JP2022149679A - ニッケル基合金及びシームレス管 - Google Patents

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Abstract

【課題】合金成分として鉄を含むニッケル基合金であって、非酸化性酸環境における耐全面腐食性、塩化物イオン環境における耐局部腐食性、及び熱間加工性が良好なニッケル基合金、並びにこのニッケル基合金を備えるシームレス管を提供する。【解決手段】本発明は、C、Si、Mn、Fe、Cu、Sn、Cr、Mo及びNbを含有し、残部がNi及び不可避的不純物であり、下記式(1)及び(2)を満たすニッケル基合金である。式(1)及び(2)中、[Cr]、[Mo]、[Nb]及び[Sn]は、それぞれの成分の含有量(質量%)を表す。Xは、結晶粒度番号を表す。A=[Cr]+3[Mo]+3[Nb]≧55 ・・・(1)B=X-30[Sn]≧1.5 ・・・(2)【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル基合金及びシームレス管に関する。
金属製の各種部材には、使用環境に応じた耐食性が求められる。海底に設置される石油・ガス坑口設備に用いられる小径配管の場合、外面は海水と接触し、内面は、内部を流れる作動油、坑井を酸処理するための非酸化性酸等と接触し、内面と外面とで異なる腐食環境になる。この場合、外面は海水中の塩化物イオンにより不働態皮膜が破壊され、孔食及びすきま腐食といった局部腐食が問題となる。一方、内面は流体による腐食が問題となる。内部を流れる流体が作動油等の腐食性が低い場合は、外面における塩化物イオンによる局部腐食に抵抗力のあるオーステナイト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼等が適用できる。しかし、内部を流れる流体が非酸化性酸等の腐食性の高い流体の場合は、ステンレス鋼では不働態皮膜が破壊され、全面腐食速度が大きくなる。このため、UNS N06625、UNS N10276等のニッケル基合金が使用されることがある。
ニッケル基合金は、優れた耐食性と強度と有する材料であるが、多量のニッケル及び合金元素を含むため成分コストが高く、熱間加工性が悪い。特にシームレス管を製造する際の熱間押出加工において、表面欠陥が発生しやすく製造難易度が高い。そのため、製造コストの面から熱間加工性が良好な材料が求められる。
特許文献1には、銅とモリブデンとの添加等により、非酸化性酸環境における耐食性、及び熱間加工性に優れるニッケル基合金が記載されている。特許文献2には、REM添加量に対するCu、Cr、Mo、W及びNの添加量の調整等により、非酸化性酸環境における耐食性、及び熱間加工性に優れるニッケル基合金が記載されている。特許文献3では、耐粒界腐食性指数、耐孔食性指数及び粒界被覆率の制御等により、耐孔食性及び耐粒界腐食性に優れるニッケル基合金が記載されている。
特許第4390089号公報 特許第5780212号公報 特開2018-111846号公報
特許文献1、2に記載のニッケル基合金においては、塩化物イオンが含まれる環境での孔食及びすきま腐食といった局部腐食については考慮されていない。また、特許文献3に記載のニッケル基合金においては、非酸化性酸による全面耐食性については考慮されていない。また、UNS N06625は、多量のニッケルを含むことなどから高コストであり、熱間加工が難しい。本発明者は、低コスト化のため、UNS N06625からニッケル等を低減し、替わりに鉄を添加したニッケル基合金を溶製した。そして、溶製したニッケル基合金に対して、後述の実施例に記載の方法にて耐硫酸性(非酸化性酸環境における耐全面腐食性)、耐局部腐食性(塩化物イオン環境における耐局部腐食性)、及び熱間加工性の評価を行った。その結果、非酸化性酸環境における耐全面腐食性と塩化物イオン環境における耐局部腐食性とが著しく悪化することを確認した。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、合金成分として鉄を含むニッケル基合金であって、非酸化性酸環境における耐全面腐食性、塩化物イオン環境における耐局部腐食性、及び熱間加工性が良好なニッケル基合金、並びにこのニッケル基合金を備えるシームレス管を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、C:0.001質量%以上0.03質量%以下、Si:0.01質量%以上0.5質量%以下、Mn:0.1質量%以上0.5質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.01質量%以下、Fe:7.0質量%以上15.0質量%以下、Cu:0.8質量%以上3.0質量%以下、Sn:0.04質量%以上0.2質量%以下、Cr:20.0質量%以上25.0質量%以下、Mo:8.0質量%以上10.0質量%以下、及びNb:1.5質量%以上3.5質量%以下を含有し、残部がNi及び不可避的不純物であり、下記式(1)及び(2)を満たすニッケル基合金である。
A=[Cr]+3[Mo]+3[Nb]≧55 ・・・(1)
B=X-30[Sn]≧1.5 ・・・(2)
(式(1)及び(2)中、[Cr]、[Mo]、[Nb]及び[Sn]は、それぞれの成分の含有量(質量%)を表す。Xは、結晶粒度番号を表す。)
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該ニッケル基合金を備えるシームレス管である。
本発明によれば、合金成分として鉄を含むニッケル基合金であって、非酸化性酸環境における耐全面腐食性、塩化物イオン環境における耐局部腐食性、及び熱間加工性が良好なニッケル基合金、並びにこのニッケル基合金を備えるシームレス管を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るニッケル基合金及びシームレス管について詳説する。
[ニッケル基合金]
本発明の一実施形態に係るニッケル基合金は、特定の成分組成を有し且つ式(A)及び(B)を満たす。これにより、合金成分として鉄を含むニッケル基合金であって、非酸化性酸環境における耐全面腐食性、塩化物イオン環境における耐局部腐食性、及び熱間加工性が良好なものとなる。この理由は以下の通りである。
前述のように、非酸化性酸環境における全面腐食及び塩化物イオン環境における局部腐食は、不動態皮膜の破壊によって始まる。そこで、本発明者は、両環境において不働態皮膜の安定性及び保護性を強化することに着目し、前述したUNS N06625からニッケル等を低減し、替わりに鉄を添加したニッケル基合金に対し、熱間加工性を保持しながら耐食性を向上させる技術検討を行い、以下の知見を得た。
[1]銅及びスズを添加することで、非酸化性酸環境における耐全面腐食性が向上する。
[2]クロム、モリブデン及びニオブを添加することで、塩化物イオン環境における耐局部腐食性が向上する。各元素の含有量が式(1)を満足すれば塩化物イオン環境における良好な耐食性を示す。
A=[Cr]+3[Mo]+3[Nb]≧55 ・・・(1)
式(1)中、[Cr]、[Mo]及び[Nb]は、それぞれの成分の含有量(質量%)を表す。
[3]一方、スズの添加により粒界割れが促進され、熱間加工性が悪化する。スズの添加による熱間加工性の悪化は結晶粒径が微細なほど抑制され、式(2)を満足すれば良好な熱間加工性を示す。
B=X-30[Sn]≧1.5 ・・・(2)
以上のようなことから、銅、スズ、クロム、モリブデン及びニオブ等の含有量を所定範囲とし、式(1)及び(2)を満たすことを特定した当該ニッケル基合金においては、非酸化性酸環境及び塩化物イオン環境において安定性の優れる不動態皮膜が形成される結果、非酸化性酸環境における耐全面腐食性及び塩化物イオン環境における耐局部腐食性が良好になり、且つ熱間加工性も良好になると考えられる。
当該ニッケル基合金における各成分の含有量の数値範囲とその限定理由について説明する。
(C:0.001質量%以上0.03質量%以下)
C(炭素)は固溶強化元素であり、Nb(ニオブ)と炭化物を形成することで粒界をピン止めし、結晶粒の粗大化を抑制する。また、後述するニオブ炭窒化物等も形成する。このため、Cの含有量の下限は、0.001質量%であり、0.005質量%が好ましい。しかしながら、過剰にCが含有されている場合、Cr(クロム)との結合による粒界耐食性の低下を招く。このため、Cの含有量の上限は、0.03質量%であり、0.030質量%が好ましく、0.025質量%がより好ましく、0.020質量%がさらに好ましく、0.015質量%がよりさらに好ましい。
(Si:0.01質量%以上0.5質量%以下)
Si(ケイ素)は、脱酸作用に加えて耐酸化性を高めるために必要な元素である。このため、Siの含有量の下限は、0.01質量%であり、0.05質量%が好ましく、0.10質量%がより好ましい。しかしながら、過剰にSiが含有されている場合、延性など機械的特性の低下を招く。このため、Siの含有量の上限は、0.5質量%であり、0.050質量%が好ましく、0.4質量%がより好ましく、0.3質量%がさらに好ましい。
(Mn:0.1質量%以上0.5質量%以下)
Mn(マンガン)は、脱酸元素である。このため、Mnの含有量の下限は、0.1質量%であり、0.10質量%が好ましく、0.15質量%がより好ましい。しかしながら、過剰にMnが含有されている場合、S(硫黄)と結合することでMnSを形成し、耐局部腐食性を低下させる。このため、Mnの含有量の上限は、0.5質量%であり、0.50質量%が好ましく、0.4質量%がより好ましく、0.3質量%がさらに好ましい。
(P:0.03質量%以下)
P(リン)は、ニッケル基合金中に不可避的に含まれる元素であり、過剰に含有されていると熱間加工性が低下する。従って、Pの含有量の上限は、0.03質量%であり、0.030質量%が好ましく、0.025質量%がより好ましく、0.015質量%がさらに好ましい。一方、Pの含有量の下限は、0質量%であってもよく、0.001質量%又は0.005質量%であってもよい。
(S:0.01質量%以下)
S(硫黄)は、ニッケル基合金中に不可避的に含まれる元素であり、過剰に含有されていると熱間加工性、耐食性、耐孔食性等が低下する。従って、Sの含有量の上限は、0.01質量%であり、0.010質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましい。一方、Sの含有量の下限は、0質量%であってもよく、0.0001質量%であってもよい。
(Fe:7.0質量%以上15.0質量%以下)
Fe(鉄)は、ニッケル基合金の低コスト化や熱間加工性に貢献する。このため、Feの含有量の下限は、7.0質量%であり、7.5質量%が好ましく、8.0質量%がより好ましい。しかしながら、過剰にFeが含有されている場合、非酸化性酸環境等における耐食性の低下を招く。このため、Feの含有量の上限は、15.0質量%であり、14.0質量%が好ましい。
(Cu:0.8質量%以上3.0質量%以下)
Cu(銅)は、非酸化性酸環境における耐全面腐食性を向上させる効果がある。このため、Cuの含有量の下限は0.8質量%であり、0.80質量%が好ましく、1.0質量%がより好ましく、1.5質量%がさらに好ましい。しかしながら、過剰にCuが含有されている場合、熱間加工性の低下等を招く。従って、Cuの含有量の上限は、3.0質量%であり、3.00質量%が好ましい。
(Sn:0.04質量%以上0.2質量%以下)
Sn(スズ)は、非酸化性酸環境において不働態皮膜の安定性及び保護性を強化し、耐食性を向上させる元素である。このため、Snの含有量の下限は、0.04質量%であり、0.05質量%が好ましく、0.050質量%がより好ましい。しかしながら、過剰にSnが含有されている場合、粒界割れを引き起こし、熱間加工性を悪化させる。このため、Snの含有量の上限は、0.2質量%であり、0.200質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましい。
(Cr:20.0質量%以上25.0質量%以下)
Cr(クロム)は不働態皮膜を形成し、非酸化性酸環境における耐全面腐食性及び塩化物イオン環境における耐局部腐食性を向上させるための基本的な元素である。このため、Crの含有量の下限は、20.0質量%であり、21.0質量%が好ましい。しかしながら、過剰にCrが含有されている場合、溶接性、非酸化性酸環境における耐全面腐食性等を低下させる場合がある。このため、Crの含有量の上限は、25.0質量%であり、24.0質量%が好ましく、23.0質量%がより好ましい。
(Mo:8.0質量%以上10.0質量%以下)
Mo(モリブデン)は、非酸化性酸環境における耐全面腐食性及び塩化物イオン環境における耐局部腐食性を高める元素である。このため、Moの含有量の下限は、8.0質量%であり、8.3質量%が好ましく、8.5質量%がより好ましい。しかしながら、過剰にMoが含有されている場合、熱間加工性及び溶接性等を低下させ、コスト高の原因にもなる。このため、Moの含有量の上限は、10.0質量%であり、9.5質量%が好ましく、9.0質量%がより好ましい。
(Nb:1.5質量%以上3.5質量%以下)
Nb(ニオブ)は、C及びNと結合することでニオブ炭窒化物を形成し、耐粒界腐食性を高める効果等がある。形成されたニオブ炭窒化物は、熱間加工中の結晶粒粗大化を抑制し、熱間加工性の向上に寄与する。また、固溶Nbは、塩化物イオン環境における耐局部腐食性を向上させる効果がある。このため、Nbの含有量の下限は、1.5質量%であり、1.50質量%が好ましく、2.0質量%がより好ましく、2.5質量%がさらに好ましい。しかしながら、過剰にNbが含有されている場合、凝固偏析部での低融点相の生成及びニオブ炭化物の凝集による加工性低下を招く。このため、Nbの含有量の上限は、3.5質量%であり、3.50質量%が好ましく、3.1質量%がより好ましい。
(Ni及び不可避的不純物)
当該ニッケル基合金を構成する成分組成の基本成分は上記のとおりであり、残部成分はNi(ニッケル)及び不可避的不純物である。不可避的不純物は、合金の原料であるスクラップ及び鉱石等に含まれる元素、製造工程及び製造環境から混入する元素等であって、本実施形態のニッケル基合金に悪影響を与えない範囲で許容される元素である。不可避的不純物は、例えば、脱酸目的で添加されたAl、Mg、脱硫目的で添加されたCa、原料等から混入するO、N等が挙げられる。
当該ニッケル基合金におけるNiの含有量の上限としては、60質量%が好ましく、57.9質量%がより好ましく、57.5質量%がさらに好ましく、57.0質量%がよりさらに好ましく、55.0質量%又は52.0質量%がよりさらに好ましい場合もある。Niの含有量が上記上限以下であることで、低コスト化を図ることなどができる。一方、非酸化性酸環境における耐全面腐食性及び塩化物イオン環境における耐局部腐食性等をより高めるなどの点からは、Niの含有量の下限は、40質量%が好ましく、45質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。
当該ニッケル基合金は、下記式(1)を満たす。
A=[Cr]+3[Mo]+3[Nb]≧55 ・・・(1)
式(1)中、[Cr]、[Mo]及び[Nb]は、それぞれの成分の含有量(質量%)を表す。
Aは、塩化物イオン環境における耐局部腐食性の指標である。Cr、Mo及びNbは塩化物環境における耐局部腐食性を向上させる元素であり、Aが55以上であれば良好な耐局部腐食性を有する。Aの下限は、55.0が好ましく、55.5がより好ましい。一方、Aの上限としては、60が好ましく、59がより好ましく、58がさらに好ましい。
当該ニッケル基合金は、下記式(2)を満たす。
B=X-30[Sn]≧1.5 ・・・(2)
式(2)中、[Sn]は、Snの含有量(質量%)を表す。Xは、結晶粒度番号を表す。)
Bは熱間加工性の指標である。Bが1.5以上であれば、粒界割れが生じ難く、良好な熱間加工性を有する。熱間加工性をより高める点からは、Bの下限は、2.0が好ましく、3.0がより好ましく、4.0がさらに好ましい。一方、Bの上限としては、例えば、8.0、7.0又は6.0であってよい。
結晶粒度番号(X)は、JIS G0551:2013に記載の比較法に準拠し、無作為に選択された4視野に基づく値である。
当該ニッケル基合金の結晶粒度番号の下限は、3.0が好ましく、3.5がより好ましく、4.0がさらに好ましく、4.5がよりさらに好ましく、5.0がよりさらに好ましく、5.5がよりさらに好ましい。結晶粒度番号が上記下限以上であることで、熱間加工性がより良好なものとなる。一方、この結晶粒度番号の上限は、例えば8.0であってもよく、7.5又は7.0であってもよい。なお、当該ニッケル基合金の結晶粒度(結晶粒度番号)は、例えば熱処理を施すときの温度(熱処理温度)などによって制御することができる。通常、熱処理温度を低くすると、結晶粒度番号は大きくなる(結晶粒は小さくなる)傾向にある。
(製造方法)
当該ニッケル基合金の製造方法は特に限定されるものではない。当該ニッケル基合金は、通常、上記の成分組成を有するように溶製することで得ることができる。溶製は、電気炉、真空誘導溶解炉等により行うことができる。当該製造方法においては、熱間鍛造処理、熱処理等の従来公知の各種処理を施してよい。溶製されたニッケル基合金は、例えば、造塊法によりインゴットに製造されてもよいし、連続鋳造法により鋳片(スラブ、ブルーム又はビレット)に製造されてもよい。
(形状等)
当該ニッケル基合金の形状としては、特に限定されず、板状、棒状、管状等であってよいが、管状であることが好ましい。すなわち、当該ニッケル基合金は、管状材として好適に用いられる。管状材としては、シームレス管、電縫管、UOE管、スパイラル管等の溶接管、鍛接管等が挙げられる。
管状材は、例えば、以下の方法で製造される。製造されたインゴット、スラブ、ブルーム等に対して熱間加工等を施してビレットを製造する。製造されたビレットを熱間加工等することにより管状材が得られる。熱間加工は、例えばマンネスマン法による穿孔圧延を挙げることができる。熱間加工として熱間押出を実施してもよいし、熱間鍛造を実施してもよい。また、板状材は、例えば製造されたインゴット、スラブ等に対して熱間加工及び/又は冷間加工等を施して得ることができる。
[シームレス管]
本発明の一実施形態に係るシームレス管は、本発明の一実施形態に係るニッケル基合金を備える。当該シームレス管は、本発明の一実施形態に係るニッケル基合金から形成されたシームレス管であってよい。
当該シームレス管は、本発明の一実施形態に係るニッケル基合金が用いられているため、溶接部を起点とする腐食損傷を抑制することができる。このため、当該シームレス管は、耐食性が要求される環境で好適に用いることができる。また、シームレス管の製造法の1つである熱間押出により、中空ビレットから管形状への成形が容易である。
(用途)
本発明の一実施形態に係るニッケル基合金は、非酸化性酸環境における耐全面腐食性、塩化物イオン環境における耐局部腐食性、及び熱間加工性が良好である。また、このようなニッケル基合金から形成されるシームレス管は、非酸化性酸環境における耐全面腐食性、及び塩化物イオン環境における耐局部腐食性が良好である。従って、当該ニッケル基合金及びシームレス管は、非酸化性酸環境における耐全面腐食性と、塩化物イオン環境における耐局部腐食性との双方が要求される用途に特に好適に用いることができる。
具体的には、本発明の一実施形態に係るニッケル基合金及びシームレス管は、海底に設置される石油・ガス坑口設備に用いられる配管、特に小径配管として好適に用いることができる。なお、小径配管の外径としては、例えば5mm以上15mm以下である。その他、本発明の一実施形態に係るニッケル基合金及びシームレス管は、例えば熱交換器、化学プラント配管、計装配管、煙突、排煙脱硫装置、排ガス処理設備等の材料として用いることもできる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例及び比較例]No.1~10
真空誘導溶解炉(VIF)を用いて、表1に記載のNo.1~10の各成分組成(残部はNi及び不可避的不純物)の20kg円柱状インゴットを作成した。インゴットを1250℃で24時間熱処理し、1250℃~950℃の温度域で熱間鍛造後、幅80mm厚さ20mm長さ250mmのサイズに切断した。その後、表1に記載の熱処理温度で5分間熱処理し、水冷することにより、板状材(ニッケル基合金)を得た。得られた板状材から以下の各試験片を作成した。結晶粒度番号測定用に幅10mm厚さ2mm長さ10mmの試験片を作成した。耐硫酸性試験(非酸化性酸環境における耐全面腐食性試験)用及び耐局部腐食性試験(塩化物イオン環境における耐局部腐食性試験)用に幅20mm厚さ2mm長さ30mmの試験片を作成した。また、熱間加工性試験用に直径6mm長さ15mmの平行部を有する引張試験片を作成した。
[結晶粒度番号測定]
結晶粒度番号測定用の試験片を幅及び長さの方向が観察できるように樹脂埋めを行い、表面が観察できるように鏡面研磨し、エッチングにて組織を現出させた。組織は光学顕微鏡で観察し、上記した方法にて結晶粒度番号を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、表1には、式(1)におけるAの値及び式(2)におけるBの値もあわせて示している。
[耐硫酸性試験(非酸化性酸環境における耐全面腐食性試験)]
耐硫酸性試験用の試験片の全面に対してSiC#600での湿式研磨及び超音波洗浄を行った後、試験片の質量を測定した。その後、試験片を80℃20質量%の硫酸水溶液に24時間浸漬した。浸漬後の試験片の質量を測定し、試験前の試験片の質量から試験後の試験片の質量を差し引いて、腐食減量を求めた。求めた腐食減量、試験片の表面積及び浸漬時間に基づいて、腐食速度(g/m/24hr)を求めた。腐食速度が0.100g/m/24hr未満の場合を耐硫酸性が良好(○)と判定し、腐食速度が0.100g/m/24hr以上の場合を耐硫酸性が不良(×)と判定した。腐食速度及び判定結果を表2に示す。
[耐局部腐食性試験(塩化物イオン環境における耐局部腐食性試験)]
耐局部腐食性試験用の試験片の全面に対してSiC#600での湿式研磨及び超音波洗浄を行った。その後、試験片を85℃6質量%FeCl+1質量%HCl水溶液に24時間浸漬した。浸漬後の試験片の表面を純水で洗浄し、光学顕微鏡を用いて腐食部の腐食深さを測定した。最大腐食深さが25μm未満の孔食しか確認されない場合を耐局部腐食性が良好(〇)と判定し、最大腐食深さが25μm以上であった場合を耐局部腐食性が不良(×)と判定した。判定結果を表2に示す。
[熱間加工性試験]
熱加工再現試験装置を用いて、熱間加工性試験用の引張試験片を所定の温度に3分間保持し、試験速度15mm/sec.で引張試験を行い、絞り値(%)を求めた。保持温度は1080℃±20℃の範囲で行った。絞り値が80%以上の場合を熱間加工性が良好(○)と判定し、絞り値が80%未満の場合を熱間加工性が不良(×)と判定した。絞り値及び判定結果を表2に示す。
Figure 2022149679000001
Figure 2022149679000002
表1、2に示されるように、No.1~5の各実施例においては、耐硫酸性(非酸化性酸環境における耐全面腐食性)、耐局部腐食性(塩化物イオン環境における耐局部腐食性)、及び熱間加工性のいずれもが良好な結果となった。
一方、Cu及びSn、又はCuの含有量が少ないNo.6~8の各比較例においては、耐硫酸性(非酸化性酸環境における耐全面腐食性)が劣る結果となった。Nbの含有量等が少ないことなどでAの値が小さい(式(1)を満たさない)No.6~9の各比較例においては、耐局部腐食性(塩化物イオン環境における耐局部腐食性)が劣る結果となった。スズの含有量と結晶粒度番号との関係からBの値が小さい(式(2)を満たさない)No.9、10の各比較例においては、熱間加工性が劣る結果となった。
本発明のニッケル基合金は、海底に設置される石油・ガス坑口設備に用いられる配管、及びその他の各種耐腐食性が求められる用途における材料として用いることができる。

Claims (2)

  1. C:0.001質量%以上0.03質量%以下、
    Si:0.01質量%以上0.5質量%以下、
    Mn:0.1質量%以上0.5質量%以下、
    P:0.03質量%以下、
    S:0.01質量%以下、
    Fe:7.0質量%以上15.0質量%以下、
    Cu:0.8質量%以上3.0質量%以下、
    Sn:0.04質量%以上0.2質量%以下、
    Cr:20.0質量%以上25.0質量%以下、
    Mo:8.0質量%以上10.0質量%以下、及び
    Nb:1.5質量%以上3.5質量%以下
    を含有し、残部がNi及び不可避的不純物であり、
    下記式(1)及び(2)を満たすニッケル基合金。
    A=[Cr]+3[Mo]+3[Nb]≧55 ・・・(1)
    B=X-30[Sn]≧1.5 ・・・(2)
    (式(1)及び(2)中、[Cr]、[Mo]、[Nb]及び[Sn]は、それぞれの成分の含有量(質量%)を表す。Xは、結晶粒度番号を表す。)
  2. 請求項1に記載のニッケル基合金を備えるシームレス管。
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