JP2017057167A - 置換されたオレフィン化合物の製造方法 - Google Patents

置換されたオレフィン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】置換されたオレフィン化合物の新たな製造方法。特に、含ホウ素基又は含ケイ素基で置換された、特に、含フッ素オレフィンの新たな製造方法を提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物の製造方法であって、フッ素化オレフィンを、式(3)で表される化合物と反応させる工程を含む方法。


[R〜Rは、H、F、有機基等;Rは−BX、又は−SiXを表し;XはH、ハロゲン又は有機基;但し、Xは隣接するB又はSiと一緒に環を形成していてもよい;Y及びYは各々独立にOH又はアルコキシ基;但し、Y及びYは隣接するBと一緒に、環を形成していてもよい]
【選択図】なし

Description

本発明は、置換されたオレフィン化合物の製造方法、特に、含ホウ素基または含ケイ素基で置換されたオレフィン化合物(特に、含フッ素オレフィン)の製造方法に関する。
含ホウ素基または含ケイ素基で置換されたオレフィン化合物は、各種化合物(例、ポリマー)の合成中間体として有用である。
このような化合物の製造方法としては、例えば、非特許文献1〜6に記載の技術等が公知である。
しかし、非特許文献1の方法では、CF=CF−Brを原料としており、臭素置換で収率65%にすぎない。また、環境的にも、臭素化合物はオゾン破壊につながる化合物なので好ましくない。
また、非特許文献2の方法では、前記のように環境問題のある臭化物CF=CFBrを原料にしており、且つ発癌性の非常に高いトリス(ジエチルアミノ)ホスフィンP(NEtを使用しているという不利点を有する。
また、非特許文献3の方法では、毒性の高いスズ化合物を経由しなければならないという不利点がある。
また、非特許文献4の方法では、n-BuLiの水素引き抜き反応が、-78℃の低温でなければならず、工業的に困難であるという不利点を有する。
また、非特許文献5の方法では、反応が-78℃の低温でなければならず、工業的に困難であるという不利点を有する。
また、非特許文献6の方法では、光反応を採用しているので、スケールアップが困難であるという不利点を有する。
よって、更に、置換されたオレフィン化合物の新たな製造方法、特に、含ホウ素基または含ケイ素基で置換されたオレフィン化合物(特に、含フッ素オレフィン)の新たな製造方法の開発が求められている。
D.J.Burtonら, J. Fluorine Chem., 2003, 121, 75 Vlacheslav A. Petrovら, MENDELEEV COMMUN., 1993, 240 S. L. Staffordら, J. Am. Chem. Soc., 1960, 82, 6238. Paul Tarrantら, J. Fluorine Chem., 1971/72, 1, 31. T. Hanamotoら, Chem. Commun., 1999, 2397 Robert Nら, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1974, 2293
本発明は、置換されたオレフィン化合物の新たな製造方法、特に、含ホウ素基または含ケイ素基で置換されたオレフィン化合物(特に、含フッ素オレフィン)の新たな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、置換されたオレフィン化合物である、後記式(1)で表される化合物(本明細書中、化合物(1)と称する場合がある。)の製造方法であって、後記式(2)で表される化合物(本明細書中、化合物(2)と称する場合がある。)を、後記式(3)で表される化合物(本明細書中、化合物(3)と称する場合がある。)と反応させる工程Aを含む製造方法によって、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
式(1):
[式中、
、RおよびRは、同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子または(c)有機基を表し、
は、−BX、または−SiXを表し、および
Xは、各出現において同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子、(c)水酸基または(d)有機基を表すか、あるいは
当該複数のXのうちの2個また
は3個は、これらが隣接するホウ素原子またはケイ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を、
式(3):
[式中、
およびYは、同一または異なって、(a)ヒドロキシ基または(b)アルコキシ基を表すか、あるいは
およびYは、これらが隣接するホウ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい含ホウ素環を形成していてもよく、および
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物と反応させる工程Aを含む製造方法。
項2.
、RおよびRが、同一または異なって、(a)水素原子、(b)フッ素原子、(c)塩素原子または(d)1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基である項1に記載の製造方法。
項3.
、RおよびRのうちの少なくとも1つが、フッ素原子またはフルオロアルキル基である項2に記載の製造方法。
項4.
Xが、各出現において同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子、(c)アルキル基、(d)水酸基、(e)アルコキシ基、(f)ジアルキルアミノ基または(g)アリール基であるか、あるいは
当該複数のXのうちの2個または3個は、これらが隣接するホウ素原子またはケイ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい環を形成していてもよい
項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5.
工程Aの反応が、銅、コバルト、ロジウムおよびイリジウムからなる群より選択される1種以上の遷移金属を含有する遷移金属触媒の存在下で実施される項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、置換されたオレフィン化合物の製造方法、特に、含ホウ素基または含ケイ素基で置換されたオレフィン化合物(特に、含フッ素オレフィン)の製造方法が提供される。
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、および語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理または操作は、室温で実施され得る。
室温は、例えば、10〜40℃の範囲内の温度であることができる。
用語
本明細書中、「ハロゲン原子」の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を包含する。
本明細書中、「有機基」は、炭素原子を含有する有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
本明細書中、特に断りのない限り、「有機基」の炭素数は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3の有機基であることができる。
当該「有機基」の例は、
(a)1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
(b)1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
(c)1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
(d)1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(e)1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
(f)1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
(g)1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
(h)1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
(i)1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
(j)1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
(k)シアノ基、
(l)アルデヒド基、
(m)RCO−、
(n)RSO−、
(o)ROCO−、および
(p)ROSO
(q)RO−
(r)RN−
(s)RNH−
(これらの式中、Rは、独立して、
(i)1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
(ii)1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
(iii)1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
(iv)1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(v)1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
(vi)1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
(vii)1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
(viii)1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
(ix)1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基または
(x)1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含する。
本明細書中、「フルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1個がフッ素原子に置換された有機基を意味する。前記フルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。当該フルオロ有機基の例は、フルオロアルキル基およびフルオロポリエーテル基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロ有機基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3のフルオロ有機基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロ有機基」は、パーフルオロ有機基を包含する。
本明細書中、「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換された有機基を意味する。前記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。当該パーフルオロ有機基の例は、パーフルオロアルキル基およびパーフルオロポリエーテル基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「パーフルオロ有機基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3のパーフルオロ有機基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルキル基」の例は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基(例、HCFCFCH−)、ヘキサフルオロプロピル基(例、(CFCH−)、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基(例、HCFCFCFCFCH−)、およびトリデカフルオロヘキシル基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロアルキル基」は、直鎖状または分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「パーフルオロアルキル基」の例は、トリフルオロメチル基およびペンタフルオロエチル基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「パーフルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「パーフルオロアルキル基」は、直鎖状または分枝鎖状のパーフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アシル基」は、アクリロイル基、アルカノイル基およびアロイル基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香環基」は、アリール基およびヘテロアリール基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「複素環基」は、非芳香族複素環基およびヘテロアリール基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「非環式炭化水素基」は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基ならびにこれらが連結している基を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシル等の、直鎖状または分枝鎖状の、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−1−イル(すなわち、アリル)、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イルおよび5−へキセン−1−イル等の、直鎖状または分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、5−へキシン−1−イル等の、直鎖状または分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、シクロヘプチル等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等の、炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルカジエニル基」としては、例えば、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等の、炭素数4〜10のシクロアルカジエニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシ等の、直鎖状または分枝鎖状の、炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルカノイル基」は、式:R−CO−(当該式中、Rはアルキル基を表す。)で表される基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、または4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、炭素数6〜18のアリール基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニルおよび2−アンスリルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチルおよび4−ビフェニリルメチルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アロイル基」は、式:R−CO−(式中、Rはアリール基を表す。)で表される基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、または4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、または不飽和であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」としては、例えば、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、アジリジニル(例、1−アジリジニル、2−アジリジニル)、アゼチジニル(例、1−アゼチジニル、2−アゼチジニル)、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル)、アゼパニル(例、1−アゼパニル、2−アゼパニル、3−アゼパニル、4−アゼパニル)、アゾカニル(例、1−アゾカニル、2−アゾカニル、3−アゾカニル、4−アゾカニル)、ピペラジニル(例、1,4−ピペラジン−1−イル、1,4−ピペラジン−2−イル)、ジアゼピニル(例、1,4−ジアゼピン−1−イル、1,4−ジアゼピン−2−イル、1,4−ジアゼピン−5−イル、1,4−ジアゼピン−6−イル)、ジアゾカニル(例、1,4−ジアゾカン−1−イル、1,4−ジアゾカン−2−イル、1,4−ジアゾカン−5−イル、1,4−ジアゾカン−6−イル、1,5−ジアゾカン−1−イル、1,5−ジアゾカン−2−イル、1,5−ジアゾカン−3−イル)、テトラヒドロピラニル(例、テトラヒドロピラン−4−イル)、モルホリニル(例、4−モルホリニル)、チオモルホリニル(例、4−チオモルホリニル)、2−オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニルおよびジヒドロキノリル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、または4環性の、5〜18員のヘテロアリール基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基である。当該「ヘテロアリール基」の炭素数は、例えば、3〜17であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、「単環性ヘテロアリール基」および「芳香族縮合複素環基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「単環性ヘテロアリール基」としては、例えば、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、チアジアゾリル(例、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピラジニル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、イソインドリル(例、1−イソインドリル、2−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル、4−ベンゾ[b]フラニル、5−ベンゾ[b]フラニル、6−ベンゾ[b]フラニル、7−ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例、1−ベンゾ[c]フラニル、4−ベンゾ[c]フラニル、5−ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、4−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、6−ベンゾ[b]チエニル、7−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例、1−ベンゾ[c]チエニル、4−ベンゾ[c]チエニル、5−ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例、1−インダゾリル、2−インダゾリル、3−インダゾリル、4−インダゾリル、5−インダゾリル、6−インダゾリル、7−インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例、1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル)、1,2−ベンゾイソオキサゾリル(例、1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−4−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−7−イル)、ベンゾオキサゾリル(例、2−ベンゾオキサゾリル、4−ベンゾオキサゾリル、5−ベンゾオキサゾリル、6−ベンゾオキサゾリル、7−ベンゾオキサゾリル)、1,2−ベンゾイソチアゾリル(例、1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−4−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−5−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−6−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−7−イル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル、7−ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、シンノリニル(例、3−シンノリニル、4−シンノリニル、5−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、8−シンノリニル)、フタラジニル(例、1−フタラジニル、4−フタラジニル、5−フタラジニル、6−フタラジニル、7−フタラジニル、8−フタラジニル)、キナゾリニル(例、2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、5−キナゾリニル、6−キナゾリニル、7−キナゾリニル、8−キナゾリニル)、キノキサリニル(例、2−キノキサリニル、3−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、7−キノキサリニル、8−キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル(例、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−4−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル)、イミダゾ[1,2−a]ピリジル(例、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル)等が挙げられる。
製造方法
本発明の製造方法は、化合物(1)の製造方法であって、化合物(2)を、化合物(3)と反応させる工程Aを含む。
工程Aの反応では、式(2)中に表されたフッ素原子が、式(3)のRで置き換えられる。
以下に、式(1)および式(2)における記号であるR、RおよびRについて述べる。
、RおよびRによってそれぞれ表される「有機基」は、工程Aの反応の反応性の高さの観点から、嵩が小さいことが好ましい。
、RおよびRによってそれぞれ表される「有機基」の炭素数は、工程Aの反応の反応性の高さの観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、および更に好ましくは1〜3である。
本発明の好適な一態様においては、R、RおよびRが、同一または異なって、(a)水素原子、(b)フッ素原子、(c)塩素原子または(d)1個以上のフッ素原子で置換されていてもよい非環式炭化水素基である。
本発明のより好適な一態様においては、R、RおよびRが、同一または異なって、(a)水素原子、(b)フッ素原子、(c)塩素原子または(d)1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基である。
本発明の更に好適な一態様においては、R、RおよびRが、同一または異なって、(a)水素原子、(b)フッ素原子、(c)塩素原子または(d)フルオロアルキル基である。
本発明のより更に好適な一態様においては、R、RおよびRが、同一または異なって、(a)水素原子、(b)フッ素原子、(c)塩素原子または(d)パーフルオロアルキル基である。
本発明の好適な一態様においては、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、フッ素原子またはフルオロアルキル基である。
以下に、式(1)および式(3)における記号であるRについて述べる。
は、−BX、または−SiXを表す。
本発明の好適な一態様においては、Xが、各出現において同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子、(c)アルキル基、(d)水酸基、(e)アルコキシ基、(f)ジアルキルアミノ基または(g)アリール基であるか、あるいは
当該複数のXのうちの2個または3個は、これらが隣接するホウ素原子またはケイ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。
は、好ましくは、
で表されるボロン酸基であることができる。当該ボロン酸基において、M及びMは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、又は低級アルキル基を示す。更に、MとMは、互いに結合して、二価の脂肪族炭化水素基を形成し、ホウ素原子と共に環状構造を形成してもよい。このような二価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数2〜6程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を例示できる。
前記式(a)で表されるボロン酸基において、M及びMで表される「低級アルキル基」は、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3のアルキル基であることができる。
前記した各基は、例えば、ボロン酸とエチレングリコール又はピナコールとを反応させることによって容易に得ることができる。
尚、置換基としてボロン酸基を有する化合物を原料とする場合には、一部が脱水縮合した状態となる場合があるが、本発明では、このような縮合体の状態の化合物、例えば、三量体等を原料として用いてもよい。
BXの2個のXが、これらが隣接するホウ素原子と形成する環は、好適に、炭素原子およびホウ素原子に加えて1個以上の酸素原子を含有する5〜6員の含ホウ素複素環[当該含ホウ素複素環は、アルキル基で置換されていてもよい。]であることができる。
BXの2個のXが、これらが隣接するホウ素原子と環を形成する場合、Rの例は、次の基:
を包含する。
SiXの2個または3個のXが、これらが隣接するケイ素原子と形成する環は、好適に、炭素原子およびケイ素原子に加えて1個以上の酸素原子を含有する5〜10員の含ケイ素複素環[当該含ケイ素複素環は、アルキル基で置換されていてもよい。]であることができる。
SiXの2個または3個のXが、これらが隣接するケイ素原子と環を形成する場合、Rの例は、次の基:
を包含する。
本発明の好適な一態様においては、Rは、−SiR[当該式中、Rは、各出現において、同一または異なって、塩素原子、アルキル基、アリール基、水素原子、アルコキシ基、又はジアルキルアミノ基を表す。]
本発明の好適な一態様においては、Rは、−SiCl、−SiClR、−Si(NRまたは−SiClR[これらの式中、Rは、各出現において、同一または異なって、アルキル基またはアリール基を表す。]である。
本発明の好適な一態様においては、Rは、−SiH、−SiHR(なかでも好ましくは−SiHPh)または−SiHR[これらの式中、Rは、各出現において、同一または異なって、塩素原子、アルキル基またはアリール基を表す。]である。
本発明の特に好適な一態様においては、Rは、−Si(−CH(−Ph)[当該式中、Phはフェニル基を表す。]である。
以下に、式(3)における記号であるYおよびYについて述べる。
およびYは、同一または異なって、(a)ヒドロキシ基または(b)アルコキシ基を表すか、あるいは
およびYは、これらが隣接するホウ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい含ホウ素環を形成していてもよい。
当該含ホウ素環は、好適に、炭素原子およびホウ素原子に加えて1個以上の酸素原子を含有する5〜6員の含ホウ素環[当該含ホウ素環は、アルキル基で置換されていてもよい。]であることができる。
およびYは、これらが隣接するホウ素原子と一緒になって、含ホウ素環を形成する場合、式(3)中の部分構造:−B(−Y)(−Y)の例は、次の基:
を包含する。
工程Aの反応において、化合物(3)は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは0.001〜2モルの範囲内、より好ましくは0.01〜1.5モルの範囲内、および更に好ましくは0.1〜1モルの範囲内の量で用いられる。
工程Aの反応に用いられる基質である化合物(2)の好ましい例は、1,1-ジフルオロエチレン(ビニリデンフロリド)、1,2-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロシクロペンテン、ヘキサフルオロプロペンおよび2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを包含する。
工程Aの反応に用いられる基質である化合物(2)の特に好ましい例は、1,1-ジフルオロエチレン(ビニリデンフロリド)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペンおよび2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを包含する。
工程Aの反応に用いられる基質である化合物(3)の特に好ましい例は、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボラン、すなわち、以下の化合物:
およびB-(ジメチルフェニルシリル)ピナコールボラン、すなわち、以下の化合物:
を包含する。
本明細書中、当該化合物を、化学分野の慣例に従い、Me2PhSi-Bpinと略記する場合がある。
本発明の好適な一態様において、化合物(2)は、1,1-ジフルオロエチレン(ビニリデンフロリド)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペンまたは2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンであり、且つ化合物(3)は、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボランまたはB-(ジメチルフェニルシリル)ピナコールボランである。
本発明の製造方法では、化合物(2)が2個以上のフッ素原子を有する場合であっても、好適に、化合物(2)のsp2炭素に結合したフッ素原子の1個が選択的または優先的に、Rで置き換えられる。
本発明の製造方法で製造される化合物(1)は、好ましくは、化合物(2)のsp2炭素に結合したフッ素原子の1個が、Rで置き換えられた化合物である。
本発明の製造方法で製造される化合物(1)の特に好ましい例は、1,1-ジフルオロエチレン(ビニリデンフロリド)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたは2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンのsp2炭素に結合したフッ素原子の1個が、Rで置き換えられた化合物である。
工程Aの反応は、好適に、銅、コバルト、ロジウムおよびイリジウムからなる群より選択される1種以上(好ましくは、1種)の遷移金属を含有する遷移金属触媒の存在下で、実施できる。
当該遷移金属触媒が含有する遷移金属の特に好適な例は、銅を包含する。
当該銅は、当該遷移金属触媒において、銅塩を形成していてもよい。
当該銅塩としては、1価の銅塩及び2価の銅塩からなる群より選択される少なくとも1種の銅塩であることができる。
1価の銅塩の例は、CuCl、CuBr、及びCuIを包含し、その好適な例はCuClを包含する。
2価の銅塩の例は、CuCl、CuBr、及びCuIを包含し、その好適な例はCuClを包含する。
なかでも、1価の銅塩が好ましい。
当該銅塩としては、例えば、ハロゲン塩、カルボン酸(例えば酢酸塩)、アセチルアセトン錯体、アルコキシド(例えばフェノール塩)、炭酸塩、炭酸水素塩、スルホン酸(硫酸銅)、硝酸塩(硝酸銅)、シアン化物イオン、酸化銅、水酸化銅、チオ硫酸イオン、及びリン酸等が挙げられる。
当該銅塩は、特に好適には、tert−ブトキシ銅(I)であることができる。
当該遷移金属触媒は、配位子を含有してもよく、その好適な例は、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(IPr)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(Xantphos)およびフェナントロリン、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)、1,1−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン(dppf)を包含する。
工程Aにおいて、遷移金属触媒を用いる場合、その使用量は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは0.001〜0.9モルの範囲内である。
工程Aの反応を当該遷移金属触媒の存在下で実施する場合、工程Aの反応は、
化合物(2)を、当該遷移金属触媒および化合物(3)と反応させて、式(A):
[式中、Mは前記遷移金属触媒中の遷移金属を表す。その他の記号は前記と同意義を表す。]で表される化合物(A)を得る工程A1、および
当該化合物(A)を金属ハロゲン化試薬と反応させて化合物(1)を得る工程A2を含むことができる。
式(A)における遷移金属Mは、配位子と結合していてもよい。当該配位子の例は、前記で説明した配位子の例を包含する。
工程A1および工程A2の反応条件は、工程Aの反応条件に準じて設定できる。
工程A1および工程A2の反応条件は、具体的には以下の通りであることができる。
工程A1において用いられる遷移金属触媒の使用量は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは0.5〜1.5モルの範囲内である。
工程A1において用いられる化合物(3)の使用量は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは0.8〜1.2モルの範囲内である。
金属ハロゲン化試薬の例は、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムおよびヨウ化マグネシウムを包含する。
工程A1の反応温度は、特に制限されないが、通常、−100℃〜200℃の範囲内、好ましくは0℃〜150℃の範囲内、より好ましくは20℃〜120℃の範囲内であることができる。
工程A1の反応時間は、特に制限されないが、その下限としては、例えば、10分間、1時間、2時間および5時間が挙げられ、一方、その上限としては、例えば、15日程度、7日程度、72時間程度、50時間程度、および24時間程度が挙げられる。
工程A2の反応温度は、特に制限されないが、通常、−100℃〜200℃の範囲内、好ましくは0℃〜150℃の範囲内、より好ましくは20℃〜120℃の範囲内であることができる。
工程A2の反応時間は、特に制限されないが、その下限としては、例えば、10分間、1時間、2時間および5時間が挙げられ、一方、その上限としては、例えば、15日程度、7日程度、72時間程度、50時間程度、および24時間程度が挙げられる。
工程A1および工程A2は、ワンポットで実施してもよく、或いは別々に実施してもよい。例えば、工程A1で得られた当該化合物(A)を単離し、および当該化合物(A)を化合物(2)と反応させて化合物(1)を得ることができる。
本発明は、化合物(A)の製造方法であって、化合物(2)を、前記遷移金属触媒および化合物(3)と反応させる工程A1を含む製造方法もまた提供するものである。
本発明は、化合物(1)の製造方法であって、当該化合物(A)を金属ハロゲン化試薬と反応させる工程A2を含む製造方法もまた提供するものである。
工程Aの反応は、溶媒の存在下または不存在下で実施できる。
工程Aに用いることができる溶媒の例は、例えばジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、ヘプタン、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランを包含する。
当該溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
工程Aの反応は、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
工程Aの反応は、加圧下で実施しても、常圧で実施しても、または減圧下で実施してもよい。工程Aの反応は、通常、加圧下で行うことが好ましく、その場合の圧力は、0.1〜10MPa程度、好ましくは0.1〜1MPa程度であることができる。
反応温度は、特に制限されないが、通常、−100℃〜200℃の範囲内、好ましくは0℃〜150℃の範囲内、より好ましくは20℃〜120℃の範囲内であることができる。
当該反応温度が低すぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。
当該反応温度が高すぎると、コスト的に不利であり、および望ましくない反応が起こる虞がある。
反応時間は特に制限されないが、その下限としては、例えば、10分間、1時間、2時間および5時間が挙げられ、一方、その上限としては、例えば、15日程度、7日程度、72時間程度、50時間程度、および24時間程度が挙げられる。
当該反応時間が短すぎると、工程Aの反応が不十分になる虞がある。
当該反応時間が長すぎると、コスト的に不利であり、および望ましくない反応が起こる虞がある。
工程Aの反応は、化合物(2)および化合物(3)を混合することにより実施できる。
化合物(2)および化合物(3)の混合は、具体的には例えば、化合物(2)が気体である場合、化合物(3)の溶液または懸濁液に、化合物(2)を導入することにより、実施できる。
工程Aの反応後、必要に応じて、蒸留、昇華、再結晶およびシリカゲルカラム等の公知の精製法によって、化合物(1)を精製することができる。
工程Aの反応後、別の反応を実施する場合、化合物(1)を単離または精製せずに、そのまま当該反応に供してもよい。
本発明の製造方法で得られる化合物(1)は、例えば、ポリマーの合成のための単量体として使用できる。
化合物(1)は、これを用いて合成したポリマーにおいて、当該ポリマーに求められる性質に応じて、本発明の化合物に由来するRを改変できる点においても有用である。
ここで、例えば、本発明の化合物を用いて合成したポリマーにおいて、本発明の化合物に由来するR中のX(例えば、塩素原子)を公知の方法により他の基(例、アリル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基)に変換することができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
tBu:tert−ブチル
TFE:テトラフルオロエチレン
Bpin:ピナコールボリル
Ph:フェニル
IPr:1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン
nep: ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボラン
dppf: 1,1−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン
以下の実施例において、収率は、内部標準として、反応溶液中に加えたα,α,α−トリフルオロトルエンにより、19F NMRから算出した。
実施例1
ジメチル(フェニル)(1,2,2-トリフルオロビニル)シランの合成
Me2PhSi-Bpin (26.2 mg, 0.1 mmol)、および(IPr)CuOtBu (5.3 mg, 0.01 mmol) を0.5 mLのTHF/重THF混合溶媒(v/v’ = 4/1)中にて混合した。
得られた溶液を容器に移して、これにTFEを0.35 MPaで加圧して導入し、100℃で20時間加熱を行い、標題の化合物を収率91%(19F NMRから算出)で得た。
19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -90.2 (dd, JFF = 68.1, 26.0 Hz, 1F), -117.8 (dd, JFF = 118.0, 68.1 Hz, 1F), -199.5 (dd, JFF = 118.0, 26.0 Hz, 1F), HRMS Calcd for C10H11F3Si 216.0582 found m/z 216.0581.
実施例2
ジメチル(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)(フェニル)シランの合成
実施例1と同様にして、但し、TFEに代えてヘキサフルオロプロペンを基質として用い、標題の化合物を合成した。収率は84%(Z体)(19F NMRから算出)および16%(E体)(19F NMRから算出)であった。
(Z)19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -90.2 (dd, JFF = 20.1, 10.1 Hz, 3F), -158.9 (dq, JFF = 138.6, 20.1 Hz, 1F), -199.5 (dq, JFF = 138.6, 10.1 Hz, 1F), HRMS Calcd for C11H11F5Si 266.0550 found m/z 266.0546.
(E)19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -90.2 (dd, JFF = 11.3, 3.8 Hz, 3F), -138.0 (m, 1F), -144.8 (m, 1F), HRMS Calcd for C10H10F4O-2 266.0550 found m/z 266.0545.
実施例3
ジメチル(フェニル)(3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン-2-イル)シランの合成
実施例1と同様にして、但し、TFEに代えて2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンを基質として用い、標題の化合物を合成した。収率は62%(19F NMRから算出)であった。
19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -63.6 (s, 3F) HRMS Calcd for C11H13F3Si 230.0739 found m/z 230.0742.
実施例4
(1-フルオロビニル)ジメチル(フェニル)シランの合成
実施例1と同様にして、但し、TFEに代えて1,1−ジフルオロエテンを基質として用い、標題の化合物を合成した。収率は83%(19F NMRから算出)であった。
19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -63.6 (s, 3F) HRMS Calcd for C10H13FSi 180.0771 found m/z 180.0776.
実施例5
B2nep2 (22.6 mg, 0.1 mmol)、及びCuOtBu (2.8 mg, 0.01 mmol) 、xantphos (5.8 mg, 0.01 mmol)を0.5 mLのTHF/重THF混合溶媒(v/v’ = 4/1)中にて混合した。溶液を容器に移してTFEを0.35 MPa で加圧して導入し、100℃で50時間加熱を行うことでCF2=CFBnepが収率54% (19F NMRから算出)で得られた。
19F NMR (376 MHz, in THF-d8, rt, δ/ppm with PhCF3 (δ -65.4) as IS): -89.1 (dd, JFF = 23.7, 46.4 Hz, 1F), -111.9 (dd, JFF = 46.4, 114.2 Hz, 1F), -204.3 (dbr, JFF = 114.2 Hz, 1F).
実施例6
Me2PhSi-Bpin(5.24 mg, 0.02 mmol)、CuOtBu (2.7 mg, 0.02 mmol)、及びdppf(11.1 mg, 0.02 mmol)を0.5 mLのTHF/重THF混合溶媒(v/v’ = 4/1)中にて混合し、室温にて30分間静置することでMe2PhSiCu(dppf)を調製した。溶液を容器に移してTFEを0.35 MPa で加圧して導入し、40℃で2時間加熱を行うことでMe2PhSiCF2CF2Cu(dppf)を得た。ここにヨウ化ナトリウムを加え、室温にて1時間静置することで、CF2=CFSiMe2Phが収率61%(19F NMRから算出)で得られた。

Claims (5)

  1. 式(1):
    [式中、
    、RおよびRは、同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子または(c)有機基を表し、
    は、−BX、または−SiXを表し、および
    Xは、各出現において同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子、(c)水酸基または(d)有機基を表すか、あるいは
    当該複数のXのうちの2個また
    は3個は、これらが隣接するホウ素原子またはケイ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。]
    で表される化合物の製造方法であって、
    式(2):
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される化合物を、
    式(3):
    [式中、
    およびYは、同一または異なって、(a)ヒドロキシ基または(b)アルコキシ基を表すか、あるいは
    およびYは、これらが隣接するホウ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい含ホウ素環を形成していてもよく、および
    その他の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される化合物と反応させる工程Aを含む製造方法。
  2. 、RおよびRが、同一または異なって、(a)水素原子、(b)フッ素原子、(c)塩素原子または(d)1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基である請求項1に記載の製造方法。
  3. 、RおよびRのうちの少なくとも1つが、フッ素原子またはフルオロアルキル基である請求項2に記載の製造方法。
  4. Xが、各出現において同一または異なって、(a)水素原子、(b)ハロゲン原子、(c)アルキル基、(d)水酸基、(e)アルコキシ基、(f)ジアルキルアミノ基または(g)アリール基であるか、あるいは
    当該複数のXのうちの2個または3個は、これらが隣接するホウ素原子またはケイ素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい環を形成していてもよい
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 工程Aの反応が、銅、コバルト、ロジウムおよびイリジウムからなる群より選択される1種以上の遷移金属を含有する遷移金属触媒の存在下で実施される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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