原に対する親和性を有する抗体変異体を開示する、Chen et al.に対する米国特許第6,632,926号を参照されたい)。
「抗体誘導体」の用語は、さらに「直鎖状の抗体」を含む。直鎖状の抗体を作製するための手順は、当該技術分野において公知であり、およびZapata et al.(1995)Protein Eng.8(10):1057−1062に記載されている。簡単に言えば、これらの抗体は、1対の抗原結合領域を形成する1対の直列型Fdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む。直鎖状の抗体は、二重特異性または単一特異性であることができる。
本発明の抗体は、タンパク質A精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈澱、酸抽出、アニオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含むが、限定されない公知の方法によって組換え細胞培養物から回収すること、および精製することができる。また、高速液体クロマトグラフィーを精製のために使用することができる。
本発明の抗体は、天然に精製した産物、化学的合成法の産物、並びにたとえば酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核生物宿主から、または代わりに上記した原核生物細胞から組換え技術によって産生された産物を含む。
試験されるモノクローナル抗体がタンパク質またはポリペプチドと結合する場合、試験される抗体と本発明のハイブリドーマにより提供される抗体は、同等である。また、抗体が本発明のモノクローナル抗体と同じ特異性を有するかどうかを、本発明のモノクローナル抗体が、そのモノクローナル抗体が通常反応するタンパク質またはポリペプチドに結合するのを、試験される抗体が妨げるかどうかを決定することによって、過度の実験なしに決定することが可能である。試験される抗体が、本発明のモノクローナル抗体による結合の減少によって示されるように、本発明のモノクローナル抗体と競合する場合、2つの抗体は、同じエピトープまたは密接に関連したエピトープに結合する可能性が高い。あるいは、本発明のモノクローナル抗体を、それが通常反応性であるタンパク質と共にプレインキュベートすること、および試験されるモノクローナル抗体が、抗原を結合するその能力を阻害されるかどうかを決定することができる。試験されるモノクローナル抗体が阻害される場合、全ての可能性において、それは本発明のモノクローナル抗体と同じか、または密接に関連したエピトープ特異性を有する。
また、「抗体」の用語は、全てのアイソタイプの抗体を含むことが意図される。モノクローナル抗体の特定のアイソタイプは、最初の融合物から選択することによって直接的に調製すること、あるいは、Steplewski et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8653またはSpira et al.(1984)J.Immunol.Methods 74:307に記載された方法を使用してクラススイッチ変異体を単離するためのsib選択技術を使用することによって異なるアイソタイプのモノクローナル抗体を分泌する親ハイブリドーマから二次的に調製することができる。
また、本発明のモノクローナル抗体の特異性をもつモノクローナル抗体を分泌する他のハイブリドーマの単離は、抗イディオタイプ抗体を産生することによって当業者が達成することができる。Herlyn et al.(1986)Science 232:100。抗イディオタイプ抗体は、関心対象であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体上に存在する固有の決定因子を認識する抗体である。
2つのハイブリドーマのモノクローナル抗体間におけるイディオタイプ同一性は、2つのモノクローナル抗体が同じエピトープ決定因子の認識に関して同じであることを示す。したがって、モノクローナル抗体上のエピトープ決定因子に対する抗体を使用することにより、同じエピトープ特異性のモノクローナル抗体を発現するその他のハイブリドーマを同定することができる。
また、抗イディオタイプ技術を使用して、エピトープを模倣するモノクローナル抗体を製造することもができる。たとえば、第1のモノクローナル抗体に対して作製された抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第1のモノクローナル抗体によって結合されるエピトープの鏡像である超可変領域の結合ドメインを有するであろう。したがって、この場合、抗イディオタイプモノクローナル抗体は、これらの抗体を産生するための免疫化のために使用することができる。
本発明のいくつかの態様において、これは、抗体を検出可能に、または治療的に標識するために有用であろう。抗体をこれらの薬剤に結合するための方法は、当該技術分野において公知である。例示のみの目的で言えば、抗体は、放射性原子、発色団、蛍光団等の検出可能部分で標識されることができる。このような標識された抗体は、診断技術のために、インビボで、または単離された試験試料においていずれかで使用することができる。
低分子量ハプテンに対して抗体を結合すると、アッセイにおける抗体の感受性を増加させることができる。次いで、ハプテンを第2の反応によって特異的に検出することができる。たとえば、アビジンに反応するビオチン、または抗ハプテン抗体と特異的で反応することができるジニトロフェノール、ピリドキサールおよびフルオレセインなどのハプテンを使用することが普通である。上記Harlow&Lane(1988)を参照されたい。
また、本発明の抗体は、多くの異なる担体に結合することができる。したがって、本発明はまた、抗体および活性または不活性なもう一つの物質を含む組成物を提供する。公知の担体の例には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および改質セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよびマグネタイトを含む。担体の性質は、本発明の目的のために可溶性または不溶性のいずれかであることができる。当業者は、モノクローナル抗体を結合するための他の適切な担体を知っているか、またはルーチンの試験を使用してこのようなものを確認できるであろう。
一定の実施形態において、本発明の抗体は、このような突然変異のない抗体と比較して抗体の薬物動態学的特性を改善する定常領域に突然変異を含む。このような抗体は、一定の実施形態において、C末端においてヒトIgG1に由来するFcドメインを含み、これはさらなる実施形態において、抗体依存性または補体依存性の細胞毒性を減少する、または除去する突然変異を含む。なおさらなる実施形態において、このような突然変異は、単独でまたは任意の組み合わせにおいて、次の突然変異の1つまたは複数を含む:E233P;L234V;L235A;ΔG236;A327G;A330S;P331S。なおさらなる他の実施形態において、Fcドメインは、図10に示した配列番号3に記載の配列を含む。なおさらなる実施形態において、Fcドメインは、配列番号3に対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%の配列同一性をもつ配列を含む。
さらなる実施形態において、抗体の1つまたは複数のCDRにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変が作製される。一般には、1または2つまたは3つのアミノ酸だけが、任意の単一のCDRにおいて置換され、また一般には、一組のCDR内で4、5、6、7、8、9または10を上回らない変化が作製される。しかし、任意のCDRにおけるゼロ置換、1、2、または3の置換の任意の組み合わせが、独立して、かつ必要に応じて、他の任意の置換と組み合わされ得ることが認識されるべきである。
いくつかの場合に、CDRにおけるアミノ酸改変は、「親和性成熟」といわれる。「親和性成熟した」抗体は、1つまたは複数のCDRにおいて1つまたは複数の変化を有し、これは、これらの変化(群)を有しない親抗体と比較して抗原に対する抗体の親和性における改善を生じる。いくつかの場合には、稀にではあるが、抗原に対する抗体の親和性を減少させることが望ましいかもしれないが、一般には好ましくない。
親和性成熟は、抗原に対する抗体の結合親和性を「親」抗体と比較して少なくとも約10%から50−100−150%またはそれ以上、または1〜5倍まで増大させるように行うことができる。好ましく親和性成熟した抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはピコモル程度の親和性を有するであろう。親和性成熟した抗体は、公知の手順によって産生される。たとえば、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)ドメインシャッフリングによる親和性成熟を記述したMarks et al.,1992、Biotechnology 10:779−783を参照されたい。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダムな突然変異誘発は、たとえばBarbas,et al.1994,Proc.Nat.Acad.Sci,USA 91:3809−3813;Shier et al.,1995,Gene 169:147−155;Yelton et al.,1995,J.Immunol.155:1994−2004;Jackson et al.,1995,J.Immunol.154(7):3310−9;およびHawkins et al,1992,J.Mol.Biol.226:889−896に記載されている。
あるいは、本発明の抗体の1つまたは複数のCDRにおいて、たとえば抗原に対する抗体の親和性を有意に変化させない「サイレント」であるアミノ酸改変を作製することができる。これらは、発現を最適化することを含む多くの理由で作製することができる(本発明の抗体をコードする核酸について行うことができるので)。
したがって、変異体CDRおよび抗体は、本発明のCDRおよび抗体の定義の範囲内で含まれる;すなわち、本発明の抗体は、Ab79およびAb19のCDRの1つまたは複数にアミノ酸改変を含むことができる。加えて、以下で概説するように、アミノ酸改変はまた、フレームワークおよび定常領域を含むCDRの外側の任意の領域においても、独立して、かつ任意に作製することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体を薬物と抱合して、抗体−薬物縫合体(ADC)を形成する。一般に、ADCは、腫瘍学的用途において使用され、この場合、細胞障害能または細胞増殖抑制性薬剤の局所的送達のための抗体−薬物抱合体の使用により、腫瘍に対する薬物のターゲッティングされた送達を可能にし、これにより、より高い有効性、より低い毒性等を可能にすることができる。この技術の概要は、Ducry et al.,Bioconjugate Chem.(21):5−13(2010)、Carter et al.,Cancer J.14(3):154(2008)およびSenter,Current Opin.Chem.Biol.13:235−244(2009)において与えられており、これらの全ては、全ての目的について、および特に薬物が結合する抗体に関連した全ての教示ついて、その全体が参照により本明細書に援用される。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、薬物に抱合されたToso抗体を提供する。一般に、抱合は、抗体への共有結合付着によって行われ、一般にはリンカー、多くの場合はペプチド結合に依存する(これは、当技術分野で公知の通り、標的部位でのプロテアーゼによる切断に対して感受性であるように、またはそうでないように設計されてもよい)。加えて、上記の通り、リンカー薬物ユニット(LU−D)の結合は、抗体内のシステインへの結合によって行うことができる。当業者が理解するように、抗体当たりの薬物部分の数は、反応の条件に応じて変化することができ、1:1から10:1の薬物:抗体の比で変化することができる。当業者が理解するように、実際の数は平均値である。
ADCの薬物は、化学療法剤などの細胞毒性薬剤、増殖阻害薬剤、毒素(たとえば、バクテリア、菌類、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはその断片)または放射性同位元素(すなわち、放射性接合体)を含むが、限定されない任意の数の薬剤であることもできる。他の実施形態において、本発明は、ADCを使用する方法をさらに提供する。
本発明の抗体−薬物抱合体における使用のための薬物は、細胞毒性薬物、特に癌療法のために使用されるものを含む。このような薬物には、一般に、DNA損傷薬、抗代謝物剤、天然物およびこれらの類似体を含む。細胞毒性薬剤の例示的な分類は、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤およびチミジル酸シンターゼ阻害剤などの酵素阻害剤、DNAインターカレータ、DNA開裂剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリンファミリーの薬物、ビンカ薬、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、プテリジンファミリーの薬物、ジイン、ポドフィロトキシン、ドラスタチン(dolastatins)、メイタンシノイド(maytansinoids)、分化誘導因子およびタキソールを含む。
これら分類のメンバーには、たとえばメトトレキセート、メトプテリン、ジクロロメトトレキセート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、ロイロシン、ロイロシダイン(leurosideine)、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン(tallysomycin)、ポドフィロトキシンおよびポドフィロトキシン誘導体(たとえば、エトポシドまたはリン酸エトポシド)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソールを含むタキサン類、タキソテールレチノイン酸、酪酸、N8−アセチルスペルミジン、カンプトセシン、カリケアマイシン、エスペラマイシン(esperamicin)、エン−ジイン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、カリケアマイシン、カンプトセシン、メイタンシノイド(maytansinoids:DM1を含む)、モノメチルオーリスタチン(monomethylauristatin)E(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)およびメイタンシノイド(DM4)、並びにこれらの類似体を含む。
毒素は、抗体−毒素抱合体として使用してもよく、またジフテリア毒素などのバクテリア毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(geldanamycin)などの小分子毒素(Mandler et al(2000)J.Nat.Cancer Inst.92(19):1573−1581;Mandler et al(2000)Bioorganic&Med.Chem.Letters 10:1025−1028;Mandler et al(2002)Bioconjugate Chem.13:786−791)、メイタンシノイド(EP1391213;Liu et al.,(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623)、およびカリケアマイシン(Lode et al(1998)Cancer Res.58:2928;Hinman et al(1993)Cancer Res.53:3336−3342)を含んでよい。毒素は、チューブリン結合、DNA結合またはトポイソメラーゼ阻害を含む機構によって、これらの細胞障害作用および細胞静止作用を働かせ得る。
Toso抗体とメイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシンおよびCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの1つまたは複数の小分子毒素との接合体が想定される。
上記のいずれかにしたがって、本発明の抗体に対して行うことができるもう一つのタイプの修飾は、グリコシル化における変化である。もう一つの実施形態において、本明細書に開示された抗体は、1つまたは複数の操作された糖形態を含めるように修飾することができる。本明細書で使用される「操作された糖型」は、抗体に共有結合される炭化水素組成物を意味し、前記炭化水素組成物は、親抗体のものとは化学的に異なる。操作された糖型は、エフェクター機能を増強すること、または減少させることを含むが、限定されない種々の目的のために有用であり得る。操作された糖型の例示的形態は、アフコシル化であり、これは多分FcγRIIIa受容体へのより堅い結合を介して、ADCC機能における増大に相関することが示されている。この点において、「アフコシル化」は、宿主細胞において産生される抗体の大多数、たとえば生成された抗体の90−95−98%は、抗体の炭化水素部分の成分としての相当のフコース(一般にFc領域におけるN297に結合される)を実質的に欠いていることを意味する。機能的に定義すれば、アフコシル化された抗体は、一般に、FcγRIIIa受容体に対して少なくとも50%以上の親和性を示す。
操作された糖型は、当該技術分野において公知の種々の方法よって形成されてもよい(Umana et al.,1999、Nat Biotechnol 17:176−180;Davies et al.,2001、Biotechnol Bioeng 74:288−294;Shields et al.,2002、J Biol Chem 277:26733−26740;Shinkawa et al.,2003、J Biol Chem 278:3466−3473;米国特許第6,602,684号;米国出願番号10/277,370;米国出願番号10/113,929;PCT WO00/61739A1;PCT WO01/29246A1;PCT WO02/31140A1;PCT WO02/30954A1、これらの全ては、全ての目的について、および特に操作された糖型に関連した全ての教示において、その全体が参照により本明細書に援用される)。これら技術の多くは、フコシル化されたもののレベルを制御すること、および/またはFc領域に共有結合されたオリゴ糖を二分することに基づいており、これは、たとえば操作さたまたはそうではない種々の生物または株化細胞(たとえばLec−13 CHO細胞またはラットハイブリドーマYB2/0細胞)においてIgGを発現させること、またはグリコシル化経路(たとえばFUT8[α1,6−フコシル基転移酵素]および/またはβ1−4−N−アセチルグルコサミン転移酵素III[GnTIII])に含まれる酵素を調節することによる、またはIgGが発現された後で炭化水素を修飾することによる。たとえば、シアトル・ジェネティックスの「糖を操作された抗体」または「SEA技術」は、産生の際にフコシル化を阻害する修飾された糖を加えることによって機能する;たとえば、20090317869を参照され、その全体が参照により本明細書に援用される。操作された糖型とは、典型的には異なる炭化水素またはオリゴ糖をいい;したがって、抗体は操作された糖型を含むことができる。
あるいは、操作された糖型は、水化物またはオリゴ糖を含む変異体をいい得る。当該技術で公知のように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(たとえば、以下で述べた特定のグリコシル化アミノ酸残基の有無)またはタンパク質が産生された宿主細胞もしくは生物の両方に依存し得る。特定の発現系が当該技術分野で公知であり、また本明細書において考察される。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−連結またはO−連結である。N−連結されたとは、アスパラギン残基の側鎖に対する炭化水素部分の結合をいう。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭化水素部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を形成する。O−結合グリコシル化は、糖の一つであるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの結合を意味するが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも使用し得る。
抗体(または任意の他のポリペプチド、たとえば上で述べた可溶性Tosoタンパク質)へのグリコシル化部位の付加は、それが1つまたは複数の上記トリペプチド配列(N−連結されたグリコシル化部位について)を含むようにアミノ酸配列を変化させることによって、都合よく達成される。また、この変化は、出発配列(O−連結されたグリコシル化部位について)に対して1つまたは複数のセリン残基またはスレオニン残基を付加または置換することによって作製してもよい。容易さのために、抗体アミノ酸配列は、DNAレベルでの変化を介して、特に標的ポリペプチドをコードするDNAを、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように予め選択された塩基で変異させることによって、好ましくは変化させられる。
抗体またはもう一つのタンパク質上の炭化水素部分の数を増加させるもう一つの手段は、タンパク質に対して、グリコシドを化学的または酵素的に結合させることによるものである。これらの方法は、N−およびO−連結されたグリコシル化のグリコシル化能を有する宿主細胞中でのタンパク質産生を必要としない点で有利である。使用する結合様式に応じて、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジンに、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのものなどの遊離のスルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンのものなどのヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのものなどの芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に結合されてよい。これらの方法は、WO87/05330に、およびAplin and Wriston,1981,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306に記述されており、両方とも、全ての目的について、および特にタンパク質に炭化水素部分を接続することに関する全ての教示について、その全てが参照により本明細書に援用される。
出発抗体上に存在する炭化水素部分の除去(たとえば、翻訳後に)は、化学的にまたは酵素的に達成してもよい。化学的脱グリコシルは、化合物トリフルオロメタンスルホン酸またはその同等化合物にタンパク質を曝露することを必要とする。この処理は、連結する糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)以外のほとんどまたは全部の糖の切断を生じる一方で、ポリペプチドは無処置のまま残す。化学的脱グリコシルは、Hakimuddin et al.,1987(Arch)Biochem.Biophys.259:52およびEdge et al.,1981,Anal.Biochem.118:131によって記載されており、両方とも、全体が参照により援用される。ポリペプチド上の炭化水素部分の酵素的切断は、全体が参照により援用されるThotakura et al.,1987(Meth.)Enzymol.138:350に記述されたように、種々のエンド−およびエキソ−グリコシダーゼを使用することによって達成できる。潜在的グリコシル化部位におけるグリコシル化は、全体が参照により援用されるDuskin et al.,1982(J.Biol.Chem.257:3105)によって記述されるように、化合物ツニカマイシン(tunicamycin)の使用によって防止され得る。ツニカマイシンは、タンパク質−N−グリコシド結合の形成をブロックする。
抗体のもう一つのタイプの共有結合結合性の修飾は、たとえばNektar Therapeutics(Nektar websiteで入手可能)からの2005−2006 PEG Catalog、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337号(全てが、全ての目的について、および特にポリマーに対する抗体の連結に関する全ての教示について、全体が参照により援用される)に記載されている方法で、限定されないがポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンなどの種々のポリオールを含む、抗体を種々の非タンパクポリマーに連結することを含む。加えて、当該技術において公知のように、PEGなどのポリマーの付加を容易にするために、抗体内の種々の位置においてアミノ酸置換を作製してもよい。たとえば、全体が参照により援用される米国公開番号2005/0114037A1を参照されたい。
本発明は、本発明のToso抗体をコードする核酸をさらに含む。重鎖および軽鎖の定常ドメインが抗体に含まれる場合、一般に、これらは、各々をコードする核酸を使用して作製され、これらは標準的な宿主細胞(たとえば、CHO細胞等)の中で結合されて、抗体の四量体構造を産生する。1つの不変領域のみが作製される場合、単一の核酸だけが使用されるであろう。
本発明にしたがって使用される抗体の製剤は、望ましい純度を有する抗体を任意の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.[1980])と混合することによって、貯蔵のために、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製することができる。許容可能な担体、賦形剤または安定剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、また緩衝液、たとえばホスフェート、シトラートおよびその他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(たとえば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;石炭酸、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類および他の炭化水素;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩成形性対イオン;金属複合体(たとえばZn−タンパク質複合体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性物質を含む。
また、本発明の製剤は、治療される特定の適応症のために必要な複数の活性化合物、好ましくは、相互に悪影響を与えない相補的な活性をもつものを含んでよい。たとえば、他の特異性をもつ抗体を提供することがが望ましいであろう。あるいは、または加えて、組成物は、細胞毒性剤、サイトカイン、増殖阻害剤および/または小分子アンタゴニストを含んでもよい。このような分子は、意図した目的のために有効な量の組み合わせで適切に存在する。
また、この活性成分は、たとえばコアセルベーション技術によって、または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、たとえばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、またコロイド性薬物送達システム(たとえば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中に包括されてよい。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
インビボ投与のために使用される製剤は、無菌でまたはほとんど無菌であるべきである。これは、無菌濾過膜を介した濾過によって容易に達成される。
持放性製剤が調製されてよい。持放性製剤の適切な例には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは、整形品(たとえばフィルムまたはマイクロカプセル)の形態である。持放性マトリックスの例には、ポリエステル類、ヒドロゲル[たとえば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびガンマエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレンビニルアセテート、LUPRON DEPOT(登録商標;乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なマイクロスフェア)等の分解可能な乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3、−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレンビニルアセテートおよび乳酸−グリコール酸等のポリマーは、100日以上にわた見出って分子の放出を可能にするが、一定のヒドロゲルはより短時間だけタンパク質を放出する。
カプセル化された抗体が長時間にわたって身体に残るとき、これらは、37℃の湿気への曝露の結果として変性または凝集して、生物学的活性の喪失および免疫原性における可能な変化を生じる。安定化のための合理的なストラテジーを、関与する機構に応じて工夫することができる。たとえば、凝集機構がチオ−ジスルフィド相互変化を介した分子間S−S結合の形成であることが示された場合、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、含水量を制御すること、適切な添加剤を使用すること、および特殊なポリマーマトリクス組成物を開発することによって達成し得る。
IV. Toso活性を調節する方法
一つの態様において、本発明は、Toso活性を調節する方法に向けられる。一つの実施形態において、Toso活性を調節する方法は、Toso活性を阻害することを含む。他の実施形態において、Toso活性を調節する方法は、Toso活性を増加させることを含む。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、Toso活性を直接調節することを含む。例示的な実施形態において、このような方法は、抗体などのTosoに結合する薬剤を適用することを含む。
他の実施形態において、たとえばTosoの同族リガンドを結合することによって、Toso活性は間接的に調節される。例示的な実施形態において、Toso活性は、可溶性Tosoタンパク質を投与することによって調節される。
さらなる実施形態において、Toso活性は、機構の組み合わせによって、たとえばTosoの同族のリガンドに結合する薬剤を含む組成物と組み合わせて、Tosoに結合する薬剤を含む組成物を投与することによって調節される。例示的な実施形態において、このような組み合わせは、限定されないが、Toso抗体および可溶性Tosoタンパク質を含んでよい。
理解されるように、Toso活性を調節する方法は、本明細書に記載した配列番号1−25の任意の1つまたは複数、並びにその任意の変異体または修飾体の1つまたは複数を含む、本明細書に記載した組成物のいずれかを任意の組み合わせで使用することを含むことができる。
V. 障害を治療する方法
一つの態様において、および上記のいずれかにしたがって、本発明は、限定されないが、可溶性Tosoタンパク質またはTosoに対する抗体を含有するToso活性を調節する組成物を用いて、それを必要としている被験体を治療することによって障害を治療する方法を提供する。
特定の実施形態において、および上記のいずれかにしたがって、本発明は、可溶性Tosoタンパク質を含む組成物を用いて、それを必要としている被験体を治療することによって障害を治療する方法を提供する。理論に制約されるものではないが、可溶性Tosoタンパク質がこれら障害のための有効な治療である1つの潜在的な機構は、Toso活性を調節することによるものである。一定の実施形態において、本発明にしたがって障害を治療する方法は、配列番号1−25の任意の1つまたは複数またはそのいずれかの変異体を含む可溶性Tosoタンパク質を含む、本明細書に記載した可溶性Tosoタンパク質またはそのいずれかの変異体の治療上有効な量を投与することを含む。さらなる実施形態において、糖尿病、多発性硬化症、喘息および癌を含む障害を治療するために使用される可溶性タンパク質は、配列番号1−25のいずれか一つに対して約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性をもつポリペプチドを含む。このようなポリペプチドは、本明細書に記載したいずれかの障害を治療するために化学修飾を含む、本明細書に記載した方法にしたがってさらに修飾されてよい。
さらなる態様において、本発明は、被験体に可溶性Tosoタンパク質(またはその変異体)を投与することによって、障害および疾患を治療する方法に向けられる。本発明の可溶性Tosoタンパク質は、限定されないが、自己免疫疾患(限定されないが、1型糖尿病、多発性硬化症または慢性関節リウマチを含む)、2型糖尿病、喘息、アレルギー慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)、ハイパーIgM症状群、狼蒼、癌または好中球増加関連障害(限定されないが、好中球減少、重篤な先天性好中球減少、周期的な好中球減少、抗体媒介性の好中球減少、細網異形成症、白血球接着欠損、家族性骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、家族性冷却じんま疹および白血球増加、および慢性肉芽腫症を含む)に罹患した被験体を治療するために使用することができる。理解されるように、本明細書に記載された可溶性Tosoタンパク質のいずれかは、単独または任意の組み合わせにおいて、これら障害または疾患のいずれかを治療するために使用することができる。
さらなる実施形態において、薬学的に許容される量の可溶性Tosoタンパク質は、それを必要としている被験体に対して、本明細書で述べた障害のいずれかを治療するために投与される。いくつかの実施形態において、被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、細胞外Tosoドメインおよび/またはFcドメインおよび/またはシグナル配列および/または可撓性リンカーを含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1−25の任意の1つに記載の配列を含む。また、配列番号1−25の任意の1つの組み合わせは、本明細書述べた障害のいずれかを治療するために、別々のポリペプチドとして、または融合タンパク質として一緒に使用してもよい。このようなポリペプチドは、このような障害を治療するために、本明細書での記載にしたがって、化学修飾を含めてさらに修飾されてもよい。なおさらなる実施形態において、本明細書に記載した障害のいずれかを治療するために使用される可溶性Tosoタンパク質は、図8に示した配列番号5を含む配列を有する。さらに他の実施形態において、本明細書で述べた障害のいずれかの治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性をもった配列を有する。さらなる実施形態において、本明細書で述べた障害のいずれかの治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して約75−99%、80−98%、85−97%、90−96%、91−99%、92−98%、93−97%、94−96%の同一性をもった配列を有する。なおさらなる実施形態において、本明細書で述べた障害のいずれかの治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のアミノ酸置換を伴う配列番号5を含む。さらに他の実施形態において、糖尿病の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1−30、2−25、3−20、4−15、5−10、6−9、7−8のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。さらなる例示的な実施形態において、約12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。理解されるように、可溶性Tosoタンパク質の量は、実験動物からヒトへの投薬量変換のために広く認められた、体表面積(BSA)正規化方法を使用して、動物試験に基づいて確認することができる。(Reagan−Shaw,S.,Nihal,M.,and Admad,N.Dose translation from animal to human studies revisited.2007.The Faseb Journalを参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の方法および組成物は、1型または2型糖尿病のリスクがあり、またはその疾患を有する被験体を治療するために使用される。さらなる実施形態において、薬学的に許容される量の可溶性Tosoタンパク質は、それを必要とする被験体に投与される。いくつかの実施形態において、糖尿病を治療するために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、細胞外Tosoドメインおよび/またはFcドメインおよび/またはシグナル配列および/またはリンカーを含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、本明細書で述べた配列番号1−25の任意の1つに記載の配列または配列番号1−25の変異体のいずれかを含む。さらに他の実施形態において、糖尿病の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1−25の任意の1つに対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性をもつ配列を含む。また、配列番号1−25の任意の1つの組み合わせを、糖尿病を治療するために、別々のポリペプチドとして、または融合タンパク質として一緒に、いずれかで使用してもよい。このようなポリペプチドは、糖尿病を治療するために、本明細書における記載にしたがって、化学修飾を含めてさらに修飾されてもよい。なおさらなる実施形態において、糖尿病の被験体を治療するために使用される可溶性Tosoタンパク質は、図8に示した配列番号5を含む配列を有する。さらに他の実施形態において、糖尿病の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性をもつ配列を有する。さらなる実施形態において、糖尿病の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、約75−99%、80−98%、85−97%、90−96%、91−99%、92−98%、93−97%、94−96%の同一性をもつ配列を有する。なおさらなる実施形態において、糖尿病の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。さらに他の実施形態において、糖尿病の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1−30、2−25、3−20、4−15、5−10、6−9、7−8のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。なおさらなる実施形態において、本明細書に記載した組成物のいずれかに記載の可溶性Tosoタンパク質での治療は、被験体における糖耐性を改善し、それによって糖尿病を治療するのに役に立つ。例示的な実施形態において、約10−20、11−19、12−18、13−17、14−16mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。さらなる例示的な実施形態において、約10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。理解されるように、可溶性Tosoタンパク質の量は、実験動物からヒトへの投薬量の変換のために広く認められた体表面積(BSA)正規化方法を使用して、動物試験に基づいて確認することができる。(Reagan−Shaw,S.,Nihal,M.,and Admad,N.Dose translation from animal to human studies revisited.2007.The Faseb Journalを参照されたい)。本明細書においてさらに詳細に記載した実験については、50μgの用量が疾患モデルにおいて使用され、それはおよそ20gのマウスにおいて2.5mg/kgであろう。BSA変換を使用すると、これは0.2027mg/kgまたは7.5 mg/m2、または60kgの成人について12.2mgであろう。
他の実施形態において、本発明の方法および組成物は、多発性硬化症のリスクにあるか、またはその疾患を有する被験体を治療するために使用される。さらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質の薬学的に許容される量が、多発性硬化症の治療または寛解のために、それを必要とする被験体に投与される。いくつかの実施形態において、被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、Fcドメインおよび/または可撓性リンカーを含む。いくつかの実施形態において、被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、細胞外Tosoドメインおよび/またはFcドメインおよび/またはシグナル配列および/またはリンカーを含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1−24の任意の1つに記載の配列を含む。 配列番号1−25の任意の1つの組み合わせもまた、別々のポリペプチドとして、または融合タンパク質として一緒に、いずれかで多発性硬化症を治療するために使用されてもよい。また、このようなポリペプチドは、多発性硬化症を治療するために、本明細書の記載にしたがって、化学修飾も含めてさらに修飾されてよい。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、図8に示した配列番号5を含む配列を有する。さらに他の実施形態において、多発性硬化症の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性をもった配列を有する。さらなる実施形態において、多発性硬化症の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、約75−99%、80−98%、85−97%、90−96%、91−99%、92−98%、93−97%、94−96%の同一性をもつ配列を有する。なおさらなる実施形態において、多発性硬化症の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。さらに他の実施形態において、多発性硬化症の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1−30、2−25、3−20、4−15、5−10、6−9、7−8のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。なおさらなる実施形態において、本明細書に記載した組成物のいずれかに記載の可溶性Tosoタンパク質での治療は、多発性硬化症の進行を遅延させるのに役に立つ。例示的な実施形態において、約10−20、11−19、12−18、13−17、14−16mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。さらなる例示的な実施形態において、約10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。理解されるように、可溶性Tosoタンパク質の量は、実験動物からヒトへの投薬量の変換のために広く認められた体表面積(BSA)正規化方法を使用して、動物試験に基づいて確認することができる。(Reagan−Shaw,S.,Nihal,M.,and Admad,N.Dose translation from animal to human studies revisited.2007.The Faseb Journalを参照されたい)。本明細書においてさらに詳細に記載した実験については、50μgの用量が疾患モデルにおいて使用され、それはおよそ20gのマウスにおいて2.5mg/kgであろう。BSA変換を使用すると、これは0.2027mg/kgまたは7.5mg/m2、または60kgの成人について12.2mgであろう。
他の実施形態においては、関節炎のリスクがあるか、またはその疾患を有する被験体を治療するために、本発明の方法および組成物が使用される。さらなる実施形態において、薬学的に許容される量の可溶性Tosoタンパク質が、関節炎の治療または予防のために、それを必要としている被験体に投与される。いくつかの実施形態において、被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、Fcドメインおよび/またはリンカーを含む。いくつかの実施形態において、被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、細胞外Tosoドメインおよび/またはFcドメインおよび/またはシグナル配列および/またはリンカーを含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1−25の任意の1つに記載の配列を含む。配列番号1−25の任意の1つ組み合わせは、別々のポリペプチドとして、または融合タンパク質として一緒に、いずれかで関節炎を治療するために使用されてよい。このようなポリペプチドは、関節炎を治療するために、本明細書の記載にしたがって、化学修飾も含めてさらに修飾されてよい。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、図8に示した配列番号5を含む配列を有する。さらに他の実施形態において、関節炎の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性をもつ配列を有する。さらなる実施形態において、関節炎の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、約75−99%、80−98%、85−97%、90−96%、91−99%、92−98%、93−97%、94−96%の同一性をもつ配列を有する。なおさらなる実施形態において、関節炎の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20のアミノ酸置換をもつ配列番号NO.5を含む。さらに他の実施形態において、関節炎の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1−30、2−25、3−20、4−15、5−10、6−9、7−8のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。なおさらなる実施形態において、本明細書に記載した組成物のいずれかに記載の可溶性Tosoタンパク質での治療は、関節炎の進行を遅延させるのに役に立つ。
特定の実施形態においては、喘息のリスクにあるか、またはその疾患を有する被験体を治療するために、本発明の方法および組成物が使用される。さらなる実施形態において、薬学的に許容される量の可溶性Tosoタンパク質が、それを必要としている被験体に投与される。いくつかの実施形態において、喘息を治療するために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、細胞外Tosoドメインおよび/またはFcドメインおよび/またはシグナル配列および/またはリンカーを含む。なおさらなる実施形態において、可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1−25の任意の1つ、または本明細書で述べた配列番号1−25の変異体のいずれかに記載の配列を含む。さらに他の実施形態において、喘息の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号1−25の任意の1つに対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する配列を含む。また、配列番号1−25の任意の1つの組み合わせを、別々のポリペプチドとして、または融合タンパク質として一緒に、いずれかで喘息を治療するために使用されてよい。このようなポリペプチドは、喘息を治療するために、本明細書の記載にしたがって、化学修飾を含めてさらに修飾されてよい。なおさらなる実施形態において、喘息について被験体を治療するために使用される可溶性Tosoタンパク質は、図8に示した配列番号5を含む配列を有する。さらに他の実施形態において、喘息の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性をもつ配列を有する。さらなる実施形態において、喘息の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、配列番号5に対して、約75−99%、80−98%、85−97%、90−96%、91−99%、92−98%、93−97%、94−96%の同一性をもった配列を有する。なおさらなる実施形態において、喘息の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。さらに他の実施形態において、喘息の治療のために被験体に投与される可溶性Tosoタンパク質は、1−30、2−25、3−20、4−15、5−10、6−9、7−8のアミノ酸置換をもつ配列番号5を含む。なおさらなる実施形態において、本明細書に記載した組成物のいずれかに記載の可溶性Tosoタンパク質での治療は、被験体における糖耐性を改善し、それによって喘息を治療するのに役に立つ。例示的な実施形態においては、約10−20、11−19、12−18、13−17、14−16mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。さらなる例示的な実施形態において、約10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16mgの可溶性Tosoタンパク質が、治療効果のために被験体に投与される。理解されるように、可溶性Tosoタンパク質の量は、実験動物からヒトへの投薬量の変換のために広く認められた体表面積(BSA)正規化方法を使用して、動物試験に基づいて確認することができる。(Reagan−Shaw,S.,Nihal,M.,and Admad,N.Dose translation from animal to human studies revisited.2007.The Faseb Journalを参照されたい)。本明細書においてさらに詳細に記載した実験については、50μgの用量が疾患モデルにおいて使用され、それはおよそ20gのマウスにおいて2.5mg/kgであろう。BSA変換を使用すると、これは0.2027mg/kgまたは7.5mg/m2、または60kgの成人について12.2mgであろう。
さらなる実施形態において、配列番号1−25のポリペプチドの任意の1つまたは複数を含む可溶性Tosoタンパク質を含めて、本明細書に記載した可溶性Tosoタンパク質は、医薬としての使用のための形態にある。さらなる実施形態において、本発明は、医薬としての使用のために、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20,21、22、23、24、または25のポリペプチドの任意の1つまたは複数(または任意の1つまたは複数の一部)を含む可溶性Tosoタンパク質を提供する。なおさらなる実施形態において、本発明は、配列番号1−25のポリペプチドの任意の1つのを含む可溶性Tosoタンパク質の、以下の障害の任意の1つのを治療するための使用のための方法を提供する:自己免疫疾患(限定されないが、1型または2型糖尿病、多発性硬化症または慢性関節リウマチを含む)、喘息、アレルギー性慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)、ハイパーIgM症状群、狼蒼、癌または好中球増加関連障害(限定されないが、好中球減少、重篤な先天性好中球減少、周期的な好中球減少、抗体媒介性の好中球減少、細網異形成症、白血球接着欠損、家族性骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、家族性の冷却じんま疹および白血球増加並びに慢性肉芽腫症を含む)。
上記で述べたように、いくつかの実施形態において、本発明の可溶性Tosoタンパク質は、癌を治療するために使用される。さらなる実施形態において、本発明にしたがって癌を治療する方法には、Toso活性を調節することによって腫瘍浸潤および/または転移を阻害する方法を含む。例示的な実施形態において、本発明の組成物は、それを必要とする被験体において腺癌、白血病、リンパ腫、メラノーマ、骨髄腫、肉腫またはテラトカルシノーマの群の任意の1つのを治療するために使用される。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、***、頚部、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、上皮小体、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺または子宮の1つまたは複数における癌に罹患した被験体を治療するために使用される。
実施例1:Tosoは関節炎の病原性において役割を担う
Toso−/−および野生型マウスには、皮下に完全フロイントアジュバント中のII型ニワトリコラーゲンを注射し、期間にわたって疾患進行をモニターした。II型コラーゲンに曝露された動物は、ヒト慢性関節リウマチ(RA)と類似の免疫学的、病理学的および組織学的特徴を有する疾患を発症する。関節の炎症は、デジタルノギスを使用して足関節厚の変化によって測定したときに、Toso−/−マウスにおいて有意に減少した(図1A)。加えて、疾患重症度を、視覚での腫脹および移動度に基づいてそれぞれの関節について0〜4でスコア化した。Toso−/−マウスは、野生型対照と比較して、臨床的スコアを大幅に減少させた(図1B)。流入領域リンパ節におけるリンパ球集団のフローサイトメトリー解析は、B220+ B細胞の有意な減少を示した(図1C)。これらのデータは、Tosoが関節炎の病原性において有意な役割を有することを示唆する。
実施例2:Toso−Fcでの処理は関節炎を防ぐ
本実施例は、Toso−Fc(配列番号:5)での処理が関節炎を防ぐことを示す。関節炎感受性マウス、DBA1に、Toso−Fc I.P.50μgをプレ投与し、疾患を誘導するために完全フロイントアジュバント中のII型コラーゲンで免疫し、および次いで、実験の過程にわたって、Toso−Fcで週に3回処理した。Toso−Fc処理されたマウスは、疾患の重症度および発病率の両方を防ぎ、Toso−Fc投与が関節炎の管理において有用であり得ることを示唆した。たとえば、図24Aは、加算的関節炎スコアが、対照マウス(媒体のみで処理した)と比較して、Toso−Fcで処理されたマウスにおいてごくわずかであったことを示す。同様に、また、図24Bは、関節炎のパーセント発病率が、対照と比較してToso−Fc処理されたマウスにおいてごくわずかであったことを示す。関節炎の臨床的症候を以下の通りに評価した;0=正常、1=軽微な腫脹および/または紅斑、2=明白な腫脹、3=関節強直。それぞれのマウスについての個々の肢スコアを加算して、12の最大疾患スコアを与えた。疾患の発病率は、マウスが肢において1の疾患スコアを有することを観察したときに記録した。
図25は、コラーゲンで刺激したToso−Fcおよび媒体処理したマウスからの脾細胞のリコール反応(増殖)を示すさらなるデータを提供した。図に示したように、Toso−Fcで処理されたマウスからの脾細胞は、媒体処理した対照からの脾細胞より減少した増殖反応を示す。
実施例3:一旦疾患を確立すれば、Toso−Fcは関節炎に対して有効である
上に示したように、Toso−Fcの予防的投与は、慢性関節リウマチのマウスモデルにおける疾患症候を寛解させた。また、本実施例は、Toso−Fcの投与が、治療的状況において有効であることを示す(すなわち、疾患をすでに確立されているとき)。
雌のDBA.1マウス(生後6〜8週間)を、疾患が観察されたときに、一方は媒体処理を受け、および他方はToso−Fcを受けた2つの群に無作為割付けした。全てのマウスには、疾患を誘導するために、コラーゲンを接種した。疾患症候の開始は、免疫化後43日目で観察された。動物を、プロット上の矢印によって示したように(図26)、52日目に媒体対照またはToso−Fcで処理した。57日目の後に、Toso−Fcの治療的投与は、総疾患スコアおよび関節炎発病率を激減させた(図26を参照されたい)。これらのデータは、疾患をすでに確立したときに、Toso−Fcが関節炎症候を効率的に管理することができ、およびしたがって、治療的、並びに予防的状況において有効であり得ることを示す。
実施例4:Tosoは、喘息の発症に関与する
喘息は、異常なTH2活性化、IgE産生、気管支反応亢進および気管支粘膜への白血球管外遊出によって特徴づけられるアレルギーの障害である。好酸球増加症は、アレルギー性喘息の特徴であり、および炎症における重要なプレーヤーであると考えられる。喘息の病理学徴候は、肺に収縮を生じさせ、および喘鳴、息切れ、胸部緊張およびせきをまねく。
OVAで誘導される喘息モデルをToso−/−および野生型マウスにおいて行った(図2A)。OVA(10mg/kg)を0、7および14日目において腹膜内に送達した。次いで、マウスは、21、22および23日目において30分間、エアロゾル化したOVA(1mg/ml)を受け、および2日後屠殺した。Toso−/−マウスは、DifQuik染色によって評価したときに(図2B)、気管支肺胞腔への好酸球遊走の急激な減少を有した。形態に基づいて、好酸球をスライド当たり少なくとも200の白血球を計数することによって定量化した(図2C)。
喘息およびその他のアレルギー疾患は、TH2細胞へのナイーヴT細胞の優先的な分化で典型的に表される。気管支肺胞洗浄液(BALF)におけるTH2関連サイトカインおよびケモカインの存在を評価した。Toso−/−マウスは、ELISAによって評価したときに、BALFにおけるOVAで誘導されるTH2サイトカインIL−4、IL−5およびIL−13において有意な減少を有した(図3A〜C)。肺への抑制された好酸球遊走と一致して、Toso−/−マウスは、BALFにおいてエオタキシン、C−Cケモカインを誘引する好酸球を有意に減少させた(図3D)。気管支平滑筋細胞が、TNFαに応答してエオタキシンを産生することは公知である。Tosoが肺において発現すること、およびTosoがマウスにTNFへの抵抗性を与えることが公知であるので、本発明者は、エオタキシンレベルにおけるTosoの効果が肺固有であったかどうかに取り組もうと努力した。培養したToso−/−気管支平滑筋細胞は、TNFα治療に応答して産生されるエオタキシンのレベルを有意に減少させた(図3E)。総合すれば、これらのデータは、Toso欠損は、OVAで誘導されるTH2サイトカインおよび肺におけるエオタキシンレベルに影響を及ぼすことを示唆する。
アレルギー性喘息の特徴は、IgEの生産過剰である。抗体産生B細胞は、IL−4などのTH2サイトカインによってIgEを産生するように誘導される(Oettgen,H.C.and R.S.Geha,IgE regulation and roles in asthma pathogenesis.J Allergy Clin Immunol,2001.107(3):p.429−40)。OVAで誘導される血清におけるIgE総量およびOVA特異的なIgEレベルは、Toso−/−マウスにおいて有意に抑制したが(図4AおよびB)、一方、OVA特異的なIgG1は、野生型とノックアウトとの間で類似した(図4C)。これらのデータは、Tosoの遺伝的除去またはおそらく治療的遮断が、IgEの産生を減少させることができることを示唆する。
アレルギー性喘息の典型となる炎症性の現象は、結果的に肺に拘束性の気流を生じさせる気道再構築になる。したがって、Toso欠損は、OVAで誘導される気道過敏症に影響を及ぼしたかどうかを、全身プレチスモグラフィーを使用してメタコリンの用量を増加させることに応答するエンハンスドポーズ(Penh)を測定することによって評価した。Toso−/−マウスは、野生型対照と比較して、Penh値における有意な減少によって示したときに、OVAで誘導される気道過敏症から有意に保護した(図5)。これらのデータは、Toso遮断がアレルギー性喘息における気道反応性を緩和するための効率的なストラテジーであることを示唆する。
実施例5:Toso除去は樹状細胞活性に影響を及ぼす
Toso除去は、アレルギー性および炎症性疾患の発症に広範な効果を有する。1つの可能性のある限定されない機構は、おそらく樹状細胞(DCs)がナイーヴT細胞に対して抗原を提示する機能を介して、Tosoが全体的なレベルにてこれらの疾患プロセスを調節する。
T細胞の活性化において、または疾患の発症において、Toso−/−樹状細胞の機能的関連を試験するため、本発明者らは、抗原を負荷したToso−/− DCsの導入が、野生型対応物に類似の疾患プロセスを誘発したをかどうかを決定した。
野生型およびToso−/−骨髄由来DCsを、GM−CSFとの培養を介して作製した(Lutz,M.B.,et al.,An advanced culture method for generating large quantities of highly pure dendritic cells from mouse bone marrow. J Immunol Methods,1999.223(1):p.77−92を参照され、これは全ての目的のために、および特に樹状細胞の培養に関する全ての教示のために、その全体が参照により本明細書に援用される)。Lambrechtらのプロトコルと同様に、本実験におけるDCsには、OVAを負荷した。抗原負荷したDCsをC57BL6動物の気管に注入した(Lambrecht,B.N.,et al.,Myeloid dendritic cells induce Th2 responses to inhaled antigen,leading to eosinophilic airway inflammation.J Clin Invest,2000.106(4):p.551−9を参照され、これは全ての目的のために、および樹状細胞に関連した全ての教示のために、参照により本明細書に援用される)。1週間後、動物を3日間連続の喘息研究に従ってエアロゾル化したOVAで処理した。著しく、OVA負荷したToso−/−樹状細胞は、野生型対照と比較して、これらがBALF内でTH2サイトカイン産生を誘導する能力を有意に減少した(図7A)。2d2 TCRトランスジェニック株は、EAEを誘発するために使用されたMOG35−55ペプチドに特異的であるT細胞を含む(Bettelli,E.,et al.,Myelin oligodendrocyte glycoprotein−specific T cell receptor transgenic mice develop spontaneous autoimmune optic neuritis.J Exp Med,2003.197(9):p.1073−81)。2d2マウスに由来したT細胞は、MOG35−55負荷されたToso−/−DCsと共培養したときに、増殖できなかった(図7B)。ラットインスリンプロモーター(RIP)の制御下でリンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)から主要糖タンパク質(GP)を発現するマウスは、血清グルコースの増加したレベルによって評価したときに、糖尿病を発症する。同様に、また、GPペプチドを受けたRIP−GPを負荷したDCsは、疾患を発症する。Toso−/−DCsは、野生型対照と比較して、これらが疾患を誘発する能力に機能障害を示し、およびペプチドを負荷したToso−/− DCsを受けたRIP−GPマウスは、ペプチドを負荷した野生型DCsを受けたこれらのマウスより有意に生存する(図7C)。総合すれば、これらの結果は、TosoがT細胞を活性化し、および樹状細胞が疾患を誘導する能力に必要であることを示唆する。
実施例6:可溶性Tosoタンパク質の投与は、喘息疾患測定基準を抑止する
可溶性受容体を生成するために、ヒト脾臓cDNAライブラリーからTosoの細胞外ドメインを増幅し、および次いで、IL2シグナル配列の下流のpFuse−hIgG1e3−Fc2内に、C末端にヒトIgG1に由来するFcドメインで、インフレームにクローン化し、培養上清への最適の分泌を可能にした(図8A−シグナル配列を囲い枠によって示し、Fcドメインを下線で示した)。加えて、Fc領域は、抗体依存的な、および補体依存的な細胞毒性を除去することが示されている、いくつかの突然変異(E233P/L234V/L235A/ΔG236/A327G/A330S/P331S)を含んだ。これらの突然変異は、インビボで投与されたときに、タンパク質の半減期を増強すること、および好ましい薬物動態学的プロフィールを与えることができる。このToso−Fc構築物、並びに空のベクター対照を、Freestyleの発現システムを使用して、無血清培地細胞400ml中の3×108個の293F細胞にトランスフェクトした。2日後、上清を収集し、および細胞をさらなる培地400ml中に再懸濁した。培養のさらに2日後、第2の上清を収集し、および第1の上清と混合した。Toso−Fc可溶性受容体の分泌を、ELISAを使用して確認し(図8B)、プロテインGクロマトグラフィーによって精製し、および100mMグリシンpH2.3で溶出した。溶離液画分1mlを中和緩衝液(1M Tris pH9.5)60μl中に収集し、およびFc領域に対する抗体でのウエスタンブロット(図8Ci)およびクーマシーブルー染色(図8Cii)によって確認した。
可溶性受容体の結合をマウス脾細胞において試験した。およそ106個の細胞を、氷上で2時間、FACS染色緩衝液(PBS+1%BSA+0.05%NaN3)100μl中で示した量のToso−Fcとインキュベートした。細胞をFACS緩衝液中で洗浄し、および氷上で30分間、FITC抱合された抗ヒトFC g F(ab’)2断片とインキュベートし、およびFACS Cantoフローサイトメーターで得た。脾細胞のおよそ10%は、10μgにて可溶性受容体に結合した(図8D)。精製したFcタンパク質単独では、脾細胞に対する有意な結合を示さず、Toso−Fc結合が特異的であったことを示唆した。さらなる詳細分析は、Toso−FcがCD11c+MHChi成熟樹状細胞または脾臓におけるCD11c+B220+形質細胞様DCsに最も有意に結合することを示した(図8E)。これらのデータは、Toso−Fc可溶性受容体が機能的であり、およびTosoのリガンドが成熟樹状細胞において発現し得ることを例証する。
Toso−Fc投与の治療的有用性を、OVAで誘導される喘息のマウスモデルにおいて評価した。疾患を、わずかに改変して上記のように誘発した。雌BALB/cマウスを、エアロゾル化したOVA曝露前に3日間連続で、Toso−Fc 50μgを腹膜内に投与したことを除いては、記述されたように処理した(図9A)。疾患の重症度を、BALFにおけるTh2サイトカイン(図9B)、BALFにおける細胞充実性(図9C)を調べることによって評価した。Toso−Fcでの前処置は、疾患測定基準を有意に抑止し、Toso−Fcの投与が喘息の管理において有用な治療規範であり得ることを示唆した。
実施例7:Tosoは多発性硬化症の治療のための潜在的標的である
実験的自己免疫性脳炎(EAE)は、ヒトMSのための有用なマウスモデルである。この系は、CD4+ TH1/TH17細胞の抗原依存的な活性化および脱髄および後肢不随をまねく単核球性細胞の血管周囲蓄積を含む。C57BL/6の背景において、EAEは、完全フロイントアジュバント中の百日咳毒素で疾患が時間と共に増加し、およびミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド、MOG35−55の注射を介して誘発されるときに、慢性進行性とみなされる。疾患重症度を、およそ1ヵ月間、毎日0から5でスコア化した(この場合、0=疾患の徴候なし、1=弱々しい尾部および後肢の弱さ、しかし両方でない、2=弱々しい尾部または後肢の弱さ、3=部分的な後肢不随、4=完全な後肢不随、5=EAEによる瀕死の状態または死)。
上述したMOGで誘導されるモデルにおいて、Toso−/−マウスは、野生型対照と比較して、EAEの発症から著しく保護された(図6)。これらのデータはToso機能をブロックすることがMSのための新規の治療ストラテジーとなり得ることを示唆する。
実施例8:Toso−Fcでの処理はEAEの発症を遅延させる
本実施例は、Toso−Fc(配列番号:5)での処理がEAEの発症を遅延させることを証明する。上で議論したように、EAEマウスモデルは、ヒトMSのための有用なモデルである。図23Aにおいて描かれた実験については、C57BL/6マウスを、疾患を誘導するMOGペプチドでの免疫化前に、Toso−Fcで前処理した。Toso−Fcで処理した。免疫化後、マウスを30日間、週に3回腹膜内にToso−Fc 50μg(または対照マウスのためのPBS)で処理した。図23Bに示したように、Toso−Fcは、EAEの進行を遅延させ、多発性硬化症におけるToso−Fcの修飾効果を示す。
実施例9:Tosoは生得的な抗菌免疫応答を減少させる
本実施例は、顆粒球が細菌感染後のToso欠損マウスにおいて早く活性化され、および病原体の制御に必須であることを証明する。Toso欠損顆粒球は、増強されたCD11bおよびCD18の発現を証明し、低下した活性化閾値を示した。これらの結果と一致して、Toso欠損顆粒球は、末梢組織における炎症部位にて減少したエフェクター機能を示した。変化させられた顆粒球機能の結果、Toso欠損マウスは、全身性リステリア感染を一掃することができず、Toso欠損マウスの迅速な死をまねく。したがって、Tosoは、顆粒球の活性化閾値およびエフェクター機能に影響を及ぼし、およびしたがって、決定的に生得的な抗菌免疫応答を減少させる。
材料および方法
マウス:短配列は、マウスToso cDNA配列に由来する一連のオリゴマーを使用して、ライブラリー単離したゲノムDNA断片をシークエンスすることによって得た。6.5kbp断片を、BglII制限消化酵素を使用して5’末端から単離し、ノックアウト構築物のための長腕として使用した。650bp短腕は、遺伝子の3’末端の配列に由来したオリゴマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって産生した(5’GTGAATACGTGAGCTTGGGCTACC3’配列番号:1および5’CAAGTGATGGGGGATTACAGTGAA3’配列番号:2)。長および短腕は、Toso翻訳センスと同じ向きにネオマイシン耐性カセットのいずれかの末端に連結した。胚性幹(ES)細胞ゲノムDNAへのこのノックアウト構築物の部位特異的な挿入を、Neoの3’末端において、および短腕の3’末端の下流のゲノムDNA隣接領域においてデザインしたプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって最初にスクリーニングした。マウスを、3つのプライマーを使用してスクリーニングした。共通のプライマー(5’TGTTTAATATGATGTGTCAGGCTG3’配列番号:3)は、短腕領域に位置し、および2つのその他のプライマーは、Neoの3’領域(5’AGGGCCAGCTCATTCCTCCCACTCAT3’配列番号:4)またはノックアウト構築物によって切除されたDNAの3’領域(5’AACTCTGCCCCTGCTCCTTCATTTCC3’配列番号:5)のいずれか由来であった。そうする際に、再編成された対立遺伝子から得られたバンドは、400bpであり、および天然の遺伝子のものは、450bpであった。D3 ES細胞には、ノックアウト構築物を電気穿孔し、300μg/ml G418の存在下において増殖させた。次いで、陽性ESクローンをE3.5 C57/BL6由来の胚盤胞に注射し、キメラ子孫を再編成された対立遺伝子の存在についてスクリーニングし、およびC57BL/6背景と戻し交配した。CD11b−/−マウスは、C57BL/6背景においてJacksonに由来した。
骨髄キメラマウス:マウスを、1050radで致死的に照射を受し、および107個のCD45.1 WT骨髄細胞または107個のCD45.2 Toso−/−骨骨髄細胞または5×106個のCD45.1 WT骨髄細胞プラス5×106個のCD45.2 Toso−/−骨髄細胞いずれかで再構成した。この研究において使用した全てのマウスは、C57BL/6遺伝的背景において維持した。全ての実験は、単一の換気されたケージにおいて行った。
リステリア感染:リステリアを、ハートインフュージョン寒天培地において増殖させた。別に示されない場合、マウスは、2×104CFUで静脈内に感染させた。
サイトカイン刺激後の顆粒球活性化およびFACS解析:FACS染色および解析は、記述されたように行った(Lang,P.A.,et al.Aggravation of viral hepatitis by platelet−derived serotonin.Nat Med 14,756−761(2008)、これは全ての目的のために、および特にFACS染色および解析に関連した全ての教示のために、その全体が参照により本明細書に援用される)。組換えマウスTNF−αは、R+Dシステムからであり、LPSは、Sigmaからであり、およびGM−CSFは、X63O細胞上清から得た。SigmaからのfMLPを示した濃度にて使用した。活性化研究については、血液10μlを抗Gr1(eBiosciences)、ジヒドロローダミン(Alexis)およびCD11b(eBiosciences、示された場合)に加えて、異なるサイトカインを含む培地100μl中でインキュベートした。30分または45分のインキュベーション(別に示されない場合、37℃にて)後、顆粒球を固定し、および赤血球を、赤血球溶解緩衝液(BD Biociences)を使用して溶解した。CD11a、CD11bおよびCD18のナイーヴ発現については、血液を10分間2%ホルマリンで固定し、および次いで、4℃にて抗Gr1および一致する抗体で染色した。Toso抗体をNguyenら(Blood,2011,Jul 21,118(3):598−608)に従って産生した。
プライミング研究については、顆粒球を異なるサイトカインと30分間インキュベートし、続いて15分間のfMLPインキュベーションを行った。
組織学:組織学的解析は、Lang、K.S.らに記載されたようにスナップ凍結された、またはホルマリン固定された組織において行った。肝臓の免疫特権状態は、Toll様受容体3シグナリングによって制御される。J Clin Invest 116,2456−2463(2006)、これは、全ての目的のために、および特に組織学的解析に関連した全ての教示のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
MPO ELISA:MPO ELISAは、Hycult biotechに由来し、製造業者の説明書に従って行った。
定量的RT−PCRによるmRNA遺伝子−プロファイリング:RNA抽出およびcDNA合成は、Trizolを使用して行った。遺伝子発現解析は、Applied BiosystemsからのToso(Faim3)キットMm01302388_m1を使用して行った。解析については、全ての標的遺伝子の発現レベルを18sRNA(ΔCt)に対して規準化した。遺伝子発現値は、ΔCtとして表してある。
統計分析:データは、平均±S.E.M.として表してある。2つの異なる群間の統計的に有意な相違をスチューデントのt検定を使用して解析した。別に言及されない場合、独立二元配置。いくつかの群を含む解析を、さらなるボンフェローニまたはダネット試験で、一元ANOVAを使用して行った。複数の時点にわたる実験群間の統計的に有意な相違を、二元ANOVA(繰り返し測定)を使用して算出した。p値<0.05を、統計的に有意であるとみなした。
TOSOは、顆粒球において発現されるが、白血球分化のために重要でない
Tosoのインビボでの機能関連を解析するため、本発明者は、材料および方法に記載されたようにToso欠損マウスを作製した。Toso欠損マウスをC57BL/6背景に戻し交配し、次いでToso RNAの発現を解析した。Toso−/−マウスからのRT−PCR解析は、Tosoの欠如を示し、実際は、TosoをToso−/−マウスにおいて発現しなかったことを示唆した(図12a)。次に、Tosoタンパク質を、Toso特異抗体を使用してリンパ球において解析した。T細胞でなくナイーヴT細胞が、公開された文献と一致してToso(図12b)を発現したことを見出した。次に、本発明者は、顆粒球におけるTosoの発現を解析した。本発明者は、血液および脾臓両方における顆粒球が細胞表面上にTosoを発現したことを見出した(図12c)。Tosoがリンパ球または顆粒球発症に影響を及ぼしたかどうかを解析するために、本発明者は、Toso−/−マウスの末梢血液におけるこれらの細胞集団を解析した。Toso−/−マウスは、血液顆粒球において何らの著しい相違も示さなかった(図12d)。減少したB細胞数に起因してToso欠損マウスにおける血液リンパ球数のわずかに有意な減少があった(図12dおよびe)。Toso−/−マウスの脾臓サイズは、正常であり、および脾臓リンパ球は、正常な分布を示し、免疫細胞の発達に対してTosoの主要な役割がないことを示唆する(図12fおよびg)。
3. 活性化のための閾値は、TOSO欠損マウス顆粒球において減少する
Toso−/−および野生型マウスからの顆粒球を顆粒球活性化因子N−ホルミルメチオニルロイシルフェニルアラニン(fMLP)で活性化した。fMLPは、顆粒球上のfMLP受容体を活性化し、病原体接触を模倣する。プレ活性化した顆粒球において、fMLPとの接触は、活性酸素種(ROS)および脱顆粒の強力な産生をまねく。対照的に、サイトカインによってプレ活性化されていない顆粒球は、制限されたfMLPへの反応を示す。わずか10%の野生型顆粒球が、ROSおよび脱顆粒の産生によって解析したときに、fMLPでの処理により活性化された(図13a)。対照的に、fMLPでの処理は、50%のToso−/−顆粒球を活性化した(図13a)。
次に、Toso−/−顆粒球のROS産生および脱顆粒をTNF−αでの処理後に解析し、これは通常顆粒球を刺激するだけであるが、ROS産生をまねかない。TNF−αでの処理は、WT顆粒球における実質的にROS産生の欠如をまねく(図13b)。対照的に、Toso−/−顆粒球は、TNF−α治療後に有意なROSを産生する/脱顆粒された顆粒球を示し、Tosoが顆粒球活性化の閾値に影響することを示唆する(図13b)。また、顆粒球を刺激することが公知であるLPSおよびGM−CSFでの処理は、野生型もToso−/−顆粒球においてもROSを活性化しない(図13cおよびd)。これらの結果は、Toso−/−顆粒球が、fMLPおよびTNF−α両方のための活性化閾値の低下を有したことを示す。GM−CSFまたはfMLPと共にLPSでの共処理では、WT顆粒球における10倍までROS産生野生型顆粒球の割合を上昇させた(図13e)。また、ROS産生顆粒球の割合は、Toso−/−顆粒球を共処理したLPSまたはGM−CSF刺激したfMLPのいずれにおいても増加した(図13e)。これらのデータは、Toso−/−顆粒球が、またGM−CSFまたはLPSで刺激する顆粒球の状況において活性化閾値の低下を示したことを示す。Toso−/−顆粒球が、一般的に減少した活性化閾値を有したことを示唆する。
細胞のストレスは、顆粒球を活性化することができ、(自己)炎症性疾患に有意に寄与し得る。Toso−/−顆粒球が、よりこのような活性化の傾向があるかどうか解析するために、野生型(WT)およびToso−/−顆粒球を異なる温度にてインキュベートした。野生型顆粒球が何らの応答も示さなかった条件である、温度低下は、30%のToso−/−顆粒球における脱顆粒を誘導した(図13f)。活性化閾値の相違は、WTとToso−/−顆粒球との間の寿命における相違によって説明することができる。顆粒球は、通常インビトロ培養後24時間以内に自発性のアポトーシスによって強調される非常に限られた寿命を有する。顆粒球活性化は、通常、長期にわたる寿命および減少したアポトーシスと連関する。しかし、自発性アポトーシスにおける相違は、Toso−/−とWT顆粒球との間にはなかった(図17)。GM−CSFでの処理は、Tosoに依存しなかったプロセスである顆粒球におけるアポトーシスを減少させた(図17)。データは、Tosoタンパク質の発現が、炎症性またはストレスシグナルに遭遇するときに、静止非活性化状態における顆粒球を保持したことを証明する。
顆粒球における活性化閾値を本質的に調節する
Toso−/−マウスに由来する顆粒球は、野生型顆粒球と比較したときに、エフェクター表現型への分化のために閾値の低下を有する。これらの固有の制御の他に、顆粒球活性化は、いくつかの外部体液因子(たとえば:サイトカイン、抗体、補体因子)、並びにB細胞、T細胞、内皮細胞または血小板などの周囲の細胞の活性化状態によって影響される。Toso−/−マウスに由来する顆粒球の活性化閾値の低下の機構に対するより多くの洞察を得るために、混合骨髄キメラを解析した。C57BL/6マウスを照射し、および次いで、WT、Toso−/−または混合WT/Toso−/−(比1:1)骨髄のいずれかで再構成した。WT骨髄は、CD45.1アイソフォームの発現によってキメラマウスにおいて別々に追跡することができた(図14a)。この混合骨髄キメラにより、同じマウスに由来するWTおよびToso−/−顆粒球の活性化閾値の解析を可能になった。観察された活性化閾値における相違(特に混合キメラマウスにおけるもの)は、Tosoが本質的に顆粒球の活性化を調節することを示唆するだろう。骨髄移植後30日の骨髄キメラの解析は、Toso−/−顆粒球がWT顆粒球と同じ数で再構成されたことを示し、顆粒球の発生においてTosoの主要な役割がなかったことを再び示唆する(図14b)。混合キメラにおいて、総顆粒球(WTおよびToso−/−)は、単一のマウス株から骨髄を受けていたマウスと同等であった(図14b)。混合骨髄キメラの競合的状況では、Toso−/−顆粒球に対してWTの著しい利点はなかった(図14b)。
次に、キメラマウスにおけるWT対Toso−/−顆粒球の活性化閾値を解析した。fMLPでの処理は、骨髄移植を受けたマウスにおいて、より多くの顆粒球を活性化し(図14a対図13a)、この潜在性機構に限られずに、骨髄移植受けるマウスにおける異なるサイトカインレベルのためであり得る。Toso−/−マウスに由来したデータと同等で、Toso−/−骨髄で再構成されたC57BL/6マウスは、低下された活性化閾値を示した(図14c)。また、これは、混合骨髄キメラにおいても見られた(図14c)。これは、Tosoが、本質的に顆粒球の活性化閾値に影響したことを示唆する。
加えて、Tosoが、エフェクター機能の強度に影響したかどうか決定するために、活性WTおよび活性Toso−/−顆粒球のROS産生の量を決定した。活性WT顆粒球は、活性Toso−/−顆粒球より有意に多くのROS産生を示した(図14d)。これらのデータは、Tosoが顆粒球の活性化閾値を増強したことを示す。一旦、顆粒球が活性化されると、これらはTosoの存在における増強されたエフェクター機能を示した。
Toso欠損マウスにおける損なわれたリステリアの制御
インビボでの細菌制御に対する顆粒球中のTosoの欠如の効果を評価した。グラム陽性リステリア菌(Listeria monocytogenes)での感染は、顆粒球の迅速案活性化において、特に強く依存的である。リステリアの致死量以下の用量での感染は、Toso−/−マウスにおける増加した死をまねき(図15a)、Tosoが細菌の制御に必須であったことを示唆する。Toso−/−マウスにおける血液顆粒球は、リステリア接種の2日後に増強された脱顆粒およびROS産生を示した(図15b)。これは、Toso−/−マウス(図15c)の血清中でのミエロペルオキシダーゼの増強された放出と相関した。
一つの可能性は、Toso−/−顆粒球は、血液において迅速に活性化されるが、感染した器官におけるこれらの完全な打撃(blown)エフェクター機能を及ぼすことができないであろうということであった。この仮説を解析するために、感染された野生型またはToso−/−マウスを、リステリア2×106CFUで感染させ、および組織学を20時間後に解析した。肉芽腫をWTおよびToso−/−マウス両方において見出し(図15d)、Tosoが肉芽腫形成に含まれなかったことを示唆する。リステリアの染色は、肉芽腫における増強された細菌を示し(図15d)、肉芽腫におけるエフェクター機能が、Tosoによって影響されたことを示唆する。
器官における感染1日後の顆粒球の解析は、減少したエフェクター機能を示し(図15e)、リステリア成長は、Toso−/−マウスの肝臓および脾臓において有意に増強した(図15f)。これは、血液(図18)および最後に脳へのリステリアの伝播と関連し、おそらくリステリア感染したToso−/−マウスの死因であった(図15f)。これらのデータは、Toso−/−マウスがリステリア感染に対する増強した感染性を示したことを示す。これは、血液における増強された顆粒球活性化、肝臓および脾臓における減少したエフェクター機能および脳へのリステリアの伝播と相関した。
Tosoは、顆粒球における表面CD11bおよびCD18発現を調節する
Toso欠損顆粒球は、血液において増強した活性化を、しかし組織において顆粒球の減少したエフェクター機能を示す。この表現型は、インテグリンの異なる発現および/または異なるシグナリングにうまく適合するだろう。CD11a、CD11bおよびCD18は、顆粒球活性化のための重要なインテグリンである。したがって、CD11a、CD11bおよびCD18の発現をWTおよびToso−/−顆粒球において比較した。CD11bおよびCD18の有意に増強された発現が、ナイーヴToso欠損顆粒球においてあった(図16a)。CD11aの発現は、WTとToso−/−顆粒球との間で著しく異ならなかった(図16a)。GM−CSFまたはLPSで活性化することにより、CD11b発現は、WTおよびToso−/−顆粒球の両方においてアップレギュレートされたが、しかし、発現の相違は、LPSおよびGM−CSF濃度の増加と共に減少した(図16b)。LPSおよびGM−CSFは、fMLPにより顆粒球の活性化閾値を減少させた。したがって、WTとToso−/−顆粒球との間のCD11b発現における相違は、おそらく異なる活性化閾値を説明することができる。実際にCD11b発現が活性化閾値の制御に関与するかどうかを見るために、本発明者は、系におけるCD11bの役割を解析した。予想通りに、CD11bの欠如は、CD18の減少した発現をまねいた(図16c)。Cd11b−/−顆粒球は、GM−CSFと共にfMLPで処理することにより、減少した活性化およびROS産生を示した(図16d)。これらのデータは、Toso−/−顆粒球がCD11b、顆粒球の活性化閾値に影響を及ぼすインテグリンの増強された基礎発現を示したことを示す。これらの所見は、Tosoの非存在下において減少した活性化閾値でToso−/−顆粒球における増強されたCD11b発現と関連した。
実施例10:Tosoは、糖耐性およびインスリン感受性において役割を担う
本実施例は、Tosoが糖耐性およびインスリン感受性において役割を担うことを証明する。図19は、Toso−/−マウスが高脂肪食の開始後に正常な食物摂取および体重を有することを示す。図19Aにおける実験について、WTおよびToso−/−雄マウスの体重は、高脂肪食の開始から(生後5週間にて開始する)モニターした。図19Bについては、食物摂取は、高脂肪食後14週間にて測定した。食物摂取は、2日間の期間の始めと終わりにて、食物重量の相違の決定と共に、動物を単独で収容することによって測定した。
図20に示したように、Toso−/−マウスは、10〜13週間高脂肪食であった後に、野生型マウスと比較して、糖耐性およびインスリン感受性を増強した。グルコース負荷試験を、生後5週間から10〜13週間高脂肪食を与えた野生型およびToso−/−マウスで行った(類似の結果が、雌マウス群で得られた点に留意されたい)。インスリン負荷試験を、生後5週間から10〜13週間高脂肪食を与えた野生型およびToso−/−マウスで行った。
グルコース負荷試験は、午前9:30から11:30の間に一晩絶食させた動物において行い、腹膜内に注射した(i.p.)1g/体重のkgのグルコース用量を利用して、および注射の後の0、15、30、60および120分にてグルコースレベルを測定した。
インシュリン負荷試験は、午前9:30と11:30の間に一晩絶食させた動物または午後1:00〜3:00の間に4.5時間絶食させた動物において行い、0.5U/体重のkgの用量でヒト通常インスリン(Humalog)を利用して、および血糖値を注射後0、15、30、45および60分にて測定した。
高脂肪食を与えたマウスと対照的に、図21は、マウスの両方のセットが10〜13週間規則的な固形飼料であったときに、Toso−/−が野生型マウスと類似の糖耐性およびインスリン感受性を有したことを示す。グルコース負荷試験を、規則的な固形飼料を与えた野生型およびToso−/−雄マウス(15〜18週間目)で行った。インスリン負荷試験を、規則的な固形飼料を与えた野生型およびToso−/−雄マウス(15〜18週間目)で行った。図21は、理論によって拘束されないが、Toso欠損の保護効果が高脂肪食を必要とすることを示唆する。グルコース負荷試験を、午前9:30と11:30の間に一晩絶食させた動物において行い、腹膜内に注射した(i.p.)1g/体重のkgのグルコース用量を利用して、注射後の0、15、30、60および120分にてグルコースレベルを測定した。インシュリン負荷試験を、午前9:30と11:30の間一晩絶食させた動物または午後1:00〜3:00の間4.5時間絶食させた動物において行い、0.5U/体重のkgの用量でヒト通常インスリン(Humalog)を利用して、および血糖値を注射後0、15、30、45および60分にて測定した。
実施例11:可溶性Tosoでの治療は、高脂肪食を与えられた野生型マウスにおける糖耐性を改善する
本実施例は、可溶性Tosoタンパク質(配列番号:5)での処理が14週間高脂肪食を与えた野生型マウスにおける糖耐性を改善したことを証明する。図22Aは、可溶性Toso処理前の野生型雄マウスからのデータを示す。グルコース負荷試験を、生後5週間目から14週間高脂肪食(60%の脂肪カロリー)を与えられた絶食されせた野生型マウスで行った。図22Bは、可溶性Toso処理後の野生型マウスからのデータを示す。マウス(14週間の高脂肪食)を0、2、5、7、9、および12日目において腹膜内に50μgの用量にて可溶性Toso−hIgGで処理した。グルコース負荷試験を、一晩の絶食後に14日目に行った。可溶性Tosoタンパク質処理の間に、マウスは、高脂肪食を続けた。グルコース負荷試験を、午前9:30と11:30の間、一晩絶食させた動物において行い、腹膜内に注射した(i.p.)1g/体重のkgのグルコース用量を利用して、注射後の0、15、30、60および120分にてグルコースレベルの測定をした。
実施例12:ヒトおよびマウスToso−Fcを分泌する安定な株化細胞の生成
cDNAをコードするToso−Fcを、リポフェクタミン2000を使用して接着性のHEK293T細胞にトランスフェクトした。単一のクローンを、10%ウシ胎児血清および0.2mg/mlゼオシンを補ったDMEM培地において選択した。高発現クローンを15cmのディッシュに広げて、コンフルエンスにて1:2に分割した。それぞれの分割にて、安定なトランスフェクタントを、連続的により無血清Freestyle培地の培地および連続的により少ないDMEM/FBS培地において培養して細胞を無血清成長に馴化した。(たとえば、分割1にて90%DMEM/FBS 10%Freestyle→分割10にて100%Freestyle)。無血清培地において増殖するよう馴化した安定なトランスフェクタントは、生存度を損ねることなく軌道シェーカーインキュベーターにおける懸濁液において増殖した(37℃、8%CO2、125rpm)。
本明細書は、ここに記述した技術の実施例の態様でその方法論、系および/または構造および用途の完全な記述を提供する。この技術の種々の態様を一定の詳細さの程度で、または1つまたは複数の個々の態様に関して記述したが、当業者は、この技術の精神または範囲を逸脱しない範囲で開示された態様に多数の変化を行うことができる。ここに記述した技術の精神または範囲を逸脱せずに多くの態様を行うことができるので、適切な範囲は、本明細書の後の特許請求の範囲にある。したがって、その他の態様が想定される。さらにまた、別途明確に請求され、または具体的順序が請求項の言い回しによって本質的に必要とされない限り、任意の操作が任意の順序で行われてもよいことを理解すべきである。上記の記述に含まれ、および添付の図面において示された全ての事項が、特定の態様の例証のみであると解釈されるものとし、および示した実施形態に限定されるというわけではないことが意図される。状況から明らか、または明白に明示されていない限り、本明細書に提供された任意の濃度値は、混合物の特定の成分の添加により、またはその後に生じる任意の変換に関係なく、混合物値または割合に関して一般に与えられる。すでに明白に本明細書に援用されていない範囲で、この開示において言及した全ての公開された参照文献および特許文献は、全ての目的のためにこれらの全体が参照により本明細書に援用される。詳細または構造における変化を、以下の特許請求の範囲に記載された本技術の基本要素を逸脱しない範囲で行ってもよい。