JP2017166945A - トルク測定装置付回転伝達装置 - Google Patents

トルク測定装置付回転伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】合成樹脂製のセンサホルダに温度変化に伴って変形が生じた場合にも、トルクを正確に測定できる構造を実現する。
【解決手段】1対のセンサ11a、12aを、外輪に支持固定されたセンサキャップの内側に、合成樹脂製のセンサホルダ13aを介して支持する。そして、このセンサホルダ13aを、全体を円環状に構成し、円周方向に関する位相が180度異なる直径方向反対側位置に、1対のセンサ11a、12aを支持する為の1対のセンサ取付部34a、34bを設ける。又、センサホルダ13aを、これら1対のセンサ取付部34a、34b及びセンサホルダの中心Oを通る仮想直線Sに関して線対称形状とし、且つ、中心Oに関して点対称形状とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動車用自動変速機に組み込んで、トルクを伝達すると共に、伝達するトルクの大きさを測定する為に利用する、トルク測定装置付回転伝達装置の改良に関する。
自動車用自動変速機を構成する軸の回転速度と、この軸により伝達しているトルクの大きさとを測定し、その測定結果を当該変速機の変速制御又はエンジンの出力制御を行う為の情報として利用する事が、従来から行われている。又、トルクの大きさを測定する為に利用可能な装置として従来から、軸の弾性的な捩れ変形量を1対のセンサの出力信号の位相差に変換し、この位相差に基づいてトルクの大きさを測定する装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。この様な従来構造に就いて、図5を参照しつつ説明する。
図5に示した従来構造の場合、運転時にトルクを伝達するトルク伝達軸1の軸方向2箇所位置に、1対のエンコーダ2、2を外嵌固定している。被検出部である、これら1対のエンコーダ2、2のそれぞれの外周面である被検出面の磁気特性は、円周方向に関して交互に且つ等ピッチで変化している。又、これら両被検出面の磁気特性が円周方向に関して変化するピッチは、これら両被検出面同士で互いに等しくなっている。又、これら両被検出面に、1対のセンサ3、3の検出部を対向させた状態で、これら1対のセンサ3、3を、図示しないハウジングに支持している。これら1対のセンサ3、3は、それぞれ自身の検出部を対向させた部分の磁気特性の変化に対応して、その出力信号を変化させるものである。
上述の様な前記1対のセンサ3、3の出力信号は、前記トルク伝達軸1と共に前記1対のエンコーダ2、2が回転する事に伴い、それぞれ周期的に変化する。この変化の周波数(及び周期)は、前記トルク伝達軸1の回転速度に見合った値をとる。この為、この周波数(又は周期)に基づいて、この回転速度を求められる。又、前記トルク伝達軸1によりトルクを伝達する事に伴って、このトルク伝達軸1が弾性的に捩れ変形すると、前記1対のエンコーダ2、2が回転方向に相対変位する。この結果、前記1対のセンサ3、3の出力信号同士の間の位相差比(=位相差/1周期)が変化する。又、この位相差比は、前記トルク(前記トルク伝達軸1の弾性的な捩れ変形量)に見合った値をとる。この為、この位相差比に基づいて、前記トルクを求められる。
ところが、上述した様な従来構造のトルク測定装置付回転伝達装置の場合には、1対のセンサ3、3を、軸方向に離隔した状態で、それぞれ高精度な相対位置関係でハウジングに取り付ける必要がある。この為、前記1対のセンサ3、3の取り付け作業が面倒になる。又、合計2本のハーネス4、4が必要になる為、これらハーネス4、4の配線作業が面倒になる(取り回し性が悪くなる)と共に、コスト及び重量の増大を招く。
この様な事情に鑑みて、本発明者等は本発明に先立って、特許文献3に記載されたトルク測定装置付回転伝達装置を完成させた。以下、この特許文献3に記載された、先発明に係るトルク測定装置付回転伝達装置の構造に就いて、図6を参照しつつ簡単に説明する。
先発明に係るトルク測定装置付回転伝達装置5は、中空円筒状に構成されたトルク伝達軸6を、ハウジングに支持固定された転がり軸受7により回転自在に支持している。又、このトルク伝達軸6の内径側に内軸8を配置し、この内軸8の軸方向一端部(図6の右端部)を、このトルク伝達軸6の軸方向一端部に相対回転不能に連結すると共に、前記内軸8の軸方向他端部(図6の左端部)を、前記トルク伝達軸6の軸方向他端開口から軸方向他側に突出させている。
又、前記転がり軸受7を構成する内輪に、第一のエンコーダ9を支持固定すると共に、前記内軸8の軸方向他端部に、第二のエンコーダ10を支持固定している。更に、前記転がり軸受7を構成する外輪に、第一のセンサ11及び第二のセンサ12をセンサホルダ13に保持した状態で支持固定している。又、この状態で、前記第一のエンコーダ9の外周面である被検出面に、前記第一のセンサ11の検出部を径方向の微小隙間を介して対向させると共に、前記第二のエンコーダ10の外周面である被検出面に、前記第二のセンサ12の検出部を径方向の微小隙間を介して対向させている。
特許文献3に記載された構造の場合には、上述の様な構成を採用する事で、前記第一、第二のセンサ11、12の出力信号に基づいて、前記トルク伝達軸6の軸方向両端部同士の回転方向の相対変位を測定し、伝達しているトルクの大きさを求める事ができる。更に、前記内軸8を利用する事で、前記第一、第二のエンコーダ9、10を軸方向に隣接配置する事を可能としている為、前記第一、第二のセンサ11、12を、前記センサホルダ13に取り付けた状態でまとめて取り扱う事ができる。この為、センサの取り付け作業性を良好にできると共に、ハーネス4の配線作業の簡略化を図れ、コスト及び重量の低減を図れる。更に、前記センサホルダ13を、前記転がり軸受7を構成する外輪に支持固定している為、前記第一、第二のセンサ11、12のそれぞれの検出部と、前記第一、第二のエンコーダ9、10のそれぞれの被検出面との径方向に関する隙間を、容易に且つ厳密に管理する事もできる。
ところが、上述した様な特許文献3に記載された構造の場合に、センサホルダ13を、合成樹脂製とした場合、温度変化に伴う変形(主として熱膨張)の影響が、トルクの測定精度に影響を与える事が考えられる。例えば、前記トルク測定装置付回転伝達装置5の組み込み対象となる自動車用変速機の場合、変速機内(ミッションケース内)の温度は非常に高温になる事が知られている。この為、合成樹脂製のセンサホルダ13が熱膨張する事で、このセンサホルダ13に取り付けられた1対のセンサ9、10同士の円周方向距離(相対位置)が変化する事が考えられる。トルク伝達軸6の捩れ量が、センサホルダ13に取り付けられた1対のセンサ9、10同士の相対変位量に比べて十分に大きければ、実用上問題とはならないが、トルク伝達軸6の設計上の都合により、十分な捩れ量が確保されない場合には、センサホルダ13の熱膨張のわずかな影響により、トルクの測定精度が低くなる可能性がある。
特開平1−254826号公報 特開昭63−82330号公報 特開2015−172563号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、合成樹脂製のセンサホルダに温度変化に伴って変形が生じた場合にも、トルクの測定精度を十分に確保できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のトルク測定装置付回転伝達装置は、トルク伝達軸と、転がり軸受と、1対のエンコーダと、1対のセンサとを備える。
このうちのトルク伝達軸は、使用時にトルクを伝達するものである。
又、前記転がり軸受は、外輪と、内輪と、複数個の転動体とを備え、前記トルク伝達軸を、使用時に回転しない部分に対し、回転自在に支持するものである。
前記1対のエンコーダは、それぞれの被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させており、前記トルク伝達軸に直接又は使用時にこのトルク伝達軸と同期して回転する部材に支持されている。
前記1対のセンサは、前記1対のエンコーダの被検出面にそれぞれの検出部を対向された状態で、使用時にも回転しない部分に支持されている。
そして、前記1対のセンサの出力信号(例えば出力信号同士の位相差、位相差比)を利用して、前記トルク伝達軸が使用時に伝達するトルクを測定可能としている。
又、本発明の場合には、前記1対のエンコーダ(及び前記1対のセンサ)を、前記トルク伝達軸の軸方向に関して1個所位置(例えば軸方向片端側又は軸方向他端側)に隣接配置(まとめて配置)している。
特に、本発明のトルク測定装置付回転伝達装置の場合には、前記1対のセンサを、前記使用時にも回転しない部分に対し固定されたセンサキャップの内側に、センサホルダを介して支持している。
又、前記センサホルダを、合成樹脂製で、全体を円環状に構成しており、円周方向に関する位相が180度異なる直径方向反対側位置に、前記1対のセンサを支持する為の1対のセンサ取付部を有するものとしている。又、前記センサホルダを、これら1対のセンサ取付部(より具体的にはセンサ取付部の円周方向中央部)及び前記センサホルダの中心を通る仮想直線に関して線対称形状とし、且つ、前記センサホルダの中心に関して点対称形状としている。
又、本発明を実施する場合、前記1対のエンコーダを、前記トルク伝達軸の軸方向に関して1個所位置に隣接配置する為に、より具体的には、例えば、前記トルク伝達軸を中空状とし、このトルク伝達軸の内径側に、内軸を配置する。そして、この内軸の軸方向一端側部分を、このトルク伝達軸の軸方向一端側部分に直接又は間接的に(他の部材を介して)相対回転不能に連結する。
又、前記1対のエンコーダのうち、一方のエンコーダを、前記トルク伝達軸の軸方向他端側部分に直接又は間接的に支持固定し、他方のエンコーダを、前記内軸の軸方向他端側部分(トルク伝達軸の軸方向他端部から突出した部分)に、前記一方のエンコーダと隣接した状態で直接又は間接的に支持固定する。
又、上述の様に、前記トルク伝達軸の内径側に前記内軸を配置する構成を採用した場合には、この内軸を中空状(中空筒状、中空管状)に構成し、この内軸を軽量化すると共に、この内軸の内部空間を潤滑油を各部に供給する為の流路として利用する事もできる。
又、前記内軸の軸方向中間部外周面を、前記トルク伝達軸の内周面によって案内支持する構成を採用する事もできる。この場合には、前記内軸の軸方向中間部外周面(前記トルク伝達軸の内周面によって案内される面)に、摩耗防止の為の表面処理を施す事ができる。又、前記内軸の外周面と前記トルク伝達軸の内周面との間に、ブッシュ(例えば滑り軸受やラジアルニードル軸受)を配置する事もできる。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記センサキャップを、それぞれが円環状の1対のキャップ素子同士を軸方向に互いに組み合わせて(嵌合固定して)成るものとする事ができる。
この場合に使用する前記1対のキャップ素子は、それぞれ互いに嵌合固定される円筒状の筒部と、これら各筒部の端部から軸方向内方に折れ曲がった円輪部とを備えたものとする事ができる。
又、本発明を実施する場合には、例えば、前記センサキャップを、前記転がり軸受を構成する外輪の内周面のうち、外輪軌道から軸方向に外れた軸方向端部に内嵌固定する事ができる。
又、本発明を実施する場合には、例えば、前記エンコーダを永久磁石製とすると共に、このエンコーダの被検出面にS極に着磁した部分とN極に着磁した部分とを円周方向に関して交互に設ける(磁気特性を円周方向に関して交互に且つ等ピッチで変化させる)構成を採用できる他、エンコーダを単なる磁性金属製とし、このエンコーダの被検出面に透孔(又は凹部)と柱部(又は凸部)とを円周方向に関して交互に設ける構成を採用できる。又、エンコーダを磁性金属製とし、被検出面を透孔(又は凹部)と柱部(又は凸部)とを設ける構成を採用した場合には、この様なエンコーダと組み合わせるセンサ側に永久磁石を組み込む。
更に、本発明を実施する場合には、例えば、前記トルク伝達軸に関して、表面硬さをHV400以上とし、且つ、表面炭素濃度を0.2%以上とする事ができる。
又、本発明を実施する場合に、前記トルク伝達軸にトルクを入力する為の入力部の位置(形成位置、設置位置)は特に限定されず、例えば軸方向一端部に設ける事もできるし、軸方向中間部、又は、軸方向他端部に設ける事もできる。又、入力部としては、例えば、前記トルク伝達軸の外周面又は内周面に、スプライン部(雄スプライン部又は雌スプライン部)、キー係合部、嵌合面部、螺子部を直接形成する構成を採用できる他、入力歯車、入力プーリ、入力スプロケット等を、前記トルク伝達軸と一体に設けたり、或いは、別体として結合固定する構成を採用できる。
又、同様に、前記トルク伝達軸からトルクを出力する為の出力部の位置(形成位置、設置位置)は特に限定されず、例えば軸方向一端部に設ける事もできるし、軸方向中間部、又は、軸方向他端部に設ける事もできる。又、出力部としては、例えば、前記トルク伝達軸の外周面又は内周面に、スプライン部(雄スプライン部又は雌スプライン部)、キー係合部、嵌合面部、螺子部を直接形成する構成を採用できる他、出力歯車、出力プーリ、出力スプロケット等を、前記トルク伝達軸と一体に設けたり、或いは、別体として結合固定する構成を採用できる。又、前記トルク伝達軸には、複数の出力部を設ける事も可能であり、この場合には、例えば歯数の異なる複数の出力歯車を設けたり、種類の異なる出力部(例えば出力プーリと出力歯車等)を設ける事ができる。
又、本発明を実施する場合には、前記トルク伝達軸を、ハウジング等の使用時にも回転しない部分に対し、1乃至複数の軸受(少なくとも1個の転がり軸受を含む)を用いて回転自在に支持する。この場合に使用する軸受としては、例えば深溝型、アンギュラ型等の玉軸受、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、ラジアルニードル軸受、自動調心ころ軸受、滑り軸受等を使用できる。又、複数の軸受を使用する場合には、例えば、前記トルク伝達軸の軸方向中間部のうち、トルクの入力部と出力部との間部分を、回転自在に支持する事ができる。
又、本発明を実施する場合には、例えば、前記トルク伝達軸にトルクを入力する動力源の回転軸を、このトルク伝達軸と同軸、平行、又は直角に配置する事ができる。
尚、本明細書で、軸の軸方向一端側とは、当該軸の中央部よりも軸方向一端に近い側に存在する部分(一端部を含む)を言い、反対に、軸方向他端側とは、当該軸の中央部よりも軸方向他端に近い側に存在する部分(他端部を含む)を言う。
上述の様に構成する本発明のトルク測定装置付回転伝達装置によれば、合成樹脂製のセンサホルダに温度変化に伴って変形が生じた場合にも、トルクの測定精度を十分に確保する事ができる。
即ち、本発明の場合には、1対のセンサを支持する為の合成樹脂製のセンサホルダを、全体を円環状に構成しており、円周方向に関する位相が180度異なる直径方向反対側位置に、前記1対のセンサを取り付ける為の1対のセンサ取付部を設けている。又、前記センサホルダを、これら1対のセンサ取付部及び前記センサホルダの中心を通る仮想直線に関して線対称形状とし、且つ、前記センサホルダの中心に関して点対称形状としている。
この為、前記センサホルダに温度変化に伴う変形(温度上昇に伴う熱膨張、温度低下に伴う収縮を含む)が生じた場合にも、前記センサホルダを前記仮想直線で2分割した場合に得られる2つの半円環状部同士で変形態様(変形の仕方)を同じにできる。これにより、これら2つの半円環状部の連結部に相当する前記1対のセンサ取付部では、2つの半円環状部からそれぞれ円周方向に関して逆方向で大きさの等しい力(膨張の場合には圧縮力、収縮の場合には引張力)が作用する事になる。従って、前記1対のセンサ取付部では、温度変化に伴う変形の影響をキャンセル(相殺)する事が可能になり、これら1対のセンサ取付部の円周方向位置が変化する事を有効に防止できる。この結果、本発明によれば、前記センサホルダに熱膨張等の変形が生じた場合にも、前記1対のセンサの出力信号を利用したトルクの測定精度を十分に確保する事が可能になる。
更に請求項2に記載した発明によれば、上述の様な円環状に構成された前記センサホルダを、センサキャップの内側に容易に組み込む事が可能になる。
本発明の実施の形態の1例を示す、トルク測定装置付回転伝達装置の断面図。 同じく図1のA部拡大図。 同じく1対のセンサを取り付けた状態でセンサホルダを取り出して示す、側面図。 同じくセンサキャップ及びセンサホルダを取り出して示す分解斜視図。 従来構造のトルク測定装置付回転伝達装置を示す略側面図。 従来構造の別のトルク測定装置付回転伝達装置を示す断面模式図。
[実施の形態の1例]
本発明の実施の形態の1例に就いて、図1〜4を参照しつつ説明する。本例のトルク測定装置付回転伝達装置5aは、例えば自動車用の自動変速機に組み込んで使用する。この様なトルク測定装置付回転伝達装置5aは、ハウジング(ミッションケース)14と、ベルト式CVT等のインプットシャフト(又はカウンタシャフト)として機能する中空状(中空筒状)のトルク伝達軸6aと、1対の転がり軸受7a、7bと、入力歯車15と、出力歯車16と、内軸8aと、第一のエンコーダ9aと、第二のエンコーダ10aと、1個のセンサユニット17とを備える。
前記トルク伝達軸6aは、炭素鋼の如き合金鋼により中空円筒状に造られたもので、焼き入れ、焼き戻し処理等の熱処理を行い、このトルク伝達軸6aの表面硬さをHV400以上とすると共に、表面炭素濃度を0.2%以上としている。又、本例の場合には、前記トルク伝達軸6aにトルクを入力する為の前記入力歯車15を、このトルク伝達軸6aの軸方向中間部に、このトルク伝達軸6aとは別体に設けており、トルクを出力する為の前記出力歯車16を、このトルク伝達軸6aの軸方向一端寄り部分(図1の右端寄り部分)に、このトルク伝達軸6aとは別体に設けている。又、このトルク伝達軸6aのうち、前記入力歯車15及び前記出力歯車16が設置された部分を挟んだ両側部分(軸方向他端部分及び軸方向一端部)を、前記1対の転がり軸受7a、7bにより、前記ハウジング14に対し回転自在に支持している。
前記入力歯車15及び前記出力歯車16は、炭素鋼の如き合金鋼製のはすば歯車又は平歯車であり、前記トルク伝達軸6aとは別体に設けられている。この為に、前記入力歯車15及び前記出力歯車16の嵌合部に関して、同心性を確保する為の円筒面嵌合部と、相対回転を防止する為のインボリュートスプライン係合部とを、軸方向に隣接配置した構成を採用している。
前記1対の転がり軸受7a、7bはそれぞれ、例えば深溝型、アンギュラ型等の玉軸受、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、ラジアルニードル軸受、自動調心ころ軸受等(図示の例は玉軸受)であり、それぞれが円環状の外輪18a、18b及び内輪19a、19bと、複数個の転動体(玉)20a、20bとから構成されている。このうちの外輪18a、18bは、使用時にも回転しない静止輪であり、前記ハウジング14に内嵌固定されている。前記内輪19a、19bは、使用時に回転する回転輪であり、前記トルク伝達軸6aに外嵌固定されている。前記各転動体20a、20bは、前記外輪18a、18bの軸方向中間部内周面に形成された外輪軌道と、前記内輪19a、19bの軸方向中間部外周面に形成された内輪軌道との間に、保持器により保持された状態で、転動自在に設けられている。又、本例の場合には、前記1対の転がり軸受7a、7b同士で、互いの接触角を逆向きとしている。
前記内軸8aは、炭素鋼の如き合金鋼又は合成樹脂により略円柱状(又は円管状)に造られたもので、前記トルク伝達軸6aの内径側に、このトルク伝達軸6aと同心に配置されている。又、前記内軸8aは、その軸方向一端部(図1の右端部)を、このトルク伝達軸6aの軸方向一端部に相対回転不能に連結すると共に、その軸方向他端部(図1の左端部)を、前記トルク伝達軸6aの軸方向他端開口から軸方向他側に突出させている。図示の構造の場合には、前記内軸8aの軸方向一端部を、前記トルク伝達軸6aの軸方向一端部に相対回転不能に連結する為に、この内軸8aの軸方向一端部に設けた大径部21の外周面と、このトルク伝達軸6aの軸方向一端部内周面とを、相対回転不能に締り嵌めにより嵌合固定している。尚、これら両周面同士を、相対回転不能に連結する為に、例えばインボリュートスプラインやキーによる係合を採用する事もできる。又、本例の場合には、前記内軸8aのうち前記大径部21から軸方向に外れた部分の外周面と、前記トルク伝達軸6aの内周面との間部分に隙間(微小隙間)を設けている。この間部分には、潤滑油を充満させて、フィルムダンパとして機能させる事もできる。
前記第一のエンコーダ9aは、前記転がり軸受7aを構成する内輪19aに支持固定されている。言い換えれば、この第一のエンコーダ9aは、この転がり軸受7aを構成する内輪19aを介して、前記トルク伝達軸6aの軸方向他端寄り部分に間接的に取り付けられている。この為、前記第一のエンコーダ9aは、このトルク伝達軸6aの軸方向他端寄り部分と共に(同期して)回転可能である。これに対し、前記第二のエンコーダ10aは、前記内軸8aのうちで、前記トルク伝達軸6aの軸方向他端開口から軸方向他側に突出した部分(軸方向他端部)に外嵌固定されている。言い換えれば、前記第二のエンコーダ10aは、前記内軸8aを介して、前記トルク伝達軸6aの軸方向一端部に間接的に取り付けられている。この為、前記第二のエンコーダ10aは、このトルク伝達軸6aの軸方向一端部と共に(同期して)回転可能である。
又、前記第一、第二のエンコーダ9a、10aは、前記転がり軸受7aを構成する内輪19a又は前記内軸8aの軸方向他端部に支持固定される、金属板から造られた断面クランク形で円環状の支持環(芯金)22、23と、これら各支持環22、23の外周面に固定された、ゴム、合成樹脂等の高分子材料中に磁性粉を分散させて全体を円筒状とした、ゴム磁石、プラスチック磁石等の永久磁石製のエンコーダ本体24、25とから成る。尚、これらエンコーダ本体24、25中に含有する磁性粉としては、例えば、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライト等のフェライト系の磁性粉や、サマリウム−鉄、サマリウム−コバルト、ネオジウム−鉄−ボロン等の希土類元素の磁性粉を採用できる。そして、前記第一のエンコーダ9aを構成するエンコーダ本体24の外周面を、第一被検出面26とし、又、前記第二のエンコーダ10aを構成するエンコーダ本体25の外周面を、第二被検出面27としている。これら第一、第二両被検出面26、27は、互いの直径が等しく、互いに同心に、且つ、軸方向に隣り合う状態で近接(例えば軸方向に10mm以内、好ましくは5mm以内の間隔をあけて)配置されている。又、前記第一、第二両被検出面26、27には、それぞれS極とN極とが、円周方向に関して交互に且つ等ピッチで配置されており、磁気特性を円周方向に関して交互に且つ等ピッチで変化させている。前記第一、第二両被検出面26、27の磁極(S極、N極)の総数は、互いに一致している。尚、第一のエンコーダ(エンコーダ本体)を、内輪に対して支持環を介する事なく直接取り付けても良い。又、第二のエンコーダを構成する支持環の内周面に雌ねじを形成し、この雌ねじを内軸の軸方向他端部に形成した雄ねじ部に螺合させる事により、第二のエンコーダを内軸の軸方向他端部に取り付けても良い。
更に本例の場合には、前記センサユニット17を、前記転がり軸受7aを構成する外輪18aに支持固定している。そして、前記センサユニット17を、第一のセンサ11aと、第二のセンサ12aと、第一基板28と、第二基板29と、センサホルダ13aと、センサキャップ30とを含んで構成している。このうちの第一、第二のセンサ11a、12aは、ホール素子、ホールIC、MR素子(GMR素子、TMR素子、AMR素子を含む)等の磁気検出素子を備えた検出部31a、31bと、この検出部31a、31bから引き出されたそれぞれが1対の端子32a、32bと、これら1対の端子32a、32bの長さ方向中間部同士を導通させる事なく連結する連結部材33a、33bとを備えている。又、本例の場合には、前記各端子32a、32bを略コ字形に折り曲げて、前記第一、第二のセンサ11a、12aを支持するのに利用している。
前記センサホルダ13aは、合成樹脂を例えば射出成形する事により、全体を円環状に造られており、円周方向に関する位相が180度異なる直径方向反対側位置に、前記第一、第二のセンサ11a、12aを取り付ける為の1対のセンサ取付部34a、34bが設けられている。又、前記センサホルダ13aのうち、これら1対のセンサ取付部34a、34bから円周方向に関する位相がそれぞれ90度ずれた位置には、前記第一、第二基板28、29を取り付ける為の1対の基板取付部35a、35bが設けられている。更に、前記センサホルダ13aの軸方向片側面のうち、円周方向に隣り合う前記センサ取付部34a、34bと前記基板取付部35a、35bとの間部分に位置する円周方向4個所位置には、前記センサホルダ13aを前記センサキャップ30に対して支持する為の係合凸部36、36が設けられている。この様な本例のセンサホルダ13aは、前記1対のセンサ取付部34a、34bのそれぞれの円周方向中央部、及び、このセンサホルダ13aの中心Oをを通る仮想直線Sに関して線対称形状に構成されていると共に、この中心Oに関して点対称形状に構成されている。尚、本例の場合、前記1対のセンサ取付部34a、34bは、軸方向に関して対称形状に構成されている。
そして、本例の場合には、前記各センサ取付部34a、34bに対し、前記第一、第二のセンサ11a、12aを取り付けている。具体的には、前記第一のセンサ11aを構成する端子32a、32aの先端部と、前記第二のセンサ12aを構成する端子32b、32bの先端部とを、軸方向に関して反対向き(向き合う方向)に配置する。そして、コ字形に折り曲げられた前記両端子32a、32aにより、前記センサ取付部34aを径方向両側及び軸方向片側(他端側)から取り囲む様に、前記第一のセンサ11aをこのセンサ取付部34aに取り付ける。又、同様に、コ字形に折り曲げられた前記両端子32b、32bにより、前記センサ取付部34bを径方向両側及び軸方向片側(一端側)から取り囲む様に、前記第二のセンサ12aをこのセンサ取付部34bに取り付ける。
尚、この様に第一、第二のセンサ11a、12aを取り付けた状態で、前記各検出部31a、31bと前記各連結部材33a、33bとの間で、前記各センサ取付部34a、34bを径方向両側から弾性的に挟持している。又、前記第一、第二のセンサ11a、12aを前記センサホルダ13aに取り付けた状態で、前記両端子32a、32bを、前記第一、第二各基板28、29に対し、図示しない電気配線により、それぞれ電気的に接続している。
前記第一、第二両基板28、29は、略円弧板状に構成されており、前記センサホルダ13aのうちの前記各基板取付部35a、35bに対し取り付けられている。又、本例の場合、前記第一、第二両基板28、29同士を、図示しない電気配線により電気的に接続すると共に、このうちの一方の基板(第一基板28又は第二基板29)に対し、ハーネス46を電気的に接続している。
更に本例の場合には、前記センサホルダ13aに対し、前記第一、第二のセンサ11a、12a、及び、前記第一、第二両基板28、29を取り付けた状態で、これら各部材13a、11a、12a、28、29を、前記センサキャップ30の内側に配置している。このセンサキャップ30は、1対のキャップ素子37a、37bを軸方向に互いに組み合わせる(嵌合する)事により構成している。この様な構成を採用する事により、上述した様な円環状に構成された前記センサホルダ13aを、前記センサキャップ30の内側に容易に組み込める様にしている。前記1対のキャップ素子37a、37bはそれぞれ、例えば板厚が0.5〜1.3mm程度のSPCC等の圧延鋼板にプレス加工を施して造られたもので、全体を略円環状に構成している。
前記1対のキャップ37a、37bのうち、一方のキャップ素子37aは、断面略L字形で、円輪状の底部38と、この底部38の外径側端部から軸方向一端側に向けて直角に折れ曲がる状態で設けられた内側筒部39とを備えている。又、このうちの底部38には、円周方向等間隔4個所位置に、前記センサホルダ13aに設けられた係合凸部36、36と係合可能な係合孔40、40が設けられている。又、前記底部38の円周方向1個所位置で、円周方向に隣り合う係合孔40、40同士の間部分には、前記ハーネス46を引き出す為のハーネス引出孔41が設けられていると共に、このハーネス引出孔41の周囲部分には、軸方向他側に向けて突出した短円筒部42が設けられている。尚、この様なハーネス引出孔41及び短円筒部42は、例えばバーリング加工により形成される。
これに対し、前記1対のキャップ素子37a、37bのうち、他方のキャップ素子37bは、外側筒部43と、この外側筒部43の軸方向一端縁から径方向内方に向けて直角に折れ曲がる状態で設けられた突き当て円輪部44と、この突き当て円輪部44の径方向内端縁を径方向外方に180度折り返すと共に、軸方向一端側に向けて直角に折り曲げる事により構成された円筒状の支持筒部45とを備えている。又、本例の場合、自由状態で、前記外側筒部43の内径寸法を、前記一方のキャップ素子37aを構成する内側筒部39の外径寸法よりも僅かに小さく設定している。
そして、本例の場合には、前記一方のキャップ素子37aを構成する内側筒部39に、前記他方のキャップ素子37bを構成する外側筒部43を圧入(締り嵌めにより外嵌固定)する事で、前記一方のキャップ素子37aと前記他方のキャップ素子37bとを軸方向に組み合わせて、前記センサキャップ30を構成している。又、この様に、前記一方のキャップ素子37aと前記他方のキャップ素子37bとを組み合わせる前に、この一方のキャップ素子37aに対して、前記センサホルダ13aを支持しておく。即ち、このセンサホルダ13aの軸方向側面に設けた係合凸部36、36を、前記一方のキャップ素子37aに形成された係合孔40、40内に係合させておく。そして、前記1対のキャップ素子37a、37b同士の間に前記センサホルダ13aを挟持する様にして、このセンサホルダ13aを前記センサキャップ30に対して支持する。又、この状態で、前記ハーネス46を、前記底部38の一部に形成したハーネス引出孔41を通じて軸方向に引き出す。又、前記第一、第二両基板28、29と前記センサキャップの内面とが接触し、回路がショートする事を防止する為に、これら第一、第二両基板28、29と前記センサキャップの内面との隙間の大きさを厳密に規制したり、又は、前記第一、第二両基板28、29を、ポリウレタン、ポリビニル、アクリル、フッ素、エポキシ樹脂等の絶縁コーティング層で覆っても良い。
又、本例の場合には、上述の様な構成を有する前記センサキャップ30を、前記転がり軸受7aを構成する外輪18aに支持固定している。この為に、この外輪18aの内周面のうちで、軸方向中央部に形成された外輪軌道47の軸方向他側に設けられた肩部48の軸方向他端部に、内径寸法が大きくなった嵌合段差部49を形成している。そして、この嵌合段差部49に対し前記支持筒部45を、圧入締め代が例えば20〜400μm程度となる範囲で圧入固定している。これにより、前記センサキャップ30の脱落を防止すると共に、圧入時の破損を防止している。又、前記肩部48のうちで、前記外輪軌道46と軸方向に隣接した部分の内径寸法を小さいままとして、前記転がり軸受7aを構成する転動体22aが、前記肩部48に乗り上げるのを防止している。
又、本例の場合には、前記センサキャップ30を前記外輪18aの嵌合段差部49に圧入固定した状態で、内側に設置された前記第一のセンサ11aを構成する検出部31aを、前記第一のエンコーダ9aの外周面(第一被検出面26)に対し径方向に関する微小隙間を介して対向させると共に、前記第二のセンサ12aを構成する検出部31bを、前記第二のエンコーダ10aの外周面(第二被検出面27)に対し径方向に関する微小隙間を介して対向させている。この為、前記第一のセンサ11aは、前記第一のエンコーダ9aの磁気特性変化に対応して出力信号を変化させ、前記第二のセンサ12aは、前記第二のエンコーダ10aの磁気特性変化に対応して出力信号を変化させる。そして、前記第一、第二のセンサ11a、12aのそれぞれの出力信号を、軸方向に引き出された1本のハーネス46を通じて、図示しない演算器に送信する。又、このハーネス46を通じて、前記第一、第二のセンサ11a、12aに電力を供給する。
以上の様な構成を有する本例のトルク測定装置付回転伝達装置5aの場合にも、前記センサユニット17を構成する第一、第二のセンサ11a、12aのそれぞれの出力信号は、前記トルク伝達軸6aと共に前記第一、第二のエンコーダ9a、10aが回転する事に伴い、それぞれ周期的に変化する。ここで、この変化の周波数(及び周期)は、前記トルク伝達軸6aの回転速度に見合った値をとる。従って、これら周波数(又は周期)と回転速度との関係を予め調べておけば、この周波数(又は周期)に基づいて、この回転速度を求められる。又、前記トルク伝達軸6aによりトルクを伝達する際には、前記入力歯車15及び前記出力歯車16との間部分が弾性的に捩れ変形する事に伴い、前記トルク伝達軸6aの軸方向両端部同士(第一、第の二エンコーダ9a、10a同士)が回転方向に相対変位する。そして、この様に第一、第二のエンコーダ9a、10a同士が回転方向に相対変位する結果、前記第一、第二のセンサ11a、12aの出力信号同士の間の位相差比(=位相差/1周期)が変化する。ここで、この位相差比は、前記トルクに見合った値をとる。従って、これら位相差比とトルクとの関係を予め調べておけば、この位相差比に基づいて、このトルクを算出する事ができる。尚、この算出処理は、前記演算器により行う。この為、この演算器には、予め理論計算や実験により調べておいた、前記位相差比と前記トルクとの関係を、計算式やマップ等の型式で組み込んでおく。
特に本例のトルク測定装置付回転伝達装置5aによれば、合成樹脂製の前記センサホルダ13aに熱膨張等の温度変化に伴う変形が生じた場合にも、前記第一、第二のセンサ11a、12aの出力信号を利用してトルクを正確に測定する事ができる。
即ち、本例の場合には、前記センサホルダ13aを、円環状に構成しており、円周方向に関する位相が180度異なる直径方向反対側位置に、1対のセンサ取付部34a、34bを設けている。又、前記センサホルダ13aを、これら1対のセンサ取付部34a、34bの円周方向中央位置、及び、前記センサホルダ13aの中心Oを通る仮想直線Sに関して線対称形状とし、且つ、前記センサホルダ13aの中心Oに関して点対称形状としている。
この為、ミッションケースである前記ハウジング14の温度が高温又は低温になり、前記センサホルダ13aに温度変化に伴う変形(温度上昇に伴う熱膨張、温度低下に伴う収縮を含む)が生じた場合にも、この変形は、前記センサホルダ13aを前記仮想直線Sで2分割した場合に得られる2つの半円環状部50a、50bで対称に起きる。つまり、2つの半円環状部50a、50b同士で変形態様(変形量、変形の仕方)を同じにできる。従って、これら2つの半円環状部50a、50bの連結部に相当する前記1対のセンサ取付部34a、34bでは、2つの半円環状部50a、50bからそれぞれ円周方向に関して逆方向で大きさの等しい力(膨張の場合には圧縮力、収縮の場合には引張力)が作用する事になる。従って、前記1対のセンサ取付部34a、34bでは、温度変化に伴う変形の影響をキャンセル(相殺)する事が可能になり、これら1対のセンサ取付部34a、34bの円周方向位置が変化する事を有効に防止できる。この結果、本例のトルク測定装置付回転伝達装置5aによれば、前記センサホルダ13aに熱膨張等の変形が生じた場合にも、前記第一、第二のセンサ9a、10aの出力信号を利用したトルクの測定精度を十分に確保する事が可能になる。
又、本例の場合には、前記第一、第二のセンサ11a、12aを支持した前記センサキャップ30を、前記転がり軸受7aを構成する外輪18aに支持固定している為、この転がり軸受7aを利用して、この転がり軸受7aを構成する内輪19aに支持固定された前記第一のエンコーダ9aに対する前記第一のセンサ11aの位置決めを容易に図る事できる。この為、これら第一のエンコーダ9aと第一のセンサ11aとの位置関係を、容易に且つ厳密に規制する事ができる。又、本例の場合には、前記第二のセンサ12aに就いても、前記転がり軸受7aを利用して位置決めを図る事ができる。従って、前記第一、第二のセンサ11a、12aの検出部と、前記第一、第二のエンコーダ9a、10a(特に内輪に支持された第一エンコーダ9a)の被検出面(第一、第二両被検出面26、27)との径方向に関する隙間を、容易に且つ厳密に管理する事が可能になる。
又、本例の場合には、前記第一、第二のセンサ11a、12aを構成する端子32a、32bをそれぞれ、これら第一、第二のセンサ11a、12aを構成する検出部31a、31bから略コ字形に折れ曲がる状態で引き出しており、これら各端子32a、32bにより、前記センサホルダ13aを径方向両側及び軸方向片側から取り囲む様にして、前記第一、第二のセンサ11a、12aを前記センサホルダ13aに支持している。この為、直線状の端子を例えば放射方向(径方向)又は軸方向に配置する構成を採用した場合に比べて、前記第一、第二のセンサ11a、12aの径方向及び軸方向に関する寸法を小さく抑える事ができる。従って、本例の構造によれば、前記第一、第二のセンサ11a、12aの小型化を図る事ができる。この結果、これら第一、第二のセンサ11a、12aを支持したセンサキャップ30が、前記転がり軸受7aを構成する外輪18aよりも径方向外方に突出する事を防止でき、このセンサキャップ30をこの外輪18aを内嵌固定した前記ハウジング14の内径側に配置する事が可能になる。
又、本例の場合には、前記第一のエンコーダ9aを構成する支持環22を、前記内輪19aの内周面の軸方向他端部に形成された段差部に圧入固定している為、前記第一のエンコーダ9aの第一被検出面26の外径寸法を小さく抑える事が可能になる。この為、前記第一、第二のセンサ11a、12aを支持した前記センサキャップ30の外径寸法を小さく抑える事ができる。
又、本例の場合には、前記第一、第二のセンサ11a、12aを、円周方向に関する位相をずらした(直径方向反対側に配置した)状態で、軸方向に関して互いに反対向きに配置している為、前記センサユニット17の軸方向寸法の短縮化を図れる。又、前記ハーネス46を軸方向に引き出している為、このセンサユニット17を取り付けた前記転がり軸受7aを、前記ハウジング14に内嵌固定する際に、前記ハーネス46が邪魔にならずに済み、取り付け作業性が低下する事を防止できる。
又、前記第一のエンコーダ9aを、前記トルク伝達軸6aに比べて、寸法が小さく且つ重量の軽い前記転がり軸受7aを構成する内輪19aに取り付けている為、この第一のエンコーダ9aを、前記トルク伝達軸6aに直接取り付ける場合に比べて、この第一のエンコーダ9aの取り付け作業性を良好にする事ができる。更に、本例の場合には、前記トルク伝達軸6aの表面硬さをHV400以上とすると共に、表面炭素濃度を0.2%以上としている為、このトルク伝達軸6aの耐久性の向上を図れる。従って、本例のトルク測定装置付回転伝達装置5aを、自動車や風力発電装置等、特に耐久性が要求される用途に好ましく適用できる。しかも、本例の場合には、前記トルク伝達軸6aを前記1対の転がり軸受7a、7bにより回転自在に支持している為、滑り軸受により支持する構成を採用した場合に比べて、前記トルク伝達軸6aに作用する摩擦トルクを小さく抑えられる。この為、このトルク伝達軸6aが伝達するトルクを大きく確保できて、前記第一、第二のセンサ11a、12aの出力信号から得られるトルクの測定精度を良好にできる。
本発明のトルク測定装置付回転伝達装置を構成するトルク伝達軸は、自動車のパワートレインを構成する回転軸に限らず、例えば、風車の回転軸(主軸、増速器の回転軸)、圧延機のロールネック、鉄道車両の回転軸(車軸、減速機の回転軸)、工作機械の回転軸(主軸、送り系の回転軸)、建設機械・農業機械・家庭用電気器具・モータの回転軸等、各種機械装置の回転軸を対象にする事ができる。又、自動車のパワートレインを構成する場合には、例えば、トルクコンバータからトルクが入力されるインプットシャフト(タービンシャフト)や、カウンタシャフトを対象とする事ができる。又、本発明のトルク測定装置付回転伝達装置を組み込んで変速機を構成する場合の変速機の形式は、特に限定されず、オートマチックトランスミッション(AT)、ベルト式やトロイダル式等の各種無段変速機(CVT)、オートメーテッドマニュアルトランスミッション(AMT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)、トランスファー等、車側の制御により変速を行う変速機を採用できる。又、変速機の設置位置と駆動輪との関係は特に限定されず、前置エンジン前輪駆動車(FF車)、前置エンジン後輪駆動車(FR車)、及び、四輪駆動車等が対象となる。又、測定した回転速度及びトルクは、変速制御やエンジンの出力制御以外の車両制御を行う為に利用しても良い。又、前記変速機の上流側に置かれる動力源は、必ずしもガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である必要はなく、例えばハイブリッド車や電気自動車に用いられる電動モータであっても良い。又、本発明を実施する場合に、トルクを測定する事は必須であるが、回転速度を測定する事は必須ではない。回転速度が必要であっても、別途簡易な構造により測定する事もできる。
更に、上述した実施の形態では、エンコーダを永久磁石製とすると共に、エンコーダの被検出面にN極とS極とを、円周方向に関して交互に配置する構成を採用した構造を例に説明したが、エンコーダを単なる磁性材製とすると共に、このエンコーダの被検出面に凸部、舌片、又は柱部等の充実部と、凹部、切り欠き、又は透孔等の除肉部とを、円周方向に関して交互に配置する構成を採用する事もできる。この様な構成を採用する場合には、センサ側に永久磁石を組み込む。又、前記実施の形態では、第一エンコーダを構成する支持環を、転がり軸受を構成する内輪に支持した構造を例に説明したが、トルク伝達軸の軸方向他端部外周面に直接支持する(外嵌固定する)構成を採用しても良い。同様に、センサキャップを、転がり軸受を構成する外輪に代えて、ハウジングに対して支持固定する構成を採用しても良い。又、実施の形態の各例では、トルク伝達軸を回転自在に支持する為の転がり軸受として玉軸受を使用した場合に就いて説明したが、本発明を実施する場合には、深溝玉軸受、円すいころ軸受、ニードル軸受、円筒ころ軸受、アンギュラ玉軸受等、従来から知られた各種構造の転がり軸受を使用できる。
1 トルク伝達軸
2 エンコーダ
3 センサ
4 ハーネス
5、5a トルク測定装置付回転伝達装置
6、6a トルク伝達軸
7、7a、7b 転がり軸受
8、8a 内軸
9、9a 第一のエンコーダ
10、10a 第二のエンコーダ
11、11a 第一のセンサ
12、12a 第二のセンサ
13、13a センサホルダ
14 ハウジング
15 入力歯車
16 出力歯車
17 センサユニット
18a、18b 外輪
19a、19b 内輪
20a、20b 転動体
21 大径部
22 支持環
23 支持環
24 エンコーダ本体
25 エンコーダ本体
26 第一被検出面
27 第二被検出面
28 第一基板
29 第二基板
30 センサキャップ
31a、31b 検出部
32a、32b 端子
33a、33b 連結部材
34a、34b センサ取付部
35a、35b 基板取付部
36 係合凸部
37a、37b キャップ素子
38 底部
39 内側筒部
40 係合孔
41 ハーネス引出孔
42 短円筒部
43 外側筒部
44 突き当て円輪部
45 支持筒部
46 ハーネス
47 外輪軌道
48 肩部
49 嵌合段差部
50a、50b 半円環状部

Claims (2)

  1. 使用時にトルクを伝達するトルク伝達軸と、
    このトルク伝達軸を使用時に回転しない部分に対し、回転自在に支持する為の転がり軸受と、
    それぞれの被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させ、前記トルク伝達軸に直接又は使用時にこのトルク伝達軸と同期して回転する部材に支持された1対のエンコーダと、
    前記1対のエンコーダの被検出面にそれぞれの検出部を対向させた状態で、使用時にも回転しない部分に支持された1対のセンサと、を備え、
    前記1対のエンコーダを前記トルク伝達軸の軸方向に関して1個所位置に隣接配置したトルク測定装置付回転伝達装置であって、
    前記1対のセンサが、前記使用時にも回転しない部分に対し固定されたセンサキャップの内側に、センサホルダを介して支持されており、
    このセンサホルダが、合成樹脂製で、全体を円環状に構成され、円周方向に関する位相が180度異なる直径方向反対側位置に前記1対のセンサを取り付ける為の1対のセンサ取付部が設けられており、これら1対のセンサ取付部及び前記センサホルダの中心を通る仮想直線に関して線対称形状であり、且つ、前記センサホルダの中心に関して点対称形状である、
    事を特徴とするトルク測定装置付回転伝達装置。
  2. 前記センサキャップが、それぞれが円環状の1対のキャップ素子同士を軸方向に互いに組み合わせる事により構成されている、請求項1に記載したトルク測定装置付回転伝達装置。
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