JP2017519989A - セラミド及びcvd診断におけるその使用 - Google Patents

セラミド及びcvd診断におけるその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、生体サンプル中の少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドの濃度を測定し、その濃度をコントロールと比較することにより、CV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を予測する方法及びその使用を特に提供する。少なくとも1つのA群セラミドの濃度が低下しており、且つ少なくとも1つのB群セラミドの濃度が増加しているという所見は、対象は、1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていることを示唆する。また、新規に識別されたセラミド分子のサブセット、その標識されたバージョン、並びにCV合併症の予測及び/又は診断で用いるための、それらを含むキット及び組成物も提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年6月16日付け出願の米国仮特許出願第62/012,543号、及び2015年4月2日付け出願の米国特許出願第14/677,595号に対する優先権及びその利益を主張し、その全内容を本明細書において参照により組み込む。
本出願は、心血管系(CV)合併症、例えばAMI(急性心筋梗塞)、ACS(急性冠状動脈症候群)、脳卒中、又はCV死等を発症するリスクが高まっている対象を識別する際の、セラミドバイオマーカー及びその使用と一般的に関連する。
現行のCVマーカーであるLDL−C、HDL−C、及び総コレステロールは、CV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等に対するリスクが上昇している冠動脈疾患(CAD)患者、又は対象を、より安定な疾患を有する患者から識別することができない。
心筋梗塞という用語は、病理学的には、潅流需要の増加又は血流の減少により引き起こされ得る、遷延性の虚血に起因した心筋細胞の死を指す。該イベントは、それが突然且つ重篤な場合には「急性」と呼ばれる。心臓バイオマーカー(クレアチニンキナーゼMB[CK−MB]、トロポニン、及びミオグロビン)及び心電図(ECG)所見の変化に加えて、病歴及び身体検査から臨床的に強く疑われると、AMIの診断が下される。2次元心エコー検査等のイメージング技術も、心筋機能不全を実証する際に有用である。しかし、現行のCVマーカーであるLDL−C、HDL−C、及び総コレステロールによる識別は、心組織の損傷がすでに生じてしまったときに限定される。これらのマーカーは、CVD合併症が生ずる可能性を予測することができない。
急性冠状動脈症候群(ACS)は、心臓への血流が突然低下することによりもたらされたあらゆる状態について用いられる用語である。急性冠状動脈症候群の第1の兆候は、心停止と呼ばれる心臓の突然の停止であり得る。急性冠状動脈症候群は、救急処置室又は病院において多くの場合診断されるが、この場合、心組織の損傷又は心臓の電気活動における問題に関するエビデンスを提供する、AMIと同じ心臓バイオマーカー又は心電図(ECG)が用いられる。
脳卒中は、脳組織から酸素及び養分を奪う、脳への血液供給障害に起因する脳機能の喪失である。数分以内に、脳細胞は死滅し始める。脳卒中は、動脈の閉塞(虚血性脳卒中)、又は血管漏出若しくは血管破裂(出血性脳卒中)が原因となり得る。人によっては、脳を通過する血流の一時的な途絶を経験する場合がある(一過性虚血発作、又はTIA)。脳卒中は、脳イメージング及び物理試験の実施により、通常診断される。
突然心臓死(SCD)は、突発性心停止(SCA)とも呼ばれ、心機能の喪失により引き起こされる突然の予期せぬ死である。突発性心停止は、心臓発作(心筋梗塞)ではない。心臓発作は、心臓が酸素に富んだ十分な血液を受け入れるのを阻止するような閉塞が、冠動脈の1つ又は複数において存在するときに生ずる。対照的に、突発性心停止は、心臓に向かう電気系に不具合が生じ、非常に不規則な状態に突然陥ったときに生ずる。心拍動は、危険なほどに速くなる。心室細動が生ずる場合もあり、血液が身体に送達されない。最初の数分間における最大の懸念として、脳への血流が急激に低下するため、ヒトは意識を失うことが挙げられる。緊急治療が速やかに開始されなければ死に至る。突発性心停止は前触れもなく生じ、生じている間に、メディカルテストにより診断されるのは稀である。一方、SCAは、ヒトの突発性の虚脱に関するその他の原因を除外することにより、多くの場合、それが生じた後に診断される。
AMI、ACS、脳卒中、及び突然心臓死は、急性段階で診断されるが、予測マーカーは入手不能である。これらのイベントに潜むリスク因子として、例えば年齢、低脂血症、高血圧症、喫煙、糖尿病、CAD、又は過去の心臓発作が挙げられる。イベントを予測し得る診断検査は存在しないものの、心血管系疾患は、全世界における主たる死亡原因である。更に、CVDは、その他のあらゆる疾患群よりも大きな社会的負担となっている。CVDの診断で用いられる試験と同様の試験が、イベントの予測で利用される。今日、最も革新的なアプローチは、LDL−C、HDL−C、Lp(a)、Lp−PLA2(PLAC試験)、又はCRPの利用である。しかし、掲載する脂質ベースのマーカー(LDL−C、HDL−C、Lp(a)、Lp−PLA2(PLAC試験))のいずれも、医師にとって階層化の一助となり得るような、臨床的に有用な予兆情報を提供しない。CRPは、研究現場において有望であるが、しかし非特異的であることが証明されており(CRPは急性期の反応物質であり、多くの異なる刺激に対して反応する可能性があり、極めて変わりやすい試験結果をもたらす)、従って、臨床用途でCRP値を解釈するのは困難である。CV合併症、例えばAMI(急性心筋梗塞)、ACS(急性冠状動脈症候群)、脳卒中、及びCV死等を予測し得る診断検査に対して、未だ満たされない必要性が存在する。
セラミドに基づくリスク階層化により、今日のその他の脂質ベースのバイオマーカーと比較して、そのいずれにも勝るp値が得られる。更に、血漿セラミドのレベルは、特定の脂質低下治療(例えば、スタチン等)の影響を受ける可能性があり、従ってセラミドマーカーは、正確で実行可能なリスク階層化を実現する.
スタチン治療を受けているCAD患者、又はスタチン治療を受けていない同患者におけるCVの転帰を予測すること(Zora Biosciences社特許出願国際公開第2013068373号及び同第2013068374号)、又は高リスクCAD患者を識別すること、又は対象がCV合併症を発症するリスクを有するかどうかを予測すること(Zora Biosciences社特許出願米国特許第13/695,766号及び同第13/805,319)を目的として、特定のセラミドを含む脂質分子の大きな群、及び2つの脂質分子から計算される比が識別された。
しかし、CV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症する患者のリスクを予測する方法について、その改善の必要性がなおも存在する。
本出願は、セラミドの構造に基づきセラミドの組み合わせを選択し、これを使用して、AMI、ACS、脳卒中、及びCV死を含むCVD/CAD関連合併症を予測するための独自のルールについて開示する。このようなセラミドマーカーは、従って高リスク冠動脈疾患患者を識別及び治療する手段を提供する。このような高感度で特異的なセラミドマーカーは、CVD/CADの転帰を予測する臨床用途の現行マーカーと比較して、診断及び予知における優れた価値を示すために、特に試験された。新たに規定されたルールに基づくセラミドバイオマーカーの組み合わせを用いれば、早期介入、症状発現及び罹患の抑制、並びにCVDと関連した疾病率/死亡率の減少が促進される。従って、本明細書で記載及び主張するセラミドマーカーの組み合わせにより、重大なCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクを有する患者のために、治療、薬物介入、及びフォローアップが個別に策定できるようになる。
この新規に識別されたルールによれば、組み合わせたときに(濃度の増減に基づく)、CV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクが増加する特定のセラミドが、セラミドの構造及びその関連性に基づき異なる群に分類された。従って、特定の実施形態では、方法は、少なくとも1つの式(I)のセラミド(A群セラミド)、及び少なくとも1つの式(II)のセラミド(B群セラミド)の濃度を、対象から得られた生体サンプル中で測定するステップを含む。
少なくとも1つの式(I)のセラミドの濃度低下が、少なくとも1つの式(II)のセラミドの濃度増加と組み合わさったとき、それはCVD合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症する対象のリスク増加と関連する。
式(I)のセラミドは下記の構造を有する。
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
式(II)のセラミドは下記の構造を有する。
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
1つの実施形態では、対象が1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法は、a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのA群セラミドの濃度を測定するステップ、b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのB群セラミドの濃度を測定するステップ、c)前記少なくとも1つのA群セラミドの濃度、及び前記少なくとも1つのB群セラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップ、並びにd)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つのA群セラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つのB群セラミドの濃度が増加している場合には、前記対象は1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていると判定するステップを含む。特定の実施形態では、方法は、少なくとも1つの式I及びIIのセラミドの濃度を測定する前に、少なくとも1つの重水素標識された式Iのセラミド及び少なくとも1つの重水素標識された式IIのセラミドを含む生体サンプルでスパイクするステップを更に含む。
1つの実施形態では、式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。別の実施形態では、式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度、並びに式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。
別の態様は、ヒト血液サンプル中に存在することがこれまで知られていなかったA群セラミドのサブセット、及び/又は式Bセラミドのサブセット、及び対象が、1つ又は複数のCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法でのそれらの使用と関連する。従って、特定の実施形態では、方法は、対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式(III)のセラミド(C群セラミド)、及び少なくとも1つの式(IV)のセラミド(D群セラミド)の濃度を測定するステップを含む。
少なくとも1つの式(III)のセラミドの濃度が低下し、それが少なくとも1つの式(IV)のセラミドの濃度の増加と組み合わさったとき、それは対象がCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクの増加と関係する。
式(III)のセラミドは、下記の構造を有する。
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
式(IV)のセラミドは、下記の構造を有する。
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
1つの実施形態では、対象が1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法は、a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのC群セラミドの濃度を測定するステップ、b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのD群セラミドの濃度を測定するステップ、c)前記少なくとも1つのC群セラミドの濃度、及び前記少なくとも1つのD群セラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップ、並びにd)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つのC群セラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つのD群セラミドの濃度が増加している場合には、前記対象は1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていると判定するステップを含む。特定の実施形態では、方法は、少なくとも1つの式III及びIVのセラミドの濃度を測定する前に、少なくとも1つの重水素標識された式IIIのセラミド及び少なくとも1つの重水素標識された式IVのセラミドを含む生体サンプルでスパイクするステップを更に含む。
特定の実施形態では、前記少なくとも1つの式(I)のセラミド及び少なくとも1つの式(II)のセラミドの濃度、又は前記少なくとも1つの式(III)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(IV)のセラミドの濃度が、Z=(式Iのセラミド)a/(式IIのセラミド)b、又はZ=(式IIIのセラミド)a/(式IVのセラミド)bの式より求められ、式中、a、b∈Rである。
別の態様は、対象において、CVD及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ若しくは複数に対する治療の有効性を評価する方法に関し、同方法は、a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度を測定するステップ、b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度を測定するステップ、c)前記少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度、及び前記少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度を、コントロールサンプルと比較するステップ、並びにd)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度が等しい、又は増加しており、且つ前記少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度が等しい、又は低下している場合には、治療は有効であると判定するステップを含む。
特定の実施形態では、対象のアテローム性動脈硬化症、或いはCVD及び/又はその合併症のうち、1つ若しくは複数に対する治療の有効性を評価する方法は、測定するステップの後に、測定するステップで得られた少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドの濃度に基づき、対象においてすでに実施されている治療を変更、補充、又はそのまま継続するステップを更に含み得る。
本方法の1つの実施形態では、式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。別の実施形態では、式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度、並びに式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。
なおも別の態様は、対象において、CVD及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ若しくは複数について、適切な治療を選択する方法に関し、同方法は、a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度を測定するステップ、b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度を測定するステップ、c)前記少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度、及び前記少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度を、コントロールサンプルと比較するステップ、並びにd)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度が低下しおり、且つ前記少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度が増加している場合には、前記対象が、治療を必要とする、又はすでに実施されている治療の変更若しくは補充を必要とすると判定するステップを含む。
本方法の1つの実施形態では、式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。別の実施形態では、式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度、並びに式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。
1つの実施形態では、治療はその有効性が評価され、又は本明細書で記載及び主張する方法に基づき、必要に応じて選択されるが、その治療は脂質調節治療(例えば、スタチン又は本出願で別途記載されているその他の脂質降下薬)である。別の実施形態では、方法は、ステップ(d)で必要であると判定された対象に治療を実施するステップを更に含む。
なおも別の態様は、対象において、CVD及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ若しくは複数を治療する、又は予防する方法に関し、同方法は、治療上有効用量の薬物を対象に投与するステップを含み、この場合、薬物はスタチン、スタチン以外のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、ナイアシン(ニコチン酸)、コレステロール吸収抑制剤、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)、胆汁酸封鎖剤、フィブラート、植物ステロール、及びPCSK9阻害剤より選択される別の脂質降下薬、又は小分子、抗体、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、及び天然の脂質若しくは修飾された脂質より選択される脂質/脂質濃度比のモジュレーターであり、またこの場合、薬物を投与する前に、コントロールサンプルと比較して、少なくとも1つのA群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミド)の濃度の低下、及び少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのD群セラミド)の濃度の増加に基づき、対象は、CVD合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等に罹患している、又はこれらを発症するリスクが高いものとして識別される。
生体サンプル中のセラミドの濃度は、任意の現在利用可能な技法又はその後に開発された技術を用いて測定することができる。特定の実施形態では、セラミドの濃度は、マススペクトロメトリーを用いて測定される。特定の実施形態では、マススペクトロメトリー装置は、直接サンプル注入法又は高性能分離法と連結している。
対象から得られた生体サンプル及びコントロールサンプルは、好ましくは血液サンプル、より好ましくは血漿サンプル、又は好ましくは血清サンプルである。特定の実施形態では、血液サンプルは、フィルター上で乾燥させた血液スポットである。また、血液、血漿、又は血清の分画、例えばその脂質分画である場合もある。従って、特定の実施形態では、方法は、A、B、C、及び/又はD群セラミドの濃度を測定する前に、生体サンプルから脂質を抽出する更なるステップを含む。或いは、対象から得られたサンプル及びコントロールサンプルは、いずれも組織サンプル、例えば頸動脈組織等の動脈組織、又は頸動脈プラーク物質等の動脈プラーク物質であってもよい。
なおも別の態様は、CV合併症を予測するための、又は本明細書に開示の任意の方法を実施するための組成物又はキットである。特定の実施形態では、組成物又はキットは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式Iのセラミド、及び/又は少なくとも1つの式(II)のセラミドを含む。1つの実施形態では、キットは、同位体(例えば重水素)標識された式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)を含む。別の実施形態では、キットは、同位体(例えば重水素)標識された式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)、並びに同位体(例えば重水素)標識された式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)を含む。
別の実施形態は、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式(III)のセラミド、及び/又は少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式(IV)のセラミドを含む組成物又はキットと関連する。
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、同図面は、特定の実施形態について説明し、また文書による説明と共に、本明細書に開示の組成物及び方法の特定の原理について説明する役割を果たす。
スチューデントt検定によるp値が最低である、A群セラミド種10例の相対的な変化/差異の平均(コントロール群の平均濃度で割り算した、症例群とコントロール群との差異の平均)を示す図である。 スチューデントt検定によるp値が最低である、B群セラミド種10例の相対的な変化/差異の平均(コントロール群の平均濃度で割り算した、症例群とコントロール群との差異の平均)を示す図である。 A群セラミド又はB群セラミドのいずれにも該当しないセラミド種6例の相対的な変化/差異の平均(コントロール群の平均濃度で割り算した、症例群とコントロール群との差異の平均)を示す図である。 本発明のいくつかの実施形態に基づくシステムの概略図である。特に、この図は、開示されるシステム及び方法に基づくコンピューターシステム106を導入する際に利用可能である、様々なハードウェア、ソフトウェア、及びその他のリソースについて説明する。
これ以降に、様々な代表的な実施形態を詳細に参照しながら、その事例を添付図面に示すと共に、それに続く「発明を実施するための形態」で議論する。下記の「発明を実施するための形態」は、読者が、本発明の特定の実施形態、特徴、及び態様の詳細について、より深く理解できるように提示されるものと理解され、本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
1.略語
別途明記しない限り、本出願で用いられる略語は、下記の意味を有する:LDL−C:低密度リポタンパク質コレステロール;HDL−C:高密度リポタンパク質コレステロール;CVD:心血管系疾患;CV:心血管系;CAD:冠動脈疾患;IVUS:血管内超音波検査;NIRS:近赤外分光法;OCT:光干渉断層撮影法;CABG:冠動脈バイパス術;MS:マススペクトロメトリー;OR:オッズ比;SD:標準偏差;AUC:曲線下面積;Sens:感度;Spec:特異性;MRC%:相対変化の平均;p−val:P値;q−val:及びQ値;Pr(>χ):χ二乗;ICD−10:疾病及び関連保健問題の国際統計分類、改訂第10版。
2.定義
本発明がより容易に理解され得るように、特定の用語について最初に定義する。追加の定義は、「発明を実施するための形態」全体を通じて定める。
用語「対象」、「宿主」、「患者」、及び「個体」は、本明細書では診断又は治療するのが望ましいあらゆる哺乳動物の対象、特にヒトを指すのに交換可能に用いられる。対象は、狭心症、心筋梗塞、又は脳卒中等の心血管系疾患イベントに、これまでに罹患している可能性がある。CVDは、アテローム性動脈硬化症の結果である場合もあれば、そうでない場合もある。又は、対象は、過去にCVDの兆候を有さない健常者である場合もある。
冠血管疾患/心血管系疾患(CVD)は、当技術分野における一般意味を有し、CADを含む、心臓、心臓弁、血液、及び身体の脈管構造に影響を及ぼす非常に多くの状態を分類するのに用いられる。本開示では、CVD及びCADという用語は、交換可能に利用可能である。心血管系疾患として、内皮細胞機能不全、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、高血圧症、脳血管性疾患、脳卒中、一過性虚血発作、深部静脈血栓、末梢動脈疾患、心筋症、不整脈、大動脈弁狭窄症、及び動脈瘤が挙げられる。かかる疾患は、多くの場合、アテローム性動脈硬化症と関係する。本発明の好ましい実施形態では、心血管系疾患は、アテローム性動脈硬化症と関連した心血管系疾患である。
本明細書で用いる場合、用語「コンピューター実施型の方法」とは、その目的を実現するために機械又は装置を利用する方法を意味する。
本明細書で用いる場合、用語「プロセッサー」とは、指示を解釈及び実行する能力を有するデバイスを意味する。特に、プロセッサーは、インプットデータを受け入れ、該当するアウトプットデータを提供する論理的回路構成を採用する。プロセッサーは、ネットワークを介して相互にやり取りすることができる。
本出願で用いる場合、「A群セラミド」、「A群のセラミド」等は、式(I)のセラミドを意味する。
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
本出願で用いる場合、「B群セラミド」、「B群のセラミド」等は、式(II)のセラミドを意味する。
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
本出願で用いる場合、「C群セラミド」、「C群のセラミド」等は、式(III)のセラミドを意味する。
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
本出願で用いる場合、「D群セラミド」、「D群のセラミド」等は、式(IV)のセラミドを意味する。
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
本明細書で用いる場合、本発明による「脂質降下薬」は、好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、ナイアシン(ニコチン酸)、コレステロール吸収抑制剤、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤、胆汁酸封鎖剤、フィブラート、植物ステロール、又はPCSK9阻害剤である。
本明細書で用いる場合、「コレステロール吸収抑制剤」は、好ましくはエゼチミブ又はSCH−48461であり、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤は、好ましくはエバセトラピブ、アナセトラピブ、又はダルセトラピブであり、胆汁酸封鎖剤は、好ましくはコレセベラム、コレスチラミン、又はコレスチポールであり、フィブラートは、好ましくはフェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、又はベザフィブラートであり、またPCSK9阻害剤は、PCSK9特異的抗体、siRNA、及びペプチド模倣体から選択される。
3.セラミドの構造及び命名法
セラミド分子は、スフィンゴイド塩基(SB)及び脂肪酸(FA)鎖から構成される。1つの代表的なセラミド分子の構造は、下記のように表される。
Figure 2017519989
このCer(d18:1/18:0)脂質は、B群セラミドであり、式中、R1は、炭素原子15個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子17個を有する飽和アルキル鎖である。
セラミドの命名法は、SBに対応する第1の番号の対及びFAに対応する第2の番号の対として一般的に表される。例えば、上記Cer(d18:1/18:0)分子では、第1の番号の対(d18:1)は、SBを意味し、また第2の番号の対(18:0)はFAを意味する。SB及びFAの命名法では、各対の最初の数字はSB又はFA鎖内の炭素原子の数を意味し、一方2番目の数字は、SB又はFA鎖の炭素−炭素二重結合の数を意味する。従って、Cer(d18:1/18:0)では、SBは、炭素原子18個及び炭素−炭素二重結合1個を有し、一方FAは、炭素原子18個を有するが、炭素−炭素二重結合を含まない。FAは、構造内に二重結合を有するかどうかに応じて飽和又は不飽和であり得る。例えば、FA16:1は、炭素原子16個及び炭素−炭素二重結合1個を有する不飽和FAであり、一方FA18:0は、炭素原子18個を有し、炭素−炭素二重結合を含まない飽和FAである。
更なる事例を挙げるならば、Cer(d18:2/23:0)の構造は以下の通りである。
Figure 2017519989
この脂質はA群セラミドであり、式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子22個を有する飽和アルキル鎖である。
更なる事例を挙げるならば、Cer(d16:1/22:1)の構造は以下の通りである。
Figure 2017519989
この脂質はB群セラミドであり、式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21個を有するモノ不飽和アルキル鎖である。
新規セラミド合成では、SBに対する第1の二重結合は、炭素4において形成され、SBd16:1及びd18:1を形成する。SBの第2の二重結合は、炭素14に最も一般的に位置し、SBd18:2を形成する。
FA鎖内の二重結合は、FA鎖の長さ及び炭素−炭素二重結合の数に応じて様々な位置であり得る。22:1FAでは、最も一般的な二重結合の位置は、炭素13である。23:1FAでは、最も一般的な二重結合の位置は、炭素14である。24:1FAでは、最も一般的な二重結合の位置は、位置15である。24:2及び26:2FAでは、最も一般的な二重結合の位置は、炭素5及び9である。
4.診断方法
本明細書では、生体サンプル中のセラミドの特定の組み合わせを測定することにより、AMI、ACS、脳卒中、及び心血管系の死亡を含むCV合併症を予測する方法が開示される。セラミドは、動物実験に基づくCVDの病因と関わってきたが、一方ヒトを対象としたデータは、概ね欠けている。本発明者らは、特定の異なるセラミド分子を含む、特定の脂質とCV死亡率との関係を最近明らかにした(米国特許第13/695,766号、同第13/805,319号、国際公開第2013068373号、同第2013068374号、及びTarasov et al. 2014)。
診断用途では、マーカーは、できる限り高い感度及び特異性を有するべきである。感度は、マーカーにより症例として適正に分類される症例の割合を表す指標であり、また特異性は、マーカーによりコントロールとして適正に分類されるコントロールの割合を表す指標である。診断用途では、初期段階において標的を定めた治療を行うために、CVイベントを将来有するであろう対象について、その識別される割合(%)が十分高いことが重要である。しかし、治療コストの制約上、特異性が低いマーカーよりも、特異性が高いマーカーが好ましい。
例えば、0.7の感度を有する試験は、CVイベントに直面する患者100000例からなる母集団のうち、70000例が、該イベントに対して高リスクを有するものとして試験により識別されることを示唆する。特異性が0.2の場合、安定なCVDを有するが、重度のイベントを将来的に有さない患者100000例からなる母集団のうち、低リスクとして適正に識別されるのは20000例に過ぎず、一方80000例は、高リスクとして誤って識別される。これは、患者80000例に対する標的を定めた治療のコストが、無駄に使われることを意味する。対照的に、同一のイベントについて特異性の数値が0.8である代替的試験が用いられた場合には、患者20000例のみが、重度のイベントに対して高リスクを有すると誤って識別される。特異性が低い試験と比較して、これは患者60000例分の治療コストを節約する。
本出願は、CV合併症を発症するリスクが高まっている患者を識別するための、感度及び特異性が有意に改善したセラミドの組み合わせを選択するルールを開示する。この感度及び特異性の改善は、第1の構造的なクラスに由来する少なくとも1つのセラミドの濃度の低下、及び第2の構造的なクラスに由来する少なくとも1つのセラミドの濃度の増加が、CV合併症を発症するリスクが高まっていることを示唆するように、2つの異なるクラスに該当するセラミド構造により決定づけられる。開示されたルールに基づき選択された、両クラスに由来するセラミド種の特定の組み合わせは、従来型のリスクマーカー、又は個々のセラミド分子、又はその比と比較して、CV合併症の予測に優れる。
セラミド種の組み合わせをランダムに選択したのでは、診断の改善は実現できない。むしろ、セラミドの組み合わせは、非常に長い飽和脂肪酸を有する少なくとも1つのセラミドと、長鎖飽和脂肪酸又は超長鎖不飽和脂肪酸を有する少なくとも1つのセラミドとを組み合わせることによる、本明細書に開示のルールに基づき選択されるべきである。特に、選択されたセラミドの組み合わせでは、個々のセラミド、又は2つの脂質分子に由来する比と比較して、診断上の感度及び特異性に改善が見られた。これらの特定のセラミドの組み合わせが有する疾患関連の特異性は、セラミド種の構造、及びセラミドクラスのメンバーを構成する様々なセラミドシンターゼの生物学的機能により決定される。
非常に長い飽和脂肪酸鎖(22:0〜26:0)を有するセラミドの濃度は、CV合併症に対するリスクが高まっている個体では低い(A群セラミド)。一方、長鎖飽和脂肪酸(16:0及び18:0)、及び超長鎖不飽和脂肪酸(22:1〜26:2)を有するセラミドの濃度は、CV合併症のリスクが高まっている個体ではより高い(B群セラミド)。CV合併症の診断は、例えば2つのA群セラミド又はB群セラミドを選択するのではなく、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを測定する場合に改善する。
組み合わせたときに診断能力の改善を実現することが判明した2つの異なるクラスのセラミドを下記の表に示すが、この場合、A群のセラミド種には、掲載したスフィンゴイド塩基(SB)のうちの1つと、掲載した脂肪酸(FA)のうちの1つが含まれ、またこの場合、B群のセラミド種には、掲載したスフィンゴイド塩基(SB)うちの1つと、掲載した脂肪酸(FA)のうちの1つが含まれる。
Figure 2017519989
化学式により、セラミドについて2つの構造的なクラスを定義することも可能である。A群セラミド(CV合併症のリスクの増加と関連して濃度が低下する)は、式Iに基づく構造を有する。
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
B群セラミド(CV合併症のリスクの増加と関連して濃度が増加する)は、式IIに基づく構造を有する。
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
A群及びB群セラミドは、その合成に関わるセラミドシンターゼの機能に基づき分類することも可能である。6つの異なるセラミドシンターゼ(CerS1〜6)が、ヒトにおいて特徴づけられている。FA基質に対するセラミドシンターゼ(CerS)のすでに知られている特異性に基づけば、B群セラミドは、長いFA(炭素14〜18個)を有するセラミドを合成することが知られているCerS1、S4、S5、及びS6よりもっぱら生成されるセラミドを含む。CerS2及びS3より合成される非常に長いFA(≧22個の炭素原子)を有する脂肪酸が、A群及びB群の両方で見出されている。しかし、A群の非常に長いセラミド分子は飽和しているが、一方、B群の非常に長いセラミドは不飽和である。従って、CerS2及びS3の生成物は、飽和レベルに応じてA群又はB群に配置される。
特定のセラミドを、セラミド内に見出される構造及び/又は脂肪酸基質に対するセラミドシンターゼの特異性に基づき、異なる群に分類することにより、本出願は、CV合併症を発症するリスクが高まっている患者を識別するために、感度及び特異性が有意に改善したセラミドの組み合わせを選択するルールを開示する。
特別な実施形態では、対象が、1つ又は複数のCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法が提供され、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
(c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
(d)前記コントロールサンプルと比較して、前記生体サンプルが含有する、前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度が増加している場合には、前記対象は1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていると判定するステップと、
を含む。
別の態様は、対象において、CVD及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ又は複数に対する治療の有効性を評価する方法に関し、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
(c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度及び、前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
(d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度が、等しい又は増加しており、且つ前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度が、等しい又は低下している場合には、治療は有効であると判定するステップと、
を含む。
なおも別の態様は、対象において、CVD、及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ又は複数について、適切な治療を選択する方法に関し、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、又はジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
(c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
(d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度が増加している、場合には、前記対象は、治療必要とする、又はすでに実施される治療の変更若しくは補充を必要とすると判定するステップと、
を含む。
上記方法の1つの実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式Iのセラミドの濃度が測定される。別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIのセラミドの濃度が測定される。なおも別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式Iのセラミドの濃度が測定され、及び少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIのセラミドの濃度が測定される。
上記方法の1つの実施形態では、少なくとも1つの式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される。特定の実施形態では、下記の式(II)のセラミド又はその組み合わせが、上記の方法で測定され得る。
Figure 2017519989
別の実施形態では、式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度、並びに式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)のうちの少なくとも1つの濃度が測定される。特定の実施形態では、下記の式(I)及び式(II)のセラミドを組み合わせたときのその濃度が、上記の方法で測定され得る。
Figure 2017519989
別の態様は、ヒト血液サンプル中に存在することがこれまでに知られていなかったA群セラミドのサブセット、及びB群セラミドのサブセット、並びに対象が、1つ又は複数のCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法でのその使用と関連する。新規に識別されたセラミドを下記の表1に記載する。
Figure 2017519989
A群セラミドのサブセットを代表する新規に識別されたセラミドは、式IIIの構造を有する。
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)。
B群セラミドのサブセットを代表する新規に識別されたセラミドは、式IVの構造を有する。
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
従って、特定の実施形態は、対象が、1つ又は複数のCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法と関連し、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
(c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
(d)前記コントロールサンプルと比較して、前記生体サンプルが含有する、前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度が増加している場合には、前記対象は、1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていると判定するステップと、
を含む。
別の態様は、対象において、CVD、及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ又は複数に対する治療の有効性を評価する方法に関し、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
(c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
(d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する、前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度が等しい、又は増加しており、且つ前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度が等しい、又は低下している場合には、治療は有効であると判定するステップと、
を含む。
なおも別の態様は、対象において、CVD、及び/又はその合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等のうちの1つ又は複数に対して、適切な治療を選択する方法に関し、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
(c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
(d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度が増加している場合には、前記対象は、治療を必要とする、又はすでに実施されている治療の変更若しくは補充を必要とすると判定するステップと、
を含む。
上記方法の1つの実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIIのセラミドの濃度が測定される。別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IVのセラミドの濃度が測定される。なおも別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIIのセラミドの濃度が測定され、及び少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IVのセラミドの濃度が測定される。
上記方法の特定の実施形態では、前記少なくとも1つの式(I)のセラミド、及び前記少なくとも1つの式(II)のセラミド、又は前記少なくとも1つの式(III)のセラミド、及び前記少なくとも1つの式(IV)のセラミドの濃度が、Z=(式Iのセラミド)a/(式IIのセラミド)b、又はZ=(式IIIのセラミド)a/(式IVのセラミド)bの式により測定されるが、式中、a、b∈Rであり、(式Iのセラミド)、(式IIのセラミド)、(式IIIのセラミド)、及び(式IVのセラミド)は、式Iのセラミドの濃度、式IIのセラミドの濃度、式IIIのセラミドの濃度、及び式IVのセラミドの濃度をそれぞれ意味する。本実施形態によれば、前記コントロールサンプルと比較して、生体サンプルが有するZ値が高い場合には、対象は、1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっている。その他の実施形態では、式は、前記コントロールサンプルと比較して、サンプルが有するZ値が等しい、又は低下している場合には、治療は有効であると判定するのに用いられる。別の実施形態では、前記コントロールサンプルと比較して、サンプルが有するZ値が高い場合には、対象が治療を必要とする、又は心血管系患者の治療に関する該当するガイドラインに従い、治療のレベル、及び処方された療法、及びその用量を調整する必要があると判定するために、Z値が計算される。
前記対象から得られたサンプル中の総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、アポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−II、及び/又はアポリポタンパク質B(アポB)、及び/又はアポリポタンパク質C−III(アポC−III)について、その血清レベルを測定するステップを更に含むことが、本明細書に記載する方法及び使用にとって有用であり、また有利でさえあり得る。更に、開示する方法又は使用の1つの実施形態によれば、対象は、総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、アポリポタンパク質C−III(アポC−III)、又はアポリポタンパク質B(アポB)のうちの1つ又は複数の血清レベルが上昇していない、又はHDL−コレステロール(HDL−C)の血清レベルが低下していない患者であるのが好ましい。
5.検出法
本明細書では、対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミド及び少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を検出する方法も開示され、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
を含み、
(c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップを含んでもよい。
上記方法の1つの実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式Iのセラミドの濃度が測定される。別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIのセラミドの濃度が測定される。なおも別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式Iのセラミドの濃度が測定され、及び少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIのセラミドの濃度が測定される。
上記方法の1つの実施形態では、式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)のうちの少なくとも1つの濃度が測定される。特定の実施形態では、下記式(II)のセラミド又はその組み合わせが、上記検出法で測定され得る。
Figure 2017519989
別の実施形態では、式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度、並びに式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)のうちの少なくとも1つの濃度が測定される。特定の実施形態では、下記式(I)のセラミド及び式(II)のセラミドの組み合わせについて、その濃度が上記検出法で測定され得る。
Figure 2017519989
上記方法の1つの実施形態では、生体サンプル及びコントロールサンプルは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式Iのセラミド、及び少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IIのセラミドを含む。一般的に、同位体標識されたセラミドは、生体サンプル中で検出されるセラミドと同一である。例えば、式IIのセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度、並びに式Iのセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度が測定される場合には、生体サンプル及びコントロールサンプルは、同位体標識されたCer(d18:1/16:0)、同位体標識されたCer(d18:1/18:0)、同位体標識されたCer(d18:1/24:1)、及び同位体標識されたCer(d18:1/24:0)を含む。
上記方法の1つの実施形態では、対象は、心血管系疾患イベント、例えば狭心症、心筋梗塞、又は脳卒中等にこれまでに罹患したことがある。
本明細書では、対象から得られた生体サンプル中において、少なくとも1つの式IIIのセラミド、及び少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を検出する方法も開示され、同方法は、
(a)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
(b)対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
を含み、また
(c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度をコントロールサンプルと比較するステップを含んでもよい。
上記方法の1つの実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIIのセラミドの濃度が測定される。別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IVのセラミドの濃度が測定される。なおも別の実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IIIのセラミドの濃度が測定され、及び少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの式IVのセラミドの濃度が測定される。
上記方法の1つの実施形態では、生体サンプル及びコントロールサンプルは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IIIのセラミド、及び少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IVのセラミドを含む。一般的に、同位体標識されたセラミドは、生体サンプル中で検出されるセラミドと同一である。
上記方法の1つの実施形態では、対象は、心血管系疾患イベント、例えば狭心症、心筋梗塞、又は脳卒中等にこれまでに罹患したことがある。
6.セラミド濃度測定
本明細書で記載及び主張するすべての態様及び実施形態と関連して、セラミド濃度測定が、アッセイ法を用いて一般的に実施される。対象のサンプル、及び該当する場合には対応するコントロールサンプルに由来するセラミド濃度の情報収集は、様々な化学的及び高分解能分析技法により実施可能である。適する分析技法として、マススペクトロメトリーや核(磁気)共鳴分光法が挙げられるが、但しこれらに限定されない。個々のセラミド、又はセラミドクラスを分離し、またその構造情報を提供する能力を有する任意の高分解能の技術が、対象となるセラミドマーカーに関する情報、例えば生体サンプルに由来するセラミドプロファイルを収集するのに利用可能である。マススペクトロメトリー(MS)によりセラミドマーカーについて情報収集することが、開示する方法の好ましい実施形態の1つである。MS装置は、ロボット型ナノフローイオン源装置等の直接サンプル注入法、又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)等の高性能分離法と連結可能である。
その他の方法が、MS及び/又はHPLC/UPLCと共に、対象とするセラミドを検出するのに利用可能又は組み合わせ可能であり、例えば核磁気共鳴分光法、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、蛍光分光法、又は二面偏波式干渉法、及び/又はELISA等の免疫測定法が挙げられる。代替的、又は更なる実施形態によれば、サンプル中のセラミドは、セラミドに特異的に結合する能力を有する結合部分を用いて検出及び/又は定量可能である。結合部分は、例えばリガンド−受容体の対、すなわち特異的結合相互作用保有能力を有する分子の対からなるメンバーを含み得る。結合部分は、例えば特異的結合の対からなるメンバー、例えば抗体−抗原、酵素−基質、核酸ベースのリガンド、その他のタンパク質リガンド、又は当技術分野において公知のその他の特異的結合の対等も含まれ得る。
好ましい実施形態では、セラミドの濃度は、マススペクトロメトリー(MS)を用いて測定され、この場合、MS装置は、直接注入法、又はHPLC若しくはUPLC等の高性能分離法と連結可能である。
7.サンプルの調製及び同位体標識されたセラミド
本明細書で記載及び主張する方法によれば、対象から得られた生体サンプルとコントロールサンプルは、いずれも好ましくは血液サンプル、より好ましくは血漿サンプル又は血清サンプルである。サンプルは、乾燥血液スポットである場合もある。またサンプルは、血液、血漿、又は血清の分画、例えばサンプルから抽出される脂質分画である場合もある。血液サンプルは、例えば患者のコレステロールレベルの測定と関連して採取され得る。収集された血液サンプルは調製可能であり、また血清又は血漿は、当業者にとって周知の技法を用いて分離可能である。静脈血液サンプルが、針とBD社バキュテーナー(登録商標)プラスチック管、又はバキュテーナー(登録商標)プラス・プラスチック管を用いて、患者から収集され得る(BDバキュテーナー(登録商標)SST(商標)管は、スプレーコーティングされたシリア(silia)及び血清分離用のポリマーゲルを含む)。血清は、例えば1300RCFで10分間、室温において遠心分離することにより、収集後の血液サンプルから分離され、小型のプラスチック管内で、−80℃において保管され得る。血漿は、例えば2500×g、4℃で5分間遠心分離することにより分離可能である。乾燥した血液スポットが、血液のスポットをフィルターペーパー上に配置し、風乾させることにより調製される。
或いは、対象から得られたサンプルとコントロールサンプルは、いずれも組織サンプル、例えば頸動脈組織等の動脈組織、又は頸動脈プラーク物質等の動脈プラーク物質であってもよい。
1つの実施形態では、生体試料は、既知量の同位体標識されたA、B、C、又はD群セラミドでスパイクされる。対象とするセラミドを検出するのに利用可能である任意の同位体が利用可能であり、これには水素(例えば重水素)、炭素及び酸素の同位体が含まれるが、但しこれらに限定されない。好ましい実施形態では、生体サンプルは、脂質抽出前に、同位体標識されたセラミドでスパイクされる。同位体標識されたセラミドは、内部標準として機能し、天然由来の分子ではない。好ましい実施形態では、重水素標識が、重水素標識されたセラミドを生成するのに用いられ、これにはN−パルミトイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(d18:1/16:0)、N−ステアロイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(d18:1/18:0)、N−リグノセロイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(d18:1/24:0)、及びN−ネルボノイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(Cer(d18:1/24:1))が含まれるが、但しこれらに限定されない。
8.コントロール
対象から得られた生体サンプル中のセラミドレベルは、コントロールと比較される。コントロールは、健常者から得られた生体サンプルであり得る。コントロールは、重大なCVDイベントの病歴を有さないCAD患者から得られたサンプルであってもよい。また、サンプルは、一般化された健常者母集団から得られたサンプルの組み合わせを代表するサンプル、又は重大なCVDイベントの病歴を有さないCAD患者母集団から得られたサンプルの組み合わせを代表するサンプルであってもよい。生体サンプルは、全血、血清、又は血漿であり得る。また、生体サンプルは、組織サンプルであってもよい。しかし、好ましい実施形態では、生体サンプルは、血漿又は血清である。
或いは、コントロールは、本発明に基づくセラミドマーカーに関するデータのセット、例えば健常者から採取される場合、サンプル中、又は一般化された健常者母集団から、若しくは重大なCVDイベントの病歴を有さないCAD患者から、若しくは重大なCVDイベントの病歴を有さないCAD患者母集団から採取される場合、サンプルの組み合わせに含まれる本発明に基づくセラミドの濃度に関する情報であり得る。情報、従って対応するデータのセットは、これまでに測定、計算、又は推定されている場合もあれば、まだ測定、計算、又は推定されていない場合もあり、又は文献から引用される場合もある。
治療の有効性を評価する方法では、コントロールサンプルは、上記で議論したように健常者に由来し得るが、この場合、対象から得られた生体サンプルが含有する、少なくとも1つのA群(又はC群)セラミドの濃度、及び少なくとも1つのB群(又はD群)セラミドの濃度が、コントロールサンプルの濃度とほぼ同一又は等しい(有意に異ならない)という所見から、治療は有効であったことが示唆される。或いは、コントロールサンプルは、1つ又は複数のCV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、又はCV死等を発症するリスクを有する対象から取得可能である。特定の実施形態では、コントロールサンプルが採取される対象は、治療対象者と同一の個体であり、この場合、少なくとも1つのA群(又はC群)セラミドの濃度が、コントロールサンプルと比較して増加しており、且つ少なくとも1つのB群(又はD群)セラミドの濃度が、コントロールサンプルと比較して低下していれば、治療は有効であったことが示唆される。
9.組成物及びキット
別の態様は、CV合併症を予測するため、又は本明細書に開示の任意の方法を実施するためのキットであり、この場合、該キットは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)で標識されたA、B、C、又はD群セラミドを含み、また方法を実施するための1つ又は複数の試薬を含んでもよい。また、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識されたA、B、C、又はD群セラミドを含む組成物も含まれる。
1つの実施形態では、組成物又はキットは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式Iのセラミドを含む。
Figure 2017519989
(I)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
別の実施形態では、組成物又はキットは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IIのセラミドを含む。
Figure 2017519989
(II)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
例えば、特定の実施形態では、組成物又はキットは、以下に示す同位体(例えば重水素)標識された式IIのセラミドのうちの1つ、又はその組み合わせを含む。
Figure 2017519989
別の実施形態では、キット又は組成物は、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式Iのセラミド、及び少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IIのセラミドを含む。その他の実施形態では、キット又は組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、若しくは少なくとも6つの同位体(例えば重水素)標識された式Iのセラミド、及び/又は少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、若しくは少なくとも6つの同位体(例えば重水素)で標識された式IIのセラミドを含む。
例えば、特定の実施形態では、組成物又はキットは、以下に示す同位体(例えば重水素)標識された式(I)及び式IIのセラミドの組み合わせを含む。
Figure 2017519989
その他の実施形態では、組成物又はキットは、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IIIのセラミドを含む。
Figure 2017519989
(III)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
別の態様は、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IVのセラミドを含む組成物又はキットと関連する。
Figure 2017519989
(IV)
(式中、R1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、式中、R1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、R2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
別の実施形態では、キット又は組成物は、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IIIのセラミドと、少なくとも1つの同位体(例えば重水素)標識された式IVのセラミドとを含む。その他の実施形態では、キット又は組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、若しくは少なくとも6つの同位体(例えば重水素)標識された式IIIのセラミド、及び/又は少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、若しくは少なくとも6つの同位体(例えば重水素)標識された式IVのセラミドを含む。組成物は、溶液、例えば蒸留水、緩衝化溶液、又はその他の適切な溶媒等を更に含み得る。
本明細書に開示のすべてのキットには、CV合併症、例えばAMI、ACS、脳卒中、及びCV死等を予測するためのその使用について説明書が添付され得る。
10.コンピューター実施型の診断法
本明細書に開示のすべての態様及び実施形態によれば、提供される方法は、コンピューター実施型であり得る。
1つの実施形態では、本発明のコンピューター実施型の方法は、いずれも(i)生体サンプル中で、少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミドと少なくとも1つのD群セラミド)の濃度を反映する情報を、少なくとも1つのプロセッサーにより取得するステップ;(ii)生体サンプル中の少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミドと少なくとも1つのD群セラミド)の濃度を、ユーザーが読み取り可能なフォーマットでアウトプットするステップを更に含み得る。
別の実施形態では、コンピューター実施型の方法は、コントロール、及び生体サンプル中の少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミド(又は少なくとも1つのC群セラミドと少なくとも1つのD群セラミド)の濃度の間の差異の割合(%)を、少なくとも1つのプロセッサーにより決定するステップ、及び決定ステップ(iii)で得られた差異の割合(%)をユーザーが読み取り可能なフォーマットでアウトプットするステップを更に含み得る。
なおも別の実施形態では、コンピューター実施型の方法は、アウトプットするステップで得られた差異の割合(%)に基づき、対象が1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクを有するかどうかを判定するステップを更に含み得る。
コンピューター実施型の方法の1つの実施形態では、前記少なくとも1つのA群セラミドは、Cer(d18:1/24:0)を含み、並びに前記少なくとも1つのB群セラミドは、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)を含む。
図4に示す実施形態では、コンピューターシステム106は、オペレーティングシステムの制御下で、又はこれと連携して稼働するランダムアクセスメモリーと連結した1つ又は複数のプロセッサー110を含み得る。実施形態中のプロセッサー110は、1つ若しくは複数のサーバー、クラスター、又はその他のコンピューター、又はハードウェアリソース中に含まれ得る、或いは、クラウドベースリソースを用いて導入され得る。オペレーティングシステムは、例えば市販のLinux(商標)オペレーティングシステム、Unix(商標)オペレーティングシステム、又はその他のオープンリソース、又は独自開発のオペレーティングシステム若しくはプラットフォームであり得る。プロセッサー110は、その他のデータにアクセスする、又はプログラム命令を保管するために、データストア112、例えばハードドライブ又はドライブアレイ上に保管されるデータベース等とやり取り可能である。
プロセッサー110は、ネットワークインターフェース108を介して更にやり取り可能であり、次に、ネットワークインターフェース108は、前記1つ若しくは複数のネットワーク104、例えばインターネット、又はその他のパブリック若しくはプライベートネットワーク等を介してやり取り可能であり、従って、クエリー又はその他のリクエストが、クライアント102、又はその他のデバイス若しくはサービスから入手可能となる。更に、プロセッサー110は、前記1つ又は複数のネットワーク104を介して、情報、指示、ワークフロークエリーパーシャルワークフロー、又はその他のデータをユーザーに送付するのに、ネットワークインターフェース108を利用することができる。ネットワークインターフェース104は、1つ若しくは複数のサーバーを含み得る、又はこれとやり取り可能に連結し得る。クライアント102は、例えばインターネットに連結したパーソナルコンピュータであり得る。
本明細書に開示の方法を履行するために、プロセッサー110は、コントロールロジック及びコントロールオペレーションを実行するように、一般的にプログラムされ得る、又は構成され得る。プロセッサー110は、コプロセッサー114と、やり取り可能に更に連結する(すなわち、コミュニケーションチャンネルにより連結する)ことができる。コプロセッサー114は、本明細書に開示の方法を実行するように構成された専用のハードウェア及び/又はファームウェアコンポーネントであり得る。従って、本明細書に開示の方法は、プロセッサー110、及び/又はコプロセッサー114により実行され得る。
コンピューターシステム106のその他のコンフィギュレーション、関連するネットワーク接続、及びその他のハードウェア、ソフトウェア、及びサービスリソースも可能である。
下記の実施例は、本明細書の実施形態について、更に定義及び記載する。
(例1)
治験患者。Corogene試験は前向きコホート試験であり、フィンランド人の継続患者5000例が、ヘルシンキ大学中央病院(Helsinki University Central Hospital)の領域内で、診断を目的とした冠血管造影法に割り振られた。本試験では、少なくとも1つの冠動脈において>50%の狭窄を有するCAD患者436例について分析した。このネスト化された症例−コントロール試験では、コントロール対象1例を各症例にマッチさせた。症例は、平均2.5年のフォローアップ期間中に、CVを理由に死亡したCAD患者であった。マッチしたコントロールは、フォローアップ期間中にいかなる原因によっても死亡しなかったCAD患者であった。マッチングの基準には、年齢、性別、肥満指数、スタチンの使用、喫煙、及び2型糖尿病が含まれた。
解析方法。定量する場合、セラミドの抽出は、Jung HR et al., High throughput quantitative molecular lipidomics. Biochim Biophys Acta. 2011 Nov;1811(11):925-34に記載されたHamilton Microlab Starロボット上で実施した、Folch脂質抽出改変法を用いて行ったが、同文献を本明細書に参照により組み込む。サンプルを既知量の非内因性合成内部標準でスパイクした。脂質抽出後、サンプルをクロロホルム:メタノール(1:2、v/v)中で再溶解し、合成外部標準を抽出物に抽出後スパイクした。抽出物をMS解析前に−20℃で保管した。
セラミドを、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)システム(Eksigent ultraLC 100システム)を備えた、ハイブリッドトリプル四重極/リニアイオントラップ質量分析装置(5500 QTRAP)上で分析したが、この場合、Sullards MC et al., Structure-specific, quantitative methods for analysis of sphingolipids by liquid chromatography-tandem mass spectrometry: "inside-out" sphingo-lipidomics. Methods Enzymol. 2007;432:83-115の記載に基づき、多重反応モニタリング(MRM)に基づく方法を陰イオンモードで用いた。
ヒト血漿中に存在することがまだ知られていないセラミドの新規の群(d16:1及びd18:2)について、正確な測定を組み込むために、LC−MRM分析を補充した(表1を参照)。ヒト血漿において、MS/MS連続分析及びリテンションタイムによりその存在を検証した。MS/MSでは、期待される分子イオンより生成した選択的スフィンゴシンフラグメントイオン、例えばd16:1に対応するm/z、236.25、d18:2に対応するm/z、262.25により、同定確認を行った。更に、これを系統的なリテンションタイムシフトにより補完した。特徴的なシフトから、新規セラミド種の帰属性が確認された。その存在及び本出願に記載する目的のためにバイオマーカーとして働く能力は、驚くべきであり、また予期されるものではなかった。
マススペクトロメトリーによる検出ピークの質量及びカウントを、対応する脂質名及び濃度のリストに変換した。校正直線を作成して、モニタリングの対象となる脂質クラス毎に定量ダイナミックレンジ、例えば定量限界を決定した。内部標準を用いて内因性の脂質種を定量した。校正直線を用いて、方法の定量限界を決定した。
厳密なカットオフを適用して、実際の脂質ピークからバックグラウンドノイズを除去した。各サンプルを照査し、合否判定基準を満たすときに限り許容した。検出ピークの質量及びカウントを、対応する脂質名のリストに変換した。脂質を、その各内部標準及びサンプルボリュームに標準化して、その濃度を割り出した。
Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、Cer(d18:1/24:0)、及びCer(d18:1/24:1)分子の標的を定めたセラミド定量。Jungらの記載に従い、Hamilton Microlab Starロボット上で実施した、Folch脂質抽出改変法を用いてセラミドを抽出した。Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、Cer(d18:1/24:0)、及びCer(d18:1/24:1)の特定の組み合わせについて定量する場合、脂質抽出前に、生体サンプルを、既知量の下記の重水素標識された内部標準でスパイクした:N−パルミトイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(Cer(d18:1/16:0))、N−ステアロイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(Cer(d18:1/18:0))、N−リグノセロイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(Cer(d18:1/24:0))、及びN−ネルボノイル−D−エリスロスフィンゴシン−d7(Cer(d18:1/24:1))。適する脂質フリーのマトリックスが入手できなかったので、校正直線標準を溶液状態で作製した。既知量の分析対象物及び安定な同位体標識された内部標準を、クロロホルム:メタノール(1:2、v/v)に添加して、校正直線の各点を決めた。
LC−MS/MSを、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)システム(Eksigent ultraLC 100システム)を備えたハイブリッドトリプル四重極/リニアイオントラップ質量分析計(QTRAP 5500)上で実施したが、この場合、多重反応モニタリング(MRM)に基づく方法を陽イオンモードで用いた。
サンプル抽出物(5μL)を、カラム温度が60℃のWaters Acquity BEH C18、1.7μm VanGuardプレカラムに連結したWaters Acquity BEH C18、2.1×50mm id.1.7μmに投入した。移動相Aは、0.1%ギ酸を含むHPLCグレード水に溶解した10mM酢酸アンモニウムと移動相Bとから構成された。流速は0.5μL/分で、0.0〜0.5分、85%B;0.5〜15分、85〜100%B;15〜4分、100%B;4.10〜5分、85%Bのグラジエントを用いた。ソース温度を300℃に設定した;イオンスプレーは5000Vであった;デクラスタリングポテンシャル30V;エントランスポテンシャルは10であった;ガス1及びガス2の設定は、50及び30であった。各スキャンのドウェルタイムは25m秒、及び衝突エネルギーを40Vに設定した。総取得時間は4.5分であった。
分析ソフトウェア(バージョン1.6)を用いてデータを取得し、MultiQuant(バージョン3.0)を用いて処理した。校正曲線は、例えばCer(d18:1/16:0)及びCer(d18:1/18:0)について1/x2、並びにCer(d18:1/24:1)及びCer(d18:1/24:1)について1/y2の重み付けを用いて、実際の濃度に対して分析対象物/内部標準のピーク面積比をプロッティングすることにより構築した。サンプルのピーク面積比を校正直線から読み取った。
標識標準のスフィンゴシン骨格内の7つの重水素は、親イオンのMS/MS上で、そのスフィンゴシンフラグメントイオンにおいて7Daの質量シフトを引き起こす。内因性及び内部標準のMRM分析におけるスフィンゴシンフラグメントイオンを含む、親イオンの質量の差異は、従ってそれぞれ7Daであり、例えばCerd18:1/16:0及びD7−Cer18:1/16:0のMRM移行は、538.5/264.2及び545.5/271.2である。
質量シフトを含む内部標準及び対応する内因性の種の分析的挙動、例えば抽出回収率、イオン化、及びリテンションタイム等が同じであると、正確な測定及び定量がしやすくなる。サンプル中の内因性セラミドとその内部標準とのピーク面積比は、校正直線から読み取られ、サンプル中の内因性セラミドについて正確な量が得られる。校正直線は、重水素化された標準の一定量と混合された内因性セラミドの希釈系列を、記載するようなLC−MRMで分析することにより得られる。
重水素標識された内部標準を、本アッセイ用として特別に製造した。従って、これらの特別な重水素標識されたセラミドの絶対的な定量は、これまで未実施である。
統計的手法。オッズ比は、記載するような心血管系転帰イベントの有無と、母集団内の安定なCADを有する個体に関するイベントの不存在の有無について、その両者間の関係を定量的に記載する。1標準偏差当たりのオッズ比(1SD当たりのOR)は、ある変数において1標準偏差分の変化が生じたときに、これに対する応答として、コントロール群における良化予測のオッズで割り算した症例群における良化予測のオッズを数値化したものである。四分位オッズ比(OR2〜4)は、異なる四分位における不良転帰に対する良化転帰の比を、第1の四分位におけるかかる比と比較して数値化したものである。レシーバー動作特性曲線下面積(AUC)は、マーカーの全体的な予測性能を記載する。その数値は0〜1の間であり、0.5は、転帰のランダムな、すなわち50/50(例えばコイントス)予測に対応し、より高い数値は、感度(sens)及び特異性(spec)に関して、より良好な予測正確性を示す。平均相対変化(MRC%)は、症例群のセラミド濃度平均値とコントロール群のセラミド濃度平均値との間の差異を、コントロール群の平均値で割り算したものとして計算される。p値は、対数変換後のデータについて、スチューデントのt検定を用いて計算される。また、偽陽性率q値の見積もりも計算される。このq値は、p値が対応するマーカーのp値よりも小さいすべてのマーカーにおいて、偽陽性所見の割合(%)を見積もる。
脂質(単一マーカーと2マーカーの診断モデルに対応するモデル内の1つ又は2つの脂質)の濃度を用いて、症例群とコントロール群を説明するロジスティック回帰分析モデルを、Corogene治験母集団内で近似させた。逸脱統計学を用いた尤度比検定を見積もった。逸脱の測定は、複数のモデルの比較に一般的に用いられる。逸脱は、モデルとデータの間の適合度不足の指標を表す、モデルの適合度統計学の品質である。一般的に、逸脱が大きくなるほど、データのモデルへの適合度は不十分となる。逸脱は、通常、そのまま解釈されず、むしろ同一のデータに近似させたその他のモデルからの逸脱と比較される。例えば、Nelder, J.A.; Wedderburn, R.W.M. (1972). “Generalized Linear Models.” Journal of the Royal Statistical Society. Series A (General) 135 (3): 370-384を参照.
尤度比検定は、ネスト化モデル、すなわち2モデルの場合、より多数の変数を有するモデルと、より大きい方のモデルの変数サブセットを有する他方のモデルに適用され得る。逸脱統計学は、ほぼχ二乗分布に従い、これより統計的有意性が見積もられ得る。ここでは、p<0.05が、有意差の閾値として用いられた。p>0.05である場合には、2つのモデルは、コントロールから症例を判別することに関して、互いに有意差はない。対照的に、p<0.05の場合、より多数の変数を有するモデルの方が、より小さなモデルよりも優れる。逸脱統計学が用いられる、ネスト化モデルの尤度比検定は、変数の数が異なるモデルを比較するための確立された方法である。
結果。本実施例の試験では、フォローアップ期間中にCVイベントを有したCAD患者のセラミド濃度を、イベントを有さないコントロール対象と比較した。図1及び2は、スチューデントのt検定のp値が最低のA群セラミド種10種類及びB群セラミド種10種類の平均相対変化/差異(症例群とコントロール群との差異を、コントロール群の平均濃度で割り算したものの平均)を示す。これらより、A群又はB群のほとんどのセラミド種は、症例群とコントロール群を、p<0.05で区別することから、高リスク患者(将来CVイベントを有するおそれがある)をコントロール患者から区別する個々のセラミド種の検出力(例えば、より良好なオッズ比(AUC)又は感度及び特異性、より低いp値)が実証される。
A群又はB群に該当しないセラミドについても分析を行ったが、図3に示す通り、かかるセラミドでは、対数変換後の濃度の見積もりにおいて、症例とコントロールとが、スチューデントのt検定により、p<0.05で一般的に区別されないことが判明した。
Corogene試験に由来する患者、特にフォローアップ期間中にCVイベントを有したCAD患者を対象に、イベントを有さないコントロール対象と比較して、セラミド濃度の様々な組み合わせを分析するのに、逸脱統計学を用いた。逸脱統計学の結果を、モデル比較1〜9にまとめる。
(例2)
モデル比較1。モデル比較1では、単一のセラミド種(A群又はB群)を、一方はA群に、他方はB群に由来する2つのセラミドの組み合わせと比較した。モデル比較1では、下記の表4に示す通り、単一マーカーモデルのいずれか一方と比較して、2マーカーを組み合わせたモデルについて、Pr(>χ)<0.05であるという事実より、モデルを組み合わせたときの判別力は、単一マーカーモデルの判別力よりも有意に良好であることが示唆される。
Figure 2017519989
(例3)
モデル比較2。判別モデルを2つのセラミドのみの組み合わせに限定する特別な理由は存在しない。しかし、実用目的から、及びコスト上の制約理由から、できる限り少ないセラミドを使用するのが好ましい。従って、感度及び特異性向上のベネフィットと、より多くの脂質分子種を分析する追加のコストとを、両天秤にかけなければならない。モデル比較2では、2つのセラミド種を用いたモデルを、3つのセラミド種を用いたモデルと比較したが、この場合、3つのセラミドマーカーには、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドが含まれた。モデル比較2では、表5に示す通り、二重マーカーモデルのいずれかと比較したときに、3マーカーを組み合わせたモデルについてPr(>Chi)<0.05であったが、これは、3マーカーモデルの判別力は、二重マーカーモデルの判別力よりも有意に良好であることを示している。
Figure 2017519989
(例4)
モデル比較3:モデル内のセラミド種の数を増やしても、それは、より良好なモデルがもたらされることを必ずしも意味しない。その例として、モデル比較3は、2セラミドモデルより良好ではない3セラミドモデルを示す。この場合、B群に由来する2つのセラミドの組み合わせを、B群に由来する3つのセラミドと比較した。モデル比較3では、表6に示す通り、2マーカーモデルと比較したときに、3マーカーを組み合わせたモデルについてPr(>Chi)>0.05であったが、これは、3マーカーモデルの判別力は、二重マーカーモデルの判別力より有意に良好ではないことを示している。
Figure 2017519989
従って、モデル比較3は、セラミドの数を単に増加させても、モデル性能の改善は実現しないことを実証する。むしろ、セラミドの組み合わせは、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを含む、本出願で提供されるガイダンスに基づき選択されるべきである。
(例5)
モデル比較4。セラミド種の興味深い組み合わせを、モデル比較4に示す。この組み合わせには、3つのB群セラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)、並びに1つのA群セラミド、Cer(d18:1/24:0)が含まれる。この特別な組み合わせは、分析したすべての治験母集団に系統的に出現する。更に、モデル比較4のセラミド種は、一般的なセラミド種の存在量と比較して、ヒト血清又は血漿サンプル中に豊富に存在する。4つのセラミド種が組み合わされたモデルは、表7に示す通り、すべての症例において、その単一の成分を含むモデルよりも優れる(すべてのPr(>Chi)<0.05)。
Figure 2017519989
(例6)
モデル比較5〜7。バイオマーカーを組み合わせる場合、分析されるバイオマーカーの数が増加するに従い、診断能力が増大するという一般認識が存在し得る。しかし、モデル比較3に示す通り、この認識は、CV合併症を予測する文脈においては、セラミドバイオマーカーについて必ずしも通用しない。モデル比較5〜7から、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを選択するルールを適用しないで、モデル内のセラミド種の数を単に増加させても、モデル性能は改善しないことが更に実証される。従って、モデル比較5〜7より、セラミドをランダムに選択した場合、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを選択する、新規に識別されたルールに基づきセラミドを選択する場合と比較して、診断能力が不足することが実証される。
モデル比較5では、A群又はB群に該当しないセラミドの組み合わせについて分析した。表8では、15例のモデル比較を、その逸脱統計学及びχ二乗p値の見積もり(p<0.05は、モデル間の有意差を表す)と共に示す。各モデル比較では、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを含まないセラミドのランダムな組み合わせを比較した。モデルサイズが異なる15例すべての実施例において、逸脱統計学に関するp値は0.05を上回り、これは、モデルが非A/Bセラミドをより多く有しても、セラミドの数がより少ないモデルと比較して、症例−コントロール群の判別において、有意な良化が認められないことを意味する。
Figure 2017519989
モデル比較6では、A群セラミドのランダムな組み合わせ(少なくとも1つのB群セラミドを含まない)について比較した。表9では、15例のモデル比較を、その逸脱統計学及びχ二乗p値の見積もり(p<0.05は、モデル間の有意差を表す)と共に示す。モデルサイズが異なる15例すべての実施例において、逸脱統計学に関するp値は0.05を上回り、これは、モデルがより多くのA群セラミドを有しても、A群セラミドの数がより少ないモデルと比較して、症例−コントロール群の判別において有意な良化が認められないことを意味する。
Figure 2017519989

Figure 2017519989
モデル比較7では、B群セラミドのランダムな組み合わせ(少なくとも1つのA群セラミドを含まない)について比較した。表10では、15例のモデル比較を、その逸脱統計学及びχ二乗p値の見積もり(p<0.05は、モデル間の有意差を表す)と共に示す。モデルサイズが異なる15例すべての実施例において、逸脱統計学に関するp値は、0.05を上回り、これは、モデルがより多くのB群セラミドを有しても、B群セラミドの数がより少ないモデルと比較して、症例−コントロール群の判別において有意な良化が認められないことを意味する。
Figure 2017519989

Figure 2017519989
(例7)
モデル比較8〜9。モデル比較8〜9は、モデル比較1、2、及び4を補完し、少なくとも1つのA群と少なくとも1つのB群セラミドとからなる組み合わせを、すべてA群セラミド(モデル比較8)又はすべてB群セラミド(モデル比較9)からなる組み合わせと比較する。このようなモデル比較より、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを有するという、新規に識別されたルールに基づきセラミドを選択した場合の、その診断能力が実証される。
モデル比較8では、少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミドとからなる組み合わせを、A群セラミドのみからなる組み合わせと比較した。表11では、30例のモデル比較を、その逸脱統計学及びχ二乗p値の見積もり(p<0.05は、モデル間の有意差を表す)と共に示す。モデルサイズが異なる30例すべての実施例において、逸脱統計学に関するp値は、0.05未満であり、これは、モデルが、少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミドとを有すると、A群セラミドのみを有するモデルと比較して、症例−コントロール群の判別において有意な良化が認められることを意味する。
Figure 2017519989

Figure 2017519989
モデル比較9では、少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミドとからなる組み合わせを、B群セラミドのみからなる組み合わせと比較した。表12では、30例のモデル比較を、その逸脱統計学及びχ二乗p値の見積もり(p<0.05は、モデル間の有意差を表す)と共に示す。モデルサイズが異なる30例すべての実施例において、逸脱統計学に関するp値は、0.05未満であり、これは、少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミドを有するモデルは、B群セラミドのみを有するモデルと比較して、症例−コントロール群の判別において有意な良化が認められることを意味する。
Figure 2017519989

Figure 2017519989
従って、本試験の結果より、少なくとも次の傾向、すなわち(1)少なくとも1つのA群セラミドと少なくとも1つのB群セラミドとからなる組み合わせは、A群セラミド又はB群セラミド単独と比較して、その判別力を有意に改善させる、(2)A群及びB群セラミドの数が増加すると、セラミドの組み合わせが、少なくとも1つのA群セラミド及び少なくとも1つのB群セラミドを含む場合には、判別力が有意に増加する、(3)A群セラミドの数(B群セラミドを含まない)が増加しても、組み合わされたセラミドの判別力は有意に改善しない、(4)B群セラミドの数(A群セラミドを含まない)が増加しても、組み合わされたセラミドの判別力は有意に改善しない、及び(5)A群又はB群に該当しないセラミドの数が増加しても、組み合わされたセラミドの判別力は有意に改善しないことが実証される。
従って、これらのデータは、判別力(CV合併症を発症するリスクを有する患者をコントロール患者から判別する力)が有意に改善した、CV合併症予測用セラミドバイオマーカーを選択するための新規ルールを規定するのに役立った。新規選択ルールに従い、また少なくとも1つのA群セラミドを少なくとも1つのB群セラミドと組み合わせることにより、症例群とコントロール群との区別は、個々のマーカー、又は脂質比、又は本選択ルールに基づき選択されないセラミドのマーカーの組み合わせと比較して、それよりも有意に正確となり得る。
本発明は、その好ましい実施形態を参照しながら、特に提示及び記載されてきたが、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱せずに、形態及び詳細事項について様々な変更を加えることができるものと、当業者は理解する。

Claims (26)

  1. ヒト対象が、1つ又は複数の心血管系(CV)合併症を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法であって、
    (a)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップであって、
    Figure 2017519989
    (I)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
    前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、又はそれから取得されたリポタンパク質分画である前記ステップと、
    (b)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式(II)のセラミドの濃度を測定するステップと、
    Figure 2017519989
    (II)
    (式中、
    1は、直鎖状の炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    (c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
    (d)前記コントロールサンプルと比較して、前記生体サンプルが含有する前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度が増加している場合には、前記対象は、1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていると判定するステップと、
    を含む前記方法。
  2. ヒト対象が、1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクを有するかどうかを判定する方法であって、
    (a)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップであって、
    Figure 2017519989
    (III)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
    前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、又はそれから取得されたリポタンパク質分画である前記ステップと、
    (b)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
    Figure 2017519989
    (IV)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、
    式中、
    1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    (c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
    (d)前記コントロールサンプルと比較して、前記生体サンプルが含有する前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度が増加している場合には、前記ヒト対象は、1つ又は複数のCV合併症を発症するリスクが高まっていると判定するステップと、
    を含む前記方法。
  3. ヒト対象において、CVD及び/又はその合併症のうちの1つ又は複数に対する治療の有効性を評価する方法であって、
    (a)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップであって、
    Figure 2017519989
    (I)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
    前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、又はそれから取得されたリポタンパク質分画である、前記ステップと、
    (b)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定するステップと、
    Figure 2017519989
    (II)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    (c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
    (d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度が増加しており、且つ前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度が低下している場合には、治療は有効であると判定するステップと、
    を含む前記方法。
  4. ヒト対象において、CVD及び/又はその合併症のうちの1つ又は複数に対する治療の有効性を評価する方法であって、
    (a)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップであって、
    Figure 2017519989
    (III)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
    前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、又はそれから取得されたリポタンパク質分画である前記ステップと、
    (b)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
    Figure 2017519989
    (IV)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、
    式中、
    1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    (c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
    (d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度が増加しており、且つ前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度が低下している場合には、治療は有効であると判定するステップと、
    を含む前記方法。
  5. ヒト対象において、CVD及び/又はその合併症のうちの1つ又は複数について、適切な治療を選択する方法であって、
    (a)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度を測定するステップであって、
    Figure 2017519989
    (I)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
    前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、又はそれから取得されたリポタンパク質分画である前記ステップと、
    (b)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定するステップと、
    Figure 2017519989
    (II)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    (c)前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
    (d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式Iのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度が増加している場合には、前記ヒト対象が、治療を必要とする、又はすでに実施されている治療の変更若しくは補充を必要とすると判定するステップと、
    を含む前記方法。
  6. ヒト対象において、CVD及び/又はその合併症の1つ又は複数について、適切な治療を選択する方法であって、
    (a)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度を測定するステップであって、
    Figure 2017519989
    (III)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
    前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、又はそれから取得されたリポタンパク質分画である前記ステップと、
    (b)前記ヒト対象から得られた生体サンプル中で、少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定するステップと、
    Figure 2017519989
    (IV)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、
    式中、
    1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    (c)前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度、及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップと、
    (d)前記コントロールサンプルと比較して、前記サンプルが含有する前記少なくとも1つの式IIIのセラミドの濃度が低下しており、且つ前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度が増加している場合には、前記ヒト対象が、治療を必要とする、又はすでに実施されている治療の変更若しくは補充を必要とすると判定するステップと、
    を含む前記方法。
  7. 対象から得られた生体サンプル中で、式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)のうち、その少なくとも1つの濃度を検出する方法。
  8. 式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度を測定するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
  9. 少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度、又は式Iのセラミドの濃度を、コントロールサンプルと比較するステップを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
  10. マススペクトロメトリーを用いて、前記少なくとも1つの式(I)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(II)のセラミドの濃度、又は前記少なくとも1つの式(III)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(IV)のセラミドの濃度が測定される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 直接サンプル注入法又は高性能分離法と連結したマススペクトロメトリー装置を用いて、前記少なくとも1つの式(I)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(II)のセラミドの濃度、又は前記少なくとも1つの式(III)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(IV)のセラミドの濃度が測定される、請求項10に記載の方法。
  12. 少なくとも2つ若しくは少なくとも3つの式(I)のセラミドの濃度、又は少なくとも2つ若しくは少なくとも3つの式(III)のセラミドの濃度が測定される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 少なくとも2つ若しくは少なくとも3つの式(II)のセラミドの濃度、又は少なくとも2つ若しくは少なくとも3つの式(IV)のセラミドの濃度が測定される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1つの式(I)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(II)のセラミドの濃度、又は前記少なくとも1つの式(III)のセラミド及び前記少なくとも1つの式(IV)のセラミドの濃度が、Z=(式Iのセラミド)a/(式IIのセラミド)b、又はZ=(式IIIのセラミド)a/(式IVのセラミド)bの式により求められ、a、b∈Rである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
  15. 式(II)のセラミド、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)の濃度が測定される、請求項1、3、5、及び10から14までのいずれか1項に記載の方法。
  16. 式(I)のセラミド、Cer(d18:1/24:0)の濃度が測定される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記1つ又は複数のCV合併症が、AMI(急性心筋梗塞)、ACS(急性冠状動脈症候群)、脳卒中、又はCV死のうちの1つ又は複数である、請求項1から6、及び10から16までのいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記少なくとも1つの式Iのセラミド及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度、又は前記少なくとも1つの式IIIのセラミド及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定する前に、前記生体サンプルから脂質を抽出するステップを更に含む、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記少なくとも1つの式Iのセラミド及び前記少なくとも1つの式IIのセラミドの濃度を測定する前に、少なくとも1つの同位体標識された式Iのセラミド及び少なくとも1つの同位体標識された式IIのセラミドで、前記生体サンプルをスパイクするステップを更に含む、請求項1、3、5、及び7から18までのいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記少なくとも1つの式IIIのセラミド及び前記少なくとも1つの式IVのセラミドの濃度を測定する前に、少なくとも1つの同位体標識された式IIIのセラミド及び少なくとも1つの同位体標識された式IVのセラミドで、前記生体サンプルをスパイクするステップを更に含む、請求項2、4、6、及び7から18までのいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記少なくとも1つの同位体標識されたセラミドの同位体が、重水素である、請求項19又は20に記載の方法。
  22. CV合併症を予測するための組成物又はキットであって、
    (a)少なくとも1つの同位体標識された式(I)のセラミドと、
    Figure 2017519989
    (I)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜25個を有する飽和アルキル鎖である)
    (b)少なくとも1つの同位体標識された式(II)のセラミドと、
    Figure 2017519989
    (II)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有する飽和、モノ不飽和、若しくはジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個若しくは25個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    を含む前記組成物又はキット。
  23. 前記少なくとも1つの同位体標識された式(II)のセラミドが、Cer(d18:1/16:0)、Cer(d18:1/18:0)、及びCer(d18:1/24:1)である、請求項22に記載の組成物又はキット。
  24. 前記少なくとも1つの同位体標識された式(I)のセラミドが、Cer(d18:1/24:0)である、請求項23に記載の組成物又はキット。
  25. CV合併症を予測するための組成物又はキットであって、
    (a)少なくとも1つの同位体標識された式IIIのセラミドと、
    Figure 2017519989
    (III)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子21〜23個又は25個を有する飽和アルキル鎖である)
    (b)少なくとも1つの同位体標識された式IVのセラミドと、
    Figure 2017519989
    (IV)
    (式中、
    1は、炭素原子13個を有するモノ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である、或いは、
    式中、
    1は、炭素原子15個を有するジ不飽和アルキル鎖であり、
    2は、炭素原子15個若しくは17個を有する飽和アルキル鎖、炭素原子21〜23個を有するモノ不飽和アルキル鎖、又は炭素原子23個を有するジ不飽和アルキル鎖である)
    を含む前記組成物又はキット。
  26. 前記少なくとも1つの同位体標識されたセラミドの同位体が、重水素である、請求項22から25までのいずれか1項に記載の組成物又はキット。
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