JP2017221017A - シールド端末処理方法及びワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
Description
図1(a)において、引用符号1はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載される。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載される(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
図1(a)において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス9は、ハーネス本体21と、このハーネス本体21の両端末にそれぞれ配設されるシールドコネクタ14(外部接続手段)とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス9は、これ自身を所定位置に配索するための図示しない固定部材(例えばクランプ等)と、同じく図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。
図2において、ハーネス本体21は、一本の長尺な導電路22と、この導電路22を収容・保護する外装部材23とを備えて構成される。尚、本実施例のワイヤハーネス9は、バッテリー5及びジャンクションブロック12と、インバータユニット4とを電気的に接続するためのものであることから、ハーネス本体21が二本備えられるものとする(本数は一例であるものとする)。また、外装部材23に関しては、低電圧のワイヤハーネス15を一緒に収容・保護するような構造のものを採用してもよいものとする。
図2及び図3において、導電路22は、導電性の導体24と、この導体24を被覆する絶縁性の絶縁体25と、シールド機能を発揮させるための編組26(シールド部材)とを備えて構成される。すなわち、導電路22は、シースの存在しないものが採用される。導電路22に関し、これにシースが存在しないことから、その分、軽量になると言える(導電路22は長尺であることから、従来例に比べ大幅に軽量化を図ることができる)。
図2において、外装部材23は、絶縁性を有する樹脂の成形にて一本の真っ直ぐな管体形状のものに形成される(使用前は真っ直ぐである)。また、外装部材23は、腹割きなしの形状に形成される(別な言い方をすれば、スリットのない形状に形成される(割チューブでない形状に形成される))。さらに、外装部材23は、導電路22の形状に合わせて断面円形状に形成される。
図2において、可撓管部27は、車両取付形状(ワイヤハーネス配索先の形状。取付対象の形状)に合わせて配置される。また、可撓管部27は、車両取付形状に合わせた長さにも形成される。可撓管部27の長さは一定でなく、車両取付形状に合わせて必要な長さにそれぞれ形成される。このような可撓管部27は、ワイヤハーネス9の梱包状態や輸送時、さらには車両への経路配索時に、それぞれ所望の角度で撓ませることができるように形成される。すなわち、可撓管部27は、撓ませて曲げ形状にすることができるとともに、図示のような真っ直ぐな元の状態(樹脂成形時の状態)に戻すことも当然にできるように形成される。本実施例の可撓管部27は、蛇腹管形状に形成される(一例であるものとする)。
図2において、ストレート管部28は、可撓管部27のような可撓性を持たない部分として形成される。また、ストレート管部28は、梱包状態や輸送時、さらには経路配索時において曲がらない部分としても形成される(曲がらない部分とは、可撓性を積極的に持たせない部分という意味である)。ストレート管部28は、長い直管形状に形成される。このようなストレート管部28の外周面は、凹凸のない形状に形成される(一例であるものとする)。
図2において、シールドコネクタ14は、本発明の特徴部分となるシールド端末処理部分29を備えて構成される。シールドコネクタ14は、導体24を電気的に接続する機能と、シールド端末処理部分29を介して図示しないシールドケース等にアースをする機能とを有する。
図2において、シールド端末処理部分29は、編組26の端末に形成される折り返し部分30に対し、導電性の端末処理手段31を電気的・機械的に接続することにより形成される。シールド端末処理部分29の形成にあたっては、後述する中子37(図3及び図9参照)が用いられる。端末処理手段31は、段付きで環状のシールドリング32と、環状の加締めリング33とを備えて構成される。シールドリング32と環状の加締めリング33は、例えば導電性の金属板をプレス加工することにより形成される。尚、シールド端末処理部分29における引用符号Sは「中子引き抜き後空間」を示す。この中子引き抜き後空間Sについては後述する。
図2及び図4において、シールドリング32は、小径部34と、大径部35と、これらを連結する連結部36とを有して、例えば図示形状に形成される。小径部34は、断面円形状に形成される。また、小径部34は、この内径が後述する中子37(図3及び図9参照)の外径よりも若干大きくなるように形成される。小径部34は、この一端(一端開口縁部)が折り返し部分30の形成の際に曲げ近傍になるように、また、他端は連結部36が連続するように形成される。小径部34の内周面は、中子37の外周面が摺接するような滑らかな面に形成される。小径部34の外周面は、折り返し部分30が被さるような面に形成される。この他、小径部34は、後述する加締めに必要な長さに形成される。尚、大径部35及び連結部36は、後述する加締めや、外装部材23の端部形状に配慮して適宜形成されるものとする。
図2及び図6において、加締めリング33は、断面円形状の部材であって、シールドリング32における小径部34の外周面に被せられた折り返し部分30の外側に配置することができるように形成される。また、加締めリング33は、図示しないアンビル及びクリンパにて挟み込まれて加締めを施すことができるように形成される。
上記構成及び構造において、ワイヤハーネス15は次のようにして製造される(例えば図2参照)。すなわち、ワイヤハーネス9は、全体が略直線状に樹脂成形された絶縁性の外装部材23の一端開口から他端開口へと導電路22を挿通することにより製造される。また、ワイヤハーネス9は、外装部材23の外面所定位置にクランプやグロメット、ブーツ等を取り付けることにより製造される。さらに、ワイヤハーネス9は、導電路22の端末部分にシールドコネクタ14を設けることにより製造される。
図2において、シールド端末処理部分29の形成にあたっては、本発明のシールド端末処理方法が採用される。シールド端末処理方法は、以下で説明する第一工程〜第六工程を順に経る方法である。編組26の端末に端末処理手段31を電気的・機械的に接続すると、シールド端末処理部分29の形成が完了する。
図3において、第一工程では、最外層が編組26となる導電路22を所定長さで準備し、そして、編組26の端末を所定長さで除去する。編組26の端末を所定長さで除去した後は、編組26の外側に環状の中子37を挿通する。中子37の挿通は、導電路22の軸方向に沿って行う。また、中子37の挿通は、後述する折り返し部分30(図5参照)の形成に必要な分を残すような状態で行う。尚、ここで中子37について説明をする。
図3及び図9(a)において、中子37は、後述する加締めの際に必要となる治具であって、上記の如く環状に形成される。このような中子37の材質としては、金属又は硬質の樹脂が採用される。中子37の内周面及び外周面は、それぞれ滑らかな面に形成される。中子37の一端及び他端の開口縁部には、テーパ38が形成される。尚、中子37は、図9(b)に示す如くの環状で二つ割り形状や、図9(c)に示す如くの環状でスリット有りの形状に形成してもよいものとする。図3及び図9(a)の中子37は、後述する加締めを施す際にシールドリング32の変形等を抑えることができるように形成される。
図3及び図4において、第二工程では、中子37の外側にシールドリング32を挿通する。シールドリング32の挿通は、導電路22の軸方向に沿って行う。また、シールドリング32の挿通は、導電路22の端部の側に小径部34の一端が向くような状態に行う。さらに、シールドリング32の挿通は、中子37の一端と小径部34の一端とが同じ面位置になるように行う。
図4及び図5において、第三工程では、中子37及びシールドリング32のそれぞれの一端開口縁部近傍で編組26を折り返すとともに、この折り返しにより形成される折り返し部分30をシールドリング32における小径部34の外周面上に配置する。
図5及び図6において、第四工程では、折り返し部分30の外側に加締めリング33を挿通する。加締めリング33の挿通は、導電路22の軸方向に沿って行う。
図6及び図7において、第五工程では、加締めリング33の外側から中子37に向けて力を加えて加締めを施す。加締めを施した状態では、折り返し部分30がシールドリング32と加締めリング33とにより挟み込まれ、その結果、電気的・機械的に接続される。加締めを施すことにより生じる力は、中子37にて受けられる。そのため、導体24や絶縁体25に対して負荷が掛かってしまうことはない。
図7及び図8において、第六工程では、中子37の取り外しをする。具体的には、中子37を導電路22の軸方向に沿って引き抜くようにする。中子37の取り外しが完了すると、シールドリング32の小径部34及び編組26の間には、中子引き抜き後空間Sが形成される。取り外した中子37は、使い回しをすることができる。
以上、図1ないし図9を参照しながら説明してきたように、本発明のワイヤハーネス9や、シールド端末処理方法によれば、導電路22としてシースの存在しないものを採用することができる。また、本明細書の課題の欄で挙げたシース代替部材112(図12参照)を用いなくともシールド端末処理をすることができる。すなわち、シールド端末処理部分29を形成することができる。この他、本発明では、シールド端末処理をするにあたり、使い回しができる中子37を採用することから、上記シース代替部材112を用いなくても済む。従って、本発明によれば、コストダウンに寄与するシールド端末処理方法及びワイヤハーネス9を提供することができるという効果を奏する。
Claims (3)
- 導電路の最外層として設けられる導電性のシールド部材に対して、環状のシールドリングと環状の加締めリングとを含む導電性の端末処理手段を電気的・機械的に接続するにあたり、
第一工程では、前記シールド部材の外側に前記導電路の軸方向に沿って環状の中子を挿通し、
第二工程では、前記中子の外側に前記軸方向に沿って前記シールドリングを挿通し、
第三工程では、前記中子及び前記シールドリングのそれぞれの一端開口縁部近傍で前記シールド部材を折り返すとともに該折り返し部分を前記シールドリングの外周面上に配置し、
第四工程では、前記折り返し部分の外側に前記軸方向に沿って前記加締めリングを挿通し、
第五工程では、前記加締めリングの外側から前記中子に向けて力を加えて加締めを施し、
第六工程では、前記中子を前記軸方向に沿って引き抜いて取り外しをする
ことを特徴とするシールド端末処理方法。 - 請求項1に記載のシールド端末処理方法において、
前記中子として、前記加締めの際に前記シールドリングの変形を抑える構造、又は、前記シールドリングの変形に伴い前記中子自身が縮径する構造のものを採用する
ことを特徴とするシールド端末処理方法。 - 導電性のシールド部材を有する導電路と、該導電路を収容保護する管体形状の外装部材と、前記シールド部材の端末に設けられる導電性の端末処理手段とを含むワイヤハーネスにおいて、
前記導電路は、前記シールド部材を最外層として構成され、
前記シールド部材は、該シールド部材を折り返して前記端末に折り返し部分が形成され、
前記端末処理手段は、前記端末における前記シールド部材及び前記折り返し部分の間に一部が配置されるシールドリングと、該シールドリングの前記一部及び前記折り返し部分の外側に配置されて加締めの対象になる加締めリングとを含んで構成され、且つ、前記シールドリングの前記一部及び前記シールド部材の間には、前記加締めの際に用いられる中子に係り、該中子を引き抜いた後に生じる中子引き抜き後空間が形成される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
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