JP2017132738A - ビピリジル化合物の製造方法 - Google Patents

ビピリジル化合物の製造方法 Download PDF

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Kenichiro Itami
健一郎 伊丹
慧 村上
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慧 村上
岳志 金田
Takeshi Kaneda
岳志 金田
柊哉 山田
Shuya Yamada
柊哉 山田
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Abstract

【課題】様々なビピリジル化合物を、工程数が少なく、緩和な条件且つ短時間の反応により得る。
【解決手段】パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、一般式:
Figure 2017132738

[式中、Yは水素原子又は窒素原子を示す。Rは、シアノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、又は置換されていてもよいシリル基を示す。nは0〜4の整数を示す。nが2以上である場合、同じベンゼン環に結合する2個のRが互いに結合して環を形成してもよい。]
で表される化合物を反応させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビピリジル化合物の製造方法に関する。
ビピリジル化合物、特に2,2’−ビピリジル化合物は、様々な分野で使用される配位子として、重要な役割を果たしている。例えば、広い分野で汎用されているHartwigC-Hボリル化反応(例えば、非特許文献1等参照)等の様々な反応の配位子として使用される他、近年発展の著しい光触媒の分野における配位子としても使用されている。
しかしながら、一般に、ビピリジル化合物は高価であり、市販されているビピリジル化合物の種類もごく一部に限られていることから、使用できるビピリジル化合物の選択の幅は著しく狭いことが現状である。このため、通常、市販品を購入せずに、多数の工程をかけてビピリジル化合物を合成していた。
例えば、パラジウム化合物を触媒とする方法が報告されている(例えば、非特許文献2参照)が、200℃という高温での反応が必要である。また、パラジウム化合物を触媒とする方法として、別の方法も報告されている(例えば、非特許文献3参照)が、反応を進行させるためには1週間もの長時間が必要である。また、ルテニウム化合物を触媒とする方法も報告されている(例えば、非特許文献4参照)が、こちらも160〜180℃という高温での反応が必要である。このため、緩和な条件で短時間に反応を進行させる方法は存在しない。また、これら既報の方法は、いずれも基質適用範囲が非常に狭く、様々なビピリジル化合物を得ることはできないうえに、非特許文献4の方法に使用されている触媒は市販されておらず実用上の問題も存在する。
J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 390 Eur. J. Inorg. Chem. 2008, 4448 J. Org. Chem. 2014, 79, 10624 J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 11006
以上から、本発明は、様々なビピリジル化合物を、工程数が少なく、緩和な条件且つ短時間の反応により得ることを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、所望のピリジン化合物同士を反応させることにより、わずか1工程のみで、簡便にビピリジル化合物を得ることができることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
Figure 2017132738
[式中、Yは水素原子又は窒素原子を示す。Rは、シアノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、又は置換されていてもよいシリル基を示す。nは、0〜4の整数を示す。nが2以上である場合、同じベンゼン環に結合する2個のRが互いに結合して環を形成してもよい。]
で表されるビピリジル化合物の製造方法であって、
パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、
一般式(2):
Figure 2017132738
[式中、Y、R及びnは前記に同じである。]
で表される化合物を反応させる反応工程
を備える、製造方法。
項2.前記酸化剤が、銀化合物である、項1に記載の製造方法。
項3.前記反応工程において、配位子化合物を添加する、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記配位子化合物がフェナントロリン化合物である、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.前記反応工程において、カルボン酸を添加する、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6.前記カルボン酸が分岐カルボン酸である、項5に記載の製造方法。
項7.前記カルボン酸がピバル酸である、項5又は6に記載の製造方法。
本発明によれば、パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、所望のピリジン化合物同士を反応させることにより、わずか1工程のみで、緩和な条件且つ短時間の反応によりビピリジル化合物を得ることができる。この際、配位子化合物及び/又はカルボン酸を併用することで、反応の収率をさらに向上させることも可能である。
1.ビピリジル化合物の製造方法
本発明においては、パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、所望のピリジン化合物同士を反応させることにより、わずか1工程のみで、簡便にビピリジル化合物を得ることができる。この場合、ピリジン化合物として多様な基質を原料に用いることが可能であるため、様々なビピリジル化合物を合成することが可能である。例えば、これまでに反応の報告がない4-t-ブチルピリジンを基質化合物として用いてビピリジル化合物を合成することも可能である。このため、様々なビピリジル化合物を簡便に合成することが可能であり、市販されているビピリジル化合物に新たなライブラリーを加えることも期待される。
本発明においては、通常、反応溶媒中、パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、所望のピリジン化合物同士を反応させることでビピリジル化合物を得ることができる。
反応に供されるピリジン化合物としては、一般式(2):
Figure 2017132738
[式中、Yは水素原子又は窒素原子を示す。Rは、シアノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、又は置換されていてもよいシリル基を示す。nは0〜4の整数を示す。nが2以上である場合、同じベンゼン環に結合する2個のRが互いに結合して環を形成してもよい。]
で表されるピリジン化合物(以下、「ピリジン化合物(2)」と言うこともある)を使用することができる。つまり、ピリジン化合物(2)同士を反応させる。
この反応に供されるピリジン化合物(2)は、同種のピリジン化合物が好ましい。
一般式(2)において、Yは水素原子又は窒素原子である。収率等の観点から、水素原子が好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、収率等の観点から、フッ素原子、塩素原子等が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるアルキル基としては、例えば、鎖状又は分岐状のC1-10アルキル基が好ましく、鎖状又は分岐状のC1-8アルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
また、Rで示されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、シアノ基、上記ハロゲン原子、後述の置換されていてもよいアルコキシ基、後述の置換されていてもよいアリール基、後述の置換されていてもよいヘテロアリール基、後述の置換されていてもよいシリル基等が挙げられる。この置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるアルコキシ基としては、例えば、鎖状又は分岐状のC1-10アルコキシ基が好ましく、鎖状又は分岐状のC1-8アルコキシ基がより好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
また、Rで示されるアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、シアノ基、上記ハロゲン原子、後述の置換されていてもよいアリール基、後述の置換されていてもよいヘテロアリール基、後述の置換されていてもよいシリル基等が挙げられる。この置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フェナントレニル基、ベンゾアントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フルオランテニル基、コロネニル基等が挙げられる。
また、Rで示されるアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、シアノ基、上記ハロゲン原子、上記置換されていてもよいアルキル基、上記置換されていてもよいアルコキシ基、上記置換されていてもよいアリール基、後述の置換されていてもよいヘテロアリール基、後述の置換されていてもよいシリル基等が挙げられる。この置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるヘテロアリール基としては、例えば、ピロリル基、ピロリジル基、ピペリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピペラジル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、モルホリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾイミダゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、プリニル基、プテリジル基、ベンゾフラニル基、クマリル基、クロモニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられる。
また、Rで示されるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、シアノ基、上記ハロゲン原子、上記置換されていてもよいアルキル基、上記置換されていてもよいアルコキシ基、上記置換されていてもよいアリール基、上記置換されていてもよいヘテロアリール基、後述の置換されていてもよいシリル基等が挙げられる。この置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
また、Rで示されるシリル基が有していてもよい置換基としては、例えば、シアノ基、上記ハロゲン原子、上記置換されていてもよいアルキル基、上記置換されていてもよいアルコキシ基、上記置換されていてもよいアリール基、上記置換されていてもよいヘテロアリール基等が挙げられる。この置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
これらのなかでも、Rとしては、シアノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基等が好ましく、シアノ基、塩素原子、置換されていてもよいアルキル基、非置換アルコキシ基、非置換アリール基等がより好ましく、シアノ基、塩素原子、メチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、フェニル基等がさらに好ましく、塩素原子、メチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、フェニル基等が特に好ましい。
が複数存在する場合(つまり、nが2〜4の整数である場合)、2個のRが結合して、(隣接する−C−C−又は−C=C−)とともに、環を形成してもよい。この際形成される環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、オキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環等が挙げられる。この環にも、例えば、シアノ基、上記ハロゲン原子、上記置換されていてもよいアルキル基、上記置換されていてもよいアルコキシ基、上記置換されていてもよいアリール基、上記置換されていてもよいヘテロアリール基等の置換基が0〜6個、特に0〜3個結合していてもよい。
なお、一般式(2)において、ピリジン環におけるRの置換位置は特に制限されず、2位、3位及び4位のいずれでもよい。反応収率等の観点から、4位が好ましい。また、Rが複数存在する場合、2個のRが結合して環を形成する場合の置換位置も特に制限されず、例えば3位及び5位に置換基を有することができる。また、2個のRが結合して環を形成する場合の環の形成箇所も特に制限されない。
一般式(2)において、nは、反応収率、工程の簡便さ等の観点から、0〜4の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、0〜2の整数がさらに好ましい。
このような条件を満たす基質としてのピリジン化合物(2)としては、例えば、
Figure 2017132738
[式中、t-Buはt-ブチル基を示す。Phはフェニル基を示す。以下同様である。]
等が挙げられ、反応収率、工程の簡便さ等の観点から、
Figure 2017132738
等が好ましく、
Figure 2017132738
等がより好ましい。
パラジウム化合物を使用することにより、本発明の製造方法によりビピリジル化合物を得ることができる。パラジウム化合物を使用しない場合は、反応が進行しない。パラジウム化合物(パラジウム触媒)としては、特に制限されず、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。パラジウム化合物としては、0価パラジウムを含む化合物及びII価パラジウムを含む化合物のいずれでもよい。なお、0価パラジウムを含む化合物を用いた場合には、当該0価パラジウムは、系中で酸化されてII価パラジウムになる。使用できるパラジウム化合物としては、具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2(Acはアセチル基;以下同様))、PdCl2、PdBr2、PdI2、PdCl2(PPh3)2、Pd(OTf)2(Tfはトリフルオロメチルスルホニル基)等が挙げられる。本発明においては、反応収率等の観点から、酢酸パラジウムが好ましい。これらのパラジウム化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
パラジウム化合物の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、例えば、基質であるピリジン化合物(2)の合計量1モルに対して、通常、0.01〜1モル程度が好ましく、0.02〜0.5モル程度がより好ましく、0.03〜0.3モル程度がさらに好ましい。
本発明においては、上記パラジウム化合物とともに、パラジウム原子に配位し得る配位子化合物を使用してもよい。配位子化合物を使用しなくても反応を進行させることができるが、配位子化合物を使用することにより、反応収率をさらに向上させることも可能である。
このような配位子化合物は、反応収率等の観点から、フェナントロリン化合物(特に1,10-フェナントロリン化合物)が好ましく、例えば、一般式(3):
Figure 2017132738
[式中、R、R及びRは同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。j及びkは同一又は異なって、0〜3の整数を示す。mは0〜2の整数を示す。]
で示される配位子化合物(以下、「配位子化合物(3)」と言うこともある)が好ましい。
、R及びRで示されるアルキル基及びアリール基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数についても同様である。また、R、R及びRは同一でも異なっていてもよいが、反応収率等の観点から、同一であることが好ましい。
一般式(3)において、j及びkは、反応収率等の観点から、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。jとkとは同一でも異なっていてもよいが、反応収率等の観点から、同一であることが好ましい。また、一般式(3)において、mは、反応収率等の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。
このような条件を満たす配位子化合物(3)としては、例えば、
Figure 2017132738
等が挙げられる。これらの配位子化合物(3)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
配位子化合物(3)の使用量は、反応収率等の観点から、パラジウム化合物1モルに対して、0.1〜20モルが好ましく、0.5〜10モルがより好ましく、1〜5モルがさらに好ましい。
酸化剤を使用することにより、本発明の製造方法によりビピリジル化合物を得ることができる。酸化剤を使用しない場合は、反応が進行しない。酸化剤としては、ビピリジル化合物を得ることができる限り特に制限されず、銀化合物等が挙げられる。
銀化合物としては、特に制限されず、酢酸銀、ピバル酸銀(AgOPiv)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)、安息香酸銀(AgOCOPh)等の有機銀化合物;硝酸銀、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硫酸銀、酸化銀、硫化銀等の無機銀化合物等が挙げられ、反応収率等の観点から、有機銀化合物が好ましく、酢酸銀、ピバル酸銀(AgOPiv)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)、安息香酸銀(AgOCOPh)等がより好ましい。
上記の酸化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
酸化剤の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、例えば、例えば、基質であるピリジン化合物(2)1モルに対して、通常、0.5〜5モル程度が好ましく、特に0.8〜2モル程度がより好ましく、さらには1.0〜1.5モル程度となるように調製することが好ましい。また、基質であるピリジン化合物を溶媒として用いる場合には、酸化剤1モルに対して0.5〜2.0mLのピリジン化合物を溶媒として用いることが好ましい。なお、複数の酸化剤を使用する場合には、合計使用量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
本発明では、さらに、添加剤として、カルボン酸を使用してもよい。カルボン酸を使用することにより、より高収率にビピリジル化合物を得ることも可能である。なお、カルボン酸の代わりにトシル酸等の芳香族スルホン酸を使用した場合は反応が進行しないため、芳香族スルホン酸を使用しないことが好ましい。
カルボン酸としては、例えば、ピバル酸、イソ酪酸、2,2−ジメチル酪酸、1−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸 、1−メチルシクロプロパンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸等の分岐カルボン酸;2,4,6-トリメチル安息香酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸;酢酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
カルボン酸の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、例えば、基質であるピリジン化合物(2)の合計量1モルに対して、通常、0.01〜5モル程度が好ましく、0.05〜2モル程度がより好ましく、0.1〜1モル程度がさらに好ましい。なお、複数のカルボン酸を使用する場合には、合計使用量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
本発明においては、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜添加剤を使用してもよい。なお、添加剤としてアミン(トリエチルアミン等)等の塩基を使用した場合は、反応が進行しないため、塩基を使用しないことが好ましい。
溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジメチルエーテル(DME)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、t-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル(AcOn-Bu)、プロピオン酸エチル等のエステル;2-メチル-2-ブタノール(t-アミルアルコール)等のアルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の酸アミド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。これらのうち、本発明では、反応収率等の観点から、芳香族炭化水素、鎖状エーテル、環状エーテル、エステル、アルコール、酸アミド等が好ましく、トルエン、キシレン、ジメチルエーテル(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジオキサン、酢酸ブチル(AcOn-Bu)、2-メチル-2-ブタノール(t-アミルアルコール)、ジメチルホルムアミド等がより好ましく、トルエン、キシレン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸ブチル(AcOn-Bu)、2-メチル-2-ブタノール(t-アミルアルコール)、ジメチルホルムアミド等がさらに好ましい。なお、ピリジン化合物(2)が溶液状である場合には、ピリジン化合物(2)を溶媒として用い、上記溶媒を使用しなくてもよい。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を得ることができる。酸化剤として銀化合物を使用した場合も、簡便な単離及び精製工程、例えばろ過することにより容易に銀を除去することができる。また、このようにして回収した銀を再度、本発明の製造方法における酸化剤として再利用することも可能である。
本発明の製造方法は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、100〜200℃程度が好ましく、110〜180℃程度がより好ましく、120〜170℃程度がさらに好ましい。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすることができ、通常、10分〜48時間程度が好ましく、1〜36時間程度がより好ましい。
本発明によれば、ピリジン化合物(2)の2位のC−H結合同士を切断しながらピリジン化合物(2)同士をつなぎ、ビピリジル化合物(特に2,2'-ビピリジル化合物)を得ることができる。
このようにして得られるビピリジル化合物は、一般式(1):
Figure 2017132738
[式中、Y、R及びnは前記に同じである。]
で表されるビピリジル化合物(以下、「ビピリジル化合物(1)」と言うこともある)である。このビピリジル化合物(1)は、従来公知の各種反応に使用される配位子化合物として特に有用である。
この本発明の製造方法を採用すれば、さらに大きなビピリジル化合物を合成することもできる。また、得られたビピリジル化合物をハロゲン化してハロゲン原子を導入すれば、さらにカップリング反応に供することも可能である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
1H NMR(600 MHz)スペクトル及び13C NMR(151 MHz)スペクトルは、JEOL ECA-600分光計で、CDCl3中で記録した。1H NMRの化学シフト(δ)はテトラメチルシラン(δ0.00 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表し、13C NMRの化学シフトはCDCl3(δ77.2 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E. Merckシリカゲル60 F254の0.25 mmの層を配置した市販のガラスプレートを用いて行った。特に制約しない限り、材料は市販品を精製することなく使用した。カラムクロマトグラフィーには、シリカゲル(Wakogel 300 mesh)を使用した。全ての反応は、標準的な真空ライン技法を用いて、フレームドライしたガラス容器中で、窒素(N2)ガス雰囲気下に乾燥溶媒を用いて行った。
[合成例1]
既報(R. H. Grubbs et al., J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 8525-8527)を参考にして、ピバル酸銀を合成した。
水酸化ナトリウム(2.88g、72.0mmol)を水(40mL)に溶解し、ピバル酸(8.58g、84.0mmol)を加えて室温で15分間攪拌した。遮光下、硝酸銀(10.2g、60.0mmol)を水(40mL)に溶解し、反応混合物に10分間かけて滴下した後、室温で15分間攪拌した。反応混合物をろ過し、水(80mL)で3回洗浄し、さらにメタノール(40mL)で3回、ノルマルヘキサン(40mL)で3回洗浄した。
得られた粉末を室温で減圧乾燥し、標記化合物11.7g(93%)を白色粉末として得た。
[実施例1]
実施例1−1
Figure 2017132738
窒素雰囲気下、酢酸パラジウム(11.2mg、0.05mmol)、1、10−フェナントロリン(49.6mg、0.25mmol)、酢酸銀(250mg、1.5mmol)、ピバル酸(51.1mg、0.5mmol)をピリジン(1mL)に懸濁し、140℃で26時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、不溶物をセライトろ過で除去し、塩化メチレン(10mL)で洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣に内部標準物質として1,1,2,2−テトラクロロエタン(15.8μL、0.15mmol)を加え、H NMRで酸化剤基準の収率を算出した(88%)。残渣を分析用薄層クロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン=5/95)で精製し、標記化合物93.1mg(NMR定量値89%、単離収率80%)を白色粉末として得た。
実施例1−2
以下の表1に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表1に示す。なお、表1のentry 1は実施例1−1である。
Figure 2017132738
[実施例2]
以下の表2に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
Figure 2017132738
[実施例3]
以下の表3に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表3に示す。
Figure 2017132738
[実施例4]
以下の表4に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表4に示す。
Figure 2017132738
[実施例5]
以下の表5に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表5に示す。
Figure 2017132738
[実施例6]
以下の表6に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表6に示す。
Figure 2017132738
[実施例7]
以下の表7に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表7に示す。
Figure 2017132738
[実施例8]
以下の表8に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表8に示す。なお、表8において、SMは原料(4-t-ブチルピリジン)の収率、TMは目的物(4,4’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビピリジン)の収率を示す。
Figure 2017132738
[実施例9]
以下の表9に示す条件で処理を行ったこと以外は実施例1−1と同様の処理を行った。結果を表9に示す。
Figure 2017132738
Figure 2017132738

Claims (7)

  1. 一般式(1):
    Figure 2017132738
    [式中、Yは水素原子又は窒素原子を示す。Rは、シアノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、又は置換されていてもよいシリル基を示す。nは、0〜4の整数を示す。nが2以上である場合、同じベンゼン環に結合する2個のRが互いに結合して環を形成してもよい。]
    で表されるビピリジル化合物の製造方法であって、
    パラジウム化合物及び酸化剤の存在下に、
    一般式(2):
    Figure 2017132738
    [式中、Y、R及びnは前記に同じである。]
    で表される化合物を反応させる反応工程
    を備える、製造方法。
  2. 前記酸化剤が、銀化合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記反応工程において、配位子化合物を添加する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記配位子化合物がフェナントロリン化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記反応工程において、カルボン酸を添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記カルボン酸が分岐カルボン酸である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記カルボン酸がピバル酸である、請求項5又は6に記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114014799A (zh) * 2021-12-08 2022-02-08 安徽国星生物化学有限公司 一种2,2-联吡啶的生产工艺
CN115010654A (zh) * 2022-06-14 2022-09-06 南京红太阳生物化学有限责任公司 一种2,2’联吡啶绿色合成工艺

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