JP2017524830A - ニッケル−クロム−鉄−モリブデン耐食合金、製品およびそれらの製造方法 - Google Patents

ニッケル−クロム−鉄−モリブデン耐食合金、製品およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

サワーガスと油の環境下で使用される固溶体ニッケルベースの合金であって、以下の物質を以下の重量パーセントで含む合金:クロム:最小21.0%と最大24.0%;鉄:最小17.0%と最大21.0%;モリブデン:最小6.5%と最大8.0%;銅:最小1.0%と最大2.5%;タングステン:最小0.1%と最大1.5%;溶解性窒素:最小0.08%と最大0.20%;マンガン:最大4.0%;シリコン:最大1.0%;炭素:最大0.015%;アルミニウム:最大0.5%;またニオブ、チタン、バナジウム、タンタルおよびジルコニウムの総量:最大0.45%;残部のニッケルと偶発的不純物。該合金からの物品の製造方法、および該合金から製造された物品。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月19日に申請された米国特許出願14/744,515、および2014年6月20日に申請された米国仮特許出願62/014,803に対して優先権を主張する。それらの開示は、参照の目的のためにそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
本発明の技術分野は、サワーガス(sour gas)と油の環境下で使用するに適している固溶体強化ニッケル−クロム−鉄−モリブデン耐食合金(solid solution strengthened nickel-chromium-iron-molybdenum corrosion resistant alloys)に関する。
関連技術の記述
ニッケル合金は、一般に腐蝕性環境、高温および高い圧力をはじめとする種々様々の厳しい運転条件に耐える能力を持っている。商業的に純粋なニッケルから12以上もの合金元素を含んでいる複雑な合金まで、ニッケル合金は種々様々の用途に使用されており、たとえば化学および石油化学工業;パルプと製紙工場;航空機ガスタービン;蒸気タービン発電所、レシプロエンジン;金属加工;医学用途;宇宙船、熱処理装置;原子力システム;汚染制御装置;金属処理粉砕機;石炭ガス化および液化システム;自動車産業;並びに油およびガス産業に使用されている。
深井戸は、将来の油およびガス探査に重要である。深井戸は、スイートウエル(sweet well)とサワーウエル(sour well)のどちらかに一般に分類される。スイートウエルは腐食性が小さく、サワーウエルは高い腐食性を有し、腐食物質、たとえば硫化水素、二酸化炭素、塩化物および遊離硫黄の組み合わせを含む。サワーウエルの腐食条件は高温と高圧によって増す。したがって、サワー油とガス環境については、物質は優れた機械的性質を達成するとともに耐蝕性の厳格な基準を満たすように選択される。
ニッケル−クロム−鉄−モリブデン合金は、高強度、高靭性および優れた耐蝕性を有し、油とガス産業の中で使用される他の物質に対する長所を提供する。ニッケル−クロム−鉄−モリブデン合金は固溶体合金および沈殿硬化性合金(precipitation hardenable alloys)を含んでいる。固溶体合金は、一般に固溶体強化および冷間加工によってそれらの強さを得る。沈殿硬化性合金は、より大きな断面積(それらは冷間加工によって容易に強くすることができない)で一般に使用されるか、あるいは冷間加工の影響が継続しない、より高温度で使用される。沈殿硬化性合金は、主として合金のマトリックス内の第2の相の沈殿の結果としてそれらの強さを得る。沈殿硬化は、多くの場合ガンマプライム相またはガンマダブルプライム相の熱処理による沈殿の結果である。炭化物と窒化物の形成はさらに沈殿硬化性合金を強くすることができる。しかしながら、固溶体合金と比較して、沈殿硬化性合金は不利益がある。したがって、沈殿硬化性合金の使用は、一般に固溶体合金が望ましくない用途に制限されている。
INCOLOY(登録商標)合金028(UNS N08028/W.Nr. 1.4563)は、モリブデンと銅が追加されたニッケル−鉄−クロム合金であり、特に硫酸およびリン酸に強く、一般に化学処理、汚染制御装置、油およびガス井戸配管、核燃料再処理、酸生産、およびピッキング装置(pickling equipment)に使用される。INCOLOY(登録商標)合金028の化学組成は重量パーセントで以下の通りである;Ni:30−32;Fe:最小22;Cr:26−28;Mo:3−4;Cu:0.60−1.40;C:最大0.02;Mn:最大2;S:最大0.03;およびSi:最大0.70。
INCONEL(登録商標)合金C−276(UNS N10276/W.Nr. 2.4819)は、タングステンが追加されたニッケル−モリブデン−クロム合金であり、広範囲の厳しい環境で優れた耐蝕性を持つように設計されている。クロムが酸化環境に対する抵抗を提供しつつ、高いニッケルおよび高いモリブデン含有率は合金を還元環境中でのピッティングおよび割れ目腐食(pitting and crevice corrosion)に特に強くする。低い炭素含有量は溶接される間の炭化物沈殿を最小限にし、溶接構造物での耐蝕性を維持する。この合金は溶接熱影響部の粒界沈殿の形成に抵抗性があり、溶接された状態でほとんどの化学加工用途に適するようにする。INCONEL(登録商標)合金C−276(UNS N10276/W.Nr.2.4819)は、最も厳しい環境、たとえば化学的処理、汚染制御、パルプおよび紙生産、産業処理および都市ゴミ処理、およびサワー天然ガスの回収において広く使用される。INCONEL(登録商標)合金C−276(UNS N10276/W.Nr. 2.4819)の化学組成は、重量パーセントで以下の通りである;Mo:15.0−17.0;Cr:14.5−16.5;Fe:4.0−7.0;W:3.0−4.5;Co:最大2.5;Mn:最大1.0;C:最大0.01;V:最大0.35;P:最大0.04ム;S:最大0.03;Si:最大0.08;および残部のニッケル。
INCONEL(登録商標)合金G−3(UNS N06985/W.Nr.2.4619)は、固溶体強化されたニッケル−クロム−鉄−モリブデン合金であり、機械的性質と耐蝕性の優れた組み合わせを提供し、ガスおよび製油業の熱い、サワー環境の中で使用される管状の品物として広範囲に使用されている。INCONEL(登録商標)合金G−3(UNS N06985/W.Nr.2.4619)の組成範囲は、一般に21.0−23.5重量%のクロム、18.0−21.0重量%の鉄、6.0−8.0重量%のモリブデン、1.5−2.5重量%の銅、最大0.50重量%のタンタルとニオブ、最大0.015重量%の炭素、最大1.5重量%のタングステン、最大1.0重量%のシリコン、最大1.0重量%のマンガン、最大0.04重量%の燐、最大0.03重量%の硫黄、最大5.0重量%コバルト、および残部のニッケルである。INCONEL(登録商標)合金G−3(UNS N06985/W.Nr.2.4619)は、酸化性化学物質と酸化性雰囲気に対して優れた抵抗性を持っており、そのニッケルと銅の含有量のために還元性化学薬品に対して抵抗性がある。さらに、それは溶接された状態で、塩化物を含む環境における例外的な応力腐食割れ抵抗、ピッティングと割れ目腐食に対する非常によい抵抗、よい溶接可能性、および粒界腐食に対する抵抗を持っている。
しかしながら、現在のガスおよび石油への増加する世界的な要求は、より深くより酸性の井戸からこれらの商品を抽出し始めさせている。より深い井戸は特にサワーガス環境に関して、より高温度、より高圧力およびより多くの腐蝕性環境を意味する。INCOLOY(登録商標)合金028(UNS N08028/W.Nr.1.4563)、INCONEL(登録商標)合金C−276(UNS N10276/W.Nr.2.4819)およびINCONEL(登録商標)合金G−3(UNS N06985/W.Nr.2.4619)は、油とガス産業のための高強度用途のために望まれる強さと延性のレベルを達成しない。したがって、既存の合金によって現在提供されるものと比較して、機械的性質と耐蝕性の組み合わせにおける改良の必要がある。より具体的には、延性、靱性、二次加工適性および耐蝕性の損失なく、固溶体ニッケル合金の強さを劇的に高める必要がある。更に、油とガス田の用途のために保証される合金は、所定の用途に必要とされる通常の要求される特性に加えてクリーンな微構造(clean microstructure)を有する。
Kudoらの米国特許4,400,210(以下「Kudo’210」と呼ぶ)は、油井運転で使用される、高強度深井戸ケーシング、管材料およびドリルパイプを製造するのに役立つと記述された合金を開示する。Kudo’210は、H2S−CO2−Cl環境で、合金が改善されたストレス抵抗性腐蝕亀裂を示すと述べる。
合金は次のものを含む;C:最大0.10%、Si:最大1.0%、Mn:最大2.0%、P:最大0.030%、S:最大0.005%、N:0−0.30%、Ni:25−60%、Cr:22.5−35%、Mo:7.5%未満およびW:15%未満、および残部の鉄と、次の方程式を満たす偶発的不純物を備える:Cr(%)+10Mo(%)+5W(%))≧70%、そして3.5%≦Mo(%)+l/2W(%)<7.5%。
Kudo’210はさらに合金が以下の任意の組み合わせを含んでもよいと述べる:
(i)最大2.0%のひとつのCuおよび/または最大2.0%のCo;
(ii)最大0.10%の希土類の1つ以上:最大0.20%のY:最大0.10%のMg:および最大0.10%のCa;
(iii)合計で0.5−4.0%の、1以上のNb、Ti、Ta、ZrおよびV;および、
(iv)0.05−0.30%、好ましくは0.10−0.25%の量の窒素が、合金に故意に加えられてもよい。
Kudo’210は、さらに0.05−0.25%の量の窒素が、0.5−4.0%の総量となるように加えられたNbおよび/またはVと一緒に加えられてもよいと述べる。しかしながら、Kudo’210は、油とガス産業によって求められるようなクリーンな微構造を有しつつ、延性、靱性、二次加工適性および耐蝕性の損失のなく、高強度を有する合金を提供しない。
Kudoらの米国特許4,400,211(以下、「Kudo’211」と呼ぶ)は、油井運転で使用される、高強度深井戸ケーシング、管材料およびドリルパイプを製造するのに役立つと記述された別の合金を開示する。Kudo’211は、H2S−CO2−Cl環境で、合金が改善されたストレス抵抗性腐蝕亀裂を示すと述べる。
合金は次のものを含む:
C:最大0.10%、Si:最大1.0%、Mn:最大2.0%、P:最大0.030%、好ましくは最大0.003%、S:最大0.005%、Ni:30−60%、Cr:15−35%、少なくとも1つのMo:12%およびW:最大24%、残部の鉄、並びに以下の式を満たす偶発的不純物:
Cr(%)+10Mo(%)+5W(%))≧110%、および7.5%≦Mo(%)+l/2W(%)≦12%。
Kudo’211はさらに、合金は以下の任意の組み合わせを含んでも良いことを開示する。
i)最大2.0%のひとつのCuおよび/または最大2.0%のCo;
(ii)最大0.10%の希土類の1つ以上:最大0.20%のY:最大0.10%のMg:および最大0.10%のCa;
(iii)合計で0.5−4.0%の、1以上のNb、Ti、Ta、ZrおよびV;および、
(iv)0.05−0.30%、好ましくは0.10−0.25%の量の窒素が、合金に故意に加えられてもよい。
しかしながら、Kudo’211は、油とガス産業によって求められるようなクリーンな微構造を有しつつ、延性、靱性、二次加工適性および耐蝕性の損失のなく、高強度を有する合金を提供しない。
1つ以上の実施態様によれば、本発明の目的は当該技術分野における1つ以上の問題を克服することである。
それは、延性、靱性、二次加工適性および耐蝕性の本質的な損失を回避し、既存の固溶体合金、特にはINCONEL(登録商標)合金G−3(UNS N06985/W.Nr.2.4619)に比較して大きな強度を有し、国際基準ANSI/NACE MR0175/ISO15156−3[石油および天然ガス工業−石油およびガス生産におけるH2S含有環境で使用される材料]に記載されるクリーンな微構造を有する合金を提供することがさらなる目的である。
これらおよび他の特徴および特性は、明細書の一部とされる以下の記載および添付の図面、並びに特許請求の範囲を考慮してより明白になるだろう。明細書と特許請求の範囲の中で使用される時、文脈が明白に異なることを指示していなければ、単数の表示は複数のものを含んでいる。
正確に測定のユニットを国際単位系に変換するあらゆる努力がなされた。変換の際に起こる全ての不一致に関し、非国際単位系が正確であると了解されなければならない。
もし明らかに他の方法で指定されなかったならば、組成はすべて重量パーセントで述べられている。
ここに記載される全ての降伏強度は、明らかに他の方法で指定されなかったならば0.2%より大きいオフセットで測定される。
本発明の典型的な実施態様によれば、サワーガスと油の環境下で使用される固溶体ニッケルベースの合金は、以下の物質を以下の重量パーセントで含む:
クロム:最小21.0%と最大24.0%;
鉄:最小17.0%と最大21.0%;
モリブデン:最小6.5%と最大8.0%;
銅:最小1.0%と最大2.5%;
タングステン:最小0.1%と最大1.5%;
溶解性窒素:最小0.08%と最大0.20%;
マンガン:最大4.0%;
シリコン:最大1.0%;
炭素:最大0.015%;
アルミニウム:最大0.5%;および
ニオブ、チタン、バナジウム、タンタルおよびジルコニウムの総量:最大0.45%;
残部はニッケルと偶発的不純物である。
最小のクロム含有率は、好ましくは22.0%、より好ましくは22.5%である。最大のクロム含有率は好ましくは23.5%、より好ましくは23.3%、およびより好ましくは23.1%である。
最小の鉄含有率は、好ましくは18.0%、より好ましくは19.0%である。最大の鉄含有率は、好ましくは20.5%、より好ましくは20.0%である。
最小のモリブデン含有率は、好ましくは6.8%、より好ましくは7.1%である。最大のモリブデン含有率は、好ましくは7.8%、より好ましくは7.6%である。
最小の銅含有率は、好ましくは1.5%、より好ましくは1.7%、およびより好ましくは1.9%である。最大の銅含有率は、好ましくは2.3%、より好ましくは2.1%である。
最小のタングステン含有率は0.50%、より好ましくは0.90%である。最大のタングステン含有率は、好ましくは1.4%、より好ましくは1.3%である。
最小溶解性窒素含有率は好ましくは0.10%、より好ましくは、0.12%である。最大溶解性窒素含有率は、好ましくは0.19%、より好ましくは0.18%、より好ましくは0.17%、より好ましくは0.16%である。
最大のマンガン含有率は、好ましくは2.0%、より好ましくは1.0%である。
最大のシリコン含有率は、好ましくは0.50%、より好ましくは0.25%である。
最大の炭素含有率は、好ましくは0.010%、より好ましくは0.005%である。
最小のアルミニウム含有率は、好ましくは0.001%、より好ましくは0.010%、およびより好ましくは0.10%である。
最大のアルミニウム含有率は、好ましくは0.40%、より好ましくは0.30%である。
ニオブ、チタン、バナジウム、タンタルおよびジルコニウムの最大合計量は、好ましくは0.40%である。最大のニオブ含有率は、好ましくは0.20%、より好ましくは0.10%である。最大のタンタル含有率は、好ましくは0.10%、より好ましくは0.01%である。最大のバナジウム含有率は好ましくは0.15%である。最大のタンタル含有率は好ましくは0.10%である。最大のジルコニウム含有率は好ましくは0.05%である。
燐の最大含有量は、好ましくは0.050%、より好ましくは0.010%、およびより好ましくは0.005%である。
硫黄の最大含有量は、好ましくは0.050%、より好ましくは0.010%、およびより好ましくは0.005%である。
合金はさらにコバルトを含んでもよく、最大5.0%、好ましくは最大2.0%、より好ましくは最大1.0%である。
合金はさらに1つ以上の希土類元素を含んでもよく、最大は0.10%である。
合金はさらにイットリウムを含んでもよく、最大は0.20%である。
合金はさらにマグネシウムを含んでもよく、最大は0.10%である。
合金はさらにカルシウムを含んでもよく、最大は0.10%である。
ホウ素、錫、鉛および亜鉛は各々、0.10%以下、より好ましくは0.010%以下、より好ましくは0.001%以下にコントロールされる。
最小のニッケル含有率は、好ましくは40.0%、より好ましくは42.0%、およびより好ましくは44.0%である。
Mo+1/2Wの含有率は最小7.6%、より好ましくは最小7.7%、およびより好ましくは最小7.8%であるようにコントロールされる。Mo+1/2Wの含有率は最大8.5%、より好ましくは最大8.4%、およびより好ましくは最大8.3%であるようにコントロールされる。
可溶性の窒素含有量は、最小0.08%、より好ましくは最小0.10%、より好ましくは最小0.12%である。可溶性の窒素含有量は、好ましくは最大0.20%、より好ましくは最大0.18%、より好ましくは最大0.16%である。
合金は好ましくは低温エージアビリティ(ageability)特性を有する。すなわち、エージング後の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSba x Elba)であるΔ(YS x El)が、エージング後の降伏強度(YSaa)が少なくとも145 ksiである時、0よりも大きい。国際単位系では、合金は好ましくは低温エージアビリティ特性を有する。すなわちエージング後の0.2%のオフセット降伏強度(MPa)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(MPa)掛ける伸び率%(YSba x Elba)であるΔ(YS x El)が、エージング後の降伏強度(YSaa)が少なくとも1000MPaである時、0よりも大きい。
合金は好ましくは以下の条件を満たす低温エージアビリティ特性を有する。Δ(YS x El)>600−(YSaa−145)x20、ここでΔ(YS x El)は、エージング後の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSba x Elba)である。国際単位系では、合金は好ましくは以下の条件を満たす低温エージアビリティ特性を有する。Δ(YS x El)>4138−(YSaa−1000)x20、ここでΔ(YS x El)は、エージング後の0.2%のオフセット降伏強度(MPa)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(MPa)掛ける伸び率%(YSba x Elba)である。
本発明の典型的な実施態様は、以下を含む物品を製造する方法が提供される:溶液アニール(solution annealed)され、次いで前もって定義した物品の寸法の最小20%に冷間加工された合金から形成されたビレットを提供すること;および5分から8時間の間で、468°−537°C(875°−999°F)で冷間加工された物品を熱処理すること。
本発明の典型的な実施態様では、物品は、冷間加工の方向に関して長さ方向で得られた断面上の微構造を調べた際に連続的な沈殿のない粒界を有する、冷間加工されてエージングされた微構造を有する合金から形成される。金属間の相、窒化物および炭化物の合計面積は1.0%を超えず、σ相の面積は0.5%を超えない。
典型的な実施態様では、物品は少なくとも1000MPa(145 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度および少なくとも12%の伸長を有する。
別の典型的な実施態様では、物品は少なくとも1069MPa(155 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度および少なくとも10%の伸長を有する。
まだ別の典型的な実施態様では、物品は少なくとも1138MPa(165 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度および少なくとも8%の伸長を有する。
図1は改善された低温エージアビリティ特性を示す散布図である。これは、熱処理後の降伏強度(Y軸)対ポスト冷間加工低温熱処理の結果としての、生成物の降伏強度(YS)掛ける伸び(El)(X軸)の増加により証拠づけられる。 図2は、塩浴熱処理前後での、比較の合金および実施例の合金についての降伏強度(ksi)に対する冷間加工の影響を示すライン図表である。 図3は、塩浴熱処理前後での、比較の合金および実施例の合金についての極限引張強さ(ksi)に対する冷間加工の影響を示すライン図表である。 図4は、塩浴熱処理前後での、比較の合金および実施例の合金についての延性の測定としての伸び率%に対する冷間加工の影響を示すライン図表である。 図5は、およそ0.14%の窒素含有量を持っており、1066°C(1950°F)で30分間熱処理された後水冷却されたホットロールされたプレートとして形成された実施例の合金のクリーンな微構造を示す。 図6は、およそ0.14%の窒素含有量を持っており、1093°C(2000°F)で30分間熱処理された後水冷却されたホットロールされたプレートとして形成された実施例の合金のクリーンな微構造を示す。図8の微構造の平均粒度は約78ミクロンであると決定された。 図7は、比較例の合金と均等な条件の下で存在すると計算された相を示す。 図8は、比較例の合金と均等な条件の下で存在すると計算された相を示す。 図9は、実施例の合金と均等な条件の下で存在すると計算された相を示す。 図10は、実施例の合金と均等な条件の下で存在すると計算された相を示す。 図11は、実施例の合金と均等な条件の下で存在すると計算された相を示す。 図12は、比較例の合金の時間−温度−変換(TTT)図形を示す。 図13は、図12の比較例の合金の連続−冷却−変換(CCT)図形を示す。 図14は、実施例の合金の時間−温度−変換(TTT)図形を示す。 図15は、実施例の合金の連続−冷却−変換(CCT)図形を示す。
正確に測定された単位を国際単位系に替えるあらゆる努力がなされた。正確に測定のユニットを国際単位系に変換するあらゆる努力がなされた。変換の際に起こる全ての不一致に関し、非国際単位系が正確であると了解されなければならない。
もし明らかに他の方法で指定されなかったならば、組成はすべて重量パーセントで述べられている。ここに記載される全ての降伏強度は、明らかに他の方法で指定されなかったならば0.2%より大きいオフセットで測定される。
組成
本発明は理論によって制限されないが、固溶体ニッケルベースの合金中の次の選択された量の合金元素は、以下の有益な効果をもたらす傾向にある。
モリブデン(Mo):
6.5から8.0重量パーセント
モリブデンは製造中に熱安定性を下げずに、強さの発現に大きく寄与する。モリブデンの強くする影響は、置換固溶体強化によって主として達成される。置換固溶体強化は、合金のマトリックス内の格子位置にモリブデン原子が位置することによって生じる。小さなモリブデン原子とマトリックス内のより大きなニッケル、クロムおよび鉄原子とのサイズの相違により、局部応力フィールドがモリブデン原子のまわりで作られ、格子を通る転位の移動を禁じ、それにより合金の強さを高める。さらに、モリブデンは、耐蝕性、特にピッティング(pitting)と割れ目腐食に対する抵抗を改善する傾向がある。また、モリブデンは、応力腐食割れ抵抗および水素脆化抵抗に寄与する傾向がある。従って、モリブデン含有率は少なくとも6.5%、好ましくは少なくとも6.8%およびより好ましくは少なくとも7.1%であるようにコントロールされる。
しかしながら、過度のレベルのモリブデンは、不適当なミュー相[Mo7(Ni、Fe、Cr)6]を形成する傾向があり、かつ不適当なσ相(FeMo)x(Ni、Co)4の形成に寄与する傾向がある。それらの両方は油とガス産業のクリーンな微構造要求を満たすことに対して否定的である。過度のモリブデンは、さらに強さの発現を禁じて、かつ耐蝕性を妨害する傾向がある。従って、モリブデン含有率は8.0%以下、好ましくは7.8%以下、またより好ましくは7.6%以下であるようにコントロールされる。
溶解性窒素(N):0.08から0.20重量パーセント
窒素は、本発明の合金とINCONEL(登録商標)合金G−3(UNS N06985/W.Nr. 2.4619)の相違を示す主要な要素である。従来は、窒化物の沈殿によって、強さを高めるために窒素はいくつかのタイプのニッケル合金に加えられた。しかしながら、窒化物および他の望まれない相の沈殿はクリーンな微構造要求に対して否定的であり、延性、靱性および二次加工適性の損失に帰着する傾向がある。この理由で、多量の窒素の追加は一般に回避された。
しかしながら、本発明の発明者は、溶解限度未満である多量の窒素の追加が、冷間加工と引き続く低温のエージングプロセスの後に、強さと延性の改善された組み合わせを予想外に達成する低温エージアビリティ特性を提供することを見いだした。強さと延性の改善された組み合わせは、過度の量の望まれない相の沈殿なしに、および靱性、二次加工適性あるいは耐蝕性の質を有意に下げることなく達成される。
発明は理論によって制限されないが、固溶体中の多量の窒素は、侵入型固溶体強化によって合金の強さを高めると信じられている。また、可溶性の窒素は低温熱処理の結果として、合金の格子中の転位と相互作用し、強さと延性の改善された組み合わせを提供すると信じられている。従って合金の溶解性窒素の含有量は少なくとも0.08%、好ましくは少なくとも0.10%およびより好ましくは少なくとも0.12%であるようにコントロールされる。
しかしながら、合金の溶解限度を超過する窒素は、窒化物および/または炭化窒化物の形成を促進する傾向がある。過度の量のこれらの沈殿は、延性、靱性および二次加工適性の損失に帰着し、クリーンな微構造に対して否定的であり、さらに強さおよび合金の耐蝕性を低減して、元素(モリブデン、タングステンおよびクロム)のマトリックスから奪う傾向がある。従って合金の溶解性窒素の含有量は、0.20%以下、好ましくは0.19%以下、より好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.17%以下およびより好ましくは0.16%以下である。
わずかに窒素の溶解限度を越えた量で、強化の程度がマトリックス粒の内のCr2N分散質に起因することがありえる。しかしながら、大量の窒素は、クリーンな微構造要求に対して否定的である粒界フィルム形成に寄与し、上に議論される貧弱な特性に寄与する傾向がある。従って、合金の全体的な窒素含有量は、好ましくは0.20%以下、より好ましくは0.19%以下、より好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.17%以下およびより好ましくは0.16%以下である。合金の不溶性の窒素分は、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.06%以下、より好ましくは0.04%以下およびより好ましくは0.02%以下である。
窒素は、タップに先立って溶融合金へ窒素ガスを溶かすことにより加えられてもよい。溶解された窒素は、冷却の間に固溶体の一部になり、固溶強化によって合金を強くする。窒素が固溶体に残るので、窒素はマトリックスの中に閉じ込められ沈殿しない。窒素の固溶強化影響を最大限にするために、合金中の窒素の溶解限度は好ましくは最大限にされる。溶解限度は、ニッケル合金中の他の合金元素の存在によって影響を受ける。したがって、合金元素の選択は多量の窒素が固溶体に残ることを保証するために好ましくは最適化される。意図した結果を達成するために、1538°C(2800°F)の合金中の窒素の最大の可溶量は、好ましくは少なくとも0.12%、より好ましくは少なくとも0.14%および最も好ましくは少なくとも0.16%である。
次の表1は、後に議論されるシグマ・ソルバス(sigma solvus)に対する組成の影響と同様に、タッピングの温度よりほぼ93°C(200°F)高い1538°C(2800°F)での窒素の最大の溶解限度に対する組成(重量パーセント)の影響も示す。
上記の表1に示されるように、合金の組成は高い最大の窒素可溶性を達成するために最適化されることができる。
クロム(Cr):21.0から24.0重量パーセント
クロムは、有益に合金中の窒素の溶解限度を増加させて、それによって加えられることのできる窒素の量を増加させる。さらに、クロムは、特に製造中の酸化環境に対する抵抗を提供する。また、クロムは塩化物を含む環境に対するピッティング抵抗を提供し、ストレス腐蝕亀裂と水素脆化に対する抵抗性を提供する。従って、クロム含有率は少なくとも21.0%、好ましくは少なくとも22.0%および最も好ましくは少なくとも22.5%であるようにコントロールされる。
しかしながら、クロムには炭素への強い親和性がある。炭素が存在する状態で、クロムは、特に粒界に沿って、不適当な炭化物および炭窒化物を形成する。それらは固溶体中の窒素の量を減少させ、二次加工適性を減じ、またクリーンな微構造の要求に対して否定的である。従って、クロム含有率は最大24.0%、好ましくは最大23.5%、より好ましくは最大23.3%およびより好ましくは最大23.1%であるようにコントロールされる。
炭素(C):0.015重量パーセント以下
少量の炭素は、一般に通常の加工条件の結果として合金内に残る。しかしながら、過度の量の炭素は、特に粒界に沿って、炭化クロムと炭窒化物の形成を引き起こす。それは、粒界の近くの溶液内のクロムを消耗する。クロムのこの粒界消耗は特に熱影響部で、粒界腐食を引き起こす。炭化物と炭窒化物の沈殿は、さらに合金がクリーンな微構造のための産業上の必要条件を満たすのを妨害する。過度の炭素は、さらにモリブデン、タングステンおよびクロムの強化元素のマトリックスを奪い、それにより合金の耐蝕性を低減して、強度を低下する。従って、炭素含有量は0.015%以下、好ましくは0.010%以下およびより好ましくは0.005%以下であるようにコントロールされる。
タングステン(W):0.10から1.5重量パーセント
上に説明されるように、一般に通常の加工条件の結果として少量の炭素が合金内に残る。タングステンは、粒子間WCとして炭素を縛り、したがって炭化クロムと炭窒化物の不利益な形成を最小限にする有益な効果がある。さらに、タングステンは、抗張力、溶接可能性、ピッティング抵抗、応力腐食割れに対する抵抗および水素脆化に対する抵抗に寄与すると考えられる。希望の結果を達成するために、タングステン含有率は少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも0.50%およびより好ましくは少なくとも0.90%であるようにコントロールされる。
しかしながら、タングステン(モリブデンと同様に)は、有害なミュー相の傾向を増加させる。それはクリーンな微構造の要求に対して否定的であり、強さの発現および耐蝕性を下げる。過度のタングステンは、さらに有益な効果が飽和すると共に合金のコストを増す。従って、タングステン含有率は1.5%以下、好ましくは1.4%以下およびより好ましくは1.3%以下であるようにコントロールされる。
銅(Cu):1.0から2.5重量パーセント
銅はサワーガス腐食に対する抵抗を増加させることには有益である。それはH2S環境の傾向のある深いサワーウエルにおいて特に重要である。従って、銅分は少なくとも1.0%、好ましくは少なくとも1.5%およびより好ましくは少なくとも1.7%、またより好ましくは少なくとも1.9%であるようにコントロールされる。
しかしながら、過度の量の銅は、塩化物の存在において合金に有害であるピッティング腐食に対する抵抗を低減する。従って、銅分は2.5%以下、好ましくは2.3%以下およびより好ましくは2.1%以下であるようにコントロールされる。
モリブデン(Mo)およびタングステン(W)の合計量:Mo+1/2W= 7.6から8.5重量%
上に議論されるように、モリブデンとタングステンの両方は合金の強さを高めることに有効である。ハイ・レベルの強さを補償するために、モリブデンとタングステンの合計量は、好ましくはMo+1/2Wの含有率が高くなるようにコントロールされる。従って、Mo+1/2Wの含有率は、少なくとも7.6%、より好ましくは少なくとも7.7%および最も好ましくは少なくとも7.8%であるようにコントロールされる。
しかしながら、モリブデンとタングステンの合計量の過剰は、望まれない相の沈殿によって合金の安定性を下げる傾向がある、それはクリーンな微構造の要求に対して否定的であり、強さの発現および耐蝕性を下げる。従って、Mo+1/2W好ましくは8.5%以下、より好ましくは8.4%以下および最も好ましくは8.3%以下であるようにコントロールされる。
ニオブ(kb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)およびバナジウム(V):合計は0.45重量パーセント未満
上に説明されるように、低温エージアビリティ特性を提供するために、窒素が合金に加えられる。窒素が冷却中に固溶体に残ることを保証するために、高温窒化物を形成する元素の添加は制限される。その存在は有害な量の窒化物を沈殿させ、可溶性の窒素の量を減らし、延性、靱性および二次加工適性を下げる。従って、ニオブ、チタン、タンタル、ジルコニウムおよびバナジウムの合計量は、0.45%以下、好ましくは0.40%以下であるようにコントロールされる。ニオブ含有率は0.20%以下であるように好ましくはコントロールされる。チタン含有率は好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.01%以下であるようにコントロールされる。バナジウム含有率は0.15%以下であるように好ましくはコントロールされる。タンタル含有率は0.10%以下であるように好ましくはコントロールされる。ジルコニウム含有率は0.05%以下であるように好ましくはコントロールされる。
鉄(Fe):17.0から21.0重量パーセント
合金の商業的有用性を改善するために、クロムとモリブデンは、フェロクロムとフェロモリブデンの追加によって合金に経済的に含まれることができる。従って、鉄の含有率は、好ましくは少なくとも17.0%、好ましくは少なくとも18.0%およびより好ましくは少なくとも19.0%の量で含まれる。
しかしながら、過度の量の鉄の追加は不適当なσ相形成に有利であり、それはクリーンな微構造の要求に対して否定的である。従って、鉄の含有率は最大21.0%、好ましくは20.5%以下およびより好ましくは20.0%以下であるようにコントロールされる。
燐(P):0.050重量パーセント以下
燐は不純物として合金の中にあってもよい。過度の量の燐は水素脆化を引き起こすことがある。従って、燐含有量は好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.010%以下および最も好ましくは0.005%以下であるようにコントロールされる。
硫黄(S):0.050重量パーセント以下
硫黄は不純物として合金の中にあってもよい。過度の量の硫黄は、合金の熱間加工性を低下させることがある。従って、硫黄含有量は好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.010%以下および最も好ましくは0.005%以下であるようにコントロールされる。
アルミニウム(Al):0.5重量パーセント以下
アルミニウムは合金の脱硫には有益である。希望の結果を達成するように、アルミニウム含有量は少なくとも0.001%、より好ましくは少なくとも0.010%およびより好ましくは少なくとも0.10%であるようにコントロールされる。
しかしながら、過度の量のアルミニウムは、不適当な金属間の相の形成に寄与する。従って、アルミニウム含有量は最大0.5%、好ましくは最大0.40%およびより好ましくは最大0.30%であるようにコントロールされる。
マンガン(Mn):4.0重量パーセント以下
マンガンは特に多量のアルミニウムがない状態で合金の脱硫に有益である。しかしながら、過度の量のマンガンは、酸塩化物に対する合金の抵抗を低減する。従って、マンガン分は4.0%以下、好ましくは2.0%以下およびより好ましくは1.0%以下であるようにコントロールされる。
シリコン(Si):1.0重量パーセント以下
シリコンは、特に製造中に合金の耐酸化性を増加させることには有益である。しかしながら、過度の量のシリコンは、合金の熱間および冷間加工性を低減する。さらに、シリコンは強い窒化物形成体である。したがって、過度の量のシリコンは、窒素の有益な効果を低減し、クリーンな微構造要求に対して否定的である。従って、シリコン含有量は1.0%以下、好ましくは0.50%以下およびより好ましくは0.25%以下であるようにコントロールされる。
コバルト(Co):5.0重量パーセント以下
コバルトは合金の耐蝕性をさらに改善することには有益である場合がある。したがって、特に、高耐蝕性が必要な場合、コバルトは加えられることができる。しかしながら、過度の量のコバルトは、合金のコストを非常に増す。従って、コバルト含有量は好ましくは5.0%以下、より好ましくは2.0%以下および最も好ましくは1.0%以下であるようにコントロールされる。
希土類、Y、MgおよびCa
希土類Y、MgおよびCaはすべて熱間加工性の改善に有益である場合がある。したがって、合金を厳しい熱間加工にさらさなければならない場合、合金にこれらの要素の少なくとも1つを組み入れることが望ましい場合がある。しかしながら、これらの過度の量の要素は、合金の特性を低下させる事がある。従って、希土類の含有率は0.10%以下であるように好ましくはコントロールされる。Yの含有率は0.20%以下であるように好ましくはコントロールされる。Mgの含有率は0.10%以下であるように好ましくはコントロールされる。また、Caの含有率は0.10%以下であるように好ましくはコントロールされる。
ニッケル(Ni)
ニッケルの主な有益性は、安定したオーステナイトの単相の構造を維持し、微構造の安定およびクリーンさを保証することである。それは経済的に生産することができ最適の耐蝕性を得ることにとって重要である。従って、ニッケルは合金組成の残部として含まれることができる。ニッケル含有率は好ましくは40.0%以上、より好ましくは42.0%以上およびより好ましくは44.0%以上であるようにコントロールされる。
偶発要素
合金は偶発元素、たとえばB、Sn、PbおよびZnを含んでいてもよい。しかしながら、これらの過度の量の要素は、合金の特性を低下させる事がある。従って、偶発要素はそれぞれ0.10%以下、より好ましくは0.01%以下およびより好ましくは0.001%以下であるようにコントロールされる。
上記の記述は合金に量および主要な要素の影響について、理解されるところを記述したものである。本発明は上記範囲内の量の要素を含む全ての合金を包含することを意図しており、本発明の基本的および新規な特性に実質的に影響する量の添加元素の量の追加は回避されるべきである。本発明の実施態様では、合金は上記範囲内の量の要素から本質的に成るか、あるいはそれらから成り、増加した強さを保証しつつ、延性、靱性、二次加工適性および耐蝕性の不利益な損失のない限り、偶発的不純物を含むことができる。
製造方法
本発明の典型的な実施態様では、上に記述されるような固溶体ニッケルクロム−鉄−モリブデン耐食合金から形成された物品を製造する方法を提供する。合金は、下記に述べられた方法で好ましくは加工される。本発明は理論によって制限されないが、次の処理ステップは下記に述べられた効果があると信じられている。
溶融合金の中への窒素ガスの導入
窒素は、タッピングに先立って溶融金属合金内へ窒素ガスをバブリングすることにより加えられてもよい。導入される窒素は凝固中に固溶体の一部になる。窒素の量が溶解限度未満である場合、窒素はマトリックスの中に閉じ込められ沈殿しない。固溶体中の窒素は先に記載されたように合金の侵入型固溶体強化を引き起こすと信じられている。合金中の窒素の溶解限度は他の合金元素の追加分によって影響を受ける。多量の窒素が固溶体に残ることを保証するために、それは本発明の合金において選択されている。例えば、クロムは特に、合金中の窒素の溶解限度をかなり増加させると考えられ、それによって、溶解限度を超過せずに加えられてもよい窒素の量を増加させる。
均質化時間および温度
均質化は、合金元素の分離の結果冷える間に生じることのある不適当な第2相を溶かす有益な効果がある。有益な効果を達成するように、均質化の温度は少なくとも1093°C(2000°F)であるように好ましくはコントロールされる。また、均質化の時間は少なくとも20時間であるように好ましくはコントロールされる。
しかしながら、過度の均質化中の高温は、合金の早期の溶融を引き起こすことがある。従って、均質化の温度は1232°C(2250°F)またはそれ以下であるように好ましくはコントロールされる。
さらに、過度に長期間の均質化は、加工費を上げ、均質化処理の影響を飽和させると考えられる。従って、均質化の時間は48時間以下であるように好ましくはコントロールされる。
熱間加工温度
熱間加工は、合金がより容易に変形される高温で鋳造インゴットの形をブリッドの一般的な所望形状に変更する有益な効果がある。熱間加工は、チューブ製作のための押し出し、棒および平面のための鍛造、およびシートおよびプレートのための熱間圧延を含んでいてもよい。熱間加工の有益な効果を達成するために、熱間加工の温度は1149°C(2100°F)あるいはより高温であるように好ましくはコントロールされる。過度に低い熱間加工温度は、熱間加工装置のキャパシティーを超過する変形応力の増加を引き起こすことがある。
しかしながら、過度に高い熱間加工温度は、合金の早期の溶融に帰着する断熱昇温を引き起こすことがある。従って、熱間加工の温度は1204°C(2200°F)あるいはそれ以下であるように好ましくはコントロールされる。
溶体化焼鈍(Solution Annealing)あるいはホットロール溶体化焼鈍
溶体化焼鈍は合金の要素が固溶体内にあることを保証するために行なわれる。アニーリングと引き続く材料の実質的な低減がアニーリング中に遂行される場合にホットロール溶体化焼鈍は行なわれる。また、材料が変形応力の増加のために冷却されることが望まれない場合に、変形応力のためにホットロール溶体化焼鈍は行なわれる。合金がアニールされる温度は、十分再結晶温度を上回り、変形応力を低く維持するのに適切な温度が好ましくは選ばれる。経験的には、最小20分の1038°C(1900°F)の溶体化焼鈍がアニールの完成を保証するのに十分である。ホットロール溶体化焼鈍の必要は、多くの変数、たとえばホットロール・プレスに至るまでの時間、プレスの時間およびサイズの関数である。
冷間加工
冷間加工は、合金の格子中への欠損の導入によって合金を強くする有益な効果がある。冷間加工は、縦および横方向での力学的性質に関して必ずしも均質でないテクスチャーされた微構造を作成する。冷間加工は、ドローイング、ピルガリング(pilgering)、スワギング(swaging)、ロール成形および平面冷間圧延を包含する。
所望のレベルの強化を達成するために、冷間加工の量は好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%および最も好ましくは少なくとも30%であるようにコントロールされる。冷間加工がドローイングである場合、冷間加工の量は好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%および最も好ましくは少なくとも35%であるようにコントロールされる。
しかしながら、物質の冷間加工の能力は、合金に作用する装置の能力あるいは冷間加工を受理する材料のキャパシティーに依存する。従って、冷間加工の量は、一般に80%、好ましくは70%未満で、より好ましくは一般に60%未満である。
低温熱処理
沈殿硬化可能なニッケル合金については、マトリックスの全体にわたる分散相の沈殿によって合金の強さを高めるために、427°C(800°F)から871°C(1600°F)までの温度で熱処理を行なうことは一般的である。この析出強化結果はマトリックスの全体にわたる超顕微鏡的粒子の沈殿によって引き起こされ、それは堅さと強さの著しい増加に帰着する。沈殿硬化可能な高ニッケル合金中の主要なエージング相は、通常、ガンマプライム(Ni3AlあるいはNi3Al、Ti)、イータ(Ni3Ti)およびガンマ・ダブル・プライム(bct−Ni3Nb)の1つ以上を含んでいる。存在することのある他の相としては、ラーベス相(M2Ti)およびデルタ相(斜方晶系のNi3Nb)と同様に炭化物(たとえばM23C6、M7C3、M6CおよびMC)、窒化物(MN)、炭窒化物(MCN)、および硼化物(M3B2)があげられる。
しかしながら、本発明の典型的な方法によれば、低温熱処理は合金に適用されてもよい。それは非沈殿硬化性合金であると考えられる。代わりに、低温熱処理が強化固溶体の冷間加工された合金に適用できる。本出願の発明者は、溶解限度未満である量の多量の窒素を含む合金に低温熱処理を適用すると、低温エージアビリティ特性を提供し、望まれない相の沈殿なく強さと延性の改善された組み合わせを予想外にも達成し、靱性、二次加工適性および耐蝕性を低下させないことを見いだした。
発明は理論によって制限されないが、温度が応力除去処理温度領域にあるので、冷間加工の影響が完全に削除される温度未満だが、熱処理は冷間加工の影響を部分的に除去すると信じられている。さらに低温熱処理の結果、固溶体中の窒素は冷間加工ステップで導入された、合金の格子中の転位と相互作用すると信じられている。低温熱処理が機械的性質を高めることを説明する正確な機構は明らかではない。本発明は理論によって制限されないが、低温エージング処理の後に冷却すると、合金に圧縮応力を発生させ、強化に帰着すると信じられている。
好ましい実施態様では、低温熱処理は熱塩浴の使用により達成されてもよい。物品が融解塩に浸される場合、熱は融解塩から物品の表面へ直接伝導によって移動する。さらに、物品が塩浴に浸されるので、空気は物品と接触することができない。したがって、スケーリング、酸化および脱炭素は回避される。さらに、塩浴処理による物質の中への伝熱は非常に迅速であり、放熱方法よりも速いので熱処理に必要な時間を減らす。
熱処理の時間および温度
低温熱処理の希望の影響を達成するために、熱処理の温度は好ましくは468°C(875°F)以上、より好ましくは482°C(900°F)以上、最も好ましくは496°C(925 °F)以上であるようにコントロールされる。熱処理の時間は5分以上、あるいは15分以上、より好ましくは30分以上、最も好ましくは45分以上であるようにコントロールされる。
しかしながら、過度な高温は熱処理の強さ増強効果を減少させると考えられる。さらに、塩浴は過度に高温では安定しない。従って、熱処理の温度は好ましくは537°C(999°F)以下、より好ましくは524°C(975°F)以下、より好ましくは510°C(950°F)以下であるようにコントロールされる。
さらに、熱処理の過度に長い時間では、結果は飽和すると考えられる。
従って、熱処理の時間は8時間以下、より好ましくは4時間以下、より好ましくは2時間以下であるようにコントロールされる。
特性
低温エージアビリティ
上に説明されるように、低温熱処理は固溶体強化合金ではなく、沈殿硬化性合金に典型的に適用される。しかしながら、冷間加工の後に固溶体強化合金に低温熱処理を適用すると、強さと延性の改善された組み合わせが予想外にも達成されることが見いだされた。より具体的には、低温熱処理の結果0.2%のオフセット降伏強度(YS)および伸長の改善された組み合わせを示し、降伏強度および延性の高いレベルの組み合わせを達成した。この結果は、次の実施例に関してさらに理解される。
表2および3の合金組成物は、22.7kg(50 lbs)でエアキャストされ、2A、2Bおよび2Cの合金は36時間1204°C(2200°F)で均質化され、空冷された。次いで押し出しをシミュレートするため10:1比率で1177°C(2150°F)で熱間圧延をし、次いで水で急冷し、1時間1010°C(1850°F)でポスト熱間圧延アニールし、次いで水で急冷し、表4に指定されるように冷低減を試みた。
合金3Aおよび3Bは、24時間1204°C(2200°F)で同様に均質化され。空冷された。合金3Aおよび3Bは、次いで1190°C(2175°F)で熱ロールされて11.4mm(0.45インチ)のプレートにされ、空冷された。ポスト熱ロールされた溶体化焼鈍は、30分1066°C(1951°F)に保持され、次いで水冷された。表2および3の合金は、表4および5に記載された所定量でローリングすることにより低温低減され、またローリングされたプレートの一部は、45分間塩浴で500°C(932°F)で熱処理され、次いで空気冷却された。
* シャルピーインパクト・バルブは14°Fの試験温度でハーフサイズのサンプルについて報告される。SIへの転換のために、値はフィート、Lbsで報告された。3.39倍すると−10°Cでのジュール/cmの値となる。
図1は、表2および4からの比較例の合金2A、2Bおよび2Cに対する、表3および5からの本発明の合金3Aおよび3Bの改善された低温エージアビリティ特性を示す。
より詳細には、図1はエージングの結果としての0.2%のオフセット降伏強度(ksi)および伸長(El)の積の変化、すなわちΔ(YS x El)対エージングの後の降伏強度(YSaa)(ksi)をプロットする。ここで、Δ(YS x El)はエージング(YSaa x Elaa)後の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%、マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSba x Elba)である。
図1から理解できるように、高い溶解性窒素の本発明の実施例の合金3Aおよび3Bは、合金が熱処理された状態において少なくとも145 ksiの高い降伏応力を持つに十分な量で冷間処理されたとき、低温エージングプロセスの結果として降伏強度および伸長の組み合わせにおいて、低い窒素を含む比較例の合金2A、2B、および2Cに比較して優れた改良を示す。
図1によって示されるように、合金のエージング後の最終降伏強度(YSaa)が少なくとも145 ksiである場合、エージングの結果としての降伏強度(ksi)および伸長の積Δ(YS x El)の変化は0を超えるものである。したがって、本発明の合金は、冷間加工の後に低温熱処理を適用することにより、高耐力合金の降伏強度および伸長の組み合わせを改善することを示す。
更に、図1に表わされるように、合金の上記低温エージアビリティ特性は、別法として下記式によって表現することができる:Δ(YS x El)>600 −(YSaa−145)x20、ここで、Δ(YS x El)はエージング後の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)、マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSba x Elba)である。この式は、実施例の合金と比較例の合金の相違を表現する。実施例の合金は与えられた最終降伏強度において、降伏強度と伸長のより良好な組み合わせを有する。
実施例の合金とは対照的に、比較例の合金は、少なくとも145 ksiの高い最終降伏強度を持つように十分に冷間加工した時、降伏強度と伸長の減少した積をエージングの結果として持っている。また、145未満ksiの低い最終降伏強度が達成されるように、低い量の冷間加工がされた時にのみ、比較例の合金は降伏強度と伸長の改善された組み合わせを達成する。
本発明は理論によって制限されないが、熱処理の後、可溶性の窒素は強さと延性の改善された組み合わせを提供するために、冷間加工に起因する転位と相互作用すると信じられている。したがって、高い量の冷間加工は、固溶体中の窒素と冷間加工された構造の間の有益な相互作用に寄与すると考えられる。
機械的性質 − 強度、延性、および靱性
実施例の実施態様では、合金は、冷間加工および低温熱処理の適用の後に、少なくとも1000MPa(145 ksi)、好ましくは1069MPa(155 ksi)およびより好ましくは1138MPa(165 ksi)の、最小の0.2%のオフセット降伏強度を達成する。合金は、さらに8.0%、好ましくは少なくとも10.0%、より好ましくは少なくとも12.0%、より好ましくは少なくとも14.0%、より好ましくは少なくとも16.0%およびより好ましくは19.0%の最小の伸長を達成する。
合金は、さらに次のものを含む機械的性質の組み合わせをターゲットとする:
(i) 少なくとも12%の伸長、好ましくは少なくとも15%およびより好ましくは少なくとも19%の伸張と、少なくとも1000のMPa(145 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度;
(ii) 少なくとも10%の伸長、好ましくは少なくとも13%およびより好ましくは少なくとも16%の伸張と、少なくとも1069のMPa(155 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度;および
(iii)少なくとも8.0%の伸長、好ましくは少なくとも10%およびより好ましくは少なくとも12%の伸張と、少なくとも1138のMPa(165 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度。
比較例の合金2A、2Bおよび2Cについては、表4に示されるように、冷間加工%が1000MPa(145 ksi)の0.2%降伏強度目標を達成する場合、伸長%によって測定された延性が、12%の受理可能な最小値以下であり、また冷間加工%が1069MPa(155 ksi)の0.2%降伏強度目標を達成する場合、伸長%によって測定された延性が、10%の受理可能な最小値以下である。また、冷間加工%が1138MPa(165 ksi)の目標0.2%の降伏強度を達成する場合、伸長%によって測定される延性は8%の受理可能な最小値以下である。
したがって、比較例の合金2A、2Bおよび2Cは、上記のパラグラフにリストされた特性の目標の組み合わせのうちのどれも達成しない。比較例の合金2A、2Bおよび2Cの不十分な機械的性質は、組成物中の固溶強化用窒素の不足に起因する。表4に見られるように、低い窒素合金2A、2Bおよび2Cについての低温熱処理の使用は問題を解決せず、比較例の合金が冷間加工されて1000MPa(145 ksi)を超過する降伏強度とした時に、降伏強度と伸長の組み合わせを減少させることにより、その問題を悪化させる。
比較例の合金に関するこの問題は、表5に示されるような窒素の追加によって解決され、それによって、上に概説された機械的性質のターゲットとされた組み合わせを達成する。より具体的には、少なくとも12%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも19%の伸長を備えた少なくとも1000MPa(145 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度が達成される。さらに、少なくとも10%、好ましくは少なくとも13%、より好ましくは少なくとも16%の伸長を備えた少なくとも1069MPa(155 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度が達成される。さらに、少なくとも8%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも12%の伸長を備えた少なくとも1138MPa(165 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度が達成される。
最終の機械的性質のターゲットとされた組み合わせの達成に加えて、実施例の合金は、さらにタイプ4e合金のためのANSI/NACE MR0175/ISO15156−3の必要条件を満たす。40%の冷間加工低減について、タイプ4e合金のためのANSI/NACE MR0175/ISO15156−3の必要条件は、0.2%のオフセット降伏強度が1240MPa(180 ksi)を超過せず、硬度がHRC 45を超過しないことを要求する。したがって、合金は、タイプ4d合金のためのよりコスト効率の良い組成を有利に持ちつつ、タイプ4eの機械的性質を有利に満足する。タイプ4dの合金は、最小で19.0wt%のCr、最小で45wt%のNi+Cr、および最小で6wt%のMo+Wを有することが要求され、タイプ4eの合金は、最小で14.5wt%のCr、最小で52wt%のNi+Cr、および最小で12wt%のMoを有することが要求される。すなわち、タイプ4eの合金はより多量のNi+Crおよびより多量のMo含有量を要求し、そのために本質的にタイプ4d合金に比較してタイプ4e合金のコストを増加させる。本発明の合金は、タイプ4e合金の力学的性質の必要条件を満たしつつ、タイプ4d合金の組成を有利に持っている。高強度およびよい耐蝕性が必要とされる油とガス会社は、改善された合金を使用することができるので、これは本質的な費用の優位性に帰着する。これは、浅井が現在枯渇したので、現在一般に開発されているHPHT(高圧高温)井戸には特に有益である。
合金が30および35%の冷間加工低減(cold-work reductions)を与えられる場合、タイプ4d合金がアニールされ、冷間加工された状態で4d合金が150 ksi(1034のMPa)最大の降伏強度および最大40 HRCの硬度を有することをANSI/NACE MR0175/ISO 15156−3が必要とするので、低温熱処理の結果の合金の高められた強さは、さらに重要である。さらに、ANSI/NACE MR0175/ISO 15156−3は、タイプ4e合金がアニールされ、40%冷間加工された状態で、180ksi(1034MPa)の最大降伏強度および最大45HRCの硬度を有することを必要とする。従って、合金はアニールされ、冷間加工された状態で要求される最大降伏強度と硬度より低い状態にあり、低温熱処理の結果として最大値を超える降伏強度を発現する。
表6および図2−4の次の追加の実施例は、さらに合金の有利な機械的性質を示す。次の例は0.03%未満の低い窒素分を有する比較例の合金6Aと、高い窒素分(0.15%)を有する実施例の合金6Bのサンプルについての、冷間加工のみと、冷間加工と熱処理をしたものの機械的性質を示す。
図2−4は、平面冷間ロールされた比較例の合金6Aおよび実施例の合金6Bの力学的性質の比較を、塩浴処理有りおよび塩浴処理なしで例証する。図2−4から理解することができるように、実施例の合金6Bは比較例の合金6Aと比較して、伸長の著しい減少なしで著しくより高い降伏強度およびより高い抗張力を与える。
微構造
実施例の合金の微構造はオーステナイトマトリックス、および油とガス産業の必要条件を満たす純度を有する。クリーンな微構造は、耐クラッキング性の物質の製造を保証するために特に重要であると考えられる。
合金から形成された物品が、上記のように冷間加工され、低温熱処理された後に、クリーンな微構造要求は決定される。クリーンな微構造は、冷間加工の方向に関して長さ方向で調べたときに、粒界に連続的な沈殿がなく、金属間相を有し、窒化物および炭化物が合計面積の1.0%を超過せず、σ相が合計面積の0.5%を超過しない微構造であると考えられる。クリーンな微構造を達成しないことは、連続的な粒界沈殿、過度の量の金属間相、窒化物、炭化物あるいはσ相に帰着し、それは合金の耐衝撃性と腐食の特性に悪影響を及ぼし、合金から形成された物品は、粒界腐食に対してより弱いかもしれない。
実施例の合金では塩浴処理の前に、およびその塩浴処理の後にクリーンさ要求を満たす微構造がある。クリーンさの要求を満たす微構造の例は図5および6に示される。より具体的には、図5および6は、およそ0.14%の窒素分を有し、熱間圧延されたプレートとして形成され、続いて熱処理および水冷却がされた実施例の合金を示す。図5の微構造は30分間1066°C(1950°F)で熱処理され、また図6の微構造は30分間1093°C(2000°F)で熱処理された。図6の微構造の平均粒度は約78ミクロンであると決定された。図5および6の微構造は本発明の合金の代表例である。
示されるように、連続的な沈殿のない粒界があり、金属間の相、窒化物および炭化物の合計面積は、合計で1.0%を超えず、またσ相の面積割合は0.5%を超えない。微構造の調査は、冷間加工の方向に関して長さ方向で得られた断面で行なわれた。合金微構造の調査は、最小30のフィールドでASTM E562に従って行なわれた。微構造には連続的な沈殿のない粒界があった。金属間相、窒化物および炭化物は合計面積で1.0%を超えなかった。σ相の合計面積は0.5%を超えなかった。
クリーンな微構造用の要求に対して否定的であり、延性と靱性を低減することのある、炭化物およびσ相の超過粒界沈殿の形成に、比較例の合金の低い窒素分は帰着すると信じられている。この問題は、溶解限度未満で多量の窒素の追加によって解決される。
図7−11は、比較例の合金7 Aおよび実施例の合金7Bを含む表7に示された組成物について平衡条件で存在すると予想される種々の相の計算された重量割合を示す。
図7および9に示されるように、均衡条件の下の溶融状態から合金7Aおよび7Bを冷やすと、単相のオーステナイトのガンマ相の形成に最初に帰着すると予想される。約980°C(1800°F)未満の温度で、不適当なσ相は安定し、650°C(1200°F)未満の温度で、不適当なラーベス相が安定する。図8および10に示されるように、少量の炭化物および窒化物、並びにp−相は、合金7Aおよび7Bの中でより低い温度で安定するようになる。
本発明は理論によって制限されないが、合金7Aと合金7Bの比較に基づいて、M6CとM23C6の相は合金7Bについて不安定であると信じられている。同様に、シグマ・ソルバスは、合金7Aでの約985°C(約1805°F)から、合金7Bでは960°C(1760°F)に有益に低下される。したがって、この平衡データに基づいて、合金7Bは炭化物とσ相の低減された沈殿に帰着する傾向があると期待される。
さらに、図12および13は合金7Aについての時間−温度−変換(TTT)および連続−冷却−変換(CCT)曲線を示し、図14および15は、合金7BのためのTTTおよびCCT曲線を示す。図12および13に示されるように、シグマノーズが合金7Aについては3.63時間(TTT)、および3.33時間(CCT)で存在すると計算され、合金7Bについては6.45時間(TTT)、および5.92時間(CCT)で存在すると計算された。したがって、合金7Aに対するシグマノーズと合金7Bに対するシグマノーズとの比較により、変換の温度および時間が図14および15に示される範囲未満であるようにコントロールされ、より高い窒素分がある合金7Bの組成物の使用により、σ相の回避が促進され、それによりクリーンな微構造に帰着すると予想されることを示す。
しかしながら、冷却中の合金の溶解限度を超過する窒素のレベルは、窒化物および/または炭窒化物の沈殿を促進する傾向があり、これは延性、靱性および二次加工適性の損失に帰着し、クリーンな微構造に対して否定的で有り、強化元素(モリブデン、タングステンおよびクロム)のマトリックスを奪い、そのために、合金の強さおよび耐蝕性が低減する。わずかに窒素の溶解限度を越えると、強化の程度はマトリックス粒の内のCr2N分散質に起因することがある。しかしながら、より高い量の窒素は、クリーンな微構造に否定的であり、延性と靱性の損失に寄与する粒界フィルム形成に寄与する。したがって、溶解限度より有意に大きい窒素の量は回避されるべきである。
耐蝕性
本出願の合金はサワーガスと油の雰囲気へのよい耐蝕性を有し、並びに硫黄を含むH2S−CO2−Cl環境での、ストレス腐蝕亀裂と水素脆化に対する抵抗性を持っている。合金は、好ましくは、溶接熱影響部の粒界腐食を引き起こす感受性に対する広い抵抗性を持っている。
以下の表8は、実施例の合金6Bのための腐食データを示し、塩浴処理折りの場合および塩浴処理のない場合について非常に低い腐食率を示し、よい耐蝕性を証拠づけている。
本発明は現在最も実際的なものであると考えられるものおよび好ましい実施態様に基づいた例示の目的で詳細に記述されており、そのような詳細はもっぱら上記の目的のために記載され、本発明は開示した実施態様に制限されない。そして、追加された請求項の精神およびその範囲内にある修正および等価物をカバーするように意図された。例えば、本発明が可能な程度まで、任意の実施態様の1つ以上の特徴を他の実施態様の1つ以上の特徴と結合することができることが理解されるべきである。

Claims (19)

  1. サワーガスと油の環境下で使用される固溶体ニッケルベースの合金であって、以下の物質を以下の重量パーセントで含む合金:
    クロム:最小21.0%と最大24.0%;
    鉄:最小17.0%と最大21.0%;
    モリブデン:最小6.5%と最大8.0%;
    銅:最小1.0%と最大2.5%;
    タングステン:最小0.1%と最大1.5%;
    溶解性窒素:最小0.08%と最大0.20%;
    マンガン:最大4.0%;
    シリコン:最大1.0%;
    炭素:最大0.015%;
    アルミニウム:最大0.5%;
    またニオブ、チタン、バナジウム、タンタルおよびジルコニウムの総量:最大0.45%;
    残部のニッケルと偶発的不純物。
  2. 最大のクロム含有率は23.5%である、請求項1記載の合金
  3. 最小のモリブデン含有率は6.8%である、請求項1または2記載の合金。
  4. 最大のモリブデン含有率は7.8%である、請求項1から3のうちのいずれか1項記載の合金。
  5. 最小の銅分は1.5%である、請求項1から4のうちのいずれか1項記載の合金。
  6. 最小のタングステン含有率は0.50%である、請求項1から5のうちのいずれか1項記載の合金。
  7. 最小の溶解性窒素分は0.10%である、請求項1から7のうちのいずれか1項記載の合金。
  8. 最大の溶解性窒素分は0.19%である、請求項1から8のうちのいずれか1項記載の合金。
  9. 最小7.6%までであるように、Mo+1/2Wの含有率がコントロールされる、請求項1から8のうちのいずれか1項記載の合金。
  10. 最大8.5%までであるように、 Mo+1/2Wの含有率はコントロールされる、請求項1から9のうちのいずれか1項記載の合金。
  11. 全体の窒素分は最大0.20%である、請求項1から10のうちのいずれか1項記載の合金。
  12. エージング後の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSba x Elba)であるΔ(YS x El)が、エージング後の降伏強度(YSaa)が少なくとも145 ksiである時、0よりも大きく、
    低温エージアビリティ特性を有する、請求項1から11のうちのいずれか1項記載の合金。
  13. 低温エージアビリティ特性が以下の以下の条件を満たす、請求項1から12のうちのいずれか1項記載の合金:
    Δ(YS x El)>600 −(YSaa−145)x20、ここでΔ(YS x El)は、エージング後の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSaa x Elaa)マイナス、エージング前の0.2%のオフセット降伏強度(ksi)掛ける伸び率%(YSba x Elba)である、
  14. 溶体化焼鈍され、次いで前もって定義した物品の寸法の最小20%に冷間加工された、請求項1から13のうちのいずれか1項記載の合金から形成されたビレットを提供すること;および
    5分から8時間の間で、468°−537°C(875°−999°F)で冷間加工された物品を熱処理することを含む、
    物品の製造方法。
  15. 冷間加工の方向に関して長さ方向で得られた断面上の微構造を調べた際に連続的な沈殿のない粒界を有する、冷間加工されてエージングされた微構造を有し、
    金属間相、窒化物および炭化物の合計面積は1.0%を超えず、σ相の面積は0.5%を超えない、
    請求項1から13のうちのいずれか1項記載の合金から形成された物品。
  16. 少なくとも1000のMPa(145 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度および少なくとも12%の伸長を有する、請求項15記載の物品。
  17. 少なくとも1069のMPa(155 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度および少なくとも10%の伸長を有する、請求項15記載の物品。
  18. 少なくとも1138のMPa(165 ksi)の0.2%のオフセット降伏強度および少なくとも8%の伸長を有する、請求項15記載の物品。
  19. サワーガスと油の環境下で使用される固溶体ニッケルベースの合金であって、以下の物質を以下の重量パーセントで含む合金:
    クロム:最小21.0%と最大23.5%;
    鉄:最小17.0%と最大21.0%;
    モリブデン:最小6.5%と最大8.0%;
    銅:最小1.5%と最大2.5%;
    タングステン:最小0.1%と最大1.5%;
    溶解性窒素:最小0.08%と最大0.20%;
    マンガン:最大4.0%;
    シリコン:最大1.0%;
    炭素:最大0.015%;
    アルミニウム:最大0.5%;
    またニオブ、チタン、バナジウム、タンタルおよびジルコニウムの総量:最大0.45%;
    残部のニッケルと偶発的不純物。
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