JP2017177479A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリイミド基材とハードコート層とを有する積層体において、ハードコート層を形成する際の基材の反りが抑えられ、耐クラック性、透明性、耐熱性、表面硬度等に優れた積層体を提供する。
【解決手段】下記層(A)と下記層(B)とを有する積層体による。
層(A):ポリイミド樹脂(A−1)からなる層
層(B):(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(1)で表される構造を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物及び/又はその硬化物からなる層
Figure 2017177479

【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド基材とハードコート層とを有する積層体に関する。
ポリイミドは、耐熱性、機械物性、耐薬品性、電気特性等の点において、特に優れた特性を有しているために、自動車、航空宇宙産業、電気、電子、電池等の分野において使用されている。
通常のポリイミドは一般的に、耐熱性に優れるという特長を有する一方で、全芳香族骨格を有するため、成形品が着色する。このため、透明性が要求される用途では使用できない等の問題点がある。そこで、透明性を改善するために、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び/又は脂肪族系ジアミンを用いた透明ポリイミドが開発されている(例えば、特許文献1〜3)。
特開平8−104750号公報 特開2005−15629号公報 国際公開2014/98042号
特許文献1〜3に記載されているような透明ポリイミドを用いた成型物はガラスに比べ表面硬度が低いため傷付きやすく、その樹脂が持つ本来の透明性や外観が著しく損なわれるという欠点があり、耐傷付性が必要とする分野における透明ポリイミド基材の使用には困難がある。このため、透明ポリイミド基材の表面に耐摩耗性を付与するハードコート材(被覆材)が求められる。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のプラスチック基材に対するハードコート材として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等に代表される多官能(メタ)アクリレートをマトリックス成分とするアクリル系ハードコートが広く用いられている。
PET、PC、PMMA等のプラスチック基材にアクリル系ハードコート材使用する場合、紫外線等の活性エネルギー線により多官能(メタ)アクリレートを硬化させた際の重合熱によって基材が軟化し、ハードコート層の収縮応力が緩和される。このため、これらのプラスチック基材を用いる場合には塗膜の割れ(クラック)と積層体の変形(反り)が顕在化しなかった。これに対し、本発明者等の詳細な検討により、ポリイミドを基材とした場合、前述のアクリル系ハードコート材を塗工すると、基材の耐熱性の高さから前述の収縮応力の緩和が起こらず、その結果、ハードコート層にクラックが発生し、さらに積層体の反りが大きくなりすぎるという問題が見出された。
即ち本発明の課題は、ポリイミド基材とハードコート層とを有する積層体において、ハードコート層を形成する際の基材の反りが抑えられ、耐クラック性、透明性、耐熱性、表面硬度等に優れた積層体を提供することにある。
本発明は以上の諸問題点を鑑みてなされたものである。本発明者等が鋭意検討した結果、ポリイミドからなる層と、特定の構造を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む硬化性組成物の硬化物からなる層とを有する積層体により、積層体表面のクラックと変形を発生させることなく、透明性、耐熱性、表面硬度等に優れた積層体を提供できることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[7]の通りである。
[1] 下記層(A)と下記層(B)とを有する積層体。
層(A):ポリイミド樹脂(A−1)からなる層
層(B):(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(1)で表される構造を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物及び/又はその硬化物からなる層
Figure 2017177479
[2] ポリイミド樹脂(A−1)が200℃未満にガラス転移温度を有さない、請求項[1]に記載の積層体。
[3] ポリイミド樹脂(A−1)を30μmのフィルムとしたときの全光線透過率が75%以上である、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] ポリイミド樹脂(A−1)が脂環族構造及びフルオロアルキル基のうちの少なくとも一方を有するものである、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 層(A)の厚みが10〜300μmである、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 層(B)の厚みが1〜100μmである、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] [1]乃至[6]のいずれか1つに記載の積層体からなるディスプレイ用保護フィルム。
本発明によれば、ポリイミド基材とハードコート層とを有する積層体において、ハードコート層を形成する際の基材の反りが抑えられ、耐クラック性、透明性、耐熱性、表面硬度等に優れた積層体が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」という表現を用いる場合、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとし、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」等の表現を用いる場
合についても同様である。
〔積層体〕
本発明の積層体は、下記層(A)と下記層(B)とを有するものである。
層(A):ポリイミド樹脂(A−1)からなる層
層(B):(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(1)で表される構造を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物及び/又はその硬化物からなる層
Figure 2017177479
本発明の積層体は、透明性、耐クラック性に優れ、硬化時における層(A)のポリイミド基材の反りが抑えられるという効果を奏する。これは、耐クラック性については、本発明に用いる硬化性組成物が水酸基を含む特定の構造を有する化合物を含むことにより収縮応力が小さくなるためであると考えられる。また、基材の反りについては、硬化性組成物が水酸基を含む特定の構造を有する化合物を含むことにより、ポリイミド樹脂の基材とハードコート層の吸湿膨張率が近接するためであると考えられる。
[層(A)]
本発明の積層体における層(A)はポリイミド樹脂(A−1)からなる層である。
<ポリイミド樹脂(A−1)>
(化学構造)
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)はイミド構造の繰り返し単位を有するものであれば特に制限されない。
ポリイミド樹脂(A−1)は通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを原料として用い、ポリアミック酸溶液をイミド化することにより得ることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−11,2−ジカルボン酸無水物、トリシクロ[6.44.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、
4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’、5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、鎖状脂肪族ジアミン化合物、脂環式ジアミン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ノルボルナンジアミン、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5−トリフルオロメチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2−トリフルオロメチル−p−フ
ェニレンジアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−ジアミノナフタレン、及び3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタンジアミン、及び2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
脂環式ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、及び4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)は脂環式構造及びフルオロアルキル基のうちの少なくとも一方を有するものであることが層(A)の透明性、引いては本発明の積層体の透明性の観点から好ましい。
ポリイミド樹脂(A−1)に脂環式構造を導入する方法としては、上述の脂環式テトラカルボン酸二無水物及び/又は脂環式ジアミン化合物を用いる方法が挙げられる。
ポリイミド樹脂(A−1)にフルオロアルキル基を導入する方法としては、上述の2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’、5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)−ジフタル酸二無水物等のフルオロアルキル基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いる方法及び/又は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5−トリフルオロメチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2−トリフルオロメチル−p−フェニレンジアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、2,7−ジアミノフルオレン等のフルオロアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物を用いる方法が挙げられる。
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)は特に、下記式(2)又は(3)で表される化学構造を有することが透明性の観点から好ましい。
Figure 2017177479
上記(2)中、Rは下記式(2−1)〜(2−3)から選ばれる4価の有機基であり、Rは2価の有機基である。Rは原料として該当するテトラカルボン酸二無水物に由来して導入される有機基であり、また、Rは原料として用いるジアミン化合物に由来して導入される有機基である。
Figure 2017177479
上記式(3)中、Rは4価の有機基であり、Rは下記式(3−1)〜(3−5)から選ばれる2価の有機基である。式(3)で表される化学構造を有すると透明性が良好であるために好ましい。Rは原料として用いるテトラカルボン酸二無水物に由来して導入される有機基であり、また、Rは原料として該当するジアミン化合物に由来して導入される2価の有機基である。
上記式(2)中、Rの2価の有機基としては、上記式(3−1)〜(3−5)から選ばれる有機基の他に下記式(4−1)〜(4−6)から選ばれる2価の有機基等が挙げられる。
Figure 2017177479
上記式(2)中、Rの4価の有機基としては、上記式(2−1)〜(2−3)から選ばれる4価の有機基の他に下記式(5−1)及び(5−2)から選ばれる4価の有機基等が挙げられる。
Figure 2017177479
(製造方法)
ポリイミド樹脂(A−1)の製造方法に、特に制限はなく、従来公知のイミド化方法が使用できる。例えば、有機溶媒中、上述のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を加熱脱水ないし脱水試薬によりイミド化反応を行う方法、有機溶媒中、当該テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をアミド化反応させて得られるポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得た後、該前駆体を加熱脱水ないし脱水試薬によりイミド化反応を行う方法等が挙げられる。
ここで用いることのできる脱水試薬としては、公知の試薬が使用できるが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水トリフルオロ酢酸、無水クロロ酢酸等の酸無水物が挙げられる。これらは1種のみで用いることも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を有機溶媒中で反応させる方法は特に限定されない。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法も特に限定されない。例えば、有機溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリイミドないしポリアミック酸を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.7モル以上、好ましくは0.8モル以上であり、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。ジアミン化合物をこのような範囲とすることで、高重合度のポリイミドないしポリアミック酸が得られ、製膜性、造膜性が向上する傾向にある。
有機溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件や得られるポリイミド前駆体の粘度に応じで適宜設定できる。
テトラカルボン酸二無水及びジアミン化合物の合計重量は、特に制限はないが、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物及び溶媒を含む溶液全量に対し、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下である。この濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスを得ることができる。一方、1重量%未満で重合を行う場合、ポリイミドないしポリアミック酸の重合度が十分高くならず、最終的に得られるポリイミド樹脂が脆弱になる場合がある。また、70重量%より高濃度で重合を行うと溶液粘度が増大し、撹拌が困難になる場合がある。
溶液中でポリイミドを得る場合、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させる温度は、反応が進行する温度であれば、特に制限はないが、通常20℃以
上、好ましくは40℃以上であり、通常240℃以下、好ましくは220℃以下である。反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは42時間以下である。このような条件で行うことにより、低コストで収率よくポリイミドを得ることができる傾向にある。
反応時の圧力は、常圧、加圧、又は減圧のいずれかでもよい。雰囲気は空気下でも不活性雰囲気下でも良いが、不活性雰囲気の方が得られるポリイミド樹脂の透明性、引いては本発明の積層体の透明性の観点から好ましい。
溶液中でポリアミック酸を得る場合、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を溶媒中で反応させる温度は、反応が進行する温度であれば、特に制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、通常120℃以下、好ましくは100℃以下である。 反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは42時間以下である。このような条件で行うことにより、低コストで収率よくポリアミック酸を得ることができる傾向にある。反応時の圧力は、常圧、加圧又は減圧のいずれでもよい。雰囲気は空気下でも不活性雰囲気下でもよいが、不活性雰囲気の方が得られるポリイミド樹脂の透明性、引いては本発明の積層体透明性の観点から好ましい。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させる際に用いる有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホン系溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等の複素環系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の反応性を高めるために、有機アミン化合物を触媒として用いてもよい。有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の第3級アルキルアミン類;トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン類;トリエチレンジアミン等のアルキレンジアミン類;ピリジン等のピリジン類;N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン等のピロリジン類;N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン等のピペリジン類;イミダゾール等のイミダゾール類;キノリン、イソキノリン等のキノリン類等が挙げられる。
得られたポリイミドないしポリアミック酸は、そのままワニスとして用いてもよく、また貧溶媒中に添加することで固体状に析出させてポリイミドないしポリアミック酸前駆体組成物として得ることもできる。用いる貧溶媒は特に制限は無く、ポリイミドないしポリイミド前駆体の種類によって適宜選択し得るが、ジエチルエーテル又はジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。中でも、メタノール、イソプロピルアルコール等
のアルコール系溶媒が効率良く析出物が得られ、沸点が低く乾燥が容易となる傾向にあるため好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基等を有する化合物を用いることにより架橋構造を形成してもよい。
貧溶媒に析出して得られたポリイミドないしポリアミック酸を溶媒に再溶解させてポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスとして用いることもできる。
本発明に用いるポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスは、塗布性付与、加工特性付与、各種機能付与等の観点から界面活性剤、消泡剤、有機顔料、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、帯電防止剤等を含有してもよい。
(ポリイミド基板の作成)
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)は、公知の方法で成形することができる。例えば、(A)塗工基板上にポリイミドワニスをフィルム状またはシート状に塗布した後、該ワニスから有機溶媒を除去して、フィルム状またはシート状のポリイミド樹脂に成形する方法、(B)塗工基板上にポリアミック酸ワニスをフィルム状またはシート状に塗布した後、該ワニスから有機溶媒を除去し、次いで加熱脱水ないし脱水試薬によりイミド化して、フィルム状またはシート状のポリイミド樹脂に成形する方法、(C)溶媒を除去したポリイミド組成物を溶融押出成形法、射出成形法、圧縮成型法、熱プレス法等により、フィルム状またはシート状のポリイミド樹脂に成形する方法を用いることが可能である。
ポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスを塗布する塗工基板としては、特に制限されないが、ガラス基板、SUS等の金属基板あるいは金属ベルト、ポリイミド等のプラスチックフィルム等を用いることが可能である。
ポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスの塗布方法としては、従来公知の方法が適用でき、特に制限されるものではないが、例えば、スピンコート法、ダイコート法、フローコート法、ディップコート法、キャスティング法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
このようにして形成される層(A)の厚みは、得られる積層体の機械的強度の観点からは厚い方が好ましく、靱性の観点からは薄い方が好ましい。従って、層(A)の厚みは、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは15μm以上であり、更に好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上であり、一方、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは150μm以下であり、特に好ましくは100μm以下である。
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)は200℃未満にガラス転移温度を有さないことが好ましい。また、ポリイミド樹脂(A−1)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは230℃以上であり、特に好ましくは250℃以上である。ガラス転移温度が上記下限値以上であることが耐熱性の観点から好ましい。一方、ガラス転移温度の上限については特に制限されないが、通常、500℃以下である。なお、本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)のガラス転移温度は、後掲の実施例に示すようにDMS法(動的熱機械測定装置)により測定することができる。
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)は30μmの厚みとしたときの全光線透過率
は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上である。全光線透過率が上記下限値以上であることが、ポリイミド樹脂、引いては本発明の積層体透明性の観点から好ましい。
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10.000以上であり、より好ましくは30,000以上である。一方、より好ましくは1,000,000以下であり、より好ましくは700,000以下である。ポリイミドの重量平均分子量が上記下限値以上であるとポリイミド成形体としたときの靱性の観点で好ましく、一方、上記上限以下であるとワニスや樹脂の流動性、成型性の観点で好ましい。なお、本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)の線熱膨張係数(CTE)は、100〜200℃の範囲において100ppm/℃以下であることが好ましく、70ppm/℃以下であることがより好ましい。線熱膨張係数が上記上限値以下であることが、寸法安定性の高いポリイミド成形体が製造できる点で好ましい。なお、本発明に用いるポリイミド樹脂(A−1)の線熱膨張係数は、熱機械分析(TMA)により測定することができる。
[層(B)]
本発明の積層体における層(B)は(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(1)で表される構造を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物及び/又はその硬化物からなる層である。
<化合物(B−1)>
層(B)の硬化性組成物に用いる化合物(B−1)は、(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(1)で表される構造を有するものであれば特に制限されないが、(メタ)アクリロイル基の数が2個以上であることが硬化性組成物の硬化性の観点から好ましく、より好ましくは3個以上であり、通常10個以下である。
Figure 2017177479
上記式(1)で表される構造はエポキシ基とカルボキシル基とが反応した構造である。即ち、下記式(1−1)の反応により得ることができる。なお、式(1−1)中、R及びR’はそれぞれ独立して有機基を示すものである。
Figure 2017177479
化合物(B−1)を得る方法としては例えば、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物と、エポキシ基を有する化合物とを反応させて得る方法が挙げられる
。式(1)で表される化学構造は通常、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。
式(1)の構造を有する化合物を得るために用いることのできるエポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグルシジル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を原料として得られるエポキシ基を有するアクリル系ポリマー、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ここで用いるエポキシ基を有する化合物はエポキシ基を2個以上有することが好ましく、3個以上有することがより好ましい。
また、式(1)の構造を有する化合物を得るために用いることのできる(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物が好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。これらは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<化合物(B−2)>
層(B)の硬化性組成物には、必要に応じて化合物(B−1)以外の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物(B−2)を用いてもよい。化合物(B−2)を含有することにより、硬化性、耐傷付性等を向上させることができる。
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)ジアクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスエリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロ
パンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;これらの(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物の変性物;イソシアヌレート構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の窒素原子含有複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート;デンドリマー構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ハイパーブランチ構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の多分岐樹脂状構造を有する多官能(メタ)アクリレート;ジイソシアネートまたはトリイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリレートが付加したウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(B)の硬化性組成物において、化合物(B−2)を用いる場合、その含有量は化合物(B−1)と化合物(B−2)との合計量に対して通常、80重量%以下であり、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは20重量%以下である。
<光重合開始剤>
本発明に用いる硬化性組成物は、硬化性を向上させるため、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては例えば、光ラジカル発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
硬化性組成物に用いることのできる光重合開始剤のうち、光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「イルガキュア(登録商標)184」、BASF製]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾフェノン及びその各種誘導体;ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル等のギ酸誘導体等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの光ラジカル発生剤の中でも、硬化物の耐光性の観点から、好ましいのはアセトフェノン類、ホスフィンオキシド類、ギ酸誘導体であり、更に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ベンゾイルギ酸メチルであり、特に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルギ酸メチルである。
光酸発生剤としては公知のものが使用可能であるが、中でもジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が硬化性、酸発生効率等から好ましい。具体例を挙げると、ジ(アルキル置換)フェニルヨードニウムのアニオン塩(具体的にはPF塩、SbF塩、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート塩等)が例示できる。(アルキル置
換)フェニルヨードニウムのアニオン塩の具体例としては、ジアルキルフェニルヨードニウムのPF塩[商品名「イルガキュア(登録商標)250」、BASF製]が特に好ましい。これらの光酸発生剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせてもよい。
硬化性組成物が光重合開始剤を含む場合、その含有量は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計100重量部に対して、硬化性を向上させる観点から、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部以上である。一方、硬化性組成物を溶液としたときの液の安定性を維持する観点から、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは8重量部以下である。
<有機溶媒>
硬化性組成物を調整する際には、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、硬化性組成物に含まれる成分の種類等を考慮して適宜選択することができる。用いることができる有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
これらの有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
有機溶媒の使用量には特に制限はなく、調製される硬化性組成物の塗布性、液の粘度・表面張力、固形分の相溶性等を考慮して適宜決定される。硬化性組成物は、上述の溶媒を用いて、好ましくは固形分濃度が20〜95重量%、より好ましくは30〜80重量%の塗液として調製される。ここで、硬化性組成物における「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。
<その他の成分>
本発明における硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、化合物(B−1)、(B−2)、有機溶媒及び重合開始剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、反応性希釈剤(ただし、化合物(B−1)及び化合物(B−2)に該当するものは除く。)帯電防止剤、有機顔料、有機粒子、無機粒子、レベリング剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。
<硬化性組成物の製造方法>
層(B)に用いる硬化性組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、化合物(A)、及び必要により適宜、化合物(B−2)、有機溶媒、重合開始剤、その他の成分等を混合することにより得ることができる。各成分の混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一に混合することが好ましい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は特に制限されないが、例えば、層(A)上に層(B)の硬化性組成物を硬化させることで得ることができる。なお、本発明の積層体は、層(A)の一方の面にのみ層(B)が形成されていてもよく、両面に層(B)が形成されていてもよい。
例えば、層(B)は、硬化性組成物を層(A)上に塗布し、必要に応じて40〜100℃程度で乾燥させた後、これに上記の硬化条件となるように、活性エネルギー線を照射して形成することができる。これらの硬化性組成物を層(A)上に塗布する方法としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
本発明の積層体において、硬化性組成物を硬化させる際に用いることのできる活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化防止の観点から好ましいのは紫外線及び電子線である。
本発明の積層体を製造する際、硬化性組成物を紫外線照射により硬化させる場合には、種々の紫外線照射装置を用いることができ、その光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED−UVランプ等を使用することができる。紫外線の照射量(単位はmJ/cm)は、通常10〜10,000mJ/cmであり、硬化性組成物の硬化性、硬化物(硬化膜)の可撓性等の観点から好ましくは15〜5,000mJ/cmであり、より好ましくは20〜3,000mJ/cmの範囲で、各硬化工程で必要とされるアクリロイル基の反応率に応じて適宜決定される。
また、本発明の積層体を製造する際、硬化性組成物を電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量(Mrad)は、通常、0.5〜20Mradであり、硬化性組成物の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の観点から好ましくは1〜15Mradの範囲で、各硬化工程で必要とされるアクリロイル基の反応率に応じて適宜決定される。
層(B)の形成において、硬化性組成物の塗布、硬化を1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回繰り返すと、積層体の反りの防止の観点からは好ましい。
このようにして形成される層(B)の厚みは、得られる積層体の鉛筆硬度や耐擦傷性の観点からは厚い方が好ましく、耐クラック性の観点からは薄い方が好ましい。従って、層(B)の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは4μm以上であり、一方、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下であり、更に好ましくは60μm以下である。
なお、本発明の積層体において、基材層(A)と層(B)との間のそれぞれにおいて、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の層が積層されていてもよい。
また、本発明の積層体の総厚みは、各層の厚みを確保して、各々の機能を十分に発揮させる観点から10μm以上であることが好ましく20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましい。一方、本発明の積層体が適用される製品の薄型化、軽量化の観点から300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが特に好ましい。
[用途]
本発明の積層体は、ポリイミド基材とハードコート層とを有する積層体において、ハードコート層を形成する際の基材の反りが抑えられ、耐クラック性、透明性、表面硬度等に優れたものである。このため、本発明の積層体は、タッチパネル、液晶テレビ等のディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でも光学ディスプレイ用部品として好適であり、特にディスプレイ用保護フィルムに好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔基材(層(A))および積層体の評価〕
以下の実施例・比較例で得られた積層体は以下の方法により評価した。
[耐熱性:ガラス転移温度(Tg)]
動的熱機械測定装置(SIIナノテクノロジー株式会社製、DMS/SS6100)を用い、下記の測定条件にてサンプルの振動荷重に対するサンプルの貯蔵弾性率、損失弾性率を測定し、損失正接よりガラス転移温度(Tg)を求めた。Tgが高いほど耐熱性に優れたものと評価される。
(DMS測定条件)
試験片の貯蔵弾性率(E’)を損失弾性率(E”)で除した損失正接(tanδ)のピークトップをガラス転移温度と定義した。
測定温度範囲:50℃〜400℃(昇温速度:3℃/分)
引張り加重:5g
サンプル形状:10mm×10mm
[クラック評価]
後述の方法で積層体の層(B)を塗工した後の、塗工膜の表面外観を目視で評価し、下記の通り評価した。
○:クラック無し
×:クラック有り
[反りの評価]
15cm×7cmの大きさのポリイミド基材(層(A))上に、後述の方法で層(B)を塗工した直後、及び塗工後、恒温恒湿条件下(23℃、65%RH)で24時間静置した後の積層体の反りを下記の通り評価した。ただし積層体は層(B)を上部にして静置した。
(反りの程度)
◎:四端の反りの平均が1cm未満
○:四端の反りの平均が1cm以上、2cm未満
△:四端の反りの平均が2cm以上、3cm未満
×:四端の反りの平均が3cm以上、または反りが大きすぎて積層体が円筒状
(反りの向き)
正:四端が層(B)の方向に向いた
逆:四端が層(A)の方向に向いた
[透明性(全光線透過率及びヘーズ)]
JIS K−7136に従ってヘーズメーター(村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」)にて、積層体又は基材の全光線透過率(TT)およびヘーズ値(H)を測定した。
[鉛筆硬度]
積層体の層(B)に対して、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らない最も硬い鉛筆の番手を確認した。
〔基材(層(A))の作製〕
〔3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物(H−BPDA)の合成〕
<合成例A1>
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、三菱化学株式会社製)150重量部を、水593重量部に水酸化ナトリウム83.3重量部を溶解させた溶液に溶解して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸四ナトリウム塩の水溶液を作製し、この塩をルテニウム/カーボン触媒を用いて10MPaG(大気に対する相対圧力)、120℃で芳香環を水素化した。次いで49%硫酸水溶液429重量部を滴下し、析出した固体を濾過することにより、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸(H−BTC)を得た。
反応器に得られたH−BTC 33.7重量部及び無水酢酸90重量部を窒素下にて加えた。この混合物を攪拌しながら昇温し、還流温度(130℃〜140℃)で3時間反応させた。反応後、反応溶液を10℃まで冷却し、固体を濾過することにより、白色の結晶を得た。得られた結晶をトルエンにて洗浄し、減圧乾燥機にて乾燥することにより、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物(H−BPDA)を得た。
〔透明ポリイミド前駆体の合成〕
<合成例A2>
窒素ガス導入管、冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、BPDA 47.9重量部、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)42.1重量部、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)556重量部を加えた。この混合物を撹拌しながら昇温し80℃で6時間反応させ、18重量%のポリイミド前駆体1を得た。
<合成例A3>
窒素ガス導入管、冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、合成例A1で得られたH−BPDA60.6重量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)59.4重量部、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)500重量部を加えた。この混合物を撹拌しながら昇温し80℃で6時間反応させ、20重量%のポリイミド前駆体2を得た。
<製造例A1>
アセトンで洗浄し乾燥させたガラス基板上に、合成例A2で得られたポリイミド前駆体1を400μmの厚みのアプリケーターを用いて塗布し、イナートオーブン中で80℃で30分間、次いで350℃で30分間加熱処理して、溶媒の除去及び加熱イミド化反応を行わせた。ガラス/ポリイミドの積層物を90℃の熱湯に浸漬することにより、ガラス基板から剥離した厚さ25μmの透明ポリイミドフィルム(PI−1)を得た。
<製造例A2>
アセトンで洗浄し乾燥させたガラス基板上に、ポリイミド前駆体1を1000μmの厚みのアプリケーターを用いて塗布し、イナートオーブン中で80℃で30分間、次いで350℃で30分間加熱処理して、溶媒の除去及び加熱イミド化反応を行わせた。ガラス/ポリイミドの積層物を90℃の熱湯に浸漬することにより、ガラス基板から剥離した厚さ70μmの透明ポリイミドフィルム(PI−2)を得た。
<製造例A3>
アセトンで洗浄し乾燥させたガラス基板上に、ポリイミド前駆体2を400μmの厚みのアプリケーターを用いて塗布し、イナートオーブン中で80℃で30分間、次いで300℃で30分間加熱処理して、溶媒の除去及び加熱イミド化反応を行わせた。ガラス/ポリイミドの積層物を90℃の熱湯に浸漬することにより、ガラス基板から剥離した厚さ30μmの透明ポリイミドフィルム(PI−3)を得た。
〔層(B)および積層体の作製〕
〔合成例〕
<合成例B1>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)98重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)1重量部、エチルアクリレート(和光純薬工業社製)1重量部、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製「KBM803」)1.9重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)157.3重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。ここへ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さらに、V−65を0.5重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.45重量部、PGM138.1重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温した。次に、トリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)3.1重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)50.7重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、前記式(1)で表される構造を有する化合物EA−1の溶液を得た。反応液の組成はEA−1/PGM=30/70(重量比)であった。
<合成例B2>
EX612−AAの合成
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「デナコールEX−512」)100重量部、p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.36重量部、PGM223重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換した。系内を100℃に昇温まで昇温し、30分間撹拌した後、トリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.9重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)45重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、アクリロイル基及びエポキシ基とカルボキシル基とを反応させてなる構造を有する化合物EA−2の溶液を得た。反応液の組成はEA−2/PGM=40/60(重量比)であった。
<合成例B3>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、コロイダルシリカ(カタログ値:平均一次粒子径10〜20nm(カタログ値))のメチルエチルケトン(MEK)溶液(日産化学社製「MEK−ST」、不揮発分30重量%)293.3重量部、3−(アクロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(信越化学社製「KBM−5103」)12重量部、MEK16.5重量部を仕込み、撹拌開始後に系内に乾燥空気を通気し、70℃に昇温した。ここへ、p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部、
水1重量部、アセチルアセトンアルミニウム(岸田化学社製)0.5重量部、MEK1重量部を加え、70℃で4時間攪拌し、アクリロイル基で表面が修飾されたコロイダルシリカ(MA−1)のMEK溶液を得た。反応液の組成はMA−1/MEK=31/69(重量比)であった。また、シリカ粒子表面に修飾されたアクリロイル基の量は0.49mmol/gであった。
〔実施例・比較例〕
<基材:層(A)>
基材(層(A))の膜厚、全光線透過率、ガラス転移温度について表−1に示す。
Figure 2017177479
[実施例1〜10、比較例1〜6]
<塗液の調製>
表−2に示す配合組成に従って、塗液(硬化性組成物)HC−1〜HC−4(実施例用)及びHC−5、HC−6(比較例用)を調製した。
なお、表−2中の略号は以下の通りである。
V#300:ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(大阪有機化学工業社製「ビスコート#300」)
M313:ビス/トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製「アロニックス M−313」)
RS:フッ素系添加剤(DIC社製「メガファックRS−76E」、固形分40重量%、酢酸エチル溶液)
Figure 2017177479
<積層体の製造及び評価>
得られた塗液を用いて、基材層(A)上に塗液を塗布後、加熱により塗膜を乾燥し、続いて高圧水銀灯を使用して紫外線を照射し、硬化するという工程を4回繰り返して基材層(A)の上に層(B)が被覆された積層体を得た。各層の硬化後の膜厚、乾燥条件、紫外線の照射条件は次のとおりである。
硬化後の膜厚:各層10μm(4層合計で40μm)
乾燥(4層とも同条件):熱風オーブン、80℃、90秒
紫外線照射条件:
1層目:高圧水銀灯出力80W、照度50mW/cm、照射量30mJ/cm
2層目:高圧水銀灯出力80W、照度50mW/cm、照射量30mJ/cm
3層目:高圧水銀灯出力80W、照度50mW/cm、照射量30mJ/cm
4層目:高圧水銀灯出力120W、照度450mW/cm、照射量500mJ/cm
得られた積層体につき、前記(1)〜(4)の評価を行った。結果を表−3に示す。
Figure 2017177479
[評価結果]
表−1〜表−3より、本発明によれば、層(B)が式(1)の構造を有する化合物(B−1)を含有する硬化性組成物を硬化してなる硬化膜を適用すれば、層(B)は塗工時にクラックを生じることなく、塗工直後の積層体の変形が抑えられ、且つ基材で使用されている透明ポリイミドの優れた耐熱性と透明性を損なうことない積層体が得られることがわかる。これに対し、層(B)に化合物(B−1)を含有しない比較例1〜6では、基材層(A)の膜厚が薄い比較例1、2、5、6では層(B)の硬化膜にクラックが発生し、塗工直後の反りも大きい。また基材層(A)の膜厚が比較的大きい比較例3、4に関してもクラックは発生しないものの、反りが大きい結果となった。

Claims (7)

  1. 下記層(A)と下記層(B)とを有する積層体。
    層(A):ポリイミド樹脂(A−1)からなる層
    層(B):(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(1)で表される構造を有する化合物(B−1)を少なくとも含む硬化性組成物及び/又はその硬化物からなる層
    Figure 2017177479
  2. ポリイミド樹脂(A−1)が200℃未満にガラス転移温度を有さない、請求項1に記載の積層体。
  3. ポリイミド樹脂(A−1)を30μmのフィルムとしたときの全光線透過率が75%以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. ポリイミド樹脂(A−1)が脂環族構造及びフルオロアルキル基のうちの少なくとも一方を有するものである、請求項1乃至3のいずれか1項に積層体。
  5. 層(A)の厚みが10〜300μmである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 層(B)の厚みが1〜100μmである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の積層体からなるディスプレイ用保護フィルム。
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