JP2018024730A - 樹脂組成物、樹脂シート、積層体、成形体、及び成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート、積層体、成形体、及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性を得ることができる樹脂組成物、樹脂シート、積層体、成形体、及び成形体の製造方法を提供する。【解決手段】アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、低結晶性ポリプロピレンと、有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂シート、積層体、成形体、及び成形体の製造方法に関する。
近年、加飾成形において、リサイクル性や軽量化のため、ポリプロピレンが注目されている。
特に、ポリプロピレンを、表皮材として用いた場合、耐薬品性や附形性に優れるため、採用が広がっている。
特許文献1では、変性ポリプロピレンを分散剤として用い、有機化層状無機化合物をポリプロピレン中に微分散させたナノコンポジットが記載されている。
特開2005−320488号公報
本発明の目的は、寸法安定性を得ることができる樹脂組成物、樹脂シート、積層体、成形体、及び成形体の製造方法を提供することである。
通常、ポリプロピレンを表皮材として用いる場合、射出成形で形成される筐体の樹脂は、表皮材と同等の収縮率であるポリプロピレンが使用されている。本発明者らが、結晶性樹脂のポリプロピレンを筐体に使用したところ、リブやボスなどの厚肉部の表面に、ヒケと呼ばれる凹みが生じ、外観を損なってしまうことがわかった。
そこで、ヒケを防止するため、筐体の樹脂に、非晶性樹脂のポリカーボネートやアセチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を使用したところ、表皮材のポリプロピレンと筐体の収縮率差が大きいため、成形品が反ってしまい、目的とした形状を得られないことがわかった。
本発明者らが、鋭意研究を行った結果、有機化層状無機化合物の分散に、変性ポリプロピレンを用いる場合、有機化層状無機化合物の配合量に対して、1.5倍以上の変性ポリプロピレンを配合する必要があり、変性ポリプロピレンの配合量の増加によって、樹脂組成物が黄色になる傾向があることが分かった。
さらに、本発明者が、鋭意検討した結果、分子の側鎖に立体障害を有する、即ち、分子の折り畳み構造が取りにくく、分子の相互の絡み合いが少ない樹脂を用いることで、有機化層状無機化合物の層状無機化合物の、有機変性で広がった層間に、これらの樹脂が入り込み、有機化層状無機化合物同士の距離が広がり、有機化層状無機化合物が微分散できることを見出した。
加えて、上述の分子の側鎖に立体障害を有する、即ち、分子の折り畳み構造が取りにくく、分子の相互の絡み合いが少ない樹脂を用いることで、有機化層状無機化合物の効果により、収縮率を低減できることが分かった。さらに、上述の樹脂を用いた樹脂組成物を表皮材に用いることで、ヒケが生じないポリカーボネートやABS樹脂を筐体として使用しても、表皮材と筐体の収縮率差が少なく、反りが発生しないため、耐薬品性や附形性に優れたポリプロピレンを表皮材に用いながら、ヒケや反りの無い成形品を得られることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、以下の樹脂組成物等が提供される。
1.アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、
低結晶性ポリプロピレンと、
有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。
2.前記低結晶性ポリプロピレンの含有量が、3〜20重量%である1に記載の樹脂組成物。
3.前記低結晶性ポリプロピレンが、下記(a)〜(c)を満たす1又は2に記載の樹脂組成物。
(a)メソペンタッド分率mmmmが20〜60モル%
(b)ラセミペンタッド分率rrrrと、mmmmと、が下記式を満たす
rrrr/(100−mmmm)≦0.1
(c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率rmrmが2.5モル%以上
4.アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、
非晶性ポリプロピレンと、
有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。
5.前記非晶性ポリプロピレンの含有量が、2〜12重量%である4に記載の樹脂組成物。
6.さらに、変性ポリオレフィンを含む1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.前記変性ポリオレフィンの含有量が、0.5〜8重量%である6に記載の樹脂組成物。
8.沸騰n−ヘプタン可溶分が1.0〜15.0重量%である1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
9.前記有機化層状無機化合物が、層状無機化合物の有機変性体である1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
10.前記有機化層状無機化合物が、前記層状無機化合物の層間に、有機カチオンを担持する化合物である9に記載の樹脂組成物。
11.広角X線回折法の測定での、前記層状無機化合物の(001)面の平均層間距離が1.5nm以上である9又は10に記載の樹脂組成物。
12.1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物の樹脂シート。
13.12に記載の樹脂シートの層を含む積層体。
14.12に記載の樹脂シート又は13に記載の積層体の成形体。
15.沸騰n−ヘプタン可溶分が1.0〜15.0重量%である14に記載の成形体。
16.広角X線回折法の測定での、有機化層状無機化合物の層状無機化合物の(001)面の平均層間距離が1.5nm以上である14又は15に記載の成形体。
17.12に記載の樹脂シート又は13に記載の積層体を成形し、成形体を得る成形体の製造方法。
18.前記成形は、前記樹脂シート又は積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う17に記載の成形体の製造方法。
19.前記成形は、前記樹脂シート又は積層体を金型に合致するよう附形し、前記附形した樹脂シート又は積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う17に記載の成形体の製造方法。
20.前記成形は、
チャンバーボックス内に芯材を配設し、
前記芯材の上方に、前記樹脂シート又は積層体を配置し、
前記チャンバーボックス内を減圧し、
前記樹脂シート又は積層体を加熱軟化し、
加熱軟化させた前記樹脂シート又は積層体を前記芯材に押圧して被覆させる17に記載の成形体の製造方法。
21.14〜16のいずれかに記載の成形体を用いて作成された車両の内装材、車両の外装材、鞍乗型車両用外装カバー、家電の筐体、化粧鋼鈑、化粧板、住宅設備、又は情報通信機器の筐体。
本発明によれば、寸法安定性を得ることができる樹脂組成物、樹脂シート、積層体、成形体、及び成形体の製造方法が提供できる。
本発明の樹脂シート又は積層体を製造するための製造装置の一例の概略構成図である。
本発明の樹脂組成物の第1の態様は、アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、低結晶性ポリプロピレンと、有機化層状無機化合物と、を含む。
本発明の第1の態様の樹脂組成物は、さらに、非晶性ポリプロピレンを含んでもよい。
本発明の樹脂組成物の第2の態様は、アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、非晶性ポリプロピレンと、有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。
本発明の第2の態様の樹脂組成物は、さらに、低結晶性ポリプロピレンを含んでもよい。
本発明の樹脂組成物の第3の態様は、アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、低結晶性ポリプロピレン又は非晶性ポリプロピレンと、有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。
低結晶性ポリプロピレン又は非晶性ポリプロピレンは、低結晶性ポリプロピレンを用いてもよく、非晶性ポリプロピレンを用いてもよい。また、低結晶性ポリプロピレン及び非晶性ポリプロピレンを併用してもよい。
第1の態様〜第3の態様を総括して、本発明の樹脂組成物という。
これにより、樹脂組成物の成形時の収縮を抑えることができる。また、樹脂組成物のシートを表皮材として用いて、成形収縮率の低いポリカーボネート樹脂やアセチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等の非晶性樹脂と射出成形で一体化した場合でも、成形時の収縮率差による反りが無く、ヒケ等のない優れた外観の成形品を得ることができる。
また、有機化層状無機化合物を微分散できるため、有機化層状無機化合物のアスペクト比が増加し、収縮率を低減することができる。さらに、微分散により、有機化層状無機化合物による光の散乱が減少するため、透明性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物の形状は、特に限定されないが、ペレット状が好ましい。
ポリプロピレンは、少なくともプロピレンを含む重合体である。具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンとオレフィンとの共重合体等が挙げられる。特に、耐熱性、硬度の理由からホモポリプロピレンが好ましい。
共重合体としては、アイソタクチックペンタッド分率が85〜99モル%の範囲であれば、ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でもよく、これらの混合物でもよい。
オレフィンとしては、エチレン、ブチレン等が挙げられる。
重合体全体に対して、プロピレンを70〜100モル%含むことが好ましく、80〜100モル%がより好ましい。
ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であり、95〜99モル%が好ましい。
アイソタクチックペンタッド分率が85モル%未満の場合、成形体、射出成形体等の成形品の剛性が低下するおそれがある。
アイソタクチックペンタッド分率とは、樹脂組成物の分子鎖中のペンタッド単位(プロピレンモノマーが5個連続してアイソタクチック結合したもの)でのアイソタクチック分率である。この分率の測定法は、例えばマクロモレキュールズ(Macromolecules)第8巻(1975年)687頁に記載されており、後述の13C−NMRにより測定できる。
ポリプロピレンは、メルトフローレート(Melt Flow Rate:以下、MFRと称す)が0.5g/10分以上20g/10分以下であることが好ましい。0.5g/10分以上15g/10分以下がより好ましく、さらに好ましくは2g/10分以上10g/10分以下である。
MFRが0.5g/10分未満の場合、押出成形時のダイスリップ部でのせん断応力が強くなり、結晶化を促進して透明性が低下するおそれがある。一方、MFRが20g/10分を超える場合、熱成形時にドローダウンが大きくなって成形性が低下するおそれがある。
MFRの測定については、JIS−K7210に準拠し、例えば、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定できる。
ポリプロピレンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
ポリプロピレンの含有量は、樹脂組成物全量に対して、45〜90重量%、49〜93重量%等が挙げられる。
低結晶性ポリプロピレンのポリプロピレンは、少なくともプロピレンを含む重合体である。具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンとオレフィンとの共重合体等が挙げられる。特に、有機化層状無機化合物の分散性の観点から、立体規則性分布の狭いステレオランダム構造のホモポリプロピレンが好ましい。
共重合体としては、ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でもよく、これらの混合物でもよい。
オレフィンとしては、エチレン、ブチレン等が挙げられる。
重合体全体に対して、プロピレンを70〜100モル%含むことが好ましく、80〜100モル%がより好ましい。
低結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチックペンタッド分率(メソペンタッド分率mmmm)が20〜60モル%であることが好ましく、30〜55モル%がより好ましい。
20モル%未満の場合、成形品のべたつきの原因となるおそれがある。また、60モル%を超える場合、結晶性が向上して有機化層状無機化合物の層間に入りにくくなり、有機化層状無機化合物の分散性が低下するおそれがある。
低結晶性ポリプロピレンのラセミペンタッド分率(シンジオタクチックペンタッド分率)rrrrと、mmmmと、が下記式を満たすことが好ましい。
rrrr/(100−mmmm)≦0.1
rrrrは、8モル%以下が好ましく、2モル%超6モル%以下がより好ましい。
rrrr/(100−mmmm)は、より好ましくは0.05以下であり、さらに好ましくは0.04以下である。rrrr/(100−mmmm)の下限値に、特に制限はないが、通常0.0001以上である。
上記範囲の場合、有機化層状無機化合物の分散性を良好にすることができる。
rrrr/(100−mmmm)は、低結晶性ポリプロピレンの規則性分布の均一さを示す指標である。この値が大きくなると規則性分布が広がり、既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となる。
低結晶性ポリプロピレンのラセミメソラセミメソペンタッド分率rmrmは、2.5モル%以上が好ましく、より好ましくは2.6モル%以上であり、さらに好ましくは2.7モル%以上である。
2.5モル%以上の場合、重合体のランダム性が増加し、有機化層状無機化合物の層間に分散剤が入りやすくなり、分散性を向上することができる。
低結晶性ポリプロピレンのメソトリアッド分率mm、ラセミトリアッド分率rr及びメソラセミトリアッド分率mrが下記式を満たすことが好ましい。
mm×rr/(mr)≦2.0
mm×rr/(mr)は、より好ましくは1.8以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。
mm×rr/(mr)は、重合体のランダム性の指標を示し、0.25に近いほどランダム性が高くなり、分散性に優れる。
上記範囲の場合、有機化層状無機化合物の分散性を良好にすることができる。
ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率、並びに低結晶性ポリプロピレンのメソペンタッド分率(アイソタクチックペンタッド分率)、ラセミペンタッド分率及びラセミメソラセミメソペンタッド分率は、例えば、A.Zambelli等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率、ラセミ分率及びラセミメソラセミメソ分率である。
計算式としては、例えば以下の計算式を用いることができる。
アイソタクチックペンタッド分率(メソペンタッド分率)mmmm=m/S×100
ラセミペンタッド分率rrrr=γ/S×100
ラセミメソラセミメソペンダッド分率rmrm=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
低結晶性ポリプロピレンのMFRは、2〜100g/10分が好ましく、20〜80g/10分がより好ましい。
上記範囲の場合、アイソタクチックペンタッド分率が85〜99モル%のポリプロピレンとの相溶性に優れるため、安定して成形できる。
低結晶性ポリプロピレンのMFRは、例えば、上述のポリプロピレンのMFRと同様の方法で測定できる。
低結晶性ポリプロピレンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
低結晶性ポリプロピレンの含有量は、樹脂組成物全量に対して、3〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
3重量%未満の場合、有機化層状無機化合物の分散性が低下するおそれがある。また、20重量%を超える場合、成形品の剛性が低下し、筐体として強度が不足するおそれがある。
非晶性ポリプロピレンは、融点を示さないポリプロピレンである。融点を示さないことは、例えば示差走査熱量計(DSC)により測定できる。非晶性ポリプロピレンは、DSCにおける−100〜200℃での結晶融解ピーク熱量が10J/g以下が好ましく、融解ピーク熱量が観測されないものがより好ましい。
非晶性ポリプロピレンのポリプロピレンは、少なくともプロピレンを含む重合体である。プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの共重合体等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体がより好ましく、特に、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が極めて好ましい。
非晶性ポリプロピレンは、エチレン、プロピレン、α−オレフィン以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。その他の単量体単位を構成する単量体としては、例えば、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等が挙げられる。その他の単量体単位の含有量は、非晶性ポリプロピレン中の全単量体単位を100モル%として、70モル%以下が好ましい。
非晶性ポリプロピレンのMFRは、1〜20g/10分が好ましく、5〜15g/10分がより好ましい。
上記範囲の場合、アイソタクチックペンタッド分率が85〜99モル%のポリプロピレンとの相溶性に優れるため、安定して成形できる。
非晶性ポリプロピレンのMFRは、例えば、上述のポリプロピレンのMFRと同様の方法で測定できる。
非晶性ポリプロピレンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
非晶性ポリプロピレンの含有量は、樹脂組成物全量に対して、2〜12重量%が好ましく、2.0〜8重量%がより好ましい。
2重量%未満の場合、有機化層状無機化合物の分散性が低下するおそれがある。また、12重量%を超える場合、成形品の剛性が低下し、成形時の収縮率が大きくなるおそれがある。
有機化層状無機化合物は、公知のものを用いることができ、例えば、水又はプロトン供与体を含む分散媒、有機化剤(例えば、有機カチオンを含む)及び層状無機化合物を混合して、インターカレーションにより層間に有機物を有する層状無機化合物含有液を調製(有機変性)したのち、過剰の分散媒を脱処理して調製することができる。
インターカレーションとは、通常、層状物質の層間に電子供与体又は電子受容体が電荷移動力によって挿入されることを言う。
有機化層状無機化合物は、層状無機化合物の有機変性体であることが好ましい。有機変性体は、層状無機化合物の層間に、有機カチオンを担持する(インターカレーションされた)化合物であることが好ましい。
層状無機化合物としては、例えば粘土鉱物が挙げられる。具体的には、層状構造をもつケイ酸塩鉱物等が挙げられ、多数のシート(例えば、ケイ酸で構成される四面体シート、AlやMg等を含む、ケイ酸で構成される八面体シート等)が積層された層状構造を有する無機化合物である。
層状無機化合物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、マイカ、フッ素化マイカ、カオリナイト、パイロフィロライト等が挙げられる。
層状無機化合物は天然品であっても、合成品であってもよい。
また、層状無機化合物としては、リン酸ジルコニウム、フッ素処理した膨潤性マイカ等を用いてもよい。
中でも、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フッ素処理した膨潤性マイカが好ましく、モンモリロナイト、及びフッ素処理した膨潤性マイカがより好ましい。
層状無機化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
有機カチオンとしては、例えば、分子量が10〜1,000,000の有機化合物のカチオン挙げられ、例えば層状無機化合物表面と親和性のある官能基を有する化合物のカチオン、金属カチオン、オニウム塩のカチオン、水溶性ポリマーのカチオン等が挙げられる。
層状無機化合物表面と親和性のある官能基を有する化合物のカチオンの官能基としては、ハロゲン原子、酸無水物基、カルボン酸基、水酸基、チオール基、エポキシ基、エステル基、アミド基、ウレア基、ウレタン基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ニトロ基、アミノ基、オキサゾリン基、イミド基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
また、官能基として、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環等の芳香環の基が挙げられる。
金属カチオンの金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等が挙げられる。
オニウム塩のカチオンとしては、ジアルキル(例えば、炭素数10〜20、好ましくは炭素数14〜18)ジメチルアンモニウムカチオン、トリアルキル(例えば、炭素数10〜20)モノメチルアンモニウムカチオン等のテトラアルキルアンモニウムカチオン、オクチルアンモニウムカチオン、ドデシルアンモニウムカチオン、オクタデシルアンモニウムカチオン、アミノドデカン酸カチオン等のアンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられる。
オニウム塩のカチオンは、テトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましく、ジアルキルジメチルアンモニウムカチオン、ジアルキルジエチルアンモニウムカチオン、トリアルキルモノメチルアンモニウムカチオンがより好ましい。アルキル基(例えば、炭素数1〜4、10〜22、12〜20)としては、炭素数12のドデシル基、炭素数14のテトラデシル基、炭素数16のヘキサデシル基、炭素数18のオクタデシル基等が挙げられる。
水溶性ポリマーのカチオンとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸等のリグニン誘導体、キトサン塩酸塩等のキトサン誘導体、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルベンジルスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルベンジルホスホン酸、ポリアクリル酸等のカチオンが挙げられる。
有機カチオンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
層状無機化合物の層間の距離は、1.5nm以上が好ましく、2.0nm以上がより好ましい。例えば、広角X線回折法で測定できる。
また、広角X線回折法の測定での、層状無機化合物の(001)面の平均層間距離は、1.5nm以上が好ましく、2.0nm以上がより好ましい。
上限値に、特に制限はないが、通常100nmである。
1.5nm未満の場合、分散剤が入り込めず、分散不良となるおそれがある。
層状無機化合物の層間の距離、及び層状無機化合物の(001)面の平均層間距離は、具体的にはXpert PRO(スペクトリス株式会社製)等を用いて測定できる。
有機化層状無機化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
有機化層状無機化合物の含有量は、樹脂組成物全量に対して、5〜35重量%が好ましく、8〜25重量%がより好ましい。
5重量%未満の場合、収縮率を抑制できないおそれがある。また、35重量%を超える場合と、成形品の透明性が低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、さらに変性ポリオレフィンを含んでもよい。
これにより、有機化層状無機化合物の分散性を向上できる。
変性ポリオレフィンは、オレフィン重合体の変性用化合物による変性物である。
オレフィン重合体としては、ホモポリプロピレン、ホモポリエチレン、プロピレンとオレフィンとの共重合体、エチレンとオレフィンとの共重合体、ポリシクロオレフィン等が挙げられる。オレフィンは上記と同様のものが挙げられる。
これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
変性用化合物としては、不飽和カルボン酸及びその誘導体等が挙げられ、具体的には、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸、メタクリル酸、テトラヒドロフタル酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレート等が挙げられる。
変性ポリオレフィンは、マレイン酸又はその誘導体変性ポリオレフィンが好ましい。
変性ポリオレフィンのMFRは、3〜200g/10分が好ましく、10〜150g/10分がより好ましい。
上記範囲の場合、アイソタクチックペンタッド分率が85〜99モル%のポリプロピレンとの相溶性に優れるため、安定して成形できる。
変性ポリオレフィンのMFRは、JIS−K7210に準拠し、例えば、測定温度190℃、荷重2.16kgで測定できる。
変性ポリオレフィンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
変性ポリオレフィンを含む場合、変性ポリオレフィンの含有量は、樹脂組成物全量に対して、0.5〜10重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましい。
0.5重量%未満の場合、層状無機化合物の分散性が低下するおそれがある。また、10重量%を超える場合、成形体の物性が低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、本質的に、ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン又は非晶性ポリプロピレン、有機化層状無機化合物、及び任意に変性ポリオレフィンからなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物の、例えば、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上又は100質量%が、
ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、有機化層状無機化合物、及び任意に変性ポリオレフィン、
ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、有機化層状無機化合物、及び任意に変性ポリオレフィン、又は
ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、有機化層状無機化合物、及び任意に変性ポリオレフィン、からなっていてもよい。
本発明の樹脂組成物、後述の樹脂シート、積層体、及び成形体において、沸騰n−ヘプタン可溶分が1.0〜15.0重量%であることが好ましく、1.2〜13.0重量%がより好ましい。
沸騰n−ヘプタン可溶分は、結晶性の低い、特に分子量の小さい成分の多さを示す指標である。
1.0重量%未満の場合、有機化層状無機化合物の層間に入り込める成分量が少なく、分散性が低下するおそれがある。また、15.0重量%を超える場合、溶融樹脂が固化しにくく、成形品がべたつくおそれがある。
後述のように、本発明の樹脂組成物から、樹脂シート、積層体、及び成形体を製造するが、通常、沸騰n−ヘプタン可溶分は、変化しない。
本発明の樹脂シートは、上述の樹脂組成物から形成される。
また、本発明の積層体は、上述の樹脂シートの層を含む。樹脂シートの層は、単層でも、2層以上でもよい。樹脂シート単層では、有機化層状無機化合物が含まれるため、押出成形時にダイス壁面と溶融樹脂の間でスリップし、外観不良を生じる場合がある。そのため、シート状にする場合は、上述の樹脂組成物を含む層の両面に、有機化層状無機化合物を含まない樹脂を積層することが、好ましい。
これにより、表皮材として、本発明の樹脂シート又は積層体を用い、筐体にABS樹脂やポリカーボネート樹脂等を使用でき、ヒケの無い優れた外観の成形品を得ることができる。
樹脂シート及び樹脂シートの層の厚さは、50〜1000μmであることが好ましく、75〜600μmがより好ましい。
樹脂シート及び積層体の形成の方法は、Tダイを用いた押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
中でも、Tダイを用いた押出成形法において、図1に示す装置を用いたシングルベルト成形法が、透明性と成形性に優れるため、好ましい。
樹脂シート及び積層体を製造するための製造装置の一例を、図1に示す。
図1に示す製造装置は、押出機のTダイ12、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15、第4冷却ロール16、金属製エンドレスベルト17、剥離ロール21を備える。
このように構成された製造装置を用いた急冷によるシート(樹脂シート及び積層体)11の製造方法を以下に説明する。
まず、押し出された溶融樹脂と直接接触し、これを冷却する金属製エンドレスベルト17及び第4冷却ロール16の表面温度が露点以上、50℃以下、好ましくは30℃以下に保たれるように、予め各冷却ロール13、14、15、16の温度制御を行う。
ここで、第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17の表面温度が露点以下では、表面に結露が生じ均一な製膜が困難になる可能性がある。一方、表面温度が50℃より高いと、得られるシート11の透明性が低くなるとともに、α晶が多くなり、熱成形しにくいものとなる可能性がある。従って、表面温度は例えば20℃である。
次に、押出機のTダイ12より押し出された溶融樹脂(造核剤を含まない)を第1冷却ロール13上で金属製エンドレスベルト17と、第4冷却ロール16との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール13、16で圧接するとともに、20℃で急冷する。
この際、第1冷却ロール13及び第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形する。
この弾性材22が弾性変形している部分、即ち、第1冷却ロール13の中心角度θ1に対応する円弧部分で、急冷されたシートは各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、通常0.1MPa以上20MPa以下である。
上述のように圧接され、第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17間に挟まれたシートは、続いて、第4冷却ロール16の略下半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17と第4冷却ロール16とに挟まれて面状圧接される。この際の面圧は、通常0.01MPa以上0.5MPa以下である。
このように第4冷却ロール16で面状圧接及び冷却された後、金属製エンドレスベルト17に密着したシートは、金属製エンドレスベルト17の回動とともに第2冷却ロール14上に移動される。ここで、剥離ロール21によりガイドされて第2冷却ロール14側に押圧されたシートは、前述同様、第2冷却ロール14の略上半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17により面状圧接され、再び30℃以下の温度で冷却される。この際の面圧は、通常0.01MPa以上0.5MPa以下である。
第2冷却ロール14上で冷却されたシートは、剥離ロール21により金属製エンドレスベルト17から剥離され、巻き取りロール(図示省略)により、所定の速度で巻き取られる。
本発明の樹脂シート、積層体、及び成形体において、層状無機化合物の層間の距離、及び層状無機化合物の(001)面の平均層間距離は、上述の樹脂組成物での層状無機化合物の層間の距離、及び層状無機化合物の(001)面の平均層間距離と同様であり、通常、平均層間距離及び層間の距離は押出や成形で変化しない。上述の方法と同様の方法で測定できる。
成形する方法としては、インモールド成形、インサート成形、被覆成形等が挙げられる。
インモールド成形は、金型内に樹脂シート又は積層体を設置して、金型内に供給される成形用樹脂の圧力で所望の形状に成形して成形体を得る方法である。
インモールド成形として、樹脂シート又は積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
インサート成形では、金型内に設置する附形体を予備附形しておき、その形状に成形用樹脂を充填することで、成形体を得る方法である。より複雑な形状を出すことができる。
インサート成形として、樹脂シート又は積層体を金型に合致するよう附形し、附形した樹脂シート又は積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
金型に合致するようする附形(予備附形)は、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型、プラグアシスト成形等で行うことが好ましい。
成形用樹脂は、成形可能な熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル重合体等が例示できるが、この限りではない。ファイバーやタルク等の無機フィラーを添加してもよい。
供給は、射出で行うことが好ましく、圧力5MPa以上120MPa以下が好ましい。
金型温度は20℃以上90℃以下であることが好ましい。
被覆成形として、チャンバーボックス内に芯材を配設し、芯材の上方に、樹脂シート又は積層体を配置し、チャンバーボックス内を減圧し、樹脂シート又は積層体を加熱軟化し、芯材の上面に、樹脂シート又は積層体を接触し、加熱軟化させた積層体を芯材に押圧して被覆させることが好ましい。
加熱軟化後、芯材の上面に、樹脂シート又は積層体を接触させることが好ましい。
押圧は、チャンバーボックス内において、樹脂シート又は積層体の、芯材と接する側を減圧したまま、樹脂シート又は積層体の、芯材の反対側を加圧することが好ましい。
芯材は、凸状でも凹状であってもよく、例えば三次元曲面を有する樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。樹脂は、上述の成形に用いる樹脂と同様のものが挙げられる。
具体的には、互いに分離可能な、上下ふたつの成型室から構成されるチャンバーボックスを用いることが好ましい。
まず、下成型室内のテーブル上へ芯材を載せ、セットする。被成型物である本発明の樹脂シート又は積層体を下成型室上面にクランプで固定する。この際、上・下成型室内は大気圧である。
次に上成型室を降下させ、上・下成型室を接合させ、チャンバーボックス内を閉塞状態にする。上・下成型室内の両方を大気圧状態から、真空タンクによって真空吸引状態とする。
上・下成型室内を真空吸引状態にした後、ヒータを点けて加飾シートの加熱を行う。次に上・下成型室内は真空状態のまま下成型室内のテーブルを上昇させる。
次に、上成型室内の真空を開放し大気圧を入れることによって、被成型物である本発明の樹脂シート又は積層体は芯材へ押し付けられてオーバーレイ(成型)される。尚、上成型室内に圧縮空気を供給することで、より大きな力で被成型物である本発明の樹脂シート又は積層体を芯材へ密着させることも可能である。
オーバーレイが完了した後、ヒータを消灯し、下成型室内の真空も開放して大気圧状態へ戻し、上成型室を上昇させ、加飾印刷された樹脂シート又は積層体が表皮材として被覆された製品を取り出す。
本発明の樹脂組成物、樹脂シート、積層体及び成形体、並びに本発明の方法で得られる成形体は、車両の内装材、車両の外装材、鞍乗型車両用外装カバー、家電の筐体、化粧鋼鈑、化粧板、住宅設備、及び情報通信機器の筐体等に使用することができる。
また、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、積層体及び成形体、並びに本発明の方法で得られる成形体は、デスクトップパソコンやノート型パソコン等のコンピューター部品、携帯電話部品、電気又は電子機器、携帯情報端末、家電製品部品、便座、自動車部品、自動二輪車部品、産業資材及び建築材等に使用することができる。
実施例1〜8及び比較例1
(1)樹脂組成物及びそのペレットの製造
以下のポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、変性ポリオレフィン及び有機化層状無機化合物を、表1に示す配合量(重量%)で配合し、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を、単軸混練押出機ミラクルKCK(浅田鉄工株式会社製)にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを製造した。
ポリプロピレン:プライムポリプロF133A(株式会社プライムポリマー製、アイソタクチックペンタッド分率98モル%、MFR=3g/10分、ホモポリプロピレン)
低結晶性ポリプロピレン:エルモーデュS901(出光興産株式会社製、メソペンタッド分率46.5モル%、ラセミペンタッド分率1.9モル%、ラセミメソラセミメソペンタッド分率3モル%、mm×rr/(mr)=1.4、MFR=50g/10分)
非晶性ポリプロピレン:タフセレンH5002(住友化学株式会社製、原体配合量95重量%、MFR=10g/10分)
変性ポリオレフィン:トーヨータックH−1000P(東洋紡績株式会社製、ホモポリプロピレン、酸付加量5.7重量%、MFR=110g/10分)
有機化層状無機化合物:ソマシフMAE(片倉コープアグリ株式会社製、層状無機化合物:モンモリロナイト、有機カチオン:ジアルキル(炭素数14〜18)ジメチルアンモニウムイオン)
尚、MFRの測定については、JIS−K7210に準拠して測定した。
(2)13C−NMRスペクトルの測定
ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率、並びに低結晶性ポリプロピレンのメソペンタッド分率、ラセミペンタッド分率、及びラセミメソラセミメソペンタッド分率を13C−NMRスペクトルの測定により測定した。
13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行った。
装置:JNM−EX400型13C−NMR装置(日本電子株式会社製)
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
計算式は、以下の通りである。
アイソタクチックペンタッド分率(メソペンタッド分率)mmmm=m/S×100
ラセミペンタッド分率rrrr=γ/S×100
ラセミメソラセミメソペンダッド分率rmrm=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
(3)示差走査熱量の測定
非晶性ポリプロピレンを示差走査熱量計(DSC)により測定した。融点は示さず、非晶性ポリマーであることが分かった。
上記DSCの測定条件は以下の通りである。測定は、窒素雰囲気下(流量20ml/分)にて行った。
装置名 :Diamond DSC(パーキンエルマージャパン製)
試料量 :5mg
<ファーストヒーティング>
昇温速度:10℃/分
測定温度範囲:50〜220℃(その後5分220℃にて放置)
<ファーストク−リング>
降温速度:10℃/分
測定温度範囲:250〜50℃
<セカンドヒーティング>
昇温速度:10℃/分
測定温度範囲:50〜220℃
(4)沸騰n−ヘプタン可溶分の測定
得られた樹脂組成物のペレット3gを、数mm程度の大きさに粉砕した。粉砕した樹脂組成物のペレットを、沸騰n−ヘプタンで6時間ソックスレー抽出した。抽出後の樹脂組成物のペレットの重量を測定し、抽出前の樹脂組成物のペレットの重量(3g)から抽出後の樹脂組成物のペレットの重量を引いた値を、抽出前の樹脂組成物のペレットの重量で除して、100分率にしたものを、沸騰n−ヘプタン可溶分とした。結果を表1に示す。
(5)有機化層状無機化合物の層間距離の測定
得られた樹脂組成物のペレットを、油圧式射出成形機IS−80EPN(東芝機械株式会社製)を用いて、厚さ2mm、短辺65mm、長辺150mmの平板状の試料とした。
得られた試料を、以下の条件でX線回折測定し、(001)面に由来するピーク位置から、Braggの条件式に従い、有機化層状無機化合物の平均層間距離を算出した。結果を表1に示す。
装置:Xpert PRO(スペクトリス株式会社製)
Anode material:Cu
Anti−scatter slit:1/8°
Scan range:1.5〜6°
Scan step size:0.0167113°
Time per step:約10
Braggの条件式:λ=2dsin(2θ/2)
λ(入射X線波長):1.541874 2θ:測定角
(6)樹脂組成物の収縮率の測定
上述の樹脂組成物のペレットを、油圧式射出成形機IS−80EPNを用いて、厚さ2mm、直径100mmの円盤状に成形し、円盤状の試料を得た。
得られた試料を、23℃、相対湿度50%の雰囲気で24時間保管し、保管後の円盤状の試料の直径を測定し、以下の式にて樹脂組成物の収縮率を算出した。結果を表1に示す。
樹脂組成物の収縮率(%)=((金型の寸法−保管後の直径測定値)/金型の寸法)×100
Figure 2018024730
製造例1
表2の比較例3に示す配合量(重量%)で配合した以外、実施例1と同様に、樹脂組成物を調製し、樹脂組成物のペレットを製造した。
製造例2
表2の比較例4に示す配合量(重量%)で配合した以外、実施例1と同様に、樹脂組成物を調製し、樹脂組成物のペレットを製造した。
実施例9〜11及び比較例2〜4
(7)積層体の製造
図1に示す製造装置を用い、上述のプライムポリプロF133Aを第1の層用の押出機に投入し、上述の実施例2の樹脂組成物のペレットを、第2の層用の押出機に投入し、混練しながら、以下の条件で押し出して、実施例9の積層体を得た。
第1の層の押出機の直径:75mm
第2の層の押出機の直径:50mm
Tダイ12の幅:900mm
積層装置の構成:第1の層/第2の層
シート11の引き取り速度:6m/分
第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17の表面温度:20℃
冷却速度:12,000℃/分
実施例2の樹脂組成物のペレットに代えて、実施例3の樹脂組成物のペレットを用いた以外、実施例9と同様に、実施例10の積層体を製造した。
実施例2の樹脂組成物のペレットに代えて、実施例6の樹脂組成物のペレットを用いた以外、実施例9と同様に、実施例11の積層体を製造した。
実施例2の樹脂組成物のペレットに代えて、比較例1の樹脂組成物のペレットを用いた以外、実施例9と同様に、比較例2の積層体を製造した。
実施例2の樹脂組成物のペレットに代えて、製造例1の樹脂組成物のペレットを用いた以外、実施例9と同様に、比較例3の積層体を製造した。
実施例2の樹脂組成物のペレットに代えて、製造例2の樹脂組成物のペレットを用いた以外、実施例9と同様に、比較例4の積層体を製造した。
(8)積層体のヘーズ測定
得られた積層体のヘーズをJIS K7136に準拠した方法で測定した。結果を表2に示す。
(9)積層体の収縮率の測定
得られた積層体について、真空圧空成形機FM−3M/H(株式会社ミノス製)を用いて、真空圧空成形により、標線を有する金型(キャビティ寸法:縦100mm、横70mm、高さ30mm、標線間距離:21mm)にて熱成形し、試料を得た。
得られた試料を、23℃、相対湿度50%の雰囲気で24時間保管し、保管後の試料の標線間の距離を測定し、以下の式にて積層体の収縮率を算出した。結果を表2に示す。
積層体の収縮率(%)=((金型の標線間距離−保管後の標線間距離)/金型の標線間距離)×100
(10)積層体の外観の評価
得られた積層体について、色味と分散性を目視にて評価した。無色であり、有機化層状無機化合物の凝集体が確認されなかった場合を○、黄色であると認識できた場合、又は有機化層状無機化合物の凝集体が確認された場合を×とした。結果を表2に示す。
(11)成形体の製造
上述の積層体に、スクリーン印刷法にて、IMB−HF006バインダー(帝国インキ製造株式会社製)を印刷し、インモールド成形にて、スタイラック220(ABS樹脂、旭化成株式会社製)と一体化し、成形体を得た。
(12)ヒケの評価
得られた成形体のヒケを目視にて評価し、ヒケが確認されなかった場合を○、確認された場合を×とした。結果を表2に示す。
比較例3及び4の成形体については、外観にて、比較例3及び4の積層体が表皮材として、適していなかったため、評価を行わなかった。
(11)反りの評価
得られた成形体の反りを目視にて評価し、反りが確認されなかった場合を○、確認された場合を×とした。結果を表2に示す。
比較例3及び4の成形体については、外観にて、比較例3及び4の積層体が表皮材として、適していなかったため、評価を行わなかった。
Figure 2018024730
11 シート
12 Tダイ
13 第1冷却ロール
14 第2冷却ロール
15 第3冷却ロール
16 第4冷却ロール
17 金属製エンドレスベルト
22 弾性材

Claims (21)

  1. アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、
    低結晶性ポリプロピレンと、
    有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。
  2. 前記低結晶性ポリプロピレンの含有量が、3〜20重量%である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記低結晶性ポリプロピレンが、下記(a)〜(c)を満たす請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (a)メソペンタッド分率mmmmが20〜60モル%
    (b)ラセミペンタッド分率rrrrと、mmmmと、が下記式を満たす
    rrrr/(100−mmmm)≦0.1
    (c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率rmrmが2.5モル%以上
  4. アイソタクチックペンタッド分率が85モル%以上であるポリプロピレンと、
    非晶性ポリプロピレンと、
    有機化層状無機化合物と、を含む樹脂組成物。
  5. 前記非晶性ポリプロピレンの含有量が、2〜12重量%である請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. さらに、変性ポリオレフィンを含む請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記変性ポリオレフィンの含有量が、0.5〜8重量%である請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 沸騰n−ヘプタン可溶分が1.0〜15.0重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記有機化層状無機化合物が、層状無機化合物の有機変性体である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 前記有機化層状無機化合物が、前記層状無機化合物の層間に、有機カチオンを担持する化合物である請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 広角X線回折法の測定での、前記層状無機化合物の(001)面の平均層間距離が1.5nm以上である請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物の樹脂シート。
  13. 請求項12に記載の樹脂シートの層を含む積層体。
  14. 請求項12に記載の樹脂シート又は請求項13に記載の積層体の成形体。
  15. 沸騰n−ヘプタン可溶分が1.0〜15.0重量%である請求項14に記載の成形体。
  16. 広角X線回折法の測定での、有機化層状無機化合物の層状無機化合物の(001)面の平均層間距離が1.5nm以上である請求項14又は15に記載の成形体。
  17. 請求項12に記載の樹脂シート又は請求項13に記載の積層体を成形し、成形体を得る成形体の製造方法。
  18. 前記成形は、前記樹脂シート又は積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う請求項17に記載の成形体の製造方法。
  19. 前記成形は、前記樹脂シート又は積層体を金型に合致するよう附形し、前記附形した樹脂シート又は積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う請求項17に記載の成形体の製造方法。
  20. 前記成形は、
    チャンバーボックス内に芯材を配設し、
    前記芯材の上方に、前記樹脂シート又は積層体を配置し、
    前記チャンバーボックス内を減圧し、
    前記樹脂シート又は積層体を加熱軟化し、
    加熱軟化させた前記樹脂シート又は積層体を前記芯材に押圧して被覆させる請求項17に記載の成形体の製造方法。
  21. 請求項14〜16のいずれかに記載の成形体を用いて作成された車両の内装材、車両の外装材、鞍乗型車両用外装カバー、家電の筐体、化粧鋼鈑、化粧板、住宅設備、又は情報通信機器の筐体。
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