JP2017176203A - 医療用粘着シート及びその製造方法、並びに創傷被覆材 - Google Patents

医療用粘着シート及びその製造方法、並びに創傷被覆材 Download PDF

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Abstract

【課題】薄くかつ滲出液を吸収する充分な機能を有する薄型の医療用粘着シートとその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】厚みが20μm以上かつ200μm以下であり、親水性の高分子を主成分とするハイドロコロイド粒子、及び疎水性のエラストマーを含有してなり、親水性の高分子の含有量が20質量%以上かつ50質量%以下であり、ハイドロコロイド粒子の平均粒径が5μm以上かつ25μm以下であり、ハイドロコロイド粒子は、ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満の粒子の含有量が10体積%以下であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満である、医療用粘着シートである。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用粘着シート、及びその製造方法、並びに、この医療用粘着シートを備える創傷被覆材に関する。
創傷部位からの滲出液を吸収し得る創傷被覆剤としてハイドロコロイド型粘着剤が知られている。一般に、ハイドロコロイド型粘着剤は、粘着性の高分子材料に親水性の材料が粒子状に分散した構造を有している。例えば特許文献1では、ポリアクリル酸ナトリウムからなるハイドロコロイドを用いたハイドロコロイド型粘着剤が開示されている。
また、特許文献1では、ハイドロコロイド型粘着剤をシート化した粘着シートが開示されている。さらに、特許文献1では、粘着シート及びこの粘着シートに積層された支持シートを備える創傷被覆材が開示されている。このような粘着シートや創傷被覆材は、創傷部位の被覆やストーマの固定などに用いられ、創傷部位からの滲出液や汗を吸収し、創傷部位の乾燥を防ぎ治癒が進むことから広く用いられている。
特許第4339593号公報
しかし、従来のハイドロコロイド型粘着剤をシート化した粘着シートは、一般には粘着性の高分子材料と親水性の材料とを混練して得られる混練物を加熱軟化させ押し出し成型あるいはプレス成形してシート化することにより得られるものであった。この際の加熱温度は親水性の材料の耐熱温度の関係で140℃付近が限界であるため、シート化時の混練物は高粘性であり、250μm未満の薄いシートに成形することが困難であった。また。混練物中のハイドロコロイドは粒子径に分布があり、大きいものでは数百μm以上に達するものもあり、さらにはシート化する際に粒子のブロッキングにより混練物に凝集塊が生じているので、押し出し成型あるいはプレス成形時にシートが線状に切れて200μm以下の均一なシート化が困難であった。
上記の理由により、従来のハイドロコロイド型粘着剤をシート化した粘着シートは、その厚みの限界(下限)が250μmであった。一方、粒子径が小さいハイドロコロイド粒子を用いれば、薄い粘着シートを作製できるが、その粘着シートは液の吸収能が低いものになってしまう。
ハイドロコロイド型粘着剤がシート化された粘着シートを備える創傷被覆材は、その粘着シートを薄型化することにより固定用テープとしても用いることができる。また、この創傷被覆材は、アクリル系の粘着剤、天然ゴムの粘着剤、又はイソプレン系ゴムの粘着剤からなる粘着シートを備える創傷被覆材に比べて、アレルギー反応による皮膚のかぶれを軽減することが期待できる。滲出液を吸収する充分な機能を有する薄型の創傷被覆材が求められている。
また、ハイドロコロイド型粘着剤がシート化された粘着シートとしては、創傷部位からの滲出液のみならず汗の吸収能を備えたものが求められている。
そこで、本発明の課題は、薄くかつ滲出液を吸収する充分な機能を有する薄型の医療用粘着シートとその製造方法を提供しようとすることにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る医療用粘着シートは、厚みが20μm以上かつ200μm以下であり、親水性の高分子を主成分とするハイドロコロイド粒子、及び疎水性のエラストマーを含有してなり、前記親水性の高分子の含有量が20質量%以上かつ50質量%以下であり、前記ハイドロコロイド粒子の平均粒径が5μm以上かつ25μm以下であり、前記ハイドロコロイド粒子は、該ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満の粒子の含有量が10体積%以下であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満である。
また、本医療用粘着シートは、SUS板(JIS Z 0237:2009用)に対する剥離力が3N/20mm以上かつ20N/20mm以下であり得る。
本医療用粘着シートは、透湿度が1,000g/(m・day)以上かつ5,000g/(m・day)以下であり得る。
本医療用粘着シートは、さらに、多価アルコールを含有し得る。
本医療用粘着シートは、さらに、粘着付与剤を含有し得る。
本医療用粘着シートでは、前記粘着付与剤が、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)を含み、前記粘着付与剤(H1)の含有量が1質量%以上かつ45質量%以下であり得る。
本医療用粘着シートでは、前記粘着付与剤が、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)、並びに、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤の水添物(H2)からなる粘着付与剤(H3)を含み、前記粘着付与剤(H3)の含有量が1質量%以上かつ45質量%以下であり、前記粘着付与剤(H3)における前記粘着付与剤(H1)と前記粘着付与剤の水添物(H2)の質量比(H1:H2)が5:100から100:5であり得る。
本医療用粘着シートでは、前記粘着付与剤が、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)、並びに、脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)からなる粘着付与剤(H5)を含み、前記粘着付与剤(H5)の含有量が1質量%以上かつ45質量%以下であり、前記粘着付与剤(H5)における前記粘着付与剤(H1)と前記脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)の質量比(H1:H4)が5:100から100:5であり得る。
本医療用粘着シートでは、前記粘着付与剤(H1)が、ロジンエステルまたはテルペン系化合物であり得る。
本医療用粘着シートでは、前記疎水性のエラストマーが、少なくとも、SIS、SBS、SIBS、SEBS、及びSEPSからなる群より選ばれた1種以上のブロックポリマーを含み得る。
本医療用粘着シートでは、前記親水性の高分子が、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ポリビニルアルコール(部分ケン化物を含む)、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選ばれた1種以上の化合物であり得る。
本医療用粘着シートでは、前記親水性の高分子が、少なくとも、高分子多糖体の誘導体および/またはタンパク質を含み得る。
本医療用粘着シートでは、前記親水性の高分子が、CMC−Naであり得る。
本発明に係る創傷被覆材の製造方法は、本医療用粘着シートと、前記医療用粘着シートに積層された支持シートと、を備える。
本発明に係る医療用粘着シートの製造方法は、疎水性の溶媒に疎水性のエラストマーを混合して、該疎水性のエラストマーが該疎水性の溶媒に溶解された状態で存在する混合液Aを調製する工程と、親水性の高分子ならびに水および/または水溶性の溶媒を混合して混合液Bを調製する工程と、前記混合液Aと前記混合液Bを混合して混合液Cを調製する工程と、前記混合液Cを剥離面上に塗布して乾燥させる工程と、を含む。
本医療用粘着シートの製造方法では、前記混合液Aを調製する工程で、さらに、粘着付与剤を混合し得る。
本医療用粘着シートの製造方法では、前記混合液Bを調製する工程で、さらに、安定剤を混合し得る。
本発明により、薄くかつ滲出液を吸収する充分な機能を有する薄型の医療用粘着シートとその製造方法が提供される。
皮膚に貼付されたときの医療用粘着シートの断面を示す模式図。 実施例1から4、7、及び比較例1の製造に用いたCMC−Naについて、粒子径分析装置(製品名:Mastersizer 2000、Malvern社製)を用いてレーザー回折法により測定して得られた体積頻度粒度分布を示すグラフ。なお、測定範囲の上限(図中の矢印↑)より径が大きい粒子は、その上限における粒子と合わせて取り扱われた。 比較例3の製造に用いたCMC−Naについて、実施例1から4、7、及び比較例1の製造に用いたCMC−Naと同様の条件で測定して得られた体積頻度粒度分布を示すグラフ。なお、測定範囲の上限(図中の矢印↑)より径が大きい粒子は、その上限における粒子と合わせて取り扱われた。
[医療用粘着シート]
医療用粘着シートは、創傷部位に貼着して創傷部位を被覆し、創傷部位からの滲出液や汗の吸収により創傷部位の乾燥を防ぐことを目的にして用いられる。また、医療用粘着シートは、ストーマ、点滴用のチューブ等の身体に取り付けられる医療器具と皮膚に貼付して、これらの器具を皮膚上に固定することを目的にして用いられる。一般には、医療用粘着シートは、支持シートに積層されて創傷被覆材として用いられる。
本発明に係る医療用粘着シートは、その厚みが20μm以上かつ200μm以下である。厚みが20μmより薄い医療用粘着シートは、粘着力や吸水力が過小であり、へたって貼付しにくく、伸縮を繰り返すと裂けるおそれがある等、その性能や取扱い性が損なわれる。厚みが200μmより大きい医療用粘着シートでは、皮膚の曲面に沿って貼付することが円滑に行なえない問題や、剥がれやすい問題が生じる。
また、本医療用粘着シートは、親水性の高分子を主成分とするハイドロコロイド粒子、及び疎水性のエラストマーを含有してなる。なお、本明細書において主成分とは、乾燥させたときに構成成分の50質量%以上かつ100質量%以下を占める成分をいう。つまり、本医療用粘着シートを乾燥させたときに、親水性の高分子は、ハイドロコロイド粒子の構成成分の50質量%以上かつ100質量%以下を占めている。また、親水性の高分子は、ハイドロコロイド粒子の吸水性を高める観点から、本医療用粘着シートを乾燥させたときに、好ましくはハイドロコロイド粒子の構成成分の80質量%以上かつ100質量%以下を占めている。
本明細書において親水性の高分子は、25℃の水中に1時間浸漬したときの吸水率が50質量%以上である高分子化合物、あるいは、25℃で100mlの水に10g以上溶解する高分子化合物をいう。なお、親水性の高分子の吸水率は、親水性の高分子の乾燥質量をWとし、この親水性の高分子に吸水された水の質量をWとしたときのW/W×100(%)の値である。
上記した親水性の高分子としては、例えば、高分子多糖体の誘導体や、タンパク質などが挙げられる。高分子多糖体の誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ペクチン等が挙げられる。タンパク質としては、例えば、ゼラチンが挙げられる。
また、前述した親水性の高分子としては、例えば、25℃の水に1時間浸漬したときの吸水率が300質量%を超える高吸水性高分子が挙げられる。この高吸水性高分子の代表例としては、ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。しかし、親水性の高分子として高吸水性高分子を用いた場合の本医療用粘着シートは、傷口に貼付すると滲出液を吸収しすぎてしまい、元の2倍以上の体積となるまで膨張して傷を圧迫するおそれがある。ただし、傷口に貼付するのではなくて、ストーマやカテーテル等の医療器具の固定に用いると、汗をよく吸収するので多くの発汗を伴う場合に使用しても皮膚から剥がれにくいという長所もある。したがって、親水性の高分子として高吸水性高分子を含有する場合の本医療用粘着シートは、使用時に傷を圧迫するおそれがない用途、例えば医療器具を皮膚上に固定する用途で使用可能である。
親水性の高分子は、その吸水性が適度であり傷の圧迫を避ける観点から、好ましくは、CMC、CMC−Na、ペクチン、ゼラチン、ポリ酢酸ビニル(部分ケン化物を含む)、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれた1種以上の化合物である。
エラストマーは、常温(5℃以上かつ35℃以下)においてゴム弾性を示す高分子材をいう。本明細書において疎水性のエラストマーは、25℃、65%RHの空気中に24時間放置されたときの水分率が10質量%以下であるエラストマーをいう。疎水性のエラストマーの水分率は、安定してハイドロコロイド粒子を得る観点から、好ましくは5質量%以下である。なお、水分率はエラストマーの絶乾質量をW、吸収されている水の質量をWとしたときのW/W×100(%)の値である。
疎水性のエラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、及び天然ゴムからなる群より選ばれた1種以上であり、かつ、25℃、65%RHの空気中に24時間放置されたときの水分率が10質量%以下であるエラストマーが挙げられる。
なお、スチレン系エラストマーは、弾性を有し、スチレン重合体とオレフィンの重合体により構成されている共重合体であり、例えば、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。オレフィン系エラストマーは、弾性を有し、例えばアルケンの重合体やジエンの重合体であり、ポリイソブチレン、ポリイソプレンが例示される。また、疎水性のエラストマーとして使用するポリイソブチレンは、その重量平均分子量が例えば20,000以上である。シリコーン系エラストマーは、弾性を有し、分子中にシロキサン結合を有し、例えば硬化触媒を加えられたことによりゴム状に硬化した重合体である。アクリル系エラストマーは、弾性を有し、例えばアクリル酸エステルを主成分とする重合体である。ウレタン系エラストマーは、弾性を有し、例えばジイソシアネートとグリコールを重合付加反応させて得られ、分子内にウレタン結合を有する重合体である。
また、疎水性のエラストマーは、後述する粘着付与剤を使用しなくとも医療用粘着シートが使用に適する程度の粘着性を示し得る観点から、好ましくは、シリコーン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、及び天然ゴムからなる群より選ばれた1種以上であり、かつ、25℃、65%RHの空気中に24時間放置されたときの水分率が10質量%以下であるエラストマーである。なお、アクリル系エラストマーについては、アクリル系樹脂に対してアレルギーを示す患者以外のものに貼付する等、医療用粘着シートの用途に問題がない場合に疎水性のエラストマーとして使用することが好ましい。
疎水性のエラストマーは、アクリル系樹脂に対してアレルギーを示す患者にも医療用粘着シートを貼付できる観点から、好ましくは、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、及びウレタン系エラストマーからなる群より選ばれた1種以上であり、かつ、25℃、65%RHの空気中に24時間放置されたときの水分率が10質量%以下であるエラストマーである。これらの疎水性のエラストマーは、アクリル系エラストマーと比べてアレルギーを生じさせにくい。
本医療用粘着シートは、親水性の高分子の含有量が20質量%以上かつ50質量%以下である。なお、本明細書における「含有量」は、含有量を示す対象となる成分が2種以上含有されている場合、合計含有量である。つまり、本医療用粘着シートは、2種以上の親水性の高分子を含有する場合、その合計含有量が20質量%以上かつ50質量%以下である。また、親水性の高分子の含有量が20質量%より少ない場合、医療用粘着シートが創傷部位からの滲出液や汗を吸収する能力を損なったものになってしまう。親水性の高分子の含有量が50質量%より多い場合、医療用粘着シートは形体安定性や接着力を損なったものになってしまう。
本医療用粘着シートに含有されているハイドロコロイド粒子は、その平均粒径が5μm以上かつ25μm以下である。なお、ハイドロコロイド粒子の平均粒径は、レーザー回折法により得られた体積頻度粒度分布における累積50体積%に相当する粒子径(メディアン径)である。
また、本医療用粘着シートに含有されているハイドロコロイド粒子は、当該ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満の粒子の含有量が10体積%以下であり、かつ、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満である。つまり、本医療用粘着シートでは、径が2μm未満である小型粒子の数や、径が50μmより大きい大型粒子の数が、少なく抑えられている。
図1に示すように、本医療用粘着シート1におけるハイドロコロイド粒子3は、疎水性のエラストマーを主成分とする疎水性部分5の間に分散して存している。また、製造時にハイドロコロイド粒子で径が2μm未満である小型粒子の数が少なく抑えられていると、本医療用粘着シート1内で、径が2μm以上かつ50μm以下である中型粒子が集合して存している箇所11が多く形成されやすい。この箇所11では、一部のハイドロコロイド粒子3が本医療用粘着シート1の一の面7又は他の面9に接していたり、ハイドロコロイド粒子3同士が互いに接触していたりする場合が多い。
また、本医療用粘着シート1は、吸水性に優れている。例えば、本医療用粘着シート1が皮膚21に貼着されたときに、皮膚21から発生した水分(例えば、滲出液、汗など)は、当該シート1の一の面(皮膚当接面)7から、当該シート1内を通って、他の面(当該シート1において一の面7に対向する面)9へ向けて移動する。本医療用粘着シートが吸水性に優れるメカニズムは不明であるが、当該シート1内に中型粒子が集合して存している箇所11が多数形成されていること、ハイドロコロイド粒子3の各々が吸水すると膨潤すること、及び、ハイドロコロイド粒子3の平均粒径が5μm以上であることによるものと推定される。
つまり、本医療用粘着シート1では、水分が、例えば図1で太い矢印で示すように、中型粒子が集合して存している箇所11を通るため、その移動が疎水性部分5により阻まれにくいと考えられる。また、この箇所11で、一のハイドロコロイド粒子3aと他のハイドロコロイド粒子3bとの間に薄い疎水性部分5aが存する場合があるが、これらの粒子(3a,3b)は吸水により膨潤して互いに接触するため、水分の移動が疎水成部分5aにより阻まれにくいものと想定される。さらに、ハイドロコロイド粒子3は、粒径が大きいほど吸水により膨潤する程度が大きい。このため、ハイドロコロイド粒子3が平均粒径5μm以上であると、平均粒径が5μmより小さすぎる場合と比べて、粒子3同士が膨潤して互いに接触しやすい。さらに、この箇所11で複数の粒子が膨潤して互いに接触することで、複数粒子間で連通している水分の流路が形成されて、本医療用粘着シート1内への水分の拡散が促されていると推定される。
なお、ハイドロコロイド粒子の平均粒径が5μmよりも小さすぎる場合や、ハイドロコロイド粒子の全体積に対して径が2μm未満の粒子の含有量が10体積%を超えて多すぎる場合には、医療用粘着シートが創傷部位からの滲出液や汗を充分には吸収できない問題が生じてしまう。この問題は、ハイドロコロイド粒子の粒径が小さすぎるため、シート内に中型粒子が集合して存している箇所が形成されにくく、分厚い疎水性部分により水分の移動が阻まれることに起因していると推定される。また、シート内に小型粒子が集中して存している箇所が形成されていたとしても、粒径が小さすぎて粒子同士が互いに接触しにくいため、複数粒子間で連通している水分の流路が形成されにくく、シート内部で疎水性部分に囲まれている小型粒子が水分を吸収できない場合が多いことによるものと考えられる。
また、図1に示す本医療用粘着シート1では、ハイドロコロイド粒子3の平均粒径が25μm以下であることと、径が50μmより大きい大型粒子の数が少なく抑えられていることにより、医療用粘着シート1の他の面9から突出している粒子13の数が少なく抑えられる。このため、後述する創傷被覆材を製造する際、医療用粘着シートが支持シートに粘着しやすい。その結果、創傷被覆材において、その支持シートから医療用粘着シートが剥脱しにくいこととなる。
本医療用粘着シートは、その厚みが20μm以上かつ200μm以下と薄いため、しなやかで伸び応力がある。このため、例えば、人工呼吸用マスクを装着した際の褥瘡防止のためや、人工肛門周囲の汚染による皮膚炎防止のために貼付されると、医療器具や皮膚の曲面や複雑な形状に沿って変形する。貼付された皮膚やその周辺に負荷がかかりにくいため、炎症が起こりにくい。なお、従来のハイドロコロイド型粘着剤をシート化した粘着シートは、その厚みが250μm以上あるため、皮膚の変形に追随して伸縮しにくく、貼付された皮膚やその周辺で炎症が起こりやすい。また、従来のポリウレタン・アクリル粘着テープは、柔軟であるが、滲出液や汗を吸収しない問題や、アクリル系樹脂に対してアレルギーを示す患者が多い問題があるため、使用できないケースがある。
以上の構成を含む本医療用粘着シートは、前述したように薄くしなやかであるため、創傷部の曲面に沿うように容易に貼付されることができる。その結果、創傷の治癒が早く進み、疼痛が緩和される。また、貼付された皮膚に違和感を覚えにくい。
以上の構成を含む本医療用粘着シートは、そのハイドロコロイド粒子の主成分である親水性の高分子が、当該シートの全質量に対して20質量%以上かつ50質量%以下を占めている。この親水性の高分子としては、CMC−Na等のアレルギーが起こりにくく安価な材料を使用することができる。このため、本医療用粘着シートは、主にシリコーンゲル粘着剤からなる医療用粘着シートよりも安価に製造することができる。また、主にアクリル系粘着剤からなる医療用粘着シートを貼付するとかぶれてしまう患者に対して、アレルギーが起こりにくい医療用テープとして用いることが可能である。
以上の構成を含む本医療用粘着シートは、前述したように薄くしやなかであるため、容易にロール状の製品に加工することができ、好みの大きさに切り分けながら使用することができる。テープ状のハイドロコロイド型の粘着シートとして使用することができる。
以上の構成を含む本医療用粘着シートは、薄いため、貼付された当該シートと皮膚との間に生じる段差が小さい。このため、顔面等の創傷部に貼付されても、目立ちにくい。また、段差が小さいため、貼付されている本医療用粘着シートが衣服などに引っ掛かり剥脱するおそれは少ない。
皮膚や医療器具等からの本医療用粘着シートの剥がしやすさは、SUS板に貼着したときの剥離力で評価することができる。本医療用粘着シートは、好ましくは、3N/20mm以上かつ20N/20mm以下の剥離力を有する。この剥離力は、サンプルを、表面仕上げBA(冷間圧延後、光輝熱処理)のSUS304鋼板(JIS Z 0237:2009用)に2kgゴムローラーで1往復して貼り付け、剥離角度180度、剥離速度300mm/minで剥離を行ったときの剥離力を測定した値である。なお、本明細書で以上に説明した構成を含む本医療用粘着シートは、3N/20mm以上かつ20N/20mm以下の範囲内の剥離力を示す。
上記の剥離力が3N/20mmよりも弱すぎると、使用時の患部への接着力が不足しやすい。上記の剥離力が20N/20mmよりも強すぎると、医療用粘着シートを患部からの剥離するときに痛みを感じやすくなる。また、この剥離力が20N/20mmよりも強すぎると、患部から剥がすときに医療用粘着シートの一部が患部に残ってしまうトラブルが生じやすい。
前述した剥離力が3N/20mm以上かつ20N/20mm以下である場合の本医療用粘着シートは、皮膚や医療器具等から剥がす際に、きれいに剥がすことができる。なお、従来のハイドロコロイド型の医療用粘着シート、すなわち、粘着性の高分子材料と親水性の材料とを混練して得られる混練物を加熱軟化させ押し出し成型あるいはプレス成形してシート化することにより得られるシートは、皮膚や医療器具等から剥がす際に、きれいに剥がれず、シートの断片が皮膚上や医療器具上に残りやすい問題があった。つまり、従来のハイドロコロイド型の医療用粘着シートは、剥がす際に、その厚さ方向の中間部分が破壊される凝集破壊が起こりやすい問題がある。これに対して、本医療用粘着シートでは、凝集破壊が起こりにくい。
本医療用粘着シートは、貼付された皮膚での炎症を避け、蒸れ感を抑える観点から、その厚みが100μmであるときの透湿度が、好ましくは1,000g/(m・day)以上であり、さらに好ましくは1,400g/(m・day)以上である。なお、皮膚表面からは日常的に300g/(m・day)程度の水蒸気が発散している。このため、透湿度が400g/(m・day)未満のシートを皮膚に貼付すると、皮膚が蒸れて皮膚常在菌が増殖し、炎症が起こるおそれがある。これに対して、本医療用粘着シートは、その厚みが薄いため水蒸気透過性に優れ、貼付された皮膚で蒸れや炎症が起こりにくい。また、本医療用粘着シートが水蒸気透過性に優れる要因としては、水蒸気が、図1に示す太い矢印のように、一の面7から中型粒子が集合して存している箇所11を通って他の面9へ移動しやすいことも関与していると推定される。
また、本医療用粘着シートは、好適な透湿度や水蒸気透過性を示すように、その製造時に厚みを適宜調整されていることが好ましい。ここで、本医療用粘着シートは、貼付された皮膚で蒸れ感を抑え、炎症を避ける観点から、好ましくは透湿度が1,000g/(m・day)以上、さらに好ましくは1,400g/(m・day)以上である。また、本医療用粘着シートは、貼付された皮膚を湿潤状態に維持して湿潤療法を行なう観点から、好ましくは透湿度が5,000g/(m・day)以下、さらに好ましくは3,000g/(m・day)以下である。なお、粘着シートの透湿度が高すぎると、貼付された部分の創面が湿潤状態で維持されないため、湿潤療法を行うことができない。
本医療用粘着シートの透湿度は、JIS Z 0208に準拠したカップ法により測定する。測定の際、吸湿剤として塩化カルシウムを、封止剤として市販されている融点52℃以上かつ54℃以下のパラフィンを使用する。また、吸湿剤を入れたカップを、40℃、90%RHの恒温恒湿槽内に設置し、測定開始から1.5時間おきにカップ全体の増加する質量を3回測定する。2回目の測定値と3回目の測定値との平均値から、透湿度を算出する。
本医療用粘着シートは、創傷や皮膚面への親和性に優れる観点から、さらに、安定剤を含有することが好ましい。また、後述するように、この場合の本医療用粘着シートは、製造時に親水性の高分子の分散性や凝集性を調整可能であるため製造しやすい点からも好ましい。安定剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、及び多価アルコールからなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリフェノール等が挙げられる。ポリフェノールとしては、カテキンが例示される。
安定剤は、さらに好ましくは多価アルコールである。多価アルコールを含有する場合の本医療用粘着シートは、多価アルコールを含有していない粘着シートと比べて、創傷や皮膚面への親和性が増している。
安定剤を含有する場合の本医療用粘着シートでは、製造時に親水性の高分子の分散性や凝集性を調整しやすい観点から、安定剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、さらにより好ましくは1.0質量%以上である。また、安定剤を含有する場合の本医療用粘着シートでは、親水性の高分子を多く含有する余地を残す観点から、安定剤の含有量が、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下に抑えられていることが望ましい。
本医療用粘着シートは、疎水性のエラストマーの劣化を抑える観点から、さらに、抗酸化剤を含有することが好ましい。抗酸化剤は、薬学的に許容され得る化合物であり、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンC及びその誘導体、並びにビタミンEからなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。
疎水性のエラストマーとしてオレフィン系エラストマー(例えば、ポリイソブチレン、ポリイソプレン)、及びスチレン系エラストマー(例えば、SIS、SBS、SIBS、SEBS、SEPS)からなる群より選ばれた1種以上のエラストマー含有する場合の本医療用粘着シートは、使用に適した粘着性を得る観点から、さらに、粘着付与剤を含有することが好ましい。この粘着付与剤は、例えば、ロジン系化合物、テルペン系化合物、脂環式炭化水素樹脂、及びこれらの水添物からなる群より選ばれた1種以上の化合物である。
上記した粘着付与剤に関して、ロジン系化合物としては、例えば、ロジンエステル(エステルガム)、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、重合ロジン、不均化ロジン等が挙げられる。テルペン系化合物は、イソプレンの重合体を基本骨格とする化合物であり、例えば、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。脂環式炭化水素樹脂としては、例えば、QUINTONE(日本ゼオン株式会社の登録商標)1000シリーズとして市販されている各種のシクロペンタジエン樹脂が挙げられる。脂環式炭化水素樹脂の水添物としては、アルコン(荒川化学工業株式会社の登録商標)シリーズとして市販されている各種の脂環族飽和炭化水素樹脂が挙げられる。また、粘着付与剤として、例えば、ロジン系化合物に水添ロジン酸エステルなどの飽和炭化水素基を有する樹脂を組み合わせて用いることにより、医療用粘着シートの吸水速度を調整することができる。
粘着付与剤は、医療用粘着シートの粘着力を使用に適するように調整しやすい観点から、さらに好ましくは、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)を含む。この場合の本医療用粘着シートは、この粘着付与剤(H1)を1質量%以上かつ45質量%以下含有することが好ましい。なお、ハイドロオキシ基は、水酸基ともいわれている。
上記した粘着付与剤(H1)としては、例えば、ロジン系化合物、テルペン系化合物、及び脂環式炭化水素樹脂からなる群より選ばれた1種以上の、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。また、上記した粘着付与剤(H1)は、粘着力に優れる観点から、好ましくはロジンエステル(エステルガム)またはテルペン系化合物である。
粘着付与剤は、医療用粘着シートの吸水速度を使用に適するように調整しやすい観点から、さらに好ましくは、前述した粘着付与剤(H1)、並びに、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤の水添物(H2)からなる粘着付与剤(H3)を含む。この場合の本医療用粘着シートは、粘着付与剤(H3)を1質量%以上かつ45質量%以下含有することが好ましい。また、粘着付与剤の水添物(H2)としては、例えば、前述した粘着付与剤(H1)の水添物が挙げられる。粘着付与剤(H3)としては、例えば、前述した粘着付与剤(H1)と、その水添物(H2)を組み合わせた組成物が挙げられる。この粘着付与剤(H3)における、粘着付与剤(H1)と粘着付与剤の水添物(H2)との質量比(H1:H2)は、5:100から100:5であることが好ましい。
あるいは、粘着付与剤は、医療用粘着シートの吸水速度を使用に適するように調整しやすい観点から、さらに好ましくは、前述した粘着付与剤(H1)、並びに、脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)とからなる粘着付与剤(H5)を含む。この場合の本医療用粘着シートは、粘着付与剤(H5)を1質量%以上かつ45質量%以下含有することが好ましい。ここで、脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)は、前述した脂環式炭化水素樹脂の一種であり、例えば、水添された脂環式炭化水素樹脂(脂環式炭化水素樹脂の水添物)である。脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)の具体例としては、アルコン(荒川化学工業株式会社の登録商標)シリーズとして市販されている各種の脂環族飽和炭化水素樹脂が挙げられる。粘着付与剤(H5)としては、例えば、前述した粘着付与剤(H1)と、例示した脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)を組み合わせた組成物が挙げられる。この粘着付与剤(H5)における、前述した粘着付与剤(H1)と脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)との質量比(H1:H4)は、5:100から100:5であることが好ましい。
本医療用粘着シートが粘着付与剤を含有する場合、疎水性のエラストマーは、粘着付与剤により粘着性を細かく調整できる観点と、アクリル系エラストマーに対してアレルギーを示す患者に貼付できる観点から、さらに好ましくは、少なくとも、SIS、SBS、SIBS、SEBS、及びSEPSからなる群より選ばれた1種以上のブロックポリマーを含む。また、同様の観点から、本医療用粘着シートでは、粘着付与剤と、SIS、SBS、SIBS、SEBS、及びSEPSからなる群より選ばれた1種以上のブロックポリマーと、をポリイソブチレン及びポリイソプレンからなる群より選ばれた1種以上の重合体と組み合わせて使用することが望ましい。この組み合わせの好適な例としては、粘着付与剤、SIS、及びポリイソブチレンの組み合わせが挙げられる。
本医療用粘着シートでの疎水性のエラストマーの含有量は、シート形状を安定的に保つ観点から、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。また、本医療用粘着シートでの疎水性のエラストマーの含有量は、親水性の高分子に起因する吸水性や水蒸気透過性をなるべく妨げないようにする観点から、好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
本医療用粘着シートで、親水性の高分子の疎水性のエラストマーに対する質量比(親水性の高分子/疎水性のエラストマー)は、シート形状を安定的に保ちつつ、優れた吸水性や水蒸気透過性を発揮させる観点から、好ましくは0.5以上かつ1.5以下、さらに好ましくは0.6以上かつ1.2以下である。
親水性の高分子は、さらに好ましくは、CMC−Na、ポリ酢酸ビニル(部分ケン化物を含む)、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選ばれた1種以上の化合物である。これらの親水性の高分子を用いた場合の本医療用粘着シートは、傷に貼付すると、滲出液を適度に吸収し、かつ、傷口の刺激による痛みが少ない。なお、本医療用粘着シートでは2種以上の親水性の高分子を組み合わせて使用しても良く、好適な例として、CMC−Naと酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体との組み合わせが挙げられる。
あるいは、親水性の高分子は、さらに好ましくは、少なくとも高分子多糖体の誘導体および/またはタンパク質を含む。例えば、親水性の高分子がポリ酢酸ビニル(部分ケン化物を含む)および/または酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体のみからなる場合よりも、親水性の高分子として少なくともCMC−Naおよび/またはゼラチンが含まれている場合の方が、医療用粘着シートを傷口に貼付したときに傷が治癒しやすい。高分子多糖体の誘導体やタンパク質は、細胞との親和性が高く、創面やその周辺でサイトカインの働きを妨げにくいことによるものと考えられる。
また、親水性の高分子は、上記したように滲出液を適度に吸収し、傷口の刺激による痛みが少なく、かつ、傷が治癒しやすい観点から、さらにより好ましくは、CMC−Naである。
本医療用粘着シートは、必要に応じて、さらに軟化剤を含有することが好ましい。軟化剤としては、鉱油、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリイソブチレンなどが例示される。なお、軟化剤として使用するポリイソブチレンは、その重量平均分子量が例えば3,000〜9,000程度である。
本医療用粘着シートは、必要に応じて、安定剤、軟化剤、及び抗酸化剤以外の添加剤をさらに含有することが好ましい。この添加剤としては、例えば、フィラー、着色剤、保湿剤、薬剤、及びビタミン類からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。薬剤としては、例えば、殺菌剤、消炎鎮痛薬、抗アレルギー薬、抗ぜんそく薬、狭心症薬、精神神経薬などが挙げられる。薬剤は、アンチエイジング作用を示す成分、ポリフェノール類、α−ヒドロキシ酸、及びサリチル酸からなる群より選ばれた1種以上の成分を含有する化合物であっても良い。なお、α−ヒドロキシ酸やサリチル酸は、皮膚の代謝を促進する作用を示す。ビタミン類は、ビタミンC及びビタミンE以外のビタミンであり、例えばビタミンDである。
ハイドロコロイド粒子の粒径や粒度分布によるが、本医療用粘着シートは、その厚みが50μm以上であることが好ましい。この場合の本医療用粘着シートの厚みは、含有しているほとんどのハイドロコロイド粒子の粒径よりも大きい。このため、図1に示す医療用粘着シート1の他の面9から突出している粒子11の数は、さらに少なく抑えられる。また、他の面9から粒子13が突出している程度が、小さく抑えられやすい。この場合、後述する創傷被覆材において、その支持シートから医療用粘着シートがさらに剥脱しにくい。また、本医療用粘着シートは、高い透湿度を示すことにより皮膚の蒸れや炎症を避ける観点から、好ましくは厚みが150μm以下、さらに好ましくは厚みが100μm以下である。
[創傷被覆材]
本発明に係る創傷被覆材は、本医療用粘着シートと、本医療用粘着シートに積層された支持シートと、を備える。この支持シートは、一の面と、一の面に対して支持シートの反対側に形成された他の面と、を有する。また、本創傷被覆材では、本医療用粘着シートが支持シートの一の面に粘着している。また、本創傷被覆材は、貼付されたときの外観として、支持シートの他の面が見えることとなる。
支持シートとしては、樹脂製のフィルム、又は布が例示される。樹脂製のフィルムとしては、ウレタン系樹脂フィルム、酢酸ビニル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、又はシリコーン系樹脂フィルムが挙げられる。
本創傷被覆材の透湿度は、好ましくは400g/(m・day)以上かつ5,000g/(m・day)以下であり、さらに好ましくは1,000g/(m・day)以上かつ3,000g/(m・day)以下である。このためには、支持シートの透湿度は、好ましくは900g/(m・day)以上かつ5,000g/(m・day)以下である。このような透湿度であると、貼付された皮膚で蒸れを抑え炎症を避けつつ、貼付された創傷に対して湿潤療法を行うことができる。なお、本創傷被覆材の透湿度は、本医療用粘着シートの透湿度と同様の方法で測定する。
支持シートの厚みは、好ましくは6μm以上かつ100μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上かつ60μm以下である。支持シートの厚みが6μmよりも薄すぎる場合の創傷被覆材は、貼付される直前に折れ曲がって粘着シート同士で粘着しやすいため取扱いにくく、さらに、貼付されている間に皮膚の動きに追従して繰り返し伸縮すると支持シートが裂けるおそれがある。支持シートの厚みが厚すぎると、本医療用粘着シートの透湿度が400g/(m・day)未満になってしまう。
また、支持シートは、好ましくは、その厚みをLとするときに他の面の十点平均粗さRzが6μm≦Rz≦40μmであり、かつ、Rz≦Lである。なお、他の面のRzは、JIS B 0601:2001に準拠して、基準長さ500μm、カットオフ値200μmの条件で、表面粗さ測定機を用いて他の面の表面形状を測定して得られる値である。
支持シートの他の面のRzが6μm以上であると、本創傷被覆材を皮膚に貼付してから、その支持シートの他の面上にコンシーラーやファンデーション等の化粧料を塗布すると、支持シートの他の面に形成されている凹凸により化粧料の粉末が保持される。このため、外観上、顔面等に貼付された本創傷被覆材を、一目では貼付されていると判別困難な程度に目立ちにくくすることができる。同時に、本創傷被覆材を貼付することで被覆された創傷を、隠蔽することができる。また、支持シートの他の面のRzが40μm以下であると、凹凸が深すぎないため、使用者は支持シートの他の面から化粧料を容易に拭き取ることができる。このため、皮膚の色に馴染むように、支持シートの他の面の色合いを化粧により調節することができる。なお、Rz=Lである場合、支持シートの他の面から一の面へ至る貫通孔が幾らか形成されており、孔底にある医療用粘着シート上や孔内で化粧料の粉末が保持される。
支持シートは、適度な柔軟性や伸縮性を有することが好ましい。この場合の本創傷被覆材は、皮膚や医療器具の曲面に沿った形状に変形して貼付されやすい。また、皮膚の動きに追従して伸縮するため、皮膚から剥脱しにくい。なお、支持シートが、その厚みをLとするときにLが6μm以上かつ30μm以下のアクリル系樹脂フィルムであり、この支持シートの他の面のRzが6μm≦Rz≦30μmかつRz≦Lである場合、この支持シートは適度な柔軟性や伸縮性を示すだけでなく、その透湿度が900g/(m・day)以上かつ1,300g/(m・day)以下となり得るため、さらに好ましい。
また、支持シートは、さらにより好ましくは、その厚みをLとするときにLが6μm以上かつ60μm以下であるポリエーテルポリウレタン製またはポリエステルポリウレタン製の樹脂フィルムであり、この支持シートの他の面のRzが6μm≦Rz≦30μmかつRz≦Lである。この場合の支持シートは、適度な柔軟性や伸縮性を示し、その透湿度が900g/(m・day)以上かつ5,000g/(m・day)以下となり、アクリル系樹脂に対するアレルギー反応を避けることができる。
[医療用粘着シートの製造方法]
本医療用粘着シートの製造方法は、疎水性のエラストマーが疎水性の溶媒に溶解された状態で存在する混合液Aと、親水性の高分子ならびに水および/または水溶性の溶媒が混合された混合液Bと、の混合液Cを剥離面上に塗布して乾燥する。
混合液Aは、疎水性の溶媒に疎水性のエラストマーを混合する、混合液Aを調製する工程により得られる。疎水性の溶媒は、水に不溶または難溶の液体からなる溶媒である。水に難溶の液体とは、1gの液体を溶解するのに要する25℃の水が1,000ml以上である液体のことをいう。疎水性の溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、石油系炭化水素などが挙げられる。
混合液Bは、親水性の高分子、並びに、水および/または水溶性の溶媒を混合する、混合液Bを調製する工程により得られる。水溶性の溶媒は、25℃で100mlの水に10ml以上溶解する液体をいう。水溶性の溶媒としては、例えば一価の低級アルコールやケトン類が挙げられ、好ましくはエタノールである。
混合液Cは、混合液Aと混合液Bを混合する、混合液Cを調製する工程により得られる。この混合液Cでは、混合液A由来の成分(疎水性のエラストマー等)の間に混合液B由来の成分(親水性の高分子等)が分散している。
混合液Cを剥離紙等の剥離面上に塗布して乾燥する工程により、本医療用粘着シートを製造することができる。本製造法では、混合液Cを剥離シートの剥離面上に塗布する際に、混合液Cの塗布量を細かく調整可能である。このため、本製造方法では、ハイドロコロイド型粘着剤をシート化した粘着シートとして、従来のモールド法やプレス法では得ることができなかった、厚みが20μm以上かつ200μm以下という極めて薄い厚みの医療用粘着シートを得ることができる。
本製造法における親水性の高分子が、水を加えてもほとんど膨潤せず、加熱などにより自由に溶解する化合物(例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、酢酸ビニル・ビニルピロリドンの共重合体)である場合には、親水性の高分子の水溶液(混合液B)を調製して、この混合液Bをあらかじめ調製しておいた混合液Aと混合することで、例えば、混合液A由来の成分(疎水性エラストマー等)の間に混合液B由来の成分(親水性の高分子等)が分散している塗布溶液(混合液C)を完成させ、この混合液Cを所定の厚みになる様に塗布(キャスト)して乾燥することにより、厚み200μm以下の薄い医療用粘着シートを製造することができる。
本製造法は、混合液Aを調製する工程で、必要に応じて、さらに、粘着付与剤を混合することが好ましい。例えば、疎水性のエラストマーとしてオレフィン系エラストマー、及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれた1種以上のエラストマーを含む場合、混合液Aを調製する工程では、疎水性の溶媒に疎水性のエラストマー及び粘着付与剤を混合して、疎水性のエラストマーが疎水性の溶媒に溶解された状態で存在する混合液Aを調製することが好ましい。
本製造法は、混合物Aを調製する工程で、必要に応じて、さらに、軟化剤、抗酸化剤、及び着色剤等からなる群より選ばれた1種以上の化合物を混合しても良い。
本製造法は、混合液Bを調製する工程で、さらに、安定剤を混合することが好ましい。つまり、混合液Bを得る工程では、親水性の高分子、安定剤、並びに、水および/または水溶性の溶媒を混合して、混合液Bを調製することが好ましい。この際、安定剤が多価アルコール(例えば、グリセリン、ポリオール)であることがさらに好ましい。安定剤を含有する混合液Bを用いることで、混合液Cにおいて混合液A由来の成分(疎水性のエラストマー等)中に混合液B由来の成分(親水性の高分子等)が分散しやすくなるため、混合液Cの安定性が向上し、さらに、安定剤が医療用粘着シートに残留して創傷や皮膚面への親和性を向上させる。
なお、親水性の高分子が水に溶解させても低濃度(例えば、5%前後)の水溶液しか得られない化合物(例えば、CMC−Na、ポリアクリル酸など)である場合には、この親水性の高分子の溶液(混合液B)を20質量%以上かつ40質量%以下程度の高比率で配合するように疎水性のエラストマーの溶液(混合液A)と混合すると、得られた混合液(混合液C)で疎水性のエラストマーと親水性の高分子とが混合された状態を数日間保つことは困難であった。本発明者は、鋭意研究の上、そのような親水性の高分子をエタノール(水溶性の溶媒)中に分散させ、さらに、エタノールでは親水性の高分子の凝集性が低すぎる問題を解決するために安定剤(例えば、多価アルコール)を混合して、分散液(混合液B)を調製した。この安定剤を含有している混合液Bを高比率で配合するように混合液Aと混合すると、混合液A由来の成分(疎水性のエラストマー等)中で混合液B由来の成分(親水性の高分子等)が安定して分散している混合液Cを調製することができた。このように、本発明者は、混合液Cの安定性を向上させることで、新たな薄いハイドロコロイド型の医療用粘着シートを容易に得ることができた。
本製造法は、例えば、混合液Bを調製する工程、または混合液Cを調製する工程で混合液Aと混合液Bを混合する際、さらに乳化剤を混合することが好ましい。乳化剤は、好ましくは、親水性の高分子との親和性に優れる化合物、例えば、多価アルコール脂肪酸エステルである。多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。具体的には、NIKKOL(日光ケミカルズ株式会社の登録商標) DECAGLYN 1−OV(同社製)などが挙げられる。
本製造法は、CMC又はCMC−Naに金属塩架橋を形成させる観点から、混合液Aを調製する工程で、さらに、明礬(ミョウバン)等のアルミニウムゲルを混合することが好ましい。この場合の本医療用粘着シートは、CMCまたはCMC−Naが溶け出しにくくなっており、吸水性が高まっている。また、明礬等のアルミニウムゲルは凝集作用があり、医療用粘着シートに微量に混合されていると傷の治癒に有効である。この理由は、傷から溶け出してくるタンパク質等を架橋(キレート化)してゲルを形成し、皮膜を作ることで傷の治癒に寄与することにあると推定される。
なお、従来のハイドロコロイド型粘着剤の製法としては、UV硬化型のエラストマー前駆体とエタノール溶液とハイドロコロイド粒子との混合物を支持フィルム上にコートして乾燥後をUV硬化する方法がある(特許文献1を参照)。しかし、このような方法では、ハイドロコロイド粒子がUV硬化前にエラストマー前駆体に埋没し、その状態でシート化されるのでシート表面はフラットになる。また、このような方法は多孔性のCMC−Naの粒子を用いたとき前駆体が粒子の中に入り込み重合反応が起こるため、コロイド粒子の特性が十分生かせない。
これに対して、本医療用粘着シートの製造方法では、疎水性のエラストマーが疎水性の溶媒に混合された混合液Aと、親水性の高分子が水および/または水溶性の溶媒に混合された混合液Bと、が混合されてなる混合液Cを剥離シート上に塗布して乾燥する。このため、混合液C中で親水性の高分子からなるハイドロコロイド粒子が疎水性の溶媒になじまずにその一部が塗布物の上面から突出したまま乾燥が進行する。その結果として得られる本医療用粘着シートは、そのシート材の表面にハイドロコロイド粒子の突出による突起が複数個形成されている。この突起はハイドロコロイド粒子表面が露出したものもあれば、ハイドロコロイド粒子表面が疎水性のエラストマーで一部または全体が薄く覆われた状態のものもある。
さらに、ハイドロコロイド粒子は水分を吸収するため、上記した突起が複数個形成されている面が皮膚に接する態様で本医療用粘着シートを使用すると、皮膚から医療用粘着シートへの水分の移行が助長される。このため、本医療用粘着シートは、吸水性に優れている。さらに、本医療用粘着シートが粘着付与剤として分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)を含有する場合には、この粘着付与剤(H1)により皮膚からハイドロコロイド粒子へ水分が移行しやすいため、この場合の本医療用粘着シートはさらに吸水性に優れており、貼付された部分の創で湿潤環境が形成されやすいため湿潤療法を行なうことができる。
[創傷被覆材の製造方法]
本製造法により製造された本医療用粘着シートは、さらに、ポリウレタンフィルム等の支持シートを積層する工程により、支持シートに積層されて創傷被覆材として用いられる。
なお、前述した混合液Cが剥離紙の剥離面上に塗布されて乾燥されたものは、その剥離面に当接している面と反対側の面(支持シートの一の面と貼り合わせる面)に、ハイドロコロイド粒子による多数の突起が形成されている。積層する工程で、接着剤を用いて混合液Cを塗布して乾燥させたものと支持シートとを貼り合わせる場合には、突起により接着剤ののりがよく接着しやすいため好ましい。
[実施例1から4に係る医療用粘着シート]
親水性の高分子として、サンローズ(日本製紙株式会社の登録商標)シリーズのCMC−Na(同社製、製品名:MAC500LC)を準備した。このCMC−Naは、図2に示すように、平均粒径が10μmより大きく20μm未満であるハイドロコロイド粒子を形成しており、このハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は10体積%未満であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満であった。
表1に示す配合に基づいて、実施例1から4に係る医療用粘着シートを作製することとした。なお、表1中で示したSISやポリイソブチレンは、25℃、65%RHの空気中に24時間放置されたときに、10質量%以下の水分率を示すエラストマーである。
Figure 2017176203
表1中の数値の単位は、質量部である。ただし、親水性の高分子/疎水性のエラストマーの数値は、単位なし。
*1 JSR株式会社製、製品名:JSR SIS5229
*2 重量平均分子量40,000〜70,000
*3 荒川化学工業株式会社製、脂環族飽和炭化水素樹脂、製品名:アルコンP−100
*4 カネダ株式会社製、製品名:ハイコールm525
*5 40質量%水溶液
*6 日光ケミカルズ株式会社製、製品名:NIKKOL DECAGLYN 1−OV
実施例1から3では、表1に示す配合に基づいて、疎水性のエラストマー、粘着付与剤、抗酸化剤、及び軟化剤をトルエンに溶解して混合液Aとした。また、エタノールに安定剤と乳化剤を混合した混合液に、準備したCMC−Naを混合して液中に分散させて、得られた分散液を混合液Bとした。さらに、混合液Aに混合液Bを混合して撹拌し、できあがった白色の分散混合液を混合液Cとした。この混合液Cを剥離紙に塗布してから乾燥させて、実施例1から3に係る医療用粘着シートをそれぞれ製造した。なお、混合液Cを剥離紙に塗布する際、乾燥後に得られる医療用粘着シートが所定の厚みになるように混合液Cの塗布量を調整した。
実施例4では、表1に示す配合に基づき実施例1と同様にして、実施例4に係る医療用粘着シートを製造した。ただし、実施例1と比べて、実施例4では、混合液Aを調製する際、さらにミョウバンを混合している点で異なる。
[実施例5に係る医療用粘着シート]
親水性の高分子として、クラレポバール(株式会社クラレの登録商標)シリーズのポリ酢酸ビニル部分ケン化物(同社製、製品名:PVA403)を準備した。このポリ酢酸ビニル部分ケン化物のケン化度は、78.5mol%以上かつ81.5mol%以下であった。
表1に示す配合に基づいて、疎水性のエラストマー、粘着付与剤、抗酸化剤、及び軟化剤をトルエンに溶解して混合液Aとした。また、水に準備したポリ酢酸ビニル部分ケン化物を混合して水中に分散させて、混合液Bとした。さらに、混合液Aに混合液Bを混合して撹拌し、できあがった白色の分散混合液を混合液Cとした。この混合液Cは、ハイドロコロイド粒子を含有していた。このハイドロコロイド粒子の体積頻度粒度分布を、粒子径分析装置(製品名:Mastersizer 2000、Malvern社製)を用いてレーザー回折法により測定した。測定の結果、このハイドロコロイド粒子の平均粒径は10μmより大きく20μm未満であり、このハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は10体積%未満であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満であった。この混合液Cを、実施例1の場合と同様に剥離紙に塗布して乾燥させて、実施例5に係る医療用粘着シートを製造した。
[実施例6に係る医療用粘着シート]
親水性の高分子として、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、製品名:PVP/VA S−630)を準備した。
表1に示す配合に基づいて、疎水性のエラストマー、粘着付与剤、抗酸化剤、及び軟化剤をトルエンに溶解して混合液Aとした。また、準備した酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を、水とN−メチルピロリドンの混合液に混合し分散させて混合液Bとした。さらに、混合液Aに混合液Bを混合して撹拌し、できあがった白色の分散混合液を混合液Cとした。この混合液Cが含有しているハイドロコロイド粒子について、前述した実施例5と同様に体積頻度粒度分布を測定した。測定の結果、このハイドロコロイド粒子の平均粒径は10μmより大きく20μm未満であり、このハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は10体積%未満であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満であった。この混合液Cを、実施例1の場合と同様に剥離紙に塗布して乾燥させて、実施例6に係る医療用粘着シートを製造した。
[実施例7に係る医療用粘着シート]
親水性の高分子として、実施例1で用いたものと同様のCMC−Naと、実施例6で用いたものと同様の酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を準備した。表1に示す配合に基づいて、疎水性のエラストマー、軟化剤、粘着付与剤、及び抗酸化剤をトルエンに溶解して混合液Aとした。また、エタノールに準備したCMC−Naと酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を混合し分散させて、得られた分散液を混合液Bとした。さらに、混合液Aに混合液Bを混合して撹拌し、できあがった白色の分散混合液を混合液Cとした。この混合液Cを、実施例1の場合と同様に剥離紙に塗布して乾燥させて、実施例7に係る医療用粘着シートを製造した。
[比較例1、2に係る医療用粘着シート]
表1に示す配合に基づき、ニーダーを用いて、まずSISとポリイソブチレンを140℃で混練した後、100℃付近にしてから粘着付与剤、及び鉱油を加えて良く混ぜ、その後、親水性の高分子を加えて良く混練してから、ニーダーから取り出して混合物を得た。この混合物を押し出し機にかけてダイから押し出して、比較例1、2に係る医療用粘着シートを製造した。なお、比較例1では親水性の高分子として実施例1で用いたものと同様のCMC−Naを少しずつ加えて混練し、比較例2では親水性の高分子として実施例5で用いたものと同様のポリ酢酸ビニル部分ケン化物を加えた。
[実施例1から7、及び比較例1、2に係る医療用粘着シートについて試験と試験結果]
上記したように、比較例1、2では分散液を作らず、加熱混練して得られた混合物を押出しでシート化した。250μm以上の厚みであればシート化可能であったが、200μmの厚みではダイに粒子塊が詰まり、均一にシート化することができなかった。このため、比較例1、2のように原料を混練する製造法では、厚さが250μm未満であるハイドロコロイド(親水性の高分子を多く含有する系)の皮膜を形成することはできないと分かった。
一方、前述したように実施例1から7では混合液Cを調製して、混合液Cを塗布、乾燥してシート化した。ここで、実施例1から4で用いた混合液Cは、混合液Aと混合液Bとを混合して調製後7日間、ほぼ安定な状態で保たれていた。混合液Cの成分が少し分離することがあっても、撹拌すれば概ね均一な系となり、1日以上はその系が安定に保たれていた。このため、実施例1から4で用いた混合液Cは、その塗工しやすい期間に問題がないことを確認できた。
実施例5から7で調製した混合液Cは、その調製後に直ちに剥離紙の剥離面に塗布すれば均一に塗布可能であるが、数時間で分離が起きて安定性が悪かった。このため、実施例5から7で調製した混合液Cは、長時間にわたって保管することは難しい。実施例5から7では、混合液Bに安定剤として多価アルコール(グリセリン)を混合していなかったため、混合液Cの安定性が損なわれていたと考えられる。
実施例1から7で用いた混合液Cは、医療用粘着シートの厚みが20μm以上かつ200μm以下の範囲内になるように剥離紙の剥離面に安定して塗布(キャスト)することが可能であった。また、塗布後の混合液Cを乾燥することで、ハイドロコロイド粒子がシート材中に概ね均一に分散した医療用粘着シートを製作できた。
実施例1から7で得られた医療用粘着シートの上面(製造時に剥離面に当接していた面に対して医療用粘着シートの反対側に形成された面)には、ハイドロコロイド粒子の突起が全面にわたって形成されていた。これらの突起のそれぞれの幅や高さは、ハイドロコロイド粒子の径が反映されてμmオーダーのサイズであった。
実施例1から6、及び比較例1、2に係る医療用粘着シートを、表面仕上げBAのSUS304鋼板(JIS Z 0237:2009用)に2kgゴムローラーで1往復して貼り付け、剥離角度180度、剥離速度300mm/minで剥離を行ったときの剥離力を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2017176203
* 凝集破壊(医療用粘着シートの厚さ方向の中間部分が破壊)されて両方に付着するため、医療用粘着シートとSUS304鋼板の板面との界面での剥離力を測定することができなかった。
[実施例1から7に係る創傷被覆材]
支持シートとして、厚さ25μmのポリウレタンフィルムを準備した。この支持シートを、実施例1から7に係る医療用粘着シート各々の上面に貼り合わせて積層し、実施例1から7に係る創傷被覆材を得た。実施例1から7のいずれも、創傷被覆材に備えられている医療用粘着シートが充分な接着力を示し、通常の取り扱い中に支持シートから剥脱しなかったため、創傷被覆材として製品化が可能と判断された。
実施例1から7に係る創傷被覆材の各々を、モニターによる創傷の治癒に用いた。その結果、実施例1から7に係る創傷被覆材による治療では、その医療用粘着シートが滲出液を吸収し、汗も吸収することが確認された。創傷の治癒はきれいに進み・痛みの緩和も確認できた。創傷部に貼ると白く変化して、滲出液を吸収したことが分かった。なお、実施例5又は6に係る創傷被覆材により治療した場合と比べると、実施例1から3のいずれかに係る創傷被覆材により治療した場合の方が、創傷の治癒が早く進み、痛みが小さいように感じられた。
[比較例3に係る医療用粘着シート、及び創傷被覆材]
親水性の高分子として、前述した実施例1から4、7、及び比較例1で用いたCMC−Naの製品とは別のCMC−Naの製品である、サンローズ(日本製紙株式会社の登録商標)シリーズのMAC一般品(同社製)を準備した。このCMC−Naはハイドロコロイド粒子を含有してなり、図3に示すように、このハイドロコロイド粒子の平均粒径は約40μmであり、ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は10体積%未満であったが、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%より多かった。このCMC−Naを用いた他は、実施例1と同様にして混合液Cを調製して剥離紙の剥離面上に塗布し、乾燥して150μmの厚みの医療用粘着シートを作製した。また、実施例1と同様に、比較例3に係る医療用粘着シートの上面に支持シート(厚み25μmのポリウレタンフィルム)を積層して、比較例3に係る創傷被覆材を得た。
比較例3に係る医療用粘着シートは、支持シートとの接着力が小さいため、支持シートから剥脱しやすかった。このため、比較例3に係る創傷被覆材は、製品化できないと判断された。この結果は、比較例3に係る医療用粘着シートが、実施例1から7に係る医療用粘着シートと比べて、径が大きいハイドロコロイド粒子を多く含有していることに起因していると考えられる。
[実施例8に係る医療用粘着シート]
親水性の高分子として、ポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成株式会社製、製品名:A−6710)の40質量%水溶液を準備した。表1に示す配合に基づき、前述した実施例1で用いたCMC−Naに代えてポリアクリル酸ナトリウムを用いた他は、実施例1と同様にして混合液Cを調製した。なお、実施例8ではポリアクリル酸ナトリウムの40質量%水溶液を54.0質量部配合したため、ポリアクリル酸ナトリウムを約21.5質量部配合したこととなる。また、実施例8での混合液C中には、ハイドロコロイド粒子が含まれていた。前述した実施例5と同様、このハイドロコロイド粒子の体積頻度粒度分布を測定したところ、平均粒径は10μmより大きく20μm未満であり、ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は8体積%未満であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が3体積%未満であった。この混合液Cは、剥離紙の剥離面上に均一に塗布することができた。塗布後の混合液Cを乾燥して、厚み100μmである、ポリアクリル酸ナトリウムからなるハイドロコロイド粒子がシート中に概ね均一に分散した、実施例8に係る医療用粘着シートを作製した。
[実施例1、8に係る医療用粘着シートについて、吸水性の試験と試験結果]
実施例1、8に係る医療用粘着シートの各々について、その質量を測定してから25℃の水中に浸漬し、6時間経過したら水中から取り出してシート表面の水分を吸水性の紙でよく拭き取って質量を測定した。その上で、次の式により、医療用粘着シートの吸水率Pを算出した。
P=(W−W)/W×100(%)
なお、上記した式において、Wは水中に浸漬前の医療用粘着シートの質量を示し、Wは水中に浸漬後の医療用粘着シートの質量を示す。
実施例8に係る医療用粘着シートの吸水率Pが約500%であったことに対し、実施例1に係る医療用粘着シートの吸水率Pは36%であった。また、実施例8に係る医療用粘着シートは水中で膨張して元の数倍の体積になったが、これに対して実施例1に係る医療用粘着シートは水中でわずかに膨張しただけであった。なお、医療用粘着シートを浸漬して取り出した後の水について、実施例8では特に変化は認められなかったことに対して、実施例1ではわずかに粘性を示した。
上記した吸水率Pについての試験結果について、実施例8では、ポリアクリル酸ナトリウムからなるハイドロコロイド粒子が吸水しすぎて膨潤しすぎたため、医療用粘着シートが元の数倍の体積にまで膨張してしまったと考えられる。一方、実施例1では、CMC−Naからなるハイドロコロイド粒子が適度に吸水して膨潤したため、医療用粘着シートが膨張する程度が適度に抑えられたと考えられる。また、実施例1では、CMC−Naが幾らか水中に溶け出したため、粘着シートを浸漬して取り出した後の水がわずかに粘性を示したと考えられる。
[実施例8に係る医療用粘着シートを備える創傷被覆材]
支持シートとして、厚さ25μmのポリウレタンフィルムを準備した。この支持シートを実施例8に係る医療用粘着シートの上面に積層して、実施例8に係る創傷被覆材を製造した。実施例8に係る医療用粘着シートは、充分な粘着力を示して通常の取り扱い中に支持シートから剥脱しなかった。このため、実施例8に係る創傷被覆材は、製品化が可能と判断された。
[実施例1、8に係る創傷被覆材ついて試験と試験結果]
実施例1に係る創傷被覆材と、実施例8に係る創傷被覆材を、それぞれ複数枚準備した。それぞれの創傷被覆材1枚を傷口に貼付して、貼付した創傷被覆材を1日に1回、未使用の同種の創傷被覆材と交換した。この交換時に、傷口の様子を観察した。
実施例8に係る創傷被覆材を傷口に貼付した場合、貼付して数分後に、傷の痛みとは別に、ひりひりする痛みが始まった。ひりひりする痛みは、貼付して2、3時間経つと治まった。また、貼付して2、3時間経つと、創傷被覆材が滲出液を吸収したため白みがかった外観となり膨らんできた。実施例8に係る創傷被覆材に備えられている医療用粘着シートは、貼付して1日経過すると、その体積が元の5倍から7倍に膨張して傷を圧迫した。創傷被覆材を交換する際、剥がすと、溶血を起こして赤茶けたどろどろの液が創面を覆っている様子が観察された。その後、創傷被覆材を交換するたび、ピリピリとした痛みを感じた。傷の治癒はなかなか進まず、貼付から10日経って傷が治っていなかったため、試験を中止した。
これに対して、実施例1に係る創傷被覆材を傷口に貼付した場合には、貼付してからしばらくすると傷の痛みが治まった。貼付して4時間から5時間経つと、創傷被覆材が滲出液を吸ったため白みがかった外観となった。貼付して2日経ち創傷被覆材を交換する際には、創の治癒が進んでいる様子が観察された。貼付して3日経ち創傷被覆材を交換する際には、元の傷口の面積の約8割が表皮で覆われるまでに治癒が進んでいた。貼付して4日経つと、創閉鎖しており、表皮が再生している様子が観察された。貼付して1週後には、再生した皮膚に毛細血管による淡い赤みがわずかに認められたが、皮膚面が目立たないように綺麗に治癒している様子が観察された。
上記した傷の治療についての試験とは別に、実施例1に係る創傷被覆材と、実施例8に係る創傷被覆材の各々を用いて、カテーテルを皮膚上に固定する試験を夏季に行なった。どちらの創傷被覆材でも、汗を吸収している様子が観察されたが、貼付から1日経過時に剥がれは認められなかった。
[実施例1、8に係る創傷被覆材ついて、考察]
実施例8に係る創傷被覆材が備える医療用粘着シートは、親水性の高分子としてポリアクリル酸ナトリウムを含有している。また、ポリアクリル酸ナトリウムは、乖離度が1であり、ナトリウムイオンを多量に放出する。実施例8での試験では、創傷被覆材を貼付された傷口付近で、局所的にナトリウムイオン濃度が増して等張性が損なわれたと考えられる。このため、傷口付近では、細胞内液がシートへ強制的に吸い出され、神経終末が刺激されてヒリヒリする痛みを感じ、溶血や細胞傷害が引き起こされたものと推定される。つまり、ポリアクリル酸ナトリウムのようなポリアクリル酸系の高吸水性樹脂は、吸水性に優れ、創面に湿潤環境を形成することができるが、傷の治癒を遅らせてしまう。したがって、実施例8に係る医療用粘着シートや創傷被覆材は、汗が出る正常な皮膚に貼付する場合には医療器具を皮膚上に固定する用途に使用可能であるが、傷が生じている皮膚に貼付する場合には治癒促進につながらないという問題がある。
一方、実施例1に係る創傷被覆材が備える医療用粘着シートは、親水性の高分子としてCMC−Naを含有している。また、実施例1に係る創傷被覆材を貼付した場合、傷口が上手く治癒して行った。この治癒の効果の一因は、CMC−Naが、高分子多糖体の誘導体であり、細胞との親和性が高いことにあると考えられる。また、実施例1に係る創傷被覆材が貼付されると、医療用粘着シートから、ある程度の量のCMC−Naが溶け出して創面を覆うため、創面やその周辺でサイトカインなどの働きが阻害されなかったと考えられる。このため、実施例1に係る医療用粘着シートや創傷被覆材は、医療器具を皮膚上に固定する用途のみならず、傷が生じている皮膚に貼付して被覆する用途にも使用可能である。
[実施例9に係る創傷被覆材]
実施例6に係る医療用粘着シートと比べて、同じ組成であるが、厚みが100μmである点のみが異なる実施例9に係る医療用粘着シートを製造した。また、この製造時に混合液Cが含有しているハイドロコロイド粒子について実施例6と同様に体積頻度粒度分布を測定したところ、このハイドロコロイド粒子の平均粒径は10μmより大きく20μm未満であり、ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は10体積%未満であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満であった。さらに、実施例9に係る医療用粘着シートに支持シート(厚さ25μmのポリウレタンフィルム)を積層して、実施例9に係る創傷被覆材を製造した。
[比較例4に係る創傷被覆材]
実施例6に係る医療用粘着シートと比べて、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を全く含有していない点と、厚みが100μmである点が異なるが、その他については同じ条件で比較例4に係る医療用粘着シートを製造した。なお、この医療用粘着シートは、製造時に親水性の高分子を配合していないため、ハイドロコロイド粒子を含有していない。この医療用粘着シートに支持シート(厚さ25μmのポリウレタンフィルム)を積層して、比較例4に係る創傷被覆材を製造した。
[実施例9に係る創傷被覆材と、比較例4に係る創傷被覆材とで、透湿度の比較試験]
実施例9に係る創傷被覆材と、比較例4に係る創傷被覆材とについて、前述したJIS Z 0208に準拠したカップ法により、それぞれの透湿度を測定した。比較例4に係る創傷被覆材の透湿度は29g/(m・day)であったことに対して、実施例9に係る創傷被覆材の透湿度は1,502g/(m・day)であった。このため、医療用粘着シートは、平均粒径が10μmより大きく20μm未満であるハイドロコロイド粒子を含有しており、このハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満である粒子の含有量は10体積%未満であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満である場合には、優れた水蒸気透過性を示すことが明らかとなった。
1 医療用粘着シート
3 ハイドロコロイド粒子

Claims (17)

  1. 厚みが20μm以上かつ200μm以下であり、
    親水性の高分子を主成分とするハイドロコロイド粒子、及び疎水性のエラストマーを含有してなり、
    前記親水性の高分子の含有量が20質量%以上かつ50質量%以下であり、
    前記ハイドロコロイド粒子の平均粒径が5μm以上かつ25μm以下であり、
    前記ハイドロコロイド粒子は、該ハイドロコロイド粒子の全体積に対して、径が2μm未満の粒子の含有量が10体積%以下であり、径が50μmより大きい粒子の含有量が5体積%未満である、
    医療用粘着シート。
  2. SUS板(JIS Z 0237:2009用)に対する剥離力が3N/20mm以上かつ20N/20mm以下である請求項1に記載の医療用粘着シート。
  3. 透湿度が1,000g/(m・day)以上かつ5,000g/(m・day)以下である請求項1または2に記載の医療用粘着シート。
  4. さらに、多価アルコールを含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医療用粘着シート。
  5. さらに、粘着付与剤を含有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の医療用粘着シート。
  6. 前記粘着付与剤が、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)を含み、
    前記粘着付与剤(H1)の含有量が1質量%以上かつ45質量%以下である請求項5に記載の医療用粘着シート。
  7. 前記粘着付与剤が、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)、並びに、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤の水添物(H2)からなる粘着付与剤(H3)を含み、
    前記粘着付与剤(H3)の含有量が1質量%以上かつ45質量%以下であり、
    前記粘着付与剤(H3)における前記粘着付与剤(H1)と前記粘着付与剤の水添物(H2)の質量比(H1:H2)が5:100から100:5である請求項5に記載の医療用粘着シート。
  8. 前記粘着付与剤が、分子内にハイドロオキシ基および/またはカルボキシル基を有する粘着付与剤(H1)、並びに、脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)からなる粘着付与剤(H5)を含み、
    前記粘着付与剤(H5)の含有量が1質量%以上かつ45質量%以下であり、
    前記粘着付与剤(H5)における前記粘着付与剤(H1)と前記脂環式飽和炭化水素樹脂(H4)の質量比(H1:H4)が5:100から100:5である請求項5に記載の医療用粘着シート。
  9. 前記粘着付与剤(H1)が、ロジンエステルまたはテルペン系化合物である請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の医療用粘着シート。
  10. 前記疎水性のエラストマーが、少なくとも、SIS、SBS、SIBS、SEBS、及びSEPSからなる群より選ばれた1種以上のブロックポリマーを含む請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の医療用粘着シート。
  11. 前記親水性の高分子が、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ポリ酢酸ビニル(部分ケン化物を含む)、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の医療用粘着シート。
  12. 前記親水性の高分子が、少なくとも、高分子多糖体の誘導体および/またはタンパク質を含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の医療用粘着シート。
  13. 前記親水性の高分子が、CMC−Naである請求項11または12に記載の医療用粘着シート。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の医療用粘着シートと、
    前記医療用粘着シートに積層された支持シートと、
    を備える創傷被覆材。
  15. 請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の医療用粘着シートの製造方法であって、
    疎水性の溶媒に疎水性のエラストマーを混合して、該疎水性のエラストマーが該疎水性の溶媒に溶解された状態で存在する混合液Aを調製する工程と、
    親水性の高分子ならびに水および/または水溶性の溶媒を混合して混合液Bを調製する工程と、
    前記混合液Aと前記混合液Bを混合して混合液Cを調製する工程と、
    前記混合液Cを剥離面上に塗布して乾燥させる工程と、
    を含む医療用粘着シートの製造方法。
  16. 前記混合液Aを調製する工程で、さらに、粘着付与剤を混合する請求項15に記載の医療用粘着シートの製造方法。
  17. 前記混合液Bを調製する工程で、さらに、安定剤を混合する請求項15または16に記載の医療用粘着シートの製造方法。
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