JP2018000041A - 油脂組成物とそれを用いたコーティング油脂およびサンドクリーム - Google Patents

油脂組成物とそれを用いたコーティング油脂およびサンドクリーム Download PDF

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Abstract

【課題】口溶けが良好でかつ適度な油性感のある、食品へのコーティングまたはサンドクリームに使用される油脂組成物とそれを用いたコーティング油脂およびサンドクリームを提供する。【解決手段】食品へのコーティングまたはサンドクリーム(いずれもチョコレートとしての使用を除く。)に使用される油脂組成物であって、エステル交換反応処理がされておらず、かつ極度硬化油を65〜85質量%含むラウリン系油脂を油脂全体の質量に対して80質量%以上含有し、ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂を含有せず、トランス脂肪酸の含有量が油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して3質量%以下であることを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、焼き菓子類、和菓子類、スナック類などのコーティングやサンドクリームに使用される油脂組成物とそれを用いたコーティング油脂およびサンドクリームに関する。
焼き菓子類、和菓子類、スナック類などの食品は、表面の艶出しや、色調、風味、食感の改良、保存安定性の向上、調味料の固着などを目的として、焼成した生地に油脂をコーティングすることが行われている。またこれらの食品には、油脂と呈味成分を配合したサンドクリームを挟むことが行われている。
このコーティング油脂は、塗布後に速やかに固化しベタツキがなくなることが、油脂の液ダレや包装材料への付着などを短時間で抑制できる点から求められる。さらに、このような点から硬さを有しながらも、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感があることが求められている。言い換えると、口中でもったりし過ぎずに油脂の適度な後残りがあることが求められている。
サンドクリームには、保形性を保つために適度な硬さが求められる。さらに、このような点から硬さを有しながらも、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感があることが求められている。言い換えると、口中でもったりし過ぎずに、サンドクリームが溶けた後に残る油脂に起因するコク味と存在感があることが求められている。
さらに近年では、健康志向の高まりにともない、一定量を摂取するとLDLコレステロールを増加させ心臓疾患のリスクを高めるといわれているトランス脂肪酸の低減化が望まれている。
従来、上記のようなコーティング油脂やサンドクリームとして、特許文献1〜4の技術が提案されている。
特許文献1には、コーティング油脂として、硬さや固化速度などを改良し、トランス脂肪酸を低減化する技術として、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を使用することが提案されている。特許文献2〜4には、サンドクリームとして、主にエステル交換油脂を使用した技術が提案されている。
上記の技術は、ラウリン系油脂を使用していても、ラウリン系油脂中の極度硬化油量や、ラウリン系油脂自体の配合量が少ない。またラウリン系油脂は、これを原料とするエステル交換油脂として使用すると、エステル交換反応によってトリグリセリドの脂肪酸組成が均一化され、口溶けが悪くなりもたつき感が解消されず、口溶けの改良が望まれていた。
ラウリン系油脂やこれを原料に含むエステル交換油脂を配合する技術は、被覆チョコレートにおいて、固化速度や口溶けなどの観点から提案されているが(特許文献5〜7)、あくまでもチョコレートが対象であるため、食感として口溶けと“切れ”を必須としており、これに対して上記のようなコーティング油脂やサンドクリームにおいては焼き菓子類、和菓子類、およびスナック類などの生地との相性が重要であり、口溶けと適度な油性感をいずれも必須とする点で、求められる特性、課題が異なっている。特に、ある程度の油性感(喫食したときの存在感)が必要である点は被覆チョコレートにはない課題である。
特開2015−136327号公報 特開2009−232738号公報 特開2000−212590号公報 特開2008−306944号公報 特開2009−017821号公報 特開2012−152113号公報 国際公開第2009/116396号
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、口溶けが良好でかつ適度な油性感のある、食品へのコーティングまたはサンドクリームに使用される油脂組成物とそれを用いたコーティング油脂およびサンドクリームを提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の油脂組成物は、食品へのコーティングまたはサンドクリーム(いずれもチョコレートとしての使用を除く。)に使用される油脂組成物であって、エステル交換反応処理がされておらず、かつ極度硬化油を65〜85質量%含むラウリン系油脂を油脂全体の質量に対して80質量%以上含有し、ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂を含有せず、トランス脂肪酸の含有量が油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して3質量%以下であることを特徴としている。
本発明のコーティング油脂は、前記油脂組成物を含有することを特徴としている。
本発明のサンドクリームは、前記油脂組成物を含有することを特徴としている。
本発明によれば、食品へのコーティングまたはサンドクリームに使用した際に、口溶けが良好でかつ適度な油性感が得られる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.油脂組成物
本発明の油脂組成物は、エステル交換反応処理がされておらず、かつ極度硬化油を65〜85質量%含むラウリン系油脂を油脂全体の質量に対して80質量%以上含有する。このように本発明の油脂組成物は、極度硬化油主体のラウリン系油脂を多く配合し、かつラウリン系油脂としてエステル交換反応処理がされていないものを使用したことを特徴としている。これにより、コーティング油脂に求められる固化速度や硬さ、サンドクリームの保形性を保つために求められる硬さを確保しつつ、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感が得られる。
本発明においてラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上の油脂であり、例えば、パーム核油、ヤシ油や、これらの分別油、これらの硬化油(上記の極度硬化油を含む)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
本発明の油脂組成物は、エステル交換反応処理がされていないラウリン系油脂を使用することで、エステル交換反応によってトリグリセリドの脂肪酸組成が均一化され口溶けが悪くなり、もたつき感がでることがなく、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感が得られる。
本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂中に極度硬化油を65〜85質量%含むラウリン系油脂を使用することで、コーティング油脂に求められる固化速度や硬さ、サンドクリームの保形性を保つために求められる硬さを確保しつつ、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感が得られる。この点を考慮すると、ラウリン系油脂は、ラウリン系油脂全体として極度硬化油を69〜85質量%含むことが好ましい。なお、ラウリン系油脂のうち極度硬化油は、ヨウ素価3以下であることが好ましい。
本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂を油脂全体の質量に対して80質量%以上含有することで、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感が得られる。特に、ラウリン系油脂に特有の良好な口溶けが得られる。この点を考慮すると、ラウリン系油脂の含有量は、油脂全体の質量に対して85質量%以上が好ましい。
ラウリン系油脂のうち極度硬化油は、パーム核極度硬化油とヤシ極度硬化油とを組み合わせたものが好ましく、これらの質量比(パーム核極度硬化油:ヤシ極度硬化油)を90:10〜10:90にすることが好ましい。これにより、口溶けと適度な油性感を両立するために、後述の5℃と35℃の固体脂含量およびこれらの差を調整することができる。これらの点を考慮すると、さらに、極度硬化油以外のラウリン系油脂としてヤシ油を使用することが好ましい。
本発明の油脂組成物は、トランス脂肪酸の含有量が油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して3質量%以下である。トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、血液中におけるLDLコレステロール量が増加しうるが、トランス脂肪酸の含有量を3質量%以下とすることで、トランス脂肪酸の摂取量を抑えることができる。上記のように、エステル交換反応処理がされておらず、かつ極度硬化油を65〜85質量%含むラウリン系油脂を油脂全体の質量に対して80質量%以上含有するとともに、このラウリン系油脂以外の油脂配合を調整することで、トランス脂肪酸の含有量を3質量%以下とすることができる。
本発明の油脂組成物は、構成脂肪酸が全て炭素数8以上である3飽和トリグリセリドの含有量が油脂のトリグリセリド全体の質量に対して75質量%以上であることが好ましい。炭素数8以上である3飽和トリグリセリドの含有量がこの範囲内であると、コーティング油脂に求められる固化速度や硬さ、サンドクリームの保形性を保つために求められる硬さを確保しつつ、喫食したときには口中では速やかに溶け、かつ油脂に由来する適度な油性感が得られる。
本発明の油脂組成物は、油脂の35℃での固体脂含量が2%以上12%未満であり、油脂の5℃での固体脂含量と35℃での固体脂含量との差が74〜90%であることが好ましく、80〜90%がより好ましい。油脂の35℃での固体脂含量が2%以上12%未満であると、適度な油性感のある食感が得られる。油脂の35℃での固体脂含量が2%未満であると後残りがなく油性感が得られなくなってしまう場合があり、12%以上であると油性感が残り過ぎてしまう場合がある。油脂の5℃での固体脂含量と35℃での固体脂含量との差が74%未満であると口溶けが悪くなる場合がある。
本発明の油脂組成物に使用される、ラウリン系油脂以外の油脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの脱臭油、加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。
その中でも、本発明の油脂組成物は、ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂を含有しないことが好ましい。これにより、エステル交換反応によってトリグリセリドの脂肪酸組成が均一化され、ラウリン系油脂に起因する良好な口溶けが失われることがなく、口溶けの良いものが得られる。
また、本発明の油脂組成物は、10℃の固体脂含量が0%である液状を呈する液状油を含有しないことが好ましく、5℃の固体脂含量が0%である液状を呈する液状油を含有しないことがより好ましい。このような液状油を含有しないことで、特に口溶けと適度な油性感のいずれにも優れたものとなる。ここで液状を呈する液状油としては、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油などが挙げられる。
本発明の油脂組成物を使用して、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態をとることができる。水相を含有する形態としては油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型が挙げられ、油相の含有量は、好ましくは60〜99.4質量%、より好ましくは65〜98質量%であり、水相の含有量は、好ましくは0.6〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%である。水相を含有する形態としては油中水型が好ましく、例えばマーガリンが挙げられる。
また水相を実質的に含有しない形態としてはショートニングが挙げられる。ここで「実質的に含有しない」とは日本農林規格のショートニングに該当する、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下のことである。本発明の油脂組成物を使用することでトランス脂肪酸含量が低く、口溶けが良好でかつ適度な油性感のあるコーティング油脂またはサンドクリームが得られるが、高い保存安定性が求められる食品に使用する場合は水相を実質的に含有しない形態で使用するのがより好ましい。
本発明の油脂組成物を使用した上記形態は、公知の方法により製造することができる。例えば水相を含有する形態のものは、本発明の油脂組成物を油相として油相と水相とを適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。水相を含有しない形態のものは、本発明の油脂組成物を加熱溶解した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。冷却混合機において、必要に応じて窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むこともできる。また急冷捏和後に熟成(テンパリング)してもよい。
2.コーティング油脂
本発明の油脂組成物は、食品へのコーティング油脂として使用することができる。食品としては、焼き菓子類、和菓子類、スナック類などが挙げられる。
焼き菓子類としては、例えば、ビスケット類、はさみ焼き菓子などが挙げられる。ビスケット類としては、例えば、ハードビスケット、ソフトビスケット、サブレ、ボーロ、クッキー、クラッカーなどが挙げられる。また、はさみ焼き菓子としては、例えば、ゴーフル、ワッフル、ウェハースなどが挙げられる。
和菓子類としては、干菓子として例えば、煎餅、おかき、あられなどの米菓や、揚げ菓子としてかりんとうなどが挙げられる。
スナック類としては、穀類、芋類、豆類、およびそれらの加工物などを主原料とする生地を焼成、膨化、または油ちょうするもの、例えば、ポテトチップスなどが挙げられる。
本発明のコーティング油脂は、本発明の効果を損なわない範囲内において、本発明の油脂組成物以外の他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、乳化剤、酸化防止剤、消泡剤、着色料、フレーバーなどが挙げられる。
本発明のコーティング油脂は、本発明の油脂組成物を含む各成分を配合し、常法により均一に混合することによって製造することができる。混合は加熱下で攪拌することによって行うことができ、その後冷却することにより本発明のコーティング油脂を製造することができる。
本発明のコーティング油脂を上記の食品に塗布する方法は特に限定されず、スプレー等による噴霧や、浸漬、刷毛などによる塗布などを適用することができるが、中でも噴霧による方法が好ましい。
またコーティング油脂と予め混合して、あるいはコーティング油脂とは別個に、シーズニングを食品表面に塗布してもよい。シーズニングとしては、例えば、醤油、砂糖、食塩、アミノ酸類、みりんなどの調味料や、甘味料、酸味料などが挙げられる。
本発明のコーティング用油脂を上記の食品に塗布する際には、表面の艶出しや、色調、風味、食感の改良、保存安定性の向上、シーズニングの固着などを目的として、食品の種類などに応じて適宜の量を塗布することができる。本発明のコーティング油脂の塗布量は、上記食品に対して1〜40質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
3.サンドクリーム
本発明の油脂組成物は、サンドクリームとして食品に挟んで使用することができる。食品としては、例えば、上記の焼き菓子類、和菓子類、スナック類などが挙げられる。
本発明のサンドクリームは、本発明の油脂組成物をそのままサンドクリームとして用いることもできるが、本発明の油脂組成物以外の他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、呈味成分などが挙げられる。呈味成分としては、例えば、糖質、全脂粉乳や脱脂粉乳等の粉乳類、ナッツ類、レーズン等の乾燥フルーツ、シーズニングなどが挙げられる。糖質としては、液糖、粉糖、糖アルコールなどであってよく、例えば、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、デンプン、デンプン分解物、多糖類、水あめ、異性化液糖などが挙げられる。
サンドクリームに呈味成分として糖質を配合する場合は、例えば、本発明の油脂組成物100質量部に対して20〜250質量部の範囲内で配合することができる。
本発明のサンドクリームは、本発明の油脂組成物を含む各成分を配合し、常法により均一に混合することによって製造することができる。混合は加熱下で攪拌することによって行うことができ、その後冷却することにより本発明のサンドクリームを製造することができる。また本発明のサンドクリームは、起泡させてもよい。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)測定方法
油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
油脂の融点は、基準油脂分析法(公益社団法人日本油化学会)の「3.2.2.2−2013 融点(上昇融点)」で測定した。
油脂における構成脂肪酸が全て炭素数8以上である3飽和トリグリセリドの含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
油脂の固体脂含量(SFC、5℃および35℃)は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.2.9−2013 固体脂含量(NMR法)」で測定した。
油脂のトランス脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定した。なお、トランス脂肪酸の含有量は、上記試験法のとおりガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
なお、表1に示すパーム分別軟質油のエステル交換油脂は、次のようにして作製した。パーム分別軟質油(ヨウ素価56)を110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、さらに脱臭を行ってエステル交換油脂を得た。
(2)評価
(2−1)コーティング油脂
<コーティング油脂の作製>
表1に示す配合比にて各油脂を配合して65℃で溶解し、均一に撹拌した後、徐冷し、コーティング油脂を得た。
<クラッカーの作製>
以下の配合でクラッカーを作製した。あらかじめ水に炭酸アンモニウム、重曹を別々に溶かして、その後全材料を合わせ低速1分、中高速8分ミキシングし、40℃のホイロで約2時間おき、生地を得た。その後生地を9層折りし、2mm厚で型抜きし、220℃で焼成し、クラッカーを得た。
上記焼成したクラッカーにコーティング油脂をスプレーで噴霧することによって、上記焼成したクラッカーの質量に対してコーティング油脂が12〜14質量%となるようにコーティング油脂を塗布した。
〈クラッカーの配合〉
薄力粉 100質量部
グラニュー糖 8質量部
ショートニング※1 20質量部
脱脂粉乳 2質量部
食塩 1質量部
炭酸アンモニウム 3質量部
重曹 1質量部
パパイン 0.025質量部
温水 30質量部
※1 ショートニング:ミヨシ油脂製「ミヨシショートニングZ」
<評価>
以下の各評価において、パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
[口溶け]
コーティング油脂をスプレー塗布して得たクラッカーを20℃に2日保管後、クラッカーを試食し、クラッカーの口溶けをパネル20名により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル20名中16名以上が良好であると評価した。
〇:パネル20名中10〜15名が良好であると評価した。
△:パネル20名中6〜9名が良好であると評価した。
×:パネル20名中5名以下が良好であると評価した。
[油性感]
上記クラッカーの油性感をパネル20名により以下の基準で評価した。
評価基準
〇:パネル20名中15名以上が、適度に油性感があって良いと評価した。
△:パネル20名中9〜14名が、適度に油性感があって良いと評価した。
×:パネル20名中8名以下が、適度に油性感があって良いと評価した。
(2−2)サンドクリーム
<サンドクリームとクラッカーの作製>
表1に示す配合比にて各油脂を配合して60℃に加熱しておき、この油脂組成物200gをミキサーボウルに入れ、ビーターで撹拌しながら粉糖200gを添加し、徐冷しながら適度な硬さになったら絞り袋に入れ、このサンドクリームを上記焼成したクラッカー(縦横各4cmに成型)に4g絞り、挟みこみ、サンドクリームを挟んだクラッカーを得た。
<評価>
以下の各評価において、パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
[口溶け]
サンドクリームを挟んだクラッカーを20℃に2日保管後、クラッカーを試食し、サンドクリームの口溶けをパネル20名により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル20名中16名以上が良好であると評価した。
〇:パネル20名中10〜15名が良好であると評価した。
△:パネル20名中6〜9名が良好であると評価した。
×:パネル20名中5名以下が良好であると評価した。
[油性感]
上記クラッカーの油性感をパネル20名により以下の基準で評価した。なお、ここで油性感とは、サンドクリームが溶けた後に残る油に起因するコク味と存在感を表す。
評価基準
〇:パネル20名中15名以上が、適度に油性感があって良いと評価した。
△:パネル20名中9〜14名が、適度に油性感があって良いと評価した。
×:パネル20名中8名以下が、適度に油性感があって良いと評価した。
上記の評価結果を表1に示す。また油脂組成物の配合と油脂組成も併せて表1に示した。なお、表1に示す配合量は質量部を表す。
Figure 2018000041

Claims (7)

  1. 食品へのコーティングまたはサンドクリーム(いずれもチョコレートとしての使用を除く。)に使用される油脂組成物であって、
    エステル交換反応処理がされておらず、かつ極度硬化油を65〜85質量%含むラウリン系油脂を油脂全体の質量に対して80質量%以上含有し、
    ラウリン系油脂を原料に含むエステル交換油脂を含有せず、
    トランス脂肪酸の含有量が油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して3質量%以下である油脂組成物。
  2. 構成脂肪酸が全て炭素数8以上である3飽和トリグリセリドの含有量が油脂のトリグリセリド全体の質量に対して75質量%以上である請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 油脂の35℃での固体脂含量が2%以上12%未満であり、
    油脂の5℃での固体脂含量と35℃での固体脂含量との差が74〜90%である請求項1または2に記載の油脂組成物。
  4. 10℃で液状を呈する液状油を含有しない請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物。
  5. 焼き菓子類、和菓子類、およびスナック類から選ばれるいずれかの菓子への被覆またはそのサンドクリームに使用される請求項1〜4のいずれか一項に記載の油脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の油脂組成物を含有するコーティング油脂。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の油脂組成物を含有するサンドクリーム。
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