JP2017178153A - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、エアバッグ装置には、特許文献1のように乗員の前側から後向きに展開するフロントエアバッグがある。フロントエアバッグは、たとえば車両が前方から衝突する場合に展開され、前方衝突の際に前へ移動しようとする乗員を受け止めて支える。
また、特許文献2のように車両の側面内側に沿って前後方向に展開するカーテンエアバッグがある。カーテンエアバッグは、たとえば車両の側方から衝突があった場合に展開され、側方衝突の際に車幅方向外側へ向かって移動しようとする乗員を受け止めて支える。
また、カーテンエアバッグの下側において、車両の側面内側と乗員との間で展開するサイドエアバッグがある。サイドエアバッグは、カーテンエアバッグとともに、側方衝突の際に車幅方向外側へ向かって移動しようとする乗員を受け止めて支える。
しかも、本発明では、抱込エアバッグは、シートに着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換する。よって、シートに乗員が着座している状態でも、その乗員の脇下から前へ展開し、さらに上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る自動車1の側面透視図である。自動車1は、車両の一例である。図1には、この他にも自動車1の前を走行する他の自動車1が図示されている。
図2(B)には、シート5に着座した乗員の外側において、前後方向に沿ってカーテンエアバッグ17を展開するカーテンエアバッグ装置16と、カーテンエアバッグ17の下側で前後方向に沿ってサイドエアバッグ22を展開するサイドエアバッグ装置21と、が図示されている。カーテンエアバッグ装置16の本体18は、たとえばルーフレールに配置される。カーテンエアバッグ装置16は、AピラーからCピラーまでの範囲で、窓ガラスに沿って展開する。サイドエアバッグ装置21の本体23は、たとえばシート5の背部の外側部分に配置される。サイドエアバッグ装置21は、シート5の背部の外側部分から前へ向かってサイドエアバッグ22を展開する。カーテンエアバッグ17およびサイドエアバッグ22が、シート5に着座した乗員の車幅方向外側で展開することにより、たとえば側方からの衝突の際に車幅方向外側へ移動しようとする乗員を受け止めたり、乗員とドアとの間の空間を確保したりできる。
図2(C)には、フロントエアバッグ装置11と、サイドエアバッグ装置21とが図示されている。フロントエアバッグ12およびサイドエアバッグ22が、シート5に着座した乗員の前側および車幅方向外側で展開することにより、たとえば斜め前方からの衝突の際に前斜め外側へ移動しようとする乗員を受け止めて支えることができる。
このように、自動車1では、複数の衝突形態に対応するために、複数のエアバッグを設けている。エアバッグの個数は、対処しようとする衝突形態の数に応じて、略比例的に増加している。今後衝突安全基準が強化されたり見直されたりすることにより、より多くのエアバッグを、設ける必要に迫られる。
このため、自動車1では、エアバッグの個数増加を抑制しつつ、複数の衝突形態に対処できるようにすることが求められている。
右エアバッグ装置の本体33は、たとえばシート5の背部の右側に配置される。本体33は、シート5の座部の右側部分に配置されてもよい。ここで、右側は、車幅方向内側である。
右側の抱込エアバッグ32は、略U字形状に湾曲した展開形状を有する。抱込エアバッグ32は、本体33から前へ向かって展開し、略U字形状が上側となり、かつ略U字形状によるU字凹部が後向きとなる姿勢に展開する。
左エアバッグ装置の本体33は、たとえばシート5の背部の左側部分に配置される。本体33は、シート5の座部の左側部分に配置されてもよい。
左側の抱込エアバッグ32の形状および展開状態は、右側のものと同様であり説明を省略する。
図5の抱込エアバッグ32は、袋体34、第一圧力弁38、第二圧力弁39、を有する。
袋体34は、長尺部35、短尺部36、および突起部37を有する。長尺部35と短尺部36とは、略L字形状に連結される。突起部37は、短尺部36の先端から突出する。袋体34の全体は、略J字に湾曲した形状となる。
第一圧力弁38は、短尺部36についての長尺部35との連結部分に設けられる。これにより、袋体34の内部を、長尺部35と、それ以外の残部とに仕切ることができる。
第二圧力弁39は、突起部37についての短尺部36との連結部分に設けられる。これにより、袋体34の内部において、短尺部36と突起部37とを仕切ることができる。
図6(A)に示すように、抱込エアバッグ32では、まず、長尺部35が、乗員の後側から前側に至るように前後方向へ展開する。
そして、長尺部35が十分に前へ伸長してその内圧が高くなると、第一圧力弁38が開き、短尺部36が上へ展開する。抱込エアバッグ32の展開方向が前側から上側へ転換する。
さらに、短尺部36が十分に上へ伸長してその内圧が高くなると、第二圧力弁39が開き、突起部37が後向きに展開する。
このように、本実施形態の抱込エアバッグ32は、長尺部35、短尺部36、突起部37の順番で展開し、最終的には図5に示すように略J字形状に展開する。よって、図3に示すように、シート5に着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換することができる。また、最終的には、シート5に着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する湾曲した形状に展開できる。
しかも、本実施形態では、抱込エアバッグ32は、シート5に着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換する。よって、シート5に乗員が着座している状態でも、その乗員の脇下から前へ展開し、さらに上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開することができる。
第2実施形態に係る乗員の保護装置は、第1実施形態のものと基本的に同様である。よって、第1実施形態と共通する部分については同一の名称及び符号を用いて、その説明を省略する。以下の説明では、主に、相違点について説明する。
図8は、図7の抱込エアバッグ32の動作の説明図である。
袋体34は、長尺部35、短尺部36、および突起部37を有する。全体として、略J字状に湾曲した形状を有する。
テザー40は、袋体34の上部の第一位置と袋体34の下部の第二位置とを連結する。第一位置は、長尺部35と短尺部36との連結部分の上部である。第二位置は、短尺部36の下部である。この場合、第二位置は、図8(A)に示すように、シート5に着座した乗員の上体の後側から前へ展開した状態の袋体34において、第一位置より前側(先端側)に位置する。
さらに、抱込エアバッグ32が展開すると、図8(B)に示すように、テザー40は、第一位置と第二位置との間で延び切る。
さらに、抱込エアバッグ32が展開すると、伸長し切ったテザー40により、第二位置が第一位置の周囲で回転するように抱込エアバッグ32は展開する。すなわち、袋体34の展開方向は、前側から上側へ転換する。そして、最終的には、図8(C)に示すように、略J字形状に展開する。
よって、本実施形態の抱込エアバッグ32は、図3に示すように、シート5に着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換することができる。また、最終的には、シート5に着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する湾曲した形状に展開できる。
この他にもたとえば、袋体34は、図8(A)のように、シート5に着座した乗員の上体の後側から前へ直線状に延在する形状でもよい。または、略J字状に湾曲した形状と直線状の形状との間の形状でもよい。これらの形状であっても、テザー40により、抱込エアバッグ32の展開方向を前側から上側へ転換することができる。
第3実施形態に係る乗員の保護装置は、第1実施形態のものと基本的に同様である。よって、第1実施形態と共通する部分については同一の名称及び符号を用いて、その説明を省略する。以下の説明では、主に、相違点について説明する。
図10は、図9の抱込エアバッグ32の動作の説明図である。
袋体34は、直線状の棒状展開部41と、棒状展開部41の先端上側に設けられた突起部37と、を有する。
異伸長部42は、袋体34の棒状展開部41の上面中央部に設けられる。本実施形態の異伸長部42は、袋体34の他の部分よりも伸長し難く形成される部分である。たとえば異伸長部42の繊維の太さや編み密度を、他の部分より大きくすることにより、異伸長部42は他の部分より伸長し難くなる。
さらに、抱込エアバッグ32の内圧が高くなると、抱込エアバッグ32はさらに展開しようとする。この際、異伸長部42の反対側の下部が、異伸長部42が設けられた上部より広がる。その結果、図10(B)に示すように、袋体34についての直線状の棒状展開部41は、上側へ屈曲する。すなわち、抱込エアバッグ32の展開方向は、前側から上側へ転換する。抱込エアバッグ32は、略J字形状に展開する。
よって、本実施形態の抱込エアバッグ32は、図3に示すように、シート5に着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換することができる。また、最終的には、シート5に着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する湾曲した形状に展開できる。
この他にもたとえば、袋体34は、図8(B)のように、略J字状に湾曲した形状でもよい。または、略J字状に湾曲した形状と直線状の形状との間の形状でもよい。これらの形状であっても、異伸長部42を設けることにより、抱込エアバッグ32の展開方向を前側から上側へ転換することができる。
この他にもたとえば、異伸長部42は、袋体34の他の部分よりも伸長し易く形成される部分である。たとえば異伸長部42の繊維の太さや編み密度を、他の部分より小さくすることにより、異伸長部42は他の部分より伸長し易くなる。
さらに他にもたとえば、伸長し難い異伸長部42を、袋体34の棒状展開部41の上面中央部に設けるとともに、伸長し易い異伸長部42を、袋体34の棒状展開部41の下面中央部に設けてもよい。
第4実施形態に係る乗員の保護装置は、第1実施形態のものと基本的に同様である。よって、第1実施形態と共通する部分については同一の名称及び符号を用いて、その説明を省略する。以下の説明では、主に、相違点について説明する。
図12は、図11の抱込エアバッグ32の動作の説明図である。
第一袋体43は、直線状の棒状展開部41と、棒状展開部41の先端上側に設けられた突起部37と、を有する。
第二袋体44は、第一袋体43の棒状展開部41の下側において一体的に設けられる。なお、第二袋体44が第一袋体43の棒状展開部41より長尺に形成されて、第二袋体44についての本体側の後端が、第一袋体43の棒状展開部41の本体側の後端より後側へ延長されていてもよい。
また、抱込エアバッグ32が展開される本体33は、シート5の背部に対して、第一袋体43の高さ位置で、前後方向に回転可能に設けられる。
次に、抱込エアバッグ32では、第二袋体44が展開する。これにより、抱込エアバッグ32は、その先端が上へ移動するように全体的に上へあがる。本体33は回転する。前へ展開した第一袋体43は、上側へ移動する。その結果、図12(B)に示すように、抱込エアバッグ32の展開方向は、前側から上側へ転換する。抱込エアバッグ32は、略L字形状に展開することになる。
よって、本実施形態の抱込エアバッグ32は、図3に示すように、シート5に着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換することができる。また、最終的には、シート5に着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する湾曲した形状に展開できる。
この他にもたとえば、第一袋体43は、略J字状に湾曲した形状でもよい。または、略J字状に湾曲した形状と直線状の形状との間の形状でもよい。これらの形状であっても、第一袋体43の下側に第二袋体44を一体化させることにより、抱込エアバッグ32の展開方向を前側から上側へ転換することができる。
2…前室
3…乗員室
4…後室
5…シート
11…フロントエアバッグ装置
12…フロントエアバッグ
13…本体
16…カーテンエアバッグ装置
17…カーテンエアバッグ
18…本体
21…サイドエアバッグ装置
22…サイドエアバッグ
23…本体
31…羽交締エアバッグ装置
32…抱込エアバッグ
33…本体
34…袋体
35…長尺部
36…短尺部
37…突起部
38…第一圧力弁
39…第二圧力弁
40…テザー
41…棒状展開部
42…異伸長部
43…第一袋体
44…第二袋体
51…撮像デバイス
52…加速度センサ
53…速度センサ
54…ブレーキ操作センサ
55…角速度センサ
56…ベルト張力センサ
57…ベルト巻取量センサ
58…着座センサ
59…タイマ
60…制御部
Claims (6)
- 車両に乗車した乗員が着座するシートと、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に展開する抱込エアバッグを有するエアバッグ装置と、
を有し、
前記抱込エアバッグは、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から脇下または側面の近くを通過して前側に展開を開始し、その後に上腕またはその周辺部位の前側へ向けて展開方向を上側へ転換する、
車両の乗員保護装置。 - 前記抱込エアバッグは、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する屈曲または湾曲した形状を有する袋体と、
前記袋体の内部を、少なくとも前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ展開する部分と残部とに仕切る圧力弁と、
を有し、
前記圧力弁が圧力上昇により開くことにより、前記袋体の展開方向が前側から上側へ転換する、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記抱込エアバッグは、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する屈曲または湾曲した形状、前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ直線状に延在する形状、若しくはそれらの中間の形状を有する袋体と、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ展開した状態の前記袋体において、前記袋体の上部の第一位置と前記袋体の下部の第二位置とを連結するテザーと、
を有し、
前記第二位置は、前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ展開した状態の前記袋体において、前記第一位置より前側に位置し、
前記テザーにより前記第二位置が前記第一位置の周囲で回転することにより、前記袋体の展開方向が前側から上側へ転換する、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記抱込エアバッグは、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する屈曲または湾曲した形状、前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ直線状に延在する形状、若しくはそれらの中間の形状を有する袋体と、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ展開した状態の前記袋体において、前記袋体の下部より上部が伸長し難くなるように前記上部および前記下部の少なくとも一方に設けられた異伸長部と、
を有し、
前記異伸長部により前記袋体の上部より下部が伸長することにより、前記袋体の展開方向が前側から上側へ転換する、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記抱込エアバッグは、
前記シートに着座した乗員の上体の後側から前に回り込んで上腕またはその周辺部位の前側に達する屈曲または湾曲した形状、前記シートに着座した乗員の上体の後側から前へ直線状に延在する形状、若しくはそれらの中間の形状を有する第一袋体と、
前記第一袋体の下側において一体化して前後方向に展開する第二袋体と、
を有し、
前記第一袋体よりも後から前記第二袋体を展開することにより、前へ展開した前記第一袋体が上側へ移動する、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記エアバッグ装置は、前記シートに着座した乗員の左右に一対で設けられ、左右の肩、左右の鎖骨、または左右の上腕の前側に回り込んで羽交い締めする、
請求項1から5のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。
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